JP4891690B2 - 加工水温度制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、各種加工に用いられる加工水の温度を制御する加工水温度制御装置に関するものである。
被加工物に対して加工要素が接触した状態で行われる各種加工においては、加工品質を高めるために、接触部位には加工水が供給される。例えば、ウェーハ等に回転する研削砥石を接触させて研削を行う研削装置においては、ウェーハと研削砥石との接触部に加工水が供給される。また、高速回転する切削ブレードをウェーハに切り込ませ切削して個々のチップに分割する切削装置においても、ウェーハと切削ブレードとの接触部に加工水が供給される。かかる加工水は、被加工物に熱ひずみを生じさせないために、加工水温度制御装置によってその温度が一定に保たれるように調整される。
特開2000−271866号公報
しかし、加工水を一定の温度に保つための従来の加工水温度制御装置では、加工水を冷却する冷却器と、加工水を加温するヒータとを備えているため、ランニングコストが高く、不経済であるという問題があった。
また、加工水温度制御装置に供給される加工水の温度が極端に低かったり高かったりすると、冷却器及びヒータにおいて十分な冷却及び加温ができす、所望の温度に調整できない場合があるという問題もある。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、加工水を一定の温度に保つための加工水温度制御装置におけるランニングコストを低減し、更には、加工水の温度が極端に低かったり高かったりする場合においても所望の温度に調整できるようにすることにある。
本発明は、加工水の温度を制御する加工水温度制御装置に関するもので、加工水を取り入れる加工水取入部と、取り入れた加工水の温度を計測する温度計測部と、加工水を加温または冷却する第一のヒートポンプユニットと、第一のヒートポンプユニットを通過した加工水を加温または冷却する第二のヒートポンプユニットと、第二のヒートポンプユニットを通過した加工水を送り出す加工水送出部と、加工水の所望温度を設定する温度設定部と、温度計測部で計測された温度と温度設定部で設定された温度との温度差を算出して第一のヒートポンプユニットまたは第二のヒートポンプユニットを制御する制御部とから少なくとも構成され、制御部は、温度差が第一のヒートポンプユニット及び第二のヒートポンプユニットの加温能力または冷却能力の範囲内である場合に、第一のヒートポンプユニットを加温制御する場合は第二のヒートポンプユニットを冷却制御し、第一のヒートポンプユニットを冷却制御する場合は第二のヒートポンプユニットを加温制御する。
制御部は、前記温度差が第一のヒートポンプユニットまたは第二のヒートポンプユニットの加温能力または冷却能力を超えている場合に、第一のヒートポンプユニット及び第二のヒートポンプユニットの双方の動作を加温または冷却のいずれか一方に統一して制御することが望ましい。
加工水送出部には第二の温度計測部を備え、制御部は、温度設定部で設定された温度と第二の温度計測部で計測された温度との温度差を算出し、第一のヒートポンプユニットまたは第二のヒートポンプユニットを制御することが望ましい。
本発明では、加温及び冷却の双方にヒートポンプユニットを使用するため、加温にヒータを使用する場合と比較して、ランニングコストを低減することができる。
また、温度計測部で計測された温度と温度設定部で設定された温度との温度差が第一のヒートポンプユニット及び第二のヒートポンプユニットの加温能力または冷却能力の範囲内である場合に、制御部が、第一のヒートポンプユニットを加温制御する場合は第二のヒートポンプユニットを冷却制御し、第一のヒートポンプユニットを冷却制御する場合は第二のヒートポンプユニットを加温制御するようにすると、加工水の温度の計測値が所望の温度の前後で変化を繰り返したような場合でも、変化に応じて迅速に所望の温度に調整することができる。
温度計測部で計測された温度と温度設定部で設定された温度との温度差が第一のヒートポンプユニットまたは第二のヒートポンプユニットの加温能力または冷却能力を超えている場合に、制御部が、第一のヒートポンプユニット及び第二のヒートポンプユニットの双方の動作を加温または冷却のいずれか一方に統一して制御するようにすると、加工水温度制御装置に供給される加工水の温度が極端に高かったり低かったりした場合にも、その加工水を所望の温度に調整することが可能となる。
