JP2004241190A - 多極子レンズ用の多極子製造方法、多極子レンズ及び荷電粒子線装置 - Google Patents
多極子レンズ用の多極子製造方法、多極子レンズ及び荷電粒子線装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】直交するX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って設定された荷電粒子ビームの光軸(B)と、前記Z軸に垂直なXY面内において、前記光軸(B)に対し対称且つ放射状に配置された複数対の極子(16)と、前記光軸(B)に対して対称に配置された一対の前記極子(16)の一方から他方に向かう電界または磁界を発生する前記極子(16)と、前記極子(16)を固定支持する極子固定部材(15)と、円柱状の一体成型部材にその中心から半径方向に延び且つ部分的な未切断部を残して形成した極子分割溝を有する極子形成部材が前記極子固定部材(15)に固定支持された状態で、前記未切断部が切断されて形成される前記極子とを備えた多極子レンズ。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ビームやイオンビーム等の荷電粒子ビームの光軸を囲むように配置された多極子レンズ及び前記多極子レンズを備えた荷電粒子線装置に関し、特に、荷電粒子線の光軸に対して対称な磁場を発生させるための多極子レンズ及び前記多極子レンズを備えた荷電粒子線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子顕微鏡やFIB(Focused Ion Beam:集束イオンビーム)加工装置等の従来の荷電粒子線装置では、集束レンズ等の電子レンズの球面収差を補正する場合等に、多極子レンズを使用して荷電粒子線の通路(光軸)に磁界または電界を発生させている。
次の図面により多極子レンズの従来例について説明する。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、右左方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
【0003】
(従来例1)
図6は荷電粒子線装置で使用される多極子レンズの従来例1の説明図であり、図6Aは平面図、図6Bは図6AのVIB−VIB線断面図である。
図6において、従来例1の多極子レンズL01では、上下方向(Z軸方向)に延びるビーム光軸Bに沿って真空を保持するための円筒状のライナーチューブ01が配置されている。前記ライナーチューブ01の周囲を囲むように中心にライナーチューブ貫通孔が形成された円筒状の非磁性体固定部02(図6B参照)が配置されており、前記固定部02は図示しない荷電粒子線装置の鏡筒に支持されている。前記固定部02は上側固定部02aと下側固定部02bとを有しており、上側固定部02aは下方に突出して形成された中央壁02cを有し、下側固定部02bは上方に突出して形成された中央壁02dを有している。前記上側固定部02aと下側固定部02bとは、前記中央壁02c,02dを貫通する複数の固定部固定ネジ03(図6Aには2つのみ記載)によって連結固定されている。前記中央壁02c,02dには半径方向に貫通する3対(合計6箇所)の極子貫通孔02eが形成されており、放射状に配置された極子04が各極子貫通孔02eを貫通している。
【0004】
図7は従来の多極子レンズの極子の説明図であり、図7Aは従来例1で使用される極子の平面図、図7Bは図7AのVIIB−VIIB線断面図、図7Cは従来使用されている極子の平面図、図7Dは図7CのVIID−VIID線断面図である。
図6、図7A、図7Bにおいて、前記極子04は、内端(ライナーチューブ01側)に行くに従って円周方向の幅が狭くなるように形成された内端極子部04aと、コイルコア部04bとを有している。前記コイルコア部04bには、コイルコア部04bに直接導線を巻付けて形成されたコイル06が配置されている。図6において、前記極子04は、極子位置決めピン07によって前記上側固定部02a及び下側固定部02bに位置決めされた状態で支持されている。前記中央壁02c,02dの外側面に沿って円筒状のヨーク08が配置されており、前記ヨーク08には極子04の外端部が嵌合する極子嵌合孔08aが形成されている。
【0005】
前記構成の従来例1の多極子レンズL01では、極子04は、極子位置決めピン07によって軸方向(円筒状のヨーク08の半径方向)の位置決めが行われ、コイルコア部04bと極子貫通孔02e及び極子嵌合孔08aとの嵌合により円周方向の位置決めが行われている。そして、コイル06に通電されると、ライナーチューブ01内のビーム光軸Bに対して対称に配置された一対の内端極子部04a,04aの内端に逆極性の磁極が発生し、3対の内端極子部04aによってライナーチューブ01に対して回転対称の磁場が発生する。
なお、従来例1の多極子レンズL01において、極子04のコイルコア部04bに直接導線を巻付けたコイル06に替えて、図7C、図7Dに示すような中空円筒状のコイル巻付け部材06aに導線が巻付けられたコイル06をコイルコア部04bに接着等により固着した多極子レンズも従来公知である。
【0006】
(従来例2)
図8は荷電粒子線装置で使用される多極子レンズの従来例2の説明図であり、図8Aは平面図、図8Bは図8AのVIIIB−VIIIB線断面図である。
なお、従来例2の多極子レンズL02の説明において、従来例1の多極子レンズL01と同様の構成要素には同一の符号を使用してその詳細な説明は省略する。
図8において、従来例2の多極子レンズL02では、固定部02に円筒状のヨーク08がヨーク固定ネジ09によって固定支持されている。前記極子04の内端極子部04aは、半径方向(放射方向)に並んで配置された2本の極子位置決めピン07,07によって固定部02に位置決めされた状態で支持されている。
前記構成の従来例2の多極子レンズL02では、極子04は、半径方向に並んで配置された2本の極子位置決めピン07によって半径方向及び円周方向の位置決めが行われている。
【0007】
(従来例3)
図9は荷電粒子線装置で使用される多極子レンズの従来例3の説明図であり、図9Aは平面図、図9Bは図9AのIXB−IXB線断面図である。
