図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。画像形成装置1は、電子写真方式によるカラープリンタであって、いわゆるタンデム式で4色の画像を合成するように構成され、また単色を用いたモノクロプリントが可能に構成されている。画像データは、RGB(赤、緑、青)の三原色に分解されたものであり、プリント時には、YMCK(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の各再現色に変換される。
画像形成装置1は、所定形状、例えば直方体形状を有する筐体を有し、内部中央部に像形成部10、上部の原稿読み取り部20、上部手前側適所の操作部30、下部の記録紙収納部40、及び記録紙収納部40から上方に向かう記録紙搬送系50を有する。記録紙搬送系50の途中には定着部60が設けられている。制御部70は画像形成装置1の全体の動作を制御するもので、図5で詳細を説明する。
像形成部10は、トナー画像が1次転写される中間転写ベルト11、及び中間転写ベルト11のベルト移動方向に沿って配列された4つの現像ユニット12Y,12M,12C,12Kを備えている。現像ユニット12Y,12M,12C,12Kは、トナーカートリッジ16Y,16M,16C,16Kから、図略のトナー供給路を経て定量供給されるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを用いて画像を形成し、中間転写ベルト11に1次転写するものである。中間転写ベルト11は、無端状を有し、両側の駆動ローラ111と従動ローラ112との間に掛け渡され、適所に介設されたテンションローラ113によって適度に張設されている。
現像ユニット12Y,12M,12C,12Kは、ほぼ同一の構造を有するので、以下では、現像ユニット12Yを代表にして構造を説明する。現像ユニット12Yは、円筒形を有する感光体13Yと、感光体13Yを帯電させる帯電器14Yと、レーザ走査光学ユニット17で感光体13Yに形成された画像データの静電潜像にトナーを供給してトナー画像を形成する現像器15Yとを有する。レーザ走査光学ユニット17は、現像ユニット12Y,12M,12C,12Kの感光体13Y,13M,13C,13Kを、対応するカラーの画像データであって、光変調されたレーザ光で露光走査することによって、各感光体13Y,13M,13C,13Kに各色毎の静電潜像を形成するものである。
図2は、レーザ走査光学ユニットの一例を示す概略構成図である。レーザ走査光学ユニット17は、各色のレーザダイオード171と、1個のポリゴンミラー172と、ポリゴンミラー172の回転駆動を行うポリゴンモータ173と、各色毎のコリメータレンズ、シリンドリカルレンズ及び所要数の反射ミラーを有する光学系174とを少なくとも備える。ポリゴンミラー172は、周面の回転方向に所要数の平面、ここでは7面の反射面を有する多面回転鏡である。なお、図2におけるポリゴンミラー172は模式的に示されたものであり、実際にはレーザダイオード171から出射されたレーザビームを反射し、光学系174に導いている。
レーザダイオード171は、各色に対応して4個が配置されている(図では1個だけが示されている)。本実施形態では、各色のレーザダイオード171,…は、それぞれ2個ペアで構成されており、2本のレーザビームを利用するようにして副走査方向に2ラインずつ静電潜像を同時に形成することで高速プリントの向上を図っている。
レーザダイオード171,…から出射された、各色毎の画像データで変調されたレーザ光は、1個のポリゴンミラー172の回転に基づいて主走査方向に等角速度で偏向(走査)される。ポリゴンミラー172で偏向された各色のレーザ光は、各色毎の光学系174に分離して導かれ、それぞれの最後の反射鏡1741(図1、図2参照)で、対応する感光体13Y,13M,13C,13Kに向けられて、軸方向(主走査方向)に走査される。かかる主走査方向への各色のレーザ光の走査は、ポリゴンミラー172の回転に伴って各反射面毎に順次行われる。ポリゴンモータ173は、装置電源の投入後は、ポリゴンミラー172を常時回転駆動させている。
