本発明のアクチュエータは、3極で構成される固定子の中央部分に配置され、コイルを有しており磁束を生成する第1の電磁石の極と、前記固定子の1つの極であり、コイルを有していない第2の電磁石の極と、前記固定子の1つの極であり、前記第1の電磁石の極に対して前記第2の電磁石の極と反対側に配置され、コイルを有していない第3の電磁石の極と、前記第1の電磁石の極の第1の磁極面と対向する突起部の端面が設けられ、回転可能に支持された可動部材と、前記第1の電磁石の極に組み込まれており、前記第1の電磁石の極を前記第2の電磁石の極側の部分と前記第3の電磁石の極側の部分とに分割するように配置された永久磁石とを備えており、前記第1の電磁石の極の第1の磁極面を略ダブテール形状の凹部で形成して、前記可動部材の突起部の端面を前記凹部に沿う凸曲面で形成し、前記第1の電磁石の極のコイルに流れる電流の向きが変わるように通電制御することにより、前記第1〜第3の電磁石の極の通電による磁束及び前記永久磁石の磁束によって前記可動部材を通過する磁束を発生し、前記可動部材を回転駆動することを特徴とするものである。
この構成によると、コイルに流れる電流の向きが変わるように通電制御すると、可動部材を通過する磁束が発生し、可動部材が推力及び吸引力によって回転する。そのため、可動部材を吸引力だけで回転させる場合と比較して、可動部材の回転方向を速やかに変更することができ、アクチュエータにより駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性を向上させることができる。
本発明のアクチュエータは、3極で構成される固定子の中央部分に配置され、コイルを有していない第1の電磁石の極と、前記固定子の1つの極であり、コイルを有しており磁束を生成する第2の電磁石の極と、前記固定子の1つの極であり、前記第1の電磁石の極に対して前記第2の電磁石の極と反対側に配置され、コイルを有しており磁束を生成する第3の電磁石の極と、前記第1の電磁石の極の第1の磁極面と対向する突起部の端面が設けられ、回転可能に支持された可動部材と、前記第1の電磁石の極に組み込まれており、前記第1の電磁石の極を前記第2の電磁石の極側の部分と前記第3の電磁石の極側の部分とに分割するように配置された永久磁石とを備えており、前記第1の電磁石の極の第1の磁極面を略ダブテール形状の凹部で形成して、前記可動部材の突起部の端面を前記凹部に沿う凸曲面で形成し、前記第2の電磁石の極のコイル及び第3の電磁石の極のコイルに流れる電流の向きが変わるように通電制御することにより、前記第1〜第3の電磁石の極の通電による磁束及び前記永久磁石の磁束によって前記可動部材を通過する磁束を発生し、前記可動部材を回転駆動することを特徴とするものである。
この構成によると、コイルに流れる電流の向きが変わるように通電制御すると、可動部材を通過する磁束が発生し、可動部材が推力及び吸引力によって回転する。そのため、可動部材を吸引力だけで回転させる場合と比較して、可動部材の回転方向を速やかに変更することができ、アクチュエータにより駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性を向上させることができる。
本発明のアクチュエータにおいて、前記第2の電磁石の極に組み込まれており、前記可動部材の回転可動時に前記可動部材の前記第2の電磁石の極側の端部が接触する第2の磁極面を有する第2の永久磁石と、前記第3の電磁石の極に組み込まれており、前記可動部材の回転可動時に前記可動部材の前記第3の電磁石の極側の端部が接触し且つ前記第2の磁極面と異なる極性の第3の磁極面を有する第3の永久磁石とをさらに備えていてもよい。
この構成によると、可動部材を回転させる吸引力が大きくなるので、可動部材の回転方向をさらに速やかに変更することができ、アクチュエータにより駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性をより向上させることができる。
本発明のアクチュエータは、2極で構成される固定子の中央部分に配置されたコイルを有しており磁束を生成する略ダブテール形状の磁束生成部分と、前記磁束生成部分の一方の極であり、略ダブテール形状の凹部が形成された第1の磁極面を有する第1の電磁石の極と、前記磁束生成部分の前記第1の電磁石の極と反対側の極であり、略ダブテール形状の凹部が形成された第2の磁極面を有する第2の電磁石の極と、前記第1の電磁石の極に組み込まれており、前記第1の電磁石の極の軸と平行または傾斜した磁極面を有する第1の永久磁石と、前記第2の電磁石の極に組み込まれており、前記第2の電磁石の極の軸と平行または傾斜した磁極面を有する第2の永久磁石と、前記第1及び第2の磁極面にそれぞれ対向する突起部が設けられ、回転可能に支持された可動部材とを備えており、前記可動部材の各突起部の端面を前記第1及び第2の磁極面の各凹部に沿う凸曲面で形成し、前記磁束生成部分のコイルに流れる電流の向きが変わるように通電制御することにより、前記第1及び第2の電磁石の極の通電による磁束及び前記第1及び第2の永久磁石の磁束によって前記可動部材を通過する磁束を発生し、前記可動部材を回転駆動することを特徴とするものである。
この構成によると、コイルに流れる電流の向きが変わるように通電制御すると、可動部材を通過する磁束が発生し、可動部材が推力及び吸引力によって回転する。そのため、可動部材を吸引力だけで回転させる場合と比較して、可動部材の回転方向を速やかに変更することができ、アクチュエータにより駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性を向上させることができる。
本発明のアクチュエータは、3極で構成される固定子の中央部分に配置され、コイルを有しており磁束を生成する第1の電磁石の極と、前記固定子の1つの極であり、コイルを有していない第2の電磁石の極と、前記固定子の1つの極であり、前記第1の電磁石の極に対して前記第2の電磁石の極と反対側に配置され、コイルを有していない第3の電磁石の極と、前記第1の電磁石の極の第1の磁極面と対向する突起部の端面が設けられ、回転可能に支持された可動部材と、前記第1の電磁石の極の第1の磁極面に組み込まれており、前記第1の電磁石の極の第1の磁極面を前記第2の電磁石の極側の部分と前記第3の電磁石の極側の部分とに中央で分割するようにN極とS極とに配置された永久磁石とを備えており、前記第1の磁極面に組み込まれた永久磁石の先端磁極面を略ダブテール形状の凹部で形成して、前記可動部材の突起部の端面を前記凹部に沿う凸曲面で形成し、前記第1の電磁石の極のコイルに流れる電流の向きが変わるように通電制御することにより、前記第1〜第3の電磁石の極の通電による磁束及び前記永久磁石の磁束によって前記可動部材を通過する磁束を発生し、前記可動部材を回転駆動することを特徴とするものである。
この構成によると、コイルに流れる電流の向きが変わるように通電制御すると、可動部材を通過する磁束が発生し、可動部材が推力及び吸引力によって回転する。そのため、可動部材を吸引力だけで回転させる場合と比較して、可動部材の回転方向を速やかに変更することができ、アクチュエータにより駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性を向上させることができる。
本発明に係るアクチュエータは、3極で構成される固定子の中央部分に配置され、コイルを有しており磁束を生成する第1の電磁石の極と、固定子の1つの極であり、コイルを有していない第2の電磁石の極と、固定子の1つの極であり、第1の電磁石の極に対して第2の電磁石の極と反対側に配置され、コイルを有していない第3の電磁石の極と、第1の電磁石の極の第1の磁極面と対向する突起部の端面が設けられ、回転可能に支持された可動部材と、第1の電磁石の極に組み込まれており、第1の電磁石の極を第2の電磁石の極側の部分と第3の電磁石の極側の部分とに分割するように配置された永久磁石とを備え、第1の電磁石の極のコイルに流れる電流の向きが変わるように通電制御することにより、第1〜第3の電磁石の極の通電による磁束及び永久磁石の磁束によって可動部材を通過する磁束を発生し、可動部材を回転駆動し、可動部材が回転駆動された場合における可動部材の端部の可動領域の近傍まで、第2の電磁石の極および第3の電磁石の極の先端部が延在して設けられており、前記第2の電磁石の極の先端部は、L字を形成する第1の面および第2の面を有し、前記第3の電磁石の極の先端部は、前記L字とは線対称の逆L字を形成する第3の面および第4の面を有し、前記可動部材は、中央部が軸支され、第1状態および第2状態を繰り返す揺動動作を行い、前記第1の面は、前記可動部材が第1状態の場合に前記可動部材の一端側の上端面と接触可能に設けられ、前記第3の面は、前記可動部材が第2状態の場合に前記可動部材の他端側の上端面と接触可能に設けられ、前記第2の面は、前記可動部材が第2状態の場合に前記第1の面に接触していた前記可動部材の一端側の上端面近傍まで延在して設けられ、前記第4の面は、前記可動部材が第1状態の場合に前記第3の面に接触していた前記可動部材の他端側の上端面近傍まで延在して設けられているものである。
