JP4894143B2 - セラミック積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミック層を複数積層してなるセラミック積層体を製造する方法に関する。
セラミック積層体は、例えば、自動車の燃料噴射用インジェクタにおける圧電アクチュエータの高性能部品として適用される場合がある。上記圧電アクチュエータには、セラミック層と内部電極層とを交互に積層して構成されたセラミック積層体が用いられる。
また、セラミック積層体は、過酷な条件の下で長期間に渡って使用される。それ故、例えば、側面の電気的な絶縁性を向上させるため、内部電極層の端部の一部を内方に控えた電極控え部を有するセラミック積層体がある。
上記のセラミック積層体を製造するには、まず、セラミック層となるグリーンシート(以下、適宜、シートという)を作製し、そのシート上に内部電極層となる電極材料を印刷する。次に、印刷を施したシートを積層し、加熱・加圧して圧着を行った後、所定の大きさに切断してユニット体を作製する。そして、得られた複数のユニット体を焼成し、接着剤により接着積層する方法等によりセラミック積層体を製造する。
ところが、上記に示した電極控え部を有するセラミック積層体を製造する場合、内部電極層の端部を内方に控える部分を形成するために、シート上に電極材料を印刷しない部分を設けなければならない。そのため、シート上において、電極材料を印刷した部分と印刷しない部分との間に段差が生じていた。そして、従来は、シートに高い圧力を加えて圧着し、上下のシートを変形させることによって段差を埋めていた。
しかしながら、上記の圧着方法によってシートへの加圧力が不均一となり、圧着したシートの密度にばらつきが生じる。そのため、焼成時において、セラミック層にクラックや剥離等が発生しやすいという問題があった。
また、上記の製造方法は、多くの工程を必要とするため、生産効率が悪いという問題もある。さらに、上記に示した圧着の問題のために、シートの積層数を増やすことができない等、生産効率の向上を図ることが困難であった。
例えば、特許文献1〜4では、クラックや剥離等の不具合を抑制する方法及び生産効率を向上させる方法が提案されている。
しかしながら、上記の文献では、どちらか一方の問題を解消するにとどまり、従来の方法では、クラックや剥離等の不具合の抑制と生産効率の向上とを両立させることは、容易ではなかった。
特開平5−121792号公報 特開平5−198862号公報 特開2002−314161号公報 特開2003−17779号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、クラックや剥離等の発生を抑制すると共に、生産効率の向上が可能なセラミック積層体の製造方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、圧電材料よりなるセラミック層と導電性を有する内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体を製造する方法において、
上記セラミック層となる部分を幅方向に複数含む幅広のグリーンシートを作製するグリーンシート作製工程と、
上記グリーンシート上に上記内部電極層となる電極材料を印刷すると共に、該電極材料を印刷した領域に隣接して該電極材料と略同厚みのスペーサ層を印刷して電極印刷シートを形成する電極印刷工程と、
上記電極印刷シートを積層し、加熱すると共に積層方向に加圧して予備積層体を形成する圧着工程と、
上記予備積層体を切断して、1枚の上記セラミック層を幅方向に含む幅寸法を有しているユニット体を形成するユニット切断工程と、
上記ユニット体を焼成する焼成工程とを含み、
上記電極印刷工程では、上記ユニット切断工程において切断される部分を避けるように間隙を空けて上記電極材料及び上記スペーサ層の印刷を行い、上記圧着工程では、上記間隙が残るように加圧することを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
本発明のセラミック積層体の製造方法は、上記電極印刷工程において、上記グリーンシート上に上記内部電極層となる電極材料を印刷すると共に、該電極材料を印刷した領域に隣接して該電極材料と略同厚みのスペーサ層を印刷して電極印刷シートを形成する。そのため、クラックや剥離等の発生を抑制すると共に、生産効率を向上させることができる。
