図面はリセット機能を備えたスイッチを示し、図1(A)は一側から見たスイッチ100の外観斜視図を示し、図1(B)は他側から見たスイッチ100の外観斜視図を示している。図2は斜め上方から見たスイッチ100の分解斜視図を示し、図3は斜め下方から見たスイッチ100の分解斜視図を示している。
このリセット機能を備えたスイッチ100は、ハウジング110に、操作子120と、回転操作体130と、電源スイッチ機構140と、信号スイッチ機構150と、復帰バネ160と、電源リセット機構170とを組込んで構成される。
ハウジング110は、上面を開放した箱形状を有し、その上部側に上述の構成部品130,140,150,160を組込む凹形状の空洞部111を有し、さらに底部側には電源リセット機構170を下方から組込む底部取付部112と端子仕切部113とを有している。そして、上部側に開口されている空洞部111への部品組込み後に、該空洞部111の開口面に対して平面的に閉鎖する操作子120を回動自在に取付けている。
さらに、このハウジング110の狭幅の両外側面にはスイッチ100を嵌め込んで取り付けるために突出させた抜止取付用の弾性係止片114を有している。また、このハウジング110の広幅外側面の両側中央部には後述する操作子120を回動可能に支持するための枢支孔115を有している。
上述の操作子120は長方体の底面を開放した箱形状に設けられ、その上面を指先で押下するのに適した緩やかな凹状円弧面にした押下操作面121としている。さらに、操作子120の広幅外側面の両側中央部には支軸122を突設している。これらの支軸122は上述したハウジング110の枢支孔115に回動自由に枢支されて、両側の枢支部分を回動支点に操作子120はハウジング110にシーソー状に回動自由に取り付けられている。
このように操作子120はハウジング110内でシーソー状に回動自由に枢支されて揺動し、この揺動操作方向の一方F1を電源オン側に設定し、他方F2を電源オフ側に設定している。
さらに、この操作子120は底面の開放された内部空間に図3に示すように、前記両側の支軸122を結ぶ線上において、その一側に連結軸123を垂設し、他側に後述する回転操作体130の両側を枢支する枢支孔124を形成している。さらに、内部空間の一側には後述する復帰バネ規制片134を押下する押子125(図6参照)を垂設している。
上述の回転操作体130は、電源をオンオフ操作する操作部材として備えられ、枢支軸131と、第1スイッチ操作部132と、第2スイッチ操作部133と、復帰バネ規制片134とから構成される。
枢支軸131は、操作子120の両側内面に形成されている枢支孔124に回動自由に枢支されている。このため、回転操作体130は操作子120の内部で該操作子120の回動とは別々に回動自由に配置されている。
つまり、操作子120が回動して一方F1にオン操作されるとき、押子125により下向きに押下されて該操作子120から操作力を受け、他方F2にオフ操作されるとき、非接触で該操作子120から操作力を受けない構成となっている。
さらに、回転操作体130の両側の枢支軸131間を結ぶ下面両側には第1スイッチ操作部132と第2スイッチ操作部133を有している。第1スイッチ操作部132は後述する第1電源スイッチ機構180の上部に備えられる第1スプリング連結体181の上部を嵌合保持する。また、第2スイッチ操作部133は第2電源スイッチ機構190の上部に備えられる第2スプリング連結体191の上部を嵌合保持する。
さらに、回転操作体130には平板状の復帰バネ規制片134を略水平に突設しており、この復帰バネ規制片134の下面で上向きに付勢された後述する可動磁性片172を下向きに押下する構成としている。
電源スイッチ機構140は、第1電源スイッチ機構180と第2電源スイッチ機構190との2回路に対応して並列される2連のスイッチ構成を有している。
上述の第1電源スイッチ機構180は、第1スプリング連結体181と、可動片182と、固定端子183と、共通固定端子184とを備えて構成される。
第1スプリング連結体181は、細径のコイルスプリングを用いる。この第1スプリング連結体181は上端部を上述の第1スイッチ操作部132に嵌合させて連結している。下端部は後述する可動片182の上向きに突出する嵌合突起185を該コイルスプリングの孔内に差し込んで嵌合させることにより可動片182に抜止めして連結している。この第1スプリング連結体181は組み立てられることによって軸方向中央部を一方に若干屈曲させたくの字形となる。
上述の可動片182は導電性金属板をL形状に屈曲し、該L形の屈曲部分を回動支点部として後述する共通固定端子184に回動可能に支持されている。そして、可動片182の中間部に上述した嵌合突起185を切り起して形成し、L形水平片側の先端部に導電性の接点部186を固着している。