この構成によると、コイルに流れる電流の向きが変わるように通電制御すると、可動部材を通過する磁束が発生し、可動部材が推力及び吸引力によって回転する。そのため、可動部材を吸引力だけで回転させる場合と比較して、可動部材の回転方向を速やかに変更することができ、アクチュエータにより駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性を向上させることができる。また、第2の電磁石の極の先端部と、第3の電磁石の極の先端部とが可動部材の可動領域に対して延在して設けられているため、各先端部と可動部材との間における空隙部分の磁気抵抗を小さくすることができるので、電流切り替え時のトルクが増加し、可動部の方向を切り換えやすく、かつ応答性の向上を図ることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るアクチュエータの概略構成を示す図である。
図1のアクチュエータ1は、第1の電磁石の極10(以下、第1の極10と称する)と、第2の電磁石の極11(以下、第2の極11と称する)と、第3の電磁石の極12(以下、第3の極12と称する)と、これらを連結する連結部14、15とから構成される固定子である鉄心2を有している。第1〜第3の極10〜12は、一方向(図1では上下方向)に延在する棒状の部材であり、所定間隔を隔てて対向している。第3の極12は、第1の極10に対して第2の極11と反対側に配置されている。第1の極10と第2の極11とは、それらの上端部同士が連結部14を介して連結され、第1の極10と第3の極12とは、それらの上端部同士が連結部15を介して連結されており、鉄心2は略逆W型の断面を有している。
第1の極10の中央位置には、上下方向に延在する永久磁石30が配置されている。永久磁石30は、板状の部材であり、一端面がN極となり且つ他端面がS極となるものである。永久磁石30は、第1の極10を第2の極11側の部分と第3の極12側の部分とに分割するように配置されている。本実施の形態では、永久磁石30のN極となる面が左側(第2の極11に近接する側)になると共に、永久磁石30のS極となる面が右側(第3の極12に近接する側)になるように配置されている。また、永久磁石30の下端部は、第1の極10の先端面と一致している。
ここで、第1の極10の先端面(後述する先端面16、17)は上方に窪んだ円弧状になっており、この先端面が磁極面となる。また、第2の極11の先端面18及び第3の極12の先端面19は外側から内側下方に向かって傾斜しており、これらの先端面がそれぞれの磁極面となる。そのため、後述する可動部材40が回転した場合に、可動部材40と第2の極11の先端面18及び第3の極12の先端面19とが隙間なく接触可能になる。
そして、永久磁石30は上述した向きに配置されているので、第1の極10の先端面の永久磁石30より左側の部分(以下、先端面16と称する)がN極の極性を有し、先端面の永久磁石30より右側の部分(以下、先端面17と称する)がS極の極性を有している。つまり、第1の極10は、N極の磁極面及びS極の磁極面を有していることになる。また、第2の極11の先端面18は、N極の極性を有し、第3の極12の先端面19は、S極の極性を有している。
また、第1の極10の下方の領域には、回転軸41を支点として回転可能な可動部材40が配置されている。可動部材40は、第2の極11の先端面18と第3の極12の先端面19との間の距離とほぼ同じ長さの揺動部45と、揺動部45の中心位置から垂直上方向に突出する突起部46とを有している。可動部材40は、揺動部45の中心位置で回転軸41に支持されている。回転軸41は、第1の極10の軸方向中心位置の下方において、水平方向(図では紙面奥方向)に延在している。そのため、可動部材40は、回転軸41を支点として上下に揺動可能である。可動部材40にはアクチュエータ1により駆動されるバルブ等(図示しない)が連結されているので、可動部材40が揺動することによりバルブ等を往復動させることが可能である。ここで、図1では、可動部材40の揺動部45が水平になっている状態が図示されている。そして、可動部材40は、時計回りに回転することにより、揺動部45の左端部が第2の極11の先端面18に接触可能であり、反時計回りに回転することにより、揺動部45の右端部が第3の極12の先端面19に接触可能である。また、可動部材40の突起部46の先端面は第1の極10の先端面(円弧状部分)とほぼ同じ曲率になっている。従って、可動部材40が揺動した場合には、突起部46の先端面と第1の極10の先端面との間には、常に僅かな隙間が形成された状態になる。
また、第1の極10の周囲には、コイル50が巻回されている。ここで、コイル50は、第1の極10の周囲に複数の巻き数だけ巻回されているが、図1では模式的に図示されている。そして、コイル50の両端部は、電流制御装置(図示しない)に接続されており、コイルに流れる電流値及びその方向が制御される。
なお、本実施の形態のアクチュエータ1は、往復移動を必要とする装置、つまり、機械式カムで実施されているエンジンのバルブ、ソレノイドやリニアモータが用いられる油圧・空圧用バルブ、ポンプやコンプレッサーの機構の簡素化及び高性能化を図るために用い
られる。
次に、アクチュエータ1の動作について、図2を参照して説明する。図2は、アクチュエータの可動部材の回転動作を示している。
まず、コイル50に対して、図2(a)に図示される方向に電流が流されると、第1の極10では下向きの磁束が発生し、左側の磁極であるN極が強められる。そのため、第1の極10のN極から可動部材40を通り第3の極12のS極に流れる磁束が発生する。つまり、このとき、永久磁石30、第1の極10の先端面16、可動部材40の突起部46、揺動部45の右側の部分、第3の極12、連結部15を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、第1の極10の先端面16と可動部材40の突起部46の先端面との間には互いに同じ方向のコイル50の磁束と永久磁石30の磁束とが発生し、第1の極10の先端面17と可動部材40の突起部46の先端面との間には、互いに反対の方向のコイル50の磁束と永久磁石30の磁束とが発生する。このとき、可動部材40の突起部46と第1の極10の先端面16、17との間には、反時計回り方向(先端面17から先端面16に向かう接線方向)の推力が作用する。そのため、可動部材40の突起部46は、その先端面と第1の極10の先端面16との対向面積がその先端面と第1の極10の先端面17との対向面積より大きくなる方向、つまり、左方に移動する。
また、このとき、第3の極12の先端面19と可動部材40の右端部との間では、コイル50の電磁石による吸引力と永久磁石30による吸引力とを足し合わした反時計回り方向の吸引力が可動部材40に作用する。一方、第2の極11の先端面18と可動部材40の左端部との間では、コイル50の電磁石による吸引力と永久磁石30による吸引力とが打ち消し合う。そのため、第3の極12の先端面19と可動部材40の右端部との間に作用する吸引力が増加し、且つ、第2の極11の先端面18と可動部材40の左端部との間に作用する吸引力が減少するので、可動部材40は揺動部45の右端部が第3の極12の先端面19に近づく方向、つまり、反時計回り方向に回転する。
このように、可動部材40は、突起部46と第1の極10の先端面16、17との間に作用する反時計回り方向の推力、及び、第3の極12の先端面19と可動部材40の右端部との間に作用する反時計回り方向の吸引力により、回転軸41を支点として反時計回りに回転し、可動部材40の突起部46の先端面が第1の極10の先端面16に対向し、且つ、揺動部45の右端部が第3の極12の先端面19に接触する状態になる。
