JP4890077B2 - スライダの製造方法 - Google Patents

スライダの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4890077B2
JP4890077B2 JP2006108512A JP2006108512A JP4890077B2 JP 4890077 B2 JP4890077 B2 JP 4890077B2 JP 2006108512 A JP2006108512 A JP 2006108512A JP 2006108512 A JP2006108512 A JP 2006108512A JP 4890077 B2 JP4890077 B2 JP 4890077B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slider
ion beam
recording medium
protective film
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006108512A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007280560A (ja
Inventor
国博 上田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SAE Magnetics HK Ltd
Original Assignee
SAE Magnetics HK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SAE Magnetics HK Ltd filed Critical SAE Magnetics HK Ltd
Priority to JP2006108512A priority Critical patent/JP4890077B2/ja
Publication of JP2007280560A publication Critical patent/JP2007280560A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4890077B2 publication Critical patent/JP4890077B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)

Description

本発明は、ハードディスク装置などに用いられるスライダ、およびスライダの製造方法に関し、特に、スライダの媒体対向面の表面構造に関する。
ハードディスク装置では、磁気ヘッドスライダ(以下、スライダという。)が記録媒体(磁気ディスク)に対してわずかなギャップで浮上して、記録媒体からのデータの読込み、および記録媒体へのデータの書込みをおこなう。
現在、ハードディスク装置では、コンタクト・スタート・ストップ方式が広く採用されている。これは、記録媒体の回転時にはスライダが浮上し、記録媒体を回転させる回転駆動モータが停止したときには、スライダが記録媒体表面に着地する方式である。また、駆動中のハードディスクに外的衝撃が与えられ、スライダが磁気ディスクと接触することもある。そこで、これらの理由による磁気ディスクとの接触からスライダを保護するため、スライダの記録媒体と対向する面には、ダイアモンド・ライク・カーボン(DLC)などからなる保護膜が形成されている。
ところで、近年記録媒体の高記録密度化が進み、これに伴い、スライダと記録媒体との距離をより縮小することが求められている。これは、より正確には、読込素子や書込素子と、記録媒体との距離を縮小することを意味する。そのためには、保護膜の膜厚を減らすことが有効である。しかし、保護膜は、ラッピング等によって凹凸の生じているスライダの表面に形成されるため、その膜厚は凹凸の影響を受けやすい。膜厚の小さい部位では、保護膜にピンホールが生じやすく、その下方にある読込素子や書込素子の腐食の原因となる。したがって、単純に膜厚を減らすことは困難である。
そこで、ヘッド素子(本明細書では、スライダのうち、保護膜を除いた部分をいう。以下同じ。)の記録媒体と対向する面に、保護膜を形成するステップと、希ガスのクラスターイオンビームを保護膜表面に照射するステップとを交互におこなう方法が開示されている(特許文献1参照)。この方法によれば、まず、ヘッド素子の凹部が保護膜で埋められ、次に、クラスターイオンビームの照射によって、保護膜の凸部が削り取られる。この2つのステップを繰返すことによって、保護膜の表面の平坦性が徐々に向上し、最終的には、小さな膜厚でもピンホールが生じにくく、かつ、表面の平坦な保護膜が形成される。本特許文献には、このような方法によって、ヘッド素子と保護膜の界面の最大深さRmaxが2nm以上、保護膜の合計膜厚が5nm以下、保護膜の中心線平均粗さRaが0.5nm以下となるスライダを製造することができると記載されている。