即ち、上記内部電極層の端部を内方へ控えさせる部分(電極控え部)に、予め上記スペーサ層を上記電極材料と略同厚みで印刷する。そのため、上記電極印刷シートにおける電極控え部となる部分を含み、最終的に上記内部電極層と同じ層となる印刷面全体に段差が生じない。それ故、従来のように、高い圧力を加えて上記電極印刷シートを圧着して印刷面の段差を埋める必要がない。つまり、従来に比べて、上記電極印刷シートを低圧で充分に圧着させることができる。これにより、圧着した上記電極印刷シートの密度のばらつきが小さくなり、焼成工程時のクラックや剥離等の発生を抑制することができる。
また、上記のごとく、上記電極印刷シートを低圧で充分に圧着させることができるため、積層するシート数を増やしても、焼成後の上記ユニット体は、高い品質が維持されたものとなる。また、上記ユニット体の積層数を増やすことが可能となれば、上記セラミック積層体の製造に必要な上記ユニット体の個数を減らすことができる。
このように、上記製造方法は、従来よりも低圧での圧着、上記ユニット体の積層数の増加及び製造に必要な個数の削減等が可能となり、生産効率を向上させることができる。
以上のごとく、本発明によれば、クラックや剥離等の発生を抑制すると共に、生産効率の向上が可能なセラミック積層体の製造方法を提供することができる。
本発明において、上記圧着工程では、その加圧力を1〜15MPa(単位面積あたり)とすることが好ましい。
上記加圧力が1MPa未満の場合、積層した上記電極印刷シートを確実に圧着することができないおそれがある。
上記加圧力が15MPa以上の場合、上記圧着工程後の上記電極印刷シートの密度にばらつきが生じるおそれがある。
また、上記圧着工程における加熱温度は、110〜130℃とすることが好ましい。
上記加熱温度が110℃未満の場合、積層した上記電極印刷シートを確実に圧着することができないおそれがある。
上記加熱温度が130℃以上の場合、上記圧着工程後の上記予備積層体の形状精度が低下するおそれがある。
また、上記電極印刷工程では、上記ユニット切断工程において切断される部分を避けるように間隙を空けて上記電極材料及び上記スペーサ層の印刷を行い、
上記圧着工程では、上記間隙が残るように加圧する
この場合には、上記間隙の存在によって、上記圧着工程における加圧力を上記電極材料及び上記スペーサ層が印刷された印刷面に集中させて均一化することができる。また、上記ユニット切断工程において、上記印刷面を直接切断することがないため、切断による変形等が少なく、形状精度の高い上記ユニット体を形成することができる。
また、上記圧着工程の前に、上記グリーンシート上にその後の焼成を行うことによって消失する消失スリット層を印刷すると共に、該消失スリット層を印刷した領域に隣接して該消失スリット層と略同厚みのスペーサ層を印刷して消失スリット印刷シートを形成する消失スリット印刷工程を行い、
上記圧着工程においては、上記電極印刷シートと上記消失スリット印刷シートとを所定の順序で積層して上記予備積層体を形成し、
上記焼成工程においては、上記消失スリット層を消失させることが好ましい(請求項)。
この場合には、焼成工程後の上記ユニット体において、上記消失スリット層が消失した部分に空間が形成される。そのため、上記空間を有するユニット体を用いて製造されたセラミック積層体は、例えば圧電アクチュエータ等に用いて作動させた場合、該セラミック積層体にかかる応力を上記空間によって緩和することができるため、耐久性に優れたものとなる。
また、上記空間の形状や配設位置は、上記消失スリット層の印刷位置や上記消失スリット印刷シートの積層位置等によって様々に変化させることができる。また、上記電極印刷シートと上記消失スリット印刷シートとの所定の順序とは、得ようとする予備積層体の構成によって定めることができる。
また、上記消失スリット印刷工程において、上記スペーサ層を上記消失スリット層と略同厚みで印刷するため、上記電極印刷シートと同様に、上記消失スリット印刷シートにおける上記消失スリット層及び上記スペーサ層の印刷面に段差が生じない。それ故、上記電極印刷シートと上記消失スリット印刷シートとを積層しても、従来に比べて低圧で充分に圧着させることができる。
また、上記消失スリット印刷工程では、上記ユニット切断工程において切断される部分を避けるように間隙を空けて上記消失スリット層及び上記スペーサ層の印刷を行い、
上記圧着工程では、上記間隙が残るように加圧することが好ましい。(請求項)。
この場合も、上記と同様に、上記間隙の存在によって、上記圧着工程における加圧力を印刷面に集中させて均一化することができる。また、上記ユニット切断工程において、印刷された上記消失スリット層及び上記スペーサ層を直接切断することがないため、切断による変形等が少なく、形状精度の高い上記ユニット体を形成することができる。
また、上記焼成工程後には、上記ユニット体に接着剤を介して積層する接着積層工程を行うことが好ましい(請求項)。
