JP4906313B2 - 拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管とその製造方法および拡管材 - Google Patents

拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管とその製造方法および拡管材 Download PDF

Info

Publication number
JP4906313B2
JP4906313B2 JP2005313683A JP2005313683A JP4906313B2 JP 4906313 B2 JP4906313 B2 JP 4906313B2 JP 2005313683 A JP2005313683 A JP 2005313683A JP 2005313683 A JP2005313683 A JP 2005313683A JP 4906313 B2 JP4906313 B2 JP 4906313B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
aluminum alloy
alloy extruded
tube
heat treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005313683A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007119853A5 (ja
JP2007119853A (ja
Inventor
康博 中井
正 箕田
眞一 松田
Original Assignee
株式会社住軽テクノ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社住軽テクノ filed Critical 株式会社住軽テクノ
Priority to JP2005313683A priority Critical patent/JP4906313B2/ja
Publication of JP2007119853A publication Critical patent/JP2007119853A/ja
Publication of JP2007119853A5 publication Critical patent/JP2007119853A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4906313B2 publication Critical patent/JP4906313B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)
  • Extrusion Of Metal (AREA)

Description

本発明は、拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管、特に自動二輪車のフロントフォークアウターチューブなどに好適に使用される高力アルミニウム合金押出管とその製造方法、および拡管材に関する。
自動二輪車の倒立型フロントフォークの外筒(アウターチューブ)には高強度であることが要求され、特にモトクロスなどの競技用オフロード車に用いられるフロントフォークには7000系(Al−Zn−Mg系)の高力アルミニウム合金が適用されている。
自動二輪車のフロントフォークアウターチューブの製造方法の一つとして、アルミニウム押出管を加工成形した後、切削加工により成形する方法が実用化されている。具体的には、図1に示すように、(1)軟化処理工程、(2)塑性加工工程、(3)溶体化処理工程、(4)矯正工程、(5)人工時効処理工程、(6)切削加工処理工程を経てフロントフォークアウターチューブを製造し、部材の軽量化と強度の確保をしている。
しかしながら、上記の製造方法では、(1)塑性加工するために軟化工程が必要であり、工程数が増える、(2)溶体化処理後の焼入れにより、焼入れひずみが生じるため、矯正が必要であり、工程数が増えるという問題がある。
上記の問題を解決して、製造工程の削減とコスト低減を図るために、図2に示すように、軟化処理を行わずに溶体化処理後のT4調質で塑性加工を行う工程が提案されている。工程としては(1)溶体化処理、(2)塑性加工、(3)人工時効処理、(4)切削加工処理により構成されるが、溶体化処理を行ってから塑性加工を行うまでの時間が長くなると、自然時効により材料強度が上昇し、拡管などの塑性加工を行う際に割れが発生しやすくなり、安定した加工性が得られにくいという問題があり、自然時効の長短にかかわらず十分な塑性加工性が得られるという市場要求を満足させることができない。
