JP4894091B2 - 水分散型撥水撥油剤組成物およびその製造方法 - Google Patents

水分散型撥水撥油剤組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水分散型撥水撥油剤組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリフルオロアルキル基(以下、Rf 基と記す。)を含む付加重合性の単量体の重合単位を有する重合体を水系溶媒分散液として繊維製品等に処理し、それらの表面に撥水撥油性を付与する技術は知られている。また、該水系溶媒分散液の製造方法は、重合体を水系溶媒中で乳化剤を用いて乳化分散して製造する方法や、付加重合性の単量体を用いて乳化重合により製造する方法が知られている。
近年では、作業環境上の問題や環境に対する影響等の問題から、撥水撥油加工は、水系溶媒分散液として調製されたものを使用することが推奨されている。さらに、その中でより保存安定性が良好な水系溶媒分散液が求められており、それらを安定に効率よく製造する、製造安定性に優れた製造方法が望まれている。
しかし、製造安定性および保存安定性と撥水撥油性の両立を図ることは難しく、これまで特定の機械的乳化装置を用いて安定なポリフルオロアルキル基含有水系溶媒分散液を提供する方法(特開平06−206934号公報)などが開示されているが、実際の製造に応用することは大規模な装置の導入などが必要であり、簡単ではなかった。また、単量体の組成によっては充分な効果を得ることが難しかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、良好な撥水撥油性を繊維製品等に付与でき、製造安定性に優れ、かつ製品の保存安定性に優れた水分散型撥水撥油剤組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、従来困難であった製造安定性および保存安定性と撥水撥油性の繰り返し洗濯による耐久性の両立を、特定の乳化剤と重合開始剤とを併用した、水分散型撥水撥油剤組成物及びその製造方法を採用することにより実現できた。
【0005】
すなわち、本発明は、下記の(1)〜(4)に示す水分散型撥水撥油剤組成物およびその製造方法を提供する。
(1)下記重合体(X)、下記重合開始剤(Y)および下記乳化剤(Z)を水系溶媒(W)中に分散させた水分散型撥水撥油剤組成物であって、重合開始剤(Y)の配合量が、重合体(X)に対して0.1〜1.5質量%であり、乳化剤(Z)の配合量が、重合体(X)に対して0.1〜5質量%であり、水系溶媒(W)の量が、重合体(X)の量に対して質量で1〜5倍であることを特徴とする水分散型撥水撥油剤組成物。
重合体(X):Rf 基と1個の重合性不飽和基とを有する単量体の重合単位と、これと共重合可能な単量体の重合単位とを含む共重合体。
重合開始剤(Y):2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2イル)プロパン]二酢酸塩。
乳化剤(Z):E−G−E構造(Eはポリオキシエチレン鎖、Gはポリオキシエチレン鎖以外のポリオキシアルキレン鎖)を有するブロック共重合体。
【0006】
(2)さらに有機酸(V)として酢酸を含むことを特徴とする水分散型撥水撥油剤組成物。
【0007】
(3)乳化剤(Z)の質量平均分子量が2000〜5000であり、かつ、Gがポリオキシプロピレン鎖であることを特徴とする水分散型撥水撥油剤組成物。
【0008】
(4)前記水分散型撥水撥油剤組成物を製造する方法であって、Rf 基と1個の重合性不飽和基とを有する単量体と、これと共重合可能な単量体とを、水系溶媒(W)中で、重合開始剤(Y)および乳化剤(Z)の存在下に乳化重合することを特徴とする水分散型撥水撥油剤組成物の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の水分散型撥水撥油剤組成物(以下、本発明の組成物ともいう。)は、Rf 基を有する重合体(X)と、特定の重合開始剤(Y)と、乳化剤(Z)とを用いることを特徴としている。なお、本明細書においては、アクリレートとメタクリレートとを総称して(メタ)アクリレートと記す。(メタ)アクリルアミド等の表記においても同様である。
【0010】
重合体(X)は、Rf 基と1個の重合性不飽和基とを有する単量体(以下、単量体(a1 )ともいう。)の重合単位と、単量体(a1 )と共重合可能な単量体(以下、単量体(a2 )ともいう。)の重合単位とを含む共重合体である。
【0011】
単量体(a1 )におけるRf 基とは、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基をいう。Rf 基の炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。Rf 基は直鎖構造でも分岐構造でもよく、直鎖構造が好ましい。分岐構造である場合には、分岐部分がRf 基の末端部分に存在し、かつ、末端部分は炭素数1〜4の短鎖であるのが好ましい。
【0012】
f 基は、フッ素原子以外の他のハロゲン原子を含んでいてもよい。他のハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。また、Rf 基中の炭素−炭素結合間には、エーテル性酸素原子、エステル結合、スルホンアミド基またはチオエーテル性硫黄原子が挿入されていてもよい。
f 基の末端部分の構造としては、CF3 CF2 −、(CF3 2 CF−、CF2 H−、CFH2 −、CF2 Cl−等が挙げられ、中でも、CF3 CF2 −が好ましい。
【0013】
f 基中のフッ素原子数は、[(Rf 基中のフッ素原子数)/(Rf 基と同一炭素数の対応するアルキル基中に含まれる水素原子数)]×100(%)で表現した場合に、60%以上が好ましく、特に80%以上が好ましい。
さらにRf 基は、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換された基(すなわちペルフルオロアルキル基)、またはペルフルオロアルキル基を末端部分に有する基が好ましい。
【0014】
ペルフルオロアルキル基の炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。ペルフルオロアルキル基の炭素数が少な過ぎると撥水性能および撥油性能が低下する傾向があり、多過ぎると重合体が常温で固体となり、昇華性も大きく取扱いが困難になる場合がある。
【0015】
f 基の具体例としては、以下の基が挙げられる。
4 9 −[CF3 (CF2 3 −、(CF3 2 CFCF2 −、(CF3 3 C−またはCF3 CF2 (CF3 )CF−等の構造異性の基を含む]、C5 11−[たとえばCF3 (CF2 4 −]、C6 13−[たとえばCF3 (CF2 5 −]、C7 15−[たとえばCF3 (CF2 6 −]、C8 17−[たとえばCF3 (CF2 7 −]、C9 19−[たとえばCF3 (CF2 8 −]、C1021−[たとえばCF3 (CF2 9 −]、C1225−[たとえばCF3 (CF2 11−]、C1429−[たとえばCF3 (CF2 13−]、C1633−[たとえばCF3 (CF2 15−]、Cl(CF2 t −、H(CF2 t −(tは2〜20の整数)、(CF3 2 CF(CF2 s −(sは1〜17の整数)等。
