JP4905207B2 - 再生装置及びプログラム - Google Patents
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Description
図1は、本実施形態に係る楽曲配信システム100の全体構成を示す図である。
この楽曲配信システム100は、オーディオ再生装置10と、自動演奏装置20と、データ配信装置30とを備えている。オーディオ再生装置10は、オーディオデータを再生して、音声またはオーディオ信号を出力する装置であり、例えばパーソナルコンピュータである。自動演奏装置20は、MIDIの規格に準拠した楽曲データであるMIDIデータに基づいて自動演奏を行う装置であり、例えば自動演奏ピアノである。データ配信装置30は、インターネットや固定電話網など様々な通信網によって構成されるネットワーク40を介して、オーディオ再生装置10や自動演奏装置20にオーディオデータやMIDIデータを配信する装置であり、例えばWWW(World Wide Web)サーバ装置である。オーディオ再生装置10、自動演奏装置20及びデータ配信装置30はそれぞれ有線又は無線によってネットワーク40に接続されている。また、オーディオ再生装置10と自動演奏装置20とは有線又は無線で相互に接続可能であり、これらの装置が協働することによって、楽曲を再生する再生システムとして機能する。なお、オーディオデータ及びMIDIデータは、それぞれファイル形式のデータとして取り扱われるから、以下では、オーディオファイルとMIDIファイルという。また、MIDIファイルに基づいて自動演奏を行うことを、以下では必要に応じて、MIDIファイルを再生する、という。
図2は、データ配信装置30の構成である。
データ配信装置30は、制御部31と、通信部32と、記憶部33とを備えている。制御部31は、例えばCPUなどの演算装置とROMやRAMなどの各種メモリを備えている。演算装置がこれらのメモリや記憶部に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、データ配信装置30の各部を制御する。通信部32は、ネットワーク40に接続されており、制御部31による制御の下でオーディオ再生装置10や自動演奏装置20と通信を行う。
次に、本実施形態で取り扱われる各種データの内容を説明する。
図3は、オーディオファイルとMIDIファイルとの関係を表した図である。
オーディオファイルは、例えば44.1(kHz)などの所定のサンプリング周波数を基準にしてサンプリングされた時系列の音声波形をデジタル化したデータである。このオーディオファイルには、音声波形を表す実体データのほかに、オーディオファイルの先頭(つまりオーディオファイルの再生開始時点)からの経過時間を表す多数のタイムコードが含まれている。
このMIDIファイルは、SMF(Standard MIDI File)とも呼ばれており、図4上段に示すように、ヘッダチャンクとトラックチャンクによって構成されている。ヘッダチャンクには、チャンクタイプ等のSMFの属性情報が含まれている。トラックチャンクには、実体となるMIDIデータが含まれている。トラックチャンクには、同図下段に示すように、演奏制御等を指示するイベントと、先行するイベントと後発のイベントとの発生時間間隔を示すデルタタイムとが含まれている。イベントには、発音又は消音すべき旨を示すノートオン・ノートオフ情報や、発音すべき音の高さを示すノートナンバ情報や、発音の強弱を示すベロシティ情報などが含まれている。
この番組管理テーブル33aには、各々のオーディオファイルを識別するためのファイル識別子と、各オーディオファイルに対応する番組に割り当てられた番組識別子とが対応付けられて記述されている。ファイル識別子は、オーディオファイルのファイル名、データサイズ及び作成日時の組によって表現されている。例えば、ファイル名「piano-fan.wav」というオーディオファイルのデータサイズは「41.5(MB)」であり、その作成日時は「2006/1/25」である。このファイル名「piano-fan.wav」、データサイズ「41.5(MB)」及び作成日時「2006/1/25」の組によって、1つのオーディオファイルが一意に特定される。そして、このオーディオファイルによって表される番組の番組識別子は「CID001」である。データ配信装置30は、オーディオファイルのファイル識別子をキーにしてこの番組管理テーブル33aを検索し、その結果、対応する番組識別子を特定することができる。