図1に戻って、原稿読み取り部20は、原稿載置面を構成するコンタクトガラス、載置面を開閉する原稿押さえ(共に図略)、及び載置原稿の画像を光学的に読み取るスキャナ21(図5参照)を有する。また、原稿読み取り装置20は、積載された原稿を1枚ずつ原稿読み取り位置に搬送する、公知の自動原稿搬送装置を採用したものでもよい。
記録紙収納部40は、本実施形態では複数枚の記録紙を積層状態で収納可能な給紙カセット41が採用され、画像形成装置1に対して着脱可能にされている。給紙カセット41は、用紙の種類(サイズ、材質)毎に準備され、所要のカセット41が交換可能に画像形成装置1に装填される。
記録紙搬送系50は、給紙カセット41の給紙部側から引き出された記録紙を画像形成装置1の側部を経て上方の排出部51に搬送するものである。記録紙搬送系50は、対向するガイド部材(図略)で搬送経路52を構成すると共に、搬送経路50の上流側からピックアップローラ対53,レジストローラ対54、その他、必要に応じて所要位置に搬送ローラ対が設置されている。搬送経路52の途中であって、中間転写ベルト11と対向する位置には、2次転写ローラ55が配設されている。従って、この構成によれば、記録紙は、カセット41から1枚ずつピックアップされた後、レジストローラ対54で一時的に停止され、画像形成動作とタイミング調整されて二次給紙され、2次転写ローラ55で中間転写ベルト11からトナー画像が2次転写される。トナー画像が2次転写された記録紙は、定着部60を経て排出部51へ搬送され、ここで排出順に積層される。
定着部60は、熱ローラ61と、この熱ローラ61に所要圧で当接する加圧ローラ62とを備えている。熱ローラ61は、トナーが転写された記録紙が熱ローラ61と加圧ローラ62の間を通過する際に、熱ローラ61からの熱でトナーを記録紙面に融着するものである。駆動モータ63は、同期ベルト等の駆動力伝達機構を介して熱ローラ61を回転駆動するようにしている。
駆動モータ63は、また、図略のクラッチ及びギア等の駆動力伝達機構を介して、像形成部10(感光体13Y,13M,13C,13K、中間転写ベルト11の駆動ローラ111)、記録紙搬送系50を構成する各ローラ対53,54、2次転写ローラ55を同期回転可能にしている。なお、像形成部10、記録紙搬送系50の個々に駆動モータを設ける態様としてもよく、この場合、回転制御部を設けて、各駆動モータを電子的に同期回転制御させればよい。
操作部30は、例えば略上方に向けられたパネル状に構成されており、このパネル面に、各種の指示を入力するテンキー部31、所要の画像を表示する液晶パネル等の表示部32、及び表示部32に積層されたタッチパネル33が配置されている。
図3は、操作部30の構成を説明する上面図で、(a)は全体を示し、(b)は表示部32の表示内容の一例を示す画面図である。図3(a)において、操作部30の(図面中)下部側には、数値入力を行うためのテンキー311、プリントスタートを指示するスタートボタン312、プリント動作の停止(や中断)を指示するストップボタン313、及び設定内容をクリアするCボタン314が設けられている。操作部30の(図面中)上部側には、表示部32、及びその表示面に積層されたタッチパネル33が設けられている。表示部32の所要領域には、種々の文字が表示され、また種々のボタン類が配置されている。例えば、コピー状態を示す「プリントできます」の文字、設定コピー部数として初期枚数を示す数値「1」が表示されている。また、「基本設定」、「原稿設定」、「画質/濃度」、「応用設定」の各種メニューボタンが選択可能に表示されている。なお、各ボタンの表示領域の表示面上での座標と、タッチパネル33の押圧位置に応じた座標とを予め関連させておくことで、タッチパネル33への押圧がいずれのボタンを押下(選択)したかが検出可能にされている。