フロントフォークアウターチューブ用高力アルミニウム合金押出管の耐応力腐食割れ性を向上させるために、Al−Zn−Mg−Cu系合金押出管を溶体化処理および焼入れし、室温で100時間以上の時間自然時効させたのち、150〜250℃の温度で30秒〜10分間熱処理し、該熱処理において少なくとも100℃から熱処理温度までの昇温速度を1℃/秒以上とし、最後に人工時効処理を行う手法が提案されているが(特許文献1)、人工時効処理前の冷間加工性の向上については何ら検討されていない。
高力アルミニウム合金の成形方法として、成形直前に150℃〜350℃で復元処理を行うプロセスも提案されている(特許文献2)が、この方法においては、復元処理により成形性は確保できるものの、復元処理温度が比較的高温であるため、処理時間がばらつくと軟化の度合いが大きく変化し、成形性にばらつきが生じるという問題がある。
特開平10−168553号公報 特開平7−305151号公報
発明者らは、Al−Zn−Mg系高力アルミニウム合金を溶体化処理後、自然時効し、ついで塑性加工、人工時効処理する工程において、自然時効後の塑性加工、特に拡管加工性を向上させるための手法についての検討過程において、自然時効後、特定の温度域で熱処理を行い、当該温度域への昇温速度を小さくすることにより、自然時効で形成される微細なG.P.ゾーンや準安定相が分解されて安定相が部分的に析出し、塑性加工性を向上させることができることを見出した。また、塑性加工性の向上は、熱処理前後の体積抵抗率の変化、およびG.P.ゾーン、準安定相の分解温度の変化率で制御されることを見出した。
本発明は、上記の知見に基づいてさらに試験、検討を重ねた結果としてなされたものであり、その目的は、塑性加工を行うための素材として、長期の自然時効を経た場合であっても十分な塑性加工性、特に優れた拡管加工性をそなえた高力アルミニウム合金押出管およびその製造方法を提供することにある。
上記の目的を解決するための請求項1による拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管は、Zn:3.0〜10.0%(質量%、以下同じ)、Mg:0.5〜3.0%、Cu:3.0%以下を含有し、さらにCr:0.30%以下(0%を含まず、以下同じ)、Mn:0.60%以下(0%を含まず、以下同じ)、Zr:0.30%以下(0%を含まず、以下同じ)のうちの1種以上を含有し、不純物としてのFe、Siをそれぞれ0.25%以下に制限し、不可避不純物がそれぞれ0.05%以下であり、残部アルミニウムからなる組成を有するアルミニウム合金押出管のT4調質材をさらに下記の条件で熱処理したものであって、T4調質材の体積抵抗率をR0、G.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度をT0、熱処理後の体積抵抗率をR1、G.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度をT1とした時に、R0−R1≧1.0nΩm、T1−T0≧10℃を満たすことを特徴とする。熱処理は少なくとも100℃から熱処理温度までの昇温速度を1℃/秒未満とし、105℃以上140℃未満の温度で30秒〜180分間熱処理する条件で行う。
請求項2による拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管は、請求項1において、前記アルミニウム合金押出管が、Zn:3.0〜10.0%、Mg:0.5〜3.0%を含有し、さらにCr:0.30%以下、Mn:0.60%以下、Zr:0.30%以下のうちの1種以上を含有し、不純物としてのFe、Siをそれぞれ0.25%以下に制限し、不可避不純物がそれぞれ0.05%以下であり、残部アルミニウムからなる組成を有することを特徴とする。
請求項による拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管の製造方法は、Zn:3.0〜10.0%、Mg:0.5〜3.0%、Cu:3.0%以下を含有し、さらにCr:0.30%以下、Mn:0.60%以下、Zr:0.30%以下のうちの1種以上を含有し、不純物としてのFe、Siをそれぞれ0.25%以下に制限し、不可避不純物がそれぞれ0.05%以下であり、残部アルミニウムからなる組成を有するアルミニウム合金押出管T4調質した後、105℃以上140℃未満の温度で30秒〜180分間熱処理し、該熱処理において、少なくとも100℃から熱処理温度までの昇温速度を1℃/秒未満とすることを特徴とする。
