JP4893345B2 - 制電性複合繊維 - Google Patents

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Description

本発明は優れた制電性能と、耐久性を併せもつ制電性複合繊維を得ることを目的とする。
ポリエステル系熱可塑性樹脂からなる合成繊維は広く衣料用のみならず、産業用分野にまで利用されている。しかしながら、これらの合成繊維は電気抵抗が著しく高く、静電気を帯びやすいという致命的な欠点を有し、衣類においては脱着時の不快感、裾のまとわりつき、汚れの付着等の問題があり、これら静電気による欠点を排除すべく、これまで種々の方法が提案されている。
例えば繊維中に導電性カーボンブラック粒子を高濃度で分散させて得た導電性繊維を非導電性繊維と共に布帛とすることにより制電性を得る方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、導電性カーボンブラックを含有する導電性繊維は黒色あるいは灰色を呈するため、衣料分野での利用が実質困難であるという問題があった。この問題に対し、例えば酸化チタンに酸化アンチモンをドーピングした酸化錫をコートした粒子に代表される白色導電性金属化合物を繊維中に高濃度で分散させ、かつポリエステルのような繊維形成性熱可塑性樹脂とともに複合紡糸して白色導電繊維を得る方法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、これらの繊維には高価な白色導電性金属化合物を多量に用いるため製造コストが高いばかりか、製糸性が著しく悪いという問題があった。
一方、上記のように導電性微粒子を含有させ、繊維に導電性能を付与する方法とは別に、制電性ポリマーを繊維中の1成分として複合紡糸することで、制電性繊維を得る方法が提案されている。例えば、特許文献3に示される発明には、複合繊維の芯にポリエステルを、鞘に制電ポリマーとしてブロックポリエーテルアミドを用いる技術が提案されている。しかしながら、制電性能を有するブロックポリエーテルアミドが繊維表面に露出しているため、原糸としての制電性能が良好であっても、布帛加工における精錬工程や染色工程、アルカリ減量工程にて制電成分が溶出し、結果として得られる布帛の制電性能劣るという問題があった。
他方、制電性能を有するポリマーを芯に、鞘にポリエステルを配すると、単糸同士の膠着や、熱黄変色は避けられるものの、制電ポリマーがポリエステルによって繊維最内層に封じ込められているため、原糸の制電性能が劣るという問題があった。
上記問題を解決するべく、特許文献4には三層構造を有する芯鞘型複合繊維において、最外層および最内層にポリエステルやポリアミド、ポリオレフィンを使用し、中間層に制電性を有するポリアルキレングリコールを共重合したポリエステルエーテルを使用する技術が提案されてる。確かにこの方法であれば、制電ポリマーが繊維表面に露出せず、薄い最外層を隔てて繊維表面近傍に存在するため、単糸同士の膠着や熱黄変色を抑制し、かつ優れた制電性能を得ることが出来る。しかしながら、ポリアルキレングリコールを共重合したポリエステルエーテルは、一般に耐アルカリ性が極端に低いため、布帛形成後の精練工程や染色工程、アルカリ減量等の工程によってポリエステルエーテルが加水分解され、溶出し、得られる生地の制電性能が劣るという問題があった。
特開昭55−001337号公報 特開平03−241067号公報 特公昭44−000911号公報 特開昭53−111117号公報
本発明は上記問題を解決し、制電成分の溶出のトラブルが生じず、原糸のみならず布帛加工後においても優れた制電性能を有する制電性複合繊維を得るためにある。
ブロックポリエーテルアミドAとポリエステル系熱可塑性樹脂Bとからなる制電性熱可塑性樹脂Cと、ポリエステル系熱可塑性樹脂Dからなり、繊維横断面において繊維表面から繊維中心方向へ2μm以内の範囲に制電性熱可塑性樹脂Cが回転対称に配された形状を有する制電性複合繊維であって、制電性樹脂C中のブロックポリエーテルアミドAの含有量が5〜50重量%、制電性複合繊維のアルカリ処理前の比抵抗値ρとアルカリ処理後の比抵抗値ρの比(ρ/ρ)が10以下であることを特徴とする制電性複合繊維。
