JP2006097196A - 制電性繊維とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低湿度環境下における制電性能に優れ、白色性が高く、かつ容易に製造することができる制電性繊維を提供すること
【解決手段】 ポリエステル系熱可塑性樹脂Aと導電性金属化合物微粒子を含有するポリエステル系熱可塑性樹脂Bおよび、a〜d成分で構成される制電成分Cからなり(a:アミノカルボン酸、ラクタム、ジアミンとジカルボン酸の塩の中から選ばれた1種、b:ポリ(オキシアルキレンオキシド)グリコール、c:炭素原子数4〜20のジカルボン酸からなるポリエーテルエステルアミド、d:有機スルホン酸塩化合物)、樹脂Bは樹脂A中に均一に分散しており、成分Cは樹脂Aと樹脂Bからなる連続相に、長手に連続かつ独立した筋状の分散相を形成していることを特徴とする制電性繊維。
【選択図】 なし
【解決手段】 ポリエステル系熱可塑性樹脂Aと導電性金属化合物微粒子を含有するポリエステル系熱可塑性樹脂Bおよび、a〜d成分で構成される制電成分Cからなり(a:アミノカルボン酸、ラクタム、ジアミンとジカルボン酸の塩の中から選ばれた1種、b:ポリ(オキシアルキレンオキシド)グリコール、c:炭素原子数4〜20のジカルボン酸からなるポリエーテルエステルアミド、d:有機スルホン酸塩化合物)、樹脂Bは樹脂A中に均一に分散しており、成分Cは樹脂Aと樹脂Bからなる連続相に、長手に連続かつ独立した筋状の分散相を形成していることを特徴とする制電性繊維。
【選択図】 なし
Description
本発明は制電性繊維に関するものであり、詳しくは低湿度環境下における制電性能に優れ、白色性が高く、かつ安価で容易に製造することができる制電性繊維とその製造方法に関するものである。
ポリエステル系熱可塑性樹脂からなる合成繊維は広く衣料用のみならず、産業用分野にまで利用されている。しかしながら、これらの合成繊維は電気抵抗が著しく高く、静電気を帯びやすいという致命的な欠点を有し、衣類においては脱着時の不快感、裾のまとわりつき、汚れの付着等の問題があり、特に作業衣として用いる場合は可燃ガスへの引火の危険性や、精密機器類の破壊の問題がある。これら静電気による欠点を排除すべく、これまで種々の方法が提案されている。
例えばポリエステル中に制電剤として有機スルホン酸塩を含む親水性ポリマーを筋状に分散せしめ、ポリエステル繊維に制電性を付与する方法が提案されている。(特許文献1,2参照)しかしながら、これらの方法で得た制電性繊維は水分子の介在のもとで初めて制電性を発揮するものであり、低湿度環境下ではその制電性能が大幅に減少し、実用上十分な制電性能が得られないという問題があった。
また、繊維中に導電性カーボンブラック粒子を高濃度で分散させて得た導電性繊維を非導電性繊維と共に布帛とすることにより制電性を得る方法が提案されている。(特許文献3参照)しかし、この方法では、前述した親水性ポリマーを使用した制電剤とは異なり、水分子の介在なくとも高い導電性能が得られる。しかしながら、導電性カーボンブラックを含有する導電性繊維は黒色あるいは灰色を呈するため、衣料分野での利用が実質困難であるという問題があった。
さらにそれらの問題を解決するため、例えば酸化チタンに酸化アンチモンをドーピングした酸化錫をコートした粒子に代表される白色導電性金属化合物を繊維中に高濃度で分散せしめ、かつポリエステルのような繊維形成性熱可塑性樹脂とともに複合紡糸して白色導電繊維を得る方法が提案されている。(特許文献4参照)しかしながら、これらの繊維には高価な白色導電性金属化合物を多量に用いるため製造コストが高いばかりか、製糸性が著しく悪いという問題があった。
特開昭63−282311号公報
特開昭57−82523号公報
特開昭55−1337号公報
特開平3−241067号公報
本発明は上記問題を解決し、低湿度環境下における制電性能に優れ、白色性が高く、かつ容易に製造することができる制電性繊維を提供することにある。
