JP4901327B2 - 放熱部材 - Google Patents
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動作することによって室温より高い温度に到達しうる発熱性電子部品と放熱部品との間に配置され、室温では非流動性であり、かつ電子部品動作時の発熱により、または電子部品配置時に積極的にかける熱により、流動化することによって電子部品と放熱部品との境界に実質的に空隙なく充填されるシート状放熱部材において、
(A)シリコーン樹脂 100容量部、及び、
(B)熱伝導性粉末 200〜500容量部
を含有してなり、
前記(B)成分の熱伝導性粉末は、平均粒径が5.0〜15.0μmであり、酸素含有率が0.1質量%以下であり、JIS Z 8801-1に規定の目開き32μmの篩上分率が質量基準で100ppm以下であり、かつ同規格の目開き45μmの篩上画分を実質的に含まない銅粉末を50〜100体積%含む熱軟化性熱伝導性組成物からなるシート状放熱部材を提供する。
(A)成分は、シリコーン樹脂であり、本発明の放熱部材のマトリックスを形成する。(A)成分としては、本発明の放熱部材が、実質的に常温(例えば、25℃)で固体(非流動性)であって、一定温度以上、好ましくは40℃以上で、発熱性電子部品の発熱による最高到達温度以下、具体的には40〜150℃程度、特に40〜120℃程度の温度範囲において、熱軟化、低粘度化または融解して流動化するものであればどのようなシリコーン樹脂でもよい。(A)成分は、本発明の放熱部材が熱軟化を起こす因子であり、該放熱部材に熱伝導性を付与する充填剤に加工性や作業性をあたえるバインダとしての役割も果たす。
室温で固形時の脆さを改善して取扱い時の破損等を防止するために靱性を高めるには、T単位の導入が有効である。また、室温での靭性の向上にはD単位を用いることも有利である。そこで、好ましいシリコーン樹脂の構造として、M単位/T単位/D単位の組み合わせからなるシリコーン樹脂、およびM単位/Q単位/D単位の組み合わせからなるシリコーン樹脂が挙げられる。ここで、T単位の置換基(R1)としては、メチル基およびフェニル基が好ましく、D単位の置換基としては、メチル基、フェニル基およびビニル基が好ましい。また、M単位/T単位/D単位の組み合わせからなるシリコーン樹脂では、T単位とD単位との比率は、10:90〜90:10であることが好ましく、特に20:80〜80:20とすることが好ましい。
DmTΦ pDVi n
(ここで、Dはジメチルシロキサン単位(即ち、(CH3)2SiO)、TΦはフェニルシロキサン単位(即ち、(C6H5)SiO3/2)、DViはメチルビニルシロキサン単位(即ち、(CH3)(CH2=CH)SiO)を表わし、(m+n)/p(モル比)=0.25〜4.0、(m+n)/m(モル比)=1.0〜4.0である)
MLDmTΦ pDVi n
(ここで、Mはトリメチルシロキサン単位(即ち、(CH3)3SiO1/2)を表わし、D、TΦおよびDViは上記のとおりであり、(m+n)/p(モル比)=0.25〜4.0、(m+n)/m(モル比)=1.0〜4.0、L/(m+n)(モル比)=0.001〜0.1である)
MLDmQqDVi n
(ここで、Qは、SiO4/2を表わし、M、D、およびDViは上記のとおりであり、(m+n)/q(モル比)=0.25〜4.0、(m+n)/m(モル比)=1.0〜4.0、L/(m+n)(モル比)=0.001〜0.1である)
(B)成分は、熱伝導性粉末であり、本発明の放熱部材において熱伝導性充填剤として機能する。(B)成分は、一種単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
通常、(B)成分の熱伝導性粉末は、平均粒径が5.0〜15.0μmであり、酸素含有率が0.1質量%以下であり、JIS Z 8801-1に規定の目開き32μmの篩上分率が質量基準で100ppm以下であり、かつ同規格の目開き45μmの篩上画分を実質的に含まない銅粉末(以下、(B1)成分とする。)を50〜100体積%含む。
本発明の好ましい態様において、(B)成分の熱伝導性粉末は、さらに、平均粒径が0.1〜5.0μmであり、JIS Z 8801-1に規定の目開き32μmの篩上分率が質量基準で100ppm以下であり、かつ同規格の目開き45μmの篩上画分を実質的に含まない、銅粉末以外の熱伝導性粉末(以下、(B2)成分とする。)を0〜50体積%含む。(B2)成分は、本発明の放熱部材の熱伝導性を更に向上させるための任意成分として機能する。
(C)成分は、下記一般式(1):
R2 aR3 bSi(OR4)4-a-b (1)
(式中、R2は炭素原子数6〜15のアルキル基であり、R3は炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、R4は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、aは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり、ただし、a+bは1〜3の整数である。)
で表されるアルコキシシランである。(C)成分は、ウェッター成分であり、任意成分として前記熱軟化性熱伝導性組成物に配合することができる。上記(B)成分の熱伝導性粉末の表面を(C)成分で処理することにより、この粉末とベースオイルである(A)成分との濡れ性をよくすることができる。結果として、(C)成分は、(B)成分の熱伝導性粉末の高充填化を補助する。
C6H13Si(OCH3)3、
C10H21Si(OCH3)3、
C12H25Si(OCH3)3、
C12H25Si(OC2H5)3、
C10H21Si(CH3)(OCH3)2、
C10H21Si(C6H5)(OCH3)2、
C10H21Si(CH3)(OC2H5)2、
C10H21Si(CH=CH2)(OCH3)2、
C10H21Si(CH2CH2CF3)(OCH3)2
等が挙げられる。
本発明の放熱部材には、本発明の目的を損なわない範囲で、任意成分として、合成ゴムに、通常、使用される添加剤または充填剤等を更に添加することができる。具体的には、離型剤としてシリコーンオイル、フッ素変性シリコーン界面活性剤;着色剤としてカーボンブラック、二酸化チタン、ベンガラなど;難燃性付与剤として白金触媒、酸化鉄、酸化チタン、酸化セリウムなどの金属酸化物、または金属水酸化物;加工性向上剤としてプロセスオイル、反応性チタネート触媒、反応性アルミニウム触媒などを添加してもよい。更に、熱伝導性充填剤の高温時での沈降防止剤として、沈降性シリカまたは焼成シリカなどの微粉末シリカ、チクソ性向上剤等を添加することも任意である。
本発明の放熱部材の熱伝導率は、3.5W/m・K以上(例えば、3.5〜10.0W/m・K)であることが好ましい。該熱伝導率がこの範囲内にあると、電子部品とヒートシンク等の放熱部品等との熱伝導性を高く維持しやすく、十分な放熱性能が発揮されやすい。
本発明の放熱部材に用いられる熱軟化性熱伝導性組成物は、上記の各成分をドウミキサー(ニーダー)、ゲートミキサー、プラネタリーミキサーなどのゴム練機を用いて配合および混練することによって、容易に製造できる。
また、該組成物は剥離フィルム上あるいは2枚の剥離フィルム間にシート状に成形することが好ましく、図面に本発明の放熱部材を発熱性電子部品、放熱部品等の放熱体に適用するための組立体の一例を示す。図1は該組立体の正面図であり、図2はその縦断面図である。この組立体は、横長の連続したテープ状で剥離のより軽い剥離フィルム1と、一定間隔で縦長の矩形状にカットされた剥離のより重い剥離フィルム2との間に、本発明の放熱部材3が、剥離フィルム2と同じ形状に同じ位置でカットされて連続的に配置されている。剥離フィルム2にはプルタブテープ4が強固に接着されている。本発明の放熱部材は、図1および2のような形態に加工して使用することにより、その取扱い作業性を向上させることができる。
A−1:D25TΦ 55DVi 20(重量平均分子量:ポリスチレン換算で3,300、軟化点:40〜50℃)
(ここで、Dはジメチルシロキサン単位(即ち、(CH3)2SiO)、TΦはフェニルシロキサン単位(即ち、(C6H5)SiO3/2)、DViはメチルビニルシロキサン単位(即ち、(CH3)(CH2=CH)SiO)を表わす。)
B1−1:銅粉末(平均粒径:10.1μm、気流分級品、酸素含有率:0.03質量%)
B1−2:銅粉末(平均粒径:10.1μm、気流分級品、酸素含有率:1.4質量%)
B1−3:銅粉末(平均粒径:12.3μm、分級なし、酸素含有率:0.2質量%)
B2−1:アルミニウム粉末(平均粒径:1.4μm、目開き32μmの篩下画分)
B2−2:酸化亜鉛粉末(平均粒径:0.5μm、気流分級品)
B2−3:アルミニウム粉末(平均粒径:6.5μm、分級なし)
C−1:下記式で表されるアルコキシシラン
C10H21Si(OCH3)3
D−1:25℃における粘度が0.4Pa・sのフェニル基含有シリコーンオイル(商品名:KF−54、信越化学工業株式会社製)
(B1)成分および(B2)成分の粗粒観察を以下のとおりに行った。
(B1)成分50gおよび(B2)成分50gをおのおの別々にトルエン100gと共に200mlのプラスチック瓶に入れ、栓をして粒子が分散しきるまで該プラスチック瓶を振盪し、もしくは超音波分散にかけた。分散した後、目開き45μmの試験用ふるい(JIS Z 8801-1に規定の標準ふるい)にその分散液を流し込み、洗浄用トルエンでよく洗い流し、乾燥機にそのふるいごと入れて乾燥させた。乾燥後、薬包紙に篩上画分を移して目視観察し、下記判定基準により評価した。結果を表1に示す。
<判定基準>
○:目開き45μmの篩上画分が目視にて見つからない。
×:目開き45μmの篩上画分が目視にて一粒でも確認できる。
目開き45μmの篩上画分の目視観察で粗粒が確認されなかった(B1)成分および(B2)成分について目開き32μmの篩上分率を測定した。(B1)成分50gおよび(B2)成分50gをおのおの別々にトルエン100gと共に200mlのプラスチック瓶に入れ、栓をして粒子が分散しきるまで該プラスチック瓶を振盪し、もしくは超音波分散にかけた。分散した後、目開き32μmの試験用ふるい(JIS Z 8801-1に規定の標準ふるい)にその分散液を流し込み、洗浄用トルエンでよく洗い流し、乾燥機にそのふるいごと入れて乾燥させた。乾燥後、薬包紙に篩上画分を移してその質量を測定し、各成分について全粒子質量に対する篩上画分の質量の比率を計算して篩上分率とした。結果を表1に示す。表中、「−」は篩上分率を測定しなかったことを表す。
(放熱部材の作製方法)
表2に示す組成比で、(A)成分に(C)成分を加え、さらにトルエンを(A)成分と(C)成分との合計質量の1/5の量だけ加えて、プラネタリ−ミキサーに投入し、室温で20分攪拌・混合して均一溶液とした。次に、(B1)成分および(B2)成分を表1に示す組成比で該均一溶液に投入し、室温で1時間攪拌・混合した。得られた組成物溶液に対して、さらにトルエンを(A)成分と(C)成分との合計質量の2.5倍量だけ投入して希釈を行った。一方で、図1及び図2に即して説明すると、剥離のより軽い離型剤を塗布したPET(ポリエチレンテレフタレート)製の剥離フィルム1と、剥離のより重い離型剤を塗布したPET製の剥離フィルム2を用意した。コンマコーターを用いて前記組成物溶液を剥離フィルム2にコーティングした。次に、この剥離フィルム2を温度80℃の乾燥炉に5分間入れ、トルエンを揮発除去させて乾燥した組成物層(放熱部材)3を形成した。その後、該組成物が塗布された面上に剥離フィルム1を温度90℃の熱ロールで圧着し貼り合わせた。仕上がりの放熱部材3の厚さを60μmとした。
(1)厚さ、熱抵抗および熱伝導率
二枚の円板状の標準アルミニウムプレート(純度:99.99%、直径:約12.7mm、厚み:約1.0mm)に上で作製した組立体から放熱部材3を取り、この放熱部材を挟み、約0.14MPaの圧力をかけながら、25℃で60分間または80℃で30分間加熱した。次に、二枚の標準アルミニウムプレートごと厚みを測定し、予め分かっている標準アルミニウムプレートの厚みを差し引くことによって、実質的な放熱部材の厚みを測定した。なお、厚さ測定には、マイクロメーター(株式会社ミツトヨ製、型式番号:M820−25VA)を用いた。また、上記の放熱部材の熱抵抗および熱伝導率をマイクロフラッシュ測定機(ネッチゲレイテバウ社製)により測定した。結果を表2に示す。
動的粘弾性測定装置RDA3(商品名、ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて上記放熱部材の80℃における粘度を測定した。結果を表2に示す。
図1および2に示す組立体を作製し、上述の使用方法により、上記放熱部材の取扱い性、即ち、発熱性電子部品または放熱部品(ヒートシンク)への装着性を手作業により評価した。結果を表2に示す。
<判定基準>
◎(非常に良好):放熱部材3がスムーズにかつ損傷なく剥離フィルム2とともに剥離フィルム1から剥離する。その後、この放熱部材3の面の剥離フィルム1から剥離した面を発熱性電子部品または放熱部品に貼りつけてからプルタブテープ4を図2の矢印の方向に引っ張ったときに、放熱部材3から剥離フィルム2を容易に剥離することができ、放熱部材3と発熱性電子部品または放熱部品との接触が良好である。
○(良好):剥離フィルム1および2の少なくとも一方の剥離がより重い、すなわち、剥離により大きな力を要する。しかし、剥離フィルム1および2を放熱部材3から特に問題なく剥離することができ、放熱部材3を発熱性電子部品または放熱部品に特に問題なく貼り付けることができる。
△(ほぼ良好):スムーズではないが、剥離フィルム1および2を放熱部材3から剥離することができる。また、放熱部材3を発熱性電子部品または放熱部品に特に問題なく貼り付けることができる。
×(不良):剥離フィルム1および2の少なくとも一方を放熱部材3から剥離するときに、放熱部材3が割れやヨレなどを起こして損傷する。
表2の各成分の代わりに表3の各成分を用い、実施例1〜5と同様にして組成物を得た。得られた組成物について実施例1〜5と同様に各項目の測定を行った。結果は表3の通りである。
2 剥離のより重い剥離フィルム
3 放熱部材
4 プルタブテープ
Claims (8)
- 動作することによって室温より高い温度に到達しうる発熱性電子部品と放熱部品との間に配置され、室温では非流動性であり、かつ電子部品動作時の発熱により、または電子部品配置時に積極的にかける熱により、流動化することによって電子部品と放熱部品との境界に実質的に空隙なく充填されるシート状放熱部材において、
(A)シリコーン樹脂 100容量部、及び、
(B)熱伝導性粉末 200〜500容量部
を含有してなり、
前記(B)成分の熱伝導性粉末は、(B1)平均粒径が5.0〜15.0μmであり、酸素含有率が0.1質量%以下であり、JIS Z 8801-1に規定の目開き32μmの篩上分率が質量基準で100ppm以下であり、かつ同規格の目開き45μmの篩上画分を実質的に含まない銅粉末を50〜100体積%含み、さらに、(B2)平均粒径が0.1〜5.0μmであり、JIS Z 8801-1に規定の目開き32μmの篩上分率が質量基準で100ppm以下であり、かつ同規格の目開き45μmの篩上画分を実質的に含まない、銅粉末以外の熱伝導性粉末を0〜50体積%含む熱軟化性熱伝導性組成物からなるシート状放熱部材。 - 前記(A)成分が、R1SiO3/2単位(式中、R1は炭素原子数1〜10の非置換または置換の一価炭化水素である。)および/またはSiO2単位を含んだ重合体からなる請求項1に係るシート状放熱部材。
- 前記の重合体がさらにR1 2SiO2/2単位(式中、R1は炭素原子数1〜10の非置換または置換の一価炭化水素である。)を含む請求項2に係る放熱部材。
- 前記熱軟化性熱伝導性組成物が、さらに、25℃における粘度が0.1〜100Pa・sであるオルガノポリシロキサンを含む請求項1〜3のいずれか1項に係る放熱部材。
- 前記(B2)成分が酸化亜鉛粉末、酸化アルミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末、炭化ケイ素粉末、ダイヤモンド粉末、アルミニウム粉末、銀粉末、金粉末、ニッケル粉末およびステンレス粉末からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか一項に係る放熱部材。
- 前記熱軟化性熱伝導性組成物が、
(C)下記一般式(1):
R2 aR3 bSi(OR4)4-a-b (1)
(式中、R2は炭素原子数6〜15のアルキル基であり、R3は炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、R4は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、aは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり、ただし、a+bは1〜3の整数である。)
で表されるアルコキシシラン
をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に係る放熱部材。 - 前記熱軟化性熱伝導性組成物の熱伝導率が3.5W/mK以上であり、80℃における粘度が1×102〜1×105Pa・sであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に係る放熱部材。
- 厚みが20〜200μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に係る放熱部材。
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