なお、従来例3の多極子レンズL03の説明において、前記従来例1の多極子レンズL01及び従来例2の多極子レンズL02と同様の構成要素には同一の符号を使用してその詳細な説明は省略する。
図9において、従来例3の多極子レンズL03では、隣り合う内端極子部04a,04aに当接する円筒状の位置決めガイド011が固定部02に固定支持されている。
前記構成の従来例3の多極子レンズL03では、極子04は、極子位置決めピン07に替えて円筒状の位置決めガイド011によって半径方向の位置決めが行われ、ヨーク08の極子嵌合孔08aによって円周方向の位置決めが行われている。
【0008】
(従来例4(特許文献1記載の技術))
特許文献1記載の多極子レンズでは、円筒状のヨークの貫通孔に支持された2対の極子の外端部は、プレートを介して取り付けネジによってヨークに取り付けられている。そして、極子の内端部は、全ての極子の内端面に当接する1つの位置固定治具によって位置決めが行われている。
【0009】
【特許文献1】特開2001−312988号公報(段落番号「0011」〜「0017」、第2図、第3図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術1〜4では、複数の極子04は1極子毎に形成し、それらを組み合わせて配列することによって多極子レンズL01〜L03が構成されている。そして、ライナーチューブ01内の光軸Bに対して回転対称な磁場を発生させるために、極子位置決めピン07や位置決めガイド(位置固定治具)011、ヨーク08(極子嵌合孔08a)等の位置決め部材によって精度良く位置決めを行っている。
しかしながら、前記従来技術1〜4において回転対称な磁場を発生させるためには、各極子04の1つずつの加工精度、位置決め部材(極子位置決めピン07、位置決めガイド011等)の加工精度及び位置決め部材と各極子04との組み立て精度の全てにおいて高い精度が要求される。前記各精度を高くするためには、多極子レンズの組み立て(製造)に非常に時間がかかりコスト高となる。さらに、各極子04をヨーク08に取り付けて組み立てる時には、極子04やヨーク08の加工公差や組み立て公差による極子04やヨーク08の設計値からの半径方向および円周方向の位置ずれの調整・制御に非常に熟練を要する。
【0011】
多極子レンズにおいて、極子04の半径方向または円周方向の位置ずれがある場合には、極子04内端に発生する磁極の対称性が崩れ、光軸Bに作用する磁場の回転対称性が崩れるという問題が発生する。磁場の対称性が崩れると、ライナーチューブ01内の電子ビームに対称な磁場が印加されず、非点収差が発生したり、多極子レンズを球面収差補正用レンズとして使用した場合、球面収差補正用レンズの上方に配置された電子レンズの球面収差の補正が精確に行われなくなる等の問題がある。発生する磁場の対称性は、各極子04のコイル06に供給する電流値により補正することができるが、極子04等の機械的な精度を高めておくことが望ましい。
【0012】
また、前記図7A、図7Bに示すように、極子04に対して導線を直接巻付けたコイル06を使用する場合、巻付け時にコイルコア部04b(ポールピース)が傷つく可能性があり、前述のように高い精度が要求される極子04の歩留まりが悪くなる問題がある。さらに、導線を直接巻付けたコイル06では、コイル06の断線等によってコイル06を交換する必要が生じた場合、極子04全体を取り外し、コイル06を巻き直した後、ヨーク08に取り付ける必要がある。この場合、コイル06を巻き直す際にコイルコア部04bが傷つく可能性がある上に、取り付け時に取り付け誤差(位置ずれ)が発生し、極子04の対称性が崩れる可能性がある。
【0013】
また、前記図7C、図7Dに示すように、導線を巻付けたコイルコア06aを接着等により固定するコイル06を使用する場合では、コイル06の導線が断線等した場合、直接巻付けた場合と同様に極子04全体を交換するか、極子04を固定した状態でコイルコア06aとコイルコア部04bとの接着を取り外さなければならない。したがって、コイル06のメンテナンスを行う際のメンテナンス工数が多くなり、コストが高くなるという問題がある。
また、接着剤を溶剤等によって取り外す場合、溶剤が断線していないコイル06に付着する可能性がある。さらに、熱硬化系の接着剤を使用した場合、再接着する際に、熱によりコイル06の導線が脆くなったり、極子04が熱変形したりする等の悪影響を及ぼす可能性もある。
【0014】
本発明は、前述の事情に鑑み、下記の記載内容(O01),(O02)を課題とする。
(O01)極子を対称な位置に精確に配置すること。
(O02)多極子レンズのコストを抑えること。
【0015】
【課題を解決するための手段】
次に、前記課題を解決するために案出した本発明(第1発明〜第4発明)を説明するが、本発明の要素には、後述の実施例の要素との対応を容易にするため、実施例の要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。
また、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0016】
(第1発明)
前記課題を解決するために、第1発明の多極子レンズ用の多極子製造方法では、下記の工程(A01)〜(A03)を順次実行することを特徴とする。
(A01)円柱状の一体成形部材にその中心から半径方向に延び且つ部分的な未切断部(33)を残した極子分割溝(32)を形成して極子形成部材(34)を製造する極子形成部材製造工程、
(A02)前記極子形成部材(34)を極子固定部材(15)に位置決めした状態で固定支持する極子形成部材固定工程、
(A03)前記極子固定部材(15)に固定支持された前記極子形成部材(34)の前記未切断部(33)を切断して極子(16)を形成する極子分離工程。
【0017】
前記工程(A01)〜(A03)を順次実行する第1発明の多極子レンズ用の多極子製造方法では、極子形成部材製造工程において、円柱状の一体成形部材にその中心から半径方向に延び且つ部分的な未切断部(33)を有する極子分割溝(32)を形成して極子形成部材(34)を製造する。極子形成部材固定工程において、前記極子形成部材(34)を極子固定部材(15)に位置決めした状態で固定支持する。そして、極子分離工程において、前記極子固定部材(15)に固定支持された前記極子形成部材(34)の前記未切断部(33)を切断して極子(16)を形成する。
【0018】
