JP4905458B2 - ゴム積層用被覆ポリエステルフィルム、ゴム・ポリエステルフィルム積層体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、上記ゴム・ポリエステルフィルム積層体の製造方法に関するもので、さらに詳しくは、本発明は、経済的なゴム・ポリエステルフィルム積層体の製造方法に関するものである。
上記課題を解決する方法として、ポリエステルフィルム等の各種フィルムとゴムからなるフィルムとを接着剤を介せずに直接接着したゴム・フィルム積層体やその製造方法が開示されている(例えば、特許文献1〜7参照)。
例えば、繊維強化複合材料を用いた成型体は、熱成型用繊維強化樹脂シートはプレス成型、絞り成型、真空成型等により各種形状の成型体に成型される。
上記の熱成形用繊維強化樹脂シートの製法として、繊維強化マットの上下に熱可塑性樹脂シートを積層し、これを加熱加圧して繊維強化マットに樹脂を含浸させる方法が知られている。このような方法で得られる熱成形用繊維強化樹脂シートを用いて成形品を成形すると、成形品の表面に強化繊維が浮きだして外観不良となる。また、成形品の表面に強化繊維が浮きだすと、この表面に、塗装やメッキを施こす場合にも障害となる。そのために、写像が映し出される用な平滑な表面を有することが求められている。
また、繊維強化マットに未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させて、プレス成型機等で成型と同時に熱硬化性樹脂の硬化を行う方法が知られている。該方法においても上記と同様の課題を有している。
また、特許文献10〜12において開示されている方法においては、成型体の構成層に低弾性率の層が含まれていないので、成型体に成型する場合に発生する歪を緩和する層がないので成型体の寸法精度や寸法安定性が問題になる場合がある。
また、特許文献13及び14の方法は成型体の構成層に低弾性率の層が配置されているので、上記課題は改善されているが、これらの方法においては取り扱い性の悪い低弾性率の層を独立して成型体に組み込む方式がとられているので成型体を製造する際に操作性が劣る場合や、不良品の発生頻度が増加する場合がある。
さらに、上記特許文献において開示されている方法は、いずれもが成型体の表面に加飾を施すことや、該表面に機能性付与層を配置する等に対する配慮がなされていない。
このように、上記の従来方法に於いては、いずれもそれぞれ問題があった。
すなわち、本発明は、下記の構成からなる。
1.面配向度が0.005〜0.15であるポリエステルフィルムの少なくとも片面に厚み5μm以下の架橋高分子膜を有し、架橋高分子膜が架橋剤により架橋されてなり、架橋高分子膜を構成する樹脂と架橋剤との比が架橋剤/樹脂の重量比で0.5以上であり、フィルムの長手方向及び幅方向における10%伸長時応力(25℃)が20〜200MPaであることを特徴とするゴム積層用被覆ポリエステルフィルム。
2.架橋高分子膜がポリエステル、ポリウレタン及びアクリル系ポリマーより選ばれた少なくとも1種の樹脂よりなる上記1記載のゴム積層用被覆ポリエステルフィルム。
3.架橋剤が、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、シランカップリング剤及びチタネート系カップリング剤より選ばれた少なくとも1種である上記1又は2に記載のゴム積層用被覆ポリエステルフィルム。
4.架橋高分子膜がポリエステルフィルムの両面に形成されてなる上記1〜3のいずれかに記載のゴム積層用被覆ポリエステルフィルム。
5.上記1〜3のいずれかに記載のゴム積層用被覆ポリエステルフィルムとゴムを積層してなるゴム・ポリエステルフィルム積層体。
6.被覆ポリエステルフィルムとゴム層とを接着剤を介することなく直接積層してなる上記5記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体。
7.被覆ポリエステルフィルムとゴム層との接着強度が9N/20mm以上である上記5又は6に記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体。
8.トルエン浸漬後(25℃、72時間)のポリエステルフィルムとゴム層との接着強度が8N/20mm以上である上記5〜7のいずれかに記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体。
9.下記の耐水接着強度測定方法のよる耐水耐久処理をした後のポリエステルフィルムとゴム層との接着強度が8N/20mm以上である上記5〜8のいずれかに記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体。
(耐水接着強度測定方法)
ゴム・ポリエステルフィルム積層体を50mm×50mmに切断した測定試料を、蒸留水400ccを入れた500ccの蓋付きの円筒状のガラス容器の中に、上記試料のゴム層が下側になるように水中に沈め、試料全体が水中に浸漬した状態で容器に蓋をした。試料の入った容器を、90℃に設定したギアーオーブン中に入れ、14日間静置する。熱処理後、オーブンから容器を取り出し、速やかに試料を取り出して、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム層とポリエステルフィルムの界面にナイフを入れ、その部分に指で応力を加えて界面剥離を発生させ、JIS K6854に準じてT型剥離法で剥離強度を測定した。
10.面配向度が0.005〜0.15であるポリエステルフィルムの少なくとも片面に厚み5μm以下の架橋高分子膜を有する、フィルムの長手方向及び幅方向における10%伸長時応力(25℃)が20〜200MPaであるポリエステルフィルムの前記架橋高分子膜の表面に未架橋ゴム層を積層し、次いで未架橋ゴム層を架橋してなる上記5〜9に記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体の製造方法。
11.未架橋ゴム層に接着性改良剤が配合されてなる上記10に記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体の製造方法。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、優れた成型性を有するので、例えば、プラスチック成型体用部材として使用した場合にプラスチック成型体の成型性を低下させることがない。さらに、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、ゴム層が積層されているので、例えば、該プラスチック成型体の部材として使用した複合体の場合において、プラスチック成型体の成型の折に発生する歪をゴム層の弾性を利用して緩和することができるので、例えば、プラスチック成型体の表面状態を改善することができ、かつ該プラスチック成型体の使用において成型体に加わる外力をゴム層の有する弾性で緩和することが可能であり、例えば、プラスチック成型体の外観や耐久性を向上させることができる等の効果を付与することができる。また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体はポリエステルフィルムが積層されているのでゴム層単体品に比べて取り扱い性に優れている。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、被覆ポリエステルフィルムの両面に架橋高分子膜層が形成された形態も含まれるので、ゴム層との接着性や接着耐久性のみでなく、ゴム層を積層した面との反対面においても、例えば、印刷インキとの接着性や接着耐久性も向上できるという利点を有する。したがって、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルム表面に、印刷、塗装あるいは金属の蒸着等により装飾を施す場合に、印刷インク、塗料、あるいは金属薄膜等とポリエステルフィルムとの接着性や接着耐久性が向上するという利点を有している。また、ゴム層を積層した面との反対面にフィルム、織物、不織布あるいは成型体等の他素材とを貼り合せる場合に、該素材とポリエステルフィルムとの接着性や接着耐久性が向上するという利点も有している。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体の製造方法は、上記特性を有したゴム・ポリエステルフィルム積層体を経済的に、かつ安定して製造することができる。
ここで、ポリエステルフィルムの面配向度とは、アッベ屈折計等を用いて測定されるフィルムの長手方向屈折率(Nx)、幅方向屈折率(Ny)、厚み方向屈折率(Nz)により下記(1)式から算出される値である。
面配向度=(Nx+Ny)/2−Nz ・・・・・式(1)
本発明のゴム積層用被覆ポリエステルフィルムにおいて、架橋高分子層の厚みが0.5μm以下の場合は、上記架橋高分子層のポリエステル系基材フィルムの屈折率に対する影響は小さいので、ゴム積層用被覆ポリエステルフィルムの屈折率測定によってポリエステル基材フィルムの屈折率が測定でき、面配向度を計算できる。
上記の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えばポリエステルを必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加などの方式によりキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸シートを得た後、かかる未延伸シートを延伸するものである。かかる延伸方式としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれでもよいが、要するに該未延伸シートをフィルムの長手方向及び幅方向に延伸、熱処理し、目的とする面配向度のフィルムを得る方法が採用される。
本発明において、ポリエステルフィルムの長手方向及び幅方向における10%伸長時応力(25℃)が20〜200MPaであることが重要である。該10%伸張時応力(25℃)は20〜180MPaであることがより好ましく、20〜160MPaであるがさらに好ましい。10%伸長時応力(25℃)が20MPa以上であればロール状のフィルムを引張って巻きだす際のフィルムの伸長や破断を防止することができる。一方、10%伸長時応力(25℃)が200MPaを以下であれば、成型性を確保することができる。特に、凹凸や窪みのある金型を用いて成型する際に、成型前のフィルムを事前にそれらの型に軽く追随させて成型する場合があり、このような場合に、フィルムの成形性が良く、製品の意匠性が良好となる。
ポリエステルフィルムの原料としては、共重合成分を5〜50モル%含む共重合ポリエステルを原料として用いるのが好ましい。共重合成分を5〜50モル%含む共重合ポリエステルを原料として用いて得たポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどに比較して結晶化速度が遅く、また結晶性が低い。また、面配向度と150℃の熱収縮率を小さくするために、通常よりも高温で熱処理するという方法を用いた場合、延伸終了後に急激に高温で熱処理をするため、熱処理ゾーンにおいて結晶性の低い材料を構成する分子の運動性が高くなる。よって、延伸工程において粒子(二軸配向フィルム中の粒子あるいはコーティング層中の粒子)が隆起することにより形成された表面突起が、熱処理ゾーンにおいて再び埋没してしまうために、十分な表面粗さを得ることができない。それゆえ、フィルムをきれいに巻き取り、かつロール状に巻き取ったフィルムを巻き出す際のブロッキングや破れを抑制するために、粒子の添加量を必要以上に増やすと、ヘーズが低下するという問題を回避することができる。
該対応により、第1段目の熱処理ゾーンにおいて、粒子がフィルム内部に埋没する前に、ある程度フィルムの結晶化を促進させておいて、さらに2段目の熱処理ゾーンにおいて十分に温度を上げても、分子の運動性は十分に低下しており、表面の突起を形成したまま、さらに結晶性を促進させ、熱収縮率の低いフィルムが得られる。また、透明性の点から、必要以上に粒子を含有させる必要がなくなる。