【0016】
f 基が、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子、エステル結合、スルホンアミド基またはチオエーテル性硫黄原子が挿入された基である場合の具体例としては、以下の基が挙げられる。
CF3 (CF2 4 OCF(CF3 )−、F[CF(CF3 )CF2 O]r CF(CF3 )CF2 CF2 −、F[CF(CF3 )CF2 O]u CF(CF3 )−、F[CF(CF3 )CF2 O]u CF2 CF2 −、F(CF2 CF2 CF2 O)u CF2 CF2 −、F(CF2 CF2 O)u CF2 CF2 −、F(CF2 5 SCF(CF3 )−、F[CF(CF3 )CF2 S]r CF(CF3 )CF2 CF2 −、F[CF(CF3 )CF2 S]u CF(CF3 )−、F[CF(CF3 )CF2 S]u CF2 CF2 −、F(CF2 CF2 CF2 S)u CF2 CF2 −、F(CF2 CF2 S)w CF2 CF2 −(rは独立に1〜5の整数、uは1〜6の整数、wは1〜9の整数)等。
【0017】
単量体(a1 )における重合性不飽和基としては、オレフィン類の残基、ビニルエーテル類の残基、ビニルエステル類の残基、(メタ)アクリレート類の残基、スチレン類の残基等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリレートの残基が好ましく、単量体(a1 )としては、Rf 基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。ここで、Rf 基を有する(メタ)アクリレート(a1 )とは、Rf 基が(メタ)アクリレートのアルコール残基部分に存在する化合物をいう。
【0018】
f 基を有する(メタ)アクリレート(a1 )としては、下式a11で表される化合物が好ましい。ここで、Qは2価の有機基、Rは水素原子またはメチル基を示す。
f −Q−OCOCR=CH2 ・・・式a11
【0019】
式a11におけるRf 基としては、上述したRf 基の中でも、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子、エステル結合、スルホンアミド基またはチオエーテル性硫黄原子を含まないRf 基が好ましく、特にペルフルオロアルキル基が好ましく、とりわけ直鎖構造のペルフルオロアルキル基が好ましい。直鎖構造のペルフルオロアルキル基としては、CF3 (CF2 n −(ただし、nは1〜19の整数であり、3〜15の整数が好ましく、特に5〜11の整数が好ましい。)で表される基が好ましい。
【0020】
式a11におけるQとしては、−(CH2 p+q −、−(CH2 p CONRa (CH2 q −、−(CH2 p OCONRa (CH2 q −、−(CH2 p SO2 NRa (CH2 q −、−(CH2 p CONH(CH2 q −、−(CH2 p CH(OH)(CH2 q −、−(CH2 p CH(OCORa )(CH2 q −等が好ましい。ここで、Ra は水素原子またはアルキル基を示す。また、pおよびqは独立に0以上の整数を示し、p+qは1〜22の整数である。これらの中でもQは、−(CH2 p+q −、−(CH2 p CONRa (CH2 q −または−(CH2 p SO2 NRa (CH2 q −であり、かつ、qが2以上の整数であり、かつp+qが2〜6である場合が好ましい。特に、p+qが2〜6である場合の−(CH2 p+q −(すなわち、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘプタメチレン基またはヘキサメチレン基)が好ましい。また、式a11において、Qと結合するRf 基の炭素原子には、フッ素原子が結合しているのが好ましい。
【0021】
単量体(a1 )は1種単独でも2種以上を併用してもよいが、単量体(a1 )としては、Rf 基を有する(メタ)アクリレートの重合単位を1種または2種以上含むのが好ましい。Rf 基を有する(メタ)アクリレートの重合単位を2種以上含む場合には、炭素数の異なるRf 基を有する(メタ)アクリレートを用いるのが好ましい。
【0022】
f 基を有する(メタ)アクリレート(a1 )としては、具体的には、下記化合物が好ましく挙げられる。ここで、Rは水素原子またはメチル基を示す。
CF3(CF2)4CH2OCOCR=CH2
CF3(CF2)5CH2CH2OCOCR=CH2
CF2H(CF2)5CH2OCOCR=CH2
CF2H(CF2)7CH2OCOCR=CH2
CF2H(CF2)9CH2OCOCR=CH2
CF2H(CF2)7CH2CH2OCOCR=CH2
CF3(CF2)7CH2CH2CH2OCOCR=CH2
CF3(CF2)7CH2CH2OCOCR=CH2
CF3(CF2)9CH2CH2OCOCR=CH2
CF3(CF2)11CH2CH2OCOCR=CH2
CF3(CF2)13CH2CH2OCOCR=CH2
CF3(CF2)15CH2CH2OCOCR=CH2
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2OCOCR=CH2
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2OCOCR=CH2
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2OCOCR=CH2
CF3(CF2)7SO2N(C3H7)CH2CH2OCOCR=CH2
CF3(CF2)7CH2CH2CH2CH2OCOCR=CH2
CF3(CF2)7SO2N(CH3)CH2CH2OCOCR=CH2
CF3(CF2)7SO2N(C2H5)CH2CH2OCOCR=CH2
CF3(CF2)7CONHCH2CH2OCOCR=CH2
(CF3)2CF(CF2)5CH2CH2CH2OCOCR=CH2
(CF3)2CF(CF2)5CH2CH(OCOCH3)OCOCR=CH2
(CF3)2CF(CF2)5CH2CH(OH)CH2OCOCR=CH2
(CF3)2CF(CF2)7CH2CH(OH)CH2OCOCR=CH2
CF3(CF2)8CH2CH2OCOCR=CH2
CF3(CF2)8CONHCH2CH2OCOCR=CH2
【0023】
本発明における重合体(X)は、単量体(a1 )の重合単位と共に、単量体(a2 )の重合単位を含む。単量体(a2 )としては、Rf 基を含まない公知または周知の単量体が挙げられ、重合性不飽和基を1個または2個有する単量体が好ましく、特に重合性不飽和基を1個有する単量体が好ましい。単量体(a2 )は1種単独でも2種以上を併用してもよいが、物性面からは2種以上の単量体(a2 )を用いるのが好ましい。
【0024】
