JP4888000B2 - 膨張機 - Google Patents

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Description

本発明は、高圧流体の膨張により動力を発生させ、エネルギ回収を行う膨張機に係わり、より詳細には、エネルギ回収効率低下の原因となる、高圧流体の過膨張現象を防止する構成に関する。
従来の冷凍サイクルは、圧縮機、放熱器、膨張弁、そして吸熱器を順次、接続して構成されている。冷凍サイクルを循環する冷媒は、圧縮機で圧縮されて高温高圧となり、放熱器で冷却された後、膨張弁で断熱膨張し減圧されるようになっている。続いて、吸熱器に流入し、周囲の熱を吸収して加熱された後、前記圧縮機に還流するようになっている。この従来の冷凍サイクルは、図4のモリエル線図上で、A点→B点→C点→D点を辿るサイクルで示されるものであり、従来の膨張弁では、冷媒はC点からD点への点線で示す等エンタルピー変化で減圧するため、高圧の作動流体が持つエネルギーを有効に利用することができなかった。それに対し、膨張弁の代わりに膨張機を用いた冷凍サイクルでは、従来の冷凍サイクルにおいて、膨張弁で等エンタルピー変化で減圧されていた作動流体は、膨張機で高圧から低圧に断熱膨張で減圧しながら、C点からD’点への実線で示す等エントロピ変化を示し、前記吸熱器5で吸熱することができるエネルギー、すなわち、冷凍サイクルの低熱源側から吸熱することができるエネルギーをD点→A点からD’点→A点に至る分まで増加させることができるので、冷凍サイクルを高効率化できるようになっている。
膨張機は、例えば図9で示すように、円筒状の内部空間を有するシリンダ59と、このシリンダ59の内部空間内周面に沿って公転運動を行う偏心ロータ61とを備え、前記シリンダ59と前記偏心ロータ61との間に、上下に摺動運動を行うベーン63により区画されて膨張室62が形成されるようになっている。
前記シリンダ59には、開閉弁69を備え、高圧流体を前記膨張室62に導入する流入ポート64と、高圧流体から膨張し低圧となった流体を外部に導出する流出ポート65とが前記ベーン63に相対向するように設けられており、また、前記ベーン63は図示しない押圧手段により押圧されて下端部が常時、前記偏心ロータ61の外周面に摺接し、膨張側と排出側とを区画するようになっている。また、前記偏心ロータ61はクランク軸を介して動力回収シャフト60に接続されており、前記偏心ロータ61が、前記流入ポート64から導入された高圧流体の作用により、前記シリンダ59に対し公転運動を行うと、クランク軸を介して前記動力回収シャフト60が回転運動を行い、この回転運動は、例えば、発電機等の発電に利用されるようになっている。
前記偏心ロータ61の公転運動に伴い、前記シリンダ59の内部空間に形成される膨張室62は吸入/膨張側であった部分が随時、排出側に、排出側であった部分が随時吸入/膨張側に順に切り換わり、高圧流体の吸入/膨張作用と排出作用とが同時に並行して行われるようになっている。前記偏心ロータ61の公転運動中に、高圧流体が前記シリンダ59内に供給される吸入過程の角度範囲と、流体の膨張が行われる膨張過程の角度範囲が予め定められており、膨張比(吸入冷媒と排出冷媒の密度比)が一定となるように設定されている。そして、吸入過程の角度範囲で高圧流体をシリンダに導入する一方、残った膨張過程の角度範囲で流体を定められた膨張比で膨張させ、回転動力を回収するようになっている。一方、膨張機が接続された蒸気圧縮式冷凍サイクルでは、冷却対象の温度変化や放熱対象の温度変化により冷凍サイクルの高圧圧力と低圧圧力が変化するので、その圧力比も変動し、それに伴って膨張機の吸入冷媒と排出冷媒の密度もそれぞれ変動する。
膨張機は、設計膨張比で運転が行われているときに最大限の動力回収効率が得られるようになっており、図10(A)は、理想的な運転条件での膨張室の容積変化と圧力変化との関係を示すグラフである。図10(A)に示すように、高圧流体はa点からb点までの間に膨張室内に供給され、b点から膨張を開始する。b点を過ぎると高圧流体の供給が停止するため、圧力が一旦c点まで急激に下がり、その後は膨張しながらd点まで緩やかに圧力が低下する。そして、d点で膨張室のシリンダ容積が最大になった後、排出側になって容積が縮小してe点まで排出される。その後、a点に戻り、次のサイクルの吸入過程が開始される。この図の状態では、d点の圧力は冷凍サイクルの低圧圧力と一致しており、動力回収の効率のよい運転が行われるようになっている。
膨張機を空調機の冷凍サイクルに用いている場合には、冷房運転と暖房運転の切り換えや外気温度の変化などの運転条件の変動により、冷凍サイクルの膨張比が膨張機の設計膨張比と異なる場合が生じる。運転条件の変化により冷凍サイクルの実際の膨張比が、膨張機の設計膨張比よりも小さくなると、膨張室の圧力が冷凍サイクルの低圧側圧力よりも低くなる状態が生じ、所謂、膨張機の膨張室で過膨張現象が発生することとなる。
図10(B)は、膨張室で過膨張現象が発生した際の、膨張室の容積変化と圧力変化との関係を示すグラフであり、冷凍サイクルの低圧側圧力が上昇した状態になっている。この場合、流体はa点からb点までの間でシリンダ内に供給された後、膨張機の設計膨張比に従ってd点まで圧力が低下する。一方、冷凍サイクルの低圧圧力はd点よりも高いd’点になっている。したがって、冷媒は、膨張過程の完了後、排出過程においてd点からd’点まで昇圧された後、e’点になるまで排出され、次のサイクルの吸入過程が開始されることになる。
図10(B)で示す状態においては、膨張機内では冷媒の排出のために動力の内部消費が行われることになる。つまり、過膨張発生時には、冷媒の膨張エネルギから回収される回収動力は(面積I)−(面積II)分しか得られないことになり、図10(A)で示す運転状態と比較して、回収動力が大幅に減少してしまうことになる。膨張機は、設計膨張比で運転動作が行われているときに最大限の動力回収効率が得られるように設計されており、過膨張現象が発生すると、動力回収効率が大幅に低下してしまうという問題があった。
冷媒の過膨張現象に対応するため、例えば、図9で示すように、前記流出ポート65と、前記膨張室62の膨張過程中間位置とを結び、開閉機構67aと逆止弁68とを備えた連絡通路67を設け、前記開閉機構67aが前記流出ポート64と前記膨張室62との差圧に応じて開閉するようにした技術が提示されている。前記膨張室62で過膨張が発生し、同膨張室62の圧力が前記流出ポート65の圧力より低くなると、前記開閉機構67aが開放され、前記流出ポート65から前記膨張室62に冷媒が供給され、同膨張室62の圧力を冷媒回路の低圧圧力まで回復させて過膨張現象を抑制するようになっている。また、前記流入ポート64と前記膨張室62とを開閉機構66aを備えた連絡通路66で結ぶ方法もある。。(特許文献1参照、但し付与番号は異なる)
よって、前記逆止弁68と前記膨張室62の吐出口までに生じる死容積を極力、小さくするため、前記逆止弁68を前記膨張室62の吐出口に近い所に設けてはいるが、前記逆止弁68と、前記膨張室62の吐出口との間となる、矢印で示すA区間には、前記流入ポート64からの高圧の冷媒が流入してしまい、流入した冷媒は、前記膨張室62での動力回収に寄与しないこととなって、その分、動力回効率が低下ししまうという問題があった。
特開2004−190559号(7頁、図4)
本発明は、上記問題点に鑑み、膨張室での過膨張現象を防止するに際し、膨張室での、所謂、死容積部分をなくして、高効率で動力回収運転を行うことのできる膨張機を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、ケーシング内に、シリンダと偏心ロータとベーンとから区画される膨張室と、前記偏心ロータを軸支する動力回収シャフトとを備え、前記膨張室に流入した作動流体が高圧状態から低圧状態に移行しながら膨張し、前記偏心ロータと、これに接続された動力回収シャフトとを回転駆動させてなる膨張機において、前記ケーシング内に、潤滑油を貯留した油溜り室を設けるとともに、同油溜り室と前記膨張室とを結ぶ、逆流防止手段を備えた油通路を設け、前記膨張室が前記油溜り室より低圧になった場合、前記油溜り室から前記油通路を介して、前記膨張室に潤滑油をインジェクションしてなる構成となっている。
本発明によると、ケーシング内に、シリンダと偏心ロータとベーンとから区画される膨張室と、前記偏心ロータを軸支する動力回収シャフトとを備え、前記膨張室に流入した作動流体が高圧状態から低圧状態に移行しながら膨張し、前記偏心ロータと、これに接続された動力回収シャフトとを回転駆動させてなる膨張機において、前記ケーシング内に、潤滑油を貯留した油溜り室を設けるとともに、同油溜り室と前記膨張室とを結ぶ、逆流防止手段を備えた油通路を設け、前記膨張室の圧力と、前記油溜り室の圧力との差に応じて、前記油溜り室から前記油通路を介して、前記膨張室に潤滑油をインジェクションすることにより、前記膨張室に過膨張現象を生じた際は、インジェクションされた潤滑油により膨張室の容積を減少させて過膨張現象を抑制することができるようになっている。また、前記膨張室で過膨張現象が発生していない場合においても、前記油通路等のインジェクション回路を、非圧縮性の潤滑油により液封することができ、所謂、死容積を極力減少させることができるようになっている。更に、潤滑油は液相状態のみであり、圧力の変化による体積の変化がほとんど生じないため、効率的な運転が可能な膨張機とすることができるようになっている。
また、請求項2に関わる発明は、前記油通路は、前記動力回収シャフトと、前記偏心ロータに形成されてなる構成となっている。
また、請求項2に関わる発明は、前記油通路は、前記動力回収シャフトと、前記偏心ロータに形成される構成により、別部材を不要として前記油通路を容易に設けることができるようになっている。
また、請求項3に関わる発明は、前記シリンダと前記偏心ロータとが、前記油溜り室の潤滑油内に浸漬されてなる構成となっている。
また、請求項3に関わる発明は、前記シリンダと前記偏心ロータとが、前記油溜り室の潤滑油内に浸漬される構成により、油インジェクション孔30の長さを極力短くすることが可能であり、加工が容易であるとともに、過膨張現象に迅速に対応して潤滑油をインジェクションできるようになっている。また、前記ケーシングの容積を極力最小化でき、コンパクト化された膨張機とすることができるようになっている。
また、請求項4に関わる発明は、前記油通路が、前記シリンダ内に円周方向に沿って形成された円弧状の通路と、同通路から前記膨張室とを結ぶ複数の通路とからなる構成となっている。
また、請求項4に関わる発明は、前記油通路が、前記シリンダ内に円周方向に沿って形成された円弧状の通路と、同通路から前記膨張室とを結ぶ複数の通路とからなる構成により、膨張室に過膨張が発生した際は、複数の通路から潤滑油を迅速にインジェクションできるようになっている。
本発明によると、膨張室に過膨張現象を生じた際は、インジェクションされた潤滑油により膨張室の容積を減少させて過膨張現象を抑制することができるようになっている。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
図1は、本発明による膨張機を備えた冷媒回路であり、図2は、同膨張機の第一実施例での断面図である。また、図3は膨張室の膨張過程を示す断面図であり、図4は膨張機の冷凍サイクルを示すモリエル線図である。また、図5は、圧縮機構と膨張機構とが一体となった膨張機構一体型圧縮機を示す断面図である。図6は、膨張機の第二実施例を示す断面図であり、図7は、膨張機の第三実施例を示す断面図である。また、図8は第四実施例を示す断面図である。
本発明による膨張機4を備えた冷媒回路1は、図1で示すように、圧縮機2と、放熱器3と、膨張機4と、吸熱器5とを順次接続して構成されており、同冷媒回路1には、例えば、臨界圧力以上で相状態変化を行う、自然冷媒としての二酸化炭素冷媒が循環するようになっている。前記圧縮機2はスクロール圧縮機、あるいはロータリー圧縮機で構成され、前記放熱器3と、前記吸熱器5とは、平行して並べられた多数のフィンと、同フィンに直交するように配設された蛇行状のチューブとからなる、所謂クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成されている。
前記圧縮機2で圧縮され、高温高圧となった二酸化炭素冷媒は、前記放熱器3に流入し、同放熱器3で熱を放出する。熱を放出した冷媒は、前記膨張機4に流入し、同膨張機4内で膨張して低温低圧となる。低温低圧となった冷媒は前記吸熱器5で熱を吸収した後、前記圧縮機2に還流するようになっている。また、前記膨張機4内で膨張した冷媒は、膨張するエネルギにより同膨張機4に設けられた、後述する動力回収シャフト10を回転駆動させるようになっている。
本願の第一実施例での膨張機4は、図2(A)及び図2(B)で示すように、上面及び下面が閉塞され、円筒状に形成されたケーシング4aと、同ケーシング4a内の上部に形成された膨張機構部6と、下方に形成された油溜り室7と、ケーシング4a中央部に、回動自在に軸支された動力回収シャフト10とからなっている。
前記膨張機構部6は、上壁8aと下壁8bと側壁8cとからなり、円筒状の内部空間を有するシリンダ8と、前記動力回収シャフト10に形成されたクランク軸10bと、同クランク軸10bの外周縁に嵌着されたリング状の偏心ロータ9とからなっている。同偏心ロータ9は前記クランク軸10bにより前記動力回収シャフト10に対し偏心して軸支されることにより、外周面一端を前記シリンダ8の内壁面に摺接させながら同シリンダ8の内部空間を公転運動するようになっている。
また、前記ケーシング4aには、外方に突出してベーン収納部12が形成されている。同ベーン収納部12内には、先端部を前記偏心ロータ9の外周面に当接させ、且つ摺接させる前後進退自在に支持されたベーン13と、同ベーン13の後部と、前記ベーン収納部12の内壁との間に設けられ、前記ベーン13を前記偏心ロータ9の外周面に押圧する押圧手段としてのスプリング14とが設けられている。また、開閉弁16aを備え、高圧の冷媒を導入する流入ポート16が前記ケーシング4aから突設され、前記シリンダ8の下壁8cには、前記油溜り室7に連通する吐出ポート17が設けられており、これら流入ポート16と吐出ポート17とは、前記ベーン13に相対向するように配設されている。
前記ベーン13の一側と、前記偏心ロータ9の外周面と、前記シリンダ8の内壁面とで囲まれる空間には膨張室11が形成されるようになっている。また、偏心ロータ9に接続された前記動力回収シャフト10は、例えば、その一端を、発電機等に接続されており、前記偏心ロータ9が、前記ケーシング4aに流入する高圧の冷媒が膨張するエネルギによりにより公転運動し、これに伴い前記動力回収シャフト10が回転駆動されると、これに接続された発電機等が発電作用を行い、これにより、冷媒の膨張エネルギが、無駄に廃棄されることなく有効に利用することができるようになっている。
前記ケーシング4aの下部に形成された油溜り室7には、油19が貯留されており、また、同油溜り室7の側面には、低圧となった冷媒の流出ポート18が形成されている。前記流入ポート16から流入した高圧の冷媒は、前記膨張部6の膨張室11で膨張して、低圧の冷媒となり、前記吐出ポート17から前記油溜り室7に吐出され、続いて前記流出ポート18から冷媒回路に流出するようになっている。
前記動力回収シャフト10は、下端部が前記油溜り室7の油19に浸るように下方に向け延出されるとともに、軸芯には、逆止弁15を備えた油通路10aが穿設されている。また、前記クランク軸10bと前記偏心ロータ9とには、前記油通路10aと、前記シリンダ8の内部空間とを連通させる油インジェクション孔9aが穿設されている。
次に、前記膨張機4の動作について説明する。前記流入ポート16に備えられた開閉弁16aは、前記偏心ロータ9の公転運動に応じて開閉動作を行うようになっており、例えば、前記動力回収シャフト10の近傍に、同動力回収シャフト10の回転角度を検出する、図示しない角度センサを配設し、検出された回転角度を基に前記開閉弁16aの開閉動作を行うようになっている。また、前記動力回収シャフト10にカムを装着し、同カムの回転動作に伴って前記開閉弁16aの開閉動作を行なってもよい。
前記流入ポート16から流入した高圧の冷媒は、その高圧の圧力で前記偏心ロータ9を反時計廻りに公転駆動させ、これに連結された前記動力回収シャフト10を回転させるとともに、前記膨張室11の容積が増大するにつれ、容積が膨張し低圧の冷媒となる。膨張し低圧となった冷媒は前記吐出ポート17から吐出されるようになっている。
次に、図3に基づいて、前記膨張室11での膨張過程を説明する。前記膨張機4では、前記偏心ロータ9の公転運動中に、前記開閉弁16aの開閉動作により高圧冷媒が前記シリンダ8内に供給される吸入過程の角度範囲と、流体の膨張が行われる膨張過程の角度範囲が予め定められている。図3(A)は、前記開閉弁16aが開放され膨張室11に高圧冷媒が流入する過程を示しており、同図3(A)の状態より前記偏心ロータ9が矢印で示す方向に回動すると、前記開閉弁16aが閉鎖され、前記膨張室11への冷媒の供給が停止されるようになっている。
図3(B)は、前記膨張室11に流入した高圧冷媒が、膨張し、前記膨張室11の容積を増大させて前記偏心ロータ9を回動させる状態を示しており、冷媒は膨張することにより、徐々に圧力が低下し、低圧の冷媒へと移行するようになっている。
図3(C)は、冷媒が膨張して前記膨張室11の容積が最大となった状態を示しており、膨張することにより、所定の圧力まで低下した冷媒は、前記吐出ポート17から流出していくようになっている。また、この時点で、前記開閉弁16aが開放され、前記流入ポート16から前記シリンダ8内に高圧の冷媒が、再び導入されるようになっている。
上記したように、前記膨張機4では、前記流入ポート16から流入する流入冷媒と、前記吐出ポート17から流出する流出冷媒の密度比、所謂、膨張比が一定となるように設計されている。そして、流入過程の角度範囲で高圧冷媒を前記シリンダ8に導入する一方、残った膨張過程の角度範囲で冷媒を定められた膨張比で膨張させ、回転動力を回収するようになっている。しかしながら、蒸気圧縮式冷凍サイクルでは、冷却対象の温度変化や加熱対象の温度変化により冷凍サイクルの高圧圧力と低圧圧力が変化するので、その圧力比も変動し、それに伴って前記膨張機4の流入冷媒と流出冷媒の密度も夫々変動する。このような場合、前記膨張室11で、冷媒の圧力が所定値以上に低下してしまう、所謂、冷媒の過膨張現象が発生し、前記膨張機4の動力回収効率が低下してしまう。
前記膨張室11での冷媒圧力をP1とし、前記油溜り室7での冷媒圧力をP2とすると、通常時は、P1>P2の状態で運転が行われるようになっている。しかしながら、上記したような要因により、前記膨張室11で過膨張現象が発生した場合は、前記膨張室11の冷媒圧力が、前記油溜り室7の冷媒圧力より一時的に低くなる、所謂P1<P2の状態が生じる。この状態が生じた際は、前記油溜り室7の冷媒の圧力が、貯留された潤滑油の表面に掛かり、P1とP2との差圧の応じた潤滑油量が、前記動力回収シャフト10の油通路10aに吸入され上昇していくようになっている。
前記油通路10aに吸引され、上昇した潤滑油は、続いて、油インジェクション孔9aを通り前記膨張室11にインジェクションされるようになっている。P1とP2との差圧に応じた潤滑油量が前記膨張室11にインジェクションされることにより、同膨張室11の容積がインジェクションされた潤滑油量に応じて減少し、冷媒の圧力が再び上昇して過膨張現象を抑制することができるようになっている。また、前記油通路10aは、前記動力回収シャフト10と、前記偏心ロータ9とに形成される構成により、別部材を不要として前記油通路10aを容易に設けることができるようになっている。
また、前記逆止弁15により、一旦、上昇した油19は前記油通路10a内部及び前記油インジェクション孔9a内部に留まるようになっており、前記膨張室11で過膨張現象が発生していない場合においても、前記油通路10a及び前記油インジェクション孔9a等のインジェクション回路を、非圧縮性の潤滑油により液封することで、動力回収運転に寄与しない、所謂、死容積を極力減少させることができるようになっている。更に、インジェクションにガスを用いた場合は、ガスは圧縮性であるため、インジェクション回路に前記流入ポート16からの高圧の冷媒が流入してしまう虞があるが、潤滑油は液相状態のみであり、圧力の変化による体積の変化がほとんど生じないため、インジェクション回路に冷媒が流入してしまう虞は発生しないようになっている。また、前記油インジェクション孔9aの設置位置及び逆止弁15の設置位置及びこれに設ける部品の選択も容易であり、これらにより、効率的な運転が可能な膨張機とすることができるようになっている。
尚、上記した膨張機4では、前記動力回収シャフト10が回転駆動されると、これに接続された発電機等が発電作用を行い、これにより、冷媒の膨張エネルギが無駄に廃棄されることなく有効に利用することができるようになっているが、図4で示すように、膨張機構と、圧縮機の圧縮機構とを一体化して膨張エネルギを有効利用することもできる。
図5で示す、膨張機一体型圧縮機100は、ケーシング101の内部に、圧縮機構部102と電動機部103及び膨張機構部104を収納している。上記圧縮機構部102は、固定スクロール114と、旋回スクロール115と、フレーム112及び113とからなるスクロール圧縮機を構成しており、吸入ポート116と吐出ポート117とが備えられている。前記電動機部103は、ステータ108と、ロータ109と、主軸105とにより構成されており、同主軸105は、前記膨張機構部104に連結されている。
前記膨張機構部104は、シリンダ106と、同シリンダ106内で公転運動する偏心ロータ107とからなり、流入ポート11と流出ポート110とが設けられている。流入ポート11から流入した冷媒により前記偏心ロータ107が回転駆動されると、これに連結された前記主軸105の回転力を付勢するようになっている。
このように膨張機一体型圧縮機は、圧縮機と膨張機とを一体化して構成され、前記膨張機構部104の回転駆動力が、前記電動機部103とともに圧縮機構部102を駆動するようになっている。これは、図4のモリエル線図で示す、断熱膨張C点→D’点の過程にて回収した動力分だけ、前記圧縮機構部102を駆動する前記電動機部103のエネルギーを低減することができるようになっており、エネルギ回収効率の向上を図れるようになっている。
次に、第二実施例について説明する。第二実施例での膨張機20は、図6で示すように、上面と下面とが閉塞された円筒形状のケーシング21と、同ケーシング21内の下部に形成され円筒状の内部空間を有するシリンダ22と、同シリンダ22の内部空間に公転運動自在に支持された偏心ロータ23と、同偏心ロータ23に接続された動力回収シャフト24とからなっている。
前記ケーシング21の側面上部には、低圧となった冷媒を流出させる流出ポート27が設けられ、側面下部には、高圧の冷媒を流入させる流入ポート29が設けられており、同流入ポート29は前記シリンダ22の内部空間に連通するようになっている。また、前記シリンダ22の上部には、内部空間に連通する吸入管28が上方に向け突設されており、同シリンダ22の側面には、逆止弁30aを備えた油インジェクション孔30が穿設されている。
前記ケーシング21内には、前記シリンダ22が浸るように潤滑油25が貯留されるようになっている。前記流入ポート29から流入した高圧の冷媒は、矢印で示すように、前記シリンダ22内に流入し、膨張室26で膨張して前記偏心ロータ23及び動力回収シャフト24を回転駆動させつつ低圧となって前記吸入管28を介し、前記流出ポート27から流出するようになっている。
前記シリンダ22内の膨張室26で過膨張現象が発生した際は、油インジェクション孔30を介して前記ケーシング21内に貯留された潤滑油が膨張室26にインジェクションされ冷媒の過膨張現象を防止することができるようになっている。前記シリンダ22を潤滑油に浸す構造により、前記油インジェクション孔30の長さを極力短くすることが可能であり、加工が容易であるとともに、過膨張現象に迅速に対応して潤滑油をインジェクションできるようになっている。また、前記ケーシング21の容積を極力最小化でき、コンパクト化された膨張機20とすることができるようになっている。
次に、第三実施例について説明する。第三実施例での膨張機31は、図7で示すように、第一実施例とほぼ同様であり、基本的な構成は説明を省略する。シリンダ32には、円周方向に沿って、円弧状の油通路36が形成されており、更に、同油通路36からはシリンダ32の内部空間に向かい、複数本の油インジェクション孔37aが穿設されている。また、前記油通路36には、潤滑油タンク33が、逆止弁35を備えた油供給路34により接続されている。
前記潤滑油タンク33に貯留された潤滑油には、所定の低圧圧力P3が常時掛かっている。前記膨張機31の膨張室で過膨張現象が発生すると、所定の低圧圧力P3により前記潤滑油タンク33に貯留された潤滑油が前記油供給路34を介して前記油通路36に供給されるようになっている。同油通路36に供給された潤滑油は、複数本の前記油インジェクション孔37aから前記シリンダ32の膨張室にインジェクションされ、これにより冷媒の過膨張現象を抑制できるようになっている。複数本の油インジェクション孔37aから潤滑油をインジェクションすることにより、膨張室で過膨張が発生した際は、迅速に対応することができるようになっている。