上記共重合ポリエステルとして、芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールと、分岐状脂肪族グリコール又は脂環族グリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステルを用いる場合、芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体が好適であり、全ジカルボン酸成分に対するテレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸成分の量は70モル%以上、好ましくは85モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、とりわけ好ましくは100モル%である。
これらのなかでも、ネオペンチルグリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。さらに、上記のグリコール成分に加えて1,3−プロパンジオールや1,4−ブタンジオールを共重合成分とすることが、より好ましい実施態様である。これらのグリコールを共重合成分として使用することは、前記の特性を付与するために好適であり、さらに、透明性や耐熱性にも優れ、密着性改質層との密着性を向上させる点からも好ましい。
上記共重合ポリエステルを製造する際に、熱安定剤としてリン化合物を添加することが好ましい。前記リン化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸などが好ましい。
上記共重合ポリエステルは、成型性、密着性、製膜安定性の点から、固有粘度が0.50dl/g以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.55dl/g以上、特に好ましくは0.60dl/g以上である。固有粘度が0.50dl/g未満では、成型性が低下する傾向がある。また、メルトラインに異物除去のためのフィルターを設けた場合、溶融樹脂の押出時における吐出安定性の点から、固有粘度の上限を1.0dl/gとすることが好ましい。
また、上記共重合ポリエステルと、ポリエチレンテレフタレート以外のホモポリエステル(例えば、ポリテトラメチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート)を少なくとも1種以上ブレンドして、原料として使用することは、成型性の点からもさらに好ましい。
上記の波長370nmにおける光線透過率を50%以下に制御する方法として、ポリエステルフィルムの構成層のいずれかに紫外線吸収剤を配合する方法を用いる。紫外線吸収剤としては、前記の特性を付与できるものであれば、無機系、有機系のどちらでも構わない。有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトアゾール系、ベンゾフェノン系、環状イミノエステル系等、及びその組み合わせが挙げられる。耐熱性の観点からはベンゾトアゾール系、環状イミノエステル系が好ましい。2種以上の紫外線吸収剤を併用した場合には、別々の波長の紫外線を同時に吸収させることができるので、いっそう紫外線吸収効果を改善することができる。
無機系紫外線吸収剤としては、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物の超微粒子類が挙げられる。
前記融点の上限値は、耐熱性の点からは高いほうが良いが、ポリエチレンテレフタレート単位を主体とした場合、融点が250℃以下であれば、フィルムの成型性と透明性を確保することができる。したがって、高度な成型性や透明性を得るためには、融点の上限を245℃に制御することが好ましい。
前記粒子としては、平均粒子径が0.01〜10μmの内部析出粒子、無機粒子及び/又は有機粒子などの外部粒子が挙げられる。平均粒子径が10μm以下であれば、フィルムの欠陥や意匠性及び透明性の悪化を招くことはない。一方、平均粒子径が0.01μm以上であれば、フィルムの滑り性や巻き取り性などのハンドリング性の低下を招くことを防止することができる。前記粒子の平均粒子径は、滑り性や巻き取り性などのハンドリング性の点から、下限は0.10μmとすることがさらに好ましく、特に好ましくは0.50μmである。一方、上限を好ましくは5μmとすることにより、良好な透明性や粗大突起によるフィルム欠点を低減することができる。特に好ましくは2μmである。
なお、粒子の平均粒子径は、少なくとも200個以上の粒子を電子顕微鏡法により複数枚写真撮影し、OHPフィルムに粒子の輪郭をトレースし、該トレース像を画像解析装置にて円相当径に換算して算出する。
さらに、前記粒子のフィルム中での含有量は0.001〜10質量%の範囲であることが好ましい。0.001質量%以上であれば、フィルムの滑り性の悪化や、巻き取りが困難となったりするなどハンドリング性の低下を招くことはない。一方、10質量%以下であれば、粗大突起の形成、製膜性や透明性の悪化などを防止することができる。
成型品は意匠性を高めるために、フィルムを成型する前にフィルム表面に印刷が施される場合が多い。このような印刷層は、成型用フィルムの裏側に施されることが多いため、印刷鮮明性の点から、フィルムの透明性が高いことが要望されている。
そのため、フィルムのハンドリング性を維持しながら、高度な透明性を得るために、主層の基材フィルム中に実質的に粒子を含有させず、厚みが0.01〜5μmの表面層にのみ粒子を含有させた積層構造を有する積層フィルムを用いることが有効である。表面層の厚みの上限は3μmが好ましく、特に好ましくは1μmである。この場合、粒子は上記で例示したものを用いることができる。
ヘーズが低く意匠性の高いフィルムを得るには、上記のフィルム中に実質的に粒子を含有させないことが好ましいが、30ppm以下であれば基材フィルム中に粒子を添加しても構わない。なお、上記でいう「基材フィルム中に実質的に粒子を含有させず」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に検出限界以下となる含有量を意味する。これは意識的に粒子を基材フィルムに添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分などが混入する場合があるためである。
さらに、前記表面層における粒子含有量は、0.01〜25質量%の範囲であることが好ましい。0.01質量%未満の場合、フィルムの滑り性が悪化したり、巻き取りが困難となったりするなどハンドリング性が低下しやすくなる。一方、25質量%を越えると、透明性や塗布性が悪化しやすくなる。
上記ポリエステルフィルムの製造方法は特に限定されないが、例えばポリエステル樹脂を必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加などの方式によりキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸シートを得た後、かかる未延伸シートを二軸延伸する方法が例示される。
二軸延伸する際のフィルム延伸倍率としては、長手方向と幅方向に1.6〜4.2倍とすることが好ましく、特に好ましくは1.7〜4.0倍である。この場合、長手方向と幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよいし、同一倍率としてもよい。長手方向の延伸倍率は2.8〜4.0倍、幅方向の延伸倍率は3.0〜4.5倍で行うことがより好ましい。
縦延伸においては、後の横延伸がスムースにできるように、延伸温度は50〜110℃、延伸倍率は1.6〜4.0倍とすることがさらに好ましい。
通常、ポリエチレンテレフタレートを延伸する際に、適切な条件に比べ延伸温度が低い場合は、横延伸の開始初期で急激に降伏応力が高くなるため、延伸ができない。また、たとえ延伸ができても厚みや延伸倍率が不均一になりやすいため好ましくない。
また、適切な条件に比べ延伸温度が高い場合は初期の応力は低くなるが、延伸倍率が高くなっても応力は高くならない。そのため、25℃における10%伸張時応力が小さいフィルムとなる。よって、最適な延伸温度をとることにより、延伸性を確保しながら配向の高いフィルムを得ることができる。
しかしながら、前記共重合ポリエステルが共重合成分を1〜40モル%含む場合、降伏応力をなくすように延伸温度を高くしていくと、延伸応力は急激に低下する。特に、延伸の後半でも応力が高くならないため、配向が高くならず、25℃における10%伸張時応力が低下する。
このような現象は、フィルムの厚さが60〜500μmで発生しやすく、特に厚みが100〜300μmのフィルムで顕著に見られる。そのため、本発明の共重合したポリエステルを用いたフィルムの場合、横方向の延伸温度は、以下の条件とすることが好ましい。
該ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や3価以上の多価カルボン酸を使用することができる。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを用いることができる。被覆膜の強度や耐熱性の点から、これらの芳香族ジカルボン酸が、好ましくは全ジカルボン酸成分の30モル%以上、より好ましくは35モル%以上、最も好ましくは40モル%以上を占めるポリエステルを用いることが好ましい。
また、脂肪族及び脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など、及びそれらのエステル形成性誘導体を用いることができる。
カルボン酸塩基を含む化合物としては、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸など、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
この際、反応触媒として、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などを用いることができる。
また、水分散ポリエステル樹脂として、例えば市販されている「バイロナール(登録商標)」シリーズ(東洋紡績社製)を用いることもできる。
また、溶剤か要請ポリエステル樹脂として、例えば市販されている「バイロン(登録商標)」シリーズ(東洋紡績社製)を用いることもできる。
該ポリウレタン樹脂としては、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、又は硫酸半エステル塩基の導入により水への親和性が高められたウレタン樹脂などを用いることができる。カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、又は硫酸半エステル塩基などの含有量は、0.5〜15質量%が好ましい。
ポリオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、アクリル系ポリオールなどを用いることができる。
また、ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールエタンの付加物などを用いることができる。
ここで、ウレタン樹脂の主要な構成成分は、上記ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の他に、鎖長延長剤や架橋剤などを含んでいてもよい。
鎖延長剤あるいは架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを用いることができる。
上記ポリウレタン樹脂中のアニオン性基は、好ましくはスルホン酸基、カルボン酸基及びこれらのアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩あるいはマグネシウム塩として用いられ、特に好ましくは、スルホン酸塩基である。
ポリウレタン樹脂中のアニオン性基の量は、0.05質量%〜8質量%が好ましい。0.05質量%未満では、ポリウレタン樹脂の水分散性が悪くなる傾向があり、8質量%を超えると、耐水性や耐ブロッキング性が劣る傾向がある。