この番組表33bは、番組識別子と、その番組において各MIDIファイルが再生される再生スケジュールと、各MIDIファイルが格納された位置を表すURLと、各MIDIファイルのファイル名とを含むデータである。以下の説明では、この番組表33bに含まれている番組識別子、再生スケジュール、URL及びファイル名のことを、必要に応じて、番組表33bに対応付けられて記述されている番組識別子、再生スケジュール、URL及びファイル名と呼ぶことにする。再生スケジュールは、番組(オーディオファイル)の再生開始時を始期とした、MIDIファイルの再生開始時期と再生終了時期とを含んでいる。図では、番組の再生開始から1分16秒後に自動演奏されるべきMIDIファイルのファイル名が、「piano-fan001.mid」であり、そのURLが「http://www.abc.co.jp/CID001/piano-fan001.mid」であることが例示されている。ここでも、オーディオファイルの楽曲4と同期して再生されるMIDIファイルは用意されていないので、MIDIファイルのURLやファイル名のフィールドはブランクである。
次に、図7のブロック図を参照しながら、オーディオ再生装置10の構成について説明する。
オーディオ再生装置10は、制御部11と、第1通信部12と、第2通信部13と、記憶部14と、操作部15と、表示部16と、放音部17とを備えている。制御部11は、例えばCPUなどの演算装置とROMやRAMなどの各種メモリを備えている。演算装置がこれらのメモリや記憶部に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、オーディオ再生装置10の各部を制御する。第1通信部12は、ネットワーク40に接続されており、制御部11による制御の下でデータ配信装置30と通信を行う。第2通信部13は、例えばUSBインタフェースや無線通信回路などの接続手段であり、有線又は無線を介して自動演奏装置20と通信を行う。操作部15はキーボードやマウスなどを備えており、ユーザによる操作を受け付けてその操作内容に応じた信号を制御部に供給する。表示部16は、例えば液晶ディスプレイ装置であり、制御部11から与えられるデータに基づいてユーザとの対話画面や各種の情報を表示する。
次に、図8のブロック図を参照しながら、自動演奏装置20の構成について説明する。
自動演奏装置20は、コントローラ21と、記憶部22と、第1通信部23と、第2通信部24と、操作部25と、演奏部26とを備えている。第1通信部23は、ネットワーク40に接続されており、コントローラ21による制御の下でデータ配信装置30と経由の通信を行う。第2通信部24は、例えばUSBインタフェースや無線通信回路などの接続手段であり、オーディオ再生装置10の第2通信部13と通信を行う。コントローラ21は、例えばCPUなどの演算装置とROMやRAMなどの各種メモリを備えており、CPUがROMや記憶部に格納されている各種プログラムを実行することで自動演奏装置20全体を制御する。このコントローラ21は、時間を計測する計時部21aを備えている。計時部21aは、水晶振動子とアンプにより構成された発振回路(いずれも図示略)を備えており、その発振回路から出力される発信信号を適宜分周してタイミング制御用のクロックを生成し、生成したクロックに基づいて時間を計測する。
次に、実施形態の動作を説明する。
(2−1)オーディオファイルを取得するまでの動作
まず、図9のシーケンスを参照しながら、オーディオ再生装置10がデータ配信装置30からオーディオファイルを取得するまでの動作について説明する。
図9において、まず、ユーザはオーディオ再生装置10の操作部15を用いて、WWWブラウザプログラムを起動させ、所定のURLを指定する操作を行う。このURLは、データ配信装置30が記憶しているオーディオファイルの一覧画面データの格納位置を示すURLである。オーディオ再生装置10の制御部11はこの操作を受け付けて(ステップS1)、上記URLを含む要求(HTTPリクエスト)を第1通信部12から送信する(ステップS2)。一方、データ配信装置30の制御部31は、前述した配信プログラムを常時実行しており、通信部32が上記要求を受信すると、オーディオファイルの一覧画面データを記憶部33から読み出して(ステップS3)、これをHTTPレスポンスとしてオーディオ再生装置10に送信する(ステップS4)。
