JP4889019B2 - 自動二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は自動二輪車用空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、操縦安定性の改良に係る自動二輪車用空気入りタイヤに関する。
一般に、高性能二輪車用タイヤでは、タイヤの回転速度が高速となるために遠心力の影響が大きく、タイヤのトレッド部分が外側に膨張してしまう場合には、操縦安定性を害する場合がある。このため、タイヤのクラウン部分に、タイヤ赤道面と概略平行となるようにらせん状にベルト層を巻きつける補強構造、いわゆるスパイラルベルトが開発されている。
上記スパイラルベルトの補強部材としては、例えば、ナイロン繊維や芳香族ポリアミド(アラミド)繊維、スチール素線等が用いられている。中でも、芳香族ポリアミド繊維やスチール素線は、高温時においても伸張せずにトレッド部分の膨張を抑制することができるため、高性能タイヤに有効な部材として注目されている。これらの部材をタイヤのベルト層として巻き付けると、いわゆる「たが」効果を高めることができ、高速回転時に遠心力によりタイヤのクラウン部分がタイヤ赤道方向に伸びようとする変形を抑制することができるため、タイヤクラウン部にこのようなスパイラルベルトを配置する技術が多数提案されている(例えば、特許文献1〜5等)。
これらスパイラルベルトを巻き付けたタイヤは、高速時における操縦安定性に優れ、トラクションが非常に高いことが知られている。しかし、旋回時の車両(バイク)を大きく倒した場合の性能については、スパイラルベルトを巻き付けたからといって操縦安定性が飛躍的に向上するわけではない。
二輪車用の空気入りタイヤでは、二輪車が車体を傾けて旋回することから、直進時と旋回時とでは、タイヤトレッド部が路面に接する場所が異なる。つまり、直進時にはタイヤの中央部分を使用し、旋回時にはタイヤの端部を使用するという特徴がある。また、タイヤに求められる性能についても、直進時にはタイヤの周方向(赤道方向)に対する入力(即ち、加速・減速)に対してグリップすることが求められ、旋回時にはタイヤの横方向(幅方向)に対してグリップすることが求められる。二輪車を速く旋回させるためには、旋回速度に伴って大きくなる遠心力と釣り合わせるために車体を大きく倒す必要があり、さらにその遠心力分、タイヤがグリップできなければならない。つまり、車体を大きく傾けたときのタイヤのグリップが不足する場合には、速く旋回できないことになるため、ここでのグリップが旋回性能に及ぼす影響は非常に大きい。
前述したスパイラルベルトは、高速転動時のタイヤの膨張(せり出し)を抑制できるため、特に高速時の操縦安定性という点では優れている。しかし、スパイラルベルトは実質的にタイヤの周方向に向かう角度で配置されるため、タイヤの横方向に対する剛性が低く、スパイラルベルト単体を配置しただけでは、グリップを向上させる効果は小さい。スパイラルベルト単体を配置した構造では旋回時のグリップが低下する傾向にあり、速く旋回できない傾向にある。
また、スパイラルベルトを配置したタイヤは周方向の剛性が非常に高く、トラクション性能に優れているが、周方向剛性が高いことによるタイヤ回転方向のすべりが大きく、すべりによるグリップ耐久性能が低下する傾向もある。このすべりを緩和させるためには、スパイラルベルトからタイヤ半径方向外側へのトレッドの厚みを増やす方法が効果的であるが、ただ単に厚みを増やした場合には、タイヤの横方向に対する剛性の低下の要因となって、グリップは更に低下することが知られている。
これに対し、上述のスパイラルベルト構造のグリップとその耐久性能とを両立させる方法として、スパイラルベルトのタイヤ半径方向外側に、タイヤ周方向に対し略90°の角度を持つベルトを配置した構造が提案されている(例えば、特許文献6参照)。タイヤ周方向に対し略90°の角度を持つベルトは周方向には剛性を持たないため、これにより、単にトレッドの厚みを増加させたものと同様の効果が得られるとともに、横方向の剛性は向上するため、すべり抑制とグリップ向上とを両立することができる。