固定端子183は導電性金属板を逆L形状に屈曲し、その上面に導電性の接点部187を固着している。そして、該固定端子183の逆L形垂直片側をハウジング110の端子取付孔116に差し込んで取り付ける。この際、該接点部187はハウジング110の底面に上向きに配置され、その上方の可動片182の接点部186と対向させている。
同じく、共通固定端子184は導電性金属板を逆L形状に屈曲し、その上面に可動片支持部188を切り起こして形成している。そして、逆L形垂直片側をハウジング110の端子取付孔116に差し込んで取り付ける。
ここで第1スプリング連結体181は、くの字形に第1スイッチ操作部132と可動片182との上下間に連結されており、第1スイッチ操作部132を形成している回転操作体130が回動することにより、その下方の回動軌跡上で第1スプリング連結体181を支持している上部での向きが一方と他方では異なり、その変位する角度差を生じさせることで下方の可動片182に対するスイッチ操作力を与えるようにしている。
また、第1スプリング連結体181を用いることにより、弾性に富み、軸方向だけでなく、その交差方向に対しても柔軟な屈曲性を有し、スイッチのように繰り返しオンオフさせるのに必要な弾性変形を容易に得ることができる。したがって、回転操作体130の回動に追従可能な柔軟性に富む第1スプリング連結体181を用いることにより、上述の角度差に容易に追従して下方の可動片182をオン方向とオフ方向に円滑に操作することができる。
第2電源スイッチ機構190は、前記第1電源スイッチ機構180と同構成を有している。さらに、1つの操作子120の操作力を第1電源スイッチ機構180と第2電源スイッチ機構190が同時に受ける並列配置構成である。このため、第2電源スイッチ機構190は第1電源スイッチ機構180と同機能を実行する。このため、第1電源スイッチ機構180の各部品と同一の部品を配置構成することから、第1スプリング連結体191と可動片192と固定端子193と、共通固定端子194と各接点部196,197を備えた第2電源スイッチ機構190の説明は既に第1電源スイッチ機構180で述べているので省略する。
信号スイッチ機構150は、第3スプリング連結体151と信号可動片152と信号共通固定端子153と信号固定端子154とから構成される。
第3スプリング連結体151は、前記した第1スプリング連結体181と同様に構成され、細径のコイルスプリングを用いる。この第3スプリング連結体151は上端部の該スプリング孔を操作子120の下面に垂設されている連結軸123に嵌合させて連結し、下端部の該スプリング孔を後述する信号可動片152の上端部に上向きに突出されている嵌合突起155に嵌合させて信号可動片152に連結している。この場合も、第3スプリング連結体151は組み立てられることによって軸方向中央部を一方に若干屈曲させたくの字形に構成される。
上述の信号可動片152は導電性金属板をL形状に屈曲し、そのL形の屈曲部分を回動支点部として後述する信号共通固定端子153に回動可能に支持されている。そして、信号可動片152の中間部に上述した嵌合突起155を有し、L形水平片側の先端を接点部分としている。なお、この信号スイッチ機構150の構成に際しては、信号用の微弱電流を流すため電源スイッチ機構130とは異なり、大きな接点部は要しない。
信号共通固定端子153は導電性金属板を逆L形状に屈曲し、その上面に可動片支持部156を切り起こして形成し、ハウジング110の端子取付孔117に挿通させて取り付けられる。
同じく、信号固定端子154は導電性金属板を逆L形状に屈曲し、その上面が接点部分となりハウジング110の端子取付孔117に挿通させて取り付けられる。
これらの第1電源スイッチ機構180と第2電源スイッチ機構190とはハウジング110内において図4に示すように、第1仕切りプレート118により仕切られている。また、第2電源スイッチ機構190と信号スイッチ機構150とはハウジング110内において図4に示すように、第2仕切りプレート119により仕切られている。このように各スイッチ機構180,190,150はハウジング110の内壁と各仕切りプレート118,119とによって1つの区画されたスイッチ操作空間を確保している。
さらに、これらの仕切りプレート118,119は上面が操作子120の一方F1と他方F2での回動を規制するストッパ面に構成されている。このうち、該操作子120の一方F1と対向する第1仕切りプレート118の上面にオン回動を規制するオンストッパ面118aを傾斜形成し、操作子120の他方F2と対向する第1仕切りプレート118の上面にオフ回動を規制するオフストッパ面118bを傾斜形成している。
同じく、操作子120の一方F1と対向する第2仕切りプレート119の上面にオフ回動を規制するオフストッパ面119aを傾斜形成し、操作子120の他方F2と対向する第2仕切りプレート119の上面にオン回動を規制するオンストッパ面119bを傾斜形成している。
