JP4901198B2 - スペーサ付表示装置用基板 - Google Patents
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まず、本発明に用いられるスペーサ付表示装置用基板について説明する。本発明に用いられるスペーサ付表示装置用基板は、有機材料および無機材料を含有する複合基材と、上記複合基材上にパターン状に形成されたパターンスペーサとを有するスペーサ付表示用基板であって、上記パターンスペーサの硬度が、上記複合基材に含有される上記無機材料の硬度より低いことを特徴とするものである。
以下、本発明のスペーサ付表示装置用基板について、各構成ごとに詳しく説明する。
まず、本発明に用いられる複合基材について説明する。本発明に用いられる複合基材は、有機材料および無機材料を含有するものであり、かつ後述するパターンスペーサを形成可能なものであればその種類等は特に限定されるものではない。例えば有機材料中に粒状あるいは板状の無機材料が分散されているものであってもよく、また有機材料中に、繊維状の無機材料が分散されているもの等であってもよい。また有機材料が薄い無機材料からなるシートによって覆われているものであってもよく、またさらに繊維状の無機材料が織り込まれたクロス状シートが有機材料によって覆われているもの等であってもよい。
次に、本発明に用いられるパターンスペーサについて説明する。本発明に用いられるパターンスペーサは、上記複合基材上にパターン状に形成されるものであり、かつ硬度が上記複合基材中に含有される無機材料の硬度より低いものである。
次に、本発明のスペーサ付表示装置用基板について説明する。本発明のスペーサ付表示装置用基板は、上記複合基材およびパターンスペーサを有するものであれば特に限定されるものではなく、必要に応じて、例えば上記複合基材とパターンスペーサとの間にガスバリア層やオーバーコート層等が形成されているものであってもよい。また、例えば上記複合基材上にブラックマトリックス等が形成されているものであってもよい。なお、このようなガスバリア層やオーバーコート層、ブラックマトリックス等については、一般的な表示装置に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、上述したスペーサ付表示装置用基板の複合基材上に着色層が形成されているものである。本発明のカラーフィルタは、例えば図2に示すように、複合基材1と、その複合基材1上に形成された着色層3と、上記複合基材1上に形成されたパターンスペーサ2とを有するものである。なお、上記複合基材1とパターンスペーサ2との間にブラックマトリックス4等が形成されていてもよい。また、例えば上記着色層を覆うように透明電極層が形成されており、上記パターンスペーサが上記透明電極層上に形成されているもの等であってもよい。
[複合基材の形成]
多官能アクリレート樹脂をガラス繊維に含浸した後に紫外線硬化装置により連続的に硬化し、樹脂60重量%、ガラス繊維40重量%、幅30cm、長さ100m、厚さ100μmの複合基材(1)を得た。この複合基材(1)の30℃から150℃における線膨張係数は、18ppmであった。この複合基材(1)のガラス転移温度をtanδmaxで評価したところ300℃以上であった。またこの複合基材(1)の全光線透過率は90%であった。線膨張係数の測定はTMA(Thermal Mechanical Analyzer)を用いて30〜150℃の範囲で実施した。ガラス転移温度の測定はDMA(Dynamic Mechanical Analyzer)を用いて測定した。全光線透過率はJIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)に従って測定した。
この複合基材(1)を、スパッタロールコート装置に装填し、DCマグネトロンスパッタにより、酸素を反応性ガスに用いた反応性スパッタでSiをターゲットとして用いて、複合基材(1)上に膜厚60nmのSiOx(x=1.8,XPSによる)の成膜を行って、これを第一のバリア層とした。
上記で形成した第一のバリア層に、ロール巻き出し装置、マイクログラビアコーター、乾燥炉、UV照射装置、ロール巻取り装置を備える連続塗工機にて、エポキシアクリレートプレポリマー100重量部、ジエチレングリコール200重量部、酢酸エチル100重量部、ベンゼンエチルエーテル2重量部、およびシランカップリング剤1重量部の均一混合溶液を、連続塗工機のマイクログラビアコーターで塗布し、120℃の乾燥ゾーンを通過させた後、紫外線を照射して、5μmの厚さのオーバーコート層を形成した。
オーバーコート層を形成した複合基材(1)を、リワインダーで巻き返し、つづいて、このオーバーコート層と反対面に第二のバリア層を成膜するために、スパッタロールコート装置に装填し、DCマグネトロンスパッタにより、酸素を反応性ガスに用いた反応性スパッタでSiをターゲットとして用いて、第一のバリア層の対面に膜厚60nmのSiOx(x=1.8,XPSによる)の成膜を行って、これを第二のバリア層とした。
上記のように第二のバリア層まで形成した複合基材(1)をJIS K 7129Bに規定される測定法に基づき40℃90%RH時の水蒸気透過率を測定したところ、0.01g/(m2・24hr)以下であった。
上記の第一および第二のバリア層を成膜した複合基材の第二のバリア層上に、下記の組成のブラックマトリックス形成用組成物を、ウェット状態で厚み;10μmになるようダイコーターを用いて塗布し、乾燥後、温度;90℃の条件で2分間プリベークして2μmの厚みのブラックマトリックス層を形成した。
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比=73/27) 150部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 80部
・カーボンブラック分散液 150部
・光重合開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1) 2.5部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 600部
※部数はいずれも質量基準
露光装置の本体の温度は23℃±0.1℃になるよう、また、相対湿度は60%±1%になるよう、それぞれ調整した。
その後、ベーク炉にて200℃、30分のポストベークを行いブラックマトリックスを熱キュアした。得られたブラックマトリックスを、前記同条件(温度;23℃±0.1℃、相対湿度;60%±1%)で測定したところ、複合基材上に形成されたパターンの寸法は、MD:99.998mm、TD:100.001mmであった。
前記ブラックマトリックスが形成された複合基材の上に、下記の組成の着色パターン形成用組成物を、ウェット状態で厚み;10μmになるようダイコーターを用いて塗布し、乾燥後、温度;90℃の条件で2分間プリベークして2μmの厚みの着色パターン形成用組成物付き複合基材を得た。
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比=73/27) 50部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 40部
・赤色顔料(C.I.Pigment Red 177) 90部
・光重合開始剤(2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン−1) 1.5部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 600部
※部数はいずれも質量基準
露光装置の本体の温度は23℃±0.1℃になるよう、また、相対湿度は60%±1%になるよう、それぞれ調整した。
着色パターン形成用組成物付き複合基材を露光台上に吸着固定した後、着色パターン形成用組成物付き複合基材の塗膜表面とパターン(フォトマスク)との間隔(ギャップ)が100μmになるよう自動調整した。また着色パターン形成用組成物付き複合基材の露光位置は、着色パターン形成用組成物付き複合基材の端面からの距離を自動検出して、着色パターン形成用組成物付き複合基材からフォトマスクパターン位置が一定距離になるよう自動調整後、前記ブラックマトリックス形成時に同時形成したアライメントマークを用いてRED用フォトマスクとアライメントを行った後、露光を行った。光源としては、高圧水銀ランプを用いて、露光エリアを200mm×200mmとして、I線(波長;365nm)を用い、15mw/cm2の照度で20秒間露光し、100mJ/cm2の露光量とした。
続いて、このカラーフィルタをスパッタロールコート装置に装填し、DCスパッタにより酸素を反応ガスに用いた反応性スパッタでITO(indium tin oxide)をターゲットとして用い、ブラックマトリックスおよびRGBの着色層上に膜厚150nmのITOの成膜を行い、これをITO電極層とした。
(ドライフィルムの準備)
パターンスペーサ形成用のドライフィルムとして、厚み;25μmのPETベースフィルム上に、ネガ型感光性樹脂からなるパターンスペーサ形成用組成物を、ウェット状態で厚み;20μmになるようダイコーターを用いて塗布し、乾燥後、温度;90℃の条件で2分間プリベークして5μmの厚みとした。その後、その上に、厚み25μmのPETカバーフィルムをラミネートし、パターンスペーサ形成用ドライフィルムとした。
上記で得られたブラックマトリックス、RGB着色層、およびITO電極層が形成された複合基材の上に、カバーフィルムを予め剥離したパターンスペーサ形成用ドライフィルムをパターンスペーサ形成用組成物がITO電極層と向かい合うように積層して、パターンスペーサ形成用組成物層を、ローラ圧;5kg/cm2、ローラ表面温度;120℃、および速度;800mm/minの条件にて、連続的に転写した。この際、ベースフィルムは剥離せず、パターンスペーサ形成用組成物上に付いた状態で次の露光工程へと進めた。
