本発明のアクチュエータは、コイルを有しており磁束を生成する第1の電磁石の極と、第2の電磁石の極と、前記第1の電磁石の極に対して前記第2の電磁石の極と反対側に配置された第3の電磁石の極と、前記第1の電磁石の極と前記第2の電磁石の極との間に配置される一端部と、前記第1の電磁石の極と前記第3の電磁石の極との間に配置される他端部とを有しており、回転可能に支持された可動部材と、前記第1の電磁石の極及び前記第2の電磁石の極のそれぞれに組み込まれており、前記可動部材の回転可動時に前記可動部材の一端部が接触する第1の磁極面をそれぞれ有し且つ対向する前記第1の磁極面が同じ極性を有する第1の一対の永久磁石と、前記第1の電磁石の極及び前記第3の電磁石の極のそれぞれに組み込まれており、前記可動部材の回転可動時に前記可動部材の他端部が接触する第2の磁極面を有し且つ対向する前記第2の磁極面が同じ極性であり且つ前記第1の磁極面と異なる極性を有する第2の一対の永久磁石とを備えており、前記第1の電磁石の極に巻回されたコイルに流れる電流の向きが変わるように通電制御することにより、前記第2の電磁石の極と前記第3の電磁石の極とに交互に異なる向きの磁束を発生し、前記第2の電磁石の極の通電による磁束と、前記第3の電磁石の極の通電による磁束と、前記永久磁石の磁束とによる吸引力によって、前記可動部材を回転駆動し、前記第1乃至第3の電磁石の極を、その先端に向かって前記可動部材の一端部または他端部と対向する側面が外向きに傾斜し、それぞれの幅が先端に向かって広くなるように形成して、前記可動部材の一端部および他端部を、それぞれ前記第1乃至第3の電磁石の極の前記対向する外向きに傾斜する側面と隙間なく接触可能としたことを特徴とするものである。
この構成によると、コイルに流れる電流の向きが変わるように通電制御すると、第1の電磁石の極と第2の電磁石の極とに交互に異なる向きの磁束が発生し、可動部材が吸引力によって回転する。ここで、可動部材に作用する吸引力は、電磁石による吸引力と永久磁石による吸引力とが足し合わされたものになる。そのため、可動部材を電磁石による吸引力だけで回転させる場合と比較して、可動部材の回転方向を速やかに変更することができ、アクチュエータにより駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性を向上させることができる。また、コイルに電流が流れなくなった場合でも、永久磁石の磁力により、可動部材の状態を保持することができる。
本発明のアクチュエータは、コイルを有しており磁束を生成する第1の電磁石の極と、第2の電磁石の極と、前記第1の電磁石の極に対して前記第2の電磁石の極と反対側に配置された第3の電磁石の極と、前記第1の電磁石の極と前記第2の電磁石の極との間に配置される一端部と、前記第1の電磁石の極と前記第3の電磁石の極との間に配置される他端部とを有しており、回転可能に支持された可動部材と、前記第1の電磁石の極に組み込まれており、前記第1の電磁石の極を前記第2の電磁石の極側の部分と前記第3の電磁石の極側の部分とに分割するように配置された永久磁石とを備えており、前記第1の電磁石の極に巻回されたコイルに流れる電流の向きが変わるように通電制御することにより、前記第2の電磁石の極と前記第3の電磁石の極とに交互に異なる向きの磁束を発生し、前記第2の電磁石の極の通電による磁束と、前記第3の電磁石の極の通電による磁束と、前記永久磁石の磁束とによる吸引力によって、前記可動部材を回転駆動し、前記第1乃至第3の電磁石の極を、その先端に向かって前記可動部材の一端部または他端部と対向する側面が外向きに傾斜し、それぞれの幅が先端に向かって広くなるように形成して、前記可動部材の一端部および他端部を、それぞれ前記第1乃至第3の電磁石の極の前記対向する外向きに傾斜する側面と隙間なく接触可能としたことを特徴とするものである。
この構成によると、コイルに流れる電流の向きが変わるように通電制御すると、第1の電磁石の極と第2の電磁石の極とに交互に異なる向きの磁束が発生し、可動部材が吸引力によって回転する。ここで、可動部材に作用する吸引力は、電磁石による吸引力と永久磁石による吸引力とが足し合わされたものになる。そのため、可動部材を電磁石による吸引力だけで回転させる場合と比較して、可動部材の回転方向を速やかに変更することができ、アクチュエータにより駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性を向上させることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、第1の参考例のアクチュエータの概略構成を示す図である。