特開2003−208703号公報
コンタクト・スタート・ストップ方式では、スライダは、記録媒体が回転を始める際に、記録媒体表面と摺動しながら、記録媒体表面との間の摩擦力に打ち勝って、記録媒体から浮上する必要がある。しかし、ヘッド素子の最大深さRmaxが極端に小さいと、保護膜の中心線平均粗さRaも小さくなり、スライダと記録媒体との間に固着(スティクション)が生じやすくなる。近年、パーソナルコンピュータのモバイル化や、携帯電話等への搭載に伴い、ハードディスク装置が高高度環境で使用されるケースが増えている。山岳地帯など、高高度の使用環境では気圧が600〜700hPa(0.6〜0.7気圧)程度しかないので、通常の気圧環境での使用に比べて、スライダは記録媒体に対して浮上しにくくなる。また、浮上距離(フライングハイト)が低減するため、スライダが記録媒体に接触する可能性も一層増える。ハードディスク装置は、車輌内など振動を伴う環境下で使用されることも多く、この問題は無視できない。スライダが記録媒体に接触すると、記録媒体に傷が生じ、最悪の場合使用不可能になる。このような事態を回避するには、スライダが記録媒体に接触したときの接触面積をできるだけ減らすことが有効である。これらの理由から、ヘッド素子の最大深さRmaxをある程度大きく確保することが望ましい。
しかし、ヘッド素子の最大深さRmaxを大きくしていくと、保護膜の中心線平均粗さRaもそれに応じて増加していく。中心線平均粗さRaが増加していくと、ヘッド素子と記録媒体との距離を短縮しにくくなるだけでなく、前述のように保護膜が均一に形成されにくくなり、保護膜にピンホールが発生しやすくなる。これは、保護膜に覆われている書込素子や読込素子の損傷につながるため、できるだけ避ける必要がある。
このように、スライダと記録媒体との固着を防止するためにヘッド素子の最大深さRmaxを増加すると、保護膜の中心線平均粗さRaも増加し、保護膜にピンホールが発生しやすくなる。そこで、本発明では、保護膜をなるべく均一に形成するとともに、スライダと記録媒体との固着を防止することが容易なスライダ、およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のスライダの製造方法は、金属層を有する薄膜磁気ヘッド部と当該金属層より高硬度の基板とを備えたヘッド素子の、記録媒体と対向するべき面をラッピングして、第1の面を形成するラッピングステップと、ラッピングステップに続いて、イオンビームを第1の面に照射して、第1の面の最大高さを、1.5nm以上、3.5nm以下に形成するイオンビーム照射ステップと、イオンビーム照射ステップに続いて、ガスクラスターイオンビームを第1の面に照射し、さらに、媒体対向面を形成する保護膜を、表面の中心線平均粗さが0.5nm以上、1.5nm以下となるように、第1の面に堆積させる保護膜形成ステップと、を有している。
以上説明したように、本発明によれば、保護膜をなるべく均一に形成するとともに、スライダと記録媒体との固着を防止することが容易なスライダ、およびその製造方法を提供することができる。
まず、本発明のスライダについて、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るスライダの斜視図である。図面上では、スライダ21の上方に、回転駆動される円盤状の記録媒体(図示せず)が位置している。スライダ21は、基板27と薄膜磁気ヘッド部28とを有している。スライダ21はほぼ六面体形状をなし、六面のうちの一面が記録媒体と対向するようにされている。この面は媒体対向面ABSと呼ばれる。スライダ21の媒体対向面ABSには凹凸部が形成され、凸部は薄膜磁気ヘッド部28の読込素子および書込素子が設けられたリードライト部24と、段差を有するレール部25a、25bとからなり、その他の部分は凹部26となっている。
記録媒体が回転すると、記録媒体とスライダ21との間を通過する空気流によって、スライダ21に、y方向下向きの揚力が生じる。スライダ21は、この揚力によって記録媒体の表面から浮上する。x方向は、記録媒体のトラック横断方向、z方向は記録媒体の円周方向である。レール部25aは全体として、z方向に沿って形成され、薄膜磁気ヘッド部28は、スライダ21の空気流出側の端部(図中、左下の端部)側に形成されている。空気は、レール部25bと記録媒体との間のわずかな隙間から入って、両側のレール部25aで整流されながらリードライト部24に当たり、リードライト部24と記録媒体との間の隙間から抜けるように流れ、これによってスライダ21は、記録媒体の表面から浮上する。このようにして、スライダ21は、薄膜磁気ヘッド素子部28が記録媒体に読込みまたは書込みをおこなう際に、媒体対向面ABSの凹凸部によって、記録媒体に対して浮上することが可能となる。