なお、例えばポリウレタン樹脂の水分散体として、「ハイドラン(登録商標)」シリーズ(大日本インキ化学工業社製)を用いることもできる。
上記アクリル系ポリマー樹脂のTgは特に限定されるものではないが、好ましくは−10〜90℃、より好ましくは0〜50℃、最も好ましくは10〜40℃である。Tgが低いアクリル樹脂を用いる場合は耐熱接着性が劣ったり、ブロッキングしやすい傾向があり、逆に高すぎる場合は接着性が悪くなったり、造膜性が劣ることがあり好ましくない。また、該アクリル系ポリマーの分子量は5万以上が好ましく、より好ましくは30万以上とすることが接着性の点で望ましい。
上記アクリル系ポリマー樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリル酸から選ばれる共重合体などである。
また、市販のアクリル系エマルジョンを用いてもよく、例えば、「ジョンクリル(登録商標)」シリーズ(BASFジャパン社製)が挙げられる。
該架橋方法は限定されないが、例えば、上記ポリマーよりなる樹脂を、架橋剤を用いて架橋する方法が挙げられる。
上記架橋剤を用いて架橋する方法における架橋剤は、架橋剤は、特に限定されるものではないが、上記したポリマーに存在する官能基、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メチロール基、アミド基などと架橋反応し得るものであればよく、例えば、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。中でも、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤が、樹脂との相溶性、接着性などの点から好適に用いることができる。特に、接着耐久性の点より、イソシアネート系架橋剤の使用が好ましい。
オキサゾリン基を含有するモノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどを用いることができ、これらの1種又は2種以上の混合物を使用することもできる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
オキサゾリン基含有架橋剤としては、例えば、「エポクロス(登録商標)」シリーズ(日本触媒社製)が入手可能である。
多官能性イソシアネート化合物としては、低分子又は高分子の芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートを用い得る。ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びこれらのイソシアネート化合物の3量体がある。さらに、これらのイソシアネート化合物の過剰量と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物、又はポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類などの高分子活性水素化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物を挙げることができる。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、「コロネート(登録商標)」シリーズ(ポリウレタン工業社製)や「ミリオネート(登録商標)」シリーズ(ポリウレタン工業社製)が入手可能である。特に、接着性耐久性の点で、ミリオネートシリーズの使用が好ましい。
ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて調製し得る。イソシアネートブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類;チオフェノール、メチルチオフェノールなどのチオフェノール類;アセトキシム、メチルエチケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類;t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級アルコール類;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、ν−ブチロラクタム、β−プロピルラクタムなどのラクタム類;芳香族アミン類;イミド類;アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物;メルカプタン類;イミン類;尿素類;ジアリール化合物類;重亜硫酸ソーダなどを挙げることができる。
多官能性エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル及びポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
フェノールホルムアルデヒド樹脂としては、例えば、アルキル化(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル又はブチル)フェノール、p−tert−アミルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンフェノール、p−tert−ブチルフェノール、o−、m−、p−クレゾール、p−シクロヘキシルフェノール、4,4’−イソプロピリデンフェノール、p−ノニルフェノール、p−オクチルフェノール、3−ペンタデシルフェノール、フェノール、フェニルo−クレゾール、p−フェニルフェノール、キシレノールなどのフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物を挙げることができる。
本発明で好適に使用される自己架橋型のポリエステル樹脂は、疎水性共重合ポリエステル樹脂に、少なくとも1種のラジカル重合性二重結合を有する化合物をグラフトさせたポリエステル系グラフト共重合体樹脂である。本発明におけるポリエステル系グラフト共重合体樹脂の「グラフト化」とは、主鎖である幹ポリマーに、主鎖とは異なる重合体からなる枝ポリマーを導入することにある。グラフト重合は、通常、疎水性共重合ポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤を使用して、少なくとも一種のラジカル重合性モノマーを反応させることにより実施される。疎水性共重合ポリエステル樹脂とは、本来それ自身で水に溶解しない、本質的に水不溶性のポリエステル樹脂であるため、水に溶解するポリエステル樹脂をグラフト重合の際の幹ポリマーとして使用する場合に比べ、耐熱水接着性に優れている。
芳香族ジカルボン酸、脂肪族及び/又は脂環族ジカルボン酸は、前記例示の化合物がいずれも使用可能である。ラジカル重合性二重結合を含有するジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、等のα、β−不飽和ジカルボン酸;2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等の不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸等を例示することができる。これらの重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸のうち、重合性の点から、フマル酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸が好ましい。
グリコール成分も、前記例示の化合物がいずれも使用可能である。グリコール成分は、2種以上併用してもかまわない。なかでも、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコール等が好ましい。
3官能以上のポリカルボン酸及び/又はポリオールは、全酸成分あるいは全グリコール成分に対し0〜5モル%、好ましくは0〜3モル%の範囲で共重合され、この範囲であれば重合時のゲル化を抑制することができる。
また、疎水性共重合ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、接着性の点から下限が5,000であることが好ましい。また、重合時のゲル化等の点で、上限は50,000であることが好ましい。
また、本発明の目的に適合する望ましい疎水性共重合ポリエステルとラジカル重合性モノマーの質量比率は、ポリエステル/ラジカル重合性モノマー=40/60〜95/5の範囲が望ましく、より望ましくは55/45〜93/7、最も望ましくは60/40〜90/10の範囲である。
疎水性共重合ポリエステル樹脂の質量比率を40質量%以上とすることで、ポリエステルの優れた接着性を発揮することができる。一方、疎水性共重合ポリエステルの質量比率を95質量%以下とすることで、耐ブロッキング性を改善するとともに、反応物の酸価を上記範囲に調整することができる。
グラフトさせるラジカル重合性モノマーには、酸価を上記好適範囲にする限りは、他種のモノマーが含まれていてもよい。他種のモノマーとしては、前記したアクリル系ポリマーを合成するときに用い得るモノマーがそのまま用い得る。
上記グラフト重合開始剤としては、例えば、当業者に公知の有機過酸化物類や有機アゾ化合物類が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、有機アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。グラフト重合を行うための重合開始剤の使用量は、ラジカル重合性モノマーに対して、少なくとも0.2質量%以上、好ましくは0.5質量%以上である。
重合開始剤の他に、枝ポリマーの鎖長を調節するための連鎖移動剤、例えば、オクチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールを必要に応じて用い得る。この場合、重合性モノマーに対して0〜5質量%の範囲で添加することが望ましい。
塩基性化合物は、グラフト化反応生成物中に含まれるカルボキシル基含有量に応じて、少なくとも部分中和又は完全中和によって水分散体のpH値が5.0〜9.0の範囲であるように使用するのが望ましい。沸点が100℃以下の塩基性化合物を使用した場合であれば、乾燥後の塗膜中の残留塩基性化合物も少なく、例えば、高温、多湿下等の過酷な環境下における耐熱水接着性が向上する。
ラジカル重合性モノマーのグラフト重合物の重量平均分子量は、溶液重合における重合性の点より、その上限値が50,000であることが好ましい。ラジカル重合性モノマーのグラフト重合物の重量平均分子量を500〜50,000の範囲内とするためには、開始剤量、モノマー滴下時間、重合時間、反応溶媒、モノマー組成、又は必要に応じて連鎖移動剤や重合禁止剤を適宜組み合わせることにより行うことが好ましい。
グラフト共重合体のガラス転移温度は、特に限定されないが、耐熱水接着性を考慮すれば、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上である。
80℃程度で乾燥し、120℃で5分間熱処理して得られる塗膜の不溶分率は、耐熱水接着性と耐ブロッキング性の点から、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上である。
自己架橋型ポリエステル樹脂水分散体として、例えば、「バイロナール(登録商標)AGN702」(東洋紡績社製)等の市販のものを用いることもできる。
また、上記と類似した方法でグラフト化ポリウレタンを調製することができる。
特に、該架橋高分子層中に無機粒子を添加したものは、易滑性や耐ブロッキング性が向上するので更に好ましい。この場合、添加する無機粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどを用いることができる。用いられる無機粒子は、平均粒径0.005〜5μmが好ましく、より好ましくは0.01〜3μm、最も好ましくは0.05〜2μmであり、被覆膜中の樹脂に対する混合比は特に限定されないが、固形分質量比で0.05〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。
