JP4895470B2 - 化粧板用樹脂組成物及びこれを用いてなる化粧板 - Google Patents

化粧板用樹脂組成物及びこれを用いてなる化粧板 Download PDF

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Description

本発明は、ホルムアルデヒド捕捉機能を有する化粧板用樹脂組成物およびこれを用いてなる化粧板に関するものである。
従来より、不飽和ポリエステル樹脂を代表とするラジカル重合性樹脂は、優れた成形性、外観、機械的、化学的特性を有することから、フィルム成形及びフローコーター成形による化粧板に適した樹脂として用いられている(例えば特許文献1参照)。
しかし、かかるラジカル重合硬化性樹脂をラジカル硬化剤により重合し硬化させる際にホルムアルデヒドが発生することが知られている(例えば非特許文献1参照)。
ホルムアルデヒドは、シックハウス等環境問題の原因物質とされ、その放散量が平成15年7月より建築基準法により規制された。
この規制に対して、1)ホルムアルデヒドの放散量がある値より減少するまで硬化後の放置時間を長くする方法、2)高温での後硬化を行いホルムアルデヒドを強制的に揮散させ、化粧板中に残存するホルムアルデヒドを放出させる方法、3)化粧板の裏面にホルムアルデヒド捕捉剤を塗布しホルムアルデヒドの放散を抑える方法が有用と考えられるが、実質有効な方法は、見いだされていないのが実状であった。
特開2001−219469号公報(段落「0002」) Stanford Research Institute Volume1 Number 7 July,1968; Frank R. Mayo
本発明の目的は、ラジカル重合し硬化する時に発生するホルムアルデヒドの捕捉機能を有し、硬化成形物からホルムアルデヒドの放散を抑えた化粧板用樹脂組成物およびそれを用いた化粧板を提供することである。
本発明者らは、これらの課題について鋭意研究の結果、硬化を阻害することなく、有効なホルムアルデヒド捕捉機能を有する化合物を見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、本発明は、不飽和ポリエステル樹脂(A)と、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体(B)と、エチレン尿素(C)とを含有してなる化粧板用樹脂組成物を提供するものである。
本発明の化粧板用樹脂組成物は、特定のホルムアルデヒド捕捉剤を含むため、硬化時に発生するホルムアルデヒドを効率よく捕捉し、ラジカル重合・硬化を伴う化粧板のトップコートとして有用である。
次に本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する1分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するラジカル重合性樹脂(A)[以下ラジカル硬化性樹脂(A)という]としては、例えば、不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、分子末端に重合性不飽和結合基を含有するマクロモノマー等が挙げられる。これらの樹脂の数平均分子量は300より大きいものであり、樹脂硬化物の物性の点で、500〜5000のものが好ましい。これらの樹脂は単独で使用しても良いし、必要に応じ2種以上併用しても良い。
これらラジカル硬化性樹脂に特に制限されないが、硬化性、化粧板性能より不飽和ポリエステルが好ましい。
かかる不飽和ポリエステルとは、α,β−不飽和二塩基酸及び飽和二塩基酸を含む二塩基酸類と多価アルコ−ル類とから得られるものであるが、必要により空乾性付与型不飽和ポリエステルを用いることができる。
不飽和ポリエステルを調製するにあたって使用されるα,β−不飽和二塩基酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸等を挙げることができる。また、飽和二塩基酸としては、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン2酸,2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、またこれらのジアルキルエステル等を挙げることができる。これらは、単独でも2種類以上組み合わせて使用しても良い。
多価アルコ−ル類としては、例えばエチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、2−メチル−1,3−プロパンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、水素化ビスフェノ−ルA、1,4−ブタンジオ−ル、ビスフェノ−ルAとプロピレンオキシド又はエチレンオキシドの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−シクロヘキサングリコ−ル、1,3−シクロヘキサングリコ−ル、1,4−シクロヘキサングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、パラキシレングリコ−ル、ビシクロヘキシル−4,4'−ジオ−ル、2,6−デカリングリコ−ル、2,7−デカリングリコ−ル等を挙げることができる。