この場合には、上記ユニット体を容易かつ確実に接着して積層することができる。
また、上記スペーサ層は、上記グリーンシートと実質的に同材質よりなることが好ましい(請求項)。
この場合には、上記電極材料に隣接して印刷された上記スペーサ層は、上記電極控え部を形成し、その部分の電気的な絶縁性を確保する役割を果たす。さらに、上記消失スリット層に隣接して印刷された上記スペーサ層は、上記セラミック層の一部を形成し、焼成工程後の上記ユニット体の形状を精度高く維持することができる。
(実施例1)
本発明の実施例にかかるセラミック積層体の製造方法について、図1〜図9を用いて説明する。
本例のセラミック積層体1の製造方法は、図1〜図9に示すごとく、圧電材料よりなるセラミック層11と導電性を有する内部電極層20とを交互に積層してなるセラミック積層体1を製造する方法であり、少なくとも、以下の工程を含む。
グリーンシート作製工程は、セラミック層11となる部分を幅方向に複数含む幅広のグリーンシート110を作製する。
電極印刷工程は、グリーンシート110上に内部電極層20となる電極材料200を印刷すると共に、電極材料200を印刷した領域に隣接して電極材料200と略同厚みのスペーサ層111を印刷して電極印刷シート31、32を形成する。
圧着工程は、電極印刷シート31、32を積層し、加熱すると共に積層方向に加圧して予備積層体100を形成する。
ユニット切断工程は、予備積層体100を切断して、1枚のセラミック層11を幅方向に含む幅寸法を有しているユニット体10を形成する。
焼成工程は、ユニット体10を焼成する。
以下、これを詳説する。
<グリーンシート作製工程>
まず、圧電材料となるジルコン酸チタン酸鉛(PZT)等のセラミック原料粉末を準備し、800〜950℃で仮焼する。次に、仮焼粉に純水、分散剤を加えてスラリー状とし、パールミルにより湿式粉砕する。この粉砕物を乾燥、粉脱脂した後、溶剤、バインダ、可塑剤、分散剤等を加えてボールミルにより混合し、得られたスラリーを真空装置内で撹拌機により撹拌しながら真空脱泡、粘度調整をする。
そして、ドクターブレード法により、上記スラリーをキャリアフィルム上に塗布し、厚さ90μmの長尺のグリーンシートを成形する。このグリーンシートを所定の大きさに切断して、幅広のグリーンシート110(図1、図2)を作製する。
なお、グリーンシートの成形方法としては、本例で用いたドクターブレード法のほか、押出成形法やその他種々の方法を用いることができる。
<電極印刷工程>
次に、図1、図2に示すごとく、グリーンシート110上に内部電極層20となる電極材料200を印刷すると共に、電極材料200を印刷した領域に隣接して電極材料200と略同厚みのスペーサ層111を印刷し、第1電極印刷シート31及び第2電極印刷シート32の2種類のシートを形成する。
以下に、電極印刷シート31、32の形成について説明する。
第1電極印刷シート31の形成に当たっては、図1に示すごとく、グリーンシート110上の印刷領域41において、最終的に内部電極層20となる部分に電極材料200を印刷する。そして、印刷領域41において、電極材料200を印刷した部分と他の部分との印刷高さを略一致させるため、電極材料200が印刷されていない部分、即ち、最終的に内部電極層20の端部を内方に控えさせる電極控え部29(図7)となる部分に、グリーンシート110を構成している上記スラリーよりなるスペーサ層111を電極材料200と同厚みで印刷する。これにより、第1電極印刷シート31を形成する。
第2電極印刷シート32の形成に当たっては、図2に示すごとく、第1電極印刷シートと同様に、グリーンシート110上の印刷領域41において、内部電極層20となる部分に電極材料200を、電極控え部29となる部分に上記スラリーよりなるスペーサ層111をそれぞれ印刷する。これにより、第2電極印刷シート32を形成する。
なお、本例では、電極材料200として、ペースト状のAg/Pd合金を用いた。また、上記以外にも、Ag、Pd、Cu、Ni等の単体、Cu/Ni等の合金を用いることができる。
<消失スリット印刷工程>
ここで、本例では、製造するセラミック積層体1にスリット部12(図9)を設けるため、図3に示すごとく、消失スリット印刷シート33を形成する消失スリット印刷工程を行う。
同図に示すごとく、上記のグリーンシート110上の印刷領域41において、最終的にスリット部12となる部分に焼成によって消失する消失材料よりなる消失スリット層120を印刷する。そして、印刷領域41において、消失スリット層120を印刷した部分と他の部分との印刷高さを略一致させるため、消失スリット層120が印刷されていない部分に、上記スラリーよりなるスペーサ層111を消失スリット層120と同厚みで印刷する。これにより、消失スリット印刷シート33を形成する。