以上で、オーディオファイルのダウンロードが完了する。
次に、オーディオ再生装置10によるオーディオファイルの単独再生について説明する。
ユーザがオーディオ再生装置10の操作部15を操作して、オーディオファイルの再生を行いたい旨の指示を行うと、オーディオ再生装置10の制御部11はその操作を受け付けてオーディオ再生プログラムを起動し、記憶部14に記憶されているオーディオファイルを参照して、図11に示すような画面を表示部16に表示する。この画面には、「1 ピアノファン!」、「2 ピアノ協奏曲全集No.1」、「3 ベストピアノ」というように、記憶部14に記憶されたオーディオファイル(番組)のタイトルの一覧が記されている。この画面上で「単独」と表記されたソフトボタンは単独再生を指示する操作子であり、「同期」と表記されたソフトボタンは同期再生を指示する操作子である。
次に、図12のシーケンスを参照しながら、オーディオ再生装置10と自動演奏装置20とが同期再生を行う動作について説明する。
図12において、ユーザは、オーディオ再生装置10と自動演奏装置20とを、有線又は無線により通信可能に接続する(ステップS11)。そして、ユーザはオーディオ再生装置10の操作部15を操作して、オーディオファイルの再生を行いたい旨の指示を行うと、オーディオ再生装置10の制御部11はその操作を受け付け(ステップS12)、オーディオ再生プログラムを起動して、前述した図11に示す画面を表示部16に表示する。
以上のような処理を経ることで、まず最初に「ナレーション1」が再生され、次に「楽曲1」が自動演奏され、次に「ナレーション2」が再生され、次に「楽曲2」及び「楽曲3」が順次自動演奏され、次に「ナレーション3」が再生され、最後に「楽曲4」が自動演奏されずに、再生のみされることになる。
また、オーディオファイルに含まれている楽曲に対応するMIDIファイルが存在する場合には、オーディオファイルをミュート再生するので、オーディオファイルとMIDIファイルとが同時に再生されることがなく、聴取者にとっては聞きやすい。
また、オーディオファイルの再生開始時期からの経過時間を基準として、オーディオファイルに含まれている楽曲に対応するMIDIファイルが存在するときだけ、そのMIDIファイルを再生するので、オーディオファイルの内容とMIDIファイル群の内容とが一致していないくても、これらの両者の同期を維持した状態で再生を行うことが可能となる。
また、オーディオファイルとMIDIファイルとを別々に用意しているので、ユーザは、自分の趣向や場所に応じて、同期再生を楽しむこともできるし単独再生を楽しむこともできる。
上述した実施形態を次のように変形してもよい。以下の変形例は適宜組み合わせることができる。
(3−1)変形例1
実施形態の再生スケジュールには、MIDIファイルの再生開始時期と再生終了時期が含まれていたので、コントローラ21は、これを見て、再生開始時期及び再生終了時期(つまりMIDIファイルが再生されている期間)を特定することができた。ただし、MIDIファイルにはその再生期間(データ長)が記されているので、再生スケジュールに再生開始時期さえ含まれていれば、コントローラ21は、その再生開始時期に、MIDIファイルに記されている再生期間を加算することで再生終了時期を特定することが可能である。
実施形態では、同期再生時に、オーディオファイルに基づく再生音を自動演奏装置20のスピーカ26hから出力していたが、必ずしもそうである必要はなく、オーディオ再生装置10の放音部17から出力してもよいし、自動演奏装置20のスピーカ26hとオーディオ再生装置10の放音部17の双方から出力してもよい。
オーディオ再生装置10の放音部17から出力する場合、オーディオ再生装置10はオーディオ信号を自動演奏装置20に出力する必要はないが、MIDIファイルとの同期再生のために、タイムコードを出力する必要はある。自動演奏装置20のコントローラ21は、オーディオ再生装置10から出力されるタイムコードと、計時部21aの計時結果と、再生スケジュールとに従って、MIDIファイルに基づいた自動演奏を行う。つまり、コントローラ21は、オーディオ再生装置10から出力されるタイムコードが、再生スケジュールに記された再生開始時期に到達すると、該当するMIDIファイルに基づいた自動演奏を開始する。
