JP4904545B2 - 赤外線固体撮像装置およびその製造方法 - Google Patents

赤外線固体撮像装置およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、入射赤外線によって発生した熱による温度変化を電気信号に変換する赤外線検出部を基板から離間して支持する赤外線固体撮像装置およびその製造方法に関するものである。
従来の赤外線固体撮像装置では、pn接合ダイオードにおいて、伝導キャリアの再結合による雑音電圧または雑音電流が発生していた(非特許文献1および特許文献1参照)。
E. Simoen et al., "Impact of the substrate on the low-frequency noise of silicon n+p junction diodes", Appl. Phys. Lett. 66 (19), 8 May 1995, pp.2507-2509 特開2006−194784号公報
このような赤外線固体撮像装置では、感熱体であるpn接合ダイオードにおいて、伝導キャリアの再結合による雑音電圧または雑音電流により、出力のS/N(Signal/Noise)が良くない、という問題があった。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、伝導キャリアの再結合による雑音電圧または雑音電流によって出力のS/Nが劣化することを抑制できる赤外線固体撮像装置およびその製造方法を提供することである。
本発明の赤外線固体撮像装置は、基板と、入射赤外線によって発生した熱による温度変化を電気信号に変換する赤外線検出部と、前記赤外線検出部を前記基板から離間して支持するための支持部とを備えた赤外線固体撮像装置であって、第1導電型の第1領域と、第2導電型の第2領域と、配線層とを備えている。第1領域は、赤外線検出部に含まれている。第2領域は、赤外線検出部に含まれ、かつ第1領域とともにpn接合ダイオードを構成している。配線層は、第2領域に接続され、かつ支持部に沿って延在している。第1領域および第2領域のpn接合界面と配線層および第2領域の接合部との最短距離が、第2領域における伝導キャリアの拡散長よりも短い。
なお上記において伝導キャリアとは、電気伝導を担うキャリアのことであり、具体的には電子および正孔のいずれかを意味する。
本発明の赤外線固体撮像装置の製造方法は、基板と、入射赤外線によって発生した熱による温度変化を電気信号に変換する赤外線検出部と、赤外線検出部を基板から離間して支持するための支持部とを備えた赤外線固体撮像装置の製造方法であって、以下の工程を備えている。
基板の主表面上に絶縁層を介して半導体層が形成される。半導体層に不純物を注入することで、第1導電型の第1領域と第2導電型の第2領域とを有するpn接合ダイオードが赤外線検出部に形成される。第2領域に接続され、かつ支持部に沿って延在するように配線層が形成される。基板の表面が露出するまで半導体層と絶縁層とを選択的に除去することにより、平面視において赤外線検出部および支持部の周囲に孔が形成される。赤外線検出部と基板との間および支持部と基板との間に隙間を形成するために基板の主表面が除去される。第1領域および第2領域のpn接合界面と配線層および第2領域の接合部との最短距離が第2領域における伝導キャリアの拡散長よりも短くなるように配線層が形成される。
本発明によれば、pn接合界面と第2領域における配線層の接合部との最短距離が、伝導キャリアの拡散長よりも短いので、多数の再結合が起こる前に、伝導キャリアが第2領域から配線層に入る。その結果、pn接合ダイオードの雑音電圧または雑音電流が小さくなり、S/Nが良い赤外線固体撮像装置およびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態における赤外線固体撮像装置100は、非冷却方式(あるいは、熱型とも称される)の赤外線固体撮像装置であり、たとえばSOI(Silicon On Insulator)基板と呼ばれる基板を用いて赤外線固体撮像装置を形成したものである。
なおSOI基板とは、シリコン基板と、そのシリコン基板上に形成された埋め込み酸化層(以下、BOX(Buried OXide)層とも称する)と呼ばれるシリコン酸化膜と、そのシリコン酸化膜を介してシリコン基板上に形成されたシリコン単結晶層よりなるSOI層とを有するものである。ただし、基板はSOI基板に限定されず、基板と絶縁層と半導体層とが順に積層された基板であってもよい。
本実施の形態においては、このSOI層に赤外線検知のためのpn接合ダイオードが作り込まれている。赤外線固体撮像装置に入射する赤外線を効率よくpn接合ダイオード部分の温度変化に変換するために、pn接合ダイオードを含む検出部は、細長い支持体によりシリコン基板から中空状態に保持されている。このため、赤外線検出部はシリコン基板から断熱されているので、入射赤外線を効率よく温度変化に変換することができ、pn接合ダイオードの出力変化を増加させることができる。
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態の赤外線固体撮像装置についてさらに説明する。図1は、本発明の実施の形態1における赤外線固体撮像装置の構成を概略的に示す斜視図である。図1を参照して、赤外線固体撮像装置100において、検出器200はSOI基板400上の検出器アレイ130内で行列状に複数個配列されている。その配列された個々の検出器200をアドレスするための走査回路110と、検出器200が出力した信号を処理して外部に出力するための信号処理回路120とが検出器アレイ130の周辺部に設けられている。検出器200と走査回路110とは、垂直信号線140および水平信号線150によって電気的に接続されている。
図2は、図1中に配置されている検出器200の構成を部分的に拡大して示す平面図であり、pn接合ダイオード3の部分を透視して示し、かつ傘構造50および保護層36を省略して示す図である。また図3は、図2のIII−III線に沿う概略断面図である。
図2を参照して、検出器200は、赤外線検出部10と、支持部20とを有している。平面視において赤外線検出部10および支持部20の周囲には孔37が形成されている。赤外線検出部10は、入射赤外線によって発生した熱による温度変化を電気信号に変換するものであって、n-領域1とp+領域2とからなるpn接合ダイオード3を有している。支持部20は、赤外線検出部10をシリコン基板31側に接続することで赤外線検出部10をシリコン基板から離間して支持している。