特開2004−067059号公報(特許請求の範囲等) 特開2004−067058号公報(特許請求の範囲等) 特開2003−011614号公報(特許請求の範囲等) 特開2002−316512号公報(特許請求の範囲等) 特開平09−226319号公報(特許請求の範囲等) 特開2005−363220号公報(特許請求の範囲等)
上記のように、自動二輪車用空気入りタイヤに関しては、従来より種々検討がなされてきているが、自動二輪車の性能向上に伴いタイヤについても更なる性能向上が求められてきている。消費者やレースを行うライダーからは、近年特に、バイクを大きく倒したときのグリップ力の向上やグリップの耐久性能の更なる向上に対する要求が高まっており、上記のような、スパイラルベルトと、タイヤ周方向に対し略90°の角度を持つベルトとを組み合わせた構造においても十分なものではなかった。
そこで本発明の目的は、上記の問題を解消して、直進時および旋回時における操縦安定性を向上するとともに、グリップ耐久性能および高荷重時耐久性能についても向上した自動二輪車用空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記スパイラルベルトおよびタイヤ赤道方向に対し略90°の角度を持つベルトを配置した構造のグリップ特性について、特にベルト剛性の面から鋭意研究を行った結果、これらベルトに加えて、さらに一対の補助ベルトを追加することで、グリップおよびその耐久性能を向上できることを見出し、結果として上記各種性能をバランスよく向上した自動二輪車用空気入りタイヤが得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の自動二輪車用空気入りタイヤは、左右一対のビード部にそれぞれ埋設されたビードコアと、該ビード部間にトロイド状に跨って延在し、両端部が、前記ビードコアにタイヤ内側から外側に折り返されるか若しくは該ビードコアに挟み込まれて係止され、または該ビードコアに係留された少なくとも1枚のカーカスと、該カーカスのタイヤ半径方向外側に配置され、単線または並列した複数本のコードをゴム中に埋設してなる帯状のゴム被覆コードが実質的にタイヤ周方向に向かう角度でスパイラル状に巻回されてなる少なくとも1枚のスパイラルベルトと、を有する自動二輪車用空気入りタイヤにおいて、
前記スパイラルベルトのタイヤ半径方向外側に、タイヤ周方向に対し5°以上85°以下の角度であってタイヤ回転方向に対しハの字または逆ハの字の向きに、左右一対の補助ベルトが配置され、該一対の補助ベルトはそれぞれ、トレッド端部よりトレッド展開幅の0.1倍以上0.5倍以下の幅を有し、かつ、
前記補助ベルトのタイヤ半径方向外側に、タイヤ周方向に対し85°以上90°以下の角度であってトレッド展開幅の0.9倍以上1.1倍以下の幅で、1枚のベルト層が配置されていることを特徴とするものである。
本発明においては、前記スパイラルベルトと前記ベルト層との間に、厚さ0.3mm以上2.0mm以下の緩衝ゴム層が、少なくとも1枚配設されていることが好ましい。また、前記緩衝ゴム層は、前記スパイラルベルトと前記一対の補助ベルトとの間に配設するか、または、前記一対の補助ベルトと前記ベルト層との間に配設することができ、前記スパイラルベルトと前記一対の補助ベルトとの間、および、該一対の補助ベルトと前記ベルト層との間のそれぞれに配設してもよい。
さらに、前記一対の補助ベルトおよび前記ベルト層は、いずれも芳香族ポリアミドからなるものとすることが好ましく、前記スパイラルベルトは、好適には芳香族ポリアミドまたはスチールからなるものとする。さらにまた、前記緩衝ゴム層は、隣接する前記スパイラルベルト、一対の補助ベルトまたはベルト層のコーティングゴムと同質のゴムからなるものとすることができ、隣接する前記スパイラルベルト、一対の補助ベルトまたはベルト層のコーティングゴムより弾性率が低いゴムからなるものとすることもできる。