復帰バネ160は、コイルスプリングにより構成される。この復帰バネ160は通常、図6(A)に示すように、伸長して回転操作体130及び操作子120を押し上げてオフ方向に回動させた状態にある。
上述の電源リセット機構170は、ソレノイド171と可動磁性片172と永久磁石173と固定磁性片(ヨーク)173aとリセット信号入力端子174とソレノイドケース175とを備えて構成される。
ソレノイド171はコイルを巻回して内部に上下方向に開口する挿通部を備え、この挿通部に後述する可動磁性片172を上下方向に挿通可能に構成している。さらに、挿通した可動磁性片172の内端部側に、永久磁石173と固定磁性片173aとリセット信号入力端子174とが備えられている。
上述の可動磁性片172はT字形を有し、このT字形部分の下部側が平行する2列でソレノイド171の挿通部に挿通自由に設けられ、この可動磁性片172のT字形部分とソレノイド171のコイル側上端面との上下間に図6に示すように、前記復帰バネ160を上下方向に圧縮させた状態に介在させて配置している。
そして、可動磁性片172が下向きの押下力を受けた場合に復帰バネ160の付勢力に抗して下動し、下端まで挿通されると、その下方に対向する直方体の永久磁石173とその永久磁石173を挟んで両側に配設されるU字形の固定磁性片173aとにより可動磁性片172は吸着保持される。この吸着保持作用により電源オン状態が保持される。この電源オン状態でソレノイド171に対して磁気解除作用を与えると、その吸着を解除して電源オフする解除機能を備えている。
図6において、上段に配置された(A)(C)(E)はスイッチ100を一側面から見た第1電源スイッチ機構180のオンオフ動作状態を示し、下段に配置された(B)(D)(F)はスイッチ100を他側面から見た信号スイッチ機構150のオンオフ動作状態を示している。これらのうち、左側に配置された(A)(B)はオフ状態を、中間部に配置された(C)(D)はオン状態を、右側に配置された(E)(F)は操作子のみオフされている状態を示している。
通常は、図4及び図6(A)に示すように、第1電源スイッチ機構180では電源スイッチオフ状態で復帰バネ160が伸長し、この復帰バネ160に付勢された可動磁性片172の上端部が復帰バネ規制片134を押し上げ、さらに押子125を介して操作子120を押し上げてオフ位置に付勢支持した状態にある。このとき、回転操作体130はオフ方向に回転した状態にある。このオフ状態では第1スプリング連結体181が弓なりに屈曲し、可動片182はオフ方向に回動し、該可動片182の接点部186が固定端子183の接点部187と離間した電源オフ状態にある。
また、信号スイッチ機構150では、図5及び図6(B)に示すように、操作子120がオフ位置のとき、前記第1スプリング連結体181と逆向きに第3スプリング連結体151が弓なりに屈曲し、信号可動片152を信号固定端子154に接触させている。この信号スイッチ機構150では信号可動片152と信号固定端子154とが接触した導通状態をオフに設定し、離間した状態をオンに設定している。
このように構成されたスイッチ100がオン操作された場合、図6(C)に示すように、操作子120がオン方向に押下されると、この操作子120の押子125が復帰バネ規制片134を押し下げ、さらに可動磁性片172を復帰バネ160の付勢力に抗して押し下げる。これにより、可動磁性片172は下動し、ソレノイド171の操作部に挿通されて、その下方に対向する永久磁石173の磁気吸引作用を受けて吸着される。このとき、復帰バネ160は圧縮されているため、その圧縮状態のまま保持される。また、この操作子120をオン操作した際に第1電源スイッチ機構180の第1スプリング連結体181の軸方向中央部が逆向きに反り返り、その反力で可動片182が回動し、接点部186,187を接触させて電源をオンする。
さらに、ハウジング110内において、電源リセット機構170は操作子120の揺動操作方向の一方F1であるオン側に配置される。第1電源スイッチ機構180は操作子120の揺動操作方向の他方F2であるオフ側に配置されている。このため、操作子120をオン側に操作した際は、該操作子120の操作方向で前記電源リセット機構170のソレノイド171に磁性片172を吸着保持させてロックする構成となっている。このため、操作子120のオン操作力は直接電源リセット機構170に加わる構成となっている。
また、第1電源スイッチ機構180と電源リセット機構170とをハウジング110内で操作子120のオン側とオフ側、つまり操作子120の揺動操作方向の一方F1と他方F2に分けて配置することができるため、これらの機構をハウジング110の中央部に集中させない分散させた配置構成にできる。このため、ハウジング110の幅方向を狭めてスリム化したスイッチ100を構成できる。