単量体(a2 )としては、モノオレフィン、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、カルボン酸ビニル、スチレン、置換スチレン、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、アルキルビニルエーテル、(置換アルキル)ビニルエーテル、ビニルアルキルケトン、ジオレフィン、グリシジル(メタ)アクリレート、アジリジニル(メタ)アクリレート、アジリジニルアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、アルアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート、ポリジメチルシロキサン基を有する(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、カルボン酸アリル、N−ビニルカルバゾール、マレイミド、N−メチルマレイミド、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、置換アミノアルキル(メタ)アクリレート、またはブロック化イソシアネート基含有(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。
【0025】
中でも、単量体(a2 )としては、エチレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、メチロール化ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル (メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチロール(メタ)アクリルアミド、アルキルビニルエーテル、(ハロゲン化アルキル)ビニルエーテル、ビニルアルキルケトン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、グリシジル(メタ)アクリレート、アジリジニル(メタ)アクリレート、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、炭素数1〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、炭素数5〜8のシクロアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート(2−エチルヘキシル)エーテル、ポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート、ポリジメチルシロキサン基を有する(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、酢酸アリル、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、N−ビニルカルバゾール、マレイミド、N−メチルマレイミド、(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、ジオクチルマレートおよびブロック化イソシアネート基含有(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0026】
特に、単量体(a2 )としては、塩化ビニル、炭素数1〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、炭素数5〜8のシクロアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレート、ブロック化イソシアネート基含有(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよびN−ブトキシメチロール(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0027】
炭素数1〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート等が好ましい。炭素数5〜8のシクロアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレートとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0028】
本発明における重合体(X)は、単量体(a1 )の重合単位と単量体(a2 )の重合単位とを含む共重合体であるが、単量体(a1 )の重合単位のみからなる重合体および/または単量体(a2 )の重合単位のみからなる重合体を含んでいてもよい。
重合体(X)中の各重合単位の割合は、単量体(a1 )の重合単位が40〜96質量%、単量体(a2 )の重合単位が4〜60質量%とするのが好ましく、特に単量体(a1 )の重合単位が55〜80質量%、単量体(a2 )の重合単位が20〜45質量%とするのが好ましい。
【0031】
本発明における重合開始剤(Y)は、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリ−2イル)プロパン]二酢酸塩である
【0032】
本発明の組成物における重合開始剤(Y)の配合量は、重合体(X)に対して0.1〜1.5質量%が好ましく、特に0.2〜1.2質量%が好ましい。
【0033】
本発明の組成物は乳化剤(Z)を含む。本発明において、乳化剤(Z)はE−G−E構造(Eはポリオキシエチレン鎖、Gはポリオキシエチレン鎖以外のポリオキシアルキレン鎖)を有するブロック共重合体である。Gとしては、ポリオキシプロピレン鎖、ポリスチレン鎖、ポリビニルピロリドン鎖、ポリオキシブチレン鎖等が挙げられる。中でも、ポリオキシプロピレン鎖が好ましい。また、乳化剤(Z)の質量平均分子量は1000〜10000が好ましく、特に2000〜5000が好ましい。乳化剤(Z)としては、質量平均分子量2000〜5000であり、かつ、Gがポリオキシプロピレン鎖であることが特に好ましい。
乳化剤(Z)中のGの質量割合は20〜70質量%が好ましく、特に30〜50質量%が好ましい。乳化剤(Z)は1種単独でも2種以上を併用することもできる。
【0034】
また、本発明では乳化剤(Z)に加えて、乳化剤(Z)以外の乳化剤(C)を併用することが好ましい。
乳化剤(C)としてはノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、両性乳化剤が採用できる。乳化剤(C)は1種単独でも2種以上を併用することもできるが、乳化剤(C)としてノニオン性乳化剤を含まない場合には、カチオン性乳化剤または両性乳化剤を用いるのが好ましい。
【0035】
乳化剤(C)におけるノニオン性乳化剤としては、下記乳化剤(c1 )〜(c5 )から選択される1種以上のノニオン性乳化剤が好ましい。
乳化剤(c1 )は、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテル、またはポリオキシアルキレンモノアルカポリエニルエーテルからなるノニオン性乳化剤である。
【0036】
乳化剤(c1 )におけるアルキル基、アルケニル基またはアルカポリエニル基は、それぞれ炭素数4〜26であるのが好ましい。また、アルキル基、アルケニル基またはアルカポリエニル基は、それぞれ直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。分岐構造である場合には、2級アルキル基、2級アルケニル基または2級アルカポリエニル基が好ましい。アルキル基、アルケニル基またはアルカポリエニル基の具体例としては、オクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ベヘニル基(ドコシル基)、またはオレイル基(9−オクタデセニル基)等が挙げられる。
