JP4894143B2 - セラミック積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
また、セラミック積層体は、過酷な条件の下で長期間に渡って使用される。それ故、例えば、側面の電気的な絶縁性を向上させるため、内部電極層の端部の一部を内方に控えた電極控え部を有するセラミック積層体がある。
また、上記の製造方法は、多くの工程を必要とするため、生産効率が悪いという問題もある。さらに、上記に示した圧着の問題のために、シートの積層数を増やすことができない等、生産効率の向上を図ることが困難であった。
しかしながら、上記の文献では、どちらか一方の問題を解消するにとどまり、従来の方法では、クラックや剥離等の不具合の抑制と生産効率の向上とを両立させることは、容易ではなかった。
上記セラミック層となる部分を幅方向に複数含む幅広のグリーンシートを作製するグリーンシート作製工程と、
上記グリーンシート上に上記内部電極層となる電極材料を印刷すると共に、該電極材料を印刷した領域に隣接して該電極材料と略同厚みのスペーサ層を印刷して電極印刷シートを形成する電極印刷工程と、
上記電極印刷シートを積層し、加熱すると共に積層方向に加圧して予備積層体を形成する圧着工程と、
上記予備積層体を切断して、1枚の上記セラミック層を幅方向に含む幅寸法を有しているユニット体を形成するユニット切断工程と、
上記ユニット体を焼成する焼成工程とを含み、
上記電極印刷工程では、上記ユニット切断工程において切断される部分を避けるように間隙を空けて上記電極材料及び上記スペーサ層の印刷を行い、上記圧着工程では、上記間隙が残るように加圧することを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
このように、上記製造方法は、従来よりも低圧での圧着、上記ユニット体の積層数の増加及び製造に必要な個数の削減等が可能となり、生産効率を向上させることができる。
上記加圧力が1MPa未満の場合、積層した上記電極印刷シートを確実に圧着することができないおそれがある。
上記加圧力が15MPa以上の場合、上記圧着工程後の上記電極印刷シートの密度にばらつきが生じるおそれがある。
上記加熱温度が110℃未満の場合、積層した上記電極印刷シートを確実に圧着することができないおそれがある。
上記加熱温度が130℃以上の場合、上記圧着工程後の上記予備積層体の形状精度が低下するおそれがある。
上記圧着工程では、上記間隙が残るように加圧する。
この場合には、上記間隙の存在によって、上記圧着工程における加圧力を上記電極材料及び上記スペーサ層が印刷された印刷面に集中させて均一化することができる。また、上記ユニット切断工程において、上記印刷面を直接切断することがないため、切断による変形等が少なく、形状精度の高い上記ユニット体を形成することができる。
上記圧着工程においては、上記電極印刷シートと上記消失スリット印刷シートとを所定の順序で積層して上記予備積層体を形成し、
上記焼成工程においては、上記消失スリット層を消失させることが好ましい(請求項2)。
また、上記空間の形状や配設位置は、上記消失スリット層の印刷位置や上記消失スリット印刷シートの積層位置等によって様々に変化させることができる。また、上記電極印刷シートと上記消失スリット印刷シートとの所定の順序とは、得ようとする予備積層体の構成によって定めることができる。
上記圧着工程では、上記間隙が残るように加圧することが好ましい。(請求項3)。
この場合も、上記と同様に、上記間隙の存在によって、上記圧着工程における加圧力を印刷面に集中させて均一化することができる。また、上記ユニット切断工程において、印刷された上記消失スリット層及び上記スペーサ層を直接切断することがないため、切断による変形等が少なく、形状精度の高い上記ユニット体を形成することができる。
この場合には、上記ユニット体を容易かつ確実に接着して積層することができる。
この場合には、上記電極材料に隣接して印刷された上記スペーサ層は、上記電極控え部を形成し、その部分の電気的な絶縁性を確保する役割を果たす。さらに、上記消失スリット層に隣接して印刷された上記スペーサ層は、上記セラミック層の一部を形成し、焼成工程後の上記ユニット体の形状を精度高く維持することができる。
本発明の実施例にかかるセラミック積層体の製造方法について、図1〜図9を用いて説明する。
本例のセラミック積層体1の製造方法は、図1〜図9に示すごとく、圧電材料よりなるセラミック層11と導電性を有する内部電極層20とを交互に積層してなるセラミック積層体1を製造する方法であり、少なくとも、以下の工程を含む。
電極印刷工程は、グリーンシート110上に内部電極層20となる電極材料200を印刷すると共に、電極材料200を印刷した領域に隣接して電極材料200と略同厚みのスペーサ層111を印刷して電極印刷シート31、32を形成する。
ユニット切断工程は、予備積層体100を切断して、1枚のセラミック層11を幅方向に含む幅寸法を有しているユニット体10を形成する。
焼成工程は、ユニット体10を焼成する。
以下、これを詳説する。
まず、圧電材料となるジルコン酸チタン酸鉛(PZT)等のセラミック原料粉末を準備し、800〜950℃で仮焼する。次に、仮焼粉に純水、分散剤を加えてスラリー状とし、パールミルにより湿式粉砕する。この粉砕物を乾燥、粉脱脂した後、溶剤、バインダ、可塑剤、分散剤等を加えてボールミルにより混合し、得られたスラリーを真空装置内で撹拌機により撹拌しながら真空脱泡、粘度調整をする。