なお、本例では、消失スリット層120を構成する消失材料として、熱変形が小さく、焼成工程によって形成される溝の形状精度を高く維持し得るカーボン粒子よりなる材料を用いた。また、上記以外にも、炭化させたパウダー状の炭化有機物粒子を用いることができる。この炭化有機物粒子は、パウダー状の有機物粒子を炭化して得ることができるほか、炭化させた有機物を粉砕して得ることもできる。さらに、上記有機物としては、樹脂等の高分子材料や、コーン、大豆、小麦粉等の穀物を用いることができる。この場合には、製造コストを抑制することができる。
また、電極印刷工程及び消失スリット印刷工程では、図1〜図3に示すごとく、後工程のユニット切断工程において切断される部分を避けるように間隙42を空けて、電極材料200、スペーサ層111、及び消失スリット層120の印刷を行う。つまり、グリーンシート110上の隣接する印刷領域41の間に間隙42を設けて印刷を行う。
また、電極材料200及びスペーサ層111、消失スリット層120及びスペーサ層111は、印刷する順序を変更してもかまわない。
<圧着工程>
次に、図4に示すごとく、形成した第1電極印刷シート31、第2電極印刷シート32、及び消失スリット印刷シート33を所定の順序で各印刷領域41を積層方向に揃えて積層する。このとき、第1電極印刷シート31及び第2電極印刷シート32を交互に積層し、上記スリット部12を形成したい位置に消失スリット印刷シート33を挿入して積層する。また、積層するシートの上端には、印刷を施していないグリーンシート110を積層しておく。
そして、積層した40枚のシートを120℃で加熱すると共に積層方向に5MPaで加圧し、予備積層体100を形成する。
なお、本例では、各シートにスペーサ層111を印刷してあるため、印刷領域41における印刷面に段差がほとんどなく、従来に比べて低圧での圧着が可能である。また、各印刷領域41間に間隙42が存在するため、加圧力を印刷領域41における印刷面に集中させて均一化させることができる。また、形成する予備積層体100に先程設けた間隙42が残存するように圧着する。
<ユニット切断工程>
次に、図5、図6に示すごとく、形成した予備積層体100を切断位置43に沿って積層方向に切断し、ユニット体10を形成する。
なお、予備積層体100の切断は、各ユニット体10ごとに切断してもよいし、複数のユニット体10を含んで切断してもよい。
<焼成工程>
次に、ユニット体10のグリーンシート110に含有されているバインダ樹脂を90%以上加熱除去する。加熱条件は、80時間かけて徐々に500℃まで昇温し、5時間保持する。
次に、脱脂したユニット体10を焼成し、消失スリット層120を消失させる。焼成条件は、12時間かけて徐々に1065℃まで昇温し、2時間保持後、徐々に冷却する。
そして、焼成後のユニット体10について、全面研磨を行う。
これにより、図7に示すごとく、消失スリット層120が消失して形成されたスリット部12を有するユニット体10が作製される。スリット部12は、ユニット体10の側面全周に渡ってスリット状の空間を設けてなる。
また、同図に示すごとく、作製されたユニット体10は、グリーンシート110により形成されたセラミック層11と電極材料200により形成された内部電極層20とを交互に積層してなる。スペーサ層111は、内部電極層20の端部を内方に控えた電極控え部29及びセラミック層11の一部を形成している。
<接着積層工程>
ここで、上記焼成工程後のユニット体10に接着剤51を介して積層する接着積層工程を行う。
図8に示すごとく、焼成して得られた11個のユニット体10に接着剤51を介して接着積層し、上下両端にグリーンシート110よりなる保護層13を設ける。これにより、図9に示すごとく、セラミック積層体1を完成させた。
なお、本例では、接着剤51としてシリコン接着剤を用いた。また、上記以外にも、ポリイミド接着剤等を用いることができる。
図9に示すごとく、製造されたセラミック積層体1は、複数のユニット体10を含み、セラミック層11と内部電極層20とを交互に積層してなり、電極控え部29を設けることによって内部電極層20の端部の一部を内方に控えた、いわゆる部分電極構造を有している。また、側面全周に渡ってスリット状の空間を設けてなるスリット部12を有している。
次に、本例のセラミック積層体1の製造方法における作用効果について説明する。
本例のセラミック積層体1の製造方法は、電極印刷工程において、グリーンシート110上に内部電極層20となる電極材料200を印刷すると共に、電極材料200を印刷した領域に隣接して電極材料200と略同厚みのスペーサ層111を印刷して電極印刷シート31、32を形成する。