加工水送出部に第二の温度計測部を備え、制御部が、温度設定部で設定された温度と第二の温度計測部で計測された温度との温度差を算出して第一のヒートポンプユニットまたは前記第二のヒートポンプユニットを制御するようにすると、加工水をより正確に所望の温度とすることができる。
図1に示す切削装置1は、加工水が使用されて加工が行われる加工装置の一例であり、被加工物を保持するチャックテーブル2と、チャックテーブル2に保持された被加工物を切削する切削手段3と、各種加工条件等をオペレータが入力するための操作部4を備えている。例えば、ウェーハWをダイシングする場合には、ウェーハWがテープTを介してダイシングフレームFに支持された状態で、ウェーハカセットCに複数収容される。
ウェーハカセットCは、昇降可能なウェーハカセット載置部5に載置されており、ウェーハカセット載置部5の昇降によってウェーハカセットCを適宜の高さに位置付けることができる。
ウェーハカセットCに近接する位置には、ダイシングフレームFによって支持されたウェーハWが一時的に載置される仮置き領域6が設けられ、その近傍には、ウェーハカセットCと仮置き領域6との間でウェーハWの搬出入を行う搬出入手段7が配設されている。
仮置き領域6とチャックテーブル2との間には、ウェーハWを搬送する第一の搬送手段8が配設されている。また、仮置き領域6に隣接する位置には、切削後の被加工物を洗浄する洗浄手段9が配設されており、洗浄手段9の上方には、チャックテーブル2と洗浄手段9との間で被加工物を搬送する第二の搬送手段10が配設されている。
チャックテーブル2は、回転可能であると共にX軸方向に移動可能となっており、第一の搬送手段8によって仮置き領域6から搬送されてきたウェーハWを保持する。チャックテーブル2の移動経路の上方には、撮像部11aによって被加工物を撮像して切削すべき領域を検出するアライメント手段11が配設されている。切削手段3は、チャックテーブル2の移動経路の上方であってアライメント手段11よりも+X方向の位置に配設されており、全体としてY軸方向及びZ軸方向に移動可能となっている。
図2に示すように、切削手段3は、ハウジング30によって回転可能に支持されたスピンドル31と、スピンドル31の先端部に装着された切削ブレード32とを有しており、切削ブレード32は、ブレードカバー33によってその上方を覆われている。ブレードカバー33の下端部には、切削ブレード32を両側から挟み込むようにして一対の加工水ノズル34が配設されている。加工水ノズル34は、加工水流入口35に連通している。
加工水流入口35には加工水温度制御装置13が連結され、加工水温度制御装置13には加工水供給部12が連結され、加工水供給部12から加工水温度制御装置13に供給された加工水が所望の温度となって加工水流入部35に流入する構成となっている。
加工水供給部12は、加工水を貯留する水源120と、加工水を水源120から加工水温度制御装置13に送り出すポンプ121とから構成される。水源120には、加工水として例えば純水が貯留される。
加工水温度制御装置13は、加工水を取り入れる加工水取入部130と、加工水取入部130から取り入れた加工水の温度を計測する温度計測部130aと、加工水を加温または冷却する第一のヒートポンプユニット131と、第一のヒートポンプユニット131を通過した加工水を加温または冷却する第二のヒートポンプユニット132と、加工水の所望の温度が設定される温度設定部133と、第一のヒートポンプユニット131及び第二のヒートポンプユニット132を制御する制御部134と、第二のヒートポンプユニット132を通過した加工水を加工水流入口35に送り出す加工水送出部135とを備えている。図2の例における加工水送出部135には、送出された加工水の温度を計測する第二の温度計測部135aを備えている。
第一のヒートポンプユニット131及び第二のヒートポンプユニット132は、冷媒の圧縮または膨張による吸熱作用または放熱作用を利用して加工水を加温または冷却する。第一のヒートポンプユニット131は、加工水供給部120から供給され温度計測部130aにおいて温度が計測された加工水が流入する水槽131aと、水槽131aに浸漬された熱交換器131bと、熱交換器131bを通って冷媒を循環させる循環路131cと、循環路131cを流れる冷媒の向きを切り替える三方弁131d及び切り替え部131eと、冷媒の圧縮を行う圧縮機131fとを備えている。また、第二のヒートポンプユニット132は、第一のヒートポンプユニット131の水槽131aから流出した加工水が流入する水槽132aと、水槽132aに浸漬された熱交換器132bと、熱交換器132bを通って冷媒を循環させる循環路132cと、循環路132cを流れる冷媒の向きを切り替える三方弁132d及び切り替え部132eと、冷媒の圧縮を行う圧縮機132fとを備えている。三方弁131d、132d及び圧縮機131f、132fは、制御部134によって制御される。
図2に示すように、テープTを介してダイシングフレームFに支持されたウェーハWを切削する場合は、チャックテーブル2(図1参照)に保持されたウェーハWがX軸方向に移動すると共に、高速回転する切削ブレード32がウェーハWのストリートに切り込む。そして、切削ブレード32とウェーハWとの接触部には、加工水ノズル34から加工水が吐出される。
加工水ノズル34から吐出される加工水の温度は、切削装置1が設置されている場所(クリーンルーム)の温度と同様であることが望ましい。例えば、クリーンルームの温度が23℃であれば、加工水の温度も23℃とすることが望ましい。この場合は、温度設定部133に23℃という情報を予め入力しておく。この数値の入力は、図1に示した切削装置1の操作部4の操作によって行うことができる。
加工水は、ポンプ121によって水源120から汲み出される。そして、その加工水の温度は温度計測部130aにおいて計測され、計測値の情報は、制御部134に伝達される。制御部134では、温度設定部133に記憶された温度の値と温度計測部130aから転送された計測値とを比較し、比較結果に応じて、計測値が温度設定部133に設定された所望の温度と一致するように、圧縮機131fまたは圧縮機132fを制御して、加工水を冷却または加温する。なお、三方弁131d及び三方弁132dを制御して、熱交換器131bは吸熱、熱交換器132bは放熱するように予め調整されている。
例えば、温度設定部133に設定された温度が23℃、温度計測部130aにおける計測値が25℃であるときは、加工水の温度を2℃下降させるために、圧縮機131fの制御によって第一のヒートポンプユニット131の循環路131cを循環する冷媒を熱交換器131bで膨張させて、水槽131aに浸漬している熱交換器131bに吸熱作用を生じさせ、加工水の熱を吸熱させることにより、加工水の温度を下げる。そして、加工水の温度が下降している間に第二の温度計測部135aにおいて温度を計測し、計測値が23℃まで下降すると、圧縮機131fを制御して冷媒の膨張を止め、第一のヒートポンプユニット131における加工水の冷却を停止する。
一方、例えば、温度設定部133に設定された温度が23℃、温度計測部130aにおける計測値が22℃であるときは、加工水の温度を1℃上昇させるために、圧縮機132fの制御によって第二のヒートポンプユニット132の循環路132cを循環する冷媒を圧縮機132fで圧縮して水槽132cに浸漬している熱交換器132bに放熱作用を生じさせ、加工水の温度を上げる。そして、加工水の温度が上昇している間に第二の温度計測部135aにおいて温度を計測し、計測値が23℃まで上昇すると、圧縮機132fを制御して冷媒の圧縮を止め、第二のヒートポンプユニット132における加工水の加温を停止する。
以上のような制御を常に行うことにより、加工水を所望の温度に保つことができる。そして、制御部134では、第二の温度計測部135aにおける計測結果と温度設定部133との温度差を算出し、第一のヒートポンプユニット131の圧縮機131fまたは第二のヒートポンプユニット132の圧縮機132fを制御するようにすると、使用される加工水をより正確に所望の温度とすることができる。