次に、第四実施例について説明する。第四実施例での膨張機38は、図8で示すように、シリンダ39と偏心ロータ40とベーンとで形成される膨張室41に圧力センサ42を設けている。また、動力回収シャフト43の油通路44に、前記圧力センサ42の検出値に基づいて、開閉動作を行う開閉弁45を設けている。
流入ポート46から流入した圧力P4の高圧の冷媒は、前記膨張室41で膨張して低圧の冷媒となり、流出ポート46からは圧力P6となって流出していく。前記膨張室41で過膨張現象が発生し、同膨張室41での圧力P5が前記圧力P6より低くなるような場合は、前記圧力センサ42が、これを検出し、前記開閉弁45を開放するようになっている。同開閉弁45が開放されると、油溜り室に貯留された潤滑油が、前記動力回収シャフト43の油通路44に吸引され、前記膨張室41にインジェクションされるようになっている。これにより冷媒の過膨張現象を防止することができるようになっている。
本発明による膨張機を備えた冷媒回路である。 (A)は、本発明による膨張機の第一実施例での上方からの断面図である (B)は、本発明による膨張機の第一実施例での側断面図である 膨張室での冷媒の膨張過程を示す断面図である。 膨張機での冷凍サイクルを示すモリエル線図である。 圧縮機構と膨張機構とが一体となった圧縮膨張ユニットを示す断面図である。 本発明による膨張機の第二実施例での側断面図である 本発明による膨張機の第三実施例での上方からの断面図である (A)は、本発明による膨張機の第四実施例での上方からの断面図である (B)は、本発明による膨張機の第四実施例での側断面図である 従来の膨張機の一例を示す断面図である。 (A)及び(B)は、膨張室での圧力と容積の変化を示す説明図である。
符号の説明
1 冷媒回路
2 圧縮機
3 放熱器
4 膨張機
4a ケーシング
5 吸熱器
6 膨張機構部
7 油溜り室
8 シリンダ
9 偏心ロータ
9a 油インジェクション孔
10 動力回収シャフト
10a 油通路
10b クランク軸
11 膨張室
12 ベーン収納部
13 ベーン
14 スプリング
15 逆止弁
16 流入ポート
16a 開閉弁
17 吐出ポート
18 流出ポート
19 潤滑油
20 膨張機
21 ケーシング
22 シリンダ
23 偏心ロータ
24 動力回収シャフト
25 潤滑油
26 膨張室
27 流出ポート
28 吸入管
29 流入ポート
30 油インジェクション孔
30a 逆止弁
31 膨張機
32 シリンダ
33 潤滑油タンク
34 油供給路
35 逆止弁
36 油通路
37a 油インジェクション孔
38 膨張機
39 シリンダ
40 偏心ロータ
41 膨張室
42 圧力センサ
43 動力回収シャフト
44 油通路
45 開閉弁
46 流入ポート
47 流出ポート

Claims (4)

  1. ケーシング内に、シリンダと偏心ロータとベーンとから区画される膨張室と、前記偏心ロータを軸支する動力回収シャフトとを備え、前記膨張室に流入した作動流体が高圧状態から低圧状態に移行しながら膨張し、前記偏心ロータと、これに接続された動力回収シャフトとを回転駆動させてなる膨張機において、
    前記ケーシング内に、潤滑油を貯留した油溜り室を設けるとともに、同油溜り室と前記膨張室とを結ぶ、逆流防止手段を備えた油通路を設け、前記膨張室が前記油溜り室より低圧になった場合、前記油溜り室から前記油通路を介して、前記膨張室に潤滑油をインジェクションしてなることを特徴とする膨張機。
  2. 前記油通路は、前記動力回収シャフトと、前記偏心ロータに形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の膨張機。
  3. 前記シリンダと前記偏心ロータとが、前記油溜り室の潤滑油内に浸漬されてなることを特徴とする請求項1に記載の膨張機。
  4. 前記油通路が、前記シリンダ内に円周方向に沿って形成された円弧状の通路と、同通路から前記膨張室とを結ぶ複数の通路とからなることを特徴とする請求項1に記載の膨張機。
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