オーディオファイルを複数の演奏パート(例えばボーカルパート、ギターパート、又はピアノパートなど)によって構成し、MIDIファイルをこれらの演奏パートのうちいずれか1つの演奏パート(例えばピアノパート)によって構成してもよい。この場合、コントローラ21は、MIDIデータを構成する演奏パート(ピアノパート)の演奏音が出力される期間にわたっては、オーディオファイルを構成する複数の演奏パート(ボーカルパート、ギターパート、又はピアノパート)のうち、MIDIファイルの演奏パートに対応する演奏パート(オーディオファイルのピアノパート)をミュート再生し、それ以外の演奏パート(ボーカルパート及びギターパート)については再生音を出力する。このようにすれば、オーディオファイルがマルチパートである場合に、自動演奏が可能な演奏パートのみを自動演奏することができる。
実施形態では、コントローラ21は、オーディオ再生装置から供給されてくるオーディオ信号をミキサ26fに供給しないことで、オーディオファイルに基づく再生音を出力しないようにしていた。オーディオファイルに基づく再生音を出力しない方法としては、このように自動演奏装置20の側で行うものだけではなく、オーディオ再生装置10の側で行う方法もある。
オーディオファイルの再生開始からの経過時間がMIDIファイルの再生開始時期に至ると、コントローラ21は、ミュート再生又はボリュームをゼロにする指示を第2通信部24からオーディオ再生装置10に送る一方で、そのMIDIファイルを記憶部22から読み出して自動演奏を行う。この指示は、そのMIDIファイルの再生終了時期が到来するまで自動演奏装置20からオーディオ再生装置10に送られ続ける。オーディオ再生装置10は、第2通信部13によって上記指示を受け取っている期間は、実施形態で説明した自動演奏装置20と同様の手法でミュート再生を行うか、又は、再生音量のボリュームをゼロにする。つまり、自動演奏装置20が、オーディオ再生装置10に対し、オーディオ信号の供給を停止させるのである。これにより、オーディオファイルに基づく再生音を出力しないようにすることができる。
また、自動演奏装置20の第2通信部24から、第2通信部24及び第2通信部13経由で、オーディオ再生装置10に番組表33bを送っておき、オーディオ再生装置10の制御部11が、この番組表33bを参照して、自動演奏装置20によって記憶されているMIDIファイルと、そのMIDIファイルの再生開始時期及び再生終了時期を特定する。そして、制御部11は、特定した再生開始時期から再生終了時期までの期間にわたっては、オーディオファイルに基づく再生音又はオーディオ信号を出力しないようにする。
さらに、オーディオ再生装置10の制御部11が、第2通信部13に接続された外部装置が自動演奏装置20であるか否かを判定し、その判定結果に応じて、上記のように、再生開始時期から再生終了時期までの期間にわたって再生音を出力するか否かを決定してもよい。つまり、制御部11は、外部装置が自動演奏装置であると判定した場合には、再生開始時期から再生終了時期までの期間にわたっては再生音又はオーディオ信号を出力せず、外部装置が自動演奏装置でないと判定した場合には、再生音又はオーディオ信号を出力する。外部装置が自動演奏装置20であるか否かの判定は、自動演奏装置20を含む外部装置と、オーディオ再生装置10とが第2通信部24及び第2通信部13によって接続された際にお互いの装置種別情報を交換するなどして行えばよい。
上記実施形態では、自動演奏装置20のコントローラ21は、MIDIファイルに基づいた演奏音を出力しない期間にわたっては、オーディオ信号に基づいた再生音を出力していたが、MIDIフファイルに基づく演奏音を出力しない期間のうち、一部の期間に限っては、オーディオ信号に基づいた再生音を出力しないようにしてもよい。例えば、MIDIファイルの再生開始時期よりも所定期間(例えば0.5msなどの非常に短い期間)前までの期間においては、前記オーディオデータに基づいた再生音を出力するが、再生開始時期よりも所定期間前からMIDIファイルに基づいた演奏音を出力するまでの期間においては、オーディオ信号に基づいた再生音を出力しないようにする。つまり、MIDIファイルの再生開始の所定期間前から、オーディオファイルをミュート再生するのである。MIDIファイルの再生とオーディオファイルの再生との同期がずれているような場合には、MIDIファイルに基づく演奏音とオーディオファイルに基づく再生音とが同時期に重なって出力されてまうことが予想される。上記のような構成を採用しておくと、MIDIファイルの再生とオーディオファイルの再生との同期のずれ量が上記所定期間内に収まっていれば、両者の音が同時期に出力されることがない。