空乾性付与型の不飽和ポリエステルとしては、(1)二塩基酸成分として環状脂肪族不飽和多塩基酸及びその誘導体を含有する化合物を用いたもの、(2)多価アルコール成分としてアリルエーテル基を有するヒドロキ化合物を用いたもの、(3)ジシクロペンタジエン系化合物を用いたもの、(4)乾性油としてアマニ油及び桐油を用いたもの等が挙げられる。これらのうちでも、(1)二塩基酸成分として環状脂肪族不飽和多塩基酸及びその誘導体を用いたものが、塗膜の乾燥性の面で特に好ましい。
前記環状脂肪族不飽和多塩基酸及びその誘導体としては、例えばテトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、α−テルピネン・無水マレイン酸付加物、トランス−ピペリレン・無水マレイン酸付加物等が挙げられる。これらのうちでも、空乾性付与の点でメチルテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。
また前記アリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物としては、公知慣用のものが使用できるが、そのうちでも代表的なものとしては、例えばエチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、1,3−ブチレングリコールモノアリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエーテル、オクチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等の多価アルコール類のアリルエーテル化合物が挙げられる。
本発明に使用する不飽和ポリエステルには、性能を損なわない範囲で、一塩基酸類を使用することができる。一塩基酸類としては、例えば安息香酸、ソルビン酸、モノメチルマレート等が挙げられる。さらに前記二塩基酸及び一塩基酸に、アセトアセチル酸又は該化合物の酸クロライドを併用することができる。
また本発明に使用する不飽和ポリエステルには、性能を損なわない範囲で、モノアルコール類を使用することができる。モノアルコール類としては、例えば2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキシルアルコール、ターシャリーブチルシクロヘキシルアルコール等が挙げられる。
さらに本発明に使用する不飽和ポリエステルには、性能を損なわない範囲で、ジシクロペンタジエン系化合物により変性したものも使用することができる。ジシクロペンタジエン系化合物による変性方法については、種々の公知の方法が可能であり、例えばジシクロペンタジエンとマレイン酸付加生成物(シデカノールモノマレート)を得、これを一塩基酸として用い、ジシクロペンタジエン骨格を導入する方法が挙げられる。
本発明で用いられるエポキシ(メタ)アクリレートは、通常1分子中に(メタ)アクリロイル基を有するものであり、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とをエステル化触媒の存在下で反応させて得られるものである。
エポキシ樹脂は、例えばビスフェノール・タイプのエポキシ樹脂、ノボラックタイプのエポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂の単独、または両者を混合したものなどである。かかるエポキシ樹脂の平均エポキシ当量が、150〜450なる範囲内のものが好ましい。
前記ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂としては、例えばエピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの反応により得られる実質的にエポキシ基を有するグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂、メチルエピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの反応により得られるメチルグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂、あるいはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物とエピクロルヒドリン若しくはメチルエピクロルヒドリンとから得られるエポキシ樹脂などが挙げられる。
また、上記ノボラックタイプのエポキシ樹脂として代表的なものは、フェノールノボラック又はクレゾールノボラックと、エピクロルヒドリン又はメチルエピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂などがある。
前記エポキシ(メタ)アクリレートの製造に使用する(メタ)アクリル酸以外にも、その他の不飽和一塩基酸を用いることができる。かかる不飽和一塩基酸としては、例えば桂皮酸、クロトン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノ(2−エチルヘキシル)あるいはソルビン酸などが挙げられる。前記エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応は、好ましくは60〜140℃、特に好ましくは80〜120℃の温度においてエステル化触媒を用いて行われる。