図1のアクチュエータ1は、第1の電磁石の極10(以下、第1の極10と称する)と、第2の電磁石の磁極20(以下、第2の極20と称する)と、これらを連結する連結部3とから構成される鉄心2を有している。第1の極10及び第2の極20は、一方向(図1では上下方向)に延在する棒状の部材であり、所定間隔を隔てて対向している。第1の極10と第2の極20とは、それらの上端部同士が連結部3を介して連結されており、鉄心2は略逆U型の断面を有している。また、第1の極10及び第2の極20の上下方向中間位置には、内側下方に向かって突出する段部11、21がそれぞれ形成されている。そのため、第1の極10及び第2の極20は、各段部11、21の上側部分の厚さが下側部分の厚さより厚くなっている。また、第1の極10及び第2の極20の内周面の段部11、21より下方の部分は円弧状になっている。
第1の極10と第2の極20の段部11、21の内側に対応した部分には、永久磁石12、22がそれぞれ配置されている。永久磁石12、22は、板状の部材であり、一端面がN極となり且つ他端面がS極となるものである。ここで、永久磁石12、22は、第1の極10及び第2の極20の軸と平行な磁極面を有している。本実施の形態では、永久磁石12のN極となる面及び永久磁石22のN極となる面が内側になると共に、永久磁石12のS極となる面及び永久磁石22のS極となる面が外側になるように配置されている。また、永久磁石12、22の下端部は、段部11、21の下面と一致している。
ここで、第1の極10では、段部11の下面15及び円弧状部分16が磁極面となり、第2の極20では、段部21の下面25及び円弧状部分26が磁極面となる。そして、永久磁石12、22は上述した向きに配置されているので、下面15、25がN極の極性を有し、円弧状部分16、26がS極の極性を有している。つまり、第1の極10及び第2の極20は、N極の磁極面及びS極の磁極面をそれぞれ有していることになる。
このように、第1の極10及び第2の極20の磁極面の付近に永久磁石12、22を配置することにより、永久磁石12、22の磁束を有効に利用できる(漏れ磁束を低減できる)。そのため、永久磁石の使用量を減らすことができるので、製造コストの削減が可能である。
また、第1の極10と第2の極20との間の段部11、21より下方の領域には、回転軸31を支点として回転可能な可動部材30が配置されている。ここで、図1では、可動部材30が水平になっている状態が図示されている。回転軸31は、第1の極10と第2の極20との中間位置において、水平方向(図では紙面奥方向)に延在している。そのため、可動部材30は、回転軸31を支点として上下に揺動可能である。可動部材30にはアクチュエータ1により駆動されるバルブ等(図示しない)が連結されているので、可動部材30が揺動することによりバルブ等を往復動させることが可能である。また、可動部材30の両端部は第1の極10及び第2の極20の円弧状部分16、26とほぼ同じ曲率になっている。従って、可動部材30が揺動した場合には、可動部材30の左端部の先端面と第1の極10の円弧状部分16は常に対向すると共に、可動部材30の右端部の先端面と第2の極20の円弧状部分26は常に対向する。また、可動部材30は、時計回りに回転することにより、その左端部が段部11の下面15に接触可能であり、反時計回りに回転することにより、その右端部が段部21の下面25に接触可能である。
また、第1の極10及び第2の極20の段部11、21より上方の部分の周囲には、コイル17、27がそれぞれ巻回されている。ここで、コイル17、27は、第1の極10及び第2の極20の周囲に複数の巻き数だけ巻回されているが、図1では模式的に図示されている。そして、コイル17、27の両端部は、電流制御装置(図示しない)に接続されており、コイルに流れる電流値及びその方向が制御される。
なお、第1の参考例のアクチュエータ1は、往復移動を必要とする装置、つまり、機械式カムで実施されているエンジンのバルブ、ソレノイドやリニアモータが用いられる油圧・空圧用バルブ、ポンプやコンプレッサーの機構の簡素化及び高性能化を図るために用いられる。
