JP4901327B2 - 放熱部材 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品の冷却のために発熱性電子部品とヒートシンクまたは金属筐体などの放熱部品との間の熱境界面に介装する放熱部材に関する。特に、電子部品の作動温度範囲内の温度において流動化して熱境界面に対する密着性を向上させ、発熱性電子部品から放熱部品への熱伝達を改善する放熱部材に関する。
テレビ、ビデオ、コンピューター、医療器具、事務機械、通信装置等、最近の電子機器の回路設計は複雑性を増しており、トランジスタ数十万個相当分を内包する集積回路が製造されるようになった。電子機器の小型化および高性能化にともない、ますます縮小する面積に組み込まれるこれらの電子部品の個数が増大するとともに、電子部品自体の大きさも引き続き小型化している。このため、各電子部品から発生する熱が増加しており、この熱により故障または機能不全が生じることから熱を効果的に放散させる実装技術が重要になっている。
パーソナルコンピューター、デジタルビデオディスク、携帯電話などの電子機器に使用されるCPU、ドライバIC、メモリーなどの電子部品において集積度の向上に伴い発生する熱を除去するため、多くの放熱方法およびそれに使用する放熱部材が提案されている。
従来、電子機器等において電子部品の温度上昇を抑えるために、アルミニウム、銅、黄銅等、熱伝導率の高い金属を用いたヒートシンクに直接伝熱する方法が取られる。このヒートシンクは電子部品から発生する熱を伝導し、その熱を外気との温度差によって表面から放出する。電子部品から発生する熱をヒートシンクに効率よく伝えるために、ヒートシンクと電子部品とを空隙なく密着させる必要があり、柔軟性を有する低硬度熱伝導性シートまたは熱伝導性グリースが電子部品とヒートシンクとの間に介装されている。
しかし、低硬度熱伝導性シートは取扱い作業性には優れるが、厚さを薄くすることが難しく、また、電子部品やヒートシンク表面の微細な凹凸に追従できないので接触熱抵抗が大きくなり、効率よく熱を伝導することができないという問題がある。
一方、熱伝導性グリースは厚さを薄くできるので電子部品とヒートシンクの距離を小さくすることができ、さらに表面の微細な凹凸を埋めることにより大幅に熱抵抗を低減させることができる。しかし、熱伝導性グリースは取扱い性が悪く周囲を汚染し、ヒートサイクルによりオイル分が分離(ポンピングアウト)して熱特性が低下する問題がある。
近年、低硬度熱伝導性シートの取扱い性の高さと熱伝導性グリースの熱抵抗の低さの両方の特性を有する熱伝導性部材として、室温では取扱い性のよい固体状であり、電子部品から発生する熱により軟化または溶融する熱軟化性材料が多数提案されている。
特許文献1では、アクリル系感圧粘着剤とαオレフィン系熱可塑剤と熱伝導性充填剤からなる熱伝導性材料、あるいはパラフィン系蝋と熱伝導性充填剤からなる熱伝導性材料が提案されている。特許文献2では、熱可塑性樹脂、ワックス、熱伝導性フィラーからなる熱伝導性組成物が提案されている。特許文献3では、アクリル等のポリマーと、炭素原子数12〜16のアルコール、石油ワックス等の融点成分と熱伝導性充填剤からなる熱仲介材料が提案されている。特許文献4では、ポリオレフィンと熱伝導性充填剤からなる熱軟化性放熱シートが提案されている。
しかし、これらはいずれも有機物をベースとしたもので、難燃性を指向した材料ではない。また、自動車等にこれら部材が組み込まれた場合には、高温による劣化が懸念される。
一方、耐熱性、耐候性、難燃性に優れる材料として、シリコーンが知られており、シリコーンをベースにした同様の熱軟化性材料も多数提案されている。
特許文献5では、熱可塑性シリコーン樹脂とワックス状変性シリコーン樹脂と熱伝導性フィラーからなる組成物が提案されている。特許文献6では、シリコーンゲル等のバインダ樹脂とワックスと熱伝導性充填剤からなる熱伝導性シートが提案されている。特許文献7では、シリコーン等の高分子ゲルと、変性シリコーン、ワックス等の、加熱すると液体になる化合物と、熱伝導性フィラーとからなる熱軟化放熱シートが提案されている。
しかし、これらはシリコーン以外にワックス等の有機物やシリコーンを変性したワックスを用いているため、シリコーン単品より難燃性、耐熱性に劣るという欠点があった。
マクスウェルやブラッゲマンの理論式からわかるように、シリコーンをベースにして熱伝導性充填剤を配合した熱軟化性熱伝導性材料の熱伝導率は、熱伝導性充填剤の容積分率が0.6以下では、該熱伝導性充填剤の熱伝導率にはほとんど依存しない。容積分率が0.6を超えて初めて熱伝導性充填剤の熱伝導率の影響が出てくる。つまり、熱軟化性熱伝導性材料の熱伝導性を上げるには、まずはいかに熱伝導性充填剤を高充填するかが重要であり、高充填できるならばいかに熱伝導性の高い充填剤を用いることができるかが重要である。しかし、高充填によりシリコーンバインダの熱軟化時の流動性が低下することで、電子部品やヒートシンク表面の微細な凹凸に追従できず、接触熱抵抗が大きくなる問題があった。
熱軟化性熱伝導性材料の熱伝導性を高めるもう一つの手段として、熱抵抗は放熱材料の厚みに比例するため、熱軟化性材料の厚みを薄くする方法がある。そのためには、一般的には、平均粒径が小さく、粗粒がカットされた熱伝導性充填剤を要するが、それでも十分な放熱効果は得られなかった。それは、平均粒径の小さな熱伝導性充填剤を使用すると表面積が増大し、また金属を充填剤として使用した場合には表面積の増大に伴い酸化も進行しやすくなるため、充填剤の熱伝導率の低下に加えて、高充填が困難となり、高熱伝導性の付与が困難になることが原因であった。
