JP4774954B2 - スペーサ付表示装置用基板 - Google Patents
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Description
まず、本発明のスペーサ付表示装置用基板について説明する。本発明のスペーサ付表示装置用基板は、樹脂製基材と、上記樹脂製基材上の所定の位置に形成されたパターンスペーサとを有するスペーサ付表示装置用基板であって、上記パターンスペーサの垂直方向から上記スペーサ付表示装置用基板に荷重をかけた際の上記スペーサ付表示装置用基板の変位量が、上記パターンスペーサのみに上記荷重をかけた際の変位量より大きく、かつ上記スペーサ付表示装置用基板に上記荷重をかけた際の上記スペーサ付表示装置用基板の不可逆変位量が、上記パターンスペーサのみに上記荷重をかけた際の不可逆変位量より小さいことを特徴とするものである。
0〜0.9の範囲内、特に0〜0.7の範囲内とされていることが好ましい。これにより、フレキシブル性の高い表示装置に用いられた場合にも、セルギャップを安定して保つことが可能なスペーサ付表示装置用基板とすることができるからである。なお、上記変位量および不可逆変位量は、後述する樹脂製基材上に、後述するパターンスペーサを、断面積が144μm2(12μm×12μm)、高さが5.5μmとなるように形成し、このパターンスペーサ上面(樹脂製基材とパターンスペーサとが接している面と反対側の面)から、20mN/10secの押し込み圧をかけ、5秒間保持した場合の変位量、および上記荷重を除去した後の不可逆変位量を測定したものである。また上記値は、(株)フィッシャーインストルメンツ製フィッシャースコープH−100超微少硬度計を用いて測定される。またさらに、測定に用いられる針は、平面圧子タイプである。なお、上記断面積とは、樹脂製基材とパターンスペーサとの接触面積をいうこととする。
まず、本発明に用いられる樹脂製基材について説明する。本発明に用いられる樹脂製基材は、少なくとも樹脂を含有するものであり、かつ後述するパターンスペーサを形成可能なものであればその種類等は特に限定されるものではない。
次に、本発明に用いられるパターンスペーサについて説明する。本発明に用いられるパターンスペーサは、上記樹脂製基材上にパターン状に複数形成されるものである。
次に、本発明のスペーサ付表示装置用基板について説明する。本発明のスペーサ付表示装置用基板は、上記樹脂製基材およびパターンスペーサを有するものであれば特に限定されるものではなく、必要に応じて、例えば上記樹脂製基材とパターンスペーサとの間にガスバリア層やオーバーコート層等が形成されているものであってもよい。また、例えば上記樹脂製基材上にブラックマトリクス層等が形成されているものであってもよい。なお、このようなガスバリア層やオーバーコート層、ブラックマトリクス層等については、一般的な表示装置に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、上述したスペーサ付表示装置用基板の樹脂製基材上に着色層が形成されているものである。本発明のカラーフィルタは、例えば図3に示すように、樹脂製基材1と、その樹脂製基材1上に形成された着色層3と、上記樹脂製基材1上に形成されたパターンスペーサ2とを有するものである。なお、上記樹脂製基材1とパターンスペーサ2との間にブラックマトリクス4等が形成されていてもよい。また、例えば上記着色層を覆うように透明電極層が形成されており、上記パターンスペーサが上記透明電極層上に形成されているもの等であってもよい。
[樹脂製基材の形成]
多官能アクリレート樹脂をガラス繊維に含浸した後に紫外線硬化装置により連続的に硬化し、樹脂60重量%、ガラス繊維40重量%、幅30cm、長さ100m、厚さ100μmの樹脂製基材(1)を得た。この樹脂製基材(1)の30℃から150℃における線膨張係数は、18ppmであった。この樹脂製基材(1)のガラス転移温度をtanδmaxで評価したところ300℃以上であった。またこの樹脂製基材(1)の全光線透過率は90%であった。なお、線膨張係数はTMA(Thermal Mechanical Analyzer)を用いて30〜150℃の範囲を測定することにより得られた値である。ガラス転移温度はDMA(Dynamic Mechanical Analyzer)を用いて測定した。また全光線透過率はJIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)に従って測定した。
この樹脂製基材(1)を、スパッタロールコート装置に装填し、DCマグネトロンスパッタにより、酸素を反応性ガスに用いた反応性スパッタでSiをターゲットとして用いて、樹脂製基材(1)上に膜厚60nmのSiOx(x=1.8,XPSによる)の成膜を行って、これを第一のバリア層とした。
上記で形成した第一のバリア層に、ロール巻き出し装置、マイクログラビアコーター、乾燥炉、UV照射装置、ロール巻取り装置を備える連続塗工機にて、エポキシアクリレートプレポリマー100重量部、ジエチレングリコール200重量部、酢酸エチル100重量部、ベンゼンエチルエーテル2重量部、およびシランカップリング剤1重量部の均一混合溶液を、連続塗工機のマイクログラビアコーターで塗布し、120℃の乾燥ゾーンを通過させた後、紫外線を照射して、5μmの厚さのオーバーコート層を形成した。
オーバーコート層を形成した樹脂製基材(1)を、リワインダーで巻き返し、つづいて、このオーバーコート層と反対面に第二のバリア層を成膜するために、スパッタロールコート装置に装填し、DCマグネトロンスパッタにより、酸素を反応性ガスに用いた反応性スパッタでSiをターゲットとして用いて、第一のバリア層の対面に膜厚60nmのSiOx(x=1.8,XPSによる)の成膜を行って、これを第二のバリア層とした。