請求項による拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管の製造方法は、請求項において、前記アルミニウム合金押出管が、Zn:3.0〜10.0%、Mg:0.5〜3.0%を含有し、さらにCr:0.30%以下、Mn:0.60%以下、Zr:0.30%以下のうちの1種以上を含有し、不純物としてのFe、Siをそれぞれ0.25%以下に制限し、不可避不純物がそれぞれ0.05%以下であり、残部アルミニウムからなる組成を有することを特徴とする。
請求項による拡管材は、請求項1または2記載の高力アルミニウム合金押出管を冷間加工により拡管し、さらに人工時効処理してなることを特徴とする。
本発明によれば、長期の自然時効を経た場合であっても十分な塑性加工性、特に優れた拡管加工性をそなえたAl−Zn−Mg系の高力アルミニウム合金押出管およびその製造方法が提供される。当該アルミニウム押出管は、特に自動二輪車のフロントフォークアウターチューブ材として好適に使用される。
本発明による拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管の合金元素の意義および限定理由について説明すると、Znは強度を向上させるよう機能する元素であり、その好ましい含有範囲は3.0〜10.0%である。下限未満では強度が不十分になり、上限を超えて含有されると耐応力腐食割れ性(以下、耐SCC性)の低下を招く。さらに好ましい含有範囲は5.0〜9.5%であり、最も好ましい範囲は5.9〜9.2%である。
Mgは強度を向上させるよう機能する元素であり、その好ましい含有範囲は0.5〜3.0%である。下限未満では強度が不十分になり、上限を超えて含有されると耐SCC性の低下を招く。さらに好ましい含有範囲は1.0〜2.7%であり、最も好ましい範囲は1.5〜2.5%である。
Cuは強度を向上させるよう機能する元素であり、その好ましい含有範囲は3.0%以下である。添加量が0%でも、必要な強度が得られれば特性上問題ないが、上限を超えて含有されると押出加工性の低下を招く。さらに好ましい含有範囲は1.0〜2.5%であり、最も好ましい範囲は2.0〜2.5%である。
Cr、Mn、Zrは選択的に含有される元素であり、1種以上を含有することで、いずれも押出材の結晶組織を繊維状にし、耐SCC性を向上させるよう機能する。それぞれ好ましい含有範囲は、Cr:0.30%以下、Mn:0.60%以下、Zr:0.30%以下であり、いずれも上限を超えて含有されると粗大な金属間化合物を形成し、延性が低下するとともに拡管加工性の低下を招く。さらに好ましい含有範囲は、Cr:0.05〜0.25%、Mn:0.05〜0.50%、Zr:0.05〜0.25%であり、最も好ましい範囲は、Cr:0.10〜0.23%、Mn:0.10〜0.40%、Zr:0.10〜0.20%である。
FeおよびSiは不純物として含有される元素であり、好ましい含有範囲はFe:0.25%以下、Si:0.25%以下である。上限を越えて含有されると延性が低下するとともに拡管加工性の低下を招く。さらに好ましい含有範囲は、Fe:0.20%以下、Si:0.20%以下であり、最も好ましい含有範囲はFe:0.15%以下、Si:0.15%以下である。
本発明による拡管加工性に優れたアルミニウム合金押出管は、T4調質材をさらに熱処理した状態で用いられ、その熱処理前のT4調質状態における体積抵抗率をR0とし、熱処理後の体積抵抗率をR1とした時に、R0−R1≧1.0nΩmを満たすことが好ましい。体積抵抗率は合金中の固溶元素量によって決まるため、数値が小さいほど固溶元素量が少ないことを表す。
すなわち、R0−R1が1.0nΩm以上の場合は、熱処理前に比べて熱処理後の固溶元素量が少ないことを表しており、熱処理によって減少した固溶元素は化合物(安定相)を形成し、マトリックス中に分散した状態となる。マトリックス中に安定相が分散すると、拡管などの塑性加工を行う際に転位の均一化を促し、局部変形を少なくするように作用することで塑性加工性を向上させることが見出された。熱処理前後の体積抵抗率の差はマトリックス中に分散した安定相の量を示していることから、R0−R1≧1.0nΩmを満たすことが好ましい。