なお、第2電源スイッチ機構190も第1電源スイッチ機構180の動きと同じ動きとなり、同期してオン操作される。
一方、第1電源スイッチ機構180及び第2電源スイッチ機構190と略同時に信号スイッチ機構150もオンする。この信号スイッチ機構150は、図6(D)に示すように、操作子120のオン方向の回動に伴って、前記第1スプリング連結体181と逆向きに第3スプリング連結体151が弓なりに反り返り、信号可動片152を信号固定端子154と離間させて信号スイッチ機構150をオンにする。
次に、このスイッチ100をオフする際は、図6(E)に示すように、操作子120をオフ方向に押下操作する。このとき、操作子120はオフ方向に回動するが、第1電源スイッチ機構180側にあっては復帰バネ160の付勢力を受けないため操作子120のみの単独の回動、つまり空回りとなる。
したがって、回転操作体130は回動せず、該回転操作体130と一体の復帰バネ規制片134は可動磁性片172を押下した状態を保ち、電源スイッチ機構140は制御部からリセット信号が入力されるまでオン状態が保持される。
一方、信号スイッチ機構150側にあっては、図6(F)に示すように、操作子120のオフ方向の回動に伴って第3スプリング連結体151が弓なりに反り返って反転し、これに伴い信号可動片152は回動して再び信号固定端子154に接触する。このため、信号スイッチ機構150は操作子120の動きに伴ってオンオフ操作される。
この信号スイッチ機構150がオフされると、このオフ信号を受けた図示しない制御部からのリセット信号待ちとなる。そして、ハードディスクに記憶処理させる制御データの記憶処理が完結した時点で図6(E)の第1電源スイッチ機構180がオン状態から再び元の図6(A)に示す電源オフ状態に戻る。
次に、このスイッチ100を備えた電子機器700のデータ処理動作を図7の制御ブロック図を参照して説明する。
電子機器700は、前記スイッチ100がオンオフ操作可能な位置に配設され、内部にCPU710と、HDD(ハードディスク)720と、RAM730とが設けられている。
スイッチ100の操作子120がオン操作されると、その操作力を受けて回動操作体130はオン方向に回動し、これに基づき電源スイッチ機構140は接点部186,187、196,197を接触させてスイッチ100をオン状態とすることで電子機器700の電源740をオンにする。このようにして電子機器700が稼動されている状態では、CPU710が電子機器700の処理データをRAM730に記憶させている。
この電子機器700の利用停止に際して利用者がスイッチ100の操作子120をオフ方向に操作すると、スイッチ100の信号スイッチ機構150から利用オフ信号がCPU710に入力される。これに基づいてCPU710はデータ処理が完結するまで電源オン状態を保持し、電源リセット機構170に電源オフ信号を出力させない。このとき、電源オン状態で、CPU710はまずRAM730に記憶されているデータを読み出し、このデータを全てHDD720に移し替えて記憶させる。
このHDD720へのデータの移し替えが完結すると、CPU710はデータの保護を優先し、確保できたことによりスイッチ100の電源リセット機構170に対して電源オフ信号を出力する。これに基づいてスイッチ100には永久磁石173の磁力より大きい電磁解除力がソレノイド171に与えられ、該ソレノイド171は永久磁石173及び固定磁性片173aに吸着されていた可動磁性片172の規制を解除し、可動磁性片172は自由状態となり、復帰バネ160が伸長する付勢力を受けて可動磁性片172は回動操作体130を押し上げ、操作子120をオフ位置に回動させるとともに電源スイッチ機構140の接点部186,187、196,197を離間させ、電源をオフさせる。このようにして、操作子120がオフ操作された後はCPU710がデータ処理の完結を確認したことに基づいて自動的に電源をオフする。
さらに、このスイッチ100のリセット動作を図8のタイムチャートを参照して説明する。
利用者が操作子120を操作していない待機状態では信号スイッチ機構150は微弱電流を通電させてオフ信号を出力している。これに対し、電源スイッチ機構140の第1電源スイッチ機構180及び第2電源スイッチ機構190は非通電のオフ状態を維持している。
その後、利用者が操作子120をオン操作すると、信号スイッチ機構150は接点部が離れ、非通電を検知してオンとなり、電源スイッチ機構140は接点部が接触して通電し、電源オンとなる。また、オン状態なので電源リセット機構170のソレノイド171は、該スイッチ100が備えられている電子機器700、例えば複写機やパーソナルコンピュータ等の制御部からリセット信号が入力されるまでオン状態を維持する。