【0037】
中でも、乳化剤(c1 )としては、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルまたはポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテルが好ましい。
乳化剤(c1 )のポリオキシアルキレン部分は、1種または2種のオキシアルキレン基からなるのが好ましく、2種からなる場合には、それらの連なり方はブロック状であるのが好ましい。ポリオキシアルキレン部分は、オキシエチレン基および/またはオキシプロピレン基が2個以上連なった部分からなるのが好ましい。
【0038】
乳化剤(c1 )としては、下式c11で表される化合物が好ましい。ただし、式c11中のR10は炭素数8以上のアルキル基または炭素数8以上のアルケニル基を示し、gは0〜20の整数を示し、hは5〜50の整数を示す。また、gとhとが2以上である場合、式c11中のオキシエチレン基とオキシプロピレン基とはブロック状になって連結されている。
R10O[CH2CH(CH3)O ]g -(CH2CH2O)h H ・・・式c11
式c11中のR10は、直鎖構造または分岐構造のいずれであってもよい。hは10〜30の整数が好ましく、gは0〜10の整数が好ましい。hが4以下、またはgが21以上では、水に難溶性となり、水系溶媒中に均一に溶解しないため、浸透性向上効果を低下させる場合がある。また、hが51以上では親水性が高くなり、撥水性を低下させる場合がある。
【0039】
化合物(式c11)の具体例としては下記化合物が挙げられる。ただし、下式においてgおよびhは上記と同じ意味を示し、好ましい態様も同じである。また、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とはブロック状になって連結されている。
C18H37O[CH2CH(CH3)O]g -(CH2CH2O)h H 、
C18H35O[CH2CH(CH3)O]g -(CH2CH2O)h H 、
C16H33O[CH2CH(CH3)O]g -(CH2CH2O)h H 、
C12H25O[CH2CH(CH3)O]g -(CH2CH2O)h H 、
(C8H17)(C6H13CHO[CH2CH(CH3)O]g ) -(CH2CH2O)h H 、
C10H21O[CH2CH(CH3)O]g -(CH2CH2O)h H 。
【0040】
乳化剤(c2 )は、分子中に1個以上の炭素−炭素三重結合および1個以上の水酸基を有し、かつ乳化性を示す化合物からなるノニオン性乳化剤である。
乳化剤(c2 )は、分子中に1個の炭素−炭素三重結合、および1個または2個の水酸基を有する化合物からなるノニオン性乳化剤が好ましい。また、該ノニオン性乳化剤は、部分構造としてポリオキシアルキレン部分を有していてもよい。ポリオキシアルキレン部分としては、ポリオキシエチレン部分、ポリオキシプロピレン部分、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とがランダム状に連なった部分、またはポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとがブロック状に連なった部分、が挙げられる。
【0041】
乳化剤(c2 )としては、下式c21、式c22、式c23または式c24で表される化合物が好ましい。
HO-CR11R12-C≡C-CR13R14-OH ・・・式c21
HO-(A1O)i -CR11R12-C≡C-CR13R14- (OA2)j -OH ・・・式c22
HO-CR15R16-C≡C-H ・・・式c23
HO-(A3O)k -CR15R16-C≡C-H ・・・式c24
【0042】
ここで、式c21〜式c24中のA1 、A2 およびA3 は、それぞれ独立に、アルキレン基を示し、iおよびjはそれぞれ0以上の整数を示し(i+j)は1以上の整数である。kは1以上の整数を示す。i、jまたはkがそれぞれ2以上である場合には、A1 、A2 およびA3 は、それぞれ1種のアルキレン基のみからなっていても、2種以上のアルキレン基からなっていてもよい。
【0043】
11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を示す。アルキル基は炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、特に炭素数6〜12のアルキル基が好ましい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基またはイソブチル基などが挙げられる。
【0044】
また、オキシアルキレン部分としては、オキシエチレン部分、オキシプロピレン部分またはオキシエチレン部分とオキシプロピレン部分の両方からなるのが好ましい。また、乳化剤(c2 )中のオキシアルキレン基の個数は1〜50が好ましい。
【0045】
さらには、乳化剤(c2 )としては、下式c25で表される化合物からなるノニオン性乳化剤が好ましい。ただし、式c25のxおよびzはそれぞれ0以上の整数を示す。ノニオン性乳化剤(式c25)は1種単独でも2種以上を併用してもよい。
【0046】
【化1】
Figure 0004894091
【0047】
ノニオン性乳化剤(式c25)としては、xとzとの和の平均が10または30であるノニオン性乳化剤、xが0でありかつzが0であるノニオン性乳化剤、またはxとzとの和が1〜4(平均が1.3)であるノニオン性乳化剤が好ましい。
【0048】
乳化剤(c3 )は、分子中にアミンオキシド部分を有するノニオン性乳化剤であり、下式c31で表される化合物からなるノニオン性乳化剤が好ましい。
(R17)(R18)(R19)N(→O) ・・・式c31
【0049】
式c31中のR17、R18およびR19は、それぞれ独立に1価の炭化水素基を示す。分子中にアミンオキシド部分(N→O)を有する乳化剤は、カチオン性乳化剤に分類されることもあるが、本発明においては、ノニオン性乳化剤として扱う。
【0050】
乳化剤(c3 )としては、特に下式c32で表されるノニオン性乳化剤が、重合体Aの分散安定性を向上させることから好ましい。
(R20)(CH3 2 N(→O) ・・・式c32
【0051】
式c32中のR20は、炭素数6〜22のアルキル基、炭素数6〜22のアルケニル基、アルキル基(炭素数6〜22)が結合したフェニル基またはアルケニル基(炭素数6〜22)が結合したフェニル基を示し、炭素数8〜22のアルキル基または炭素数8〜22のアルケニル基が好ましい。
【0052】
ノニオン性乳化剤(式c32)の具体例としては、下記の化合物が好ましい。
[H(CH2 12](CH3 2 N(→O)、
[H(CH2 14](CH3 2 N(→O)、
[H(CH2 16](CH3 2 N(→O)、
[H(CH2 18](CH3 2 N(→O)。
【0053】
乳化剤(c4 )は、ポリオキシエチレンモノ(置換フェニル)エーテルの縮合物またはポリオキシエチレンモノ(置換フェニル)エーテルからなるノニオン性乳化剤である。乳化剤(c4 )における置換フェニル基としては、1価の炭化水素基で置換されたフェニル基が好ましく、特に、アルキル基、アルケニル基またはスチリル基で置換されたフェニル基が好ましい。