また、本発明による拡管加工性に優れたアルミニウム合金押出管は、前記熱処理前のT4調質状態におけるG.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度をT0、熱処理後のG.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度をT1とした時に、T1−T0≧10℃を満たすことが好ましい。微細なG.P.ゾーンおよび準安定相は、いずれも拡管などの塑性加工を行う際に転位をピン留めしやすいことから、これらを粗大化させたり、安定相に変化させることで、塑性加工性を向上させられることが見出された。
G.P.ゾーンおよび準安定相は粗大化すると、その分解温度が上昇するため、熱処理前のT4ままにおけるG.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度をT0、熱処理後のG.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度をT1とした時に、T1−T0≧10℃を満たすことにより、拡管などの塑性加工性の向上が達成される。なお、G.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度の測定は、示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温速度20℃/minで常温から300℃まで加熱した時に、最初に観察される吸熱ピークの開始温度を測定することで行われる。
次に、本発明によるアルミニウム合金押出管の製造方法について説明する。上記の組成を有するアルミニウム合金のビレットを造塊して、このビレットを常法に従って熱間押出加工して押出管を製造し、得られた押出管について、例えば400〜500℃の温度範囲で、0.1〜10時間の溶体化処理を行い、水焼入れなどの焼入れ処理後、室温あるいは、それ以下の温度で、100時間以上の時間自然時効処理させる。溶体化処理後、自然時効処理された材料は、極めて微細なG.P.ゾーンあるいは準安定相の析出により硬化し、自然時効処理前と比較して拡管加工性は低下している。
ついで105℃以上140℃未満の温度で30秒〜180分間熱処理を行う。この場合、少なくとも100℃から所定の熱処理温度までの昇温速度を1℃/秒未満とすることが重要である。この熱処理によって、室温時効で形成された微細なG.P.ゾーンや準安定相が分解され、安定相が部分的に析出し、塑性加工性が向上する。このとき、体積抵抗率は熱処理前に比べて1.0nΩm以上低下するとともに、G.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度が10℃以上高温側に移行する。昇温速度が1℃/秒以上の場合には、G.P.ゾーンおよび準安定相の分解が不十分となるため、体積抵抗率の変化量R0−R1が1.0nΩm未満になるとともに、G.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度の変化量T1−T0が10℃未満になり、拡管加工性の低下を招く。
熱処理の温度が105℃未満では、G.P.ゾーンや微細な中間相が分解され難くなり、体積抵抗率の変化量R0−R1が1.0nΩm未満になるとともに、G.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度の変化量T1−T0が10℃未満になり、拡管加工性の低下を招く。また、熱処理の温度が250℃以上では、微細な中間相は分解されるが、安定相の粗大析出が生じるため、人工時効処理後の強度低下を招く。
熱処理時間は、30秒〜180分間が好ましい。30秒未満ではG.P.ゾーンや微細な中間相が十分には分解されず、体積抵抗率の変化量R0−R1が1.0nΩm未満になるとともに、G.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度の変化量T1−T0が10℃未満になり、拡管加工性の低下を招く。熱処理時間が180分以上では安定相の析出が進行するため、拡管加工性の低下を招く。さらに好ましい熱処理時間は10分以上、180分以下、最も好ましい熱処理時間は20分以上、180分以下である。
本発明においては、上記の熱処理後、自動二輪車のフロントフォークアウターチューブなどの形状に加工するため、拡管加工を行う。拡管加工後の人工時効処理は、常法に従って、例えば、100℃〜170℃で2〜48時間行う。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明し、本発明の効果を実証する。なお、これらの実施例は、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