したがって、前記第1発明の多極子レンズ用の多極子製造方法では、極子形成部材(34)が極子固定部材(15)に位置決めされた状態で、未切断部(33)が切断されて極子(16)が形成されるので、極子(16)が形成された際に、各極子(16)の位置が極子固定部材(15)上でほとんどずれない。したがって、全ての極子(16)が対称な位置に精確に位置決めされた状態の多極子(16)が製造される。また、極子(16)を組み立てる際に1つずつ位置決めしないので、全ての極子(16)が極子固定部材(15)上で対称な位置に精確に位置決めされた多極子(16)を、容易且つ短時間で製造することができる。したがって、短時間で効率的に製造でき且つ、熟練を要する極子(16)の位置ずれの調節を行わなくて良いので、多極子(16)のコストを抑えることができる。
【0019】
また、前記第1発明の多極子レンズ用の多極子製造方法において、下記の工程(A04)を実行することも可能である。
(A04)前記極子分離工程終了後、前記各極子(16)の中心側部分の形状を調整するための仕上げ加工をする仕上げ加工工程。
前記工程(A04)を実行する多極子レンズ用の多極子製造方法では、前記極子分離工程終了後、仕上げ加工工程において、前記各極子(16)の中心側部分の形状を調整するための仕上げ加工をする。したがって、未切断部(33)が切断されて極子(16)が形成される際に隣接する極子(16)間の拘束力が開放されて、極子(16)の位置が微小に変化した場合に、中心側部分の形状を調整することにより、極子(16)の位置の対称性の精度を高めることができる。
【0020】
(第2発明)
前記課題を解決するために、第2発明の多極子レンズは、下記の構成要件(B01)〜(B05)を備えたことを特徴とする。
(B01)直交するX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って設定された荷電粒子ビームの光軸(B)、
(B02)前記Z軸に垂直なXY面内において、前記光軸(B)に対し対称且つ放射状に配置された複数対の極子(16)、
(B03)前記光軸(B)に対して対称に配置された一対の前記極子(16)の一方から他方に向かう電界または磁界を発生する前記極子(16)、
(B04)前記極子(16)を固定支持する極子固定部材(15)、
(B05)円柱状の一体成型部材にその中心から半径方向に延び且つ部分的な未切断部(33)を残して形成した極子分割溝(32)を有する極子形成部材(34)が前記極子固定部材(15)に固定支持された状態で、前記未切断部(33)が切断されて形成される前記極子(16)。
【0021】
前記構成要件(B01)〜(B05)を備えた第2発明の多極子レンズでは、荷電粒子ビームの光軸(B)に対し対称且つ放射状に配置された複数対の極子(16)は、極子固定部材(15)に固定支持され、一対の前記極子(16)の一方から他方に向かう電界または磁界を発生する。即ち、第2発明の多極子レンズは、一対の極子(16)間に電界が発生する電界型の多極子レンズ(L3)にも適用可能であり、一対の極子(16)間に磁界が発生する磁界型の多極子レンズ(L1,L2,L1′,L2′)にも適用可能である。また、複数対の極子(16)の内、対を成す一部の極子(16)間に電界を発生させ、さらに他の極子(16)間に磁界を発生させる電界磁界複合型の多極子レンズにも適用可能である。
そして、第2発明の多極子レンズでは、前記極子(16)は、円柱状の一体成型部材にその中心から半径方向に延び且つ部分的な未切断部(33)を残して形成した極子分割溝(32)を有する極子形成部材(34)が前記極子固定部材(15)に固定支持された状態で、前記未切断部(33)が切断されて形成される。
【0022】
したがって、本発明の多極子レンズは、極子分割溝(32)が形成された極子形成部材(34)が極子固定部材(15)に位置決めされた状態で、未切断部(33)が切断されて複数の極子(16)(多極子)が形成されるので、極子(16)の位置ずれ(公差)がほとんど発生せず、極子(16)が対称な位置に精確に位置決めた状態で配置される。この結果、極子(16)の対称性を高くすることができ、光軸(B)に作用する電界または磁界の回転対称性を高くすることができる。また、極子(16)1つずつを位置決めして極子固定部材(15)に固定しないので、全極子(16)の位置決め固定(組立)を容易且つ短時間で行うことができる。さらに、短時間で全極子(16)の位置決めを行うことができ且つ、熟練を要する極子(16)の位置ずれの調節を行わなくて良いので、本発明の多極子レンズのコストを抑えることができる。
また、前記極子分割溝(32)を形成する際に、ワイヤ放電加工等のNC(数値制御)機能を用いた場合、同一の多極子レンズを大量に生産することができるので、多極子レンズのコストをさらに抑えることができる。
【0023】
(第3発明)
また、前記課題を解決するために第3発明の多極子レンズは、下記の構成要件(B01),(B02),(B06)〜(B08)を備えたことを特徴とする。
(B01)直交するX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って設定された荷電粒子ビームの光軸(B)、
(B02)前記Z軸に垂直なXY面内において、前記光軸(B)に対し対称且つ放射状に配置された複数対の極子(16)、
(B06)前記各極子(16)の放射方向外端部から外方に突出し且つ着脱可能に支持される磁性芯材(18a)を有し、前記磁性芯材(18a)に巻付けられた導線に通電した時に装着された前記極子(16)の放射方向内端部に磁極を発生させるコイル(18)、
(B07)前記光軸(B)に対して対称に配置された一対の前記極子(16)に互いに逆極性の磁極を発生させる前記コイル(18)、
(B08)前記各コイル(18)の放射方向外端部に配置され、前記コイル(18)で発生した磁力線の通路である磁路を形成するヨーク(21)。
【0024】
前記構成要件(B01),(B02),(B06)〜(B08)を備えた第3発明の多極子レンズでは、複数対の極子(16)は、荷電粒子線が通過する光軸(B)に対し対称且つ放射状に配置された状態で極子固定部材(15)に固定支持されている。コイル(18)は、各極子(16)の放射方向外端部に着脱可能に支持される磁性芯材(18a)を有し、通電時に前記極子(16)の放射方向内端部に磁極を発生させる。前記光軸(B)に対して対称に配置された一対の前記極子(16)の放射方向内端部には、コイル(18)通電時に互いに逆極性の磁極が発生する。前記各コイル(18)の放射方向外端部に配置されたヨーク(21)は、前記コイル(18)で発生した磁力線の通路である磁路を形成する。
