JPWO2008114684A1 - エネルギー分析器、2次元表示型エネルギー分析器および光電子顕微鏡 - Google Patents

エネルギー分析器、2次元表示型エネルギー分析器および光電子顕微鏡 Download PDF

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Abstract

安価、かつ、簡易な構成でエネルギー分析を行うエネルギー分析器、2次元表示型エネルギー分析器および光電子顕微鏡を提供する。エネルギー分析器(1)は、所定物面位置から一定の開き角をもって出射された電子またはイオンビーム(以下、ビーム)から、パスエネルギーEを有するビームを選別するエネルギー分析器であって、前記ビームを取り込み、集束させる広角電子レンズ(2)と、広角電子レンズ(2)の出射口に設けられ、かつ、前記所定のエネルギーを有するビームが集束する集束点と同位置に設けられた貫通孔Aが形成された第1アパチャー(3)とを備える。

Description

本発明は、簡易な構成でエネルギー分析を行うエネルギー分析器、2次元表示型エネルギー分析器および光電子顕微鏡に関するものである。
一般に、光電子分光を行うための光電子分光装置は、物質の電子状態や原子構造等を解析するための感度および機能を向上させるために、試料から放出される電子の取り込み角が大きいことが望ましい。
従来から、大きな取り込み角を有した光電子分光装置として、2次元表示型球面鏡分析器があった。2次元表示型球面鏡分析器は、特許文献1〜4に具体的に開示されているが、構造が非常に複雑であるために、あまり普及していない。
そこで、簡易な構成の光電子分光装置として、電子レンズとエネルギー分析器とを組み合わせた装置が研究されている。この場合、試料から放出された大きな開き角の電子または荷電粒子ビーム(以下、ビーム)を取り込むことが可能な、特許文献5に開示されているような、取り込み角が±60度の広角電子レンズを用いることにより、大きな取り込み角を有した光電子分光装置を実現することができる。
あるいは、特許文献6には、ビームの取り出し角度および検出角度を所定の角度に限定することで特定のエネルギーのビームのみを検出する荷電粒子エネルギー分析器が開示されている。図13を参照して従来の荷電粒子エネルギー分析器を説明する。
従来の荷電粒子エネルギー分析器44は、スリット43と、外円筒電極45と、金網型内円筒電極46と、検出器48と、を備える。外円筒電極45の内部には、中心軸を揃えて金網型内円筒電極46が配置されている。金網型内円筒電極46の内部には、その径方向にリング状のスリット43が設けられている。金網型内円筒電極46とスリット43との間には、所定の角度に放出されたビームのみが通過できるよう所定の間隔が保たれている。金網型内円筒電極46の内部には上記ビームを検出する検出器48が配置され、スリット43に対向する側である検出器48のビーム入射面には、所定の径幅を有した環状のスリット49が設けられている。
従来の荷電粒子エネルギー分析器44の動作を説明する。荷電粒子エネルギー分析器44の一方の端部(図13の左側)には、分析に供する試料42が載置されている。その試料42に対して上部(図面上側)から一次電子線41が入射する。その結果として、荷電粒子エネルギー分析器44に向かって試料42から様々な角度で二次電子線が放出される。その二次電子線のうち、金網型内円筒電極46とスリット43との隙間に入射するのが図13に示す二次電子線47である。つまり、試料42から荷電粒子エネルギー分析器44の内部に入射するのは、所定の角度を有する二次電子線47のみである。二次電子線47は、外円筒電極45に印加された負電圧から生ずる静電場による偏向を受け、放物線を描いて検出器48に入射する。より具体的には、二次電子線47は、スリット49を通って検出器48に入射する。そして、二次電子線47のエネルギー値が検出器48によって検出され、試料42の元素分布が測定される。
先に述べたように、金網型内円筒電極46とスリット43との間には所定の間隔が保たれている。また、ビーム検出器48のスリット49も、所定の径幅を保って環状に形成されている。このように、荷電粒子エネルギー分析器44は、ビームの取り出し角度および検出角度を所定の角度に限定することにより、試料42上の電子放出点から検出器48までの距離によって決まる特定のエネルギーを持つ電子を検出することができる。
特許文献7には、検出器が金網型内円筒電極の内面に対向する複数の検出素子を備え、その検出器によってビームのエネルギーを検出する荷電粒子エネルギー分析器が開示されている。なお、その他の構成は荷電粒子エネルギー分析器44と同様である。この検出器は、電子エネルギーが異なればビームの到達点も異なるという性質を利用するものであり、各検出素子をビームのエネルギーに対応させて配置している。その結果、電子エネルギーと強度との関係を一時に測定することができる。
日本国特許第1740316号明細書(公開日:1988年5月30日) 日本国特許第1734422号明細書(公開日:1990年8月10日) 米国特許第4849629号明細書(公開日:1989年7月18日) 米国特許第5107111号明細書(公開日:1992年4月21日) 国際公開第2006/008840号パンフレット(国際公開日:2006年1月26日) 日本国公開特許公報「特開昭61−253760(公開日:昭和61年11月11日)」 日本国公開特許公報「特開平4−359857号公報(公開日:平成4年12月14日)」 特開昭63−126148号公報(1988年5月30日公開) 特開平2−201857号公報(1990年8月10日公開) 放射光第6巻第3号(1993年)35〜42頁
上述したように、電子レンズとエネルギー分析器とを組み合わせた光電子分光装置では、電子レンズとして大きな取り込み角を有した広角電子レンズを用いることにより、試料から出射された大きな開き角のビームを取り込むことが可能である。
しかしながら、広角電子レンズを用いて電子分光装置を構成するためには、上記電子レンズが試料から出射されたビームを各エネルギーに分析する機能を有していないために、必ず広角電子レンズとエネルギー分析器とを組み合わせる必要があった。そのため、試料の拡大像を取得するために広角電子レンズを用いて構成された電子分光装置は、装置が大型化し、製造が容易ではなく、コストがかかってしまう。
図13を参照して説明した従来の荷電粒子エネルギー分析器は、ビームの取り出し角度および検出角度を所定の角度に限定することで、所定のエネルギーを持つ電子を検出することが可能である。
しかしながら、そのビームは、スリットによってカットされるため、当該角度のビームについては高精度のエネルギー値を検出することができるが、それ以外の角度で放出されたビームは検出されない。つまり、従来の荷電粒子エネルギー分析器では、連続した角度分布にわたってビームを検出することができない。さらに、従来の荷電粒子エネルギー分析器は、後述する本願発明の電子レンズに相当するレンズを具備していないため、試料の連続的な角度分布データを含む拡大像を取得することができないという問題があった。
また、特許文献7に記載の荷電粒子エネルギー分析器では、検出素子の位置に対応した電子エネルギーのデータを取得することはできるが、連続した角度分布の電子エネルギーのデータを検出することができない。そして、上記と同様の理由により、試料の2次元拡大像を取得することもできない。
特許文献8、9、及び非特許文献1に記載の半球型荷電粒子エネルギー分析器50は、図14に示すように、球面グリッド51と、その外側に同心的に配置された球面の電極52と、を備え、球面グリッド51の内側で球面グリッド51の球面中心より離れた位置に試料53が載置され、試料53の近傍に映写部材である荷電粒子検出器54が配置されている。したがって、この構造では試料周りが狭くなり、サイズの大きい試料を適切に分析することができなかった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、安価、かつ、簡易な構成でエネルギー分析を行うエネルギー分析器、2次元表示型エネルギー分析器および光電子顕微鏡を提供することである。
本発明のエネルギー分析器は、上記課題を解決するために、所定物面位置から一定の開き角をもって出射された電子または荷電粒子ビーム(以下、ビーム)から、所定のエネルギーを有するビームを選別するエネルギー分析器において、上記ビームを取り込み、集束
させる第1電子レンズと、上記第1電子レンズの出射口に設けられ、かつ、上記所定のエネルギーを有するビームが集束する集束点と同位置に設けられた第1貫通孔が形成された第1板部材とを備えることを特徴としている。
上述したように、広角電子レンズは、所定物面位置から出射されたビームから所定のエネルギーを有するビームのみを選別することができない。そこで、本発明のエネルギー分析器では、所定物面位置から出射されたビームが、エネルギー毎に集束する位置が異なる点に注目している。
すなわち、本発明のエネルギー分析器では、第1貫通孔を有する第1板部材を、所定のエネルギーを有するビームが集束する集束点と、上記第1板部材の第1貫通孔の位置とが一致するように、第1電子レンズの出射口に設けている。
これにより、所定物面位置から出射されたビームのうち、目的のエネルギーを有したビームは、該ビームの集束点と上記第1板部材の第1貫通孔の位置とが一致することにより、該板部材の第1貫通孔を通過することができる。しかし、所定物面位置から出射されたビームのうち、目的のエネルギー以外のエネルギーを有するビームは、該ビームの集束点と上記板部材の第1貫通孔の位置とが異なるために、該第1板部材を通過することができない。
したがって、本発明のエネルギー分析器は、従来のように広角電子レンズとエネルギー分析器とを組み合わせなくても、広角電子レンズの出射口に貫通口を有する板部材を設けるだけで、所定物面位置から出射されたビームから所定のエネルギーを有するビームを選別することができる。したがって、本発明のエネルギー分析器は、安価、かつ、簡易な構成でエネルギー分析をおこなうエネルギー分析器を提供することが可能となる。
また、本発明のエネルギー分析器では、前記所定物面位置に試料が載置される。そして、試料から放出されたビームは、第1貫通孔が形成された第1板部材の側にある後述の映写部材に到達し、分析される。このように試料と映写部材とが離れて配置されているため、本発明のエネルギー分析器では、試料周りを広く取ることができ、サイズの大きい試料を適切に分析することができる。
さらに、本発明のエネルギー分析器では、上記第1電子レンズは、光軸を中心軸とする回転体面からなり、外部電源から任意の電圧が印加される少なくとも2つの電極を備え、上記電極の少なくとも1つは、物面に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転楕円面からなるメッシュであることを特徴としている。
上記構成により、光軸を中心軸とする回転体面からなる少なくとも2つの電極に対して、外部電源から任意の電圧を印加することにより、該各電極は、メッシュ周辺に減速電場を、それに続いて加速型集束電場を形成することができる。本発明のエネルギー分析器は、上記減速電場と上記加速型集束電場との組み合わせによって、所定物面位置から出射された大きな開き角のビームを集束させることができる。
さらに、本発明の上記構成では、メッシュの形状を、光軸を中心軸とする回転楕円面から構成することにより、メッシュの形状が球面からなる場合と比較して、ビームの取り込み角を±60度程度まで大きくすることが可能となる。
これにより、本発明のエネルギー分析器は、所定物面位置から出射された大きな開き角のビームを取り込むことが可能となり、感度を向上させることが可能となる。
本発明の2次元表示型エネルギー分析器は、上述したエネルギー分析器と、上記第1板部材の上記第1電子レンズが配置されている側とは反対側に設けられ、かつ、上記第1板部材の上記第1貫通孔を通過した上記ビームを映し出す映写部材とを備えることを特徴としている。
上記構成により、映写部材を上記第1板部材の上記第1電子レンズが配置されている側とは反対側に配置することにより、該第1板部材の該第1貫通孔を通過したビームが該映写部材に投影され、所定物面位置から出射されたビームの放出角度分布を表示することが可能となる。
本発明の光電子顕微鏡は、前記第1板部材の前記第1電子レンズが配置されている側とは反対側に設けられ、かつ、前記第1電子レンズから出射された前記ビームを集束させる少なくとも1つの第2電子レンズを備え、前記映写部材は、前記第2電子レンズから出射された前記ビームを映し出し、上述した第2電子レンズを備えた2次元表示型エネルギー分析器と、上記ビームの通過領域を制限する第2貫通孔が形成されており、上記第1電子レンズおよび上記第2電子レンズの像面および回折面の少なくとも1つに設けられた第2板部材とを備えることを特徴としている。
本発明の光電子顕微鏡は、上述した第2電子レンズを備えた2次元表示型エネルギー分析器において、上記第1電子レンズおよび上記第2電子レンズの像面および回折面の少なくとも1つに、ビームの通過領域を制限する第2貫通孔が形成された第2板部材を備えることにより、エネルギー分析機能に加え、所定物面位置に配置された試料の2次元拡大像を映写部材に表示することが可能となる。
したがって、本発明の上記構成により、簡易な構成で所定物面位置から出射されたビームの放出角度分布および所定物面位置に配置された試料の2次元拡大像を表示することが可能である。
また、試料、偏向板または上記第1板部材を移動させることにより、所定物面位置から出射されたビームのうち、目的の箇所のビームのみを上記第1貫通孔を通過させることができる。これにより、試料の目的の箇所のみからのビームの角度分布や拡大像を、映写部材に投影させることが可能となる。
本発明のエネルギー分析器は、以上のように、所定物面位置から一定の開き角をもって出射された電子または荷電粒子ビーム(以下、ビーム)から、所定のエネルギーを有するビームを選別するエネルギー分析器において、上記ビームを取り込み、集束させる第1電子レンズと、上記第1電子レンズの出射口に設けられ、かつ、上記所定のエネルギーを有するビームが集束する集束点と同位置に設けられた第1貫通孔が形成された第1板部材とを備えることを特徴としている。
上記構成により、試料から出射されたビームのうち、所定のエネルギーを有したビームは、該ビームの集束点と上記第1板部材の第1貫通孔の位置とが一致することにより、該第1板部材の貫通孔を通過することができる。しかし、試料から出射されたビームのうち、所定のエネルギー以外のエネルギーを有するビームは、該ビームの集束点と上記第1板部材の第1貫通孔の位置とが異なるために、該第1板部材を通過することができない。
したがって、本発明のエネルギー分析器は、従来のように電子レンズとエネルギー分析器とを組み合わせなくても、電子レンズの出射口に貫通口を有する板部材を設けるだけで、試料から出射されたビームから所定のエネルギーを有するビームを選別することができる。したがって、本発明のエネルギー分析器は、安価、かつ、簡易な構成でエネルギー分析をおこなうエネルギー分析器を提供することが可能となる。
本発明に係るエネルギー分析器の一実施例の概略構成を示す断面図である。 上記エネルギー分析器の広角電子レンズの概略構成を示す断面図である。 図2に示す広角電子レンズの要部構成を示す断面図である。 上記エネルギー分析器における、アパチャーの貫通孔の直径dと、試料から出射されたビームの各エネルギーにおけるアパチャーの透過率との関係を示すグラフである。 上記エネルギー分析器における、アパチャーの貫通孔の直径dと、エネルギー分解能との関係を示すグラフである。 上記エネルギー分析器において、試料に約940eVの電子線を照射した場合の、アパチャーの貫通孔を通過した電子のスペクトルを示すグラフである。 本発明に係るエネルギー分析器の他の実施例の概略構成を示す断面図である。 上記エネルギー分析器における、アパチャーの貫通孔の直径dと、試料から出射されたビームの各エネルギーにおけるアパチャーの透過率との関係を示すグラフである。 上記エネルギー分析器における、アパチャーの貫通孔の直径dと、エネルギー分解能との関係を示すグラフである。 上記エネルギー分析器を用いた2次元表示型エネルギー分析器の概略構成を示す断面図である。 上記エネルギー分析器を用いた光電子顕微鏡の概略構成を示す断面図である。 (a)はビームの集束位置に作られる試料を投影した図であり、(b)は試料である金網上での距離と光の強度との関係を示したグラフである。 従来の荷電粒子エネルギー分析器の概略図である。 従来の半球型荷電粒子エネルギー分析器の概略図である。
符号の説明
1、11 エネルギー分析器
2 広角電子レンズ(第1電子レンズ)
3 第1アパチャー(第1板部材)
4 映写部材
5 障害物(遮断部材)
6 第2アパチャー(第2板部材)
21 2次元表示型エネルギー分析器
31 光電子顕微鏡
32 第2電子レンズ
33 第3電子レンズ
A 貫通孔(第1貫通孔)
本発明の一実施形態について図1〜図12に基づいて説明すると以下の通りである。
〔エネルギー分析器〕
本発明のエネルギー分析器は、所定物面位置から一定の開き角をもって出射された電子または苛電粒子ビーム(以下、ビーム)から、パスエネルギーE(所定のエネルギー)を有するビームを選択する構成である。上記エネルギー分析器は、上記ビームを取り込み、集束させる電子レンズと、該電子レンズの出射口に設けられ、かつ、上記所定のエネルギーを有するビームが集束する集束点と一致するように貫通孔Aが形成された板状の部材とを備えている。
〔第1実施例〕
まず、本発明のエネルギー分析器の一実施例について図1〜図6を参照して説明する。図1は、本発明のエネルギー分析器の第1実施例に係るエネルギー分析器1の概略構成を示す断面図である。
なお、図中の曲線は、試料から出射されたエネルギーEsと、パスエネルギーEとの比Es/Eが0.95、1.00、1.05の場合におけるビームの軌跡を示している。点線は、試料から出射されたビームのうち、Es/Eが0.95のビームを示している。実線は、試料から出射されたビームのうち、Es/Eが1.00のビームを示している。破線は、試料から出射されたビームのうち、Es/Eが1.05のビームを示している。
本実施例のエネルギー分析器1は、図1に示すように、広角電子レンズ(第1電子レンズ)2と、アパチャー(第1板部材)3とから構成されている。エネルギー分析器1は、電子分光装置のインプットレンズおよびエネルギー分析器として、または光電子顕微鏡の対物レンズとして好適に用いられる。
広角電子レンズ2は、試料から出射されたビームを取り込んで集束させるものである。本実施例では、広角電子レンズ2として、メッシュ電極Mと第1電極EL1〜第n電極ELnとから構成されたアインツェル型メッシュレンズを用いている。
アインツェル型メッシュレンズとは、メッシュ電極M周辺の減速電場と、それに続いて生じる加速型集束電場の組み合わせによって、大きな開き角のビームを集束させるものであり、レンズに取り込まれるビームは一旦減速されるが、すぐに加速され、出口では入口と同じエネルギーを持つ。
ここで、広角電子レンズ2の具体的な構成について、図2を参照して説明する。図2は、広角電子レンズ2の概略構成を示す断面図である。なお、図中の矢印を付した曲線は、試料から出射されたビームの軌跡を示している。
メッシュ電極Mは、試料が配置された物面P0に対して凹面形状を有しており、広角電子レンズ2の光軸を中心軸とする回転楕円面からなる。また、メッシュ電極Mは、第1電極EL1に一体的に設けられている。なお、メッシュ電極Mは、本実施例では第1電極EL1に一体的に設けられているが、本発明はこれに限られず、第1電極EL1とは別に設けられていてもよい。また、メッシュ電極Mは、本実施例では回転楕円面からなるが、本発明はこれに限られず、球面などの回転体面からなるものであればよい。
第1電極EL1〜第n電極ELnは、広角電子レンズ2の光軸を中心とする回転体面からなり、減速電場および加速型集束電場を形成する同心面を有している。第1電極EL1〜第n電極ELnは、光軸に沿ってメッシュ電極Mから順番に配置されており、外部電源から各電極に任意の電圧が印加される。ここでは、メッシュ電極Mおよびメッシュ電極M周辺に設けられた電極において減速電場を形成するように、かつ、第n電極ELnを含む像面側の電極において加速型集束電場を形成するように各電極に電圧が印加される。
なお、メッシュ電極Mは、第1電極EL1と一体化して設けられているために、第1電極EL1と同じ電圧が印加される。また、メッシュ電極Mおよび第1電極EL1が別に設けられている場合は、メッシュ電極Mおよび第1電極EL1のそれぞれに外部電源から任意の電圧が印加される。
なお、本実施例の広角電子レンズ2は、第1電極EL1および第2電極EL2の少なくとも2個の電極を有していればよい。広角電子レンズ2は、電極の数が多くなるほど、該レンズの集束性能を高めるとともに、該レンズの製造工程における許容誤差が増加する。しかしながら、電極の数が多くなると、広角電子レンズ2の製造工程が煩雑となるために、電極の数は約3〜約10の範囲内であることが好ましい。
第1アパチャー3は、図1に示すように、貫通孔(第1貫通孔)Aを有する板であり、試料から出射されたビームからパスエネルギーEを有するビームを選別するものである。第1アパチャー3は、広角電子レンズ2のビームの出射口において広角電子レンズ2の光軸に垂直に、かつ、上記貫通孔Aと、広角電子レンズ2によって集束されるパスエネルギーEを有するビームの集束点とが一致するように設けられている。また、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径は、広角電子レンズ2の物面P0から像面P1までの距離の約1/10000〜約1/50であることが好ましく、特に約1/300であることが望ましい。
なお、図1では、第1アパチャー3は広角電子レンズ2の出射口に、広角電子レンズ2の光軸に対して垂直に設けられている構成であるが、本発明はこれに限られず、パスエネルギーE以外のエネルギーを有するビームを広角電子レンズ2の出射口から外側に漏出させない構成であればよい。
また、広角電子レンズ2は、パスエネルギーEを有するビームに、第1アパチャー3の貫通孔Aを通過させるためには、貫通孔Aの位置に該ビームを集束させる必要がある。そのため、広角電子レンズ2は、図3に示すように、メッシュ電極Mの長軸短軸比γ=a/b、各電極に印加される電圧、物面P0からメッシュ電極Mの原点Oeまでの距離c1、および第1電極EL1の長さL1や第2電極EL2の長さL2等の各電極の長さの少なくとも1つを調節することにより、広角電子レンズ2よって集束される所定のエネルギーを有するビームの集束点を、第1アパチャー3の貫通孔Aと一致させることができる。
ここで、エネルギー分析器1における、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径dと、試料から出射されたビームの各エネルギーにおける第1アパチャー3の透過率との関係について図4を参照して説明する。図4は、エネルギー分析器1における、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径dと、試料から出射されたビームの各エネルギーにおける第1アパチャー3の透過率との関係を示すグラフである。なお、ここで用いられるエネルギー分析器1の広角電子レンズ2の物面P0と像面P1との距離は300mmとする。
図4において、縦軸は透過率を、横軸は試料から出射されたビームの各エネルギーとパスエネルギーEとの差ΔEと、パスエネルギーEとの比(ΔE/E)を示す。なお、図中のd1〜d4は、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径が、d1が1mm、d2が3mm、d3が5mm、d4が10mmの場合における各エネルギーと透過率との関係を示している。
図4に示すように、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径が1mm(d1)である場合は、ほぼパスエネルギーEを有するビームのみが貫通孔Aを通過している。これに対し、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径が3mm(d2)、5mm(d3)、10mm(d4)と大きくなるに伴い、パスエネルギーE以外のエネルギーを有するビームが貫通孔Aを通過してしまう。したがって、エネルギー分析器1において、高精度のエネルギー分析を行う場合には、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径は約1mmにすることが望ましい。
また、本実施例のように、第1アパチャー3を用いて試料から出射されたビームのエネルギー分析を行う場合は、広角電子レンズ2の光軸近傍に沿った方向に試料から出射されるビームは、そのエネルギーにかかわらず第1アパチャー3の貫通孔Aを通過してしまう。特に、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径が大きくなるに伴い、パスエネルギーE以外のエネルギーを有したビームが貫通孔Aを通過してしまう。
そのため、エネルギー分析器1では、広角電子レンズ2の光軸近傍に沿った位置は、エネルギー分解能が低くなってしまう。すなわち、図4に示すように、各エネルギーと透過率との関係を示す曲線の裾野が広がり、第1アパチャー3の貫通孔Aを、各エネルギーを有するビームが通過してしまっていることが理解できる。
そこで、エネルギー分析器1では、広角電子レンズ2の光軸近傍のビームを遮断することにより、選別されないままに第1アパチャー3の貫通孔Aを通過してしまうビームを遮ることができ、図4に示す曲線の裾野の部分をカットすることができる。その結果、エネルギー分析器1おけるエネルギー分解能を向上させることができる。
ここで、広角電子レンズ2の光軸近傍のビームを遮断する領域と、図4に示す曲線の裾野の部分のカットされる領域(カット領域)との関係について説明する。図4では、物面P0から10度、15度、20度の範囲内のビームを遮断した場合について説明する。図中のβ1〜3は、それぞれβ1が10度、β2が15度、β3が20度の場合のカット領域を示している。
図4に示すように、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径dが小さい場合には、パスエネルギーE以外のエネルギーを有するビームが、選別されないまま貫通孔Aを通過する量が少ないために、カット領域βは10度で十分に図4に示す曲線の裾野の広がりをカットすることができる。しかしながら、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径dが大きくなるに伴い、カット領域βも大きくしなければ、図4に示す曲線の裾野の広がりを十分にカットすることができない。
そこで、エネルギー分析器1では、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径に応じて、物面P0から約0.5度〜約20度の範囲内のビームを遮断するように設けることが望ましい。これにより、エネルギー分析器1は、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径に関わらず、選別されないままに第1アパチャー3の貫通孔Aを通過してしまうビームを遮ることができ、エネルギー分解能を向上させることができる。
試料から出射されたビームから広角電子レンズ2の光軸近傍のビームを遮断する方法としては、メッシュ電極Mの広角電子レンズ2の光軸近傍にビームを遮断するための部材を設けてもよいし、CCDカメラでビームを測定するときに、広角電子レンズ2の光軸近傍だけデータを取得しないようにしてもよい。
次に、エネルギー分析器1における、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径dと、第1アパチャー3におけるエネルギー分解能との関係について図5を参照して説明する。図5は、エネルギー分析器1における、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径dと、第1アパチャー3におけるエネルギー分解能との関係を示すグラフである。図5において、縦軸はエネルギー分解能を、横軸は第1アパチャー3の貫通孔Aの直径を示している。ここで、エネルギー分解能とは、図4における透過率が0.5の場合の正と負のΔE/Eの値を絶対値で加算したものである。
図5に示すように、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径dが1mm、3mm、5mm、10mmの場合、エネルギー分解能はそれぞれ約0.4%、約1.3%、約2.1%、約4.2%となる。すなわち、エネルギー分析器1では、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径dが大きくなるに伴い、パスエネルギーE以外のエネルギーを有したビームが第1アパチャー3の貫通孔Aを通過してしまい、エネルギー分解能が低下する。
エネルギー分析器1において、高精度のエネルギー分析を行うためのエネルギー分解能としては、約0.1%〜約7%の範囲内であることが好ましく、特に、約1%であることが望ましい。そのため、エネルギー分析器1は、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径を、エネルギー分析器1のエネルギー分解能が約0.1%〜約7%の範囲内、特に約1%となるように設定することにより、高精度のエネルギー分析を行うことが可能となる。
次に、本実施例のエネルギー分析器1を用いた場合において、試料に約940eVの電子線を照射したとき、第1アパチャー3の貫通孔Aを通過して測定された電子のスペクトルについて図6を参照して説明する。図6は、試料に約940eVの電子線を照射した場合における、第1アパチャー3の貫通孔Aを通過した電子のスペクトルを示すグラフである。
図6に示すように、第1アパチャー3の貫通孔Aを通過した各エネルギーを有するビームの強度は、エネルギーが約940eVのビームが最も高いことが分かる。そして、その他のエネルギーを有するビームの強度は、エネルギーが約940eVのビームと比較すると低く抑えられている。
したがって、図6の結果から、本実施例のエネルギー分析器1は、試料から出射されたビームから、所望のエネルギー分解能によって、パスエネルギーEを有するビームを選別可能であると判断できる。
以上のように、本実施形態のエネルギー分析器1は、物面P0から一定の開き角をもって出射されたビームから、パスエネルギーEを有するビームを選別するエネルギー分析器であって、前記ビームを取り込み、集束させる広角電子レンズ2と、広角電子レンズ2の出射口に設けられ、かつ、前記パスエネルギーEを有するビームが集束する集束点と同位置に設けられた貫通孔Aが形成された第1アパチャー3とを備える。
上述したように、広角電子レンズは、試料から出射されたビームからパスエネルギーEを有するビームのみを選別することができない。そこで、本発明のエネルギー分析器では、試料から出射されたビームが、エネルギー毎に集束する位置が異なる点に注目している。
すなわち、本実施形態のエネルギー分析器1では、貫通孔Aを有する第1アパチャー3を、広角電子レンズ2の出射口に、広角電子レンズ2の光軸に対して垂直に、かつ、パスエネルギーEを有するビームが集束する集束点と、第1アパチャー3の貫通孔Aの位置とが一致するように設けている。
これにより、試料から出射されたビームのうち、パスエネルギーEを有したビームは、該ビームの集束点と第1アパチャー3の貫通孔Aの位置とが一致することにより、第1アパチャー3の貫通孔Aを通過することができる。しかし、試料から出射されたビームのうち、パスエネルギーE以外のエネルギーを有するビームは、該ビームの集束点と第1アパチャー3の貫通孔Aの位置とが異なるために、第1アパチャー3を通過することができない。
したがって、エネルギー分析器1は、従来のように電子レンズとエネルギー分析器とを組み合わせなくても、電子レンズの出射口に貫通口を有する板部材を設けるだけで、試料から出射されたビームからパスエネルギーEを有するビームを選別することができる。したがって、エネルギー分析器1は、安価、かつ、簡易な構成でエネルギー分析をおこなうエネルギー分析器を提供することが可能となる。
〔第2実施例〕
次に、本発明のエネルギー分析器の他の実施例について図7〜図9を参照して説明する。図7は、本発明のエネルギー分析器の第2実施例に係るエネルギー分析器11の概略構成を示す断面図である。なお、第1実施例のエネルギー分析器1における構成要素と、同等の機能を有する構成要素については同一の符号を用いて説明する。
なお、図中の曲線は、試料から出射されたエネルギーEsと、パスエネルギーEとの比Es/Eが0.98、1.00、1.02の場合におけるビームの軌跡を示している。点線は、試料から出射されたビームのうち、Es/Eが0.98のビームを示している。実線は、試料から出射されたビームのうち、Es/Eが1.00のビームを示している。破線は、試料から出射されたビームのうち、Es/Eが1.02のビームを示している。
本実施例のエネルギー分析器11は、図7に示すように、球面収差補正減速型レンズ12と、第1アパチャー3とから構成されている。第1実施例のエネルギー分析器1では、試料から出射されたビームを集束するために広角電子レンズ2を用いているが、本実施例のエネルギー分析器11では球面収差補正減速型レンズ12を用いている。
球面収差補正減速型レンズ12は、広角電子レンズ2と同様の構成であるが、広角電子レンズ2と異なり加速型集束電場を形成せず、第1電極EL1〜第n電極ELnにおいて、物面P0から出射されたビームを、減速させながら像面P1において集束させるための減速型集束電場を形成する。そのため、球面収差補正減速型レンズ12は、高エネルギー、かつ、大きな開き角を有したビームを集束することが可能となる。
したがって、本実施例のエネルギー分析器11は、試料から高エネルギー、かつ、大きな開き角を有したビームが出射されたとしても、該ビームを取り込むことができ、第1アパチャー3の貫通孔AによってパスエネルギーEを有するビームを選別することができる。
ここで、エネルギー分析器11における、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径dと、試料から出射されたビームの各エネルギーにおける第1アパチャー3の透過率との関係について図8を参照して説明する。図8は、エネルギー分析器11における、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径dと、試料から出射されたビームの各エネルギーにおける第1アパチャー3の透過率との関係を示すグラフである。なお、ここで用いられるエネルギー分析器11の球面収差補正減速型レンズ12の物面P0と像面P1との距離は、300mmとする。
図8において、縦軸は透過率を、横軸は試料から出射されたビームの各エネルギーとパスエネルギーEとの差ΔEと、パスエネルギーEとの比(ΔE/E)を示す。なお、図中のd1〜d4は、図4と同様に、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径が、d1が1mm、d2が3mm、d3が5mm、d4が10mmの場合における各エネルギーと透過率との関係を示している。
図8に示すように、エネルギー分析器11においても、第1実施例のエネルギー分析器1と同様に、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径が1mm(d1)である場合は、ほぼパスエネルギーEを有するビームのみが貫通孔Aを通過している。これに対し、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径が3mm(d2)、5mm(d3)、10mm(d4)と大きくなるに伴い、パスエネルギーE以外のエネルギーを有するビームが貫通孔Aを通過してしまう。したがって、エネルギー分析器1において、高精度のエネルギー分析を行う場合には、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径は約1mmにすることが望ましい。
ただし、エネルギー分析器11における透過率は、第1実施例のエネルギー分析器1における透過率と比較して、各エネルギーと透過率との関係を示す曲線の裾野の広がりが小さく、パスエネルギーE以外のエネルギーを有するビームが、選別されないまま貫通孔Aを通過する量が少ないことが分かる。すなわち、エネルギー分析器11は、第1実施例のエネルギー分析器1よりも、パスエネルギーE以外のエネルギーを有するビームをカットする効率が高いことが分かる。
次に、エネルギー分析器11における、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径dと、第1アパチャー3におけるエネルギー分解能との関係について図9を参照して説明する。図9は、エネルギー分析器11における、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径dと、第1アパチャー3におけるエネルギー分解能との関係を示すグラフである。図9において、縦軸はエネルギー分解能を、横軸は第1アパチャー3の貫通孔Aの直径を示している。ここで、エネルギー分解能とは、図8における透過率が0.5の場合の正と負のΔE/Eの値を絶対値で加算したものである。
図9に示すように、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径dが1mm、3mm、5mm、10mmの場合、エネルギー分解能はそれぞれ約0.2%、約0.5%、約0.9%、約1.7%となる。すなわち、エネルギー分析器11では、第1実施例のエネルギー分析器1と同様に、第1アパチャー3の貫通孔Aの直径dが大きくなるに伴い、パスエネルギーE以外のエネルギーを有したビームが第1アパチャー3の貫通孔Aを通過してしまい、エネルギー分解能が低下する。ただし、エネルギー分析器11におけるエネルギー分解能は、第1実施例におけるエネルギー分解能の1/2以下となり、エネルギー分析器11が高いエネルギー分解能を有することが分かる。
このように、試料から出射されたビームを集束するために、球面収差補正減速型レンズ12を用いることにより、エネルギー分解能を向上することができる。
なお、メッシュ電極Mは、本実施例では光軸を中心軸とする回転楕円面から構成されているが、本発明はこれに限られず、光軸を中心軸とする球面から構成されていてもよい。ただし、メッシュ電極Mは、光軸を中心軸とする球面からなる場合と比較して、光軸を中心軸とする回転楕円面からなる場合の方が、物面P0から、すなわち、試料から出射されたビームの取り込み角度を±60度程度まで大きくすることが可能となる。そのため、メッシュ電極Mは、光軸を中心軸とする回転楕円面からなるものを用いることが望ましい。
〔2次元表示型エネルギー分析器〕
次に、本発明のエネルギー分析器を用いて構成された2次元表示型エネルギー分析器について図10を参照して説明する。図10は、本発明の2次元表示型エネルギー分析器の一実施例に係る2次元表示型エネルギー分析器21の概略構成を示す断面図である。なお、以下の説明において、本発明のエネルギー分析器としては第1実施例のエネルギー分析器1を用いる。そのため、第1実施例のエネルギー分析器1における構成要素と、同等の機能を有する構成要素については同一の符号を付記している。
また、図中の曲線は、試料から出射されたエネルギーEsと、パスエネルギーEとの比Es/Eが0.95、1.00、1.05の場合におけるビームの軌跡を示している。点線は、試料から出射されたビームのうち、Es/Eが0.95のビームを示している。実線は、試料から出射されたビームのうち、Es/Eが1.00のビームを示している。破線は、試料から出射されたビームのうち、Es/Eが1.05のビームを示している。
本実施形態の2次元表示型エネルギー分析器21は、広角電子レンズ2と、第1アパチャー3と、映写部材4と、障害物(遮断部材)5とを備えている。すなわち、2次元表示型エネルギー分析器21は、エネルギー分析器1に映写部材4および障害物5が追加された構成である。
映写部材4は、マイクロチャンネルプレートおよびスクリーンから構成されており、第1アパチャー3の広角電子レンズ2が配置されている側とは反対側に配置されている。第1アパチャー3の貫通孔Aを通過したビームは、映写部材4のマイクロチャンネルプレートで電子増倍され、スクリーンに投影される。
障害物5は、試料から出射されたビームから広角電子レンズ2の光軸近傍のビームを遮断するものである。障害物5は、エネルギーの選別がなされないままに第1アパチャー3の貫通孔Aを通過してしまうビームを遮ることができるために、2次元表示型エネルギー分析器21のエネルギー分解能を向上させることができる。
本実施形態の2次元表示型エネルギー分析器21は、映写部材4を第1アパチャー3の広角電子レンズ2が配置されている側とは反対側に配置することにより、第1アパチャー3の貫通孔Aを通過したビームが映写部材4に投影され、試料から出射されたビームの放出角度分布を表示することが可能となる。
また、2次元表示型エネルギー分析器21は、第1アパチャー3の広角電子レンズ2が配置されている側とは反対側に、広角電子レンズ2から出射されたビームを集束させる少なくとも1つの電子レンズ(第2電子レンズ)が設けられる構成であってもかまわない。上記電子レンズは、第1アパチャー3の広角電子レンズ2が配置されている側とは反対側に、広角電子レンズ2から出射されたビームが入射するように設けられていればよく、映写部材4には該電子レンズから出射されたビームが投影される。その結果、上記2次元表
示型エネルギー分析器は、広角電子レンズ2以外の電子レンズを備えていないエネルギー分析器21と比較して、試料から出射されたビームの放出角度分布をより鮮明に映写部材4に表示させることが可能となる。
なお、本実施形態では、試料から出射されたビームからパスエネルギーEを有するビームを選別するために、エネルギー分析器の第1実施例のエネルギー分析器1を用いているが、本発明はこれに限られず、エネルギー分析器の第2実施例のエネルギー分析器11を用いる構成であってもかまわない。
〔光電子顕微鏡〕
次に、本発明のエネルギー分析器を用いて構成された光電子顕微鏡について図11および図12を参照して説明する。図11は、本発明の光電子顕微鏡の一実施例に係る光電子顕微鏡31の概略構成を示す断面図である。なお、以下の説明において、本発明のエネルギー分析器としては第1実施例のエネルギー分析器1を用いる。そのため、第1実施例のエネルギー分析器1における構成要素と、同等の機能を有する構成要素については同一の符号を付記している。
本実施形態の光電子顕微鏡31は、図11に示すように、広角電子レンズ2と、第1アパチャー3と、映写部材4と、第2アパチャー6と、第3アパチャー7と、第2電子レンズ32と、第3電子レンズ33とから構成されている。すなわち、光電子顕微鏡31は、エネルギー分析器1に映写部材4、第2アパチャー6、第3アパチャー7、第2電子レンズ32および第3電子レンズ33が追加された構成である。
なお、図11において、P1が広角電子レンズ2の像面を、P2が第2電子レンズ32の像面を、P3が第3電子レンズ33の像面を示しており、DP1は第2電子レンズ32の回折面を、DP2は第3電子レンズ33の回折面を示している。
第2アパチャー6および第3アパチャー7は、試料から出射されたビームの通過領域を制限するものであり、第2アパチャー6には第2貫通孔が、第3アパチャー7には第3貫通孔が形成されている。第2アパチャー6および第3アパチャー7の構成は、所望の光電子顕微鏡31の構成に応じて、一般に知られている種々のアパチャーを用いることが可能であり、特に限定されない。
第2電子レンズ32は広角電子レンズ2から出射されたビームを集束させるものであり、第3電子レンズ33は第2電子レンズ32から出射されたビームを集束させるものである。第2電子レンズ32および第3電子レンズ33の構成は、所望の光電子顕微鏡31の構成に応じて、一般に知られている種々の電子レンズを用いることが可能であり、特に限定されない。
光電子顕微鏡31は、第2電子レンズ32が、第1アパチャー3の広角電子レンズ2が配置されている側とは反対側に、第2電子レンズ32の光軸と広角電子レンズ2の光軸とが一致するように設けられている。そして、光電子顕微鏡31は、第2貫通孔が形成された第2アパチャー6が第2電子レンズ32の回折面DP1に設けられており、第3貫通孔が形成された第3アパチャー7が第2電子レンズ32の出射口に設けられている。さらに、光電子顕微鏡31は、第3電子レンズ33が、第3アパチャー7の第2電子レンズ32が配置されている側とは反対側に、第3電子レンズ33の光軸と広角電子レンズ2の光軸とが一致するように設けられており、映写部材4が第3電子レンズ33の出射口側に配置されている。
なお、本実施形態では、第2電子レンズ32および第3電子レンズ33は、その光軸が広角電子レンズ2の光軸と一致するように設けられているが、本発明はこれに限られず、第2電子レンズ32には広角電子レンズ2から出射されたビームが入射するように、第3電子レンズ33には第2電子レンズ32から出射されたビームが入射するように設けられていればよい。
上記構成により、光電子顕微鏡31は、簡易な構成で試料から出射されたビームの放出角度分布および試料の2次元拡大像を映写部材4に表示することが可能となる。また、第2電子レンズ32の回折面DP1に第2アパチャー6を設けることにより、広角電子レンズ2が試料から出射された大きな開き角を有するビームを取り込んだ場合、第2アパチャー6の第2貫通孔によって該ビームの通過領域を絞り込んで、映写部材4に投影される像の解像度を上げることができる。
なお、本実施形態の光電子顕微鏡31は、広角電子レンズ2以外の電子レンズとして、第2電子レンズ32および第3電子レンズ33の2つの電子レンズを有している構成であるが、本発明はこれに限られず、少なくとも1つの電子レンズが設けられている構成であればよい。
また、本実施形態の光電子顕微鏡31は、第1アパチャー3に加えて、第2アパチャー6および第3アパチャー7を有している構成であるが、本発明はこれに限られず、第1アパチャー3に加えて、少なくとも1つのビームの通過領域を制限するアパチャーが設けられている構成であればよい。上記アパチャーが設けられる位置としては、広角電子レンズ2および上記電子レンズの像面若しくは回折面のどちらか、または像面および回折面の両方に設けられていてもよい。
ここで、本実施形態の光電子顕微鏡31における像の空間分解能を判断するために、試料として400メッシュの金網を用いた場合の映写部材4(図10に示す)に投影される像について、図12を参照して説明する。図12の(a)はビームの集束位置に作られる試料を投影した図であり、図12の(b)は試料である金網の距離と光の強度との関係を示したグラフである。
試料である金網の網の間隔は、図12の(a)に示すように65μmであるが、映写部材4に投影された像における網の間隔は約0.3mmとなり、約5倍拡大されていることが分かる。また、図12の(b)に示すように、電子強度が試料上の距離に直して約60μm毎に強くなっており、映写部材4には、試料の像が正確に投影されていることが分かる。
また、本実施形態の光電子顕微鏡31は、図示しない試料移動手段によって試料を移動させることにより、偏向板をビームの軌跡上で移動させることにより、または第1アパチャー3の貫通孔Aを移動させることにより、試料から出射されたビームのうち、目的の箇所のビームのみを貫通孔Aに通過させることができ、試料の目的の箇所だけを拡大して映写部材4に投影することが可能となる。この場合、第2電子レンズ32および第3電子レンズ33の強さを変えることにより、角度分布が映写部材4に映るようにすることもできる。
なお、本実施形態では、試料から出射されたビームからパスエネルギーを有するビームを選別するために、エネルギー分析器の第1実施例のエネルギー分析器1を用いた構成であるが、本発明はこれに限られず、エネルギー分析器の第2実施例のエネルギー分析器11を用いる構成であってもかまわない。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以上のように、本発明のエネルギー分析器では、所定物面位置から一定の開き角をもって出射された電子または荷電粒子ビーム(以下、ビーム)から、所定のエネルギーを有するビームを選別するエネルギー分析器において、前記ビームを取り込み、集束させる第1電子レンズと、前記第1電子レンズの出射口に設けられ、かつ、前記所定のエネルギーを有するビームが集束する集束点と同位置に設けられた第1貫通孔が形成された第1板部材とを備え、上記第1電子レンズは、光軸を中心軸とする回転体面からなり、外部電源から任意の電圧が印加される少なくとも2つの電極を備え、上記電極の少なくとも1つは、物面に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュであり、上記各電極は、該各電極に印加された電圧により、上記ビームを減速させるとともに、該ビームに生じる球面収差を補正するための減速型集束電場を形成する構成であってもよい。
上記構成により、光軸を中心軸とする回転体面からなる少なくとも2つの電極に対して、外部電源から任意の電圧を印加することにより、該各電極は、所定物面位置より出射されたビームを減速させるとともに、該ビームに生じる球面収差を補正するための減速型集束電場を形成することができる。これにより、高エネルギーのビームが物面から出射された場合であっても、上記各電極によって形成された減速型集束電場により、該ビームを減速させることができる。
また、上記電極の少なくとも1つとして、物面に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュを用いることにより、大きな取り込み角を実現することが可能となる。
これにより、本発明のエネルギー分析器は、所定物面位置から出射された高エネルギー、かつ、大きな開き角のビームを取り込むことが可能となり、感度を向上させることが可能となる。
また、本発明のエネルギー分析器では、上記メッシュは、上記光軸を中心軸とする回転楕円面からなる構成であってもよい。
メッシュの形状が光軸を中心軸とする球面からなる場合、ビームの取り込み角は±30度程度が限界であった。そこで、本発明の上記構成では、メッシュの形状を、光軸を中心軸とする回転楕円面から構成することにより、メッシュの形状が球面からなる場合と比較して、ビームの取り込み角を±60度程度まで大きくすることが可能となる。
したがって、本発明のエネルギー分析器は、所定物面位置から出射された高エネルギー、かつ、大きな開き角を有したビームを取り込むことが可能となり、感度を向上させることが可能となる。
また、本発明のエネルギー分析器では、上記第1電子レンズは、上記メッシュの長軸短軸比、上記各電極の長さ、所定物面位置から該メッシュまでの距離、および該各電極に印加される電圧の少なくとも1つを調節することによって上記所定のエネルギーを有するビームを集束点に集束させる構成であってもよい。
所定物面位置から出射されたビームのうち、所定のエネルギーを有するビームを、第1板部材の第1貫通孔に通過させるためには、該第1貫通孔の位置に該ビームを集束させる必要がある。
そこで、本発明の上記構成により、メッシュの長軸短軸比、各電極の長さ、所定物面位置から該メッシュまでの距離および該各電極に印加される電圧の少なくとも1つを調節することによって、所定物面位置から出射されたビームのうち、所定のエネルギーを有するビームを集束点に集束させることが可能となる。
また、本発明のエネルギー分析器では、上記第1板部材の上記第1貫通孔の直径は、上記第1電子レンズの所定物面位置から像面までの距離の約1/10000〜約1/50であってもよい。
第1板部材の第1貫通孔の直径が大きくなるに伴い、所定のエネルギー以外のエネルギーを有したビームが、該第1貫通孔を通過する割合が高くなる。
そのため、本発明のエネルギー分析器では、高精度のエネルギー分析を行うために、上
記第1貫通孔の直径を、上記第1電子レンズの所定物面位置から像面までの距離の約1/10000〜約1/50の範囲内とすることが好ましく、特に約1/300とすることが望ましい。
これにより、上記エネルギー分析器は、所定のエネルギー以外のエネルギーを有したビームが上記第1板部材の上記第1貫通孔を通過してしまうことを抑制することができ、エネルギー分解能を向上させることができる。その結果、本発明のエネルギー分析器を、例えば光電子顕微鏡に適用した場合は、明瞭な像を投影することが可能となる。
また、本発明のエネルギー分析器では、上記第1板部材の上記第1貫通孔の直径は、上記エネルギー分析器のエネルギー分解能が約0.1%〜約7%となるように設定されていてもよい。
本発明のエネルギー分析器では、エネルギー分解能の数値が大きくなるに伴い、所定のエネルギー以外のエネルギーを有したビームが上記第1板部材の上記第1貫通孔を通過してしまう。そのため、上記エネルギー分析器において、高精度のエネルギー分析を行うためには、エネルギー分解能が約0.1%〜約7%の範囲内であることが好ましく、特に約1%以下であることが望ましい。
そこで、本発明のエネルギー分析器は、上記第1板部材の上記第1貫通孔の直径を、エネルギー分析器のエネルギー分解能が約0.1%〜約7%の範囲内、特に約1%となるように設定することにより、高精度のエネルギー分析を行うことが可能となる。その結果、本発明のエネルギー分析器を、例えば光電子顕微鏡に適用した場合は、明瞭な像を投影することが可能となる。
また、本発明のエネルギー分析器では、上記第1電子レンズの光軸近傍のビームを遮断する遮断部材を備えていてもよい。
本発明のエネルギー分析器では、上記第1板部材の上記第1貫通孔を用いて所定物面位置から出射されたビームのエネルギー分析を行っているが、上記第1電子レンズの光軸近傍に沿った方向に所定物面位置から出射されるビームは、そのエネルギーにかかわらず該第1板部材の該第1貫通孔を通過してしまう。そのため、上記第1電子レンズの光軸近傍に沿った位置では、エネルギー分解能が低くなってしまう。
そこで、本発明のエネルギー分析器では、所定物面位置から出射されたビームから上記第1電子レンズの光軸近傍のビームを遮断する遮断部材を備えることにより、選別されないままに上記第1板部材の上記第1貫通孔を通過してしまうビームを遮ることができる。その結果、本発明のエネルギー分析器におけるエネルギー分解能を向上させることができる。
また、本発明のエネルギー分析器では、上記遮断部材は、所定物面位置から約0.5度〜約20度の範囲内の上記ビームを遮断するように設けられていてもよい。
本発明のエネルギー分析器では、上記第1電子レンズの光軸近傍に沿った方向に所定物面位置から出射されるビームは、そのエネルギーにかかわらず上記第1板部材の上記第1貫通孔を通過してしまう。特に、上記第1板部材の上記第1貫通孔の直径が大きくなるに伴い、所定のエネルギー以外のエネルギーを有したビームが該第1貫通孔を通過してしまう。そのため、上記第1電子レンズの光軸近傍に沿った位置では、エネルギー分解能が低くなってしまう。
そこで、本発明のエネルギー分析器では、遮断部材を、上記第1板部材の上記第1貫通孔の直径に応じて、所定物面位置から約0.5度〜約20度の範囲内のビームを遮断するように設けてもよい。これにより、上記エネルギー分析器は、上記第1板部材の上記第1貫通孔の直径に関わらず、選別されないままに該第1板部材の該第1貫通孔を通過してしまうビームを遮ることができ、エネルギー分解能を向上させることができる。
また、本発明の2次元表示型エネルギー分析器は、上記第1板部材の上記第1電子レンズが配置されている側とは反対側に設けられ、かつ、上記第1電子レンズから出射された上記ビームを集束させる少なくとも1つの第2電子レンズを備え、上記映写部材は、上記第2電子レンズから出射された上記ビームを映し出す構成であってもよい。
上記構成により、第1電子レンズ、第1板部材および映写部材から構成された2次元表示型エネルギー分析器に加えて、上記第1板部材の上記第1電子レンズが配置されている側とは反対側に、上記第1電子レンズから出射された上記ビームを集束させる第2電子レンズが設けられており、所定物面位置から出射されたビームの放出角度分布をより鮮明に表示させることが可能となる。
本発明のエネルギー分析器は、電子分光装置のインプットレンズおよびエネルギー分析器として、光電子顕微鏡の対物レンズとして、または光電子顕微鏡として好適に適用できる。

Claims (13)

  1. 所定物面位置から一定の開き角をもって出射された電子または荷電粒子ビーム(以下、ビーム)から、所定のエネルギーを有するビームを選別するエネルギー分析器において、
    前記ビームを取り込み、集束させる第1電子レンズと、
    前記第1電子レンズの出射口に設けられ、かつ、前記所定のエネルギーを有するビームが集束する集束点と同位置に設けられた第1貫通孔が形成された第1板部材とを備え、
    前記第1電子レンズは、
    光軸を中心軸とする回転体面からなり、外部電源から任意の電圧が印加される少なくとも2つの電極を備え、
    前記電極の少なくとも1つは、物面に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュであることを特徴とするエネルギー分析器。
  2. 所定物面位置から一定の開き角をもって出射された電子または荷電粒子ビーム(以下、ビーム)から、所定のエネルギーを有するビームを選別するエネルギー分析器において、
    前記ビームを取り込み、集束させる第1電子レンズと、
    前記第1電子レンズの出射口に設けられ、かつ、前記所定のエネルギーを有するビームが集束する集束点と同位置に設けられた第1貫通孔が形成された第1板部材とを備え、
    前記第1電子レンズは、
    光軸を中心軸とする回転体面からなり、外部電源から任意の電圧が印加される少なくとも2つの電極を備え、
    前記電極の少なくとも1つは、物面に対して凹面形状を有し、該凹面形状が光軸を中心軸とする回転体面からなるメッシュであり、
    前記各電極は、該各電極に印加された電圧により、前記ビームを減速させるとともに、該ビームに生じる球面収差を補正するための減速型集束電場を形成することを特徴とするエネルギー分析器。
  3. 前記メッシュは、前記光軸を中心軸とする回転楕円面からなることを特徴とする請求項1または2に記載のエネルギー分析器。
  4. 前記第1電子レンズは、前記メッシュの長軸短軸比、前記各電極の長さ、所定物面位置から該メッシュまでの距離、および該各電極に印加される電圧の少なくとも1つを調節することによって前記所定のエネルギーを有するビームを集束点に集束させていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエネルギー分析器。
  5. 前記第1板部材の前記第1貫通孔の直径は、前記第1電子レンズの所定物面位置から像面までの距離の約1/10000〜約1/50であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエネルギー分析器。
  6. 前記第1板部材の前記第1貫通孔の直径は、前記第1電子レンズの所定物面位置から像面までの距離の約1/300であることを特徴とする請求項5に記載のエネルギー分析器。
  7. 前記第1板部材の前記第1貫通孔の直径は、前記エネルギー分析器のエネルギー分解能が約0.1%〜約7%となるように設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエネルギー分析器。
  8. 前記第1板部材の前記第1貫通孔の直径は、前記エネルギー分析器のエネルギー分解能が約1%となるように設定されていることを特徴とする請求項7に記載のエネルギー分析器。
  9. 前記第1電子レンズの光軸近傍のビームを遮断する遮断部材を備えることを特徴とする
    請求項1〜8のいずれか1項に記載のエネルギー分析器。
  10. 前記遮断部材は、所定物面位置から約0.5度〜約20度の範囲内の前記ビームを遮断するように設けられていることを特徴とする請求項9に記載のエネルギー分析器。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のエネルギー分析器と、
    前記第1板部材の前記第1電子レンズが配置されている側とは反対側に設けられ、かつ、前記第1板部材の前記第1貫通孔を通過した前記ビームを映し出す映写部材とを備えることを特徴とする2次元表示型エネルギー分析器。
  12. 前記第1板部材の前記第1電子レンズが配置されている側とは反対側に設けられ、かつ、前記第1電子レンズから出射された前記ビームを集束させる少なくとも1つの第2電子レンズを備え、
    前記映写部材は、前記第2電子レンズから出射された前記ビームを映し出すことを特徴とする請求項11に記載の2次元表示型エネルギー分析器。
  13. 請求項12に記載の2次元表示型エネルギー分析器と、
    前記ビームの通過領域を制限する第2貫通孔が形成されており、前記第1電子レンズおよび前記第2電子レンズの像面および回折面の少なくとも1つに設けられた第2板部材とを備えることを特徴とする光電子顕微鏡。
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