本発明によれば、上記構成としたことにより、直進時および旋回時における操縦安定性を向上するとともに、グリップ耐久性能および高荷重時耐久性能についても向上した自動二輪車用空気入りタイヤを実現することが可能となった。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1(a)に、本発明の自動二輪車用空気入りタイヤの一例の概略断面図を示す。図示するように、本発明の自動二輪車用空気入りタイヤ10は、左右一対のビード部11にそれぞれ埋設されたビードコア1と、ビード部11間にトロイド状に跨って延在し、両端部がビードコア1にタイヤ内側から外側に折り返されて係止された少なくとも1枚のカーカス2と、そのタイヤ半径方向外側に配置された少なくとも1枚のスパイラルベルト3と、を有している。なお、カーカス2の両端部は、図3(a)に示すように、複数に分割されたビードコア1a間に挟み込まれて係止されていてもよく、また、図3(b)に示すように、ビードコア1bに係留されていてもよい。
本発明のタイヤ10は、図示するように、ベルト補強層であるスパイラルベルト3を有することが前提であり、これにより、直進時操縦安定性の向上効果が得られる。スパイラルベルト3は、単線または並列した複数本のコードをゴム中に埋設してなる帯状のゴム被覆コードを、実質的にタイヤ周方向に向かう角度でスパイラル(らせん)状に巻回してなるベルトであり、一般的に、そのタイヤ周方向となす角度は5°以下である。
かかるスパイラルベルト3は、好適には、芳香族ポリアミド(アラミド)(例えば、デュポン社製 商品名:ケブラー)またはスチールからなるものとする。芳香族ポリアミドおよびスチールは、いずれも、高温時においても伸張せずに安定した性能を発揮できるため、スパイラルベルト3の補強材として好適である。
また、本発明においては、図示するように、各ベルトのうち最も外層側に、タイヤ周方向に対し85°以上90°以下の角度であってトレッド展開幅TWの0.9倍以上1.1倍以下の幅で、1枚のベルト層4が配置されている。タイヤ周方向に対し略90°の角度を持つこのベルト層4は、周方向には剛性を持たないため単にトレッドの厚みを増加させたものと同様の効果が得られるとともに、横方向の剛性は向上するため、スパイラルベルト構造のすべり抑制効果とグリップ向上効果とを両立させることができる。この角度を85°以上としているのは、このベルト層4は略90°で上記機能を発揮し、85°未満ではその機能が薄れるためである。また、ベルト層4の配設幅をトレッド展開幅TWの0.9倍以上1.1倍以下としているのは、このベルト層4が旋回時の車両を大きく倒した場合のグリップ性能に寄与するため、トレッド端部までを覆うほぼ全面に配置してこそ効果が得られるためである。トレッド展開幅TWの0.9倍未満ではその効果が十分に得られず、一方、1.1倍を超えると配置が不可能である。
さらに、スパイラルベルト3のタイヤ半径方向外側であって上記ベルト層4の内層側には、タイヤ周方向に対し5°以上85°以下の角度であってタイヤ回転方向に対しハの字または逆ハの字の向きに、左右一対の補助ベルト5が配置されている。この一対の補助ベルト5は、それ単独ではタイヤの横方向(幅方向)に対する剛性を持たないが、タイヤ周方向に対する角度が略0°であるスパイラルベルト3と略90°であるベルト層4とに挟まれて配置された場合には、交錯層を形成することができ、ベルトパッケージの横方向(幅方向)の剛性を高める効果が得られる。
上記補助ベルト5を、タイヤ回転方向に対しハの字(図1(b),図中の矢印が回転方向)または逆ハの字(図1(c),図中の矢印が回転方向)の向きに配置するのは、高める剛性の方向を左右対称にするためである。もし、ここに一枚の角度付ベルトを配置した場合には、直立時でもどちらか片側に力を発生してしまい、直進時に不安定なタイヤとなる。また、タイヤ周方向に対する角度を5°以上85°以下としたのは、5°未満ではスパイラルベルトと同様の効果となり、85°を超えると最外層のベルト層4と同様の効果となって、ベルトパッケージの横方向(幅方向)の剛性を高める効果が得られないためである。
また、上記一対の補助ベルト5はそれぞれ、トレッド端部よりトレッド展開幅TWの0.1倍以上0.5倍以下の幅で配設する。これは、この補助ベルト5が旋回時の車両(バイク)を大きく倒した場合のグリップ性能に寄与するため、少なくともトレッド端側を覆う必要があるためである。補助ベルト5の幅がトレッド展開幅TWの0.1倍未満ではその効果が十分に得られず、一方、0.5倍を超えると、製造時に配置が不可能となる。