上記のように第二のバリア層まで形成した樹脂製基材(1)をJIS K 7129Bに規定される測定法に基づき40℃90%RH時の水蒸気透過率を測定したところ、0.01g/(m2・24hr)以下であった。
上記の第一および第二のバリア層を成膜した樹脂製基材の第二のバリア層上に、下記の組成のブラックマトリックス形成用組成物を、ウェット状態で厚み;10μmになるようダイコーターを用いて塗布し、乾燥後、温度;90℃の条件で2分間プリベークして2μmの厚みのブラックマトリックス層を形成した。
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比=73/27) 150部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 80部
・カーボンブラック分散液 150部
・光重合開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1) 2.5部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 600部
※部数はいずれも質量基準
露光装置の本体の温度は23℃±0.1℃になるよう、また、相対湿度は60%±1%になるよう、それぞれ調整した。
その後、ベーク炉にて200℃、30分のポストベークを行いブラックマトリックスを熱キュアした。得られたブラックマトリックスを、前記同条件(温度;23℃±0.1℃、相対湿度;60%±1%)で測定したところ、樹脂製基材上に形成されたパターンの寸法は、MD:99.998mm、TD:100.001mmであった。
前記ブラックマトリックスが形成された樹脂製基材の上に、下記の組成の着色パターン形成用組成物を、ウェット状態で厚み;10μmになるようダイコーターを用いて塗布し、乾燥後、温度;90℃の条件で2分間プリベークして2μmの厚みの着色パターン形成用組成物付き樹脂製基材を得た。
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比=73/27) 50部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 40部
・赤色顔料(C.I.Pigment Red 177) 90部
・光重合開始剤(2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン−1) 1.5部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 600部
※部数はいずれも質量基準
露光装置の本体の温度は23℃±0.1℃になるよう、また、相対湿度は60%±1%になるよう、それぞれ調整した。
着色パターン形成用組成物付き樹脂製基材を露光台上に吸着固定した後、着色パターン形成用組成物付き樹脂製基材の塗膜表面とパターン(フォトマスク)との間隔(ギャップ)が100μmになるよう自動調整した。また着色パターン形成用組成物付き樹脂製基材の露光位置は、着色パターン形成用組成物付き樹脂製基材の端面からの距離を自動検出して、着色パターン形成用組成物付き樹脂製基材からフォトマスクパターン位置が一定距離になるよう自動調整後、前記ブラックマトリックス形成時に同時形成したアライメントマークを用いてRED用フォトマスクとアライメントを行った後、露光を行った。光源としては、高圧水銀ランプを用いて、露光エリアを200mm×200mmとして、I線(波長;365nm)を用い、15mw/cm2の照度で20秒間露光し、100mJ/cm2の露光量とした。
続いて、このカラーフィルタをスパッタロールコート装置に装填し、DCスパッタにより酸素を反応ガスに用いた反応性スパッタでITO(indium tin oxide)をターゲットとして用い、ブラックマトリックスおよびRGBの着色層上に膜厚150nmのITOの成膜を行い、これをITO電極層とした。
(ドライフィルムの準備)
パターンスペーサ形成用のドライフィルムとして、厚み;25μmのPETベースフィルム上に、ネガ型感光性樹脂からなるパターンスペーサ形成用組成物を、ウェット状態で厚み;20μmになるようダイコーターを用いて塗布し、乾燥後、温度;90℃の条件で2分間プリベークして5μmの厚みとした。その後、その上に、厚み25μmのPETカバーフィルムをラミネートし、パターンスペーサ形成用ドライフィルムとした。
上記で得られたブラックマトリックス、RGB着色層、およびITO電極層が形成された樹脂製基材の上に、カバーフィルムを予め剥離したパターンスペーサ形成用ドライフィルムをパターンスペーサ形成用組成物がITO電極層と向かい合うように積層して、パターンスペーサ形成用組成物層を、ローラ圧;5kg/cm2、ローラ表面温度;120℃、および速度;800mm/minの条件にて、連続的に転写した。この際、ベースフィルムは剥離せず、パターンスペーサ形成用組成物上に付いた状態で次の露光工程へと進めた。
上流側に巻き出し装置、下流側に巻き取り装置を備えた露光装置に、上記で得られた積層原反を通し、露光装置の入口側および出口側に設置されたニップローラ対を駆動して、連続状の積層原反を搬送した。この搬送状態において、積層原反にかかるテンションは、2kg/300mm幅であった。
露光装置の本体の温度は23℃±0.1℃になるよう、また、相対湿度は60%±1%になるよう、それぞれ調整した。