pn接合ダイオード3を構成するn-領域1とp+領域2との各々には、配線層11が接続されている。これらの配線11の各々は、支持部20に沿ってシリコン基板31側へ延在している。この配線層11によって、pn接合ダイオード3は図1に示す走査回路110に電気的に接続されている。
なお、上記においては1つの赤外線検出部10に1個のpn接合ダイオード3がある場合について説明したが、1つの赤外線検出部10に複数個のpn接合ダイオード3があってもよい。
図3を参照して、シリコン基板31の表面には凹部31aが形成されている。検出器200は、支持部20と、支持部20によって支持された赤外線検出部10と、赤外線検出部10上に設置された傘構造50とを含んでいる。赤外線検出部10と支持部20とは、シリコン基板31の凹部31a上に配置されているため、赤外線検出部10とシリコン基板31との間および支持部20とシリコン基板31との間には空隙部38がある。この空隙部38と孔37とにより、赤外線検出部10はシリコン基板31から離間しており、中空状態で支持部20によりシリコン基板31側に接続されている。
赤外線検出部10は、pn接合ダイオード3と、pn接合ダイオード3の下面に接して形成された埋め込み酸化層32と、pn接合ダイオードの側面を覆うように形成された分離酸化層34と、pn接合ダイオード3の上面に接して形成された絶縁層35と、絶縁層35上に形成された配線層11の一部と、配線層11を覆うように絶縁層35上に形成された保護層36とを有している。またpn接合ダイオード3は、上述のようにn-領域1とp+領域2とから構成されており、n-領域1およびp+領域2の各々のpn接合界面近傍には空乏層1a、2aが生じている。
支持部20は、下から順に積層された3つの絶縁層32、34、35と、絶縁層35上に形成された配線層11の一部と、配線層11を覆うように絶縁層35上に形成された保護層36とを有している。
またシリコン基板31上には、下から順に積層された3つの絶縁層32、34、35と、絶縁層35上の配線層11の一部と、絶縁層35上で配線層11を覆う保護層36とが形成されている。
次に、本実施の形態における配線層11のSOI層への接続部(コンタクト)の位置について説明する。
図4(a)は、図2のIV−IV線に沿う概略断面図であり、SOI層と配線層との接続部付近を拡大して示す図である。また図4(b)は、SOI層内おけるp型不純物濃度とn型不純物濃度との分布を示す図である。
図4(a)を参照して、本実施の形態における赤外線固体撮像装置100の赤外線検知に用いるpn接合ダイオード3はn-領域1とp+領域2とからなっており、p+領域2は高濃度にp型不純物を含み、n-領域1は低濃度にn型不純物を含んでいる。図4(a)中では、n-領域1における正孔の拡散長をLp、n-領域1の空乏層1aの幅をLndl、pn接合界面からn-領域1における配線層11の接続部(コンタクトホール35a)までの最短距離をLnch、と表記している。
ここで本実施の形態においては、上記最短距離Lnchが、伝導キャリア(正孔)の拡散長Lpよりも短くなるように設定されている。この最短距離Lnchは、配線層11およびn-領域1の接続部のうち最もpn接合界面に近い接合部の端部からpn接合界面までの距離である。またpn接合界面の位置は、図4(b)に示すように、n-領域1におけるn型不純物濃度分布を示す線とp+領域2におけるp型不純物濃度分布を示す線とが交差する位置である。
また、本実施の形態における不純物濃度の説明で、「高濃度」とは概ね5×1017〜5×1021cm-3の不純物濃度をいい、「低濃度」とは概ね1×1015〜5×1017cm-3の不純物濃度をいう。
次に、本実施の形態の赤外線固体撮像装置の製造方法について説明する。
図5〜図10は、本発明の実施の形態1における赤外線固体撮像装置の検出器の部分の製造方法を工程順に示す概略断面図である。図5を参照して、基板400として、シリコン基板31と、シリコン酸化膜よりなる埋め込み酸化層(BOX層)32と、シリコン単結晶層よりなるSOI層33とが順に積層された、いわゆるSOI基板が準備される。
図6を参照して、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)分離法もしくはトレンチ分離法によって、所定の位置に分離酸化層34が形成される。
図7を参照して、イオン注入などにより、SOI層33にn-領域1およびp+領域2が形成され、n-領域1およびp+領域2よりなるpn接合ダイオード3が形成される。また、これ以外に図1で示した信号処理回路120および検出器アレイ130(図7には図示せず)を形成する領域に、トランジスタ、電気容量などが形成される。
図8を参照して、SOI層33および分離酸化層34の表面全面に絶縁層35が堆積される。
図9を参照して、絶縁層35上に導電層が形成された後、通常の写真製版技術およびエッチング技術によりパターニングされ、その導電層から配線層11が形成される。この後、配線層11を覆うように絶縁層35上に、保護層36が形成される。
図10を参照して、通常の写真製版技術およびエッチング技術により、保護層36、絶縁層35、分離絶縁層34および埋め込み酸化層32を貫通してシリコン基板31に達するエッチング孔37が所定の位置に形成される。
図3を参照して、たとえばシリコンから成る犠牲層(図示せず)が保護層36上に堆積され、その犠牲層上に傘構造50が形成される。最後に、たとえばフッ化キセノンなどのエッチャントを用いてシリコンがエッチング除去される。これにより、シリコンよりなる犠牲層が除去されるとともに、エッチング孔37を介してシリコン基板31の表面が所定の厚み分だけ除去されて、シリコン基板31の表面に凹部31aが形成される。このようにして、赤外線検出部10がシリコン基板31から離間して中空に浮いた状態で支持部20によりシリコン基板31側に接続される。また傘構造50は赤外線検出部10に一部で接続され、他の部分が中空に浮いた状態で形成される。以上により、図3に示す検出器200を有する本実施の形態の赤外線固体撮像装置100が製造される。
次に、検出器200の赤外線検出原理について説明する。
赤外線固体撮像装置100の撮像対象となる被写体が発した赤外線が、検出器アレイ130内の検出器200に入射すると、赤外線検出部10の温度が上昇する。このとき、温度変化に応じてpn接合ダイオード3の電気特性が変化する。信号処理回路120で、検出器200ごとに電気特性の変化が読み取られて外部に出力され、被写体の熱画像が得られる。シリコン基板31側と赤外線検出部10は支持部20によって接続されているので、支持部20の熱コンダクタンスが小さいほど赤外線検出部10の温度変化が大きくなり、検出器200の温度感度が高くなる。
従来は、図11に示すように、n-領域1とp+領域2とからなるpn接合ダイオード3において、Lnch>Lpの関係式が成立していた。
図11を参照して、n-領域1における主な伝導キャリアは、pn接合界面から正孔の拡散長Lpの位置までは正孔であり、正孔の拡散長Lpの位置からコンタクトホール35aまでは電子である。すなわち、正孔の大部分は、pn接合界面からn-領域1を通って配線層11に到達する前に、電子と再結合してしまう。この再結合はある確率で発生するため、pn接合ダイオード3内の同じ位置であっても伝導キャリアの数は時間的に揺らいでいる。この揺らぎが、pn接合ダイオード3の雑音電圧または雑音電流となって現れる。
伝導キャリアの分布について、以下に詳細を説明する。
pn接合ダイオードの電流電圧特性式は、以下の式(1)で表される。
Figure 0004904545
上式において、Iはダイオードの全電流、Ipは正孔電流、Inは電子電流、Dpは正孔の拡散係数、Dnは電子の拡散係数、Lpは正孔の拡散長、Lnは電子の拡散長、pnはn型半導体層中の正孔密度、npはp型半導体層中の電子密度、kはボルツマン係数、Tは温度、qは電荷素量、Vはダイオード電圧、Sはpn接合面積、である。
ここで、Isは以下の式(2)で表される。
Figure 0004904545
-領域1とp+領域2とからなるpn接合ダイオード3では、Na(アクセプタ濃度)>>Nd(ドナー濃度)であるため、pn>>npが成り立つ。ゆえに、Isp>>Isnが成り立ち、Ip>>Inが成り立つ。そのため、pn接合界面付近では、n-領域1およびp+領域2ともに、主な伝導キャリアは正孔となる。
pn接合界面から離れると、伝導キャリアの再結合が起きる。そのため、p+領域2では、電子電流Inが減少し、正孔電流Ipが増加する。すなわち、p+領域2の無限遠方ではIn<<Ipとなる。同様に、n-領域1では、電子電流Inが増加し、正孔電流Ipが減少する。すなわち、n-領域1の無限遠方では、In>>Ipとなる。ただし、In+Ip=Iは一定である。また拡散長とは、過剰少数キャリアが再結合によって消失する(厳密には、キャリア数が“1/ネイピア数”倍になる)までに拡散して移動する距離である。
一方、本実施の形態では、図4(a)に示すようにn-領域1とp+領域2とからなるpn接合ダイオード3において、Lnch<Lpの関係式(3)が成立する。
図4(a)を参照して、本実施の形態においては、上記関係式(3)を満たしているため、主な伝導キャリアは、pn接合界面からコンタクトホール35aまで正孔のままである。すなわち、正孔の大部分は、pn接合界面からn-領域1を通って配線層11に到達するまで、電子と再結合しない。配線層11に達した後に正孔と電子との再結合が起こる。そのため、本実施の形態においては、従来よりも伝導キャリア数の時間的な揺らぎは少なくなり、pn接合ダイオード3の雑音電圧または雑音電流は減少する。
たとえば、シリコンからなるpn接合ダイオード3において、n-領域1の不純物濃度(n型不純物の濃度)が1018cm-3のとき、そのn-領域1における正孔の拡散係数Dpは2cm2/sであり、そのn-領域1における正孔の再結合寿命τpは30μsであるから、そのn-領域1における正孔の拡散長Lpは、以下の式(4)のようになる。
Figure 0004904545
なお、不純物濃度と拡散係数の関係については、S. M. Sze 「半導体デバイス」 産業図書の2章の図3を参考にし、不純物濃度と再結合寿命との関係については、C.A.BITTMANN, G.BEMSKI, "Lifetime in Pulled Silicon Crystals", J. Appl. Phys. 28, pp.1423(1957)のFIG. 5を参考にした。
式(3)を満たすためには、式(4)よりLnch<77μmであればよい。すなわち、n-領域1およびp+領域2よりなるpn接合ダイオード3の場合、pn接合界面から配線層11とn-領域1との接続部までの最短距離を77μmより小さくすればするほど、雑音電流または雑音電圧を低減することができる。
ただし、オーミック特性とならずにダイオード特性を示すためには、Lnch>Lndlとする必要がある。
pn接合ダイオードにおいてn型領域とp型領域とで濃度差が少ない時には、少数キャリアの高注入状態になるため、このダイオードの特性がダイオードの理想特性から外れてしまう。このため、pn接合ダイオードにおいてn型領域とp型領域とに比較的大きな濃度差が設けられている。
このようにn型領域とp型領域とに大きな濃度差を設けた場合には、高濃度側の領域では伝導キャリアが少ないために極少量の再結合しか生じないが、低濃度側の領域では伝導キャリアが多くなるために大量の再結合が発生する。大量の再結合が生じると、上述のように、pn接合ダイオードの雑音電圧または雑音電流によって出力のS/Nが劣化する。
しかし、本実施の形態では、pn接合界面から配線層11とn-領域1との接続部までの最短距離Lnchが、n-領域1における正孔の拡散長Lpよりも短いので、多数の再結合が起こる前に、正孔がn-領域1から配線層11に入る。その結果、pn接合ダイオード3の雑音電圧または雑音電流が小さくなるので、従来よりもS/Nが良い赤外線固体撮像装置100を得ることができる。
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2における赤外線固体撮像装置のSOI層と配線層との接続部付近を拡大して示す概略断面図であり、図2のXII−XII線に沿う断面に対応した図である。図12を参照して、本実施の形態においては、pn接合ダイオード3は、n+領域1およびp-領域2よりなっており、p-領域2は低濃度にp型不純物を含み、n+領域1は高濃度にn型不純物を含んでいる。図12中では、p-領域2における電子の拡散長をLn、p-領域2の空乏層2aの幅をLpdl、pn接合界面からp-領域2における配線層11の接続部(コンタクトホール35a)までの最短距離をLpch、と表記している。pn接合界面からn-領域1最短距離をLnch、と表記している。
