JP4899124B2 - 積層粘土膜の製造方法 - Google Patents

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本発明は、積層粘土膜の製造方法に関する。また、積層粘土膜で少なくとも一部分が構成された基板及びガスバリア膜に関する。
一般に、多くの化学産業分野において、高温条件下での種々の生産プロセスが用いられている。それらの生産ラインの配管連結部などでは、例えばパッキンや溶接などによって、液体や気体のリークを防止する方策がとられている。これまで、フレキシビリティーに優れたパッキンは、例えば有機高分子材料や石綿等を用いて作られていた。しかしながら、有機高分子材料を用いた場合は、その耐熱性は最も高いテフロン(登録商標)で約250℃であり、これ以上の温度では金属製パッキンを用いなければならない。ところが、金属製パッキンは、有機高分子材料を用いた場合と比較してフレキシビリティーに劣り、パッキンと対向する面が損なわれるなどの問題があった。また、石綿を含有する材料は耐熱性及び耐薬品性に優れるが、石綿の人体に対する影響が問題であり、早急な代替材料の開発が望まれている。
一方、近年、液晶ディスプレイをはじめとするフラットパネルディスプレイ(以降はFPDと記す)の製造技術が飛躍的に進歩し、従来のブラウン管では到底なし得ない薄型のディスプレイが現実のものとなった。現在のFPDはほぼ全てガラス基板上にデバイスが形成されており、ガラス基板以外の基板を用いた実用的なFPDは存在しない。その理由としては、ガラス基板が高耐熱性であり、高温形成が必要なディスプレイの駆動回路や部材を形成するのに適していること、線膨張係数が小さく、それら駆動回路や部材に与える応力を抑制でき、配線の破断や部品の特性変動が少ないこと、可視光域で透明なため光を取り出すことが容易であること、さらにガスバリア性が高く、外部からの酸素や水蒸気の進入を阻止するガスバリア材として用いることができ、必要により高真空を保持できること等があげられる。
しかし、ガラス基板は柔軟性がなく、割れやすい。また重量が重く、基板の変形や取り扱いの困難さが問題となっている。また、ガラス基板は、曲げて持ち運ぶ等の用途を想定した、曲げられる電子ペーパーのようなフレキシブルディスプレイには使えず、衝撃に対して割れやすく、落下させた場合にデバイスが損傷しやすいという欠点も持つことから、モバイル用途にはあまり適していない。このような観点から、ガラスと同等の耐熱性、線膨張係数、透明性、ガスバリア性等を有するディスプレイ用の基板やガスバリア膜の実用化が望まれている。
また、ディスプレイ,携帯電話端末,コンピューターといった電化製品を構成する電子部品が実装される回路基板に対して、部品実装の高密度化の要請が高まっている。また、携帯電話端末に代表される回転及び変形が要求される電化製品の増加により、フレキシブル化の要請も高まっている。そのため、フレキシブル回路基板や銅張積層板の需要及び要求も増大している。
フレキシブル回路基板としては、現在の所、ポリエチレンテレフタレート,ポリカーボネート,ポリイミド等の樹脂で形成された基板や、特殊なガラスエポキシ基板が用いられている。ところが、導電性ペーストのような導電性インクを用いて回路配線を印刷や塗布で形成するプリント基板を製造する際には、十分に高い導電率の配線を得るために、導電性インクを塗布した後に一般に300℃以上の高温で焼成する必要があるが、前記のような樹脂で形成された基板を用いたフレキシブル回路基板の場合は、樹脂の耐熱性が低いために前述の高温焼成を行うことができず、比較的低い温度で行わなければならない。
しかしながら、低温では導電性インクの焼結が十分進まないため、金属箔や真空蒸着で得られる配線と比較して一般的に導電性能が劣るという問題があった。ポリイミド樹脂は比較的高耐熱性であるが、高価であるため、RFID(Radio frequency identification)タグのようなコストが最重視される用途に用いることは困難である。このような観点から、絶縁性を有しつつ高い耐熱性及び難燃性を有する安価なフレキシブルプリント基板の実用化が望まれている。
他方、粘土は自然界に大量に存在し、安価で、人体に無害であり、燃えない等の特徴を有する鉱物である。粘土は一般的には水やアルコールに分散させることが可能であるが、その分散液をガラス板の上に広げ、静置、乾燥することにより、粒子の配向の揃った膜が形成することが知られており、この膜形成により、X線回折法の定方位試料が調整されてきた(非特許文献1を参照)。
最近、ラングミュアーブロジェット法(Langmuir−Blodgett Method)を応用した粘土薄膜の作製が行われている(例えば非特許文献2を参照)。しかし、この方法では、粘土薄膜は、ガラスなどの材料でできた基板表面上に形成されるもので、自立膜としての強度を有する粘土薄膜を得ることはできなかった。
さらに、従来、例えば機能性粘土薄膜等を調整する方法が、種々報告されている。例えば、ハイドロタルサイト系層間化合物の水分散液を膜状化して乾燥することからなる粘土膜の製造方法(特許文献1を参照)、層状粘土鉱物と燐酸又は燐酸基との反応を利用し、その反応を促進させる熱処理を施すことにより層状粘土鉱物が持つ結合構造を配向固定した層状粘土鉱物薄膜の製造方法(特許文献2を参照)、スメクタイト系粘土鉱物と2価以上の金属の錯化合物を含有する皮膜処理用水性組成物(特許文献3を参照)などをはじめ、多くの事例が存在する。しかし、これらの特許文献における膜状の粘土形態物は全て何らかの支持体の上に形成されたものであり、自立膜として利用可能な機械的強度を有しつつ、粘土の単位層であるアスペクト比の大きな層状の粘土粒子を高度に配向させて積層した粘土配向膜ではなかった。
そのような状況の中、本発明者らは、粘土配向膜の作製を種々試み、その過程で、粘土粒子が配向した、自立膜として使用できる強度を有する粘土膜が、下記のような方法により得られることを見出した。すなわち、粘土分散液を調整し、均一な分散液を得て、この分散液を水平に静置して粘土粒子を沈積させるとともに、分散媒である液体を種々の固液分離方法(例えば遠心分離、ろ過、真空乾燥、凍結真空乾燥、又は加熱蒸発法)で分離し、膜状に形成した後に、これを支持体から剥離する方法である(特許文献4を参照)。
また、粘土のみではなく、少量の添加剤を粘土分散液に加えることによって、粘土膜の柔軟性や強度を高めることができること、粘土分散液の固形比を高めた粘土ペーストを用いることにより、粘土膜を短時間で製造することができること、さらに合成粘土を用いることにより、着色のない可視光領域で透明な粘土膜を作製できることを見出した。