図2には、図1に示すスライダの、同図中2−2線に沿った断面図を示す。図2において、記録媒体は、図面において媒体対向面ABSの上側を、図面と垂直な方向に広がっている(図示せず)。薄膜磁気ヘッド部28は、記録媒体から磁気記録を読出す磁気抵抗効果素子と、記録媒体に磁気記録を書込む誘導型磁気変換素子とを有しているが、いずれか一方だけを有していてもかまわない。誘導型磁気変換素子は、記録媒体の面内方向に記録をおこなう水平記録方式と、記録媒体の面外方向に記録をおこなう垂直記録方式のいずれでもよい。
薄膜磁気ヘッド部28は、図中右側のアルティック(Al23・TiC)等のセラミック材料からなる基板27の上に、左に向けて各層が順次積層されて構成されている。基板27の上(図中では左側。以下同じ。)には、絶縁層を介して、例えばパーマロイ(NiFe)からなるシールド層31が形成されている。シールド層31の上には読込素子であるMR素子32が、媒体対向面ABSに面して設けられている。MR素子32としては、AMR(異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子、またはTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子等の磁気抵抗効果を示す感磁膜を用いた素子を用いることができる。MR素子32には、センス電流を供給する一対のリード層(図示せず)が接続されている。
MR素子32の上には、例えばパーマロイやCoNiFe等の、磁性材料からなる下部磁極層33が形成されている。下部磁極層33は、記録ヘッドの下部磁極層としての機能と、再生ヘッド(MR素子32)の上部シールド層としての機能を兼ねている。
下部磁極層33の上には、絶縁のための記録ギャップ34を介して、上部磁極層35が設けられている。記録ギャップ34の材料としては、例えばNiP等の、非磁性金属材料が用いられる。上部磁極層35の材料としては、例えばパーマロイやCoNiFe等の、磁性材料が用いられる。下部磁極層33と上部磁極層35は接続部36によって接続され、全体で1個のU字型磁性体を形成している。
上部磁極層35と下部磁極層33との間には、銅等の導電性材料からなる2段積みのコイル37a、37bが設けられている。コイル37a、37bは接続部36を中心に巻回して設けられ、上部磁極層35と下部磁極層33とに磁束を供給する。コイル37aは絶縁層38に、コイル37bは絶縁層39、40に取り囲まれて周囲から絶縁されている。2段積み構成は一つの例示であって、1段積みまたは3段以上の多層積みでもよい。コイル37bには外部からの電流信号を受けるリード層(図示せず)が接続している。最後に、上部磁極層35とリード層とを覆うように、オーバーコート層41が形成されている。オーバーコート層41の材料には、例えばアルミナ等の絶縁材料が用いられる。
図1を併せて参照すると、媒体対向面ABSは、レール部25aが記録媒体に対して最も突出し、リードライト部24は、レール部25aよりも1〜3nmほど記録媒体に対して後退している。レール部25a、25bの段差は必ずしも必要ではない。リードライト部24と凹部26との段差は1〜5μmである。なお、スライダ21の媒体対向面ABSの裏面43はスライダ21を支持するフレクシャ(図示せず)との接触面となる。
図3は、図2のA部における保護膜の部分断面図である。本明細書では、保護膜42を除くスライダ21の部分をヘッド素子44という。ヘッド素子44の記録媒体と対向する第1の面45には、DLCからなる保護膜42が形成され、媒体対向面ABSを形成している。保護膜42は炭素と水素とを主成分とする非晶質材料からなる。保護膜42の厚さは、ヘッド素子44と記録媒体との距離をより縮小する観点から3nm以下が望ましい。ここで、膜厚は膜面と直交する方向で定義する。保護膜42を基板27に接着させるため、保護膜42と基板27との間に中間層(接着層)を設けてもよい。
第1の面45の最大高さRmaxは、1.5nm以上、3.5nm以下であり、保護膜42の表面の中心線平均粗さRaは、0.5nm以上、1.5nm以下である。最大高さRmaxは、2nm以上、3nm以下とすることがより好ましい。ここで、最大高さRmaxは、図4(a)に示すように、所定の測定長さLの範囲における最大高さと最小高さの差分として定義される。中心線平均粗さRaは、図4(b)に示すように、表面の粗さ曲線を中心線(平均線)Cで折り返し(図中、太字線)、折り返した線と中心線Cとで囲まれる面積を測定長さLで割った値として定義される。
次に、以上説明したスライダの製造方法、特に保護膜の形成方法について、図5のフロー図を用いて説明する。
(ステップS1)まず、図6(a)のように、アルティックからなるウエハ71上に多数個の薄膜磁気ヘッド部28を薄膜工程によって積層し、図6(b)のように、ウエハ71を、ヘッド素子44が一列に配列した、短冊状のバー72に切断する。ウエハ71はいったん50本前後のバーのブロックに切り分け、その後ラッピングのために数本のさらに小さいサイズのブロックに切断してもよい。ウエハ71および切断されたバー72には、研磨量を管理するため、たとえば複数の薄膜磁気ヘッド部28ごとに1つの測定素子73が設けておくことができる。次に、図6(c)のように、ヘッド素子44の、記録媒体と対向するべき面をラッピングして、第1の面45を形成する。図6(c)は、図6(b)を図中矢印の方向に90度回転させた斜視図である。