上記一対の補助ベルト5および最外層ベルト層4はいずれも、好適には芳香族ポリアミド(アラミド)からなるものとする。芳香族ポリアミドは、高温時においても伸張せずに安定した性能を発揮できるため、これらベルトの補強材としても好適である。
図示はしないが、本発明においては、スパイラルベルト3と最外層ベルト層4との間に、緩衝ゴム層を少なくとも1枚配設することが好ましい。これは、スパイラルベルト構造特有のすべりを緩和させるために、スパイラルベルト3からタイヤ半径方向外側へのトレッドの厚みを増やすためである。ただ単に厚みを増やした場合には、タイヤの横方向(幅方向)に対する剛性が低下してグリップが低下するが、本発明においては、上記した3種のベルトを組み合わせることで横剛性を高めることができるため、横剛性を高めた分はトレッドの厚みを増やしてもグリップは低下しない。したがって、緩衝ゴム層の配置により、さらなるすべり抑制効果を得ることができる。
より具体的には、緩衝ゴム層は、スパイラルベルト3と一対の補助ベルト5との間、または、一対の補助ベルト5と最外層ベルト層4との間に配設することができる。また、スパイラルベルト3と一対の補助ベルト5との間、および、一対の補助ベルト5と最外層ベルト層4との間のそれぞれに配設してもよい。いずれの場合においても、この緩衝ゴム層の厚さは0.3mm以上2.0mm以下であり、この厚さが薄すぎると、前述のすべり緩和の効果が薄れてしまい、一方厚すぎると、タイヤの横剛性を低下させ、グリップが低下してしまう。
かかる緩衝ゴム層のゴムとしては、特に制限されるものではないが、隣接するスパイラルベルト3、一対の補助ベルト5またはベルト層4のコーティングゴムと同質のゴムを用いることが好ましい。緩衝ゴム層は厚みのあるゴムであるため、隣接するゴム層同士の剛性の差が大きい場合には、ベルト間に剥離が生じる場合があるが、同質のゴム同士を隣り合わせることで、この剥離を抑制することができる。
また、緩衝ゴム層のゴムは、隣接するスパイラルベルト3、一対の補助ベルト5またはベルト層4のコーティングゴムより弾性率が低いゴムからなるものとすることも好適である。剛性の方向が異なるベルト同士を重ねる場合、その変形の差はベルト間のゴム層に歪として集中し、その歪が大きい場合にはベルト間で剥離が生じる場合があるが、緩衝ゴム層に弾性率が低いものを使用することで、歪を吸収し、剥離を抑制することができる。ここで、緩衝ゴム層の弾性率を低下させる場合、具体的には、隣接するベルトコーティングゴムの90%以下とすることが好ましい。より好ましくは80%以下にすることで、十分な剥離抑制効果が得られる。なお、緩衝ゴム層の弾性率の下限は隣接するベルトコーティングゴムの10%程度であり、それより低いと、ゴム層同士の剛性の差が大きすぎて剥離が生ずるおそれがある。
本発明においては、スパイラルベルト3、補助ベルト5および最外層ベルト層4について上記条件を満足するものであればよく、これにより本発明の所期の効果を得ることができるものであり、それ以外のタイヤ構造の詳細や材質等については特に制限されるものではない。例えば、本発明のタイヤは、図示するように、一対のビード部11と、それに連なる一対のサイドウォール部12と、両サイドウォール部12間にトロイド状をなして連なるトレッド部13とを備えており、これら各部をビード部相互間にわたり補強するカーカス層2は、比較的高弾性のテキスタイルコードを互いに平行に配列してなるカーカスプライの少なくとも1枚からなる。また、タイヤの最内層にはインナーライナーが配置され(図示せず)、トレッド部13の表面には、適宜トレッドパターンが形成されている(図示せず)。本発明は、ラジアルタイヤに限らず、バイアスタイヤにも適用可能である。
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明する。