一方、コイル50に対して、図2(b)に図示される方向に電流が流されると、第1の極10では上向きの磁束が発生し、右側の磁極であるS極が強められる。そのため、第2の極11のN極から可動部材40を通り第1の極10のS極に流れる磁束が発生する。つまり、このとき、永久磁石30、連結部14、第2の極11、可動部材40の揺動部45の左側の部分、突起部46、第1の極10の先端面17を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、第1の極10の先端面16と可動部材40の突起部46の先端面との間には互いに反対の方向のコイル50の磁束と永久磁石30の磁束とが発生し、第1の極10の先端面17と可動部材40の突起部46の先端面との間には、互いに同じ方向のコイル50の磁束と永久磁石30の磁束とが発生する。このとき、可動部材40の突起部46と第1の極10の先端面16、17との間には、時計回り方向(先端面16から先端面17に向かう接線方向)の推力が作用する。そのため、可動部材40の突起部46は、その先端面と第1の極10の先端面17との対向面積がその先端面と第1の極10の先端面16との対向面積より大きくなる方向、つまり、右方に移動する。
また、このとき、第2の極11の先端面18と可動部材40の左端部との間では、コイル50の電磁石による吸引力と永久磁石30による吸引力とを足し合わした時計回り方向の吸引力が可動部材40に作用する。一方、第3の極12の先端面19と可動部材40の右端部との間では、コイル50の電磁石による吸引力と永久磁石30による吸引力とが打ち消し合う。そのため、第2の極11の先端面18と可動部材40の左端部との間に作用する吸引力が増加し、且つ、第3の極12の先端面19と可動部材40の右端部との間に作用する吸引力が減少するので、可動部材40は揺動部45の左端部が第2の極11の先端面18に近づく方向、つまり、時計回り方向に回転する。
このように、可動部材40は、突起部46と第1の極10の先端面15、16との間に作用する時計回り方向の推力、及び、第2の極11の先端面18と可動部材40の左端部との間に作用する時計回り方向の吸引力により、回転軸41を支点として時計回りに回転し、可動部材40の突起部46の先端面が第1の極10の先端面17に対向し、且つ、揺動部45の左端部が第2の極11の先端面18に接触する状態になる。
アクチュエータ1では、コイル50に流れる電流を制御し、可動部材40の回転方向を変更することにより、可動部材40に連結されたバルブ等を往復移動させることができる。
ここで、本実施の形態のアクチュエータ1では、可動部材40を回転させる力は、吸引力と推力とを足し合わした力である。従って、例えば可動部材40が突起部46を有していないで揺動部45の両端部に作用する吸引力だけで回転する場合と比較すると、可動部材40が突起部46に作用する推力の分だけ可動部材40を回転させる力が増加する。また、突起部46に作用する推力で発生するトルクは、突起部の長さと推力とを乗じた値であるから、突起部46に作用する推力が同じである場合には、可動部材40を回転させる力は突起部の長さが長い方が大きくなる。
以上説明したように、本実施の形態のアクチュエータ1では、コイル50に所定方向の電流を流すことにより、第3の極12の先端面19と可動部材40の右端部との間では、コイル50の磁束と永久磁石30の磁束とが強め合い、第2の極11の先端面18と可動部材40の左端部との間では、コイル50の磁束と永久磁石30の磁束とが弱め合う。また、このとき、第1の極10の先端面16と可動部材40の突起部46の先端面との間では、コイル50の磁束と永久磁石30の磁束とが強め合い、第1の極10の先端面17と可動部材40の突起部46の先端面との間では、コイル50の磁束と永久磁石30の磁束とが弱め合う。そのため、可動部材40の突起部46の先端面には反時計回り方向の推力が発生すると共に、第3の極12の先端面19と可動部材40の右端部との間に吸引力が発生する。一方、コイル50に所定方向と反対方向の電流を流すことにより、第2の極11の先端面18と可動部材40の左端部との間では、コイル50の磁束と永久磁石30の磁束とが強め合い、第3の極12の先端面19と可動部材40の右端部との間では、コイル50の磁束と永久磁石30の磁束とが弱め合う。また、このとき、第1の極10の先端面17と可動部材40の突起部46の先端面との間では、コイル50の磁束と永久磁石30の磁束とが強め合い、第1の極10の先端面16と可動部材40の突起部46の先端面との間では、コイル50の磁束と永久磁石30の磁束とが弱め合う。そのため、可動部材40の突起部46の先端面には時計回り方向の推力が発生すると共に、第2の極11の先端面18と可動部材40の左端部との間に吸引力が発生する。ここで、可動部材40は、その左端部と第2の極11の先端面18との間に作用する吸引力またはその右端部と第3の極12の先端面19との間に作用する吸引力だけで回転するのではなく、上記吸引力と突起部46の先端面と第1の極10の先端面16、17との間に作用する推力とを足し合わした力により回転する。そのため、可動部材40を吸引力だけで回転させる場合と比較して、可動部材40の回転方向を速やかに変更することができ、アクチュエータ1により駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性を向上させることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、本実施の形態に係るアクチュエータの概略構成を示す図である。
本実施の形態のアクチュエータ101が第1の実施の形態のアクチュエータ1と大きく異なる点は、アクチュエータ1では、第1の極10の周囲にコイル50が巻回されているのに対し、アクチュエータ101では、第2の極11及び第3の極12の周囲にコイル151、152がそれぞれ巻回されている点である。なお、アクチュエータ101とアクチュエータ1との構成において同様の部分には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図3のアクチュエータ101では、第2の極11の周囲には、コイル151が巻回されていると共に、第3の極12の周囲には、コイル152が巻回されている。ここで、コイル151、152は、第2の極11及び第3の磁極13の周囲に複数の巻き数だけそれぞれ巻回されているが、図3では模式的に図示されている。そして、コイル151、152の両端部は、電流制御装置(図示しない)にそれぞれ接続されており、コイルに流れる電及びその方向が制御される。
次に、アクチュエータ101の動作について、図4を参照して説明する。図4は、アクチュエータの可動部材の回転動作を示している。
まず、コイル152に対して、図4(a)に図示される方向に電流が流されると、永久磁石30、第1の極10の先端面16、可動部材40の突起部46、揺動部45の右側の部分、第3の極12、連結部15を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、可動部材40は、突起部46と第1の極10の先端面16、17との間に作用する反時計回り方向の推力、及び、第3の極12の先端面19と可動部材40の右端部との間に作用する反時計回り方向の吸引力により、回転軸41を支点として反時計回りに回転し、可動部材40の突起部46の先端面が第1の極10の先端面16に対向し、且つ、揺動部45の右端部が第3の極12の先端面19に接触する状態になる。
一方、コイル151に対して、図4(b)に図示される方向に電流が流されると、永久磁石30、連結部14、第2の極11、可動部材40の揺動部45の左側の部分、突起部46、第1の極10の先端面17を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、可動部材40は、突起部46と第1の極10の先端面15、16との間に作用する時計回り方向の推力、及び、第2の極11の先端面18と可動部材40の左端部との間に作用する時計回り方向の吸引力により、回転軸41を支点として時計回りに回転し、可動部材40の突起部46の先端面が第1の極10の先端面17に対向し、且つ、揺動部45の左端部が第2の極11の先端面18に接触する状態になる。
以上説明したように、本実施の形態のアクチュエータ101では、第1の実施の形態のアクチュエータ1と同様に、アクチュエータ101により駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性を向上させることができる。