表1に示す合金A〜Gの組成を有するアルミニウム合金押出管(外径63mm、内径49mm)を常法に従って鋳造、均質化処理、間接押出の工程により製造した。得られたアルミニウム合金押出管を460℃の温度に加熱保持した空気炉に装入し、60分間の保持を行うことにより溶体化処理した。次いで常温の水道水で焼入れ処理した後、室温で40日間自然時効処理してT4調質材とし、試験材1〜7を得た。
試験材を120℃で60分間熱処理し、後述する方法により、熱処理前後での体積抵抗率R0、R1をそれぞれ測定してR0−R1を算出するとともに、熱処理前後でのDSCによるG.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度T0、T1をそれぞれ測定して(T1−T0)を算出した。また、拡管加工性の評価を行い、さらに、熱処理後120℃で5時間、ついで150℃で8時間の2段時効処理を行い、引張性能および耐SCC性を評価した。結果を表2に示す。
体積抵抗率の測定:20℃にて磁気感応テストコイル装置(シグマテスター)により導電率を測定し、JIS H 0505に基づく次式により体積抵抗率を求めた。
R=1724.1/γ(R:体積抵抗率(nΩm)、γ:導電率(%IACS))
DSCによるG.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度の測定:JIS K 0129に準拠した入力補償型示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温速度 20℃/minで常温から300℃まで加熱し、最初に観察される吸熱ピークの開始温度を測定し、T0またはT1とした。
拡管加工性:拡管試験による拡管率により評価した。押出長手方向に長さ300mmの試験片を切り出し、試験片の端面を旋盤により平坦になるよう切削した。かかる試験片の内面に高粘度潤滑油を塗布した後、同様の潤滑油を塗布した半角3°の円錐状の治具を試験片に押込み、端面が破断した直後の外径D1(mm)を測定し、試験前の外径D0(mm)から次式を用いて拡管率R(限界拡管率)を測定した。
R={(D1−D0)/D0}×100(%)
なお、試験速度(治具を押込む速度)は、1mm/Sとした。
引張性能:引張試験方向が押出長手方向に一致するよう、JIS12号A試験片を作製し、この試験片を用いて、室温でJIS Z 2241に準じて引張試験を行い、引張強さ、耐力及び破断伸びを測定することにより引張性能を評価した。
耐SCC性:JIS H 8711に準拠したCリング試験片に成形し、250MPaの応力を負荷して、3.5%の塩水交互浸漬法(10分間浸漬、50分間乾燥)による応力腐食割れ試験を行い、試験片表面に亀裂が発生するまでの時間(応力腐食割れ寿命と呼ぶ)を測定することにより評価した。なお、試験時間は最長1000時間とした。
Figure 0004906313
Figure 0004906313
表2にみられるように、本発明に従う試験材1〜7は、何れも体積抵抗率の変化(R0−R1)が1.0nΩm以上であり、G.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度の変化量(T1−T0)が10℃以上であり、拡管試験において12%以上の高い拡管率を示し、2段時効後の引張強さ、耐力、伸びに優れ、応力腐食割れ寿命も1000時間以上であった。
実施例2
表1に示す合金Aの組成を有するアルミニウム合金押出管(外径63mm、内径49mm)を実施例1と同じ方法で鋳造、均質化処理、間接押出することにより製造した。得られたアルミニウム合金押出管を460℃の温度に加熱保持した空気炉に装入し、60分間の保持を行うことにより溶体化処理した。次いで、常温の水道水で焼入れ処理を行った後、室温で40日間自然時効処理してT4調質材とし、表3に示す条件で熱処理を行って試験材8〜12とした。なお、試験材12は参考として示すものである。
試験材8〜12について、熱処理前後での体積抵抗率R0、R1をそれぞれ測定してR0−R1を算出するとともに、熱処理前後でのDSCによるG.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度T0、T1をそれぞれの測定して(T1−T0)を算出した。また、拡管加工性の評価を行い、さらに、熱処理後120℃で5時間、ついで150℃で8時間の2段時効処理を行い、引張性能および耐SCC性を評価した。結果を表4に示す。