下記条件に従い、タイヤサイズ190/50ZR17にて、従来例、実施例および比較例の供試タイヤを作製し、比較を行った。各供試タイヤは、一対のビード部11間にトロイド状をなして跨るカーカス2を2枚備えており、従来例、実施例および比較例ともにカーカス2にはナイロンコードを使用している(図中ではカーカス2を1本の線で示しているが、2枚重なっているものである)。2枚のカーカス2のコード角度はラジアル方向(タイヤ周方向に対する角度が90°)でもよいが、本実施例ではタイヤ周方向に対する角度が70°のものを互いに交錯させて使用した。また、スパイラルベルト3の外側には、トレッド層が設けられており、従来例および実施例のタイヤともに、トレッド部には溝を配置しなかった。
<従来例>
図2に示すように、ベルト部として、カーカス2のタイヤ半径方向外側に、スパイラルベルト3と、最外層ベルト層4とを配置した構成にて、従来例の供試タイヤを作製した。スパイラルベルト3は、直径0.21mmのスチール単線を1×3タイプで撚ったスチールコードを打ち込み間隔30本/50mmでスパイラル状に巻き付けて形成されたものであり、2本の並列したコードをゴム中に埋設した帯状体(ストリップ)を、略タイヤ周方向に沿って螺旋状にタイヤ回転軸方向に巻き付ける手法で製造した。また、最外層ベルト層4は、直径0.7mmの撚った芳香族ポリアミド(デュポン社製 商品名:ケブラー)コードを使用して、タイヤ周方向に対し90°の角度で、打ち込み間隔50本/50mmで形成し、配設幅はトレッド展開幅TWの1.0倍とした。
<実施例1>
図1(a)に示すように、ベルト部として、スパイラルベルト3と最外層ベルト層4との間に、左右一対の補助ベルト5を、それぞれトレッド展開幅TWの0.5倍の幅で配置した以外は従来例と同様の構成にて、実施例1の供試タイヤを作製した。スパイラルベルト3および最外層ベルト層4は、従来例と素材および幅ともに同じとした。また、一対の補助ベルト5はタイヤ周方向に対し45°であってタイヤ回転方向に対しハの字の向きで配置した。
<実施例2>
一対の補助ベルト5を、タイヤ周方向に対し45°であってタイヤ回転方向に対し逆ハの字の向きで配置した以外は実施例1と同様にして、実施例2の供試タイヤを作製した。
<実施例3>
一対の補助ベルト5を、タイヤ周方向に対し45°であってタイヤ回転方向に対し逆ハの字の向きで配置し、かつ、スパイラルベルト3と補助ベルト5との間に、隣接する各ベルトのコーティングゴムと同質のゴムからなる厚さ1.0mmの緩衝ゴム層を追加した以外は実施例1と同様にして、実施例3の供試タイヤを作製した。
<実施例4>
一対の補助ベルト5を、タイヤ周方向に対し45°であってタイヤ回転方向に対し逆ハの字の向きで配置し、かつ、補助ベルト5と最外層ベルト層4との間に、隣接する各ベルトのコーティングゴムと同質のゴムからなる厚さ1.0mmの緩衝ゴム層を追加した以外は実施例1と同様にして、実施例4の供試タイヤを作製した。
<実施例5>
一対の補助ベルト5を、タイヤ周方向に対し45°であってタイヤ回転方向に対し逆ハの字の向きで配置し、かつ、スパイラルベルト3と補助ベルト5との間、および、補助ベルト5と最外層ベルト層4との間に、隣接する各ベルトのコーティングゴムと同質のゴムからなる厚さ1.0mmの緩衝ゴム層をそれぞれ追加した以外は実施例1と同様にして、実施例5の供試タイヤを作製した。
<実施例6>
一対の補助ベルト5を、タイヤ周方向に対し45°であってタイヤ回転方向に対し逆ハの字の向きで配置し、かつ、補助ベルト5と最外層ベルト層4との間に、隣接する各ベルトのコーティングゴムより弾性率が20%低いゴムからなる厚さ1.0mmの緩衝ゴム層を追加した以外は実施例1と同様にして、実施例6の供試タイヤを作製した。
<実施例7>
一対の補助ベルト5を、タイヤ周方向に対し45°であってタイヤ回転方向に対し逆ハの字の向きで配置し、かつ、補助ベルト5と最外層ベルト層4との間に、隣接する各ベルトのコーティングゴムより弾性率が20%高いゴムからなる厚さ1.0mmの緩衝ゴム層を追加した以外は実施例1と同様にして、実施例7の供試タイヤを作製した。すなわち、この実施例7の供試タイヤは、緩衝ゴム層の弾性率を隣接する各ベルトのコーティングゴムと同等かまたはそれ以下とするという本発明の好適範囲を逸脱している。
<操縦性能比較試験>
