JP4900389B2 - 球面収差補正減速型レンズ、球面収差補正レンズシステム、電子分光装置および光電子顕微鏡 - Google Patents

球面収差補正減速型レンズ、球面収差補正レンズシステム、電子分光装置および光電子顕微鏡 Download PDF

Info

Publication number
JP4900389B2
JP4900389B2 JP2008526810A JP2008526810A JP4900389B2 JP 4900389 B2 JP4900389 B2 JP 4900389B2 JP 2008526810 A JP2008526810 A JP 2008526810A JP 2008526810 A JP2008526810 A JP 2008526810A JP 4900389 B2 JP4900389 B2 JP 4900389B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lens
spherical aberration
mesh
aberration correction
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008526810A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2008013232A1 (ja
Inventor
博之 松田
寛 大門
Original Assignee
国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 filed Critical 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
Priority to JP2008526810A priority Critical patent/JP4900389B2/ja
Publication of JPWO2008013232A1 publication Critical patent/JPWO2008013232A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4900389B2 publication Critical patent/JP4900389B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J37/00Discharge tubes with provision for introducing objects or material to be exposed to the discharge, e.g. for the purpose of examination or processing thereof
    • H01J37/02Details
    • H01J37/04Arrangements of electrodes and associated parts for generating or controlling the discharge, e.g. electron-optical arrangement, ion-optical arrangement
    • H01J37/10Lenses
    • H01J37/12Lenses electrostatic
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J37/00Discharge tubes with provision for introducing objects or material to be exposed to the discharge, e.g. for the purpose of examination or processing thereof
    • H01J37/252Tubes for spot-analysing by electron or ion beams; Microanalysers
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2237/00Discharge tubes exposing object to beam, e.g. for analysis treatment, etching, imaging
    • H01J2237/05Arrangements for energy or mass analysis
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2237/00Discharge tubes exposing object to beam, e.g. for analysis treatment, etching, imaging
    • H01J2237/153Correcting image defects, e.g. stigmators
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2237/00Discharge tubes exposing object to beam, e.g. for analysis treatment, etching, imaging
    • H01J2237/153Correcting image defects, e.g. stigmators
    • H01J2237/1532Astigmatism
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2237/00Discharge tubes exposing object to beam, e.g. for analysis treatment, etching, imaging
    • H01J2237/244Detection characterized by the detecting means
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2237/00Discharge tubes exposing object to beam, e.g. for analysis treatment, etching, imaging
    • H01J2237/25Tubes for localised analysis using electron or ion beams
    • H01J2237/2505Tubes for localised analysis using electron or ion beams characterised by their application
    • H01J2237/2511Auger spectrometers
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2237/00Discharge tubes exposing object to beam, e.g. for analysis treatment, etching, imaging
    • H01J2237/25Tubes for localised analysis using electron or ion beams
    • H01J2237/2505Tubes for localised analysis using electron or ion beams characterised by their application
    • H01J2237/2538Low energy electron microscopy [LEEM]