ポリエステル系熱可塑性樹脂Aと導電性金属化合物微粒子を含有するポリエステル系熱可塑性樹脂Bおよび、a〜d成分で構成される制電成分Cからなり(a:アミノカルボン酸、ラクタム、ジアミンとジカルボン酸の塩の中から選ばれた1種、b:ポリ(オキシアルキレンオキシド)グリコール、c:炭素原子数4〜20のジカルボン酸からなるポリエーテルエステルアミド、d:有機スルホン酸塩化合物)、樹脂Bは樹脂A中に均一に分散しており、成分Cは樹脂Aと樹脂Bからなる連続相に、長手に連続かつ独立した筋状の分散相を形成していることを特徴とする制電性繊維を得ることにある。
本発明により、低湿度環境下における制電性能に優れ、白色性が高く、かつ容易に製造することができる制電性繊維を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるポリエステル系熱可塑性樹脂Aとしてはポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンフタレート等が挙げられるが、中でも前者のテレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素原子数2〜6のアルキレングリコール成分、即ちエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、及びヘキサメチレングリコールから選ばれた少なくとも一種のグリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルを対象とする。かかるポリエステルは任意の方法で製造されたものでよく、例えばポリエチレンテレフタレートについて説明すれば、テレフタル酸とエチレングリコールを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか、又はテレフタル酸とエチレンオキサイドを反応させるかして、テレフタル酸のグリコールエステル及び/またはその低重合体を生成させ、ついでこの生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで縮重合反応させることで容易に製造される。なお、このポリエステルはそのテレフタル酸成分の一部を他の二官能基カルボン酸成分で置き換えてもよい。かかるカルボン酸としては、例えばイソフタル酸、フタル酸、ジブロモテレフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルキシエンタンカルボン酸、β−オキシエトキシ安息香酸の如き二官能性芳香族カルボン酸、セバシン酸、アジピン酸、シュウ酸の如き二官能性脂肪族カルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き二官能性脂環族カルボン酸等を挙げることができる。また、上記グリコール成分の一部を他のグリコール成分と置き換えてもよく、かかるグリコール成分としてはシクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、2,2−ビス〔3,5−ジブロモ−4−(2−ハイドロキシエトキシ)フェニル〕プロパンの如き脂肪族、脂環族、芳香族のジオールが挙げられる。更に上述のポリエステルに必要に応じて他のポリマーを少量ブレンド溶融したもの、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸等の鎖分岐剤を少割合使用したものであってもよい。この他、本発明のポリエステルは通常のポリエステルと同様に酸化チタン、カーボンブラック等の顔料のほか、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤が添加されていても勿論よい。
