JP4726365B2 - 制電性能を有する清掃用布帛 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、清掃時に被清掃物と清掃用布帛との摩擦によって生じる静電気の発生を抑え、電子製品の静電気の発生、埃や塵の付着を防止すると共に、高い清掃能力を有する清掃用布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】
眼鏡のレンズ、カメラその他の光学的装置、鏡及び窓ガラス、研磨或いはメッキされた金属製品、漆器、食器などの製品の表面は、汚れ埃がなく美しく保つために、清掃用の布帛に柔らかいセルロース繊維等が使用されている。しかしながらセルロース繊維製品は、強度、耐久性の点が劣ると共に、清掃中に布帛から繊維の断片が脱落し、埃が逆に付着する。これらの欠点である強度、耐久性を改善し清掃能力を向上させるために、繊維の単位重量当たりの表面積が大きく、且つ繊維横断面が扁平もしくは多角形である極細繊維の清掃用布帛が提案されている(特公昭59−30419号公報、特公昭61−58573号公報)。しかしながら、これらはいずれも合成繊維の極細繊維を使用しているために、被清掃物との摩擦による静電気帯電が高いという欠点があった。
【0003】
一般に合成繊維は天然繊維に比較して静電気帯電が大きいことはよく知られている。この傾向は、繊維の繊度が小さいほど、即ち、極細繊維を使用するほど、被清掃物との間の接触面積が大きくなるため、より顕著となる。従って、極細繊維で被清掃物表面の汚れを払拭しても、摩擦により被清掃物の表面に静電気が発生し、空気中の微小な塵埃が静電気により被清掃物表面に付着する。近年、塵埃や静電気を嫌う医薬品、電子精密工業等の分野で使用する場合には、従来の清掃布帛で静電気帯電による塵埃の付着、放電による素子破壊といった問題が多発している。清掃布帛に制電性能を付与し、静電気発生を防止することは従来から研究がすすめられており、幾多の方法が提案されている。
【0004】
例えば、帯電性防止剤を後処理により繊維表面に塗布する方法、制電剤を繊維中に筋状に分散混練させる方法、芯鞘複合繊維の芯部に制電剤、導電性物質を含有させる方法が提案されている。係る方法を、優れた清掃能力を有する極細繊維を主体とする布帛に用いようとすると、摩擦や洗浄等により帯電防止剤が脱落したり、繊維がフィブリル化したりと、耐久性のある帯電防止効果は望めない。従来の芯鞘複合繊維では繊維径が大きすぎ十分な清掃素材としては不向きであった。
【0005】
従来の制電性繊維、導電性繊維は、塵埃を寄せ付けない防塵性を有している。塵埃の吸着は繊維表面への静電気吸着が主原因であるので、これらの制電性、導電性繊維を清掃布帛に利用することが提案されているが、初期帯電電荷量が低く、その上制電性、導電性の持続性が短く清掃耐久性が低いという問題を有している。
【0006】
これらの欠点を解消するワイピングクロスとして、特開平11−50350号公報には、シャープエッジを有する極細繊維に3重量%以下の導電繊維を混入したワイピングクロスが提案されている。しかし、導電性カーボンブラックを使用しているので、清掃時の摩擦によりカーボンブラックが脱落してしまい、電子精密工業等の分野で使用する場合はその粉塵付着が大きな問題となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた清掃能力、低発塵性と、同時に耐久性のある制電性を併せ持った清掃用布帛を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、1gあたり5000cm2以上の表面積を有する、ポリアミドとポリエステルを複合した繊維を膨潤剤で割繊した極細繊維、及び芯成分に制電性能を有する繊度10〜33dtexである芯鞘型制電性モノフィラメントを含むマルチフィラメントからなり、緯糸もしくは経糸に(1)の極細繊維、他方に(1)の極細繊維と(2)記載の芯鞘型制電性モノフィラメントとを混繊したマルチフィラメントからなり、前記制電性モノフィラメントに使用される制電性ポリマーはポリアルキレングリコール系ポリエステル共重合体であり、前記制電性モノフィラメントの表層に制電剤が露出していないことを特徴とする清掃用布帛である。
