以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。まず、本実施形態のシステムにおいて入力デバイスとして使用される電子ペンの概要について説明する。
[電子ペン]
図1は電子ペンの使用形態を模式的に示す図であり、図2は電子ペンの構造を示す機能ブロック図である。図1に示すように、電子ペン10は、ドットパターンが印刷された専用ペーパー20と組み合わせて使用される。電子ペン10は、通常のインクペンと同様のペン先部17を備えており、利用者は通常のインクペンと同様に専用ペーパー20上に文字などを書くことになる。
図2に示すように、電子ペン10は、その内部にプロセッサ11、メモリ12、データ通信ユニット13、バッテリー14、LED15、カメラ16及び圧力センサ18を備える。また、電子ペン10は通常のインクペンと同様の構成要素としてインクカートリッジ(図示せず)などを有する。
電子ペン10は、ペン先部17により専用ペーパー20上に描かれたインクの軌跡をデータ化するのではなく、専用ペーパー20上で電子ペン10が移動した軌跡座標をデータ化する。LED15が専用ペーパー20上のペン先部17近傍を照明しつつ、カメラ16が専用ペーパー20に印刷されているドットパターンを読み取り、データ化する。つまり、電子ペン10は専用ペーパー20上で利用者が電子ペン10を移動させることにより生じるストロークを画像データ又はベクトルデータとして取得することができる。
圧力センサ18は、利用者が電子ペン10により専用ペーパー上に文字などを書く際にペン先部17に与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、プロセッサ11へ供給する。プロセッサ11は、圧力センサ18から与えられる筆圧データに基づいて、LED15及びカメラ16のスイッチオン/オフの切換を行う。即ち、利用者が電子ペン10で専用ペーパー20上に文字などを書くと、ペン先部17には筆圧がかかる。よって、所定値以上の筆圧が検出されたときに、利用者が記述を開始したと判定して、LED15及びカメラ16を作動する。
カメラ16は専用ペーパー20上のドットパターンを読み取り、そのパターンデータをプロセッサ11に供給する。プロセッサ11は、供給されたドットパターンから、専用ペーパー20上でのX,Y座標を算出する。
プロセッサ11は、利用者の記述が行われる間に、筆圧の配列データ及びX,Y座標データを取得し、タイムスタンプ(時間情報)と関連付けてメモリ12に記憶していく。よって、メモリ12内には利用者の記述内容に対応するデータが時系列で記憶されていく。メモリ12の容量は例えば1Mバイト程度とすることができる。
利用者により送信指示がなされるまでは、取得された全てのデータはメモリ12内に保持される。そして、利用者が送信指示を行うと、データ通信ユニット13により、電子ペン10と所定距離内にある端末装置25へメモリ12内のデータが送信される。基本的には、一度送信指示がなされると、電子ペン10はメモリ12内に記憶していた全てのデータを端末装置25へ送信するため、メモリ12内はクリアされる。よって、送信後にもう一度同じ情報を端末装置25へ送信したい場合には、利用者は専用ペーパー20上に再度記述を行う必要がある。なお、この場合、利用者は専用ペーパー20上にインクペンで書かれた文字などをなぞればよいことになる。
電子ペン10自体は、送信ボタンなどの機能ボタンを備えておらず、送信指示その他の指示は、利用者が専用ペーパー20上の所定位置に設けられた専用ボックスを電子ペン10でチェックすることにより実行される。専用ボックスの位置座標には、予め送信指示が対応付けられており、プロセッサ11は専用ボックスの位置座標を受信すると、データ通信ユニット13にメモリ12内のデータを供給し、端末装置25への送信を行わせる。なお、電子ペン10は、データの送信完了を電子ペンの振動により示すことができる。
バッテリー14は電子ペン10内の各要素に電源供給するためのものであり、例えば電子ペンのキャップ(図示せず)により電子ペン10自体の電源のオン/オフを行うことができる。
このように、電子ペン10は利用者が専用ペーパー20上に記述した文字などに対応する座標データ及び筆圧データを取得して近傍の端末装置25へ送信する機能を有するが、電子ペン10のペン先部17は通常のインクペンとなっているため、専用ペーパー20上に記述した内容はオリジナルの原本として残るという特徴がある。即ち、紙の原本に対して記述するのと同時に、その内容を座標データなどの形態でリアルタイムに電子化することができる。
なお、電子ペン10の標準機能によれば、電子ペン10により得られるデータは、原則として座標データ又はベクトルデータの形態であり、テキストデータではない。但し、電子ペン10は標準機能として、専用ペーパー20上に設けられた専用エリアに記述することにより、英数字に限りテキスト化する機能は備えている。
また、電子ペン10内には、ペン自体及びその所有者に関するプロパティ情報(ペン情報及びペン所有者情報)を保持することができ、アプリケーションから参照することができる。ペン情報としては、バッテリーレベル、ペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン、サブスクリプションプロバイダのIDなどを保持できる。また、ペン所有者情報としては、国籍、言語、タイムゾーン、emailアドレス、空きメモリ容量、名称、住所、ファックス/電話番号、携帯電話番号などを保持することができる。
なお、上記の例におけるデータ通信ユニット13では、Bluetooth(登録商標)の無線伝送、USBケーブルを使用した有線伝送、端子などの接触によるデータ伝送など、各種の方法によって電子ペン10から端末装置25へのデータ送信を行うことが考えられる。
次に、電子ペンにより利用者が記述した内容のX,Y座標データを取得する方法について説明する。前述のように専用ペーパー20には、所定のドットパターンが印刷されている。電子ペン10のカメラ16は、利用者が専用ペーパー20上に記述したインクの軌跡を読み取るのではなく、専用ペーパー20上のドットパターンを読み取る。実際、図1に示すように、LED15による照明エリア及びカメラ16の撮影エリア(照明エリア内に位置する)は、ペン先部17が専用ペーパー20に接触する位置とはずれている。
ドットパターンはカーボンを含む専用インキなどで印刷されており、カメラ16はその専用インキによるパターンのみを認識することができる。専用インキ以外のインキ(カーボンを含まない)により、専用ペーパー上に罫線や枠などを印刷しても、電子ペンはそれらを認識することはない。よって、専用ペーパーを利用して各種申込書などの帳票を作成する際は、専用インキ以外のインキで入力枠や罫線、注意書きなどを印刷する。
ドットパターンは、図3に例示するように、各ドットの位置がデータに対応付けされている。図3の例では、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右にシフトすることにより、0〜3の2ビット情報を表示した例である。このようにして表現された情報の組合せにより、専用ペーパー上の位置座標が決定される。図4(a)に例示するように、縦横2mmの範囲内に36個のドットが格子状に配置され、これらのドットにより示されるデータの配列(図4(b))が、その専用ペーパー上の位置座標と対応付けされている。よって、電子ペン10のカメラ16が図4(a)に示すようなドットパターンを撮影すると、プロセッサ11はカメラ16から入力されるドットパターンのデータに基づいて図4(b)に示すデータ配列を取得し、それに対応する専用ペーパー上の位置座標(即ち、そのドットパターンがその専用ペーパー上のどの位置にあるのか)をリアルタイムで算出する。なお、ドットパターンを認識する最小単位は2mm×2mmであり、カメラ16は毎秒100回程度の撮影を行う。
次に、専用ペーパーについて説明する。専用ペーパーの構造の一例を図5に示す。図示のように、専用ペーパー20は、台紙30上にドットパターン32が印刷され、その上に罫線などの図案34が印刷されている。台紙30は通常は紙であり、ドットパターン32は前述のようにカーボンを含んだ専用インキにより印刷される。また、通常のインキなどにより図案34が印刷される。ドットパターンと図案とは同時に印刷してもよいし、いずれかを先に印刷してもよい。
図案34の例を図6に示す。図6は、ある申込書36の例であり、複数の記入欄38や送信ボックス39が印刷されている。図6には明確に図示されておらず、詳細は後述するが、実際にはドットパターンが申込書36の全面に印刷されており、その上に記入欄38や送信ボックス39が通常のインキにより印刷されている。利用者は、ドットパターンを意識することなく、従来からある申込書と同様に、電子ペン10を使用して必要事項を申込書36の各記入欄38に記入すればよい。
専用ペーパー20上のエリアは大きく2種類のエリアに分けることができる。1つは記入エリアであり、電子ペン10による記述内容をそのまま情報として取り扱うエリアである。図6の例では複数の記入欄38がこれに該当する。もう1つは機能エレメントであり、対応するエリア内を電子ペン10でチェックした際に、予めそのエリアに対して定義されているアクション、指示などを実行するようになっている。図6の例における送信ボックス39がこれに該当する。
送信ボックス39は前述したように電子ペン10内に記憶されているデータを近傍の端末装置25へ送信するための指示を行う際に使用される。利用者が送信ボックス39内に電子ペン10でチェックを入れると、電子ペン10が送信ボックス内のドットパターンを読み取る。当該パターンは送信指示に対応付けられており、電子ペン10内のプロセッサ11はデータ通信ユニット13にメモリ12内の記憶データの送信命令を発する。
ドットパターンの割り当ては、通常、アプリケーション(用紙の種類)毎に行われる。即ち、ある申込書内のドットパターンは1枚の用紙の中で重複することはないが、同一の申込書には全て同じドットパターンが印刷されている。よって、利用者が電子ペン10で必要事項を入力すると、その入力事項がその申込書のどの項目に対するものであるかを、申込書上の座標データから特定することができる。
このように、ドットパターンを印刷した専用ペーパー上に所定の図案を印刷することにより、専用ペーパーを利用した各種申込書が作成できる。利用者は電子ペン10を使用して通常の要領で必要事項を記入すれば、その電子データが自動的に取得される。
上記の例では、ドットパターンは専用ペーパー上にカーボンを含むインキにより印刷されているが、プリンタ及びカーボンを含むインクを使用してドットパターンを通常の紙上にプリントすることも可能である。さらに、専用ペーパー上の図案も印刷ではなく、プリンタにより形成することも可能である。ドットパターンをプリンタにより紙上に形成する場合には、1枚1枚に異なるドットパターンを形成することが可能である。よって、形成されたドットパターンの違いにより、それらの用紙1枚1枚を識別し、区別することが可能となる。
なお、本明細書においては、「印刷」の語は、通常の印刷のみならず、プリンタによるプリントも含む概念とする。
次に、電子ペンにより取得したデータの送信処理について図2を参照して説明する。電子ペン10が取得したデータは、主として利用者が入力した事項のデータであるが、通常はそのデータの送信先であるサービスサーバがどこであるかの情報は含まれていない。その代わりに、その専用ペーパーに関するアプリケーションやサービスを特定する情報が専用ペーパー上のドットパターンに含まれており、利用者の入力作業中に専用ペーパーからその情報が取得されている。よって、電子ペン10から記入情報を受け取った端末装置25は、まず、問い合わせサーバ26に対して、その専用ペーパーに対して入力されたデータをどのサービスサーバ27へ送信すべきかの問い合わせを行う。問い合わせサーバ26は、専用ペーパー毎に、対応するサービスサーバの情報を有しており、端末装置25からの問い合わせに応じて、当該専用ペーパーに関するサービスなどを行うサービスサーバ27の情報(URLなど)を端末装置25へ回答する。それから、端末装置25は、電子ペンから取得した記入情報をそのサービスサーバ27へ送信することになる。ここで、記入情報は、ストロークデータのみならず、上述の時間情報及びプロパティ情報も含むこととしてもよい。
なお、上記の例では端末装置25、問い合わせサーバ26及びサービスサーバ27が別個に構成されているが、これらの幾つか又は全てを1つの装置として構成することも可能である。本実施形態において、後述するサーバは、問い合わせサーバ26及びサービスサーバ27を兼ねているものとする。
[第1実施形態]
(i)カード処理システム
次に、第1実施形態におけるカード処理システムについて説明する。図7にカード処理システム100の概略構成を示す。図7に示すカード処理システム100は、各利用者がそれぞれ所有する記入カード3aに電子ペン10を使用して記入を行うことで、容易に様々な処理を行うことができるものである。本実施形態では、記入カード3aを塾の受講証とし、カード処理システム100は、利用者(受講者)の通学状況の管理を行うものとする。なお、詳細は後述するが、記入カード3aは、上述のドットパターンが紙媒体ではなくプラスチックカードに印刷されたものである。
図7に示すように、カード処理システム100は、端末装置25及びサーバ5がネットワーク2を通じて接続されることにより構成される。ここで、ネットワーク2の1つの好適な例はインターネットである。また、端末装置25とは、記入カード3aに記入された記入情報を、電子ペン10から受信し、サーバ5へ送信する端末である。具体的に、端末装置25は、ネットワーク2を介したデータの授受が可能なPC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯電話等である。また、サーバ5は、端末装置25を介して電子ペン10から受信した記入情報に基づいて、利用者の通学状況の管理を行うための処理を実行するものであり、利用者データベース(以下、「DB」と呼ぶ。)6及び通学DB7に接続されている。
まず、本システムにおいて記入カード3aに記入された情報が処理される方法の概要を述べておく。図8(a)は、利用者が携帯する記入カード3aの例である。記入カード3aは、上述のドットパターンが印刷されたものであり、電子ペン10によってチェックマークが記入される複数の項目から構成されている。ここで、項目は、複数の記入カード3aに共通のドットパターンが印刷された共通項目と、各記入カード3aにそれぞれ個別のドットパターンが印刷された個別項目とを有している。各共通項目には、それぞれ処理が定義されている。また、個別項目のドットパターンに基づいて、各記入カード3aを識別することができる。本実施形態では、各記入カード3aを識別する情報を、各記入カード3aを所有する利用者を識別する利用者IDとする。
具体的に、図示のような記入カード3aにおいて、共通項目は、登校に関する処理が定義された登校項目41と、下校に関する処理が定義された下校項目42である。一方、個別項目は、スタート項目40である。スタート項目40に印刷されたドットパターン上の位置座標に基づいて、サーバ5は、利用者IDを特定することができる。
なお、記入カード3aは、上述の共通項目及び個別項目以外に、利用者ID及び生徒氏名欄が印刷されている。ここで、利用者IDとは、記入カード3aを所有する利用者を識別する情報であり、同一記入カード3a上のスタート項目40に印刷されたドットパターンから特定可能な利用者IDと同一である。生徒氏名欄とは、サインパネル加工がされており、記入カード3aを所有する利用者がサインペン等を使用して自身の氏名を記入する欄である。
また、記入カード3aは、上述の共通項目及び個別項目以外に、送信ボックス(以下、「送信項目」と呼ぶ。)39を有している。送信項目39は、電子ペン10が記入情報をサーバ5へ送信するトリガであり、上述の説明と同様であるため、便宜上説明は省略する。
利用者は、登校時に電子ペン10を使用し、図8(a)に示すような記入カード3a上で、スタート項目40、登校項目41、送信項目39の順に項目内にチェックマークを記入する。このとき、電子ペン10は、記入カード3aに記入された内容に対応するストロークデータを取得し、電子ペン10内のメモリ12に一時的に記憶した後、送信項目39にチェックマークが記入されたタイミングで、当該ストロークデータを端末装置25へ送信する。端末装置25は、電子ペン10からストロークデータを受信し、ネットワーク2を通じてサーバ5へ送信する。このようにして、サーバ5は、ストロークデータを、利用者が記入カード3aに対して記入した情報を示す記入情報として取得する。
そして、サーバ5は、記入カード3aにおいて各項目が設定されたドットパターン上の位置座標に基づいて、記入情報から各項目に記入された項目記入情報を抽出する。具体的に、サーバ5は、スタート項目40に記入された項目記入情報に含まれるドットパターン上の位置座標に基づいて、利用者IDを特定する。また、サーバ5は、登校項目41に記入された項目記入情報に基づいて、「利用者が登校した」と認識する。換言すると、登校項目41にチェックマークが記入されたことを認識することで、サーバ5は、「利用者が登校した」と判断する。さらに、サーバ5は、登校項目41に記入された項目記入情報に含まれる時間情報に基づいて、登校日時を特定する。換言すると、登校項目41にチェックマークが記入された日時を、登校日時と判断する。そして、サーバ5は、予め利用者IDに対応付けて記憶されたメールアドレスを送信先として、「利用者が登校した」旨を通知するメールを作成し、送信する。本実施形態において、利用者IDに対応付けて記憶されたメールアドレスとは、利用者の父兄のメールアドレスである。さらに、サーバ5は、利用者IDに対応付けて、登校日時及びメール送信の有無を通学情報として記憶し、管理
する。
このような登校日時の特定、メールの送信、通学情報の記憶といった処理(以下、「登校処理」と呼ぶ。)は、予め登校項目41に定義付けられている。つまり、サーバ5は、記入情報に基づいて、登録項目41にチェックマークが記入されたことを認識すると、それをトリガとして登校処理を行う。
また、利用者は、下校時に電子ペン10を使用し、図8(a)に示すような記入カード3a上で、スタート項目40、下校項目42、送信項目39の順に項目内にチェックマークを記入する。このとき、電子ペン10は、記入カード3aに記入された内容に対応するストロークデータを取得し、電子ペン10内のメモリ12に一時的に記憶した後、送信項目39にチェックマークが記入されたタイミングで、当該ストロークデータを端末装置25へ送信する。端末装置25は、電子ペン10からストロークデータを受信し、ネットワーク2を通じてサーバ5へ送信する。このようにして、サーバ5は、ストロークデータを、利用者が記入カード3aに対して記入した情報を示す記入情報として取得する。
そして、サーバ5は、記入カード3aにおいて各項目が設定されたドットパターン上の位置座標に基づいて、記入情報から各項目に記入された項目記入情報を抽出する。具体的に、サーバ5は、スタート項目40に記入された項目記入情報に含まれるドットパターン上の位置座標に基づいて、利用者IDを特定する。また、サーバ5は、下校項目42に記入された項目記入情報に基づいて、「利用者が下校した」と認識する。換言すると、下校項目42にチェックマークが記入されたことを認識することで、サーバ5は、「利用者が下校した」と判断する。さらに、サーバ5は、下校項目42に記入された項目記入情報に含まれる時間情報に基づいて、下校日時を特定する。換言すると、下校項目42にチェックマークが記入された日時を、下校日時と判断する。そして、サーバ5は、予め利用者IDに対応付けて記憶されたメールアドレスを送信先として、「利用者が下校した」旨を通知するメールを作成し、送信する。本実施形態において、利用者IDに対応付けて記憶されたメールアドレスとは、利用者の父兄のメールアドレスである。さらに、サーバ5は、利用者IDに対応付けて、下校日時及びメール送信の有無を通学情報として記憶し、管理する。
このような下校日時の特定、メールの送信、通学情報の記憶といった処理(以下、「下校処理」と呼ぶ。)は、予め下校項目42に定義付けられている。つまり、サーバ5は、記入情報に基づいて、下校項目42にチェックマークが記入されたことを認識すると、それをトリガとして下校処理を行う。
これによれば、記入カード3aの個別項目が各利用者を識別するID情報(利用者ID)を有するため、記入情報にIDが付与され、複数の記入情報を処理する場合であっても、個々を混同することなく処理することが可能となる。また、記入カード3aの共通項目への記入をトリガとして、様々な処理を行うことが可能となる。具体的に、サーバ5は、利用者が電子ペン10を使用して自身が携帯する記入カード3aにチェックマークを記入するだけで、通学状況を認識することができる。つまり、登校時刻や利用者IDの記入といった負担を利用者にかけることなく、容易に通学状況を認識することができる。さらに、この方法では、記入カード3a上の個別項目であるスタート項目40に印刷されたドットパターンに基づいて利用者IDを特定しているため、記入に使用する電子ペン10を各利用者にそれぞれ割り当てる必要はない。つまり、塾に置いてある電子ペン10を複数の利用者が共同で使用することができる。
また、父兄は、サーバ5からのメールによって登校時刻の連絡を受けることで、自宅にいても子供が塾に行っているか否かを確認することができる。さらに、サーバ5からのメールによって下校時刻の連絡を受けることで、最寄駅に迎えに行く時間を予測できたり、寄り道をしていないかを判断したりすることができる。
(ii)記入カード
次に、図9及び図10を参照して、記入カード3aの製造方法について詳しく説明する。図9は、個別ユーザエリア及び共通ユーザエリアを説明する図である。また、図10は、記入カード3aの製造工程を示す図である。
記入カード3a上には、各記入カードを識別するID情報を有する個別項目と、共通の処理機能を有する共通項目とが配置されている。ここで、個別項目に印刷されるドットパターンは、図9(a)に示すような個別ユーザエリア上で定義することにより、当該個別ユーザエリアから切り出されたものである。一方、共通項目に印刷されるドットパターンは、図9(b)に示すような共通ユーザエリア上で定義することにより、当該共通ユーザエリアから切り出されたものである。なお、個別ユーザエリアと共通ユーザエリアはそれぞれ異なるドットパターン上のエリアである。具体的に、個別ユーザエリアがエリア「99.9.99.0」から設定されている場合、共通ユーザエリアはエリア「99.9.99.1」以降から設定されることとなる。
通常、ID情報を有するカードは、共通絵柄を印刷して可変テキスト情報を熱転写プリンタ等で印字する方法、又は、白カードにフルカラーの昇華(溶融)転写型カードプリンタで印字する方法により製造される。しかし、記入カード3aを製造する場合、上記のような方法では、解像度の点から可変画像となるドットパターンの再現性に問題が生じる。
そこで、記入カード3aを製造する場合、図10に示すように、まず、記入カード3a上で表示するカード表示情報を、個別情報と共通情報に分割する。具体的に、個別情報とは、各記入カード3aでそれぞれ個別の情報であって、個別ユーザエリア定義により切り出されたものである。一方、共通情報とは、複数の記入カード3aで共通の情報であって、共通ユーザエリア定義により切り出されたものである。そして、製版工程で、共通情報を多面配置した上で、個別情報を1面ずつ流し込む形で配置することで製版情報を作成する。さらに、製版情報を転写シートにプルーフ出力することで、1枚ずつ異なる記入カード3aを製造する。つまり、このような工程を利用し、個別情報をユーザエリア定義したドットパターンとして配置することで、再現性に問題を生じることなく、個々の記入カード3aを特定することが可能なドットパターンを持つ記入カード3aを製造することができる。
上述の製造工程については、特開2003−191656号公報に詳しく説明されているため、便宜上詳細な説明は省略する。
なお、本実施形態では、記入カード3aを上述のような製造工程により製造されるプラスチックカードとして説明している。しかし、これに限定されるものではなく、各記入カード3aにそれぞれ個別のドットパターンが印刷され、各カードを識別するために使用される個別項目と、複数の記入カード3aに共通のドットパターンが印刷され、所定の処理が定義された共通項目とを有するカードであれば本発明を適用することができる。例えば、記入カード3aを、個別項目及び共通項目を有するラミネート加工されたパウチカードとすることも可能である。
(iii)サーバ
次に、サーバ5について詳しく説明する。図11は、カード処理システム100における、特にサーバ5の内部構成を示す。図示のように、サーバ5は、第1処理プログラム101、記入情報取得機能102、座標テーブル103、項目記入情報抽出機能104、利用者ID特定機能105、登校日時特定機能106、下校日時特定機能107、通学情報記憶機能108及びメール送信機能109から構成されている。なお、各機能は、サーバ5が有するCPUが予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
第1処理プログラム101は、記入カード3aに記入された情報に基づいて、利用者ID、登校日時及び下校日時を特定し、通学情報として通学DB7に記憶するプログラムである。また、第1処理プログラムは、特定した利用者ID及び利用者DB6に基づいてメールアドレスを特定し、登校日時及び下校日時を通知する旨のメールを当該メールアドレスに送信するプログラムである。
記入情報取得機能102は、第1処理プログラム101を実行することにより、利用者が電子ペン10を使用して記入カード3aに記入した記入情報を取得する機能である。
座標テーブル103は、図12に示すように、項目ID、項目名及び座標データから構成されている。項目IDは、記入カード3aを構成する各項目を識別するための情報である。具体的に、図8(b)に示すように、記入カード3a上のスタート項目40、登校項目41及び下校項目42には、それぞれ項目ID「K01」、「K02」及び「K03」が割り当てられている。項目名は、項目IDが示す項目の名称である。座標データは、各項目のドットパターン上の位置座標を示す情報である。なお、個別項目であるスタート項目40に対応する座標データは、個別ユーザエリアで利用者IDとして定義された全てのドットパターンの位置座標を示す情報を含むものとする。つまり、記入情報に基づいて座標テーブル103を参照した場合、サーバ5は、個別項目であるスタート項目40にチェックマークが記入されたことは認識できるが、利用者IDまでは特定することができない。利用者IDを特定するためには、記入情報に基づいて、後述する利用者DB6の座標データを参照する必要がある。このように、座標テーブル103は、項目IDをキーとして、各項目名称と、記入カード3a上における各項目のドットパターン上の位置座標とを記憶している。
項目記入情報抽出手段104は、記入情報取得機能102が取得した記入情報から、座標テーブル103に基づいて、各項目に記入された項目記入情報を抽出する機能である。
利用者ID特定機能105は、スタート項目40に記入された項目記入情報に基づいて、利用者DB6を参照することにより、電子ペン10による記入が行われた記入カード3aの所有者である利用者を識別する利用者IDを特定する機能である。
ここで、図13を参照し、利用者DB6について説明する。図13は、利用者DBのデータ構造を模式的に示す図である。図示のように、利用者DB6は、利用者ID、氏名、メールアドレス及び座標データから構成されている。利用者IDは、利用者を識別する情報である。氏名は、利用者IDが示す利用者の氏名である。メールアドレスとは、利用者の登校日時及び下校日時を通知するメールの送信先を示す情報である。座標データとは、個別項目であるスタート項目40に印刷され、利用者IDを特定することができるドットパターン上の位置座標である。このように、利用者DB6は、利用者IDをキーとして、利用者氏名と、メールアドレスと、利用者IDを特定するための座標データとを記憶している。つまり、利用者ID特定機能105は、スタート項目40に記入された項目記入情報に含まれるドットパターン上の位置座標と、利用者DB6の座標データとを比較することにより、利用者IDを特定することができる。
登校日時特定機能106は、登校項目41に記入された項目記入情報に含まれる時間情報に基づいて、登校日時を特定する機能である。
下校日時特定機能107は、下校項目42に記入された項目記入情報に含まれる時間情報に基づいて、下校日時を特定する機能である。
通学情報記憶機能108は、利用者ID特定機能105が特定した利用者IDに対応付けて、登校日時特定機能106が特定した登校日時と、下校日時特定機能が特定した下校日時とを、通学DB7に記憶する機能である。
ここで、図14を参照し、通学DB7について説明する。図14は、通学DB7のデータ構造を模式的に示す図である。図示のように、通学DB7は、利用者ID、日付、登校時刻、下校時刻、登校メール及び下校メールから構成されている。日付、登校時刻及び下校時刻は、それぞれ登校日時及び下校日時に含まれる情報である。登校メール及び下校メールは、後述するメール送信機能109が登校メール及び下校メールの送信を完了すると「マル(○)」が記憶される。このように、通学DB7は、利用者IDをキーとして、日付、登校時刻、下校時刻及びメール送信の有無を記憶することにより、利用者の通学状況を管理している。
メール送信機能109は、利用者ID特定機能105が特定した利用者IDに基づいて、通学DB7を参照することによりメールアドレスを特定する機能である。さらに、メール送信機能109は、登校日時特定機能106が特定した登校日時を通知する旨の登校メールを作成し、特定したメールアドレスに送信する機能である。また、メール送信機能109は、下校日時特定機能107が特定した下校日時を通知する旨の下校メールを作成し、特定したメールアドレスに送信する機能である。メール送信機能109は、登校メール又は下校メールの送信を完了すると、対応する通学DB7に完了を示す「マル(○)」を記憶する。
(iv)登校処理
次に、カード処理システム100により実行される登校処理について説明する。図15は、登校処理のフローチャートである。
まず、利用者は、登校時に電子ペン10を使用し、図8(a)に示すような記入カード3a上で、スタート項目40、登校項目41、送信項目39の順に項目内にチェックマークを記入する。このとき、電子ペン10は、記入カード3aに記入された内容に対応するストロークデータを取得し、電子ペン10内のメモリ12に一時的に記憶した後、送信項目39にチェックマークが記入されたタイミングで、当該ストロークデータを端末装置25へ送信する。端末装置25は、電子ペン10からストロークデータを受信し、ネットワーク2を通じてサーバ5へ送信する。このようにして、サーバ5は、ストロークデータを、利用者が記入カード3aに対して記入した情報を示す記入情報として取得する(ステップS1)。
そして、サーバ5は、座標テーブル103を参照することにより、記入情報から各項目に記入された項目記入情報を抽出する(ステップS2)。さらに、サーバ5は、スタート項目に記入された項目記入情報に基づいて、利用者DB6を参照することにより利用者IDを特定する(ステップS3)。また、サーバ5は、登校項目41に記入された項目記入情報に含まれる時間情報に基づいて、登校日時を特定する(ステップS4)。そして、サーバ5は、特定した利用者IDに基づいて、特定した登校日時を通学情報として通学DB7に記憶する(ステップS5)。
また、サーバ5は、特定した利用者IDに基づいて、利用者DB6からメールアドレスを抽出する(ステップS6)。さらに、サーバ5は、特定した登校日時を通知する旨の登校メールを作成する。そして、サーバ5は、作成した登校メールを、抽出したメールアドレスを送信先として送信する(ステップS7)。登校メールの送信が完了すると、サーバ5は、通学DB7の登校メール項目に完了を示す「マル(○)」を記憶する。これにより、登校処理は完了する。なお、下校処理は、登校処理と同様であるため、便宜上説明は省略する。
このように、本実施形態によれば、記入カード3aの個別項目が各利用者を識別するID情報(利用者ID)を有するため、記入情報にIDが付与され、複数の記入情報を処理する場合であっても、個々を混同することなく処理することが可能となる。
なお、本実施形態では、電子ペン10がチェックマークを認識することができればよいため、記入カード3aへの記入の際、電子ペン10にインクが入っていなくても構わない。
[第1変形例]
上記第1実施形態では、塾の通学状況の管理について説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、時間管理をする場所へのIN(開始)とOUT(終了)を表すものであって、そこから処理時間の計算結果を集計する事例に適用することができる。また、IN/OUTの関連したタイミングで、事前登録された送信先にメールで所定のメッセージを送る事例に適用することができる。
具体的に、本発明は、塾の通学状況の管理と同様に、派遣社員の通勤状況の管理等に適用することが可能である。
また、本発明は、時間課金をするような施設の利用状況の管理に適用することが可能である。時間課金をするような施設とは、例えば、スポーツクラブ、テニスコート、ゴルフ練習場、カラオケ、駐車場/駐輪場、英会話スクール等である。この場合、記入カード3aは、施設の利用カードとなる。また、この場合、事前登録された送信先にメールにより、「開始時刻の告知」や「終了までの残り時間の通知」等を行う。
また、本発明は、図書館による本の貸出やレンタルビデオ店によるDVD(Digital Video Disc)・ビデオの貸出の管理に適用することが可能である。この場合、記入カード3aは、図書館貸出カードやレンタル会員カードとなる。また、この場合、事前登録された送信先にメールにより、「貸出品及び貸出日時の確認通知」、「返却期日までの残り日数の通知」、「返却期限当日の通知」等を行う。
また、本発明は、セキュリティゾーンや管理区域への入退室の管理に適用することが可能である。セキュリティゾーンや管理区域とは、例えば、原子力発電所の放射線管理区域等である。この場合、記入カード3aは、入退室管理カードとなる。また、この場合、事前登録された送信先メールにより、「入室時刻と退室時刻の通知」や「退室予定時刻までの残り時間の通知」等を行う。
[第2実施形態]
(i)カード処理システム
次に、第2実施形態におけるカード処理システムについて説明する。図16にカード処理システム200の概略構成を示す。図16に示すカード処理システム200は、各利用者がそれぞれ所有する記入カード3b、及び、サービス提供者が使用する電子ペン用帳票4に電子ペン10を使用して記入を行うことで、ID情報を保有しない電子ペン用帳票4への記入情報にID情報を付与することができ、当該記入情報に基づいて様々な処理を行うことができるものである。本実施形態では、記入カード3bを化粧品会社の会員カードとし、カード処理システム200は、利用者(顧客)に対する販売状況の管理を行うものとする。なお、上記第1実施形態と同様に、記入カード3bは、上述のドットパターンが紙媒体ではなくプラスチックカードに印刷されたものである。
図16に示すように、カード処理システム200は、端末装置25及びサーバ5がネットワーク2を通じて接続されることにより構成される。ここで、ネットワーク2の1つの好適な例はインターネットである。また、端末装置25とは、記入カード3b及び電子ペン用帳票(以下、「シート」とも呼ぶ。)4に記入された記入情報を、電子ペン10から受信し、サーバ5へ送信する端末である。具体的に、端末装置25は、ネットワーク2を介したデータの授受が可能なPC、PDA、携帯電話等である。また、サーバ5は、端末装置25を介して電子ペン10から受信した記入情報に基づいて、利用者の販売状況の管理を行うための処理を実行するものであり、利用者DB8及び対応DB9に接続されている。
まず、本システムにおいて記入カード3b及びシート4に記入された情報が処理される方法の概要を述べておく。
図17(a)は、利用者が携帯する記入カード3bの例である。記入カード3bは、上述のドットパターンが印刷されたものであり、電子ペン10によってチェックマークが記入される複数のカード項目から構成されている。ここで、カード項目は、複数の記入カード3bに共通のドットパターンが印刷された共通項目と、各記入カード3bにそれぞれ個別のドットパターンが印刷された個別項目とを有している。各共通項目には、それぞれ処理及びシートが定義されている。また、個別項目のドットパターンに基づいて、各記入カード3bを識別することができる。本実施形態では、各記入カード3bを識別する情報を、各記入カード3bを所有する利用者を識別する利用者IDとする。
具体的に、図示のような記入カード3bにおいて、共通項目は、利用者に販売した商品に関する商品処理及び商品シートが定義された販売項目60と、利用者に提供した試供品に関する試供品処理及び試供品シートが定義された試供品項目61と、利用者へのカウンセリングに関するカウンセリング処理及びカウンセリングシートが定義されたカウンセリング項目62とである。シート4については後述する。本実施形態では、記入カード3bへの記入はサービス提供者である販売員によって行われる。このとき、販売状況を管理していることを利用者に意識させないため、記入カード3bには、図示のように項目名が記されていないものとする。一方、個別項目は、スタート項目40である。スタート項目40に印刷されたドットパターン上の位置座標に基づいて、サーバ5は、利用者IDを特定することができる。
なお、記入カード3bは、上述の共通項目及び個別項目以外に、利用者ID及びお名前欄が印刷されている。ここで、利用者IDとは、記入カードを所有する利用者を識別する情報であり、同一記入カード3b上のスタート項目40に印刷されたドットパターンから特定可能な利用者IDと同一である。お名前欄とは、サインパネル加工がされており、記入カード3bを所有する利用者がサインペン等を使用して自身の氏名を記入する欄である。
また、記入カード3bは、上述の共通項目及び個別項目以外に、送信項目39を有している。送信項目39は、電子ペン10が記入情報をサーバ5へ送信するトリガであり、上述の説明と同様であるため、便宜上説明は省略する。
また、商品シートや試供品シートは、複数の利用者に対して1枚ずつ使用する。つまり、複数の利用者に対する販売処理及び試供品処理において、1枚の商品シートや試供品シートを共有して使用する。一方、カウンセリングシートは、各利用者に対して1枚ずつ使用する。
図18(a)乃至(c)は、販売状況を管理する処理を行うために、記入カード3bと同時に使用されるシート4の例である。各シートは、上述のようなドットパターンが印刷された専用ペーパーであって、複数のシート項目から構成されている。具体的に、図18(a)に示す商品シートは、記入カード3b上の販売項目60に定義された販売処理において使用するシートであって、各商品に対応するシート項目から構成されている。また、図18(b)に示す試供品シートは、記入カード3b上の試供品項目61に定義された試供品処理において使用するシートであって、各試供品に対応するシート項目から構成されている。また、図18(c)に示すカウンセリングシートは、記入カード3b上のカウンセリング項目62に定義されたカウンセリング処理において使用するシートであって、利用者をカウンセリングした結果を記入するシート項目から構成されている。
サービス提供者(例えば、化粧品の販売員)は、まず、利用者に商品を販売した際に、当該利用者から会員カードである記入カード3bを受け取る。そして、サービス提供者は、電子ペン10を使用し、図17(a)に示すような記入カード3b上で、スタート項目40及び販売項目60の項目内にチェックマークを記入する。さらに、図18(a)に示す商品シートにおいて、利用者に販売した商品に対応するシート項目にチェックマークを記入する。そして、最後に、サービス提供者は、電子ペン10を使用して送信項目39にチェックマークを記入する。このとき、電子ペン10は、記入カード3b及び商品シートに記入された内容に対応するストロークデータを取得し、電子ペン10内のメモリ12に一時的に記憶した後、送信項目39にチェックマークが記入されたタイミングで、当該ストロークデータを端末装置25へ送信する。端末装置25は、電子ペン10からストロークデータを受信し、ネットワーク2を通じてサーバ5へ送信する。このようにして、サーバ5は、ストロークデータを、利用者が記入カード3b及び商品シートに対して記入した情報を示す記入情報として取得する。
そして、サーバ5は、記入カード3bにおいて各カード項目が設定されたドットパターン上の位置座標に基づいて、記入情報から各カード項目に記入されたカード項目記入情報を抽出する。このとき、サーバ5は、スタート項目40に記入されたカード項目記入情報に含まれるドットパターン上の位置座標に基づいて、利用者IDを特定する。また、サーバ5は、販売項目60に記入されたカード項目記入情報に基づいて、「利用者に商品を販売した」と認識する。換言すると、販売項目60にチェックマークが記入されたことを認識することで、サーバ5は、「利用者に商品を販売した」と判断し、利用者への対応として「販売」を特定する。また、サーバ5は、販売項目60に記入されたカード項目記入情報に含まれる時間情報に基づいて、販売日時を特定する。換言すると、販売項目60にチェックマークが記入された日時を、販売日時と判断する。さらに、サーバ5は、販売項目60に定義されたシート4として商品シートを特定する。そして、特定した商品シートにおいて各シート項目が設定されたドットパターン上の位置座標に基づいて、記入情報から各シート項目に記入されたシート項目記入情報を抽出する。このとき、サーバ5は、抽出したシート項目記入情報に基づいて、チェックマークが記入されたシート項目に対応する商品を特定する。これにより、サーバ5は、利用者に販売した商品を特定することができる。そして、サーバ5は、特定した利用者IDに基づいて、対応「販売」と、販売した商品に関する情報とを対応情報として対応DB9に記憶し、管理する。
このような、販売日時及び商品の特定、対応情報の記憶といった販売処理は、予め販売項目60に定義付けられている。つまり、サーバ5は、記入情報に基づいて、販売項目60にチェックマークが記入されたことを認識すると、それをトリガとして販売処理を行う。
また、サービス提供者は、利用者に対して試供品の提供をした際に、当該利用者から会員カードである記入カード3bを受け取る。そして、サービス提供者は、電子ペン10を使用し、図17(a)に示すような記入カード3b上で、スタート項目40及び試供品項目61の項目内にチェックマークを記入する。さらに、図18(b)に示す試供品シートにおいて、利用者に提供した試供品に対応するシート項目にチェックマークを記入する。そして、最後に、サービス提供者は、電子ペン10を使用して送信項目39にチェックマークを記入する。このとき、電子ペン10は、記入カード3b及び試供品シートに記入された内容に対応するストロークデータを取得し、電子ペン10内のメモリ12に一時的に記憶した後、送信項目39にチェックマークが記入されたタイミングで、当該ストロークデータを端末装置25へ送信する。端末装置25は、電子ペン10からストロークデータを受信し、ネットワーク2を通じてサーバ5へ送信する。このようにして、サーバ5は、ストロークデータを、利用者が記入カード3b及び試供品シートに対して記入した情報を示す記入情報として取得する。
そして、サーバ5は、記入カード3bにおいて各カード項目が設定されたドットパターン上の位置座標に基づいて、記入情報から各カード項目に記入されたカード項目記入情報を抽出する。このとき、サーバ5は、スタート項目40に記入されたカード項目記入情報に含まれるドットパターン上の位置座標に基づいて、利用者IDを特定する。また、サーバ5は、試供品項目61に記入されたカード項目記入情報に基づいて、「利用者に試供品を提供した」と認識する。換言すると、試供品項目61にチェックマークが記入されたことを認識することで、サーバ5は、「利用者に試供品を提供した」と判断し、利用者への対応として「試供品」を特定する。また、サーバ5は、試供品項目61に記入されたカード項目記入情報に含まれる時間情報に基づいて、試供品提供日時を特定する。換言すると、試供品項目61にチェックマークが記入された日時を、試供品提供日時と判断する。さらに、サーバ5は、試供品項目61に定義されたシート4として試供品シートを特定する。そして、特定した試供品シートにおいて各シート項目が設定されたドットパターン上の位置座標に基づいて、記入情報から各シート項目に記入されたシート項目記入情報を抽出する。このとき、サーバ5は、抽出したシート項目記入情報に基づいて、チェックマークが記入されたシート項目に対応する商品を特定する。これにより、サーバ5は、利用者に提供した試供品を特定することができる。そして、サーバ5は、特定した利用者IDに基づいて、対応「試供品」と、提供した試供品に関する情報とを対応情報として対応DB9に記憶し、管理する。
このような、試供品提供日時及び試供品の特定、対応情報の記憶といった試供品処理は、予め試供品項目61に定義付けられている。つまり、サーバ5は、記入情報に基づいて、試供品項目61にチェックマークが記入されたことを認識すると、それをトリガとして試供品処理を行う。
また、サービス提供者は、利用者に対してカウンセリングをした際に、当該利用者から会員カードである記入カード3bを受け取る。そして、サービス提供者は、電子ペン10を使用し、図17(a)に示すような記入カード3b上で、スタート項目40及びカウンセリング項目62の項目内にチェックマークを記入する。さらに、図18(c)に示すカウンセリングシートにおいて、対応するシート項目にカウンセリングの結果を記入する。そして、最後に、サービス提供者は、電子ペン10を使用して送信項目39にチェックマークを記入する。このとき、電子ペン10は、記入カード3b及びカウンセリングシートに記入された内容に対応するストロークデータを取得し、電子ペン10内のメモリ12に一時的に記憶した後、送信項目39にチェックマークが記入されたタイミングで、当該ストロークデータを端末装置25へ送信する。端末装置25は、電子ペン10からストロークデータを受信し、ネットワーク2を通じてサーバ5へ送信する。このようにして、サーバ5は、ストロークデータを、利用者が記入カード3b及びカウンセリングシートに対して記入した情報を示す記入情報として取得する。
そして、サーバ5は、記入カード3bにおいて各カード項目が設定されたドットパターン上の位置座標に基づいて、記入情報から各カード項目に記入されたカード項目記入情報を抽出する。このとき、サーバ5は、スタート項目40に記入されたカード項目記入情報に含まれるドットパターン上の位置座標に基づいて、利用者IDを特定する。また、サーバ5は、カウンセリング項目62に記入されたカード項目記入情報に基づいて、「利用者に対してカウンセリングを行った」と認識する。換言すると、カウンセリング項目62にチェックマークが記入されたことを認識することで、サーバ5は、「利用者に対してカウンセリングを行った」と判断し、利用者への対応として「カウンセリング」を特定する。また、サーバ5は、カウンセリング項目62に記入されたカード項目記入情報に含まれる時間情報に基づいて、カウンセリング日時を特定する。換言すると、カウンセリング項目62にチェックマークが記入された日時を、カウンセリング日時と判断する。さらに、サーバ5は、カウンセリング項目62に定義されたシート4としてカウンセリングシートを特定する。そして、特定したカウンセリングシートにおいて各シート項目が設定されたドットパターン上の位置座標に基づいて、記入情報から各シート項目に記入されたシート項目記入情報を抽出する。このとき、サーバ5は、シート項目記入情報に基づいて、カウンセリング結果を特定する。これにより、サーバ5は、利用者に対するカウンセリングの結果を特定することができる。そして、サーバ5は、特定した利用者IDに基づいて、対応「カウンセリング」と、カウンセリング結果に関する情報とを対応情報として対応DB9に記憶し、管理する。
このような、カウンセリング日時及びカウンセリング結果の特定、対応情報の記憶といったカウンセリング処理は、予めカウンセリング項目62に定義付けられている。つまり、サーバ5は、記入情報に基づいて、カウンセリング項目62にチェックマークが記入されたことを認識すると、それをトリガとしてカウンセリング処理を行う。
なお、上述の例では、利用者への対応として、「販売」、「試供品」又は「カウンセリング」のいずれか1つを行うこととしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、「販売」、「試供品」及び「カウンセリング」の中の複数を対応として行うこととしてもよい。例えば、利用者への対応として「試供品」及び「販売」を行った場合、サービス提供者は、まず、電子ペン10を使用して記入カード3bのスタート項目40、販売項目60及び試供品項目61にチェックマークを記入する。さらに、サービス提供者は、電子ペン10を使用して商品シート及び試供品シートのそれぞれに記入を行う。最後に、サービス提供者は、電子ペン10を使用して記入カード3bの送信項目39にチェックマークを記入する。そして、サーバ5は、電子ペン10から受信した記入情報に基づいて、上述の販売処理及び試供品処理をそれぞれ行う。
これによれば、記入カード3bの個別項目が各利用者を識別するID情報(利用者ID)を有するため、記入情報にIDが付与され、複数の記入情報を処理する場合であっても、個々を混同することなく処理することが可能となる。また、記入カード3bと併せて使用することにより、ID情報を持たない電子ペン用帳票であるシート4への記入情報にIDを付与し、各シートへの記入情報を特定可能とすることができる。具体的に、サーバ5は、サービス提供者が電子ペン10を使用して、利用者の記入カード3b及び対応するシート4にチェックマーク等を記入するだけで、当該利用者への販売状況を認識することができる。つまり、販売時刻や利用者IDの記入といった負担をサービス提供者にかけることなく、容易に販売状況を認識することができる。また、電子ペン用帳票であるシート4を併用することで、記入カード3bには記入することのできない多くの情報を、シート4への記入情報から取得して管理することができる。さらに、このときシート4への記入情報は、記入カード3bが有するID情報によりIDが付与される。よって、シート4のドットパターンを利用者毎に変えるといった処理は必要なく、複数の記入カード3bと1枚のシート4を利用して上記のような販売処理、試供品処理及びカウンセリング処理を行うことができる。
(ii)記入カード
記入カード3bの製造方法については、第1実施形態と同様であるため、便宜上説明は省略する。
(iii)サーバ
次に、サーバ5について詳しく説明する。図19は、カード処理システム200における、特にサーバ5の内部構成を示す。図示のように、サーバ5は、第2処理プログラム201、記入情報取得機能202、座標テーブル203、カード項目記入情報抽出機能204、利用者ID特定機能205、対応日時特定機能206、対応特定機能207、シート項目記入情報抽出機能208及び対応情報記憶機能209から構成されている。なお、各機能は、サーバ5が有するCPUが予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
第2処理プログラム201は、記入カード3b及びシート4に記入された情報に基づいて、利用者ID、利用者への対応及び対応日時を特定し、対応情報として対応DB9に記憶するプログラムである。
記入情報取得機能202は、第2処理プログラム201を実行することにより、サービス提供者が電子ペン10を使用して記入カード3b及びシート4に記入した記入情報を取得する機能である。
座標テーブル203は、さらにカード座標テーブル及びシート座標テーブルから構成されている。
カード座標テーブルは、図20に示すように、項目ID、項目名及び座標データから構成されている。項目IDは、記入カード3bを構成する各カード項目を識別するための情報である。具体的に、図17(b)に示すように、記入カード3b上のスタート項目40、販売項目60、試供品項目61及びカウンセリング項目62には、それぞれ項目ID「K11」、「K12」、「K13」及び「K14」が割り当てられている。項目名は、項目IDが示すカード項目の名称である。座標データは、各カード項目のドットパターン上の位置座標を示す情報である。なお、個別項目であるスタート項目40に対応する座標データは、個別ユーザエリアで利用者IDとして定義された全てのドットパターンの位置座標を示す情報を含むものとする。つまり、記入情報に基づいてカード座標テーブルを参照した場合、サーバ5は、個別項目であるスタート項目40にチェックマークが記入されたことは認識できるが、利用者IDまでは特定することができない。利用者IDを特定するためには、記入情報に基づいて、後述する利用者DB8の座標データを参照する必要がある。このように、カード座標テーブルは、項目IDをキーとして、各項目名称と、記入カード3b上における各項目のドットパターン上の位置座標とを記憶している。
シート座標テーブルは、図21(a)乃至(c)に示すように、商品シート、試供品シート及びカウンセリングシートにそれぞれ対応する複数を有している。具体的に、図21(a)に示すシート座標テーブルAは、商品シートに対応するシート座標テーブルである。また、図21(b)に示すシート座標テーブルBは、試供品シートに対応するシート座標テーブルである。また、図21(c)に示すシート座標テーブルCは、カウンセリングシートに対応するシート座標テーブルである。
シート座標テーブルAは、図21(a)に示すように、項目ID、商品名及び座標データから構成されている。項目IDは、商品シートを構成する各シート項目を識別するための情報である。具体的に、図18(a)に示すように、商品シート上の各シート項目にはそれぞれ「L1」、「L2」、「L3」が割り当てられている。商品名は、項目IDが示すシート項目に対応する商品の名称である。座標データは、各シート項目のドットパターン上の位置座標を示す情報である。シート座標テーブルB及びCについては、シート座標テーブルAとほぼ同様であるため、便宜上説明は省略する。
カード項目記入情報抽出手段204は、記入情報取得機能202が取得した記入情報から、カード座標テーブルに基づいて、各カード項目に記入されたカード項目記入情報を抽出する機能である。
利用者ID特定機能205は、スタート項目40に記入されたカード項目記入情報に基づいて、利用者DB8を参照することにより、電子ペン10による記入が行われた記入カード3bの所有者である利用者を識別する利用者IDを特定する機能である。
ここで、図22を参照し、利用者DB8について説明する。図22は、利用者DBのデータ構造を模式的に示す図である。図示のように、利用者DB6は、利用者ID、氏名、メールアドレス及び座標データから構成されている。利用者IDは、利用者を識別する情報である。氏名は、利用者IDが示す利用者の氏名である。メールアドレスとは、利用者に対するメールの送信先を示す情報である。座標データとは、個別項目であるスタート項目40に印刷され、利用者IDを特定することができるドットパターン上の位置座標である。このように、利用者DB8は、利用者IDをキーとして、利用者氏名と、メールアドレスと、利用者IDを特定するための座標データとを記憶している。つまり、利用者ID特定機能205は、スタート項目40に記入されたカード項目記入情報に含まれるドットパターン上の位置座標と、利用者DB8の座標データとを比較することにより、利用者IDを特定することができる。
対応特定機能206は、カード項目記入情報抽出手段204が抽出したカード項目記入情報に基づいて、記入カード3b上のいずれのカード項目にチェックマークが記入されたかを特定することで、サービス提供者による利用者への対応を特定する機能である。具体的に、対応特定機能206は、販売項目60にチェックマークが記入されている場合に「販売」を、試供品項目61にチェックマークが記入されている場合に「試供品」を、カウンセリング項目62にチェックマークが記入されている場合に「カウンセリング」を、利用者への対応として特定する。
対応日時特定機能207は、カード項目記入情報抽出手段204が抽出したカード項目記入情報に含まれる時間情報に基づいて、記入カード3b上の販売項目60、試供品項目61及びカウンセリング項目62への記入時刻をそれぞれ販売時刻、試供品提供時刻及びカウンセリング時刻として特定する機能である。
シート項目記入情報抽出手段208は、記入情報取得機能202が取得した記入情報から、対応特定機能206が特定した対応に定義されたシート4のシート座標テーブルに基づいて、各シート項目に記入されたシート項目記入情報を抽出する機能である。また、シート項目記入情報抽出手段208は、特定した対応が「販売」の場合、シート項目記入情報に基づいて、サービス提供者が販売した商品を特定する。また、シート項目記入情報抽出手段208は、特定した対応が「試供品」の場合、シート項目記入情報に基づいて、サービス提供者が提供した試供品を特定する。また、シート項目記入情報抽出手段208は、特定した対応が「カウンセリング」の場合、シート項目記入情報に基づいて、サービス提供者によるカウンセリングの結果を特定する。
なお、商品の特定及び試供品の特定は、シート項目記入情報及びシート座標テーブルに基づいて、チェックマークが記入されたシート項目を特定し、当該シート項目に対応する商品及び試供品を特定することで可能となる。また、カウンセリング結果の特定は、カウンセリング結果が記入されるシート項目に記入されたシート項目記入情報をイメージデータとして抽出することで可能となる。
対応情報記憶機能209は、利用者ID特定機能205が特定した利用者IDに対応付けて、対応特定機能206が特定した対応と、対応日時特定機能207が特定した対応日時と、シート項目記入情報抽出機能208が特定した商品、試供品、カウンセリング結果に関する情報と対応情報として対応DB9に記憶する機能である。
ここで、図23を参照し、対応DB9について説明する。図23は、対応DB9のデータ構造を模式的に示す図である。図示のように、対応DB9は、利用者ID、日時、対応及び備考から構成されている。日時及び対応は、それぞれ対応日時特定機能206が特定した日時及び対応である。一方、備考は、シート項目記入情報抽出機能208が特定した商品、試供品、カウンセリング結果に関する情報である。
(iv)販売処理
次に、カード処理システム200により実行される販売処理について説明する。図24は、販売処理のフローチャートである。
まず、サービス提供者(例えば、化粧品の販売員)は、利用者に商品を販売した際に、当該利用者から会員カードである記入カード3bを受け取る。そして、サービス提供者は、電子ペン10を使用し、図17(a)に示すような記入カード3b上で、スタート項目40及び販売項目60の項目内にチェックマークを記入する。さらに、図18(a)に示す商品シートにおいて、利用者に販売した商品に対応するシート項目にチェックマークを記入する。そして、最後に、サービス提供者は、電子ペン10を使用して送信項目39にチェックマークを記入する。このとき、電子ペン10は、記入カード3b及び商品シートに記入された内容に対応するストロークデータを取得し、電子ペン10内のメモリ12に一時的に記憶した後、送信項目39にチェックマークが記入されたタイミングで、当該ストロークデータを端末装置25へ送信する。端末装置25は、電子ペン10からストロークデータを受信し、ネットワーク2を通じてサーバ5へ送信する。このようにして、サーバ5は、ストロークデータを、利用者が記入カード3b及び商品シートに対して記入した情報を示す記入情報として取得する(ステップS11)。
そして、サーバ5は、カード座標テーブルを参照することにより、記入情報から各カード項目に記入されたカード項目記入情報を抽出する(ステップS12)。このとき、サーバ5は、スタート項目40に記入されたカード項目記入情報に含まれるドットパターン上の位置座標に基づいて、利用者DB8を参照することにより利用者IDを特定する(ステップS13)。また、サーバ5は、販売項目60に記入されたカード項目記入情報に基づいて、「利用者に商品を販売した」と認識する。換言すると、販売項目60にチェックマークが記入されたことを認識することで、サーバ5は、「利用者に商品を販売した」と判断し、利用者への対応として「販売」を特定する(ステップS14)。また、サーバ5は、販売項目60に記入されたカード項目記入情報に含まれる時間情報に基づいて、販売日時を特定する(ステップS15)。換言すると、販売項目60にチェックマークが記入された日時を、販売日時と判断する。さらに、サーバ5は、販売項目60に定義されたシート4として商品シートを特定する。そして、特定した商品シートに対応するシート座標テーブルに基づいて、記入情報から各シート項目に記入されたシート項目記入情報を抽出する(ステップS16)。このとき、サーバ5は、抽出したシート項目記入情報に基づいて、チェックマークが記入されたシート項目に対応する商品を特定する(ステップS17)。これにより、サーバ5は、利用者に販売した商品を特定することができる。そして、サーバ5は、特定した利用者IDに基づいて、販売日時と、対応「販売」と、販売した商品に関する情報とを対応情報として対応DB9に記憶し、管理する。これにより、販売処理は完了する。なお、試供品処理及びカウンセリング処理は、販売処理とほぼ同様であるため、便宜上説明は省略する。
このように、本実施形態によれば、記入カード3bの個別項目が各利用者を識別するID情報(利用者ID)を有するため、記入情報にIDが付与され、複数の記入情報を処理する場合であっても、個々を混同することなく処理することが可能となる。また、記入カード3bと併せて使用することにより、ID情報を持たない電子ペン用帳票であるシート4への記入情報にIDを付与し、各シートへの記入情報を特定可能とすることができる。つまり、別用途での電子ペン用帳票記入において、当該帳票自体にID情報を記入しなくても、記入カード3bの個別項目をチェックすることで、当該帳票への記入情報にIDを付与することができ、集計処理等において個々の識別が可能となる。
なお、上記の実施形態では、化粧品の販売状況の管理について説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ID情報を有する記入カード3b及びシート4を利用した様々な処理に適用することが可能である。
また、上記の実施形態では、座標テーブルがカード座標テーブル及びシート座標テーブルを有することとしており、処理が定義された販売項目60、試供品項目61及びカウンセリング項目62にそれぞれ対応するシートも定義されることとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、上述のカード座標テーブル及びシート座標テーブルの情報を全て有する1つの座標テーブルを利用することとしてもよい。
[第2変形例]
上記第2実施形態では、会員への販売状況の管理について説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、記入カード3bの所有者に対して提供される業務を記録する事例に適用することができる。
具体的に、本発明の記入カード3bは、病院の受診カードや、入院患者IDカードとして使用することが可能である。この場合、受診カード又は入院患者IDカードでID情報をチェックした後、所定の処理に対応するシートに記入を行うことで、処理内容を記録することになる。具体的に、受診カードによれば、ID情報に対応付けて受付時刻や次回診療予約日時を記録、管理することができる。また、入院患者IDカードによれば、ID情報に対応付けて検診・検査の内容や結果を記録、管理することができる。
また、本発明の記入カード3bは、各種施設の利用予約カードとして使用することが可能である。この場合、利用予約カードでID情報をチェックした後、希望日時の登録シートに記入を行うことで、希望日時を記録することになる。つまり、利用予約カードによれば、ID情報に対応付けて希望日時等を記録、管理することができる。
また、本発明の記入カード3bは、工程管理カードとして使用することが可能である。この場合、工程管理カードでID情報をチェックした後、検査シートに記入を行うことで、各工程での検査結果等を記録することになる。つまり、工程管理カードによれば、ID情報に対応付けて、各工程での検査日時や検査結果を記録、管理することができる。
また、本発明の記入カード3bは、車の整備点検カードとして使用することが可能である。この場合、整備点検カードで車両のID情報をチェックした後、整備点検記録シートに記入を行うことで、車両の整備点検結果等を記録することになる。つまり、整備点検カードによれば、車両のID情報に対応付けて、整備点検日時や整備点検結果を記録、管理することができる。
また、本発明の記入カード3bは、展示会等の入場IDカードとして使用することが可能である。この場合、入場IDカードでID情報をチェックした後、所定のシート上の展示場所若しくはパンフレットに該当する欄に記入を行うことで、各展示コーナーでの資料請求等を記録することになる。つまり、入場IDカードによれば、ID情報に対応付けて展示場所やパンフレットを記録し、的確な資料請求を行うことができる。