前記エステル化触媒としては、例えばトリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリンもしくはジアザビシクロオクタンの如き、各種の3級アミン類;又はジエチルアミン塩酸塩、スズ、亜鉛、鉄、クロム、バナジウム、リン含有化合物などが挙げられる。
かかるエポキシ(メタ)アクリレートの数平均分子量としては、好ましくは450〜2,500であり、特に好ましくは500〜2,200なる範囲内が適切である。分子量が450に満たない場合には、得られる硬化物に粘着性が生じたり、強度物性が低下したりするようになるし、一方、2,500を越える場合には、硬化時間が長くなり、生産性が劣って来るようになる。
また、エポキシ伸長等の調整のため、水酸基を2個以上有する化合物を使用することができる。かかる化合物としては、例えばビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、ノルボルナンジアルコール、テトラブロモビスフェノールA、トリシクロデカンジメタノール、1,6−ナフタレンジオール等が挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、通常ポリオール、ポリイソシアネートおよび1分子中に1個以上の水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させることにより得られるものであり、分子中に(メタ)アクリロイル基を有するものである。
前記ポリオールとしては、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物等のポリエーテルポリオール、ポリブタジエンジオール、ポリイソプレンジオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。
前記ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート及びその異性体又は異性体の混合物(以下TDIと略す)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、バーノックDー750、クリスボンNX(大日本インキ化学工業(株)製品)、デスモジュールL(住友バイエル(株)社製品)、コロネートL(日本ポリウレタン社製品)、タケネートD102(武田薬品工業(株)社製品)、イソネート143L(三菱化学(株)社製)等を挙げることができ、それらの単独又は2種以上で使用することができる。上記ポリイソシアネートのうちジイソシアネート、特にTDIが好ましく用いられる。
前記1分子中に1個以上の水酸基有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の様な水酸基を2個有するアルコールのモノ(メタ)アクリレート類;α−オレフィンエポキサイドと(メタ)アクリル酸の付加物、カルボン酸グリシジルエステルと(メタ)アクリル酸の付加物;トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート類を挙げることができる。
また、本発明のウレタン(メタ)アクリレートの製造において、水酸基を有する(メタ)アクリレートの一部を、本発明の効果を損なわない程度の範囲で水酸基含有アリールエーテルや、高級アルコール等の化合物で置換しても良い。
水酸基含有アリールエーテル化合物としては、公知慣用のものが使用できるが、例えば、エチレングリコールモノアリールエーテル、ジエチレングリコールモノアリールエーテル、トリエチレングリコールモノアリールエーテル、ポリエチレングリコールモノアリールエーテル、プロピレングリコールモノアリールエーテル、ジプロピレングリコールモノアリールエーテル、トリプロピレングリコールモノアリールエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリールエーテル、1,2−ブチレングリコールモノアリールエーテル、1,3−ブチレングリコールモノアリールエーテル、ヘキシレングリコールモノアリールエーテル、オクチレングリコールモノアリールエーテル、トリメチロールプロパンジアリールエーテル、グリセリンジアリールエーテル、ペンタエリスリトールトリアリールエーテル等の多価アルコール類のアリールエーテル化合物等が挙げられ、これらのうち、水酸基を1個有するアリールエーテル化合物が好ましい。
高級アルコールとしては、公知慣用のものが使用できるが、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法としては、先ずポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとを、当量比でNCO/OH=2〜1.5で反応させ、数平均分子量が好ましくは500〜30000、特に好ましくは700〜5000の末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを生成させ、次いでそれに水酸基含有アクリル化合物を該プレポリマーのイソシアネート基に対して水酸基がほぼ当量となるように反応させるものである。