本発明に用いられる導電性金属化合物微粒子とは、白色あるいは無色系で導電性の金属化合物の微粒子を指し、粉末状での比抵抗が104Ωcm程度以下であれば特に制限する必要はなく、例としては金属粉や、硫化銅、硫化亜鉛、硫化カドミウム等の金属硫化物、沃化銅等の金属ハロゲン化物、酸化錫、酸化銅、酸化銀、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化鉛等の金属酸化物等を使用することができる。また、これらの金属化合物には十分に導電性を示さない半導体があるが、適当な第2成分(ドーピング剤)を少量添加することで導電性を向上させることができる。ドーピング剤としては異種金属の酸化物、並びに同種もしくは異種の金属が挙げられる。具体的には、酸化錫に対しては酸化アンチモン、酸化銅に対して銅、酸化亜鉛に対して酸化アルミニウムを添加する方法がある。中でも酸化チタンあるいはチタン酸カリウム等の白度の良好な金属酸化物の表面を、酸化錫あるいは酸化亜鉛を主成分とし、ドーピング剤として酸化アンチモンを用いた導電性被膜で覆った導電性金属化合物微粒子等は白度、導電性ともに良好であり、本発明に好適に用いることができる。
かかる導電性金属化合物微粒子の形状は特に限定されるものではなく、球状粒子、針状粒子、板状粒子、ウィスカー等が使用できるが、良好な導電性・製糸性の観点から粒子の平均粒径は0.01〜2μmの範囲内にあることが好ましい。
また、本発明における制電繊維全体に対し、該導電性金属化合物微粒子の配合量は0.1〜10重量%の範囲内にあることが好ましい。本発明において、導電性金属化合物微粒子は制電成分Cによる電気漏洩を補助し、かつ低湿度環境下における制電成分Cの制電能力の低下を抑制する働きを担っているが、その含有量が0.1重量%未満であると導電性金属化合物微粒子添加による効果が小さく、10%を超えると制電成分Cの繊維長手方向への連続性を阻害することになり、結果として制電性能が劣るため好ましくない。より好ましい導電性金属化合物微粒子の配合量は0.2〜2%の範囲内である。
本発明における、導電性金属化合物微粒子を含有する熱可塑性樹脂Bはポリエステル系であることが必要である。この導電性金属化合物微粒子を含有するポリエステル系熱可塑性樹脂Bはポリエステル系熱可塑性樹脂A中に均一に分散していることが必要であり、ポリエステル系熱可塑性樹脂Aとの相溶性が悪く、熱可塑性樹脂Bがポリエステル系熱可塑性樹脂中で十分均一に分散していない場合、導電性金属化合物微粒子が局在化し、大きな二次粒子へと凝集するため、繊維内にボイドを発生させ、強度低下を引き起こすばかりか、制電成分Cが形成する長手に連続な筋が分断され、制電性能が低下するため本発明の対象にはならない。また、熱可塑制樹脂Bがポリエステル系熱可塑性樹脂Aよりも制電成分Cとの相溶性が高い場合、導電性金属化合物微粒子が、制電成分Cが形成する長手に連続な筋形成を阻害するため好ましくない。かかる観点から熱可塑性樹脂Bの樹脂成分としては、ポリエステル系、あるいはそれらの共重合体を用いる必要がある。また、かかるポリエステルは上述のポリエステル系熱可塑性樹脂Aに使用できるポリエステル郡の中から選ぶことができる。
本発明における制電成分Cを構成するアミノカルボン酸またはラクタム、もしくはジアミンとジカルボン酸の塩としては特に限定されるものではなく、例えばω−アミノカプリル酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノベルコン酸、ω−アミノカプロン酸および11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸あるいはカプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、およびラウロラクタム等のラクタムおよびヘキサメチレンジアミン−セバシン酸塩およびヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸等のジアミン−ジカルボン酸の塩が用いられる。またその量としては、ポリエーテルエステルアミドの構成単位で30重量%以上ならば得られるポリエーテルエステルアミドの機械的性質が向上するため好ましく、また、70重量%以下ならば得られる樹脂の帯電防止性が向上するため好ましい。
本発明における制電成分Cを構成するポリ(オキシアルキレンオキシド)グリコールとしてはとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピオンオキシドのブロックまたはランダム共重合体およびエチレンオキシドのテトラヒドロランのブロックまたはランダム共重合体などが用いられる。中でも、得られる繊維の機械特性・制電性の観点から、数平均分子量が200〜6000の範囲のポリエチレングリコールが好ましく用いられる。
本発明における制電成分Cを構成する炭素原子数4〜20のジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレンー2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4−4’−ジカルボン酸、ジフェニルキシエタンジカルボン酸および5−スルホイソフタル酸ナトリウムの如き芳香族ジカルボン酸およびコハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、およびドデカジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸等があげられ、特にテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸およびドデカジカルボン酸が重合性、色調および物性の点から好ましく用いられる。また、本発明におけるアミノカルボン酸またはラクタム、もしくはジアミンとジカルボン酸の塩と、ポリ(オキシアルキレンオキシド)グリコールと、炭素原子数4〜20のジカルボン酸からなるポリエーテルエステルアミドは、制電成分の筋形成性や制電性、機械特性からポリエーテルエステル単位がポリエーテルエステルアミド全体の30〜70重量%程度のものが好ましく用いられる。
本発明における制電成分Cを構成する有機スルホン酸塩化合物とはドデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸とナトリウム、カリウム等のアルカリ金属から形成される塩であり、なかでもドデシルベンゼンスルホン酸ソーダが特に好ましい。該有機スルホン酸塩化合物のポリエーテルエステルアミドへの配合量は、ポリエーテルエステルアミド100重量部に対し2〜20重量部が好ましい。有機スルホン酸塩化合物の配合量が2重量部以上ならば得られる繊維の制電性能が高く、また、20重量部以下であれば製糸性良く製造できるため好ましい。
また、本発明における制電成分Cには耐熱性向上剤としてヒンダードフェノール化合物を加えることができる。ここでヒンダードフェノール化合物とはフェノール系水酸基の隣接位置に立体障害を有する置換基を持つフェノール誘導体であり、例えば1,3,5−トリメチル−2,4,6トリ(3,5−tertブチルフェノール)、2,6−ジ−tertブチル−p−クレゾール、2,2−メチルビス(4−エチル−6−tertブチルフェノール)等が挙げられる。該ヒンダードフェノール化合物の制電成分Cへ配合する場合、ポリエーテルエステルアミド100重量部に対し2〜10重量部程度で用いられる。
本発明において、ポリエステル系熱可塑性樹脂Aと導電性金属化合物微粒子を含有する熱可塑性樹脂Bおよび、制電成分Cからなり、樹脂Bは樹脂A中に実質均一に分散しており、成分Cは樹脂Aと樹脂Bからなる連続相に対し、相溶性に乏しく、長手に連続かつ、独立した分散相を形成することが必要である。制電成分Cが形成する独立した筋状の層が十分連続でなく、途切れ途切れの場合は制電性能が著しく低下するため本発明の対象にはならない。具体的には、概ね繊維長手に0.5mm以上連続である場合制電性能が発揮され、0.5mm未満では制電性能が低下する。
本発明の製造方法における、ポリエステル系熱可塑性樹脂Aと導電性金属化合物微粒子を含有する熱可塑性樹脂Bおよび、制電成分Cの混合方法としては、樹脂A、樹脂B、成分Cそれぞれチップ状の状態で混合したものを、押出し機にて溶融・混合しする方法や、樹脂A、樹脂B、成分Cそれぞれを別々の押出し機にて溶融させ、溶融状態になった後に混合させる方法、海島状に複合紡糸する方法等が挙げられるが、前者であれば樹脂Aと樹脂Bが均一に分散し、成分Cが樹脂Aと樹脂Bからなる連続相に長手に連続かつ、独立した分散相を形成した繊維が、簡素な設備のもと容易に得られるため好ましい。A,B,成分Cを混合した溶融ポリマーは口金ノズルから紡糸される。紡糸糸条を冷却した後は任意の方法で巻き取ることができ、一旦巻き取り、加熱延伸を施す方法であっても、一旦巻き取ることなく加熱延伸を施す方法であってもよく、公知の製糸方法を任意に用いることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。但し、本発明は実施例によりなんら限定されるものではない。なお、実施例中の評価は以下の方法に従った。