ここで本実施の形態においては、配線層11およびp-領域2の接続部とn+領域1およびp-領域2のpn接合界面との最短距離Lpchが、伝導キャリア(電子)の拡散長Lnよりも短くなるように設定されている。この最短距離Lpchは、配線層11およびp-領域2の接続部のうち最もpn接合界面に近い接合部の端部からpn接合界面までの距離である。またpn接合界面の位置は、図4(b)に示すのと同様、n+領域1におけるn型不純物濃度分布を示す線とp-領域2におけるp型不純物濃度分布を示す線とが交差する位置である。
なお、上記以外の構成については実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に、本実施の形態における赤外線固体撮像装置の製造方法について説明する。
本実施の形態の製造方法は、図5〜図10に示す実施の形態1の製造方法とほぼ同じ工程を経る。ただし、図7に示す工程において、イオン注入などにより、SOI層33にn+領域1およびp-領域2が形成され、n+領域1およびp-領域2よりなるpn接合ダイオード3が形成される点において、本実施の形態の製造方法は実施の形態1と異なる。また、これ以外の本実施の形態の製造方法の工程は実施の形態1の工程とほぼ同じであるため、その説明を省略する。
また本実施の形態における検出器200の赤外線検出原理は、実施の形態1と同じである。
従来は、図13に示すように、n+領域1とp-領域2とからなるpn接合ダイオード3において、Lpch>Lnの関係式が成立していた。
図13を参照して、p-領域2における主な伝導キャリアは、pn接合界面から電子の拡散長Lnの位置までは電子であり、電子の拡散長Lnの位置からコンタクトホール35aまでは正孔である。すなわち、電子の大部分は、pn接合界面からp-領域2を通って配線層11に到達する前に、正孔と再結合してしまう。この再結合はある確率で発生するため、pn接合ダイオード3内の同じ位置であっても伝導キャリアの数は時間的に揺らいでいる。この揺らぎが、pn接合ダイオード3の雑音電圧または雑音電流となって現れる。
伝導キャリアの分布について、以下に詳細を説明する。
pn接合ダイオードの電流電圧特性式は、上記の式(1)で表され、Isは上記の式(2)で表される。
+領域1とp-領域2とからなるpn接合ダイオード3では、Nd(ドナー濃度)>>Na(アクセプタ濃度)であるため、np>>pnが成り立つ。ゆえに、Isn>>Ispが成り立ち、In>>Ipが成り立つ。そのため、pn接合界面付近では、p-領域2およびn+領域1ともに、主な伝導キャリアは電子となる。
pn接合界面から離れると、伝導キャリアの再結合が起きる。そのため、n+領域1では、正孔電流Ipが減少し、電子電流Inが増加する。すなわち、n+領域1の無限遠方ではIn>>Ipとなる。同様に、p-領域2では、正孔電流Ipが増加し、電子電流Inが減少する。すなわち、p-領域2の無限遠方では、In<<Ipとなる。ただし、In+Ip=Iは一定である。また拡散長とは、過剰少数キャリアが再結合によって消失する(厳密には、キャリア数が“1/ネイピア数”倍になる)までに拡散して移動する距離である。
一方、本実施の形態では、図12に示すようにpn接合ダイオード3において、Lpch<Lnの関係式(5)が成立する。
図12を参照して、本実施の形態においては、上記関係式(5)を満たしているため、主な伝導キャリアは、pn接合界面からコンタクトホール35aまで電子のままである。すなわち、電子の大部分は、pn接合界面からp-領域2を通って配線層11に到達するまで、正孔と再結合しない。配線層11に達した後に正孔と電子との再結合が起こる。そのため、本実施の形態においては、従来よりも伝導キャリア数の時間的な揺らぎは少なくなり、pn接合ダイオード3の雑音電圧または雑音電流は減少する。
たとえば、シリコンからなるpn接合ダイオード3において、p-領域2の不純物濃度(p型不純物の濃度)が1018cm-3のとき、そのp-領域2における電子の拡散係数Dnは6cm2/sであり、そのp-領域2における電子の再結合寿命τnは3msであるから、そのp-領域2における電子の拡散長Lnは、以下の式(6)のようになる。
Figure 0004904545
なお、不純物濃度と拡散係数の関係については、S. M. Sze 「半導体デバイス」 産業図書の2章の図3を参考にし、不純物濃度と再結合寿命との関係については、C.A.BITTMANN, G.BEMSKI, "Lifetime in Pulled Silicon Crystals", J. Appl. Phys. 28, pp.1423(1957)のFIG. 2を参考にした。
式(5)を満たすためには、式(6)よりLpch<42μmであればよい。すなわち、n+領域1およびp-領域2よりなるpn接合ダイオード3の場合、pn接合界面から配線層11とp-領域2との接続部までの最短距離を42μmより小さくすればするほど、雑音電流または雑音電圧を低減することができる。
ただし、オーミック特性とならずにダイオード特性を示すためには、Lpch>Lpdlとする必要がある。
以上より、本実施の形態においては、pn接合界面から配線層11とp-領域2との接続部までの最短距離Lpchが、p-領域2における電子の拡散長Lnよりも短いので、多数の再結合が起こる前に、電子がp-領域2から配線層11に入る。その結果、pn接合ダイオード3の雑音電圧または雑音電流が小さくなるので、従来よりもS/Nが良い赤外線固体撮像装置100を得ることができる。
(実施の形態3)
図14は、本発明の実施の形態3における赤外線固体撮像装置のSOI層と配線層との接続部付近を拡大して示す概略断面図であり、図2のIII−III線に沿う断面に対応した図である。図14を参照して、本実施の形態においては、pn接合ダイオード3は、低濃度のn型不純物濃度を有するn型領域1と、高濃度のp型不純物濃度を有するp+領域2とを有している。低濃度のn型領域1の中央部は、pn接合ダイオード3が形成されるSOI層33の下面33aおよび上面33bに位置するn型領域1の部分およびSOI層33の側面33cに位置するn型領域1の部分の少なくともいずれか一方よりも低い不純物濃度を有している。