このような構成は、上記の変形例4の“オーディオ再生装置10の制御部11が番組表33bを参照して、自動演奏装置20によって記憶されているMIDIファイルと、そのMIDIファイルの再生開始時期及び再生終了時期を特定する”場合にも適用し得る。つまり、オーディオ再生装置10の制御部11は、上記再生開始時期から再生終了時期までの期間に加えて、その再生開始時期からの所定期間前から、その再生開始時期に至るまでの期間において、再生音又はオーディオ信号を出力しないようにすればよいのである。
オーディオファイルに基づく再生とMIDIファイルに基づく自動演奏との同期の取り方は、実施形態に記載したものに限らず、どのようなものであってもよい。例えば特開2003−271138号公報や特開2006−47761号公報に開示されているような方法を用いてもよい。前者の方法は、オーディオ信号のピーク時期を検出し、そのピーク時期において時間管理用のイベントを生成し、そのイベントと計時手段による計時結果とに基づいて同期をとるというものである。
また、後者の方法は、オーディオ再生装置10から自動演奏装置20に供給されるオーディオ信号を構成する複数チャネルのうちのいずれかを同期用チャネルとして利用するものであり、具体的には以下のとおりである。オーディオ再生装置10の制御部11は、オーディオファイルの再生時に、チャネル(L)にオーディオデータが含まれ、チャネル(R)に時間情報とファイル識別子とが含まれて成るLTCを生成する。LTCは、SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)に準拠したタイムコードであり、時間情報とファイル識別子とを含んでいる。自動演奏装置20のコントローラ21は、LTCに含まれる時間情報と計時部21aによる計時結果とに基づいて、オーディオファイルとMIDIファイルとの再生の同期をとる。
このように、オーディオ信号の或るチャネルを用いた場合には、オーディオ再生装置10から自動演奏装置20に対し、オーディオ信号を送信するだけで必要な指示を行うことができる
実施形態では、自動演奏装置20が、オーディオ再生装置10からオーディオファイルのファイル識別子を取得し、次に、そのファイル識別子を指定してデータ配信装置30から番組表33bを取得し、さらに、その番組表33bに記されたURLに基づいて、必要なMIDIファイルを取得していた。この方法によれば、自動演奏装置20が番組表33bを参照することで、まず自動演奏の対象となる全てのMIDIファイルを特定することができるので、自身が記憶していないMIDIファイルだけをダウンロードすることができ、無駄なダウンロード処理が発生しない。
これに対し、自動演奏装置20が、オーディオ再生装置10からオーディオファイルのファイル識別子を取得すると、次に、そのファイル識別子を指定して、番組表33b及びその番組表33bに記されたMIDIファイルをデータ配信装置30から一度に取得するようにしてもよい。つまり、自動演奏装置20のコントローラ21は、オーディオ再生装置10からオーディオファイルのファイル識別子を第2通信部24によって受信すると、そのファイル識別子を第1通信部23からデータ配信装置30に送信する。データ配信装置30の制御部31はこのファイル識別子を通信部32によって受信すると、このファイル識別子に合致するレコードを検索し、検索によって特定されたレコードに記述された番組識別子「CID001」を特定する。そして、制御部31は、その番組識別子「CID001」に対応する番組表33bと、その番組表33bに記されたMIDIファイルを記憶部33から全て読み出し、通信部32から自動演奏装置20に送信する。自動演奏装置20のコントローラ21は、番組表33bとMIDIファイルを第1通信部23によって受信すると、それらを記憶部22に記憶する。このようにすれば、番組表とMIDIファイルの一括ダウンロードが可能となる。
実施形態では、1つのデータ配信装置30が、オーディオファイル、番組表33b及びMIDIファイルの全てを記憶しておき、これらをオーディオ再生装置10や自動演奏装置20からの要求に応じて配信していた。