次に、本発明の第3の実施の形態について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、本実施の形態に係るアクチュエータの概略構成を示す図である。
本実施の形態のアクチュエータ201が、第1の実施の形態のアクチュエータ1と大きく異なる点は、アクチュエータ1では、第2の極11及び第3の極12の先端面に永久磁石が配置されていないのに対し、アクチュエータ201では、第2の極11及び第3の極12の先端面に永久磁石231、232がそれぞれ配置されている点である。なお、アクチュエータ201とアクチュエータ1との構成において同様の部分には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図5のアクチュエータ201では、第2の極11の先端面18の表面には永久磁石231が配置されており、第3の極12の先端面19の表面には永久磁石232が配置されている。永久磁石231、232は、板状の部材であり、一端面がN極となり且つ他端面がS極となるものである。本実施の形態では、永久磁石231のS極となる面が第2の極11の先端面18に接着されており、永久磁石231のN極となる面が第2の極11の表面に配置されていると共に、永久磁石232のN極となる面が第3の極12の先端面19に接着されており、永久磁石232のS極となる面が第3の極12の表面に配置されている。ここで、第2の極11では、永久磁石231の下面が磁極面となり、第3の極12では、永久磁石232の下面が磁極面となる。そして、第2の極11及び第3の極12では、永久磁石231、232は上述した向きに配置されているので、第2の極11の磁極面はN極の極性を有し、第3の極12の磁極面はS極の極性を有している。
次に、アクチュエータ201の動作について、図6を参照して説明する。図6は、アクチュエータの可動部材の回転動作を示している。
まず、コイル50に対して、図6(a)に図示される方向に電流が流されると、永久磁石30、第1の極10の先端面16、可動部材40の突起部46、揺動部45の右側の部分、永久磁石232、第3の極12、連結部15を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、可動部材40は、突起部46と第1の極10の先端面16、17との間に作用する反時計回り方向の推力、及び、永久磁石232の下面と可動部材40の右端部との間に作用する反時計回り方向の吸引力により、回転軸41を支点として反時計回りに回転し、可動部材40の突起部46の先端面が第1の極10の先端面16に対向し、且つ、揺動部45の右端部が永久磁石232の下面に接触する状態になる。
一方、コイル50に対して、図6(b)に図示される方向に電流が流されると、永久磁石30、連結部14、永久磁石231、第2の極11、可動部材40の揺動部45の左側の部分、突起部46、第1の極10の先端面17を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、可動部材40は、突起部46と第1の極10の先端面15、16との間に作用する時計回り方向の推力、及び、永久磁石231の下面と可動部材40の左端部との間に作用する時計回り方向の吸引力により、回転軸41を支点として時計回りに回転し、可動部材40の突起部46の先端面が第1の極10の先端面17に対向し、且つ、揺動部45の左端部が永久磁石231の下面に接触する状態になる。
なお、図6(a)に示すように、可動部材40の右端部が第3の永久磁石232の下面に接触した状態で、コイル50に電流が流れなくなった場合でも、永久磁石232の磁力により、可動部材40はその状態で保持される。また、図6(b)に示すように、可動部材40の左端部が永久磁石231の下面に接触した状態で、コイル50に電流が流れなくなった場合でも、永久磁石231の磁力により、可動部材40はその状態で保持される。
以上説明したように、本実施の形態のアクチュエータ201では、第1の実施の形態のアクチュエータ1と同様に、アクチュエータ201により駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性を向上させることができる。
次に、本発明の第4の実施の形態について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、本実施の形態に係るアクチュエータの概略構成を示す図である。
本実施の形態のアクチュエータ301が、第1の実施の形態のアクチュエータ1と大きく異なる点は、アクチュエータ1では、第1の極10の先端面が上方に窪んだ円弧状になっているに対し、アクチュエータ301では、第1の極10の先端面が略ダブテール形状になっている(第1の極10の先端面の両端部が下方に突出している)点である。なお、アクチュエータ301とアクチュエータ1との構成において同様の部分には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図7のアクチュエータ301は、第1の電磁石の極310(以下、第1の極310と称する)と、第2の電磁石の極11(以下、第2の極11と称する)、第3の電磁石の極12(以下、第3の極12と称する)と、これらを連結する連結部14、15とから構成される鉄心302を有している。ここで、第1の極310の先端面の左端部(第2の極11に近接する側の端部)には下方に突出する突出部311が形成されており、その右端部(第3の極12に近接する側の端部)には下方に突出する突出部312が形成されている。
そして、第1の極310の先端面において、突出部311と突出部312との間は上方に窪んだ円弧状になっている。そのため、第1の極310では、円弧状部分(後述する先端面316、317)と、突出部311の内側面318と、突出部312の内側面319とが磁極面となる。また、突出部311の内側面318及び突出部312の内側面319は、円弧状部分の端部から内側下方向に傾斜しているため、可動部材40が回転した場合に、可動部材40の突起部46と突出部311の内側面318及び突出部312の内側面319とが隙間なく接触可能になる。
そして、第1の極10の先端面の永久磁石30より左側の部分(以下、先端面316と称する)及び突出部311の内側面318がN極の極性を有し、先端面の永久磁石30より右側の部分(以下、先端面317と称する)及び突出部312の内側面319がS極の極性を有している。つまり、第1の極310は、N極の磁極面及びS極の磁極面を有していることになる。
次に、アクチュエータ301の動作について、図8を参照して説明する。図8は、アクチュエータの可動部材の回転動作を示している。
まず、コイル50に対して、図8(a)に図示される方向に電流が流されると、永久磁石30、第1の極310の先端面316及び突出部311の内周面318、可動部材40の突起部46、揺動部45の右側の部分、第3の極12、連結部15を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、第1の極310の先端面316と可動部材40の突起部46の先端面との間及び突出部311の内周面318と可動部材40の突起部46の左側面との間には互いに同じ方向のコイル50の磁束と永久磁石30の磁束とが発生し、第1の極310の先端面317と可動部材40の突起部46の先端面との間及び突出部312の内周面319と可動部材40の突起部46の右側面との間には、互いに反対の方向のコイル50の磁束と永久磁石30の磁束とが発生する。このとき、可動部材40の突起部46と第1の極310の先端面316、317との間には、反時計回り方向(先端面317から先端面316に向かう接線方向)の推力が作用する。そのため、可動部材40の突起部46は、その先端面と第1の極310の先端面316との対向面積がその先端面と第1の極310の先端面317との対向面積より大きくなる方向、つまり、左方に移動する。
また、このとき、突出部311の内周面318と可動部材40の突起部46の左側面との間では、コイル50の電磁石による吸引力と永久磁石30による吸引力とを足し合わした反時計回り方向の吸引力が可動部材40に作用する。一方、突出部312の内周面319と可動部材40の突起部46の右側面との間では、コイル50の電磁石による吸引力と永久磁石30による吸引力とが打ち消し合う。そのため、突出部311の内周面318と可動部材40の突起部46の左側面に作用する吸引力が増加し、且つ、突出部312の内周面319と可動部材40の突起部46の右側面との間に作用する吸引力が減少するので、可動部材40は可動部材40の突起部46が突出部311の内周面318に近づく方向、つまり、反時計回り方向に回転する。