本発明においては、以上のごとく上記架橋高分子層はポリエステルフィルムの少なくとも片面に被覆することは必須であるが、該架橋高分子層をポリエステルフィルムの両面に被覆する形態がより好ましい実施態様である。該実施態様による効果は後述する。
本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は上記方法で得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムの架橋高分子層の表面に接着剤を介することなく直接ゴム層を積層してなることが好ましい。
上記対応によりポリエステルフィルムとゴム層を貼り合せる接着剤の使用と該貼り合せ工程が省略できるので経済的に有利となる。また、接着剤層により成型性の低下を抑制することができる。
上記初期接着強度が9N/20mm未満では、例えば、ゴム・ポリエステル積層体を成型体の部材として使用した場合に、成型工程や成型体を使用する場合にゴム層とゴム積層用被覆ポリエステルフィルムの剥離が起こる場合があるので好ましくない。
なお、本発明においては、ポリエステルフィルムとゴム層の間には架橋高分子層が存在するので、本発明における接着強度とは、ゴム層と架橋高分子層との剥離強度あるいはポリエステルフィルムと架橋高分子層との層間剥離強度のどちらかの層間剥離強度を意味している。
ゴム・ポリエステルフィルム積層体を50mm×50mmに切断した測定試料を、蒸留水400ccを入れた500ccの蓋付きの円筒状のガラス容器の中に、上記試料のゴム層が下側になるように水中に沈め、試料全体が水中に浸漬した状態で容器に蓋をする。試料の自重だけでは水中に浸漬しない場合は、例えば、60mm×60mm、厚さ188μmのポリエステルフィルムを試料の上に載せて、重しにすればよい。重しの大きさや素材は特に限定されるものではなく、試料全体が水中に浸漬すればよい。試料の入った容器を、90℃に設定したギアーオーブン中に入れ、14日間静置する。熱処理後、オーブンから容器を取り出し、速やかに試料を取り出して、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム層とポリエステルフィルムの界面にナイフを入れ、その部分に指で応力を加えて界面剥離を発生させ、JIS K6854に準じてT型剥離法で剥離強度を測定する。
該ゴム成分は使用目的に応じた必要特性により適宜選択される。
上記接着性改良剤としては、ラジカル反応に対して活性な反応基を含む化合物を用いるのが好ましい。この化合物としては、アクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体及びアリル誘導体等が例示されるが、中でも不飽和結合を2個以上、特に3個以上有する誘導体が好ましい。これらの化合物は、ゴムの共架橋剤として広く使用されており、多価アルコールのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、多価カルボン酸のアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられる。
また、多価カルボン酸のアリルエステルとしては、フタル酸ジアリレート、トリメリット酸ジアリレート、ピロメリット酸テトラアリレート等が挙げられる。
上記接着性改良剤は、いずれか一種を単独で用いてもよく、また二種以上を併用してもよい。また、この発明に用いられる接着改良剤は、上記の例示化合物に限定されるものではない。
また、上記した接着性改良剤による接着性向上効果の発現を促進させるため、ゴム層に対してパーオキサイド化合物を配合することが好ましい実施態様である。該対応によりゴムとゴム積層用ポリエステルフィルムとの層間剥離強度が一層向上する。
上記パーオキサイド化合物の配合量は、ゴム成分100質量部に対して0.05〜10質量部、特に1〜8質量部が好ましい。この配合量を0.05質量部以上とすることにより、接着性が向上し、また10質量部以下であれば上記の促進効果を維持しつつ、ゴム及びフィルムの物性低下を招くことはない。
上記未架橋のシリコーンゴム層の厚みは、0.0005〜0.05mmが好ましい。
なお、必要に応じて補強性充填剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、チクソトロピー性付与剤、充填剤用分散剤等を配合することができる。また、上記の接着性改良剤による接着性向上効果を促進させるための接着性向上促進剤として、過酸化物を配合することができる。
上記対応により前記したような特性を有したゴム・ポリエステルフィルム積層体を経済的に、かつ安定して製造することができる。
ゴム積層用被覆ポリエステルにゴム層を積層する方法は任意であり、例えばゴム組成物を溶媒に溶解した溶液をゴム積層用被覆ポリエステルフィルムの架橋高分子層表面に塗工、乾燥してゴム層を形成する方法、ゴム積層用被覆ポリエステルフィルムの架橋高分子層表面にゴム組成物を高圧下で押出してゴム層を形成する方法及びカレンダー法等が挙げられる。液状シリコーンゴムのような液状ゴムを用いる場合は、溶剤で希釈することなく塗工することができる。
したがって、カバーシートの剥離性を向上させるための表面処理を行うことが好ましい。また、カバーシートとして、ゴム層に対する接着力が低い素材、例えばポリ−4−メチルペンテン−1又はエチレン・メチルメタクリレート共重合体からなるフィルムを用いてもよい。また、ゴム層を多層化し、ポリエステルフィルムと反対側のゴム層の接着性改良剤の配合量をポリエステルフィルム側のゴム層よりもカバーシート側で少なくすることができる。また、架橋を電子線照射で行う場合は、その照射をポリエステルフィルム側から行うことも一方法であり、この場合はゴム層とポリエステルフィルムの接着力も向上する点で好ましい。
上記プラスチック成型体に用いられる樹脂は、市場要求等により適宜選択され、例えば、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の硬化物のいずれもが使用できる。
熱硬化性樹脂の具体例としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、耐熱性、機械特性とのバランスが優れることから、熱硬化性樹脂の硬化物を用いることが好ましく、なかでも、耐熱性、機械特性とのバランスが特に優れ、硬化収縮が小さいという特徴を有することから、エポキシ樹脂を用いることが、さらに好ましい。
強化繊維としては、短繊維及び長繊維のいずれも用いることができる。機械特性を重視する場合には、軽量でありながら、高強度、高弾性率であるという優れた特性を有する繊維強化プラスチックが得られることから、10cm以上の長さの強化繊維を用いることが好ましい。成形性を重視する場合には、10cm以下の長さの強化繊維を用いることが好ましい。
強化繊維の配列構造の具体例としては、単一方向、2方向及びランダム方向などが挙げられる。また、強化繊維の形態の具体例としては、マット、織物及び編み物などが挙げられる。なかでも、軽量でありながら、高強度、高弾性率であるという優れた特性を有する繊維強化プラスチック成型体が得られることから、単一方向の配列構造のものを用いることが好ましい。また、取り扱い性に優れることから、織物、編み物の形態のものを用いることが好ましい。
本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体とプラスチック成型体との複合体の形成方法としては、例えば、ゴム・ポリエステルフィルム積層体とプラスチック成型体とを組み合わせて一体成型をしてもよいし、両者を別々に成型したのちに両者を接着剤や粘着剤で貼り合せてもよい。前者の方法で、かつプラスチック成形体として熱硬化性樹脂を用いて行う場合は、成型工程で熱硬化性樹脂を硬化させても良いし、成型前後にプレあるいはポスト硬化処理を行ってもよい。
上記加飾層の積層は、成型体に複合した後に行ってもよいし、ゴム・ポリエステルフィルム積層体に予め加飾層を積層した後に成型、複合してもよい。
また、加飾層は、印刷層だけでなく金属又は金属酸化物の薄膜層であってもよく、更に印刷層と金属又は金属酸化物の薄膜層との組合せからなるものでもよい。金属又は金属酸化物の薄膜層を形成する方法としては例えば蒸着法、溶射法、及びメッキ法が挙げられる。蒸着法としては物理蒸着法及び化学蒸着法のいずれも使用できる。物理蒸着法としては真空蒸着法、スパッタリング、及びイオンプレーティングが例示される。化学蒸着(CVD)法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、及び光CVD法などが例示される。
蒸着法の金属としては、アルミニウム、クロム、銀及び金及びこれらの併用系が用いられる。複雑な形状に成型される場合があるので、該金属層を形成する金属は延展性の優れたものであることが好ましい。例えば、アルミニウム金属の場合、インジウム等の金属を配合したものが好ましい。
上記の加飾層の形成は、プラスチック成型体を作製してから行ってもよい。
前記したゴム・ポリエステルフィルム積層体を、上記プラスチック成型体の構成材料として使用する形態の一つにゴム・ポリエステルフィルム積層体をプラスチック成型体の中間層として使用する方法が挙げられる。該形態で使用した場合は、上記のプラスチック成型体の最表層になるように使用した場合の効果の一つである加飾層を設けることの効用以外については、上記使用と同様に発現することができる。
尚、本明細書中で採用した測定、評価方法は次の通りである。
ミリトロンを用い、1枚当たり5点、計3枚の15点を測定し、その平均値を求めた。
(2)面配向度(ΔP)
ポリエステルフィルムをナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて、フィルムの長手方向の屈折率(Nz)、幅方向の屈折率(Ny)、厚み方向の屈折率(Nz)を測定し下記式から面配向度(ΔP)を算出した。
ΔP=((Nx+Ny)/2)−Nz
架橋高分子層を有するポリエステルフィルムの長手方向及び幅方向に対して、それぞれ長さ180mm及び幅10mmの短冊状に試料を片刃カミソリで切り出した。次いで、引張試験機(東洋精機株式会社製)を用いて短冊状試料を引っ張り、得られた荷重−歪曲線から各方向の10%伸張時応力(MPa)及び破断伸度(%)を求めた。
なお、測定は25℃の雰囲気下で、初期長40mm、チャック間距離100mm、クロスヘッドスピード100mm/min、記録計のチャートスピード200mm/min、ロードセル25kgfの条件にて行った。なお、この測定は10回行い平均値を用いた。
ゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム層とポリエステルフィルムの界面にナイフを入れ、その部分に指で応力を加えて界面剥離を発生させ、JIS K6854に準じてT型剥離法で剥離強度を測定した。
(5)耐溶剤接着強度
ゴム・ポリエステルフィルム積層体を50mm×50mmに切断した測定試料を、トルエン400ccを入れた500ccの蓋付きの円筒状のガラス容器の中に、上記試料のゴム層が下側になるようにトルエン中に沈め、試料全体がトルエン中に浸漬した状態で容器に蓋をする。試料の自重だけではトルエン中に浸漬しない場合は、例えば、60mm×60mm、厚さ188μmのポリエステルフィルムを試料の上に載せて、重しにすればよい。重しの大きさや素材は特に限定されるものではなく、試料全体がトルエン中に浸漬すればよい。試料の入った容器を、25℃で72時間静置する。静置後、速やかに試料を容器から取り出しトルエンを拭き取り、上記方法で層間剥離強度を測定した。