本発明により、制電成分の溶出のトラブルが生じず、原糸のみならず布帛加工後においても優れた制電性能を有する制電性複合繊維を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる制電性熱可塑性樹脂Cに含有するブロックポリエーテルアミドAは、ポリアミドとポリエーテルのブロック共重合体であり、ポリエーテル部が水分子を吸着する。この水分子が繊維中の静電気を漏洩することで制電性が発現される。また、ブロックポリエーテルアミドAとポリエステル系熱可塑性樹脂Bは相溶性が乏しいために、ブロックポリエーテルアミドAを含有するポリエステル系熱可塑性樹脂Bを混合せしめ、溶融紡糸すると、ポリエステル中にブロックポリエーテルアミドが繊維長軸方向に連続した筋状に局在化する。このように、ブロックポリエーテルアミドが筋状に局在化することが、制電性能を得るためには重要である。
本発明に用いるブロックポリエーテルアミドAを構成するポリエーテルとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピオンオキシドのブロックまたはランダム共重合体およびエチレンオキシドのテトラヒドロランのブロックまたはランダム共重合体などが用いられる。中でも、得られる繊維の機械特性・制電性の観点から、数平均分子量が200〜6000の範囲のポリエチレングリコールが好ましく用いられる。
ポリアミドとしては、例えばω−アミノカプリル酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノベルコン酸、ω−アミノカプロン酸および11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸あるいはカプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、およびラウロラクタム等のラクタムおよびヘキサメチレンジアミン−セバシン酸塩およびヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸等のジアミン−ジカルボン酸の塩が用いられる。
ブロックポリエーテルを構成するポリアミドは、ブロックポリエーテルの構成単位で10重量%以上ならば得られるブロックポリエーテルアミドの機械的性質が向上するため好ましく、また、80重量%以下ならば得られる樹脂の帯電防止性が向上するため好ましい。
さらに、ブロックポリエーテルアミドAには、有機スルホン酸塩化合物を添加することで制電性をさらに向上させることが出来る。有機スルホン酸塩化合物とはドデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸とナトリウム、カリウム等のアルカリ金属から形成される塩であり、なかでもドデシルベンゼンスルホン酸ソーダが特に好ましい。該有機スルホン酸塩化合物のポリエーテルエステルアミドへの配合量は、ブロックポリエーテルアミドに対し2〜20重量%が好ましく、より好ましくは4〜10重量%である。有機スルホン酸塩化合物の配合量が2重量%以上ならば得られる繊維の制電性能が高く、20重量%以下であれば得られる繊維の機械特性が優れるため好ましい。
また、本発明におけるブロックポリエーテルアミドには耐熱性向上剤としてヒンダードフェノール化合物を加えることができる。ここでヒンダードフェノール化合物とはフェノール系水酸基の隣接位置に立体障害を有する置換基を持つフェノール誘導体であり、例えば1,3,5−トリメチル−2,4,6トリ(3,5−tertブチルフェノール)、2,6−ジ−tertブチル−p−クレゾール、2,2−メチルビス(4−エチル−6−tertブチルフェノール)等が挙げられる。該ヒンダードフェノール化合物を配合する場合、ブロックポリエーテルアミド100重量%に対し2〜10重量%で用いられる。