積層原反を露光台上に吸着固定した後、積層原反のベースフィルムとパターン(フォトマスク)との間隔(ギャップ)を30μmになるよう自動調整した。また積層原反のパターンの露光位置は、積層原反の端面からの距離を自動検出して、この検出結果にしたがって積層原反からフォトマスクパターン位置が一定距離になるよう自動調整後、前記ブラックマトリックス形成時に同時形成したアライメントマークを用いてパターンスペーサ用フォトマスクとアライメントを行った後、露光を行った。光源としては、高圧水銀ランプを用いて、露光エリアを200mm×200mmとして、I線(波長;365nm)を用い、15mW/cm2の照度で20秒間露光し、300mJ/cm2の露光量とした。
現像処理は、露光機の下流側に現像装置を設置し、この現像装置内で露光後の積層原反のベースフィルムを剥離しながら、400mm/minの一定速度で搬送しながら行って、前記ブラックマトリックス、RGB着色層、およびITO電極層が形成された樹脂製基材のブラックマトリックスの格子パターン部の所定位置にパターンスペーサが形成されたカラーフィルタを得た。その後、ベーク炉にて200℃、30分のポストベーク処理を行って、パターンスペーサを熱キュアした。
微小硬度計を用いて前記スペーサ付表示装置用基板の変位量および不可逆変位量を測定した結果、パターンスペーサ面積144μm2(12μm×12μm)、高さ5.5μm、押し込み圧20mN/10sec、保持時間(クリープ時間)5秒において、変位量は1.8μmであり、不可逆変位量は、0.3μm、可逆変位量は1.5μmであった。
なお上記パターンスペーサを同条件によりガラス基板上(NHテクノグラス社製 NA35 0.7mm厚)に作製し、可逆変位量および不可逆変位量を求めた場合には、変位量は1.3μmであり、不可逆変位量は0.7μm、可逆変位量は0.6μμmであった。
したがって、上記スペーサ付液晶表示装置用基板の変位量は、パターンスペーサのみの変位量より大きく、また不可逆変位量は、パターンスペーサのみの不可逆変位量より小さいものであった。
本発明の樹脂製基材の熱膨張係数は、樹脂および無機材料の特性により熱膨張係数(CTE)が12ppmと非常に小さく、パターンスペーサの位置精度も良好であった。また、対向基板との貼り合せも、位置ズレを発生することなく表示装置を形成することができた。
ガラス基板(NHテクノグラス社製 NA35 0.7mm厚)を用いた以外は、実施例と同様に、スペーサ付表示装置用基板を作製した。微小硬度計を用いて上記スペーサ付表示装置用基板の変位量および不可逆変位量を測定した結果、パターンスペーサ面積144μm2(12μm×12μm)、高さ5.5μm、押し込み圧20mN/10sec、保持時間(クリープ時間)5秒において、変位量は1.3μmであり、不可逆変位量は、0.7μm、可逆変位量は0.6μmであった。
なお上記パターンスペーサを同条件によりガラス基板上(NHテクノグラス社製 NA35 0.7mm厚)に作製し、可逆変位量および不可逆変位量を求めた場合には、変位量は1.3μmであり、不可逆変位量は0.7μm、可逆変位量は0.6μmであった。
また上記ガラス基板の100μ厚のビッカース硬度は3790N/mm2であった。またパターンスペーサのビッカース硬度は254N/mm2であった。
2 …パターンスペーサ
3 …着色層
Claims (9)
- 樹脂製基材と、前記樹脂製基材上の所定の位置に形成されたパターンスペーサとを有するスペーサ付表示装置用基板であって、
前記パターンスペーサの垂直方向から前記スペーサ付表示装置用基板に荷重をかけた際の前記スペーサ付表示装置用基板の変位量が、前記パターンスペーサのみに前記荷重をかけた際の変位量より大きく、かつ前記スペーサ付表示装置用基板に前記荷重をかけた際の前記スペーサ付表示装置用基板の不可逆変位量が、前記パターンスペーサのみに前記荷重をかけた際の不可逆変位量より小さいことを特徴とするスペーサ付表示装置基板。 - 前記樹脂製基材の硬度を1としたときに、前記パターンスペーサの硬度が0.07〜20の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のスペーサ付表示装置用基板。
- 前記樹脂製基材の硬度が50N/mm2〜1000N/mm2の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載のスペーサ付表示装置用基板。
- (前記スペーサ付表示装置用基板の前記不可逆変位量/前記スペーサ付表示装置用基板の前記変位量)が0〜0.5の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のスペーサ付表示装置用基板。
- 前記パターンスペーサの前記樹脂製基材との接触面の面積が25μm2〜10000μm2の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のスペーサ付表示装置用基板。
- 500μm×500μmのエリア内に形成されている前記パターンスペーサの前記樹脂製基材との接触面の面積の合計が、25μm2〜60000μm2の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のスペーサ付表示装置用基板。
- 前記樹脂製基材が長尺であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のスペーサ付表示装置用基板。
- 前記樹脂製基材が、架橋性樹脂と無機材料とを含有することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載のスペーサ付表示装置用基板。
- 請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載のスペーサ付表示装置用基板の前記樹脂製基材上に着色層が形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。
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