JP4901162B2 - 流体軸受装置及びこれを備えたモータ - Google Patents

流体軸受装置及びこれを備えたモータ Download PDF

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Description

本発明は、流体軸受装置用ハウジングに関するものである。このハウジングを有する流体軸受装置は、情報機器、例えばHDD、FDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置などのスピンドルモータ用、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイール、あるいは電気機器、例えば軸流ファンなどの小型モータ用の軸受装置として好適である。
上記各種モータには、高回転精度の他、高速化、低コスト化、低騒音化などが求められている。これらの要求性能を決定づける構成要素の一つに当該モータのスピンドルを支持する軸受があり、近年では、この種の軸受として、上記要求性能に優れた特性を有する流体軸受の使用が検討され、あるいは実際に使用されている。
この種の流体軸受は、軸受隙間内の潤滑流体に動圧を発生させるための動圧発生部を備えた動圧軸受と、動圧発生部を備えていない、いわゆる真円軸受(軸受断面が真円形状である軸受)とに大別される。
上記流体軸受装置は、ハウジングや軸受スリーブ、軸部材などの部品で構成され、情報機器の益々の高性能化に伴って必要とされる高い回転性能を確保すべく、各部品の寸法精度や組立て精度を高める努力がなされている。その一方で、情報機器の低価格化の傾向に伴い、この種の流体軸受装置に対するコスト低減の要求も益々厳しくなっている。これらの要求を受けて、最近では、特許文献1に開示されているように、流体軸受装置の構成部品であるハウジングを樹脂材料で成形するものもある。
特開2003−314534号公報
上記のような樹脂製のハウジングの内周に、軸受スリーブやシール部材などの他部材を固定する方法は、固定力や仮位置決めを考慮すると、圧入、圧入接着(接着剤介在の下での圧入)などの圧入力を伴う方法が好ましい。しかし、樹脂製のハウジングは、金属製のものと比べ耐クリープ特性に劣るため、他部材との圧入力、すなわち固定力は経時的な低下が大きい。よって、軸受装置に落下衝撃等の過大荷重が加わった際、他部材とハウジングとの固定位置がずれ、軸受性能の低下などの不具合を招く恐れがある。
そこで、本発明は、他部材との固定力の経時的な低下が抑えられ、長期間に渡り高い軸受性能が保たれる樹脂製のハウジングを有する流体軸受装置の提供を目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は、端部にフランジ部を有する軸と、内周に軸が挿入され、少なくとも軸方向一方を開口した樹脂製のハウジングと、ハウジングの内周面に圧入接着により固定され、軸方向他方側の端面が前記フランジ部の端面と軸方向に対向し、軸受隙間に面する金属製の他部材とを備え、ハウジングの内周面のうち、他部材が固定された領域よりも開口側の領域の内径が、他部材が固定された領域の内径以上である流体軸受装置であって、ハウジングを形成する樹脂組成物は、PPS、PEEK、あるいはLCPの何れかをベース樹脂とし、PAN系炭素繊維を10〜35vol%配合することにより、80℃の雰囲気温度で80MPaの面圧を168時間負荷した際の圧縮クリープ量を8%以下とし、これにより、樹脂のクリープにより樹脂製のハウジングと金属製の他部材との固定力が低下することを防止したものである。
本発明者らの検証によると、80℃の雰囲気温度で80MPaの面圧を168時間負荷した際の圧縮クリープ量が8%以下である樹脂組成物で形成されたハウジングは、長期間(例えば製品寿命相当期間)使用した後も、圧入力を伴って固定された他部材との十分な固定力を有することが判明した。よって、上記条件を満たす樹脂組成物でハウジングを形成すると、長期間に渡りハウジングと他部材との固定力が保証されるため、他部材との固定位置がずれることはなく、高い軸受性能が保たれる。
例えば、HDD等のディスク駆動装置のスピンドルモータに組み込まれる流体軸受装置において、ハウジングを樹脂化した場合、一般に樹脂は絶縁材料であるため、ディスクと空気との摩擦によって発生した静電気がディスクハブ等に帯電し、磁気ディスクと磁気ヘッド間の電位差を生じたり、静電気の放電によって周辺機器の損傷を招くおそれがある。ハウジングを形成する樹脂組成物の体積抵抗率を107Ω・cm以下に設定すると、ハウジングの通電性が確保されるため、静電気の帯電を防止できる。