別の方法としては、まず水酸基含有アクリル化合物とポリイソシアネートとを反応させ、次いで得られたイソシアネート基含有化合物とポリエーテルポリオールとを反応させることにより、数平均分子量が好ましくは500〜30000、より好ましくは700〜5000のウレタン(メタ)アクリレートを得るものである。
本発明に使用するポリエステル(メタ)アクリレートとは、1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する飽和ポリエステル樹脂もしくは不飽和ポリエステル樹脂をいい、飽和ポリエステル樹脂若しくは不飽和ポリエステル樹脂の末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させたものである。かかる樹脂の数平均分子量としては、好ましくは500〜5000、より好ましくは1000〜5000である。
前記飽和ポリエステルは、飽和二塩基酸類と多価アルコール類との縮合反応で得られるものであり、また不飽和ポリエステルはα,β−不飽和二塩基酸を含む二塩基酸類と多価アルコール類との縮合反応で得られるものであり、末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を導入するための官能基を有している。
ここでいう飽和二塩基酸類としては、前記した飽和二塩基酸を挙げることができ、α,β−不飽和二塩基酸としては、前記した不飽和二塩基酸を使用することができる。また多価アルコール類としては、前記した多価アルコールを用いることができる。
前記ポリエステル(メタ)アクリレートに用いる(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、アクリル酸またはメタクリル酸のグリシジルエステル類等が挙げられる。具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明に使用する分子鎖末端に重合性不飽和結合基を含有するマクロモノマーとは、分子鎖末端に重合性不飽和結合基を含有する樹脂をいい、重合性不飽和結合基が(メタ)アクリロイル基、スチリル基、アリール基、ビニルエーテル基から選ばれた少なくとも1種以上の樹脂である。
これらは以下の方法で合成されるが、これらの合成法に限定されるものではない。市販品としては、東亞合成化学工業(株)製のマクロモノマー AA−6、AA−10、AS−6、AN−6等が挙げられ、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明に使用する(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマーは、例えばメルカプト酢酸などの連鎖移動剤の存在下に、ビニル単量体をラジカル重合して得られる末端にカルボキシル基を有するポリマー(以下カルボキシル基末端プレポリマーと称す)に、グリシジル(メタ)アクリレート等を反応させることにより合成されるビニル重合体である。
本発明に使用するスチリル基を有するマクロモノマーは、例えばカルボキシル基末端プレポリマーの、該カルボキシル基を中和して、ついで前記プレポリマーとクロロメチルスチレンを反応させることにより合成されるビニル重合体である。
本発明に使用するアリール基を有するマクロモノマーは、例えばカルボキシル基末端プレポリマーに、アリールグリシジルエーテル等を反応させることにより合成されるビニル重合体である。
本発明に使用するビニルエーテル基を有するマクロモノマーは、例えばメルカプトエタノールなどの連鎖移動剤の存在下、ビニル単量体をラジカル重合して得られる末端に水酸基を有するポリマー(以下水酸基末端プレポリマーと称す)と、トリレンジイソシアネート等のジイソシアネートとブタンジオールモノビニルエーテル等のグリコールモノビニルエーテルを反応させることにより合成されるビニル重合体である。
ここで言う、ビニル単量体としては、酢酸ビニル、スチレン、スチレン置換体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、無水マレイン酸,N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フェニルマレイミド等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。しかしこれらビニル単量体の中で、重合性不飽和基を付与する反応過程により、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、無水マレイン酸等は使用することが適当でない場合がある。
マクロモノマーの数平均分子量(Mn)は、重合系に添加する連鎖移動剤および重合開始剤等の量を適宜選択することにより定められ、数平均分子量は1,000〜40,000、より好ましくは2,000〜25,000である。
ラジカル重合の重合法としては、溶液重合法、バルク重合法および懸濁重合法のいずれをも使用できるが、好ましくは懸濁重合法である。
重合開始剤としては、通常のアゾ系開始剤や過酸化物開始剤が使用できるが、メルカプタン化合物との反応をさけるためアゾ系開始剤が好ましい。アゾ系開始剤としては,2,2−アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNという)、4,4−アゾビス−4−シアノバレリックアシド、1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。