スイッチ100がオンされて電子機器が利用された後、利用者が電子機器700の利用停止に伴ってスイッチ100の操作子120をオフ操作すると、その時点で信号スイッチ機構150はオフされてオフ信号が出力される。このオフ出力を電子機器700の制御部(CPU)710が検出すると、それまでの処理データをハードディスクに記憶させる書き込みを実行する。
書き込みが完結すると、制御部からリセット信号が出力され、永久磁石173の吸着力より大きい電磁解除力がソレノイド171に与えられる。この解除に基づいて復帰バネ160は伸長し、この伸長した付勢力に基づいて電源スイッチ機構140に対する解除操作がなされる。さらに、これに連動して回転操作体130及び操作子120は元のオフ位置に戻る。
以上説明したように、操作子をオン操作すると、電源スイッチ機構はオンされる。その後、電源をオフ操作するが電源をオフ操作しても、電源スイッチ機構は電源リセットの信号が入力されるまではオン状態を保つため直ちにオフしない。この間にハードディスクへ必要なデータが書き込まれ、データ処理が完結すると電源を自動的にオフする。
ことに、操作子を一度オフ操作した後は、復帰バネの付勢力を規制して操作子に復帰バネの付勢力が掛からなくなるため、操作子は空回りする。このため、オフ操作後に操作子を再度、オンオフ操作しても、その再オンオフ操作力は空回りして電源スイッチ機構の接点部に伝達されない。したがって、操作子を最初にオフ操作した後は、操作子をその後に不用意に再度オンオフ操作しても、何ら支障はない。さらに、このスイッチを電子機器に使用した場合は信頼性の高いデータ管理ができる。
さらに、スイッチの内部構成に際しては、電源スイッチ機構140及び信号スイッチ機構150と、電源リセット機構170とがハウジング110内で一方F1と他方F2の操作方向に分けられているため、これらの機構をハウジング110の中央部に集中させない分散させた配置構成にできる。このため、ハウジングの幅方向を狭めてスイッチをスリム化して製作することができる。
さらに、電源リセット機構170側では構成部品を積層して構成できるためハウジング110の内部でスイッチ部品が並列しなくなり、スイッチの操作面積が小さいコンパクトな配置構成が可能となる。このため、確実にスイッチの小型化が可能になる。
また、電源スイッチ機構140や信号スイッチ機構150側では可動片182,192を例えばL形状などに折曲して配置するため、直線的な可動片に比べて該可動片182,192の回動領域は略半径長さの回動軌跡となり、該可動片の回動占有スペースも小さくなる。これにより、ハウジング内で可動片自体をコンパクトに内蔵できるため、ハウジング110の縮小化が図れ、より一層スイッチの小型化を図ることができる。
図面はリセット機能を備えたスイッチを示している。図9(A)は一側から見たスイッチ200の外観斜視図を示し、図9(B)は他側から見たスイッチ200の外観斜視図を示している。図10は一側から見たスイッチ200の分解斜視図を示し、図11は他側から見たスイッチ200の分解斜視図を示している。
このリセット機能を備えたスイッチ200は、ハウジング210に、操作子220と、電源スイッチ機構240と、復帰バネ260と、電源リセット機構270とを組込んで構成される。
ハウジング210は、上面を開放した箱形状を有し、その上部側に上述の構成部品240,260を組込む凹形状の空洞部211を有し、さらに底部側には電源リセット機構270を下方から組込む底部取付部212と端子仕切部213とを有している。そして、上部側に開口されている空洞部211への部品組込み後に、該空洞部211の開口面に対して平面的に閉鎖する操作子220を回動自在に取付けている。
さらに、このハウジング210の狭幅の両外側面にはスイッチ200を嵌め込んで取り付けるために突出させた抜止取付用の弾性係止片214を有している。また、このハウジング210の広幅外側面の両側中央部には後述する操作子220を回動可能に支持するための枢支孔215を有している。
上述の操作子220は長方体の底面を開放した箱形状に設けられ、その上面を指先で押下するのに適した緩やかな凹状円弧面にした押下操作面221としている。さらに、操作子220の広幅外側面の両側中央部には支軸222を突設している。これらの支軸222は上述したハウジング210の枢支孔215に回動自由に枢支されて、両側の枢支部分を回動支点に操作子220はハウジング210にシーソー状に回動自由に取り付けられている。
この操作子220は底面の開放された内部空間の一側に下向きに突出する押子225(図13参照)を垂設している。この押子225の下端部で上向きに付勢された後述する可動磁性片272の上面を下向きに押下する構成としている。
さらに、操作子220は回動して電源をオンオフ操作する操作部材として備えられ、該操作子220の下面に、第1スイッチ操作部231と、第2スイッチ操作部232と、強制加圧片233とが備えられている。