【0054】
乳化剤(c4 )としては、ポリオキシエチレンモノ(アルキルフェニル)エーテルの縮合物、ポリオキシエチレンモノ(アルケニルフェニル)エーテルの縮合物、ポリオキシエチレンモノ(アルキルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ(アルケニルフェニル)エーテルまたはポリオキシエチレンモノ[(アルキル)(スチリル)フェニル]エーテルが好ましい。
【0055】
ポリオキシエチレンモノ(置換フェニル)エーテルの縮合物、またはポリオキシエチレンモノ(置換フェニル)エーテルの具体例としては、ポリオキシエチレンモノ(ノニルフェニル)エーテルのホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンモノ(ノニルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ(オクチルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ(オレイルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ[(ノニル)(スチリル)フェニル]エーテルまたはポリオキシエチレンモノ[(オレイル)(スチリル)フェニル]エーテル等が挙げられる。
【0056】
乳化剤(c5 )はポリオールの脂肪酸エステルからなるノニオン性乳化剤である。乳化剤(c5 )における、ポリオールとしては、ポリエチレングリコール、デカグリセリン、ポリエチレングリコールと(ポリエチレングリコール以外の)ポリオールとのエーテル等が挙げられる。
【0057】
乳化剤(c5 )としては、オクタデカン酸とポリエチレングリコールとの1:1(モル比)エステル、ソルビットとポリエチレングリコールとのエーテルと、オレイン酸とのl:4(モル比)エステル、ポリオキシエチレングリコールとソルビタンとのエーテルと、オクタデカン酸との1:1(モル比)エステル、ポリエチレングリコールとソルビタンとのエーテルと、オレイン酸との1:1(モル比)エステル、ドデカン酸とソルビタンとの1:1(モル比)エステル、オレイン酸とデカグリセリンとの(1または2):1(モル比)エステル、オクタデカン酸とデカグリセリンとの(1または2):1(モル比)エステルが挙げられる。
【0058】
乳化剤(C)がカチオン性乳化剤を含む場合には、置換アンモニウム塩からなるカチオン性乳化剤を用いるのが好ましい。置換アンモニウム塩からなるカチオン性乳化剤は、アンモニウム塩の窒素原子に結合する水素原子の1個以上が、アルキル基、アルケニル基または末端が水酸基であるポリオキシアルキレン基に置換された化合物からなるカチオン性乳化剤が好ましく、特に下式c6 で表される化合物が好ましい。
【0059】
[(R214 + ]・B- ・・・式c6
ここで、式c6 中の記号は以下の意味を示す。
21:4つのR21はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜26のアルキル基、炭素数2〜26のアルケニル基または末端が水酸基であるポリオキシアルキレン基である。ただし、4つのR21は同時に水素原子にはならない。
- :対イオン。
【0060】
21がアルキル基である場合には、炭素数6〜26の長鎖アルキル基が好ましい。R21が長鎖アルキル基以外のアルキル基である場合には、メチル基またはエチル基が好ましい。R21がアルケニル基である場合には、炭素数6〜26の長鎖アルケニル基が好ましい。また、R21がポリオキシアルキレン基である場合には、ポリオキシエチレン基が好ましい。B- としては、塩素イオン、エチル硫酸イオンまたは酢酸イオンが好ましい。
【0061】
化合物(式c6 )としては、モノ(長鎖アルキル)アミン塩酸塩、モノ(長鎖アルキル)ジメチルアミン塩酸塩、モノ(長鎖アルキル)ジメチルアミン酢酸塩、モノ(長鎖アルケニル)ジメチルアミン塩酸塩、モノ(長鎖アルキル)ジメチルアミン・エチル硫酸塩、モノ(長鎖アルキル)トリメチルアンモニウムクロリド、ジ(長鎖アルキル)モノメチルアミン塩酸塩、ジ(長鎖アルキル)ジメチルアンモニウムクロリド、モノ(長鎖アルキル)モノメチルジ(ポリオキシエチレン)アンモニウムクロリド、ジ(長鎖アルキル)モノメチルモノ(ポリオキシエチレン)アンモニウムクロリド等が好ましく挙げられる。
【0062】
さらには、化合物(式c6 )としては、モノオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、モノオクタデシルジメチルモノエチルアンモニウムエチル硫酸塩、モノ(長鎖アルキル)モノメチルジ(ポリエチレングリコール)アンモニウムクロリド、ジ(牛脂アルキル)ジメチルアンモニウムクロリド、またはジメチルモノココナッツアミン酢酸塩等が好ましい。
【0063】
カチオン性乳化剤としては、アミン塩、4級アンモニウム塩、オキシエチレン付加型アンモニウム塩等も挙げられ、具体的には、アルキルジメチルアミン塩酸塩、ジアルキルメチルアミン塩酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、モノアルキルアミン酢酸塩、アルキルメチルジポリオキシエチレンアンモニウムクロリド等が挙げられる。アルキル部位としては、炭素数4〜26の飽和脂肪族基が挙げられ、具体的には、オクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ベヘニル基、2級アルキル基等が挙げられる。
【0064】
乳化剤(C)が、両性乳化剤を含む場合には、アラニン類、イミダゾリニウムベタイン類、アミドベタイン類、または酢酸ベタイン等からなる両性乳化剤が好ましい。両性乳化剤の具体例としては、ドデシルベタイン、オクタデシルベタイン、ドデシルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ドデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0065】
乳化剤(Z)は乳化剤(C)と併用することが好ましいが、その場合乳化剤(Z)と乳化剤(C)との合計量は、重合体(X)に対して1〜10質量%が好ましく、特に3〜10質量%が好ましい。乳化剤(Z)の配合量は、重合体(X)に対して0.1〜5質量%が好ましく、特に0.5〜2.0質量%が好ましい。乳化剤(Z)の配合量が少な過ぎると製造安定性や保存安定性を改善できず、多過ぎると水系溶媒分散液の撥水撥油性能が低下する場合がある。乳化剤(C)の配合量も少な過ぎると製造安定性や保存安定性を改善できず、多過ぎると撥水撥油性能が低下する場合がある。ただし、重合体(X)が自己乳化性のある単量体の重合単位を含む場合には、乳化剤(C)の量を減らしてもよい。
【0066】
本発明に用いられる水系溶媒(W)は、水のみ、または、水と水に溶解可能な有機溶媒との混合液、である。
水系溶媒(W)に用いられる有機溶媒は、アセトン、イソプロピルアルコール、飽和多価アルコール、飽和多価アルコールの(モノまたはポリ)アルキルエーテル、および飽和多価アルコールのアルキレンオキシド付加物からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