本発明に用いられるポリエステル系熱可塑性樹脂B、Dとは、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンフタレート等が挙げられるが、中でも前者のテレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素原子数2〜6のアルキレングリコール成分、即ちエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、及びヘキサメチレングリコールから選ばれた少なくとも一種のグリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルを対象とするものであり、ポリエステル系熱可塑性樹脂B,Dいずれも上記ポリエステルより選択することができる。
このポリエステルは任意の方法で製造されたものでよく、例えばポリエチレンテレフタレートについて説明すれば、テレフタル酸とエチレングリコールを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか、又はテレフタル酸とエチレンオキサイドを反応させるかして、テレフタル酸のグリコールエステル及び/またはその低重合体を生成させ、ついでこの生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで縮重合反応させることで容易に製造される。なお、このポリエステルはそのテレフタル酸成分の一部を他の二官能基カルボン酸成分で置き換えてもよい。この他、本発明のポリエステルは通常のポリエステルと同様に酸化チタン、カーボンブラック等の顔料のほか、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤が添加されていてもよい。
前述の通りブロックポリエーテルアミドを含有するポリエステルは一般のポリエステルにはない優れた制電性を有するが、反面、単体で繊維とした場合には強度・耐摩耗性などの機械特性が劣るという問題があるため、単体で繊維とし、実使用上問題ない機械特性を得ようとするとブロックポリエーテルアミドの含有量を小さくする必要があり、結果として制電性能が劣るものとなる。従って、優れた制電性能と機械特性を両立するためにはブロックポリエーテルアミド含有するポリエステルと通常のポリエステルからなる複合繊維とする。
本発明における制電性複合繊維の単繊維横断面は、繊維表面から繊維中心方向へ2μm以内の範囲に制電性熱可塑性樹脂Cが回転対称に配された形状でなければならない。例えば、特開平11−93022号公報に示されているような、通常のポリエステル樹脂が繊維表面を覆う鞘として用い、制電性樹脂を芯として用いた、いわゆる芯鞘型複合繊維とした場合、制電性樹脂が完全にポリエステル樹脂に覆われるため、繊維表面から制電性樹脂の層までの厚みが大となり、優れた制電性能が得られない。一方、本発明の制電性複合繊維のように、繊維表面から繊維中心方向へ2μm以内の範囲に制電性熱可塑性樹脂Cを配する形状とすれば、制電層が繊維表面のごく近傍にあるため優れた制電性能が得られる、より好ましくは1.5μm以内である。
また、本発明の制電性複合繊維の単繊維横断面は制電性熱可塑性樹脂が、回転対称に配された形状でなければならない。例えば、図1に示されるような偏芯芯鞘型複合繊維とした場合、繊維表面において制電性熱可塑性樹脂が近い点と遠い点のバラツキを生じ、結果として制電性能が劣るものとなるばかりか、紡糸時に口金から吐出する際、粘度バランスに偏りが生じるため糸切れを誘発し、著しく操業性に劣るという問題がある。本発明の制電性複合繊維の具体的な繊維横断面形状としては、(a)制電性熱可塑性樹脂を鞘に配した芯鞘型複合繊維(図2)、(b)制電性熱可塑性樹脂を複数の領域に分割し、それぞれが繊維表面から2μm以内、かつ回転対称に配した多芯芯鞘型複合繊維(図3、4)、(c)同心円状の三層構造を有し、中間層が制電性熱可塑性樹脂である三重芯鞘型複合繊維(図5)などが挙げられる。中でも特に、制電性熱可塑性樹脂の一部が表面に露出した、図2,4に代表される繊維横断面形状とすると、制電性がより優れるため好ましい。また、繊維横断面における制電性熱可塑性樹脂Cの断面積は、全断面積の3〜40%であれば、得られる制電性複合繊維の機械特性・制電性能共に優れるものとなるため好ましい。より好ましくは5〜20%である。