次に、アクチュエータ1の動作について、図2を参照して説明する。図2は、アクチュエータの可動部材の回転動作を示している。
まず、コイル17、27に対して、図2(a)に図示される方向に電流が流されると、第1の極10では下向きの磁束が発生し、内側の磁極であるN極が強められ、第2の極20では上向きの磁束が発生し、外側の磁極であるS極が強められる。そのため、第1の極10のN極から可動部材30を通り第2の極20のS極に流れる磁束が発生する。つまり、このとき、第1の極10の段部11の下面15、可動部材30、第2の極20の円弧状部分26、連結部3を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、第1の極10の段部11の下面15と可動部材30の左端部との間には、互いに同じ方向のコイル17の磁束と永久磁石12の磁束とが発生し、コイル17の電磁石による吸引力と永久磁石12による吸引力とを足し合わした吸引力が可動部材30に作用する。一方、第2の極20の段部21の下面25と可動部材30の右端部との間には、互いに反対の方向のコイル27の磁束と永久磁石22の磁束とが発生し、コイル27の電磁石による吸引力と永久磁石22による吸引力とが打ち消し合う。その結果、第1の極10の段部11の下面15と可動部材30の左端部との間に作用する吸引力が増加し、且つ、第2の極20の段部21の下面25と可動部材30の右端部との間に作用する吸引力が減少する。そのため、可動部材30は、回転軸31を支点として時計回りに回転し、その左端部が第1の極10の段部11の下面15に接触し、且つ、その右端部が第2の極20の段部21の下面25に接触しない状態になる。
一方、コイル17、27に対して、図2(b)に図示される方向に電流が流されると、第1の極10では上向きの磁束が発生し、外側の磁極であるS極が強められ、第2の極20では下向きの磁束が発生し、内側の磁極であるN極が強められる。そのため、第2の極20のN極から可動部材30を通り第1の極10のS極に流れる磁束が発生する。つまり、このとき、第2の極20の段部21の下面25、可動部材30、第1の極10の円弧状部分16、連結部3を順に通過する時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、第2の極20の段部21の下面25と可動部材30の右端部との間には、互いに同じ方向のコイル27の磁束と永久磁石22の磁束とが発生し、コイル27の電磁石による吸引力と永久磁石22による吸引力とを足し合わした吸引力が可動部材30に作用する。一方、第1の極10の段部11の下面15と可動部材30の左端部との間には、互いに反対の方向のコイル17の磁束と永久磁石12の磁束とが発生し、コイル17の電磁石による吸引力と永久磁石12による吸引力とが打ち消し合う。その結果、第1の極10の段部11の下面15と可動部材30の左端部との間に作用する吸引力が減少し、且つ、第2の極20の段部21の下面25と可動部材30の右端部との間に作用する吸引力が増加する。そのため、可動部材30は、回転軸31を支点として反時計回りに回転し、その右端部が第2の極20の段部21の下面25に接触し、且つ、その左端部が第1の極10の段部11の下面15に接触しない状態になる。
以上説明したように、第1の参考例のアクチュエータ1では、コイル17、27に所定方向の電流を流すことにより、第1の極10の段部11の下面15と可動部材30の左端部との間では、コイル17の磁束と永久磁石12の磁束とが強め合い、第2の極20の段部21の下面25と可動部材30の右端部との間では、コイル27の磁束と永久磁石22の磁束とが弱め合う。そのため、段部11の下面15から可動部材30へ磁束が通り、段部11の下面15と可動部材30の左端部との間に吸引力が発生する。一方、コイル17、27に上述と反対方向の電流を流すことにより、第2の極20の段部21の下面25と可動部材30の右端部との間では、コイル27の磁束と永久磁石22の磁束とが強め合い、第1の極10の段部11の下面15と可動部材30の左端部との間では、コイル17の磁束と永久磁石12の磁束とが弱め合う。そのため、段部21の下面25から可動部材30へ磁束が通り、段部21の下面25と可動部材30の右端部との間に吸引力が発生する。ここで、第1の極10及び第2の極20の磁極面近傍には永久磁石12、22が配置されているので、コイルの磁束と永久磁石の磁束とが強め合う側の磁極面と可動部材との間に作用する吸引力は、電磁石による吸引力と永久磁石による吸引力とが足し合わされたものになる。そのため、電磁石による吸引力だけで可動部材を回転させる場合と比較して、可動部材の回転方向を速やかに変更することができ、アクチュエータ1により駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性を向上させることができる。