連鎖移動剤としては カルボキシル基を有するメルカプタン系連鎖移動剤として、例えばメルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸等が挙げられる。また水酸基を有する連鎖移動剤として、チオエタノール、チオプロパノール等が用いられる。
カルボキシル基末端プレポリマーと(メタ)アクリロイル基、アリール基、スチリル基を有する化合物との反応は、溶液重合法、バルク重合法いずれの場合も使用できるが、溶液重合法の場合、懸濁重合でプレポリマーを合成し、重合性不飽和単量体を溶剤に用いて反応を行うのが好ましい。バルク重合法の場合、懸濁重合法でプレポリマーを合成し、混練機などを使用して、加熱下に溶融状態で行うのが好ましい。いずれの際もテトラブチルホスホニウムブロミドの如き反応触媒を使用しても良い。
水酸基プレポリマーとビニルエーテル基を有する化合物との反応は、溶液重合法、バルク重合法いずれの場合も使用できるが、懸濁重合法でプレポリマーを合成し、重合性不飽和単量体を溶剤に用いてプレポリマーとジイソシアネートとグリコールモノビニルエーテルとの反応を行う溶液重合法が好ましい。ウレタン化反応の際、トリブチル錫の如き反応触媒を使用しても良い。
前記グリコールモノビニルエーテルとしては、エチレングリコールモノビニルエーテル、ブタンジオールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ヘキサンジオールモノビニルエーテル等を挙げることができ、それら単独または2種以上で使用することができる。上記グリコールモノビニルエーテルの中で、特にブタンジオールモノビニルエーテルが好ましく用いられる。
本発明に使用するエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(B)[以下重合性不飽和単量体(B)という]としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ジビニルベンゼン、t-ブチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、ジアリールフタレ-ト、トリアリールシアヌレ-ト、さらにアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ2ーエチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ2ーエチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルジ(メタ)アクリレ-ト、PTMGのジメタアクリーレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1,3ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、テトラエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAEO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート等の樹脂と架橋可能な不飽和モノマー或いはそれらの不飽和オリゴマー等が挙げられる。これら重合性不飽和単量体は、単独でも2種類以上組み合わせて使用しても良い。
また上記した重合性不飽和単量体(B)以外に、低臭性の目的で、アルキル基の炭素原子数が1〜4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及び/又はフェニル基を有する重合性単量体を単独又は2種以上を併用して用いることができる。
アルキル基の炭素原子数が1〜4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
フェニル基を有する重合性単量体としては、例えばフェニル基を有する分子量180以上のアクリロイル基を有するアクリル系単量体が好ましく用いられ、かかる単量体の具体例としてフェノールエチレンオキサイド(EO)変性アクリレート、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、フェノキシプロピルアクリレート、ノニルフェノールPO変性アクリレート、アクリロイルオキシエチルフタレート、フェノールEO変性メタクリレート、ノニルフェニルカルビトールメタクリレート、ノニルフェノールEO変性メタクリレート、フェノキシプロピルメタクリレート、フェノールPO変性メタクリレート、ノニルフェノキシプロピルメタクリレート、ノニルフェノールPO変性メタクリレート、メタクリロイルオキシエチルフタレート等が挙げられる。
さらに重合性不飽和単量体(B)以外に、本発明のラジカル重合性樹脂組成物の硬化物の表面乾燥性を向上させるため、本発明の効果を損なわない範囲で各種の化合物を用いることができる。かかる化合物としては、例えばジシクロペンタジエン、ジシクロデカンまたはトリアジンの如き各種誘導体類、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタアクリレートまたはトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌルアクリレート等が挙げられる。