(ステップS2)次に、スパッタエッチングまたはIBE(イオンビームエッチング)によって、ヘッド素子44の表面清浄およびPTR(Pole Tip Recession)コントロールをおこなう。スパッタエッチングの場合、スパッタ室の中でArのグロープラズマを発生させ、ヘッド素子44の第1の面45に対してプラズマクリーニングをおこなう。IBEの場合、Arのイオンビームをヘッド素子44の第1の面45に照射し、同様にクリーニングとPTRコントロールをおこなう。なお、本ステップからステップS5までの一連の工程は、大気に晒すことなく、1つのチャンバー内で行うか、真空中で搬送しながらおこなうことが望ましい。大気中に出すと、コンタミ付着や酸化が起こり、成膜がきちんと行われず、ハードディスク装置の中で不具合を起すためである。
(ステップS3)次に、第1の面45の最大高さRmaxが所定の範囲内となるよう、イオンビームを第1の面45に照射する(IBEによるイオンビーム照射ステップ)。最大高さRmaxが大きくなると、スライダ21が記録媒体と接触したときの接触面積が減るため、接触による不具合が発生しにくくなる。しかし、最大高さRmaxが極端に大きいとプロセス時間が長くなり、また、薄膜磁気ヘッド部28との間に段差がついてしまい、効果が半減する。一方、最大高さRmaxが小さいと第1の面45の上に形成される保護膜45の凹凸も小さくなり、記録媒体の表面に形成された潤滑剤が保護膜45の凹凸を埋めてしまい、効果が減少する。最大高さRmaxは1.5〜3.5nmが望ましく、2〜3nmが最適である。詳細は、後述の実施例にて改めて述べる。
最大高さRmaxは、アルティックからなる基板27のエリアで形成される。すなわち、IBEでは、異種成分間でそのエッチングレートが異なるため、基板27を構成するTiC成分とAl23成分のうち、Al23成分が選択的にエッチングされて凹み、TiC部分が突出する。後述するように適切な時間エッチングをおこなうことによって、上述の範囲の最大高さRmaxを形成することができる。IBEは、Ar、Xe,Kr、Ne、CH4、C24、O2、N2、またはこれらの混合ガスを用いることが好ましい。イオンビームは、Al23成分がTiC成分と比べて選択的にミリングされるように、第1の面45の法線との相対角度が45°以上、90°未満となる入射角で照射することが望ましい。加速電圧は、120V〜500Vの範囲で選択される。電圧による選択性はないため、ESD(Electro-Static Discharge)が発生しなければ、この範囲の電圧であれば特に制約はない。
(ステップS4)次に、ガスクラスターイオンビームを第1の面45に照射する(ガスクラスターイオンビーム照射ステップ(GCIBステップ))。ステップS2の後では、基板27だけでなく、薄膜磁気ヘッド部28もIBEの影響を受け、表面粗さが増加し、段差も生じている。そこで、ガスクラスターイオンビームを用いて、これらの表面の平滑化をおこなう。ガスクラスターイオンビーム(GCIB)法は、ノズルによってガスを千から数千のクラスターにし、それをイオン化して、第1の面45に照射する方法である。クラスター化しなかったガスはフィルターで除去される。ガスの種類は特に限定されないが、希ガスが使いやすく、通常はArが用いられる。質量が大きいガスを用いる場合、ヒットしたときのエネルギーが大きいので、ESDへの注意が必要である。クラスターが第1の面45にヒットすると、全ガスが拡散し、第1の面45を均していく。GCIB法では、第1の面45のごく表層部分だけがエッチングされ、また、ガスは拡散するときに横に移動していくため、表面がむらなく平滑化できる。この手法により、一旦荒らされた表面も、ごく表層のみを均すことが可能となる。このような効果をさらに高めるためには、ガスクラスターイオンビームを、第1の面45の法線との相対角度が45°以上、90°未満となる入射角で照射することが望ましい。
GCIB法は本質的にはイオンビーム法なので、硬い成分はエッチングしにくく、柔らかい成分はエッチングしやすい。したがって、アルティックのような高硬度な物質はエッチングしにくく、金属層は平滑化しやすい。このため、薄膜磁気ヘッド部28は十分に平坦な面が得られ、また、基板27も、ステップS3で形成された凹凸の基本的な形状は保ったまま、細かい凹凸が均される。加速電圧は、ESDの観点から600V以上を避け、500V程度以下とすることが望ましが、基板27への影響を少なくするためには、300V以下が望ましい。そうすることにより、保護膜45による保護効果を得たい薄膜磁気ヘッド部28は平滑に、粗さを残したい基板27は粗さを確保できる。