【0067】
飽和多価アルコールとしては、2〜4個の水酸基を有する化合物が好ましく、特に、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、またはトリメチロールプロパンが好ましい。
【0068】
飽和多価アルコールの(モノまたはポリ)アルキルエーテルとしては、ジオールのモノアルキルエーテルまたはジオールのジアルキルエーテルが好ましい。具体的には、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルまたはジプロピレングリコールジメチルエーテルが好ましく挙げられ、中でも、ジエチレングリコールモノメチルエーテルまたはジプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
【0069】
飽和多価アルコールのアルキレンオキシド付加物としては、飽和多価アルコールとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの反応物などが挙げられる。
【0070】
飽和多価アルコールとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの反応物としては、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、オキシプロピレン基が5個以上連なったポリプロピレングリコールが好ましい。
【0071】
これらの中でも、水系溶媒(W)に用いられる有機溶媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
【0072】
水系溶媒(W)として、水と有機溶媒との混合液を用いる場合には、有機溶媒の配合量は、重合体(X)に対して2〜50質量%が好ましく、特に5〜40質量%が好ましい。有機溶媒の量が少な過ぎると組成物の保存安定性が低くなる場合があり、有機溶媒の量が多過ぎると繰り返し洗濯による耐久性を低下させる場合がある。水系溶媒(W)の量は、重合体(X)の量に対して質量で1〜5倍が好ましい。
【0073】
本発明の組成物は、重合体(X)、重合開始剤(Y)、乳化剤(Z)を水系溶媒(W)中に分散させた水分散型撥水撥油剤組成物であれば特に限定されないが、これらの必須成分に加えて、さらに酢酸、ギ酸、プロピオン酸等の有機酸(V)を含むこともできる。有機酸(V)を含むことにより、重合開始剤の分解温度の低下、重合安定化による収率の向上、平均粒子径の安定化、保存安定性の向上という効果がある。
本発明の組成物における有機酸(V)の配合量は、重合開始剤(Y)に対して、モル比で1〜4倍が好ましく、特に1.5〜3倍が好ましい。
【0074】
本発明の組成物には、目的に応じてさらに他の成分を含ませてもよい。他の成分としては、架橋剤、他の重合体、他の撥水剤、撥油剤、防虫剤、難燃剤、帯電防止剤、染料安定剤、防シワ剤等の添加剤等が挙げられる。中でも、架橋剤が好ましい。
【0075】
架橋剤としては、ブロック化イソシアネート化合物、メラミン樹脂化合物、グリオキザール系樹脂化合物、尿素系樹脂化合物、架橋性単量体(N−メチロールアクリルアミド、2−イソシアネートエチルメタクリレートのブロック化体等)を必須重合単位とする重合体等が挙げられ、ブロック化イソシアネート化合物またはメラミン樹脂化合物が好ましい。
【0076】
ここで、ブロック化イソシアネート化合物としては、重合性不飽和基を有しない化合物であり、ポリイソシアネートのイソシアネート基をブロック化剤でブロックした構造の化合物が好ましい。ブロック化イソシアネート化合物は、乳化物となったものが市販されており、容易に入手できる。例えば、メイカネートMF(明成化学工業社製)、エラストロンBNII(第一工業製薬社製)等が挙げられる。メラミン樹脂化合物としては、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等が好ましく挙げられる。
【0077】
本発明において、単量体(a1 )と単量体(a2 )とを重合し、重合体(X)を得る方法は特に限定されないが、単量体(a1 )と単量体(a2 )とを、水系溶媒(W)中で、重合開始剤(Y)および乳化剤(Z)の存在下に乳化重合するのが好ましい。この方法により重合体(X)を含む本発明の組成物が製造される。より好ましくは、単量体(a1 )、単量体(a2 )、乳化剤(Z)、乳化剤(C)および水系溶媒(W)を含む原料組成物を、常圧または加圧下で乳化した後に、重合開始剤(Y)、有機酸(V)を加えて乳化重合させるのがよい。原料組成物中に含まれる水系溶媒(W)量は、単量体(a1 )と単量体(a2 )の質量の和に対して1〜5倍の範囲で用いるのが好ましい。
【0078】
単量体(a2 )が、常圧または加圧下での乳化条件において液体または固体である場合は、乳化時に原料組成物中に添加し、同時に乳化することが好ましい。
一方、単量体(a2 )が、常圧または加圧下での乳化条件において気体である場合は、原料組成物を常圧または加圧下で乳化した後に、乳化物中に導入するのが好ましい。このとき、単量体(a2 )の導入方法としては、自圧による導入または送液ポンプによる導入がある。
【0079】
また、原料組成物中には、必要に応じて連鎖移動剤、pH調整剤等を添加してもよい。
連鎖移動剤としては、本発明の組成物の諸性能を向上させうることから、下式で表される化合物を添加するのが好ましい。連鎖移動剤の添加量は、重合体(X)の質量平均分子量により適宜変更しうる。
25SH
ただし、式中のR25は炭素数12〜18のアルキル基を示す。中でも、R25としては、ドデシル基が好ましい。
【0080】
pH調整剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、オルトリン酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、テトラホウ酸ナトリウムなどの無機塩基およびトリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミンなどの有機塩基類などが挙げられる。pH調整剤の添加量は、水系溶媒(W)の100質量部あたり0.05〜2質量部が好ましく、特に0.1〜1.5質量部が好ましい。とりわけ、pHは重合速度が適度である点で、0.2〜1.0の範囲に調整されるのが好ましい。
【0081】
原料組成物の乳化は、常圧または加圧下のいずれで行うこともできる。加圧下で乳化する場合、通常は、あらかじめ撹拌をする等の方法で前乳化しておくのが好ましいが、本発明の製造方法においては、必ずしも前乳化を行わなくてもよい。
【0082】
加圧下で乳化する場合は、高圧乳化装置を用いるのが好ましい。高圧乳化装置としては、APVホモジナイザー、ハイドロシェア、マイクロフルイダイザ等が挙げられる。原料組成物を加圧下で乳化することにより、単量体のエマルションが生成しうる。乳化時の圧力は1〜50MPa(ゲージ圧)が好ましい。また、加圧時の原料組成物の温度は40〜80℃が好ましい。加圧下での乳化は、原料組成物を加圧条件下におくだけでも実施できるが、必要に応じて撹拌等を行ってもよい。
【0083】