特表2000−509209号公報 特開2000−336279号公報 特開2001−89756号公報 特開2002−121332号公報 特開2000−327917号公報 特開2001−291807号公報 特開2002−234952号公報
上記問題に鑑み、本発明の目的は、良好な熱伝導性を発揮し、発熱性電子部品および放熱部品との密着性がよく、かつ実質的な厚みを小さくできるので熱抵抗を著しく低減させることができ、その結果、放熱性能に優れるシート状放熱部材を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、
動作することによって室温より高い温度に到達しうる発熱性電子部品と放熱部品との間に配置され、室温では非流動性であり、かつ電子部品動作時の発熱により、または電子部品配置時に積極的にかける熱により、流動化することによって電子部品と放熱部品との境界に実質的に空隙なく充填されるシート状放熱部材において、
(A)シリコーン樹脂 100容量部、及び、
(B)熱伝導性粉末 200〜500容量部
を含有してなり、
前記(B)成分の熱伝導性粉末は、平均粒径が5.0〜15.0μmであり、酸素含有率が0.1質量%以下であり、JIS Z 8801-1に規定の目開き32μmの篩上分率が質量基準で100ppm以下であり、かつ同規格の目開き45μmの篩上画分を実質的に含まない銅粉末を50〜100体積%含む熱軟化性熱伝導性組成物からなるシート状放熱部材を提供する。
本発明の放熱部材は、熱伝導性が良好であり、発熱性電子部品および放熱部品との密着性がよく、かつ実質的な厚みを小さくできるので熱抵抗を著しく低減させることができる。よって、本発明の放熱部材を発熱性電子部品と放熱部品との間に介在させることにより、発熱性電子部品から発生する熱を効率よく放熱部品へ放散させることができる。本発明の放熱部材は、例えば、一般の電源、電子機器等の放熱、パーソナルコンピューター、デジタルビデオディスクドライブ等の電子機器に用いられるLSI、CPU等の集積回路素子の放熱に用いることができる。本発明の放熱部材により、発熱性電子部品やそれを用いた電子機器等の寿命を大幅に改善させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[(A)成分]
(A)成分は、シリコーン樹脂であり、本発明の放熱部材のマトリックスを形成する。(A)成分としては、本発明の放熱部材が、実質的に常温(例えば、25℃)で固体(非流動性)であって、一定温度以上、好ましくは40℃以上で、発熱性電子部品の発熱による最高到達温度以下、具体的には40〜150℃程度、特に40〜120℃程度の温度範囲において、熱軟化、低粘度化または融解して流動化するものであればどのようなシリコーン樹脂でもよい。(A)成分は、本発明の放熱部材が熱軟化を起こす因子であり、該放熱部材に熱伝導性を付与する充填剤に加工性や作業性をあたえるバインダとしての役割も果たす。
ここで、熱軟化、低粘度化または融解する温度は放熱部材としての温度であり、シリコーン樹脂自体は40℃未満に融点をもつものであってもよい。
(A)成分は、一種単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
(A)成分は、上記の条件を満たすシリコーン樹脂である限り、特に限定されない。(A)成分としては、例えば、RSiO3/2単位(以下、T単位と称する)および/またはSiO単位(以下、Q単位と称する)を含んだ重合体、およびこれらとR SiO2/2単位(以下、D単位と称する)との共重合体等が挙げられる。これらの重合体または共重合体に、更に、主鎖がD単位からなるオルガノポリシロキサン、例えば、シリコーンオイルやシリコーン生ゴムを添加してもよい。これらの中でも、主鎖がT単位とD単位からなるシリコーン樹脂、または主鎖がT単位からなるシリコーン樹脂と、25℃における粘度が0.1〜100Pa・sのオルガノポリシロキサンとの組合せが好ましい。(A)成分のシリコーン樹脂は、分子鎖の各末端がR SiO1/2単位(以下、M単位と証する。)で封鎖されていて非反応性であることが望ましい。
ここで、上記R1は、炭素原子数1〜10の、好ましくは1〜6の非置換または置換の一価炭化水素基である。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキシニル基、オクテニル基等のアルケニル基;およびこれらの炭化水素基中に存在する水素原子の一部または全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換した基、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。これらの中でも、特にメチル基、フェニル基およびビニル基が好ましい。
(A)成分のシリコーン樹脂について更に具体的に説明する。本発明で使用するシリコーン樹脂は、室温で非流動性であるためにT単位および/またはQ単位を含む必要がある。該シリコーン樹脂の代表的な例としては、M単位とT単位との組み合わせおよび/またはM単位とQ単位との組み合わせで構成される。