次に、第1の参考例の変形例について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、第1の参考例の変形例に係るアクチュエータの概略構成を示す図である。
本変形例のアクチュエータ1aが第1の参考例のアクチュエータ1と大きく異なる点は、アクチュエータ1では、コイル17、27が第1の極10及び第2の極20にそれぞれ巻回されているのに対し、アクチュエータ1aでは、コイル17aが連結部3の周囲に巻回されている点である。なお、アクチュエータ1aとアクチュエータ1との構成において同様の部分には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図3のアクチュエータ1aにおいて、第1の極10と第2の極20とを連結する連結部3の周囲には、コイル17aが巻回されている。ここで、コイル17aは、連結部3aの周囲に複数の巻き数だけ巻回されているが、図3では一例が図示されている。そして、コイル17aの両端部は、電流制御装置(図示しない)に接続されており、コイルに流れる電流値及びその方向が制御される。
次に、アクチュエータ1aの動作について、図4を参照して説明する。図4は、アクチュエータの可動部材の回転動作を示している。
まず、コイル17aに対して、図4(a)に図示される方向に電流が流されると、第1の極10の段部11の下面15と可動部材30の左端部との間には、互いに同じ方向のコイル17aの磁束と永久磁石12の磁束とが発生し、第2の極20の段部21の下面25と可動部材30の右端部との間には、互いに反対の方向のコイル17aの磁束と永久磁石22の磁束とが発生する。一方、コイル17aに対して、図4(b)に図示される方向に電流が流されると、第1の極10の段部11の下面15と可動部材30の左端部との間には、互いに反対の方向のコイル17aの磁束と永久磁石12の磁束とが発生し、第2の極20の段部21の下面25と可動部材30の右端部との間には、互いに同じ方向のコイル17aの磁束と永久磁石22の磁束とが発生する。そのため、可動部材30の動作は、第1の実施の形態と同様になる。
次に、第2の参考例について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、第2の参考例のアクチュエータの概略構成を示す図である。
第2の参考例のアクチュエータ101が第1の参考例のアクチュエータ1と大きく異なる点は、アクチュエータ1では、永久磁石12、22が第1の極10及び第2の極20内に埋め込まれているのに対し、アクチュエータ101では、永久磁石112、122が第1の極10及び第2の極20の表面に配置されている点である。なお、アクチュエータ101とアクチュエータ1との構成において同様の部分には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図5のアクチュエータ101は、第1の極10と、第2の極20と、これらを連結する連結部3とから構成される鉄心2を有している。第1の極10と第2の極20の段部11、21の下面15、16には、永久磁石112、122がそれぞれ配置されている。永久磁石112、122は、板状の部材であり、一端面がN極となり且つ他端面がS極となるものである。本実施の形態では、永久磁石112のS極となる面及び永久磁石122のS極となる面が段部11、21の下面15、16に接着されており、永久磁石112のN極となる面及び永久磁石122のN極となる面が第1の極10または第2の極20の表面に配置されている。
ここで、第1の極10では、永久磁石112の下面及び円弧状部分16が磁極面となり、第2の極20では、永久磁石112の下面及び円弧状部分26が磁極面となる。そして、永久磁石112、122は上述した向きに配置されているので、円弧状部分16、26はS極の極性を有している。つまり、第1の極10及び第2の極20は、N極の磁極面及びS極の磁極面をそれぞれ有していることになる。
