JP4899146B2 - 燃料タンクのフィラーチューブのアセンブリと、燃料タンクのフィラーチューブの形成方法 - Google Patents

Description

本発明は、燃料タンク取付け用のフィラーチューブのアセンブリに関し、特に、拡径されたノズルの取付け用の端部内の、フィラーチューブの上方端部に、燃料蒸気の再循環用のチューブをポートさせたタイプに関する。

自動車の燃料タンクのフィラーチューブ内には、燃料蒸気の再循環用のチューブが設けられているが、これは、ノズルに備えられた機械的なシールを用いて、フィラーチューブ内に装着されたノズルから燃料を補給する際、蒸気の再循環を行えるようにするためである。この再循環された蒸気は、ノズルシールの下方で流れを形成することにより、ノズルから流出される流れがフィラーチューブ内でバキュームを形成して、自動のノズルの閉鎖を早まって作動させることを防ぐようにしている。

従来の燃料タンクのフィラーチューブの装着では、ノズルシールの下方でフィラーチューブ内のポートに対して蒸気の再循環用のチューブを取付けているが、この問題として、燃料タンクが補給されて、フィラーチューブ内で液体燃料が上昇するとき、蒸気の再循環用のチューブ内に液体燃料が入り込み、また、蒸気のベントシステム内に流入することが知られている。蒸気のベントシステム内に液体燃料が流入すると、下方領域で燃料がトラップされることにより、蒸気のベントラインをつまらせたり、また、場合によっては、液体燃料が蒸気のストレージキャニスタ内に流入して、キャニスタ内の蒸気のストレージ用の媒体を劣化させることがあった。

このため、従来、蒸気のライン内に液体燃料が流入することがないように、燃料蒸気の再循環用のシステムを保護するための方法又は手段が求められており、特に、このような方法又は手段がシンプル、低コストで、さらに燃料タンクのフィラーチューブを実質的に再加工したり、さらなる道具を用いることがないように提供されることが求められている。

本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、燃料タンクを補給する際、フィラーチューブ内で上昇する液体燃料が、ノズルシールの下方でフィラーチューブ内にタップされた蒸気の再循環ライン内に流入するような、上記課題を解決するように、燃料タンクのフィラーチューブのアセンブリと、燃料タンクのフィラーチューブの形成方法を提供することを目的とするものである。

上記目的を達成するために、本発明は、フィラーチューブを再加工することなく、既存のフィラーチューブ内に取付け可能なようにインサート部を用い、また、フィラーチューブの機械的なシール部の取付けに先立って、フィラーチューブ内に配置されるように、インサート部にフレキシブルな膜又はフラッパータイプの逆止弁を取付けるものとする。また、このインサート部には、好ましくは、単一部品として一体に形成されるように、可撓性の接地用ストラップ／タブを備えて、ノズルをフィラーチューブ内に装着して、フィラーチューブのノズルシール内を通すとき、ノズルを車両構造に対して電気的に接地させることを保証できるようにする。また、本発明に係る逆止弁はフレキシブルな膜を用いて、フィラーチューブの上方端部内に液体燃料が侵入しようとするとき、フィラーチューブ内の蒸気の再循環用のポートを閉鎖できるようにする。但し、この逆止弁の膜は、再循環用のチューブ内にあるわずかな蒸気圧力下で開口できるように、十分にフレキシブルであり、このため、適切な蒸気の再循環が行えるように、フィラーチューブ内に蒸気の流れを送れるようにする。また、好ましくは、インサート部と一体に形成されるように、スプリングタブを備えて、再循環用のポートの近くで膜を位置決めできるようにする。

以下、本発明に係る好適な実施形態について添付した図を参照して説明する。
図２及び３を参照すると、本発明の実施形態に係る燃料タンク用のフィラーチューブが参照番号１０を用いて概略的に示されている。このフィラーチューブ１０の上方端部は、参照番号１２を用いて示されている。このチューブ状の部材１２には環状のステップ又は肩部１４が形成されており、チューブを直径が拡径された部位１６に変移させている。この部位１６の上方端部には、外側に向って延びるようにフランジ１８が形成して備えられている。また、チューブ状の部材１２は、この内部に再循環用のポート又は開口部２０を形成して備えており、これに対して再循環用のチューブ２２を取付けられるようにしている。このことは、燃料タンクの蒸気システムに関する従来技術において公知である。

また、蒸気用の逆止弁と接地（アース）用のストラップのアセンブリの組合せが参照番号２４を用いて示されており、これに含まれる環状のプレート２６は、この周囲に複数の摩擦係合用のタブ２８を形成して備えている。そして、チューブ１６内にアセンブリ２４をインサートすると、タブ２８がチューブ１６の壁部の内面と摩擦係合して、肩部１４に対してインサートを保持させるようにしている。このインサート用のプレート２６は、下方に向って延びるように、スプリング状のホルダー又はタブ３０を、好ましくは一体となるように形成して備えており、この機能は、以下において詳述される。また、インサート用のプレート２６は、接地用ストラップ／タブ３２を、好ましくは一体となるように備えており、これは、Ｕ字形状のスプリングを形成するように、自身でフォールドバックされており、かつ、インサート用のプレート２６に形成された中央の開口部３４の上方で延びている。尚、この開口部３４は、端部側のタブ３２が下方に向って撓むことを許容できるように、クリアランスを有するホールとして大きさを定められていることを理解されたい。

また、本発明の実施形態では、逆止弁のアセンブリ２４はフレキシブルな膜又はフラッパー３６を含んでいるが、これは、インサート用のプレート２６に対して取付けられて、インサート用のプレート２６に対して自由にピボット状の移動を行えるとともに、ここから下方に向って延びるように構成されている。

図１を参照すると、インサート用のプレート２６にはスロット３８が形成されることが示されている。また、膜３６の一部が、一対の互いに反対方向に延びるタブ４０として形成されることが示されている。このため、膜が折り畳まれて、スロットを通るように装着されて、タブをスロットの端部を越えて外側に延ばすようにリリースさせると、スロット内に膜がルーズに取付けられて、スロットに対して膜が自由にピボット移動を行えるようにしている。

また、膜３６はカットアウトを有しており、この一つが図１に参照番号４２を用いて示されているが、ここを通って延びるようにスプリング３０のフィンガー部が備えられており、再循環用のポート２０に近接して、フラッパーを保持できるようにしている。

図２を参照すると、逆止弁２４が閉鎖位置で示されており、この際、フラッパー３６は再循環用のポート２０に対して保持されている。尚、フィラーチューブ内で液体燃料がポート２０のレベルまで上昇すると、膜は、第一にポート２０のリムの下方部をシールさせるように機能し、さらに、燃料が上昇すると、ポート２０を完全にシールさせて、蒸気の再循環用のポート２０とチューブ（管）２２内に液体燃料が流入することを防ぐようにすることを理解されたい。

図３を参照すると、弁２４が開放位置で示されており、この際、再循環用のチューブ２２（図３には示されていない）からポート２０内に流入する蒸気の力により、膜又はフラッパー３６がポート２０から離れるように移動している。ポート２０から離れる方向での膜又はフラッパー３６の移動は、図３に実線で示された膜３６の位置から理解できるように、スプリングタブ３０によって弱められ、又は止められる。本発明に係る好適な実施形態では、車両用の燃料に対して耐性を有するような、弾力性の材料を用いて、膜又はフラッパー３６を形成している。しかしながら、例えばプラスチックのような、他の適当な材料を用いて、膜又はフラッパー３６を形成することは可能である。

図１、２及び３を参照すると、フィラーチューブの上方部１６には、この内部に環状のステップ状のインサート部４４が装着されており、このインサート部４４は、外側に向って延びるようにフランジ４６を有することが示されている。このフランジ４６は、フランジ１８上で重ね合わせられて、かつ、フランジ１８に対して係止されている。また、インサート部４４は、環状の肩部４８を有し、この内部には、周状に離間するように、複数の圧力リリーフポート５０が形成して備えられている。肩部４８の内径側は、直径が縮径された部位５２と接続されており、この部位５２には、環状に内側に向って延びる肩部５４が形成して備えられており、この肩部５４は、この内径側で、インサート部のチューブ状の端部５６と結合されている。また、肩部５４は、この上に環状のリップシール６０のビードリム５８を装着させているが、このシール６０は、ノズルを内部に装着したとき、燃料補給用のノズル２の周囲をシールできるように大きさが定められて、構成されている。シール６０のビードリム５８は、環状のインサート部又はカラー６２によって、インサートの肩部５４上に保持されているが、このカラー６２は、円錐形状のインサート部６４によって保持されており、さらにこのインサート部６４は、次にチューブ状のカラー６６によって保持されている。このカラー６６は、外側に向って延びるようにフランジ６８を有しており、この上にフランジ４６を重ねている。尚、三つのフランジ１８、４６及び６８は、任意の手段によって結合されていてもよく、例えば、この組付けを保持できるように、周囲に溶接を行っていてもよいことを理解されたい。

環状の圧力リリーフ弁は、参照番号７２に示すように、この上に弾力性のシール７０を備えており、肩部４８と部材７２に対して設けている。シール部材７０、７２は、ポート５０を閉鎖させるため、参照番号７４に示すように、任意のスプリングの構成によって下方に付勢されている。

図４を参照すると、フラッパー弁２４が部分的に閉鎖された状態で示されている。また、燃料補給用のノズル２は完全に装着された状態で示されており、この際、接地用ストラップ／タブ３２と係合して、かつ、接地用ストラップ／タブ３２を下方に向って撓めさせており、図１に示すように、接地用ストラップと燃料補給用のノズルの間で電気接続を保持させている。

従って、本発明は、燃料タンクのフィラーチューブ内の蒸気のベントの再循環用のポートを閉鎖させるための、一方向の逆止弁又はフラッパー弁を提供するが、これはインサート部のサブアセンブリとして形成されて、チューブの修正やさらなる工具の利用を必要とすることなく、既存のフィラーチューブ内に装着できるようにする。この一方向弁のアセンブリは、可撓性の接地用ストラップ／タブを一体に形成して備えて、燃料補給用のノズルを接地できるようにし、また、スプリングタブを一体に備えて、蒸気の再循環用のポートの近くで、フレキシブルなフラッパーを閉鎖状態で配置できるようにしている。

以上添付した図を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に対して修正や変更を加えることは可能であり、従って、本発明は、添付した特許請求の範囲によってのみ限定されることを理解されたい。

内部に燃料補給用のノズルを装着した、本発明の実施形態に係る燃料タンク用のフィラーチューブアセンブリの一部を切り取った、軸測投影又は斜視図である。 蒸気用のベントポートフラッパーを閉鎖位置にした、本発明の実施形態に係る燃料タンク用のフィラーチューブの上方部分の断面図である。 図２と同様であるが、蒸気用のベントポートフラッパーを開放位置にしたときの図である。 図２と同様であるが、燃料補給用のノズルを完全に装着して、接地用ストラップ／タブと当接させたときの図である。

符号の説明

２ ノズル
１０ フィラーチューブ
１２ チューブ状の部材
１６ 拡径された端部
２０ カットアウト（ポート又は開口部）
２６ インサート部（インサート用のプレート）
３０ フラッパーの位置決め手段（スプリング部材、スプリングフィンガー）
３２ 接地用ストラップ／タブ
３６ フラッパー

Claims (12)

1. 燃料蒸気の再循環を行えるように、燃料タンクの補給システムに用いられる、燃料タンクのフィラーチューブのアセンブリであって、
   （ａ）燃料補給用のノズル（２）を取付けられるように直径を拡径させた端部（１６）を備え、かつ、この拡径された端部の壁部に燃料蒸気の再循環用のカットアウト（２０）を形成して備えるチューブ状の部材（１２）と、
   （ｂ）前記カットアウトと関連付けられて、かつこの開放と閉鎖を行うことができるように移動可能な、フレキシブルな材料を用いて形成されるフラッパー（３６）と、
   （ｃ）前記閉鎖位置において、完全に閉鎖された位置では、前記フラッパーが前記チューブ状の部材から液体燃料の通路を実質的に防ぎ、前記カットアウトを閉鎖させるように、また、部分的に閉鎖された位置では、前記フラッパーが前記チューブ状の部材内に燃料蒸気が流入することを許容するように前記フラッパーを位置決めする手段（３０）と、を含み、
   該フラッパーを位置決めする手段（３０）は、前記チューブ状の部材（１２）内のインサート部から延びる少なくとも一対のスプリングフィンガーを備え、該少なくとも一対のスプリングフィンガーの弾性力により、前記少なくとも一対のスプリングフィンガーを前記フラッパーに当接させて保持して前記フラッパーを位置決めすることが可能であることを特徴とするアセンブリ。
2. 前記チューブ状の部材（１２）内にさらに接地用ストラップ／タブ（３２）を含むようにして、前記チューブ状の部材内に装着されるノズルと当接できるようにしたことを特徴とする請求項１に記載のアセンブリ。
3. 前記フラッパーは、インサート部（２６）に対して取付けられることを特徴とする請求項２に記載のアセンブリ。
4. 前記インサート部は、前記接地用ストラップ／タブを付勢させるように、一体に形成されたスプリング（３２）を備えることを特徴とする請求項１に記載のアセンブリ。
5. 燃料蒸気の再循環を可能にしたシステム内に用いられる、燃料タンクのフィラーチューブの形成方法であって、
   （ａ）燃料補給用のノズル（２）を取付けられるように、拡径された端部（１６）を備えるようにチューブ状の部材（１２）を形成して、かつ、燃料蒸気の再循環を行えるように、前記拡径された端部にカットアウト（２０）を形成し、
   （ｂ）前記カットアウトに関して、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能なように、フレキシブルなフラッパー（３６）を配置し、
   （ｃ）該フラッパーを位置決めする手段（３０）として、前記チューブ状の部材（１２）内に少なくとも一対のスプリングフィンガーを配置し、
   該少なくとも一対のスプリングフィンガーの弾性力により前記少なくとも一対のスプリングフィンガーを前記フラッパーに当接して前記フラッパーを前記カットアウトの箇所に位置決めし、前記カットアウトを閉鎖して、前記チューブ状の部材内の液体燃料が、前記カットアウトを流れることを防ぐようにし、
   一方、前記フレキシブルなフラッパー（３６）が撓むことによって前記カットアウトが部分的に閉鎖されて、前記燃料蒸気が前記拡径された端部内に流入することを許容した、各ステップを有することを特徴とする方法。
6. 前記フレキシブルなフラッパーを配置するステップでは、前記フラッパーをインサート部（２６）に対して取付けて、前記インサート部を前記拡径された端部内に配置したことを特徴とする請求項５に記載の方法。
7. 前記フラッパーを配置するステップでは、接地用ストラップ（３２）を備えるようにインサート部（２６）を形成し、前記フラッパーを前記インサート部に取付けて、前記インサート部を前記チューブ内に配置したことを特徴とする請求項５に記載の方法。
8. 前記フラッパーを配置するステップでは、インサート部と一体にスプリング（４２）を形成して備えて、前記フラッパーを前記スプリングと当接させたことを特徴とする請求項５に記載の方法。
9. 前記フラッパーを配置するステップでは、インサート部（２６）を備えて、前記フラッパーを前記インサート部に取付けて、前記インサート部を前記チューブ状の部材の前記拡径された端部内に配置したことを特徴とする請求項５に記載の方法。
10. 前記フラッパーを配置するステップでは、前記インサート部と一体にスプリング（４２）を形成することを特徴とする請求項９に記載の方法。
11. 前記インサート部を備えるステップでは、接地用ストラップ／タブ（３２）を備えて、前記チューブ状の部材の前記拡径された端部内にノズルを挿入するとき、このノズルと当接できるようにしたことを特徴とする請求項９に記載の方法。
12. 前記接地用ストラップ／タブを備えるステップでは、前記インサート部と一体にこの接地用ストラップ／タブを形成することを特徴とする請求項１１に記載の方法。

Images