即ち、内部電極層20の端部を内方へ控えさせる電極控え部29となる部分に、予めスペーサ層11を電極材料200と略同厚みで印刷する。そのため、電極印刷シート31、32における電極控え部29となる部分を含み、最終的に内部電極層20と同じ層となる印刷面全体に段差が生じない。それ故、従来のように、高い圧力を加えて電極印刷シート31、32を圧着して印刷面の段差を埋める必要がない。つまり、従来に比べて、電極印刷シート31、32を低圧で充分に圧着させることができる。これにより、圧着した電極印刷シート31、32の密度のばらつきが小さくなり、焼成工程時のクラックや剥離等の発生を抑制することができる。
また、上記のごとく、電極印刷シート31、32を低圧で充分に圧着させることができるため、積層するシート数を増やすことができる。例えば、本例と同様の構成の場合、従来20枚程度が限界であった各ユニット体10のシート積層数を40枚まで増やすことができた。そして、積層するシート数を増やしても、焼成後のユニット体10は、高い品質が維持されたものとなる。また、ユニット体10の積層数を増やすことが可能となれば、セラミック積層体1の製造に必要なユニット体10の個数を減らすことができる。
このように、上記製造方法は、従来よりも低圧での圧着、ユニット体10の積層数の増加及び製造に必要な個数の削減等が可能となり、生産効率を向上させることができる。
また、圧着工程において、加熱温度を120℃、加圧力を5MPaとした。そのため、積層したシートを確実に圧着することができる。また、圧着工程後のシートの密度にばらつきが少なく、形成された予備積層体100の形状は精度高く維持されている。また、予備積層体100に間隙42を残すことができる。
また、電極印刷工程及び消失スリット印刷工程では、切断工程において切断される部分を避けるように間隙42を空けて電極材料200及びスペーサ層111、消失スリット層120及びスペーサ層111の印刷を行い、圧着工程では、設けた間隙42が残るように加圧した。そのため、間隙42の存在により、圧着工程における加圧力を印刷領域41の印刷面に集中させて均一化することができる。また、切断工程において、印刷された部分を直接切断することがないため、切断による変形等が少なく、形状精度の高いユニット体10を形成することができる。
また、本例において、圧着工程の前に、グリーンシート110上にその後の焼成を行うことによって消失する消失スリット層120を印刷すると共に、略同厚みのスペーサ層111を印刷して消失スリット印刷シート33を形成する消失スリット印刷工程を行い、圧着工程においては、電極印刷シート31、32と消失スリット印刷シート33とを所定の順序で積層して予備積層体100を形成し、焼成工程においては、消失スリット層120を消失させる。
即ち、焼成工程後のユニット体10において、消失スリット層120が消失した部分にスリット状の空間を設けてなるスリット部12が形成される。そのため、スリット部12を有するユニット体10を用いて製造されたセラミック積層体1は、例えば圧電アクチュエータ等に用いて作動させた場合、セラミック積層体1にかかる応力をスリット部12によって緩和することができるため、耐久性に優れたものとなる。
なお、スリット部12の形状や配設位置は、消失スリット層120の印刷位置や消失スリット印刷シート33の積層位置等によって様々に変化させることができる。
また、消失スリット印刷工程において、スペーサ層111を消失スリット層120と略同厚みで印刷するため、電極印刷シート31、32と同様に、消失スリット印刷シート33における消失スリット層120及びスペーサ層111の印刷面に段差が生じない。それ故、電極印刷シート31、32と一緒に積層した場合でも、従来に比べて低圧で充分に圧着させることができる。
また、焼成工程後には、ユニット体10に接着剤51を介して積層する接着積層工程を行った。そのため、ユニット体10を容易かつ確実に接着して積層することができる。
また、スペーサ層111は、グリーンシート110と実質的に同材質よりなる。そのため、電極材料200に隣接して印刷されたスペーサ層111は、内部電極層20の端部を内方に控えた電極控え部29を形成し、その部分の電気的な絶縁性を確保する役割を果たしている。さらに、消失スリット層120に隣接して印刷されたスペーサ層111は、セラミック層11の一部を形成し、焼成工程後の上記ユニット体の形状を精度高く維持することができる。
以上のごとく、本例によれば、クラックや剥離等の発生を抑制すると共に、生産効率の向上が可能なセラミック積層体の製造方法を提供することができる。
(実施例2)
本例は、図10〜図12に示すごとく、実施例1のユニット体10において、スリット部12の形状や配設位置を変更した例である。