1.強度(cN/dtex)・伸度(%)
TOYO BALDWIN社製TENSILON/UTM−III−100を使用し、試料長20cm、引張り速度20cm/分の測定条件でフィラメント破断点における強度・伸度を測定した。
TOYO BALDWIN社製TENSILON/UTM−III−100を使用し、試料長20cm、引張り速度20cm/分の測定条件でフィラメント破断点における強度・伸度を測定した。
2.原糸比抵抗
フィラメント糸を束ねて約2000デニールとし、弱アニオン系洗剤を用い、十分に精錬して油剤などを除いた後、20℃、40%RHの状態で24時間放置し、同温度、湿度下にてその両端の電気抵抗を測定することによって原糸の比抵抗ρ[Ωcm]を求めた。
フィラメント糸を束ねて約2000デニールとし、弱アニオン系洗剤を用い、十分に精錬して油剤などを除いた後、20℃、40%RHの状態で24時間放置し、同温度、湿度下にてその両端の電気抵抗を測定することによって原糸の比抵抗ρ[Ωcm]を求めた。
3.原糸の低湿度環境下比抵抗値
上記(2.原糸比抵抗)測定方法において湿度を20%RHと変更した以外は同じ方法で低湿度環境下比抵抗値ρ´[Ωcm]を求め、ρ´≦5×1010を制電レベルと認めた。また、下式により比抵抗変化率を求めた。
上記(2.原糸比抵抗)測定方法において湿度を20%RHと変更した以外は同じ方法で低湿度環境下比抵抗値ρ´[Ωcm]を求め、ρ´≦5×1010を制電レベルと認めた。また、下式により比抵抗変化率を求めた。
比抵抗変化率=ρ´/ρ
4.製糸性
後述する各実施例において、未延伸糸1000kgを紡糸する際に発生した糸切れの回数が1回未満を○、1回以上5回未満を△、5回以上を×とし、○および△を合格とした。
4.製糸性
後述する各実施例において、未延伸糸1000kgを紡糸する際に発生した糸切れの回数が1回未満を○、1回以上5回未満を△、5回以上を×とし、○および△を合格とした。
5.制電成分筋形成評価
フィラメントを98℃に加熱した4%NaOH水溶液溶液に浸漬し、フィラメントがもとの重量の85%となるところで取り出した後、水で洗浄してフィラメントを室温で乾燥した。このフィラメントを日立製作所製E1010 ION SPUTTERにて、金属アルミニウム真空蒸着を施し、日立製作所製S−3000N走査型電子顕微鏡(SEM)によりフィラメント表面の観察を行い、制電成分が形成する筋形成状態を評価した。SEM写真より、制電成分の筋の平均長さが50mmを超えた状態を、○:筋が十分長手に連続とし、0.5mm〜50mmを△:筋が長手に連続、0.5mm未満を×:筋形成していないとし、○および△を合格とした。
フィラメントを98℃に加熱した4%NaOH水溶液溶液に浸漬し、フィラメントがもとの重量の85%となるところで取り出した後、水で洗浄してフィラメントを室温で乾燥した。このフィラメントを日立製作所製E1010 ION SPUTTERにて、金属アルミニウム真空蒸着を施し、日立製作所製S−3000N走査型電子顕微鏡(SEM)によりフィラメント表面の観察を行い、制電成分が形成する筋形成状態を評価した。SEM写真より、制電成分の筋の平均長さが50mmを超えた状態を、○:筋が十分長手に連続とし、0.5mm〜50mmを△:筋が長手に連続、0.5mm未満を×:筋形成していないとし、○および△を合格とした。
実施例1
(1)ポリエーテルエステルアミドの調整