図3(a)では、「基本設定」のメニューボタンが選択、すなわちボタンの表示領域内が押下されて、その下層の「カラー」、「用紙」、「倍率」、「両面/ページ」の各ボタンが表示されている。図3(b)は、「カラー」ボタンが選択された場合を示している。「カラー」ボタンが選択された場合、図3(b)のように、「フルカラー」と「ブラック」のボタンが選択可能な画面に切り替わる。また、図3(b)の「用紙」ボタンが選択されると、記録紙のサイズとか用紙種類(普通紙、厚紙等)が選択可能にされる。同様に、図3(a)の他のメニューボタンや、「倍率」、「両面/片面」に対しても所望の内容が設定可能にされている。このように、プリントスタートに先立って、プリントの態様が設定されることで、設定内容に従ったプリント動作が行われ、利用者が所望するプリント結果を提供することができる。
ところで、プリントモードの内、特に、ブラックのトナーとフルカラーの各トナーとは、記録紙へのトナー付着状態に差があり、また、転写動作乃至は定着動作においてもそれぞれ好ましい時間があると考えられる。特に、高速プリントの要請上、ブラックのみのモノクロプリントにあってはより高速性が求められる一方、カラープリントにあっては、高速性を考慮しつつもカラー画質を維持した状態での動作速度が設定される必要がある。従って、それぞれに適した速度で記録紙の搬送を行うことが好ましい。また、記録紙の搬送速度は、記録紙の搬送と関わる中間転写ベルト11、中間転写ベルト11の移動速度と関わる感光体13Y,13M,13C,13Kの回転速度(以上をシステム速度という)と関連する。さらに、感光体13Y,13M,13C,13Kの回転速度は、ポリゴンミラー172の回転速度に関連する。従って、前記システム速度の変更に対しては、ポリゴンミラー172の回転速度を比例させて変更する必要がある。モノクロプリント時のシステム速度がフルカラープリント時のシステム速度の所定倍(例えば1.2倍)に設定されている場合、ポリゴンミラーの回転速度も同じ所定倍(1.2倍)の速度比に設定されることになる。特にポリゴンミラー172は高速回転状態にあることから、変速制御には時間を要する。
本実施形態では、「カラー」、「用紙」ボタンに対する設定内容がポリゴンミラー172の回転数に関連するとして、かかる設定内容をプリントモード情報として扱い、これらのボタンに対する設定時点で早期に速度制御に対応させるようにしている。すなわち、プリントモードの設定を受けて、後述するように、プリントスタート指示に先立って、ポリゴンモータ173によるポリゴンミラー172の先行回転制御に供するようにしている。「カラー」、「用紙」ボタンに対するプリントモードが設定されると、該プリントモードに対応したプリント準備コマンドが付されてプリント準備情報が作成される。このプリント準備情報は、後述するように制御部70のエンジン制御72に送信される。
図4は、プリントモードの種別とプリント準備コマンドとの対応関係を示すテーブルである。図4において、「用紙種類」が普通紙、かつ「カラーモード」がフルカラーのプリントモードの場合、プリント準備コマンドは「カラープリント準備指示」に設定される。一方、「用紙種別」が普通紙、かつ「カラーモード」がブラックのプリントモードの場合、プリント準備コマンドは「モノクロプリント準備指示」に設定される。「カラープリント準備指示」の場合には、ポリゴンミラー172の回転数(速度)はカラープリント時の所定速度とされ、「モノクロプリント準備指示」の場合には、ポリゴンミラー172の回転数(速度)はモノクロプリント時の所定速度(相対的に、カラープリント時の速度より速い)とされる。なお、「用紙」が普通紙以外の場合には、プリント準備コマンドは指定されず、例えば現在の速度でのプリントが実行される。
図5は、主にポリゴンミラーの回転制御に関わる制御ブロックの一実施形態を示すブロック図である。制御部70は、MFP(Multi FunctionPeripheral)コントローラ(以下、プリンタコントローラという)71とエンジン制御部72とから構成され、両者はバスを介して通信可能にされている。プリンタコントローラ71は、RAM711、HDD712、スキャナ21、公衆配線との間に介設されたファックスIF80、LANで接続された1台又は複数台のパーソナルコンピュータ等の他の情報処理端末91,91…、及び操作部30と接続されている。RAM711は、処理途中の情報を一時的に格納するものである。HDD712は、画像形成装置1の動作を制御する制御プログラム、制御プログラムを実行する上で必要な、図4のテーブルデータ他の各種データ、及び表示部32に表示される画像データを格納するものである。スキャナ21はRGB各色のフォトセンサを有し、原稿画像を各色のフォトセンサで読み取るものである。読み取られた各色の画像データは、一時的にRAM711に格納され、プリント時にはレーザダイオード(あるいは射出されたレーザ光を変調する光変調素子等)に出力される。FAXIF80は、公衆回線を経由して他のファクシミリ装置との間で画像データの送受信を行うものである。受信した画像データは一時的にRAM711に格納された後、本装置1でプリントアウトされる。
