JP4905458B2 - ゴム積層用被覆ポリエステルフィルム、ゴム・ポリエステルフィルム積層体及びその製造方法 - Google Patents

ゴム積層用被覆ポリエステルフィルム、ゴム・ポリエステルフィルム積層体及びその製造方法 Download PDF

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Description

発明の属する技術分野
本発明は、ゴム積層用被覆ポリエステルフィルム及び該ゴム積層用被覆ポリエステルフィルムとゴムとの積層体に関するものであり、さらに詳しくは、本発明は、ポリエステルフィルムとゴムとを接着剤や粘着剤によらずに直接一体化することができ、該一体化されたゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルムとゴムとの接着力が強く、かつ該接着力の耐久性が良好であり、さらに成型性の優れたゴムとの積層体が得られるゴム積層用被覆ポリエステルフィルム及びそのゴム積層用被覆ポリエステルフィルムとゴムとの積層体に関するものである。
また、本発明は、上記ゴム・ポリエステルフィルム積層体の製造方法に関するもので、さらに詳しくは、本発明は、経済的なゴム・ポリエステルフィルム積層体の製造方法に関するものである
従来の技術
ゴムは、優れたクッション性を有しているため、産業上の広い分野でシール材やクッション材等に使用されている。しかし、ゴムのみからなるフィルムは柔軟すぎるため、装置や部品に組み込む場合の作業性に劣っていた。一方、ポリエステルフィルムは、ゴムに比べて硬く、寸法安定性が良好で、装置や部品に組み込む場合の作業性に優れており、かつ滑り性が良好であるため、広い分野で利用されている。しかし、ポリエステルフィルムは、弾力性やシール性が低いため、シール材やクッション材としては不適当であった。
上記課題を解決する方法として、ポリエステルフィルム等の各種フィルムとゴムからなるフィルムとを接着剤を介せずに直接接着したゴム・フィルム積層体やその製造方法が開示されている(例えば、特許文献1〜7参照)。
特開平10−53659号公報 特開平10−58605号公報 特開平10−86282号公報 特開平10−95071号公報 特開平10−113934号公報 特開平10−226022号公報 特開平11−157010号公報
ポリエステルフィルムは、耐熱性や寸法安定性等に優れており、かつ経済性に優れており、上記ゴムとの積層体の基材フィルムとして好適であり、上記特許文献1〜6において、該ポリエステルフィルムを基材フィルムとして用いた積層体が開示されている。しかしながら、該特許文献で開示されている積層体は汎用のポリエステルフィルムを用いているので、得られたゴム積層体は成型性に劣るという課題を有する。
上記ゴム積層体の用途の一つとして、各種成型体の部材として成型体の構成部材として使用される場合がある。該部材としてゴム積層体を用いることにより、成型体の成形において発生する歪をゴムの弾性を利用して緩和することができるので、例えば、成型体の表面状態を改善することができ、かつ該成型体の使用において成型体に加わる外力をゴムの有する弾性で緩和することが可能であり、例えば、成型体の耐久性を向上させることができる等の効果を付与することができる。
上記のような使用方法においては、ゴム積層体は高い成型性、ゴム積層体におけるゴムとポリエステルフィルムとの接着性あるいは成型体の素材との高い接着性が必要である。
さらに、上記使用方法の一つとして、ゴム積層体を上記成型体の表面に複合して用いる場合があり、かつ該使用方法の一つにポリエステルフィルム側を最表層として成型体に組み込み、該ポリエステルフィルムの表面に印刷、塗装あるいは金属薄膜や金属箔を蒸着やラミネート法で積層して使用される場合がある。該対応により成型体表面の加飾や酸素ガスや水蒸気等のガス透過性の低減効果を発現することができる。該使用方法においては、印刷、塗装及びラミネート等において用いられる溶剤によりゴムとポリエステルフィルムとの接着性が低下する。また、該成型体は屋外での使用等過酷な条件で使用されることがあり、該過酷な条件においてもゴムとポリエステルフィルムの接着性の維持が求められる等、優れた接着耐久性が必要である。さらに、上記の印刷インクや塗料とポリエステルフィルムとの間にも強い接着力及び接着力の耐久性が求められる。
また、上記特許文献で開示している方法で得られたゴム積層体のゴムとポリエステルフィルムとの接着力は常態においては高いが、例えば、溶剤が存在する状態や高温、高湿等の過酷な環境下における接着力の耐久性が劣るという課題を有する。
一方、成型性の高いポリエステルフィルムとゴムとの積層体用のポリエステルフィルム及び該フィルムを用いた積層体が開示されている(特許文献8及び9参照)。
特開2001−322167号公報 特開2001−323081号公報
上記特許文献において開示されている方法における積層体は成型性が優れているという点では前記要求の一部を満たしている。しかしながら、該特許文献の方法はポリエステルフィルムとゴムとが接着剤を用いて積層されており経済性において不利であるという課題を有している。また、接着性や接着耐久性においても課題がでることがある。さらに、接着剤の種類によっては成型性が劣る場合が生ずることがある。
以上の背景より、経済性の高い方法で成型性の高いポリエステルフィルムとゴムとの接着力が高く、かつ該接着力の耐久性の優れ、さらに成型性の優れた積層体が得られるゴム積層用ポリエステルフィルム及びそのゴムとの積層体の開発が強く嘱望されている。
プラスチック成型体は広い分野で使用されてきている。特に、繊維強化複合材料を用いた成型体は、薄肉、軽量、高剛性、生産性、経済性に優れ、電気・電子機器部品、自動車機器部品、パソコン、OA機器、AV機器、携帯電話、電話機、ファクシミリ、家電製品、玩具用品などの電気・電子機器の部品や筐体に頻繁に使用されだし急速な伸びが期待される。
例えば、繊維強化複合材料を用いた成型体は、熱成型用繊維強化樹脂シートはプレス成型、絞り成型、真空成型等により各種形状の成型体に成型される。
上記の熱成形用繊維強化樹脂シートの製法として、繊維強化マットの上下に熱可塑性樹脂シートを積層し、これを加熱加圧して繊維強化マットに樹脂を含浸させる方法が知られている。このような方法で得られる熱成形用繊維強化樹脂シートを用いて成形品を成形すると、成形品の表面に強化繊維が浮きだして外観不良となる。また、成形品の表面に強化繊維が浮きだすと、この表面に、塗装やメッキを施こす場合にも障害となる。そのために、写像が映し出される用な平滑な表面を有することが求められている。
また、繊維強化マットに未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させて、プレス成型機等で成型と同時に熱硬化性樹脂の硬化を行う方法が知られている。該方法においても上記と同様の課題を有している。
かかる問題を解決する方法として、例えば、繊維強化熱可塑性樹脂シートの表面に該シートのマットリック樹脂よりも高融点の熱可塑性樹脂表皮層を形成する方法(特許文献10参照)、熱可塑性樹脂と繊維マットよりなる繊維強化熱可塑性樹脂シートの表層に繊維マット含まない熱可塑性樹脂層を積層する方法(特許文献11参照)、繊維強化熱可塑性樹脂シートからなる芯層の少なくとも片面に、架橋剤を含有する熱可塑性樹脂シートよりなる表層を積層し、これを加熱、加圧して、芯層と表層を熱融着させるとともに、架橋剤により表層の熱可塑性樹脂層を架橋させる方法(特許文献12参照)、繊維強化熱可塑性樹脂シートからなる芯層の少なくとも片面に、エチレン−プロピレンラバーやアクリロニトリル−ブタジエンラバー等のエラストマーシートからなる表層を熱融着により積層する方法(特許文献13参照)、及び繊維強化プラスチック層の少なくとも片面に引っ張り弾性率が0.1〜500MPaである低弾性率層を介して引張弾性率が1000〜30000MPaである高弾性率層を配置する方法(特許文献14参照)等が開示されている。
特開昭58−188649号公報 特開昭63−214444号公報 特開平5−84737号公報 特開平5−154962号公報 特開平2006−51813号公報
上記特許文献で開示されている方法により表面平滑性は改善され一部の用途においては市場要求を満たすことができるが、写像が映し出される用な高度な平滑表面が求められる用途においては市場要求を満たすことが出来ない場合がある。
また、特許文献10〜12において開示されている方法においては、成型体の構成層に低弾性率の層が含まれていないので、成型体に成型する場合に発生する歪を緩和する層がないので成型体の寸法精度や寸法安定性が問題になる場合がある。
また、特許文献13及び14の方法は成型体の構成層に低弾性率の層が配置されているので、上記課題は改善されているが、これらの方法においては取り扱い性の悪い低弾性率の層を独立して成型体に組み込む方式がとられているので成型体を製造する際に操作性が劣る場合や、不良品の発生頻度が増加する場合がある。
さらに、上記特許文献において開示されている方法は、いずれもが成型体の表面に加飾を施すことや、該表面に機能性付与層を配置する等に対する配慮がなされていない。
このように、上記の従来方法に於いては、いずれもそれぞれ問題があった。
本発明は、ポリエステルフィルムとゴムとの接着力が高く、かつ該接着力の耐久性の優れ、さらに成型性の優れたゴム・ポリエステルフィルム積層体が得るためのゴム複合用被覆ポリエステルフィルム及びそのゴム・ポリエステルフィルム積層体の製造方法を提供することにある
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明の完成に到った。
すなわち、本発明は、下記の構成からなる。
1.面配向度が0.005〜0.15であるポリエステルフィルムの少なくとも片面に厚み5μm以下の架橋高分子膜を有し、架橋高分子膜が架橋剤により架橋されてなり、架橋高分子膜を構成する樹脂と架橋剤との比が架橋剤/樹脂の重量比で0.5以上であり、フィルムの長手方向及び幅方向における10%伸長時応力(25℃)が20〜200MPaであることを特徴とするゴム積層用被覆ポリエステルフィルム。
2.架橋高分子膜がポリエステル、ポリウレタン及びアクリル系ポリマーより選ばれた少なくとも1種の樹脂よりなる上記1記載のゴム積層用被覆ポリエステルフィルム。
3.架橋剤が、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、シランカップリング剤及びチタネート系カップリング剤より選ばれた少なくとも1種である上記1又は2に記載のゴム積層用被覆ポリエステルフィルム。
4.架橋高分子膜がポリエステルフィルムの両面に形成されてなる上記1〜3のいずれかに記載のゴム積層用被覆ポリエステルフィルム。
5.上記1〜3のいずれかに記載のゴム積層用被覆ポリエステルフィルムとゴムを積層してなるゴム・ポリエステルフィルム積層体。
6.被覆ポリエステルフィルムとゴム層とを接着剤を介することなく直接積層してなる上記5記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体。
7.被覆ポリエステルフィルムとゴム層との接着強度が9N/20mm以上である上記5又は6に記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体。
8.トルエン浸漬後(25℃、72時間)のポリエステルフィルムとゴム層との接着強度が8N/20mm以上である上記5〜7のいずれかに記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体。
9.下記の耐水接着強度測定方法のよる耐水耐久処理をした後のポリエステルフィルムとゴム層との接着強度が8N/20mm以上である上記5〜8のいずれかに記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体。
(耐水接着強度測定方法)
ゴム・ポリエステルフィルム積層体を50mm×50mmに切断した測定試料を、蒸留水400ccを入れた500ccの蓋付きの円筒状のガラス容器の中に、上記試料のゴム層が下側になるように水中に沈め、試料全体が水中に浸漬した状態で容器に蓋をした。試料の入った容器を、90℃に設定したギアーオーブン中に入れ、14日間静置する。熱処理後、オーブンから容器を取り出し、速やかに試料を取り出して、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム層とポリエステルフィルムの界面にナイフを入れ、その部分に指で応力を加えて界面剥離を発生させ、JIS K6854に準じてT型剥離法で剥離強度を測定した。
10.面配向度が0.005〜0.15であるポリエステルフィルムの少なくとも片面に厚み5μm以下の架橋高分子膜を有する、フィルムの長手方向及び幅方向における10%伸長時応力(25℃)が20〜200MPaであるポリエステルフィルムの前記架橋高分子膜の表面に未架橋ゴム層を積層し、次いで未架橋ゴム層を架橋してなる上記5〜9に記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体の製造方法。
11.未架橋ゴム層に接着性改良剤が配合されてなる上記10に記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体の製造方法。
本発明のゴム積層用被覆ポリエステルフィルムは、成型性の高いポリエステルフィルムとゴム層とを接着剤を介することなく直接接着することができるので、成型性の優れたポリエステルフィルムとゴム層との積層体を経済的に得ることができる。また、本発明のゴム積層用被覆ポリエステルフィルムは層厚みの薄い架橋高分子膜層でポリエステルフィルムとゴム層の接着性を向上させており、接着剤層を排除しているので層厚みの厚い接着剤層により引き起こされる成型性の低下を回避することができる。その上に、該ポリエステルフィルムとゴム層との接着力が高く、かつ接着力の耐久性に優れた積層体を得ることができる。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、優れた成型性を有するので、例えば、プラスチック成型体用部材として使用した場合にプラスチック成型体の成型性を低下させることがない。さらに、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、ゴム層が積層されているので、例えば、該プラスチック成型体の部材として使用した複合体の場合において、プラスチック成型体の成型の折に発生する歪をゴム層の弾性を利用して緩和することができるので、例えば、プラスチック成型体の表面状態を改善することができ、かつ該プラスチック成型体の使用において成型体に加わる外力をゴム層の有する弾性で緩和することが可能であり、例えば、プラスチック成型体の外観や耐久性を向上させることができる等の効果を付与することができる。また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体はポリエステルフィルムが積層されているのでゴム層単体品に比べて取り扱い性に優れている。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、ゴム層とポリエステルフィルムの接着性や接着性の耐久性が優れているので、例えば、プラスチック成型体用部材として使用した場合にプラスチック成型体の耐久性が向上する。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、被覆ポリエステルフィルムの両面に架橋高分子膜層が形成された形態も含まれるので、ゴム層との接着性や接着耐久性のみでなく、ゴム層を積層した面との反対面においても、例えば、印刷インキとの接着性や接着耐久性も向上できるという利点を有する。したがって、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルム表面に、印刷、塗装あるいは金属の蒸着等により装飾を施す場合に、印刷インク、塗料、あるいは金属薄膜等とポリエステルフィルムとの接着性や接着耐久性が向上するという利点を有している。また、ゴム層を積層した面との反対面にフィルム、織物、不織布あるいは成型体等の他素材とを貼り合せる場合に、該素材とポリエステルフィルムとの接着性や接着耐久性が向上するという利点も有している。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体の製造方法は、上記特性を有したゴム・ポリエステルフィルム積層体を経済的に、かつ安定して製造することができる。
本発明のゴム積層用被覆ポリエステルフィルムは、面配向度が0.005〜0.15であるポリエステルフィルムの少なくとも片面に厚み0.003〜5μmの架橋高分子膜を有し、フィルムの長手方向及び幅方向における10%伸長時応力(25℃)が20〜200MPaである。
本発明におけるポリエステルフィルムの面配向度は、0.005〜0.15である。面配向度の上限は0.15であり、0.14がより好ましい。高度な成型性が必要な場合は0.13以下がさらに好ましい。該面配向度は成型性と関連のある物性であり、面配向度が高いほど分子鎖が面方向に配列し、成型性が低下する。従って、面配向度が小さいほど成型性は良くなる。一方、フィルムの強度及び厚み斑などの平面性を確保する観点から、或いは耐溶剤性の確保の観点から、面配向度の下限は0.01がより好ましく、0.04がさらに好ましい。
ここで、ポリエステルフィルムの面配向度とは、アッベ屈折計等を用いて測定されるフィルムの長手方向屈折率(Nx)、幅方向屈折率(Ny)、厚み方向屈折率(Nz)により下記(1)式から算出される値である。
面配向度=(Nx+Ny)/2−Nz ・・・・・式(1)
本発明のゴム積層用被覆ポリエステルフィルムにおいて、架橋高分子層の厚みが0.5μm以下の場合は、上記架橋高分子層のポリエステル系基材フィルムの屈折率に対する影響は小さいので、ゴム積層用被覆ポリエステルフィルムの屈折率測定によってポリエステル基材フィルムの屈折率が測定でき、面配向度を計算できる。
面配向度を上記範囲にする方法は限定されないが、ポリエステルを二軸延伸化したものが望ましく使用される。かかる二軸延伸の方法としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれであってもよい。
上記の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えばポリエステルを必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加などの方式によりキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸シートを得た後、かかる未延伸シートを延伸するものである。かかる延伸方式としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれでもよいが、要するに該未延伸シートをフィルムの長手方向及び幅方向に延伸、熱処理し、目的とする面配向度のフィルムを得る方法が採用される。
上記の二軸延伸ポリエステルフィルムにおいて面配向度を上記範囲にする方法は限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のホモポリエステル樹脂を原料として延伸倍率や熱セット温度を最適化することによる方法やポリエステル樹脂として共重合ポリエステル樹脂や該共重合ポリエステル樹脂と上記ホモポリエステル樹脂を配合した配合樹脂を用いて面配向度を低下させて上記範囲とする方法及び上記方法を組み合わせた方法等が挙げられる。
例えば、延伸条件で面配向度を低下させるためには、二軸延伸の延伸倍率を、それぞれの方向に1.6〜4.2倍とすることが好ましく、さらに好ましくは1.7〜4.0倍とする。特に好ましくは、1.8〜3.2倍である。この場合、長手方向、幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよく、同一としてもよい。また、延伸速度は1000%/分〜200000%/分であることが望ましく、延伸温度はポリエステルのガラス転移温度以上ガラス転移温度+100℃以下であれば任意の温度とすることができるが、好ましくは80〜170℃の範囲で延伸するのがよい。更に、二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行うが、この熱処理は、オーブン中、あるいは、加熱されたロール上等、従来公知の任意の方法で行なうことができる。熱処理温度は120℃以上245℃以下の任意の温度とすることができるが、好ましくは150〜220℃である。また熱処理時間は任意とすることができるが、好ましくは1〜60秒間行うのがよい。なお、かかる熱処理はフィルムをその長手方向及び/又は幅方向に弛緩させつつ行ってもよい。さらに、再延伸を各方向に対して1回以上行ってもよく、その後熱処理を行ってもよい。ここで、熱処理温度は、DSCで観測される熱処理に起因する結晶融解サブピークのピーク温度により確認することができる。
本発明においては、高度な成型性が求められる用途へ展開する場合は、下記に例示する方法で対応するのが好ましい。
本発明において、ポリエステルフィルムの長手方向及び幅方向における10%伸長時応力(25℃)が20〜200MPaであることが重要である。該10%伸張時応力(25℃)は20〜180MPaであることがより好ましく、20〜160MPaであるがさらに好ましい。10%伸長時応力(25℃)が20MPa以上であればロール状のフィルムを引張って巻きだす際のフィルムの伸長や破断を防止することができる。一方、10%伸長時応力(25℃)が200MPaを以下であれば、成型性を確保することができる。特に、凹凸や窪みのある金型を用いて成型する際に、成型前のフィルムを事前にそれらの型に軽く追随させて成型する場合があり、このような場合に、フィルムの成形性が良く、製品の意匠性が良好となる。
ポリエステルフィルムにおいて、150℃における長手方向及び幅方向の熱収縮率は0.01〜5.0%であることが好ましい。150℃における熱収縮率の下限値は、0.1%がより好ましく、さらに好ましくは0.5%である。一方、150℃における熱収縮率の上限値は、4.5%がより好ましくは、さらに好ましくは4.1%、特に好ましくは3.2%である。150℃における長手方向及び幅方向のフィルムの熱収縮率が0.01%以上であれば、生産性を確保することができる。一方、150℃における長手方向及び幅方向のフィルムの熱収縮率が5.0%以下であれば、熱のかかる後処理工程においてもフィルムの変形を惹起させることなく、後加工後のフィルムの外観や意匠性が良好となる。