本発明の制電性複合繊維はアルカリ処理前の比抵抗値ρとアルカリ処理後の比抵抗値ρの比(ρ/ρ)が10以下であることが重要である。ここで、アルカリ処理とはカセ状にした繊維を98℃に加熱した4%NaOH水溶液溶液に10分浸漬することを指す。一般に、ポリアルキレングリコールを共重合することで制電性を付与せしめた繊維は、アルカリによって加水分解され、容易に溶出してしまうため、アルカリ処理後は比抵抗値が上昇し、制電性が劣るものとなり易い。通常、ポリエステルからなる織物は製織後、高温の弱アルカリ液に浸漬する精錬工程や、高温・高圧水中での染色工程、織物の風合いを改善するためにアルカリ減量する減量工程等、加水分解する工程が種々存在するため、繊維としての制電性能が優れたものであっても、これらの加工を経た最終製品としては制電性能が劣るものとなることがある。従って、制電性複合繊維のアルカリ処理前の比抵抗値ρとアルカリ処理後の比抵抗値ρの比(ρ/ρ)を10以下とする必要があり、5以下とすれば、最終製品の制電性能がより優れるため好ましい。
このアルカリ処理前後の比抵抗値比(ρ/ρ)を10以下とするには、繊維横断面形状や用いる制電性熱可塑性樹脂および制電性熱可塑性樹脂を分散させるポリエステル樹脂に工夫が必要となる。
例えば、制電性熱可塑性樹脂として本発明のブロックポリエーテルアミドではなく、特開昭53−111117号公報に示されるポリアルキレングリコールを共重合したポリエステルエーテルを用いた場合はアルカリ処理によりポリアルキレングリコールを共重合したポリエステルエーテルが著しく溶出し、制電性能が大幅に低下する。前述の通り、ポリアルキレングリコールを共重合した樹脂はアルカリによる加水分解速度が速いが、通常のポリエステルによって繊維内層に封じ込める複合形態としても、過度のアルカリ減量によって通常のポリエステルよりも優先的に溶出する現象が生じる場合がある。特に、ポリアルキレングリコールを共重合したポリエステルエーテルは分子中のポリエステル部位、ポリエーテル部位ともにアルカリ加水分解により分解しやすいため、容易に低分子量化し、例え通常のポリエステルによって繊維内層に封じられていようとも外層のポリエステルの分子間を、低分子化したブロックポリエーテルエステルが移動し、溶出してしまう。
一方、本発明のブロックポリエーテルアミドは、ポリエーテル部位は同様にアルカリによる加水分解速度は速いが、ポリアミド部位のアミド結合はアルカリによって殆ど加水分解されないため、結果ブロックポリエーテルアミドは加水分解が生じるものの、溶出する程の低分子量化が起こり難い。さらに、ブロックポリエーテルアミドを分散させるポリエステル樹脂として、合繊繊維に通常用いられるポリエチレンテレフタレートを用いるのではなく、耐アルカリ性が優れるポリブチレンテレフタレートやポリプロピレンテレフタレートまたはそれらを主とした共重合ポリエステルを用いれば、よりブロックポリエーテルアミドの溶出を抑えられるため、得られる制電性複合繊維の(ρ/ρ)が小さい値となり好ましい。繊維横断面形状としては、繊維表面から制電性熱可塑性樹脂Cまでの距離を2μm以下の範囲でなるべく大きくすれば、制電性熱可塑性樹脂Cが溶出し難くなるため(ρ/ρ)は小となる。
本発明の制電性複合繊維を得る方法としては、通常の複合繊維の溶融紡糸方法を適用すればよく、ポリエステル系熱可塑性樹脂D、ポリエステル系熱可塑性樹脂BにブロックポリエーテルアミドAを5〜50%配合した制電性熱可塑性樹脂Cをそれぞれ別々の溶融押出機より溶融させ、それぞれ所定の量に計量したのち、図2の如き断面形態となるように設計された複合紡糸口金より紡糸する。紡糸した糸条は冷却、給油したのちに一旦巻き取り、加熱延伸を施す方法であっても、一旦巻き取ることなく加熱延伸を施す方法のどちらでもよく、公知の製糸方法を適用することが出来る。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。但し、本発明は実施例により限定されるものではない。なお、実施例中の評価は以下の方法に従った。
1.強度(cN/dtex)・伸度(%)
TOYO BALDWIN社製TENSILON/UTM−III−100を使用し、試料長20cm、引張り速度20cm/分の測定条件でフィラメント破断点における強度・伸度を測定した。
2.原糸比抵抗値ρ、ρ/ρ
得られた制電性複合繊維を束ねて2200dtexとし、弱アニオン系洗剤を用い、十分に精錬して油剤などを除いた後、20℃、40%RHの状態で24時間放置し、同温度、湿度下にてその両端の電気抵抗を測定することによって原糸の比抵抗ρ[Ωcm]を求めた。次いで、得られた制電性複合繊維を束ねて2200dtexとし、98℃に加熱した4%NaOH水溶液溶液に10分浸漬した後に水洗し、20℃、40%RHの状態で24時間放置し、同温度、湿度下にてその両端の電気抵抗を測定することによって原糸の比抵抗ρ[Ωcm]を求めた。ρが500×10Ωcmを超える場合、ρ/ρが10を超える場合を不合格とした。
3.繊維表面から制電性熱可塑性樹脂Cまでの距離R
得られたフィラメントに2g/dtexの荷重をかけたまま、スリーボンド社製紫外線感光性樹脂3055に浸漬し、セン特殊光源社製高圧水銀ランプHL100Gにて10分間紫外線を照射し、紫外線感光性樹脂を固化させた。紫外線感光性樹脂により固められたサンプルを繊維横断面方向にミクロトームで切断し、断面観察用サンプルを得た。得られた断面観察用サンプルは光学顕微鏡にて断面形態を撮影し、得られた画像より、繊維表面から制電性熱可塑性樹脂Cまでの距離Rを計測した。
4.紡糸性評価
後述する実施例の方法にて制電性複合繊維を紡糸する際、未延伸糸1.0t当たりに発生した糸切れの回数が、0〜3回を○、3〜10回を△、10回を超える場合を×とし、○および△を合格とした。
実施例1
常法によって得られた極限粘度1.05のポリプロピレンテレフタレート(以下PPTと略)チップ状樹脂を160℃で6時間真空乾燥し、ポリエステル系熱可塑性樹脂B,Dとして用いた。
カプロラクタム47.53重量部、数平均分子量が2000のポリエチレングリコール(以下PEGと略)50重量部、アジピン酸3.7重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ(以下DBSと略)5重量部、“イルガノックス”1098(チバガイギー社製酸化防止剤)0.2重量部、および三酸化アンチモン触媒0.1重量部とともにヘリカルリボン攪拌翼を備えた反応容器にし込み、窒素置換して240℃で40分間加熱攪拌して透明な均一溶液とした後、260℃、0.5mmHg以下の条件で5時間以上重合後、窒素下で常圧とし1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(以下“イルガノックス”1330と略:チバガイギー社製酸化防止剤)5.5重量部を添加し、20分間練りこみ後、1.0mmHg以下まで減圧し脱泡後ポリマーを冷却ベルト上にガット状に吐出し、冷却、カッティングし、ブロックポリエーテルアミド樹脂を作成した。得られたチップ状樹脂は、40℃で24時間真空乾燥し、ブロックポリエーテルアミドAとして用いた。このブロックポリエーテルアミドAを、ポリエステル系熱可塑性樹脂Bと、それぞれ重量比で1:9となるように計量したのち、十分混合し、制電性熱可塑性樹脂混合物Cを得た。
ポリエステル系樹脂D、樹脂混合物Cをそれぞれ別々のエクストルーダー型押出機により溶融押し出しし、紡糸温度260℃にて、図1の如き複合形態となる複合紡糸口金より紡糸した。このとき、ポリエステル系樹脂D、樹脂混合物Cの配合比はそれぞれ9:1とした。紡糸した糸条は20℃のエアーで冷却、油剤付与後、巻き取り速度1400m/分で巻き取り、得た未延伸糸を熱板加熱式延伸機にて延伸し、84デシテックス36フィラメントの制電性複合繊維を得た。
実施例2
ポリエステル系熱可塑性樹脂B,Dを、いずれも極限粘度0.86のポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略)とした以外、実施例1と同様の方法で制電性複合繊維を得た。
実施例3、4
ブロックポリエーテルアミドを重合する際に、PEGの共重合率を表1の通り変更した以外、実施例1と同様の方法で制電性複合繊維を得た。
実施例5、6
ブロックポリエーテルアミドを重合する際に、DBSの添加率を表1の通り変更した以外、実施例1と同様の方法で制電性複合繊維を得た。
実施例7、8
複合紡糸口金を表1の通り変更した以外、実施例1と同様の方法で制電性複合繊維を得た。
実施例9
ポリエステル系熱可塑性樹脂B,Dを、いずれも極限粘度0.66のポリエチレンテレフタレート(以下PETと略)とし、紡糸温度285℃で図2の如き断面が得られる複合紡糸口金を使用した以外、実施例1と同様の方法で制電性複合繊維を得た。
比較例1、2
複合紡糸口金を表2の通り変更した以外、実施例1と同様の方法で制電性複合繊維を得た。
比較例3,4
制電性熱可塑性樹脂C中のブロックポリエーテルアミドの配合率を表2の通り変更した以外、実施例1と同様の方法で制電性複合繊維を得た。
比較例5
複合紡糸口金を図1の如き断面が得られるものに変更した以外、実施例9と同様の方法で制電性複合繊維を得た。
比較例6
ブロックポリエーテルアミドの代わりに、ブロックポリエーテルエステルを用いた以外、実施例1と同様の方法で制電性複合繊維を得た。このブロックポリエステルエーテルはDBSを5wt%含有するPETとPEGの共重合体であり、PEG共重合率は45wt%とした。尚、ブロックポリエーテルエステルの調整は、ジメチルテレフタル酸、エチレングリコールにテトラブチルチタネート、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ(以下DBSと略)5重量部を加え140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液および分子量2000のポリエチレングリコール、抗酸化剤としてIrganox1010(チバガイギー社製)を加え、減圧下280℃の条件下で、4時間重合を行うことで得た。
以上、実施例1〜9の結果を表1へ、比較例1〜6の結果を表2へ示す。
Figure 0004893345
Figure 0004893345
本発明の実施形態を示す、制電性複合繊維の横断面模式図の一例 本発明の実施形態を示す、制電性複合繊維の横断面模式図の一例 本発明の実施形態を示す、制電性複合繊維の横断面模式図の一例 本発明の実施形態を示す、制電性複合繊維の横断面模式図の一例 本発明の実施形態ではない、制電性複合繊維の横断面模式図の一例 本発明の実施形態ではない、制電性複合繊維の横断面模式図の一例
符号の説明
1:制電性熱可塑性樹脂
2:ポリエステル熱可塑性樹脂

Claims (3)

  1. ブロックポリエーテルアミドAとポリエステル系熱可塑性樹脂Bとからなる制電性熱可塑性樹脂Cと、ポリエステル系熱可塑性樹脂Dからなり、繊維横断面において繊維表面から繊維中心方向へ2μm以内の範囲に制電性熱可塑性樹脂Cが回転対称に配された形状を有する制電性複合繊維であって、制電性熱可塑性樹脂C中のブロックポリエーテルアミドAの含有量が5〜50重量%、制電性複合繊維のアルカリ処理前の比抵抗値ρとアルカリ処理後の比抵抗値ρの比(ρ/ρ)が10以下であることを特徴とする制電性複合繊維。
  2. ポリエステル系熱可塑性樹脂Bが、ポリブチレンテレフタレートまたはポリプロピレンテレフタレートまたはそれらを主とした共重合ポリエステルであることを特徴とする請求項1記載の制電性複合繊維。
  3. 繊維横断面において、制電性熱可塑性樹脂Cが繊維表面の少なくとも一部に露出した形状であることを特徴とする請求項1または2記載の制電性複合繊維。
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