情報処理端末91は、キーボードやモニタなどを有し、画像情報(テキスト情報含む)の作成処理を可能にする他、作成した画像情報を、又は内部メモリ部(あるいは外部メモリ)に保管している画像情報を、プリントアウトさせるべくプリント指示コマンドと共にLANを介してプリンタコントローラ71に送信する処理を可能とするものである。
エンジン制御部72は、マイクロコンピュータ(CPU)を搭載しており、画像形成装置1の各駆動部に対する動作制御を行うものである。本発明の関連では、エンジン制御部72は、レーザ走査光学ユニット17内のポリゴンモータ173の起動、停止の制御を行う他、速度制御及び回転状態の監視(回転速度の安定の有無等)を行うものである。ポリゴンモータ173の起動は、装置本体の電源投入を受けて行われ、停止は、電源オフ、故障又はメインテナンス時である。 なお、エンジン制御部72は、像形成部10の動作、すなわちプリント動作中、各色のレーザダイオード171の点灯と消灯とを切り替えて(変調して)、感光体13Y,13M,13C,13Kに静電潜像を形成させる。モノクロプリントの場合には、ブラックの画像データが用いられ、現像ユニット12Kを駆動させてモノクロプリントを行わすようにしている。
また、エンジン制御部72は、回転状態監視部721及び駆動制御部722を備えている。回転状態監視部721は、ポリゴンミラー172の回転数検出(速度検出)を以下のようにして行う。ポリゴンモータ173がステッピングモータの場合、ポリゴンモータ173へ供給される駆動パルスの周波数から、ポリゴンミラー172の速度を検出するようにしている。なお、ポリゴンモータ173が直流モータ等の場合には、ポリゴンモータ173の回転軸適所に、例えばロータリエンコーダを設けておき、その出力から、対応するポリゴンミラー172の速度を検出するようにすればよい。
回転状態監視部721は、検出された速度と、プリントモード情報に対応して予め設定されている速度(フルカラーのプリントモード時、ブラックのプリントモード時それぞれに対応した回転速度)とを比較することで、いずれのプリントモードに対応して安定回転(定速回転)しているか、あるいは一方のプリントモードの速度から他方のプリントモードの変移中かを検出するようにしている。
駆動制御部722は、ポリゴンモータ173の回転駆動制御を行う。駆動制御部722は、各プリントモードに対応する速度でポリゴンモータ173を安定回転させ、かつプリントモードの変更に対応して速度の変更、すなわち、操作部30からプリンタコントローラ71を介して受け付けた、図4に示すプリント準備コマンドに応じて、ポリゴンモータ173に対する回転速度の変更制御を行う。
より詳細には、駆動制御部722は、ポリゴンミラー172の現在の回転速度(ポリゴンモータ173の現在の回転速度と同義)が、受け付けたプリントモード(プリント準備コマンド)に対応する速度と異なる場合には、受け付けたプリントモードに対応する速度にポリゴンミラー172の回転速度を変更する速度変更処理を実行する機能部を有する。また、回転状態監視部721は、定速回転(安定回転)に達すると、その状態を示すロック信号出力するようにしている。回転状態監視部721は、プリンタコントローラ71からプリント準備コマンドを受け付けた時点でポリゴンミラー172が定速回転中であるか否かを検出し、定速回転でないと検出された場合には、ポリゴンミラー172が定速回転に達する時点まで(ロック信号が得られるまで)待機した後、受け付けたプリント準備コマンド(プリントモード)に対応した回転速度への変更制御を開始させるようにしている。但し、ポリゴンミラー173が、受け付けたプリントモードに対応するポリゴンミラー172の回転速度と同一の速度で安定した場合には、速度の変更制御を行う必要がない。