上流側に巻き出し装置、下流側に巻き取り装置を備えた露光装置に、上記で得られた積層原反を通し、露光装置の入口側および出口側に設置されたニップローラ対を駆動して、連続状の積層原反を搬送した。この搬送状態において、積層原反にかかるテンションは、2kg/300mm幅であった。
露光装置の本体の温度は23℃±0.1℃になるよう、また、相対湿度は60%±1%になるよう、それぞれ調整した。
積層原反を露光台上に吸着固定した後、積層原反のベースフィルムとパターン(フォトマスク)との間隔(ギャップ)を30μmになるよう自動調整した。また積層原反のパターンの露光位置は、積層原反の端面からの距離を自動検出して、この検出結果にしたがって積層原反からフォトマスクパターン位置が一定距離になるよう自動調整後、前記ブラックマトリックス形成時に同時形成したアライメントマークを用いてパターンスペーサ用フォトマスクとアライメントを行った後、露光を行った。光源としては、高圧水銀ランプを用いて、露光エリアを200mm×200mmとして、I線(波長;365nm)を用い、15mW/cm2の照度で20秒間露光し、300mJ/cm2の露光量とした。
現像処理は、露光機の下流側に現像装置を設置し、この現像装置内で露光後の積層原反のベースフィルムを剥離しながら、400mm/minの一定速度で搬送しながら行って、前記ブラックマトリックス、RGB着色層、およびITO電極層が形成された複合基材のブラックマトリックスの格子パターン部の所定位置にパターンスペーサが形成されたカラーフィルタを得た。その後、ベーク炉にて200℃、30分のポストベーク処理を行って、パターンスペーサを熱キュアした。
微小硬度計を用いて前記カラーフィルタ上に形成されたパターンスペーサを測定した結果、パターンスペーサ面積144μm2(12μm×12μm)、高さ5.5μm、押し込み圧20mN/10sec、保持時間(クリープ時間)5秒において、変位量は1.8μmであり、不可逆変位量は、0.3μm、可逆変位量は1.5μmであった。
なお上記パターンスペーサを同条件によりガラス基板上(NHテクノグラス社製 NA35 0.7mm厚)に作製し、可逆変位量および不可逆変位量を求めた場合には、変位量は1.3μmであり、不可逆変位量は0.7μm、可逆変位量は0.6μμmであった。
本発明の複合基材の熱膨張係数は、有機材料および無機複合材料の特性により熱膨張係数(CTE)が12ppmと非常に小さく、パターンスペーサの位置精度も良好であった。また、対向基板との貼り合せも、位置ズレを発生することなく表示装置を形成することができた。
<比較例1>
PETフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にカラーフィルタを形成した。この場合、微小硬度計を用いてカラーフィルタ上に形成されたパターンスペーサを測定した結果、パターンスペーサ面積144μm2(12μm×12μm)、高さ5.5μm、押し込み圧20mN/10sec、保持時間(クリープ時間)5秒において、変位量が3.0μmであり、不可逆変位量が0.5μm、可逆変位量が2.5μmであった。
また、PET基材100μm厚の硬度はビッカース硬度が53N/mm2であり、パターンスペーサのビッカース硬度が254N/mm2であった。
この場合、基材に無機材料が含有されておらず、基材の硬度が、パターンスペーサの硬度と比較して低いため、不可逆変位量が大きくなり、表示装置とした際にギャップムラが生じた。
また、PET基材の熱膨張係数は、60ppmであり、上記複合基材を用いた場合(実施例)と比較して、パターンスペーサの位置精度は劣り、対向基板とカラーフィルタとを貼りあわせる際、位置ズレが発生し、表示装置の表示不良が生じた。
2 …パターンスペーサ
3 …着色層
Claims (3)
- 有機材料および無機材料を含有する複合基材と、前記複合基材上にパターン状に形成されたパターンスペーサとを有するスペーサ付表示用基板であって、
上記複合基材は、ロール・ツー・ロール方式で生産できる程度に長尺であり、
前記パターンスペーサの硬度が、前記複合基材に含有される前記無機材料の硬度を1としたときに0.006〜0.1515の範囲内であることを特徴とするスペーサ付表示装置用基板。 - 前記有機材料が架橋性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のスペーサ付表示装置用基板。
- 請求項1または請求項2に記載のスペーサ付表示装置用基板の前記複合基材上に着色層が形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。
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