また、ポリエステルフィルムのヘーズは0.1〜3.0%であるのが好ましい。ヘーズの下限値は0.3%がより好ましく、さらに好ましくは0.5%である。一方、ヘーズの上限値は2.5%がより好ましく、さらに好ましくは2.0%である。ヘーズが0.1%以上であればフィルムを通常の生産性よく工業規模で生産することができる。一方、フィルムのヘーズが3.0%以下であれば、金属などの蒸着やスパッタリング面、又は印刷面をフィルムの裏面から見た場合、金属や印刷面が鮮明となり、良好な意匠性を確保することができる。なお、フィルム中のハンドリング性の改良のために一般的に行われる、粒子をフィルム中に含有させてフィルム表面に凹凸を形成する方法では、ヘーズが2.0%以下のフィルムを得ることは難しい。該特性は本発明のゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを成型体の最表層として用い、かつ加飾を施す用途への展開において重要な特性である。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体を成型体の最表層として用いる場合は、少なくとも片面のフィルムの表面粗さ(Ra)は、0.005〜0.030μmであることが好ましい。Raの下限値は0.006μmがより好ましく、さらに好ましくは0.007μmである。一方、Raの上限値は0.025μmがより好ましく、さらに好ましくは0.015μmである。少なくとも片面のフィルムのRaが0.005μm以上であれば、フィルムの巻取りや、また、一旦ロール状に巻き取ったフィルムを巻き出す際に、ブロッキングやフィルムの破れが発生することもない。また、Raが0.03μm以下であれば、蒸着、スパッタリング又は印刷などの後加工工程で突起などの欠点は発生せず、意匠性が確保される。
上記特性を有したポリエステルフィルムの製造方法は限定されないが、以下に例示する方法で実施するのが好ましい実施態様である。
ポリエステルフィルムの原料としては、共重合成分を5〜50モル%含む共重合ポリエステルを原料として用いるのが好ましい。共重合成分を5〜50モル%含む共重合ポリエステルを原料として用いて得たポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどに比較して結晶化速度が遅く、また結晶性が低い。また、面配向度と150℃の熱収縮率を小さくするために、通常よりも高温で熱処理するという方法を用いた場合、延伸終了後に急激に高温で熱処理をするため、熱処理ゾーンにおいて結晶性の低い材料を構成する分子の運動性が高くなる。よって、延伸工程において粒子(二軸配向フィルム中の粒子あるいはコーティング層中の粒子)が隆起することにより形成された表面突起が、熱処理ゾーンにおいて再び埋没してしまうために、十分な表面粗さを得ることができない。それゆえ、フィルムをきれいに巻き取り、かつロール状に巻き取ったフィルムを巻き出す際のブロッキングや破れを抑制するために、粒子の添加量を必要以上に増やすと、ヘーズが低下するという問題を回避することができる。
上記課題を解決するには、熱処理ゾーンを2段(以上)にし、一段目の熱処理温度TS1と2段目の熱処理温度TS2を特定範囲に制御するが好ましい。
該対応により、第1段目の熱処理ゾーンにおいて、粒子がフィルム内部に埋没する前に、ある程度フィルムの結晶化を促進させておいて、さらに2段目の熱処理ゾーンにおいて十分に温度を上げても、分子の運動性は十分に低下しており、表面の突起を形成したまま、さらに結晶性を促進させ、熱収縮率の低いフィルムが得られる。また、透明性の点から、必要以上に粒子を含有させる必要がなくなる。
成型用ポリエステルフィルムに用いられる共重合ポリエステルとしては、(a)芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールと、分岐状脂肪族グリコール又は脂環族グリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステル、あるいは(b)テレフタル酸及びイソフタル酸を含む芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステルが好適である。また、二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルが、さらにグリコール成分として1,3−プロパンジオール単位又は1,4−ブタンジオール単位を含むことが成型性をさらに向上させる点から好ましい。
本発明において、ポリエステルフィルムの原料としては、(a)共重合ポリエステルのみを単独で用いる場合、(b)2種以上の共重合ポリエステルをブレンドして用いる場合、(c)1種又は2種以上の共重合ポリエステルと、1種又は2種以上のホモポリエステルとをブレンドする場合、のいずれの方法も可能である。これらの中でも、ブレンド法が融点の低下を抑制する点から好適である。
上記共重合ポリエステルとして、芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールと、分岐状脂肪族グリコール又は脂環族グリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステルを用いる場合、芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体が好適であり、全ジカルボン酸成分に対するテレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸成分の量は70モル%以上、好ましくは85モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、とりわけ好ましくは100モル%である。
また、分岐状脂肪族グリコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールなどが例示される。脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどが例示される。
これらのなかでも、ネオペンチルグリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。さらに、上記のグリコール成分に加えて1,3−プロパンジオールや1,4−ブタンジオールを共重合成分とすることが、より好ましい実施態様である。これらのグリコールを共重合成分として使用することは、前記の特性を付与するために好適であり、さらに、透明性や耐熱性にも優れ、密着性改質層との密着性を向上させる点からも好ましい。
また、上記共重合ポリエステルとして、テレフタル酸及びイソフタル酸を含む芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステルを用いる場合、エチレングリコールの量は全グリコール成分に対し70モル%以上、好ましくは85モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、とりわけ好ましくは100モル%である。エチレングリコール以外のグリコール成分としては、前記の分岐状脂肪族グリコールや脂環族グリコール、又はジエチレングリコールが好適である。
上記共重合ポリエステルを製造する際に用いる触媒としては、例えば、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物などが使用できる。これらのなかでも、チタン化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、アルミニウム化合物が触媒活性の点から好ましい。
上記共重合ポリエステルを製造する際に、熱安定剤としてリン化合物を添加することが好ましい。前記リン化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸などが好ましい。
上記共重合ポリエステルは、成型性、密着性、製膜安定性の点から、固有粘度が0.50dl/g以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.55dl/g以上、特に好ましくは0.60dl/g以上である。固有粘度が0.50dl/g未満では、成型性が低下する傾向がある。また、メルトラインに異物除去のためのフィルターを設けた場合、溶融樹脂の押出時における吐出安定性の点から、固有粘度の上限を1.0dl/gとすることが好ましい。
上記ポリエステル原料として、1種類以上のホモポリエステル又は共重合ポリエステルを用い、これらをブレンドしてフィルムを製膜することによって、共重合ポリエステルのみを用いた場合と同等の柔軟性を維持しながら透明性と高い融点(耐熱性)を実現することができる。また、高融点のホモポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)のみを用いた場合に対し、高い透明性を維持しながら柔軟性と実用上問題のない融点(耐熱性)を実現することができる。
また、上記共重合ポリエステルと、ポリエチレンテレフタレート以外のホモポリエステル(例えば、ポリテトラメチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート)を少なくとも1種以上ブレンドして、原料として使用することは、成型性の点からもさらに好ましい。
上記特性を有したポリエステルフィルムの融点は、耐熱性及び成型性の点から、200〜245℃であることが好ましい。使用するポリマーの種類や組成、さらに製膜条件を前記融点の範囲内に制御することにより、成型性と仕上がり性とのバランスが取れ、高品位の成型品を経済的に生産することができる。ここで、融点とは、いわゆる示差走査熱量測定(DSC)の1次昇温時に検出される融解時の吸熱ピーク温度のことである。該融点は、示差走査熱量分析装置(マックサイエンス社製、DSC3100S)を用いて、昇温速度20℃/分で測定して求めた。融点の下限値は、210℃がさらに好ましく、特に好ましくは230℃である。融点が200℃以上であれば、耐熱性の悪化を招くことはない。また、ゴム層の架橋を熱架橋で行う場合でもポリエステルフィルム積層体に歪が発生するといった問題も生じない。
また、ポリエステルフィルムは、波長370nmにおける光線透過率が50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下、特に好ましくは30%以下である。ポリエステルフィルムの波長370nmにおける光線透過率を50%以下に制御することにより、特に、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体を成型体の最表層として用いた場合に成型体の耐候性を向上させることができる。
上記の波長370nmにおける光線透過率を50%以下に制御する方法として、ポリエステルフィルムの構成層のいずれかに紫外線吸収剤を配合する方法を用いる。紫外線吸収剤としては、前記の特性を付与できるものであれば、無機系、有機系のどちらでも構わない。有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトアゾール系、ベンゾフェノン系、環状イミノエステル系等、及びその組み合わせが挙げられる。耐熱性の観点からはベンゾトアゾール系、環状イミノエステル系が好ましい。2種以上の紫外線吸収剤を併用した場合には、別々の波長の紫外線を同時に吸収させることができるので、いっそう紫外線吸収効果を改善することができる。
無機系紫外線吸収剤としては、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物の超微粒子類が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチル−3’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジン−4−オン)、2−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−ブチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−フェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(1−又は2−ナフチル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(4−ビフェニル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−p−ニトロフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−m−ニトロフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−p−ベンゾイルフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−p−メトキシフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−o−メトキシフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−シクロヘキシル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−p−(又はm−)フタルイミドフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン)2,2’−ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−エチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−テトラメチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−デカメチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2,6−又は1,5−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2−メチル−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2−ニトロ−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2−クロロ−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(1,4−シクロヘキシレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)1,3,5−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ナフタレン、及び2,4,6−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ナフタレン、2,8−ジメチル−4H,6H−ベンゾ(1,2−d;5,4−d’)ビス−(1,3)−オキサジン−4,6−ジオン、2,7−ジメチル−4H,9H−ベンゾ(1,2−d;5,4−d’)ビス−(1,3)−オキサジン−4,9−ジオン、2,8−ジフェニル−4H,8H−ベンゾ(1,2−d;5,4−d’)ビス−(1,3)−オキサジン−4,6−ジオン、2,7−ジフェニル−4H,9H−ベンゾ(1,2−d;5,4−d’)ビス−(1,3)−オキサジン−4,6−ジオン、6,6’−ビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−ビス(2−エチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−ビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−メチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−メチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−エチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−エチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−ブチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−ブチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−オキシビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−オキシビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−スルホニルビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−スルホニルビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−カルボニルビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−カルボニルビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−メチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−メチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−ビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−エチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−オキシビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−スルホニルビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−カルボニルビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,7’−ビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,7’−ビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,7’−メチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、及び6,7’−メチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが挙げられる。
上記の有機系紫外線吸収剤をポリエステルフィルムに配合する場合は、押し出し工程で高温に晒されるので、紫外線吸収剤は分解開始温度が290℃以上の紫外線吸収剤を用いるのが製膜時の工程汚染を少なくする上で好ましい。分解開始温度が290℃以上の紫外線吸収剤を用いると製膜中に紫外線吸収剤の分解物が製造装置のロール群等に付着し、強いてはフィルムに再付着したり、キズを付けたりして光学的な欠点となる事態を防止することができる。
前記融点の上限値は、耐熱性の点からは高いほうが良いが、ポリエチレンテレフタレート単位を主体とした場合、融点が250℃以下であれば、フィルムの成型性と透明性を確保することができる。したがって、高度な成型性や透明性を得るためには、融点の上限を245℃に制御することが好ましい。
また、ポリエステルフィルムの滑り性や巻き取り性などのハンドリング性を改善するために、フィルム表面に凹凸を形成させることが好ましい。フィルム表面に凹凸を形成させる方法としては、一般にフィルム中に粒子を含有させる方法が用いられる。
前記粒子としては、平均粒子径が0.01〜10μmの内部析出粒子、無機粒子及び/又は有機粒子などの外部粒子が挙げられる。平均粒子径が10μm以下であれば、フィルムの欠陥や意匠性及び透明性の悪化を招くことはない。一方、平均粒子径が0.01μm以上であれば、フィルムの滑り性や巻き取り性などのハンドリング性の低下を招くことを防止することができる。前記粒子の平均粒子径は、滑り性や巻き取り性などのハンドリング性の点から、下限は0.10μmとすることがさらに好ましく、特に好ましくは0.50μmである。一方、上限を好ましくは5μmとすることにより、良好な透明性や粗大突起によるフィルム欠点を低減することができる。特に好ましくは2μmである。
なお、粒子の平均粒子径は、少なくとも200個以上の粒子を電子顕微鏡法により複数枚写真撮影し、OHPフィルムに粒子の輪郭をトレースし、該トレース像を画像解析装置にて円相当径に換算して算出する。
前記外部粒子としては、例えば、湿式及び乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、カオリン、クレー、ヒドロキシアパタイト等の無機粒子及びスチレン、シリコーン、アクリル酸類等を構成成分とする有機粒子等を使用することができる。なかでも、乾式、湿式及び乾式コロイド状シリカ、アルミナ等の無機粒子及びスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼン等を構成成分とする有機粒子等が、好ましく使用される。これらの内部粒子、無機粒子及び/又は有機粒子は二種以上を、本願発明で規定した特性を損ねない範囲内で併用してもよい。
さらに、前記粒子のフィルム中での含有量は0.001〜10質量%の範囲であることが好ましい。0.001質量%以上であれば、フィルムの滑り性の悪化や、巻き取りが困難となったりするなどハンドリング性の低下を招くことはない。一方、10質量%以下であれば、粗大突起の形成、製膜性や透明性の悪化などを防止することができる。
また、フィルム中に含有させる粒子は、一般的には屈折率がポリエステルと異なるため、フィルムの透明性を低下させる要因となる。