加圧下で乳化することにより生成したエマルションは、エマルション中に含まれる単量体粒子の平均粒子径が小さく、熱力学的に安定であり、重合時に単量体の大部分が効率的に反応しうる利点がある。加圧乳化後のエマルション中の単量体の平均粒子径は0.1〜300nmが好ましく、特に100〜250nmが好ましい。
【0084】
本発明においては、加圧乳化後の原料組成物を乳化重合法により重合させるのが好ましい。乳化重合法としては、一般的な手法を採用でき、加圧乳化後の原料組成物に重合開始剤(Y) を加えて重合させるのが好ましい。反応時間は4〜70時間が好ましい。
【0085】
常圧または加圧乳化後の原料組成物を重合することにより得られる重合体Aのエマルションを含む溶液は、加圧ろ過することにより未反応物を取り除いておくのが好ましい。なお、ろ過後のエマルション中に含まれる固形分濃度は、生成した重合体Aの濃度とほぼ等しいと考えられる。
【0086】
本発明の製造方法によれば、重合体(X)が水系溶媒中に分散した水分散型の組成物が得られる。本発明においては、重合体(X)は、粒子状で水系溶媒(W)中に分散しているのが好ましい。また、重合体(X)の粒子の平均粒子径は、30〜250nmが好ましく、特に50〜200nmが好ましい。本発明の製造方法によれば、所望の平均粒子径を有する重合体(X)を高収率で得ることができ、製造安定性に優れている。
【0087】
重合反応で得た水分散液は、そのまま本発明の組成物としてもよく、目的や用途に応じて、水系溶媒(W)を用いて希釈してもよい。希釈する場合には、水のみで希釈するのが好ましい。
このようにして製造される本発明の組成物は、保存安定性に優れ、夾雑物が存在してもその安定性を保持しうる。
【0088】
本発明の組成物は、紙、繊維または繊維織物に撥水撥油性を付与するのに好適である。繊維または繊維織物としては、綿、麻、羊毛、絹等の動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の合成繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維およびこれらの混合繊維、または該繊維からなる繊維織物が挙げられる。
【0089】
紙、繊維または繊維織物への処理方法は、被処理物の素材や組成物の調製形態等に応じて、任意の方法が採用されうる。たとえば、浸漬塗布、スプレー、ナイフコーター等の被覆加工方法により被処理物の表面に付着させ、乾燥する方法が採用される。必要に応じて熱処理を行ってもよい。
【0090】
本発明の組成物が、優れた繰り返し洗濯による耐久性を有する機構は必ずしも明確ではないが、特定の乳化剤(Z)と重合開始剤(Y)を併用することにより、重合体粒子に親水性部分が効率よく付与されるため分散安定性の向上に寄与していると推察される。
【0091】
【実施例】
つぎに、本発明を例1、例2、例4および例6により具体的に説明する。例3は比較例であり、例5は参考例である。
[例1]
1Lのガラス製オートクレーブにペルフルオロアルキルエチルアクリレート[F(CF2 m CH2 CH2 OCOCH=CH2 であり、mが6〜16の混合物でmの平均値は9。純度93.6質量%、以下FAと記す。]200.9g、ジオクチルマレート(DOM)17.5g、N−ブトキシメチロールアクリルアミド(NBMA)4.0g、N−メチロールアクリルアミド(NMAA)2.7g、n−ドデシルメルカプタン(DoSH)0.8g、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体(質量平均分子量3300、ポリオキシプロピレンの割合40質量%)(日本油脂(株) 製、プロノン204)4. 0g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数20)(青木油脂(株) 社製、EN620)12. 1g、ジプロピレングリコール(DPG)107. 4g、酢酸2. 1g、イオン交換水389. 3gを加え、窒素で内部を置換後50℃で30分間撹拌した。
つぎに2,2' −アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2イル) プロパン] 2.8g、塩化ビニル56. 4gを圧入し、撹拌しながら温度を55℃に上げて10時間重合し、乳白色のエマルションを含む溶液を得た。この溶液をアドバンテック社製C−63ろ紙を用いて加圧ろ過した。ろ過後のエマルション中に含まれる固形分濃度は35.6質量%、重合体の平均粒子径は110nmであった。ろ紙上の残さを120℃で4時間乾燥したところ、残さの質量は1.2gであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈したものを原液1とした。
【0092】
[例2]
1Lのガラス製オートクレーブにFA201. 7g、ステアリルアクリレート74. 1g、NMAA6.7g、DoSH0.7g、プロノン204の2.7g、EN620の10. 8g、ステアリルジメチルアンモニウムクロリド(純分63%)4.3g、DPG107. 8g、酢酸0.7g、イオン交換水389.3gを加え、50℃で30分間撹拌した。
つぎにこの溶液をAPVゴーリン社製高圧乳化機LAB−60−10TBSを用いて20MPaで乳化した。この乳化液を699.2gとり、再び1Lのガラス製オートクレーブに移し、これに2,2' −アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2イル) プロパン] 0.8gを添加し、窒素加圧下にてオートクレーブ内を窒素で置換して撹拌しながら温度を50℃に上げて10時間重合し、乳白色のエマルションを含む溶液を得た。
この溶液をアドバンテック社製C−63ろ紙を用いて加圧ろ過した。ろ過後のエマルション中に含まれる固形分の濃度は35.1質量%、重合体の平均粒子径は125nmであった。ろ紙上の残さを120℃で4時間乾燥したところ、残さの質量は1.8gであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈したものを原液2とした。
【0093】
[例3]
1Lのガラス製オートクレーブにFA201.5g、DOM17.5g、NBMA4.0g、NMAA2.7g、DoSH0.8g、プロノン204の4. 0g、EN620の16. 2g、DPG107. 7g、イオン交換水390. 4gを加え、窒素で内部を置換した後50℃で30分間撹拌した。つぎに過硫酸アンモニウム2.7g、塩化ビニル56. 5gを圧入し、撹拌しながら温度を55℃に上げて10時間重合し、黄色のエマルションを含む溶液を得た。
この溶液をアドバンテック社製C−63ろ紙を用いて加圧ろ過した。ろ過後のエマルション中に含まれる固形分濃度は32.6質量%、重合体の平均粒子径は180nmであった。ろ紙上の残さを120℃で4時間乾燥したところ、残さの質量は18.5gであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈したものを原液3とした。
【0094】
[例4]
1Lのガラス製オートクレーブにFA200.9g、DOM17.5g、NBMA4.0g、NMAA2.7g、DoSH0.8g、プロノン204の4. 0g、EN620の16. 1g、DPG107. 4g、イオン交換水389. 4g、酢酸2.1gを加え、窒素で内部を置換した後50℃で30分間撹拌した。つぎに2,2' −アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2イル) プロパン] 2.8gを加え、塩化ビニル56. 4gを圧入し、撹拌しながら温度を55℃に上げて10時間重合し、黄色のエマルションを含む溶液を得た。