(ステップS5)次に、DLCからなる保護膜42を、表面の中心線平均粗さが0.5nm以上、1.5nm以下となるように、第1の面45に堆積させる(保護膜形成ステップ)。このとき下地となるヘッド素子44と保護膜42の接着力を確保するため、前述のように、第1の面45にまずSiからなる中間層(接着層)を設けてもよい。中間層は通常はスパッタ法により成膜されるが、IBD(Ion Beam Deposition)やCVD(Chemical Vapor Deposition)法等で成膜してもよい。中間層は、保護膜42の接着力が確保できれば省略してもよい。中間層の膜厚は、0.5〜2nmの範囲が好ましい。
保護膜42の成膜には、CVD法、IBD法、FCVA(Filtered Cathodic Vacuum Arc)法等が用いられる。CVD法は、ECR等の高周波を導入して、プラズマを発生して、有機ガスを分解成膜する方法である。基板には、高硬度の膜を成膜するために、バイアスを印加してもよい。有機ガスにはメタン、エタン、プロパン、ブタンエチレン、アセチレン等の定圧でガス状のものが便利である。FCVA法は、グラファイトロッドにアーク放電を発生させ、その熱にてカーボンを蒸発させ、そのイオンを成膜する方法である。水素を含まない炭素膜が成膜できるため、高硬度の薄膜を形成する方法として、近年用いられている。
(ステップS6)その後、バーを切断し、洗浄、検査等の従来と同様の工程を経てスライダが完成する。
(実施例)
実施例では、ステップS3におけるIBEのエッチング継続時間、およびステップS4のガスクラスターイオンビーム照射ステップの有無をパラメータとして、最大高さRmaxおよび保護膜の中心線平均粗さRaを変動させながら、スライダの浮上気圧の測定と腐食試験をおこなった。最大高さRmaxおよび中心線平均粗さRaは、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて、走査線256本、40μm×40μmの測定範囲で求めた。スライダの浮上気圧は、記録媒体とスライダとが取り付けられたフライングハイトテスターを、アコースティックセンサーを備えた真空チャンバーに入れて測定した。記録媒体を7200rpmで回転し、真空チャンバー内を徐々に減圧していくと、スライダが浮上状態を維持できなくなり、記録媒体に接触する。これをアコースティックセンサーによって検出した。次に、真空チャンバー内の圧力を、接触が生じた時の圧力から増加していき、ヘッドが浮上を始める圧力(浮上気圧)を測定した。腐食試験は、シュウ酸0.05Nの溶液の中にバーを10分間浸漬し、酸により腐食した箇所を200倍の光学顕微鏡にて観察した。
バーとしてはGMR素子が多数形成されたものを用い、ラッピングは最終仕上げ(Final kiss lapping)までおこなった。クリーニングは通常の大量生産ベースの方法で実施し、保護膜はFCVA法にて1.5nm厚で成膜し、中間層をスパッタ法にて1.5nm厚で成膜した。
表1に結果を示す。浮上気圧(耐スティクション性)の基準値は、前述のとおり標高3000m程度での使用を想定し、約710hPa(0.7atm)とした。浮上気圧は低ければ低いほどよいため、約710hPa以下であれば基準を満たす。腐食試験は、腐食が発生したスライダ数の総スライダ数に対する比率で評価した。10%未満が◎、10以上60%未満が○、60以上80%未満が△、80%以上を×とした。
耐スティクション性については、最大高さRmaxが1.5nm以上であれば、GCIBステップの有無にかかわらず約710hPa以下で浮上する。このとき、対応する中心線平均表面粗さRaは、0.5nm以上となっている。浮上気圧をさらに低くするためには2nm以上が望ましい。しかし、3nm以上で効果は飽和する。
一方、腐食試験は、主に中心線平均表面粗さRaに依存すると考えられるが、○または◎を合格レベルとすると、Ra1.5nm以下が望ましい。これは最大高さRmaxでは3.5nm以下となる。
耐スティクションおよび耐腐食性の双方から判断基準を満たすサンプルは実施例とし表中太枠で表示している。また、それ以外のサンプルは比較例として表示している。これらの結果より、耐スティクションおよび耐腐食性の双方から望ましい最大高さRmaxの範囲は1.5nm以上、3.5nm以下であり、2nm以上、3nm以下がさらに望ましい。また、中心線平均表面粗さRaは0.5nm以上、1.5nm以下が望ましい。さらに、GCIBステップを実施すると耐腐食性が改善される傾向が見られ、本ステップの有効性が確認された。
Figure 0004890077
本発明の一実施形態に係るスライダの斜視図である。 図1に示すスライダの、同図中2−2線に沿った断面図である。 図2のA部における保護膜の部分断面図である。 最大高さRmaxと中心線平均粗さRaの説明図である。 本発明のスライダの製造方法を示すフロー図である。 ウエハの切断およびバーのラッピング方法を示す概念図である。
符号の説明
21 スライダ
24 リードライト部
25a、25b レール部
26 凹部
27 基板
28 薄膜磁気ヘッド部
42 保護膜
44 ヘッド素子
45 第1の面
ABS 媒体対向面