また、温度設定部133に記憶された所望の温度と温度計測部130aで計測された温度との差が、第一のヒートポンプユニット131または第二のヒートポンプユニット132の加温能力及び冷却能力を超える場合、例えば第一のヒートポンプユニット131または第二のヒートポンプユニット132の加温能力が10℃であるのに対し、温度設定部133に記憶された所望の温度よりも温度計測部130aで計測された温度の方が例えば15℃低いと、第一のヒートポンプユニット131のみでは、加工水を所望の温度にすることはできない。このような場合は、三方弁131dを切り替えて第一のヒートポンプユニット131の熱交換器131aに放熱作用を生じさせると共に、第二のヒートポンプユニット132にも加工水の加温をさせることにより、個々のヒートポンプユニットに足りない能力を補って、加工水を所望の温度にすることができる。すなわち、温度差が第一のヒートポンプユニット131または第二のヒートポンプユニット132の加温能力または冷却能力を超えている場合には、第一のヒートポンプユニット131及び第二のヒートポンプユニット132の双方の動作を加温または冷却のいずれか一方に統一して制御することにより、加工水温度制御装置13に供給される加工水の温度が極端に高かったり低かったりした場合にも、その加工水を所望の温度に調整することが可能となる。
更に、第一のヒートポンプユニット131の水槽131aを冷却に固定し、第二のヒートポンプユニットの水槽132aを加温に固定すると、加工水温度制御装置13に供給される加工水の温度が温度設定部133に設定された温度の前後で頻繁に変化したとしても、温度計測部130aにおける計測値に応じていずれかのヒートポンプユニットを制御することにより、迅速に所望の温度に調整することができる。
なお、上記の例では切削装置に用いられる加工水について説明したが、本発明は、加工水が使用される他の加工に適用することもできる。
切削装置の一例を示す斜視図である。 加工水温度制御装置の構成の一例を示す説明図である。
1:切削装置
2;チャックテーブル
3:切削手段
30:ハウジング 31:スピンドル 32:切削ブレード 33:ブレードカバー
34:加工水ノズル 35:加工水流入口
4:操作部 5:ウェーハカセット載置部 6:仮置き領域 7:搬出入手段
8:第一の搬送手段 9:洗浄手段 10:第二の搬送手段 11:アライメント手段
12:加工水供給部
120:水源 121:ポンプ
13:加工水温度制御装置
130:加工水取入部
130a:温度計測部
131:第一のヒートポンプユニット
131a:水槽 131b:熱交換器 131c:循環路 131d:三方弁
131e:切り替え部 131f:圧縮機
132:第二のヒートポンプユニット
132a:水槽 132b:熱交換器 132c:循環路 132d:三方弁
132e:切り替え部 132f:圧縮機
133:温度設定部 134:制御部
135:加工水送出部
135a:第二の温度計測部

Claims (3)

  1. 加工水の温度を制御する加工水温度制御装置であって、
    加工水を取り入れる加工水取入部と、取り入れた加工水の温度を計測する温度計測部と、該加工水を加温または冷却する第一のヒートポンプユニットと、該第一のヒートポンプユニットを通過した加工水を加温または冷却する第二のヒートポンプユニットと、該第二のヒートポンプユニットを通過した加工水を送り出す加工水送出部と、加工水の所望温度を設定する温度設定部と、該温度計測部で計測された温度と該温度設定部で設定された温度との温度差を算出して該第一のヒートポンプユニットまたは該第二のヒートポンプユニットを制御する制御部と
    から少なくとも構成され
    該制御部は、該温度差が該第一のヒートポンプユニット及び該第二のヒートポンプユニットの加温能力または冷却能力の範囲内である場合に、該第一のヒートポンプユニットを加温制御する場合は該第二のヒートポンプユニットを冷却制御し、該第一のヒートポンプユニットを冷却制御する場合は該第二のヒートポンプユニットを加温制御する
    加工水温度制御装置。
  2. 前記制御部は、前記温度差が前記第一のヒートポンプユニットまたは前記第二のヒートポンプユニットの加温能力または冷却能力を超えている場合に、該第一のヒートポンプユニット及び該第二のヒートポンプユニットの双方の動作を加温または冷却のいずれか一方に統一して制御する請求項1に記載の加工水温度制御装置。
  3. 前記加工水送出部には第二の温度計測部を備え、
    前記制御部は、前記温度設定部で設定された温度と該第二の温度計測部で計測された温度との温度差を算出し、前記第一のヒートポンプユニットまたは前記第二のヒートポンプユニットを制御する請求項1またはに記載の加工水温度制御装置。
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