ゴム・ポリエステルフィルム積層体を50mm×50mmに切断した測定試料を、蒸留水400ccを入れた500ccの蓋付きの円筒状のガラス容器の中に、上記試料のゴム層が下側になるように水中に沈め、試料全体が水中に浸漬した状態で容器に蓋をした。試料の自重だけでは水中に浸漬しない場合は、例えば、60mm×60mm、厚さ188μmのポリエステルフィルムを試料の上に載せて、重しにすればよい。重しの大きさや素材は特に限定されるものではなく、試料全体が水中に浸漬すればよい。試料の入った容器を、90℃に設定したギアーオーブン中に入れ、14日間静置する。熱処理後、オーブンから容器を取り出し、速やかに試料を取り出して、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム層とポリエステルフィルムの界面にナイフを入れ、その部分に指で応力を加えて界面剥離を発生させ、JIS K6854に準じてT型剥離法で剥離強度を測定した。
(a)金型成型性
ゴム・ポリエステルフィルム積層体に印刷を施した後、100〜140℃に加熱した熱板で4秒間接触加熱後、金型温度30〜70℃、保圧時間5秒にてプレス成型を行った。なお、加熱条件は各フィルムに対し、上記範囲内で最適条件を選択した。金型の形状はカップ型で、開口部は直径が50mmであり、底面部は直径が40mmで、深さが30mmであり、全てのコーナーは直径0.5mmの湾曲をつけたものを用いた。
最適条件下で金型成型した成型品5個について成型性及び仕上がり性を評価し、下記基準にてランク付けをした。なお、◎及び○を合格とし、×を不合格とした。
◎:(i)成型品に破れがなく、
(ii)角の曲率半径が1mm以下で、かつ印刷ずれが0.1mm以下であり、
(iii)さらに×に該当する外観不良がないもの
○:(i)成型品に破れがなく、
(ii)角の曲率半径が1mmを超え1.5mm以下、又は印刷ずれが0.1
mmを超え0.2mm以下で、
(iii)さらに×に該当する外観不良がなく、実用上問題ないレベルのもの
×:成型品に破れがあるもの、又は破れがなくとも以下の項目(i)〜(iv)の
いずれかに該当するもの
(i)角の曲率半径が1.5mmを超えるもの
(ii)大きな皺が入り外観が悪いもの
(iii)フィルムが白化し透明性が低下したもの
(iv)印刷のずれが0.2mmを超えるもの
ゴム・ポリエステルフィルム積層体に5mm四方のマス目印刷を施した後、500℃に加熱した赤外線ヒーターでフィルムを10〜15秒加熱した後、金型温度30〜100℃で真空成型を行った。なお、加熱条件は各フィルムに対し、上記範囲内で最適条件を選択した。金型の形状はカップ型で、開口部は直径が50mmであり、底面部は直径が40mmで、深さが50mmであり、全てのコーナーは直径0.5mmの湾曲をつけたものを用いた。
最適条件下で真空成型した成型品5個について成型性及び仕上がり性を評価し、下記基準にてランク付けを行った。なお、◎及び○を合格とし、×を不合格とした。
◎:(i)成型品に破れがなく、
(ii)角の曲率半径が1mm以下で、かつ印刷ずれが0.1mm以下であり、
(iii)さらに×に該当する外観不良がないもの
○:(i)成型品に破れがなく、
(ii)角の曲率半径が1mmを超え1.5mm以下、又は印刷ずれが0.1
mmを超え0.2mm以下で、
(iii)さらに×に該当する外観不良がなく、実用上問題ないレベルのもの
×:成型品に破れがあるもの、又は破れがなくとも以下の項目(i)〜(iv)の
いずれかに該当するもの
(i)角の曲率半径が1.5mmを超えるもの
(ii)大きな皺が入り外観が悪いもの
(iii)フィルムが白化し透明性が低下したもの
(iv)印刷のずれが0.2mmを超えるもの
25℃に調温したトルエンに試料を30分間浸漬し、浸漬前後の外観変化について下記の基準で判定し、○を合格とした。なお、ヘーズ値は前記の方法で測定した。
○:外観変化がほとんど無く、ヘーズ値の変化が1%未満
×:外観変化が認められる、あるいはヘーズ値の変化が1%以上
JIS−K5400の8.5.1記載の碁盤目評価方法に準拠し、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルム表面のインク密着力を評価した。具体的には、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルム表面に下記インキを印刷後、クロスカットガイドを用いて1mmマス目を印刷面にカッター刃で100個作成した後、粘着テープ(ニチバン社製、商品名セロハンテープ)を印刷面に貼り付け、エアーが残らないように完全に付着させた。次いで、粘着テープを垂直に剥離した後、印刷面のマス目部分の残存数を密着力(残存数/100個)として評価し、80個/100個以上を○、それ未満を×として判定した。
UV硬化型インキ(東華色素社製、ベストキュアー161)を用い、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルム表面にRIテスターで印刷後100mJのUVを照射し、上記方法に従って評価した。
〔ゴム積層用被覆ポリエステルフィルム〕
平均粒子径(SEM法)が1.5μmの無定形シリカを0.04質量%を含むポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65dl/g)ペレットを十分に真空乾燥した後、280℃の加熱された押し出し機に供給し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを105℃の加熱ロール群を通過させながら、長手方向に3.0倍延伸し、一軸配向フィルムとした。このフィルムの両面にコロナ放電処理を施し、その両処理面に以下に示す塗布液を塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、110℃で乾燥後、引続き連続的に125℃の加熱ゾーンで幅方向に3.2倍延伸し、更に195℃にて、幅方向に6%の弛緩、6秒間の熱処理を行い、両面にそれぞれ0.15μmの架橋高分子層が被覆された厚さ100μmのゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。
酸成分が、テレフタル酸/イソフタル酸/トリメリット酸/セバシン酸=28モル%/9モル%/10モル%/3モル%よりなり、グリコール成分が、エチレングリコール/ネオペンチルグリコール/1,4−ブタンジオール=15モル%/18モル%/17モル%よりなるポリエステル樹脂のアンモニウム塩型水分散体の固形分100質量部に対し、メチロール化メラミン樹脂「サイメル(登録商標)303」(三井サイテック社製)を固形分で5部と、触媒として、「キャタリスト600」(三井サイテック社製)を0.025部加え混合し、塗布液とした。
ゴムとしてEPDM(日本合成ゴム社製、EP21;エチレン含有量:34質量%)を、老化防止剤Aとして2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩(大内新興化学工業社製、ノクラックMBZ)を、老化防止剤Bとして4,4−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(大内新興化学工業社製、ノクラックCD)をそれぞれ用い、下記の配合比率で常法により混練した。
(配合組成)
(a)EPDM:100.0質量部
(b)ポリエチレングリコール(分子量4000):2.5質量部
(c)ステアリン酸:0.5質量部
(d)老化防止剤A:1.5質量部
(e)老化防止剤B:0.7質量部
(f)フェノールホルムアルデヒド樹脂:2.0質量部
(g)MAFカーボン:30.0質量部
(h)FTカーボン:40.0質量部
(i)ポリブテン:15.0質量部
(j)N,N’−mフェニレンジマレイミド:1.5質量部
(k)2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン:5.0質量部
本実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は初期接着強度及び耐溶剤接着強度に優れていた。また、金型成型性及びインキ密着性にも優れており、成型体の部材として好適に使用することができた。
参考例1の方法において、ポリエステルフィルム製造工程において塗布液の塗布を取り止める以外は、参考例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムを用いて、参考例1と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表1に示す。本比較例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は初期接着強度及び耐溶剤接着強度が劣っており低品質であった。
参考例1の方法において、ポリエステルフィルム製造工程において用いる塗布液への架橋剤であるメチロール化メラミン樹脂の配合を取り止める以外は、参考例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムを用いて、参考例1と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表1に示す。本比較例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は耐溶剤接着強度が劣っており低品質であった。また、インキ密着性も劣っていた。
参考例1の方法において、ポリエステルフィルムに替えて未延伸ポリエステルフィルムを用いる以外は、参考例1と同様にしてゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表1に示す。本比較例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、架橋高分子層が設けられていないので、初期接着強度及び耐溶剤接着強度及びインキ密着性が劣っており低品質であった。
参考例1の方法において、縦延伸温度を95℃、縦及び横延伸倍率を3.5倍に、熱処理温度を225℃に変更する以外は、参考例1と同様にしてゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例1と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表1に示す。本比較例で得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムは成型性が劣っており低品質であった。
〔ゴム積層用被覆ポリエステルフィルム〕
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位40モル%及びネオペンチルグリコール単位60モル%を構成成分とする、固有粘度が0.69dl/gの共重合ポリエステルのチップ(A)と、固有粘度が0.69dl/gで、かつ平均粒子径(SEM法)が1.5μmの無定形シリカを0.04質量%、及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(N)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、チヌビン326)を0.67質量%含有するポリエチレンテレフタレートのチップ(B)をそれぞれ乾燥させた。さらに、チップ(A)とチップ(B)を25:75の質量比となるように混合した。次いで、これらのチップ混合物を押出し機によりTダイのスリットから270℃で溶融押出し、表面温度40℃のチルロール上で急冷固化させ、同時に静電印加法を用いてチルロールに密着させながら無定形の未延伸シートを得た。
得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例1と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表1に示す。本参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は参考例1で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体に比べて、成型性が良化しており、真空成型が可能であり、さらに高品質であった。