Claims (5)

  1. 金属層を有する薄膜磁気ヘッド部と前記金属層より高硬度の基板とを備えたヘッド素子の、記録媒体と対向するべき面をラッピングして、第1の面を形成するラッピングステップと、
    前記ラッピングステップに続いて、イオンビームを前記第1の面に照射して、該第1の面の最大高さを、1.5nm以上、3.5nm以下に形成するイオンビーム照射ステップと、
    前記イオンビーム照射ステップに続いて、ガスクラスターイオンビームを前記第1の面に照射し、さらに、媒体対向面を形成する保護膜を、表面の中心線平均粗さが0.5nm以上、1.5nm以下となるように、前記第1の面に堆積させる保護膜形成ステップと、
    を有する、スライダの製造方法。
  2. 前記イオンビーム照射ステップは、前記第1の面の最大高さを、2nm以上、3nm以下に形成することを含む、請求項に記載のスライダの製造方法。
  3. 前記イオンビーム照射ステップは、前記イオンビームとして、Ar、Xe,Kr、Ne、CH、C、O、N、またはこれらの混合ガスを用いることを含む、請求項または2に記載のスライダの製造方法。
  4. 前記ヘッド素子は、前記第1の面の一部を構成する、Al−TiCを含む前記基板を備えている、請求項からのいずれか1項に記載のスライダの製造方法。
  5. 記ガスクラスターイオンビーム、前記第1の面の法線との相対角度が45°以上、90°未満となる入射角で照射される、請求項1から4のいずれか1項に記載のスライダの製造方法。
JP2006108512A 2006-04-11 2006-04-11 スライダの製造方法 Expired - Fee Related JP4890077B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006108512A JP4890077B2 (ja) 2006-04-11 2006-04-11 スライダの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006108512A JP4890077B2 (ja) 2006-04-11 2006-04-11 スライダの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007280560A JP2007280560A (ja) 2007-10-25
JP4890077B2 true JP4890077B2 (ja) 2012-03-07