次に、本発明による二輪車用タイヤの性能改善効果を確認するために、実車を用いた操縦性能比較試験を行った。上記供試タイヤはリア用タイヤであったため、フロントタイヤは常に従来のもので固定し、リアタイヤのみを交換して実車試験を行った。評価方法を以下に示す。
上記各供試タイヤを、1000ccのスポーツタイプの二輪車に装着して、テストコースで実車走行させ、車両を大きく倒した旋回時の操縦安定性(コーナリング性能)およびそのグリップの持続性(グリップ耐久性能)を中心に評価して、テストライダーのフィーリングによる10点法で総合評価した。点数が高いほど性能が良好である。その結果を、下記の表1中に、テストライダーの評価コメントも付記して示す。
Figure 0004889019
上記表1に示すように、従来例1と実施例1〜7との比較から、本発明によるコーナー旋回時の操縦安定性能の向上効果が確認できた。また、実施例3〜6の比較からは、特に、スパイラルベルトからタイヤ半径方向外側へのトレッドの厚みを増やすことは、グリップの耐久性能向上に大きく影響することがわかる。スパイラルベルトからタイヤ半径方向外側へのトレッドの厚みを増やすことで、グリップがわずかに低下する傾向にあるが、従来例対比では、補助ベルトの効果により高いグリップ性能が発揮されている。
以上より、本発明による各実施例の供試タイヤは、コーナー旋回時のグリップとその耐久性能において、いずれも従来例のタイヤと比較して大幅に性能が向上していることが確認された。
<耐久性試験>
次に、上記供試タイヤについて、耐久性試験を実施して、実施例の効果を確認した。試験方法を以下に示す。
(試験条件A)
直径3.0mのスチール製ドラムに、タイヤを押し付けて高速回転させることにより、耐久性試験を行った。タイヤは、C.A.(キャンバー角)0°、S.A.(スリップ角)0°、荷重2.0kNで押し付けた。タイヤ内圧は車両装着時指定の内圧よりも40kPa低めに設定した。タイヤ内圧を指定内圧よりも低めに設定したのは、タイヤのたわみ量を大きくして、タイヤの故障を促進させるためである。この状態で、速度130km/hで100時間連続走行させて、ドラムを止めた。その後、タイヤを解剖して、亀裂の有無を調査した。なお、ドラムの周りの温度は10℃に管理し、タイヤに向け風速10m/sの風を吹き付け続けてタイヤの極端な発熱を防止し、実際の走行状態をなるべく再現させるようにした。
(試験条件B)
また、上記と同じドラム試験機を用いて、荷重を、実使用条件を大幅に超える4.0kN(通常ではありえない荷重、あえてタイヤを故障させるために設定)に増して、時速130km/hで100時間連続走行させる試験についても実施した。荷重を増加させた以外の条件は先の試験条件Aと同じとした。
実施例1,緩衝ゴム層を追加した実施例4,6および7の供試タイヤをそれぞれ2本準備して、上記試験条件Aおよび試験条件Bの双方につき、試験を実施した。その後、タイヤを解剖して、亀裂の有無を調べた。その結果を、下記の表2中に示す。
Figure 0004889019
上記表2に示すように、実施例1,4,6および7の比較から、本発明により、高荷重時における耐久性能についても向上できることが確かめられた。また、実施例1と実施例4,6との比較から、緩衝ゴム層を追加することで、ベルト層間の剥離による亀裂発生を抑制できることがわかる。一方で、実施例4と実施例7との比較から、緩衝ゴム層に、隣接する各ベルトのコーティングゴムと同等以下の弾性率のゴムでなく、それより弾性率の高いゴムを使用した場合には、ゴム層同士の剛性の差が大きくなり、ベルト間における剥離を抑制する効果が薄れてしまうことが確認された。
(a)は、本発明の一実施の形態に係る自動二輪車用空気入りタイヤを示す幅方向断面図であり、(b)および(c)は、それぞれ一対の補助ベルトがタイヤ回転方向に対しハの字または逆ハの字の向きである場合のベルト構成を示す説明図である。 (a)は、従来例に係る自動二輪車用空気入りタイヤを示す幅方向断面図であり、(b)は、この場合のベルト構成を示す説明図である。 (a),(b)は、本発明の他の実施の形態に係る自動二輪車用空気入りタイヤのカーカス端部近傍を示す幅方向部分断面図である。