たとえば、低濃度のn型領域1は、SOI層33の下面33a近傍に位置するn-領域1bと、SOI層33の上面33b近傍に位置するn-領域1bと、SOI層33の厚み方向の中央部に位置するn--領域1cとを有している。
なお、上記以外の構成については実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に、本実施の形態における赤外線固体撮像装置の製造方法について説明する。
本実施の形態の製造方法は、図5〜図10に示す実施の形態1の製造方法とほぼ同じ工程を経る。ただし、図7に示す工程において、イオン注入などにより、SOI層33に低濃度のn型領域1および高濃度のp+領域2が形成され、低濃度のn型領域1および高濃度のp+領域2よりなるpn接合ダイオード3が形成される。低濃度のn型領域1は、SOI層33の下面33a近傍と上面33b近傍とにn-領域1bを形成し、かつSOI層33の厚み方向の中央部にn--領域1cを形成することで形成される。なお、これ以外の本実施の形態の製造方法の工程は実施の形態1の工程とほぼ同じであるため、その説明を省略する。
また本実施の形態における検出器200の赤外線検出原理は、実施の形態1と同じである。
図14中では、n型領域1における正孔の拡散長をLp、n型領域1の空乏層1aの幅をLndl、pn接合界面からn型領域1における配線層11の接続部(コンタクトホール35a)までの最短距離をLnch、と表記している。本実施の形態においては、配線層11およびn型領域1の接続部とn型領域1およびp+領域2のpn接合界面との最短距離Lnchが、伝導キャリア(正孔)の拡散長Lpよりも短くなるように設定されている。
この最短距離Lnchは、配線層11およびn型領域1の接続部のうち最もpn接合界面に近い接合部の端部からpn接合界面までの距離である。またpn接合界面の位置は、図4(b)に示すのと同様、n--領域1cにおけるn型不純物濃度分布を示す線とp+領域2におけるp型不純物濃度分布を示す線とが交差する位置である。
また図14の低濃度のn型領域1におけるXVa−XVb方向の断面に沿うエネルギー準位図を図15および図16に示す。ここで、フェルミ準位のエネルギーをEfとする。
本実施の形態の構成に対して、図17に示すような低濃度のn型領域1および高濃度のp+領域2よりなるpn接合ダイオード3について考える。図17のpn接合ダイオード3においては、配線層11およびn型領域1の接続部とn型領域1およびp+領域2のpn接合界面との最短距離Lnchが、伝導キャリア(正孔)の拡散長Lpよりも長くなるように設定されている。つまり、Lnch>Lpの関係式が成立している。
この場合、n型領域1内における主な伝導キャリアは、pn接合界面から正孔の拡散長の位置までは正孔であり、正孔の拡散長の位置からn型領域1と配線層11との接続部までは電子である。すなわち、正孔の大部分は、pn接合界面からn型領域を通って配線層11に到達する前に、電子と再結合してしまう。この再結合はある確率で発生するため、pn接合ダイオード3内の同じ位置であっても伝導キャリアの数は時間的に揺らいでいる。この揺らぎが、pn接合ダイオードの雑音電圧または雑音電流となって現れる。
ここで、図15に示したとおり、pn接合界面から正孔の拡散長の位置までは、主な伝導キャリアである正孔は、ポテンシャルエネルギーが最も高い場所、すなわち、価電子帯の頂上に集まる。すなわち、n-領域1bではなくn--領域1cに集まる。言い換えると、正孔は、SOI層33の下面(SOI層33と埋め込み酸化層32との界面)近傍およびSOI層33の上面(SOI層33と絶縁層35との界面)近傍ではなく、SOI層33の中央部に集まる。そのため、正孔の生成再結合は小さく、キャリア密度の揺らぎが小さい。すなわち、正孔に起因する雑音は低い。
しかし、図16に示したとおり、正孔の拡散長の位置からn型領域1と配線層11との接続部までは、主な伝導キャリアである電子は、ポテンシャルエネルギーが最も低い場所、すなわち、伝導帯の底に集まる。すなわち、n--領域1cではなくn-領域1bに集まる。言い換えると、電子は、SOI層33の中央部ではなく、SOI層33の下面(SOI層33と埋め込み酸化層32との界面)近傍およびSOI層33の上面(SOI層33と絶縁層35との界面)近傍に集まる。そのため、電子の生成再結合は大きく、キャリア密度の揺らぎが大きい。すなわち、電子に起因する雑音は高い。
伝導キャリアの分布については、実施の形態1と同様である。
上記のような図17の構成に対して、本実施の形態においては、実施の形態1と同様に、Lnch<Lpの関係式(3)が成立する。この場合、図14に示したように、n型領域1における主な伝導キャリアは、pn接合界面からn型領域1と配線層11との接続部までは正孔のままである。すなわち、正孔の大部分は、pn接合界面からn型領域1を通って配線層11に到達するまで、電子と再結合しない。配線層11の部分で正孔と電子との再結合が起こる。そのため、従来よりも伝導キャリア数の時間的な揺らぎは少なくなり、pn接合ダイオード3の雑音電圧または雑音電流は減少する。
ここで、図15に示したとおり、pn接合界面からn型領域1と配線層11との接続部まで、常に主な伝導キャリアである正孔は、ポテンシャルエネルギーが最も高い場所、すなわち、価電子帯の頂上に集まる。すなわち、正孔は、n-領域1bではなくn--領域1cに集まる。言い換えると、正孔は、SOI層33の下面(SOI層33と埋め込み酸化層32との界面)近傍およびSOI層33の上面(SOI層33と絶縁層35との界面)近傍ではなく、SOI層33の中央部に集まる。そのため、正孔の生成再結合は小さく、キャリア密度の揺らぎが小さい。すなわち、正孔に起因する雑音は低い。
実施の形態1と同様に、たとえば、シリコンからなるpn接合ダイオード3において、n-領域1bの不純物濃度が1018cm-3のとき、pn接合界面からn型領域1と配線層11との接続部までの距離を77μmより小さくすればするほど、雑音電流または雑音電圧を低減することができる。
ただし、オーミック特性とならずにダイオード特性を示すためには、Lnch>Lndlとする必要がある。
以上より、本実施の形態においては、pn接合界面とn型領域1における配線層11の接続部との間の最短距離Lnchが、n型領域1における正孔の拡散長Lpよりも短いので、多数の再結合が起こる前に、正孔がn型領域1から配線層11に入る。さらに、正孔は、SOI層33と埋め込み酸化層32との界面、および、SOI層33と絶縁層35との界面近傍ではなく、SOI層33の中央部に集まる。その結果、pn接合ダイオード3の雑音電圧または雑音電流が小さくなるので、従来および実施の形態1よりもS/Nが良い赤外線固体撮像装置を得ることができる。
また図18に示すようにn--領域1cはSOI層33の側面33cに達していなくともよい。この場合、低濃度のn型領域1の中央部(n--領域1c)は、SOI層33の側面33cに位置するn型領域1の部分(n-領域1b)よりも低い不純物濃度を有している。言い換えると、n型領域1の中央部(n--領域1c)は、SOI層33の側面(SOI層33と分離酸化層34との界面)近傍の部分(n-領域1b)よりも低い不純物濃度を有している。
(実施の形態4)
図19は、本発明の実施の形態4における赤外線固体撮像装置のSOI層と配線層との接続部付近を拡大して示す概略断面図であり、図2のXII−XII線に沿う断面に対応した図である。図19を参照して、本実施の形態においては、pn接合ダイオード3は、高濃度のn型不純物濃度を有するn+領域1と、低濃度のp型不純物濃度を有するp型領域2とを有している。低濃度のp型領域2の中央部は、pn接合ダイオード3が形成されるSOI層33の下面33aおよび上面33bに位置するp型領域1の部分およびSOI層33の側面33cに位置するp型領域2の部分の少なくともいずれか一方よりも低い不純物濃度を有している。
たとえば、低濃度のp型領域2は、SOI層33の下面33a近傍に位置するp-領域2bと、SOI層33の上面33b近傍に位置するp-領域2bと、SOI層33の厚み方向の中央部に位置するp--領域2cとを有している。
なお、上記以外の構成については実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に、本実施の形態における赤外線固体撮像装置の製造方法について説明する。
本実施の形態の製造方法は、図5〜図10に示す実施の形態1の製造方法とほぼ同じ工程を経る。ただし、図7に示す工程において、イオン注入などにより、SOI層33に低濃度のp型領域2および高濃度のn+領域1が形成され、低濃度のp型領域2および高濃度のn+領域1よりなるpn接合ダイオード3が形成される。低濃度のp型領域2は、SOI層33の下面33a近傍と上面33b近傍とにp-領域2bを形成し、かつSOI層33の厚み方向の中央部にp--領域2cを形成することで形成される。なお、これ以外の本実施の形態の製造方法の工程は実施の形態1の工程とほぼ同じであるため、その説明を省略する。
また本実施の形態における検出器200の赤外線検出原理は、実施の形態1と同じである。
図19中では、p型領域2における電子の拡散長をLn、p型領域2の空乏層2aの幅をLpdl、pn接合界面からp型領域2における配線層11の接続部(コンタクトホール35a)までの最短距離をLpch、と表記している。本実施の形態においては、上記最短距離Lpchが、伝導キャリア(電子)の拡散長Lnよりも短くなるように設定されている。
この最短距離Lpchは、配線層11およびp型領域2の接続部のうち最もpn接合界面に近い接合部の端部からpn接合界面までの距離である。またpn接合界面の位置は、図4(b)に示すのと同様、p--領域2cにおけるp型不純物濃度分布を示す線とn+領域1におけるn型不純物濃度分布を示す線とが交差する位置である。
また図19の低濃度のp型領域2におけるXXa−XXb方向の断面に沿うエネルギー準位図を図20および図21に示す。ここで、フェルミ準位のエネルギーをEfとする。
本実施の形態の構成に対して、図22に示すような低濃度のp型領域2および高濃度のn+領域1よりなるpn接合ダイオード3について考える。図22のpn接合ダイオード3においては、配線層11およびp型領域2の接続部とp型領域2およびn+領域1のpn接合界面との最短距離Lpchが、伝導キャリア(電子)の拡散長Lnよりも長くなるように設定されている。つまり、Lpch>Lnの関係式が成立している。
この場合、p型領域2内における主な伝導キャリアは、pn接合界面から電子の拡散長の位置までは電子であり、電子の拡散長の位置からp型領域2と配線層11との接続部までは正孔である。すなわち、電子の大部分は、pn接合界面からp型領域を通って配線層11に到達する前に、正孔と再結合してしまう。この再結合はある確率で発生するため、pn接合ダイオード3内の同じ位置であっても伝導キャリアの数は時間的に揺らいでいる。この揺らぎが、pn接合ダイオードの雑音電圧または雑音電流となって現れる。
ここで、図20に示したとおり、pn接合界面から電子の拡散長の位置までは、主な伝導キャリアである電子は、ポテンシャルエネルギーが最も低い場所、すなわち、価電子帯の頂上に集まる。すなわち、p-領域2bではなくp--領域2cに集まる。言い換えると、電子は、SOI層33の下面(SOI層33と埋め込み酸化層32との界面)近傍およびSOI層33の上面(SOI層33と絶縁層35との界面)近傍ではなく、SOI層33の中央部に集まる。そのため、電子の生成再結合は小さく、キャリア密度の揺らぎが小さい。すなわち、電子に起因する雑音は低い。
しかし、図21に示したとおり、電子の拡散長の位置からp型領域2と配線層11との接続部までは、主な伝導キャリアである正孔は、ポテンシャルエネルギーが最も高い場所、すなわち、伝導帯の底に集まる。すなわち、p--領域2cではなくp-領域2bに集まる。言い換えると、正孔は、SOI層33の中央部ではなく、SOI層33の下面(SOI層33と埋め込み酸化層32との界面)近傍およびSOI層33の上面(SOI層33と絶縁層35との界面)近傍に集まる。そのため、正孔の生成再結合は大きく、キャリア密度の揺らぎが大きい。すなわち、正孔に起因する雑音は高い。
伝導キャリアの分布については、実施の形態1と同様である。