これに対し、これらオーディオファイル、番組表33b及びMIDIファイルを記憶するデータ配信装置30をそれぞれ別々の装置としてもよい。図15は、この変形例に係るシステム全体の一例を示す図である。図に示すように、データ配信装置30aは、オーディオファイルと番組表とを記憶しており、データ配信装置30bは、その番組表に記された複数のMIDIファイルのうちのいくつかを記憶しており、データ配信装置30cは、その番組表に記された複数のMIDIファイルのうちの残りのMIDIファイルを記憶している。オーディオ再生装置10のユーザは、オーディオ再生装置10をデータ配信装置30aにアクセスさせて、オーディオファイルと番組表を取得する。その番組表には、複数のMIDIファイルのURLがそれぞれ記述されており、自動演奏装置20は、番組表に記されたURLに基づき、データ配信装置30bやデータ配信装置30cからMIDIファイルをそれぞれ取得する。オーディオファイルやMIDIファイルを提供するサービス提供者にとっては、膨大な数のファイル群の全てを自ら用意するのは容易ではないが、上記のように、それぞれのファイルを複数のサービス提供者によって分担して用意するのであれば、お互いに保有しているファイル群を活用しあうことができ、ユーザに多様な楽曲を提供することが可能となる。特にオーディオファイルとMIDIファイルは、ファイルの作成手法やそのデータ構造或いはファイルの利用目的などが異なるので、それらを別々に用意して提供することは、各々のサービス提供者にとって都合がよい。
また、前述した番組表には、MIDIファイルのURLが記述されていたが、実施形態のようにデータ配信装置が1つだけの場合には、このURLは必ずしも必須ではなく、MIDIファイルのファイル名があれば、MIDIファイルの在処を特定できる。これに対し、MIDIファイルが複数のデータ配信装置に分散されて記憶されている場合には、番組表にURLが記述されていると都合がよい。
また、オーディオ再生装置10及び自動演奏装置20からなる再生システムを、1つの装置として構成してもよいし、さらに複数の装置に機能を分離して持たせてもよい。
さらに、図15に示すように、データ配信装置30a,30b,30cを決済システム50に接続し、オーディオファイルやMIDIファイルの対価を、オーディオ再生装置10や自動演奏装置20のユーザに課金するようにしてもよい。この決済システム50は、図示せぬ全銀協(全国銀行協会)ネットワーク40やCAFIS(Credit And Finance Information System)網などの各種の金融ネットワークや金融機関を含むシステムである。データ配信装置30a,30b,30cは、オーディオファイルやMIDIファイルの対価を、オーディオ再生装置10や自動演奏装置20のユーザに課金するための課金処理を行って、この決済システム50に対して決済処理を依頼する。この依頼に応じて、決済システム50による決済処理が実行される。
この課金処理の詳細は以下のとおりである。
データ配信装置30の記憶部33には、オーディオファイルやMIDIファイルと、その価格データとが対応付けられて記憶されている。また、記憶部33には、オーディオ再生装置10や自動演奏装置20のユーザに関する情報が、各々のユーザからの事前の届け出に基づいて記憶されている。このユーザに関する情報とは、例えば氏名、住所、生年月日、ユーザ識別子、銀行口座、クレジットカード番号などである。データ配信装置30の制御部31は、オーディオファイルやMIDIファイルのダウンロードが完了すると、そのファイルに対応付けられている価格データを特定するとともに、そのファイルを取得したユーザに割り当てられたユーザ識別子を特定する。価格データは前述のとおりファイルに対応付けられて記憶部に記憶されているので、それを用いる。また、ファイルをダウンロードしたユーザのユーザ識別子については、オーディオ再生装置10や自動演奏装置20がデータ配信装置30にアクセスする際のログイン処理にて、そのユーザ識別子の入力を要求し、それを制御部31が記憶しておけばよい。そして、制御部31は、特定した価格データを、ユーザ識別子、銀行口座又はクレジットカード番号とともに、決済システム50に通知して決済処理を依頼する。ここまでが、制御部がファイルの対価を課金するための課金処理である。この通知に応じて、決済システム50は、通知された金額を、通知された銀行口座から引き落としたり、通知されたクレジットカード番号に基づいて引き落とすなどの決済処理を行う。
実施形態では、MIDIファイルを自動演奏装置20にダウンロードし、そのMIDIファイルを再生した後も記憶部22に記憶させたままであるから、MIDIファイルの再利用(複数回の再生)が可能であった。