符号の説明
1,1a,1b ビードコア
2 カーカス
3 スパイラルベルト
4 ベルト層
5 補助ベルト層
10 自動二輪車用空気入りタイヤ
11 ビード部
12 サイドウォール部
13 トレッド部

Claims (10)

  1. 左右一対のビード部にそれぞれ埋設されたビードコアと、該ビード部間にトロイド状に跨って延在し、両端部が、前記ビードコアにタイヤ内側から外側に折り返されるか若しくは該ビードコアに挟み込まれて係止され、または該ビードコアに係留された少なくとも1枚のカーカスと、該カーカスのタイヤ半径方向外側に配置され、単線または並列した複数本のコードをゴム中に埋設してなる帯状のゴム被覆コードが実質的にタイヤ周方向に向かう角度でスパイラル状に巻回されてなる少なくとも1枚のスパイラルベルトと、を有する自動二輪車用空気入りタイヤにおいて、
    前記スパイラルベルトのタイヤ半径方向外側に、タイヤ周方向に対し5°以上85°以下の角度であってタイヤ回転方向に対しハの字または逆ハの字の向きに、左右一対の補助ベルトが配置され、該一対の補助ベルトはそれぞれ、トレッド端部よりトレッド展開幅の0.1倍以上0.5倍以下の幅を有し、かつ、
    前記補助ベルトのタイヤ半径方向外側に、タイヤ周方向に対し85°以上90°以下の角度であってトレッド展開幅の0.9倍以上1.1倍以下の幅で、1枚のベルト層が配置されていることを特徴とする自動二輪車用空気入りタイヤ。
  2. 前記スパイラルベルトと前記ベルト層との間に、厚さ0.3mm以上2.0mm以下の緩衝ゴム層が、少なくとも1枚配設されている請求項1記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
  3. 前記緩衝ゴム層が、前記スパイラルベルトと前記一対の補助ベルトとの間に配設されている請求項2記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
  4. 前記緩衝ゴム層が、前記一対の補助ベルトと前記ベルト層との間に配設されている請求項2記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
  5. 前記緩衝ゴム層が、前記スパイラルベルトと前記一対の補助ベルトとの間、および、該一対の補助ベルトと前記ベルト層との間のそれぞれに配設されている請求項2記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
  6. 前記一対の補助ベルトおよび前記ベルト層が、いずれも芳香族ポリアミドからなる請求項1〜5のうちいずれか一項記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
  7. 前記スパイラルベルトが芳香族ポリアミドからなる請求項1〜6のうちいずれか一項記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
  8. 前記スパイラルベルトがスチールからなる請求項1〜6のうちいずれか一項記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
  9. 前記緩衝ゴム層が、隣接する前記スパイラルベルト、一対の補助ベルトまたはベルト層のコーティングゴムと同質のゴムからなる請求項2〜8のうちいずれか一項記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
  10. 前記緩衝ゴム層が、隣接する前記スパイラルベルト、一対の補助ベルトまたはベルト層のコーティングゴムより弾性率が低いゴムからなる請求項2〜8のうちいずれか一項記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
JP2006302191A 2006-11-08 2006-11-08 自動二輪車用空気入りタイヤ Expired - Fee Related JP4889019B2 (ja)

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