カプロラクタム50重量部、数平均分子量が2000のポリエチレングリコール47.53重量部、アジピン酸3.7重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ(以下DBSと略)5重量部、“イルガノックス”1098(チバガイギー社製酸化防止剤)0.2重量部、および三酸化アンチモン触媒0.1重量部とともにヘリカルリボン攪拌翼を備えた反応容器にし込み、窒素置換して240℃で40分間加熱攪拌して透明な均一溶液とした後、260℃、0.5mmHg以下の条件で5時間以上重合後、窒素下で常圧とし1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(以下“イルガノックス”1330と略:チバガイギー社製酸化防止剤)5.5重量部を添加し、20分間練りこみ後、1.0mmHg以下まで減圧し脱泡後ポリマーを冷却ベルト上にガット状に吐出し、冷却、カッティングし、径2〜3mm、長さ4mmのポリエーテルエステルアミド系制電剤チップ(C−1)を調整した。
(2)チップ混合
160℃で6時間真空乾燥した極限粘度0.64のポリエチレンテレフタレート(以下PETと略)チップ(A−1)と、酸化チタン表面に酸化アンチモンをドープした酸化錫をコーティングした導電性金属化合物微粒子を50重量%含有するポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略)チップ(B−1)と、C−1チップをそれぞれ重量混合比で0.98:0.01:0.01(A−1:B−1:C−1)となるよう混合し、混合チップ(M−1)を得た。
(3)紡糸/延伸
M−1チップを押出し機に供給し、紡糸温度290℃にて口金ノズルより溶融M−1チップを吐出し、冷却、油剤付与後、巻き取り速度1000m/分で巻き取り、150デシテックス24フィラメントの未延伸糸を得た。得られた未延伸糸は熱板加熱式延伸機にて、延伸倍率3.0倍、熱板温度130℃、熱セット温度℃にて延伸し、50デシテックス24フィラメントの制電性繊維を得た。
(1)ポリエーテルエステルアミドの調整
カプロラクタム50重量部、数平均分子量が2000のポリエチレングリコール47.53重量部、アジピン酸3.7重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ(以下DBSと略)5重量部、“イルガノックス”1098(チバガイギー社製酸化防止剤)0.2重量部、および三酸化アンチモン触媒0.1重量部とともにヘリカルリボン攪拌翼を備えた反応容器にし込み、窒素置換して240℃で40分間加熱攪拌して透明な均一溶液とした後、260℃、0.5mmHg以下の条件で5時間以上重合後、窒素下で常圧とし1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(以下“イルガノックス”1330と略:チバガイギー社製酸化防止剤)5.5重量部を添加し、20分間練りこみ後、1.0mmHg以下まで減圧し脱泡後ポリマーを冷却ベルト上にガット状に吐出し、冷却、カッティングし、径2〜3mm、長さ4mmのポリエーテルエステルアミド系制電剤チップ(C−1)を調整した。
(2)チップ混合
160℃で6時間真空乾燥した極限粘度0.64のポリエチレンテレフタレート(以下PETと略)チップ(A−1)と、酸化チタン表面に酸化アンチモンをドープした酸化錫をコーティングした導電性金属化合物微粒子を50重量%含有するポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略)チップ(B−1)と、C−1チップをそれぞれ重量混合比で0.98:0.01:0.01(A−1:B−1:C−1)となるよう混合し、混合チップ(M−1)を得た。
(3)紡糸/延伸
M−1チップを押出し機に供給し、紡糸温度290℃にて口金ノズルより溶融M−1チップを吐出し、冷却、油剤付与後、巻き取り速度1000m/分で巻き取り、150デシテックス24フィラメントの未延伸糸を得た。得られた未延伸糸は熱板加熱式延伸機にて、延伸倍率3.0倍、熱板温度130℃、熱セット温度℃にて延伸し、50デシテックス24フィラメントの制電性繊維を得た。
得られた制電性繊維の筋形成状態は良好であり、制電性能は十分であった。
実施例2
得られる繊維全体の導電性金属化合物微粒子含有量が0.05重量%となるよう、実施例1“チップ混合”におけるM−1チップ混合比を0.989:0.001:0.01(A−1:B−1:C−1)とした以外、実施例1と同様の方法で制電性繊維をえた。