この溶液をアドバンテック社製C−63ろ紙を用いて加圧ろ過した。ろ過後のエマルション中に含まれる固形分濃度は3.3質量%、重合体の平均粒子径は153nmであった。ろ紙上の残さを120℃で4時間乾燥したところ、残さの質量は17.0gであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈したものを原液4とした。
【0095】
[例5]
1Lのガラス製オートクレーブにFA200.9g、DOM17.5g、NBMA4.0g、NMAA2.7g、DoSH0.8g、プロノン204の4. 0g、EN620の16. 1g、DPG107. 4g、イオン交換水389. 3g、酢酸2.1gを加え、窒素で内部を置換した後50℃で30分間撹拌した。つぎに2,2' −アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)2.7gを加え、塩化ビニル56. 4gを圧入し、撹拌しながら温度を55℃に上げて10時間重合し、黄色のエマルションを含む溶液を得た。
この溶液をアドバンテック社製C−63ろ紙を用いて加圧ろ過した。ろ過後のエマルション中に含まれる固形分濃度は33.3質量%、重合体の平均粒子径は140nmであった。ろ紙上の残さを120℃で4時間乾燥したところ、残さの質量は10.5gであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈したものを原液5とした。
【0096】
[例6]
1Lのガラス製オートクレーブにFA201. 7g、ステアリルアクリレート74. 1g、NMAA6.7g、DoSH0.7g、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体(平均分子量10000、ポリオキシプロピレンの割合80質量%)(日本油脂(株) 製、プロノン208)2.7g、EN620の10. 8g、ステアリルジメチルアンモニウムクロリド(純分63%)4.3g、DPG107. 8g、酢酸0.7g、イオン交換水389.3gを加え、50℃で30分間撹拌した。
つぎにこの溶液をAPVゴーリン社製高圧乳化機LAB−60−10TBSを用いて、20MPaで乳化した。この乳化液を699.2gとり、再び1Lのガラス製オートクレーブに移し、これに2,2' −アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2イル) プロパン] 0.8gを添加し、窒素加圧下オートクレーブ内を窒素で置換して撹拌しながら温度を50℃に上げて10時間重合し、乳白色のエマルションを含む溶液を得た。
この溶液をアドバンテック社製C−63ろ紙を用いて加圧ろ過した。ろ過後のエマルション中に含まれる固形分濃度は34.2質量%、重合体の平均粒子径は195nmであった。ろ紙上の残さを120℃で4時間乾燥したところ、残さの質量は3.5gであった。エマルションを固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水で希釈したものを原液6とした。
【0097】
[試験布の調製]
上記の方法で得られた原液1〜6の水に対する割合が4質量%となるように調製したものを処理液として、撥水撥油性を測定した。
綿ブロードおよびT/C(65/35) ブロード布を試験布として、処理液に試験布を浸漬し、2本のゴムローラーの間で布を絞ってウェットピックアップを70質量%とした。ついで110℃で90秒間乾燥し、さらに170℃で60秒間熱処理した布について評価した。ここで、T/Cブロード布とは、ポリエステルを65%と綿を35%含む混紡布をいう。
【0098】
[撥水性の評価]
JIS−L1092 1992のスプレー試験により行い、表1に示す撥水性ナンバーで表した。
【0099】
【表1】
Figure 0004894091
【0100】
[撥油性の評価]
AATCC−Test Method118−1997により行い、表2に示す撥油性ナンバーで表した。表2中、部は質量部を示す。
【0101】
【表2】
Figure 0004894091
【0102】
製造安定性は、重合後の残さの質量により評価した。重合終了後のエマルションすべてをろ過(アドバンテック製C−63ろ紙を使用)して採取した残さを、対流式オーブンにより120℃で4時間乾燥したものを秤量し、残さ量とした。残さ量が少ないほど製造安定性が優れていることを示す。
【0103】
保存安定性は、原液1〜6をそれぞれ100gずつ耐熱サンプルビンに取り、密閉条件で60℃で2週間放置したときの溶液状態により評価した。
○:ゲル化、沈降物なし
△:少量の沈降物
×: ゲル化もしくは大量の沈降物
結果を表3にまとめた。
【0104】
【表3】
Figure 0004894091
【0105】
表3より、例1、例2は、良好な撥水撥油性を示すとともに、残さ量も少なく製造安定性に優れ、かつ保存安定性に優れている。
【0106】
【発明の効果】
本発明の組成物は、良好な撥水撥油性を有し、特定の乳化剤と重合開始剤とを用いて製造することにより、製造安定性および組成物の保存安定性にも優れている。これにより優れた撥水撥油性と保存安定性とを有する組成物を効率的に提供することができる。

Claims (4)

  1. 下記重合体(X)、下記重合開始剤(Y)および下記乳化剤(Z)を水系溶媒(W)中に分散させた水分散型撥水撥油剤組成物であって、
    重合開始剤(Y)の配合量が、重合体(X)に対して0.1〜1.5質量%であり、
    乳化剤(Z)の配合量が、重合体(X)に対して0.1〜5質量%であり、
    水系溶媒(W)の量が、重合体(X)の量に対して質量で1〜5倍であることを特徴とする水分散型撥水撥油剤組成物。
    重合体(X):ポリフルオロアルキル基と1個の重合性不飽和基とを有する単量体の重合単位と、これと共重合可能な単量体の重合単位とを含む共重合体。
    重合開始剤(Y):2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2イル)プロパン]二酢酸塩。
    乳化剤(Z):E−G−E構造(Eはポリオキシエチレン鎖、Gはポリオキシエチレン鎖以外のポリオキシアルキレン鎖)を有するブロック共重合体。
  2. さらに有機酸(V)として酢酸を含むことを特徴とする請求項1に記載の水分散型撥水撥油剤組成物。
  3. 乳化剤(Z)の質量平均分子量が2000〜5000であり、かつ、Gがポリオキシプロピレン鎖であることを特徴とする請求項1または2に記載の水分散型撥水撥油剤組成物。
  4. 請求項1、2または3に記載の水分散型撥水撥油剤組成物を製造する方法であって、ポリフルオロアルキル基と1個の重合性不飽和基とを有する単量体と、これと共重合可能な単量体とを、水系溶媒(W)中で、重合開始剤(Y)および乳化剤(Z)の存在下に乳化重合することを特徴とする水分散型撥水撥油剤組成物の製造方法。
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