そして、これらの粘土膜が、(1)高耐熱性を有する、(2)酸素や水素等の無機ガスに対して高いガスバリア性を有する、(3)膜にピンホールがない、(4)柔軟性を有する、(5)耐薬品性を有する、(6)線膨張係数が低い、(7)難燃性を有する、(8)絶縁性を有する、といった特徴を共通して保有することを確認し、前述したパッキンを構成する材料や、前述したディスプレイ用部材,フレキシブル回路基板等の電子材料用途に好適であることを見出した。
特開平5−254824号公報 特開2002−30255号公報 特開昭63−64913号公報 特開2005−104133号公報 白水晴雄,「粘土鉱物学−粘土科学の基礎−」,朝倉書店,p.57(1988) 梅沢泰史,「粘土科学」,第42巻,第4号,218−222(2003)
しかしながら、従来の粘土膜は自立して扱える強度を有するものの、様々なプロセスで安定的に利用するためには、さらに強度を向上させる必要があった。粘土膜の強度を向上させる方法として、膜厚を厚くすることが考えられるが、膜厚を厚くするためには粘土ペーストを支持体上に厚く配して乾燥させる必要が生じ、蒸発させなければならない溶媒の量が多くなるため、乾燥に時間がかかる、クラックが入りやすくなる、気泡が抜けにくくなり粘土膜の表面に膨れ上がりが発生する等の問題が生じる場合があった。また、パッキン等に用いるためには、厚い粘土膜が必要な場合があった。
また、粘土の粒子サイズの大きな天然のモンモリロナイトからなる粘土膜では、乾燥時に大気に接している表面の凸凹(表面粗さ)が大きくなり平坦性が低下して、パッキン等に用いた場合にはガスがその凸凹の隙間から漏れるおそれがあった。また、電子デバイスに用いた場合には、配線形成の際にその凸凹で配線が断線したり、ガスバリア層を付与する際にその凸凹のために部分的にガスバリア層にピンホールが発生するなどの問題が生じるおそれがあった。
さらに、透明な粘土膜のヘイズを低減させる目的及びヘイズの増大を抑制する目的で、透明な粘土膜を再膨潤させた後に再乾燥させる方法が開発されたが、この方法で得られる透明な粘土膜は再膨潤に伴ってその面積が増大するため、膜厚が薄くなってしまい、結果として強度が低下しまうという問題があった。
そこで、本発明は、前述のような従来技術が有する問題点を解決し、厚い粘土膜を効率良く製造することができる粘土膜の製造方法を提供することを課題とする。また、表面が平滑で厚い粘土膜の製造方法を提供することを併せて課題とする。さらに、これらの厚い粘土膜を備えた基板及びガスバリア膜を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の積層粘土膜の製造方法は、粘土のみ又は粘土と添加剤とを含有する粘土含有液を乾燥させて得た一次乾燥粘土膜の表裏両平面のうち少なくとも一方の平面に、前記粘土を膨潤させる液体又は前記添加剤を溶解若しくは分散させる液体を配して、少なくとも表層部分を膨潤させた後、膨潤した平面を内側にしてこの一次乾燥粘土膜と別の粘土膜とを積層し再乾燥させることを特徴とする。
また、本発明に係る請求項2の積層粘土膜の製造方法は、請求項1に記載の積層粘土膜の製造方法において、前記別の粘土膜の表裏両平面のうち少なくとも一方の平面を膨潤させ、前記一次乾燥粘土膜及び前記別の粘土膜ともに膨潤した平面を内側にして積層することを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項3の積層粘土膜の製造方法は、請求項1又は請求項2に記載の積層粘土膜の製造方法において、前記一次乾燥粘土膜及び前記別の粘土膜ともに、表裏両平面のうち表面粗さが粗い方の平面を膨潤させ、その平面を内側にして積層することを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項4のフレキシブルプリント基板は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層粘土膜の製造方法により得られた積層粘土膜で、少なくとも一部分が構成されたことを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項5の基板は、非発光有機半導体又はアモルファス無機半導体を備える電子デバイスが実装され、ガスバリア性を有する基板であって、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層粘土膜の製造方法により得られた積層粘土膜で、少なくとも一部分が構成されたことを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項6のガスバリア膜は、非発光有機半導体又はアモルファス無機半導体を備える電子デバイスをガスから保護するガスバリア膜であって、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層粘土膜の製造方法により得られた積層粘土膜で、少なくとも一部分が構成されたことを特徴とする。
本発明の積層粘土膜の製造方法は、厚い粘土膜を効率良く製造することができる。また、表面が平滑で厚い粘土膜を効率良く製造することができる
一般に、粘土膜は、粘土のみ又は粘土と添加剤とを含有する粘土含有液をベースの表面に配し、乾燥した後にベースから剥離することにより得られるが、得ようとする粘土膜が厚いほどベースの表面に配する粘土含有液の量が多くなるため、長い乾燥時間を要することになる。また、粘土含有液の量を多くして膜厚を厚くしようとすると、得られる粘土膜にクラックが生じやすくなったり、粘土含有液中に混入していた気泡が抜けきらずに粘土膜の表面に膨れ上がりが発生したりしていた。
そこで、本発明者らは、上記のような問題点を解決するために鋭意検討した結果、厚い粘土膜でも短い乾燥時間で効率良く作製することが可能な製造方法を見出した。また、表面が平滑で厚い粘土膜でも効率良く作製することが可能な製造方法を見出した。さらに、透明で厚い粘土膜を作製することが可能な製造方法を見出した。
すなわち、本発明の粘土膜の製造方法は、粘土のみ又は粘土と添加剤とを含有する粘土含有液を乾燥させて得た一次乾燥粘土膜の表裏両平面のうち少なくとも一方の平面に、前記粘土を膨潤させる液体又は前記添加剤を溶解若しくは分散させる液体を配して、少なくとも表層部分を膨潤させた後、膨潤した平面を内側にしてこの一次乾燥粘土膜と別の粘土膜とを積層し再乾燥させることを特徴とする方法である。
このような方法によれば、粘土のみ又は粘土と添加剤とで構成される粘土層が2層以上積層されてなる厚い積層粘土膜を、短い乾燥時間で効率良く作製することが可能である。このような厚い積層粘土膜は、自立膜として利用可能な機械的強度を有している。積層された各粘土層は、配向した粘土の粒子、すなわち粘土を構成する層状の単位層が積み重なって形成されている。なお、前記別の粘土膜は、一次乾燥粘土膜と同種の粘土膜でもよいし、全く別種の粘土膜でもよい。また、得られた積層粘土膜に対して、さらに前記一次乾燥粘土膜や前記別の粘土膜を前述と同様の方法で積層してもよいし、得られた積層粘土膜同士を前述と同様の方法で積層してもよい。
一次乾燥粘土膜の表裏両平面のうち少なくとも一方の平面に、粘土を膨潤させる液体又は添加剤を溶解若しくは分散させる液体を配する方法は特に限定されるものではないが、例えば、一次乾燥粘土膜を前記液体の中に浸漬する方法でもよいし、スプレーのように前記液体を一次乾燥粘土膜の表面に吹き付ける方法でもよい。あるいは、前記液体の高濃度の蒸気雰囲気下に一次乾燥粘土膜をおく方法でもよい。
このとき、一次乾燥粘土膜と前記液体とが接触している時間が長すぎると、一次乾燥粘土膜の一部又は全体が前記液体中に再分散したり、一次乾燥粘土膜が前記液体を吸収して膨潤しすぎる場合がある。よって、一次乾燥粘土膜と前記液体とが接触している時間は比較的短い方が好ましく、数秒から、数分以内が望ましい。
また、前記液体を一次乾燥粘土膜の表面に吹き付ける方法や、流動している前記液体中に一次乾燥粘土膜を浸漬する方法等によって、一次乾燥粘土膜の表面を洗い流すようにして前記液体を配すると、膜の平滑化及び経時によるヘイズ増大の抑制に効果的な場合が多い。一次乾燥粘土膜の表面に前記液体を配したら、前記液体が一次乾燥粘土膜の表面に長時間滞留しないように、一次乾燥粘土膜を水平状態から傾けた状態にして、前記液体が流れ落ちるようにするとよい。
また、一次乾燥粘土膜を水平状態から傾けた状態に保持しつつ前記液体を配する際には、紙を抄紙する際に用いるようなメッシュ状のワイヤー等の上に一次乾燥粘土膜を載置して前記液体を配することが好ましい。そうすれば、余分な前記液体が一次乾燥粘土膜の表面から流れ落ちやすくなるので、一次乾燥粘土膜の一部又は全体が前記液体に再分散したり過剰に膨潤することを抑制することができる。
前記液体の種類は、粘土を膨潤させるもの、又は、添加剤を溶解若しくは分散させるものであれば特に限定されるものではなく、粘土と添加剤の種類に応じて適宜選択すればよい。特に、水に膨潤する親水性粘土又は水に溶解する添加剤を有する粘土膜であれば、水が好適である。一方、有機溶媒に膨潤する疎水性粘土又は有機溶媒に溶解若しくは分散する添加剤を有する粘土膜であれば、有機溶媒が好適である。
なお、一次乾燥粘土膜の表面に前記液体を配することにより該膜全体が容易にその液体を吸収してゲル状に変化する場合には、ゲル化に伴い一次乾燥粘土膜の体積が増大し、その結果、しわ等を有する粘土膜が生成する場合がある。このような場合には粘土膜を延伸し、しわを伸ばして粘土膜を平坦化することにより、乾燥後に表面がより平滑な粘土膜を得ることができる。粘土膜を延伸する方法としては、ローラー等を粘土膜に押し当てる方法や、粘土膜を引っ張る2軸延伸のような方法があげられる。粘土膜の延伸は、表面が平滑な部材の上で行ってもよいし、紙を抄紙する際に用いるようなメッシュ状のワイヤー等の上で行ってもよいし、平滑部材のような支持体と接触しない状態で行ってもよい。
一次乾燥後に粘土膜の表面に添加剤が析出し、その析出した添加剤がヘイズ増大の原因となる場合には、上記のように一次乾燥粘土膜の表面に前記液体を配すると、析出した添加剤が前記液体によって除去されるので、ヘイズの増大を抑制することができる。
なお、前記液体で膨潤した際の一次乾燥粘土膜の寸法変化を抑制したい場合には、前記液体を配しても寸法変化がほとんど生じない膜(例えば樹脂フィルム,布,紙)を一次乾燥粘土膜の片面に貼り付けておく方法や、一次乾燥粘土膜の内部に形状変化しにくい構造体(例えば、径の細い繊維)を形成しておく方法等を採用してもよい。
このようにして一次乾燥粘土膜の表層部のみ又は膜全体を膨潤させ、この膨潤した平面を別の粘土膜の平面に貼り付けて両粘土膜を積層し再乾燥させれば、厚く高強度の積層粘土膜を得ることができる。
両粘土膜の平面同士を貼り合せる場合には、少なくとも一方の粘土膜の平面は膨潤している必要があるが、両方とも膨潤した状態で貼り合せる必要はない。ただし、貼り合わせた界面の接着強度を向上させるためには、両方とも膨潤した状態で貼り合せることがより好ましい。粘土膜は、膨潤すると粘着性が発現するとともに、膨潤した部分はゲル状になって容易に変形,流動可能な状態となっているため、粘土膜の構成材料以外の物質、例えば接着剤等を用いずとも、粘土膜同士が容易に融合し接着する。このとき、界面の接着強度をより向上させる目的で、一次乾燥粘土膜を作製する際に用いた粘土含有液又は一次乾燥粘土膜を構成する物質(粘土,添加剤等)と同じ種類の物質を含有する溶液を、貼り合わせ面に塗布して貼り付けてもよい。
このようにして粘土膜同士を貼り合せて2層以上の粘土膜が積層した積層粘土膜とすれば、1層だけの粘土膜よりも必然的に厚い粘土膜を得ることが可能になる。粘土膜の組成を変化させることなく膜厚を厚くしたい場合には、同種の粘土膜同士を貼り合わせればよいし、何らかの目的で異なる組成の粘土膜が積層した積層粘土膜を得たい場合には、異なる組成の粘土膜同士を貼り合せればよい。
一般的に粘土膜は、粘土含有液をベース上で乾燥させた後にベースから剥離して得るため、乾燥時にベース側であった平面(ベースに接触していた面)の表面ラフネスはベース表面の平滑性の影響を受ける。特に、粘土結晶のサイズが小さな合成粘土と添加剤とからなる透明粘土膜の場合には、乾燥時にベース側であった平面の表面ラフネスはベース表面の平滑性にほぼ支配される。したがって、表面平滑性の高いベースを用いることにより、乾燥時にベース側であった平面が平滑な粘土膜を得ることができる。
しかしながら、乾燥時にベースの反対側であった平面、例えば大気中で乾燥させた場合であれば大気に触れながら乾燥した平面(大気側の平面)の表面ラフネスは、粘土含有液が蒸発して体積収縮していく際に追随するベースが存在しないため、変形して荒れることがある。特に、天然モンモリロナイト、その中でも粘土の粒子のアスペクト比の平均値が200以上(特に300以上)の天然のモンモリロナイトを主成分とする半透明の粘土膜や、合成粘土を用い添加剤を少量添加又は添加しない透明粘土膜は、大気側の平面の凸凹が増大する(表面粗さが粗くなる)場合が多い。そして、天然のモンモリロナイトを主成分とし親水性の状態の粘土を主成分とする粘土膜では、適切な添加剤を選んでも大気側の平面の凸凹を抑制することが一般には難しく、その大気側の平面の凸凹は、算術平均粗さRaで600nmより大きく、一般的には1μm以上となることが多い。
そこで、一次乾燥粘土膜の表裏両平面のうち凸凹がより大きな平面(一般には、上記のように大気に触れながら乾燥した平面)に液体を配して膨潤させ、膨潤させた該平面同士を貼り合せて粘土膜を積層することで、凸凹がより小さい平面(一般には乾燥時にベース側であった平面)を表裏両平面とした積層粘土膜を得ることができる。大気側の平面の凸凹を制御することは困難であるが、凸凹がより小さい平面のラフネスは粘土含有液の乾燥時に用いるベースの平滑性である程度制御することが可能なため、表裏両平面ともに平滑な積層粘土膜を得ることができる。
そして、そのような凸凹の大きな大気側の平面同士を内側にして粘土膜を貼り合わせて積層すれば、天然のモンモリロナイトを主成分とする一次乾燥粘土膜を積層した場合でも、得られた積層粘土膜の表裏両平面の凸凹の程度を示す算術平均粗さRaは両平面とも600nm以下となる。
なお、粘土の粒子のアスペクト比の平均値は、一般的には以下のようにして得ることができる。希薄(10mg/リットル程度の濃度)な粘土含有液を、平滑でゴミが付着していない清浄な平面(例えば、剥離したての合成雲母のへき開面等)に滴下して乾燥した後に、表面にあまり重ならずに残った粘土の粒子を原子間力顕微鏡で複数観察し、実際の大きさを測定する。そして、その平均値を算出する。
少なくとも表層部分を膨潤させた一次乾燥粘土膜を別の粘土膜に貼り付ける方法は、特に限定されるものではなく、真空プレスのような方法で貼り合わせてもよいし、ラミネーターを用いて貼り合わせてもよいが、両粘土膜の間に気泡が混入しないようにする必要がある。
また、貼り合わせ時には、重ねた両粘土膜に積極的に外力を加えてもよい。例えば、表面が平滑なローラーを両粘土膜上で転がすことにより貼り合せてもよいし、プレス等により外力を加えて貼り合せてもよい。両粘土膜に積極的に外力を加え、貼り合せの界面同士をより密着,融合させることは、貼り合わせ面における接着面積をより増大させるとともに、貼り合わせ面に混入した気泡を押し出し、より強固に両粘土膜を密着させるために有効である。よって、貼り合わせ面となる両粘土膜の平面の凸凹が大きい場合には、ラミネーターのローラー圧や真空プレスにおけるプレス圧を高くすることが有効である。なお、貼り合わせ面に異物が混入した場合には膜欠陥となり得るため、貼り付け工程は異物ができるだけ少ないクリーンルーム等の環境下で行うことが望ましい。
なお、液体を配した粘土膜においては、粘土又は添加剤のどちらか一方が前記液体を吸収し、粘土膜全体又は前記液体が接している粘土膜の表層部分のみが膨潤する。このような状態においては、一次乾燥粘土膜の表面が膨潤して表面積が大きくなるために平滑性が向上するばかりでなく、一次乾燥粘土膜の表面はゲル状になって軟化しており、外力による変形が容易である。
そのため、表面が平滑な平滑部材に、軟化した一次乾燥粘土膜の表面を一時的に接触させると、一次乾燥粘土膜の表面が平滑部材の表面に追随するように変形して平滑化される。例えば、前記液体を配して膨潤させた一次乾燥粘土膜の膨潤した平面を、表面が平滑なガラス基板や樹脂フィルムに一時的に接触させることにより、表面が平滑化された一次乾燥粘土膜を得ることができる。さらに、一次乾燥粘土膜の表裏両面を膨潤させ、表面が平滑なガラス基板や樹脂フィルム等の平滑部材で挟めば、一次乾燥粘土膜の両平面を平滑化することもできる。また、積層粘土膜の表裏両面を膨潤させ平滑部材で挟めば、積層粘土膜の両平面を平滑化することもできる。
このような平滑化に用いる平滑部材は、表面が平滑であるならば特に限定されるものではなく、ガラス基板,シリコン基板,ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのような樹脂基板等を用いることができる。さらに、これら平滑部材の表面には、平滑化の後に粘土膜が剥離しやすいように、剥離容易化処理を施してもよい。剥離容易化処理としては、例えば紫外線照射処理,電子線照射処理,イオンビーム照射処理,コロナ放電処理,プラズマ処理(例えばリモートプラズマ処理,フレームプラズマ処理),物理的処理(例えば接触面積が少なくなるように表面を加工する機械処理)があげられる。
また、シリコーン樹脂のような密着性を低下させる樹脂を塗布する処理、フッ素樹脂やチタニアをコーティングする処理、シランカップリング剤を塗布する処理、光,熱等の物理的刺激を受けて柔らかさやヤング率が変化する又は発泡することによって密着性を低下させる剥離性付与剤を塗布する処理があげられる。これらの処理は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
さらに、平滑部材に一次乾燥粘土膜を接触させて平滑化する際には、積極的に外力を加えてもよい。例えば、膨潤させた一次乾燥粘土膜を平滑な樹脂フィルム上に配し、表面が平滑なローラーをその上で転がすことにより平滑化してもよいし、プレス等により外力を加えて一次乾燥粘土膜を平滑部材に押し付けて平滑化してもよい。このとき、ローラーやプレスは直接一次乾燥粘土膜に接触させてもよいが、ローラーやプレス等に一次乾燥粘土膜が付着したりすることを防ぎたい場合には、剥離容易化処理等を必要に応じて施した平滑な樹脂フィルム等を介在させて外力を加えてもよい。
なお、前述した両粘土膜を貼り付ける際に外力をかける処理と、上記の平滑化のための外力をかける処理とを、1つの処理でまとめて行ってもよい。その方が工程の削減につながるため効率的である。
このような平滑化処理は、粘土膜の貼り付け面に対しても、そうでない面に対しても有効である。凸凹の大きな粘土膜の平面の接着においては、上記方法で粘土膜を平滑化した後に膨潤した状態のまま貼り付けることにより粘土膜同士の接着面積が増大するため、粘土膜をより強固に接着することが可能になる。また、貼り合わせに関与しない粘土膜の平面も同様に上記の平滑化処理を施することで、最終的に平滑性に優れた積層粘土膜を得ることができる。
一次乾燥粘土膜と別の粘土膜との貼り合わせ後の再乾燥においては、特に膜全体が膨潤した場合には、体積収縮が発生するため、粘土膜には前記体積収縮に伴う応力が作用する。したがって、積層粘土膜の強度がこの応力に耐えられない場合は、乾燥過程で積層粘土膜が割れてしまう場合がある。これを回避するためには、貼り合わせた両粘土膜に平滑部材が接触している状態で再乾燥を行うことが好ましい。そして、平滑部材に柔軟性があり、平滑部材が変形可能な状態で乾燥を行った後に、平滑部材から積層粘土膜を剥離することが好ましい。柔軟性を有する平滑部材としては、樹脂製フィルムが好ましい。
なお、体積収縮に伴って積層粘土膜に発生する応力は乾燥直後は大きいものの、乾燥後しばらく放置すると内部応力は減少する場合が多い。例えば、水に分散する親水性粘土を有する乾燥直後の積層粘土膜の多くは内部応力によりカールしているが、水蒸気存在下で放置しておくと内部応力が開放され、平板状の膜になる。したがって、内部応力が減少するまでの間、平滑部材を変形させることによって内部応力を逃がしておき、内部応力が開放された後に平滑部材から積層粘土膜を剥離することにより、内部残留応力が少なく割れやカールのない積層粘土膜を作製することが可能となる。
乾燥後しばらく放置すると内部応力が減少する理由としては、空気中の水分を吸収することにより柔軟性が向上するためと考えられる。したがって、乾燥直後の積層粘土膜を湿度の制御された環境でしばらく保持することは、特に水との親和性が高い親水性粘土を有する積層粘土膜において、内部残留応力を除去し積層粘土膜の強度を制御する点で有効である。
また、上記のようなプロセスで粘土膜を他の部材に貼り付け、それを再乾燥させることにより、平滑な積層粘土膜を得ることができる。再乾燥は、任意の部材上で、又は、部材と接触しない状態で行うことができるが、最終的に表面が平滑な積層粘土膜を得るためには、前述の平滑部材上で行うことが望ましい。再乾燥の方法は特に限定されるものではないが、例えば、遠心分離,ろ過,真空乾燥,凍結真空乾燥,不活性ガス雰囲気下での放置,及び加熱蒸発法が好ましい。あるいは、これらの方法のうちの複数を組み合わせてもよい。あるいは、大気中に放置しておくだけでもよい。
本発明の方法により粘土膜同士を貼り合せて作製した厚い積層粘土膜と同等の厚さを有する粘土膜を、粘土含有液からの乾燥のみで得ようとすると、膜厚にほぼ比例する乾燥時間を要してしまうため、例えば同じ粘土膜2枚を貼り合せた積層粘土膜と比較した場合は、約2倍の乾燥時間を要する。粘土膜の表層部分のみを膨潤させた場合には、貼り合わせ面のみを乾燥すればでよいので乾燥に要する時間は短く、例えば60℃程度の雰囲気下で1時間以内で乾燥できる場合が多い。粘土膜全体が膨潤した状態でも、吸収している液体の割合は粘土含有液のそれよりも遙かに少ないため、乾燥時間は短くて済む。
また、一次乾燥させた透明な粘土膜の表面に、粘土を膨潤させる液体又は添加剤を溶解若しくは分散させる液体を配し再乾燥させることにより、粘土膜の透明性を向上させ、さらにヘイズの経時による増大を抑制することができる。この方法を用いる場合は、透明な粘土膜は再膨潤に伴ってその面積が増大するため膜厚が薄くなり、結果として強度が低下するが、本発明の方法により液体を配して再膨潤している状態で別の粘土膜を積層することで、膜厚の減少を防ぎ、粘土膜の強度低下を抑制することができる。そして、積層しても透明性をほとんど低下させず、透明性に優れた積層粘土膜を得ることができる。
このような本発明の粘土膜及びその製造方法によれば、膨潤した粘土膜の平面を別の粘土膜に貼り付けることによって、長い乾燥時間を要することなく、表面の凸凹が小さく(表面粗さが小さく)厚い粘土膜を作製することができる。このため、高強度の粘土膜を作製することができる。また、例えばパッキン等に粘土膜を使用する場合には厚さが必要と考えられるので、本発明の粘土膜はパッキン等に好適である。
また、本発明によれば、透明性が高くヘイズが小さく、またヘイズの経時変化が極めて小さい透明な厚い粘土膜を得ることができる。透明性、光学特性の観点から、ヘイズは5%以下が好ましく、より好ましくは2%以下である。高い透明性を得るためには、粘土は不純物の少ない合成粘土であることが好ましい。また、表面における光の散乱を抑制し高い光線透過率を得るためには、粘土膜の表裏両平面の凸凹の程度を示す算術平均粗さRaは、両平面ともに50nm以下であることが好ましい。
さらに、実用的な透明性,光学特性を維持するという観点から、24℃,1気圧,湿度45%の環境下におけるヘイズの経時変化は2%以下であることが好ましい。本発明の製造方法によれば、紫外可視分光器による400nm以上800nm以下の波長範囲における平行光の光線透過率が85%以上95%以下でフラットなスペクトル特性を有する粘土膜を得ることができる。
なお、表面が平滑でヘイズの低いガラス基板や光学フィルム材料等のヘイズは一般に0.5%前後であり、それらをベースや平滑部材として用いた場合に得られる粘土膜はその表面の凸凹がそれらベースや平滑部材によって規定されるため、得られる粘土膜のヘイズもまた0.5%程度を下限とすることが多い。
また、本発明の積層粘土膜の製造方法においては、粘土膜を含む複合膜で且つ粘土膜が最外層に位置するものを用いて積層粘土膜を製造してもよい。すなわち、粘土膜と他の構造体(例えば、PETやポリイミド等の樹脂からなるフィルム、もしくはそれらの樹脂フィルムに無機薄膜等からなるガスバリア層を付与した高ガスバリア性膜、光線の反射防止処理が施された光学フィルム、銀等の薄膜を付与するもしくは導電性ペーストを塗布する等の方法で導電性を付与した導電性フィルム等の機能性フィルム)とを複合化し、且つ最外層に粘土膜が位置するものを用いて、所望の積層粘土膜を作製してもよい。
粘土膜同士を貼り合わせる際には一方の粘土膜の少なくとも表層部分が膨潤していれば問題なく貼り合わせることができるが、両方の粘土膜の表面を膨潤させる方が界面の接着強度が向上するため好ましい。このとき、前述のような複合膜同士を貼り合わせてもよいし、一方は前述のような複合膜で他方は粘土膜のみという組み合わせでもよい。さらには、前述のような複合膜と粘土膜とを貼り合わせて作製した部材(積層粘土膜を有する部材)に、さらに別の粘土膜や複合膜を貼り合わせてもよい。
また、本発明の積層粘土膜の製造方法においては、粘土膜と異なる成分の接着剤等を使用しなくても接着が可能になるため、接着剤を使用することによるコストの増大が避けられるとともに、接着材を塗布する等の工程を省くことができる。さらに、接着剤自体の耐熱性の問題や、接着剤と粘土層との熱膨張係数の違いによる界面の剥離や反りの発生といった問題を回避することが可能になる。
さらに、本発明の積層粘土膜及び前述の積層粘土膜を有する部材は、自立膜として利用可能な機械的強度を有しているため、種々の用途に用いることができる。例えば、耐熱性,ガスバリア性,柔軟性,低線膨張性等を生かして、フレキシブルな電子ペーパーの基板又はガスバリア膜として用いることができる。また、耐熱性を生かして、電子ペーパー等のディスプレイのバックプレーンとなるアクティブマトリックス駆動回路を、粘土膜に高温下で直接形成することが可能である。そうすれば、ガラス基板上等に駆動回路を形成した後に樹脂フィルムに転写する等の従来方法を用いなくてもよいので、電子ペーパーの製造工程を少なくすることができる。
また、粘土膜は、一般に水素,酸素,及び窒素といった無機ガスに対する高いバリア性を有している。例えば、厚さ1mmの粘土膜の24℃における酸素のガス透過量は、24時間当たり0.1g/m2 以下であり、ガスバリア材として好適である。
さらに、透明な積層粘土膜の場合は、電子ペーパーの表示デバイスの視認側にも基板として用いることができる。また同様に、可視光線の透過が必要な太陽電池等のデバイスに対しても、基板、回路、及び部材を酸素等から保護するガスバリア膜として用いることができる。なお、本発明の積層粘土膜を適用可能な電子ペーパーの種類は特に限定されるものではないが、例えば電気泳動駆動式,電子粉流体方式の電子ペーパーがあげられる。
その他には、絶縁性である特徴を生かして、積層粘土膜を電気回路のフレキシブル基板として広範囲に用いることもできる。電気回路の基板として利用する場合にも、配線の断線等を防ぐ目的から基板表面の凸凹はより小さいほうがより望ましく、本発明の積層粘土膜は好適である。特に、基板上の導体部分を導電性インクの塗布又は印刷で形成したフレキシブルプリント基板においては、粘土膜の耐熱性を生かして導電性インクをより高温で焼成することが可能なため、塗布又は印刷で形成した導体部分の抵抗率をより低くすることが可能である。このようなフレキシブル基板及びフレキシブルプリント基板の好適な用途としては、RFIDタグの基板,銅張積層板,太陽電池等があげられる。
また、ペンタセンやチオフェン類に代表される有機半導体は、一般に酸素や水分によって劣化しやすく、またアモルファス無機半導体も、有機半導体ほどではないが酸素や水分の影響を受けやすい。そのため、それらを用いたデバイスでは、酸素や水蒸気の侵入を十分に阻止する必要がある。本発明の積層粘土膜は高いガスバリア性を有しているため、酸素等による劣化に敏感な有機半導体やアモルファス無機半導体を有する電子デバイス用の基板や、有機半導体やアモルファス無機半導体を保護するガスバリア膜としても好適である。また、粘土膜は高温でも柔軟性を保持するので、上記電子デバイスをフレキシブル化することも可能である。
なお、前述した電子ペーパー,フレキシブル基板,フレキシブルプリント基板,有機半導体又はアモルファス無機半導体を有する電子デバイス等に対して、本発明の積層粘土膜及び前述の積層粘土膜を有する部材を適用する際には、必要に応じて別の機能を有する膜(例えば主として無機材料からなる水蒸気バリア膜、樹脂材料等からなる補強材、傷等を防ぐ保護層、表面を平滑化する平滑化層)等を付与して用いてもよい。
以下に、本発明の積層粘土膜及びその製造方法についてさらに詳細に説明する。
本発明において用いる粘土の種類は特に限定されるものではなく、天然粘土でも合成粘土でも差し支えない。それら粘土としては、例えば、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、及びノントロナイトが好ましく、天然スメクタイト及び合成スメクタイトの少なくとも一方がさらに好ましい。なお、本発明における粘土は、酸素やケイ素を中心として構成される厚さが約0.22nmの四面体層や八面体層が1〜3層積層された、シート状の層状無機化合物であり、この粘土の粒子は、長軸方向の大きさが数十nm〜5μm程度でアスペクト比が大きい。
また、アンモニウム塩、フォスフォニウム塩、イミダゾリウム塩等を用いて親有機化処理を施し有機溶媒への分散を容易にした粘土(特に有機スメクタイト)を用いてもよい。アンモニウム塩としては、アルキル基、ベンジル基、ポリオキシエチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基等を有するアンモニウム塩や、ジメチルジステアリルアンモニウム塩、トリメチルステアリルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩があげられる。特に、フォスフォニウム塩、イミダゾリウム塩は耐熱性が高く、高温プロセスで用いる用途には好適である。
また、本発明において用いる添加剤の種類は特に限定されるものではないが、添加剤を溶解若しくは分散させる溶媒が水である場合には、親水性を有し、水への分散性又は溶解性が高いものが好ましい。例えば、イプシロンカプロラクタム、デキストリン、澱粉、セルロース系樹脂、セルロース繊維、ゼラチン、寒天、小麦粉、グルテン、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニル樹脂、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアマイド、ポリエチレンオキサイド、タンパク質、デオキシリボヌクレイン酸、リボヌクレイン酸、ポリアミノ酸、多価フェノール、安息香酸類化合物が好適である。あるいは、ラテックスやエマルジョンといった、水分散系の材料を用いてもよい。なお、それらは水への分散性又は溶解性が高いため、耐水性は一般に低い。そこで、塩や他の反応性モノマーやポリマー又はオリゴマー等を加えて、添加剤を水に不溶化させてもよい。
また、粘土として疎水性粘土である有機スメクタイト等を用い、水以外の溶媒を用いた場合又は水と他の親水性溶媒との混合溶媒を用いた場合には、親水性を有し、水への分散性又は溶解性が高い添加剤を用いる必要はない。そのような場合の添加剤としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、非晶性フッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
また、エポキシ樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、アニリン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることもできる。
その他では、光硬化性樹脂を用いることもでき、例えば、潜在性光カチオン重合開始剤を含むエポキシ樹脂等があげられる。なお、上記光硬化性樹脂を硬化させる場合には、光照射と同時に熱を加えてもよい。また、本発明において熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂と併用して硬化剤、硬化触媒等を用いてもよいが、それらは熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂の硬化に一般的に用いられるものであれば特に限定されない。硬化剤の具体例としては、多官能アミン、ポリアミド、酸無水物、フェノール樹脂があげられ、硬化触媒の具体例としては、イミダゾール等があげられる。これらの硬化剤、硬化触媒は単独又は2種以上混合して使用することができる。さらに、前述した樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、本発明において用いられる溶媒の種類は特に限定されるものではないが、水や有機溶媒を用いることができる。また、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、エタノール等の有機物や塩などを少量溶解させた水を用いることもできる。有機物、塩などを添加する目的は、粘土含有液における粘土の分散性を変化させる、粘土含有液の粘性を変化させる、粘土膜の乾燥のしやすさを変化させる、粘土膜の均一性を向上させる等である。
また、親有機化処理を施した疎水性粘土を用いる場合は、芳香族炭化水素(例えばトルエン、キシレン)、エーテル類(例えばエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン)、脂肪族炭化水素(例えばn−オクタン)、アルコール類(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール)、ハロゲン化炭化水素(例えばクロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン)や、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、フタル酸ジオクチル、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ等を用いることができる。
疎水性粘土が分散可能な有機溶媒の種類は、疎水性を発現させる粘土粒子表面の有機官能基の種類に大きく依存するため、適切なものを選択する必要がある。
なお、本発明における粘土膜が、配向した粘土の粒子が積み重なってなるものであることを確認する手段としては、透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察、X線回折スペクトルにおける底面反射ピークの存在等、又はそれらの複合的解析があげられる。特に、X線の回折スペクトルにおける底面反射ピークの位置情報は重要であり、ピークの位置から換算した配向した粘土の平均層間距離としては5nm以下が好ましく、より好ましくは4nm以下、さらに好ましく3.5nm以下、非常に好ましくは3nm以下、極めて好ましくは2nm以下であり、最も好ましい値としては1.5nm以下である。
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
〔実施例1〕
粘土として合成サポナイト(クニミネ工業株式会社製のスメクトンSA)、添加剤としてポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を使用した。
粘土5.1gと純水594mlを回転子とともにプラスチック製密封容器に入れ、25℃で2時間激しく振とうして均一な粘土分散液を得た。この粘土分散液にポリアクリル酸ナトリウム0.9gを加え、25℃で2時間激しく振とうした後に、さらにホモジナイザーで20分間撹拌して、均一な粘土含有液を得た。この粘土含有液を真空脱泡装置に入れ、脱気を行った。
真鍮製トレイ内に、剥離性付与剤としてシリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ50μmの平滑なPETフィルム(大成ラミネーター株式会社製)を入れ、該PETフィルムの表面に粘土含有液を塗布した。粘土含有液の塗布にはステンレス製地べらを用い、厚さ1mmのスペーサーをガイドとして利用することにより、均一な厚さの粘土含有液膜を形成した。このトレイを強制送風式オーブン内に入れ、60℃の温度条件下で約4時間加熱して乾燥させた。生成した粘土膜をPETフィルムから剥離し、均一な透明粘土膜を得た。
日本電色工業株式会社製の濁度計「NDH2000」を用いてこの粘土膜の全光線透過率を測定したところ91.8%で、ヘイズ(曇度)を測定したところ7.0%であった。ケーエルエー・テンコール社製の表面粗さ計「アルファステップIQ」で測定した粘土膜の表面ラフネスは、表裏両面のうち一方がRaで55nm、他方が72nmであった。
この粘土膜を常温,常圧,湿度45%の環境下に放置しておいたところ、1週間後にはヘイズが21.4%に、1ヵ月後には27.0%にまで増大した。また、1ヵ月放置後の粘土膜の表面ラフネスは、Raで122nmであった。
ヘイズの増大したこの粘土膜を2つに分割し、純水に浸して膜全体を膨潤させた。膨潤した2枚の粘土膜を引き上げた後、シリコーン樹脂を表面に塗布した前記PETフィルムの上に1枚の粘土膜を配し、さらにその上にもう1枚の粘土膜を同様に重ねて配した。そして、さらにその上に、平滑面を粘土膜側に向けて同じPETフィルムを重ねて配した。なお、2枚の粘土膜のうち一方が本発明の構成要件である一次乾燥粘土膜に相当し、他方が別の粘土膜に相当する。すなわち、本実施例は、別の粘土膜が一次乾燥粘土膜と同種の粘土膜である例である。
次に、表面が平滑なガラスのローラーをPETフィルム上で転がして粘土膜を伸ばし余分な水分を押し出した後、一方のPETフィルムを剥がし、常温にて一昼夜放置して乾燥させた。生成した積層粘土膜をPETフィルムから剥離すると、厚さ約10μmの均一な粘土膜が得られた。得られた積層粘土膜を幅5mm,長さ20mmの短冊状に切断し、引張り強度を測定したところ、1.18N(24MPa)であり、自立膜として使用可能な機械的強度を有していた。また、透明度が高く、フレキシビリティーに優れていた。
透明な積層粘土膜の柔軟性を確認するため、半径6mmの円筒状に湾曲させたが、クラックなどは発生せず、何の欠陥も生じなかった。また、積層粘土膜の積層界面からの剥離等も認められなかった。積層粘土膜の透明性を確認するため、株式会社島津製作所製の紫外可視分光光度計「UV−3101PC」で波長190nm以上800nm以下の波長範囲における透過率を測定したところ、263nmから800nmまでの範囲で85%以上の透過率を有し、着色は認められなかった。
さらに、前述と同様の方法にて測定した積層粘土膜の全光線透過率は91.6%であり、ヘイズ(曇度)は1.05%であった。前述と同様に測定された積層粘土膜の表裏両平面の表面ラフネスは、一方の面がRaで36nm、他方の面が43nmであった。
この透明な積層粘土膜を、温度24℃、湿度45%に保持された大気中で1週間放置した後、前述と同様にして全光線透過率及びヘイズを測定したところ、全光線透過率は91.6%であり、ヘイズ(曇度)は1.12%であった。
〔実施例2〕
実施例1と同様にして、透明な粘土膜を3層積層した厚さ約14μmの均一な積層粘土膜を得た。得られた透明な積層粘土膜を幅5mm,長さ20mmの短冊状に切断し、引張り強度を測定したところ、2.25N(32MPa)であり、自立膜として使用可能な機械的強度を有していた。また、透明度が高く、フレキシビリティーに優れていた。
透明な積層粘土膜の柔軟性を確認するため、半径6mmの円筒状に湾曲させたが、クラックなどは発生せず、何の欠陥も生じなかった。また、積層粘土膜の積層界面からの剥離等も認められなかった。積層粘土膜の透明性を確認するため、実施例1と同様にして波長190nm以上800nm以下の波長範囲における透過率を測定したところ、267nmから800nmまでの範囲で85%以上の透過率を有し、着色は認められなかった。さらに、前述と同様の方法にて測定した透明な積層粘土膜の全光線透過率は91.6%であり、ヘイズ(曇度)は1.05%であった。
また、前述と同様に測定された積層粘土膜の表裏両平面の表面ラフネスは、一方の面がRaで42nm、他方の面が40nmであった。
この積層粘土膜を、温度24℃、湿度45%に保持された大気中で1週間放置した後、前述と同様にして全光線透過率及びヘイズを測定したところ、全光線透過率は91.5%であり、ヘイズ(曇度)は1.04%であった。
〔比較例1〕
真鍮製トレイ内に、剥離性付与剤としてシリコーン樹脂を表面に塗布した厚さ50μmの平滑なPETフィルム(大成ラミネーター株式会社製)を入れ、実施例1と同様にして作製した粘土含有液を、PETフィルムの表面に塗布した。粘土含有液の塗布にはステンレス製地べらを用い、厚さ3mmのスペーサーをガイドとして利用することにより、均一な厚さの粘土含有液膜を形成した。このトレイを強制送風式オーブン内に入れ、60℃の温度条件下で乾燥させた。
しかしながら、粘土含有液の量が多いため、乾燥には約13時間という長時間を要した。生成した粘土膜をPETフィルムから剥離し、均一な透明粘土膜を得た後、この粘土膜を積層させることなく実施例1と同様のプロセスを実施した。これにより、透明な粘土膜1層のみからなる厚さ約15μmの均一な粘土膜を得た。この粘土膜の透明性は、実施例2と同等であった。
〔実施例3〕
粘土として天然モンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製のクニピアF)、添加剤としてイプシロンカプロラクタム(和光純薬工業株式会社製)を使用した。この粘土の粒子のアスペクト比の平均値は約320である。
粘土27.4gと純水658mlとを回転子とともにプラスチック製密封容器に入れ、25℃で2時間激しく振とうして均一な粘土分散液を得た。この粘土分散液にイプシロンカプロラクタム1.44gを加え、25℃で1時間激しく振とうし、ペースト状の粘土含有液を得た。この粘土含有液を真空脱泡装置に入れ、脱気を40分間行った。
次に、この粘土含有液を、真鍮製トレイの表面のうち平坦部分に塗布した。粘土含有液の塗布にはステンレス製地べらを用い、厚さ2mmのスペーサーをガイドとして利用することにより、均一な厚さの粘土含有液膜を形成した。このトレイを強制送風式オーブン内に入れ、60℃の温度条件下で約4.5時間加熱して乾燥させた。生成した粘土膜をトレイから剥離し、厚さ約45μmの均一な粘土膜を得た。
得られた粘土膜を幅5mm,長さ20mmの短冊状に切断し、引張り強度を測定したところ38MPaであり、自立膜として使用可能な機械的強度を有していた。また、フレキシビリティーに優れていた。
ケーエルエー・テンコール社製の表面粗さ計「アルファステップIQ」で測定したこの粘土膜の表裏両平面の表面ラフネスは、ベースである真鍮製トレイの表面に接していた平面がRaで525nm、大気に接していた平面(大気側の平面)がRaで1470nmであった。
この粘土膜を2つに分割し、それぞれの大気に接していた平面に純水を散布し、約2分間放置した。これにより平面の表層部分のみを膨潤させたら、それぞれ大気に接していた平面を内側にして重ね合わせた。次に、表面が平滑なPETフィルム2枚で上記重ね合わせた粘土膜を挟み、ガラスのローラーを強く押し付けながら転がした。そして、2枚のPETフィルムを剥がし、60℃の温度条件下で約1時間加熱して乾燥させ、2枚の粘土膜が積層された積層粘土膜を得た。この積層粘土膜の膜厚は、約84μmであった。
前述と同様の方法で、この積層粘土膜の表面ラフネスを測定した。表裏両平面ともに5箇所の表面ラフネスを測定し、それらの平均値を求めたところ、一方の平面がRaで444nm、他方の平面がRaで483nmであった。
〔比較例2〕
実施例3と同様にして作製した粘土含有液を、真鍮製トレイの表面のうち平坦部分に塗布した。粘土含有液の塗布にはステンレス製地べらを用い、厚さ4mmのスペーサーをガイドとして利用することにより、均一な厚さの粘土含有液膜を形成した。このトレイを強制送風式オーブン内に入れ、60℃の温度条件下で約10時間加熱して乾燥させた。生成した粘土膜をトレイから剥離し、厚さ約92μmの均一な粘土膜を得た。
得られた粘土膜を幅5mm,長さ20mmの短冊状に切断し、引張り強度を測定したところ40MPaであり、自立膜として使用可能な機械的強度を有していた。また、フレキシビリティーに優れていた。
また、ケーエルエー・テンコール社製の表面粗さ計「アルファステップIQ」で測定したこの粘土膜の表裏両平面の表面ラフネスは、ベースである真鍮製トレイの表面に接していた面がRaで252nm、大気に接していた面がRaで1396nmであった。

Claims (6)

  1. 粘土のみ又は粘土と添加剤とを含有する粘土含有液を乾燥させて得た一次乾燥粘土膜の表裏両平面のうち少なくとも一方の平面に、前記粘土を膨潤させる液体又は前記添加剤を溶解若しくは分散させる液体を配して、少なくとも表層部分を膨潤させた後、膨潤した平面を内側にしてこの一次乾燥粘土膜と別の粘土膜とを積層し再乾燥させることを特徴とする積層粘土膜の製造方法。
  2. 前記別の粘土膜の表裏両平面のうち少なくとも一方の平面を膨潤させ、前記一次乾燥粘土膜及び前記別の粘土膜ともに膨潤した平面を内側にして積層することを特徴とする請求項1に記載の積層粘土膜の製造方法。
  3. 前記一次乾燥粘土膜及び前記別の粘土膜ともに、表裏両平面のうち表面粗さが粗い方の平面を膨潤させ、その平面を内側にして積層することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層粘土膜の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層粘土膜の製造方法により得られた積層粘土膜で、少なくとも一部分が構成されたことを特徴とするフレキシブルプリント基板。
  5. 非発光有機半導体又はアモルファス無機半導体を備える電子デバイスが実装され、ガスバリア性を有する基板であって、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層粘土膜の製造方法により得られた積層粘土膜で、少なくとも一部分が構成されたことを特徴とする基板。
  6. 非発光有機半導体又はアモルファス無機半導体を備える電子デバイスをガスから保護するガスバリア膜であって、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層粘土膜の製造方法により得られた積層粘土膜で、少なくとも一部分が構成されたことを特徴とするガスバリア膜。
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