結晶性樹脂は、耐摩耗性、耐油性、低アウトガス性、低吸水性、耐熱性に優れた特性を有するため、流体軸受装置用ハウジング用のベース樹脂として適している。中でも、ポリフェニレンサルファイド(PPS)は、安価に入手可能であり、かつ成形時の流動性(溶融粘度)にも優れた樹脂であるため、特に好ましい。
以上に述べた流体軸受装置は、ハウジングと軸受スリーブとの固定力の経時的な低下が抑えられ、長期間に渡り高い軸受性能が得られる。
上記の流体軸受装置と、ロータマグネットと、ステータコイルとを有するモータは、長期間に渡り使用可能である。
本発明では、流体軸受装置用ハウジングを優れた耐クリープ特性を有する樹脂組成物で形成するため、軸受スリーブ等の他部材との固定力の経時的な低下が抑えられる。よって、長期間使用しても、ハウジングと他部材との固定位置がずれることがなく、軸受剛性や軸受の回転性能の低下を防止できる。
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る流体軸受装置1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸2を備えた回転部材3を回転自在に非接触支持する流体軸受装置1と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、モータブラケット6とを備えている。ステータコイル4はモータブラケット(固定部材)6の外径側に取付けられ、ロータマグネット5は回転部材3の外周に取付けられている。流体軸受装置1のハウジング7は、モータブラケット6の内周に固定される。回転部材3には、図示は省略するが、磁気ディスク等のディスク状情報記録媒体(以下、単にディスクという。)が一又は複数枚保持される。このように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間に発生する電磁力でロータマグネット5が回転し、これに伴って、回転部材3および回転部材3に保持されたディスクが軸2と一体に回転する。
図2は、流体軸受装置1を示している。この流体軸受装置1は、ハウジング7と、ハウジング7に固定された軸受スリーブ8と、ハウジング7および軸受スリーブ8に対して相対回転する回転部材3とを主に備えている。なお、説明の便宜上、軸方向両端に形成されるハウジング7開口部のうち、蓋部材10で封口される側を下側、封口側と反対の側を上側として以下説明する。
回転部材3は、例えばハウジング7の開口側に配置されるハブ部9と、軸受スリーブ8の内周に挿入される軸2とを備えている。
ハブ部9は金属材料あるいは樹脂材料で形成され、ハウジング7の開口側(上側)を覆う円盤部9aと、円盤部9aの外周部から軸方向下方に延びた筒状部9bと、筒状部9bの外周に設けられたディスク搭載面9cおよび鍔部9dとで構成される。図示されていないディスクは、円盤部9aの外周に外嵌され、ディスク搭載面9cに載置される。そして、図示しない適当な保持手段(クランパなど)によってディスクがハブ部9に保持される。
軸2は、この実施形態ではハブ部9と一体に形成され、その下端に抜止めとしてフランジ部2bを別体に備えている。フランジ部2bは、金属製で、例えばねじ結合等の手段により軸2に固定される。
軸受スリーブ8は、例えば真ちゅう等の銅合金やアルミ合金などの金属材料で形成することができ、あるいは、焼結金属からなる多孔質体で形成することもできる。この実施形態では、銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。
軸受スリーブ8の内周面8aの全面又は一部円筒領域には、ラジアル動圧発生部として複数の動圧溝を配列した領域が形成される。この実施形態では、例えば図3に示すように、複数の動圧溝8a1、8a2をヘリングボーン形状に配列した領域が軸方向に離隔して2箇所形成される。この動圧溝形成領域はラジアル軸受面として、軸2の外周面2aと対向し、回転部材3の回転時には、軸2の外周面2aとの間に第1および第2ラジアル軸受部R1、R2のラジアル軸受隙間を形成する(図2を参照)。
軸受スリーブ8の下端面8cの全面または一部環状領域には、スラスト動圧発生部として、例えば図示は省略するが、複数の動圧溝をスパイラル形状に配列した領域が形成される。この動圧溝形成領域はスラスト軸受面として、フランジ部2bの上端面2b1と対向し、回転部材3の回転時には、前記上端面2b1との間に第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間を形成する(図2を参照)。