また、第1の極10と第2の極20との間の段部11、21より下方の領域には、回転軸31を支点として回転可能な可動部材30が配置されている。可動部材30が回転軸31を支点として揺動した場合には、可動部材30の左端部の先端面と第1の極10の円弧状部分16は常に対向すると共に、可動部材30の右端部の先端面と第2の極20の円弧状部分26は常に対向する。また、可動部材30は、時計回りに回転することにより、その左端部が永久磁石112の下面に接触可能であり、反時計回りに回転することにより、その右端部が永久磁石122の下面に接触可能である。
次に、アクチュエータ101の動作について、図6を参照して説明する。図6は、アクチュエータの可動部材の回転動作を示している。
まず、コイル17、27に対して、図6(a)に図示される方向に電流が流されると、第1の極10では下向きの磁束が発生し、内側の磁極であるN極が強められ、第2の極20では上向きの磁束が発生し、外側の磁極であるS極が強められる。そのため、第1の極10のN極から可動部材30を通り第2の極20のS極に流れる磁束が発生する。つまり、このとき、第1の極10の段部11の下面15、可動部材30、第2の極20の円弧状部分26、連結部3を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、永久磁石112の下面と可動部材30の左端部との間には、互いに同じ方向のコイル17の磁束と永久磁石112の磁束とが発生し、コイル17の電磁石による吸引力と永久磁石112による吸引力とを足し合わした吸引力が可動部材30に作用する。一方、永久磁石122の下面と可動部材30の右端部との間には、互いに反対の方向のコイル27の磁束と永久磁石122の磁束とが発生し、コイル27の電磁石による吸引力と永久磁石122による吸引力とが打ち消し合う。その結果、永久磁石112の下面と可動部材30の左端部との間に作用する吸引力が増加し、且つ、永久磁石122の下面と可動部材30の右端部との間に作用する吸引力が減少する。そのため、可動部材30は、回転軸31を支点として時計回りに回転し、その左端部が永久磁石112の下面に接触し、且つ、その右端部が永久磁石122の下面に接触しない状態になる。
一方、コイル17、27に対して、図6(b)に図示される方向に電流が流されると、第1の極10では上向きの磁束が発生し、外側の磁極であるS極が強められ、第2の極20では下向きの磁束が発生し、内側の磁極であるN極が強められる。そのため、第2の極20のN極から可動部材30を通り第1の極10のS極に流れる磁束が発生する。つまり、このとき、第2の極20の段部21の下面25、可動部材30、第1の極10の円弧状部分16、連結部3を順に通過する時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、永久磁石122の下面と可動部材30の右端部との間には、互いに同じ方向のコイル27の磁束と永久磁石122の磁束とが発生し、コイル27の電磁石による吸引力と永久磁石122による吸引力とを足し合わした吸引力が可動部材30に作用する。一方、永久磁石112の下面と可動部材30の左端部との間には、互いに反対の方向のコイル17の磁束と永久磁石112の磁束とが発生し、コイル17の電磁石による吸引力と永久磁石112による吸引力とが打ち消し合う。その結果、永久磁石112の下面と可動部材30の左端部との間に作用する吸引力が減少し、且つ、永久磁石122の下面と可動部材30の右端部との間に作用する吸引力が増加する。そのため、可動部材30は、回転軸31を支点として反時計回りに回転し、その右端部が永久磁石122の下面に接触し、且つ、その左端部が永久磁石112の下面に接触しない状態になる。
なお、図6(a)に示すように、可動部材30の左端部が永久磁石112の下面に接触した状態で、コイル17に電流が流れなくなった場合でも、永久磁石112の磁力により、可動部材30はその状態で保持される。また、図6(b)に示すように、可動部材30の右端部が永久磁石122の下面に接触した状態で、コイル27に電流が流れなくなった場合でも、永久磁石122の磁力により、可動部材30はその状態で保持される。