操作子220の両側の支軸222間を結ぶ下面両側に第1スイッチ操作部231と第2スイッチ操作部232を有している。第1スイッチ操作部231は後述する第1電源スイッチ機構280の上部に備えられる第1スプリング連結体281の上部を嵌合保持する円形孔を有している。また、第2スイッチ操作部232は後述する第2電源スイッチ機構290の上部に備えられる第2スプリング連結体291の上部を嵌合保持する円形孔を有している。
前記強制加圧片233は、前記第1スイッチ操作部231と第2スイッチ操作部232との両側の側壁を縦長の長方板として垂設した垂設部分を該強制加圧片233としている。この強制加圧片233は操作子220の下面中央両側に該操作子220の一部として垂設されている。このため、該操作子220と一体に回動する。そして、図15に後述するように、該操作子220がオフ操作される該操作子220の操作力を前記可動片282,292が受ける。これにより、該可動片282,292の接点部286,296が、前記固定端子283,293の接点部287,297より離間される方向に強制加圧する構成としている。
前記電源スイッチ機構240は、第1電源スイッチ機構280と第2電源スイッチ機構290との2回路に対応して並列される2連のスイッチ構成を有している。
上述の第1電源スイッチ機構280は、第1スプリング連結体281と、可動片282と、固定端子283と、共通固定端子284とを備えて構成される。
第1スプリング連結体281は、細径のコイルスプリングを用いる。この第1スプリング連結体281は上端部を上述の第1スイッチ操作部231に嵌合させて連結している。下端部は後述する可動片282の上向きに突出する嵌合突起285を該コイルスプリングの孔内に差し込んで嵌合させることにより可動片282に抜止めして連結している。この第1スプリング連結体281は組み立てられることによって軸方向中央部が一方に若干屈曲されたくの字形となる。
上述の可動片282は導電性金属板をL形状に屈曲し、該L形の屈曲部分を回動支点部として後述する共通固定端子284に回動可能に支持されている。そして、可動片282の中間部に上述した嵌合突起285を切り起して形成し、L形水平片側の先端部に導電性の接点部286を固着している。
固定端子283は導電性金属板を逆L形状に屈曲し、その上面に導電性の接点部287を固着している。そして、該固定端子283の逆L形垂直片側をハウジング210の端子取付孔216に差し込んで取り付ける。この際、該接点部287はハウジング210の底面に上向きに配置され、その上方の可動片282の接点部286と対向させている。
同じく、共通固定端子284は導電性金属板を逆L形状に屈曲し、その上面に可動片支持部288を切り起こして形成している。そして、逆L形垂直片側をハウジング210の端子取付孔216に差し込んで取り付ける。
ここで第1スプリング連結体281は、くの字形に第1スイッチ操作部231と可動片282との上下間に連結されており、第1スイッチ操作部231を形成している操作子220が回動することにより、その下方の回動軌跡上で第1スプリング連結体281を支持している上部での向きが一方と他方では異なり、角度差を生じさせることで該第1スプリング連結体281の中間部が反転して下方の可動片282に対するスイッチ操作力を与えるようにしている。
また、第1スプリング連結体281を用いることにより、弾性に富み、軸方向だけでなく、その交差方向に対しても柔軟な屈曲性を有し、スイッチのように繰り返しオンオフさせるのに必要な弾性変形を容易に得ることができる。したがって、操作子220の回動に追従可能な柔軟性に富む第1スプリング連結体281を用いることにより、上述の角度差に容易に追従して下方の可動片282をオン方向とオフ方向に円滑に回動させることができる。
さらに、ハウジング210内において、電源リセット機構270は操作子220の揺動操作方向の一方F1であるオン側に配置される。第1電源スイッチ機構280は操作子220の揺動操作方向の他方F2であるオフ側に配置されている。このため、操作子220をオン側に操作した際は、該操作子220の操作方向で前記電源リセット機構270のソレノイド271に磁性片272を吸着保持させてロックする構成となっている。このため、操作子220のオン操作力は直接電源リセット機構270に加わり、操作力伝達用の中継部材を省略した構成が可能になる。
また、第1電源スイッチ機構280と電源リセット機構270とをハウジング210内で操作子220のオン側とオフ側、つまり操作子220の揺動操作方向の一方F1と他方F2に分けて配置することができるため、これらの機構をハウジング210の中央部に集中させない分散させた配置構成にできる。このため、ハウジング210の幅方向を狭めてスリム化したスイッチ200を構成できる。