上記のような図22の構成に対して、本実施の形態においては、実施の形態2と同様に、Lpch<Lnの関係式が成立する。この場合、図19に示したように、p型領域2における主な伝導キャリアは、pn接合界面からp型領域2と配線層11との接続部までは電子のままである。すなわち、電子の大部分は、pn接合界面からp型領域2を通って配線層11に到達するまで、正孔と再結合しない。配線層11の部分で正孔と電子との再結合が起こる。そのため、従来よりも伝導キャリア数の時間的な揺らぎは少なくなり、pn接合ダイオード3の雑音電圧または雑音電流は減少する。
ここで、図20に示したとおり、pn接合界面からp型領域2と配線層11との接続部まで、常に主な伝導キャリアである電子は、ポテンシャルエネルギーが最も低い場所、すなわち、価電子帯の頂上に集まる。すなわち、電子は、p-領域2bではなくp--領域2cに集まる。言い換えると、電子は、SOI層33の下面(SOI層33と埋め込み酸化層32との界面)近傍およびSOI層33の上面(SOI層33と絶縁層35との界面)近傍ではなく、SOI層33の中央部に集まる。そのため、電子の生成再結合は小さく、キャリア密度の揺らぎが小さい。すなわち、電子に起因する雑音は低い。
実施の形態2と同様に、たとえば、シリコンからなるpn接合ダイオード3において、p-領域2bの不純物濃度が1018cm-3のとき、pn接合界面からp型領域2と配線層11との接続部までの距離を42μmより小さくすればするほど、雑音電流または雑音電圧を低減することができる。
ただし、オーミック特性とならずにダイオード特性を示すためには、Lpch>Lpdlとする必要がある。
以上より、本実施の形態においては、pn接合界面とp型領域2における配線層11の接続部との間の距離が、p型領域1における電子の拡散長よりも短いので、多数の再結合が起こる前に、電子がp型領域2から配線層11に入る。さらに、電子は、SOI層33と埋め込み酸化層32との界面、および、SOI層33と絶縁層35との界面近傍ではなく、SOI層33の中央部に集まる。その結果、pn接合ダイオード3の雑音電圧または雑音電流が小さくなるので、従来および実施の形態2よりもS/Nが良い赤外線固体撮像装置を得ることができる。
また図23に示すようにp--領域2cはSOI層33の側面33cに達していなくともよい。この場合、低濃度のp型領域2の中央部(p--領域2c)は、SOI層33の側面33cに位置するp型領域2の部分(p-領域2b)よりも低い不純物濃度を有している。言い換えると、p型領域2の中央部(p--領域2c)は、SOI層33の側面(SOI層33と分離酸化層34との界面)近傍の部分(p-領域2b)よりも低い不純物濃度を有している。
(実施の形態5)
本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成をさらに限定した構成を有している。本実施の形態では、Lnch<1.0μmとなるように構成されている。
なお、これ以外の本実施の形態における構成、製造方法および赤外線検出原理については上述した実施の形態1とほぼ同じであるため、その説明を省略する。
本実施の形態では、上記のようにLnchが1.0μm未満であり、pn接合界面からn-領域1における配線層11の接続部までの距離が拡散長よりも極めて小さい。そのため、ほぼ全ての正孔は、pn接合界面からn-領域1を通って配線層11に到達するまで、電子と再結合しない。配線層11の部分で正孔と電子の再結合が起こる。そのため、従来および実施の形態1よりも伝導キャリア数の時間的な揺らぎは少なくなり、pn接合ダイオード3の雑音電圧または雑音電流が減少する。すなわち、雑音は、熱雑音とショット雑音のみとなり、フリッカ雑音はほぼ無くなる。
ただし、オーミック特性とならずにダイオード特性を示すためには、Lnch>Lndlとする必要がある。
そこで、pn接合界面とn-領域1における配線層11の接続部との間の距離を0.01μmより長く1.0μmより短く限定することにより、pn接合ダイオード3の雑音と信号処理回路120の雑音とを合わせた、赤外線固体撮像装置の出力電圧の雑音を80μV以下とすることができた。
ここで、赤外線固体撮像装置の温度分解能を示すNETD(Noise Equivalent Temperature Difference)は、以下の式で表される。
Figure 0004904545
赤外線固体撮像装置の出力電圧の温度感度が2mV/Kであったので、上式より、本実施の形態における赤外線固体撮像装置では、NETDが40mK以下となった。そのため、従来および実施の形態1よりもNETDが小さい(S/Nが良い)赤外線固体撮像装置を得ることができた。
なお、本実施の形態における赤外線固体撮像装置の製造方法は、図5〜図10に示す実施の形態1の製造方法とほぼ同じであるため、その説明を省略する。
また図12に示す実施の形態2においても、本実施の形態と同様に、pn接合界面とp-領域2における配線層11の接続部との間の距離Lpchを0.01μmより長く1.0μmより短くに限定することにより、赤外線固体撮像装置のNETDが40mK以下となった。そのため、従来および実施の形態2よりもNETDが小さい(S/Nが良い)赤外線固体撮像装置を得ることができた。
なお、上記の実施の形態1〜5において、p型不純物濃度とn型不純物濃度とは、たとえばSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)によって測定することができる。このSIMSとは、アルゴンの1次イオンで半導体表面をスパッタし、そのスパッタ面から放出された2次イオンの質量を分析する手法である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、入射赤外線によって発生した熱による温度変化を電気信号に変換する赤外線検出部を基板から離間して支持する赤外線固体撮像装置およびその製造方法に特に有利に適用され得る。