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Description

本発明は、XPS(光電子分光装置)、AES(オージェ電子分光装置)などの電子分光装置や、PEEM(光電子顕微鏡)のインプットレンズに関するものである。
従来の電子分光装置においては、エネルギーアナライザ(代表的には静電半球アナライザ)の入射部分にインプットレンズと呼ばれる静電レンズが用いられることが多い。インプットレンズの役目は、まず試料から放出される電子をできるだけ多く取り込み、その電子を減速させてからアナライザに入射させることで、エネルギー分解能を向上させることである。
また、試料表面での電子の取り込みの視野を制限する機能を電子分光装置に持たせることもある。このような構成の電子分光装置においては、インプットレンズが試料からどれだけ大きな開き角の電子を取り込めるかによって感度が決まる。また、結像機能を持つエネルギーアナライザでは、取り込み角度分布を結像することにより、光電子のエネルギーピークの角度依存性を同時に測定できる。その場合には取り込み角が90度(±45度)以上であれば、表面すれすれから垂直までの取り出し角依存性が一度に測定でき、元素の深さ依存性の測定を効率的に行うことができる。
ところが、通常の静電レンズでは、球面収差によって、大きな開き角のビームを一点に集束させることができない。具体的には、取り込み角は30度(±15)度程度が限界である。
また、従来の光電子顕微鏡においては、試料から出る光電子や2次電子を加速して対物レンズに入射することにより、大きな取り込み角を実現している。しかし、試料からの電子の出射エネルギーが大きくなると、該電子が余り曲がらなくなり、その取り込み角が小さくなることがある。具体的には、出射エネルギーが数百eVの場合は、取り込み角が30度(±15度)程度以下となる。出射エネルギーを数百eV以上に設定した状態で広い立体角の測定ができると、光電子回折や光電子ホログラフィーといった原子配列構造解析が可能になるが、取り込み角が30度程度以下だと原子配列構造解析には不十分である。
また、電子レンズでは球面収差が必然的に発生するとともに、軸対称で空間電荷の存在しない通常のレンズ構成では、球面収差を0にできないことが証明されており、大きな取り込み角は実現できない。そこで、電子レンズの途中にメッシュ電極またはフォイル電極を置くことで空間電荷を導入するのと等価な効果を持たせ、これによって球面収差を補正する試みが行なわれている。
フォイル電極を用いる場合は、電子線がフォイル電極を通過できるように、電子のエネルギーをある程度高く設定する必要がある。しかし、電子のエネルギーを高く設定することは、透過電子顕微鏡などでは可能であるが、せいぜい数keVまでのエネルギーを有する電子を測定対象とする電子分光装置では困難である。また、電子の散乱および吸収を防ぐために、フォイル電極は十分に薄い構成である必要があるために、フォイル電極を曲面に整形することは困難であるという問題がある。
なお、平面状のフォイル電極によって最低次の3次球面収差を0にできるが、高次の球面収差まで打ち消すのは難しい。電子顕微鏡においては、もともと電子線の開き角をミリラジアンのオーダーまで絞って高分解能を得ているので、とりあえず3次の球面収差が補正できれば十分である。しかし電子分光で要求される数十度の開き角のビームに対しては、フォイル電極は球面収差を有効に補正する手段にはなりえない。
上述したフォイル電極による補正の問題点は、フォイル電極の代わりにメッシュ電極を用いることで解決される。メッシュ電極を用いることにより、透過性の問題は無くなり、また曲面に整形するのもフォイル電極と比較して容易である。従来のメッシュ電極を用いた電子レンズが、特許文献1および非特許文献1に記載されている。
特許文献1には、図19に示すように、球面メッシュを用いた球面収差補正静電型レンズが記載されている。この球面収差補正静電型レンズは、球面からなるメッシュと、4段以上の同軸多段電極EL1〜ELnとから構成されており、該メッシュおよび該メッシュ周辺に設けられた電極において減速電場を形成し、第n電極ELnを含む像面側の電極において加速型集束電場を形成する。図19の球面収差補正静電型レンズは、メッシュ電極と複数の電極とから構成されたアインツェル型メッシュレンズである。アインツェル型メッシュレンズは、メッシュ電極周辺の減速電場と、それに続いて生じる加速型集束電場の組み合わせによって、大きな開き角のビームを集束させるものであり、レンズに取り込まれる電子は一旦減速されるが、すぐに加速され、出口では入口と同じエネルギーを持つ。上記構成の球面収差補正静電型レンズでは、ビームの取り込み角は±30度程度まで増加される。
また、非特許文献1には、図20(a)に示すように、特許文献1の球面収差補正静電型レンズで用いられる球面メッシュの代わりに、光軸を中心軸とする回転楕円面のメッシュを用いたアインツェル型メッシュレンズが記載されている。非特許文献1に記載されたアインツェル型メッシュレンズは、図20(b)に示すように、メッシュの回転楕円面の原点Oeを中心として、回転楕円面の長軸半径をaとし、回転楕円面の短軸半径をbとした場合の、長軸短軸比であるγ=a/bを調節することにより、図21に示すように、ビームの取り込み角を±60度程度まで増加することが可能となる。
日本国公開特許公報「特開平8−111199号(公開日:平成8年4月30日)」 PHYSICAL REVIEW E71,066503(2005)(公開日:2005年6月28日)
特許文献1および非特許文献1に示すように、球面または回転楕円面のメッシュを用いて電子レンズを構成することにより、該電子レンズは±60度程度まで大きな取り込み角が可能となった。電子レンズは、大きな取り込み角が可能となるだけでなく、数百eV以上の高エネルギー、かつ、大きな開き角を有したビームの測定が可能となることが望まれている。電子レンズは、数百eV以上の高エネルギー、かつ、大きな開き角を有したビームの測定が可能となることによって、光電子回折や光電子ホログラフィー等の原子配列構造解析が可能となる。
しかしながら、上記従来の構成では、数百eV以上の高エネルギー、かつ、大きな開き角を有したビームをアインツェル型メッシュレンズで集束できたとしても、ビームの開き角は十分小さくならないため、その後段にレンズを設けて、ビームを引き続き入射すると、像面においてボケが生じる。そのため、後段レンズの電極に高い電圧をかける必要が生じ、例えば、試料から約10keVのビームが出射された場合は、該ビームを後段レンズの像面において集束させるためには、約100eVの低エネルギーのビームを集束させるための電圧と比較して100倍の高電圧が必要となる。その結果、電子レンズの耐電圧の問題が生じ、ビームを集束させることが困難になる。
以上のように、上記従来の構成では、数百eV以上の高エネルギーを有したビームを入射した場合、電子レンズの取り込み角が±30度程度以下となり、原子配列構造解析を行うには不十分である。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、試料から出射された、高エネルギー、かつ、大きな開き角を有したビームを像面において集束させる球面収差補正減速型レンズ、球面収差補正レンズシステム、電子分光装置および光電子顕微鏡を提供することである。
本発明の球面収差補正減速型レンズは、上記課題を解決するために、所定物面位置から一定の開き角をもって出射された電子またはイオンビーム(以下、ビーム)に生じる球面収差を補正する球面収差補正レンズであって、光軸を中心軸とする回転体面からなり、外部電源から任意の電圧が印加される少なくとも2つの電極を備え、上記電極の少なくとも1つは、物面に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュであり、上記各電極は、該各電極に印加された電圧により、上記ビームを減速させるとともに、該ビームに生じる球面収差を補正するための減速型集束電場を形成することを特徴としている。
上記構成により、光軸を中心軸とする回転体面からなる少なくとも2つの電極に対して、外部電源から任意の電圧を印加することにより、該各電極は、所定物面位置より出射されたビームを減速させるとともに、該ビームに生じる球面収差を補正するための減速型集束電場を形成することができる。これにより、高エネルギーのビームが物面から出射された場合であっても、上記各電極によって形成された減速型集束電場により、該ビームを減速させることができる。
また、上記電極の少なくとも1つとして、物面に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュを用いることにより、大きな取り込み角を実現することが可能となる。そのため、高エネルギー、かつ、大きな開き角のビームを本発明の球面収差補正減速型レンズに入射させ、像面で集束したビームを、引き続き、後段に設けられたレンズに入射した場合、後段レンズの電極に高電圧を印加することなく、該ビームを後段レンズの像面において集束させることができる。
したがって、本発明の球面収差補正減速型レンズを電子分光装置または光電子顕微鏡に適用した場合、高エネルギー、かつ、大きな開き角を有したビームを、入射することが可能となり、電子分光装置および光電子顕微鏡の感度および機能を大幅に向上することができる。
本発明の球面収差補正レンズシステムは、所定物面位置から一定の開き角をもって出射された電子またはイオンビーム(以下、ビーム)に対して、正または負の球面収差を有する実像を形成する第1レンズと、上記第1レンズの後段に、該第1レンズの光軸と同軸に配置され、該第1レンズが生じた正または負の球面収差を打ち消す第2レンズとを備え、上記第1レンズまたは上記第2レンズは、物面に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュが設けられており、上記ビームの取り込み角が±0度〜±60度の範囲内となるように設定されていることを特徴としている。
一般に、電子レンズには、静電型または磁場型に関わらず、正の球面収差が付随している。そのため、物面の一点から出射されたビームは、電子レンズに対する開き角が大きいほど、より物面に近い位置に結像する。したがって、電子レンズの取り込み角が大きいほど、より大きなボケが生じることになる。
そのため、一般の電子レンズ、すなわち、正の球面収差が付随する電子レンズを本発明の球面収差補正レンズシステムの第1レンズまたは第2レンズとして用いた場合、もう一方のレンズとして負の球面収差を生じるレンズを用い、該レンズにおいて該電子レンズによる正の球面収差を打ち消すように適切な負の球面収差を与えることにより、物面から出射されたビームは、第2レンズの像面において球面収差が打ち消される。具体的には、第1レンズにおいて形成された正または負の球面収差を有する実像は、該第1レンズの後段に、該第1レンズの光軸と同軸に配置された第2レンズによって、正または負の球面収差が打ち消される。
さらに、第1レンズまたは第2レンズは、物面に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュが設けられており、上記ビームの取り込み角が±0度〜±60度の範囲内となるように設定されているために、例えば、第1レンズとして、メッシュを備え、かつ、負の球面収差を生じるレンズを用い、第2レンズとして、正の球面収差が付随するレンズを用いることにより、該第1レンズは、物面から出射されたビームを±0〜±60度の範囲内の取り込み角で取り込むことができる。そして、第2レンズにおいて生じる正の球面収差を補正するように、第1レンズにおいて適切な負の球面収差を与えることにより、第2レンズの像面において球面収差を打ち消すことが可能となる。
また、例えば、第1レンズとして、物面から出射されたビームを大きな取り込み角で取り込み可能であり、かつ、正の球面収差が付随するレンズを用い、第2レンズとして、メッシュを備え、かつ、負の球面収差を生じるレンズを用いた場合、該第2レンズはビームを±0〜±60度の範囲内の取り込み角で取り込むことができるために、該第1レンズにおいて生じた大きな正の球面収差を有したビームを該第2レンズに入射することが可能である。そして、第1レンズにおいて生じる正の球面収差を補正するように、第2レンズにおいて適切な負の球面収差を与えることにより、該第1レンズにおいて生じた大きな正の球面収差は、該第2レンズの像面において打ち消される。
また、例えば、第1レンズとして、メッシュを備え、かつ、正の球面収差を生じるレンズを用い、第2レンズとして、負の球面収差が付随するレンズ(例えば、多極子レンズ)を用いた場合、該第1レンズは、物面から出射されたビームを±0〜±60度の範囲内の取り込み角で取り込むことができる。そして、第2レンズにおいて生じる負の球面収差を補正するように、第1レンズにおいて適切な正の球面収差を与えることにより、該第1レンズにおいて生じた負の球面収差は、該第2レンズの像面において打ち消される。
したがって、本発明の球面収差補正レンズシステムは、物面から出射されたビームの球面収差を後段レンズの像面において0とすることが可能になる。
そのため、本発明の球面収差補正レンズシステムを電子分光装置または光電子顕微鏡に適用した場合、前段レンズのみを用いて球面収差を補正した場合と比較して、空間分解能を向上することができる。
本発明の電子分光装置は、上述した球面収差補正減速型レンズまたは上述した球面収差補正レンズシステムを備えることを特徴としている。
上記構成により、高エネルギーのビームを、大きな取り込み角で取り込むことが可能な球面収差補正減速型レンズまたは球面収差補正レンズシステムを用いることにより、電子分光装置の感度および機能を大幅に向上することができる。
本発明の光電子顕微鏡は、上述した球面収差補正減速型レンズまたは上述した球面収差補正レンズシステムを備えることを特徴としている。
上記構成により、高エネルギーのビームを、大きな取り込み角で取り込むことが可能な球面収差補正減速型レンズまたは球面収差補正レンズシステムを用いることにより、光電子顕微鏡の感度および機能を大幅に向上することができる。
本発明に係る球面収差補正減速型レンズの一実施例の概略構成を示す断面図である。 取り込み角が±50度の球面収差補正減速型レンズの構成を示す断面図である。 取り込み角が±60度の球面収差補正減速型レンズの構成を示す断面図である。 図2(a)に示した球面収差補正減速型レンズの要部構成を示す図である。 図2(b)に示した球面収差補正減速型レンズの要部構成を示す図である。 メッシュMの長軸短軸比と、球面収差との関係を示すグラフである。 光軸を中心軸とする球面からなるメッシュを用いた球面収差補正減速型レンズを示す断面図である 図6に示した球面収差補正減速型レンズの光軸を中心軸とする球面からなるメッシュの要部構成を示す図である。 内球メッシュおよび外球メッシュの2枚の球面メッシュが設けられている球面収差補正減速型レンズを示す断面図である。 図8の内球メッシュおよび外球メッシュの2枚の球面メッシュの要部構成を示す図である。 前段レンズおよび後段レンズの2つのレンズからなるレンズシステムにおいて、±12度の開き角のビームを後段レンズに入射したときの電子軌道を示す断面図である。 図10(a)に示すレンズシステムにおいて、後段レンズの像面P2においてビームが一点に集まるように計算した電子軌道を示す断面図である。 第1実施例の球面収差補正レンズシステムの概略構成を示す断面図である。 メッシュMの長軸短軸比γが1.44、1.47、1.50、1.53、1.56の場合において、ビームの入射角と球面収差との関係を示すグラフである。 第2電極EL2に印加される電圧Vが−490V、−460V、−443V、−430V、−400Vの場合において、ビームの入射角と球面収差との関係を示すグラフである。 第1実施例の球面収差補正レンズシステムの構成を示す断面図である。 図14(a)に示す球面収差補正レンズシステムにおいて、ビームの入射角と第1レンズE1の像面P1の球面収差および第2レンズE2の像面P2における球面収差との関係を示すグラフである。 第2実施例の球面収差補正レンズシステムの構成を示す断面図である。 図15(a)に示す球面収差補正レンズシステムにおいて、ビームの入射角と第1レンズE1の像面P1の球面収差および第2レンズE2の像面P2における球面収差との関係を示すグラフである。 第3実施例の球面収差補正レンズシステムの概略構成を示す断面図である。 本発明の電子分光装置の一実施例を示すブロック図である。 本発明に係る光電子顕微鏡の一実施例を示すブロック図である。 従来の球面メッシュを用いた球面収差補正静電型レンズを示す断面図である。 従来の回転楕円面からなるメッシュを用いた±50度の取り込み角のアインツェル型メッシュレンズを示す断面図である。 図20(a)に示すアインツェル型メッシュレンズのメッシュの設計図である。 従来の回転楕円面からなるメッシュを用いた±60度の取り込み角のアインツェル型メッシュレンズを示す断面図である。 図2(a)に示す球面収差補正減速型レンズにおいて、試料周辺を同電位に保つためのシールドを設けた図である。
符号の説明
1 電子分光装置
2 インプットレンズ
3 球面鏡アナライザ
4 アパチャー
5 マイクロチャンネルプレート(MCP)
6 スクリーン
7 照射部材
10 光電子顕微鏡
11 対物レンズ
12 第1レンズシステム
13 エネルギー分析器
14 第2レンズシステム
15 検出器
16 シールド
EL1〜ELn 第1電極〜第n電極
E1 第1レンズ
E2 第2レンズ
P0 物面
P1 像面
P2 像面
Oe メッシュMの回転楕円面の原点
a 回転楕円面の長軸半径
b 回転楕円面の短軸半径
γ メッシュMの回転楕円面の長軸短軸比
d1 物面とメッシュMとの距離
L1 第1電極EL1の長さ
L2 第2電極EL2の長さ
S1 内球メッシュ
S2 外球メッシュ
r1 内球メッシュの半径
r2 外球メッシュの半径
本発明の一実施形態について図1〜図17に基づいて説明すると以下の通りである。
本発明の球面収差補正減速型レンズは、所定物面位置から一定の開き角をもって出射された電子またはイオンビーム(以下、ビーム)に生じる球面収差を補正するためのものであり、光軸を中心軸とする回転体面からなり、外部電源から任意の電圧が印加される少なくとも2つの電極を備え、該電極の1つは、物面に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュであり、該各電極は、該各電極に印加された電圧により、上記ビームを減速させるとともに、該ビームに生じる球面収差を補正するための減速型集束電場を形成することを特徴としている。
〔球面収差補正減速型レンズ〕
本発明の球面収差補正減速型レンズの一実施例について図1〜図9を参照して説明する。図1は本発明に係る球面収差補正減速型レンズの一実施例の概略構成を示す断面図である。なお、図中の矢印を付した曲線は、試料から出射されたビームの軌跡を示している。
本実施形態の球面収差補正減速型レンズは、図1に示すように、メッシュMと、第1電極EL1〜第n電極ELnとから構成されている。従来のアインツェル型メッシュレンズでは、第1電極EL1〜第n電極ELnにおいて、物面P0から出射されたビームを、減速させた後に加速させることにより、像面P1において集束させるための加速型集束電場を形成していた。しかしながら、本実施形態の球面収差補正減速型レンズは、上記加速型集束電場を形成せず、第1電極EL1〜第n電極ELnにおいて、物面P0から出射されたビームを、減速させながら像面P1において集束させるための減速型集束電場を形成することを特徴としている。
上記球面収差補正減速型レンズは、電子分光装置のインプットレンズおよび光電子顕微鏡の対物レンズとして好適に用いることができる。
メッシュMは、試料が配置された物面P0に対して凹面形状を有しており、上記球面収差補正減速型レンズの光軸を中心軸とする回転楕円面からなる。また、メッシュMは、第1電極EL1に一体的に設けられている。なお、メッシュMは、本実施形態では光軸を中心軸とする回転楕円面から構成されているが、本発明はこれに限られず、光軸を中心軸とする球面から構成されていてもよい。ただし、後述するように、メッシュMは、光軸を中心軸とする球面からなる場合と比較して、光軸を中心軸とする回転楕円面からなる場合の方が、物面P0から、すなわち、試料から出射されたビームの取り込み角度を±60度程度まで大きくすることが可能となる。そのため、メッシュMは、光軸を中心軸とする回転楕円面からなるものを用いることが望ましい。また、メッシュMは、本実施形態では第1電極EL1に一体的に設けられているが、本発明はこれに限られず、第1電極EL1とは別に設けられていてもよい。
第1電極EL1〜第n電極ELnは、本実施形態の球面収差補正減速型レンズの光軸を中心とする回転体面からなり、減速型集束電場を形成する同心面を有している。第1電極EL1〜第n電極ELnは、光軸に沿ってメッシュMから順番に配置されており、外部電源から各電極に任意の電圧が印加される。なお、メッシュMは、第1電極EL1と一体化して設けられているために、第1電極EL1と同じ電圧が印加される。また、メッシュMおよび第1電極EL1が別に設けられている場合は、メッシュMおよび第1電極EL1のそれぞれに外部電源から任意の電圧が印加される。
なお、本実施形態の球面収差補正減速型レンズは、第1電極EL1および第2電極EL2の少なくとも2個の電極を有していればよい。球面収差補正減速型レンズは、電極の数が多くなるほど、該レンズの集束性能を高めるとともに、該レンズの製造工程における許容誤差が増加する。しかしながら、電極の数が多くなると、球面収差補正減速型レンズの製造工程が煩雑となるために、電極の数は約3〜約10の範囲内であることが好ましい。
ここで、本実施形態の球面収差補正減速型レンズにおいて、試料から出射されたビームを像面P1で集束させるための構成について、図2〜図4を参照して説明する。図2(a)は取り込み角が±50度の球面収差補正減速型レンズの構成を示す断面図であり(図中、取り込み角を50°×2、100°と表記)、図2(b)は取り込み角が±60度の球面収差補正減速型レンズの構成を示す断面図である(図中、取り込み角を60°×2、120°と表記)。なお、図中において、点線は電位分布を示しており、実線は電子軌道を示している。
従来の減速型レンズは、加速型レンズまたはアインツェル型レンズと比較して、球面収差の問題が深刻であり、ビームの取り込み角を大きく制限しない限り、ビームを集束させることができない。そのため、従来の減速型レンズは、電子分光装置のインプットレンズまたは光電子顕微鏡の対物レンズとして好適に用いることはできなかった。しかしながら、本実施形態の球面収差補正減速型レンズは、上述したように、各電極において減速型集束電場のみを形成する構成でありながら、大きな開き角のビームを集束させることができる。
本実施形態の球面収差補正減速型レンズは、図2(a)および図2(b)に示すように、第1電極EL1、第2電極EL2および第3電極EL3の3つの電極を有しており、各電極において減速型集束電場のみを形成しているにも関らず、±50度および±60の開き角で入射されたビームを像面P1において集束させている。
このようなレンズを実現するためには、第1電極EL1、第2電極EL2および第3電極EL3の3つの電極の配置が重要である。各電極の配置としては、様々な変化が可能であるが、ビームの軌道を妨げず、かつ、ビームに効果的な球面収差補正作用を与えるように、ビームの最も外側の軌道から適度な距離をもたせて配置することが望ましい。
図3および図4は、それぞれ、図2(a)と図2(b)に示した球面収差補正減速型レンズの要部構成を示す図である。ビームの最も外側の軌道から適度な距離をもった配置とするため、図2(a)および図2(b)においては、それぞれ、図3および図4に示すように、光軸と平行な軸に対する各電極の傾斜角を55度および65度に設定している。このような電極配置のもと、減速型集束電場のみを形成する本実施形態の球面収差補正減速型レンズを構成し、大きな開き角で入射されたビームを像面P1において集束させるためには、下記の4つの値が重要になる。
(1)メッシュMの凹型形状の長軸短軸比。
(2)第1電極EL1〜第n電極ELnの各電極の長さ。
(3)物面P0からメッシュMの回転楕円面の原点Oeまでの距離d1。
(4)第1電極EL1〜第n電極ELnの各電極に印加される電圧。
以下に、図2(a)および図2(b)に示した球面収差補正減速型レンズにおける上記4つの値について説明する。
まず、図2(a)に示した球面収差補正減速型レンズの設計について、図3を用いて具体的に説明する。図3は、図2(a)に示した球面収差補正減速型レンズの要部構成を示す図である。ただし、物面P0から像面P1までの距離を500mmとした場合である。
(1)メッシュMの凹面形状の長軸短軸比、すなわち、メッシュMの回転楕円面の原点Oeを中心として、回転楕円面の長軸半径をaとし、回転楕円面の短軸半径をbとした場合の、長軸短軸比であるγ=a/bが1.50である。
(2)第1電極EL1の長さL1が5.25mmであり、第2電極EL2の長さL2が17.34mmである。
(3)物面P0からメッシュMの回転楕円面の原点Oeまでの距離d1は、18.83mmである。
(4)第1電極EL1、第2電極EL2および第3電極EL3の各電極に印加される電圧は、試料から出射されるビームのエネルギーを1keVとした場合は、それぞれ0V、−443.96V、−819.82Vである。
上記構成の球面収差補正減速型レンズでは、試料から出射された1keVのエネルギーを有したビームを入射すると、該レンズの出射口では該ビームは約180eVまで減速されている。
次に、図2(b)に示した球面収差補正減速型レンズの設計について、図4を用いて具体的に説明する。ただし、物面P0から像面P1までの距離を500mmとした場合である。
(1)メッシュMの凹面形状の長軸短軸比γ=a/bが1.51である。
(2)第1電極EL1の長さL1が5.69mmであり、第2電極EL2の長さL2が17.65mmである。
(3)物面P0からメッシュMの回転楕円面の原点Oeまでの距離d1は、26.90mmである。
(4)第1電極EL1、第2電極EL2および第3電極EL3の各電極に印加される電圧は、試料から出射されるビームのエネルギーを1keVとした場合は、それぞれ0V、−423.85V、−806.04Vである。
上記構成の球面収差補正減速型レンズでは、試料から出射された1keVのエネルギーを有したビームを入射すると、該レンズの出射口では該ビームは約194eVまで減速されている。
上述したように、上記(1)〜(4)の4つの値を設定し、物面P0から像面P1までの距離を500mmとした場合、像面P1におけるビームのボケは、いずれの場合も約0.1mm以下となる。
メッシュMの形状は、正確に回転楕円面として与えられる形状では球面収差を完全に取り除くことはできず、像面P1においてボケが生じる場合がある。そのため、球面収差を厳密に0にする必要がある場合、回転楕円面として与えられるメッシュの形状をさらに微調整することが望ましい。メッシュMの形状の微調整は、例えば、以下の式で微調整後のメッシュMの形状に係る楕円からの変化量ΔR(θ)を定義し、パラメータa0,a1〜an、または、パラメータc1〜cn、p1〜pn、q1〜qnを球面収差が最小になるように最適化することで行うことができる。
Figure 0004900389
Figure 0004900389
なお、変化量ΔR(θ)は、物面上の原点Oを中心とする極座標を(R,θ)として表現した場合における、原点Oから楕円までの距離Rに対して微調整後のメッシュ形状が変位する量である。
以上のように、物面上の原点Oを中心とする極座標を(R,θ)と表現した場合に、調整量ΔRは、上記θを変数とする少なくとも3項の関数の和として表現される。
なお、上記(1)〜(4)の4つの値は、球面収差補正減速型レンズに設けられる電極の数または試料から出射されるビームのエネルギーの大きさが変化するに伴い、適宜調節される。また、上記(1)〜(4)の4つの値のうち、全てを調節する必要はなく、少なくとも1つを調節することによって、球面収差を補正することができる。ただし、複数の要素を同時に調整することが、高い集束性を実現する上では望ましい。また、図2(a)および図2(b)に示した球面収差補正減速型レンズにおいても、上記(1)〜(4)の4つの値は上述した値に限られず、それぞれ好適な範囲を有しており、その範囲内において適宜調節することにより、物面P0から出射されたビームを像面P1において集束させている。
以下に、第1電極EL1、第2電極EL2および第3電極EL3の3つの電極を備え、取り込み角が±50度の本実施形態の球面収差補正減速型レンズにおいて、物面P0から像面P1までの距離を500mmとし、試料から出射されるビームのエネルギーを1keVとした場合に、好適に用いられる上記4つの値の範囲について説明する。
まず、(1)のメッシュMの凹型形状の長軸短軸比について図5を参照して説明する。図5は、メッシュMの長軸短軸比と、球面収差との関係を示すグラフである。図5に示すように、メッシュMの長軸短軸比γ=a/bが1〜1.5の間に球面収差は約27.5mm〜約0mmまで減少し、γ=a/bが1.5〜2の間に球面収差は約0mm〜約5mmまで増加する。したがって、γ=a/bが約1.4〜約1.6の範囲内にある場合に、球面収差は最も小さく抑えられており、具体的な数値としては、約0.4mm以下に抑えられている。すなわち、上記条件の場合は、(1)のメッシュMの凹型形状の長軸短軸比γ=a/bは、約1.4〜約1.6の範囲内であることが好ましい。
次に、(2)の第1電極EL1の長さL1および第2電極EL2の長さL2について説明する。上記条件の場合は、(2)の第1電極EL1の長さL1および第2電極EL2の長さL2は、それぞれ約1mm〜約10mmおよび約5mm〜約25mmの範囲内であることが好ましい。
次に、(3)の物面P0からメッシュMの回転楕円面の原点Oeまでの距離d1について説明する。上記条件の場合は、(3)の物面P0からメッシュMの回転楕円面の原点Oeまでの距離d1は、約10mm〜約25mmの範囲内であることが好ましい。
次に、(4)第1電極EL1〜第n電極ELnに印加される電圧について説明する。上記条件の場合は、(4)の第1電極EL1、第2電極EL2および第3電極EL3の各電極に印加される電圧は、それぞれ0V、約−100V〜約−550V、約−550V〜約−950Vの範囲内に設定することが好ましい。
以上のように、上記4つの値を、ビームのエネルギーおよび取り込み角に応じて調節することにより、±0度〜±60度の取り込み角度の範囲内において、球面収差を補正することが可能となる。なお、上記4つの値は、球面収差補正減速型レンズに設けられる電極の数および試料から出射されるビームのエネルギーに応じて適宜変化するものである。この調整後、ビームのエネルギーが変化した場合は、各電極に印加される電圧は、該ビームのエネルギーに比例して変化させればよい。
なお、メッシュMの形状は、本実施形態では光軸を中心軸とする回転楕円面からなるメッシュを用いているが、本発明はこれに限られない。つまり、上述したように、メッシュMの形状は、光軸を中心軸とする球面からなるメッシュ(以下、球面メッシュ)を用いてもよい。
この場合は、(1)メッシュMの凹型形状の長軸短軸比γ=a/bは常に1となるために、(1)以外の(2)第1電極EL1〜第n電極ELnの長さ、(3)物面P0からメッシュMの距離および(4)第1電極EL1〜第n電極ELnの各電極に印加される電圧の3つの値を調節することにより、物面P0から出射されたビームを像面P1において集束することができる。
メッシュMとして球面メッシュを用いた場合における、上記(2)〜(4)の3つの値について図6および図7を参照して説明する。図6は、光軸を中心軸とする球面からなるメッシュを用いた球面収差補正減速型レンズを示す断面図である。図7は、図6に示した球面収差補正減速型レンズの光軸を中心軸とする球面からなるメッシュの要部構成を示す図である。
球面メッシュを用いた球面収差補正減速型レンズは、図6に示すように、第1電極EL1、第2電極EL2および第3電極EL3の3つの電極を有しており、±30度の開き角で入射されたビームを像面P1において集束させている。上記構成の球面収差補正減速型レンズにおいて、±30度の開き角で入射されたビームを像面P1において集束させるための(2)〜(4)の値を以下に示す。
(2)第1電極EL1の長さL1は12.40mmであり、第2電極EL2の長さL2は17.70mmである。
(3)物面P0からメッシュMの距離d1は27.50mmである。
(4)第1電極EL1、第2電極EL2および第3電極EL3の3つの各電極に印加される電圧は、試料から出射されるビームのエネルギーを1keVとした場合は、それぞれ0V、−380.25V、−888.29Vである。
ただし、(2)および(3)に示した値は、物面P0から像面P1までの距離を500mmとした場合である。
上記構成の球面収差補正減速型レンズでは、試料から出射された1keVのエネルギーを有したビームを入射すると、該レンズの出射口では該ビームが約112eVまで減速されている。
上述したように(2)〜(4)の値を調節すると、±30度の取り込み角にわたって球面収差が補正されている。このように、メッシュMとして、光軸を中心軸とする球面を用いた場合は、回転楕円面を用いた場合と比較して高い補正効果は得られないが、加工が容易であり、コスト面では有利である。
また、球面メッシュを用いて、大きな開き角のビームを入射することも可能である。これは、半径の異なる複数の球面メッシュを物面P0から所定の間隔をあけて順番に配置する構成によって実現可能である。2枚の球面メッシュが設けられている場合の球面収差補正減速型レンズについて、図8および図9を参照して説明する。図8は、内球メッシュS1および外球メッシュS2の2枚の球面メッシュが設けられている球面収差補正減速型レンズを示す断面図である。図9は、図8の内球メッシュS1および外球メッシュS2の2枚の球面メッシュの要部構成を示す図である。
図8に示すように、2枚の球面メッシュが設けられている球面収差補正減速型レンズは、物面P0から近い側に半径の小さい内球メッシュS1が配置されており、内球メッシュS1から像面P1側に、内球メッシュS1より半径の大きな外球メッシュS2が配置されている。試料から出射されたビームのエネルギーが1keVの場合、内球メッシュS1はアース電位に設定され、外球メッシュS2には−990Vの電圧が印加される。ここで、内球メッシュS1の半径r1と外球メッシュS2の半径r2の比であるr2/r1は5.55であり、物面P0から内球メッシュS1の原点Osまでの距離dと内球メッシュS1の半径r1との比であるd/r1は0.511である。
なお、上記球面収差補正減速型レンズにおける球面収差の補正は、内球メッシュS1の半径r1と外球メッシュS2の半径r2の比であるr2/r1および物面P0から内球メッシュS1の原点Osまでの距離dと内球メッシュS1の半径r1との比d/r1に大きく関っている。r2/r1およびd/r1の好適な範囲は、球面収差補正減速型レンズのビームの取り込み角、および最終的に該球面収差補正減速型レンズから出射されるビームエネルギーEfと物面P0から出射された時のビームエネルギーEiの比であるEf/Ei、つまり、減速比に依存する。
図8に示した球面収差補正減速型レンズでは、取り込み角が±50度、減速比Ef/Eiが0.01に設定されている。取り込み角が小さいほど、球面収差は小さくなり、d/r1の好適な範囲は大きくなる。逆に、取り込み角を±50度程度と大きな設定にすると、球面収差が大きくなるとともに、幾何学的に物面P0と内球メッシュS1の距離が小さく制限される。そのため、試料から出射されたビームは、内球メッシュS1に対して、より垂直に近い状態で入射するため、曲がりにくくなる。この場合、ビームを曲げる作用を大きくし、ビームを像面P1において集束させるためには、減速比Ef/Eiを小さくする、または外球メッシュの半径r2と内球メッシュの半径r1との比であるr2/r1を大きくする必要がある。
なお、高い集束性を実現するには、減速比Ef/Ei、半径r2と半径r1との比r2/r1、および物面P0から内球メッシュS1の原点Osまでの距離と内球メッシュS1の半径r1との比d/r1を同時に調整することが望ましい。取り込み角が±50度の場合、減速比は、約0.1〜約0.01、r2/r1は約4〜約6、d/r1は約0.4〜約0.6の範囲内で設定することが望ましい。
上記構成により、内球メッシュS1および外球メッシュS2の2枚の球面メッシュが設けられている球面収差補正減速型レンズは、図8に示すような球対称電場を形成して、試料から出射されたビームの取り込み角を±50度程度まで増加させることが可能である。なお、球面メッシュを2枚用いた球面収差補正減速型レンズでは、試料から出射された1keVのエネルギーを有したビームを入射すると、該レンズの出射口では該ビームが10eVまで減速される。このように、他の構成の球面収差補正減速型レンズと比較して、球面メッシュを2枚用いた構成では、試料から出射されたビームを大幅に減速させることができる。そのため、試料から出射されたビームを大幅に減速させる必要があるときには、球面メッシュ2枚を用いた構成の球面収差補正減速型レンズが好適に用いられる。
なお、本実施形態の球面収差補正減速型レンズでは、上述したように、第1電極EL1または内球メッシュS1をアース電位に設定しているが、これに限られない。
すなわち、本実施形態の球面収差補正減速型レンズでは、第1電極EL1〜第n電極ELnまたは内球メッシュS1および外球メッシュS2に印加される電圧に、物面P0に配置された試料に印加される電圧と同一の電圧をそれぞれ加算する構成であってもよい。なお、物面P0に配置された試料への電圧の印加は、試料と外部電源とを導線等で接続することにより行われる。
上記構成により、第1電極EL1〜第n電極ELnまたは内球メッシュS1および外球メッシュS2に印加される電圧が変化したとしても、試料から出射されたビームを像面P1において集束させることが可能である。さらに、試料に印加される電圧を調節することにより、第1電極EL1〜第n電極ELnまたは内球メッシュS1および外球メッシュS2に印加される電圧を自由に調節することが可能となる。
例えば、図2(a)に示した球面収差補正減速型レンズにおいて、物面P0から像面P1までの距離を500mmとし、試料から出射されるビームのエネルギーを1keVとした場合に、第1電極EL1、第2電極EL2および第3電極EL3の各電極に印加される電圧は、上述したように、それぞれ0V、約−443.96V、約−819.82Vである。
ここで、第3電極EL3に印加される電圧を0Vとする場合は、試料に印加される電圧を約819.82V、第1電極EL1に印加される電圧を約819.82V、第2電極EL2に印加される電圧を約375.86Vとすることにより、物面P0から出射されたビームを像面P1において集束させることが可能となる。
なお、メッシュMおよび第1電極EL1が別に設けられている場合は、メッシュM〜第n電極ELnに印加される電圧に、試料に印加された電圧と同一の電圧を加算する。
また、試料に電圧を印加する場合は、図22に示すように、メッシュMとの間で試料を取り囲むようにシールド16を設けることが好ましい。図22は、図2(a)に示す球面収差補正減速型レンズにおいて、試料周辺を同電位に保つためのシールド16を設けた図である。シールド16を設けることにより、シールド16とメッシュMとにより試料を取り囲むことができ、試料周辺の電位を一定に保つことができる。なお、シールド16はステンレス等の薄い板から構成されていることが好ましい。
また、シールド16は、試料に電圧を印加する場合には、図2(a)に示す球面収差補正減速型レンズに限られず、上述した全ての球面収差補正減速型レンズにおいて設けられていることが好ましい。
また、本実施形態の球面収差補正減速型レンズでは、物面P0に配置された試料には、第1電極EL1または内球メッシュS1に印加される電圧よりも低い電圧が印加される構成であってもよい。
例えば、第1電極EL1または内球メッシュS1に印加される電圧が0Vの場合は、試料に印加される電圧を負の電圧とし、第1電極EL1または内球メッシュS1に印加される電圧が正の電圧の場合は、試料に印加される電圧を0Vとする。なお、試料に印加される電圧は、上述した例に限られず、第1電極EL1または内球メッシュS1に印加される電圧よりも低い電圧であればよく、正の電圧であっても、負の電圧であってもかまわない。
この場合、試料から出射されたビームは、試料と第1電極EL1または内球メッシュS1とにそれぞれ異なる電圧が印加されるために、メッシュMまたは内球メッシュS1に入射する前にエネルギーが変化する。そのため、第1電極EL1〜第n電極ELnまたは内球メッシュS1および外球メッシュS2に印加される電圧は、以下のような方法により決定される。
まず、第1電極EL1または内球メッシュS1に印加される電圧を0Vとした場合において、変化したエネルギーを有する上記ビームを像面P1において集束するように、第2電極EL2〜第n電極ELnまたは外球メッシュS2に印加される電圧を設定する。この電圧を基準電圧とする。
そして、第1電極EL1または内球メッシュS1に印加される電圧が、0Vに所定の電圧が加算された電圧である場合は、第2電極EL2〜第n電極ELnまたは外球メッシュS2に印加される基準電圧にも、第1電極EL1または内球メッシュS1に加算された電圧と同一の電圧をそれぞれ加算する。これにより、試料から出射したビームのエネルギーが物面P0と第1電極EL1または内球メッシュS1との間において変化した場合であっても、該ビームを像面P1において集束させることが可能である。
なお、第2電極EL2〜第n電極ELnまたは外球メッシュS2に加算される電圧は、第1電極EL1または内球メッシュS1に加算された電圧と同一の電圧に限られず、それぞれ異なる電圧であってもよい。ただし、第1電極EL1〜第n電極ELnまたは内球メッシュS1および外球メッシュS2において、試料から出射されたビームが像面P1において集束するように、各電極に加算される電圧を調節する必要がある。
さらに、上記構成により、物面P0に配置された試料に対して第1電極EL1または内球メッシュS1に印加される電圧よりも低い電圧が印加されるために、試料から出射されたビームは物面P0からメッシュMまたは内球メッシュS1までの間で加速される。
そのため、物面P0からメッシュMまたは内球メッシュS1までの間において、上記ビームの開き角が小さくなり、該ビームのメッシュMまたは内球メッシュS1への入射角が小さくなるために、該ビームを像面P1において容易に集束させることができる。すなわち、上記構成により、本実施形態の球面収差補正減速型レンズは、より大きな開き角のビームを取り込むことが可能となる。
なお、メッシュMおよび第1電極EL1が別に設けられている場合は、物面P0に配置された試料には、メッシュMに印加される電圧よりも低い電圧が印加される。
以上のように、本実施形態の球面収差補正減速型レンズは、物面P0から一定の開き角をもって出射されたビームに生じる球面収差を補正する球面収差補正減速型レンズであって、光軸を中心軸とする回転体面からなり、外部電源から任意の電圧が印加される少なくとも2つの電極を備え、上記電極の少なくとも1つは、物面P0に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュMであり、上記各電極は、該各電極に印加された電圧により、上記ビームを減速させるとともに、該ビームに生じる球面収差を補正するための減速型集束電場を形成することを特徴としている。
上記構成により、光軸を中心軸とする回転体面からなる第1電極EL1〜第n電極ELnに対して、外部電源から任意の電圧を印加することにより、該各電極は、物面P0より出射されたビームを減速させるとともに、該ビームに生じる球面収差を補正するための減速型集束電場を形成することができる。これにより、高エネルギーのビームが物面P0から出射された場合であっても、上記各電極によって形成された減速型集束電場により、該ビームを減速させることができる。
また、上記電極の少なくとも1つとして、物面P0に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュMを用いることにより、大きな取り込み角を実現することが可能となる。そのため、高エネルギー、かつ、大きな開き角のビームを本発明の球面収差補正減速型レンズに入射させ、像面で集束したビームを、引き続き、後段に設けられたレンズに入射した場合、後段レンズの電極に高電圧を印加することなく、該ビームを後段レンズの像面において集束させることができる。
〔球面収差補正レンズシステム〕
一般に、電子レンズには、静電型または磁場型に関わらず、正の球面収差が付随している。そのため、物面の一点から出射されたビームは、電子レンズに対する開き角が大きいほど、より物面に近い位置に結像する。したがって、電子レンズの取り込み角が大きいほど、より大きなボケが生じることになる。
しかしながら、ビームが電子レンズに入射する時に、該ビームに対して適切な負の球面収差を与えることにより、該電子レンズにおいて生じる正の球面収差を打ち消すことが可能である。上記構成について、図10(a)および図10(b)を参照して説明する。図10(a)および図10(b)は、前段レンズおよび後段レンズの2つのレンズからなるレンズシステムを考慮した図であり、後段レンズのみを図中に示している。図10(a)は、前段レンズおよび後段レンズの2つのレンズからなるレンズシステムにおいて、±12度の開き角のビームを後段レンズに入射したときの電子軌道を示す断面図であり、図10(b)は、図10(a)において、後段レンズの像面P2においてビームが一点に集まるように計算した電子軌道を示す断面図である。なお、ビームの入射エネルギーは、1keVである。
図10(a)に示す電子レンズでは、前段レンズの像面P1において、試料から出射されたビームを集束させる構成としている。この場合は、後段レンズにおいて生じる正の球面収差により、後段レンズの像面P2において大きなボケが生じる。このように、電子レンズに入射されるビームの開き角が±10度程度以上になると、後段レンズの像面P2における球面収差が顕著になる。
しかしながら、図10(b)に示す電子レンズでは、前段レンズの像面P1において、試料から出射されたビームを集束させず、負の球面収差を与えることにより、後段レンズにおいて生じる正の球面収差を打ち消し、後段レンズの像面P2においてビームが集束する。すなわち、前段レンズおよび後段レンズの2つのレンズからなるレンズシステムでは、試料から出射されたビームに対して、前段レンズにおいて入射時に適切な負の球面収差を与えることにより、後段レンズにおいて生じる正の球面収差を打ち消すことができることを示している。本発明の球面収差補正レンズシステムはこのような考えに基づいている。
〔第1実施例〕
ここで、本発明の球面収差補正レンズシステムの第1実施例について図11〜図14を参照して説明する。図11は、本実施例の球面収差補正レンズシステムの概略構成を示す断面図である。なお、図中の曲線は、物面から出射されたビームの軌跡を示すものである。
本実施例の球面収差補正レンズシステムは、図11に示すように、第1レンズE1と、第2レンズE2とを備えている。
第1レンズE1は、上述した本発明の球面収差補正減速型レンズから構成されている。ここでは、球面収差補正減速型レンズは、像面P1において負の球面収差を発生するように、メッシュMの長軸短軸比、各電極に印加される電圧、物面P0からメッシュMまでの距離、および各電極の長さの少なくとも1つが調節されている。
第2レンズE2は、少なくとも1つの電子レンズから構成されており、該電子レンズは正の球面収差を発生する。なお、ここでは、説明を簡略化するために、第2レンズE2として単一の電子レンズを用いた構成としている。また、第2レンズE2は、静電型または磁場型のいずれの電子レンズを用いてもよく、第2レンズE2が複数の電子レンズから構成される場合には、静電型および磁場型を組み合わせて用いてもよい。
ここで、本実施例の球面収差補正レンズシステムにおいて、本発明の球面収差補正減速型レンズを用いて、像面P1で負の球面収差を発生させるための構成について図12および図13を参照して説明する。図12は、メッシュMの長軸短軸比γが1.44、1.47、1.50、1.53、1.56の場合において、ビームの入射角と球面収差との関係を示すグラフである。図13は、第2電極EL2に印加される電圧Vが−490V、−460V、−443V、−430V、−400Vの場合において、ビームの入射角と球面収差との関係を示すグラフである。
図12に示すように、メッシュMの長軸短軸比γが1.53および1.56の場合は、球面収差補正減速型レンズに入射するビームの入射角が大きくなるのに伴い、負の球面収差が大きくなる。なお、メッシュMの長軸短軸比γが1.56の場合の方が、1.53の場合と比較して、入射角の拡大に伴う球面収差の変化が大きい。また、メッシュMの長軸短軸比γが1.44および1.47の場合は、ビームの入射角が大きくなるのに伴い、正の球面収差が大きくなる。なお、メッシュMの長軸短軸比γが1.44の場合の方が、1.47の場合と比較して、入射角の拡大に伴う球面収差の変化が大きい。また、メッシュMの長軸短軸比γが1.50の場合は、ビームの入射角に関係なく、球面収差はほぼ一定である。したがって、メッシュMの長軸短軸比γが1.50<γ<1.56の場合、像面P1において0<rs/R<0.15の負の球面収差を生じる。ここで、rsは球面収差、Rはレンズの半径である。
また、図13に示すように、第2電極EL2に印加される電圧Vが−430Vおよび−400Vの場合は、球面収差補正減速型レンズに入射するビームの入射角が大きくなるのに伴い、負の球面収差が大きくなる。なお、第2電極EL2に印加される電圧Vが−400Vの場合の方が、−430Vの場合と比較して、入射角の拡大に伴う球面収差の変化が大きい。また、第2電極EL2に印加される電圧Vが−460Vおよび−490Vの場合は、ビームの入射角が大きくなるのに伴い、正の球面収差が大きくなる。なお、第2電極EL2に印加される電圧Vが−490Vの場合の方が、−460Vの場合と比較して、入射角の拡大に伴う球面収差の変化が大きい。また、第2電極EL2に印加される電圧Vが−443Vの場合は、ビームの入射角に関係なく、球面収差はほぼ一定である。したがって、第2電極EL2に印加される電圧Vが−443V<V<−400Vの場合、像面P1において0<rs/R<0.15の負の球面収差を生じる。
また、図示していないが、第1電極EL1の長さL1が増加する、すなわち、第1電極EL1の長さL1と球面収差補正減速型レンズの半径Rとの比であるL1/Rが大きくなるに伴い、負の球面収差が生じる。さらに、図示していないが、物面P0からメッシュMまでの距離を調節することによっても、球面収差の符号(+または−)および絶対値を制御することが可能である。
このように、メッシュMの長軸短軸比γ、第2電極EL2に印加される電圧V、物面P0からメッシュMまでの距離、および各電極の長さの少なくとも1つを調節することにより、像面P1において負の球面収差を生じることができる。したがって、第2レンズE2において生じる正の球面収差に応じて、メッシュMの長軸短軸比γ、第2電極EL2に印加される電圧Vの値、物面P0からメッシュMまでの距離、および各電極の長さの少なくとも1つを適宜調節することにより、第2レンズE2の像面P2において球面収差をほぼ0とすることが可能となる。
ここで、本実施例の球面収差補正レンズシステムにおいて、第2レンズE2の像面P2において球面収差をほぼ0とするための構成について図14(a)および図14(b)を参照して説明する。図14(a)は、本実施例の球面収差補正レンズシステムの構成をより詳細に示した断面図であり、図14(b)は、図14(a)において、ビームの入射角と第1レンズE1の像面P1の球面収差および第2レンズE2の像面P2における球面収差との関係を示すグラフである。
図14(b)に示すように、メッシュMの長軸短軸比γ、第2電極EL2に印加される電圧V、物面P0からメッシュMまでの距離、および第1電極EL1の長さL1と球面収差補正減速型レンズの半径Rとの比L1/Rの値を負の球面収差を生じる値に設定すると、第1レンズE1に入射するビームの入射角が大きくなるにしたがって、第1レンズE1の像面P1における負の球面収差は大きくなる。第2レンズE2において生じる正の球面収差も、第1レンズE1に入射するビームの入射角が大きくなるにしたがい、大きくなる。その結果、第2レンズE2の像面P2では、第1レンズE1に入射するビームの入射角の大きさに関係なく、像面P1で生じた負の球面収差が第2レンズE2に生じる正の球面収差と打ち消しあい、球面収差がほぼ0となっている。
なお、第1レンズE1に設けられる電極の数は、本発明の球面収差補正減速型レンズにおいても述べたように、少なくとも2つ設けられていればよく、球面収差補正レンズシステムの設計に応じて自由に変更してよい。この場合、第1レンズE1に設けられる電極の数に応じて、メッシュMの長軸短軸比γ、各電極に印加される電圧の値、物面P0からメッシュMまでの距離、および各電極の長さの少なくとも1つを適宜調節することが望ましい。また、本実施例の球面収差補正レンズシステムにおいても、メッシュの形状の微調整を、例えば、数式1または数式2に基づいて行うことにより、球面収差を完全に補正することが可能である。
また、第1レンズE1を構成する球面収差補正減速型レンズにおいて、第n電極ELnに印加される電圧を0Vまたは0Vに近い値としたときは、第n電極ELnおよび第2レンズE2の周辺に設けられた部材と第2レンズE2を構成する電極との間の電位差が小さくなり、放電を抑制することができる。
そのため、第n電極ELnに0Vとは大きく異なる値の電圧が印加されることにより、第n電極ELnおよび第2レンズE2の周辺に設けられた部材と第2レンズE2を構成する電極との間の電位差が大きく放電が起こりやすい場合と比較して、放電が起こりにくいために、電極等の各部材の構成や配置における制限が小さくなり、システムの性能やサイズ等において有利な設計をすることができる。また、放電を抑制することにより、より高エネルギーなビームを集束させることが可能となり、分析可能なエネルギー域が広がる。
〔第2実施例〕
ここで、本発明の球面収差補正レンズシステムの第2実施例について図15(a)および図15(b)を参照して説明する。図15(a)は、本実施例の球面収差補正レンズシステムの概略構成を示す断面図であり、図15(b)は、本実施例の球面収差補正レンズシステムにおいて、ビームの入射角と第1レンズE1の像面P1の球面収差および第2レンズE2の像面P2における球面収差との関係を示すグラフである。なお、図中の実線の曲線は、物面から出射されたビームの軌跡を示すものである。
本実施例の球面収差補正レンズシステムは、図15(a)に示すように、第1レンズE1と、第2レンズE2とを備えている。本実施例の球面収差補正レンズシステムは、第1レンズE1がアインツェル型の電子レンズから構成されている点で第1実施例の球面収差補正レンズシステムと異なっている。アインツェル型メッシュレンズとしては、図20および図21に示す、取り込み角が±50度および±60度の電子レンズが好適に用いられる。なお、図15(a)では、取り込み角が±50度のアインツェル型メッシュレンズを用いている。
この場合であっても、第1実施例の球面収差補正レンズシステムと同様に、メッシュMの長軸短軸比γ、各電極に印加される電圧、物面P0からメッシュMまでの距離、および各電極の長さの少なくとも1つを調節することにより、図15(b)に示すように、像面P1において負の球面収差を生じることが可能である。そして、上記負の球面収差は、第2レンズE2において生じる正の球面収差と打ち消しあうために、第2レンズE2の像面P2において球面収差をほぼ0とすることができる。なお、本実施例の球面収差補正レンズシステムにおいても、メッシュの形状の微調整を、例えば、数式1または数式2に基づいて行うことにより、球面収差を完全に補正することが可能である。
なお、本実施例の球面収差補正レンズシステムにおいても、第1実施例の球面収差補正レンズシステムと同様に、第1レンズE1において発生する正の球面収差を、第2レンズE2において負の球面収差を発生させることにより打ち消す構成であってもかまわない。
〔第3実施例〕
ここで、本発明の球面収差補正レンズシステムの第3実施例について図16を参照して説明する。図16は、本実施例の球面収差補正レンズシステムの概略構成を示す断面図である。なお、図中の曲線は、物面から出射されたビームの軌跡を示すものである。
本実施例の球面収差補正レンズシステムは、図16に示すように、第1レンズE1と、第2レンズE2とを備えている。本実施例の球面収差補正レンズシステムは、第1実施例の球面収差補正レンズシステムとは、第1レンズE1および第2レンズE2の順番が異なっている。すなわち、第1レンズE1は、少なくとも1つの電子レンズから構成されており、第2レンズE2は、上述した本発明の球面収差補正減速型レンズから構成されている。さらに、本実施例では、第1レンズE1として、試料から出射されたビームを大きな取り込み角で取り込むことが可能な電子レンズ、例えば、試料から出射されたビームを加速して対物レンズに取り込む構成とすることで、該ビームを±60度程度の大きな取り込み角で取り込むことを可能にした電子レンズを用いている。
なお、ここでは、第1レンズE1は、説明を簡略化するために、第1レンズE1として単一の電子レンズを用いた構成としている。また、第1レンズE1は、静電型または磁場型のいずれの電子レンズを用いてもよく、第1レンズE1が複数の電子レンズから構成される場合には、静電型および磁場型を組み合わせて用いてもよい。
本実施例の球面収差補正レンズシステムでは、試料から出射されるビームの開き角が大きくなるにしたがって、第1レンズE1において生じる正の球面収差が大きくなり、同時に、第2レンズE2に入射するビームの開き角も大きくなる。本実施例の第2レンズE2は、本発明の球面収差補正減速型レンズを用いているために、±0度〜±60度の範囲内の取り込み角とすることができる。そのため、第1レンズE1に対して、大きな開き角のビームを入射した場合であっても、第2レンズE2に該ビームを入射することが可能となる。
そして、本実施例においても、第1実施例の球面収差補正レンズシステムと同様に、第1レンズE1において生じる大きな正の球面収差を、第2レンズE2において生じる負の球面収差によって打ち消すために、メッシュMの長軸短軸比γ、第2レンズE2の各電極に印加される電圧、像面P1からメッシュMまでの距離、および第2レンズE2の各電極の長さの少なくとも1つが調節される。これにより、図16に示すように、第2レンズE2の像面P2において球面収差が打ち消された実像を形成することができる。
なお、本実施例の球面収差補正レンズシステムにおいても、メッシュMの形状の微調整を、例えば、数式1または数式2に基づいて行うことにより、球面収差を完全に補正することが可能である。
なお、本実施例では、第2レンズE2として上述した本発明の球面収差補正減速型レンズを用いているが、本発明はこれに限られない。つまり、第2レンズE2として、負の球面収差が付随した電子レンズ(例えば、多極子レンズ)を用いてもかまわない。この場合は、第1レンズE1として、本発明の球面収差補正減速型レンズのメッシュMが設けられた正の球面収差を生じる電子レンズを用いることが望ましい。これにより、第1レンズE1は、物面P0から出射されたビームを±0〜±60度の範囲内の取り込み角で取り込むことができる。そして、第2レンズE2において生じる負の球面収差を補正するように、第1レンズE1において適切な正の球面収差を与えることにより、第1レンズE1において生じた正の球面収差は、第2レンズE2の像面P2において打ち消される。
以上のように、本実施形態の球面収差補正レンズシステムは、物面P0から一定の開き角をもって出射されたビームに対して、正または負の球面収差を有する実像を形成する第1レンズE1と、第1レンズE1の後段に、第1レンズE1の光軸と同軸に配置され、第1レンズE1が生じた正または負の球面収差を打ち消す第2レンズE2とを備え、第1レンズE1または第2レンズE2は、物面に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュが設けられており、上記ビームの取り込み角が±0度〜±60度の範囲内となるように設定されていることを特徴としている。
上記構成により、第1レンズE1において形成された正または負の球面収差を有する実像は、第1レンズE1の後段に、第1レンズE1の光軸と同軸に配置された第2レンズE2によって、正または負の球面収差が打ち消される。したがって、本実施形態の球面収差補正レンズシステムは、前段に設けられた第1レンズE1および後段に設けられた第2レンズE2の複数のレンズ間において、球面収差を0にすることが可能になる。
〔電子分光装置〕
次に、上述した球面収差補正減速型レンズまたは球面収差補正レンズシステムを用いて構成された電子分光装置について図17を参照して説明する。図17は、本発明の電子分光装置の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態の電子分光装置1は、図17に示すように、インプットレンズ2と、球面鏡アナライザ3と、アパチャー4と、マイクロチャンネルプレート(MCP)5と、スクリーン6とから構成されている。本実施形態の電子分光装置は、インプットレンズ2として、本発明の球面収差補正減速型レンズまたは球面収差補正レンズシステムを用いることを特徴としている。なお、図17では、本発明の球面収差補正減速型レンズを用いた構成としている。
以下に、本実施形態の電子分光装置1の動作について説明する。
まず、インプットレンズ2のメッシュMが設けられている側に設置された試料(サンプル)に対して、照射部材7が紫外線やX線等の光、または電子線を照射する。光または電子線の照射により試料表面から放出された電子は、インプットレンズ2によって減速、集束され、球面鏡アナライザ3に入射される。球面鏡アナライザ3に入射された電子は、球面鏡アナライザ3の出射口に設けられたアパチャー4によってエネルギー別に選別された後、マイクロチャンネルプレート5で電子増倍され、スクリーンに投影される。
なお、球面鏡アナライザ3の入射口付近には、エネルギー分解能を調節するためのレンズやアパチャーが設けられていてもよい。また、本実施形態では、球面鏡アナライザ3を用いているが、本発明はこれに限られず、静電半球アナライザや円筒鏡アナライザ等を用いてもかまわない。しかし、球面鏡アナライザ3は、静電半球アナライザや円筒鏡アナライザ等と異なり、開口収差がなく、かつ、±20度程度の取り込み角にわたって、静電半球アナライザと同程度のエネルギー分解能を持たせることが可能であるために、球面鏡アナライザ3を用いることが好ましい。
上記構成により、高エネルギーのビームを、±60度程度の大きな取り込み角で取り込み、減速した上で集束することが可能となるために、電子分光装置の感度、機能、およびエネルギー分解能を向上させることができる。
〔光電子顕微鏡〕
次に、上述した球面収差補正減速型レンズまたは球面収差補正レンズシステムを用いて構成された光電子顕微鏡10について図18を参照して説明する。図18は、本発明に係る光電子顕微鏡の一実施例を示すブロック図である。
本実施形態の光電子顕微鏡10は、図18に示すように、対物レンズ11と、第1レンズシステム12と、エネルギー分析器13と、第2レンズシステム14と、検出器15とを備えている。光電子顕微鏡10は、対物レンズ11として、本発明の球面収差補正減速型レンズまたは球面収差補正レンズシステムを用いることを特徴としている。
以下に、本実施形態の光電子顕微鏡10の動作について説明する。
まず、対物レンズ11のメッシュMが設けられている側に設置された試料(サンプル)に対して、照射部材7が紫外線やX線等の光、または電子線を照射する。光または電子線の照射により試料表面から放出された電子は、対物レンズ11によって集束され、第1レンズシステム12、エネルギー分析器13および第2レンズシステム14を介して検出器15に入射される。
第1レンズシステム12および第2レンズシステム14においては、イメージングモードまたは角度分解モード(回折モード)の切り替え、エネルギー分解能の調節、像の拡大等が行われる。イメージングモードでは、実空間の拡大像が得られるだけでなく、選別する電子のエネルギーを変化させて、検出器15にかかる電子数を測定すれば、試料の特定の領域から放出される電子のスペクトルが得られる。また、角度分解モードでは、非常に大きな放出角度にわたって、放出電子の角度分布を一度に測定することができる。
なお、本実施形態では、エネルギー分析器13が設けられている構成であるが、本発明はこれに限られず、エネルギー分析器13が設けられていない構成であってもかまわない。また、エネルギー分析器13は、静電半球アナライザ、球面鏡アナライザ、円筒鏡アナライザ等、目的に応じて自由に選択することができる。
なお、対物レンズ11の構成は、他の構成要素との組合わせや光電子顕微鏡10に要求される性能等を考慮して設計することが望ましい。また、対物レンズ11から出射された電子を、後段レンズや開口収差が付随するアナライザ等に入射させる場合には、その収差も補正できるようにシステムを設計することが望ましい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の球面収差補正減速型レンズは、上記課題を解決するために、所定物面位置から一定の開き角をもって出射された電子またはイオンビーム(以下、ビーム)に生じる球面収差を補正する球面収差補正レンズであって、光軸を中心軸とする回転体面からなり、外部電源から任意の電圧が印加される少なくとも2つの電極を備え、上記電極の少なくとも1つは、物面に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュであり、上記各電極は、該各電極に印加された電圧により、上記ビームを減速させるとともに、該ビームに生じる球面収差を補正するための減速型集束電場を形成することを特徴としている。
上記構成により、光軸を中心軸とする回転体面からなる少なくとも2つの電極に対して、外部電源から任意の電圧を印加することにより、該各電極は、所定物面位置より出射されたビームを減速させるとともに、該ビームに生じる球面収差を補正するための減速型集束電場を形成することができる。これにより、高エネルギーのビームが物面から出射された場合であっても、上記各電極によって形成された減速型集束電場により、該ビームを減速させることができる。
また、上記電極の少なくとも1つとして、物面に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュを用いることにより、大きな取り込み角を実現することが可能となる。そのため、高エネルギー、かつ、大きな開き角のビームを本発明の球面収差補正減速型レンズに入射させ、像面で集束したビームを、引き続き、後段に設けられたレンズに入射した場合、後段レンズの電極に高電圧を印加することなく、該ビームを後段レンズの像面において集束させることができる。
したがって、本発明の球面収差補正減速型レンズを電子分光装置または光電子顕微鏡に適用した場合、高エネルギー、かつ、大きな開き角を有したビームを、入射することが可能となり、電子分光装置および光電子顕微鏡の感度および機能を大幅に向上することができる。
また、本発明の球面収差補正減速型レンズでは、上記ビームに生じる球面収差は、上記メッシュの長軸短軸比、上記各電極の長さ、所定物面位置から該メッシュまでの距離、および該各電極に印加される電圧の少なくとも1つを調節することによって補正される構成であってもよい。
上記構成により、メッシュの長軸短軸比、各電極の長さ、所定物面位置から該メッシュまでの距離および該各電極に印加される電圧の少なくとも1つを調節することによって、所定物面位置から出射されたビームに生じる球面収差を補正することが可能となる。
また、本発明の球面収差補正減速型レンズでは、上記メッシュの長軸短軸比、上記各電極の長さ、所定物面位置から該メッシュまでの距離および該各電極に印加される電圧は、上記ビームの取り込み角が±0度〜±60度の範囲内となるように設定されていてもよい。
上記構成により、上記メッシュの長軸短軸比、上記各電極の長さ、所定物面位置から該メッシュまでの距離および該各電極に印加される電圧を調節することにより、物面から出射されたビームを±0〜±60度の範囲内の取り込み角で取り込むことができる。これにより、本発明の球面収差補正減速型レンズは、最大で±60度程度の開き角のビームを減速した上で集束させることができる。
したがって、本発明の球面収差補正減速型レンズを電子分光装置または光電子顕微鏡に適用した場合、高エネルギー、かつ、大きな開き角を有したビームを、入射することが可能となり、電子分光装置および光電子顕微鏡の感度および機能を大幅に向上することができる。
また、本発明の球面収差補正減速型レンズでは、上記メッシュは、上記光軸を中心軸とする回転楕円面からなり、該回転楕円面の長軸短軸比が約1.3〜約1.7の範囲内であってもよい。
メッシュの形状が光軸を中心軸とする球面からなる場合、ビームの取り込み角は±30度程度が限界であった。そこで、上述したように、メッシュの形状を、光軸を中心軸とする回転楕円面から構成することにより、メッシュの形状が球面からなる場合と比較して、ビームの取り込み角を±60度程度まで大きくすることが可能となる。
したがって、本発明の球面収差補正減速型レンズを電子分光装置または光電子顕微鏡に適用した場合、高エネルギー、かつ、大きな開き角を有したビームを、入射することが可能となり、電子分光装置および光電子顕微鏡の感度および機能を大幅に向上することができる。
また、本発明の球面収差補正減速型レンズは、
下記(i)、(ii)、および(iii)の条件が満たされているとき、
(i)上記メッシュを含む電極が4つ
(ii)ビームの取り込み角が±50度
(iii)物面から像面までの距離が500mm
上記メッシュの長軸aおよび短軸bの長軸短軸比γ=a/bは約1.4〜約1.6の範囲内にあってもよい。
また、本発明の球面収差補正減速型レンズでは、上記(i)、(ii)、および(iii)の条件が満たされているとき、上記各電極の長さは、該メッシュの像面側に隣接した第1電極の長さは約1mm〜約10mmの範囲内であって、該第1電極の像面側に隣接した第2電極の長さは約5mm〜約25mmの範囲内であってもよい。
また、本発明の球面収差補正減速型レンズは、上記(i)、(ii)、および(iii)の条件が満たされているとき、物面からメッシュの回転楕円面の原点までの距離が約10mm〜約25mmの範囲内にあってもよい。
また、本発明の球面収差補正減速型レンズは、上記ビームのエネルギーが1keVであるとき、上記メッシュに印加される電圧が0V、上記第1電極に印加される電圧が0V、上記第2電極に印加される電圧が約−100V〜約−550Vの範囲内であり、該第2電極の像面側に隣接する第3電極に印加される電圧が約−550V〜約−950Vの範囲内であってもよい。
上述したように、上記(i)、(ii)、および(iii)の条件が満たされているとき、メッシュの長軸短軸比、各電極の長さ、所定物面位置からメッシュまでの距離および各電極に印加される電圧の少なくとも1つを好適な範囲で調節することにより、物面から出射されたビームを±50度の範囲内の取り込み角で取り込むことができる。これにより、本発明の球面収差補正減速型レンズは、最大で±50度程度の開き角のビームを減速した上で集束させることができる。
また、本発明の球面収差補正減速型レンズでは、上記メッシュは、上記光軸を中心軸とする、半径の異なる少なくとも2つの回転体面からなり、上記各メッシュの半径の比、上記ビームの入射時と出射時とのエネルギーの比、および物面から上記各メッシュのうち物面に面した内球メッシュの中心までの距離と該内球メッシュの半径との比が、該ビームの取り込み角が±0度〜±50度の範囲内となるように設定されていてもよい。
上記構成により、メッシュが上記光軸を中心軸とする、半径の異なる少なくとも2つの回転体面からなる場合、上記各メッシュの半径の比、上記ビームの入射時と出射時とのエネルギーの比、および物面から上記各メッシュのうち物面に面した内球メッシュの中心までの距離と該内球メッシュの半径との比を調整することにより、物面から出射されたビームを±0〜±50度の範囲内の取り込み角で取り込むことができる。これにより、本発明の球面収差補正減速型レンズは、最大で±50度程度の開き角のビームを減速した上で集束させることができる。
したがって、本発明の球面収差補正減速型レンズを電子分光装置または光電子顕微鏡に適用した場合、高エネルギー、かつ、大きな開き角を有したビームを、入射することが可能となり、電子分光装置および光電子顕微鏡の感度および機能を大幅に向上することができる。
また、本発明の球面収差補正減速型レンズでは、上記各メッシュは、上記光軸を中心軸とする球面であってもよい。
メッシュが光軸を中心軸とする1つの球面からなる場合は、ビームの取り込み角は±30度が限界であった。そのため、上述したように、光軸を中心軸とする、半径の異なる少なくとも2つの球面からなるメッシュを用い、該各メッシュの半径の比をビームの取り込み角が±0度〜±50度の範囲内となるように設定することにより、本発明の球面収差補正減速型レンズは球対称電場を形成し、取り込み角を±50度程度まで増加させることができる。また、メッシュが光軸を中心軸とする球面からなる場合は、メッシュが光軸を中心軸とする回転楕円面からなる場合と比較して、加工が容易であり、コスト面では有利である。
また、本発明の球面収差補正減速型レンズでは、上記各電極に印加される電圧に、所定物面位置に配置された試料に印加される電圧と同一の電圧をそれぞれ加算する構成であってもよい。
上記構成により、上記各電極に印加される電圧が変化したとしても、試料から出射されたビームを像面において集束させることが可能である。さらに、試料に印加される電圧を調節することにより、上記各電極に印加される電圧を自由に調節することが可能となる。
また、本発明の球面収差補正減速型レンズでは、所定物面位置に配置された試料には、上記メッシュに印加される電圧よりも低い電圧が印加される構成であってもよい。
上記構成により、所定物面位置に配置された試料に対して上記メッシュに印加される電圧よりも低い電圧が印加されるために、試料から出射されたビームは所定物面位置から上記メッシュまでの間で加速される。
そのため、所定物面位置から上記メッシュまでの間において、上記ビームの開き角が小さくなり、該ビームの該メッシュへの入射角が小さくなるために、該ビームを像面において容易に集束させることができる。すなわち、上記構成により、本発明の球面収差補正減速型レンズは、より大きな開き角のビームを取り込むことが可能となる。
本発明の球面収差補正レンズシステムは、所定物面位置から一定の開き角をもって出射された電子またはイオンビーム(以下、ビーム)に対して、正または負の球面収差を有する実像を形成する第1レンズと、上記第1レンズの後段に、該第1レンズの光軸と同軸に配置され、該第1レンズが生じた正または負の球面収差を打ち消す第2レンズとを備え、上記第1レンズまたは上記第2レンズは、物面に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュが設けられており、上記ビームの取り込み角が±0度〜±60度の範囲内となるように設定されていることを特徴としている。
一般に、電子レンズには、静電型または磁場型に関わらず、正の球面収差が付随している。そのため、物面の一点から出射されたビームは、電子レンズに対する開き角が大きいほど、より物面に近い位置に結像する。したがって、電子レンズの取り込み角が大きいほど、より大きなボケが生じることになる。
そのため、一般の電子レンズ、すなわち、正の球面収差が付随する電子レンズを本発明の球面収差補正レンズシステムの第1レンズまたは第2レンズとして用いた場合、もう一方のレンズとして負の球面収差を生じるレンズを用い、該レンズにおいて該電子レンズによる正の球面収差を打ち消すように適切な負の球面収差を与えることにより、物面から出射されたビームは、第2レンズの像面において球面収差が打ち消される。具体的には、第1レンズにおいて形成された正または負の球面収差を有する実像は、該第1レンズの後段に、該第1レンズの光軸と同軸に配置された第2レンズによって、正または負の球面収差が打ち消される。
さらに、第1レンズまたは第2レンズは、物面に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュが設けられており、上記ビームの取り込み角が±0度〜±60度の範囲内となるように設定されているために、例えば、第1レンズとして、メッシュを備え、かつ、負の球面収差を生じるレンズを用い、第2レンズとして、正の球面収差が付随するレンズを用いることにより、該第1レンズは、物面から出射されたビームを±0〜±60度の範囲内の取り込み角で取り込むことができる。そして、第2レンズにおいて生じる正の球面収差を補正するように、第1レンズにおいて適切な負の球面収差を与えることにより、第2レンズの像面において球面収差を打ち消すことが可能となる。
また、例えば、第1レンズとして、物面から出射されたビームを大きな取り込み角で取り込み可能であり、かつ、正の球面収差が付随するレンズを用い、第2レンズとして、メッシュを備え、かつ、負の球面収差を生じるレンズを用いた場合、該第2レンズはビームを±0〜±60度の範囲内の取り込み角で取り込むことができるために、該第1レンズにおいて生じた大きな正の球面収差を有したビームを該第2レンズに入射することが可能である。そして、第1レンズにおいて生じる正の球面収差を補正するように、第2レンズにおいて適切な負の球面収差を与えることにより、該第1レンズにおいて生じた大きな正の球面収差は、該第2レンズの像面において打ち消される。
また、例えば、第1レンズとして、メッシュを備え、かつ、正の球面収差を生じるレンズを用い、第2レンズとして、負の球面収差が付随するレンズ(例えば、多極子レンズ)を用いた場合、該第1レンズは、物面から出射されたビームを±0〜±60度の範囲内の取り込み角で取り込むことができる。そして、第2レンズにおいて生じる負の球面収差を補正するように、第1レンズにおいて適切な正の球面収差を与えることにより、該第1レンズにおいて生じた負の球面収差は、該第2レンズの像面において打ち消される。
したがって、本発明の球面収差補正レンズシステムは、物面から出射されたビームの球面収差を後段レンズの像面において0とすることが可能になる。
そのため、本発明の球面収差補正レンズシステムを電子分光装置または光電子顕微鏡に適用した場合、前段レンズのみを用いて球面収差を補正した場合と比較して、空間分解能を向上することができる。
また、本発明の球面収差補正レンズシステムでは、上記第1レンズまたは上記第2レンズのうち、上記メッシュが設けられたレンズは、上述した球面収差補正減速型レンズであってもよい。
本発明の電子分光装置は、上述した球面収差補正減速型レンズまたは上述した球面収差補正レンズシステムを備えることを特徴としている。
上記構成により、高エネルギーのビームを、大きな取り込み角で取り込むことが可能な球面収差補正減速型レンズまたは球面収差補正レンズシステムを用いることにより、電子分光装置の感度および機能を大幅に向上することができる。
本発明の光電子顕微鏡は、上述した球面収差補正減速型レンズまたは上述した球面収差補正レンズシステムを備えることを特徴としている。
上記構成により、高エネルギーのビームを、大きな取り込み角で取り込むことが可能な球面収差補正減速型レンズまたは球面収差補正レンズシステムを用いることにより、光電子顕微鏡の感度および機能を大幅に向上することができる。
本発明の球面収差補正減速型レンズおよび球面収差補正レンズシステムは、球面収差をほぼ0にまで抑制することができるために、電子分光装置のインプットレンズおよび光電子顕微鏡の対物レンズとして好適に用いることができる。

Claims (15)

  1. 所定物面位置から一定の開き角をもって出射された電子またはイオンビーム(以下、ビーム)に生じる球面収差を調整する球面収差補正レンズにおいて、
    光軸を中心軸とする回転体面からなり、外部電源から任意の電圧が印加される少なくとも2つの電極を備え、
    前記電極の少なくとも1つは、物面に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュであり、
    前記各電極は、該各電極に印加された電圧により、前記ビームを減速させるとともに該ビームに生じる球面収差を調整して該ビームを集束させる減速型集束電場を形成し、
    前記減速型集束電場は、減速電場のみによって構成されることを特徴とする球面収差補正減速型レンズ。
  2. 前記ビームに生じる球面収差は、前記メッシュの長軸短軸比、前記各電極の長さ、所定物面位置から該メッシュまでの距離、および該各電極に印加される電圧の少なくとも1つを調節することによって調整されることを特徴とする請求項1に記載の球面収差補正減速型レンズ。
  3. 前記メッシュの長軸短軸比、前記各電極の長さ、所定物面位置から該メッシュまでの距離および該各電極に印加される電圧は、前記ビームの取り込み角が±0度〜±60度の範囲内となるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の球面収差補正減速型レンズ。
  4. 前記メッシュは、前記光軸を中心軸とする回転楕円面からなり、該回転楕円面の長軸aおよび短軸bの長軸短軸比γ=a/bが約1.3〜約1.7の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の球面収差補正減速型レンズ。
  5. 下記(i)、(ii)、および(iii)の条件が満たされているとき、
    (i)前記メッシュを含む電極が4つ
    (ii)前記ビームの取り込み角が±50度
    (iii)物面から像面までの距離が500mm
    前記メッシュの長軸aおよび短軸bの長軸短軸比γ=a/bは約1.4〜約1.6の範囲内にあることを特徴とする請求項2に記載の球面収差補正減速型レンズ。
  6. 下記(i)、(ii)、および(iii)の条件が満たされているとき、
    (i)前記メッシュを含む電極が4つ
    (ii)前記ビームの取り込み角が±50度
    (iii)物面から像面までの距離が500mm
    前記各電極の長さは、前記メッシュの像面側に隣接した第1電極の長さが約1mm〜約10mmの範囲内であって、該第1電極の像面側に隣接した第2電極の長さが約5mm〜約25mmの範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の球面収差補正減速型レンズ。
  7. 下記(i)、(ii)、および(iii)の条件が満たされているとき、
    (i)前記メッシュを含む電極が4つ
    (ii)前記ビームの取り込み角が±50度
    (iii)物面から像面までの距離が500mm
    物面から前記メッシュの回転楕円面の原点までの距離が約10mm〜約25mmの範囲内にあることを特徴とする請求項2に記載の球面収差補正減速型レンズ。
  8. 前記ビームのエネルギーが1keVであるとき、前記メッシュに印加される電圧が0V、前記第1電極に印加される電圧が0V、前記第2電極に印加される電圧が約−100V〜約−550Vの範囲内であり、該第2電極の像面側に隣接する第3電極に印加される電圧が約−550V〜約−950Vの範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の球面収差補正減速型レンズ。
  9. 前記メッシュは、前記光軸を中心軸とする、半径の異なる少なくとも2つの回転体面からなり、
    前記各メッシュの半径の比、前記ビームの入射時と出射時とのエネルギーの比、および物面から前記各メッシュのうち物面に面した内球メッシュの中心までの距離と該内球メッシュの半径との比が、ビームの取り込み角が±0度〜±50度の範囲内となるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の球面収差補正減速型レンズ。
  10. 前記各メッシュは、前記光軸を中心軸とする球面であることを特徴とする請求項9に記載の球面収差補正減速型レンズ。
  11. 前記各電極に印加される電圧に、所定物面位置に配置された試料に印加される電圧と同一の電圧をそれぞれ加算することを特徴とする請求項1に記載の球面収差補正減速型レンズ。
  12. 所定物面位置に配置された試料には、前記メッシュに印加される電圧よりも低い電圧が印加されることを特徴とする請求項1に記載の球面収差補正減速型レンズ。
  13. 所定物面位置から一定の開き角をもって出射された電子またはイオンビーム(以下、ビーム)に対して、正または負の球面収差を有する実像を形成する第1レンズと、
    前記第1レンズの後段に、該第1レンズの光軸と同軸に配置され、該第1レンズが生じた正または負の球面収差を打ち消す第2レンズとを備えており、
    請求項1に記載の球面収差補正減速型レンズが、前記第1レンズまたは前記第2レンズとして備えられていることを特徴とする球面収差補正レンズシステム。
  14. 請求項1に記載の球面収差補正減速型レンズまたは請求項14に記載の球面収差補正レンズシステムを備えることを特徴とする電子分光装置。
  15. 請求項1に記載の球面収差補正減速型レンズまたは請求項14に記載の球面収差補正レンズシステムを備えることを特徴とする光電子顕微鏡。
JP2008526810A 2006-07-26 2007-07-26 球面収差補正減速型レンズ、球面収差補正レンズシステム、電子分光装置および光電子顕微鏡 Active JP4900389B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008526810A JP4900389B2 (ja) 2006-07-26 2007-07-26 球面収差補正減速型レンズ、球面収差補正レンズシステム、電子分光装置および光電子顕微鏡

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006203318 2006-07-26
JP2006203318 2006-07-26
JP2008526810A JP4900389B2 (ja) 2006-07-26 2007-07-26 球面収差補正減速型レンズ、球面収差補正レンズシステム、電子分光装置および光電子顕微鏡
PCT/JP2007/064679 WO2008013232A1 (en) 2006-07-26 2007-07-26 Spherical aberration correction moderating type lens, spherical aberration correction lens system, electron spectroscopy device, and optical electron microscope

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2008013232A1 JPWO2008013232A1 (ja) 2009-12-17
JP4900389B2 true JP4900389B2 (ja) 2012-03-21

Family

ID=38981543

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008526810A Active JP4900389B2 (ja) 2006-07-26 2007-07-26 球面収差補正減速型レンズ、球面収差補正レンズシステム、電子分光装置および光電子顕微鏡

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20100001202A1 (ja)
EP (1) EP2058834B1 (ja)
JP (1) JP4900389B2 (ja)
WO (1) WO2008013232A1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10964522B2 (en) 2018-06-06 2021-03-30 Kla Corporation High resolution electron energy analyzer
WO2021125297A1 (ja) 2019-12-17 2021-06-24 大学共同利用機関法人自然科学研究機構 球面収差調整カソードレンズ、球面収差補正静電型レンズ、電子分光装置、及び光電子顕微鏡
WO2022009995A1 (ja) 2020-07-09 2022-01-13 大学共同利用機関法人自然科学研究機構 静電偏向収束型エネルギー分析器、結像型電子分光装置、反射結像型電子分光装置、およびスピンベクトル分布イメージング装置

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB0720901D0 (en) * 2007-10-24 2007-12-05 Shimadzu Res Lab Europe Ltd Charged particle energy analysers
US8933425B1 (en) 2011-11-02 2015-01-13 Kla-Tencor Corporation Apparatus and methods for aberration correction in electron beam based system
JP6027150B2 (ja) * 2014-06-24 2016-11-16 内海 孝雄 低エネルギー電子ビームリソグラフィ
DE112015006478T5 (de) * 2015-04-21 2018-01-04 Cameca Instruments, Inc. Atomsonde mit weitem Sichtfeld
EP3324421A4 (en) * 2015-07-15 2019-04-24 National University corporation Nara Institute of Science and Technology ELECTROSTATIC LENS, AND PARALLEL BEAM GENERATING DEVICE, AND PARALLEL BEAM CONVERGENCE DEVICE USING THE ELECTROSTATIC LENS AND A COLLIMATOR
US10916414B2 (en) * 2018-01-25 2021-02-09 Ionpath, Inc. Ion beam focus adjustment
EP3792950A4 (en) * 2018-05-09 2022-01-26 National University corporation Nara Institute of Science and Technology VARIABLE REDUCTION RATIO ELECTROSTATIC LENS FOR SPHERICAL ABERRATION CORRECTION, WIDE ANGLE ENERGY ANALYZER AND TWO-DIMENSIONAL ELECTRON SPECTROMETER
JP7328477B2 (ja) * 2018-11-16 2023-08-17 株式会社北海光電子 光電子顕微鏡
JP7030089B2 (ja) * 2019-09-30 2022-03-04 日本電子株式会社 インプットレンズおよび電子分光装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4358680A (en) * 1979-11-30 1982-11-09 Kratos Limited Charged particle spectrometers
US5444242A (en) * 1992-09-29 1995-08-22 Physical Electronics Inc. Scanning and high resolution electron spectroscopy and imaging
JP3347491B2 (ja) 1994-10-12 2002-11-20 日本電子株式会社 球面収差補正静電型レンズ
DE19929185A1 (de) * 1999-06-25 2001-01-04 Staib Instr Gmbh Vorrichtung und Verfahren zur energie- und winkelaufgelösten Elektronenspektroskopie
US7655923B2 (en) * 2004-07-15 2010-02-02 National University Corporation NARA Institute of Science and Technology Spherical aberration corrected electrostatic lens, input lens, electron spectrometer, photoemission electron microscope and measuring system

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10964522B2 (en) 2018-06-06 2021-03-30 Kla Corporation High resolution electron energy analyzer
WO2021125297A1 (ja) 2019-12-17 2021-06-24 大学共同利用機関法人自然科学研究機構 球面収差調整カソードレンズ、球面収差補正静電型レンズ、電子分光装置、及び光電子顕微鏡
WO2022009995A1 (ja) 2020-07-09 2022-01-13 大学共同利用機関法人自然科学研究機構 静電偏向収束型エネルギー分析器、結像型電子分光装置、反射結像型電子分光装置、およびスピンベクトル分布イメージング装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20100001202A1 (en) 2010-01-07
EP2058834A1 (en) 2009-05-13
JPWO2008013232A1 (ja) 2009-12-17
EP2058834B1 (en) 2015-12-09
WO2008013232A1 (en) 2008-01-31
EP2058834A4 (en) 2011-05-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4900389B2 (ja) 球面収差補正減速型レンズ、球面収差補正レンズシステム、電子分光装置および光電子顕微鏡
RU2529463C2 (ru) Создающий изображение энергетический фильтр для электрически заряженных частиц и спектроскоп с подобным энергетическим фильтром
JP2020047589A (ja) 性能が向上されたマルチ電子ビーム撮像装置
EP1793410B1 (en) Spherical aberration correction electrostatic lens, input lens, electron spectroscopic device, photoelectron microscope, and measurement system
JP4781211B2 (ja) 電子線装置及びこれを用いたパターン評価方法
JP6910682B2 (ja) 減速比可変球面収差補正静電レンズ、広角エネルギーアナライザ、及び、二次元電子分光装置
CN111065333A (zh) 会聚x射线成像装置和方法
WO2013073373A1 (en) Mass distribution spectrometry method and mass distribution spectrometer
Matsuda et al. Principle and basic design of omnidirectional photoelectron acceptance lens
JP3896043B2 (ja) 電子顕微鏡の球面収差補正装置
JP2007109531A (ja) 荷電粒子ビーム応用装置
GB2426120A (en) A reflectron for use in a three-dimensional atom probe
US11404260B2 (en) Input lens and electron spectrometer
JP2023051852A (ja) 軸外電子ビームに調整可能なコマ収差を提供するための電子光学モジュール
JP5452722B2 (ja) 収差補正装置およびそれを用いた荷電粒子線装置
JP2006278069A (ja) ウィーンフィルタ型エネルギーアナライザ及び放出電子顕微鏡
JPWO2008114684A1 (ja) エネルギー分析器、2次元表示型エネルギー分析器および光電子顕微鏡
JP6104756B2 (ja) 電子分光装置
EP4170694A1 (en) Electrostatic deflection convergence-type energy analyzer, imaging-type electron spectroscopic device, reflecting imaging-type electron spectroscopic device, and spin vector distribution imaging device
JP3388130B2 (ja) トロイダル型分光器を有する分光装置
JP2001235439A (ja) 放射電子顕微鏡

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100714

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111129

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111219

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4900389

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150113

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250