第2電源スイッチ機構290は、前記第1電源スイッチ機構280と同構成を有している。さらに、1つの操作子220の操作力を、第1電源スイッチ機構280と第2電源スイッチ機構290とが同時に受ける並列配置構成である。このため、第2電源スイッチ機構290は第1電源スイッチ機構280と同機能を有して同時にオンオフ操作が実行される。
このため、第2電源スイッチ機構290は第1電源スイッチ機構280の各部品と同一の部品が配置される。よって、同一の構成部品であることから第1スプリング連結体291と可動片292と固定端子293と共通固定端子294と各接点部296,297等を備えた第2電源スイッチ機構290の同一の説明は既に第1電源スイッチ機構280で述べているので省略する。
これらの第1電源スイッチ機構280と第2電源スイッチ機構290とはハウジング210内において図12に示すように、第1仕切りプレート218により仕切られている。このため、各スイッチ機構280,290はハウジング210の内壁と仕切りプレート218とによって1つの区画されたスイッチ操作空間を確保している。
さらに、前記仕切りプレート218は上面が操作子220の一方F1と他方F2での回動を規制するストッパ面となり、図13bに示すように、該操作子220の一方と対向する仕切りプレート218の上面にオンストッパ面218aを傾斜形成している。さらに、操作子220の他方と対向する仕切りプレート218の上面にオフストッパ面218bを傾斜形成している。
復帰バネ260は、コイルスプリングにより構成される。この復帰バネ260は通常、図13(A)に示すように、伸長して可動磁性片272を介して操作子220を押し上げてオフ方向に回動させた状態にある。
上述の電源リセット機構270は、ソレノイド271と可動磁性片272と永久磁石273と固定磁性片(ヨーク)273aとリセット信号入力端子274とソレノイドケース275とを備えて構成される。
ソレノイド271は外周面にコイルを巻回して上下方向に開口する挿通部を備え、この挿通部に後述する可動磁性片272を上下方向に挿通可能に構成している。さらに、挿通した可動磁性片272の内端部側に、永久磁石273と固定磁性片273aとリセット信号入力端子274とが対向して配置されている。
上述の可動磁性片272はT字形を有し、このT字形部分の下部側が平行する2列でソレノイド271の2列に平行する挿通部に挿通自由に設けられている。そして、この可動磁性片272のT字形の下面段差部分とソレノイド271のコイル側上端面との上下間に、図12に示すように前記復帰バネ260を上下方向に圧縮させた状態に介在させている。
そして、操作子220がオン操作されると、押子225を介して可動磁性片272は下向きの押下力を受け、復帰バネ260の付勢力に抗して可動磁性片272は下動する。そして、可動磁性片272が下端に至ると、その下方に対向する直方体の永久磁石273と、その永久磁石273を中央に挟んで両側に配設されるU字形の固定磁性片273aとにより吸着保持される。この吸着保持作用により、電源オン状態が保持される。この電源オン状態でソレノイド271に対して磁気解除作用を与えると、その吸着を解除して電源オフする解除機能を有している。
図13(A)は第1電源スイッチ機構280のオフ状態を示し、図13(B)はオン状態を示している。通常、図13(A)に示すように、第1電源スイッチ機構280がオフ状態の場合、復帰バネ260が伸長し、この復帰バネ260に付勢された可動磁性片272の上端部が押子225を介して操作子220を押し上げ、操作子220をオフ位置に付勢支持した状態にある。このとき、操作子220はオフ方向に回動した状態にある。このオフ状態では第1スプリング連結体281が電源オフ方向に弓なりに屈曲し、L形状の可動片282は屈曲部分を回動支点にオフ方向に回動し、該可動片282の接点部286が固定端子283の接点部287と離間した電源オフ状態にある。
このように構成されたスイッチ200がオン操作された場合、図13(B)に示すように、操作子220がオン方向に押下されると、この操作子220の押子225が可動磁性片272を復帰バネ260の付勢力に抗して押し下げる。これにより、可動磁性片272は下動し、ソレノイド271の挿通部に挿通され、その下方に対向する永久磁石273及び固定磁性片273aの磁気吸引作用を受けて吸着される。このとき、復帰バネ260は圧縮されており、その圧縮状態のまま磁気吸着作用によりオン状態を保持する。また、この操作子220をオン操作した際に第1電源スイッチ機構280の第1スプリング連結体281の軸方向中央部が逆向きに反り返り、その反力で可動片282が回動し、接点部286,287を接触させて電源をオンする。
なお、第2電源スイッチ機構290も第1電源スイッチ機構280の動きと同じ動きとなり、同期してオン操作される。