以上説明したように、第2の参考例のアクチュエータ101では、第1の参考例のアクチュエータ1と同様に、アクチュエータ101により駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性を向上させることができる。
次に、本発明の実施の形態について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、本実施の形態に係るアクチュエータの概略構成を示す図である。
本実施の形態のアクチュエータ201が、第1の参考例のアクチュエータ1と大きく異なる点は、アクチュエータ1は、第1の極10及び第2の極20を有しているのに対し、アクチュエータ201では、第1〜第3の極210〜212を有している点である。
図7のアクチュエータ201は、第1の極210と、第2の極211と、第3の極212と、これらを連結する連結部214、215とから構成される鉄心202を有している。第1〜第3の極210〜212は、一方向(図7では上下方向)に延在する棒状の部材であり、所定間隔を隔てて対向している。第3の極212は、第1の極210に対して第2の極211と反対側に配置されている。第1の極210と第2の極211とは、それらの上端部同士が連結部214を介して連結されており、第1の極210と第3の極212とは、それらの上端部同士が連結部215を介して連結されており、鉄心202は略逆W型の断面を有している。また、第1〜第3の極210〜212は、その先端に向かって幅が広くなるようにそれぞれ傾斜している。そのため、後述する可動部材240が回転した場合に、可動部材240と第1〜第3の極210〜212とが隙間なく接触可能になる。
第1の極210の左端面(第2の極211と対向する面)には永久磁石231が配置されており、第1の極210の右端面(第3の極212と対向する面)には永久磁石232がそれぞれ配置されている。また、第2の極211の右端面(第1の極210と対向する面)には永久磁石233が配置されており、第3の極212の左端面(第1の極210と対向する面)には永久磁石234がそれぞれ配置されている。永久磁石231〜234は、板状の部材であり、一端面がN極となり且つ他端面がS極となるものである。本実施の形態では、永久磁石231のN極となる面及び永久磁石232のS極となる面が第1の極210の表面と一致し、永久磁石のN極となる面が第2の極211の表面と一致し、永久磁石234のS極となる面が第3の極212の表面と一致するように配置されている。
ここで、第1の極210では、その左端面及び右端面が磁極面となり、第2の極211では、その右端面が磁極面となり、第3の極212では、その左端面が磁極面となる。そして、第1の極210では、永久磁石231、232は上述した向きに配置されているので、その左端面がN極の極性を有し、その右端面がS極の極性を有している。つまり、第1の極210は、N極の磁極面及びS極の磁極面を有していることになる。
また、第1の極210の下方には、回転軸241を支点として回転可能な可動部材240が配置されている。可動部材240は、略U型形状の部材であり、第1接触部245及び第2接触部246を有している。第1接触部245は、第1の極210と第2の極211との間に配置されており、第2接触部246は、第1の極210と第3の極212との間に配置されている。回転軸241は、第1の極210の下方において、水平方向(図では紙面奥方向)に延在している。そのため、可動部材240は、回転軸241を支点として左右に揺動可能である。可動部材240は、時計回りに回転することにより、第1接触部245の内側面が第1の極210の左端面に接触し且つ第2接触部246の外側面が第3の極212の左端面に接触可能であり、反時計回りに回転することにより、第1接触部245の外側面が第2の極211の右端面に接触し且つ第2接触部246の内側面が第1の極210の右端面に接触可能である。
また、第1の極210の周囲には、コイル250が巻回されている。ここで、コイル250は、第1の極210の周囲に複数の巻き数だけ巻回されているが、図7では模式的に図示されている。そして、コイル250の両端部は、電流制御装置(図示しない)に接続されており、コイルに流れる電流値及びその方向が制御される。
次に、アクチュエータ201の動作について、図8を参照して説明する。図8は、アクチュエータの可動部材の回転動作を示している。
まず、コイル250に対して、図8(a)に図示される方向に電流が流されると、第1の極210では下向きの磁束が発生し、左側の磁極であるN極が強められる。そのため、第1の極210のN極から可動部材240を通り第3の極212のS極に流れる磁束が発生する。つまり、このとき、第1の極210、可動部材240、第3の極212、連結部215を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、第1の極210の左端面と可動部材240の第1接触部245との間には、互いに同じ方向のコイル250の磁束と永久磁石231の磁束とが発生し、コイル250の電磁石による吸引力と永久磁石231による吸引力とを足し合わした吸引力が可動部材240の第1接触部245に作用する。一方、第1の極210の右端面と可動部材240の第2接触部246との間には、互いに反対の方向のコイル250の磁束と永久磁石232の磁束とが発生し、コイル250の電磁石による吸引力と永久磁石232による吸引力とが打ち消し合う。その結果、第1の極210の左端面と可動部材240の第1接触部245との間に作用する吸引力が増加し且つ第1の極210の右端面と可動部材240の第2接触部246との間に作用する吸引力が減少する。そのため、可動部材240は、回転軸241を支点として時計回りに回転し、第1接触部245の内側面が第1の極210の左端面に接触し、且つ、第2接触部246の内側面が第1の極210の右端面に接触しないで、その外側面が第3の極212の左端面に接触する状態になる。
一方、コイル250に対して、図8(b)に図示される方向に電流が流されると、第1の極210では上向きの磁束が発生し、右側の磁極であるS極が強められる。そのため、第2の極211のN極から可動部材240を通り第1の極210のS極に流れる磁束が発生する。つまり、このとき、第1の極210、連結部214、第2の極211、可動部材240を順に通過する反時計回り(矢印の方向)の磁束が発生する。すると、第1の極210の右端面と可動部材240の第2接触部246との間には、互いに同じ方向のコイル250の磁束と永久磁石232の磁束とが発生し、コイル250の電磁石による吸引力と永久磁石232による吸引力とを足し合わした吸引力が可動部材240の第2接触部246に作用する。一方、第1の極210の左端面と可動部材240の第1接触部245との間には、互いに反対の方向のコイル250の磁束と永久磁石231の磁束とが発生し、コイル250の電磁石による吸引力と永久磁石231による吸引力とが打ち消し合う。その結果、第1の極210の右端面と可動部材240の第2接触部246との間に作用する吸引力が増加し且つ第1の極210の左端面と可動部材240の第1接触部245との間に作用する吸引力が減少する。そのため、可動部材240は、回転軸241を支点として反時計回りに回転し、第2接触部246の内側面が第1の極210の右端面に接触し、且つ、第1接触部245の内側面が第1の極210の左端面に接触しないで、その外側面が第2の極211の右端面に接触する状態になる。
なお、図8(a)に示すように、可動部材240の第1接触部245の内側面が第1の極210の左端面に接触し、且つ、第2接触部246の外側面が第3の極212の左端面に接触した状態で、コイル250に電流が流れなくなった場合でも、永久磁石231、234の磁力により、可動部材240はその状態で保持される。また、図8(b)に示すように、第2接触部246の内側面が第1の極210の右端面に接触し、且つ、第1接触部245の外側面が第2の極211の右端面に接触した状態で、コイル250に電流が流れなくなった場合でも、永久磁石232、233の磁力により、可動部材240はその状態で保持される。
以上説明したように、本実施の形態のアクチュエータ201では、第1の参考例のアクチュエータ1と同様に、アクチュエータ201により駆動されるバルブ等の開閉動作の応答性を向上させることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
上述の実施の形態では、永久磁石231のN極となる面及び永久磁石232のS極となる面が第1の極210の表面と一致するように配置されていなくてもよく、図9に示すように、第1の極210の中央位置に上下方向に延在する永久磁石235が埋め込まれたアクチュエータ201aであってもよい。