参考例1の方法において、ポリエステルフィルム製造工程において塗布液の塗布を取り止める以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの両面にコロナ処理をし、さらに、そのコロナ処理した両面にバイロン30SSとコロネートHXそれぞれ固形分比で100:30(質量部)になるように配合した塗布液をコーターを用いて乾燥後の厚みとしてそれぞれ1μmになるように塗布して架橋高分子層を設けた。得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例1と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表1に示す。本参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は参考例1で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体と同等の特性を有しており高品質であった。
参考例1の方法において、ゴム組成物としてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)組成物を用いるように変更する以外は、参考例1と同様にしてゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。本実施例で得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例1と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表1に示す。本参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、参考例1で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体と同等の特性を有しており高品質であった。
参考例4の方法において、ポリエステルフィルム製造工程において塗布液の塗布を取り止める以外は、参考例4と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例4と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表2に示す。本比較例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は初期接着強度及び耐溶剤接着強度が劣っており低品質であった。
参考例4の方法において、ポリエステルフィルム製造工程において塗布液の塗布量を増して、乾燥後の厚みとして15μmになるように変更する以外は、参考例4と同様にしてゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。本比較例で得られたポリエステルフィルムを用いて、参考例4と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表2に示す。本比較例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は成型性が劣っており低品質であった。また、初期接着強度や耐溶剤接着強度も参考例4で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体に比べて悪化していた。
参考例2の方法において、ゴム組成物としてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)組成物を用いるように変更する以外は、参考例2と同様にしてゴム・ポリエステルフィルム体を得た。結果を表2に示す。本参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、参考例2で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体と同等の特性を有しており高品質であった。
参考例5の方法において、ポリエステル製造工程における塗布液の塗布を片面に塗布するように変更する以外は、参考例5と同様にしてゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。本実施例で得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、塗布層(架橋高分子層)側表面にゴム層を積層し、参考例5と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表2に示す。本参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、参考例5と同様に高品質であったが、ゴム層と反対面に架橋高分子層が形成されていないため、インク密着性が劣っていた。
参考例2の方法において、ゴム積層用被覆ポリエステルフィルム製造工程において用いる塗布液をそれぞれ以下の組成に変更する以外は、参考例2と同様にしてゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。これらの参考例で得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例2と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表2に示す。これらの参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は参考例2と同等あるいはそれ以上の特性を有しており高品質であった。
〔参考例7の塗布液〕
(a)アクリル樹脂共重合体エマルジョン〔メチルメタクリレート(60質量%)、エチルアクリレート(35質量%)、アクリル酸(2質量%)、N−メチロールアクリルアミド(2質量%)、アクリロニトリル(1質量%)を共重合したもの〕、(b)メラミン系架橋剤(メチロール化メラミンよりなる)、及び(c)オキサゾリン系架橋剤〔メチルメタクリレート(50質量%)、エチルアクリレート(25質量%)、スチレン(5質量%)、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン(20質量%)を共重合したもの〕を、アクリル樹脂100質量部に対し、メラミン系架橋剤5質量部及びオキサゾリン系架橋剤5質量部となるように配合した水系塗布液を調製した。
エチレンオキシドのポリエーテルをスルホン化したスルホン酸ナトリウムを含むポリエーテル(スルホン酸基含有量:8質量%)192質量部、ポリテトラメチレンアジペート1013質量部、ポリプロピレンオキシドポリエーテル248質量部を混合し、減圧下、100℃で脱水後、該混合物を70℃とし、イソホロンジイソシアネート178質量部とヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート244質量部との混合物を加え、更に該生成混合物をイソシアネート含有量が5.6質量%になるまで80〜90℃の範囲で撹拌した。得られたプレポリマーを60℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネート3モルと水1モルから得られるビウレットポリイソシアネート56質量部とイソホロンジアミンとアセトンから得られるビスケチミン173質量部とを順次加えた。次いで、ヒドラジン水和物の15質量部を溶解した50℃の水溶液をこの混合物に撹拌しながら加え、ポリウレタン樹脂水分散体とした。該ポリウレタン樹脂水分散体のポリウレタン樹脂100質量部に対して、参考例7で用いたオキサゾリン系架橋剤を3質量部添加した水系塗布液を調製した。
ジメチルテレフタレート95質量部、ジメチルイソフタレート95質量部、エチレングリコール35質量部、ネオペンチルグリコール145質量部、酢酸亜鉛0.1質量部及び三酸化アンチモン0.1質量部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0質量部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(10〜0.2mmHg)、2時間かけて重縮合反応を行い、数平均分子量19,500、軟化点60℃の共重合ポリエステル系樹脂を得た。
得られた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を7.5質量部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液(第一工業製薬製、エラストロンH−3)を11.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬社製、Cat64)を0.3質量部、水を39.8質量部及びイソプロピルアルコールを37.4質量部、それぞれ混合した。
さらに、フッ素系ノニオン型界面活性剤(大日本インキ化学工業社製、メガファックF142D)の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業社製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル社製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加した。次いで、5質量%の重曹水溶液で塗布液のpHを6.2に調整し、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が10μmのフェルト型ポリプロピレン製フィルターで精密濾過して、水系塗布液を得た。
参考例2の方法において、ゴム組成物としてクロロプレンゴム(CR)組成物を用いるように変更する以外は、参考例2と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表2に示す。本参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、参考例2で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体と同等の特性を有しており高品質であった。
参考例2の方法において、ゴム成分をシリコーンゴムコンパウンドとして、市販の高強度型シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE555−U」)及び市販の一般成形用シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE958−U」)を60:40の質量比で配合したものに替え、かつペンタエリスリトールテトラアクリレートの配合量をシリコーンゴムコンパウンドの全量100質量部に対して3質量部になるように変更する以外は、参考例2と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表2に示す。本参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、参考例2で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体と同等の特性を有しており高品質であった。特に、本実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は接着強度に関連した特性が優れていた。
参考例1において、ゴム積層用被覆ポリエステルフィルム製造工程において用いる塗工液として、下記の方法で調製したグラフト変性ポリエステル樹脂よりなる自己架橋型のポリエステル樹脂を用いたこと以外は、参考例1と同様にしてゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。次いで、該ゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例1と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体の特性を表3に示す。
本参考例12で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は参考例1で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体より優れた特性を有しており高品質であった。
〔塗工液〕
(共重合ポリエステル樹脂の調製)
自己架橋型ポリエステル樹脂水分散体「バイロナール(登録商標)AGN702」(東洋紡績社製)40部、水24部及びイソプロピルアルコール36部を混合し、さらにアニオン系界面活性剤の10%水溶液0.6部、プロピオン酸1部、コロイダルシリカ粒子(「スノーテックス(登録商標)OL」;平均粒径40nm;日産化学工業社製))の20%水分散液1.8部、乾式法シリカ粒子(「アエロジルOX50」;平均粒径200nm;平均一次粒径40nm;日本アエロジル社製)の4%水分散液1.1部を添加し、塗工液とした。
参考例5の方法において、ゴム積層用被覆ポリエステルフィルム製造工程において用いる塗布液を以下の組成として、かつ架橋高分子層の層厚みを最終のゴム積層用ポリエステルフィルム上の厚みとして両面共に0.08μmになるように変更する以外は、参考例5と同様にしてゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。本実施例で得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例5と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表3に示す。本実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は参考例5で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体より耐溶剤接着強度や耐水接着強度に優れておりさらに高品質であった。特に、耐水接着強度が著しく改善された。
1、NBR変性ポリウレタンの製造方法
(1)ポリエステルポリオールの合成
攪拌機、温度計、リービッヒ冷却管を具備した2L4つ口フラスコにジメチルテレフタル酸194部、ジメチルイソフタル酸194部、ネオペンチルグリコール146部、エチレングリコール161部及び触媒としてチタンモノマー0.2部を仕込み、190℃、210℃、230℃の順に各温度で1時間づつ加熱攪拌し、生成するメタノールを溜去しつつエステル交換反応を終了させた。次いで250℃に昇温し、減圧下に20分重合し、反応を終了した。得られたポリエステルポリオールの特性は以下のとおりであった。
数平均分子量2000
酸価は5eq/ton
組成 酸成分
テレフタル酸 50モル%
イソフタル酸 50モル%
グリコール成分
ネオペンチルグリコール 50モル%
エチレングリコール 50モル%
攪拌機、温度計、コンデンサーを具備した0.5L4つ口フラスコに液状合成ゴムCTBN 1300X13(宇部興産社製)121部、トルエン54部を仕込み均一に溶解させた。次いでグリシドール5.5部、反応触媒としてトリフェニルフォスフィン02部を添加し、105℃で6時間反応させ、NBRポリオールオリゴマーの70%トルエン溶液を得た。反応前と反応後の固形樹脂分の酸価は以下のとおりであった。
反応前液状合成ゴムの酸価 :630eq/ton
反応後(生成したNBRポリオールオリゴマー)の酸価: 90eq/ton
攪拌機、温度計、コンデンサーを具備した1L4つ口フラスコに上記ポリエステルポリオール100部、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2’,2’−ジメチル−3−ヒドロキシプロパネート30部、トルエン80部を仕込み、均一に溶解させた。次いで4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート54部を添加し、70℃で3時間反応させた後、シクロヘキサノン280部で希釈した。次いで上記NBRポリオールオリゴマーの70%トルエン溶液115部を添加し、70℃で3時間反応後、メチルエチルケトン223部で希釈し、NBR変性ポリウレタンの30%溶液を得た。
なお、上記合成方法の中で「部」は重量部を意味し、樹脂の酸価、分子量、ポリエステルポリオールの組成分析は各々以下の方法で実施した。
・数平均分子量
ウオーターズ社製ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)150Cを用い、テトラヒドロフランをキャリアー溶剤として流速1ml/分で測定した。カラムとして昭和電工(株)製 Shodex KF−802、KF−804、KF−806を3本連結しカラム温度は30℃に設定した。分子量標準サンプルとしてはポリスチレン標準物質を用いた
・酸価
固形樹脂0.2g又は固形分換算0.2gの樹脂溶液を20mlのクロロホルムに溶解後、0.1N−NaOHエタノール溶液でフェノールフタレインを指示薬として測定し、測定値を樹脂固形分1ton中の当量で示した。
・ポリエステルポリオール組成
クロロホルム−dに樹脂を溶解し、ヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)“ジェミニ−200”を用い、1H−NMRにより樹脂組成比を求めた。
(4)塗布液
上記方法で調製したNBR変性ポリウレタンとイソシアネート系架橋剤であるミリオネート(登録商標)MR(日本ポリウレタン社製)を固形分質量比で100:150になるように混合した溶液を用いた。
実施例1の方法で、ゴム積層用被覆フィルムの架橋高分子層の層厚みを両面共に0.2μmとして、ゴム積層用被覆フィルムを得た。得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例1と同様の方法でEPDMゴムを積層したゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表3に示す。本実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は参考例1で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体より初期接着強度、耐溶剤接着強度及び耐水接着強度のいずれもが優れておりさらに高品質であった。特に、耐水接着強度が著しく改善された。
参考例1の方法において、ポリエステルフィルム製造工程において塗布液の塗布を取り止める以外は、参考例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの両面にコロナ処理をし、さらに、そのコロナ処理した両面に実施例1で用いた塗布液をコーターを用いて乾燥後の厚みとして両面共に0.11μmとなるように被覆してゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。本実施例で得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例5と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表3に示す。本実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は参考例5で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体より耐溶剤接着強度や耐水接着強度に優れておりさらに高品質であった。特に、耐水接着強度が著しく改善された。
実施例3の方法において、塗布液のNBR変性ポリウレタンとイソシアネート系架橋剤であるミリオネート(登録商標)MR(日本ポリウレタン社製)の組成比を固形分質量比で100:10になるように変更する以外は、実施例3と同様にしてゴム積層用被覆フィルム及びゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表3に示す。本参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、実施例3で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体より接着特性が劣るが、参考例5と同等の特性を有しており高品質であった。
実施例3の方法において、塗布液のNBR変性ポリウレタンとイソシアネート系架橋剤であるミリオネート(登録商標)MR(日本ポリウレタン社製)の組成比を固形分質量比で100:100になるように変更する以外は、実施例3と同様にしてゴム積層用被覆フィルム及びゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表3に示す。本実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、実施例3で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体と同等の特性を有しており、極めて高品質であった。
実施例3の方法において、塗布液のイソシアネート系架橋剤をコロネート(登録商標)L(日本ポリウレタン社製)の組成比を固形分質量比で100:250になるように変更し、かつ架橋高分子層の層厚みを乾燥後の厚みとして0.02μmに変更する以外は、実施例3と同様にしてゴム積層用被覆フィルム及びゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表3に示す。本実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、実施例3で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体と同等の特性を有しており、極めて高品質であった。
繊維強化熱可塑性樹脂シートからなる芯層として、連続ガラス繊維マット(スワール状ロービングマットにニードルパンチを施したもの)にポリプロピレン樹脂を溶融含浸してなるガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂シート(厚さ:3.7mm、繊維含有量:40質量%)を用いた。参考例1等の方法で得られたEPDMゴム層を積層したゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム層との反対表面に印刷で装飾し、かつEPDMゴム層表面に参考例1において用いたEPDMゴム溶液を乾燥後厚みで3μmとなるように積層したゴム・ポリエステルフィルム積層体を上記芯層の両面にゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム層面側が芯層側になるように積層し、これを曲面の金型に挿入して、熱プレスにより温度200℃×圧力10kg/cm2で加熱加圧して芯層と表層を熱融着させた。次いで、冷却して、曲面構造のプラスチック成型体(以下、成型体と略称する)を得た。得られたプラスチック成型体の表面は、写像が映し出されるような、高度な平滑表面を有しており印刷の見栄えが極めて優れていた。また、成型体の寸法精度が良く、かつ形状の歪みもなかった。
参考例14の方法において、ゴム・ポリエステルフィルム積層体を積層することなく参考例14と同様の方法でプラスチック成型体を得た。得られたプラスチック成型体は、ガラス繊維の浮き出し等の表面凹凸があり表面状態が良くなかった。従って、該成型体の表面に参考例14において用いたゴム・ポリエステルフィルム積層体に施したと同様の印刷をしたが見栄えがよくなかった。
参考例14の方法において、ゴム・ポリエステルフィルム積層体に替え、厚さ250μmのEPDMゴムシートを積層して、参考例14と同様にしてプラスチック成型体との複合体を得た。得られた成型体との複合体の表面状態は比較例7で得られた成型体よりは良好であったが、部分的にガラス繊維の浮き出し等の表面凹凸があり、参考例14で得られたプラスチック成型体との複合体に比べると表面状態がよくなかった。また、本比較例においては、EPDMゴムシートが薄く、かつポリエステルフィルムが一体化されていないために取り扱いにくくプラスチック成型体製造時の操業性が劣っていた。