成型品は意匠性を高めるために、フィルムを成型する前にフィルム表面に印刷が施される場合が多い。このような印刷層は、成型用フィルムの裏側に施されることが多いため、印刷鮮明性の点から、フィルムの透明性が高いことが要望されている。
そのため、フィルムのハンドリング性を維持しながら、高度な透明性を得るために、主層の基材フィルム中に実質的に粒子を含有させず、厚みが0.01〜5μmの表面層にのみ粒子を含有させた積層構造を有する積層フィルムを用いることが有効である。表面層の厚みの上限は3μmが好ましく、特に好ましくは1μmである。この場合、粒子は上記で例示したものを用いることができる。
前記したポリエステルフィルムのヘーズを0.1〜3.0%とするため、特に2.0以下にするためには、上記のフィルム中に実質的に粒子を含有させず、厚みが0.01〜5μmの表面層にのみ粒子を含有させた積層構造とすることが好ましい。なお、ハンドリング性を維持しながら、フィルム中に粒子を含有させることのみで、ヘーズが3.0%以下となるフィルムを得ることは難しい。
ヘーズが低く意匠性の高いフィルムを得るには、上記のフィルム中に実質的に粒子を含有させないことが好ましいが、30ppm以下であれば基材フィルム中に粒子を添加しても構わない。なお、上記でいう「基材フィルム中に実質的に粒子を含有させず」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に検出限界以下となる含有量を意味する。これは意識的に粒子を基材フィルムに添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分などが混入する場合があるためである。
厚みの薄い表面層の形成は、コーティング法又は共押出し法によって行うことができる。なかでも、コーティング法の場合、粒子を含有する密着性改質樹脂からなる組成物を塗布層として用いることで、印刷層との密着性も改良することができるので好ましい方法である。前記の密着性改質樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル系重合体及び/又はそれらの共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる樹脂が好ましい。
前記表面層に含有させる粒子としては、前記で記載した粒子と同様のものを使用することができる。粒子のなかでも、シリカ粒子、ガラスフィラー、シリカ−アルミナ複合酸化物粒子は屈折率がポリエステルに比較的近いため、透明性の点から特に好適である。
さらに、前記表面層における粒子含有量は、0.01〜25質量%の範囲であることが好ましい。0.01質量%未満の場合、フィルムの滑り性が悪化したり、巻き取りが困難となったりするなどハンドリング性が低下しやすくなる。一方、25質量%を越えると、透明性や塗布性が悪化しやすくなる。
上記ポリエステルフィルムは、他の機能を付与するために、種類の異なるポリエステルを用い、公知の方法で積層構造とすることができる。かかる積層フィルムの形態は、特に限定されないが、例えば、A/Bの2種2層構成、B/A/B構成の2種3層構成、C/A/Bの3種3層構成の積層形態が挙げられる
上記ポリエステルフィルムは、二軸延伸フィルムであることが重要である。二軸延伸による分子配向により、前記のフィルムの微小張力(初期荷重49mN)下での熱変形率を好ましい範囲内に制御することができ、未延伸シートの欠点である耐溶剤性や寸法安定性が改善される。該対応により未延伸シートの成型性の良さを維持しつつ、未延伸シートの欠点である耐溶剤性や耐熱性を改善することができる。
上記ポリエステルフィルムの製造方法は特に限定されないが、例えばポリエステル樹脂を必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加などの方式によりキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸シートを得た後、かかる未延伸シートを二軸延伸する方法が例示される。
二軸延伸方法としては、未延伸シートをフィルムの長手方向(MD)及び幅方向(TD)に延伸、熱処理し、目的とする面内配向度を有する二軸延伸フィルムを得る方法が採用される。これらの方式の中でも、フィルム品質の点で、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸するMD/TD法、又は幅方向に延伸した後、長手方向に延伸するTD/MD法などの逐次二軸延伸方式、長手方向及び幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方式が望ましい。また、同時二軸延伸法の場合、リニアモーターで駆動するテンターを用いてもよい。さらに、必要に応じて、同一方向の延伸を多段階に分けて行う多段延伸法を用いても構わない。
二軸延伸する際のフィルム延伸倍率としては、長手方向と幅方向に1.6〜4.2倍とすることが好ましく、特に好ましくは1.7〜4.0倍である。この場合、長手方向と幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよいし、同一倍率としてもよい。長手方向の延伸倍率は2.8〜4.0倍、幅方向の延伸倍率は3.0〜4.5倍で行うことがより好ましい。
上記ポリエステルフィルムを製造する際の延伸条件としては、例えば、下記の条件を採用することが選択することが好ましい。
縦延伸においては、後の横延伸がスムースにできるように、延伸温度は50〜110℃、延伸倍率は1.6〜4.0倍とすることがさらに好ましい。
通常、ポリエチレンテレフタレートを延伸する際に、適切な条件に比べ延伸温度が低い場合は、横延伸の開始初期で急激に降伏応力が高くなるため、延伸ができない。また、たとえ延伸ができても厚みや延伸倍率が不均一になりやすいため好ましくない。
また、適切な条件に比べ延伸温度が高い場合は初期の応力は低くなるが、延伸倍率が高くなっても応力は高くならない。そのため、25℃における10%伸張時応力が小さいフィルムとなる。よって、最適な延伸温度をとることにより、延伸性を確保しながら配向の高いフィルムを得ることができる。
しかしながら、前記共重合ポリエステルが共重合成分を1〜40モル%含む場合、降伏応力をなくすように延伸温度を高くしていくと、延伸応力は急激に低下する。特に、延伸の後半でも応力が高くならないため、配向が高くならず、25℃における10%伸張時応力が低下する。
このような現象は、フィルムの厚さが60〜500μmで発生しやすく、特に厚みが100〜300μmのフィルムで顕著に見られる。そのため、本発明の共重合したポリエステルを用いたフィルムの場合、横方向の延伸温度は、以下の条件とすることが好ましい。
まず、予熱温度はフィルム材料を押出機で押出した後の混合物(原反)をDSCにおいて測定した場合のガラス転移温度の+10〜+50℃の範囲で行う。次いで、横延伸の前半部では延伸温度は予熱温度に対して−20〜+15℃とすることが好ましい。横延伸の後半部では、延伸温度は前半部の延伸温度に対して0〜−30℃とすることが好ましく、特に好ましくは前半部の延伸温度に対して−10〜−20℃範囲である。このような条件を採用することにより、横延伸の前半では降伏応力が小さいため延伸しやすく、また後半では配向しやすくなる。なお、横方向の延伸倍率は、2.5〜5.0倍とすることが好ましい。その結果、本発明で規定した25℃における10%伸張時応力を満足するフィルムを得ることが可能である。
さらに、二軸延伸後にフィルムの熱処理(熱固定処理)を行う。この熱処理条件は、ヘーズと表面粗さ、つまりフィルムのすべり性を両立させるために重要な条件である。延伸終了後のフィルムを引き続きテンター内で熱処理するが、この場合、熱処理は2段階以上に分けて行うことが重要である。一段目の熱処理温度(TS1)は、二段目の熱処理温度(TS2)の−5〜−30℃、下限値は好ましくはTS2−10℃、上限値は好ましくはTS2−25℃である。二段目の熱処理温度(TS2)は、フィルム材料を押出機で押出した後の混合物(原反)を後述のDSCにおいて測定した場合の融点の−5〜−35℃の範囲で行う。TS2の下限値は好ましくは融点−10℃、TS2の上限値は好ましくは融点−30℃である。なお、TS1とTS2の間に中間の熱処理ゾーンを設けることも、またTS2の後に熱処理ゾーンを設けることも可能である。これらの場合、TS2は最高の熱処理温度を示す。このような条件を取ることにより、ヘーズが低く、すべり性が良好なフィルムが得られる。
その理由は、以下のようなものと考える。本発明のような共重合成分が5〜50モル%程度含まれるポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどに比較して結晶化速度が遅く、また結晶性が低い。そのため、延伸終了後に急激に高温で熱処理をすると、熱処理ゾーンにおいて結晶性の低い材料を構成する分子の運動性が高くなる。よって、延伸工程において粒子(フィルム中の粒子及び/又はコーティング層の粒子)が隆起することにより形成された表面突起が、熱処理ゾーンにおいて再び埋没してしまうために、十分な表面粗さを得ることができない。それゆえ、フィルムをきれいに巻き取るためには、粒子の含有量を必要以上に増加させることになり、ヘーズが低下する原因になる。一方、TS2の温度を所定の温度より低くすると、150℃における熱収縮率が十分低いフィルムが得られなくなる。
したがって、熱処理ゾーンを2段(以上)にする本願発明の方法をとることは、TS1において粒子がフィルム内部に埋没する前に、ある程度フィルムの結晶化を促進させておいて、さらにTS2ゾーンにおいて十分に温度を上げても、前項の状態に比べれば十分分子の運動性は低下しており表面の突起を形成したまま、さらに結晶性を促進させ、熱収縮率の低いフィルムが得られる。また、必要以上の粒子の添加を防ぐことができる。
一般に、面配向度を下げる手段としては延伸倍率を下げる方法と共重合成分の配合量を増加させる方法が知られているが、前者の方法はフィルムの厚み斑が悪化し、後者の方法ではフィルムの融点が低下し、耐熱性が悪化するため好ましくない。本発明において、二軸配向ポリエステルフィルムの面配向度と150℃の熱収縮率を小さくするために、通常よりも高温で熱固定を行う。熱固定は、前述の熱処理、特に二段目の熱処理において行うことが好ましい。
また、上記ポリエステルフィルムは共重合ポリエステルを用いるのが好ましいので、融点が均一重合体に比して低いため、熱固定温度を高くすると、横延伸工程でフィルムを保持するクリップにフィルムが剥離しにくくなる。したがって、テンター出口でクリップがフィルムを開放するときにクリップ近傍を充分に冷却することが重要である。具体的には、フィルムとクリップとを剥離しやすくするために、(1)クリップが加熱されにくいように、クリップ部分に熱遮蔽壁を設ける方法、(2)クリップ冷却機構をテンターに付加する方法、(3)冷却能力の強化を行うために熱固定後の冷却区間を長く設定し、フィルム全体の冷却を十分行う方法、(4)冷却区間の長さ、区画数を増やすことで、冷却効率を増加させる方法、(5)クリップの戻り部分が炉の外側を走行するタイプを用いてクリップの冷却を強化する方法、などを採用することが好ましい。
本発明のゴム積層用被覆ポリエステルフィルムは、上記ポリエステルフィルムの少なくとも片面に厚みが0.003〜5μmの架橋高分子層を被覆してなることが重要である。該架橋高分子層の厚みを0.003μm以上とすると、ポリエステルフィルムとゴム層の接着性向上効果が得られる。また、5μm以下であれば、ポリエステルフィルムとゴム層の工業生産上、接着性向上効果を十分に発揮することができ、さらに、後述のフィルムの長手方向及び幅方向における10%伸長時応力(25℃)を低くすることが可能となり、成型性やゴム層とポリエステルフィルムとの接着強度の耐久性の低下等を招くおそれを防止することができる。該架橋高分子層の厚みは3μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましく、0.5μm以下が特に好ましい。0.5μm以下にすることにより、ポリエステルフィルムとゴム層の接着耐久性が向上する場合がある。
上記架橋高分子層を構成する高分子化合物は限定されないが、ポリエステル、ポリウレタン及びアクリル酸系ポリマーより選ばれた少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。該高分子化合物は上記樹脂をそれぞれ単独で用いてもよく、また、異なる2種又は3種を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリエステル樹脂は、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を有するもので、ジカルボン酸とジオールを重縮合して得られるものである。
該ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や3価以上の多価カルボン酸を使用することができる。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを用いることができる。被覆膜の強度や耐熱性の点から、これらの芳香族ジカルボン酸が、好ましくは全ジカルボン酸成分の30モル%以上、より好ましくは35モル%以上、最も好ましくは40モル%以上を占めるポリエステルを用いることが好ましい。
また、脂肪族及び脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など、及びそれらのエステル形成性誘導体を用いることができる。
ポリエステル樹脂のグリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,及びp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオールなどを用いることができる。
また、ポリエステル樹脂を水系液にして塗液として用いる場合には、ポリエステル樹脂の水溶性化あるいは水分散化を容易にするため、スルホン酸塩基を含む化合物、ホスホン酸塩基を含む化合物及びカルボン酸塩基を含む化合物を共重合することが好ましい。
カルボン酸塩基を含む化合物としては、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸など、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
スルホン酸塩基を含む化合物としては、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレングリコール、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどあるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができるが、これに限定されるものではない。
ホスホン酸塩基を含む化合物としては、例えば、ホスホテレフタル酸、5−ホスホソフタル酸、4−ホスホイソフタル酸、4−ホスホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ホスホ−p−キシリレングリコール、2−ホスホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどあるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができるが、これに限定されるものではない。
また、本発明においては、上記ポリエステルとして、例えば、アクリル、ウレタン、エポキシなどで変性したブロック共重合体、グラフト共重合体などの変性ポリエステル共重合体も使用可能である。
好ましいポリエステルとしては、酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、グリコール成分としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールから選ばれる共重合体などが挙げられる。耐水性が必要とされる場合は、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の代わりに、トリメリット酸をその共重合成分とした共重合体なども好適に用いることができる。
上記ポリエステル樹脂は、以下の製造法によって製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、グリコール成分としてエチレングリコール、ネオペンチルグリコールからなるポリエステル樹脂について説明すると、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸とエチレングリコール、ネオペンチルグリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸及びエチレングリコール、ネオペンチルグリコールとをエステル交換反応させる第一段階と、この第一段階の反応生成物を重縮合反応させる第二段階とによって製造する方法などにより製造することができる。
この際、反応触媒として、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などを用いることができる。
また、カルボン酸を末端及び/又は側鎖に多く有するポリエステル樹脂を得る方法としては、特開昭54−46294号公報、特開昭60−209073号公報、特開昭62−240318号公報、特開昭53−26828号公報、特開昭53−26829号公報、特開昭53−98336号公報、特開昭56−116718号公報、特開昭61−124684号公報、特開昭62−240318号公報などに記載の3価以上の多価カルボン酸を共重合した樹脂により製造することができるが、むろんこれら以外の方法であってもよい。
また、水分散ポリエステル樹脂として、例えば市販されている「バイロナール(登録商標)」シリーズ(東洋紡績社製)を用いることもできる。
また、溶剤か要請ポリエステル樹脂として、例えば市販されている「バイロン(登録商標)」シリーズ(東洋紡績社製)を用いることもできる。
また、上記ポリエステル樹脂の固有粘度は、特に限定されないが、接着性の点で0.3dl/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.35dl/g以上、最も好ましくは0.4dl/g以上であることである。ポリエステル樹脂のガラス転移点(以下、Tgと略称することもある)は、0〜130℃であることが好ましく、より好ましくは10〜85℃である。Tgが0℃未満では、例えば耐熱接着性が劣ったり、被覆膜同士が固着するブロッキング現象が発生したりし、逆に130℃を超える場合、ポリエステル樹脂の安定性や水分散性が劣る場合があるので好ましくない。
上記ポリウレタンウレタン樹脂は、ウレタン結合を有したものであれば特に限定されるものではなく、主要構成成分としては、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を重合して得られるものである。
該ポリウレタン樹脂としては、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、又は硫酸半エステル塩基の導入により水への親和性が高められたウレタン樹脂などを用いることができる。カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、又は硫酸半エステル塩基などの含有量は、0.5〜15質量%が好ましい。
ポリオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、アクリル系ポリオールなどを用いることができる。
また、ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールエタンの付加物などを用いることができる。
ここで、ウレタン樹脂の主要な構成成分は、上記ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の他に、鎖長延長剤や架橋剤などを含んでいてもよい。
鎖延長剤あるいは架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを用いることができる。
アニオン性基を有するポリウレタン樹脂は、例えば、ポリオール、ポリイソシアネート、鎖延長剤などに、アニオン性基を有する化合物を用いる方法、生成したポリウレタン樹脂の未反応イソシアネート基とアニオン性基を有する化合物を反応させる方法、あるいはポリウレタンの活性水素を有する基と特定の化合物を反応させる方法などを用いて製造することができるが、特に限定されるものではない。
上記ポリウレタン樹脂中のアニオン性基は、好ましくはスルホン酸基、カルボン酸基及びこれらのアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩あるいはマグネシウム塩として用いられ、特に好ましくは、スルホン酸塩基である。
ポリウレタン樹脂中のアニオン性基の量は、0.05質量%〜8質量%が好ましい。0.05質量%未満では、ポリウレタン樹脂の水分散性が悪くなる傾向があり、8質量%を超えると、耐水性や耐ブロッキング性が劣る傾向がある。
なお、例えばポリウレタン樹脂の水分散体として、「ハイドラン(登録商標)」シリーズ(大日本インキ化学工業社製)を用いることもできる。
上記アクリル系ポリマー樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基など)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有モノマー、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)などのカルボキシル基又はその塩を含有するモノマーなどを用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いて共重合される。更に、これらは他種のモノマーと併用することができる。