更に、硬化物表面の耐摩耗性、耐さっ傷性、耐煽動性、耐薬品性等が求められる場合には、多官能不飽和単量体を用いることができる。かかる多官能不飽和単量体としては、3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく用いることができる。例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタルトリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、イソシアヌール酸EO変性(n=3)トリアクリレート、イソシアヌール酸EO(n=3)・ε−カプロラクトン変性トリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンター及びヘキサーアクリレート、ペンタエリスリト-ルテトラ(メタ)アクリレ-ト等が挙げられる。
本発明は、エチレン尿素(C)を用いることにより、シートモールディング及びバルクモールディングコンパウンド用樹脂組成物をラジカル重合させ、硬化させる際、樹脂の硬化阻害等の問題がなく、効果的にホルムアルデヒド放散量を削減することができるものである。
分子中にヒドラゾ基、尿素結合又はウレタン結合のいずれかの官能基を有する化合物としては、分子中にヒドラゾ基、尿素結合又はウレタン結合のいずれかの官能基を有する化合物であれば包含されるが、一般式(3)で表される化合物が好ましい。
−NH−Y (3)
一般式(3)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基で置換されたアルキル基、アミノ基で置換されたアルキル基、アルコキシ基で置換されたアルキル基、アミノ基、フェニル基、カルボキシル基、ウレタン結合を有する1価の官能基及び−NHNH−Rを表すものである。この場合、Rは水素原子、アルキル基である。またYは、−NH−、−CO−NH−又は−COO−をいずれかを含む1価の官能基を表すものである。また、RとYとが結合し、環を形成していてもよい。
一般式(3)で表される化合物のうち、Rがアルキル基であり、かつYが−CO−NHを含む1価の官能基である化合物、Rが−NHNH−Rであり、かつYが−NH−を含む1価の官能基である化合物、及びRがウレタン結合を有する1価の官能基であり、かつYが−COO−を含む1価の官能基である化合物であることが好ましい。
がアルキル基であり、かつYが−CO−NH−を含む1価の官能基である一般式(1)で表される化合物(C)としては、例えば尿素、モノメチル尿素、モノメチロール尿素、ジメチロール尿素、ジメチル尿素、ジフェニル尿素、メチレン尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、アルコシキメチル尿素等が挙げられる。これらのうち、ホルムアルデヒド捕捉効果の大きい点でエチレン尿素が好ましい。
が−NHNH−Rであり、かつYが−NH−を含む1価の官能基である一般式(1)で表される化合物(C)としては、例えばアジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、ナフテン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
さらにRがウレタン結合を有する1価の官能基であり、かつYが−COO−を含む1価の官能基を有する化合物(C)としては、ウレタン(メタ)アクリレート等のビニルウレタン化合物等が挙げられる。
分子中にヒドラゾ基、尿素結合又はウレタン結合のいずれかの官能基を有する化合物、一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物(C)は、化合物(C)成分として、樹脂組成物に含まれるものであってもよいし、ラジカル硬化性樹脂(A)の骨格内に、分子中にヒドラゾ基、尿素結合又はウレタン結合のいずれかの官能基を有する化合物、一般式(1)で表される化合物、又は一般式(2)で表される化合物と同様の構造を有する単位を導入したものでもかまわない。
するものである。
本発明に使用するラジカル硬化性樹脂(A)、重合性不飽和単量体(B)および化合物(C)の割合は所望の用途によって変更可能であり、特に制限されるものではないが、得られる効果から、(A):(B)は重量比で10〜80:90〜20が望ましく、さらに好ましくは40〜70:60〜30で使用される。また、(C)の割合は[(A)+(B)]の100重量部に対して0.01〜10重量部であり、好ましくは0.1〜10重量部である。添加量が0.01重量%未満であるとホルムアルデヒド捕捉能力が十分でなく、また10重量%を越えると、得られる硬化物の性能に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明の化粧板用樹脂組成物には、必要に応じて、重合禁止剤、硬化促進剤、ラジカル硬化剤等を使用することができる。
かかる重合禁止剤としては、例えばトリハイドロベンゼン、トルハイドロキノン、14−ナフトキノン、パラベンゾキノン、ハイドロキノン、ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等を挙げることができ、好ましくは樹脂組成物に、10〜1000ppm添加しうるものであり、単独又は2種以上の組み合わせで使用しても良い。