室温で固形時の脆さを改善して取扱い時の破損等を防止するために靱性を高めるには、T単位の導入が有効である。また、室温での靭性の向上にはD単位を用いることも有利である。そこで、好ましいシリコーン樹脂の構造として、M単位/T単位/D単位の組み合わせからなるシリコーン樹脂、およびM単位/Q単位/D単位の組み合わせからなるシリコーン樹脂が挙げられる。ここで、T単位の置換基(R)としては、メチル基およびフェニル基が好ましく、D単位の置換基としては、メチル基、フェニル基およびビニル基が好ましい。また、M単位/T単位/D単位の組み合わせからなるシリコーン樹脂では、T単位とD単位との比率は、10:90〜90:10であることが好ましく、特に20:80〜80:20とすることが好ましい。
上記の通りD単位の導入はシリコーン樹脂の固形時の靭性を高める上で有効である。一方、(A)成分のシリコーン樹脂が、例えばM単位とT単位からなる場合またはM単位とQ単位からなるシリコーン樹脂の場合には、これに、主鎖が主としてD単位からなり末端がM単位で封鎖された、25℃における粘度が0.1〜100Pa・sのオルガノポリシロキサンを混合することによって、固形時の靭性を高めその脆さを改良することができる。即ち、例えば(A)成分がT単位を含みD単位を含まないシリコーン樹脂である場合には、D単位を主成分とする上記オルガノポリシロキサンを(A)成分に添加すれば、得られる組成物は取扱い性に優れた材料となり得る。この場合に、(A)成分のシリコーン樹脂と添加された前記オルガノポリシロキサンとの全体におけるT単位とD単位との比率は、やはり、10:90〜90:10であることが好ましく、特に20:80〜80:20とすることが好ましい。該オルガノポリシロキサンとしては一種単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
該オルガノポリシロキサンとしては、例えば、オイル状およびガム状のオルガノポリシロキサン(シリコーンオイルおよびシリコーン生ゴム)が挙げられる。
該オルガノポリシロキサンを、本発明のシート状放熱部材を構成する熱軟化性熱伝導性組成物に添加する場合、その添加量は、(A)成分のシリコーン樹脂100容量部に対して、好ましくは1〜100容量部、特に好ましくは2〜10容量部である。該添加量がこの範囲内にあると、得られる組成物の取扱い性が改善されやすく、該組成物から得られるシートなどの成形性および支持性が維持しやすい。
上記したように、(A)成分のシリコーン樹脂は、加熱時にある程度の粘度低下を発生させればよく、また熱伝導性充填剤のバインダとなり得ればよい。(A)成分の重量平均分子量はポリスチレン換算で、好ましくは500〜20000、特に好ましくは1000〜10000である。該分子量がこの範囲内にあると、得られる組成物の熱軟化時の粘度を適切な範囲内で維持しやすいので、ヒートサイクルによるポンピングアウト(充填剤とベースシロキサンとの分離による気泡の生成またはベースシロキサンの流出)を防ぎやすく、得られる放熱部材と電子部品や放熱部品との密着性を維持しやすい。なお、(A)成分は、本発明の放熱部材に柔軟性やタック性を付与するものが好適である。(A)成分としては、単一の分子量の重合体を使用してもよいが、分子量の異なる2種類以上の重合体等を混合して使用してもよい。
(A)成分の具体例としては、下記のとおり、2官能性構造単位(D単位)および3官能性構造単位(T単位)を特定組成で有するシリコーン樹脂を挙げることができる。
Φ Vi
(ここで、Dはジメチルシロキサン単位(即ち、(CH3)2SiO)、TΦはフェニルシロキサン単位(即ち、(C65)SiO3/2)、DViはメチルビニルシロキサン単位(即ち、(CH3)(CH2=CH)SiO)を表わし、(m+n)/p(モル比)=0.25〜4.0、(m+n)/m(モル比)=1.0〜4.0である)
また、例えば、1官能性構造単位(M単位)、2官能性構造単位(D単位)および3官能性構造単位(T単位)を特定組成で有するシリコーン樹脂を挙げることができる。
Φ Vi
(ここで、Mはトリメチルシロキサン単位(即ち、(CH3)3SiO1/2)を表わし、D、TΦおよびDViは上記のとおりであり、(m+n)/p(モル比)=0.25〜4.0、(m+n)/m(モル比)=1.0〜4.0、L/(m+n)(モル比)=0.001〜0.1である)
更に、例えば、1官能性構造単位(M単位)、2官能性構造単位(D単位)および4官能性構造単位(Q単位)を特定組成で有するシリコーン樹脂を挙げることができる。
Vi
(ここで、Qは、SiO4/2を表わし、M、D、およびDViは上記のとおりであり、(m+n)/q(モル比)=0.25〜4.0、(m+n)/m(モル比)=1.0〜4.0、L/(m+n)(モル比)=0.001〜0.1である)
[(B)成分]
(B)成分は、熱伝導性粉末であり、本発明の放熱部材において熱伝導性充填剤として機能する。(B)成分は、一種単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
(B)成分の形状には特に制限はなく、その例としては、球状、樹枝状、りん片状、針状、不規則形状等が挙げられる。(B)成分を前記熱軟化性熱伝導性組成物中に高充填するためには、(B)成分の粒子形状が、樹枝状、りん片状、針状、不規則形状等の、かさ密度の大きい形状であるよりも、球状であることが好ましい。ここで、「球状」とは、真球の形状だけでなく、最長軸の長さ/最短軸の長さ(アスペクト比)が、通常、1〜4、好ましくは1〜2、より好ましくは1〜1.6、さらにより好ましくは1〜1.4の範囲にある変形した球の形も包含する。
(B)成分の平均粒径は、通常、15.0μm以下、好ましくは0.1〜15.0μmの範囲内である。該平均粒径がこの範囲内にあると、(B)成分のかさ密度が大きくなりにくいので、前記熱軟化性熱伝導性組成物中に(B)成分を高充填しやすく、また、薄膜化により放熱部材の熱抵抗を低くしやすい。なお、本発明において、平均粒径は、例えば、レーザー回折法等により体積基準の累積平均径として求めることができる。