さらに、このとき、第3の極12の先端面19と可動部材40の右端部との間では、コイル50の電磁石による吸引力と永久磁石30による吸引力とを足し合わした反時計回り方向の吸引力が可動部材40に作用する。一方、第2の極11の先端面18と可動部材40の左端部との間では、コイル50の電磁石による吸引力と永久磁石30による吸引力とが打ち消し合う。そのため、第3の極12の先端面19と可動部材40の右端部との間に作用する吸引力が増加し、且つ、第2の極11の先端面18と可動部材40の左端部との間に作用する吸引力が減少するので、可動部材40は揺動部45の右端部が第3の極12の先端面19に近づく方向、つまり、反時計回り方向に回転する。
このように、可動部材40は、突起部46と第1の極310の先端面316、317との間に作用する反時計回り方向の推力、突出部311の内周面318と可動部材40の突起部46の左側面との間に作用する反時計回り方向の吸引力、及び、第3の極12の先端面19と可動部材40の右端部との間に作用する反時計回り方向の吸引力により、回転軸41を支点として反時計回りに回転し、可動部材40の突起部46の先端面が第1の極310の先端面316に対向し、突起部46の左側面が突出部311の内周面318に接触し、且つ、揺動部45の右端部が第3の極12の先端面19に接触する状態になる。
一方、コイル50に対して、図8(b)に図示される方向に電流が流されると、永久磁石30、連結部14、第2の極11、可動部材40の揺動部45の左側の部分、突起部46、第1の極310の先端面17及び突出部312の内周面319を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、第1の極10の先端面16と可動部材40の突起部46の先端面との間及び突出部312の内周面319と可動部材40の突起部46の右側面との間には互いに反対の方向のコイル50の磁束と永久磁石30の磁束とが発生し、第1の極10の先端面17と可動部材40の突起部46の先端面との間及び突出部311の内周面318と可動部材40の突起部46の左側面との間には、互いに同じ方向のコイル50の磁束と永久磁石30の磁束とが発生する。このとき、可動部材40の突起部46と第1の極310の先端面316、317との間には、時計回り方向(先端面316から先端面317に向かう接線方向)の推力が作用する。そのため、可動部材40の突起部46は、その先端面と第1の極310の先端面317との対向面積がその先端面と第1の極310の先端面316との対向面積より大きくなる方向、つまり、右方に移動する。
また、このとき、突出部312の内周面319と可動部材40の突起部46の右側面との間では、コイル50の電磁石による吸引力と永久磁石30による吸引力とを足し合わした時計回り方向の吸引力が可動部材40に作用する。一方、突出部311の内周面318と可動部材40の突起部46の左側面との間では、コイル50の電磁石による吸引力と永久磁石30による吸引力とが打ち消し合う。そのため、突出部312の内周面319と可動部材40の突起部46の右側面との間に作用する吸引力が増加し、且つ、突出部311の内周面318と可動部材40の突起部46の左側面に作用する吸引力が減少するので、可動部材40は可動部材40の突起部46が突出部312の内周面319に近づく方向、つまり、時計回り方向に回転する。
さらに、このとき、第2の極11の先端面18と可動部材40の左端部との間では、コイル50の電磁石による吸引力と永久磁石30による吸引力とを足し合わした時計回り方向の吸引力が可動部材40に作用する。一方、第3の極12の先端面19と可動部材40の右端部との間では、コイル50の電磁石による吸引力と永久磁石30による吸引力とが打ち消し合う。そのため、第2の極11の先端面18と可動部材40の左端部との間に作用する吸引力が増加し、且つ、第3の極12の先端面19と可動部材40の右端部との間に作用する吸引力が減少するので、可動部材40は揺動部45の左端部が第2の極11の先端面18に近づく方向、つまり、時計回り方向に回転する。
このように、可動部材40は、突起部46と第1の極310の先端面316、317との間に作用する時計回り方向の推力、突出部312の内周面319と可動部材40の突起部46の右側面との間に作用する時計回り方向の吸引力、及び、第2の極11の先端面18と可動部材40の左端部との間に作用する時計回り方向の吸引力により、回転軸41を支点として時計回りに回転し、可動部材40の突起部46の先端面が第1の極310の先端面317に対向し、突起部46の右側面が突出部312の内周面319に接触し、且つ、揺動部45の左端部が第2の極11の先端面18に接触する状態になる。
以上説明したように、本実施の形態のアクチュエータ301では、第1の実施の形態のアクチュエータ1と比較して、アクチュエータ301により駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性をさらに向上させることができる。
次に、本発明の第5の実施の形態について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、本実施の形態に係るアクチュエータの概略構成を示す図である。
本実施の形態のアクチュエータ401が第1の実施の形態のアクチュエータ1と大きく異なる点は、アクチュエータ1では、永久磁石30が第1の極10内に埋め込まれているのに対し、アクチュエータ401では、永久磁石431、432が第1の磁極410の表面に配置されている点である。なお、アクチュエータ401とアクチュエータ1との構成において同様の部分には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図9のアクチュエータ401では、第1の磁極410の先端面の中心位置より左側の部分(以下、先端面416と称する)の表面には永久磁石431が配置されており、第1の磁極410の先端面の中心位置より右側の部分(以下、先端面417と称する)の表面には永久磁石432が配置されている。永久磁石431、432は、板状の部材であり、一端面がN極となり且つ他端面がS極となるものである。本実施の形態では、永久磁石431のS極となる面が第1の磁極410の先端面416に接着されており、永久磁石431のN極となる面が第1の磁極410の表面に配置されていると共に、永久磁石432のN極となる面が第1の磁極410の先端面417に接着されており、永久磁石432のS極となる面が第1の磁極410の表面に配置されている。ここで、第1の磁極410では、永久磁石431の下面及び永久磁石432の下面が磁極面となり、永久磁石431の下面がN極の極性を有し、永久磁石432の下面がS極の極性を有している。つまり、第1の磁極410は、N極の磁極面及びS極の磁極面を有していることになる。また、第2の極11の先端面18は、N極の極性を有し、第3の極12の先端面19は、S極の極性を有している。
次に、アクチュエータ401の動作について、図10を参照して説明する。図10は、アクチュエータの可動部材の回転動作を示している。
まず、コイル50に対して、図10(a)に図示される方向に電流が流されると、永久磁石431、可動部材40の突起部46、揺動部45の右側の部分、第3の極12、連結部15、第1の磁極410を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、可動部材40は、突起部46と永久磁石431、432との間に作用する反時計回り方向の推力、及び、第3の極12の先端面19と可動部材40の右端部との間に作用する反時計回り方向の吸引力により、回転軸41を支点として反時計回りに回転し、可動部材40の突起部46の先端面が永久磁石431、432に対向し、且つ、揺動部45の右端部が第3の極12の先端面19に接触する状態になる。
一方、コイル50に対して、図10(b)に図示される方向に電流が流されると、永久磁石432、第1の磁極410、連結部14、第2の極11、可動部材40の揺動部45の左側の部分、突起部46、第1の極10の先端面17を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、可動部材40は、突起部46と永久磁石431、432との間に作用する時計回り方向の推力、及び、第2の極11の先端面18と可動部材40の左端部との間に作用する時計回り方向の吸引力により、回転軸41を支点として時計回りに回転し、可動部材40の突起部46の先端面が永久磁石431、432に対向し、且つ、揺動部45の左端部が第2の極11の先端面18に接触する状態になる。
以上説明したように、本実施の形態のアクチュエータ401では、第1の実施の形態のアクチュエータ1と同様に、アクチュエータ401により駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性を向上させることができる。
次に、本発明の第6の実施の形態について、図11及び図12を参照して説明する。図11は、本実施の形態に係るアクチュエータの概略構成を示す図である。
本実施の形態のアクチュエータ501が第1の実施の形態のアクチュエータ1と大きく異なる点は、アクチュエータ1では、1つの鉄心2により可動部材40を回転させる構成であるのに対し、アクチュエータ501では、2つの鉄心2により可動部材540を回転させる構成である点である。なお、アクチュエータ501とアクチュエータ1との構成において、例えば10、10a、10bの符号のように、同じ符号に記号が追加された部分は同様の構成であるので詳細な説明は省略する。
図11のアクチュエータ501は、第1の実施の形態のアクチュエータ1に含まれる鉄心2と同じ構成の上側鉄心2aと下側鉄心2bとを有している。そして、上側鉄心2aの第1の極10aの先端面と下側鉄心2bの第1の極10bの先端面との間には、回転軸541を支点として回転可能な可動部材540が配置されている。可動部材540は、第2の極11aの先端面18aと第3の極12aの先端面19aとの間の距離とほぼ同じ長さの揺動部545と、揺動部545の中心位置から垂直上方向に突出する突起部546と、揺動部545の中心位置から垂直下方向に突出する突起部547とを有している。可動部材540は、揺動部545の中心位置で回転軸541に支持されている。回転軸541は、第1の極10aと第1の極10bとの間において、水平方向(図では紙面奥方向)に延在している。そのため、可動部材540は、回転軸541を支点として上下に揺動可能である。そして、可動部材540は、時計回りに回転することにより、揺動部545の左端部が第2の極11aの先端面18aに接触可能であると共に、揺動部545の右端部が第2の極11bの先端面18bに接触可能であり、反時計回りに回転することにより、揺動部45の右端部が第3の極12aの先端面19aに接触可能であると共に、揺動部545の左端部が第3の極12bの先端面19bに接触可能である。また、可動部材540の突起部546、547の先端面は第1の極10a、10bの先端面(円弧状部分)とほぼ同じ曲率になっている。従って、可動部材540が揺動した場合には、突起部546、547の先端面との磁極10の先端面との間には、常に僅かな隙間が形成された状態になる。
次に、アクチュエータ501の動作について、図12を参照して説明する。図12は、アクチュエータの可動部材の回転動作を示している。
まず、コイル50a、50bに対して、図12(a)に図示される方向に電流が流されると、上側鉄心2aでは、永久磁石30a、第1の極10aの先端面16a、可動部材540の突起部546、揺動部545の右側の部分、第3の極12a、連結部15aを順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。また、下側鉄心2bでは、永久磁石30b、第1の極10bの先端面16b、可動部材540の突起部547、揺動部545の左側の部分、第3の極12b、連結部15bを順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。
すると、可動部材540は、突起部546と第1の極10aの先端面16a、17aとの間に作用する反時計回り方向の推力、突起部547と第1の極10bの先端面16b、17bとの間に作用する反時計回り方向の推力、第3の極12aの先端面19aと可動部材540の右端部との間に作用する反時計回り方向の吸引力、及び、第3の極12bの先端面19bと可動部材540の左端部との間に作用する反時計回り方向の吸引力により、回転軸541を支点として反時計回りに回転する。そして、可動部材540の突起部546の先端面が第1の極10aの先端面16aに対向すると共に、可動部材540の突起部547の先端面が第1の極10bの先端面16bに対向し、且つ、揺動部545の右端部が第3の極12aの先端面19aに接触すると共に、揺動部545の左端部が第3の極12bの先端面19bに接触する状態になる。
一方、コイル50a、50bに対して、図12(b)に図示される方向に電流が流されると、上側鉄心2aでは、永久磁石30a、第1の極10aの先端面17a、可動部材540の突起部546、揺動部545の左側の部分、第2の極11a、連結部14aを順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。また、下側鉄心2bでは、永久磁石30b、第1の極10bの先端面17b、可動部材540の突起部547、揺動部545の右側の部分、第2の極11b、連結部14bを順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。
すると、可動部材540は、突起部546と第1の極10aの先端面16a、17aとの間に作用する時計回り方向の推力、突起部547と第1の極10bの先端面16b、17bとの間に作用する時計回り方向の推力、第2の極11aの先端面18aと可動部材540の左端部との間に作用する時計回り方向の吸引力、及び、第2の極11bの先端面18bと可動部材540の右端部との間に作用する時計回り方向の吸引力により、回転軸541を支点として時計回りに回転する。そして、可動部材540の突起部546の先端面が第1の極10aの先端面17aに対向すると共に、可動部材540の突起部547の先端面が第1の極10bの先端面17bに対向し、且つ、揺動部545の左端部が第2の極11aの先端面18aに接触すると共に、揺動部545の右端部が第2の極11bの先端面18bに接触する状態になる。
以上説明したように、本実施の形態のアクチュエータ501では、第1の実施の形態のアクチュエータ1と比較して、アクチュエータ501により駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性をさらに向上させることができる。
次に、本発明の第7の実施の形態について、図13及び図14を参照して説明する。図13は、本実施の形態に係るアクチュエータの概略構成を示す図である。
図13のアクチュエータ601は、上下に対向するように配置された一対の固定子である鉄心602を有している。鉄心602は、第1の電磁石の極610(以下、第1の極610と称する)と、第2の電磁石の極611(以下、第2の極611と称する)、これらを連結する連結部614とから構成されている。第1及び第2の極610、611は、それぞれの先端面が後述する円形の可動部材640の外周面に対向可能な角度で配置されている。
第1の極610の中央位置には、永久磁石631が配置されている。永久磁石631は、板状の部材であり、一端面がN極となり且つ他端面がS極となるものである。ここで、永久磁石631は、第1の極610の軸と平行な磁極面を有している。本実施の形態では、永久磁石631のN極となる面が外側になると共に、永久磁石631のS極となる面が内側になるように配置されている。また、永久磁石631の下端部は、第1の極610の先端面と一致している。同様に、第2の極611の中央位置には、永久磁石632が配置されている。永久磁石632は、板状の部材であり、一端面がN極となり且つ他端面がS極となるものである。ここで、永久磁石632は、第2の極611の軸と平行な磁極面を有している。本実施の形態では、永久磁石632のN極となる面が外側になると共に、永久磁石632のS極となる面が内側になるように配置されている。また、永久磁石632の下端部は、第2の極611の先端面と一致している。
ここで、第1の極610の先端面は、略ダブテール形状になっている。つまり、第1の極610の先端面の左端部には下方に突出する突出部661が形成されており、その右端部には下方に突出する突出部662が形成されている。そして、第1の極610の先端面において、突出部661と突出部662との間は上方に窪んだ円弧状になっている。そのため、第1の極610では、円弧状部分(後述する先端面666、667)と、突出部661の内側面668と、突出部662の内側面669とが磁極面となる。また、突出部661の内側面668及び突出部662の内側面669は、円弧状部分の端部から内側下方向に傾斜しているため、可動部材640が回転した場合に、可動部材640の突起部646と突出部661の内側面668及び突出部662の内側面669とが隙間なく接触可能になる。そして、第1の極610の先端面の永久磁石631より左側の部分(以下、先端面666と称する)及び突出部661の内側面668がN極の極性を有し、先端面の永久磁石631より右側の部分(以下、先端面667と称する)及び突出部662の内側面669がS極の極性を有している。つまり、第1の極610は、N極の磁極面及びS極の磁極面を有していることになる。
第2の極611の先端面の構成は、第1の極610の先端面の構成と同様であり、突出部671、672が形成されている。第2の極611の先端面の永久磁石632より左側の部分(以下、先端面676と称する)及び突出部671の内側面678がS極の極性を有し、先端面の永久磁石632より右側の部分(以下、先端面677と称する)及び突出部672の内側面679がN極の極性を有している。つまり、第2の極611は、N極の磁極面及びS極の磁極面を有していることになる。
また、鉄心602の連結部614の周囲には、コイル650が巻回されている。ここで、コイル650は、連結部614の周囲に複数の巻き数だけ巻回されているが、図13では模式的に図示されている。そして、コイル650の両端部は、電流制御装置(図示しない)に接続されており、コイルに流れる電流値及びその方向が制御される。
アクチュエータ601では、一対の鉄心602間には、回転軸641を支点として回転可能な円形の可動部材640が配置されている。可動部材640の外周面には2つの突起部646及び2つの突起部647が形成されており、これらは90度おきに交互に配置されている。つまり、2つの突起部646は180度おきに配置されており、2つの突起部647は180度おきに配置されている。また、突起部646は、鉄心602の第1の極610の先端面の突出部661、662間に配置されており、突起部647は、鉄心602の第2の極611の先端面の突出部671、672間に配置されている。また、可動部材640には、2つの鉄心602間において水平方向に延在する棒状の連結部材645が設けられている。この連結部材645は、アクチュエータ601により駆動されるバルブ等(図示しない)が連結されているので、可動部材640が回転し、連結部材645が揺動することによりバルブ等を往復動させることが可能である。
次に、アクチュエータ601の動作について、図14を参照して説明する。図14は、アクチュエータの可動部材の回転動作を示している。
まず、コイル650に対して、図14(a)に図示される方向に電流が流されると、上側の鉄心602では、永久磁石631、第1の極610の先端面666及び突出部661の内周面668、可動部材640、第2の極611の先端面676及び突出部671の内周面678、永久磁石632、連結部614を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、可動部材640は、突起部646と第1の極610の先端面666、667との間に作用する反時計回り方向の推力、突起部647と第2の極611の先端面676、677との間に作用する反時計回り方向の推力、突出部661の内周面668と可動部材640の突起部646の左側面との間に作用する反時計回り方向の吸引力、及び、突出部662の内周面678と可動部材640の突起部647の左側面との間に作用する反時計回り方向の吸引力により、回転軸641を支点として反時計回りに回転する。また、下側の鉄心602でも同様である。
一方、コイル650に対して、図14(b)に図示される方向に電流が流されると、上側の鉄心602では、永久磁石631、連結部614、永久磁石632、第2の極611の先端面677及び突出部672の内周面679、可動部材640、第1の極610の先端面667及び突出部662の内周面669を順に通過する時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、可動部材640は、突起部646と第1の極610の先端面666、667との間に作用する時計回り方向の推力、突起部647と第2の極611の先端面676、677との間に作用する時計回り方向の推力、突出部662の内周面669と可動部材640の突起部646の右側面との間に作用する時計回り方向の吸引力、及び、突出部662の内周面679と可動部材640の突起部647の右側面との間に作用する時計回り方向の吸引力により、回転軸641を支点として時計回りに回転する。また、下側の鉄心602でも同様である。
以上説明したように、本実施の形態のアクチュエータ601では、第1の実施の形態のアクチュエータ1と比較して、アクチュエータ601により駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性をさらに向上させることができる。
また、上述の第2の実施の形態のアクチュエータ101において、第2の極11及び第3の極12の先端面に永久磁石231、232がそれぞれ配置されていてもよいし(第3の実施の形態と同様)、第1の極10の先端面が略ダブテール形状になっていてもよいし(第4の実施の形態と同様)、永久磁石30の代わりに永久磁石431、432が第1の磁極410の表面に配置されていてもよい(第5の実施の形態と同様)。また、第5の実施の形態のアクチュエータ401において、第2の極11及び第3の極12の先端面に永久磁石231、232がそれぞれ配置されていてもよい(第3の実施の形態と同様)。
また、上述の第7の実施の形態では、第1の極610の先端面及び第2の極611の先端面が略ダブテール形状になっているが、図15に示すように、第1の極710の先端面だけが略ダブテール形状になっていてもよい。ここで、図15のアクチュエータ701は、第2の極711の先端面が略ダブテール形状になっていないこと以外は、第6の実施の形態のアクチュエータ601の構成と同様である。そのため、図15のアクチュエータ701では、第1の極710の先端面に対向する突起部と第1の極の先端面との間に作用する推力、第2の極711の先端面に対向する突起部と第2の極の先端面との間に作用する推力、及び、第1の極710の先端面に対向する突出部の内周面と可動部材の突起部の左側面または右側面との間に作用する吸引力により、回転軸を支点として時計回り方向または反時計回り方向に回転する。
次に、本発明の第8の実施の形態について、図16、図17及び図18を参照して説明する。図16は、本実施の形態に係るアクチュエータの概略構成を示す図である。
本実施の形態のアクチュエータ801が、第1の実施の形態のアクチュエータ1と大きく異なる点は、アクチュエータ1では、第2の極11及び第3の極12が外側から内側下方に向かって傾斜して形成されているのに対し、本実施の形態のアクチュエータ801においては、第2の極11及び第3の極12がクランク形状からなるクランク部811およびクランク部812を有し、当該クランク部811および812が可動部材40の左端部または右端部を覆うように延在して形成されている点である。
また、アクチュエータ1では、可動部材40が揺動部45および揺動部45の中心位置から垂直上方向に突出する突起部46からなる略T字形状を有する構成からなるのに対して、本実施の形態のアクチュエータ801においては、揺動部45の両端において斜め下方向に傾斜面870および傾斜面871が形成されている。なお、アクチュエータ801とアクチュエータ1との構成において同様の部分には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図16のアクチュエータ801では、第2の極11がクランク状に屈曲してクランク部811が形成され、クランク部811の一の面820および他の面821が形成される。当該一の面820に対して他の面821は、略90度に屈曲して設けられる。なお、可動部材40を回転させるトルクに応じて、この面821、面831と揺動部45との距離Lとが設定されるとともに、極の形状が設定される。
また、第3の極12がクランク状に屈曲してクランク部812が形成され、クランク部812の位置の面830および他の面931が形成される。当該一の面830に対して他の面831は、略90度に屈曲して設けられる。
また、第2の極11のクランク部811は、可動部材40の左端部を覆うように延在して形成されており、第3の極12のクランク部812は、可動部材40の右端部を覆うように延在して形成されている。本実施の形態では、第2の極11のクランク部811および面820は、N極の極性を有し、第3の極12のクランク部812および面830は、S極の極性を有している。
次に、アクチュエータ801の動作について、図17および図18を参照して説明する。図17および図18は、アクチュエータの可動部材の回転動作を示している。
まず、コイル50に対して、図17(a)に図示される方向に電流が流されると、永久磁石30、第1の極10の先端面16、可動部材40の突起部46、揺動部45の右端部の傾斜面872、クランク部812の面831およびクランク部812の面830、第3の極12、連結部15を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、可動部材40は、突起部46と第1の極10の先端面16、17との間に作用する反時計回り方向の推力、及び、クランク部812の面830,831と可動部材40の右端部との間に作用する反時計回り方向の吸引力により、回転軸41を支点として反時計回りに回転し、可動部材40の突起部46の先端面が第1の極10の先端面16に対向し、且つ、揺動部45の右端部の傾斜面872がクランク部812の面830に接触する状態になる。
次に、方向切り替えを行なう。コイル50に対して図17(a)に図示される方向から電流の流れる方向を逆転させ、図17(b)に図示される方向にコイル50に対して電流が流される。この場合、永久磁石30、連結部14、第2の極11、クランク部811、クランク部の面821、可動部材40の揺動部45の左端部の傾斜面871、突起部46、第1の極10の先端面16を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。この場合、実施例1(図2)と比較して、クランク部の面821と揺動部45の傾斜面871とが近接しているため、電流の流れる方向を切り換えた際に近接した部分の磁束密度を上げることができ、可動部材40に大きな力(トルク)を発生させることができる。
そして、図18(c)に示すように、可動部材40は、突起部46と第1の極10の先端面15、16との間に作用する時計回り方向の推力、及び、クランク部811の面830,831と可動部材40の左端部の傾斜面872との間に作用する時計回り方向の吸引力により、回転軸41を支点として時計回りに回転し、可動部材40の突起部46の先端面が第1の極10の先端面17に接触し、且つ、揺動部45の左端部の傾斜面871がクランク部811の面820の下面に対向する状態になる。
このように可動部材40が回転した後、永久磁石30、連結部14、第2の極11、クランク部811の面820およびクランク部811の面821、可動部材40の揺動部45の左端部の傾斜面871、突起部46、第1の極10の先端面17を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。
なお、図17(a)に示すように、可動部材40の右端部の傾斜面872がクランク部812の面830に接触した状態において、可動部材40の左端部の傾斜面871がクランク部811の面821の先端に距離Lだけ離れた状態、すなわち空隙部分の磁気抵抗を小さくするようにクランク部811が設けられる。一方、可動部材40の左端部の傾斜面871がクランク部811の面820に接触した状態において、可動部材40の右端部の傾斜面872がクランク部812の面831の先端に距離Lだけ離れた状態、すなわちすなわち空隙部分の磁気抵抗を小さくするようにクランク部812が設けられる。
したがって、コイル50に流れる電流の向きを逆にした場合における磁界を可動部材40に容易に与えられるので、可動部材40の右端部の傾斜面872がクランク部812の面830に接触した状態から可動部材40の左端部の傾斜面871がクランク部811の面820に接触した状態への移行、すなわち、コイル50への電流の方向切り換え時のトルクが増大し、アクチュエータ801の応答性を向上させることができる。
以上説明したように、本実施の形態のアクチュエータ801では、第1の実施の形態のアクチュエータ1と同様に、アクチュエータ801により駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性を向上させることができる。また、本実施の形態のアクチュエータ801においては、第1の実施の形態のアクチュエータ1と比較して、回転軸41を軸として時計回りおよび反時計回りに回転する際のトルクを均一化することができる。すなわち、第1の実施の形態のアクチュエータ1の場合、時計回りから反時計回りへ移行する場合に所定のトルクが必要となるが、第8の実施の形態のアクチュエータ801においては、可動部材40の左右端部の傾斜面871,872のいずれか一方が、クランク部811,812の面821,831のいずれか一方に近接した状態となるので、時計回りから反時計回りへ移行する場合、または回転開始時においてトルクを増大させ、応答性を向上させることができる。
具体的には、コイル50に対して電流の流れる方向を切り替え開始時において、トルクが実施例1に比較して40%向上し、回転の立ち上がりが速くなり、応答性が向上する。また、コイル50に対して電流の流れる方向を切り替え終了時(図18(c)の状態)においては、トルクが14%低減するが、回転動作として支障がない範囲にとどめることができる。
また、上述の第8の実施の形態では、クランク部811,812の面821,831が直線となっているが、タブテール状、または空隙部分の磁気抵抗を小さくすることができる他の任意の形状で形成されていてもよい。また、第8の実施の形態では、可動部材40の回転角度から面820、830および傾斜面871、872がそれぞれ傾斜した状態で形成されているが、これに限定されず、水平面または他の任意の形状であってもよい。また、第8の実施の形態においては、クランク部811,812が磁気飽和を発生させないように、所定の幅を持たせた状態にすることが好ましく、さらに面820,821,830,831が漏れ磁束径路を形成しないように所定の幅を持たせることが好ましい。また、面820および面821、または面830および面831との間隔が短い場合には、磁束の漏れが発生するため、磁束の漏れが発生しない程度で設計することが望ましい。
また、第8の実施の形態におけるクランク部811,812の面821,831を設けて空隙部分の磁気抵抗を小さくする方法については、第1の実施の形態乃至第7の実施の形態におけるアクチュエータに対しても適用することができる。
上記第1の実施の形態から第8の実施の形態において、第1の極10が第1の電磁石の極に相当し、第2の極11が第2の電磁石の極に相当し、第3の極12が第3の電磁石の極に相当し、突起部46が突起部に相当し、可動部材40が可動部材に相当し、永久磁石30が永久磁石に相当し、コイル50がコイルに相当し、第2の電磁石の極12がコイルを有しており磁束を生成する第2の電磁石の極に相当し、第3の電磁石の極11がコイルを有しており磁束を生成する第3の電磁石の極に相当し、コイル152が第2の電磁石の極のコイルに相当し、コイル151が第3の電磁石の極のコイルに相当し、永久磁石231が第2の永久磁石に相当し、永久磁石232が第3の永久磁石に相当し、突出部311,312が略ダブテール形状の凹部に相当し、永久磁石431,432がN極とS極とに配置された永久磁石に相当し、クランク部811が第2の電磁石の極の先端部に相当し、クランク部812が第3の電磁石の極の先端部に相当し、面810が第1の面に相当し、面811が第2の面に相当し、面820が第3の面に相当し、面821が第4の面に相当し、傾斜面871,872が可動部材の上端面に相当する。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、上述の第1の実施の形態において、第1の極10の先端面がN極の極性を有する磁極面とS極の極性を有する磁極面とに分かれるように永久磁石が配置されていればよく、永久磁石の形状、大きさ及び配置は変更可能である。また、上述の第7の実施の形態では、永久磁石631及び永久磁石632は、第1の極610及び第2の極611の軸と平行な磁極面を有しているが、第1の極610及び第2の極611の軸と傾斜した磁極面を有していてもよい。