これに対し、各々のMIDIファイルを、上記のようなダウンロード形式で再生するものと、いわゆるストリーム形式で再生するものに分けてもよい。ストリーム再生とは、取得したMIDIファイルを例えばRAMなどの揮発性の記憶手段にバッファリングし、それを順次読み出して再生するが、その再生後は、記憶手段からMIDIファイルを消去する、という再生の形態である。つまり、再利用ができない再生形態である。
例えば、著作権の対象となる楽曲のMIDIファイルをストリーム形式で再生し、著作権の対象とならない楽曲のMIDIファイルをダウンロード形式で再生するといった形態が考えられる。また、変形例9で説明したように、MIDIファイルの対価を課金するのであれば、同じ楽曲のMIDIファイルに対し、低い対価を支払った場合にはストリーム形式で再生し、高い対価を支払った場合にはダウンロード形式で再生するといった形態も考えられる。
ダウンロード形式の再生とストリーム形式の再生は、以下のようにして実現する。
データ配信装置30の記憶部33に記憶されたMIDIファイル群は、MIDIファイルの再利用が許された第1のグループと、MIDIファイルの再利用が許されない第2のグループとに区分されている。例えば、番組表において、第1のグループに属するMIDIファイルには、その第1のグループを意味するフラグを対応付けて記述し、第2のグループに属するMIDIファイルには、その第2のグループを意味するフラグを対応付けて記述しておく。
自動演奏装置20のコントローラ21は、番組表を取得すると、その番組表に記述されているフラグの種類に応じて、MIDIファイルの取得及び再生の形態を異ならせる。具体的には、第1のグループのフラグと対応付けられているMIDIファイルに関しては、コントローラ21は、番組表を取得すると直ちにデータ配信装置30からそのMIDIファイルを取得して記憶部22に記憶しておく。そして、コントローラ21は、番組表に記された再生開始時期が到来すると、記憶部22からMIDIファイルを読み出し、各イベントをオーディオファイルの再生と同期させて順次、ピアノ電子回路26dに供給する。一方、第2のグループのフラグと対応付けられているMIDIファイルについては、コントローラ21は、番組表に記された再生開始時期の所定期間だけ前になると、データ配信装置30からそのMIDIファイルを取得してコントローラ21内のRAMに一時的に記憶し、これをオーディオファイルの再生と同期させて順次読み出し、電子ピアノ回路に供給する。そして、コントローラ21は、RAMに記憶されたMIDIファイルを、その読み出し乃至再生後に消去する。
これにより、MIDIファイルの再利用を制限することができる。
実施形態では、オーディオ再生装置10及び自動演奏装置20が、それぞれネットワーク40経由で通信を行う機能を備えていたが、これに限らず、いずれか一方がその通信機能を備えておき、他方はその一方の通信機能を利用してネットワーク40経由でファイルをダウンロードするようにしてもよい。例えば、オーディオ再生装置10のみがネットワーク40経由の通信機能を備えている場合に、自動演奏装置20が番組表やMIDIファイルを取得しようとするときには、オーディオ再生装置10が自動演奏装置20からの要求を第2通信部13によって受信し、これを第1通信部12からデータ配信装置30に転送する。その要求に応じて送信されてくる番組表やMIDIファイルをオーディオ再生装置10の第1通信部12が受信すると、それらを第2通信部13によって自動演奏装置20に転送する。
実施形態では、ファイル識別子として、ファイル名、データサイズ及び作成日時の組を用いたが、データサイズや作成日時はいずれか一方のみでもよい。なお、「作成日時」という用語の意味には更新日時も含まれている。また、ファイル識別子は、オーディオファイルを特定することが可能な識別子であればなんでもよく、例えばシーケンシャルに割り当てられた番号など様々なものを利用することができる。
実施形態では、オーディオファイル、番組表及びMIDIファイルをネットワーク40経由でダウンロードする例であったが、これらのうち少なくともいずれか1つを、ネットワーク40経由ではなく、コンパクトディスクやフレキシブルディスク或いは、MD、オーディオテープ、レコードなどの様々な記録媒体によって、オーディオ再生装置10や自動演奏装置20に提供するようにしてもよい。つまり、オーディオ再生装置10と自動演奏装置20によるオーディオファイル、番組表及びMIDIファイルの取得形態は、ネットワーク40経由に限らない。