ハウジング7は、樹脂材料で円筒状に形成される。この実施形態では、ハウジング7は、その軸方向両端を開口した形状をなし、その下端側を蓋部材10で封口している。上端面の全面または一部環状領域には、スラスト軸受面7aが設けられる。この実施形態では、スラスト軸受面7aに、スラスト動圧発生部として、例えば図4に示すように複数の動圧溝7a1をスパイラル形状に配列した領域が形成される。このスラスト軸受面7a(動圧溝7a1形成領域)は、ハブ部9の円盤部9aの下端面9a1と対向し、回転部材3の回転時には、前記下端面9a1との間に後述する第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間を形成する(図2を参照)。
ハウジング7の他端側を封口する蓋部材10は、金属材料あるいは樹脂材料で形成され、ハウジング7の他端内周側に設けられた段部7bに固定される。ここで、固定手段は特に限定されず、例えば接着(ルーズ接着、圧入接着を含む)、圧入、溶着(例えば超音波溶着)、溶接(例えばレーザ溶接)などの手段を、材料の組み合わせや要求される組付け強度、密封性などに合わせて適宜選択することができる。
ハウジング7の内周面7cには、軸受スリーブ8の外周面8bが、圧入、圧入接着等の圧入力を伴う方法で固定される。
ハウジング7の外周には、上方に向かって漸次拡径するテーパ状のシール面7dが形成される。このテーパ状のシール面7dは、筒状部9bの内周面9b1との間に、ハウジング7の封口側(下方)から開口側(上方)に向けて半径方向寸法が漸次縮小した環状のシール空間Sを形成する。このシール空間Sは、軸2およびハブ部9の回転時、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間の外径側と連通している。
また、ハウジング7の外周の下端には接着固定面7eが形成される。接着固定面7eは、この実施形態では径一定の円筒状をなし、モータブラケット6の内周面6aに、接着、圧入接着等の手段により固定される。これにより、流体軸受装置1がモータに組み込まれる。
流体軸受装置1の内部には潤滑油が充填され、潤滑油の油面は常にシール空間S内に維持される。潤滑油としては、種々のものが使用可能であるが、特にHDD等のディスク駆動装置用の流体軸受装置に提供される潤滑油には、低蒸発率及び低粘度性が要求され、例えばジオクチルセバケート(DOS)、ジオクチルアゼレート(DOZ)等のエステル系潤滑油が好適である。
上述のように、樹脂材料で形成されたハウジング7の内周面7cには、軸受スリーブ8の外周面8bが圧入力を伴って固定される。この圧入力は、樹脂のクリープ特性により経時的に低下する。ハウジング7を形成する樹脂組成物の耐クリープ特性が悪いと、圧入力、すなわちハウジング7と軸受スリーブ8との固定力の経時的な低下が大きくなる。ハウジング7を形成する樹脂組成物として、80℃の雰囲気温度で80MPaの面圧を168時間負荷した際の圧縮クリープ量が8%以下であるものを選定すると、長期間(例えば製品寿命相当期間)使用した後も、軸受スリーブ8との十分な固定力を有するハウジング7が得られる。
ハウジング7が優れた耐クリープ特性を有すると、軸受スリーブ8との固定力に限らず、例えば、蓋部材10やモータブラケット6がハウジング7と圧入力を伴って固定される場合にも、固定力の経時的な低下を抑えることができる。
また、ハウジング7の上端面にあるスラスト軸受面7aは、ハブ部9の円盤部9aの下端面9a1とスラスト軸受隙間を介して対向するため、モータの起動、停止時などには、これら軸受隙間を介して対向する面同士の接触摺動による摺動面の摩耗は避けられない。特に動圧溝が形成されている部分は、動圧溝の溝深さは10μm以内と微小であるため、摩耗が進行すると軸受の支持力が発生しなくなるおそれがある。よって、ハウジング7には高い耐摩耗性を有する樹脂材料を選定する必要がある。
また、ハウジング7の樹脂材料には、潤滑油に対する耐油性が要求され、この他にも、使用時のアウトガス発生量や吸水量を低く抑えることが必要となる。また、使用雰囲気下での温度変化を考慮して、高い耐熱性も要求される。
ハウジング7を形成する樹脂組成物のベース樹脂として、結晶性樹脂(PPS、LCP、PEEKなど)であれば、上記条件(耐摩耗性、耐油性、低アウトガス性、低吸水性、耐熱性)を満たす。中でもPPSは、他の結晶性樹脂に比べて安価に入手可能であり、かつ成形時の流動性(溶融粘度)にも優れた樹脂であるため、ハウジング7用のベース樹脂として特に適している。
ところで、ポリフェニレンサルファイド(PPS)は一般的に硫化ナトリウムとパラジクロロベンゼンの重縮合反応により製造されるが、同時に副生成物である塩化ナトリウムを含む。そのため、適当な溶媒を用いてポリフェニレンサルファイド(PPS)を洗浄する必要がある。洗浄するための溶媒としては、少なくとも10以上の比誘電率を有するものであればよく、好ましくは20以上、より好ましくは50以上のものであればなおよい。さらに環境面も考慮すると、例えば水(比誘電率約80)が好ましく、特に超純水が好ましい。このような溶媒で洗浄を行うことにより、主にポリフェニレンサルファイド(PPS)末端基のNaが取り除かれるため、ポリフェニレンサルファイド(PPS)中のNa含有量を低減(例えば、2000ppm以下)させることができ、ハウジング7を形成する樹脂材料として使用可能となる。また、末端基のNaを取り除くことで結晶化速度が速まるメリットも有する。
PPSは、その構造によって、架橋型PPSと、セミリニア型PPSと、リニア型PPSとに大別される。何れのPPSであっても、Na含有量が2000ppm以下のもの、より好ましくは1000ppm以下のもの、さらに好ましくは500ppm以下のものであればハブ部9用の樹脂組成物のベース樹脂として使用可能であるが、中でもリニア型PPSはこの条件を満たすものが多い。この条件を満たす樹脂組成物を使用することで、潤滑油中へのNaイオン溶出量を抑え、流体軸受装置1や、回転部材3に保持されたディスク、あるいはディスクヘッド(図示省略)表面にNaが析出するのをより確実に防止できる。
上記の樹脂材料には、充填材として炭素繊維が配合可能である。これによれば、ハウジング7の高強度化が図られると共に、ハウジング7の温度変化に伴う寸法変化を抑えて高い寸法安定性を得ることができる。この結果、使用時におけるスラスト軸受隙間を高精度に制御することが可能となる。また、炭素繊維をベース樹脂に配合することで炭素繊維の持つ高い導電性が発現され、ハウジング7に充分な導電性(例えば体積抵抗で106Ω・cm以下)を付与することができる。これにより、使用時にディスクに帯電する静電気を回転部材3およびハウジング7(さらに軸受スリーブ8を経由する場合もある)を介して接地側部材(モータブラケット6など)に逃がすことができる。
炭素繊維には、例えばPAN系やPich系、気相合成系など種々のものが使用可能であるが、補強効果の観点から、比較的高い引張強度(好ましくは3000MPa以上)を有するものが好ましく、特に高い導電性を併せ持つものとしては、PAN系炭素繊維が好ましい。
このPAN系炭素繊維としては、以下の寸法範囲のものを使用することができる。
(1)溶融樹脂を混練して射出成形する際には、炭素繊維が裁断されて短繊維化する。短繊維化が進行すると、強度や導電性等の低下が顕著となり、これらの要求特性を満足することが難しくなる。従って、樹脂に配合する炭素繊維としては、成形時の繊維の折れを見込んで長めの繊維を使用することが好ましく、具体的には平均繊維長100μm以上(より好ましくは1mm以上)の炭素繊維を使用するのが望ましい。
(2)その一方、射出成形工程においては、金型内で硬化した樹脂を取り出し、これを再度溶融させ、バージン樹脂組成物と混練して再使用(リサイクル使用)する場合がある。この場合、一部の繊維は繰返しリサイクルされることになるので、樹脂中の当初の繊維長が長すぎる場合には、リサイクルに伴う裁断により、繊維が当初の繊維長に比べて著しく短くなって、樹脂組成物の特性変化(溶融粘度の低下等)が顕著になる。特に溶融粘度の低下は、寸法精度に影響する重要な特性である。かかる特性変化を最小限に抑えるため、繊維長はある程度短い方が好ましく、具体的には平均繊維長を500μm以下(好ましくは300μm以下)とするのが望ましい。
以上に述べた炭素繊維の繊維長の選択は、実際の射出成形工程で如何なる経歴の樹脂組成物を使用するかによって定めることができる。例えばバージン樹脂組成物のみを使用する場合、あるいはリサイクル樹脂組成物を混合使用する場合で、かつバージン樹脂組成物の比率が多い場合には、強度や導電性等の低下を抑制する観点から、また、炭素繊維の配合量を低減できることから、上記(1)で述べた寸法範囲の炭素繊維を使用するのが好ましく、反対にリサイクル樹脂組成物の使用比率が多い場合には、リサイクルに伴う樹脂組成物の特性変化を抑制する観点から、上記(2)で述べた寸法範囲の炭素繊維を使用するのが望ましい。
なお、(1)および(2)の何れの炭素繊維でも、炭素繊維の繊維径が細いほど配合本数が増えるため、製品品質の均一化に有効であり、かつそのアスペクト比が大きいほど繊維補強による補強効果も高まる。従って、炭素繊維のアスペクト比は大きいほど望ましく、具体的には6.5以上のアスペクト比が好ましい。また、その平均繊維径は、作業性や入手性を考慮すると、5〜20μmが適当である。
上述の炭素繊維による補強効果や静電除去効果等を充分に発揮するため、炭素繊維のベース樹脂への充填量は10〜35vol%、より好ましくは15〜25vol%とするのがよい。これは、炭素繊維の充填量が10vol%未満だと、炭素繊維による補強効果や静電除去効果が充分に発揮されない他、他部材との摺動部分におけるハウジング7の耐摩耗性、特に摺動相手材の耐摩耗性が確保されず、充填量が35vol%を超えると、ハウジング7の成形性が低下し、高い寸法精度を得ることが困難になるためである。
上記ベース樹脂に炭素繊維を配合した樹脂組成物の溶融粘度は、キャビティー内を溶融樹脂で高精度に充填するため、樹脂の射出成形時の樹脂温度で、せん断速度1000s-1において500Pa・s以下に抑えるのがよい。従って、ベース樹脂の溶融粘度は、炭素繊維等の各種充填剤の充填による粘度増加を補償するためにも、上記条件下で300Pa・s以下であることが好ましい。
以上で述べたように、ハウジング7を上述の樹脂組成物で形成すれば、優れた耐クリープ特性に加え、高耐油性や低アウトガス性、成形時の高流動性、低吸水性、高耐熱性を備えたハウジング7を形成することができる。これにより、流体軸受装置1およびこの軸受装置を組込んだディスク駆動装置の長期間に渡る耐久性、信頼性を高めることができる。さらには、炭素繊維を用途に応じて適量配合することで、機械的強度、耐衝撃性、成形性、寸法安定性、静電除去性にも優れたハウジング7を得ることができる。
上記構成の流体軸受装置1において、軸2(回転部材3)の回転時、軸受スリーブ8の内周面8aのラジアル軸受面となる領域(上下2箇所の動圧溝8a1、8a2形成領域)は、軸2の外周面2aとラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸2の回転に伴い、上記ラジアル軸受隙間の潤滑油が動圧溝8a1、8a2の軸方向中心側に押し込まれ、その圧力が上昇する。このような動圧溝8a1、8a2の動圧作用によって、軸2をラジアル方向に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とがそれぞれ構成される。
これと同時に、ハウジング7のスラスト軸受面7a(動圧溝7a1形成領域)とこれに対向するハブ部9の円盤部9aの下端面9a1との間のスラスト軸受隙間、および軸受スリーブ8の下端面8c(動圧溝形成領域)とこれに対向するフランジ部2bの上端面2b1との間のスラスト軸受隙間に、動圧溝の動圧作用により潤滑油の油膜がそれぞれ形成される。そして、これら油膜の圧力によって、回転部材3をスラスト方向に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とがそれぞれ構成される。
本発明においては、軸受スリーブ8の内周面8aと軸2の外周面2aとの間の隙間(第1隙間)、軸受スリーブ8の下側端面8cとフランジ部2bの上側端面2b1との間の隙間(第2隙間)、軸受スリーブ8の上側端面8dとハブ部9の円盤部9aの下側端面9a1との間の隙間(第3隙間)、および循環溝8eがそれぞれ潤滑油で満たされる。この際、潤滑油を、各隙間(循環溝8eを含む)を順次通過するよう循環させれば、各隙間での圧力バランスの崩れを防止して負圧発生防止に努めることができる。図3では、かかる循環流の発生手段として、第1ラジアル軸受部R1の動圧発生部となる動圧溝8a1において、上側領域の軸方向寸法X1を下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくすることにより、上側領域と下側領域でのポンピング力の差を設けた構造を例示している。この場合、第1隙間→第2隙間→循環溝8e→第3隙間の順に潤滑油を循環させることが可能となる。潤滑油の循環方向はこれとは逆でもよく、また特に必要がなければ、あえて上下の領域で動圧溝にポンピング力差を与える必要もない。
以上、本発明の第1実施形態を説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
上記第1実施形態では、ハウジング7を形成する樹脂組成物として、1種類のベース樹脂(ポリフェニレンサルファイド)に炭素繊維を配合した場合を説明したが、本発明の効果を妨げるものでない限り、他の結晶性樹脂や非晶性樹脂、あるいはゴム成分等の有機物を付加してもよく、また、炭素繊維に加えて金属繊維やガラス繊維、ウィスカ等の無機物を付加しても構わない。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が耐油性に優れた離型剤として、カーボンブラックが導電化剤としてそれぞれ配合可能である。
また、上記第1実施形態では、ハウジング7の上端面に複数の動圧溝7a1を配列したスラスト軸受面7aを設けるとともに(スラスト軸受部T1)、軸受スリーブ8の下端面8cに複数の動圧溝を配列したスラスト軸受面を設けた場合を説明したが(スラスト軸受部T2)、本発明は、スラスト軸受部T1のみを設けた流体軸受装置にも同様に適用することができる。この場合、軸2は、フランジ部2bを有しないストレートな形状になる。したがって、ハウジング7は、蓋部材10を底部として一体に樹脂材料で形成することで、有底円筒形の形態にすることができる。また、軸2とハブ部9とは金属あるいは樹脂で一体成形できる他、軸2をハブ部9と別体に形成することもできる。この場合、軸2を金属製とし、この金属製の軸2をインサート部品としてハブ部9と一体に回転部材3を樹脂で型成形することもできる。
図5は、本発明の第2実施形態に係る流体軸受装置11を示している。この実施形態において、(回転部材)12は、その下端に一体または別体に設けられたフランジ部12bを備えている。また、ハウジング17は、円筒状の側部17aと、側部17aと別体構造をなし、側部17aの下端部に位置する底部17bとを備えている。ハウジング17の側部17aの上端部には内周側に突出したシール部13がハウジング17と一体に形成される。シール部13の内周面は、12の外周面との間にシール空間S'を形成する。ハウジング17の底部17bの上端面17b1には、図示は省略するが、例えば複数の動圧溝をスパイラル状に配列した領域が形成されるとともに、軸受スリーブ18の下端面18cにも、同様の形状に動圧溝を配列した領域が形成される。そして、軸受スリーブ18の下端面18cと12のフランジ部12bの上端面12b1との間に第1スラスト軸受部T11が形成され、ハウジング17の底部17bの上端面17b1とフランジ部12bの下端面12b2との間に第2スラスト軸受部T12が形成される。
この実施形態において、ハウジング17の側部17aは、シール部13と共に樹脂材料で形成される。そのため、ハウジング17の側部17aが上記第1実施形態と同様に、優れた耐クリープ特性を有する樹脂組成物で形成すれば、軸受スリーブ18との固定力が長期間に渡り保証される。また、ハウジング17の底部17bと側部17aとの固定が圧入力を伴うものであるときも、同様の効果が得られる。
図6は、本発明の第3実施形態に係る流体軸受装置21を示している。この実施形態において、シール部材23は、ハウジング27の側部27aと別体に形成され、ハウジング27の上端部内周に接着、圧入、あるいは溶着等の手段により固定される。また、ハウジング27の底部27bは、ハウジング27の側部27aと一体に樹脂材料で型成形され、有底円筒状の形態を成している。なお、これ以外の構成は、第2実施形態に準じるので説明を省略する。
この実施形態においても、ハウジング27に上記第1実施形態と同様に優れた耐クリープ特性を有する樹脂組成物で形成すれば、ハウジング27と軸受スリーブ28との固定力が長期間に渡り保証される。また、シール部材23とハウジング17との固定が圧入力を伴うものであるときも、同様の効果が得られる。
また、以上の実施形態(第1〜第3実施形態)では、ラジアル動圧発生部およびスラスト動圧発生部として、へリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ラジアル動圧発生部として、図示は省略するが、軸方向の溝を円周方向の複数箇所に形成した、いわゆるステップ状の動圧発生部、あるいは、円周方向に複数の円弧面を配列し、対向する軸2(あるいは12、22)の外周面2aとの間に、くさび状の径方向隙間(軸受隙間)を形成した、いわゆる多円弧軸受を採用してもよい。
あるいは、ラジアル軸受面となる軸受スリーブ8の内周面8aを、動圧発生部としての動圧溝や円弧面等を設けない真円状内周面とし、この内周面と対向する軸2の真円状外周面2aとで、いわゆる真円軸受を構成することができる。
また、スラスト動圧発生部を、複数の半径方向溝形状の動圧溝を円周方向所定間隔に設けた、いわゆるステップ軸受、あるいは波型軸受(ステップ型が波型になったもの)等で構成することもできる。
また、以上の実施形態では、固定体側にラジアル動圧発生部及びスラスト動圧発生部が形成される場合を説明したが、これら動圧発生部が形成される軸受面は固定体側に限らず、これらに対向する回転部材側に設けることもできる。
本発明の有用性を明らかにするため、組成の異なる複数の樹脂組成物の(A)耐クリープ特性の評価、および(B)導電性の評価を行った。樹脂材料の組成、及び配合比を図7に示す。
この評価試験の樹脂組成物に使用した原料を以下に示す。
(i)ベース樹脂種及び溶融粘度(測定温度、せん断速度、溶融粘度)
リニア型ポリフェニレンサルファイド(PPS):大日本インキ化学工業(株)製、グレード;LC−5G(310℃、103-1、280Pa・s)
架橋型PPS:大日本インキ化学工業(株)製、グレード;T−4(310℃、103-1、100Pa・s)
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK):ビクトレックス・エムシー(株)製、150P(380℃、103-1、120Pa・s)
液晶ポリマー(LCP):ポリプラスチックス(株)製、グレード;A950(310℃、103-1、40Pa・s)
66ナイロン(PA66):BASF(株)製、グレード;A3(280℃、103-1、100Pa・s)
(ii)充填剤
炭素繊維(PAN系):東邦テナックス(株)製、グレード;HM35−C6S、繊維径;7μm、平均繊維長;6mm、アスペクト比;857、引張り強さ;3240MPa
ガラス繊維:旭ファイバーグラス(株)製、グレード;CS03MA497、繊維径;13μm、平均繊維長;3mm、アスペクト比;230、引張り強さ;3450MPa
カーボンブラック:三菱化学(株)製、グレード;#3350B、粒子径;24nm
アルボレックス:四国化成工業(株)製、グレード;Y、主要構成要素;ホウ酸アルミニウム、平均径0.5〜1μm、平均繊維長;10〜30μm、アスペクト比;10〜60
(A)耐クリープ特性の評価方法を以下に示す。
(1)底部の下端面中央部にピンゲートが設けられた、上端開口のカップ状試験片(φ10mm(外径)×高さ15mm、側部厚さ1mm、底部厚さ2mm)を、図7に示す組成の材料で射出成形し、これを抜去力測定用の試験片とする。
(2)カップ状試験片の内周に、焼結金属製の軸受スリーブを圧入する。このときの軸受スリーブの外径寸法は、カップ状試験片との圧入代が0.2%となるように設定される。これを、雰囲気温度が130℃の恒温槽に投入し、5000h放置する。なお、この試験条件(130℃、5000h)は、一般的な使用雰囲気温度の上限・90℃と製品寿命・10年とから算出して設定されたものである。また、より実際の形態に近づけるために、圧入部に接着剤(例えば、嫌気性接着剤やエポキシ系接着剤)を介在させてもよい。ここでは、接着剤を使用しない方法で評価する。
(3)軸受スリーブの圧入直後に測定した軸受スリーブのカップ状試験片からの抜去力F0および、恒温層内で5000h放置後の軸受スリーブのカップ状試験片からの抜去力Fを、引張圧縮試験機で計測する。
(4)下記の数式に従って、各材料の抜去力低下率を計算し、この値に基づいて耐クリープ特性を評価する。
抜去力低下率:D(%)=((F0−F)/F0)×100
上式において、放置後の抜去力Fが0(N)となった場合、軸受スリーブの抜去力低下率Dは100%となる。合否判定基準は、抜去力低下率Dが90%以下なら合格(○)、90%を越えたら不合格(×)とした。
(B)各樹脂組成物の導電性は、体積抵抗率をJIS 7194による四探針法により測定し、その値に基づいて評価した。合否判定基準は、107Ω・cm以下を合格(○)、107Ω・cmを越えるものを不合格(×)とした。
以上の試験結果を図8に示す。なお、比較例2の樹脂組成物は、カップ状(ハウジング状)に成形不可なため、耐クリープ特性を不合格とした。また、比較例3の樹脂組成物は、導電性が基準値に満たないため、導電性が要求されるHDD等に使用する流体軸受装置用ハウジング用の素材としては不適だが、特に導電性が要求されない場合は使用可能なので、総合判定を△とした。
上記の方法で、樹脂組成物の耐クリープ特性および導電性を評価することにより、流体軸受装置用ハウジングを形成する樹脂組成物としての適性を判定できる。しかし、上記の耐クリープ特性の評価試験時間は5000時間と非常に長時間であるため、製品の開発段階でこのような試験を行うことは、現実的に極めて困難である。そこで、各樹脂組成物の圧縮クリープ量を測定し、その値と耐クリープ特性との関係を考察することで、より短時間で流体軸受装置用ハウジングを形成する樹脂組成物としての適性を判定できる。
図7に示す組成の樹脂組成物の圧縮クリープ量を以下に示す方法により測定した。測定結果を図8に示す。
(1)図7に示す組成の材料で射出成形し、上端面に直径2mmのピンゲートを備えたφ10mm×高さ2mmの円柱状試験片を製作する。ピンゲート除去後、#2000のエメリー紙にて両端面を研磨し、これを圧縮クリープ量測定用の試験片とする。
(2)予め使用する冶具一式を80℃に余熱しておく。十分に剛性のある、具体的には測定荷重を加えても変位が2μm以内である定盤上に円柱状試験片を置き、両面を表面粗さが0.05μmとなるよう研磨したφ20mm×高さ10mmのSS製円盤を円柱状試験片の上に置く。この状態で、1/100mmまで測定可能なダイヤルゲージを定盤に設置し、円柱状試験片の初期高さL0を測定する。
(3)雰囲気温度を80℃に保ったまま、試験片の面圧が所定の値(本試験では80MPa)となるように、SS製円盤上から荷重を加える。その状態で168h放置した後、ダイヤルゲージで荷重負荷後の円柱状試験片の高さL168を測定する。
(4)以上で求めたL0およびL168をもとに、下記の数式に従って圧縮クリープ量を求めた。
圧縮クリープ量:C(%)=100×(L0−L168)/L0
図9に、圧縮クリープ量Cと抜去力低下率Dとの関係を示す。図9より、圧縮クリープ量Cと抜去力低下率Dとの関係は、おおよそ線形性を示している。この線形性を鑑みて考察すると、圧縮クリープ量Cが8%以下であれば、抜去力低下率Dが確実に90%以下となる。よって、流体軸受装置用ハウジングを形成する樹脂組成物として必要である耐クリープ特性の評価は、上記条件(80℃の雰囲気温度で80MPaの面圧を168時間負荷)の下での圧縮クリープ量が8%以下であるかを測定することにより行うことができる。
本発明の第1実施形態に係る流体軸受装置1を組込んだスピンドルモータの断面図である。 流体軸受装置1の断面図である。 軸受スリーブ8の断面図である。 ハウジング7の上端面図である。 本発明の第2実施形態に係る流体軸受装置11の断面図である。 本発明の第3実施形態に係る流体軸受装置21の断面図である。 実施例、比較例の材料組成を示す図である。 実施例、比較例の試験結果を示す図である。 圧縮クリープCと抜去力低下率Dとの関係を示す図である。
符号の説明
1 流体軸受装置
2 軸
3 回転部材
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
6 モータブラケット
7 ハウジング
8 軸受スリーブ
9 ハブ部
10 蓋部材
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
S シール空間

Claims (4)

  1. 端部にフランジ部を有する軸と、内周に軸が挿入され、少なくとも軸方向一方を開口した樹脂製のハウジングと、ハウジングの内周面に圧入接着により固定され、軸方向他方側の端面が前記フランジ部の端面と軸方向に対向し、軸受隙間に面する金属製の他部材とを備え、ハウジングの内周面のうち、他部材が固定された領域よりも開口側の領域の内径が、他部材が固定された領域の内径以上である流体軸受装置であって、
    ハウジングを形成する樹脂組成物は、PPS、PEEK、あるいはLCPの何れかをベース樹脂とし、PAN系炭素繊維を10〜35vol%配合することにより、80℃の雰囲気温度で80MPaの面圧を168時間負荷した際の圧縮クリープ量を8%以下とし、これにより、樹脂のクリープにより樹脂製のハウジングと金属製の他部材との固定力が低下することを防止したものである流体軸受装置。
  2. 前記樹脂組成物の体積抵抗率が107Ω・cm以下である請求項1記載の流体軸受装置。
  3. 前記樹脂組成物が、ホウ酸アルミニウムを主要構成要素とした充填剤を含む請求項1又は2記載の流体軸受装置。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の流体軸受装置と、ロータマグネットと、ステータコイルとを有するモータ。
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