【0025】
したがって、第3発明の多極子レンズは、コイル(18)が極子(16)に対して着脱可能に支持されているので、コイル(18)の導線の断線等のトラブルによりコイル(18)を交換する必要がある時に、極子(16)からコイル(18)のみを離脱させて交換することができる。したがって、コイル(18)にトラブルが発生した場合に、精確に位置決めされている極子(16)を取り外す必要が無くなるので、極子(16)の位置ずれ(取り付け誤差等)の発生を防止することができる。したがって、第3発明の多極子レンズでは、トラブル発生の前後において各極子(16)の配置された位置が保持されるので、トラブルが発生しても各極子(16)は対称な位置に精確に位置決めされた状態で配置される。
【0026】
また、第3発明の多極子レンズでは、コイル(18)が極子(16)に着脱可能に支持されており、極子(16)にコイル(18)の導線が直接巻付けられていないので、極子(16)の損傷を防止することができる。したがって、極子(16)の歩留まりを向上させることができ、多極子レンズの生産効率を高め、品質を向上させることができ、コストを削減することができる。
さらに、コイル(18)を極子(16)に装着する際に接着剤を使用しない場合、コイル(18)を取り外す時に、接着剤を溶かす溶剤を使用する必要がないので、溶剤が他のコイル(18)や極子(16)に付着して悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0027】
(第4発明)
前記課題を解決するために第4発明の荷電粒子線装置は、前記第2発明または前記第3発明のいずれかの多極子レンズ(L1,L2,L1′,L2′,L3)を備えたことを特徴とする。
前記構成要件を備えた第4発明の荷電粒子線装置では、前記第2発明の多極子レンズ(L1,L2,L1′,L2′,L3)を備えている場合、極子形成部材(34)が極子固定部材(15)に位置決めされた状態で、未切断部(33)が切断されて複数の極子(16)(多極子)が形成されるので、極子(16)が対称な位置に精確に位置決めた状態で配置される。この結果、極子(16)の対称性を高くすることができ、光軸(B)に発生する磁場の回転対称性を高くすることができる。
【0028】
また、極子(16)1つずつを位置決めして極子固定部材(15)に固定しないので、全極子(16)の組み立てを容易且つ短時間で行うことができる。さらに、短時間で全極子(16)の位置決めを行うことができ且つ、熟練を要する極子(16)の位置ずれの調節を行わなくて良いので、第4発明の荷電粒子線装置のコストを抑えることができる。また、前記極子分割溝(32)を形成する際に、ワイヤ放電加工等のNC(数値制御)機能を用いた場合、同一の多極子レンズ(L1,L2,L1′,L2′,L3)を大量に生産することができるので、多極子レンズ(L1,L2,L1′,L2′,L3)のコストをさらに抑えることができる。
【0029】
また、第4発明の荷電粒子線装置が第3発明の多極子レンズ(L1,L2,L1′,L2′,L3)を備えている場合、コイル(18)が極子(16)に対して着脱可能に支持されているので、コイル(18)にトラブルが発生した際に、極子(16)からコイル(18)のみを離脱させて交換することができる。したがって、位置決めされた極子(16)を取り外す必要が無く、極子(16)の位置ずれを防止することができる。この結果、第4発明の荷電粒子線装置では、トラブルの前後で各極子(16)は対称な位置に精確に位置決めされた状態に保持される。また、第4発明の荷電粒子線装置では、コイル(18)が極子(16)に着脱可能に支持されており、極子(16)にコイル(18)の導線が直接巻付けられていないので、極子(16)の損傷を防止することができる。したがって、極子(16)の歩留まりを向上させることができ、多極子レンズ(L1,L2,L1′,L2′,L3)のコストを抑えることができ、荷電粒子線装置を低コスト化できる。さらに、コイル(18)を極子(16)に装着する際に接着剤を使用しない場合、コイル(18)取り外す時に接着剤を溶かす溶剤を使用する必要がないので、溶剤が他のコイル(18)や極子(16)に付着して悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0030】
【実施の形態】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態1の多極子レンズを備えた電子顕微鏡(荷電粒子線装置)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の透過型電子顕微鏡の説明図である。
図1において、透過型電子顕微鏡(荷電粒子線装置)1は、内部を真空に保持された鏡筒2を有し、鏡筒2上端に電子銃3が設けられている。前記電子銃3から出射される電子ビーム(荷電粒子ビーム)の光軸が上下方向(Z軸方向)に沿うように設定されている。鏡筒2下端部には、観察窓4および、実線で示す観察位置と二点鎖線で示す退避位置との間で移動可能な蛍光板5が設けられている。また、前記蛍光板5の下方には電子顕微鏡画像を撮影するためのフィルムFを撮影位置に配置するための装置が配置されている。
【0031】
図1において前記電子銃3の下方には、電子銃から出射された電子ビームを集束する集束レンズ(コンデンサレンズ)8が配置されている。前記集束レンズ8の下方には、電子ビームの光軸Bに沿ってライナーチューブ7が配置されており、前記ライナーチューブ7の周囲には集束レンズ8の球面収差を補正する球面収差補正用多極子レンズL1,L2と、収差補正後の電子ビームの開き角を調整するコンデンサミニレンズ9とが配置されている。
また、前記蛍光板5の上方には結像拡大用の結像レンズ11と、対物レンズ12とが配置されており、前記コンデンサミニレンズ9と対物レンズ12との間にはゴニオステージGS、ゴニオメータGM、および電子ビームが透過して検査される試料を保持する試料ホルダHが設けられている。
【0032】
(球面収差補正用多極子レンズ)
図2は実施の形態1の球面収差補正用多極子レンズの説明図であり、図2Aは平面図、図2Bは図2AのIIB−IIB線断面図である。
図2において、球面収差補正用の多極子レンズL1,L2のうち上方に配置された第1多極子レンズL1は非磁性材料製のベース(極子固定部材)15を有している。円板状の前記ベース15は、鏡筒2に固定支持されている。図2において、前記ベース15の中心部には、上下方向(Z軸方向)に沿う光軸B及びライナーチューブ7が貫通するチューブ貫通円孔15a(図2B参照)が形成されている。前記ベース15は、内側(チューブ貫通円孔15a側)の極子支持面15bと、前記極子支持面15bよりも上下方向(Z軸方向)の厚みが大きなヨーク支持面15cと、前記ヨーク支持面15cよりも厚みが大きな外面15dとを有している。そして、前記極子支持面15bとヨーク支持面15cとの段差部分に極子外端当接面15eが形成され、前記ヨーク支持面15cと外面15dとの段差部分にヨーク外端当接面15fが形成されている。そして、前記前記極子支持面15bとヨーク支持面15cとの段差部分近傍には、円周方向に沿って等間隔に12個の未切断部切断用貫通孔15gが形成されている。また、前記ベース15は、後述の極子(16)及びヨーク(21)等の位置決めの基準となる位置決め外周面15hを有している。
【0033】
前記ベース15の極子支持面15bには、上下方向(Z軸方向)に沿う光軸B及びライナーチューブ7に垂直な面内(XY平面内)において、ライナーチューブ7に対して対称且つ放射状に配置された6対(合計12個)の極子16が配置されている。前記12個の極子16は円筒状のライナーチューブ7に対して放射状に配置されており、隣接する極子16の間隔が等しくなるように配置されている。前記12個の極子16は同一形状をしており、上下方向(Z軸方向)の厚みは一定(図2B参照)且つ内側(ライナーチューブ7側)に行くに従って円周方向の幅が狭くなるように形成されている(図2A参照)。前記各極子16は、前記極子外端当接面15eに外端面下部が当接して、極子固定ボルト17,17によって前記ベース15に固定支持されている。
【0034】
前記各極子16の外端部にはコイル係合溝16aが形成されている。前記極子16の外側にはコイル18が配置されており、コイル18の磁性芯材(コイルコア)18aの先端部が前記コイル係合溝16aに係合して位置決めされた状態で、磁性芯材18aを貫通するコイル装着ネジ19によって前記コイル18が極子16に装着されている。略円筒状の前記磁性芯材18aには導線が巻付けられており、通電時に磁性芯材18aの軸方向に沿う磁界を発生させ、コイル18が装着された極子16の内端部に磁極を発生させる。前記各コイル18の導線は、ライナーチューブ7に対して対称に配置された一対の極子16にN極とS極の逆極性の磁極が発生するように、磁性芯材18aへの巻付け方(右巻きまたは左巻き)及び巻き数や、供給される電流の方向及び電流値等が設定されている。したがって、円周方向に等間隔で配置された12個の極子16に発生する磁極によって、ライナーチューブ7内には回転対称な磁場が発生する。
【0035】
前記ベース15のヨーク支持面15cには、内側面が各コイル18の外端に接触する円筒状のヨーク21が配置されている。前記ヨーク21は、外端面下部が前記ヨーク外端当接面15fに当接し、ヨーク固定ボルト22によってベース15に固定支持されている。前記ヨーク21は、前記コイル18通電時に、コイル18で発生した磁力線の通路である磁路を形成する。このとき、前記ベース15は非磁性部材なので、磁力線はヨーク21に沿って円周方向に導かれる。前記前記ヨーク21のコイル18外端に対応する位置には、コイル装着ネジ19がゆるんだ時にヨーク21を外さずに増締するための貫通孔21aが形成されている。前記ベース15、極子16、コイル18、ヨーク21等によって球面収差補正用の磁界型の多極子レンズとしての第1多極子レンズL1が構成されている。
【0036】
図1において、前記球面収差補正用多極子レンズL1,L2のうち下方に配置された第2多極子レンズL2は、前記第1多極子レンズL1と同様に構成されているが、コイル18通電時に極子16内端に発生する磁極のN極及びS極が第1多極子レンズL1と逆になるように設定されている点が異なる。
したがって、第1多極子レンズL1によりライナーチューブ7内に発生する磁場の極性と、第2多極子レンズL2によってライナーチューブ7内に発生する磁場の極性とが逆になる。したがって、集束レンズ8通過時に断面円形の電子ビームが第1多極子レンズL1通過時に磁場によって力を受けて断面が変形する(例えば、円形断面が多角形断面に変形する)。そして、電子ビームが第2多極子レンズL2を通過する際に、第1多極子レンズL1通過時と逆の力を受けて、第2多極子レンズL2通過後の電子ビームの断面は、球面収差が補正された真円形になる。
【0037】
(多極子製造方法)
次に、前記構成の球面収差補正用の多極子レンズL1,L2の多極子(複数の極子16)の製造方法について説明する。
図3は実施の形態1の多極子レンズの極子形成部材の平面図である。
図3において、多極子レンズL1,L2用の多極子を製造する際に、まず、極子形成部材製造工程において、円柱状の一体成形部材の中心部にライナーチューブ7が貫通するライナーチューブ貫通孔31を旋盤加工により形成する。そして、一体成型部材の外周面にコイル係合溝16aをフライス加工により形成する。そして、前記旋盤加工及びフライス加工により一体形成部材に生じた加工歪みを取るために、一体成型部材の焼きなましを行う。
【0038】
その後、前記ライナーチューブ貫通孔31の外周に連続し且つライナーチューブ貫通孔31の中心から半径方向に延びる極子分割溝32をワイヤ放電加工で形成し、前記極子分割溝32の外端部には一体成形部材を切断しないように未切断部33を残す。したがって、極子形成部材製造工程において、前記円柱状の一体成形部材からライナーチューブ貫通孔31と、コイル係合溝16aと、極子分割溝32とが形成され、未切断部33が残された状態の極子形成部材34が製造される。そして、製造された極子形成部材34の焼きなましを行うことによって、極子形成部材34全体の磁性を均一にする。
なお、実施の形態1の多極子製造方法の極子形成部材製造工程では、旋盤加工及びフライス加工により発生する歪みを除去したり磁性を均一にするために焼きなましを行っているが、歪みのほとんど発生しない加工方法(例えば、ワイヤ放電加工等)で極子形成部材を製造する場合や磁性を均一にするための焼きなましを行わなくて良い場合、前記焼きなましを省略することができる。
【0039】
次に、極子形成部材固定工程において、前記未切断部33が残された状態の極子形成部材34の外周面を前記ベース15の極子外端当接面15eに当接させて、極子支持面15b上に位置決めした状態で、極子固定ボルト17,17によって固定支持する。このとき、前記未切断部33が未切断部切断用貫通孔15gの上方の位置に配置されるように位置決め固定する。
次に、極子分離工程において、前記未切断部切断用貫通孔15gからワイヤを差し込んでワイヤ放電加工により未切断部33を切除する。全未切断部33を切除することにより、前記極子形成部材34から12個の極子16が形成される。この結果、極子形成部材34が極子支持面15b上に位置決めされ、極子固定ボルト17によって固定支持された状態で、極子16が形成されるので、ほとんど位置ずれが発生しない。
【0040】
前記未切断部33を切除され極子16どうしが分離されると、隣接する極子16間の拘束力が開放されるので、極子16の配置位置及び形状がわずかに変化することが考えられる。このわずかな位置ずれを修正して、光軸Bに対して回転対称な磁場を発生させるために、実施の形態1の多極子製造方法では、極子分離工程終了後、仕上げ加工工程を実行する。仕上げ加工工程において、ベース15の位置決め外周面15hからの距離を基準にワイヤ放電加工により光軸Bに形成される磁界が対称になるように全極子16の位置及び形状を調整する仕上げ加工が行われる。
その後、ヨーク固定工程において、前記各極子16の外端部にコイル18を装着し、ヨーク21をベース15の位置決め外周面15hを基準として位置決めした状態で、ヨーク支持面15c上に前記ヨーク固定ボルト22で固定する。そして、極子16、コイル18及びヨーク21が位置決め外周面15hを基準として位置決めされた状態でベース15を鏡筒2に固定支持する。このとき、ベース15は、位置決め外周面15hからの距離を基準としてベース15のチューブ貫通円孔15aの中心軸が光軸Bと一致するように位置決めして鏡筒2に固定支持する。
【0041】
前記極子形成部材製造工程、極子形成部材固定工程、極子分離工程及び仕上げ加工工程を順次実行することによって実施の形態1の球面収差補正用の多極子レンズL1,L2用の多極子が製造され、製造された多極子(全極子16)にコイル18を装着し、ヨーク21をベース15に位置決め固定して実施の形態1の球面収差補正用多極子レンズL1,L2を備えた透過型電子顕微鏡1が製造される。
【0042】
(実施の形態1の作用)
前記構成を備えた多極子レンズL1,L2を有する透過型電子顕微鏡1では、電子銃3から出射された電子ビームは、集束レンズ8で集束され、球面収差補正用の多極子レンズL1,L2で球面収差が補正される。球面収差補正後の電子ビームは、コンデンサミニレンズ9で開き角が調整され、試料ホルダHに保持された試料(図示せず)を透過し、対物レンズ12、結像レンズ11で結像拡大され、蛍光板5上に電子顕微鏡画像を形成する。
前記実施の形態1の球面収差補正用の多極子レンズL1,L2では、極子16は、極子形成部材34がベース15に位置決めされ、固着された状態で分離されて形成されるので、位置ずれが発生し難い。したがって、極子を1つずつベースに位置決め固定する従来技術と比較して、実施の形態1の球面収差補正用の多極子レンズL1,L2は、短時間で極子16全てをベース15上の対称な位置に精確に位置決めした状態で固定支持することができる。この結果、極子16がライナーチューブ7に対して精確に対称に配置されているので、ライナーチューブ7内に対称な磁場を発生させることができる。また、短時間で位置決め固定できるので、多極子レンズL1,L2の製造時間を短縮することができる。
【0043】
また、極子16全てをベース15に固定支持した後で、極子16の仕上げ加工をすることにより、位置決め精度に依存せず、仕上げ加工の加工精度が球面収差補正用の多極子レンズL1,L2の精度となる。したがって、極子1つずつをベースに固定する従来技術と比較して、実施の形態1の多極子レンズL1,L2の精度を高めることができ、従来技術では困難であった高い要求幾何公差を比較的容易に実現することができる。この結果、精度が高まり、極子16の対称性が高まるので、電子ビームに作用する磁場の対称性を高めることができる。
さらに、仕上げ加工の基準であるベース15の位置決め外周面15hと、多極子レンズL1,L2を鏡筒2に位置決め際の基準である位置決め外周面15hとが同一なので、鏡筒2に球面収差補正用多極子レンズL1,L2を位置決めすると、精確に加工された極子16やヨーク21等の位置も正確に位置決めされる。したがって、仕上げ加工等の基準が位置決め外周面15hと異なる場合と比較して、極子16を電子ビームの光軸Bに対して対称な位置に精確に位置決めした状態で、多極子レンズL1,L2を容易且つ短時間で鏡筒2に位置決めして固定することができる。
【0044】
また、実施の形態1の球面収差補正用多極子レンズL1,L2では、一体の極子形成部材34をベース15に固定した状態で極子16が形成されることにより極子16の位置ずれがほとんど発生しないので、熟練した技術が必要な極子16の位置ずれの調節・制御をする作業を省略することができる。また、球面収差補正用の多極子レンズL1,L2の製造時間や、多極子レンズL1,L2を鏡筒2に位置決めする時間を短縮できるので、全体の作業時間(組み立て時間)を短縮することができる。したがって、生産効率を高めることができ、コストを抑えることができる。
さらに、実施の形態1の多極子レンズL1,L2では極子16及びヨーク17はワイヤ放電加工で一体に形成されているので、ワイヤ放電加工のNC(数値制御:numerical control)機能を用いることにより、高価な型板を使わずに、加工精度が高い同一の性能の多極子レンズL1,L2を大量に生産することができる。したがって、多極子レンズL1,L2のコストを抑えることができる。
【0045】
また、実施の形態1の球面収差補正用の多極子レンズL1,L2では、各コイル18が極子16に対して着脱可能に構成されているので、導線の断線等のコイル18のトラブルによってコイル18を交換する必要がある場合、極子16をベース15から取り外すことなく、コイル18のみを取り外して交換することができる。即ち、コイル18にトラブルが発生した場合でも、極子16をベース15から取り外す必要がないので、対称な位置に精確に位置決めされている極子16の位置がずれない。また、トラブルの発生したコイル18を取り外す際に、他の極子16及びコイル18に影響を及ぼすことなくコイル18の交換を実行することができる。したがって、実施の形態1の球面収差補正用の多極子レンズL1,L2は、従来技術のようにトラブル発生時に極子16をベース15から取り外して取り付け直す際に発生する取り付け誤差等の位置ずれの発生を防止できる。したがって、極子16の位置ずれを防止し、光軸Bに対する磁場の対称性を保持できるので、取り付け誤差の調整等の作業を減らすことができ、結果としてメンテナンス工数を削減することができる。したがって、メンテナンスにかかる時間や費用を抑えることができ、多極子レンズL1,L2のコストを抑えることができる。
【0046】
(実施の形態2)
実施の形態2の説明において、前記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用してその詳細な説明は省略する。実施の形態2では、以下の点において前記実施の形態1と相違するがその他の構成は実施の形態1と同様に構成されている。
図4は実施の形態2の球面収差補正用の多極子レンズの説明図であり、図4Aは平面図、図4Bは図4AのIVB−IVB線断面図である。
図4において、実施の形態2の球面収差補正用の多極子レンズL1′,L2′では、極子固定ボルト17に替えて導電性接着剤によって、極子16がベース15の極子支持面15bに固着されている。
【0047】
(実施の形態2の作用)
前記構成を備えた実施の形態2の球面収差補正用の多極子レンズL1′,L2′は、実施の形態1の球面収差補正用の多極子レンズL1,L2と同様の作用及び効果を奏する。
【0048】
(実施の形態3)
実施の形態3の説明において、前記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用してその詳細な説明は省略する。実施の形態3では、以下の点において前記実施の形態1と相違するがその他の構成は実施の形態1と同様に構成されている。
図5は実施の形態3の多極子レンズの説明図であり、図5Aは平面図、図5Bは図5AのVB−VB線断面図である。
図5において、実施の形態3の多極子レンズL3では、ライナーチューブ7が省略されており、非磁性材料性のベース15に替えて、絶縁材料製のベース(極子固定部材)15を有している。また、各極子16の外端部には、コイル18に替えて、給電部材31が配置されており、前記給電部材31外端とヨーク21との間には絶縁プレート32が配置されている。前記給電部材31及び絶縁プレート32は、絶縁プレート32及び給電部材31を貫通する装着ネジ19′によって極子16に装着されている。
【0049】
図5Bにおいて、前記各給電部材31から延びるリード線33が図示しない電源に接続されており、給電部材31を介して各極子16に電圧が印加される。前記電圧は、電子ビームの光軸Bに対して対称に配置された一対の極子16の間に一方の極子16から他方の極子16へ向かう電界が発生するように印加される。
したがって、円周方向に等間隔で配置された12個の極子16によって、極子16内端に囲まれた電子ビームの光軸B部分には回転対称な電界が発生する。前記電界を通過する電子ビームは、電界によって力を受け、集束レンズ8の収差(球面収差や色収差等)が補正される。
【0050】
実施の形態3の多極子レンズL3では、前記電圧を印加する極子16の数や強さを調整することによって、光軸Bの部分に発生する電界の回転対称数(実施の形態3では最大6回対称電場)や強さ等を調節することができる。したがって、回転対称数や強さを調整することによって、例えば、電子ビームを収束または拡大したり、3つの極子16に高電圧を印加して発生する3回対称電場と、その他の2対の極子16に低電圧を印加して発生する2回対称電場とを重畳することによって、異なる2つの収差を補正したりすることも可能である。
前記ベース15、極子16、給電部材31、絶縁プレート32、ヨーク21等によって球面収差補正用の電界型の多極子レンズL3が構成されている。
【0051】
(実施の形態3の作用)
前記構成要件を備えた実施の形態3の多極子レンズL3では、実施の形態1の多極子レンズL1,L2と同様の作用及び効果を奏する。
【0052】
(変更例)
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H010)を下記に例示する。
(H01)前記実施の形態1〜3において、多極子レンズL1,L2,L1′,L2′,L3は、透過型電子顕微鏡1以外のSEM等の電子顕微鏡やFIB加工装置等の荷電粒子線装置に使用することが可能である。また、荷電粒子線装置以外の対称な磁場または電場が必要な多極子レンズを使用する装置に使用することもできる。
(H02)前記実施の形態1〜3において、ライナーチューブ7を設けたが、鏡筒2内部は真空状態なので、省略することも可能である。
【0053】
(H03)前記実施の形態1〜3において、本発明の多極子レンズは、球面収差補正用のレンズとしてだけでなく、供給する電流や極子の数を適切に調節することによって非点補正レンズ、偏向レンズあるいはそれらを組み合わせた複合レンズとして使用することができる。また、この場合、実施の形態1〜3では、球面収差補正用の多極子レンズL1,L2,L1′,L2′,L3は上下一組で使用したが、1個単独で使用することも可能である。
(H04)前記実施の形態2において、導電性接着剤によって極子16をベース15に固着したが、これに替えて、ロウ接着やその他の公知の接着方法によって固着することができる。
(H05)前記実施の形態1〜3において、極子形成部材34の形成及び極子16の分離、極子16の仕上げ加工等をワイヤ放電加工で実行したが、ワイヤ放電加工以外の公知の加工法で加工することも可能である。
【0054】
(H06)前記実施の形態1〜3において、6対(合計12個)の極子16を使用したが、必要な回転対称磁場に応じて、極子の数を変更することが可能である。即ち、n回対称磁場が必要な場合、2n個の(n対の)極子16を設ければよい。
(H07)前記実施の形態1〜3において、円筒状のヨーク21を使用したが、多角形状のヨーク21を使用することも可能である。
(H08)前記実施の形態1〜3において、極子16の形状(極子16の上下方向(Z軸方向)の厚さや、円周方向の幅の大きさや内側に行くに従って幅が狭くなる割合等)は任意に変更可能である。
【0055】
(H09)前記実施の形態1,2において、磁性芯材18aに導線を直接巻きつけてコイル18を構成したが、磁性芯材18aの周りにコイル巻きつけ部材(ボビン等)を配置し、コイル巻きつけ部材(ボビン等)を介して導線を磁性芯材18aに巻きつけてコイル18を構成することも可能である。前記コイル巻付け部材を使用した場合、導線巻きつけ時に磁性芯材18aが損傷することを防止することができる。
(H010)前記実施の形態1、2では、全ての極子16の外端にコイル18を装着し、実施の形態3では給電部材31を装着したが、これらを組み合わせ、一部の極子16にコイル18を装着し、残りの極子16に給電部材31を装着した多極子レンズを製造することも可能である。例えば、1対の極子16にコイル18を装着し、1対の極子に給電部材31を装着した磁界と電界を発生させる複合型の多極子レンズ(例えば、ウィーンフィルタ等)として本発明の多極子レンズを使用することも可能である。
【0056】
【発明の効果】
前述の本発明の多極子レンズ及び荷電粒子線装置は、下記の効果(E01)〜(E05)を奏することができる。
(E01)組み立て公差を少なくし、極子の位置ずれを少なくして、極子を対称な位置に精確に位置決めして配置することができる。
(E02)極子に発生する磁極の対称性を高めることができ、多極子レンズの磁場の回転対称性を高めることができる。
(E03)極子をヨークに取り付ける作業や位置ずれの調整作業をなくすことができるので、製造時間を短縮でき、生産効率が向上し、低コストの多極子レンズ及び荷電粒子線装置を提供することができる。
(E04)極子形成部材の形成、極子の分離、仕上げ加工をワイヤ放電加工で実行することにより、同一の性能の多極子レンズ及び荷電粒子線装置を大量に生産することができる。
(E05)コイルを極子に対して着脱可能に構成されているので、コイル交換時に極子の位置ずれを防止し且つ、メンテナンス工数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施の形態1の透過型電子顕微鏡の説明図である。
【図2】図2は実施の形態1の球面収差補正用多極子レンズの説明図であり、図2Aは平面図、図2Bは図2AのIIB−IIB線断面図である。
【図3】図3は実施の形態1の多極子レンズの極子形成部材の平面図である。
【図4】図4は実施の形態2の球面収差補正用の多極子レンズの説明図であり、図4Aは平面図、図4Bは図4AのIVB−IVB線断面図である。
【図5】図5は実施の形態3の多極子レンズの説明図であり、図5Aは平面図、図5Bは図5AのVB−VB線断面図である。
【図6】図6は荷電粒子線装置で使用される多極子レンズの従来例1の説明図であり、図6Aは平面図、図6Bは図6AのVIB−VIB線断面図である。
【図7】図7は従来の多極子レンズの極子の説明図であり、図7Aは従来例1で使用される極子の平面図、図7Bは図7AのVIIB−VIIB線断面図、図7Cは従来使用されている極子の平面図、図7Dは図7CのVIID−VIID線断面図である。
【図8】図8は荷電粒子線装置で使用される多極子レンズの従来例2の説明図であり、図8Aは平面図、図8Bは図8AのVIIIB−VIIIB線断面図である。
【図9】図9は荷電粒子線装置で使用される多極子レンズの従来例3の説明図であり、図9Aは平面図、図9Bは図9AのIXB−IXB線断面図である。
【符号の説明】
B…光軸、L1,L2,L1′,L2′,L3…多極子レンズ、15…極子固定部材、16…極子、32…極子分割溝、33…未切断部、34…極子形成部材。
Claims (5)
- 下記の工程(A01)〜(A03)を順次実行することを特徴とする多極子レンズ用の多極子製造方法、
(A01)円柱状の一体成形部材にその中心から半径方向に延び且つ部分的な未切断部を残した極子分割溝を形成して極子形成部材を製造する極子形成部材製造工程、
(A02)前記極子形成部材を極子固定部材に位置決めした状態で固定支持する極子形成部材固定工程、
(A03)前記極子固定部材に固定支持された前記極子形成部材の前記未切断部を切断して極子を形成する極子分離工程。 - 下記の工程(A04)を実行することを特徴とする請求項1記載の多極子レンズ用の多極子製造方法、
(A04)前記極子分離工程終了後、前記各極子の中心側部分の形状を調整するための仕上げ加工をする仕上げ加工工程。 - 下記の構成要件(B01)〜(B05)を備えたことを特徴とする多極子レンズ、
(B01)直交するX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って設定された荷電粒子ビームの光軸、
(B02)前記Z軸に垂直なXY面内において、前記光軸に対し対称且つ放射状に配置された複数対の極子、
(B03)前記光軸に対して対称に配置された一対の前記極子の一方から他方に向かう電界または磁界を発生する前記極子、
(B04)前記極子を固定支持する極子固定部材、
(B05)円柱状の一体成型部材にその中心から半径方向に延び且つ部分的な未切断部を残して形成した極子分割溝を有する極子形成部材が前記極子固定部材に固定支持された状態で、前記未切断部が切断されて形成される前記極子。 - 下記の構成要件(B01),(B02),(B06)〜(B08)を備えたことを特徴とする多極子レンズ、
(B01)直交するX軸およびY軸に垂直なZ軸に沿って設定された荷電粒子ビームの光軸、
(B02)前記Z軸に垂直なXY面内において、前記光軸に対し対称且つ放射状に配置された複数対の極子、
(B06)前記各極子の放射方向外端部から外方に突出し且つ着脱可能に支持される磁性芯材を有し、前記磁性芯材に巻付けられた導線に通電した時に装着された前記極子の放射方向内端部に磁極を発生させるコイル、
(B07)前記光軸に対して対称に配置された一対の前記極子に互いに逆極性の磁極を発生させる前記コイル、
(B08)前記各コイルの放射方向外端部に配置され、前記コイルで発生した磁力線の通路である磁路を形成するヨーク。 - 前記請求項3または4のいずれか記載の多極子レンズを備えた荷電粒子線装置。
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