また、プリンタコントローラ71は、操作部30でのプリントモードの設定が、プリントスタートボタン312が押下されるまでは何回でも変更(再設定)できるようにされている。この場合、エンジン制御部72は、ポリゴンミラー172の回転速度の変更制御中(変移中)に複数回のプリントモードの設定をプリンタコントローラ71から受け付けたときは、かかる複数回のプリントモードのうち、直前に受け付けたプリントモードに対応する回転速度を変更目標の速度とするようにしている。このようにすることで、プリントモードの設定の都度、対応する速度への変更制御を行う制御部の負担が軽減され、また煩雑に速度変動を行うことによる構造部分の消耗、劣化が可及的に防止できる。
さらに、エンジン制御部72は、操作部30からプリント指示コマンドを受け付ける前であって、ポリゴンミラー172の回転速度の変更制御中、あるいは安定回転に達した状態にあるとき、情報処理端末91からプリントコントローラ71を介して画像データ及びプリントモードを含むプリントコマンドが受信されると、ポリゴンミラー172の現在の速度と受信したプリントモードに対応する速度とが異なるか否かを検出し、異なる場合には、当該情報処理端末91からのプリントモードに対応する速度への変更制御を開始するようにしている。すなわち、エンジン制御部72は、プリントスタート指示の時点を優先して対応するべく、操作部30でのプリントモードの設定中であってプリントスターボタン312が押下されるまでの間では、情報処理端末91からのプリントスタートコマンドを優先し、情報処理端末91から送られてきた画像データのプリント処理を行うようにしている。
図6、図7は、ポリゴンモータの制御手順を示すフローチャートである。電源が投入されると、本フローが起動し、起動時のポリゴンモータ173に設定される回転速度情報がROMから読み出され(ステップS1)、この読み出された回転速度情報に従ってポリゴンモータ173の回転が開始される(ステップS3)。起動時のポリゴンモータ173の回転速度は、例えばデファクト値が設定されていてもよいし、前回停止時点での速度を記憶しておき、駆動時にその速度を読み出して設定するようにしてもよい。
次いで、ポリゴンモータの回転状態が検出され(ステップS5)、回転状態が安定回転か否かが、ロック信号の有無をチェックすることによって判断される(ステップS7)。安定回転状態でなければ、安定回転状態に達するまで待機する。安定回転状態にあると判断されると、操作部30でプリントモードが変更されたか否かが判断される(ステップS9)。プリントモードが変更されていない場合には、フローはステップS31に進む。一方、プリントモードが変更されている場合には、プリントコントローラ81からプリント準備コマンドの取り込みを行う(ステップS11)。
ここで、ポリゴンモータ173の状態が取得されて、ポリゴンモータ173が停止中であるか否か、あるいはプリント動作中であるか否かが判断され(ステップS15)、ポリゴンモータ173が停止している、あるいはプリント動作中であれば、ポリゴンモータ173の変速制御は不要であるので、今回取り込んだプリント準備情報がクリアされて(ステップS17)、フローはステップS31に進む。一方、ポリゴンモータ173が停止しておらず、かつプリント動作中でなければ、ポリゴンモータ173が安定回転状態にあるか否かを示すロック信号の有無を監視し(ステップS19)、ロック信号が検出されていなければ(ステップS21)、安定回転状態にないので、安定するまでは、ステップS13に戻って同様の処理が繰り返される。一方、ロック信号が検出されれば、ポリゴンモータ173は安定回転状態にあるので、現在のポリゴンモータ173の回転速度が取得される(ステップS23)。そして、現在のポリゴンモータ173の回転速度とプリントモードに対応するポリゴンモータ173の回転速度とが一致しているか否かが判断され(ステップS25)、両者の回転速度が一致していれば、フローはステップS29に進む。両者の回転速度が不一致であれば、ポリゴンモータ173の回転速度がプリントモードに対応する回転速度に変速制御された後(ステップS27)、フローはステップS29に進む。ステップS29では、処理が終了したとして、プリント準備情報はクリアされる。
次いで、ステップS31で、利用者(ユーザ)からのプリント指示を受けたか否かが判断される。プリント指示を受けたと判断されたときは、プリントコマンドが受信される(ステップS33)。一方、プリント指示を受けていないと判断されたときは、ステップS9に戻って、プリントモードの変更の有無によるポリゴンモータ173に対する変速制御処理が繰り返される。従って、プリント指示が発せられる時点までに受け付けられたプリント準備情報のうち、最新のプリント準備情報のプリントモードに対応するポリゴンモータの回転速度が設定されることとなる。
続いて、現在のポリゴンモータ173の回転速度が取得され(ステップS35)、現在のポリゴンモータ173の回転速度とプリントモードに対応するポリゴンモータ173の回転速度とが一致しているか否かが判断され(ステップS37)、両者の回転速度が一致していれば、フローはステップS45に進む。一方、両者の回転速度が不一致であれば、ポリゴンモータ173はプリントモードに対応する回転速度に変速処理が実行される(ステップS39)。次いで、ポリゴンモータ173が安定回転状態にあるか否かを示すロック信号の有無が監視され(ステップS41)、監視結果から、ポリゴンモータ173が安定回転状態か否かが判断される(ステップS43)。ポリゴンモータ173が不安定回転状態にあれば、安定するまで監視が継続され、ポリゴンモータ173が安定回転状態に達すると、プリント動作が開始される(ステップS45)。プリント動作が開始されると、プリントモード及び設定内容に応じたプリント動作が行われる。
ステップS45の手順が実行されると、操作部30に対する次プリントのための受付が可能とされる。
図8は、待機中にプリントモードの設定をした場合の制御を示すタイミングチャートで,(a)は本発明による制御を示し、(b)は従来の制御を示している。図8(a)では、ポリゴンモータ173がカラープリントモードに対応する安定回転速度で駆動されている時に、利用者が、時刻t1で「普通紙」で「モノクロプリント」のプリントモードを設定すると、同時に、そのプリント準備コマンドがエンジン制御部72に送信される。エンジン制御部72は、プリント準備コマンドを受けて、ポリゴンモータ173の回転速度を、カラープリントモードに対応する回転速度からモノクロプリントモードに対応する回転速度に変速する制御を行う。この変速処理は、通常数秒を要し、時刻t2に終了したとして、その後の時刻t3に、このプリント準備コマンドのプリントコマンドが受け付けられたとする。時刻t2〜t3は、ポリゴンモータ173は安定回転状態にあり、プリント指示待ちの状態(待機中)にある。従って、時刻t3でプリント指示を受け付けると、直ちに、すなわち時刻t3からプリント動作が開始される。
一方、図8(b)では、利用者が、時刻t1で「普通紙」で「モノクロプリント」のプリントモードを設定しても、その情報がエンジン制御部72で受信されるのは、プリント指示が行われた時点t3である。従って、エンジン制御部72は、時刻t3からポリゴンモータ173に対する変速処理を開始する。この変速処理は、図8(a)の(t2−t1)と同様な時間を要し、時刻t4で終了する。そして、時刻t4からプリント動作が開始される。
このように、本発明によれば、プリントモードの設定後に直ちに所要の回転速度への変速処理を開始するようにしたので、従来の制御方法の場合に比して、時間Δt(=t4−t3)だけ早く、ファーストプリントの開始が短縮されることになる。
図9は、ポリゴンモータの変速処理中に、プリント準備コマンドを受信した時の制御を示すタイミングチャートである。図9では、ポリゴンモータ173がカラープリントモードに対応する安定回転速度で駆動されている時に、利用者が、時刻t11で「普通紙」で「モノクロプリント」のプリントモードを設定し、同時にそのプリント準備コマンドがエンジン制御部72で受信される。エンジン制御部72は、プリント準備コマンドを受けて、ポリゴンモータ173の回転速度を、カラープリントモードに対応する回転速度からモノクロプリントモードに対応する回転速度に変速する制御を開始する。変速処理は、時刻t13に終了する。
一方、変速制御中の時刻t12に、利用者が、プリントモードをモノクロプリントモードからカラープリントモードに変更したとする。この場合、ポリゴンモータ173のカラープリントモードに対応する回転速度への変速制御は、先の変速処理が終了した時刻t13から開始され、時刻t14に終了する。その後、プリント指示の待機状態に移行する。
このように、プリント指示までの間に、複数回のプリントモードの変更があった場合でも、ポリゴンモータ173の速度が目標の回転速度に達しなければ、次の目標の回転速度への変更を開始しないようにしたので、変速途中での再変速処理の負担を最小限にすることができる。
図10は、他の情報処理端末91からのプリント指示を受信した時の制御を示すタイミングチャートである。エンジン制御部72は、情報処理端末からのプリント指示があった場合、以下のようにしてポリゴンモータ713の速度制御及びプリント動作を行わせる。
図10では、ポリゴンモータ173がカラープリントモードに対応する安定回転速度で駆動されている時に、利用者が、時刻t21で「普通紙」で「モノクロプリント」のプリントモードを設定し、同時にそのプリント準備コマンドがエンジン制御部72で受信される。エンジン制御部72は、プリント準備コマンドを受けて、ポリゴンモータ173の回転速度を、カラープリントモードに対応する回転速度からモノクロプリントモードに対応する回転速度に変速する制御を開始する。変速処理は、時刻t23に終了する。
一方、変速制御中の時刻t22に、本装置1とLAN接続されている情報処理端末91で、プリントモードをカラープリントモードに設定して画像情報を送信してきたとする。この場合、現在変速処理が目標とする回転速度とは異なる回転速度のプリントモードが設定されているため、ポリゴンモータ173は、時刻t23で、操作部30で設定されたモノクロプリントモードに対応する回転速度に安定した後、引き続いて情報処理端末91で設定されたカラープリントモードの対応する回転速度に再変速される。この再変速処理が時刻t24で終了したとすると、直ちに情報処理端末91から送信された画像情報のプリント動作が開始される。
従って、ポリゴンモータ173の変速処理中であって、操作部30からプリント指示がなされる前に、情報処理端末91等からプリントモード、プリント予定の画像情報と共に、プリント指示を受け付けると、情報処理端末91からの画像情報に対するプリント動作が開始される。このように、プリント指示のタイミングを優先することで、早期にプリント指示を表明した者の意志に応えることができる。
なお、本発明は、以下の態様が採用可能である。
(1)本実施形態では、プリントモードとして、普通紙で、かつフルカラープリントかモノクロプリントかに応じてポリゴンミラーの回転速度を変更するようにしたが、ポリゴンミラーの回転速度の変更条件としては、上記に限定されず、ポリゴンミラーの回転速度として高速、低速に振り分けた方が好適となる種々の条件をプリントモードとする態様でもよい。
(2)本実施形態では、ポリゴンミラーの速度を高低の2種類(段階)で説明したが、これに限定されず、プリントモードの内容に応じて、2種類あるいはそれ以上の所定の段数としてもよい。
(3)本実施形態では、変速制御が終了した時点から次の変速処理が開始するようにしているが、これに限定されず、新たなプリントモードが設定された時点で、当該新たなプリントモードに対応する速度への変速制御を開始する態様としてもよい。この場合、変速途中で、新たな目標速度へ変速制御を行う用にするため、制御は複雑になるものの、変速処理がより早期に行われるため、ファーストプリントを迅速化することは可能となる。図10のように情報処理端末91から画像情報を受信する場合には、本装置1はプリントモードとプリント指示を同時に受信している。このような場合、変速途中であっても画像情報を受信した時点(t22)で変速処理を開始し、それに続くプリント動作を行うことにより、ファーストプリントの迅速化が特に有効となる。