【0009】
一般的に、清掃用布帛の清掃力は、それに用いられる繊維1g当りの表面積が大きいほど高い。本発明の清掃用布帛の構成要素である極細繊維は、1g当たり5000cm2以上が必要であり、好ましくは7000cm2/g以上である。5000cm2/g未満であると、清掃力が不十分となる。なお、繊維の表面積を大きくする方法については、特公昭59−30419号公報に開示されており、▲1▼極細繊維(単位繊度0.4dtex以下程度のもの)、▲2▼扁平率の大なる繊維、▲3▼異形断面繊維等がある。なお、清掃能力と繊維表面積の関係も特公昭59−30419号公報に開示されている。繊維表面積が上昇するにつれて清掃能力も上昇していくが、10000cm2/gを超えるあたりで次第に頭打ちとなり、18000cm2/g以上になると、1〜2回軽くなでただけで清掃効果を発揮することができる。繊維表面積が大きい布帛ほど、それに用いる極細繊維及び布帛製造の難易度が高くなるので、繊維表面積は18000cm2/gまでで十分である。
【0010】
極細繊維を構成する繊維形成性ポリマーは特に限定されない。極細繊維を清掃用布帛として使用する際、メチレン基、アルキレン基、芳香環基などの親油性基を有するポリマーを使用すると、指紋、手垢、油脂による汚れを除去するのに有効である。また、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、スルフォン基、水酸基など、親水性基を有するポリマーを使用すると、水溶性物質、水滴などの除去に有効である。親油性ポリマーとしては、ポリオレフィン、ポリエステル等が挙げられ、親水性ポリマーとしてはポリアミド、ポリエーテル等が挙げられる。このため、本発明の清掃用布帛には、コストパフォーマンス及び割繊時の膨潤剤による処理とも関連して、ポリアミドとポリエステルの組合せが最も好ましい。
【0011】
制電性とは、清掃用布帛の表面と被清掃用物の表面に摩擦により発生した静電気を速やかに漏洩させ、帯電圧を実用上障害にならない範囲に低減することである。被清掃物表面の汚れ塵埃や払拭する際に発生する静電気帯電により、塵埃の再付着、高電圧放電による素子破壊といった問題が発生している。本発明の特徴は、制電性ポリマーを芯成分とした芯鞘型モノフィラメントを、極細マルチフィラメントの中に混入することによって、制電剤による被清掃物の汚染防止能を保持したまま高い制電性能が保持できる清掃用布帛が得られる事である。
【0012】
清掃布帛を構成する繊維には、芯成分に制電性能を有する芯鞘型制電性モノフィラメントが含まれている事が必要である。芯成分の制電剤が表層に露出していると、清掃時の摩擦により芯成分の制電剤が削り取られ、制電耐久性が低下すると共に清掃能力も低下するので好ましくない。また、後加工などによる繊維表面に制電剤を塗布する方法では、清掃時の摩擦により制電剤の脱落が生じ、制電性能及び清掃能力が低下するので好ましくない。なお、制電性モノフィラメントの横断面形状は特に限定されるものではないが、円形が好ましい。芯鞘型には同心円型、多芯型、偏芯型などがあるが、モノフィラメントの表層に制電剤が露出していなければ特に限定されない。また、混入される制電性モノフィラメントの数は、清掃用布帛にした後の制電性能、清掃力が十分であれば特に限定されない。
【0013】
本発明に用いる制電性モノフィラメントの繊度は10〜33dtexが必要であり、特に13〜20dtexが好ましい。制電性モノフィラメントの繊度が10dtexより小さいと、紡糸時に低吐出ゆえに制電剤の受ける熱量が大きくなり熱分解が進み、紡糸操業性が不良になると共に制電性も低下する。また、33dtexを超えると、柔軟性が乏しくなり、また繊維径が太いゆえに清掃用布帛製造時に布帛表面に浮き上がり、被清掃物を傷付け満足いくものではない。更には、極細繊維からなる清掃布帛の柔軟性が阻害され、被清掃物との密着性も低下し清掃能力も低下するので好ましくない。
【0014】
制電性モノフィラメントの制電性能は、JIS−L−1094法における60秒後の摩擦帯電圧が1000V以下、半減期が5秒以内であることが好ましく、特に好ましくは60秒後摩擦帯電圧が500V以下、半減期3秒以内である。60秒後摩擦帯電圧が1000V以下であると、精密工業等の分野で使用する際、静電気帯電による塵埃の付着、放電による素子破壊などの問題を抑止する事ができる。また、半減期が5秒以下であると、短時間で静電気を系外に放出することができるので好ましい。
【0015】
制電性モノフィラメントのマルチフィラメントへの混入方法は、特に限定するものではない。清掃用布帛を構成する繊維に制電性モノフィラメントを混合、合撚、制電性モノフィラメントを芯糸に極細繊維を鞘糸に用いた複合糸を使用できる。あるいは、交編、交織してもよい。清掃用布帛が織物の場合、経糸、緯糸の少なくとも一方に制電性モノフィラメントを織り込んでもよい。また、制電性モノフィラメントが被清掃物と接する表面に浮き上がらないようにすると、清掃用布帛の柔軟性を維持する事ができるので、好ましい。
【0016】
一般に使用される制電性ポリマーとしては、ポリアルキレングリコール系ポリアミド共重合体、ポリアルキレングリコール系ポリエステル共重合体、ポリアルキレングリコール系ポリエステルアミド共重合体等が挙げられる。本発明に用いられる制電性ポリマーは、ポリマーの芯鞘形成及び制電性能も良好であるポリアルキレングリコール系ポリエステル共重合体が好ましい。なお、制電性ポリマーには、制電性能向上のために有機金属塩類を混合してもよい。制電性ポリマーを更に詳細に説明すると、平均分子量6000以上であるポリアルキレングリコール(A成分)と有機ジカルボン酸またはそのエステル体(B成分)を、A成分の含有量が70〜95重量%、平均分子量10000〜70000の重合体に対して、有機スルホン酸金属塩を該重合体に対して10〜30重量%となるように混合した樹脂組成物が特に好ましい。
【0017】
制電性モノフィラメントにおける芯成分の制電性ポリマーの量は、鞘成分の重量に対して0.3〜5重量%が好ましく、特に1〜3重量%が最も好ましい。0.3〜5重量%の範囲であると、紡糸操業性が良好で、かつ十分な制電性能が得られる。5重量%を超えた場合、紡糸操業性が低下し、制電性能の効果も頭打ちとなってくる。従って、制電性ポリマーの添加量は、5重量%以下で十分である。
【0018】
制電性モノフィラメントの鞘成分に用いられる繊維形成性ポリマーの種類としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリウレタンなどが挙げられ、芯鞘複合紡糸が可能なポリマーなら特に限定されない。中でもポリエステルは、寸法安定性、制電性ポリマーとの親和性が良好であるため、好ましく用いられる。用いられるポリエステルの種類としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のような芳香族ポリエステル、または、ポリエチレンサクシネート、ポリカプロラクトンのような脂肪族ポリエステルなどが挙げられる。中でもPETは、溶融紡糸を行なう際の操業性、コストパフォーマンスなどの観点より特に好ましく用いられる。ポリエステルの分子量、分子量分布、極限粘度については、複合紡糸が可能であれば特に限定されない。
【0019】
【実施例】
以下に実例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。尚、実施例中の各評価法は以下の方法により実施した。
【0020】
A.摩擦帯電圧測定(制電性能評価)
摩擦帯電圧は、布帛を洗濯後、JIS−L−1094法に準じ、カネボウエンジニアリング(株)製のEST−7型摩擦帯電圧測定装置を用いて測定した。摩擦布は羊毛とし、測定室内温度20℃、湿度40%とした。評価は、摩擦60秒後の帯電圧と半減期を測定した。
【0021】
B.清掃力評価
鏡面に1mg/cm2の量のグリースを手の平で強くするようにして十分に塗り付け、30分後に清掃用布帛でその面が美しくなるまで清掃するに要した拭取り回数(50cm2当り)をもって表示した。回数が5回未満で鏡面が美しくなったものを優良(◎)、5回以上10回未満のものを良好(○)、10回以上のものを不良(×)とした。