得られる繊維全体の導電性金属化合物微粒子含有量が0.05重量%となるよう、実施例1“チップ混合”におけるM−1チップ混合比を0.989:0.001:0.01(A−1:B−1:C−1)とした以外、実施例1と同様の方法で制電性繊維をえた。
得られた制電性繊維は実施例1と比較し、導電性金属化合物微粒子含有量が少ないことにより、若干ρおよびρ´が大きくなったものの、制電性能は十分であった。
実施例3
得られる繊維全体の導電性金属化合物微粒子含有量が12重量%となるよう、実施例1“チップ混合”におけるM−1チップの混合比を0.75:0.24:0.01(A−1:B−1:C−1)とした以外、実施例1と同様の方法で制電性繊維をえた。
得られる繊維全体の導電性金属化合物微粒子含有量が12重量%となるよう、実施例1“チップ混合”におけるM−1チップの混合比を0.75:0.24:0.01(A−1:B−1:C−1)とした以外、実施例1と同様の方法で制電性繊維をえた。
得られた制電性繊維は実施例1と比較し、導電性金属化合物微粒子含有量増加により、制電成分筋がやや分断され、ρ、ρ´ともに大きくなったものの、制電性能は十分であった。
実施例4
混合チップ全体のC−1チップ重量が0.05重量%となるよう、実施例1“チップ混合”におけるM−1チップの混合比を0.985:0.01:0.005(A−1:B−1:C−1)とした以外、実施例1と同様の方法で制電性繊維をえた。
混合チップ全体のC−1チップ重量が0.05重量%となるよう、実施例1“チップ混合”におけるM−1チップの混合比を0.985:0.01:0.005(A−1:B−1:C−1)とした以外、実施例1と同様の方法で制電性繊維をえた。
得られた制電性繊維は実施例1と比較し、制電成分チップ(C−1)混合量が少ないことにより、ρが大きくなったものの、比抵抗変化率は小さく、制電性能は十分であった。
実施例5
混合チップ全体のC−1チップ重量が15重量%となるよう、実施例1“チップ混合”におけるM−1チップの混合比を0.84:0.01:0.15(A−1:B−1:C−1)とした以外、実施例1と同様の方法で制電性繊維をえた。
混合チップ全体のC−1チップ重量が15重量%となるよう、実施例1“チップ混合”におけるM−1チップの混合比を0.84:0.01:0.15(A−1:B−1:C−1)とした以外、実施例1と同様の方法で制電性繊維をえた。
得られた制電性繊維は実施例1と比較し、制電成分チップ(C−1)混合量が多いことにより、製糸性悪化したものの問題ないレベルであった。また、制電性能は十分なレベルに達していた。
実施例6
C−1チップ中DBSの配合量をポリエーテルエステルアミド100重量部に対し、1重量部となるよう、C−1チップの組成を変えた以外、実施例1と同様の方法で制電性繊維をえた。
C−1チップ中DBSの配合量をポリエーテルエステルアミド100重量部に対し、1重量部となるよう、C−1チップの組成を変えた以外、実施例1と同様の方法で制電性繊維をえた。
得られた制電性繊維は実施例1と比較し、DBS配合量が少ないことにより、ρ、ρ´が若干大きくなったものの、制電性能は十分であった。
実施例7
C−1チップ中DBSの配合量をポリエーテルエステルアミド100重量部に対し、25重量部となるよう、C−1チップの組成を変えた以外、実施例1と同様の方法で制電性繊維をえた。
C−1チップ中DBSの配合量をポリエーテルエステルアミド100重量部に対し、25重量部となるよう、C−1チップの組成を変えた以外、実施例1と同様の方法で制電性繊維をえた。
得られた制電性繊維は実施例1と比較し、DBS配合量が多いことにより、製糸性が若干悪化したものの問題ないレベルであった。また制電性能は、制電性能は十分なレベルに達していた。
比較例1
実施例1において、B−1チップを配合せず、M−1チップ混合率を0.99:0:0.01とした以外、同様の方法で比較用繊維をえた。
実施例1において、B−1チップを配合せず、M−1チップ混合率を0.99:0:0.01とした以外、同様の方法で比較用繊維をえた。
