JP4781211B2 - 電子線装置及びこれを用いたパターン評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は電子線を用いて最小線幅0.1μm以下のパターンを有する試料のパターン評価を高スループット、高信頼性で行う電子線装置及びパターン評価方法に関する。
従来から、複数の一次電子線を細く絞って試料の表面を走査し、走査点から放出される二次電子線をビーム分離器で二次光学系の方向に偏向し、複数の検出器で検出することによってパターン評価をする装置は公知である。
パターン評価においては、収差の補正が問題となるが、これに関しては、ウィーンフィルタの一端面に一次電子線の像点若しくは物点を形成すると共に、対物レンズの物点又は像点がウィーンフィルタの他端面に位置するように対物レンズを配置することで、軸上色収差を補正できるとの理論解析が公知である。
この他、多極子電極あるいは多極子磁極のような非軸対称の光学素子を用いて軸対称レンズ系で発生する軸上色収差や球面収差を補正する電子線装置も公知である。この従来技術に係る電子線装置では、非軸対称光学素子を用いて軸上色収差や球面収差を補正するので、高分解能の電子線装置を実現することが可能である。
また、電子線を用いてパターン評価等を行う電子線装置においては、電子線源としてショットキーカソード電子銃を有するものが主流であった。
ところで、従来の電子線装置においては、種々の問題点がある。第1に、一次電子線を細く絞った場合に軸上色収差が大きくなって一点で焦点を結ばないため、大きいビーム電流が得られない。また、二次電子線を一次電子線から分離する際に発生する非点収差及び偏向色収差等が問題点である。
ここで、色収差とは、電子線のエネルギ(速度)が様々な要因で拡がり(幅)を持ち、レンズでの屈折角度が速度によって異なるため、結像の際に像がぼける現象をいう。また、非点収差とは、電磁レンズ(対物レンズ)が完全な軸対称性を持たないこと等に起因する収差であり、この収差はレンズのポールピースの孔の非対称(真円でない)、材質の磁気的不均質、絞り等への帯電などによって生じる。更に、偏向色収差とは、電子線の偏向の際に生じる収差であり、電子線のエネルギ(速度)の違いによって偏向の度合いに差が生じて像がぼける現象をいう。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、複数の電子線の軸上色収差が補正でき、非点収差や偏向収差も低減できる電子線装置及びこれを用いたパターン評価方法を提供することを目的とする。
第2に、一本の電子線を用いた電子線装置において、スループットを向上させる手段として、電子線電流を増加させることが考えられる。しかし、電子線電流を増加させようとすると、空間電荷効果によって電子線が広がってしまい、細く絞ることができないという問題点が生じる。
また、複数の電子線を同時に試料に照射する場合にも、合計の電子線電流をあまり大きくできないという問題があった。なぜなら、光軸の近傍に複数の電子線を形成して細く絞り、同時に複数箇所を走査して各走査点から放出される二次電子を検出するようにすると、空間電荷効果は強度の高い一本の電子線の場合程は生じないが、これら複数の電子線がクロスオーバで1箇所に集まる為、合計の電子線電流が大きくなってしまい、結局クロスオーバでの空間電荷効果を小さくすることができないからである。
本発明は上記空間電荷効果を低減し、高スループットで信頼性の高い電子線装置及びこれを用いたパターン評価方法を提供すること目的とする。
第3に、一般的なウィーンフィルタでは、光軸方向の両端面にその物点及び像点を形成する場合がある。このようなウィーンフィルタでは、物点又は像点の近くに補助レンズが設けられる。そして、補助レンズを設ける場合には、ウィーンフィルタの端面と補助レンズとを軸合わせするために、光軸に沿って二段の偏向器を設ける必要がある。一方、二段の偏向器を設けるためには、補助レンズの焦点距離を長くしなければならない。
また、非分散ウィーンフィルタの物点と像点の相互間距離を、ウィーンフィルタの光軸方向の両端面間距離よりも長くする使い方も考えられる。しかし、複数の一次電子線を用いる場合や、写像投影光学系のように光軸から外れた一次電子線も用いる場合などには、大きな収差が発生することとなり、これを低減するための解決策が無かった。
本発明には上記問題点に鑑みてなされたものであって、ウィーンフィルタの上流側及び下流側に軸合せ用の二段の偏向器を設ける空間が確保でき、しかも光軸からはずれた位置の一次電子線の収差も補正可能な収差補正レンズ機構及びこれを用いたパターン評価方法を提供することを目的とする。
第4に、適切に収差の補正をするためには、これらの多極子電極に与える電圧の変動は1ppm未満の精度が必要である。また、多極子磁極を励磁する電流の変動も1ppm未満の精度が必要である。さらに、これら多極子電極や多極子磁極に用いられる電磁極の加工精度・組立て精度も、1μm以下の高精度が要求される。このような高精度の電源及び高精度の加工・組立ての必要性から、電子線装置自体が非常に高価なものとなってしまうという問題点があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、10ppm程度の電源の変動と数μm程度の組立て・加工精度であっても、軸上色収差あるいは球面収差が適切に補正される電子線装置およびこれを用いた微細パターン評価方法を提供することを目的とする。
第5に、上記した複数の電子線を用いた電子線装置では、複数の各電子線で試料面を走査した時、視野の端近くでは放出された二次電子線の結像点での電子線の拡がりが走査方向とその直角左方向とでは大きい差があり、複数の電子線の配置をX軸、Y軸方向で等ピッチとすると、間隔が大きくなり過ぎ、多くの電子線を一つの光軸上に配置できない問題点があった。
また、複数の電子線を検出する検出器については、電子線の形状が楕円形になる場合については適切なものが無かった。
更に、二次電子線像についてもビーム分離器で分離すると、偏向色収差が無視できない量になる問題点があった。
本発明は上記問題点に鑑み、電子線から光信号を得るシンチレータは、電子線のエネルギが小さいと得られる光信号が小さい問題点があった。本発明は上記諸問題を個々に解決する手段を提供することを目的とする。
第6に、ショットキーカソード電子銃は一般的に高輝度であるので、小さいビーム径で比較的大きいビーム電流が得られるのが特徴である。ところで、ショットキーカソード電子銃はショット雑音が大きいため、大きいビーム電流でパターン評価を行なう必要がある。しかし、大きなビーム電流で電子線を試料に照射する場合には、レジストパターンの変形やゲート酸化膜の破損等の問題が生じる。
また、軸上色収差を補正するレンズを利用して小寸法のビームで大きいビーム電流を得る方法もある。しかし、ここでは開口角を大きくするため、試料位置が光軸に沿って僅かでも変動すると大きい焦点ずれが発生するという問題がある。さらに、このような軸上色収差補正レンズを光学系に入れると光路長が長くなり、空間電荷効果のためビームがボケるという問題があった。
本発明は上記の問題点に鑑みなされたもので、ショット雑音の小さい電子銃で、軸上色収差を補正することにより大きいNAで動作可能で、しかも光路長が短くなる電子光学系を有する電子線装置及びこれを用いたパターン評価方法を提供することを目的とする。
本発明は上記目的に鑑みてなされたものであって、第1の問題点に対応して、一次電子線を放出する電子銃と、前記一次電子線の一部が通過する複数の開口を有するマルチ開口板と、前記開口を通過する一次電子線を縮小するコンデンサレンズと、縮小された一次電子線を試料表面に結像させる対物レンズとを備える一次光学系と、前記試料から放出される二次電子線を偏向する偏向器群と、前記偏向器群で偏向された二次電子線を拡大する拡大レンズと、拡大された二次電子線を検出する二次電子線検出器とを備える二次光学系とを備え、前記一次光学系に、前記対物レンズで生じる軸上色収差に対応した軸上色収差を発生させる非分散ウィーンフィルタからなる軸上色収差補正レンズを備える、という構成を採っている。
また、前記ウィーンフィルタは前記一次電子線の光軸から放射状に延びる複数の電磁極から構成され、各電磁極は光軸近傍から扇形に広がる第1電磁極部と、前記第1電磁極部の端部から一定の厚さで延びる第2電磁極部と、前記第2電磁極部の端部から円周方向に延びる第3電磁極部とからなる、という構成を採っている。
また、前記偏向器群は2つの偏向器からなり、第1の偏向器は一次電子線及び二次電子線を共に偏向し、第2の偏向器は二次電子線のみを偏向する、という構成を採っている。
更に、電子線を用いたパターン評価方法であって、電子線から放出される一次電子線を複数の開口に照射して複数の一次電子線を形成し、前記複数の一次電子線を縮小すると共に軸上色収差補正レンズを通して、対物レンズで生じる正の軸上色収差に対応する負の軸上色収差を発生させ、前記一次電子線を静電偏向器及び電磁偏向器で偏向して試料の表面に対して垂直に向け、試料に対して垂直に向けられた前記一次電子線を対物レンズで縮小すると共に試料の表面を走査し、前記試料から放出される二次電子線を2つの偏向器からなる偏向器群によって二次光学系に向けて偏向し、前記偏向された二次電子線を二次電子線検出器で検出する、という構成を採っている。
また、第2の問題点に対応して、本発明では一次電子線を放出する電子銃と、一次電子線を縮小するコンデンサレンズと、縮小された前記一次電子線の一部が通過する複数の開口を有するマルチ開口板と、前記マルチ開口板で形成される複数の一次電子線を試料表面に結像させる対物レンズとを備える電子線装置において、前記コンデンサレンズは、球面収差により光軸から遠い一次電子線ほど前記電子銃に近い所定位置でクロスオーバを形成するように形成されている、という構成を採っている。
また、前記クロスオーバの位置を基準として、前記光軸方向と前記マルチ開口板の最外側に形成された開口の方向とのなす角が所定値よりも大きいこと、という構成を採っている。
また、前記コンデンサレンズの口径をDとし、前記マルチ開口板の両端部の開口間の距離をdとした場合に、1<D/d≦3の条件を満たす、という構成を採っている。
また、前記マルチ開口板に前記各開口が所定間隔で格子状に配置された場合に、前記試料の表面における前記一次電子線の配置がたる型に歪むように前記一次光学系が設定されている、という構成を採っている。
更に、前記マルチ開口板には、前記たる型の歪みを補正するように、前記各開口が糸巻き状に歪んだ状態で配置されている、という構成を採っている。
また、第3の問題点に対応して、光軸に沿って配置される軸上色収差補正レンズと対物レンズとを備えた収差補正レンズ機構において、前記対物レンズの像点若しくは物点の位置と前記軸上色収差補正レンズの物点若しくは像点の位置とが一致するように両レンズを配置し、前記軸上色収差補正レンズの像点及び物点に主面が位置する第1及び第2の補助レンズを更に備える、という構成を採っている。
また、ウィーンフィルタを用いて軸上色収差又は球面収差を補正する収差補正レンズ機構において、前記ウィーンフィルタの物点−像点間距離をこのウィーンフィルタの光軸方向の両端面間距離より長くし、光軸から離れた物点からの一次電子線の主光線の軌道が前記ウィーンフィルタの中間点に関して点対称の軌道となるように制御する、という構成を採っている。
また、ウィーンフィルタを用いて軸上色収差又は球面収差を補正する収差補正レンズ機構において、前記ウィーンフィルタの物点−像点間距離をこのウィーンフィルタの光軸方向の両端面間距離より長くし、クロスオーバ像を前記ウィーンフィルタの中間面から光軸方向の等しい距離の2個所に形成し、当該クロスオーバが形成されるZ方向位置の制御は前記ウィーンフィルタの物点に設けた補助レンズで行う、という構成を採っている。
また、光軸に沿って配置される軸上色収差補正レンズと対物レンズとを備えた収差補正レンズ機構において、前記対物レンズの像点若しくは物点の位置と前記軸上色収差補正レンズの物点若しくは像点の位置とが一致するように両レンズを配置し、前記軸上色収差補正レンズを二段のウィーンフィルタにより構成し、前記各ウィーンフィルタ相互の光軸方向の中間点に像点を形成し、この中間点から前記光軸方向の等しい距離の2箇所にクロスオーバ像を形成する、という構成を採っている。
更に、収差補正レンズの像点の位置と対物レンズの物点の位置とが相互に一致するように前記両レンズ配置された収差補正レンズ機構によって複数の一次電子線を用いてパターン評価を行う方法であって、前記一次電子線を複数の開口に照射して複数の一次電子線を生成するステップと、前記一次電子線を集束させて収差補正レンズの物点に複数の開口像を形成するステップと、前記収差補正レンズの物点に設けた第1補助レンズにより前記収差補正レンズの中間面に関して等しい距離の位置に第1及び第2クロスオーバ像を形成するステップと、前記対物レンズで前記複数の一次電子線を試料面に合焦させ且つ走査するステップと、前記試料の表面から放出される複数の二次電子線をビーム分離器で二次光学系の方向へ偏向するステップと、偏向された複数の前記二次電子線の相互間隔を拡大するステップと、相互間隔が拡大された前記各二次電子線を検出するステップとを含む、という構成を採っている。
また、第4の問題点に対応して、多極子レンズを用いて軸上色収差あるいは球面収差を補正できる電子線装置において、レンズを駆動する電源の変動若しくはレンズの加工精度不良により発生するこのレンズによる電子線のボケが試料面上で十分縮小されるように、この多極子レンズの像面から試料面までの光学系の縮小率を決定する、という構成を採っている。
また、試料から放出される二次電子線を拡大光学系で拡大して検出する電子線装置において、軸対称光学系で発生する軸上色収差あるいは球面収差を補正する多極子レンズを用いる電子線装置であって、この多極子レンズを駆動する電源の精度不良若しくはレンズの加工精度不良により発生する電子線のボケより、前記多極子レンズの物面での試料の必要解像寸法の像が十分大きくなるようにした、という構成を採っている。
また、試料面上の微細パターンを評価する方法であって、多極子レンズに接続する電源の変動に基づいて生じる多極子レンズによるボケを算出するステップと、前記料面上での画素寸法を決定するステップと、算出された前記多極子レンズによるボケの値と画素寸法の値との比率を算出するステップと、前記多極子レンズの像面から試料面までの光学系の倍率を上記比率より大きくする、という構成を採っている。
また、上記多極子レンズはウィーンフィルタであり、このウィーンフィルタの光軸方向寸法は物点から像点迄の距離の1/2以下とする、という構成を採っている。
更に、上記光学系の倍率は1/5倍以下にする、という構成を採っている。
また、第5の問題点に対応して、本発明は、複数の電子線を試料に照射し、試料から放出される二次電子線を検出して試料の評価を行う装置であって、一軸方向に上記複数の電子線を電気的に走査し、前記一軸方向に直交する他軸の方向に試料台を機械的に走査し、上記複数のビームの配置間隔は上記電気的走査方向に近い方向は広く、上記機械的走査方向に近い方向は狭くする、という構成を採っている。
また、複数の電子線を検出する検出器であり、先端が長方形あるいは正方形に研削されて複数本が束ねて接合された光ファイバと、この光ファイバの先端に塗布されたシンチレータと、前記光ファイバの他端に接続されたホトマルとを備えている、という構成を採っている。
また、試料から放出される複数の二次電子線を分離する分離器と、この分離された二次電子線を縮小又は拡大する静電レンズと、縮小又は拡大された前記二次電子線を垂直に偏向する偏向器と、この偏向された二次電子線を検出する検出器とを備えている、という構成を採っている。
更に、試料から放出された二次電子線を検出する方法であり、複数の走査点から放出された二次電子線をビーム分離器で一次電子線から分離するステップと、分離された二次電子線をレンズで拡大し検出面に結像させるステップと、前記検出面に正の高電圧を印加するステップとを含む、という構成を採っている。
更に、第6の問題点に対応して、本発明は、電子線を試料に照射し、試料から放出される2次電子を検出して試料の評価を行なう装置において、一次電子光学系、二次電子光学系、軸上色収差補正レンズ、静電レンズより成る対物レンズ、ビーム分離器を有し、上記ビーム分離器は上記対物レンズのボーア径と少なくとも対物レンズ側は同じボーア径の金属円筒の外側に形成される、という構成を採っている。
また、電子線を試料に照射し、試料から放出される2次電子を検出して試料の評価を行なう装置において、一次電子光学系、二次電子光学系、軸上色収差補正レンズ、対物レンズ、ビーム分離器を有し、試料の評価に先立ち試料面のZ方向位置を測定し、ダイナミックにフォーカス調整を行いながら試料の評価を行なう、という構成を採っている。
また、電子線をパターンを有する試料に照射し、試料の線幅を測定する装置であって、LaB6電子銃、軸上色収差補正レンズを有する、という構成を採っている。
また、上記電子銃は空間電荷制限条件で動作させ、試料の局部的な照射量を1μc/cm以下とする、という構成を採っている。
また、電子線を試料に照射し試料の評価を行なう装置であって、軸上色収差補正用のウィーンフィルタ及び上記ウィーンフィルタの前または後に上記ウィーンフィルタのボーア径と同径のリング状部品とその部品と同径の軸合わせ偏向器を有する、という構成を採っている。
本発明によれば、複数の電子線を用いる、いわゆるマルチビームの電子線装置において、軸上色収差が補正でき、非点収差や偏向収差も低減することができる。
また、一次電子線の数を10本以上に設定しても空間電荷効果を比較的小さくできる。
また、ウィーンフィルタの上流側及び下流側に軸合せ用の二段の偏向器を設ける空間が確保でき、しかも光軸からはずれた位置における一次電子線の収差の補正も可能となる。
また、収差補正レンズの製作精度の要求を緩和し、厳格な電源精度が不要となる。
更に、ショット雑音の小さい電子銃で軸上色収差を補正することにより、大きいNAで動作可能でしかも光路長が短くなる電子光学系を有する電子線装置を実現できる。
[第1の実施形態]
[全体概要]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電子線装置EB1を示す概略図である。この電子線装置EB1は一次光学系として、電子線Eの上流側から順に、電子銃1、マルチ開口板2、縮小レンズ3,4、軸上色収差補正レンズ5,6、静電偏向器を兼ねる第1走査偏向器7a、パーマロイパイプ21、ビーム分離器8、静電偏向器7b、対物レンズ9を備えている。そして、対物レンズ9の下流側に試料10が配置されている。一方、二次光学系としては試料10から順に、すでに述べたビーム分離器8、偏向器11、二次光学系レンズ12、拡大レンズ13が配置され、最下流側に二次電子線検出器14が配置されている。
[電子銃]
電子銃1はCeB6単結晶のカソードを備えており、その先端は半径が15μmの尖った形状をしているので高輝度の一次電子線が得られる。ここで輝度とは、電子銃1の明るさを単位立体角度あたりの電流密度で表わしたものであり、カソードの先端が細いほど高輝度となる。
[マルチ開口板]
電子銃1の下流側にはマルチ開口板2が設けられている。マルチ開口板2は電子銃1から放出された一次電子線から複数の一次電子線を生成するためのものである。このため、マルチ開口板2には多数の開口が形成されている。
[縮小レンズ]
マルチ開口板2の下流側には縮小レンズ3,4が設けられている。この縮小レンズ3,4は複数の一次電子線を絞るためのものである。本実施形態においては光軸に沿って2つの縮小レンズ3,4が配置されている。ここで、本実施形態においては、電子銃1から放出される一次電子線の最高強度部(光軸付近)を基準とした場合、その電子線強度に対して90%以上の強度分布を有する放出角は2mrad(半角)であった。このため、マルチ開口板2の光軸から例えば半径100μmの位置が電子線強度90%以上の最外周とした場合、電子銃1とマルチ開口板2との相互間距離は以下の計算式で算出できる。
Figure 0004781211
[軸上色収差補正レンズ]
軸上色収差補正レンズ5と6は相互に同じ構造を有しており、磁気コア15によって上下に連結され、これらにより非分散ウィーンフィルタを構成している。各軸上色収差補正レンズ5,6には,図2に示すような概ね扇形の電磁極5aが複数組設けられ、これらが組み合わされて各軸上色収差補正レンズ5,6を構成するようになっている。本実施形態の各軸上色収差補正レンズ5,6では、それぞれ12極の電磁極5aが設けられている。
次に、電磁極5aの具体的構造について図2に基づいて説明する。この電磁極5aは第1の電磁極部19と、第2の電磁極部20と、第3の電磁極部18とからなる。第1の電磁極部19は光軸Pに最も近接した部分であり光軸Pから扇形に広がる断面形状をしている。また、第2の電磁極部20は断面の厚みがほぼ一定で平行の形状である。更に第3の電磁極部18はネジ17によって磁気コア15と接合する際に円周方向のネジ間隔を十分取れる様に円周方向に延びた弓状断面形状を有している。そしてこれら、第1の電磁極部19と第2の電磁極部20とが繋がっており、更に、第2の電磁極部20と第3の電磁極部18とが繋がっている。また、第2の電磁極部20の周囲には励磁コイル23が巻かれている。そして、この励磁コイル23で作られた磁束が有効に光軸Pの近くに形成される。また、第3の電磁極部18の外側には絶縁スペーサ16が配置され、この絶縁スペーサ16を介して磁気コア15に固定されている。磁気コア15との固定には通常の固定ネジ17が用いられる。固定ネジ17はコア15と絶縁されている。そして、全ての電磁極5aが磁気コア15に固定された後、光軸Pの付近のボア部と第1の電磁極部18のみ最終的に加工される。
[静電偏向器]
軸上色収差補正レンズ5,6の下流側に配置されている各偏向器7a,7bは、一般的な静電偏向器であり、一次電子線を偏向する。特に、偏向器7aは、ビーム分離器8のための補助偏向器である。
[ビーム分離器]
ビーム分離器8は電磁偏向器からなり、ドーナツ形状のパーマロイのリングを作り、その一端を断面がホームベース状の形状となるように加工し、幅2mm程度の磁気ギャップを加工し、これに励磁コイル8aを巻き付けたものである。尚、ビーム分離器8の上流側(電子銃側)には光軸に沿ってパーマロイ管21が設けられている。そして、このパーマロイ管21の中空内部を一次電子線が通過するようになっている。このパーマロイ管は、電磁偏向器11から漏れる磁界が一次電子線の通路に漏れないようにするシールドの役割を有している。
[電磁偏向器]
電磁偏向器11も、図3に示すようなドーナツ形状のパーマロイのリングを作り、その一端を断面が変形五角形となるように加工し、幅2mm程度の磁気ギャップGを加工し、それに励磁コイル11aを巻き付けたものである。電磁偏向器11を上から見た状態を図3(C)に示す。符号Gで示した平行な磁気ギャップをパーマロイの磁気回路11bで接続した構造で、磁気回路に励磁コイル11aが巻かれている。
[二次光学系レンズ]
電磁偏向器11の下流側には、二次電子線の光軸に沿って二次光学系レンズ12,13が設けられている。
[二次電子線検出器]
二次光学系の最下流には二次電子線検出器14が設けられている。この二次電子線検出器14は、試料10から放出された二次電子線を検出して試料表面の状態を観察するためのものである。
[作用]
次に、上記電子線装置EB1の作用について説明する。先ず、電子銃1から放出された一次電子線はマルチ開口板2に照射される。そして、一次電子線がマルチ開口板2の多数の開口を通過することで、複数の一次電子線が生成される。
マルチ開口板2の多数の開口によって生成された一次電子線は、2つの縮小レンズ3,4で縮小される。そして、縮小された一次電子線は、上流側の軸上色収差補正レンズ5の物点25で結像される。ここで、縮小レンズ3,4の間に形成される縮小像のZ軸方向位置を変化させることによって、一次電子線の縮小率を自在に変化させることが可能である。
そして、ウィーンフィルタからなる軸上色収差補正レンズ5の物点25で結像した一次電子線は、拡がりながら軸上色収差補正レンズ5に入射される。入射した一次電子線は軸上色収差補正レンズ5のレンズ作用により集束され、点27において結像される。また、点27を通過した一次電子線は拡がりながら下流側の軸上色収差補正レンズ6に入射される。軸上色収差補正レンズ6に入射された一次電子線もレンズ作用を受けて、点29に結像される。
以上のように、軸上色収差補正レンズ5,6として2つのウィーンフィルタを用いることにより、点27及び点29において相互に等倍の像が形成され、点29では負の軸上色収差を有する一次電子線が形成される。この点29で生じる軸上色収差は、対物レンズ9で生じる正の軸上色収差と大きさが等しい収差となるように設定されている。なぜなら、対物レンズ9で生じる軸上色収差と大きさが等しく符号が逆の軸上色収差を発生させることにより、対物レンズ9を通過して試料面上では一次電子線の軸上色収差が相殺されるからである。
点29を通過した複数の一次電子線は、静電偏向器7aで偏向され、パーマロイ管21の内部を通過する。パーマロイ管21を通過した一次電子線は電磁偏向器であるビーム分離器8で試料10の表面に対して垂直に偏向された後、対物レンズ9で更に縮小されて試料10の表面に焦点を結ぶ。このとき、ビーム分離器8の上流側には上記したパーマロイパイプ21が配置されているので、そのシールド作用によって、電磁偏向器11からの漏洩磁界が一次電子線に影響を及ぼさないようになっている。
試料10の表面の走査は、静電偏向器7a及び対物レンズ9の上流に配置された静電偏向器7bとで、2段階に偏向することによって行われる。この時の偏向支点を対物レンズ9の主面のすぐ上に設定することにより、偏向色収差とコマ収差を最小にできる。なぜなら、各偏向器7a,7bによって生じる収差と対物レンズ9によって生じる収差とが一部相殺されるからである。
電磁偏向器8はビーム分離器8を兼ね、磁極が図1に示したホームベース状の断面形状の平行面を持ち、パーマロイの磁気回路でそれらの平行面間が接続されている。
試料10から放出された二次電子線は、対物レンズ9で集束され、ビーム分離器8で僅かに偏向されて一次電子線から分離され、その後電磁偏向器11で所定の角度に達する迄偏向される。電磁偏向器11で偏向された二次電子線は、二次光学系レンズ12を透過して、更に拡大レンズ13によって走査点から放出された複数の二次電子線の相互間隔が拡大される。各二次電子線は二次電子線検出器14に結像されて検出される。
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態に係る電子線装置EB2を示す概略図である。尚、図1に記載された構成要素と同じ或いは同様の機能を有するものには、図1と同じ符号を付している。当該電子線装置EB2では、図1の場合と異なり、軸上色収差補正レンズ5bは一段のウィーンフィルタからなる。この電子線装置EB2においては、図示しない縮小レンズの像点22に補助レンズ38を設け、レンズ条件を適切に設定することにより、一次電子線によるクロスオーバを軸上色収差補正レンズ5bの内部の所定点39,40に形成させる。すなわち、補助レンズ38によってクロスオーバを点39に形成すれば、軸上色収差補正レンズ5bがクロスオーバを点40に形成するということである。これにより、光軸外の一次電子線の主光線の軌道36を軸色収差補正レンズ5bの中間点27に対して上下で対称となる様にした。ここで、符号37は像点22から発散する一次電子線の軌道であり、符号36は像点22における所定の像高(光軸からの像の高さ)位置からの主光線の軌道である。
軸上色収差補正レンズ5bの像点29にも補助レンズ41を設け、一次電子線の結像には影響を与えずに、対物レンズ9の主面近くにクロスオーバが形成されるように調整した。軸上色収差補正レンズ5bの像点29からの一次電子線は更に対物レンズ9で縮小され、試料10の表面にマルチビームを結像させ、2段の静電偏向器7a,7bで試料10の表面が走査される。試料10の表面付近には軸対称の円筒電極35が配置され、この円筒電極35に正の高電圧を印加することによってコマ収差や偏向色収差を小さくできる。これは、円筒電極35によって、レンズ作用が生じている領域で[電子線速度/電子線幅]の値が大きくなり、この結果として収差が小さくなるからである。また、対物レンズ9の内部に軸対称でない強磁性体を入れるのは収差を大きくしてしまう可能性があるので、対物レンズ9の軸上磁気分布が2つのピークを持たないように、ビーム分離器としては対物レンズ9の内面をコアとする電磁偏向器31を用いることとした。
試料10の表面から放出された二次電子線は対物レンズ9で集束され、静電偏向器7bで光軸方向へ偏向され、その後ビーム分離器31によって電磁偏向器11側(図の右側)へわずかに偏向され、光軸からある程度離れた位置に設けた電磁偏向器11で大きく偏向され、二次光学系レンズ12,13へ入射する様にした。
尚、対物レンズ9は、真空シール部材45と、Oリング47とを備えており、磁気ギャップ49が形成されている。
図1に開示した実施形態では、偏向器8,11などの非軸対称部品を対物レンズ9の近傍に配置したが、当該第2の実施形態では、対物レンズ9の内部に強磁性体の非軸対称部品を入れる必要が無く、収差の発生を最小にすることができる。
本発明の軸上色収差補正レンズで使用される電磁極5aは、光軸を通る第1の電磁局部19と厚みほぼ一定の第2の電磁極部20とから成る形状であるため、磁束の漏れが少なく、電界と磁界の軸上分布が互いに良く一致する。
また、電子線の分離のために、僅かに偏向させるビーム分離器8と、大きく偏向する電磁偏向器11とを別個に用いるので、それぞれの構造が単純になり、磁気シールドのためのパーマロイ管21を設ける事が容易となった。
[第3の実施形態]
[全体概要]
図5は、本発明の第3の実施形態に係る電子線装置EB3を示す概略図である。この電子線装置EB3は、一次光学系として電子線Eの上流側から順に、電子銃201、コンデンサレンズ202,203、マルチ開口板204、縮小レンズ206、静電偏向器208、ビーム分離器209、静電偏向器210と対物レンズ212を備えている。そして、対物レンズ212の下流側に試料213が配置されている。一方、二次光学系としては試料213から順に、軸対称電極211、電磁偏向器209,214,静電レンズ225、静電偏向器215、回転レンズ216が配置され、最下流側に二次電子線検出器218が配置されている。
[電子銃]
電子銃201はCeB6単(6ホウ化セリウム)単結晶のカソードを備えており、その先端は半径が25μmの尖った形状に研磨されている。
[コンデンサレンズ]
電子銃201の下流側にはコンデンサレンズ202,203が設けられている。このコンデンサレンズ202,203は電子銃201から放出された1本の一次電子線の一様な強度を有する領域を、マルチ開口板204の全体のために必要十分な大きさに調整するためのものである。本実施形態においては光軸に沿って2つのコンデンサレンズが配置されている。一次電子線は所定の放出角で電子銃201から放出されるが、コンデンサレンズ202はこの一次電子線の放出角を拡大する機能を有している。一方、2段目のコンデンサレンズ203は、放出角が拡大された一次電子線のクロスオーバが所定点205に形成されるようにする機能を有している。
[マルチ開口板]
二段目のコンデンサレンズ203の下流側にはマルチ開口板204が設けられている。マルチ開口板204はコンデンサレンズ203を通過した一次電子線から複数の一次電子線を生成するためのものである。このため、マルチ開口板204には多数の開口が形成されている。
[縮小レンズ]
マルチ開口板204の下流側に配置された縮小レンズ206は、所定点205でクロスオーバが形成された一次電子線のクロスオーバ像を拡大し、対物レンズ212の主面近くで結像させる機能を有する。
[静電偏向器]
縮小レンズ206の下流側に配置されている偏向器208は一般的な静電偏向器であり、一次電子線を試料213側に向けて僅かに偏向する機能を有している。
[ビーム分離器]
ビーム分離器209は電磁偏向器からなり、静電偏向器208で僅かに偏向された一次電子線を偏向して、試料213に対して垂直に照射されるようにする機能を有している。
[静電偏向器]
ビーム分離器209の下流側に配置された静電偏向器210は、複数の一次電子線を偏向し試料213の表面を走査させる機能を有している。
[軸対称電極]
軸対称電極211は、二次電子線を加速・集束する機能を有するものである。即ち、軸対称電極211には正の高電圧が印加されており、一方、試料213には負の電圧が印加されている。このため、試料213から軸対称電極211にわたって二次電子に対する加速電界が形成される。この加速電界によって二次電子線が加速・集束されるのである。
[ビーム分離器]
一次光学系においても説明したが、ビーム分離器209は電磁偏向器からなり、二次光学系要素としても機能している。即ち、試料213側から放出される二次電子線を二次光学系側(図1では左方)に偏向する機能を有している。このビーム分離器209は対物レンズ212のレンズ内筒をコアとするサドル型の偏向器である。尚、図ではビーム分離器209が対物レンズ212の外側に配置されているように記載されているが、これは説明および図示上の便宜のためであり、実際には対物レンズ212に近接している。
[電磁偏向器]
ビーム分離器209の下流側に配置された電磁偏向器214は、二次電子線を更に偏向して次の電磁偏向器215へ向ける機能を有している。
[静電レンズ]
電磁偏向器214の下流側に配置された静電レンズは225、電磁偏向器209,214,215によって発生する二次電子線の偏向色収差を無くすためのものである。具体的には、試料213から放出された二次電子線は電磁偏向器209の手前に二次電子像を形成し、その像はさらに静電レンズ225によって点217の位置に結像される。このとき、電磁偏向器209で発生する二次電子のエネルギ幅による偏向方向のずれ角によって、静電レンズ225によって点217の位置に形成される二次電子像は図1における左方へずれる。また、電磁偏向器214で生じる偏向色収差によって、点217の位置で二次電子像が図1の左方へずれる。一方、電磁偏向器215で生じる偏向色収差によって、点217の位置での二次電子像は図1の右方へずれる。ここで、電磁偏向器209および214によって生じる図中左方への二次電子像のずれと、電磁偏向器215によって生じる右方へのずれが相殺されるように各偏向器の位置を設定することにより、偏向色収差を補正することが可能となる。
ここで、電磁レンズではなく静電レンズ225を採用したので、電磁偏向器209,214で生じた点217における左方への二次電子像のずれが回転することなく、単純な左方へのずれとなるので、電磁偏向器215によって偏向色収差の補正が可能となるのである。このため、二次電子像が回転しないようなレンズ構造となっている。この静電レンズ225による二次電子像の拡大率は1〜3倍程度が良く、本実施形態では約2倍とした。
[電磁偏向器]
静電レンズ225の下流側に配置された電磁偏向器215は、二次電子線を二次電子線検出器218側に偏向する機能を有するものである。尚、2段の偏向器214,215は、図3に示したものと同様の構造を有している。
[回転レンズ]
電磁偏向器215の下流側に配置された回転レンズ216は、二次電子線検出器218に試料像を結像させる機能を有している。具体的には、回転レンズ216は2つの磁気ギャップを有し、互いに逆方向の磁界を発生させる構造を持ち、2つのコイルに流す電流比を調整することによって、検出器218の並び方向に二次電子像を配置する機能を有する。そして二次電子像が結像される所定点217の位置を前後に微調整し、回転レンズ216の励磁の合焦条件を満たすように調整することによって、レンズ倍率も調整可能である。
[二次電子線検出器]
二次光学系の最下流には二次電子線検出器218設けられている。この二次電子線検出器18は、試料から放出された二次電子線をビーム毎に検出して試料表面の状態を観察するためのものである。
[作用]
次に、上記電子線装置EB3の作用について説明する。先ず、電子銃201から放出された一次電子線は所定の放出角で放出されるが、この放出角はコンデンサレンズ202で拡大される。放出角が拡大された一次電子線は、2段目のコンデンサレンズ203によって所定点205にクロスオーバが形成されるように集束される。この時、集束されながら進行する一次電子線はマルチ開口板204に一様な照射強度で照射される。そして、一次電子線がマルチ開口板204の多数の開口を通過することで、複数の一次電子線が生成される。
ここで、コンデンサレンズ203とマルチ開口板204とで形成された点205におけるクロスオーバを拡大すると、図6に示すようになる。即ち、光軸近くの開口を通過した一次電子線は縮小レンズ206に近い点205−1(試料213側)にクロスオーバを形成し、一方、光軸から遠い開口を通過した一次電子線は縮小レンズ206から遠い点205−3(電子銃201側)にクロスオーバを形成する。これらのクロスオーバは縮小レンズ206で拡大され、対物レンズ212の主面近くに結像する。この時、点205−1の像が対物レンズ212の主面に形成されると、当然点205−2や点205−3を通った一次電子線による像は、対物レンズ212により電子銃201側に僅かにずれてクロスオーバを形成する。
従来のマルチビームの電子線装置では、すべての開口からのクロスオーバはほぼ同じ位置で光軸と交わる為、クロスオーバではすべてのビームが狭い領域に集中し、ここでのビーム同士の相互作用が大きく空間電荷効果が発生してしまう。
本実施形態に係る電子線装置EB3では、クロスオーバが形成された点以外では、各開口を通過したビームは互いに離れている状況は従来装置と同じであるが、クロスオーバが形成される位置であっても、点205−1,205−2,205−3で示した様に一次電子線同士が互いに離れているため、空間電荷効果はクロスオーバが形成される位置でも小さく保つことができる。
ここで、図7に基づいてクロスオーバを光軸に沿って相互にずらすための手法について説明する。クロスオーバをずらすには、コンデンサレンズ203の球面収差を利用する。図2はコンデンサレンズ203の各要素の概念図である。コンデンサレンズ203はレンズコア203−1を有し、コンデンサレンズ203のボーア径をDとし、マルチ開口板204の最も光軸から離れた開口間の距離をdとする。このとき、コンデンサレンズ203の球面収差によって一次電子線のクロスオーバをずらす方法として2つの策がある。
一つはレンズボーア径Dを開口間最大距離dに近付ける方法であり、他の一つはクロスオーバが形成される点205から両端の開口を見る角度αを所定値より大きくすることである。実施例としては、前者に対しては
1<D/d≦3
であればよいことがシミュレーションで確かめる事ができる。
また、後者に対してはα>200mradであればよい。これは、球面収差がαに比例して大きくなることから、αが所定値よりも大きくなるような開口角とすれば、球面収差によって必要な大きさのクロスオーバのずれを得ることができるからである。
また、対物レンズ212の近くのクロスオーバが形成される点においても、縮小レンズ206によってさらに一次電子線同士の相互間距離が拡大されるため、空間電荷効果を小さくできる。
所定位置でクロスオーバが形成された複数の一次電子線は、縮小レンズ206と対物レンズ212とで2段階に縮小され、試料213の表面上に縮小像221を形成する。試料213の表面の走査は、静電偏向器210で一次電子線を偏向することによって行われる。
ところで、図6に示すように、クロスオーバが1点に結像しないことに起因して、新たな問題が生じる。即ち、光軸から遠い開口を通過した一次電子線が点205−3で示したように、対物レンズ212の主面から離れた位置にクロスオーバを形成すると、一次電子線が対物レンズ212でレンズ作用を受け、試料213の表面において光軸方向へ近づくように僅かに曲げられてしまう。このため、仮に、マルチ開口板204に形成される開口の配置が、一定間隔の格子状だったと仮定した場合、タル型の歪が発生してしまうこととなる。ここでタル型というのは、長方形の長手方向中間部が僅かに太くなって湾曲する樽のような形状をいう。
これに対し、試料213の表面のパターン評価をする場合には、試料213の表面上では図8に示した様に、複数の一次電子線はX軸方向及びY軸方向にそれぞれピッチは異なるが等間隔の一次電子線が照射されることが好都合である。従って、予め図9に示すような糸巻型に歪んだ位置に複数の開口を配置しておけば、対物レンズ212で生じるタル型歪が補正されて、図8で示すような等間隔の一次電子線が得られ、しかも空間電荷効果を低く押さえる事ができる。ここで、糸巻き型とは、長方形の長手方向中間部が僅かに細くなって湾曲する糸巻きのような形状をいう。更に、対物レンズが電磁レンズの場合は、光軸からの距離に依存して僅かに変化する回転が生じるため、符号220’で示した位置に開口を設ける必要がある。
試料213の走査点から放出された二次電子線は、対物レンズ212の内部で正の高電圧が印加された軸対称電極211と試料213に印加された負電圧とが作る加速電界によって加速・集束される。そして、対物レンズ212を通過してすぐ試料像を形成する。試料像から発散した二次電子線は静電偏向器210で光軸方向へ偏向され、更にビーム分離器209で二次光学系(図の左側)へ偏向される。その後、2段の電磁偏向器214,215で垂直方向へ偏向され、点217の位置に2段目の試料像が形成される。更に、回転レンズ216で二次電子線検出器218に試料像が形成され、各電子線毎に2次電子検出が行われる。ここで、静電レンズ225によって、3つの電磁偏向器209,214,215によって発生する2次電子像の偏向色収差が無くなる。
[第4の実施形態]
[全体概要]
図10は、本発明の第4の実施形態に係る収差補正レンズ機構を備えた電子線装置EB4の概略図である。この電子線装置EB4は一次光学系として、電子線Eの上流側から順に、電子銃301、コンデンサレンズ325、マルチ開口板302、縮小レンズ303,304、第1補助レンズ305、二段静電偏向器306,307、ウィーンフィルタ308、第2補助レンズ311、静電偏向器312、ビーム分離器313、静電偏向器314及び対物レンズ315を備えている。そして、対物レンズ315の下流側に試料316が配置されている。
一方、二次光学系としては試料316から順に、対物レンズ315、静電偏向器314、ビーム分離器313、電磁偏向器317,拡大レンズ318,319が配置され、最下流側に二次電子線検出器320が配置されている。
[電子銃]
電子銃301はCeB6単(6ホウ化セリウム)単結晶のカソードを備えており、その先端は尖った形状に研磨されている。
[コンデンサレンズ]
電子銃301の下流側にはコンデンサレンズ325が設けられている。このコンデンサレンズ325は電子銃301から放出された一次電子線の強度が一様な領域をマルチ開口板302の位置で所定の寸法となるように調整するためのものである。
[マルチ開口板]
コンデンサレンズ325の下流側にはマルチ開口板302が設けられている。マルチ開口板302はコンデンサレンズ325を通過した一次電子線から複数の一次電子線を生成するためのものである。このため、マルチ開口板302には多数の開口が形成されている。
[縮小レンズ]
マルチ開口板302の下流側に配置された縮小レンズ303,304は、一次電子線の縮小率を調整し、所定位置に縮小像を結像させる機能を有する。
[第1補助レンズ]
縮小レンズ304の下流側に配置された第1補助レンズ305は、後述するウィーンフィルタ308の所定位置にクロスオーバ像を形成するためのものである。この第1補助レンズ305は一次電子線の像点に配置されている。
[静電偏向器]
第1補助レンズ305の下流側に配置されている静電偏向器306,307は一般的な静電偏向器であり、ウィーンフィルタ308への軸合わせのために一次電子線を偏向する機能を有している。
[ウィーンフィルタ]
静電偏向器307の下流側に配置されているウィーンフィルタ308は、収差補正レンズ機構の主要部である。このウィーンフィルタ308の物点309と像点326はウィーンフィルタ308の外側にある。ここで、非分散ウィーンフィルタ308は、光軸方向の中心点310から等距離にある2つの結像点323,324を有している。すなわち、点323から発散する一次電子線を点324に結像させるレンズ作用を有している。従って、補助レンズ305によって点325から放出された一次電子線を点323に結像させれば、これをウィーンフィルタ308が点324に結像させることとなる。従って、図10における点線の軌道322はウィーンフィルタ308の内部の点310に対して点対象な軌道となる。尚、このように点対称の軌道にした場合、光軸外の一次電子線に新たな収差を発生させないので、収差を小さく抑制することができる。
[第2補助レンズ]
ウィーンフィルタ308の下流側に配置された第2補助レンズ311は、一次電子線を対物レンズ315の主面付近に結像させる機能を有している。この第2補助レンズ311はウィーンフィルタ308の像点に配置されている。
[静電偏向器]
第2補助レンズ311の下流側に配置された静電偏向器312は、一次電子線を後述するビーム分離器313側へ僅かに偏向する機能を有している。
[ビーム分離器]
ビーム分離器313は電磁偏向器からなり、静電偏向器312で僅かに偏向された一次電子線を偏向して、試料316に対して垂直に照射されるようにする機能を有している。
[静電偏向器]
ビーム分離器313の下流側に配置された静電偏向器314は、一次電子線で試料316の表面を走査するために偏向する機能を有している。
[対物レンズ]
対物レンズ315は、静電偏向器314を通過した一次電子線を縮小して、試料316の表面に合焦させる機能を有している。
[二次光学系]
[対物レンズ]
対物レンズ315は二次光学系としても作用し、具体的には試料316の表面から放出される二次電子線を加速・集束させる。
[ビーム分離器]
一次光学系においても説明したが、ビーム分離器313は電磁偏向器からなり、二次光学系要素としても機能している。即ち、対物レンズ315を通過した二次電子線を二次光学系側(図1では右方)に偏向する機能を有している。
[電磁偏向器]
ビーム分離器313の下流側に配置された電磁偏向器317は、二次電子線を更に偏向して次の二次光学系要素へ向ける機能を有している。
[拡大レンズ]
電磁偏向器317の下流側に配置された拡大レンズ318,319は、二次電子線の拡大率を調整して後述する二次電子検出器320で拡大像を形成するためのものである。
[二次電子線検出器]
二次光学系の最下流には二次電子線検出器320が設けられている。この二次電子線検出器320は、試料316から放出された二次電子線をビーム毎に検出して試料表面の状態を観察するためのものである。
[作用]
次に、本実施形態の収差補正レンズ機構を備える電子線装置EB4の作用について説明する。まず、電子銃301から放出された一次電子線は、コンデンサレンズ325によって集束される。一次電子線は集束されながら、マルチ開口板302に一様な強度で照射される。マルチ開口板302の各開口を通過した一次電子線は、点326においてクロスオーバを形成する。
マルチ開口板302の開口を通過し、複数のビームとされた一次電子線は、二段の縮小レンズ303,304で縮小率が調整され、点309に縮小像を形成する。この縮小像は非分散のウィーンフィルタ308で負の軸上色収差を有する像を点326に形成する。複数の一次電子線を用いる場合には、光軸から離れた場所での一次電子線も細く絞る必要があるため、第1補助レンズ305を点309に設け、クロスオーバ像をウィーンフィルタ308の内部の点323で示した位置に結像させる。この第1補助レンズ305は、複数の一次電子線の像点に配置されているため、各一次電子線の結像には影響を与えず、クロスオーバの結像図が符号322の点線で示す軌道となるように制御することができる。
ここで、ウィーンフィルタ308の物点309と像点326とは、光軸方向に見た場合にウィーンフィルタ308の外側にあるので、このウィーンフィルタ308への軸合せ用偏向器306,307をウィーンフィルタ308の前に配置することができる。また、点線322で示す軌道はウィーンフィルタ308の中間点310の上下で点対称であるので、コマ収差や倍率・回転による色収差はこのウィーンフィルタ308では発生しない。
また、ウィーンフィルタ308の像点326にも第2補助レンズ311を設け、点324で形成されたクロスオーバ像を対物レンズ315の主面近傍に結像させるので、対物レンズ315によって発生するコマ収差や倍率・回転色収差を小さくすることができる。負の軸上色収差を有するマルチビーム像は対物レンズ315でさらに縮小され、この時対物レンズで生じる正の軸上色収差と相殺されて試料316上に合焦される。
ビーム分離器313で発生する偏向色収差を補正するために、複数の一次電子線は静電偏向器312でビーム分離器313での偏向量と等しい角度偏向されるようになっており、電子銃301から鉛直に放出された一次電子線を試料316に対して垂直に入射させることができる。試料316の表面上の走査は静電偏向器312と314による二段偏向で行われ、偏向によるコマ収差と偏向色収差を最小にする偏向支点で偏向して行う。
試料316上の走査点から放出された二次電子線は、対物レンズ315で加速・集束され、静電偏向器314で光軸方向へ偏向され、ビーム分離器313で一次電子線と分離される。分離された二次電子線は、偏向器317で必要な角度だけ偏向され、二次光学系に入射する。二次光学系では、二段の拡大レンズ318,319で拡大率が調整され、二次電子検出器320に拡大像が形成されて二次電子線が検出される。
ところで、クロスオーバ像が形成される点323又は324が、ウィーンフィルタ308の中心点310からどの程度離れた位置に形成されるかを確認するためには、ウィーンフィルタ308を2つの薄肉レンズで近似すると便利である。即ち、図10(B)に示すように2つの薄肉レンズを仮定し、それぞれの焦点距離をfとすると、薄肉レンズの公式により以下のようになる。具体的一例として、1つの薄肉レンズの焦点距離を30、各薄肉レンズの中点からの距離を5と仮定した場合、以下のようの焦点距離fは4.3となる。
Figure 0004781211
従って、ウィーンフィルタ308の中心点310から点323又は点324迄の距離は5+4.3=9.3(任意単位)となる。
[第5の実施形態]
図11は、本発明の第5の実施形態に係る収差補正レンズ機構を備えた電子線装置EB5である。電子銃331はCeB6単結晶カソードで、先端が200μm〜1mmの曲率半径に研磨されたカソード332を用い、低輝度・高エミッタンスの一次電子線を放出できるようになっている。電子銃331から放出された一次電子線をコンデンサレンズ333で集束し、成形開口334を一様な照射強度で照射する。成形開口334で正方形あるいは長方形に成形された一次電子線は、二段の縮小レンズ335,336で倍率が調整され、対物レンズ338で試料339の表面に正方形あるいは長方形の一次電子線像を結像させる。電磁偏向器337では一次電子線が試料339に向けて偏向される。尚、試料339の表面に対する一次電子線の入射角度が5〜10度程度でも問題なければ、ビーム分離器などで二次電子線を偏向せずに二次光学系に導くことができる。
試料339から放出された二次電子線は、タブレットレンズ338、340で点353の位置において拡大率1に近い像を形成する。この時、コマ収差と倍率色収差とを最小にする位置にNA開口板352を設ける。点353に形成された二次電子線の像は二段のウィーンフィルタ342,343で点346,347に像を形成するが、二段のウィーンフィルタ342,343の四極子電界及び四極子磁界の励起条件を最適にすることによって、対物レンズ系338,340が生じさせる軸上色収差と絶対値が等しい負の軸上色収差の像を点347に形成することができる。ここでいう最適な励起条件とは、光軸上の一次電子線が直進し、非分散のウィーン条件が満たされ且つ負の軸上色収差が発生する条件をいう。従って点347の位置では軸上色収差がほぼ零で、NA開口板352の開口を大きくしても必要な解像度を得ることができる。点347に形成された二次電子線の像は拡大レンズ348,349で必要な倍率に拡大され、MCP(マイクロチャンネルプレート)からなる二次電子線検出器350に結像される。
試料339で発生する二次電子線の像のうち、光軸から離れた位置の像でも高解像度が要求されるが、これを実現するためには光軸から離れた位置から放出された主光線の軌道が中間点346を中心として上下で対称であればよい。この為、二次電子線の像が形成される点353の位置にNA開口像制御用の補助レンズ341を設け、NA開口板352の開口の像をウィーンフィルタ342の端面近傍の点355に結像させればよい。その結果、光軸から離れた位置からの主光線の軌道が点線345で示した様に上下で対称となり、コマ収差や倍率の色収差を小さくできる。また拡大レンズ348,349の手前にそれぞれNA開口像制御用の補助レンズ351,354を設け、NA開口板352の開口の像を拡大レンズの主面に結像させれば歪収差を小さくすることができる。尚、補助レンズ351は倍率可変機能を有している。
点355の位置がどの位置になるかは図10と同様、ウィーンフィルタ342,343の中心に薄肉レンズがあると近似すると求める事ができる。ここで、各ウィーンフィルタ342,343の中間点346からそれぞれのウィーンフィルタ342,343までの距離を35、各ウィーンフィルタ342,343から点347,353までの距離を35と仮定すると、実線で示した結像関係から、
Figure 0004781211
即ち、点355はウィーンフィルタ中心から17.5の位置となる。
NA開口板352の開口の像を点355の位置に形成すること、言い換えれば光軸外の二次電子線の主光線が点線345で示した軌道を取るように制御するには、NA開口像制御用の補助レンズ341を用いればよい。
[第6の実施形態]
[全体概要]
図12は、本発明の第6の実施形態に係る電子線装置EB6を示す概略図である。この電子線装置EB6は一次光学系として、電子線Eの上流側から順に、電子銃401、コンデンサレンズ402,403、マルチ開口板404、回転レンズ405、軸上色収差補正レンズ406、静電偏向器409、ビーム分離器410、走査用静電偏向器433、対物レンズ411を備えている。そして、対物レンズ411の下流側に試料412が配置されている。一方、二次光学系としては試料412から順に、対物レンズ411、ビーム分離器410、電磁偏向器413、静電レンズ414、電磁偏向器415、収差補正レンズ417、拡大レンズ419が配置され、最下流側に二次電子線検出器420が配置されている。
[電子銃]
電子銃401はCeB6単結晶のカソードを備えており、その先端は尖った形状に研磨されている。
[コンデンサレンズ]
電子銃401の下流側にはコンデンサレンズ402,403が配置されており、このコンデンサレンズ402,403は、電子銃401から放出される一次電子線の放出角を調整するものである。
[マルチ開口板]
コンデンサレンズ403の下流側にはマルチ開口板404が設けられている。マルチ開口板404は電子銃401から放出された一次電子線から複数の一次電子線を生成するためのものである。このため、マルチ開口板404には多数の開口が形成されている。
[回転レンズ]
マルチ開口板404の下流側に配置された回転レンズ405は、マルチ開口板404を通過した複数の一次電子線を回転調整するものである。
[軸上色収差補正レンズ]
軸上色収差補正レンズ406は、一次電子線に対して負の色収差を生じさせるためのものであり、ウィーンフィルタからなる。軸上色収差補正レンズ406には,図12(B)に示すような概ね扇形の電磁極が複数組設けられ、これらが組み合わされて軸上色収差補正レンズ406を構成するようになっている。本実施形態の軸上色収差補正レンズ406では、12極の電磁極が設けられている。
次に、電磁極の具体的構造について図12(B)に基づいて更に詳しく説明する。この電磁極は第1の電磁極部422aと、第2の電磁極部422bと、第3の電磁極部422cとからなる。第1の電磁極部422aは光軸に最も近接した部分であり光軸から扇形に広がる断面形状をしている。また、第2の電磁極部422bは断面の厚みがほぼ一定で平行の形状である。更に第3の電磁極部422cはネジ426によって外筒432と接合する際に円周方向のネジ間隔を十分取れるように円周方向に延びた弓状断面形状を有している。そしてこれら、第1の電磁極部422aと第2の電磁極部422bとが繋がっており、更に、第2の電磁極部422bと第3の電磁極部422cとが繋がっている。また、第2の電磁極部422bの周囲には励磁コイル423が巻かれている。そして、この励磁コイル423で作られた磁束が有効に光軸近くに形成される。また、第3の電磁極部422c側には絶縁スペーサ427が配置され、この絶縁スペーサ427を介して外筒432に固定されている。外筒432との固定には通常の固定ネジ426が用いられる。そして、全ての電磁極が外筒432に固定された後、光軸付近のボア部と第1の電磁極部422aのみ最終的に加工される。
[静電偏向器]
軸上色収差補正レンズ406の下流側に配置されている偏向器409は、一般的な静電偏向器であり、一次電子線を偏向する。この静電偏向器409は、後述するビーム分離器410の偏向色収差を補正すると共に、試料412に対する走査用の偏向器としても機能する。
[ビーム分離器]
ビーム分離器410は一次電子線を試料412側に偏向して、試料412に対して一次電子線が垂直に照射されるようにするものである。このビーム分離器410は一般的な電磁偏向器からなる。
[静電偏向器]
ビーム分離器410の下流側に配置された静電偏向器433は走査用の偏向器であり、静電偏向器409と共に一次電子線を偏向して試料412の表面を走査する機能を有する。
[対物レンズ]
対物レンズ411は一次電子線を縮小して、試料412の表面で合焦させる機能を有している。
[ビーム分離器]
ビーム分離器410は試料412から放出される二次電子線を二次光学系の側に僅かに偏向して、一次電子線から分離するためのものである。
[電磁偏向器]
電磁偏向器413はビーム分離器410で僅かに偏向された二次電子線を更に偏向して二次電子光学系に導くためのものである。
[静電レンズ]
電磁偏向器413の下流側に配置された静電レンズ414は、偏向方向を回転させること無く、二次電子線を拡大するためのものである。
[電磁偏向器]
静電レンズ414の下流側に設けられた電磁偏向器415は、二次電子線の光軸を垂直にすると共に、ビーム分離器410および電磁偏向器413で生じた偏向色収差を補正するためのものである。
[収差補正レンズ]
電磁偏向器415の下流側に設けられた収差補正レンズ417は、二次電子線の軸上色収差と球面収差とを補正するためのものである。この収差補正レンズ417は、上記した軸上色収差補正レンズ406と同様の構造のウィーンフィルタからなる。
[拡大レンズ]
収差補正レンズ417の下流側には拡大レンズ419が設けられ、この拡大レンズ419によって二次電子線検出器に拡大像が形成される。
[二次電子線検出器]
拡大レンズ419の下流側には二次電子線検出器420が設けられている。この二次電子線検出器420は、試料412から放出された二次電子線を検出して試料表面の状態を観察するためのものである。
[作用]
次に、当該実施形態に係る電子線装置EB6の作用について説明する。先ず、電子銃401から放出された一次電子線は2つのコンデンサレンズ402,403で一次電子線の放出角を調整され、マルチ開口板404を一様な強度で照射する。マルチ開口板404の各開口を通過した一次電子線は回転レンズ405によって回転調整され、同時に点407において縮小像が形成される。ここで、回転調整とは、複数の一次電子線で同時に試料上を走査した場合に、相互に隣接する走査線の間隔が等しくなるように複数の一次電子線を回転させることをいう。点407に形成された縮小像は軸上色収差補正レンズ406によって点408において負の色収差を有する像を形成する。
ところで、軸上色収差補正レンズ406は、各電磁極に印加される電圧の変動や励起コイルに供給される電流のドリフト、更には軸上色収差補正レンズ406の製作精度の低さに起因し、この収差補正レンズ自体も点408において100nm程度の寄生収差を発生させる。
しかし、この100nm程度の寄生収差も、1/20の縮小作用を有する対物レンズ411によって縮小され、試料412の表面では1/20程度に縮小されるので、5nm程度となって問題の無い値となる。即ち、電源の不安定等により発生する収差量をシミュレーション等で予測し、その収差が試料面上で十分小さくなる様、軸上色収差補正レンズ像点408から試料への縮小率を決めればよい。
点408における像は、静電偏向器409と電磁偏向器のビーム分離器410とで偏向色収差を補正した状態で2回偏向され、対物レンズ411に垂直に入射する。
試料412から放出された二次電子線は対物レンズ411で加速・収束され、対物レンズ411のすぐ上に試料表面の像に対して1倍強の拡大像を形成する。この拡大像からの二次電子縁はビーム分離器410で11°程度二次光学系側(図では右)へ偏向され、電磁偏向器413でさらに右へ34°程度偏向され、試料412の法線に対して合計45°の角度を保って右へ向う。静電レンズ414は二次電子線の偏光方向を回転させることなく点416に試料表面の像に対して約2倍の拡大像を形成する。
2倍の拡大像が形成される点416から所定の距離だけ手前の位置には電磁偏向器415が設けられ、二次電子線の光軸が垂直にされる同時にビーム分離器410及び電磁偏向器413で発生した偏向色収差が補正される。拡大像が形成された点416から放出される二次電子線によって、軸上色収差と球面収差とを補正する収差補正レンズ417で点418に試料表面の像に対する等倍像を形成し、さらに拡大レンズ417で二次電子線検出器420に拡大像を形成する。
収差補正レンズ417は安価に製作が可能なように、組立て精度も低く電源も比較的安定性の悪い電源を用いるが、一例として点418において生じる収差が点408において生じている収差の約5倍、即ち500nm程度の寄生収差となるような組立て精度と電源精度を採用する設計とした。この寄生収差は、拡大率を勘案して試料412の表面での値に換算すると、試料412から点416迄の像の拡大率が2倍であるから、逆算すると500/2=250nmという値となる。従って試料412上での一次電子線の配置を400nm間隔とすればこの250nmの寄生収差は全く問題とならない。なぜなら、二次電子線検出器420の寸法を試料面換算で400nmにすることが可能であり、二次電子線が試料面換算で250nm程度であっても十分に検出器に入射されるので問題とならない。
試料412の法線に対して±90度以内から放出され、且つ初期エネルギが0.5〜5eVの二次電子線を全て検出しようとすると、点416でのビーム径は球面収差と軸上色収差によって2mm程度に拡がってしまう。これは市販のシュミレーションソフトウェアによって計算可能である、このため、もし収差補正レンズ417が無ければ、二次電子線の一部が検出器から外れてしまい、その結果検出効率が低下してしまう。しかし、軸上色収差と球面収差を収差補正レンズ417で補正すれば、収差は上記した250nm程度の寄生収差のみとなるので100%近い検出効率が得られる。
軸上色収差補正レンズ406及び収差補正レンズ417は、いずれも図12(B)に示すような構造の電磁極を12極組み合わせたウィーンフィルタである。このウィーンフィルタは中間点428又は430に中間像を形成することにより非分散条件を満たすようになっている。即ち結像条件を示す軌道は実線429、431である。
図12(B)で符号421は光軸であり、符号422は電極兼磁極であるパーマロイで、最終加工を放電加工で行うことにより、寸法、形状或いは角度間隔が高精度に加工されている。また、符号423は励磁コイルであり、符号424はコイルを被服するための絶縁物が光軸方向から見えない様にするための金属カバーであり、符号425はこの金属カバーを締め付けるネジで、符号426は電極兼磁極を外筒432に固定するためのネジであり、符号427は絶縁スペーサである。ウィーンフィルタは、光軸方向の長さ(即ち、厚さ)をこのレンズ系の物点と像点の相互間距離より短くすることにより製作し易くすると共に、負の軸上色収差係数や負の球面収差の値を4倍〜9倍に増加させている。即ち、ウィーンフィルタの光軸方向の実寸法を物点−像点の相互間距離の1/2以下にすることにより、軸上色収差係数の絶対値を4倍以上にすることができるので、光学系の縮小率を小さくすることにより生ずる軸対称レンズの物面で軸上色収差係数が大きくなるという問題を回避できる。
一次光学系については、軸上色収差補正レンズ406で発生する収差と試料412の表面上での必要な解像度との比率以下の縮小倍率を選べばよいのに対して、二次光学系では収差補正レンズ417で発生する収差を試料412の表面とその拡大像との拡大率で割算した寄生収差の試料面上での値よりも一次電子線の最小間隔を大きくすればよいと言える。
[第7の実施形態]
[全体概要]
図13は、本発明の第7の実施形態に係る電子線装置を示す概略図EB7である。この電子線装置EB7は一次光学系として、電子線Eの上流側から順に、電子銃501、コンデンサレンズ502,503、マルチ開口板504、回転レンズ505、NA開口板521、縮小レンズ506、静電偏向器507、電磁偏向器からなるビーム分離器508、対物レンズ509、軸対称電極510を備えている。そして、対物レンズ509の下流側に試料511が配置されている。一方、二次光学系としては試料511から順に、対物レンズ509、ビーム分離器508、電磁偏向器512、静電レンズ513、電磁偏向器515、回転可能レンズ516、最下流側に二次電子線検出器518が配置されている。
[電子銃]
電子銃501はCeB6単結晶のカソードを備えており、その先端は極率半径が25μmの部分球状に研磨されており、高輝度で高エミッタンスの一次電子線を放出できるようになっている。但し、高輝度の一次電子線を放出したい場合には先端の曲率半径10μm程度に設定するとよい。一方、高エミッタンスの一次電子線を放出したい場合には、先端の曲率半径を30μm程度に設定するとよい。従って、一般的には10μm〜30μm程度の曲率半径を有することが望ましい。
[コンデンサレンズ]
電子銃501の下流側にはコンデンサレンズ502,503が配置されており、このコンデンサレンズ502,503は、電子銃501から放出される一次電子線の放出角を調整するものである。
[マルチ開口板]
コンデンサレンズ503の下流側にはマルチ開口板504が設けられている。マルチ開口板504は電子銃501より放出された一次電子線から複数の一次電子線を生成するためのものである。このため、マルチ開口板504には多数の開口が形成されている。
[回転レンズ]
マルチ開口板504の下流側に配置された回転レンズ505は、マルチ開口板504を通過した複数の一次電子線を回転調整するものである。
[NA開口板]
回転レンズ505の下流側に配置されるNA開口板521は、一次電子線を成形するためのものであり、光軸に対応する位置に所定形状の開口が形成されている。
[縮小レンズ]
NA開口板521の下流側に配置された縮小レンズ506は、マルチ開口板504を通過した一次電子線を縮小すると共に、NA開口板521の開口を通過した一次電子線を対物レンズ509の主面近傍で結像させるためのものである。
[静電偏向器]
縮小レンズ506の下流側に配置されている静電偏向器507は、一般的な静電偏向器であり、一次電子線を偏向する。この静電偏向器507は、試料511に対する走査用の偏向器としても機能する。
[ビーム分離器]
ビーム分離器508は一次電子線を試料511側に向けて偏向して、試料511に対して一次電子線が垂直に照射されるようにするものである。このビーム分離器508は一般的な電磁偏向器からなる。
[対物レンズ]
対物レンズ509は一次電子線を縮小して、試料511の表面で合焦させる機能を有している。
[軸対称電極]
対物レンズ509の下流側に配置される軸対称電極510は、高電圧が印加されて試料511の表面との間に所定強度の電界を形成するためのものである。本実施形態において軸対称電極510には、1kV/mm〜4kV/mmの電圧が印加されている。
[ビーム分離器]
ビーム分離器508は試料511から放出される二次電子線を二次光学系の側に僅かに偏向して、一次電子線から分離するためのものである。
[電磁偏向器]
電磁偏向器512はビーム分離器508で僅かに偏向された二次電子線を更に偏向して二次電子光学系に導くためのものである。
[静電レンズ]
電磁偏向器512の下流側に配置された静電レンズ513は、偏向方向を回転させること無く、二次電子線を拡大するためのものである。
[電磁偏向器]
静電レンズ513の下流側に設けられた電磁偏向器515は、二次電子線の光軸を垂直にするためのものである。
[回転レンズ]
電磁偏向器515の下流側に配置された回転レンズ516は、二次電子線を拡大して二次電子線検出器518に二次電子像を形成するためのものである。
[二次電子線検出器]
回転レンズ516の下流側には二次電子線検出器518が設けられている。この二次電子線検出器518は、試料511から放出された二次電子線を検出して試料表面の状態を観察するためのものである。
[作用]
次に、本実施形態に係る電子線装置EB7の作用について説明する。先ず、電子銃501から放出された一次電子線は焦点距離の短いコンデンサレンズ502で集束され、一様な強度分布を有する領域が拡大され、さらにコンデンサレンズ503で集束されて回転レンズ505の手前でクロスオーバ像が形成される。コンデンサレンズ503のすぐ下流側には3行9列の開口を有するマルチ開口板504が設けられており、マルチ開口板504の開口を通過した一次電子線の像は回転レンズ505と縮小レンズ506とで縮小される。ここで、回転レンズ505は光軸に沿って上下ほぼ対象の2個のレンズからなり、その中央の磁極を共通にした構造を有し、それぞれコイルに流す電流の向きを調整し、互いに逆方向の軸上磁場が発生するようも制御されている。縮小された一次電子線はさらに対物レンズ509でも縮小され、試料511上に結像するようになっている。
縮小レンズ506のすぐ上流側にはNA開口板521が設けられるが、このNA開口板521の開口は、マルチ開口板504の各開口のうち光軸から最も遠い開口を通過した主光線が光軸と交わる位置に設けられている。そして、その主光線以外の電子線も全くNA開口に遮られないように、NA開口は十分大きい穴径に設計されている。このような構成において、マルチ開口板504の光軸近くの開口からの一次電子線はこのNA開口板521の開口よりも下流側でクロスオーバ像を形成するため、一次電子線の一部はこのNA開口で遮られ、結果として一次電子線のビーム電流が低下する。
縮小レンズ506はマルチ開口板504の開口の像を縮小すると同時にNA開口板521が形成する像を対物レンズ509の主面近傍の位置に結像させる。このとき、結像させる位置は、シミュレーションによって収差が最小になる位置である。静電偏向器507では一次電子線が約10°偏向され、電磁偏向器508では同じ角度だけ逆方向に偏向され、一次電子線が試料511の表面に対して垂直になるように対物レンズ509に入射させる。
軸対称電極510は正の電圧が印加され、これにより試料511の表面上の電界強度が4kV/mm〜10kV/mmの範囲に設定可能である。例えば、試料がビアを有する等の事情で放電しやすい場合は4kV/mm程度に設定され、試料が平坦な表面の場合には10kV/mm程度に設定され、これらの中間の放電しやすさの試料ではこれらの中間の電界強度に設定される。試料511の表面から放出された二次電子線は対物レンズ509を通過し、点519の位置に拡大像が形成されるようになっている。二次電子線はビーム分離器508で二次光学系側(図では右側)へ偏向され、さらに電磁偏向器512で大きく偏向され、静電レンズ513に入射される。静電レンズ513を通過した二次電子線は電磁偏向器515で垂直に戻される。
静電レンズ513によって二次電子線の像が形成される点517のすぐ下流側には回転可能レンズ516が配置され、この回転可能レンズ516で像が拡大されて検出器518の検出面519に二次電子線像が形成される。この検出面519は二次電子線検出器518より十分大きい面積を有し、その面には高電圧が印加されている(図15参照)。このように高電圧が印加されることにより、シンチレータの発光効率が高くなるエネルギ状態になるまで二次電子線が加速され、その後二次電子線がシンチレータに入射される。
ビーム分離器508の偏向によって発生する偏向色収差は、一次電子線については、縮小像が形成される点523と静電偏向器507との間の距離を、点523と電磁偏向器508との間の距離の半分にすることによって0にできる。これは以下の理由による。すなわち、点523の位置で換算した静電偏向器507による偏向色収差は、以下の式で求まる。
(点523−点507間距離)×(点507における偏向色収差角度)
また、点523の位置で換算したビーム分離器508による偏向色収差は以下の式で求まる。
(点523−点508間距離)×(点508における偏向色収差角度)
この値は、以下の式に変形することが可能であります。
2・(点523−点507間距離)×1/2・(点507における偏向色収差角度)
この式は、点523の位置で換算した静電偏向器507による偏向色収差を計算する式と同一となる。このため、偏向色収差を相殺することができる。
二次電子線の偏向色収差については、静電レンズ513による二次電子線の拡大率をMと仮定し、二次電子線像の対物レンズ509による像位置519と電磁偏向器508との間の距離をL1 、点519と2段目の電磁偏向器512間の距離をL2、3段目の電磁偏向器515と静電レンズ513による二次電子線像位置517間の距離をL3とすると、次の関係が成り立つ時、偏向色収差は打ち消される。
M(L1α1+L2α2)=(α1+α2)L3
ここで、「M」は点519での偏向色収差を点517での偏向色収差に換算するための定数である。L1α1はビーム分離器508により点519で生じる偏向色収差である。L2α2は電磁偏向器512により点519で生じる偏向色収差である。そして、(α1+α2)L3は電磁偏向器515により点517で生じる偏向色収差である。上式の左辺と右辺とは収差の方向が逆であるため、偏向色収差が相殺される。
図14は、マルチ開口板504によって形成される複数の一次電子線が試料511の表面上に照射されているときの配置を示す図である。図示しない試料台をY軸方向に連続移動させながら試料511の評価が行われる。従って、一次電子線はX軸方向に走査される。X軸方向に一次電子線が走査された時、その走査点から放出された二次電子線像は元の一次電子線のビーム形状と異なり、形状が拡がってしまう場合がある。これは光学系の収差が原因である。この拡がりをシミュレーションした結果、X軸方向の二次電子線像の拡がりはY軸方向の二次電子線像の拡がりの3倍程度になり、一例として円形のビーム形状が楕円形になることが明らかになった。このことを考慮して、複数の一次電子線の配置を図14の様に、X方向への並び方向をθだけ傾け、ビームのY軸方向への並びの方向はY軸方向と平行した。これは、各一次電子線による走査線の間隔を各一次電子線がぼけて拡がったときの寸法よりも広くとることで、各電子線が干渉しないようにできるからです。この結果、複数の一次電子線の外縁の配置は長方形ではなく少しひしゃげた長方形、すなわち平行四辺形となるため、一次電子線の最大間隔は図中の左上の一次電子線と右下の一次電子線との間の距離529である。もし符号521の一次電子線を無くす(マルチ開口板の対応する位置に開口を形成しない)と、最大ビーム間距離は530になり、同様に符号528の一次電子線を無くすと531が最大ビーム間隔となる。ここで点525はビーム位置521,522,523,524を延長した線上でこれらの間隔だけ延長した点であり、点526はビーム位置521・・・525を結ぶ線に対して直角方向に点521と522の間隔の1/3の距離だけ延長した位置である。X軸はこれら2つの仮想的な2点525,526を結んだ線に平行であり、Y軸はこれと直角である。ここで言うX軸及びY軸は、それぞれ試料台の移動方向及び一次電子線の走査方向に対応している。設計例では、X軸方向間隔は1.2μm、Y軸方向間隔は0.4μmとした。
マルチビームの配置が図14に示すようなものである場合の、検出器の構造を図15、及び図16に示す。ここで、二次光学系の倍率、すなわち試料511から検出器518への倍率を100倍とする。試料面での一次電子線のY軸方向の間隔は上記したように0.4μmであるので、図16に示す各検出面のY軸方向寸法0.4×100=40μmで、X軸方向の中央部の検出面546では幅が1.2μm×100=120μm、両端部の検出面47の幅は150μmとした。
作成方法は、直径200μmの光ファイバの一端を、図15で示したように542の長さ(1mm程度)にわたって研削することによってテーパを付けた。この時、図16における中央領域の検出面546の幅は、両端の検出面547の幅よりも狭くなっている。この削除でも、テーパ角はψ=Tan−10.08とした。
このように研摩した光ファイバの研摩面(先端)に反射材としてのアルミを蒸着し、図16に示したように貼り合せ接着し、真空窓に設けた穴に接着し、受光面を真空窓と同時に平面研摩し酸化錫を蒸着し、シンチレータを塗布しその表面にアルミ膜を薄く蒸着し、この膜に8kvの正の高電圧を印加可能にした。
本発明の検出器では各ピクセルの受光面が長方形であるから、円形ファイバを多数束ねた受光面よりも受光可能な面積率が大きくできる。ここに言う面積率とは、検出面全体の面積に対する実際の受光面の面積の割合であり、本実施形態では円形断面を束ねたときに生じるような隙間が生じないで、全面が検出面となる。尚、検出面に正の高電圧を印加するので発光効率が高い。
また、二次光学系も大部分は垂直にできるので構造的に丈夫であり、垂直の構成された一次光学系との組み合わせによって偏向色収差も補正できる。
[第8の実施形態]
[全体概要]
図17は、本発明の第8の実施形態に係る電子線装置EB8を示す概略図である。この電子線装置EB8は一次光学系として、電子線Eの上流側から順に、電子銃601、コンデンサレンズ602,成形開口板603、成形レンズ604,605、偏向器606,607、金属円筒633,ビーム分離器608,611、各電極612,613,614からなる対物レンズを備えている。そして、対物レンズの下流側に試料615が配置されている。一方、二次光学系としては試料615から順に、対物レンズ、ビーム分離器608,611、NA開口616,偏向器617,618、静電レンズ619、テーパ穴付き筒638、偏向器620,621、軸上色収差補正レンズ622、後述のレンズ625,626に対する軸合せ偏向器623,624、補助レンズ626、拡大レンズ625、後述するレンズ629、630に対する軸合せ偏向器627,628、補助レンズ630、偏向器631、最下流側にMCP(マルチチャネルプレート)からなる二次電子線検出器632が配置されている。
[電子銃]
電子銃601はCeB6(6ホウ化セリウム)単結晶のカソードを備えており、その先端は率半径が800μmの部分球状に研磨されている。この電子銃601は、空間電荷制限領域で動作させることによって、ショット雑音を小さくした状態で使用する。
[コンデンサレンズ]
電子銃601の下流側にはコンデンサレンズ602が配置されており、このコンデンサレンズ602は、電子銃601から放出される一次電子線を集束させて、下流側の成形開口板603に一様な強度で照射するためのものである。
[成形開口板]
コンデンサレンズ602の下流側には成形開口板603が設けられている。成形開口板603は電子銃601から放出された一次電子線を所定の形状に成形するためのものである。このため、成形開口板603には所定形状の開口が形成されている。
[成形レンズ]
成形開口板603の下流側に配置された成形レンズ604,605は、成形開口板603の成形開口を通過した一次電子線の縮小率を調整するためのものである。一次電子線はコンデンサレンズ602によって成形レンズ604の上流側の点638にクロスオーバが形成されるが、この点638は成形レンズ605の主面と共役な位置となっている。
[偏向器]
成形レンズ605の下流側に配置されている二段の偏向器606,607は、一次電子線を偏向するためのものであり、後述するビーム分離器へ一次電子線を導く役割を有している。
[ビーム分離器]
ビーム分離器は、コイル608とパーマロイコア611との組合せにより構成されている。このビーム分離器は、一次電子線を試料615側に偏向するためのものである。ビーム分離器は、後述する対物レンズの上側電極612の内径と等しい内径を有する金属円筒633の外側に配置されている。この円筒金属633は、対物レンズ側は単純な円筒状であるが、電子銃601側は一次電子線が遮られないようテーパが形成されて直径が大きくなっている。尚、このビーム分離器は、後述するように二次光学系要素としても機能する。
[対物レンズ]
対物レンズは一次電子線を縮小して、試料615の表面で合焦させる機能を有している。本実施形態の対物レンズは、上側電極612と、中央電極613と、更に下側電極614とからなる。上側電極612は、ダイナミックフォーカス用電位を与えられるように絶縁された構造となっている。また、中央電極613は試料615側で光軸の近傍が円錐台形状の電極となっており、その中心部に円筒状開口が形成されている。一方、光軸から離れた側は平面形状となっている。上記形状は、円筒内径が半径6mm以上の場合は、低い印加電圧で集束能力を持ち、像面湾曲や非点収差を小さくできることがシュミレーションで確かめられている。試料615側の下側電極614は中央電極613より大きいボーア径の平面電極であり、この下側電極614に印加する電圧によって試料615の表面上の電界強度を調整することができる。また、この下側電極614に印加する電圧を調整することによって合焦条件を保ったまま軸上色収差係数または球面収差係数の値を変化させることができるので、この対物レンズの各収差係数を軸上色収差補正レンズ622の負の軸上色収差係数あるいは負の球面収差係数に一致させるかあるいは近い値にすることができる。この対物レンズは、軸上電界分布を電極の外側でほぼ0にするために、上側電極612の厚さを上側電極612の開口径の少なくとも3倍程度にする必要があったが、ビーム分離器の金属円筒633の内径を上側電極612の開口の内径に一致させてあるので、薄い上側電極612で正常なレンズ作用を得ることができた。具体的には、金属円筒633と上側電極612とは同電位で金属円筒633も電極の一部と同じになるからである。
[二次光学系]
次に、二次光学系について説明する。
[対物レンズ]
既に説明したが、対物レンズは一次光学系要素として機能するが、二次光学系要素としても機能する。具体的には、試料615から放出される二次電子線を集束し、平行な電子線にする機能を有している。
[ビーム分離器]
ビーム分離器は、一次光学系要素として既述したように、一次電子線を偏向するものであるが、二次光学系要素としても機能するものであり、試料615から放出される二次電子線を二次光学系の側に偏向して、一次電子線から分離する機能を有している。
[NA開口板]
ビーム分離器の下流側に配置されるNA開口板616は、光軸近傍にNA開口が形成され、二次電子線を成形する機能を有している。NA開口板616は、試料615から例えば63mmの位置に配置されており、倍率色収差とコマ収差の両方を小さい値にできたので、2つのビーム分離用偏向器608、611と617、618の間に設けるようにした。
[偏向器]
NA開口板616の下流側に配置された偏向器は、コイル617とパーマロイコア618との組合せから構成されている。この偏向器は、ビーム分離器で偏向された二次電子線を更に偏向し、後述する二次電子線検出器に向けるためのものである。
[静電レンズ]
偏向器612の下流側に配置された静電レンズ619は、偏向方向を回転させること無く、二次電子線を拡大するためのものであり、軸上色収差補正レンズ622の物点に試料上の像とほぼ等倍の像を形成する。
[テーパ開口板]
静電レンズ619の下流側にはテーパ開口板638が配置されている。このテーパ開口板は、静電レンズのボア径と後述する偏向器620のボア径とを連続的に繋ぐためのものである。このため、テーパ開口の静電レンズ619側のボア径は静電レンズのボア径とほぼ等しくなっており、一方偏向器620側のボア径は偏向器620のボア径にほぼ等しくなっている。
[軸合せ用偏向器]
テーパ開口板638の下流側には軸合せ用偏向器620,621が配置されている。この軸合せ用偏向器620,621は、下流側に配置された軸上色収差補正レンズ622へ二次電子線を軸合わせするためのものである。
[軸上色収差補正レンズ]
軸上色収差補正レンズ622は、二次電子線に生じる軸上色収差を補正するためのものであり、ウィーンフィルタからなる。軸上色収差補正レンズ622には,図18に示すような概ね扇形の電磁極が複数組設けられ、これらが組み合わされて軸上色収差補正レンズ622を構成するようになっている。本実施形態の軸上色収差補正レンズ622では、12極の電磁極が設けられている。図18では、3極の電磁極のみ示している。尚、この電磁極は、図2に示したものと同様の構造である。
[軸合せ偏向器]
軸上色収差補正レンズ622の下流側には、軸合せ偏向器623,624が配置されている。この軸合せ偏向器623,624は、二次電子線をレンズ625,626の光軸に合わせるためのものである。
[補助レンズ]
624の下流側に配置された補助レンズ626は、NA開口の像を後述する拡大レンズ625の主面で結像させるためのものである。
[拡大レンズ]
拡大レンズ625は、補助レンズ626の主面に結像された二次電子線像を、後述する拡大レンズ629の複数の補助レンズ630の何れかに結像させるためのものである。
[軸合せ偏向器]
レンズ625の下流側には、軸合せ偏向器627,628が配置されている。この軸合せ偏向器627,628は、二次電子線をレンズ629,630の光軸に合わせるためのものである。
[補助レンズ]
補助レンズ630は、様々な拡大率の像を形成するためのレンズであり、複数のレンズ群によって形成されている。具体的には、本実施形態の補助レンズは3つのレンズを有し、上流側のレンズは最終拡大率が小さい像を形成する場合に用いるものであり、下流側のレンズは最終拡大率が大きい像、すなわち試料表面での画素寸法が最小の像を形成する場合に用いるものである。
[拡大レンズ]
拡大レンズ629は、補助レンズ630によって形成された像を拡大して、二次電子線検出器632であるMCP上に拡大された二次電子像を形成するためのものである。
[偏向器]
拡大レンズ629の下流側に配置された偏向器631は、二次電子像をMCPの所定の場所に結像させるための偏向器であり、静電偏向器を用いることにより、試料台の速度ムラ等で発生する位置誤差を動的に補正する機能を有する。
[二次電子線検出器]
偏向器631の下流側には二次電子線検出器632が設けられている。この二次電子線検出器632は、試料615から放出された二次電子線を検出して試料表面の状態を観察するためのものである。具体的には、複数の光ファイバが束ねられたMCP(マルチチャンネルプレート)である。
[作用]
次に、本実施形態に係る電子線装置EB8の作用について説明する。
電子銃601から放出された一次電子線は、コンデンサレンズ602で集束され、成形開口板603の長方形の成形開口を一様な強度で照射する。成形開口板603を通過した一次電子線は、成形レンズ604の手前の点640にクロスオーバを形成する。点640の位置は第2成形レンズ605の主面と共役な位置に相当している。成形開口板603の成形開口による一次電子線の像は、二段の成形レンズ604,605で縮小率が調整され、対物レンズを通じて試料615の表面に長方形の一次電子線像が形成される。
ビーム分離器608、611への入射角は、ランディングエネルギが高い場合は小さい角度(一次光学系の光軸10に近い軌道)であり、ランディングエネルギが低い場合は大きな角度(実線9で示すような光軸610の外側からの軌道)を取るように、二段の偏向器606、607によって調整される。ここで、ランディングエネルギとは、試料に入射する時に電子線が持っているエネルギのことである。ランディングエネルギの高低によって電子線の曲がり方が異なるため、上記のような調整が可能となる。
偏向器607を通過した一次電子線はビーム分離器に入射して、試料615側に向けて偏向される。偏向された一次電子線は対物レンズで集束されて、試料615の表面に照射される。
試料615の照射領域から放出された二次電子線は対物レンズで集束されて平行ビームにされる。そして、ビーム分離器によって二次光学系側に偏向される。偏向された二次電子線はNA開口板616のNA開口で成形され、偏向器に入射される。偏向器に入射された二次電子線は偏向される。これらのビーム分離器と偏向器との間では二次電子線が平行ビームであるため、ビーム分離器と偏向器による偏向角の絶対値を等しく、偏向方向を逆とすれば偏向色収差が発生しない。しかし、これらのビーム分離器と偏向器との間で非点収差が生じるので、それぞれのコイル608及び617に非点補正用の電流を重畳するようにした。検出器側の偏向器617、618は静電レンズ619の下側電極の内径と等しい内径の金属筒の外側に設けることにより、静電レンズ619の下側電極の厚みを薄くできた。
二次電子線は、静電レンズ619によって軸上色収差補正レンズ622の物点にほぼ等倍の像を作る。この像が2倍以上の拡大像の場合は軸上色収差係数が1mを超えてしまう。軸上色収差補正レンズ622の寸法は軸上色収差係数の二乗に比例して大きくなるため巨大になる。一方、静電レンズ619の倍率が0.6倍以下で縮小像を形成する場合、軸上色収差係数、球面収差係数は小さくなるが、下流側の拡大光学系で拡大した像に発生する軸上色収差及び球面収差が共に大きい値になってしまう。これらの両収差を精密に補正しない場合には、大きいNA値で使えない、すなわち二次電子線の検出効率が低下するという問題があり、この2段のレンズの倍率を0.6〜2倍にするのが適切である。
静電レンズ619と軸上色収差補正レンズ622との間には2段の軸合わせ偏向器620、621が必要であるが、この間の空間は狭い。このため、偏向器620を静電レンズ619のなるべく近くに設けたい。本実施形態では、テーパ状貫通穴が形成された筒638を入れ、静電レンズ619の内径と偏向器620の内径との繋ぎとした。これにより、静電レンズ619の軸上電界分布を偏向器620の手前で0にすることができる。
軸上色収差補正レンズ622の各電磁極に与える励起電圧及び励磁電流は以下のように定められる。すなわち、まず、ウィーン条件を満たすようにダイポール電界とダイポール磁界を作る励起電圧及び励磁電流を決定する。次に負の軸上色収差を発生させる4極子電界と4極子磁界とを与える励起電圧及び励磁電流を決定する。更に、負の球面収差を発生させる6極子磁界、電界を発生させる励起電圧及び励磁電流を決定し、これらの合計の励起電圧及び励磁電流を与えればよい。
軸上色収差補正レンズ622の像点を拡大レンズ625の補助レンズ626の主面に形成した。このとき、補助レンズ626での二次電子線像は軸上色収差が補正されている。すなわち、低いエネルギの二次電子も高いエネルギの二次電子も補助レンズ626の位置で二次電子像を結像する。そして、補助レンズ626の励起電圧はNA開口板616の像が拡大レンズ625の主面に一致させることによって拡大レンズで発生する軸外収差を小さくした。拡大レンズ625は補助レンズ626の主面にできた2次電子像を最終拡大レンズ629の補助レンズ630のどれかに結像させ、その像を拡大レンズ629で(二次電子線検出器(MCP)632に形成し、検出するようにした。ここで、補助レンズ626、630は、視野の端から主光線を拡大レンズ625、629のレンズ中心を通るようにレンズ作用をし、拡大レンズ625、629の光軸外の収差を低減する役割を有する。そして、偏向器631は2次電子像をMCPの所定の場所に結像させるための偏向器であり、静電偏向器を用いることにより、試料台の速度ムラ等で発生する位置誤差をダイナミックに補正する機能も与えた。
[第9の実施形態]
図19は本発明の第9の実施形態の電子線装置EB9である。電子銃651は先端曲率半径30μmRのLaB6カソードを有している。電子銃651から放出された電子線は2段のコンデンサレンズ652、653で照射強度一様性が90%以上の領域を調整して複数の開口654を90%以上の照射強度一様性で照射する。開口654でマルチビームにされた一次電子線はNA開口板656で収差を調整され、縮小レンズ657と対物レンズ662とで縮小され試料665に複数の電子線を形成する。これら2段のレンズの間には軸上色収差補正レンズ658を設け、通常50mrad程度のNAで動作させる対物レンズで100mradと2倍程度のNAで動作可能にした。静電偏向器660ではビーム分離器661で発生する偏向収差を補正して、しかも試料665に垂直に配置した一次電子線をビーム分離器661と共同して、再び試料665に垂直に入射させる。試料665上の走査は偏向器659と663で行ない、偏向によるコマ収差や偏向色収差が小さくなる偏向支点691(図20(B)参照)をシュミレーションで算出した。対物レンズ662は磁気ギャップ666が試料665側にあり、軸対称電極664を設け、球面収差が小さくなる条件とした。また対物レンズ662は内部にビーム分離器用電磁偏向器や真空シール用部材667や2段目の走査偏向器663や軸対称電極664を設けられるようボーア径を15mnRと大きくした。特にコイル661は大気側で、静電偏向器663、軸対称電極664は真空側に設けるにはこのレンズのボーア径は大きくする必要がある。符号668は真空シール用Oリングであり、コイル661は2分割して横から嵌め込むようにした。試料665の走査点から放出された2次電子はビーム分離器661で図19において左側へ偏向される。最初の2次電子像は試料から30mmの位置にでき、磁気レンズ670で集束され、縮小像を収差補正レンズ671の物点に縮小像を作る。この縮小像での軸上色収差係数を100mm以下、球面収差係数も100mm以下にした結果、軸上色収差、球面収差の両方を補正するウィーンフィルタを小寸法にできた。二次電子像は拡大レンズ672、673で2次電子線検出器674に必要な拡大率の像を作った。
収差補正レンズ658、671の断面形状を図18に1/4だけ示した。電極兼磁極683は断面がT字型であり、光軸に近側は放射状であり、コイルが巻かれる部分はほぼ同じ厚みで、コア681にネジ(684)締めされる部分は厚いT型となっている。但し685、686に示したように磁束が漏れないよう、エッジやコーナの直角部は無くすようにした。絶縁スペーサは薄い厚みとしたが電極からコア迄の沿面距離が長くなるよう、T字型の電磁極から嵌み出す寸法とした。電極に与える電圧は締付ネジの一つにラグ689を入れ、リード線690をラグに圧接した。ネジとコアの絶縁はスペーサ688で行った。カバー687は各電極と同じ電位の板で行い、コイル686との間で放電が生じないよう、コイル686の回りは絶縁物で囲った。
動作NA開口が100mradと大きいので、1μmの試料面上下動があると100nmものボケが生じるので、試料の評価に先立って試料高さを高精度で測定し、フォーカスをダイナミックに調整しながら評価を行なった。試料の高さを測定する原理を図20に示す。図20(A)において、通常の走査は点691を偏向支点として走査が行われる。試料面高さを測定する時は偏向支点を点692あるいはそれより下へ移動させる。これは偏向器659と663の偏向比を変え、この場合は偏向器663に与える電圧を順次小さくすることによって偏向支点を下げられる。試料面で幅が2種類のパターン693(図20(B)参照)があるのを探し、その位置でdを少しずつ小さくしてこのパターンを走査する。dが正の時は図20(C)の符号694に示したように、最初に幅広、次に幅狭の像あるいは強度分布が得られる。dを小さくするとLがどんどん大きくなり、dが0だと∞即ち像は消失する。さらにdを小さく(負の値)にすると、最初Lの大きい象が得られ、前後が反転したパターン695が現れる。L′がLとほぼ等しいd1の値とd2の中間が試料面といえる。
試料面位置(d1+d2)/2と合焦条件との関係を予め調べておき、試料面全面の高さを測り、それに対応する合焦条件をテーブルにしておけば、パターン評価を行なう時、そのテーブルから合掌条件を読み出せる。合焦条件を短時間に調整するには、8極の静電偏向器の全電極に同じ電圧を重畳することで合焦条件を合わせることができる。レンズ条件を強くするには上記電圧を低くし、レンズ条件を弱くするには電圧を高くすればよい。
図21は空間電荷制限条件で動作するLaB6カソード電子銃から放出された電子線から4行4列のマルチビームを作り、線幅測定を行った例を示す。ラスターピッチをピクセル寸法のn倍にすると無駄なく操作が行なえる。M行N列のビームの場合はχ軸に近い方向のビーム数をNとするとχ軸に対してマルチビームを回転させる角度θはθ=Sin―1(1/N)とすると全てのラスター間隔が等間隔となる。ビーム間間隔Dは図21(A)から明らかなようにD=Ndとなる。
M行N列のビームでy軸に平行なパターン101を走査した時、図21(B)の符号6102の信号波形が各ビームからの検出器から得られる。これらの信号から線の像を得るには、各信号をy方向にdずつずらし、χ方向にDSinθずつずらせば図21(A)の線6101の2次元像を得られる。線幅を求めるには、信号波形をDSinθ、2DSinθ、・・・(MD)Sinθだけずらした信号波形を全て加算し、S/N比を良くして、例えば信号振幅の50%のスレッショールドを超える寸法を線幅とする。
パターンがレジストパターンの場合、1μc/cm以上のドーズを与えるとレジストパターンが変質する恐れがある。電子銃を空間電荷制限条件で使用するとピクセル当たりの二次電子数を4050/16=253個/pixにすることができる。ピクセル寸法をε(nm)とすると253個/SinでのドーズQ(クーロン/cm)は
Figure 0004781211
ε=10nmでは
Figure 0004781211
1μc/cm以下にするには場所を変えて40回走査し、加算処理すればよい。
例えば、半導体ウェハの検査などに用いる電子線装置に利用できる。
本発明の第1の実施形態に係る電子線装置の概略図を示す。 図1に開示した電子線装置で用いる軸上色収差補正レンズを構成する電磁極を示す平面図である。 図1に開示した電子線装置で用いる電磁偏向器を示す図であり、図3(A)は正面図、図3(B)は側面図、図3(C)は平面図である。 本発明の第2の実施形態に係る電子線装置の概略図を示す。 本発明の第3実施の形態に係る電子線装置の概略図である。 図1に開示した電子線装置によってクロスオーバが光軸方向にずれること示す説明図である。 図6に開示したようにクロスオーバをずらすためのコンデンサレンズの構造を示す断面図である。 試料の表面における一次電子線の理想的な配置を示す図である。 図1に開示した電子線装置を用いて図8に示す一次電子線の配置を実現するためのマルチ開口板の開口配置を説明する図である。 本発明の第4の実施形態に係る電子線装置を示す概略図であり、図10(A)は全体概要を示し、図10(B)はウィンフィルタを薄肉レンズで近似した場合を説明する図である。 本発明の第5実施形態に係る電子線装置を示す概略図である。 本発明の第6の実施形態に係る電子線装置の概略図である。 本発明の第7の実施形態に係る電子線装置の概略図である。 試料上における電子線の配置の例を示す説明図である。 検出器に使用される光ファイバの加工状態を説明する図であり、図15(A)は正面図、図15(B)は側面図、図15(C)は底面図である。 図15に開示した光ファイバを複数本束ねて接合して検出面を形成した状態を示す斜視図である。 本発明の第8の実施形態に係る電子線装置の概略図である。 図17に開示された軸上色収差補正レンズの構造を示す部分概略図である。 本発明の第9の実施形態に係る電子線装置の概略図である。 試料面高さを測定する方法を説明する説明図である。 複数の電子線で線幅測定を行なう方法を説明する説明図である。
符号の説明
EB1 電子線装置
1 電子銃
2 マルチ開口板
3、4 縮小レンズ
5,6 軸上色収差補正レンズ
7 ビーム分離器8用の補助偏向器兼第1走査偏向器
8 ビーム分離器
9 対物レンズ
10 試料
11 電磁偏向器
11a 磁気コイル
11b 磁気回路
G 磁気ギャップ
12 二次光学系レンズ
13 拡大レンズ
14 二次電子線検出器
15 円筒形状コア
16 絶縁スペーサ
17 固定ネジ
18 第3電磁極部(電磁極のコアへの固定部)
19 第1電磁極部(電磁極の放射上面(即ち、延長すると光軸を含む面))
20 第2電磁極部(厚みがほぼ一定の面)
21 パーマロイパイプ
201 電子銃
202,203 コンデンサレンズ
204 マルチ開口板
206 縮小レンズ
208 静電偏向器
209 ビーム分離器
210 静電偏向器
212 対物レンズ
213 試料
211 軸対称電極
209,214 電磁偏向器
225 静電レンズ
215 電磁偏向器
216 回転レンズ
218 二次電子線検出器
301 電子銃
325 コンデンサレンズ
302 マルチ開口板
303,304 縮小レンズ
309,310,326 縮小像
305 クロスオーバ制御用補助レンズ
306,307 軸合せ偏向器
308 軸上色収差補正レンズ
311 クロスオーバ制御レンズ
312 静電偏向器
313 ビーム分離器
314 走査用第2偏向器
315 対物レンズ
316 試料
317 偏向器
318,319 拡大レンズ
320 二次電子線検出器
332 CeB6カソード
331 電子銃
333 コンデンサレンズ
334 成形開口
335,326 ズームレンズ
337 偏向器
338 対物レンズ
339 試料
340 第2対物レンズ、
341 NA開口像制御用補助レンズ、
352 NA開口板、
353 SE像
355 NA開口像
342,343 ウィーンフィルタ
344 SE像の結像線
345 NA開口像の結像線
346,347 SE像
354 NA開口像制御用補助レンズ
348,349 拡大レンズ
350 一次元又は二次元の二次電子線検出器
351 倍率可変のNA開口像制御用補助レンズ
401 電子銃
402、403 コンデンサレンズ
404 マルチ開口板
405 回転レンズ
406 軸上色収差補正レンズ
407 縮小像形成点
408 軸上色収差補正レンズの像点
409 静電偏向器
410 ビーム分離器
411 対物レンズ
412 試料
413 電磁偏向器
414 静電レンズ
415 電磁偏向器
416 拡大像形成点
417 収差補正レンズ
418 等倍像形成点
419 拡大レンズ
420 二次電子線検出器
421 光軸
422 電磁極
423 励磁コイル
424 金属カバー
425 ネジ
426 ネジ
427 絶縁スペーサ
428 軸上色収差補正レンズ6の中間点
429 結像条件を示す軌道
430 収差補正レンズ17の中間点
431 結像条件を示す軌道
432 外筒
433 走査用偏向器
501 電子銃
502,503 コンデンサレンズ
504 マルチ開口板
505 回転レンズ
521 NA開口板
506 縮小レンズ
507 静電偏向器
508 電磁偏向器からなるビーム分離器
509 対物レンズ
510 軸対称電極
509 対物レンズ
511 試料
509 対物レンズ
508 ビーム分離器
512 電磁偏向器
513 静電レンズ
515 電磁偏向器
516 回転可能レンズ
518 二次電子線検出器
601 電子銃
602 コンデンサレンズ
603 成形開口板
604,605 成形レンズ
606,607 偏向器
608,611 ビーム分離器
612,613,614 電極
615 試料
616 NA開口
617,618 偏向器
619 静電レンズ
620,621 偏向器
622 軸上色収差補正レンズ
623,624 軸合せ偏向器
625 拡大レンズ
626 補助レンズ
627,628 軸合せ偏向器
629 レンズ
630 補助レンズ
631 偏向器
632 二次電子線検出器
633 金属円筒
638 テーパ穴付き筒

Claims (6)

  1. 光軸に沿って配置される軸上色収差補正レンズと対物レンズとを備えた収差補正レンズ機構において、
    前記対物レンズの像点若しくは物点の位置と前記軸上色収差補正レンズの物点若しくは像点の位置とが一致するように両レンズを配置し、前記軸上色収差補正レンズの像点及び物点に主面が位置する第1及び第2の補助レンズを更に備えることを特徴とする収差補正レンズ機構。
  2. ウィーンフィルタを用いて軸上色収差又は球面収差を補正する収差補正レンズ機構において、
    前記ウィーンフィルタの物点−像点間距離をこのウィーンフィルタの光軸方向の両端面間距離より長くし、クロスオーバ像を前記ウィーンフィルタの中間面から光軸方向の等しい距離の2個所に形成し、当該クロスオーバ位置の制御は前記ウィーンフィルタの物点に設けた補助レンズで設定することを特徴とする収差補正レンズ機構。
  3. 収差補正レンズの像点の位置と対物レンズの物点の位置とが相互に一致するように前記両レンズ配置された収差補正レンズ機構によって複数の一次電子線を用いてパターン評価を行う方法であって、
    前記一次電子線を複数の開口に照射して複数の一次電子線を生成するステップと、
    前記一次電子線を集束させて収差補正レンズの物点に複数の開口像を形成するステップと、
    前記収差補正レンズの物点に設けた第1補助レンズにより前記収差補正レンズの中間面に関して等しい距離の位置に第1及び第2クロスオーバ像を形成するステップと、
    前記対物レンズで前記複数の一次電子線を試料面に合焦させ且つ走査するステップと、
    前記試料の表面から放出される複数の二次電子線をビーム分離器で二次光学系の方向へ偏向するステップと、
    偏向された複数の前記二次電子線の相互間隔を拡大するステップと、
    相互間隔が拡大された前記各二次電子線を検出するステップと、
    を含むことを特徴とするパターン評価方法。
  4. 試料面上の微細パターンを評価する方法であって、
    多極子レンズに接続する電源の変動に基づいて生じる多極子レンズによるボケを算出するステップと、
    前記料面上での画素寸法を決定するステップと、
    算出された前記多極子レンズによるボケの値と画素寸法の値との比率を算出するステップと、
    前記多極子レンズの像面から試料面までの光学系の倍率を上記比率より大きくするステップとを含む微細パターン評価方法。
  5. 請求項に記載の微細パターン評価方法において、
    上記多極子レンズはウィーンフィルタであり、このウィーンフィルタの光軸方向寸法は物点から像点迄の距離の1/2以下であることを特徴とする微細パターン評価方法。
  6. 請求項に記載の微細パターン評価方法において、上記光学系の倍率は1/5倍以下であることを特徴とする微細パターン評価方法。
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