Figure 0004906313
Figure 0004906313
表4にみられるように、本発明に従う試験材8〜11は、何れも体積抵抗率の変化(R0−R1)が1.0nΩm以上、G.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度の変化量(T1−T0)が10℃以上であり、熱処理後の拡管試験において12%以上の高い拡管率を示し、2段時効後の引張強さ、耐力、伸びに優れ、応力腐食割れ寿命も1000時間以上と優れていた。
比較例1
表5に示す合金H〜Pの組成を有するアルミニウム合金押出管(外径63mm、内径49mm)を実施例1と同じ方法で鋳造、均質化処理、間接押出することにより製造した。得られたアルミニウム合金押出管を460℃の温度に加熱保持した空気炉に装入し、60分間の保持を行うことにより溶体化処理した。次いで、常温の水道水で焼入れ処理を行った後、室温で40日間自然時効処理してT4調質材とし、試験材13〜21を得た。
これらの試験材を120℃で60分間熱処理し、熱処理前後での体積抵抗率R0、R1をそれぞれ測定してR0−R1を算出するとともに、熱処理前後でのDSCによるG.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度T0、T1をそれぞれ測定して(T1−T0)を算出した。また、拡管加工性の評価を行い、さらに、熱処理後120℃で5時間、ついで150℃で8時間の2段時効処理を行い、引張性能および耐SCC性を評価した。結果を表6に示す。
Figure 0004906313
Figure 0004906313
表6に示すように、試験材13はZnが下限未満であったため強度が低かった。試験材14はZnが上限を超えて添加されたため耐SCC性(耐応力腐食割れ性)が低下した。試験材15はMgが下限未満のため強度が低かった。試験材16はMgが上限を超えて添加されたため耐SCC性が低下した。試験材17はCuが上限を超えて添加されたため押出性が劣り、押出不可となって管の製造が出来なかった。試験材18はMn、Cr、Zrがいずれも添加されなかったため耐SCC性が低下した。試験材19はMn、Cr、Zrが上限を超えて添加されたため伸びが低下するとともに、拡管加工性が低下した。試験材20はSiが上限を超えて添加されたため伸びが低下するとともに、拡管加工性が低下した。試験材21はFeが上限を超えて添加されたため伸びが低下するとともに、拡管加工性が低下した。
比較例2
表1に示す合金Aの組成を有するアルミニウム合金押出管(外径63mm、内径49mm)を実施例1と同じ方法で鋳造、均質化処理、間接押出することにより製造した。得られたアルミニウム合金押出管を460℃の温度に加熱保持した空気炉に装入し、60分間の保持を行うことにより溶体化処理した。次いで、常温の水道水で焼入れ処理を行った後、室温で40日間自然時効処理してT4調質材とし、表7に示す条件で熱処理を行い、試験材22〜26を得た。
試験材22〜26について、熱処理前後での体積抵抗率R0、R1をそれぞれ測定してR0−R1を算出するとともに、熱処理前後でのDSCによるG.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度T0、T1をそれぞれの測定して(T1−T0)を算出した。また、拡管加工性の評価を行い、さらに、熱処理後120℃で5時間、ついで150℃で8時間の2段時効処理を行い、引張性能および耐SCC性を評価した。結果を表8に示す。
Figure 0004906313
Figure 0004906313
表8に示すように、試験材22は熱処理の昇温速度が上限を超えたため、R0−R1およびT1−T0が下限未満となり拡管加工性が低下した。試験材23は熱処理の保持温度が下限未満のため、 R0−R1およびT1−T0が下限未満となり拡管加工性が低下した。試験材24は熱処理の保持温度が上限を超えたため、人工時効処理後の強度が低下した。試験材25は熱処理の保持時間が下限未満のため、R0−R1およびT1−T0が下限未満となり拡管加工性が低下した。試験材26は熱処理の保持時間が上限を超えたため拡管加工性が低下した。
アルミニウム押出管からフロントフォークアウターチューブを製造する工程図(軟化工程有り)である。 アルミニウム押出管からフロントフォークアウターチューブを製造する工程図(軟化工程無し)である。