参考例14の方法において、ゴム・ポリエステルフィルム積層体に替え、ゴム層の積層を取り止めたポリエステル層のみの単層フィルムを用いて、参考例14と同様にしてプラスチック成型体との複合体を得た。得られたプラスチック成型体との複合体の表面状態は良好であったが、プラスチック成型体の寸法精度や形状歪みが参考例14で得られたプラスチック成型体よりは劣っていた。
各辺が経糸、緯糸のいずれかと平行な1辺300mmの正方形となるようカットした炭素繊維織物4plyを型に積層し、その上にピールプライと樹脂配分媒体を積層した。次に、ナイロン製フィルムを用いてバギングし、真空ポンプを用いて[大気圧−0.1](MPa)に減圧した後、型を90℃に保持し、“エピコート(登録商標)”828(ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)100質量%に、“キュアゾール(登録商標)”2E4MZ(品番、四国化成工業(株)製、2ーエチルー4ーメチルイミダゾール)3質量%を配合した、
次いで、液状のエポキシ樹脂組成物RTM用樹脂組成物を注入した。RTM用樹脂組成物が型内に流入してから5分後に注入を終了し、RTM用樹脂組成物が型内に流入してから40分後に脱型を開始し、繊維強化プラスチック部材よりなる芯層を得た。得られた芯層の両面に参考例5等で得られたNBRゴム層を積層したゴム・ポリエステルフィルム積層体(使用直前にNBRゴム層表面をプラズマ処理した)のゴム層面側が芯層側になるように積層し、これを曲面の金型に挿入して、熱プレスにより温度170℃×圧力10kg/cm2で2時間加熱加圧して成型と硬化を行った後に冷却して、曲面構造のプラスチック成型体を得た。得られたプラスチック成型体の表面は写像が映し出される用な高度な平滑表面を有していた。また、成型体の寸法精度が良く、かつ形状の歪みもなかった。
上記方法で得られたプラスチック成型体表面をイソプロピルアルコールで洗浄し、メラミン系焼付け塗料を塗膜の厚みが乾燥後35μmとなるように塗布した。その後、室温で30分間放置し、さらに140℃のオーブン中で30分間乾燥焼付けを行った。塗装膜の見栄えは極めて良好であった。また、塗装膜の接着性や接着耐久性も良好であった。
参考例15の方法において、ゴム・ポリエステルフィルム積層体を積層することなく実施例20と同様の方法でプラスチック成型体を得た。得られたプラスチック成型体は、炭素繊維の浮き出し等の表面凹凸があり表面状態が良くなかった。従って、該プラスチック成型体表面に参考例15と同様の印刷をしたが、見栄えがよくなかった。
参考例15の方法において、ゴム・ポリエステルフィルム積層体に替え、厚さ250μmのNBRゴムシートを積層して、参考例15と同様にしてプラスチック成型体を得た。得られたプラスチック成型体の表面状態は比較例10で得られたプラスチック成型体よりは良好であったが、部分的に炭素繊維の浮き出し等の表面凹凸があり、参考例15で得られた成型体に比べると表面状態がよくなかった。また、比較例8と同様に、NBRゴムシートが薄く、かつポリエステルフィルムが一体化されていないために取り扱いにくく、プラスチック成型体製造時の操業性が劣っていた。
参考例15の方法において、ゴム・ポリエステルフィルム積層体に替え、ゴム層の積層を取り止めたポリエステルのみの単層フィルムを用いて、参考例15と同様にしてプラスチック成型体との複合体を得た。得られたプラスチック成型体との複合体の表面状態は良好であったが、成型体の寸法精度や形状歪みが参考例15で得られたプラスチック成型体よりは劣っていた。また、塗装工程においてプラスチック成型体の歪が増大した。
参考例15の方法において、NBRゴム層を積層したゴム・ポリエステルフィルム積層体の両面に繊維強化プラスチック部材よりなる芯層を積層し、参考例15と同様にして成型し、NBRゴムを積層したゴム・ポリエステルフィルム積層体が中間層とした曲面構造のプラスチック成型体を得た。得られたプラスチック成型体の表面の平滑性は参考例15で得られた成型体よりは若干劣るが、比較例10で得られたプラスチック成型体よりは格段に優れていた。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、優れた成型性を有するので、例えば、プラスチック成型体用部材として使用した場合にプラスチック成型体の成型性を低下させることがない。さらに、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、ゴム層が積層されているので、例えば、該プラスチック成型体の部材として使用した場合においてプラスチック成型体の成型の折に発生する歪をゴム層の弾性を利用して緩和することができるので、例えば、プラスチック成型体の表面状態を改善することができ、かつ該プラスチック成型体の使用において成型体に加わる外力をゴム層の有する弾性で緩和することが可能であり、例えば、プラスチック成型体の外観や耐久性を向上させることができる等の効果を付与することができる。また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体はポリエステルフィルムが積層されているのでゴム層単体品に比べて取り扱い性に優れている。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、ゴムとポリエステルフィルムの接着性や接着性の耐久性が優れているので、例えば、プラスチック成型体用部材として使用した場合にプラスチック成型体の耐久性が向上する。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、基材ポリエステルフィルムの両面に架橋高分子膜層が形成された形態も含まれるので、ゴム層との接着性や接着耐久性のみでなく、ゴム層を積層した面との反対面においても、例えば、印刷インキとの接着性や接着耐久性も向上できるという利点を有する。したがって、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルム表面に、印刷、塗装あるいは金属の蒸着等により装飾を施す場合に、印刷インク、塗料、あるいは金属薄膜等とポリエステルフィルムとの接着性や接着耐久性が向上するという利点を有している。また、ゴム層を積層した面との反対面にフィルム、織物、不織布あるいは成型体等の他素材とを貼り合せる場合に、該素材とポリエステルフィルムとの接着性や接着耐久性が向上するという利点も有している。
(1)プラスチック成型体の成形において発生する歪をゴム層の弾性を利用して緩和することができるので、例えば、プラスチック成型体の表面状態を改善することができ、かつ成型時に発生する歪を緩和することができ、さらに、該プラスチック成型体の使用において成型体に加わる外力をゴム層の有する弾性で緩和することが可能であり、例えば、プラスチック成型体の耐久性を向上させることができる。
(2)上記ゴム・ポリエステルフィルム積層体はポリエステルフィルムが積層されているのでプラスチック成型体の強度等を高める補強効果を発現する。
(3)上記ゴム・ポリエステルフィルム積層体はポリエステルフィルムが積層されているので、プラスチック成型体のガスバリアー性等のバリアー性を改善できることがある。
(4)上記ゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルム面プラスチック成型体の表面に上記ゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルム面側が表層となるように積層した場合は、ポリエステルフィルムの表面平滑性及びゴム層によるプリントスルー効果により極めて高度な表面平滑性が得られるという利点を有する。そのため、プラスチック成型体の表面に加飾処理した場合に品位の高い表面装飾が可能となる。
(5)上記特性を有したゴム・ポリエステルフィルム積層体を用いているので、被覆ポリエステルフィルムとゴム層との接着力が高く、かつ接着力の耐久性に優れているので、例えば、自動車用外板等の耐久性が求められる成型体の構成部材として好適に使用することができる。
Claims (11)
- 面配向度が0.005〜0.15であるポリエステルフィルムの少なくとも片面に厚み0.003〜5μmの架橋高分子膜を有し、架橋高分子膜が架橋剤により架橋されてなり、架橋高分子膜を構成する樹脂と架橋剤との比が架橋剤/樹脂の重量比で0.5以上であり、フィルムの長手方向及び幅方向における10%伸長時応力(25℃)が20〜200MPaであることを特徴とするゴム積層用被覆ポリエステルフィルム。
- 架橋高分子膜がポリエステル、ポリウレタン及びアクリル系ポリマーより選ばれた少なくとも1種の樹脂よりなる請求項1記載のゴム積層用被覆ポリエステルフィルム。
- 架橋剤が、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、シランカップリング剤及びチタネート系カップリング剤より選ばれた少なくとも1種である請求項1又は2に記載のゴム積層用被覆ポリエステルフィルム。
- 架橋高分子膜がポリエステルフィルムの両面に形成されてなる請求項1〜3のいずれかに記載のゴム積層用被覆ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のゴム積層用被覆ポリエステルフィルムとゴムを積層してなるゴム・ポリエステルフィルム積層体。
- 被覆ポリエステルフィルムとゴム層とを接着剤を介することなく直接積層してなる請求項5記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体。
- 被覆ポリエステルフィルムとゴム層との接着強度が9N/20mm以上である請求項5又は6に記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体。
- トルエン浸漬後(25℃、72時間)の被覆ポリエステルフィルムとゴム層との接着強度が8N/20mm以上である請求項5〜7のいずれかに記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体。
- 下記の耐水接着強度測定方法のよる耐水耐久処理をした後の被覆ポリエステルフィルムとゴム層との接着強度が8N/20mm以上である請求項5〜8のいずれかに記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体。
(耐水接着強度測定方法)
ゴム・ポリエステルフィルム積層体を50mm×50mmに切断した測定試料を、蒸留水400ccを入れた500ccの蓋付きの円筒状のガラス容器の中に、上記試料のゴム層が下側になるように水中に沈め、試料全体が水中に浸漬した状態で容器に蓋をした。試料の入った容器を、90℃に設定したギアーオーブン中に入れ、14日間静置する。熱処理後、オーブンから容器を取り出し、速やかに試料を取り出して、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム層とポリエステルフィルムの界面にナイフを入れ、その部分に指で応力を加えて界面剥離を発生させ、JIS K6854に準じてT型剥離法で剥離強度を測定した。 - 面配向度が0.005〜0.15であるポリエステルフィルムの少なくとも片面に厚み0.003〜5μmの架橋高分子膜を有する、フィルムの長手方向及び幅方向における10%伸長時応力(25℃)が20〜200MPaであるポリエステルフィルムの前記架橋高分子膜の表面に未架橋ゴム層を積層し、次いで未架橋ゴム層を架橋してなる請求項5〜9に記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体の製造方法。
- 未架橋ゴム層に接着性改良剤が配合されてなる請求項10に記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体の製造方法。
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