なお、グリーンシートの成形方法としては、本例で用いたドクターブレード法のほか、押出成形法やその他種々の方法を用いることができる。
次に、図1、図2に示すごとく、グリーンシート110上に内部電極層20となる電極材料200を印刷すると共に、電極材料200を印刷した領域に隣接して電極材料200と略同厚みのスペーサ層111を印刷し、第1電極印刷シート31及び第2電極印刷シート32の2種類のシートを形成する。
以下に、電極印刷シート31、32の形成について説明する。
なお、本例では、電極材料200として、ペースト状のAg/Pd合金を用いた。また、上記以外にも、Ag、Pd、Cu、Ni等の単体、Cu/Ni等の合金を用いることができる。
ここで、本例では、製造するセラミック積層体1にスリット部12(図9)を設けるため、図3に示すごとく、消失スリット印刷シート33を形成する消失スリット印刷工程を行う。
同図に示すごとく、上記のグリーンシート110上の印刷領域41において、最終的にスリット部12となる部分に焼成によって消失する消失材料よりなる消失スリット層120を印刷する。そして、印刷領域41において、消失スリット層120を印刷した部分と他の部分との印刷高さを略一致させるため、消失スリット層120が印刷されていない部分に、上記スラリーよりなるスペーサ層111を消失スリット層120と同厚みで印刷する。これにより、消失スリット印刷シート33を形成する。
また、電極材料200及びスペーサ層111、消失スリット層120及びスペーサ層111は、印刷する順序を変更してもかまわない。
次に、図4に示すごとく、形成した第1電極印刷シート31、第2電極印刷シート32、及び消失スリット印刷シート33を所定の順序で各印刷領域41を積層方向に揃えて積層する。このとき、第1電極印刷シート31及び第2電極印刷シート32を交互に積層し、上記スリット部12を形成したい位置に消失スリット印刷シート33を挿入して積層する。また、積層するシートの上端には、印刷を施していないグリーンシート110を積層しておく。
そして、積層した40枚のシートを120℃で加熱すると共に積層方向に5MPaで加圧し、予備積層体100を形成する。
次に、図5、図6に示すごとく、形成した予備積層体100を切断位置43に沿って積層方向に切断し、ユニット体10を形成する。
なお、予備積層体100の切断は、各ユニット体10ごとに切断してもよいし、複数のユニット体10を含んで切断してもよい。
次に、ユニット体10のグリーンシート110に含有されているバインダ樹脂を90%以上加熱除去する。加熱条件は、80時間かけて徐々に500℃まで昇温し、5時間保持する。
次に、脱脂したユニット体10を焼成し、消失スリット層120を消失させる。焼成条件は、12時間かけて徐々に1065℃まで昇温し、2時間保持後、徐々に冷却する。
そして、焼成後のユニット体10について、全面研磨を行う。
また、同図に示すごとく、作製されたユニット体10は、グリーンシート110により形成されたセラミック層11と電極材料200により形成された内部電極層20とを交互に積層してなる。スペーサ層111は、内部電極層20の端部を内方に控えた電極控え部29及びセラミック層11の一部を形成している。
ここで、上記焼成工程後のユニット体10に接着剤51を介して積層する接着積層工程を行う。
図8に示すごとく、焼成して得られた11個のユニット体10に接着剤51を介して接着積層し、上下両端にグリーンシート110よりなる保護層13を設ける。これにより、図9に示すごとく、セラミック積層体1を完成させた。
なお、本例では、接着剤51としてシリコン接着剤を用いた。また、上記以外にも、ポリイミド接着剤等を用いることができる。
本例のセラミック積層体1の製造方法は、電極印刷工程において、グリーンシート110上に内部電極層20となる電極材料200を印刷すると共に、電極材料200を印刷した領域に隣接して電極材料200と略同厚みのスペーサ層111を印刷して電極印刷シート31、32を形成する。
このように、上記製造方法は、従来よりも低圧での圧着、ユニット体10の積層数の増加及び製造に必要な個数の削減等が可能となり、生産効率を向上させることができる。
なお、スリット部12の形状や配設位置は、消失スリット層120の印刷位置や消失スリット印刷シート33の積層位置等によって様々に変化させることができる。
また、スペーサ層111は、グリーンシート110と実質的に同材質よりなる。そのため、電極材料200に隣接して印刷されたスペーサ層111は、内部電極層20の端部を内方に控えた電極控え部29を形成し、その部分の電気的な絶縁性を確保する役割を果たしている。さらに、消失スリット層120に隣接して印刷されたスペーサ層111は、セラミック層11の一部を形成し、焼成工程後の上記ユニット体の形状を精度高く維持することができる。
本例は、図10〜図12に示すごとく、実施例1のユニット体10において、スリット部12の形状や配設位置を変更した例である。
また、スリット部12は、隣り合う内部電極層20の中間部、あるいは内部電極層20に沿って形成することができる。図11は、内部電極層20に沿って、スリット部12を形成した例である。