かかる硬化促進剤としては、例えばナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等金属石鹸類、バナジウムアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属キレート類、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2-ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4-(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、トリエタノールアミン、m−トルイジン、ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、ジメチルピリジン、フェニリモルホリン、ピペリジン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のN,N−置換アニリン、N,N−置換−p−トルイジン、4-(N,N−置換アミノ)ベンズアルデヒド等のアミン類が挙げられる。本発明においてはアミン系、金属石鹸系の硬化促進剤が好ましい。なお、硬化促進剤は、2種以上の組み合わせで使用しても良く、また予め樹脂に添加しておいても良いし、使用時に添加しても良い。
ラジカル硬化剤としては、熱硬化剤や光硬化剤が挙げられる。熱硬化剤としては、有機過酸化物が挙げられ、具体的にはメチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等公知公用のものが使用される。熱硬化剤の添加量は、好ましくは樹脂組成物の合計量100重量部に対して、0.5〜5重量部である。
かかる光硬化剤としては、例としてベンゾインアルキルエーテルのようなベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン、ベンジル、メチルオルソベンゾイルベンゾエートなどのベンゾフェノン系、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系等が挙げられる。光硬化剤の添加量は、好ましくは本発明に用いられる樹脂の合計量100重量部に対して、0.1〜3重量部である。
さらに本発明の化粧板用樹脂組成物には、各種添加剤、例えばワックス類、フィルム離型剤、紫外線吸収剤、顔料、老化防止剤、可塑剤、難燃剤、安定剤、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤等を使用してもよい。
かかるワックス類としては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスやステアリン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸等の高級脂肪酸等が挙げられるが、好ましくはパラフィンワックスが用いられる。
かかる顔料としては、たとえばチタンホワイト、カーボンブラック等無機顔料類やフタロシアニンブルー、キナクリドンレッド等有機顔料類があり、色相に応じて、種々の着色剤を用いることができる。
次に本発明の化粧板用樹脂組成物を用いて化粧板を製造する方法としては、例えば木質系或いは無機質系基材に化粧板用の化粧紙を貼着し、その上のトップコート層としてフィルム成形法或いはフローコーター成形法によりラジカル硬化性樹脂組成物を塗布し硬化させて得られるものが好ましい。
ここでいうフィルム成形法とは、上記化粧紙上に前記した硬化促進剤及びラジカル硬化剤を混合した化粧板用ラジカル硬化性樹脂組成物を載せた後、フィルムをかぶせゴムロールで化粧板用樹脂組成物を均一に伸延させることで化粧紙の表面に均一に塗布し、含浸させ、脱泡を行い、次いで塗膜を硬化させてから、前記フィルムを剥離することにより、本発明の化粧板を形成するものである。
フィルム成形法で用いるフィルムとしては、例えばポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、飽和ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、あるいはこれらのフイルムと硬質塩化ビニルフィルムとの複合フルムなどが挙げられが、引っ張り強度、耐溶剤に優れる飽和ポリエステルフィルムを使用するのがとりわけ好ましく、ローラーで脱泡する際に破損することがなく、耐久性にも優れる。
一方、フローコーター成形法とは、例えばラジカル硬化剤及び硬化促進剤を各々混合した不飽和ポリエステル組成物を各々カーテン状に連続して流し、上記化粧紙を貼着した基材の上で2層のカーテンを重ねて塗膜を作ると、層間で硬化が開始することにより本発明の化粧板を形成するものである。
ここで、本発明に用いられる化粧板の化粧紙としては、例えば薄葉紙、チタン紙、リンターパルプ紙、上質紙、晒又は未晒クラフト紙等の原紙の表面に任意の絵柄を印刷形成したものが適用できる。
ここで、本発明に用いられる化粧板の基材としては、例えば合板、パ−ティクルボ−ド、中密度繊維板等の木質系基材、石膏ボ−ド、珪酸カルシウム等の無機質系基材、或いはこれらを複合化した複合基材、更にはハニカムコア、ロ−ルコア、ぺ−パ−コアの如き中空芯材を組み合わせたものなどが適用できる。