スリット部12は、全ての内部電極層20に対して、あるいは1層又は複数層おきに形成することができる。図10は、1層おきの内部電極層20に対して、スリット部12を形成した例である。
また、スリット部12は、隣り合う内部電極層20の中間部、あるいは内部電極層20に沿って形成することができる。図11は、内部電極層20に沿って、スリット部12を形成した例である。
また、スリット部12は、ユニット体10の側面全周に渡って、あるいは側面の一部に形成することもできる。図12は、ユニット体10の相互に対面する一対の側面において、スリット部12を形成した例である。
また、上記以外にも、スリット部12の形状や配設位置は、消失スリット層120の印刷位置や消失スリット印刷シート33の積層位置等を変更することによって様々に変化させることができる。
その他は、実施例1と同様の構成であり、同様の作用効果を有する。
(実施例3)
本例は、図13、図14に示すごとく、実施例1のユニット体10において、内部電極層20の形状及び配設位置を変更した例である。
図13、図14は、実施例1の2種類の電極印刷シート31、32のうち、どちらか一方を用いてユニット体10を形成した例である。
図13は、第1電極印刷シート31及び消失スリット印刷シート33を用いてユニット体10を形成した例である。この場合には、シートを積層する際に、第1電極印刷シート31の向きが交互に左右反対となるように積層した。
また、図14は、第2電極印刷シート32及び消失スリット印刷シート33を用いてユニット体10を形成した例である。この場合にも、シートを積層する際に、第2電極印刷シート32の向きが交互に左右反対となるように積層した。
また、上記以外にも、電極材料200の印刷位置を変更したその他の電極印刷シートを作製して用いたり、その電極印刷シートの積層位置・積層順序等を変更したりすることによって、内部電極層20の形状や配設位置を様々に変化させることができる。
その他は、実施例1と同様の構成であり、同様の作用効果を示す。
(実施例4)
本例は、図15、図16に示すごとく、実施例1のユニット体10において、スリット部12を多孔性セラミックス材料により形成した例である。
図15は、焼成工程前のユニット体10の消失スリット層120周辺を拡大した断面構造を示している。
図16は、焼成工程後のユニット体10のスリット部12周辺を拡大した断面構造を示している。
本例では、図15に示すごとく、焼成工程前のユニット体10において、消失スリット層120を構成する消失材料に代えて、圧電材料としてのピエゾ粒子121よりなるスラリー中に、消失材料としてのカーボン粒子122を分散させてなる多孔性セラミックス材料を用いて消失スリット層120を構成している。
なお、消失材料として、スラリーを構成するピエゾ粒子121の平均粒子径の約6倍に当たる平均粒子径3μmのカーボン粒子122を用いた。また、カーボン粒子122は、多孔性セラミックス材料全体に対して約25体積%の割合となるようにする。
その他は、実施例1と同様である。
図16に示すごとく、焼成工程後のユニット体10は、焼成して残留したピエゾ粒子121中に、カーボン粒子122が消失して形成された消失孔123を多数有するスリット部12が形成される。これにより、緻密なセラミック層11と比較してスリット部12の剛性を低くすることができる。
また、多孔性セラミックス材料を用いることにより、焼成して残留したピエゾ粒子121がスリット部12となる部分の形状を精度高く維持すると共に、ユニット体10及びそれを用いて製造されるセラミック積層体1の形状精度も高くすることができる。また、セラミック積層体1において、スリット部12は、多孔性構造に基づく適度な柔軟性を発揮し得る部分になる。
以上のごとく、本例のユニット体10及びそれを用いて製造されるセラミック積層体1は、形状精度に優れていると共に、例えば圧電アクチュエータ等に用いて作動させた場合、セラミック積層体1にかかる応力をスリット部12によって緩和することができるため、耐久性に優れたものとなる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
本例において、消失材料を構成する、例えばカーボン粒子122等の平均粒子径は、ピエゾ粒子121の平均粒子径の2倍以上であり、20μm以下であることが好ましい。この場合には、多孔性セラミックス材料中に適切な大きさの孔を形成することができ、形成するスリット部12の形状精度と、強度とを両立することができる。
また、多孔性セラミックス材料全体に対する消失材料の割合は、10〜40体積%であることが好ましい。この場合には、スリット部12の形状精度を高くすることができると共に、強度を確保することができる。