(B)成分は、通常、JIS Z 8801-1に規定の目開き32μmの篩上分率が質量基準で100ppm以下であり、かつ同規格の目開き45μmの篩上画分を実質的に含まない熱伝導性粉末である。
(B)成分において、JIS Z 8801-1に規定の目開き32μmの篩上分率が質量基準で100ppmより大きいと、得られる熱軟化性熱伝導性組成物をシート状またはフィルム状に成型するときにその膜厚を十分に薄くすることができない。また、電子部品動作時の発熱により、または電子部品配置時に積極的にかける熱により、熱軟化性熱伝導性組成物を含む放熱部材が低粘度化、軟化、または溶融する際にも、その膜厚は薄くならず、所望の放熱効果が得られない。同規格の目開き32μmの篩上分率は、質量基準で、通常、100ppm以下、好ましくは50ppm以下である。ここで、該篩上分率は、所定量の(B)成分をトルエン、アセトンまたはヘキサンなどの分散剤に分散させて分散液を得、その分散液を同規格の目開き32μmの篩にかけ、その篩を該分散剤で洗浄した後で回収される篩上画分の質量を測定し、全(B)成分の質量に対する篩上画分の質量の比率を計算することにより測定される。
また、同規格の目開き32μmの篩上分率が仮に100ppm以下であっても、一粒でも大きな粗粒が熱軟化性熱伝導性組成物に存在しているときには、該組成物を含む放熱部材が十分に薄くならず、所望の放熱効果が得られない。したがって、所望の放熱効果を得るためには、(B)成分は同時に同規格の目開き45μmの篩上画分を実質的に含まないことが必要である。ここで、「実質的に含まない」とは、所定量の(B)成分をトルエン、アセトンまたはヘキサンなどの分散剤に分散させて分散液を得、その分散液を同規格の目開き45μmの篩にかけ、その篩を該分散剤で洗浄した後で篩上画分を回収したときに、篩上画分を目視にて確認することができないことをいう。
熱伝導性充填剤等のフィラーを製造するメーカーが、粒度分布を測定し、検査表などに値を載せているが、絶対量が少ない粗粒は一般的には粒度分布測定装置では検出できない。したがって、同じ材料、同じ平均粒径のものを使っても粗粒が取り除かれているかどうかで熱伝導性充填剤の放熱特性に大きな差が生じる。電子部品の発熱量が非常に大きくなっている現在、熱伝導性充填剤の粗粒の量をコントロールすることは特に重要である。
上記規格の目開き45μmの篩上画分を実質的に含まない熱伝導性粉末を(B)成分として含む熱軟化性熱伝導性組成物を得ることは、熱伝導性粉末を含む組成物を直接、同規格の目開き45μmの篩で濾過することによっても原理的には可能であるが、高度に熱伝導性粉末を含む材料を濾過することは現実的には難しい。よって、(A)成分と混合する前に、熱伝導性粉末から粗粒を取り除いて(B)成分を得ることが好ましい。
熱伝導性粉末から粗粒を取り除く方法は当業者に公知である。一般的には、例えば、気流分級やメッシュ分級などが挙げられる。高度に粗粒を取り除きさえすれば、熱伝導性粉末の分級の方法は特に制限されない。
(B)成分の添加量は、(A)成分のシリコーン樹脂100容量部に対して、通常、200〜500容量部、好ましくは300〜400容量部である。該添加量が200容量部より小さいと、得られる放熱部材の熱伝導率が低下しやすくなる。一方、該合計量が500容量部より大きいと、得られる組成物は、粘度が高くなりすぎる傾向にあるため、伸展性が乏しくなりやすく、シートまたはフィルム等への成形が困難となりやすい。
<銅粉末>
通常、(B)成分の熱伝導性粉末は、平均粒径が5.0〜15.0μmであり、酸素含有率が0.1質量%以下であり、JIS Z 8801-1に規定の目開き32μmの篩上分率が質量基準で100ppm以下であり、かつ同規格の目開き45μmの篩上画分を実質的に含まない銅粉末(以下、(B1)成分とする。)を50〜100体積%含む。
(B1)成分の平均粒径は、通常、5.0〜15.0μmの範囲内、好ましくは7.0〜12.0μmの範囲内である。該平均粒径が5.0μm未満であると、前記熱軟化性熱伝導性組成物中に銅粉末を高充填するのが難しくなりやすい。該平均粒径が15.0μmを超えると、薄膜化により放熱部材の熱抵抗を低くすることが困難となりやすい。
銅は、室温での熱伝導率が398W/mKであり、熱伝導性に優れた材料である。しかし、銅粉末の表面では酸化が容易に進行し、銅粉末の熱伝導率は低下する傾向にある。また、表面酸化により、銅粉末の(A)成分に対する濡れ性が悪くなりやすい。更に、表面酸化により、銅粉末の表面に凹凸が発生しやすく、銅粉末の比表面積が増大しやすい。よって、表面酸化が進行すると、銅粉末の高充填により放熱部材の熱伝導率を向上させることは困難となりやすい。粒子サイズが小さくなるほど比表面積が大きくなるので、表面酸化による銅粉末の熱伝導性および濡れ性の劣化は顕著になりやすい。そこで、酸素含有率が少ない銅粉末を使用することにより、その粒径が小さくても、高充填により熱伝導率を向上させることができる。
本発明では、(B1)成分の酸素含有率は、通常、0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下である。該酸素含有率が0.1質量%より大きいと、濡れ性の悪化および比表面積の増大により、(B1)成分の高充填が困難になりやすく、また、本発明の放熱部材の熱伝導性が劣化しやすい。なお、本発明の放熱部材においては、(B1)成分の表面はシリコーンによって皮膜され、その酸化の進行は抑制される。
以下に、銅粉末の酸素含有率を小さくする方法を例示するが、該方法はこれに制限されるものではない。銅粉末は大気にさらされることにより、表面で酸化銅被膜を形成するため、比表面積が大きいほど酸素含有率は大きくなる。サイズが大きく、真球度の高い銅粉末であれば、比表面積が小さくなるため酸素含有率も小さくなる。ただし、サイズが大きい銅粉末を用いた熱伝導性放熱部材では、銅粉末の高充填により高熱伝導性は付与できるものの、実装の際に厚みを薄くすることができなくなり、十分な放熱効果が得られない。サイズが小さい銅粉末を用いる場合は、その真球度が酸素含有率に大きく寄与することになる。このような事情を考慮し、真球度が高く、比表面積が小さい銅粉末を製造することにより、酸素含有率が小さい銅粉末を得ることができる。このような製造法としては、溶融した銅を高速の流体によって飛散凝固させる溶湯粉化法(アトマイズ法)が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、銅粉末の酸素含有率を小さくする方法には、銅粉末表面に存在する酸化膜を除去したり、表面を覆い大気との接触を防いだりするフラックスを用いる手法もある。有機酸系や樹脂系のフラックスを用いることで、銅粉末の酸素含有率を低減させることができる。このようなフラックスは当業者に公知である。
なお、銅粉末の酸素含有率は、JIS Z 2613に規定された不活性ガス融解−赤外線吸収法に準拠して測定することができる。
(B)成分の熱伝導性粉末における(B1)成分の割合は、通常、50〜100体積%、好ましくは60〜100体積%である。該割合が50体積%より小さいと、得られる放熱部材の熱伝導率が低下しやすくなる。
<銅粉末以外の熱伝導性粉末>
本発明の好ましい態様において、(B)成分の熱伝導性粉末は、さらに、平均粒径が0.1〜5.0μmであり、JIS Z 8801-1に規定の目開き32μmの篩上分率が質量基準で100ppm以下であり、かつ同規格の目開き45μmの篩上画分を実質的に含まない、銅粉末以外の熱伝導性粉末(以下、(B2)成分とする。)を0〜50体積%含む。(B2)成分は、本発明の放熱部材の熱伝導性を更に向上させるための任意成分として機能する。
(B2)成分としては、例えば、酸化亜鉛粉末、酸化アルミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末、炭化ケイ素粉末、ダイヤモンド粉末等の無機粉末;銀粉末、金粉末、ニッケル粉末、ステンレス粉末等の金属粉末などが挙げられる。
(B2)成分が前記熱軟化性熱伝導性組成物中に充填された(B1)成分の隙間に入り込むことで、該組成物における熱伝導性粉末((B)成分)全体の充填性が向上する。また、該組成物の安定性が向上し、熱軟化時のオイル分離を防ぐことができる。
(B2)成分の平均粒径は、通常、0.1〜5.0μmの範囲内、好ましくは0.2〜3.0μmの範囲内である。該平均粒径が0.1μm未満であると、(B2)成分のかさ密度が大きくなりやすいので、前記熱軟化性熱伝導性組成物中に(B2)成分を高充填するのが難しくなりやすい。該平均粒径が5.0μmを超えると、大粒径の(B1)成分と小粒径の(B2)成分との組合せによる細密充填を行いにくくなる。
(B)成分の熱伝導性粉末における(B2)成分の熱伝導性粉末の割合は、通常、0〜50体積%の範囲内、好ましくは0〜40体積%の範囲内である。該割合が50体積%より大きいと、相対的に(B)成分の熱伝導性粉末における(B1)成分の割合が50体積%より小さくなるので、得られる放熱部材の熱伝導率が低下しやすくなる。
[(C)成分]
(C)成分は、下記一般式(1):
2 3 Si(OR44-a-b (1)
(式中、R2は炭素原子数6〜15のアルキル基であり、R3は炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、R4は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、aは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり、ただし、a+bは1〜3の整数である。)
で表されるアルコキシシランである。(C)成分は、ウェッター成分であり、任意成分として前記熱軟化性熱伝導性組成物に配合することができる。上記(B)成分の熱伝導性粉末の表面を(C)成分で処理することにより、この粉末とベースオイルである(A)成分との濡れ性をよくすることができる。結果として、(C)成分は、(B)成分の熱伝導性粉末の高充填化を補助する。
上記Rは炭素原子数6〜15のアルキル基であり、その具体例としては、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。該炭素原子数が6より小さいと、熱伝導性充填剤((B)成分)との濡れ性が不充分となりやすく、15より大きいと、(C)成分が常温で固化しやすいのでその取扱いが不便になりやすい上、得られる組成物の耐熱性および難燃性が低下しやすい。
上記Rは炭素原子数1〜8の飽和または不飽和の一価炭化水素基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−(ノナフルオロブチル)エチル基、2−(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基が挙げられ、特にメチル基、エチル基が好ましい。