また、スリット部12は、ユニット体10の側面全周に渡って、あるいは側面の一部に形成することもできる。図12は、ユニット体10の相互に対面する一対の側面において、スリット部12を形成した例である。
その他は、実施例1と同様の構成であり、同様の作用効果を有する。
本例は、図13、図14に示すごとく、実施例1のユニット体10において、内部電極層20の形状及び配設位置を変更した例である。
図13、図14は、実施例1の2種類の電極印刷シート31、32のうち、どちらか一方を用いてユニット体10を形成した例である。
また、図14は、第2電極印刷シート32及び消失スリット印刷シート33を用いてユニット体10を形成した例である。この場合にも、シートを積層する際に、第2電極印刷シート32の向きが交互に左右反対となるように積層した。
その他は、実施例1と同様の構成であり、同様の作用効果を示す。
本例は、図15、図16に示すごとく、実施例1のユニット体10において、スリット部12を多孔性セラミックス材料により形成した例である。
図15は、焼成工程前のユニット体10の消失スリット層120周辺を拡大した断面構造を示している。
図16は、焼成工程後のユニット体10のスリット部12周辺を拡大した断面構造を示している。
なお、消失材料として、スラリーを構成するピエゾ粒子121の平均粒子径の約6倍に当たる平均粒子径3μmのカーボン粒子122を用いた。また、カーボン粒子122は、多孔性セラミックス材料全体に対して約25体積%の割合となるようにする。
その他は、実施例1と同様である。
また、多孔性セラミックス材料を用いることにより、焼成して残留したピエゾ粒子121がスリット部12となる部分の形状を精度高く維持すると共に、ユニット体10及びそれを用いて製造されるセラミック積層体1の形状精度も高くすることができる。また、セラミック積層体1において、スリット部12は、多孔性構造に基づく適度な柔軟性を発揮し得る部分になる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
さらに、多孔性セラミックス材料全体に対する消失材料の割合は、10〜30体積%であることがより好ましい。この場合には、形状精度はもちろんのこと、強度についても充分に確保することができる。
10 ユニット体
100 予備積層体
11 セラミック層
110 グリーンシート
111 スペーサ層
12 スリット部
120 消失スリット層
20 内部電極層
200 電極材料
31 第1電極印刷シート(電極印刷シート)
32 第2電極印刷シート(電極印刷シート)
33 消失スリット印刷シート
42 間隙
51 接着剤
Claims (5)
- セラミック層と内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体を製造する方法において、
上記セラミック層となる部分を幅方向に複数含む幅広のグリーンシートを作製するグリーンシート作製工程と、
上記グリーンシート上に上記内部電極層となる電極材料を印刷すると共に、該電極材料を印刷した領域に隣接して該電極材料と略同厚みのスペーサ層を印刷して電極印刷シートを形成する電極印刷工程と、
上記電極印刷シートを積層し、加熱すると共に積層方向に加圧して予備積層体を形成する圧着工程と、
上記予備積層体を切断して、1枚の上記セラミック層を幅方向に含む幅寸法を有しているユニット体を形成するユニット切断工程と、
上記ユニット体を焼成する焼成工程とを含み、
上記電極印刷工程では、上記ユニット切断工程において切断される部分を避けるように間隙を空けて上記電極材料及び上記スペーサ層の印刷を行い、上記圧着工程では、上記間隙が残るように加圧することを特徴とするセラミック積層体の製造方法。 - 請求項1において、上記圧着工程の前に、上記グリーンシート上にその後の焼成を行うことによって消失する消失スリット層を印刷すると共に、該消失スリット層を印刷した領域に隣接して該消失スリット層と略同厚みのスペーサ層を印刷して消失スリット印刷シートを形成する消失スリット印刷工程を行い、
上記圧着工程においては、上記電極印刷シートと上記消失スリット印刷シートとを所定の順序で積層して上記予備積層体を形成し、
上記焼成工程においては、上記消失スリット層を消失させることを特徴とするセラミック積層体の製造方法。 - 請求項2において、上記消失スリット印刷工程では、上記ユニット切断工程において切断される部分を避けるように間隙を空けて上記消失スリット層及び上記スペーサ層の印刷を行い、
上記圧着工程では、上記間隙が残るように加圧することを特徴とするセラミック積層体の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項において、上記焼成工程後には、上記ユニット体に接着剤を介して積層する接着積層工程を行うことを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項において、上記スペーサ層は、上記グリーンシートと実質的に同材質よりなることを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
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