さらに、多孔性セラミックス材料全体に対する消失材料の割合は、10〜30体積%であることがより好ましい。この場合には、形状精度はもちろんのこと、強度についても充分に確保することができる。
実施例1における、第1電極印刷シートを形成する工程を示す説明図。 実施例1における、第2電極印刷シートを形成する工程を示す説明図。 実施例1における、消失スリット印刷シートを形成する工程を示す説明図。 実施例1における、電極印刷シート及び消失スリット印刷シートを積層する工程を示す説明図。 実施例1における、予備積層体の上面図。 図5のA−A断面を示す断面図。 実施例1における、焼成工程後のユニット体の構造を示す説明図。 実施例1における、ユニット体に接着剤を介して積層する工程を示す説明図。 実施例1における、セラミック積層体の構造を示す説明図。 実施例2における、その他のユニット体の構造を示す説明図。 実施例2における、その他のユニット体の構造を示す説明図。 実施例2における、その他のユニット体の構造を示す説明図。 実施例3における、その他のユニット体の構造を示す説明図。 実施例3における、その他のユニット体の構造を示す説明図。 実施例4における、焼成工程前のユニット体の消失スリット層周辺の構造を示す説明図。 実施例4における、焼成工程後のユニット体のスリット部周辺の構造を示す説明図。
符号の説明
1 セラミック積層体
10 ユニット体
100 予備積層体
11 セラミック層
110 グリーンシート
111 スペーサ層
12 スリット部
120 消失スリット層
20 内部電極層
200 電極材料
31 第1電極印刷シート(電極印刷シート)
32 第2電極印刷シート(電極印刷シート)
33 消失スリット印刷シート
42 間隙
51 接着剤

Claims (5)

  1. セラミック層と内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体を製造する方法において、
    上記セラミック層となる部分を幅方向に複数含む幅広のグリーンシートを作製するグリーンシート作製工程と、
    上記グリーンシート上に上記内部電極層となる電極材料を印刷すると共に、該電極材料を印刷した領域に隣接して該電極材料と略同厚みのスペーサ層を印刷して電極印刷シートを形成する電極印刷工程と、
    上記電極印刷シートを積層し、加熱すると共に積層方向に加圧して予備積層体を形成する圧着工程と、
    上記予備積層体を切断して、1枚の上記セラミック層を幅方向に含む幅寸法を有しているユニット体を形成するユニット切断工程と、
    上記ユニット体を焼成する焼成工程とを含み、
    上記電極印刷工程では、上記ユニット切断工程において切断される部分を避けるように間隙を空けて上記電極材料及び上記スペーサ層の印刷を行い、上記圧着工程では、上記間隙が残るように加圧することを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
  2. 請求項において、上記圧着工程の前に、上記グリーンシート上にその後の焼成を行うことによって消失する消失スリット層を印刷すると共に、該消失スリット層を印刷した領域に隣接して該消失スリット層と略同厚みのスペーサ層を印刷して消失スリット印刷シートを形成する消失スリット印刷工程を行い、
    上記圧着工程においては、上記電極印刷シートと上記消失スリット印刷シートとを所定の順序で積層して上記予備積層体を形成し、
    上記焼成工程においては、上記消失スリット層を消失させることを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
  3. 請求項において、上記消失スリット印刷工程では、上記ユニット切断工程において切断される部分を避けるように間隙を空けて上記消失スリット層及び上記スペーサ層の印刷を行い、
    上記圧着工程では、上記間隙が残るように加圧することを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項において、上記焼成工程後には、上記ユニット体に接着剤を介して積層する接着積層工程を行うことを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1項において、上記スペーサ層は、上記グリーンシートと実質的に同材質よりなることを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
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