上記Rは炭素原子数1〜6のアルキル基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられ、特にメチル基、エチル基が好ましい。
上記aは、通常、1〜3の整数であるが、特に好ましくは1である。上記bは0〜2の整数である。ただし、a+bは1〜3の整数である。
(C)成分の具体例としては、
13Si(OCH
1021Si(OCH
1225Si(OCH
1225Si(OC
1021Si(CH)(OCH
1021Si(C)(OCH
1021Si(CH)(OC
1021Si(CH=CH)(OCH
1021Si(CHCHCF)(OCH
等が挙げられる。
(C)成分の添加量は、(A)成分のシリコーン樹脂100容量部に対して、好ましくは0〜30容量部、より好ましくは0〜15容量部である。該添加量がこの範囲内にあると、添加量に応じてウェッター効果が増大しやすく、経済的である。一方、(C)成分にはやや揮発性があるので、(C)成分を含む熱軟化性熱伝導性組成物を開放系で放置しておくと、該組成物から(C)成分が蒸発して該組成物が徐々に硬くなってくる場合がある。しかし、該添加量がこの範囲内にあると、このような現象を防ぎやすい。
[その他の添加剤]
本発明の放熱部材には、本発明の目的を損なわない範囲で、任意成分として、合成ゴムに、通常、使用される添加剤または充填剤等を更に添加することができる。具体的には、離型剤としてシリコーンオイル、フッ素変性シリコーン界面活性剤;着色剤としてカーボンブラック、二酸化チタン、ベンガラなど;難燃性付与剤として白金触媒、酸化鉄、酸化チタン、酸化セリウムなどの金属酸化物、または金属水酸化物;加工性向上剤としてプロセスオイル、反応性チタネート触媒、反応性アルミニウム触媒などを添加してもよい。更に、熱伝導性充填剤の高温時での沈降防止剤として、沈降性シリカまたは焼成シリカなどの微粉末シリカ、チクソ性向上剤等を添加することも任意である。
[放熱部材の熱伝導率及び溶融粘度]
本発明の放熱部材の熱伝導率は、3.5W/m・K以上(例えば、3.5〜10.0W/m・K)であることが好ましい。該熱伝導率がこの範囲内にあると、電子部品とヒートシンク等の放熱部品等との熱伝導性を高く維持しやすく、十分な放熱性能が発揮されやすい。
更に、本発明の放熱部材は、80℃における粘度が、好ましくは1×10〜1×10Pa・sの範囲内、より好ましくは5×10〜5×10Pa・sの範囲内である。該粘度がこの範囲内にあると、電子部品とヒートシンク等の放熱部品との間から該放熱部材が流出しにくく、また、電子部品と放熱部品との間隙を小さくしやすく、十分な放熱性能を発現しやすい。
[製造方法]
本発明の放熱部材に用いられる熱軟化性熱伝導性組成物は、上記の各成分をドウミキサー(ニーダー)、ゲートミキサー、プラネタリーミキサーなどのゴム練機を用いて配合および混練することによって、容易に製造できる。
本発明の放熱部材は、熱軟化性熱伝導性組成物をシート状に成形することにより製造される。ここで、シート状とは、フィルム状、テープ状を包含する意味で用いられる。シート状に成形する方法としては、例えば、上記混練り後の組成物を押し出し成型、カレンダー成型、ロール成型、プレス成型等の方法で成形する方法、溶剤に溶解させた該組成物を塗工する方法等が挙げられる。なお、このようにして製造されるシート状放熱部材の厚さは、好ましくは20〜200μm、より好ましくは20〜100μm、特に好ましくは30〜80μmである。該厚さがこの範囲内にあると、取扱い性および放熱性能を良好に維持しやすい。
[組立体]
また、該組成物は剥離フィルム上あるいは2枚の剥離フィルム間にシート状に成形することが好ましく、図面に本発明の放熱部材を発熱性電子部品、放熱部品等の放熱体に適用するための組立体の一例を示す。図1は該組立体の正面図であり、図2はその縦断面図である。この組立体は、横長の連続したテープ状で剥離のより軽い剥離フィルム1と、一定間隔で縦長の矩形状にカットされた剥離のより重い剥離フィルム2との間に、本発明の放熱部材3が、剥離フィルム2と同じ形状に同じ位置でカットされて連続的に配置されている。剥離フィルム2にはプルタブテープ4が強固に接着されている。本発明の放熱部材は、図1および2のような形態に加工して使用することにより、その取扱い作業性を向上させることができる。
上記の組立体の使用方法を図1および2に即して説明する。剥離フィルム2に貼り付けられたプルタブテープ4を図2の矢印の方向に引っ張ることで、放熱部材3が剥離フィルム2とともに剥離フィルム1から剥離する。その後、この放熱部材3の面の剥離フィルム1から剥離した面を発熱性電子部品または放熱部品に貼りつけてからプルタブテープ4をやはり図2の矢印の方向に引っ張り、放熱部材3から剥離フィルム2を剥離することにより、放熱部材3を所定の場所に容易に設置することができる。
以下、実施例および比較例を示して本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、本発明の組成物を形成する以下の各成分を用意した。
(A)シリコーン樹脂
A−1:D25Φ 55Vi 20(重量平均分子量:ポリスチレン換算で3,300、軟化点:40〜50℃)
(ここで、Dはジメチルシロキサン単位(即ち、(CH3)2SiO)、TΦはフェニルシロキサン単位(即ち、(C65)SiO3/2)、DViはメチルビニルシロキサン単位(即ち、(CH3)(CH2=CH)SiO)を表わす。)
(B1)銅粉末
B1−1:銅粉末(平均粒径:10.1μm、気流分級品、酸素含有率:0.03質量%)
B1−2:銅粉末(平均粒径:10.1μm、気流分級品、酸素含有率:1.4質量%)
B1−3:銅粉末(平均粒径:12.3μm、分級なし、酸素含有率:0.2質量%)
(B2)(B1)成分以外の熱伝導性充填剤
B2−1:アルミニウム粉末(平均粒径:1.4μm、目開き32μmの篩下画分)
B2−2:酸化亜鉛粉末(平均粒径:0.5μm、気流分級品)
B2−3:アルミニウム粉末(平均粒径:6.5μm、分級なし)
(C)アルコキシシラン(ウェッター成分)
C−1:下記式で表されるアルコキシシラン
1021Si(OCH33
(D)その他の添加剤:シリコーンオイル
D−1:25℃における粘度が0.4Pa・sのフェニル基含有シリコーンオイル(商品名:KF−54、信越化学工業株式会社製)
ここで、(B1)成分の酸素含有率は、JIS Z 2613の不活性ガス融解−赤外線吸収法に準拠して測定した。分析装置として、堀場製作所製のOXYGEN/NITROGEN ANALYZER EMGA−523を使用した。また、(B1)成分および(B2)成分の平均粒径の値は、日機装株式会社製の粒度分析計であるマイクロトラックMT3300EXにより測定した体積基準の累積平均径の値である。
(粗粒観察)
(B1)成分および(B2)成分の粗粒観察を以下のとおりに行った。
〔目開き45μmの篩上画分の目視観察〕
(B1)成分50gおよび(B2)成分50gをおのおの別々にトルエン100gと共に200mlのプラスチック瓶に入れ、栓をして粒子が分散しきるまで該プラスチック瓶を振盪し、もしくは超音波分散にかけた。分散した後、目開き45μmの試験用ふるい(JIS Z 8801-1に規定の標準ふるい)にその分散液を流し込み、洗浄用トルエンでよく洗い流し、乾燥機にそのふるいごと入れて乾燥させた。乾燥後、薬包紙に篩上画分を移して目視観察し、下記判定基準により評価した。結果を表1に示す。
<判定基準>
○:目開き45μmの篩上画分が目視にて見つからない。
×:目開き45μmの篩上画分が目視にて一粒でも確認できる。
〔目開き32μmの篩上分率の測定〕
目開き45μmの篩上画分の目視観察で粗粒が確認されなかった(B1)成分および(B2)成分について目開き32μmの篩上分率を測定した。(B1)成分50gおよび(B2)成分50gをおのおの別々にトルエン100gと共に200mlのプラスチック瓶に入れ、栓をして粒子が分散しきるまで該プラスチック瓶を振盪し、もしくは超音波分散にかけた。分散した後、目開き32μmの試験用ふるい(JIS Z 8801-1に規定の標準ふるい)にその分散液を流し込み、洗浄用トルエンでよく洗い流し、乾燥機にそのふるいごと入れて乾燥させた。乾燥後、薬包紙に篩上画分を移してその質量を測定し、各成分について全粒子質量に対する篩上画分の質量の比率を計算して篩上分率とした。結果を表1に示す。表中、「−」は篩上分率を測定しなかったことを表す。
Figure 0004901327
[実施例1〜5]
(放熱部材の作製方法)
表2に示す組成比で、(A)成分に(C)成分を加え、さらにトルエンを(A)成分と(C)成分との合計質量の1/5の量だけ加えて、プラネタリ−ミキサーに投入し、室温で20分攪拌・混合して均一溶液とした。次に、(B1)成分および(B2)成分を表1に示す組成比で該均一溶液に投入し、室温で1時間攪拌・混合した。得られた組成物溶液に対して、さらにトルエンを(A)成分と(C)成分との合計質量の2.5倍量だけ投入して希釈を行った。一方で、図1及び図2に即して説明すると、剥離のより軽い離型剤を塗布したPET(ポリエチレンテレフタレート)製の剥離フィルム1と、剥離のより重い離型剤を塗布したPET製の剥離フィルム2を用意した。コンマコーターを用いて前記組成物溶液を剥離フィルム2にコーティングした。次に、この剥離フィルム2を温度80℃の乾燥炉に5分間入れ、トルエンを揮発除去させて乾燥した組成物層(放熱部材)3を形成した。その後、該組成物が塗布された面上に剥離フィルム1を温度90℃の熱ロールで圧着し貼り合わせた。仕上がりの放熱部材3の厚さを60μmとした。
上記工程により得られた三層フィルム(剥離フィルム1と、剥離フィルム2と、その間に挟まれた放熱部材3)を幅25mmでスリット加工しテープ状にした。即ち、剥離フィルム2の放熱部材3とは反対側の面にプルタブテープ4を貼った。幅25mmごとに、剥離フィルム2、放熱部材3、プルタブテープ4までカットするが、剥離フィルム1はカットせずにテープ状のまま残す切れ目5を形成することにより図1および2に示す組立体を作製した。
(評価方法)
(1)厚さ、熱抵抗および熱伝導率
二枚の円板状の標準アルミニウムプレート(純度:99.99%、直径:約12.7mm、厚み:約1.0mm)に上で作製した組立体から放熱部材3を取り、この放熱部材を挟み、約0.14MPaの圧力をかけながら、25℃で60分間または80℃で30分間加熱した。次に、二枚の標準アルミニウムプレートごと厚みを測定し、予め分かっている標準アルミニウムプレートの厚みを差し引くことによって、実質的な放熱部材の厚みを測定した。なお、厚さ測定には、マイクロメーター(株式会社ミツトヨ製、型式番号:M820−25VA)を用いた。また、上記の放熱部材の熱抵抗および熱伝導率をマイクロフラッシュ測定機(ネッチゲレイテバウ社製)により測定した。結果を表2に示す。
(2)粘度
動的粘弾性測定装置RDA3(商品名、ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて上記放熱部材の80℃における粘度を測定した。結果を表2に示す。
(3)取扱い性