Claims (5)

  1. Zn:3.0〜10.0%(質量%、以下同じ)、Mg:0.5〜3.0%、Cu:3.0%以下を含有し、さらにCr:0.30%以下(0%を含まず、以下同じ)、Mn:0.60%以下(0%を含まず、以下同じ)、Zr:0.30%以下(0%を含まず、以下同じ)のうちの1種以上を含有し、不純物としてのFe、Siをそれぞれ0.25%以下に制限し、不可避不純物がそれぞれ0.05%以下であり、残部アルミニウムからなる組成を有するアルミニウム合金押出管のT4調質材をさらに下記の条件で熱処理したものであって、T4調質材の体積抵抗率をR0、G.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度をT0、熱処理後の体積抵抗率をR1、G.P.ゾーンおよび準安定相の分解温度をT1としたときに、R0−R1≧1.0nΩm、T1−T0≧10℃を満たすことを特徴とする拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管。熱処理は少なくとも100℃から熱処理温度までの昇温速度を1℃/秒未満とし、105℃以上140℃未満の温度で30秒〜180分間熱処理する条件で行う。
  2. 前記アルミニウム合金押出管が、Zn:3.0〜10.0%、Mg:0.5〜3.0%を含有し、さらにCr:0.30%以下、Mn:0.60%以下、Zr:0.30%以下のうちの1種以上を含有し、不純物としてのFe、Siをそれぞれ0.25%以下に制限し、不可避不純物がそれぞれ0.05%以下であり、残部アルミニウムからなる組成を有することを特徴とする請求項1記載の拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管。
  3. Zn:3.0〜10.0%、Mg:0.5〜3.0%、Cu:3.0%以下を含有し、さらにCr:0.30%以下、Mn:0.60%以下、Zr:0.30%以下のうちの1種以上を含有し、不純物としてのFe、Siをそれぞれ0.25%以下に制限し、不可避不純物がそれぞれ0.05%以下であり、残部アルミニウムからなる組成を有するアルミニウム合金押出管をT4調質した後、105℃以上140℃未満の温度で30秒〜180分間熱処理し、該熱処理において、少なくとも100℃から熱処理温度までの昇温速度を1℃/秒未満とすることを特徴とする拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管の製造方法。
  4. 前記アルミニウム合金押出管が、Zn:3.0〜10.0%、Mg:0.5〜3.0%を含有し、さらにCr:0.30%以下、Mn:0.60%以下、Zr:0.30%以下のうちの1種以上を含有し、不純物としてのFe、Siをそれぞれ0.25%以下に制限し、不可避不純物がそれぞれ0.05%以下であり、残部アルミニウムからなる組成を有することを特徴とする請求項記載の拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管の製造方法。
  5. 請求項1または2記載の高力アルミニウム合金押出管を冷間加工により拡管し、さらに人工時効処理してなる拡管材。
JP2005313683A 2005-10-28 2005-10-28 拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管とその製造方法および拡管材 Expired - Fee Related JP4906313B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005313683A JP4906313B2 (ja) 2005-10-28 2005-10-28 拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管とその製造方法および拡管材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005313683A JP4906313B2 (ja) 2005-10-28 2005-10-28 拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管とその製造方法および拡管材