この電源オン状態は制御部からソレノイド271に対してリセット信号が入力されるまでオン状態が保持される。
このように構成されたスイッチは、第1電源スイッチ機構280と第2電源スイッチ機構290とからなる電源スイッチ機構240と、電源リセット機構270とがハウジング210内で一方F1と他方F2の操作方向に分けられているため、これらの機構をハウジング210の中央部に集中させない分散させた配置構成にできる。このため、ハウジングの幅方向を狭めてスイッチ200をスリム化して製作することができる。
さらに、電源リセット機構270側では構成部品を積層して構成できるため積層方向から見た平面的な配置スペースを小さくできる。このため、電源リセット機構270の占有面積が小さいコンパクトな配置構成が可能になり、確実にスイッチの小型化が可能になる。
また、電源スイッチ機構240側では可動片282,292を例えばL形状などに折曲して配置するため、折曲付近を回動支点とする該可動片282,292は略半径長さの回動軌跡となり、該可動片の回動占有スペースを小さくすることが可能となる。これにより、可動片自体をハウジングにコンパクトに内蔵してハウジング210の縮小化が図れ、より一層スイッチの小型化を図ることができる。
図14は第1電源スイッチ機構280を例にとって示すワイピング処理動作を示している。図14(A)は可動片と固定端子との接点部間におけるワイピング前の初期接触状態を示すスイッチの縦断面図、図14(B)は可動片と固定端子との接点部間におけるワイピング後の接触状態を示すスイッチの縦断面図、図14(C)は可動片が滑り移動した状態を示すスイッチの縦断面図である。
前記第1電源スイッチ機構280に備えられている可動片282は、前記操作子220のオン操作に連動して該可動片282の接点部286が前記固定端子283の接点部287に接触する初期接触時(図14(A)参照)に、該接点部286,287の接離方向と略直交する方向に前記可動片282を滑り移動させる変位支持部289により回動自由に支持されている。
この変位支持部289は、可動片282の両側を挟むようにして平行して起立させた両側の回動支持片289aでL形状を有する可動片の水平片側を挟むようにして該可動片282を回動可能に支持している。また、可動片282が回動自由に支持される両側は凹溝状に切り欠き、かつ水平片側に若干長く切り欠いて該可動片282を水平方向にスライド許容して構成している。
また、接点部286,287が接触した状態では、可動片のL形水平片の先端側が下向きに傾斜した傾斜姿勢となる傾斜角度で支持して可動片282の滑り移動を促進している。これにより、操作子をオン操作した際は可動片282が回動するに伴って該可動片282が水平方向に若干滑り移動(図14(B)参照)する。
このとき、可動片282の接点部286が固定端子283の接点部287に一定長さ摺接(図14(C)参照)する。いわゆるワイピング動作が実行される。このワイピング動作により接点部間は常に溶着回避性能が得られる。
図15は第1電源スイッチ機構280を例にとって示す溶着回避動作を示している。図15(A)は接点部が溶着した溶着解離前の状態を示すスイッチの縦断面図、図15(B)は操作子により強制的に溶着を解離した溶着解離後の状態を示すスイッチの縦断面図、図15(C)は可動片が溶着時から溶着解離するまでの状態を合成して示すスイッチの縦断面図である。
前記操作子220には、前記した強制加圧片233が備えられており、該操作子220がオフ操作される該操作子220の操作力を受けて前記可動片282を、該可動片282の接点部286が前記固定端子283の接点部287より離間される方向に強制加圧する。
この強制加圧片233は、図15(A)に示すように、接点部286,287が溶着している際、操作子220をオフ方向に操作し始めると、接点部286,287の溶着作用により、操作子220は回動抵抗が強まり、円滑な回動が規制されてオフ操作できない。この場合に、図15(B)に示すように、操作子220をさらに強くオフ操作方向に押し込むと、強制加圧片233が可動片282のL形垂直片側をオフ方向に強く押して強制加圧することができる。これにより、接点部は離間し、溶着しているにかかわらず強制的に離間させて電源をオフ操作することができる。
この発明の構成と、上述の一実施例の構成との対応において、
この発明の電源保持解除機構は、実施例の電源リセット機構170,270に対応し、
強制加圧部は、強制加圧片233に対応し、
保持部は、永久磁石173,273及び固定磁性片173a,273aに対応し、
解除部は、ソレノイド171,271に対応し、
弾性体は、スプリング連結体181,191,281,291に対応するも、この発明は請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。