図1および2に示す組立体を作製し、上述の使用方法により、上記放熱部材の取扱い性、即ち、発熱性電子部品または放熱部品(ヒートシンク)への装着性を手作業により評価した。結果を表2に示す。
<判定基準>
◎(非常に良好):放熱部材3がスムーズにかつ損傷なく剥離フィルム2とともに剥離フィルム1から剥離する。その後、この放熱部材3の面の剥離フィルム1から剥離した面を発熱性電子部品または放熱部品に貼りつけてからプルタブテープ4を図2の矢印の方向に引っ張ったときに、放熱部材3から剥離フィルム2を容易に剥離することができ、放熱部材3と発熱性電子部品または放熱部品との接触が良好である。
○(良好):剥離フィルム1および2の少なくとも一方の剥離がより重い、すなわち、剥離により大きな力を要する。しかし、剥離フィルム1および2を放熱部材3から特に問題なく剥離することができ、放熱部材3を発熱性電子部品または放熱部品に特に問題なく貼り付けることができる。
△(ほぼ良好):スムーズではないが、剥離フィルム1および2を放熱部材3から剥離することができる。また、放熱部材3を発熱性電子部品または放熱部品に特に問題なく貼り付けることができる。
×(不良):剥離フィルム1および2の少なくとも一方を放熱部材3から剥離するときに、放熱部材3が割れやヨレなどを起こして損傷する。
Figure 0004901327
[比較例1〜4]
表2の各成分の代わりに表3の各成分を用い、実施例1〜5と同様にして組成物を得た。得られた組成物について実施例1〜5と同様に各項目の測定を行った。結果は表3の通りである。
Figure 0004901327

1):取扱い性が悪く、測定できなかった。
2) :シート状の放熱部材の初期厚みを100μmとして測定した。
本発明の放熱部材を適用するために用いられる組立体の一例の正面図である。 図1に示す組立体の縦断面図である。
符号の説明
1 剥離のより軽い剥離フィルム
2 剥離のより重い剥離フィルム
3 放熱部材
4 プルタブテープ

Claims (8)

  1. 動作することによって室温より高い温度に到達しうる発熱性電子部品と放熱部品との間に配置され、室温では非流動性であり、かつ電子部品動作時の発熱により、または電子部品配置時に積極的にかける熱により、流動化することによって電子部品と放熱部品との境界に実質的に空隙なく充填されるシート状放熱部材において、
    (A)シリコーン樹脂 100容量部、及び、
    (B)熱伝導性粉末 200〜500容量部
    を含有してなり、
    前記(B)成分の熱伝導性粉末は、(B1)平均粒径が5.0〜15.0μmであり、酸素含有率が0.1質量%以下であり、JIS Z 8801-1に規定の目開き32μmの篩上分率が質量基準で100ppm以下であり、かつ同規格の目開き45μmの篩上画分を実質的に含まない銅粉末を50〜100体積%含み、さらに、(B2)平均粒径が0.1〜5.0μmであり、JIS Z 8801-1に規定の目開き32μmの篩上分率が質量基準で100ppm以下であり、かつ同規格の目開き45μmの篩上画分を実質的に含まない、銅粉末以外の熱伝導性粉末を0〜50体積%含む熱軟化性熱伝導性組成物からなるシート状放熱部材。
  2. 前記(A)成分が、RSiO3/2単位(式中、Rは炭素原子数1〜10の非置換または置換の一価炭化水素である。)および/またはSiO単位を含んだ重合体からなる請求項1に係るシート状放熱部材。
  3. 前記の重合体がさらにR SiO2/2単位(式中、Rは炭素原子数1〜10の非置換または置換の一価炭化水素である。)を含む請求項2に係る放熱部材。
  4. 前記熱軟化性熱伝導性組成物が、さらに、25℃における粘度が0.1〜100Pa・sであるオルガノポリシロキサンを含む請求項1〜3のいずれか1項に係る放熱部材。
  5. 前記(B2)成分が酸化亜鉛粉末、酸化アルミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末、炭化ケイ素粉末、ダイヤモンド粉末、アルミニウム粉末、銀粉末、金粉末、ニッケル粉末およびステンレス粉末からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか一項に係る放熱部材。
  6. 前記熱軟化性熱伝導性組成物が、
    (C)下記一般式(1):
    2 3 Si(OR44-a-b (1)
    (式中、R2は炭素原子数6〜15のアルキル基であり、R3は炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、R4は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、aは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり、ただし、a+bは1〜3の整数である。)
    で表されるアルコキシシラン
    をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に係る放熱部材。
  7. 前記熱軟化性熱伝導性組成物の熱伝導率が3.5W/mK以上であり、80℃における粘度が1×10〜1×10Pa・sであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に係る放熱部材。
  8. 厚みが20〜200μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に係る放熱部材。

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