また本発明に用いられる基材に化粧紙を貼着するための接着剤としては、特に制約はなく、例えばエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂などの熱硬化性樹脂や、スチレン−ブタジエン樹脂ラテックス、ポリアクリルエマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン、ブタジエン−ニトリル樹脂エマルジョンなどのエマルジョン系接着剤が挙げられる。
また本発明の化粧板は、前記化粧板用樹脂組成物からなるトップコート層の上に、必要に応じて更に上塗り塗装を行ってもよい。
上塗り塗装には、アルキッド樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料などの溶剤系塗料や水系塗料が用いられる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、文中「部」及び「%」とあるのは、特段の断りがない限り重量基準のものである。
(参考例1)(不飽和ポリエステルの調製)
窒素ガス導入管、還流コンデンサ、攪拌機を備えた2Lのガラス製フラスコに、プロピレングリコール456g、エチレングリコール310g、フマル酸812g、無水フタル酸444gを仕込み窒素気流下、加熱を開始する。内温200℃にて、常法にて脱水縮合反応を行い、酸価が30KOHmg/gになったところで、180℃まで冷却し、トルハイドロキノン0.06gを添加する。さらに150℃まで冷却し、不飽和ポリエステル(UP−1)を得た。
(参考例2) (空乾性不飽和ポリエステルの調製)
窒素ガス導入管、還流コンデンサ、攪拌機を備えた2Lのガラス製フラスコに、プロピレングリコール342g、エチレングリコール279g、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル461g、フマル酸104gを仕込み窒素気流下、加熱を開始した。内温190℃にて、常法にて脱水縮合反応を行い、酸価が28KOHmg/gになったところで、トルハイドロキノン0.06gを添加した。さらに150℃まで冷却し、数平均分子量1600の不飽和ポリエステル(UP−2)を得た。
(実施例1〜4及び比較例1〜3)
前記不飽和ポリエステル(UP−1)及び(UP−2)、重合性不飽和単量体、前記化合物(C)を表−1の様に配合し、化粧板用樹脂組成物を作製した。
<試験方法及び評価基準>
[硬化性]の評価
硬化性は、ゲルタイムにより評価した。
ゲルタイムは、容量100mlのデスカップに、前記化粧板用樹脂組成物100部に対して、6%ナフテン酸コバルト(Co−NAPHTHENATE 6%、大日本インキ化学工業製)0.5部、メチルエチルケトンパーオキサイド(パーメックN、日本油脂社製)1部を混合添加した。この混合物を25℃の恒温槽に浸漬し、ゲルが発生して糸切れ状態になるまでの時間をゲルタイムとした。
[化粧板の硬度]の評価
前記実施例で得られた化粧板用樹脂組成物100部に対して、6%ナフテン酸コバルト(Co−NAPHTHENATE 6%、大日本インキ化学工業製)0.5部、メチルエチルケトンパーオキサイド(パーメックN、日本油脂社製)1部を加え、良く混合した後、この混合物を、化粧紙を貼ったベニヤ板(15cm×15cm)の表面に、約250g/mの厚さになるように塗布し、型枠に固定したビニロンフィルムをかぶせ、その上からゴムローラで均一に延ばし、前記化粧紙に含浸させ、脱泡した後、25℃で2時間後、フィルムを剥がし化粧板を得た。
成形後25℃で一日放置した化粧板表面の鉛筆硬度をJIS−K−5400.8.4.2に基づいて測定した。
[ホルムアルデヒド放散量]
温度23℃、湿度50%の環境試験室内(4m×4m×2m)で、150mm×150mmのアルミニウム板2枚のそれぞれに、前記実施例で得られた化粧板用樹脂組成物100部に対して、6%ナフテン酸コバルト(Co−NAPHTHENATE 6%、大日本インキ化学工業製)0.5部、メチルエチルケトンパーオキサイド(パーメックN、日本油脂社製)1部を加え、良く混合した混合物を、約250g/mの厚さになるように塗布し、型枠に固定したビニロンフィルムをかぶせ、その上からゴムローラで均一に延ばし、含浸、脱泡した後、25℃で2時間後、フィルムを剥がし試験片とした。この試験片を用い、JIS K 5601−4−1デシケーター法により測定した。
Figure 0004895470
Figure 0004895470

Claims (4)

  1. 不飽和ポリエステル樹脂(A)と、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体(B)と、エチレン尿素(C)とを含有してなる化粧板用樹脂組成物。
  2. 前記不飽和ポリエステル樹脂(A)が、空乾性付与型の不飽和ポリエステルである請求項1に記載の化粧板用樹脂組成物。
  3. 前記空乾性付与型の不飽和ポリエステルのニ塩基酸成分が、環状脂肪族不飽和多塩基酸及びその誘導体である請求項2記載の化粧板用樹脂組成物。
  4. 基材と化粧紙とトップコート層とから構成される化粧板において、トップコート層が、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧板用樹脂組成物の硬化層であり、前記トップコート層がフィルム成形法又はフローコーター成形法により形成されたことを特徴とする化粧板。
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