得られた繊維の原糸比抵抗は制電レベルに達したものの、低湿度環境における比抵抗値増加が著しく、実質制電性能は不十分であった。
比較例2
実施例1において、C−1チップを配合せず、M−1チップ混合率を0.99:0.01:0とした以外同様の方法で比較用繊維をえた。
実施例1において、C−1チップを配合せず、M−1チップ混合率を0.99:0.01:0とした以外同様の方法で比較用繊維をえた。
得られた繊維の原糸比抵抗は制電レベルになく、通常ポリエステルと変わらないものであった。
比較例3
導電性金属化合物微粒子を混合させる熱可塑性樹脂をPBTからナイロンに変更したほか、実施例1と同様の方法で制電性繊維をえた。
導電性金属化合物微粒子を混合させる熱可塑性樹脂をPBTからナイロンに変更したほか、実施例1と同様の方法で制電性繊維をえた。
実施例1と比較し、導電性金属化合物微粒子を混合させる熱可塑性樹脂が、ポリエステル系熱可塑性樹脂Aより制電成分Cとの相溶性が高いことに起因する筋形成状態、制電性能の悪化が認められ、制電性能は不十分であった。
実施例1〜7の結果を表1へ、比較例1〜3の結果を表2へ示す。
Claims (4)
- ポリエステル系熱可塑性樹脂Aと導電性金属化合物微粒子を含有するポリエステル系熱可塑性樹脂Bおよび、a〜d成分で構成される制電成分Cからなり(a:アミノカルボン酸、ラクタム、ジアミンとジカルボン酸の塩の中から選ばれた1種、b:ポリ(オキシアルキレンオキシド)グリコール、c:炭素原子数4〜20のジカルボン酸からなるポリエーテルエステルアミド、d:有機スルホン酸塩化合物)、樹脂Bは樹脂A中に均一に分散しており、成分Cは樹脂Aと樹脂Bからなる連続相に、長手に連続かつ独立した筋状の分散相を形成していることを特徴とする制電性繊維。
- 制電性繊維全体に対する、熱可塑性樹脂Bの導電性金属化合物微粒子含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1記載の制電性繊維。
- 制電性繊維全体に対する、制電成分Cが0.1〜10重量%であり、d成分の有機スルホン酸金属塩化合物の配合量が、c成分のポリエーテルエステルアミド100質量部に対し2〜20質量部であることを特徴とする請求項1または2記載の制電性繊維。
- ポリエステル系熱可塑性樹脂Aと導電性金属化合物微粒子を含有する熱可塑性樹脂Bおよび、a〜d成分で構成される制電成分Cからなり(a:アミノカルボン酸、ラクタム、ジアミンとジカルボン酸の塩の中から選ばれた1種、b:ポリ(オキシアルキレンオキシド)グリコール、c:炭素原子数4〜20のジカルボン酸からなるポリエーテルエステルアミド、d:有機スルホン酸塩化合物)、樹脂Bは樹脂A中に均一に分散しており、成分Cは樹脂Aと樹脂Bからなる連続相に、長手に連続かつ独立した分散相を形成している制電性繊維の製造方法において、ポリエステル系熱可塑性樹脂Aと導電性金属化合物微粒子を含有する熱可塑性樹脂B、および制電成分Cを、それぞれチップ形状の状態で混合したものを、押出し機にて溶融・混合し、口金ノズルから紡糸することを特徴とする制電性繊維の製造方法。
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JP2004286522A JP2006097196A (ja) | 2004-09-30 | 2004-09-30 | 制電性繊維とその製造方法 |
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CN115652470A (zh) * | 2022-11-07 | 2023-01-31 | 浙江恒百华化纤有限公司 | 一种聚酯dty纤维及其制备工艺 |
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2004
- 2004-09-30 JP JP2004286522A patent/JP2006097196A/ja active Pending
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