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2007119853A JP2007119853A (ja) 2007-05-17
JP2007119853A5 JP2007119853A5 (ja) 2008-10-30
JP4906313B2 true JP4906313B2 (ja) 2012-03-28

Family

ID=38143998

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005313683A Expired - Fee Related JP4906313B2 (ja) 2005-10-28 2005-10-28 拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管とその製造方法および拡管材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4906313B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108725669A (zh) * 2018-05-28 2018-11-02 上海凤凰自行车江苏有限公司 一种自行车前叉强化处理工艺

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5083816B2 (ja) * 2007-11-08 2012-11-28 住友軽金属工業株式会社 温間加工性に優れたAl−Zn−Mg−Cu合金押出材およびその製造方法ならびに該押出材を用いた温間加工材
JP5767624B2 (ja) 2012-02-16 2015-08-19 株式会社神戸製鋼所 電磁成形用アルミニウム合金中空押出材
JP5872359B2 (ja) * 2012-03-30 2016-03-01 株式会社神戸製鋼所 自動車用アルミニウム合金鍛造部材およびその製造方法
JP6195446B2 (ja) 2013-01-25 2017-09-13 株式会社神戸製鋼所 耐応力腐食割れ性に優れた7000系アルミニウム合金部材の製造方法
JP6195448B2 (ja) 2013-01-30 2017-09-13 株式会社神戸製鋼所 耐応力腐食割れ性に優れた7000系アルミニウム合金部材の製造方法
JP5968285B2 (ja) 2013-09-09 2016-08-10 株式会社神戸製鋼所 バンパー補強材及びその製造方法
JP5968284B2 (ja) 2013-09-09 2016-08-10 株式会社神戸製鋼所 バンパー構造体及びバンパービームの製造方法
CN104404321B (zh) * 2014-11-26 2016-08-24 中国石油天然气集团公司 一种超深井用超高强度铝合金钻杆管体及其制造方法
JP7172833B2 (ja) * 2019-04-24 2022-11-16 日本軽金属株式会社 アルミニウム合金材及びその製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06145871A (ja) * 1991-10-14 1994-05-27 Furukawa Alum Co Ltd 光輝性および熱間加工性に優れた高力アルミニウム合金
JPH08295977A (ja) * 1995-04-21 1996-11-12 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 疲労強度に優れた高強度アルミニウム合金押出材および該押出材からなるオートバイフロントフォークアウターチューブ材
JP3638188B2 (ja) * 1996-12-12 2005-04-13 住友軽金属工業株式会社 耐応力腐食割れ性に優れた自動二輪車のフロントフォークアウターチューブ用高力アルミニウム合金押出管の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108725669A (zh) * 2018-05-28 2018-11-02 上海凤凰自行车江苏有限公司 一种自行车前叉强化处理工艺
CN108725669B (zh) * 2018-05-28 2020-01-03 上海凤凰自行车江苏有限公司 一种自行车前叉强化处理工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007119853A (ja) 2007-05-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4906313B2 (ja) 拡管加工性に優れた高力アルミニウム合金押出管とその製造方法および拡管材
EP2548983B1 (en) High-strength bolt made from aluminium alloy
US8557062B2 (en) Aluminum zinc magnesium silver alloy
CN107881362B (zh) 具有高韧性的铜-镍-锡合金
JP5046178B2 (ja) マグネシウム合金材及びその製造方法
US8157932B2 (en) Al-Zn-Mg-Cu-Sc high strength alloy for aerospace and automotive castings
WO2014181642A1 (ja) 安定した超弾性を示すCu-Al-Mn系棒材及び板材、その製造方法、それを用いた制震部材、並びに制震部材を用いた制震構造体
JP6348466B2 (ja) アルミニウム合金押出材及びその製造方法
JP6000988B2 (ja) 耐食性、延性及び焼入れ性に優れた高強度アルミニウム合金押出材及びその製造方法
JP2004002983A (ja) アルミニウム合金製バット
JP6235513B2 (ja) マグネシウム−リチウム合金部品の製造方法及びマグネシウム−リチウム合金の製造方法
JP4737785B2 (ja) 高強度フロントフォークアウターチューブ用管材の製造方法および該製造方法により得られる管材
JP2004124166A (ja) 耐食性および加工性に優れた自動車配管用アルミニウム合金管材およびその製造方法
JP4253847B2 (ja) マグネシウム合金線材及びその製造方法、並びにマグネシウム合金成形体
JP3516566B2 (ja) 冷間鍛造用アルミニウム合金とその製造方法
JP5182803B2 (ja) 衝撃吸収性に優れたフロントフォークアウターチューブ用管材およびその製造方法
JP2010018850A (ja) 部分改質アルミニウム合金部材及びその製造方法
JP2012172176A (ja) 疲労強度に優れたアルミニウム合金中空異形材およびその製造方法
JPH01152237A (ja) エンジン部材用アルミニウム合金材
JP6045446B2 (ja) 外観の均一性に優れたAl−Mg−Si系合金熱処理材の製造方法
JPH0582203A (ja) Cu合金製電気ソケツト構造部品
JP3669440B2 (ja) 耐摩耗性アルミニウム合金
JP2012046801A (ja) 高強度銅合金線材
JP2005089788A (ja) 耐食性に優れる熱交換器用アルミニウム合金配管材およびその製造方法
KR101685818B1 (ko) 마그네슘 합금재 및 이의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080910

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080910

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20100617

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20100908

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110223

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110404

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120110

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120110

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150120

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4906313

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees