従来より、顧客から預かった紙幣を金種別に分類して内部に収容することができる紙幣処理機(紙葉類処理機)が知られている。このような紙幣処理機においては、紙幣の入金動作を行う際に、まず紙幣がオペレータによりホッパに受け入れられ、このホッパに受け入れられた紙幣は紙幣取込装置により1枚ずつ紙幣処理機の内部に取り込まれるようになっている。
上述のような紙幣処理機として、例えば特開平9−190562号公報に開示されるものが知られている。特開平9−190562号に開示される紙幣処理機は、上部ユニットおよび下部ユニットを備えている。これらの上部ユニットおよび下部ユニットは、それぞれ略直方体形状の筐体から構成されている。上部ユニットは、ホッパに収容された紙幣を1枚ずつ取り込むための紙幣取込装置と、紙幣取込装置により取り込まれた紙幣を1枚ずつ搬送する上部搬送機構と、上部搬送機構の途中部分に設けられこの上部搬送機構により搬送される紙幣の識別を行う識別部とをそれぞれ内部に有している。また、下部ユニットは、上部ユニットの上部搬送機構から紙幣が1枚ずつ受け渡されるよう設けられこの受け渡された紙幣の更なる搬送を行う下部搬送機構と、識別部により識別された結果に基づいて下部搬送機構により搬送される紙幣が仕分けされて集積される複数の集積部とをそれぞれ内部に有している。
上述のような紙幣処理機においては、紙幣取込装置により取り込まれるべき紙幣にゴミや埃等の異物が付着している場合には、紙幣処理機によって紙幣に対する一連の処理が行われる際にこの異物が紙幣処理機内の搬送機構や識別部に付着してしまうおそれがある。とりわけ、紙幣の搬送路が狭くなるような紙幣取込装置の出口側や識別部においては、紙幣から異物が分離しやすく、これらの紙幣取込装置の出口側や識別部に異物が付着しやすい。異物が付着してしまうと、識別部において紙幣の識別不良が生じたり、搬送機構が詰まることにより(すなわち、ジャムが発生することにより)紙幣の搬送不良が生じたりするおそれがある。
ここで、上述の特開平9−190562号に開示される紙幣処理機においては、上部ユニットに設けられた識別部は、紙幣の厚さを検知するための一対のローラ(具体的には、基準ローラおよび検知ローラ)から構成されている。そして、これらのローラに付着した異物は、いずれか一方のローラの外周面に形成された螺旋状の溝により削り落とされるようになっている。
また、特開平10−283520号公報に知られるような紙幣鑑別装置においては、紙幣の厚さを精度良く検知するために、紙幣の厚さを検出するための一対のローラのいずれか一方にスクレーパを当接させており、このスクレーパによりローラの外周面に付着した異物を剥離させるようになっている。
しかしながら、上述のような従来の紙幣処理機においては、上部ユニットは底板を有する筐体から構成されているので、識別部のローラから削り落とされた異物等は上部ユニットの底板上に堆積してしまうという問題がある。すなわち、前述のように上部ユニットにおいて紙幣の搬送路が狭くなるような紙幣取込装置の出口側や識別部には異物が残りやすいが、この異物をこれらの部材から剥離させた場合であっても落下した異物は上部ユニットの底板上に堆積してしまい、この堆積された異物が様々なトラブルを引き起こすことがある。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、ゴミや埃等の異物が付着した紙葉類が内部に取り込まれることによりこの異物が内部で堆積されることを防止し、このことにより識別部による紙葉類の識別不良、あるいは搬送機構におけるジャムの発生やベルト外れ等のトラブルが生じることを抑制することができる紙葉類処理機を提供することを目的とする。
本発明の紙葉類処理機は、外部から紙葉類を1枚ずつ取り込むための紙葉類取込装置、少なくとも一部分が略水平方向に延びるよう設けられ前記紙葉類取込装置により取り込まれた紙葉類を1枚ずつ搬送する上部搬送機構、および当該上部搬送機構の途中部分に設けられこの上部搬送機構により搬送される紙葉類の識別を行う識別部を有する上部ユニットであって、底部の少なくとも一部が開口状態となっているような上部ユニットと、前記上部ユニットの下方に設置された下部ユニットであって、前記上部搬送機構から紙葉類が1枚ずつ受け渡されるよう設けられこの受け渡された紙葉類の更なる搬送を行う下部搬送機構、および前記識別部により識別された結果に基づいて前記下部搬送機構により搬送された紙葉類が仕分けされて集積される複数の集積部を有するような下部ユニットと、前記上部ユニットと前記下部ユニットとの間に配設された仕切部材と、を備えたことを特徴とする。
このような紙葉類処理機によれば、ゴミや埃等の異物が付着した紙葉類が内部に取り込まれたときに、上部ユニットにおいて例えば紙葉類の搬送路が狭くなるような紙葉類取込装置の出口側や識別部で異物が紙葉類から剥離して落下した場合であっても、この異物は上部ユニットの底部に形成された開口を通過して落下することにより仕切部材の上面に堆積されることとなる。このため、オペレータは紙葉類処理機のメンテナンスの際に単に仕切部材の上面に堆積された異物を除去するだけでよく、このような異物の除去作業をシンプルなものとすることができる。また、上部ユニットの内部に取り込まれた紙葉類から剥離した異物が当該上部ユニット内に残存することを防止することができるので、この上部ユニット内に堆積された異物により識別部による紙葉類の識別不良、あるいは搬送機構におけるジャムの発生やベルト外れ等のトラブルが生じることを抑制することができる。
本発明の紙葉類処理機においては、前記仕切部材は、略水平方向に延びる板状の部材からなることが好ましい。このことにより、上部ユニットの内部に取り込まれた紙葉類から剥離し、上部ユニットの底部に形成された開口を介して落下した異物は仕切部材の略水平方向に延びる上面で受けられることとなるので、オペレータは紙葉類処理機のメンテナンスの際にこの仕切部材の略水平な上面に堆積した異物の除去を容易に行うことができるようになる。また、前記仕切部材は、紙葉類処理機を上方から見て前記上部搬送機構と前記下部搬送機構とが重なる部分を少なくとも含む大きさとなっていることが更に好ましい。上部ユニット内において紙葉類が上部搬送機構により搬送される際にこの紙葉類から異物が剥離されて落下されるので、仕切部材は少なくとも上部搬送機構の真下の位置にこの上部搬送機構をカバーするような大きさで設けられることが望ましく、また、上部ユニットから落下した異物が下部ユニットの下部搬送機構に到達した際にはこの下部搬送機構において搬送不良が発生しやすくなるので、仕切部材は少なくとも下部搬送機構の真上の位置にこの下部搬送機構をカバーするような大きさで設けられることが望ましいからである。
本発明の紙葉類処理機においては、前記上部ユニットは上方に開くことができるようになっており、当該上部ユニットが上方に開かれたときに外部から前記仕切部材の上面にアクセス可能となっていることが好ましい。このことにより、紙葉類処理機のメンテナンスの際にオペレータは単に上部ユニットを上方に開くだけで仕切部材の上面に堆積した異物の除去を容易に行うことができるようになる。また、前記上部ユニットが上方に開かれた状態で前記仕切部材は上方に開くことができるようになっており、前記上部ユニットおよび前記仕切部材が上部に開かれたときに前記下部ユニットの内部にアクセス可能となっていることが更に好ましい。このことにより、紙葉類処理機のメンテナンスの際にオペレータは上部ユニットが上方に開かれた状態で仕切部材上の異物の除去後にこの仕切部材を上方に開くことにより、下部ユニット内の下部搬送機構や集積部等のメンテナンスを行うことができるようになる。
本発明の紙葉類処理機においては、前記下部ユニットには、当該下部ユニット内に堆積された異物を吸引除去するための貫通穴が設けられていることが好ましい。このことにより、紙葉類処理機のメンテナンスの際にオペレータは当該貫通穴に掃除機等の吸引装置を接続させることにより、下部ユニット内に堆積された異物を容易に吸引除去することができるようになる。
本発明の紙葉類処理機においては、前記識別部の底部には、この識別部内で発生した異物を前記仕切部材に落下させるための開口が設けられていることが好ましい。上部ユニット内においては紙葉類の搬送路が狭くなるような識別部において紙葉類から異物が剥離しやすくなっているが、識別部の底部に開口が設けられているので、紙葉類から剥離した異物を仕切部材上に容易に落下させることができるようになり、識別部内で異物が堆積して当該識別部による紙葉類の識別不良が発生することを抑制することができるようになる。
本発明の紙葉類処理機においては、前記仕切部材は水平方向に延びる軸により前記下部ユニットの上部に枢支され、前記上部ユニットが上方に開かれた状態で前記仕切部材は当該軸を中心として上方に回転することができるようになっており、前記軸に沿って異物回収部が設置されており、前記仕切部材が上方に開かれたときにこの仕切部材上の異物が傾斜状態にある仕切部材に沿って落下して当該異物回収部により回収されるようになっていることが好ましい。このことにより、上部ユニットが上方に開かれた状態で仕切部材を上方に開いたときに、この仕切部材は水平方向に延びる軸から斜め上方に傾斜するような状態となるので、仕切部材上に堆積された異物を当該仕切部材に沿って斜め下方に落下させることにより異物回収部により確実に回収できるようになる。また、前記異物回収部には、当該異物回収部内に回収された異物を吸引除去するための貫通穴が設けられていることが更に好ましい。このことにより、オペレータは当該貫通穴に掃除機等の吸引装置を接続させることにより、異物回収部内に堆積された異物を容易に吸引除去することができるようになる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。実施の形態において、紙幣を処理するための紙幣処理機として本発明の紙葉類処理機を用いた場合について説明を行っている。しかしながら、本発明の紙葉類処理機の処理対象となる紙葉類について紙幣以外のものとすることもできる。なお、以下の実施例は、本発明の実施の一形態に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
まず、図1および図2により、本発明の紙幣処理機の全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る紙幣処理機100の外観を示す斜視図であり、図2は、図1の紙幣処理機100の内部構成の概略を示す正面図である。図1および図2に示すように、紙幣処理機100は、上部ユニット10と、この上部ユニット10の下方に設置された下部ユニット20とを備えている。上部ユニット10および下部ユニット20は、それぞれ略直方体形状の筐体から構成されており、互いに分離可能となっている。図1および図2に示すように、上部ユニット10は、ホッパ101、紙幣取込装置120、2つのリジェクト部102、操作部103、第1の全体表示部104、第2の全体表示部105、上部搬送機構201aを有している。また、下部ユニット20は、4つの集積部106、4つの個別表示部107および下部搬送機構201bを有している。
まず、上部ユニット10の各構成要素について説明する。ホッパ101は、オペレータによって複数の紙幣が積層状態で載置されるようになっており、紙幣取込装置120によってこのホッパ101に収容された紙幣が1枚ずつ紙幣処理機100の内部に取り込まれるようになっている。紙幣取込装置120は、紙幣の繰り入れを行うフィードローラ121、フィードローラ121に対向するよう設けられ当該フィードローラ121との間にゲート部を形成するゲートローラ(逆転ローラ)122、およびホッパ101に収容された紙幣をフィードローラ121に蹴り出すキッカローラ123から構成されている。紙幣取込装置120により上部ユニット10内に取り込まれた紙幣は後述する上部搬送機構201aにより搬送されるようになっている。各リジェクト部102は、紙幣取込装置120により上部搬送機構201aに取り込まれた紙幣がリジェクト紙幣(例えば偽券等)である場合に当該紙幣を排出するようになっている。ここで、2つのリジェクト部102のうち下方にあるリジェクト部102が例えば偽券等を排出するために用いられ、上方にあるリジェクト部102は、後述する識別部220により識別が行われたが仕分け対象から除外されたような紙幣を収容するために用いられるようになっていてもよい。
操作部103は、オペレータからの指示を受け付けるための入力キーを有している。第1の全体表示部104及び第2の全体表示部105は、所定のデータ(例えば、グラフィックデータ)を表示するようになっている。
次に、下部ユニット20の各構成要素について説明する。図2に示すように、下部ユニット20内には下部搬送機構201bが設けられており、この下部搬送機構201bは上部搬送機構201aから紙幣が1枚ずつ受け渡されるようになっている。下部搬送機構201bはこの受け渡された紙幣を下部ユニット20内で更に搬送する。各集積部106は、紙幣取込装置120によってホッパ101から取り込まれた紙幣を当該紙幣の属性(例えば金種)毎に集積するようになっている。各個別表示部107は、各集積部106に対応して設けられており、対応する集積部106に集積された紙幣の数を表示するようになっている。
なお、図1では、上部ユニット10においてリジェクト部102が2つであるとともに下部ユニット20において集積部106及び個別表示部107がそれぞれ4つである場合について図示したが、これらの構成要素の数はこれに限定されることはなく変更することができる。
次に、紙幣処理機100の搬送系とセンサ系の詳細について説明する。前述のように、図2は、図1に示す紙幣処理機100の内部構成の概略を示す概略構成図であり、主に搬送系とセンサ系を示している。
図2に示すように、紙幣処理機100の上部ユニット10の内部には、ホッパ101から紙幣取込装置120により取り込まれた紙幣を搬送する上部搬送機構201aが設けられている。この上部搬送機構201aは、その一部分が略水平方向に延びるようになっている。また、下部ユニット20の内部には、上部搬送機構201aから紙幣が1枚ずつ受け渡され、この受け渡された紙幣を各集積部106に搬送する下部搬送機構201bが設けられている。上部搬送機構201aおよび下部搬送機構201bは通常の場合、それぞれ、ベルト搬送機構が組み合わされたものからなる。上部搬送機構201aおよび下部搬送機構201bに沿って種々のセンサ202〜214が設けられている。ホッパ101の出口側に設けられたセンサ202および後述する識別部220の入口側に設けられたセンサ203は、それぞれ、紙幣が確実に取り込まれたことを検知するようになっている。上部搬送機構201aに設けられた識別部220は様々な検知手段から構成されており、ホッパ101から取り込まれた紙幣の正損、真偽、金種、方向、表裏等を検知するようになっている。また、図2に示すように、上部搬送機構201aには、例えば透過センサからなるセンサ204や紙幣の厚さを測定するための一対のローラ240,241が設置されている。
上部搬送機構201aにおける識別部220の下流側には2つの分岐部材231が直列に設けられている。各分岐部材231は、識別部220において識別を行うことができなかった紙幣や識別が行われたが仕分け対象から除外された紙幣を、対応するリジェクト部102に送るようになっている。センサ205,206は、分岐部材231からリジェクト部102に紙幣が送られたことを検知するものである。仕分け対象とされた紙幣はセンサ207により搬送状態が検知され、更に上部搬送機構201aにより搬送される。その後、上部ユニット10の上部搬送機構201aから下部ユニット20の下部搬送機構201bに紙幣が受け渡される。
下部搬送機構201bには3つの分岐部材232〜234が直列に設けられており、各分岐部材232〜234は紙幣の例えば金種等に応じて紙幣を4つの集積部106のうち対応する集積部106に送るようになっている。このようにして、識別部220により金種等の識別が行われた紙幣は、4つの集積部106のうち適合する集積部106に収納される。センサ208〜214は、下部搬送機構201bから各集積部106への紙幣の仕分けが的確に行われたか否かを検知するようになっている。各集積部106における紙幣の収納状況は残留検知センサ221〜224により検知されるようになっている。
本実施の形態の紙幣処理機100においては、上部ユニット10と下部ユニット20との間に仕切部材30を配設したことを特徴としている。この仕切部材30の具体的構成や上部ユニット10、下部ユニット20との関係について、図3乃至図5を用いて以下に詳述する。ここで、図3乃至図5は、図1の紙幣処理機100の概略側面図であり、図3は、上部ユニット10および仕切部材30が上方に開かれていないときの状態を示す図であり、図4は、上部ユニット10が上方に開かれたときの状態を示す図であり、図5は、上部ユニット10および仕切部材30の両方が上方に開かれたときの状態を示す図である。
まず、上部ユニット10について説明すると、この上部ユニット10の底部の全てまたは少なくとも一部が開口状態となっている。上部ユニット10の底部の全てが開口状態となっていることがより望ましいが、少なくとも紙幣処理機100を上方から見て上部搬送機構201aの真下の領域が開口状態となっていればよい。このように上部ユニット10の底部の全部または少なくとも一部を開口状態とする理由は、上部ユニット10内において上部搬送機構201aにより搬送される紙幣から異物が剥離したときに、この異物が上部ユニット10の底部の開口を通過して仕切部材30上に落下するようにするためである。
図4および図5に示すように、上部ユニット10は上方に開くことができるようになっており、当該上部ユニット10が上方に開かれたときに外部から仕切部材30の上方にオペレータがアクセス可能となっている。このことにより、紙幣処理機100のメンテナンスの際にオペレータは単に上部ユニット10を上方に開くだけで仕切部材30の上面に堆積した異物の除去を容易に行うことができるようになる。
また、上部ユニット10に設けられた識別部220の底部には、この識別部220内で発生した異物を仕切部材30に落下させるための開口(図示せず)が設けられている。上部ユニット10内においては紙幣の搬送路が狭くなるような識別部220において紙幣から異物が剥離しやすくなっているが、識別部220の底部に開口が設けられているので、紙幣から剥離した異物を仕切部材30上に容易に落下させることができるようになり、識別部220内で異物が堆積して当該識別部220による紙幣の識別不良が発生することを抑制することができるようになる。
次に、下部ユニット20について説明すると、下部ユニット20の上部も開口状態となっている。これは、紙幣処理機100のメンテナンスを行う際に、下部ユニット20内の下部搬送機構201bや集積部106にアクセス可能とするためである。さらに、図3等に示すように、下部ユニット20の側面における下方領域には開閉自在の貫通穴21が形成されている。紙幣処理機100のメンテナンスの際にこの貫通穴21を開状態とすることにより、オペレータは貫通穴41に掃除機等の吸引装置を接続させることによって下部ユニット20内に堆積された異物を吸引除去することができるようになる。
そして、図2,図3等に示すように、上部ユニット10と下部ユニット20との間には、略水平状態に延びる板状の部材からなる仕切部材30が配設されている。この仕切部材30の上面は略長方形形状となっており、この長方形の一辺に対応するような仕切部材30の一の端縁は水平方向に延びる軸31によって下部ユニット20の上部に枢支されている。このことにより、図4および図5に示すように上部ユニット10が上方に開かれた状態で仕切部材30は軸31を中心として上方に回転することができ、仕切部材30が図4に示すような略水平状態から上方に回転することによりこの仕切部材30が上方に開くこととなる。そして、図5に示すように仕切部材30が上方に開いた状態で、紙幣処理機100の付属品であるストッパ32を仕切部材30と下部ユニット20との間に挟むことにより、仕切部材30を開いた状態のまま保持することができるようになっている。
仕切部材30は、上部ユニット10の底部全てを覆うような大きさ、すなわち上部ユニット10の底面と略同一の大きさとなっていることが最も望ましいが、少なくとも上部ユニット10の底部に形成された開口を覆うような大きさとなっていればよい。また、この仕切部材30は、紙幣処理機100を上方から見て上部搬送機構201aと下部搬送機構201bとが重なる部分を少なくとも含む大きさとなっていることがより好ましい。なぜならば、上部ユニット10内において紙幣が上部搬送機構201aにより搬送される際にこの紙幣から異物が剥離されて落下されるので、仕切部材30は少なくとも上部搬送機構201aの真下の位置にこの上部搬送機構201aをカバーするような大きさで設けられることが望ましく、また、上部ユニット10から落下した異物が下部ユニット20の下部搬送機構201bに到達した際にはこの下部搬送機構201bにおいて搬送不良が発生しやすくなるので、仕切部材30は少なくとも下部搬送機構201bの真上の位置にこの下部搬送機構201bをカバーするような大きさで設けられることが望ましいからである。
また、図5に示すように、上部ユニット10が上方に開かれた状態で仕切部材30は上方に開くことができるようになっている。そして、このような仕切部材30が上方に開かれたときには、下部ユニット20内にある下部搬送機構201bや集積部106等にアクセス可能となっている。このため、紙幣処理機100のメンテナンスの際にオペレータは上部ユニット10が上方に開かれた状態で仕切部材30上の異物の除去後にこの仕切部材30を上方に開くことにより、下部ユニット20内の下部搬送機構201bや集積部106等のメンテナンスを容易に行うことができるようになる。
さらに、下部ユニット20内において、仕切部材30を枢支する軸31の真下には、当該軸31に沿って異物回収箱40が設置されている。ここで、仕切部材30が図5に示すように上方に開かれたときに、この仕切部材30上に堆積した異物が傾斜状態にある仕切部材30に沿って落下して異物回収箱40により確実に回収されるようになっている。また、異物回収部40には、この異物回収部40内に回収された異物を吸引除去するための開閉自在の貫通穴41が設けられていることが好ましい。このことにより、オペレータは貫通穴41を開状態としてこの貫通穴41に掃除機等の吸引装置を接続させることにより、異物回収部40内に堆積された異物を容易に吸引除去することができるようになる。
以上のように本実施の形態の紙幣処理機100においては、上部ユニット10の底部の少なくとも一部が開口状態となっており、上部ユニット10と下部ユニット20との間には仕切部材30が配設されている。このことにより、ゴミや埃等の異物が付着した紙幣が上部ユニット10の内部に取り込まれたときに、この上部ユニット10において例えば紙幣の搬送路が狭くなるような紙幣取込装置120の出口側や識別部220で異物が紙幣から剥離して落下した場合であっても、この異物は上部ユニット10の底部に形成された開口を通過して落下することにより仕切部材30の上面に堆積されることとなる。このため、オペレータは紙幣処理機100のメンテナンスの際に単に仕切部材30の上面に堆積された異物を除去するだけでよく、このような異物の除去作業をシンプルなものとすることができる。また、上部ユニット10の内部に取り込まれた紙幣から剥離した異物が当該上部ユニット10内に残存することを防止することができるので、この上部ユニット10内に堆積された異物により識別部220による紙幣の識別不良、あるいは上部搬送機構201aにおけるジャムの発生やベルト外れ等のトラブルが生じることを抑制することができる。
また、仕切部材30は、略水平方向に延びる板状の部材から構成されているので、上部ユニット10の内部に取り込まれた紙幣から剥離し、上部ユニット10の底部に形成された開口を通過して落下した異物は仕切部材30の略水平方向に延びる上面で受けられることとなり、オペレータは紙幣処理機100のメンテナンスの際にこの仕切部材30の略水平な上面に堆積した異物の除去を容易に行うことができるようになる。また、上部ユニット10は上方に開くことができるようになっており、当該上部ユニット10が上方に開かれたときに外部から仕切部材30の上面にアクセス可能となっているので、紙幣処理機100のメンテナンスの際にオペレータは単に上部ユニット10を上方に開くだけで仕切部材30の上面に堆積した異物の除去を容易に行うことができるようになる。また、上部ユニット10が上方に開かれた状態で仕切部材30は上方に開くことができるようになっており、上部ユニット10および仕切部材30が上部に開かれたときに下部ユニット20の内部にアクセス可能となっているので、紙幣処理機100のメンテナンスの際にオペレータは上部ユニット10が上方に開かれた状態で仕切部材30上の異物の除去後にこの仕切部材30を上方に開くことにより、下部ユニット20内の下部搬送機構201bや集積部106等のメンテナンスを行うことができるようになる。