本発明の実施の形態1における赤外線固体撮像装置の構成を概略的に示す斜視図である。 図1中に配置されている検出器200の構成を部分的に拡大して示す平面図であり、pn接合ダイオード3の部分を透視して示し、かつ傘構造50および保護層36を省略して示す図である。 図2のIII−III線に沿う概略断面図である。 図2のIV−IV線に沿う概略断面図であり、SOI層と配線層との接続部付近を拡大して示す図(a)と、SOI層内おけるp型不純物濃度とn型不純物濃度との分布を示す図(b)である。 本発明の実施の形態1における赤外線固体撮像装置の検出器の部分の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1における赤外線固体撮像装置の検出器の部分の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1における赤外線固体撮像装置の検出器の部分の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1における赤外線固体撮像装置の検出器の部分の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1における赤外線固体撮像装置の検出器の部分の製造方法の第5工程を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1における赤外線固体撮像装置の検出器の部分の製造方法の第6工程を示す概略断面図である。 -領域とp+領域とからなるpn接合ダイオードにおいて、Lnch>Lpの関係式が成立した状態を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態2における赤外線固体撮像装置のSOI層と配線層との接続部付近を拡大して示す概略断面図であり、図2のXII−XII線に沿う断面に対応した図である。 +領域とp-領域とからなるpn接合ダイオードにおいて、Lpch>Lnの関係式が成立した状態を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態3における赤外線固体撮像装置のSOI層と配線層との接続部付近を拡大して示す概略断面図であり、図2のIII−III線に沿う断面に対応した図である。 図14の低濃度のn型領域1におけるXVa−XVb方向の断面に沿うエネルギー準位図である。 図14の低濃度のn型領域1におけるXVa−XVb方向の断面に沿うエネルギー準位図である。 -領域とp+領域とからなるpn接合ダイオードにおいて、Lnch>Lpの関係式が成立した状態を示す概略断面図である。 --領域がSOI層の側面に達していない状態を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態4における赤外線固体撮像装置のSOI層と配線層との接続部付近を拡大して示す概略断面図であり、図2のXII−XII線に沿う断面に対応した図である。 図19の低濃度のp型領域におけるXXa−XXb方向の断面に沿うエネルギー準位図である。 図19の低濃度のp型領域におけるXXa−XXb方向の断面に沿うエネルギー準位図である。 +領域とp-領域とからなるpn接合ダイオードにおいて、Lpch>Lnの関係式が成立した状態を示す概略断面図である。 --領域がSOI層の側面に達していない状態を示す概略断面図である。
符号の説明
1 n型領域、1a,2a 空乏層、1b n-領域、1c n--領域、2 p型領域、2b p-領域、2c p--領域、3 pn接合ダイオード、10 赤外線検出部、11 配線層、20 支持部、31 シリコン基板、31a 凹部、32 埋め込み酸化層、33 SOI層、34 分離酸化層、35 絶縁層、35a コンタクトホール、36 保護層、37 孔、38 空隙部、50 傘構造、100 赤外線固体撮像装置、110 走査回路、120 信号処理回路、130 検出器アレイ、140 垂直信号線、150 水平信号線、200 検出器、400 シリコン支持基板。

Claims (6)

  1. 基板と、入射赤外線によって発生した熱による温度変化を電気信号に変換する赤外線検出部と、前記赤外線検出部を前記基板から離間して支持するための支持部とを備えた赤外線固体撮像装置であって、
    前記赤外線検出部に含まれる第1導電型の第1領域と、
    前記赤外線検出部に含まれ、かつ前記第1領域とともにpn接合ダイオードを構成する第2導電型の第2領域と、
    前記第2領域に接続され、かつ前記支持部に沿って延在する配線層とを備え、
    前記第1領域および前記第2領域のpn接合界面と前記配線層および前記第2領域の接合部との最短距離が、前記第2領域における伝導キャリアの拡散長よりも短い、赤外線固体撮像装置。
  2. 前記第1領域はp型であり、前記第2領域はn型であり、前記伝導キャリアは正孔である、請求項1に記載の赤外線固体撮像装置。
  3. 前記第1領域はn型であり、前記第2領域はp型であり、前記伝導キャリアは電子である、請求項1に記載の赤外線固体撮像装置。
  4. 前記最短距離は0.01μmより長く1.0μmより短い、請求項1〜3のいずれかに記載の赤外線固体撮像装置。
  5. 前記第2領域の中央部は、前記pn接合ダイオードの上面および下面に位置する前記第2領域の部分および前記pn接合ダイオードの側面に位置する前記第2領域の部分の少なくともいずれか一方よりも低い不純物濃度を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の赤外線固体撮像装置。
  6. 基板と、入射赤外線によって発生した熱による温度変化を電気信号に変換する赤外線検出部と、前記赤外線検出部を前記基板から離間して支持するための支持部とを備えた赤外線固体撮像装置の製造方法であって、
    前記基板の主表面上に絶縁層を介して半導体層を形成する工程と、
    前記半導体層に不純物を注入することで、第1導電型の第1領域と第2導電型の第2領域とを有するpn接合ダイオードを前記赤外線検出部に形成する工程と、
    前記第2領域に接続され、かつ前記支持部に沿って延在するように配線層を形成する工程と、
    前記基板の表面が露出するまで前記半導体層と前記絶縁層とを選択的に除去することにより、平面視において前記赤外線検出部および前記支持部の周囲に孔を形成する工程と、
    前記赤外線検出部と前記基板との間および前記支持部と前記基板との間に隙間を形成するために前記基板の前記主表面を除去する工程とを備え、
    前記第1領域および前記第2領域のpn接合界面と前記配線層および前記第2領域の接合部との最短距離が、前記第2領域における伝導キャリアの拡散長よりも短くなるように前記配線層は形成される、赤外線固体撮像装置の製造方法。
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