実施形態では、自動演奏装置が番組表を取得すると、直ちに、自動演奏に必要なMIDIファイルをダウンロードしていたが、これに限らない。例えば番組表を取得すると、直ちにオーディオファイルの再生を開始し、その再生中に、最初のMIDIファイルの再生開始時期までにそのMIDIファイルを取得するようにしてもよい。そして、2番目以降に再生されるMIDIファイルについても、各々の再生開始時期までに取得できていればよい。
また、オーディオファイルやMIDIファイルの内容は、図3に例示したものに限らず、その内容は任意である。オーディオファイルにおいてナレーションは必須ではなく、楽曲だけからなるオーディオファイルであってもよい。
実施形態では、オーディオ再生装置10としてパーソナルコンピュータを例示したが、ネットワーク40経由の通信機能や自動演奏装置20との間でデータの授受を行うための機能を搭載したものであれば、どのようなものであってもよく、例えば携帯電話、PHS(Personal Handyphone System:登録商標)、PDA(Personal Digital Assistance)、携帯音楽プレーヤなどであってもよい。また、上述した制御部11、制御部31、コントローラ21が実行するプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、コンパクトディスク、DVD(Digital Versatile Disk)、RAMなどの記録媒体に記録した状態で提供し得る。即ち、本発明をプログラムとして実現することもできる。
Claims (4)
- 1又は時系列に並べられた複数の楽曲の演奏音を含むオーディオデータを記憶するオーディオデータ記憶手段と、
外部装置に接続される接続手段と、
前記オーディオデータ記憶手段に記憶されているオーディオデータに含まれる楽曲に対応する楽曲データのうち、前記接続手段に外部装置として接続された自動演奏装置によって記憶されている楽曲データの再生開始時期と再生終了時期とを示す再生予定情報を当該自動演奏装置から取得する取得手段と、
前記オーディオデータ記憶手段によって記憶されているオーディオデータに基づいた再生音を出力するか、又は、当該オーディオデータに基づいたオーディオ信号を前記外部装置に出力する再生手段であって、前記取得手段によって取得された再生予定情報で示される再生開始時期から再生終了時期までの期間にわたっては、前記再生音又は前記オーディオ信号を出力しない再生手段と
を備えることを特徴とする再生装置。 - 前記接続手段に接続された外部装置が、自動演奏装置であるか否かを判定する判定手段を備え、
前記再生手段は、
前記判定手段によって前記外部装置が自動演奏装置であると判定された場合には、前記再生予定情報で示される再生開始時期から再生終了時期までの期間にわたっては、前記再生音又は前記オーディオ信号を出力せず、
前記判定手段によって前記外部装置が自動演奏装置でないと判定された場合には、前記再生音又は前記オーディオ信号を出力する
ことを特徴とする請求項1記載の再生装置。 - 前記再生手段は、前記再生予定情報で示される再生開始時期から再生終了時期までの期間に加えて、当該再生開始時期からの所定期間前から、当該再生開始時期に至るまでの期間において、前記再生音又は前記オーディオ信号を出力しない
ことを特徴とする請求項1記載の再生装置。 - 外部装置に接続される接続手段を備えるコンピュータを、
1又は時系列に並べられた複数の楽曲の演奏音を含むオーディオデータを記憶するオーディオデータ記憶手段と、
前記オーディオデータ記憶手段に記憶されているオーディオデータに含まれる楽曲に対応する楽曲データのうち、前記接続手段に外部装置として接続された自動演奏装置によって記憶されている楽曲データの再生開始時期と再生終了時期とを示す再生予定情報を当該自動演奏装置から取得する取得手段と、
前記オーディオデータ記憶手段によって記憶されているオーディオデータに基づいた再生音を出力するか、又は、当該オーディオデータに基づいたオーディオ信号を前記外部装置に出力する再生手段であって、前記取得手段によって取得された再生予定情報で示される再生開始時期から再生終了時期までの期間にわたっては、前記再生音又は前記オーディオ信号を出力しない再生手段と
して機能させるためのプログラム。
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