ここで他種のモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマー、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などのスルホン酸基又はその塩を含有するモノマー、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸及びそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などのカルボキシル基又はその塩を含有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物を含有するモノマー、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどを用いることができる。
また、上記アクリル系ポリマー樹脂としては、変性アクリル系ポリマー樹脂、例えば、ポリエステル、ウレタン、エポキシなどで変性したブロック共重合体、グラフト共重合体なども使用可能である。
上記アクリル系ポリマー樹脂のTgは特に限定されるものではないが、好ましくは−10〜90℃、より好ましくは0〜50℃、最も好ましくは10〜40℃である。Tgが低いアクリル樹脂を用いる場合は耐熱接着性が劣ったり、ブロッキングしやすい傾向があり、逆に高すぎる場合は接着性が悪くなったり、造膜性が劣ることがあり好ましくない。また、該アクリル系ポリマーの分子量は5万以上が好ましく、より好ましくは30万以上とすることが接着性の点で望ましい。
上記アクリル系ポリマー樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリル酸から選ばれる共重合体などである。
該アクリル系ポリマー樹脂を水に溶解、乳化、あるいは懸濁し、水系液として用いることが、環境汚染や塗布時の防爆性の点で好ましい。このような水系アクリル系ポリマー樹脂は、親水性基を有するモノマー(アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルスルホン酸及びその塩など)との共重合や反応性乳化剤や界面活性剤を用いた乳化重合、懸濁重合、ソープフリー重合などの方法によって作製することができる。
また、市販のアクリル系エマルジョンを用いてもよく、例えば、「ジョンクリル(登録商標)」シリーズ(BASFジャパン社製)が挙げられる。
また、本発明においては、上記ポリエステル、ポリウレタン及びアクリル系ポリマーよりなる樹脂に、例えば、二トリル・ブタヂエン等のゴム成分の骨格を導入した変性体であっても良い。該変性体を用いることでゴム層との接着性や接着耐久性をより向上することができることがあるので好ましい実施態様である。該対応の場合、導入するゴム成分の骨格は、複合対象のゴム成分と同類の構造が好ましいが、必ずしも限定されない。異種構造のゴム成分の導入でも効果がでる場合がある。ゴム成分の導入の効果が複合されるゴム層との馴染み性向上のみでなく、架橋高分子膜の柔軟性向上効果による接着耐久性の向上効果が加味されるために引き起こされる効果によるもと推察している。
上記変性体の調整方法は限定されない。例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基あるいはアミノ基が導入されたゴム成分を上記ポリマー調製時に添加して例えば、縮合反応や付加反応を利用して、該ポリマー中に導入してしても良いし、例えば、末端にビニル基やアクリル基を導入したゴム成分を用いてグラフトやブロック重合を行なうことによって導入しても良い。
本発明においては、上記ポリエステル、ポリウレタン及びアクリル系ポリマーよりなる樹脂は架橋されていることが好ましい。
該架橋方法は限定されないが、例えば、上記ポリマーよりなる樹脂を、架橋剤を用いて架橋する方法が挙げられる。
上記架橋剤を用いて架橋する方法における架橋剤は、架橋剤は、特に限定されるものではないが、上記したポリマーに存在する官能基、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メチロール基、アミド基などと架橋反応し得るものであればよく、例えば、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。中でも、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤が、樹脂との相溶性、接着性などの点から好適に用いることができる。特に、接着耐久性の点より、イソシアネート系架橋剤の使用が好ましい。
例えば、メラミン系架橋剤は、特に限定されないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、あるいはこれらの混合物などを用いることができる。また、メラミン系架橋剤としては単量体、2量体以上の多量体からなる縮合物、あるいはこれらの混合物などを用いることができる。エーテル化に使用する低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを用いることができる。官能基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基などのアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などである。その中でも、イミノ基型メラミン樹脂、メチロール化メラミン樹脂が好ましく、最も好ましくは、イミノ基型メラミン樹脂である。更に、メラミン系架橋剤の熱硬化を促進するため、例えば、p−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いてもよい。
また、オキサゾリン系架橋剤は、該化合物中に官能基としてオキサゾリン基を有するものであれば特に限定されるものではないが、オキサゾリン基を含有するモノマーを少なくとも1種以上含み、かつ、少なくとも1種の他のモノマーを共重合させて得られるオキサゾリン基含有共重合体からなるものが好ましい。
オキサゾリン基を含有するモノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどを用いることができ、これらの1種又は2種以上の混合物を使用することもできる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
オキサゾリン系架橋剤において、オキサゾリン基を含有するモノマーに対して用いられる少なくとも1種の他のモノマーとしては、該オキサゾリン基を含有するモノマーと共重合可能なモノマーであれば、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどの不飽和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどの含ハロゲン−α,β−不飽和モノマー類、スチレン、α−メチルスチレンなどのα,β−不飽和芳香族モノマー類などを用いることができ、これらは1種又は2種以上の混合物を使用することもできる。
オキサゾリン基含有架橋剤としては、例えば、「エポクロス(登録商標)」シリーズ(日本触媒社製)が入手可能である。
また、イソシアネート系架橋剤は、該化合物中に官能基としてイソシアネート基を有するものであれば特に限定されるものではないが、1分子中にイソシアネート基を2個以上含む多官能性イソシアネート化合物の使用が好ましい。
多官能性イソシアネート化合物としては、低分子又は高分子の芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートを用い得る。ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びこれらのイソシアネート化合物の3量体がある。さらに、これらのイソシアネート化合物の過剰量と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物、又はポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類などの高分子活性水素化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物を挙げることができる。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、「コロネート(登録商標)」シリーズ(ポリウレタン工業社製)や「ミリオネート(登録商標)」シリーズ(ポリウレタン工業社製)が入手可能である。特に、接着性耐久性の点で、ミリオネートシリーズの使用が好ましい。
なお、イソシアネート化合物を架橋剤として用いる場合に、ブロック型イソシアネート化合物を用いることも可能である。
ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて調製し得る。イソシアネートブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類;チオフェノール、メチルチオフェノールなどのチオフェノール類;アセトキシム、メチルエチケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類;t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級アルコール類;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、ν−ブチロラクタム、β−プロピルラクタムなどのラクタム類;芳香族アミン類;イミド類;アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物;メルカプタン類;イミン類;尿素類;ジアリール化合物類;重亜硫酸ソーダなどを挙げることができる。
エポキシ系架橋剤該化合物中に官能基としてエポキシ基を有するものであれば特に限定されるものではないが、1分子中にエポキシ基を2個以上を含む多官能性エポキシ化合物の使用が好ましい。
多官能性エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル及びポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
上記架橋剤としては、アルキル化フェノール類、クレゾール類などのホルムアルデヒドとの縮合物のフェノールホルムアルデヒド樹脂;尿素、メラミン、ベンゾグアナミンなどとホルムアルデヒドとの付加物、この付加物と炭素原子数が1〜6のアルコールからなるアルキルエーテル化合物などのアミノ樹脂等も使用できる。
フェノールホルムアルデヒド樹脂としては、例えば、アルキル化(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル又はブチル)フェノール、p−tert−アミルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンフェノール、p−tert−ブチルフェノール、o−、m−、p−クレゾール、p−シクロヘキシルフェノール、4,4’−イソプロピリデンフェノール、p−ノニルフェノール、p−オクチルフェノール、3−ペンタデシルフェノール、フェノール、フェニルo−クレゾール、p−フェニルフェノール、キシレノールなどのフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物を挙げることができる。
アミノ樹脂としては、例えば、メトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロールN,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げられるが好ましくはメトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、及びメチロール化ベンゾグアナミンなどを挙げることができる。
上記樹脂と架橋剤は任意の比率で混合して用いることができるが、一般に用いられている上記樹脂100質量部に対し、架橋剤を固形分質量比で2質量部以上、50質量部未満添加してもその効果が発現されるが、接着耐久性を付与する場合には50質量部以上することが好ましく、より好ましくは70質量部以上の添加であり、さらに好ましく90質量部以上を添加するのが好ましい。架橋剤の添加量が、2質量部未満添加の場合、その添加効果が小さい。上限は限定されないが500質量部である。
本発明においては、上記方法以外にも、例えば、前記したポリマーに架橋性の官能基を導入した自己架橋型の樹脂を用いて架橋高分子層を形成してもよい。自己架橋型の樹脂を用いる場合の架橋方法は、例えば、熱架橋であってもよく、紫外線、電子線及びγ線等のような高エネルギーの活性線による架橋であってもよい。
以下、自己架橋型の樹脂として、ポリエステルの場合について具体的な方法を例示する。
本発明で好適に使用される自己架橋型のポリエステル樹脂は、疎水性共重合ポリエステル樹脂に、少なくとも1種のラジカル重合性二重結合を有する化合物をグラフトさせたポリエステル系グラフト共重合体樹脂である。本発明におけるポリエステル系グラフト共重合体樹脂の「グラフト化」とは、主鎖である幹ポリマーに、主鎖とは異なる重合体からなる枝ポリマーを導入することにある。グラフト重合は、通常、疎水性共重合ポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤を使用して、少なくとも一種のラジカル重合性モノマーを反応させることにより実施される。疎水性共重合ポリエステル樹脂とは、本来それ自身で水に溶解しない、本質的に水不溶性のポリエステル樹脂であるため、水に溶解するポリエステル樹脂をグラフト重合の際の幹ポリマーとして使用する場合に比べ、耐熱水接着性に優れている。
疎水性共重合ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分100モル%中、芳香族ジカルボン酸が60〜99.5モル%、脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸が0〜39.5モル%、ラジカル重合性二重結合を含有するジカルボン酸が0.5〜10モル%であることが好ましい。より好ましくは、芳香族ジカルボン酸が68〜98モル%、脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸が0〜30モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸が2〜7モル%である。
前記芳香族ジカルボン酸が60モル%以上であり、前記脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸が39.5モル%以下である場合には、耐熱水接着性が良好となる。また、ラジカル重合性二重結合を含有するジカルボン酸を0.5モル%以上用いることで、ポリエステル樹脂に対するラジカル重合性モノマーのグラフト化を効率よく行うことができる。一方、10モル%以下とすることにより、グラフト化反応の後期に、反応溶液の粘度が顕著に上昇することを抑制し、反応を均一に進行できるため好ましい。
芳香族ジカルボン酸、脂肪族及び/又は脂環族ジカルボン酸は、前記例示の化合物がいずれも使用可能である。ラジカル重合性二重結合を含有するジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、等のα、β−不飽和ジカルボン酸;2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等の不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸等を例示することができる。これらの重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸のうち、重合性の点から、フマル酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸が好ましい。
グリコール成分も、前記例示の化合物がいずれも使用可能である。グリコール成分は、2種以上併用してもかまわない。なかでも、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコール等が好ましい。
前記疎水性共重合ポリエステル樹脂には、0〜5モル%の3官能以上のポリカルボン酸及び/又はポリオールを共重合することができる。3官能以上のポリカルボン酸としては、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等が挙げられる。また、3官能以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が使用される。
3官能以上のポリカルボン酸及び/又はポリオールは、全酸成分あるいは全グリコール成分に対し0〜5モル%、好ましくは0〜3モル%の範囲で共重合され、この範囲であれば重合時のゲル化を抑制することができる。
また、疎水性共重合ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、接着性の点から下限が5,000であることが好ましい。また、重合時のゲル化等の点で、上限は50,000であることが好ましい。
疎水性共重合ポリエステル樹脂を合成した後は,グラフト重合を行う。グラフト重合は、疎水性共重合ポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤を使用して少なくとも一種のラジカル重合性モノマーを反応させることにより行う。なお、グラフト反応終了後の反応生成物は、所望の疎水性共重合ポリエステル樹脂とラジカル重合性モノマーとのグラフト共重合体の他に、グラフト化を受けなかった疎水性共重合ポリエステル及び疎水性共重合ポリエステル樹脂にグラフトしなかったラジカル重合性モノマーから得られる(共)重合体をも含有している。本発明におけるポリエステル系グラフト共重合体とは、上記したポリエステル系グラフト共重合体だけでなく、これに加えて、グラフト化を受けなかった疎水性共重合ポリエステル樹脂、グラフトしなかったラジカル重合性モノマーから得られる(共)重合体及びモノマー(残存モノマー)も含む反応混合物をも包含する。
本発明において、疎水性共重合ポリエステル樹脂にラジカル重合性モノマーをグラフト重合させた反応物の酸価は、耐熱水接着性の点から、600eq/10g以上であることが好ましい。より好ましくは、反応物の酸価は1200eq/10g以上である。反応物の酸価が600eq/10g未満である場合は、耐熱水接着性が低下する場合がある。
また、本発明の目的に適合する望ましい疎水性共重合ポリエステルとラジカル重合性モノマーの質量比率は、ポリエステル/ラジカル重合性モノマー=40/60〜95/5の範囲が望ましく、より望ましくは55/45〜93/7、最も望ましくは60/40〜90/10の範囲である。
疎水性共重合ポリエステル樹脂の質量比率を40質量%以上とすることで、ポリエステルの優れた接着性を発揮することができる。一方、疎水性共重合ポリエステルの質量比率を95質量%以下とすることで、耐ブロッキング性を改善するとともに、反応物の酸価を上記範囲に調整することができる。
グラフト重合反応物は、有機溶媒の溶液もしくは分散液又は水系溶媒の溶液もしくは分散液の形態になる。特に、水系溶媒の分散液、すなわち、水分散体の形態が、作業環境、塗布性の点で好ましい。よって、グラフトさせるラジカル重合性モノマーとしては、親水性ラジカル重合性モノマーを必須的に含むラジカル重合性モノマーを用いることが好ましい。そして、有機溶媒中でグラフト重合した後は、水を添加し、有機溶媒を留去すれば、水分散体を得ることができる。
親水性ラジカル重合性モノマーとは、親水基を有するか、後で親水基に変化できる基を有するラジカル重合性モノマーを意味する。親水基を有するラジカル重合性モノマーとしては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸基、アミド基、第4級アンモニウム塩基等を含むラジカル重合性モノマーを挙げることができる。一方、親水基に変化できる基を有するラジカル重合性モノマーとしては、酸無水物基、グリシジル基、クロル基等を含むラジカル重合性モノマーを挙げることができる。これらの中でも、水分散性の点から、カルボキシル基が好ましく、カルボキシル基を有するか、カルボキシル基を発生する基を有するラジカル重合性モノマーが好ましい。
グラフト反応物の酸価を上記好適範囲にするためには、カルボキシル基を含有しているか、カルボキシル基を発生する基を有するラジカル重合性モノマーが含まれているほうが好ましい。このようなモノマーとしては、フマル酸、フマル酸モノエチル;マレイン酸とその無水物、マレイン酸モノエチル;イタコン酸とその無水物、イタコン酸のモノエステル;アクリル酸、メタクリル酸;及びこれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)等が挙げられる。好ましくは、マレイン酸無水物である。上記モノマーは1種もしくは2種以上を用いて共重合させることができる。
グラフトさせるラジカル重合性モノマーには、酸価を上記好適範囲にする限りは、他種のモノマーが含まれていてもよい。他種のモノマーとしては、前記したアクリル系ポリマーを合成するときに用い得るモノマーがそのまま用い得る。
上記グラフト重合開始剤としては、例えば、当業者に公知の有機過酸化物類や有機アゾ化合物類が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、有機アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。グラフト重合を行うための重合開始剤の使用量は、ラジカル重合性モノマーに対して、少なくとも0.2質量%以上、好ましくは0.5質量%以上である。
重合開始剤の他に、枝ポリマーの鎖長を調節するための連鎖移動剤、例えば、オクチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールを必要に応じて用い得る。この場合、重合性モノマーに対して0〜5質量%の範囲で添加することが望ましい。
グラフト化反応生成物は、塩基性化合物で中和することが好ましく、中和することによって容易に水分散化することができる。塩基性化合物としては、塗膜形成時に揮散する化合物が望ましく、アンモニア、有機アミン類等が好適である。望ましい化合物としては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を挙げることができる。
塩基性化合物は、グラフト化反応生成物中に含まれるカルボキシル基含有量に応じて、少なくとも部分中和又は完全中和によって水分散体のpH値が5.0〜9.0の範囲であるように使用するのが望ましい。沸点が100℃以下の塩基性化合物を使用した場合であれば、乾燥後の塗膜中の残留塩基性化合物も少なく、例えば、高温、多湿下等の過酷な環境下における耐熱水接着性が向上する。
グラフト化反応生成物では、ラジカル重合性モノマーの重合物の重量平均分子量は500〜50,000であるのが好ましい。ラジカル重合性モノマーの重合物の重量平均分子量を500未満にコントロールすることは一般に困難であり、グラフト効率が低下し、共重合ポリエステルへの親水性基の付与が充分に行われない傾向がある。また、ラジカル重合性モノマーのグラフト重合物は分散粒子の水和層を形成するが、充分な厚みの水和層をもたせ、安定な水分散体を得るためにはラジカル重合性モノマーのグラフト重合物の重量平均分子量は500以上であることが望ましい。
ラジカル重合性モノマーのグラフト重合物の重量平均分子量は、溶液重合における重合性の点より、その上限値が50,000であることが好ましい。ラジカル重合性モノマーのグラフト重合物の重量平均分子量を500〜50,000の範囲内とするためには、開始剤量、モノマー滴下時間、重合時間、反応溶媒、モノマー組成、又は必要に応じて連鎖移動剤や重合禁止剤を適宜組み合わせることにより行うことが好ましい。
グラフト共重合体のガラス転移温度は、特に限定されないが、耐熱水接着性を考慮すれば、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上である。
本発明において、疎水性共重合ポリエステル樹脂にラジカル重合性モノマーをグラフト重合させた反応物は、ポリエステル中のヒドロキシル基と,グラフト部分に存在するカルボキシル基が反応するため、自己架橋性を有する。また、常温では架橋しないが、塗膜形成の際の乾燥時の熱で、熱ラジカルによる水素引き抜き反応等の分子間反応を行い、架橋剤なしで架橋する。これにより、高度な耐熱水接着性を発揮する。塗膜の架橋度については、種々の方法で評価できるが、例えば、疎水性共重合ポリエステル及びグラフトした重合体の両方を溶解するクロロホルム溶媒等での不溶分率を測定する方法等が挙げられる。
80℃程度で乾燥し、120℃で5分間熱処理して得られる塗膜の不溶分率は、耐熱水接着性と耐ブロッキング性の点から、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上である。
自己架橋型ポリエステル樹脂水分散体として、例えば、「バイロナール(登録商標)AGN702」(東洋紡績社製)等の市販のものを用いることもできる。
また、上記と類似した方法でグラフト化ポリウレタンを調製することができる。
また、上記架橋高分子層中には本発明の効果が損なわれない範囲内で、各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機又は無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが配合されていてもよい。
特に、該架橋高分子層中に無機粒子を添加したものは、易滑性や耐ブロッキング性が向上するので更に好ましい。この場合、添加する無機粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどを用いることができる。用いられる無機粒子は、平均粒径0.005〜5μmが好ましく、より好ましくは0.01〜3μm、最も好ましくは0.05〜2μmであり、被覆膜中の樹脂に対する混合比は特に限定されないが、固形分質量比で0.05〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。
上記架橋高分子層を被覆する方法は限定されず任意であるが、塗布法で実施する方法が好適である。該方法に於ける塗布液を塗工する段階としては、未延伸フィルムに塗布し、次いで少なくとも一方向に延伸する方法、縦延伸後に塗布する方法、配向処理の終了したフィルム表面に塗布する方法など、いずれの方法も可能である。なかでも、ポリエステル基材フィルムを製造する際、フィルムの結晶配向が完了する前に塗布し、その後、少なくとも1方向に延伸した後、ポリエステルフィルムの結晶配向を完了させる、いわゆるインラインコート法が本発明の効果をより顕著に発現させることができる好ましい方法である。
基材フィルムであるポリエステルフィルム上への塗液の塗布方法は、各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。
本発明においては、以上のごとく上記架橋高分子層はポリエステルフィルムの少なくとも片面に被覆することは必須であるが、該架橋高分子層をポリエステルフィルムの両面に被覆する形態がより好ましい実施態様である。該実施態様による効果は後述する。
本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、成型性を維持し、かつゴム層とポリエステルとの接着強度や該接着強度の耐久性等が改善できる理由は不明であるが、本発明のゴム層を積層する場合においては、極僅かの変形領域におけるゴム層とポリエステルフィルムとの伸長時応力差が小さくすることにより成型時のゴム層とポリエステルフィルムの界面の歪発生が低減され上記特性が改善されたと推定している。なお、本発明においては、ポリエステルのゴム層の間には架橋高分子層が存在するので、上記界面とは、ゴム層と架橋高分子層との界面を意味している。
上記特性を付与する方法は限定されないが、ポリエステルフィルムの面配向度と架橋高分子層厚みを前記範囲にするのが好ましい実施態様である。
本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は上記方法で得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムの架橋高分子層の表面に接着剤を介することなく直接ゴム層を積層してなることが好ましい。
上記対応によりポリエステルフィルムとゴム層を貼り合せる接着剤の使用と該貼り合せ工程が省略できるので経済的に有利となる。また、接着剤層により成型性の低下を抑制することができる。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、ゴム層と被覆ポリエステルフィルムとの接着強度が9N/20mm以上であることが好ましい。10N/20mm以上がより好ましく、11N/20mm以上がさらに好ましい。ナイフでゴム層と被覆ポリエステルフィルムの間に切り込みを入れても界面出しが出来ないのが最も好ましい。以下、各種耐久試験後の接着強度と区別するため、耐久試験前の接着強度を初期接着強度とも称する。
上記初期接着強度が9N/20mm未満では、例えば、ゴム・ポリエステル積層体を成型体の部材として使用した場合に、成型工程や成型体を使用する場合にゴム層とゴム積層用被覆ポリエステルフィルムの剥離が起こる場合があるので好ましくない。
なお、本発明においては、ポリエステルフィルムとゴム層の間には架橋高分子層が存在するので、本発明における接着強度とは、ゴム層と架橋高分子層との剥離強度あるいはポリエステルフィルムと架橋高分子層との層間剥離強度のどちらかの層間剥離強度を意味している。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、トルエン浸漬後(25℃、72時間間)のポリエステルフィルムとゴム層との接着強度が8N/20mm以上であることが好ましい。9N/20mm以上がより好ましく、10N/20mm以上がさらに好ましい。以下、上記接着強度を耐溶剤接着強度とも称する。また、上記特性を耐溶剤接着耐久性とも称する。上記耐溶剤接着強度が8N/20mm未満の場合は、例えば、ゴム・ポリエステルフィルム積層体表面に印刷や塗装をして装飾を施す場合に、印刷インクや塗料に含まれる有機溶剤により、ポリエステルフィルムとゴム層との剥離が発生したり、あるいはポリエステルフィルムとゴム層との接着力の耐久性が低下し、該ゴム・ポリエステルフィルム積層体を用いた成型体の耐久性や、該耐久性に対する信頼性が低下するので好ましくない。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、下記方法で評価される耐水耐久処理をした後のポリエステルフィルムとゴム層との接着強度が8N/20mm以上であることがより好ましい。9N/20mm以上であることがさらに好ましく、10N/20mm以上であることが特に好ましい。以下、上記接着強度を耐水接着強度とも称する。また、上記特性を耐水接着耐久性とも称する。上記耐水接着強度が8N/20mm未満の場合は、例えば、自動車用外板等の耐久性が求められる成型体の構成部材として用いた場合にゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルムとゴム層の間で剥離が発生すしたり、あるいはポリエステルフィルムとゴム層との接着力の耐久性が低下し、該ゴム・ポリエステルフィルム積層体を用いた成型体の耐久性や、該耐久性に対する信頼性が低下するので好ましくない。
〔耐水接着耐久性〕
ゴム・ポリエステルフィルム積層体を50mm×50mmに切断した測定試料を、蒸留水400ccを入れた500ccの蓋付きの円筒状のガラス容器の中に、上記試料のゴム層が下側になるように水中に沈め、試料全体が水中に浸漬した状態で容器に蓋をする。試料の自重だけでは水中に浸漬しない場合は、例えば、60mm×60mm、厚さ188μmのポリエステルフィルムを試料の上に載せて、重しにすればよい。重しの大きさや素材は特に限定されるものではなく、試料全体が水中に浸漬すればよい。試料の入った容器を、90℃に設定したギアーオーブン中に入れ、14日間静置する。熱処理後、オーブンから容器を取り出し、速やかに試料を取り出して、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム層とポリエステルフィルムの界面にナイフを入れ、その部分に指で応力を加えて界面剥離を発生させ、JIS K6854に準じてT型剥離法で剥離強度を測定する。
本発明においては、上記ゴム層を構成するゴム成分は限定されない。例えば、天然ゴム(NR)、シリコーンゴム(Q)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の任意のゴム又はこれらの混合物が挙げられる。
該ゴム成分は使用目的に応じた必要特性により適宜選択される。
本発明においては、前記した各種接着強度を付与する方法は限定されないが、ゴム層に接着性改良剤を配合してなることが好ましい。
上記接着性改良剤としては、ラジカル反応に対して活性な反応基を含む化合物を用いるのが好ましい。この化合物としては、アクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体及びアリル誘導体等が例示されるが、中でも不飽和結合を2個以上、特に3個以上有する誘導体が好ましい。これらの化合物は、ゴムの共架橋剤として広く使用されており、多価アルコールのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、多価カルボン酸のアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられる。
上記多価アルコールのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルは、2個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールのアルコール性水酸基2個以上をアクリル酸やメタクリル酸でエステル化したエステル化合物であり、例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3ブタンジオールジアクリレート、1,3ブタンジオールジメタクリレート、1,4ブタンジオールアクリレート、1,4ブタンジオールメタクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2,2’ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2’ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロン、グリセリンジメタクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンジアクリレート、テトラメチロールメタンジメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールテトラメタクリレート、ダイマージオールジアクリレート、ダイマージオールジメタクリレート等が挙げられ、特に3個以上のアリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを含む化合物が好ましい。なお、上記の化合物は、アクリル酸及びフタクリル酸のそれぞれの単独エステル化合物を例示したが、アクリル酸とメタクリル酸の混合エステルの形であってもよい。
また、多価カルボン酸のアリルエステルとしては、フタル酸ジアリレート、トリメリット酸ジアリレート、ピロメリット酸テトラアリレート等が挙げられる。
上記接着性改良剤は、いずれか一種を単独で用いてもよく、また二種以上を併用してもよい。また、この発明に用いられる接着改良剤は、上記の例示化合物に限定されるものではない。
上記接着性改良剤の配合量は、全ゴム成分100質量部に対して0.2〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部であり、0.2質量部未満では基材フィルムとの接着強度が不十分となり、反対に20質量部を超えると上記接着強度の向上効果が飽和に達し、かつゴムの物性が低下する。
また、上記した接着性改良剤による接着性向上効果の発現を促進させるため、ゴム層に対してパーオキサイド化合物を配合することが好ましい実施態様である。該対応によりゴムとゴム積層用ポリエステルフィルムとの層間剥離強度が一層向上する。
パーオキサイド化合物としては、アシル系又はアルキル系のいずれでもよく、ベンゾイルパーオキサイド、モノクロルベンゾイルパーオキサイド、2,4ジクロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド等が例示される。
上記パーオキサイド化合物の配合量は、ゴム成分100質量部に対して0.05〜10質量部、特に1〜8質量部が好ましい。この配合量を0.05質量部以上とすることにより、接着性が向上し、また10質量部以下であれば上記の促進効果を維持しつつ、ゴム及びフィルムの物性低下を招くことはない。
また、シリコーンゴム以外のゴムを用いる場合には、該ゴム層に未架橋のシリコーンゴムを配合するのが好ましい。該未架橋のシリコーンゴムは、平均単位式:RaSiO(4−a)/2 で表されるオルガノポリシロキサンである。上式中、Rは置換又は非置換の一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、ビニル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基である。また、上式中、aは1.9〜2.1の範囲内の数である。シリコーンゴム成分は、上記の平均単位式で表されるが、これを構成する具体的なシロキサン単位としては、例えば、RSiO1/2 単位、R(HO)SiO1/2 単位、RSiO2/2 単位、RSiO3/2 単位及びSiO4/2 単位が挙げられる。
シリコーンゴム成分の主成分は、RiO2/2 単位とRSiO1/2 単位もしくはR(HO)SiO1/2 単位を必須とする直鎖状の重合体であり、場合により少量のRSiO3/2 単位及び/又はRSiO1/2 単位を含有して、一部分岐構造を有することができる。また、シリコーンゴム成分の一部としてRSiO1/2 単位及びSiO4/2 単位からなる樹脂状の重合体を配合することができる。このようにシリコーンゴム成分は、二種以上の重合体の混合物であってもよい。
また上記未架橋のシリコーンゴム成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、樹脂状等が挙げられ、シリコーンゴムを形成するためには、直鎖状の重合体か、又は直鎖状の重合体を主成分とする混合物である。このようなシリコーンゴム成分としては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、RSiO1/2 単位とSiO4/2 単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、RSiO2/2 単位とRSiO3/2 単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、RSiO1/2 単位とRSiO2/2 単位とRSiO3/2 単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、これら二種以上の混合物が挙げられる。なお、上記シリコーンゴム成分の25℃における粘度は、特に限定されないが、実用的には100センチストークス以上、特に1,000センチストークス以上が好ましい。
上記未架橋のシリコーンゴムの配合量は、エチレンプロピレン系ゴム100質量部に対して5〜100質量部、特に10〜70質量部が好ましい。上記配合量が5質量部以上であれば、接着性向上効果の向上が促進され、反対に100質量部以下であれば、上記の促進効果を経済的に維持することができる。なお、シリコーンゴムを配合することにより、ゴムの耐熱性も向上する場合がある。
また、ゴム層に未架橋のシリコーンゴムを配合する代わりに、ゴム積層用被覆ポリエステルとゴム層との間に中間層として接着性改良剤が配合された未架橋のシリコーンゴム組成物の層を介在させてゴム積層用被覆ポリエステルとゴム層との接着強度を向上させてもよい。この場合の未架橋のシリコーンゴムは、上記同様のものが使用可能であり、また接着性改良剤は、前記のゴム層に配合されるものと同様のものが使用可能である。そして、シリコーンゴムに対する接着性改良剤の配合量は、前記メタクリル酸エステルの場合、シリコーンゴム100質量部に対し0.5〜30質量部、特に1〜20質量部が好ましい。0.5質量部以上であれば、基材フィルムとの接着強度が良好で、30質量部以下であれば、経済的に強度を維持することができる。
上記未架橋のシリコーンゴム層の厚みは、0.0005〜0.05mmが好ましい。
なお、必要に応じて補強性充填剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、チクソトロピー性付与剤、充填剤用分散剤等を配合することができる。また、上記の接着性改良剤による接着性向上効果を促進させるための接着性向上促進剤として、過酸化物を配合することができる。
ゴムに上記配合剤を配合する方法は、特に限定されず、例えばゴムコンパウンドを作製する際に2本ロール、バンバリーミキサー、ドウミキサー(ニーダー)などのゴム練り機を用いて行ってもよく、またゴムを溶剤に溶解し、流延法で製膜する場合は、ゴムコンパウンドを溶媒に溶解して溶液を作製する際、又は溶液にした後のいずれで添加配合してもよい。
本発明においては、上記のゴム・ポリエステルフィルム積層体の製造方法は限定されない。例えば、前記したゴム積層用被覆ポリエステルフィルムの架橋高分子層表面に未架橋のゴム層を積層し、引き続きゴム層を架橋して製造するのが好ましい。該方法において、ゴム層に上記した接着性改良剤を配合してなることがより好ましい実施態様である。
上記対応により前記したような特性を有したゴム・ポリエステルフィルム積層体を経済的に、かつ安定して製造することができる。
ゴム積層用被覆ポリエステルにゴム層を積層する方法は任意であり、例えばゴム組成物を溶媒に溶解した溶液をゴム積層用被覆ポリエステルフィルムの架橋高分子層表面に塗工、乾燥してゴム層を形成する方法、ゴム積層用被覆ポリエステルフィルムの架橋高分子層表面にゴム組成物を高圧下で押出してゴム層を形成する方法及びカレンダー法等が挙げられる。液状シリコーンゴムのような液状ゴムを用いる場合は、溶剤で希釈することなく塗工することができる。
上記製造方法における架橋方法は特に限定されない。例えば、熱架橋であってもよく、電子線やγ線等のような高エネルギーの活性線による架橋であってもよい。特に、活性線による方法は、過酸化物等のラジカル発生のための添加物を配合する必要がなく、これらの添加物の残渣によるゴム物性の低下がなく、しかも効率的に架橋でき、生産性が高いので好適である。
本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体の使用目的によりゴム層の表面粗さを種々に変えたい場合がある。このような目的でゴム層の表面粗度を制御する手段として、表面粗度の異なるフィルムや布帛からなるカバーシートを未架橋状態のゴム層表面に重ねてカバーシートの表面形態をゴム層表面に転写することが知られている。例えば、一般のゴムシートの表面に微細な凹凸を付与する手段として、マット加工やエンボス加工を施したポリエチレンフィルムや塩化ビニルフィルム、又はナイロンタフタやポリエステルタフタ等のフィラメント織物をカバーシートに用いた目付けが広く行われている。本発明においても該方法を適用することができる。
上記のカバーシートは、ゴム層の架橋時にその表面に重ねられて架橋終了後に剥離されるが、前記のようにゴム層にポリエステルフィルムとの間の接着強度を向上させるための接着性改良剤等が配合されている場合は、架橋後にカバーシートを剥離しようとしても、ゴム層とカバーシート間の剥離強度も向上しているためカバーシートの剥離が困難になる場合がある。一方、架橋処理前にカバーシートを剥離すると、ゴムが欠けてカバーシートに付着するという問題がある。
したがって、カバーシートの剥離性を向上させるための表面処理を行うことが好ましい。また、カバーシートとして、ゴム層に対する接着力が低い素材、例えばポリ−4−メチルペンテン−1又はエチレン・メチルメタクリレート共重合体からなるフィルムを用いてもよい。また、ゴム層を多層化し、ポリエステルフィルムと反対側のゴム層の接着性改良剤の配合量をポリエステルフィルム側のゴム層よりもカバーシート側で少なくすることができる。また、架橋を電子線照射で行う場合は、その照射をポリエステルフィルム側から行うことも一方法であり、この場合はゴム層とポリエステルフィルムの接着力も向上する点で好ましい。
本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体の使用方法は限定されないが、プラスチック成型体の部材として使用するのが好ましい一態様である。該使用により得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体とプラスチック成型体との複合体は、[発明の効果]において記述した各種の効果を活かすことができる。
上記プラスチック成型体に用いられる樹脂は、市場要求等により適宜選択され、例えば、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の硬化物のいずれもが使用できる。
熱可塑性樹脂としては、市場要求やプラスチック成型体に基材に用いられる樹脂の種類等により適宜選択すればよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン及びこれらのブレンド物やアロイ組成物などが挙げられる。
熱硬化性樹脂の具体例としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、耐熱性、機械特性とのバランスが優れることから、熱硬化性樹脂の硬化物を用いることが好ましく、なかでも、耐熱性、機械特性とのバランスが特に優れ、硬化収縮が小さいという特徴を有することから、エポキシ樹脂を用いることが、さらに好ましい。
本発明においては、該プラスチック成型体の基材が上記樹脂より選択された樹脂と繊維とが複合された繊維強化プラスチックであることが好ましい。繊維強化プラスチックは、繊維による補強効果により成型体の強度や弾性率を上げることができ、軽量化に繋げることができる。
強化繊維の具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維及びボロン繊維などが挙げられる。なかでも、軽量でありながら、高強度、高弾性率であるという優れた特性を有するため、炭素繊維が好ましく用いられる。
強化繊維としては、短繊維及び長繊維のいずれも用いることができる。機械特性を重視する場合には、軽量でありながら、高強度、高弾性率であるという優れた特性を有する繊維強化プラスチックが得られることから、10cm以上の長さの強化繊維を用いることが好ましい。成形性を重視する場合には、10cm以下の長さの強化繊維を用いることが好ましい。
強化繊維の配列構造の具体例としては、単一方向、2方向及びランダム方向などが挙げられる。また、強化繊維の形態の具体例としては、マット、織物及び編み物などが挙げられる。なかでも、軽量でありながら、高強度、高弾性率であるという優れた特性を有する繊維強化プラスチック成型体が得られることから、単一方向の配列構造のものを用いることが好ましい。また、取り扱い性に優れることから、織物、編み物の形態のものを用いることが好ましい。
上記プラスチック成型体は、シート状であることが好ましい。また、上記プラスチック成型体は湾曲部分を有してなることが好ましい。該態様により複雑な形状対応が可能となり、かつ軽量であるという特徴を活かして電気・電子機器部品、自動車機器部品、パソコン、OA機器、AV機器、携帯電話、電話機、ファクシミリ、家電製品、玩具用品などの電気・電子機器の部品や筐体等の各種用途において好適に使用することができる。
ラスチック成型体の成型方法は、成型体の構成材料、成型体の形状等により適宜選択すればよく、例えば、プレス成型、絞り成型、真空成型等が挙げられる。
本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体とプラスチック成型体との複合体の形成方法としては、例えば、ゴム・ポリエステルフィルム積層体とプラスチック成型体とを組み合わせて一体成型をしてもよいし、両者を別々に成型したのちに両者を接着剤や粘着剤で貼り合せてもよい。前者の方法で、かつプラスチック成形体として熱硬化性樹脂を用いて行う場合は、成型工程で熱硬化性樹脂を硬化させても良いし、成型前後にプレあるいはポスト硬化処理を行ってもよい。
前記したゴム・ポリエステルフィルム積層体を、上記プラスチック成型体の構成材料として使用する複合体の形態の一つにゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルム側が最表面となるように成型体の表面に積層して使用する方法がある。該形態で使用した場合は、ポリエステルフィルムが最表層になるので、上記の成型体表面の平滑性の悪化による外観不良の発生が抑制される。さらに、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体はゴム層が積層されているので、該ゴム層により上記の成型時等で発生した成型体の歪の緩和ができるので、成型体の成型精度や表面性を向上させることができる。さらに、該成型体の使用において成型体に加わる外力をゴムの有する弾性で緩和することができるので、成型体の耐久性を向上させることができる。また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は前述のごとく成型性に優れているので、プラスチック成型体の構成材料として使用した場合に、湾曲部を有する複雑な形状の成型にも追従できる。
さらに、上記した使用形態においては、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルム表面に印刷インキ、金属薄膜、無機薄膜及び塗料より選ばれた少なくとも1種の加飾層を設けてなることが好ましい実施態様である。例えば、印刷インキ、金属薄膜及び塗料の積層により成型体の装飾ができ、成型体の意匠性を高めることができる。また、金属薄膜や無機薄膜の積層により成型体基材層への酸素ガスや水蒸気等の透過が抑制されるので、成型体の耐久性等を向上させることができる。
本発明において、前記したごとく、架橋高分子層はポリエステルフィルムの両面に被覆する形態がより好ましい実施態様である。該構成により、上記のゴム積層用被覆ポリエステルフィルムのゴム層の反対面に加飾層を積層する際に、加飾層とポリエステルフィルムとの密着性や密着耐久性を向上させることができる。
上記加飾層の積層は、成型体に複合した後に行ってもよいし、ゴム・ポリエステルフィルム積層体に予め加飾層を積層した後に成型、複合してもよい。
以上説明したように、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体を用いることで、従来の二軸配向ポリエステルフィルムでは成型することが困難であった、成型時の成型圧力が10気圧以下の低圧下での真空成型や圧空成型などの成型方法においても、仕上がり性の良好な成型品を得ることができる。また、これらの成型法は成型コストが安いので、成型品の製造における経済性において優位である。したがって、これらの成型法に適用することが本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体の効果を最も有効に発揮することができる。
上記の加飾層の形成方法は限定されない。種々の公知の方法の適用が可能である。例えば、加飾層を形成するための印刷方法としては、グラビア印刷、平板印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、パット印刷、スクリーン印刷などの公知の印刷方法を製品形状や印刷用途に応じて使用することができる。特に多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷やグラビア印刷が適している。
また、加飾層は、印刷層だけでなく金属又は金属酸化物の薄膜層であってもよく、更に印刷層と金属又は金属酸化物の薄膜層との組合せからなるものでもよい。金属又は金属酸化物の薄膜層を形成する方法としては例えば蒸着法、溶射法、及びメッキ法が挙げられる。蒸着法としては物理蒸着法及び化学蒸着法のいずれも使用できる。物理蒸着法としては真空蒸着法、スパッタリング、及びイオンプレーティングが例示される。化学蒸着(CVD)法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、及び光CVD法などが例示される。
溶射法としては大気圧プラズマ溶射法、及び減圧プラズマ溶射法などが例示される。メッキ法としては、無電解メッキ(化学メッキ)法、溶融メッキ及び電気メッキ法などが挙げられ、電気メッキ法においてはレーザーメッキ法を使用することができる。上記の中でも蒸着法及びメッキ法が金属層を形成する上で好ましく、蒸着法が金属酸化物層を形成する上で好ましい。また蒸着法及びメッキ法は組み合わせて使用することができる。
蒸着法の金属としては、アルミニウム、クロム、銀及び金及びこれらの併用系が用いられる。複雑な形状に成型される場合があるので、該金属層を形成する金属は延展性の優れたものであることが好ましい。例えば、アルミニウム金属の場合、インジウム等の金属を配合したものが好ましい。
また、部分的に金属又は金属酸化物の薄膜層を形成する加飾方法を用いる場合には、該薄膜層を必要としない部分に溶剤可溶性樹脂層を形成した後、その上の全面に薄膜層を形成し、溶剤洗浄を行って、溶剤可溶性樹脂層と共に不要な金属薄膜を除去する方法がある。この場合によく用いる溶剤は、水又は水溶液である。また、別の加飾方法としては、全面的にかかる薄膜を形成し、次に該薄膜を残しておきたい部分にレジスト層を形成し、酸又はアルカリでエッチングを行い、レジスト層を除去する方法が挙げられる。
上記の延展性は、前記の印刷インキを用いる場合にも要求される特性である。従って、印刷インキを構成するバインダー樹脂としては、ポリウレタン樹脂等の柔軟な樹脂を主成分として用いることが好ましい。
上記の加飾層の形成は、プラスチック成型体を作製してから行ってもよい。
前記したゴム・ポリエステルフィルム積層体を、上記プラスチック成型体の構成材料として使用する形態の一つにゴム・ポリエステルフィルム積層体をプラスチック成型体の中間層として使用する方法が挙げられる。該形態で使用した場合は、上記のプラスチック成型体の最表層になるように使用した場合の効果の一つである加飾層を設けることの効用以外については、上記使用と同様に発現することができる。
本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、上記したごとくプラスチック成型体の部材として好適に使用することができるが、これに限定されない。例えば、ゴム・ポリエステルフィルム積層体自体での使用や他の素材と複合した形での使用もできる。ゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム層の有するクッション性、緩衝性及びグリップ性を活かして、各種機器や装置のシール材、クッション材及び表皮材等としても好適に使用することができる。特に、上記したごとく、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、ポリエステルフィルムとゴム層との接着性や接着耐久性に優れているので、上記用途において接着性や接着耐久性の要求の厳しい用途において特に好適に使用可能である。
本発明においては、上記のごとくプラスチック成型体の構成材料として用いる場合において、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム層とプラスチック成型体の基材プラスチック材料との接着性を向上させるために、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム表面をプラズマやコロナ等の活性線で表面処理を行ってもよい。また、該ゴム層表面に未架橋のゴム層を積層しても良い。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、もとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
尚、本明細書中で採用した測定、評価方法は次の通りである。
(1)フィルムの厚み
ミリトロンを用い、1枚当たり5点、計3枚の15点を測定し、その平均値を求めた。
(2)面配向度(ΔP)
ポリエステルフィルムをナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて、フィルムの長手方向の屈折率(Nz)、幅方向の屈折率(Ny)、厚み方向の屈折率(Nz)を測定し下記式から面配向度(ΔP)を算出した。
ΔP=((Nx+Ny)/2)−Nz
(3)10%伸張時応力
架橋高分子層を有するポリエステルフィルムの長手方向及び幅方向に対して、それぞれ長さ180mm及び幅10mmの短冊状に試料を片刃カミソリで切り出した。次いで、引張試験機(東洋精機株式会社製)を用いて短冊状試料を引っ張り、得られた荷重−歪曲線から各方向の10%伸張時応力(MPa)及び破断伸度(%)を求めた。
なお、測定は25℃の雰囲気下で、初期長40mm、チャック間距離100mm、クロスヘッドスピード100mm/min、記録計のチャートスピード200mm/min、ロードセル25kgfの条件にて行った。なお、この測定は10回行い平均値を用いた。
(4)初期接着強度
ゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム層とポリエステルフィルムの界面にナイフを入れ、その部分に指で応力を加えて界面剥離を発生させ、JIS K6854に準じてT型剥離法で剥離強度を測定した。
(5)耐溶剤接着強度
ゴム・ポリエステルフィルム積層体を50mm×50mmに切断した測定試料を、トルエン400ccを入れた500ccの蓋付きの円筒状のガラス容器の中に、上記試料のゴム層が下側になるようにトルエン中に沈め、試料全体がトルエン中に浸漬した状態で容器に蓋をする。試料の自重だけではトルエン中に浸漬しない場合は、例えば、60mm×60mm、厚さ188μmのポリエステルフィルムを試料の上に載せて、重しにすればよい。重しの大きさや素材は特に限定されるものではなく、試料全体がトルエン中に浸漬すればよい。試料の入った容器を、25℃で72時間静置する。静置後、速やかに試料を容器から取り出しトルエンを拭き取り、上記方法で層間剥離強度を測定した。
(6)耐水接着強度
ゴム・ポリエステルフィルム積層体を50mm×50mmに切断した測定試料を、蒸留水400ccを入れた500ccの蓋付きの円筒状のガラス容器の中に、上記試料のゴム層が下側になるように水中に沈め、試料全体が水中に浸漬した状態で容器に蓋をした。試料の自重だけでは水中に浸漬しない場合は、例えば、60mm×60mm、厚さ188μmのポリエステルフィルムを試料の上に載せて、重しにすればよい。重しの大きさや素材は特に限定されるものではなく、試料全体が水中に浸漬すればよい。試料の入った容器を、90℃に設定したギアーオーブン中に入れ、14日間静置する。熱処理後、オーブンから容器を取り出し、速やかに試料を取り出して、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム層とポリエステルフィルムの界面にナイフを入れ、その部分に指で応力を加えて界面剥離を発生させ、JIS K6854に準じてT型剥離法で剥離強度を測定した。
(7)成型性
(a)金型成型性
ゴム・ポリエステルフィルム積層体に印刷を施した後、100〜140℃に加熱した熱板で4秒間接触加熱後、金型温度30〜70℃、保圧時間5秒にてプレス成型を行った。なお、加熱条件は各フィルムに対し、上記範囲内で最適条件を選択した。金型の形状はカップ型で、開口部は直径が50mmであり、底面部は直径が40mmで、深さが30mmであり、全てのコーナーは直径0.5mmの湾曲をつけたものを用いた。
最適条件下で金型成型した成型品5個について成型性及び仕上がり性を評価し、下記基準にてランク付けをした。なお、◎及び○を合格とし、×を不合格とした。
◎:(i)成型品に破れがなく、
(ii)角の曲率半径が1mm以下で、かつ印刷ずれが0.1mm以下であり、
(iii)さらに×に該当する外観不良がないもの
○:(i)成型品に破れがなく、
(ii)角の曲率半径が1mmを超え1.5mm以下、又は印刷ずれが0.1
mmを超え0.2mm以下で、
(iii)さらに×に該当する外観不良がなく、実用上問題ないレベルのもの
×:成型品に破れがあるもの、又は破れがなくとも以下の項目(i)〜(iv)の
いずれかに該当するもの
(i)角の曲率半径が1.5mmを超えるもの
(ii)大きな皺が入り外観が悪いもの
(iii)フィルムが白化し透明性が低下したもの
(iv)印刷のずれが0.2mmを超えるもの
(b)真空成型性
ゴム・ポリエステルフィルム積層体に5mm四方のマス目印刷を施した後、500℃に加熱した赤外線ヒーターでフィルムを10〜15秒加熱した後、金型温度30〜100℃で真空成型を行った。なお、加熱条件は各フィルムに対し、上記範囲内で最適条件を選択した。金型の形状はカップ型で、開口部は直径が50mmであり、底面部は直径が40mmで、深さが50mmであり、全てのコーナーは直径0.5mmの湾曲をつけたものを用いた。
最適条件下で真空成型した成型品5個について成型性及び仕上がり性を評価し、下記基準にてランク付けを行った。なお、◎及び○を合格とし、×を不合格とした。
◎:(i)成型品に破れがなく、
(ii)角の曲率半径が1mm以下で、かつ印刷ずれが0.1mm以下であり、
(iii)さらに×に該当する外観不良がないもの
○:(i)成型品に破れがなく、
(ii)角の曲率半径が1mmを超え1.5mm以下、又は印刷ずれが0.1
mmを超え0.2mm以下で、
(iii)さらに×に該当する外観不良がなく、実用上問題ないレベルのもの
×:成型品に破れがあるもの、又は破れがなくとも以下の項目(i)〜(iv)の
いずれかに該当するもの
(i)角の曲率半径が1.5mmを超えるもの
(ii)大きな皺が入り外観が悪いもの
(iii)フィルムが白化し透明性が低下したもの
(iv)印刷のずれが0.2mmを超えるもの
(8)耐溶剤性
25℃に調温したトルエンに試料を30分間浸漬し、浸漬前後の外観変化について下記の基準で判定し、○を合格とした。なお、ヘーズ値は前記の方法で測定した。
○:外観変化がほとんど無く、ヘーズ値の変化が1%未満
×:外観変化が認められる、あるいはヘーズ値の変化が1%以上
(9)インキ密着力
JIS−K5400の8.5.1記載の碁盤目評価方法に準拠し、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルム表面のインク密着力を評価した。具体的には、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルム表面に下記インキを印刷後、クロスカットガイドを用いて1mmマス目を印刷面にカッター刃で100個作成した後、粘着テープ(ニチバン社製、商品名セロハンテープ)を印刷面に貼り付け、エアーが残らないように完全に付着させた。次いで、粘着テープを垂直に剥離した後、印刷面のマス目部分の残存数を密着力(残存数/100個)として評価し、80個/100個以上を○、それ未満を×として判定した。
UV硬化型インキ(東華色素社製、ベストキュアー161)を用い、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルム表面にRIテスターで印刷後100mJのUVを照射し、上記方法に従って評価した。
参考例1
〔ゴム積層用被覆ポリエステルフィルム〕
平均粒子径(SEM法)が1.5μmの無定形シリカを0.04質量%を含むポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65dl/g)ペレットを十分に真空乾燥した後、280℃の加熱された押し出し機に供給し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを105℃の加熱ロール群を通過させながら、長手方向に3.0倍延伸し、一軸配向フィルムとした。このフィルムの両面にコロナ放電処理を施し、その両処理面に以下に示す塗布液を塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、110℃で乾燥後、引続き連続的に125℃の加熱ゾーンで幅方向に3.2倍延伸し、更に195℃にて、幅方向に6%の弛緩、6秒間の熱処理を行い、両面にそれぞれ0.15μmの架橋高分子層が被覆された厚さ100μmのゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。
〔塗布液〕
酸成分が、テレフタル酸/イソフタル酸/トリメリット酸/セバシン酸=28モル%/9モル%/10モル%/3モル%よりなり、グリコール成分が、エチレングリコール/ネオペンチルグリコール/1,4−ブタンジオール=15モル%/18モル%/17モル%よりなるポリエステル樹脂のアンモニウム塩型水分散体の固形分100質量部に対し、メチロール化メラミン樹脂「サイメル(登録商標)303」(三井サイテック社製)を固形分で5部と、触媒として、「キャタリスト600」(三井サイテック社製)を0.025部加え混合し、塗布液とした。
〔ゴム・ポリエステルフィルム積層体〕
ゴムとしてEPDM(日本合成ゴム社製、EP21;エチレン含有量:34質量%)を、老化防止剤Aとして2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩(大内新興化学工業社製、ノクラックMBZ)を、老化防止剤Bとして4,4−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(大内新興化学工業社製、ノクラックCD)をそれぞれ用い、下記の配合比率で常法により混練した。
(配合組成)
(a)EPDM:100.0質量部
(b)ポリエチレングリコール(分子量4000):2.5質量部
(c)ステアリン酸:0.5質量部
(d)老化防止剤A:1.5質量部
(e)老化防止剤B:0.7質量部
(f)フェノールホルムアルデヒド樹脂:2.0質量部
(g)MAFカーボン:30.0質量部
(h)FTカーボン:40.0質量部
(i)ポリブテン:15.0質量部
(j)N,N’−mフェニレンジマレイミド:1.5質量部
(k)2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン:5.0質量部
上記の混練ゴムを厚さ3mmのシートに成形した。この未加硫のゴムシートを切断して1cm角の細片とし、この細片をトルエンに対する比率が30質量%となるように秤量し、トルエンと共に真空脱泡装置付き攪拌機に投入し、大気圧下で15時間攪拌して上記細片をトルエンに溶解した。次いで、該溶液にペンタエリスリトールテトラアクリレートを、EPDMゴム100質量部に対して8質量部となるように添加し、均一に攪拌した。さらに、真空脱泡装置を駆動し、ゲージ圧が750mmHgの真空下で更に20分間攪拌し、脱泡した。
次いで、上記の溶解、脱泡で得られたEPDMゴム溶液をロールコーターに供給し、上記ゴム積層用被覆ポリエステルフィルムに、乾燥後厚みが0.15mmとなるように塗布した。続いて、オーブンに導入し、80℃で乾燥した。そのEPDMゴムの表面にポリ−4−メチルペンテン−1の共重合体からなり、厚みが0.035mmのマット加工フィルム(三井石油化学社製、オピュランX−60YMT4)をそのマット加工面がEPDMゴム面に向くように重ね、圧着ロールを用い、圧力5kgf/cmで押さえながら連続的に積層した。得られた積層体を更に連続して電子線照射装置に導入し、ポリエステルフィルム側から200KV、3Mradのエネルギーで電子線を照射してプレ架橋を行った。次いで、カバーシートを剥離し、EPDMゴム層とポリエステルフィルムからなる積層体を得た。そして、この積層体を更に電子線照射装置に導入し、EPDMゴム層側から200KV、30Mradの電子線照射によるポスト架橋を行い、得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体をロール状に巻取った。
得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体の特性を表1に示す。
本実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は初期接着強度及び耐溶剤接着強度に優れていた。また、金型成型性及びインキ密着性にも優れており、成型体の部材として好適に使用することができた。
(比較例1)
参考例1の方法において、ポリエステルフィルム製造工程において塗布液の塗布を取り止める以外は、参考例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムを用いて、参考例1と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表1に示す。本比較例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は初期接着強度及び耐溶剤接着強度が劣っており低品質であった。
(比較例2)
参考例1の方法において、ポリエステルフィルム製造工程において用いる塗布液への架橋剤であるメチロール化メラミン樹脂の配合を取り止める以外は、参考例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムを用いて、参考例1と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表1に示す。本比較例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は耐溶剤接着強度が劣っており低品質であった。また、インキ密着性も劣っていた。
(比較例3)
参考例1の方法において、ポリエステルフィルムに替えて未延伸ポリエステルフィルムを用いる以外は、参考例1と同様にしてゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表1に示す。本比較例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、架橋高分子層が設けられていないので、初期接着強度及び耐溶剤接着強度及びインキ密着性が劣っており低品質であった。
(比較例4)
参考例1の方法において、縦延伸温度を95℃、縦及び横延伸倍率を3.5倍に、熱処理温度を225℃に変更する以外は、参考例1と同様にしてゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例1と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表1に示す。本比較例で得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムは成型性が劣っており低品質であった。
参考例2
〔ゴム積層用被覆ポリエステルフィルム〕
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位40モル%及びネオペンチルグリコール単位60モル%を構成成分とする、固有粘度が0.69dl/gの共重合ポリエステルのチップ(A)と、固有粘度が0.69dl/gで、かつ平均粒子径(SEM法)が1.5μmの無定形シリカを0.04質量%、及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(N)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、チヌビン326)を0.67質量%含有するポリエチレンテレフタレートのチップ(B)をそれぞれ乾燥させた。さらに、チップ(A)とチップ(B)を25:75の質量比となるように混合した。次いで、これらのチップ混合物を押出し機によりTダイのスリットから270℃で溶融押出し、表面温度40℃のチルロール上で急冷固化させ、同時に静電印加法を用いてチルロールに密着させながら無定形の未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に90℃で3.3倍に延伸した。次いで、参考例1で用いた塗布液を一軸延伸フィルムの両面に塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、110℃で乾燥後、テンターに導き、120℃で10秒間予熱し、横延伸の前半部を110℃、後半部を100℃で3.9倍延伸した。さらに、一段目の熱処理(TS1)を220℃、二段目の熱処理(TS2)を横方向に7%の弛緩処理を行いながら235℃で熱固定処理を行い、両面にそれぞれ0.15μmの架橋高分子層が被覆された厚さ100μmのゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。
なお、熱固定処理ゾーンには、延伸区間との間に2mの中間区間を設け、熱固定ゾーンの加熱用区間には遠赤外線ヒーターを設置し、区間ごとの遮蔽板をフィルムに接触しない限界位置まで拡大し、設置した。加熱後の冷却区間においても区間遮蔽を強化し、クリップの戻り方法として外部リターン方式を用い、かつクリップ冷却装置を設置し、さらに20℃の冷風で強制冷却し、テンター出口でのクリップ温度を40℃以下とするクリップ融着防止対策を行った。
得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例1と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表1に示す。本参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は参考例1で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体に比べて、成型性が良化しており、真空成型が可能であり、さらに高品質であった。
参考例3
参考例1の方法において、ポリエステルフィルム製造工程において塗布液の塗布を取り止める以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの両面にコロナ処理をし、さらに、そのコロナ処理した両面にバイロン30SSとコロネートHXそれぞれ固形分比で100:30(質量部)になるように配合した塗布液をコーターを用いて乾燥後の厚みとしてそれぞれ1μmになるように塗布して架橋高分子層を設けた。得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例1と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表1に示す。本参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は参考例1で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体と同等の特性を有しており高品質であった。
参考例4
参考例1の方法において、ゴム組成物としてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)組成物を用いるように変更する以外は、参考例1と同様にしてゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。本実施例で得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例1と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表1に示す。本参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、参考例1で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体と同等の特性を有しており高品質であった。
(比較例5)
参考例4の方法において、ポリエステルフィルム製造工程において塗布液の塗布を取り止める以外は、参考例4と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムを用いて、実施例4と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表2に示す。本比較例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は初期接着強度及び耐溶剤接着強度が劣っており低品質であった。
(比較例6)
参考例4の方法において、ポリエステルフィルム製造工程において塗布液の塗布量を増して、乾燥後の厚みとして15μmになるように変更する以外は、参考例4と同様にしてゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。本比較例で得られたポリエステルフィルムを用いて、参考例4と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表2に示す。本比較例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は成型性が劣っており低品質であった。また、初期接着強度や耐溶剤接着強度も参考例4で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体に比べて悪化していた。
参考例5
参考例2の方法において、ゴム組成物としてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)組成物を用いるように変更する以外は、参考例2と同様にしてゴム・ポリエステルフィルム体を得た。結果を表2に示す。本参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、参考例2で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体と同等の特性を有しており高品質であった。
参考例6
参考例5の方法において、ポリエステル製造工程における塗布液の塗布を片面に塗布するように変更する以外は、参考例5と同様にしてゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。本実施例で得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、塗布層(架橋高分子層)側表面にゴム層を積層し、参考例5と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表2に示す。本参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、参考例5と同様に高品質であったが、ゴム層と反対面に架橋高分子層が形成されていないため、インク密着性が劣っていた。
参考例7〜9
参考例2の方法において、ゴム積層用被覆ポリエステルフィルム製造工程において用いる塗布液をそれぞれ以下の組成に変更する以外は、参考例2と同様にしてゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。これらの参考例で得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例2と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表2に示す。これらの参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は参考例2と同等あるいはそれ以上の特性を有しており高品質であった。
参考例7の塗布液〕
(a)アクリル樹脂共重合体エマルジョン〔メチルメタクリレート(60質量%)、エチルアクリレート(35質量%)、アクリル酸(2質量%)、N−メチロールアクリルアミド(2質量%)、アクリロニトリル(1質量%)を共重合したもの〕、(b)メラミン系架橋剤(メチロール化メラミンよりなる)、及び(c)オキサゾリン系架橋剤〔メチルメタクリレート(50質量%)、エチルアクリレート(25質量%)、スチレン(5質量%)、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン(20質量%)を共重合したもの〕を、アクリル樹脂100質量部に対し、メラミン系架橋剤5質量部及びオキサゾリン系架橋剤5質量部となるように配合した水系塗布液を調製した。
参考例8の塗布液〕
エチレンオキシドのポリエーテルをスルホン化したスルホン酸ナトリウムを含むポリエーテル(スルホン酸基含有量:8質量%)192質量部、ポリテトラメチレンアジペート1013質量部、ポリプロピレンオキシドポリエーテル248質量部を混合し、減圧下、100℃で脱水後、該混合物を70℃とし、イソホロンジイソシアネート178質量部とヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート244質量部との混合物を加え、更に該生成混合物をイソシアネート含有量が5.6質量%になるまで80〜90℃の範囲で撹拌した。得られたプレポリマーを60℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネート3モルと水1モルから得られるビウレットポリイソシアネート56質量部とイソホロンジアミンとアセトンから得られるビスケチミン173質量部とを順次加えた。次いで、ヒドラジン水和物の15質量部を溶解した50℃の水溶液をこの混合物に撹拌しながら加え、ポリウレタン樹脂水分散体とした。該ポリウレタン樹脂水分散体のポリウレタン樹脂100質量部に対して、参考例7で用いたオキサゾリン系架橋剤を3質量部添加した水系塗布液を調製した。
参考例9の塗布液〕
ジメチルテレフタレート95質量部、ジメチルイソフタレート95質量部、エチレングリコール35質量部、ネオペンチルグリコール145質量部、酢酸亜鉛0.1質量部及び三酸化アンチモン0.1質量部を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6.0質量部を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(10〜0.2mmHg)、2時間かけて重縮合反応を行い、数平均分子量19,500、軟化点60℃の共重合ポリエステル系樹脂を得た。
得られた共重合ポリエステル系樹脂(A)の30質量%水分散液を7.5質量部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン系樹脂(B)の20質量%水溶液(第一工業製薬製、エラストロンH−3)を11.3質量部、エラストロン用触媒(第一工業製薬社製、Cat64)を0.3質量部、水を39.8質量部及びイソプロピルアルコールを37.4質量部、それぞれ混合した。
さらに、フッ素系ノニオン型界面活性剤(大日本インキ化学工業社製、メガファックF142D)の10質量%水溶液を0.6質量部、粒子Aとしてコロイダルシリカ(日産化学工業社製、スノーテックスOL;平均粒径40nm)の20質量%水分散液を2.3質量部、粒子Bとして乾式法シリカ(日本アエロジル社製、アエロジルOX50;平均粒径200nm、平均一次粒径40nm)の3.5質量%水分散液を0.5質量部添加した。次いで、5質量%の重曹水溶液で塗布液のpHを6.2に調整し、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が10μmのフェルト型ポリプロピレン製フィルターで精密濾過して、水系塗布液を得た。
参考例10
参考例2の方法において、ゴム組成物としてクロロプレンゴム(CR)組成物を用いるように変更する以外は、参考例2と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表2に示す。本参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、参考例2で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体と同等の特性を有しており高品質であった。
参考例11
参考例2の方法において、ゴム成分をシリコーンゴムコンパウンドとして、市販の高強度型シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE555−U」)及び市販の一般成形用シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業社製、「KE958−U」)を60:40の質量比で配合したものに替え、かつペンタエリスリトールテトラアクリレートの配合量をシリコーンゴムコンパウンドの全量100質量部に対して3質量部になるように変更する以外は、参考例2と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表2に示す。本参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、参考例2で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体と同等の特性を有しており高品質であった。特に、本実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は接着強度に関連した特性が優れていた。
参考例12
参考例1において、ゴム積層用被覆ポリエステルフィルム製造工程において用いる塗工液として、下記の方法で調製したグラフト変性ポリエステル樹脂よりなる自己架橋型のポリエステル樹脂を用いたこと以外は、参考例1と同様にしてゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。次いで、該ゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例1と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体の特性を表3に示す。
本参考例12で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は参考例1で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体より優れた特性を有しており高品質であった。
〔塗工液〕
(共重合ポリエステル樹脂の調製)
自己架橋型ポリエステル樹脂水分散体「バイロナール(登録商標)AGN702」(東洋紡績社製)40部、水24部及びイソプロピルアルコール36部を混合し、さらにアニオン系界面活性剤の10%水溶液0.6部、プロピオン酸1部、コロイダルシリカ粒子(「スノーテックス(登録商標)OL」;平均粒径40nm;日産化学工業社製))の20%水分散液1.8部、乾式法シリカ粒子(「アエロジルOX50」;平均粒径200nm;平均一次粒径40nm;日本アエロジル社製)の4%水分散液1.1部を添加し、塗工液とした。
(実施例
参考例5の方法において、ゴム積層用被覆ポリエステルフィルム製造工程において用いる塗布液を以下の組成として、かつ架橋高分子層の層厚みを最終のゴム積層用ポリエステルフィルム上の厚みとして両面共に0.08μmになるように変更する以外は、参考例5と同様にしてゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。本実施例で得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例5と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表3に示す。本実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は参考例5で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体より耐溶剤接着強度や耐水接着強度に優れておりさらに高品質であった。特に、耐水接着強度が著しく改善された。
〔塗布液〕
1、NBR変性ポリウレタンの製造方法
(1)ポリエステルポリオールの合成
攪拌機、温度計、リービッヒ冷却管を具備した2L4つ口フラスコにジメチルテレフタル酸194部、ジメチルイソフタル酸194部、ネオペンチルグリコール146部、エチレングリコール161部及び触媒としてチタンモノマー0.2部を仕込み、190℃、210℃、230℃の順に各温度で1時間づつ加熱攪拌し、生成するメタノールを溜去しつつエステル交換反応を終了させた。次いで250℃に昇温し、減圧下に20分重合し、反応を終了した。得られたポリエステルポリオールの特性は以下のとおりであった。
数平均分子量2000
酸価は5eq/ton
組成 酸成分
テレフタル酸 50モル%
イソフタル酸 50モル%
グリコール成分
ネオペンチルグリコール 50モル%
エチレングリコール 50モル%
(2)NBRポリオールオリゴマーの合成
攪拌機、温度計、コンデンサーを具備した0.5L4つ口フラスコに液状合成ゴムCTBN 1300X13(宇部興産社製)121部、トルエン54部を仕込み均一に溶解させた。次いでグリシドール5.5部、反応触媒としてトリフェニルフォスフィン02部を添加し、105℃で6時間反応させ、NBRポリオールオリゴマーの70%トルエン溶液を得た。反応前と反応後の固形樹脂分の酸価は以下のとおりであった。
反応前液状合成ゴムの酸価 :630eq/ton
反応後(生成したNBRポリオールオリゴマー)の酸価: 90eq/ton
(3)NBR変性ポリウレタンの合成
攪拌機、温度計、コンデンサーを具備した1L4つ口フラスコに上記ポリエステルポリオール100部、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2’,2’−ジメチル−3−ヒドロキシプロパネート30部、トルエン80部を仕込み、均一に溶解させた。次いで4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート54部を添加し、70℃で3時間反応させた後、シクロヘキサノン280部で希釈した。次いで上記NBRポリオールオリゴマーの70%トルエン溶液115部を添加し、70℃で3時間反応後、メチルエチルケトン223部で希釈し、NBR変性ポリウレタンの30%溶液を得た。
なお、上記合成方法の中で「部」は重量部を意味し、樹脂の酸価、分子量、ポリエステルポリオールの組成分析は各々以下の方法で実施した。
・数平均分子量
ウオーターズ社製ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)150Cを用い、テトラヒドロフランをキャリアー溶剤として流速1ml/分で測定した。カラムとして昭和電工(株)製 Shodex KF−802、KF−804、KF−806を3本連結しカラム温度は30℃に設定した。分子量標準サンプルとしてはポリスチレン標準物質を用いた
・酸価
固形樹脂0.2g又は固形分換算0.2gの樹脂溶液を20mlのクロロホルムに溶解後、0.1N−NaOHエタノール溶液でフェノールフタレインを指示薬として測定し、測定値を樹脂固形分1ton中の当量で示した。
・ポリエステルポリオール組成
クロロホルム−dに樹脂を溶解し、ヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)“ジェミニ−200”を用い、H−NMRにより樹脂組成比を求めた。
(4)塗布液
上記方法で調製したNBR変性ポリウレタンとイソシアネート系架橋剤であるミリオネート(登録商標)MR(日本ポリウレタン社製)を固形分質量比で100:150になるように混合した溶液を用いた。
(実施例
実施例の方法で、ゴム積層用被覆フィルムの架橋高分子層の層厚みを両面共に0.2μmとして、ゴム積層用被覆フィルムを得た。得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例1と同様の方法でEPDMゴムを積層したゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表3に示す。本実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は参考例1で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体より初期接着強度、耐溶剤接着強度及び耐水接着強度のいずれもが優れておりさらに高品質であった。特に、耐水接着強度が著しく改善された。
(実施例
参考例1の方法において、ポリエステルフィルム製造工程において塗布液の塗布を取り止める以外は、参考例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの両面にコロナ処理をし、さらに、そのコロナ処理した両面に実施例で用いた塗布液をコーターを用いて乾燥後の厚みとして両面共に0.11μmとなるように被覆してゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを得た。本実施例で得られたゴム積層用被覆ポリエステルフィルムを用いて、参考例5と同様の方法でゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表3に示す。本実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は参考例5で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体より耐溶剤接着強度や耐水接着強度に優れておりさらに高品質であった。特に、耐水接着強度が著しく改善された。
参考例13
実施例の方法において、塗布液のNBR変性ポリウレタンとイソシアネート系架橋剤であるミリオネート(登録商標)MR(日本ポリウレタン社製)の組成比を固形分質量比で100:10になるように変更する以外は、実施例と同様にしてゴム積層用被覆フィルム及びゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表3に示す。本参考例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体より接着特性が劣るが、参考例5と同等の特性を有しており高品質であった。
(実施例
実施例の方法において、塗布液のNBR変性ポリウレタンとイソシアネート系架橋剤であるミリオネート(登録商標)MR(日本ポリウレタン社製)の組成比を固形分質量比で100:100になるように変更する以外は、実施例と同様にしてゴム積層用被覆フィルム及びゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表3に示す。本実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体と同等の特性を有しており、極めて高品質であった。
(実施例
実施例の方法において、塗布液のイソシアネート系架橋剤をコロネート(登録商標)L(日本ポリウレタン社製)の組成比を固形分質量比で100:250になるように変更し、かつ架橋高分子層の層厚みを乾燥後の厚みとして0.02μmに変更する以外は、実施例と同様にしてゴム積層用被覆フィルム及びゴム・ポリエステルフィルム積層体を得た。結果を表3に示す。本実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体は、実施例で得られたゴム・ポリエステルフィルム積層体と同等の特性を有しており、極めて高品質であった。
参考例14
繊維強化熱可塑性樹脂シートからなる芯層として、連続ガラス繊維マット(スワール状ロービングマットにニードルパンチを施したもの)にポリプロピレン樹脂を溶融含浸してなるガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂シート(厚さ:3.7mm、繊維含有量:40質量%)を用いた。参考例1等の方法で得られたEPDMゴム層を積層したゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム層との反対表面に印刷で装飾し、かつEPDMゴム層表面に参考例1において用いたEPDMゴム溶液を乾燥後厚みで3μmとなるように積層したゴム・ポリエステルフィルム積層体を上記芯層の両面にゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム層面側が芯層側になるように積層し、これを曲面の金型に挿入して、熱プレスにより温度200℃×圧力10kg/cm2で加熱加圧して芯層と表層を熱融着させた。次いで、冷却して、曲面構造のプラスチック成型体(以下、成型体と略称する)を得た。得られたプラスチック成型体の表面は、写像が映し出されるような、高度な平滑表面を有しており印刷の見栄えが極めて優れていた。また、成型体の寸法精度が良く、かつ形状の歪みもなかった。
(比較例7)
参考例14の方法において、ゴム・ポリエステルフィルム積層体を積層することなく参考例14と同様の方法でプラスチック成型体を得た。得られたプラスチック成型体は、ガラス繊維の浮き出し等の表面凹凸があり表面状態が良くなかった。従って、該成型体の表面に参考例14において用いたゴム・ポリエステルフィルム積層体に施したと同様の印刷をしたが見栄えがよくなかった。
(比較例8)
参考例14の方法において、ゴム・ポリエステルフィルム積層体に替え、厚さ250μmのEPDMゴムシートを積層して、参考例14と同様にしてプラスチック成型体との複合体を得た。得られた成型体との複合体の表面状態は比較例7で得られた成型体よりは良好であったが、部分的にガラス繊維の浮き出し等の表面凹凸があり、参考例14で得られたプラスチック成型体との複合体に比べると表面状態がよくなかった。また、本比較例においては、EPDMゴムシートが薄く、かつポリエステルフィルムが一体化されていないために取り扱いにくくプラスチック成型体製造時の操業性が劣っていた。
(比較例9)
参考例14の方法において、ゴム・ポリエステルフィルム積層体に替え、ゴム層の積層を取り止めたポリエステル層のみの単層フィルムを用いて、参考例14と同様にしてプラスチック成型体との複合体を得た。得られたプラスチック成型体との複合体の表面状態は良好であったが、プラスチック成型体の寸法精度や形状歪みが参考例14で得られたプラスチック成型体よりは劣っていた。
参考例15
各辺が経糸、緯糸のいずれかと平行な1辺300mmの正方形となるようカットした炭素繊維織物4plyを型に積層し、その上にピールプライと樹脂配分媒体を積層した。次に、ナイロン製フィルムを用いてバギングし、真空ポンプを用いて[大気圧−0.1](MPa)に減圧した後、型を90℃に保持し、“エピコート(登録商標)”828(ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)100質量%に、“キュアゾール(登録商標)”2E4MZ(品番、四国化成工業(株)製、2ーエチルー4ーメチルイミダゾール)3質量%を配合した、
次いで、液状のエポキシ樹脂組成物RTM用樹脂組成物を注入した。RTM用樹脂組成物が型内に流入してから5分後に注入を終了し、RTM用樹脂組成物が型内に流入してから40分後に脱型を開始し、繊維強化プラスチック部材よりなる芯層を得た。得られた芯層の両面に参考例5等で得られたNBRゴム層を積層したゴム・ポリエステルフィルム積層体(使用直前にNBRゴム層表面をプラズマ処理した)のゴム層面側が芯層側になるように積層し、これを曲面の金型に挿入して、熱プレスにより温度170℃×圧力10kg/cmで2時間加熱加圧して成型と硬化を行った後に冷却して、曲面構造のプラスチック成型体を得た。得られたプラスチック成型体の表面は写像が映し出される用な高度な平滑表面を有していた。また、成型体の寸法精度が良く、かつ形状の歪みもなかった。
上記方法で得られたプラスチック成型体表面をイソプロピルアルコールで洗浄し、メラミン系焼付け塗料を塗膜の厚みが乾燥後35μmとなるように塗布した。その後、室温で30分間放置し、さらに140℃のオーブン中で30分間乾燥焼付けを行った。塗装膜の見栄えは極めて良好であった。また、塗装膜の接着性や接着耐久性も良好であった。
(比較例10)
参考例15の方法において、ゴム・ポリエステルフィルム積層体を積層することなく実施例20と同様の方法でプラスチック成型体を得た。得られたプラスチック成型体は、炭素繊維の浮き出し等の表面凹凸があり表面状態が良くなかった。従って、該プラスチック成型体表面に参考例15と同様の印刷をしたが、見栄えがよくなかった。
(比較例11)
参考例15の方法において、ゴム・ポリエステルフィルム積層体に替え、厚さ250μmのNBRゴムシートを積層して、参考例15と同様にしてプラスチック成型体を得た。得られたプラスチック成型体の表面状態は比較例10で得られたプラスチック成型体よりは良好であったが、部分的に炭素繊維の浮き出し等の表面凹凸があり、参考例15で得られた成型体に比べると表面状態がよくなかった。また、比較例8と同様に、NBRゴムシートが薄く、かつポリエステルフィルムが一体化されていないために取り扱いにくく、プラスチック成型体製造時の操業性が劣っていた。
(比較例12)
参考例15の方法において、ゴム・ポリエステルフィルム積層体に替え、ゴム層の積層を取り止めたポリエステルのみの単層フィルムを用いて、参考例15と同様にしてプラスチック成型体との複合体を得た。得られたプラスチック成型体との複合体の表面状態は良好であったが、成型体の寸法精度や形状歪みが参考例15で得られたプラスチック成型体よりは劣っていた。また、塗装工程においてプラスチック成型体の歪が増大した。
参考例16
参考例15の方法において、NBRゴム層を積層したゴム・ポリエステルフィルム積層体の両面に繊維強化プラスチック部材よりなる芯層を積層し、参考例15と同様にして成型し、NBRゴムを積層したゴム・ポリエステルフィルム積層体が中間層とした曲面構造のプラスチック成型体を得た。得られたプラスチック成型体の表面の平滑性は参考例15で得られた成型体よりは若干劣るが、比較例10で得られたプラスチック成型体よりは格段に優れていた。
Figure 0004905458
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産業上の利用の可能性
本発明のゴム積層用被覆ポリエステルフィルムは層厚みの薄い架橋高分子膜層でポリエステルフィルムとゴム層の接着性を向上させており、接着剤層を排除しているので層厚みの厚い接着剤層により引き起こされる成型性の低下を回避することができる。その上に、該ポリエステルフィルムとゴム層との接着力が高く、かつ接着力の耐久性に優れたゴム・ポリエステルフィルム積層体を得ることができる。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、優れた成型性を有するので、例えば、プラスチック成型体用部材として使用した場合にプラスチック成型体の成型性を低下させることがない。さらに、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、ゴム層が積層されているので、例えば、該プラスチック成型体の部材として使用した場合においてプラスチック成型体の成型の折に発生する歪をゴム層の弾性を利用して緩和することができるので、例えば、プラスチック成型体の表面状態を改善することができ、かつ該プラスチック成型体の使用において成型体に加わる外力をゴム層の有する弾性で緩和することが可能であり、例えば、プラスチック成型体の外観や耐久性を向上させることができる等の効果を付与することができる。また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体はポリエステルフィルムが積層されているのでゴム層単体品に比べて取り扱い性に優れている。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、ゴムとポリエステルフィルムの接着性や接着性の耐久性が優れているので、例えば、プラスチック成型体用部材として使用した場合にプラスチック成型体の耐久性が向上する。
また、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、基材ポリエステルフィルムの両面に架橋高分子膜層が形成された形態も含まれるので、ゴム層との接着性や接着耐久性のみでなく、ゴム層を積層した面との反対面においても、例えば、印刷インキとの接着性や接着耐久性も向上できるという利点を有する。したがって、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルム表面に、印刷、塗装あるいは金属の蒸着等により装飾を施す場合に、印刷インク、塗料、あるいは金属薄膜等とポリエステルフィルムとの接着性や接着耐久性が向上するという利点を有している。また、ゴム層を積層した面との反対面にフィルム、織物、不織布あるいは成型体等の他素材とを貼り合せる場合に、該素材とポリエステルフィルムとの接着性や接着耐久性が向上するという利点も有している。
また、プラスチック成型体は、上記ゴム・ポリエステルフィルム積層体をプラスチック成型体の一構成部材として用いているので、以下のような特徴を有する。
(1)プラスチック成型体の成形において発生する歪をゴム層の弾性を利用して緩和することができるので、例えば、プラスチック成型体の表面状態を改善することができ、かつ成型時に発生する歪を緩和することができ、さらに、該プラスチック成型体の使用において成型体に加わる外力をゴム層の有する弾性で緩和することが可能であり、例えば、プラスチック成型体の耐久性を向上させることができる。
(2)上記ゴム・ポリエステルフィルム積層体はポリエステルフィルムが積層されているのでプラスチック成型体の強度等を高める補強効果を発現する。
(3)上記ゴム・ポリエステルフィルム積層体はポリエステルフィルムが積層されているので、プラスチック成型体のガスバリアー性等のバリアー性を改善できることがある。
(4)上記ゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルム面プラスチック成型体の表面に上記ゴム・ポリエステルフィルム積層体のポリエステルフィルム面側が表層となるように積層した場合は、ポリエステルフィルムの表面平滑性及びゴム層によるプリントスルー効果により極めて高度な表面平滑性が得られるという利点を有する。そのため、プラスチック成型体の表面に加飾処理した場合に品位の高い表面装飾が可能となる。
(5)上記特性を有したゴム・ポリエステルフィルム積層体を用いているので、被覆ポリエステルフィルムとゴム層との接着力が高く、かつ接着力の耐久性に優れているので、例えば、自動車用外板等の耐久性が求められる成型体の構成部材として好適に使用することができる。
また、例えば、ゴム・ポリエステルフィルム積層体単膜あるいは他の素材と積層した形で、ゴム・ポリエステルフィルム複合体のゴム層の有するクッション性、緩衝性及びグリップ性を活かして、各種機器や装置のシール材、クッション材及び表皮材等としても好適に使用することができる。特に、上記したごとく、本発明のゴム・ポリエステルフィルム積層体は、ポリエステルフィルムとゴム層との接着性や接着耐久性に優れているので、上記用途において接着性や接着耐久性の要求の厳しい用途において特に好適に使用可能である。従って、産業界に寄与することが大である。

Claims (11)

  1. 面配向度が0.005〜0.15であるポリエステルフィルムの少なくとも片面に厚み0.003〜5μmの架橋高分子膜を有し、架橋高分子膜が架橋剤により架橋されてなり、架橋高分子膜を構成する樹脂と架橋剤との比が架橋剤/樹脂の重量比で0.5以上であり、フィルムの長手方向及び幅方向における10%伸長時応力(25℃)が20〜200MPaであることを特徴とするゴム積層用被覆ポリエステルフィルム。
  2. 架橋高分子膜がポリエステル、ポリウレタン及びアクリル系ポリマーより選ばれた少なくとも1種の樹脂よりなる請求項1記載のゴム積層用被覆ポリエステルフィルム。
  3. 架橋剤が、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、シランカップリング剤及びチタネート系カップリング剤より選ばれた少なくとも1種である請求項1又は2に記載のゴム積層用被覆ポリエステルフィルム。
  4. 架橋高分子膜がポリエステルフィルムの両面に形成されてなる請求項1〜のいずれかに記載のゴム積層用被覆ポリエステルフィルム。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のゴム積層用被覆ポリエステルフィルムとゴムを積層してなるゴム・ポリエステルフィルム積層体。
  6. 被覆ポリエステルフィルムとゴム層とを接着剤を介することなく直接積層してなる請求項記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体。
  7. 被覆ポリエステルフィルムとゴム層との接着強度が9N/20mm以上である請求項又はに記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体。
  8. トルエン浸漬後(25℃、72時間)の被覆ポリエステルフィルムとゴム層との接着強度が8N/20mm以上である請求項のいずれかに記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体。
  9. 下記の耐水接着強度測定方法のよる耐水耐久処理をした後の被覆ポリエステルフィルムとゴム層との接着強度が8N/20mm以上である請求項5〜8のいずれかに記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体。
    (耐水接着強度測定方法)
    ゴム・ポリエステルフィルム積層体を50mm×50mmに切断した測定試料を、蒸留水400ccを入れた500ccの蓋付きの円筒状のガラス容器の中に、上記試料のゴム層が下側になるように水中に沈め、試料全体が水中に浸漬した状態で容器に蓋をした。試料の入った容器を、90℃に設定したギアーオーブン中に入れ、14日間静置する。熱処理後、オーブンから容器を取り出し、速やかに試料を取り出して、ゴム・ポリエステルフィルム積層体のゴム層とポリエステルフィルムの界面にナイフを入れ、その部分に指で応力を加えて界面剥離を発生させ、JIS K6854に準じてT型剥離法で剥離強度を測定した。
  10. 面配向度が0.005〜0.15であるポリエステルフィルムの少なくとも片面に厚み0.003〜5μmの架橋高分子膜を有する、フィルムの長手方向及び幅方向における10%伸長時応力(25℃)が20〜200MPaであるポリエステルフィルムの前記架橋高分子膜の表面に未架橋ゴム層を積層し、次いで未架橋ゴム層を架橋してなる請求項に記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体の製造方法。
  11. 未架橋ゴム層に接着性改良剤が配合されてなる請求項10に記載のゴム・ポリエステルフィルム積層体の製造方法。
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