Family

ID=38681830

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006108512A Expired - Fee Related JP4890077B2 (ja) 2006-04-11 2006-04-11 スライダの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4890077B2 (ja)

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02281485A (ja) * 1989-04-21 1990-11-19 Hitachi Metals Ltd 浮動型磁気ヘッド及びその製造方法
JP2851719B2 (ja) * 1991-06-25 1999-01-27 京セラ株式会社 磁界変調オーバーライト用磁気ヘッド
JPH0546964A (ja) * 1991-08-12 1993-02-26 Kobe Steel Ltd 磁気デイスク装置用磁気ヘツド
JPH05303784A (ja) * 1992-02-27 1993-11-16 Sony Corp 光磁気ディスク
JP3538306B2 (ja) * 1998-01-08 2004-06-14 株式会社日立グローバルストレージテクノロジーズ 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
JP3548686B2 (ja) * 1998-06-17 2004-07-28 株式会社日立グローバルストレージテクノロジーズ 薄膜磁気ヘッドの製造方法およびその製造装置
JP2002008217A (ja) * 2000-06-21 2002-01-11 Hitachi Metals Ltd ヘッドスライダー
JP2003208703A (ja) * 2002-01-11 2003-07-25 Hitachi Ltd 磁気記録ヘッド及びその製造方法並び炭素保護膜形成装置
JP2006059501A (ja) * 2004-08-23 2006-03-02 Shinka Jitsugyo Kk スライダの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007280560A (ja) 2007-10-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10811036B2 (en) Filled-gap magnetic recording head and method of making
JP2007149158A (ja) スライダおよびスライダの製造方法
JP2009301686A (ja) 磁気記録媒体、及びこれを用いた磁気記録再生装置
JP5859397B2 (ja) 軟質中間膜を備えた空気ベアリング面オーバーコートおよびその製造方法
US7911741B2 (en) Slider overcoat for noise reduction of TMR magnetic transducer
JP2006107673A (ja) 磁気ヘッド及びその製造方法、並びにヘッドサスペンションアセンブリ
JP2013182640A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法並びにそれを用いた磁気記憶装置
US8420159B2 (en) Method of fabricating magnetic head slider including partial removal step of protecting film
JP2006236474A (ja) 磁気記録媒体及び磁気記録再生装置
CN101887730B (zh) 磁头滑块的制造方法
JP4890077B2 (ja) スライダの製造方法
US20100265616A1 (en) Magnetic recording head and magnetic storage device
JP4421403B2 (ja) 磁気記録媒体、磁気記録装置、および磁気記録媒体の製造方法
US9940963B1 (en) Magnetic media with atom implanted magnetic layer
US20060023368A1 (en) Magnetic recording apparatus
US20080037167A1 (en) Forming a head with reduced pole tip recession
US7855861B2 (en) Insulator barrier for noise reduction of a TMR magnetic transducer
JP2005302185A (ja) 薄膜磁気ヘッド装置、該薄膜磁気ヘッド装置を備えたヘッドジンバルアセンブリ、該ヘッドジンバルアセンブリを備えた磁気ディスク装置及び薄膜磁気ヘッド装置の製造方法
US8891196B2 (en) Method of reading and writing magnetic recording medium
JP2014099235A (ja) 磁気記録媒体および磁気ヘッド用の超微量の水素を含有する硬質非晶質炭素膜
TWI386928B (zh) 磁性記錄媒體之評價方法及製造方法
US6686069B1 (en) Magnetic recording medium with improved control layer
JP2005310300A (ja) 薄膜磁気ヘッド装置の製造方法、薄膜磁気ヘッド装置、該薄膜磁気ヘッド装置を備えたヘッドジンバルアセンブリ及び該ヘッドジンバルアセンブリを備えた磁気ディスク装置
JP4898650B2 (ja) 保護膜形成方法
JP2009223978A (ja) 垂直磁気記録媒体および多層構造膜並びに記憶装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090327

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110317

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110419

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110629

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110831

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111028

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111122

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111214

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141222

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees