JP4892124B2 - 工作機械のチャック開閉装置 - Google Patents
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なお、以下の説明において「前」というときには図の左方を、「後」というときには図の右方を指すものとする。
主軸台301にベアリング等の軸受302によって回転自在に支持された主軸300には、前端(図の左端)から後端(同右端)まで貫通する貫通孔300aが形成されている。主軸300の途中部位には、ビルトイン形のモータMが設けられていて、このモータMの駆動により、主軸300を回転させる。
主軸300の貫通孔300aの前端には、筒状のホルダスリーブ330が嵌入されている。このホルダスリーブ330は主軸300と一体になって回転するとともに、主軸300の貫通孔300a内で主軸軸線Cと同方向に進退移動自在である。
ドローバ320の後端部には、カム351とアーム350とを有する駆動機構が設けられていて、この駆動機構が駆動することで、ドローバ320が主軸300の貫通孔300a内で進退移動する。
このガイドチューブ340の前端は、ホルダスリーブ330の貫通孔330bの内部まで延びていて、コレットチャック310の後端に対峙している。そして、ガイドチューブ340を挿通して供給されたワークが、ホルダスリーブ330の貫通孔330b内を通り、コレットチャック310まで送られる。
またさらに、チャックにワークを挿通させないでチャック爪を閉じてしまうと、チャック爪が完全に閉じてしまい、対向配置されたチャック爪が互いに圧接されて、先端が潰れたり、折損したりするおそれがある。
ガイドチューブ340の振動は、ワーク加工時の騒音や振動の原因となり、ワークの加工精度を低下させる原因になる。そして、このような問題は、高速で主軸を回転させながらワークの加工を行う工作機械ほど顕著になる。
前記ストッパは、前記主軸の外側に形成された所定ピッチの螺旋部に螺合され、予め均等ピッチで回転方向に目盛りが付されたダイヤルと、このダイヤルを所定位置で位置決め固定する固定手段とを有する構成としてもよい。
このように構成することで、径や材質、表面仕上げの状態等の異なるワークへの切り替えに応じて、ストッパを最適な位置に微調整することが可能になる。
このようなテーパ状の案内面を設けることで、特に外径が2mm以下の極細径のワークをスムースにチャックまで供給することができる。
図1は、本発明のチャック開閉装置の一実施形態にかかり、ホルダスリーブを前進させてコレットチャックによりワークの把持させた状態を示す主軸前端部分の断面図である。
なお、以下の説明において「前」と記載するときには図の左方を指すものとし、「後」と記載するときは同右方を指すものとする。
この貫通孔100aの前端には、進退移動部材である筒状のホルダスリーブ130が嵌入されている。長尺棒状のワークの前端部分を把持するチャックとしてのコレットチャック110は、このホルダスリーブ130に嵌め込まれた状態で、主軸100の貫通孔100aの前端に装着される。
主軸100の前端には、コレットチャック110がホルダスリーブ130及び主軸100から脱出しないように規制する規制部材としてのキャップ106が取り付けられている。コレットチャック110は、コイルばね111の付勢力により、キャップ106に常時押し付けられている。
ホルダスリーブ130の前端には、径方向に張り出すフランジ131が形成されている。このフランジ131の外周縁は主軸100の外周面から径方向外側に突出していて、後述する駆動手段のピストンロッド151がフランジ131に係合できるようになっている。
ガイドチューブ140の前端は、ホルダスリーブ130と干渉しない範囲内で可能な限りホルダスリーブ130に近接させるのが好ましい。ガイドチューブ140は、主軸貫通孔100a内に設けられた好ましくはベアリング等の軸受105により、主軸軸線C上で主軸100に対して相対的に回転自在に支持されている。
駆動手段は、主軸100の前端部分の外周部に設けられたシリンダ152と、このシリンダ152内で進退移動するピストン150と、このピストン150とともに進退移動する移動体としてのピストンロッド151とを有している。
シリンダ152の後方底部とピストン150との間にはシリンダ室153が形成されていて、主軸台101からロータリジョイント154を介してシリンダ室153までエア流路155,152aが形成されている。そして、このエア流路155,152aからシリンダ室153にエア等の圧力流体を供給することで、ピストン150及びピストンロッド151が前進する。
シリンダ152は、主軸100の外周面に形成された螺旋部に螺着されている。そして、コレットチャック110の脱出を規制するキャップ106は、シリンダ152の前端外周面に形成された螺旋部に螺着されている。
この実施形態のチャック開閉装置では、コレットチャック110はコイルばね111により常時キャップ106に押し付けられていて移動しないから、チャック爪は径方向にのみ開閉してワークの把持又は把持の解除を行う。従って、コレットチャック100に対するホルダスリーブ130の前進移動量、すなわち、ピストン150及びピストンロッド151の最前進位置を変化させることで、チャック爪の開閉量(つまりワークの把持力)を調整することが可能である。
ボルト121は、主軸軸線Cと同方向にダイヤル120に形成された螺旋孔に螺入され、駒122は、前記螺旋孔に連通するようにダイヤル120の内周面から径方向に形成された孔に挿入されている。前記螺旋孔に螺入したボルト121を締め込んで駒122をキャップ106の外周面に押し付けることで、ダイヤル120がキャップ106に固定される。
すなわち、前進量の変化分b(図2(b)中矢印bで示す)はp×θ/360で表され、閉じ量の変化分a(図2(b)中矢印aで示す)はb×tanα/2で表されるから、閉じ量の変化分aとダイヤル120の回転角度θとの関係は、a=p×θ/360×tanα/2で表すことができる。
a=p×θ/360×tanα/2=0.5×0.02×tan15°
=0.0027mmとなる。
このように、コレットチャック110のチャック爪の閉じ量の微調整が可能であるので、ワークの径の変化やワークの材質の変化、ワークの表面仕上げの状態などに応じて、チャック爪の開閉量を微調整し、最適な把持力でワークを把持させることが可能になる。
なお、図3は、ホルダスリーブを後退させてコレットチャックによるワークの把持を解除した状態を示す主軸前端部分の断面図である。
ワークの加工開始前の初期状態においては、図3に示すように、ピストン150,ピストンロッド151及びホルダスリーブ130が後退していて、コレットチャック110のチャック爪が開状態にある。
ワークの加工を開始するにあたり、ガイドスリーブ140を挿通させてワークを前方に送り、コレットチャック110の前端からワークの前端を所定長さ突出させる。
この後、主軸100を回転させながら図示しない工具によりワークの加工が行われるが、ワークは、コレットチャック110に把持された状態で、ホルダスリーブ130の直後に位置するガイドチューブ140によって支持されているため、長尺のワークの振れや波打ちに起因する加工精度の低下を抑止し、高精度な加工を行うことができる。
この後、図示しないバーフィーダのワークプッシャがワークを後方から押して前進させる。ワークの前端がコレットチャック110の前端から所定寸法突出すると、ワークの送りが停止される。そして、上記と同様の手順でシリンダ室153にエア等の圧力流体が供給され、ホルダスリーブ130,ピストン150及びピストンロッド151が前進してチャック爪を閉動させ、ワークを把持する。
次に本発明の第二の実施形態を、図4を参照しながら説明する。
なお、この実施形態において、先の実施形態と同一の部位,部材には同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
この実施形態では、ピストン150の前進だけでなく後退も、エアの圧力により行うようにしている。
すなわち、図4に示すように、主軸台101には、ピストン150の前進用のエア流路155,152aのほかにピストン150の後退用のエア流路157,152bが形成され、主軸台101とシリンダ152との間には、前後に位置をずらして、エア流路155に連通するロータリジョイント154及びエア流路157に連通するロータリジョイント156が形成されている。
この態様により、ワークをコレットチャック110で把持する際には、エア流路155,152aから、ピストン後方のシリンダ室153aにエアを供給してピストン150を前進させ、コレットチャック110によるワークの把持を解除する際には、エア流路157,152bから、ピストン前方のシリンダ室153bにエアを供給してピストン150を後退させる。
次に本発明の第三の実施形態を、図5を参照しながら説明する。
この実施形態では、ピストン150の後退は第二の実施形態と同様に、エア流路157,152bからピストン前方のシリンダ室153bに供給されたエアによって行うが、ピストン150の前進は、ピストン150の後方に、皿ばね受け158aとともに配置された皿ばね158の付勢力によって行うようにしている。
次に本発明の第四の実施形態を、図6〜図8を参照しながら説明する。
この実施形態では、ホルダスリーブ130′にピストン150′が一体に形成されていて、ホルダスリーブ130′がピストン150′と一体になって前進・後退するようになっている。
図6に示す例では、第一の実施形態と同様に、エア流路155,152aを介してピストン後方のシリンダ室153にエアを供給することで、ホルダスリーブ130′が前進する。また、シリンダ室153のエアをエア流路155,152aを介して大気に開放することで、ばね111の付勢力により、ホルダスリーブ130′が後退する。
図8に示す例では、第三の実施形態と同様に、エア流路157,152bを介してピストン前方のシリンダ室153bにエアを供給することで、ホルダスリーブ130′が後進する。また、ピストン150′の後方に配置された皿ばね158の付勢力によって、ホルダスリーブ130′が前進する。
例えば、上記の第一〜第三の実施形態の説明では、進退移動部材としてのホルダスリーブ130の係合部であるフランジ131と移動体としてのピストンロッド151との係合は、主軸100の外周面の外側で行われるものとして説明したが、進退移動部材と移動体との係合は主軸100の貫通孔100aの内側で行うようにしてもよい。
また、上記の説明においてチャック爪の開閉は、コレットチャック110のテーパ面110aとホルダスリーブ130のテーパ面130aとを摺接させることで行うものとしたが、チャック爪の開閉を行うことができるのであれば、係合部と被係合部は上記のものには限られない。例えば、コレットチャック110の前端に径方向に張り出す係合部を形成し、この係合部に突き当てられる被係合部をホルダスリーブ130の先端に形成して、ホルダスリーブ130の前進にともなって前記被係合部が前記係合部を押すことで、コレットチャック110の前端を弾性変形させ、チャック爪を閉じるように構成してもよい。
さらに本発明では、進退移動部材を進退移動させることができるのであれば、リニアモータやソレノイド等の他の駆動体を用いることも可能である。
100a:主軸貫通孔
101:主軸台
105:軸受
106:キャップ
106a:ねじ溝
110:コレットチャック
110a:テーパ面
111:コイルばね
120:ダイヤル
121:ボルト
122:駒
130:ホルダスリーブ
130a:テーパ面
130b:貫通孔
131:フランジ
132:滑りキー
140:ガイドチューブ
150:ピストン
151:ピストンロッド
152:シリンダ
153:シリンダ室
154:ロータリジョイント
155:エア流路
160:当接部材(ストッパ)
162:取付部材
165:センサ
Claims (8)
- 工作機械の主軸に進退移動自在に挿入される進退移動部材を備え、該進退移動部材を進退移動させることで前記主軸に設けられたチャックを開閉させる工作機械のチャック開閉装置において、
前記主軸に対して進退移動自在に設けられ、前記進退移動部材を移動させる移動体と、
前記移動体に、前記進退移動部材の外側に突出するように一体的に設けられた当接部材と、
前記進退移動部材の外側に位置調整可能に設けられ、前記当接部材と当接することで前記進退移動部材の移動を規制するストッパと、
を有することを特徴とするチャック開閉装置。 - 前記ストッパが、予め均等ピッチで回転方向に目盛りが付されたダイヤルと、このダイヤルを所定位置で位置決め固定する固定手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の工作機械のチャック開閉装置。
- 前記進退移動部材の端部に、前記ワークの径と同一径に形成され前記主軸軸線上に位置する小径孔と、前記ワークの一端を前記小径孔まで案内するテーパ状の案内面とを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械のチャック開閉装置。
- 前記移動体が、前記進退移動部材の外周側に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の工作機械のチャック開閉装置。
- 前記進退移動部材の外周部にシリンダとこのシリンダに嵌入された進退移動自在なピストンとを設け、前記ピストンの移動によって前記移動体を移動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の工作機械のチャック開閉装置。
- 前記ピストンと前記移動体とが一体に形成又は連結されていることを特徴とする請求項5に記載の工作機械のチャック開閉装置。
- 前記進退移動部材を常時一方に付勢する付勢手段を設け、前記付勢手段の付勢力に抗して前記移動体が前記進退移動部材を移動させることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の工作機械のチャック開閉装置。
- 前記チャックによるワークの把持を解除する所定位置まで前記進退移動部材が移動したことを検出するセンサを前記主軸に設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の工作機械のチャック開閉装置。
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