【0022】
C.布帛の断面評価
清掃用布帛を製造する際、制電モノフィラメントが表面に浮き出ることなく、マルチフィラメントの中に沈んでいるかということを確認するために、布帛の断面を切断した後、日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡JSM−5300(以下、SEMと略す)にて150倍で観察した。
【0023】
D.紡糸操業性評価
紡糸操業性評価とは、1日間の連続紡糸期間中における繊維形成性ポリマーの押出し安定性と繊維収量、及び断面形状が紡糸中に崩れる事なく一定形態で維持できているかで判断した。いずれの項目も安定して良好であった場合は(○)、いずれかの項目が不良であったが、紡糸可能であった場合は(△)、いずれかの項目が不良で、紡糸に大きな支障をきたした場合は(×)とした。
【0024】
E.極細繊維の製造方法
30℃オルソクロロフェノール溶液の固有粘度0.69のPETと、25℃濃硫酸での1g/100ml溶液の相対粘度が2.3のナイロン6とを、従来公知の紡糸方法にて別々に溶融押出し、PET:ナイロン6の比率が2:1で図1のような横断面形状の複合糸を紡糸した。なお、この時、PETの溶融温度295℃、ナイロン6の溶融温度285℃、口金温度290℃、紡速1200m/分にて行った。この未延伸糸を巻き上げて約1日後に、目標伸度33±2%となるように、速度800m/分、85℃ローラーヒーター及び150℃プレートヒーター通しで延伸して、複合糸を得た。なお、複合糸を割繊して得られる極細繊維の表面積は、断面を顕微鏡写真撮影し、計算によって算出した。
【0025】
F.制電剤の重合工程
制電性ポリマー(以下、ASAと記す)の重合法は、芳香族ジカルボン酸エステルであるビス−ヒドロキシエチルテレフタレートの所定量中に、ポリエチレングリコール(以下、PEGと記す)所定量、重合触媒として三酸化アンチモン0.04(重量%/エステル)、安定剤としてリン酸トリメチル0.043(重量%/エステル)、更に重合中のポリマー劣化防止のためヒンダードフェノール系安定剤であるイルガノックス1010(チバガイギー社製)0.1(重量%/エステル)を添加し、窒素気流下230℃で約2時間原料の撹拌混合、脱水を行なった。なお、同時にDBS(ドデシルベンゼンスルホン酸)のナトリウム塩を所定量混合した。次に温度を245℃に徐々に昇温しつつ真空度130Paへ約1時間で到達させ、更に27〜67Paで重合を行なった。重合反応終了後、窒素注入により真空を常圧に戻してから、ポリマーの酸化防止のため、さらにイルガノックス1010を2%添加し、10分間撹拌混合し、ASAを得た。
【0026】
G.制電性モノフィラメント紡糸
紡糸は、(E.)記載のPETを鞘成分、(F.)記載のASAを芯成分とし、紡糸方法は、従来公知の芯鞘複合紡糸法に従った。なお、実施例中に特に記載が無い限り、ASA量を3重量%として、同心円状の芯鞘複合モノフィラメントとした。この時、紡糸温度295℃、ASA圧入温度200℃、紡速1500m/分で行なった。これを巻上げてから約1日後に、目標伸度を22±2%として、速度800m/分、85℃ローラーヒーター及び150℃プレートヒーター通しで延伸して、制電性複合モノフィラメントを得た。
【0027】
H.清掃用布帛の製造方法及び評価
経糸は、(E.)記載の複合糸とし、緯糸は(E.)記載の複合糸と(G.)記載の制電性モノフィラメントを混繊したマルチフィラメントとし、スルーザー型織機により平織りを作製した。その後、5重量%のベンジルアルコールエマルジョンで10分間処理し、水洗、乾燥させ、図2に示すように複合糸を完全に分割させた。極細繊維が完全に分割されているかは、(C.)記載の走査型電子顕微鏡観察にて確認した。
【0028】
<極細繊維の違いによる清掃能力評価>
上述の方法に従って、緯糸に56dtex/24フィラメント(以下fと略す)の複合糸と20dtex/1fの制電モノフィラメントを混繊した76dtex/25fのマルチフィラメントを使用した。その際、緯糸の極細繊維の繊度を変化させて、製織後開繊処理し、SEMにて複合糸を完全に分割させたのを確認した。そして、表面積の異なる清掃用布帛にて清掃力評価を行った。その結果を下表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
比較例1〜3は、表面積が小さいために清掃力不十分であり、特に比較例3は、鏡面のくもりが非常に取れにくく、不良であった。一方、本発明に準じた実施例1〜3は、いずれも数回の拭取りで十分であり、特に実施例1は十分に表面積が高いので優良であった。
【0031】
<使用する制電モノフィラメントの繊度の評価>
前述の方法に従って、経糸に56dtex/24fの複合糸、緯糸に76dtex/25fの複合糸と制電モノフィラメントを混繊したマルチフィラメントを使用し、製織後開繊処理し、SEMにて複合糸を完全に分割させたのを確認した。計算上表面積7200(cm2/g)の清掃用布帛を作製した。その際、制電モノフィラメントの繊度を種々変化させ、制電性能評価及び清掃力評価を行った。その結果を下表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
比較例4は、繊度が小さすぎるために、制電ポリマーの吐出量が極度に少なくなり、制電ポリマーの熱分解による吐出ムラが発生し、芯鞘形成が困難となり紡糸操業性が低かった。また、熱分解による制電ポリマーの性能低下により制電性能も不良であった。比較例5は、繊度が大きすぎるために、清掃布帛の表面付近に制電性モノフィラメントが浮き上がり、制電性能は優良であった。但し、表面に浮き上がることによって清掃布帛の柔軟性が阻害され、鏡面との密着性が低下し、清掃力は不良であった。一方、本発明に準じた実施例4〜6は、最適な柔軟性、制電性能を保持しており、特に実施例1、5は、いずれも優良であった。
【0034】
<制電ポリマーの配合量評価>
前述の方法に従って、経糸に56dtex/24fの複合糸、緯糸に56dtex/24fの複合糸と20dtex/1fの制電モノフィラメントを混繊した76dtex/25fのマルチフィラメントを紡糸し、製織後開繊処理し、SEMにて複合糸を完全に分割させたのを確認して、計算上表面積7200(cm2/g)の清掃用布帛を作製した。この時、制電性モノフィラメントの制電ポリマー配合量を種々変化させて、紡糸操業性、制電性能を評価した。その結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
実施例7は、制電ポリマーの吐出量が少ないために吐出ムラが一部生じた。その結果、制電性能も優良ではなかった。実施例11は、制電ポリマーの吐出量が多いため、糸切れが一部発生した。制電ポリマーの添加量を次第に多くしていっても、制電性能は顕著に良化せず、効果は頭打ちとなる。コストパフォーマンス、制電性能等の観点から、制電ポリマー添加量は5重量%以下で十分である。
【0037】
【発明の効果】
本発明より、一方に極細繊維、他方に芯鞘型制電モノフィラメントを含んだマルチフィラメントを用いることによって、清掃能力が優良で、かつ制電性能も併せ持った清掃用布帛の供給を可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例及び比較例に用いた極細繊維の断面形状である。
【図2】本発明の実施例及び比較例に用いた極細繊維を、ベンジルアルコールにて割繊した時の断面形状である。
【符号の説明】
A ナイロン6
B PET
Claims (1)
- (1)1gあたり5000cm2以上の表面積を有する、ポリアミドとポリエステルを複合した繊維を膨潤剤で割繊した極細繊維、及び(2)芯成分に制電性能を有する繊度10〜33dtexである芯鞘型制電性モノフィラメントを含むマルチフィラメントからなり、緯糸もしくは経糸に(1)の極細繊維、他方に(1)の極細繊維と(2)記載の芯鞘型制電性モノフィラメントとを混繊したマルチフィラメントからなり、前記制電性モノフィラメントに使用される制電性ポリマーはポリアルキレングリコール系ポリエステル共重合体であり、前記制電性モノフィラメントの表層に制電剤が露出していないことを特徴とする清掃用布帛。
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