以下この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は第1実施例の薬剤包装装置の外観斜視図である。この実施形態の薬剤包装装置は、V形状枡方式の散薬分割ユニット2と複数組の小枡に錠剤を入れて供給する錠剤払出ユニット3とを一体に組合せた形式のものである。なお、図示省略しているが、この薬剤包装装置には散薬調剤台と錠剤保管棚とが隣接して設置されている。散薬調剤台は、複数種類の散薬を入れる散薬保管瓶を多数収納した散薬棚と、取り出した散薬の調合するための調剤台とを備えている。
調剤台上には散薬の調合スペースの脇に計量器、乳鉢、処方箋情報を表示する表示装置などが備えられている。散薬棚の散薬保管瓶にはその瓶の薬剤を示すラベル、バーコード等の識別表示が付与されている。散薬調剤台の散薬は、表示装置に表示されている処方箋に基づく表示に従って散薬棚内の必要な散薬保管瓶を複数種類取り出し、処方された量の散薬をそれぞれの瓶から取り出し、計量器で順次計量し、必要量を取り出す。これら複数種類の散薬が全て揃うと乳鉢内で混合して調合し、これを図示の薬剤包装装置へ供給する。
一方、錠剤保管棚も複数種類の錠剤を収納する棚と、取り出した錠剤の量、種類を確認するための作業をする台とが備えられており、その台の上に取り出した錠剤を一時的に揃える。そして、上記散薬調剤台と錠剤保管棚から取り出して揃えられた薬剤はそれぞれその必要量分が図示の薬剤包装装置に供給される。その際散薬は下記の散薬分割ユニットのV枡内に、又錠剤は錠剤払出ユニットの手撒き手段に供給される。
上記薬剤包装装置は、図1に示すように、本体ケース1の上部に散薬分割ユニット2と錠剤払出ユニット3を、その下部に包装ユニット4を一体に設けたものから成り、操作パネル5からの操作指示によって作動する。図1の矢視II−IIから見た断面図を図2に示す。図1、図2から分るように、散薬分割ユニット2は断面がV字状のV枡6と、その内側にスライド自在に設けた仕切板7を、又このV枡6の下方に分割器8を備えている。
V枡6は、その直下に長手方向に沿って設けた複数の分割容器8aを有する分割器8に対し、スライド自在な仕切板7を、散薬総量を分割しようとする分包数に対応する位置に目盛板9の目盛に合せて移動させ、仕切板7が設定されたV枡6の範囲に対応した分割数で散薬が分割されるようになっている。V枡6は、図2に示すように、その傾斜した枡板10に長手方向の端壁の外側に設けた操作板11が連結されており、この操作板11を軸12を中心に図示しない駆動部で回転させることにより枡板10を図示の一点鎖線で示すように開放し散薬が分割器8に投下される。
仕切板7はその背部をV枡6の垂直板13に沿ってスライド自在とするためこの垂直板13を挟むように挟持アーム14を有し、この挟持アーム14に水平軸を中心に回転する2つのローラ15を垂直板13の両端に設けたガイド16に沿って案内移動させることによりスライド自在とされている。図中の17は磁石、18は位置検出センサ(近接スイッチ又はホール素子センサ)である。センサは各分割容器8aに対応して長手方向に複数個設けられており、仕切板7がセットされた位置までのセンサの数によって分割数が判別され、表示されるようになっている。
分割器8は、角筒形状の分割容器8aの複数個が長手方向に沿って設けられており、それぞれの分割容器8aの下底には底板19が軸20を中心に回転自在に設けられ、通常はばね21により閉じられているため、内部に散薬Pが所定量投入されるようになっている。底板19は開閉機構22によって操作される。開閉機構22は、後述する共通ホッパ41に隣接した所定位置に設けられており、この位置に間欠動作で移動して来る各分割容器8aの底板19を角状レバー23で押し開くようになっている。
角状レバー23は三角板24に固定され、三角板24は軸24aを中心として回転するようにL字状のレバー25が連結され、その垂直部25aに設けたカムフォロア26aにカム26を係合させ、このカム26に出力軸を連結したモータ27により駆動される。又、分割器8にはモータ28が設けられ、その出力はピニオン28xにより長手方向に駆動されるラックにアーム29が固定され、このアーム29が適宜位置で分割器8に取り付けられている。アーム29の上端に位置検出センサ18が取り付けられている。
上記開閉機構22に隣接する共通ホッパ41の上方には錠剤払出ユニット3の手撒き手段31の下部に設けられたホッパ33が位置し、分割器8とホッパ33からの薬剤を共通に受け入れるようにしている。共通ホッパ41の下方には包装ユニット4が設けられており、共通ホッパ41の下部の三角板で2つ折りにされた包装シートSに共通ホッパ41から投下された薬剤をヒートシール42で1包ずつに包装するようになっている。包装ユニット4は、図示以外にもシールを供給するリールや、シートに印字するプリンタなどが設けられているが、図示省略している。
錠剤払出ユニット3は、図3〜図5に示すように、手撒き手段31と、その下方に設けた分割器32と、その下方のホッパ33とから成る。手撒き手段31は、枡目状の多数の分割小枡34を有する手撒き板31aが本体ケース1の上面に設けられ、図5から分るように、その直下にシャッタ板35を有する。34aは表示器であり、錠剤が手撒きされるべき位置を表示する。シャッタ板35にも手撒き板31aと同じピッチで多数の開口が設けられており、図5の(a)では分割小枡34の開口を閉じ、図5の(b)では開口を開くように形成されている。
分割器32は、手撒き手段31と同様な多数の分割小枡36を枡目状に形成した分割板32aと、各分割小枡36の下部をそれぞれ個別に閉じる底蓋36aと、分割板32aの直下に設けられる排出板37とから成る。分割小枡36のピッチは手撒き手段31の分割小枡34と一致して設けられており、手撒きされた錠剤を手撒き手段31上で確認して投下されるとそれぞれを対応する分割小枡36に受入れる。
排出板37は、図6に一部実線と点線で示されているように、長手方向の片側端が階段状37aに形成されており、(a)に示す如く、間欠移動する分割器32のNo.1の分割小枡36がわずかに階段状の端37aと干渉する位置にあるときは、底蓋36aは閉じたままであり、(b)に示す如く、階段状の端から分割小枡36が完全に離れた位置に進むと底蓋36aが開放される。これにより、図4の分割器32が進行する矢印方向の先端側の分割小枡36から分割器32の間欠移動に伴って各個別に錠剤が供給される。
上述した第1実施形態の薬剤包装装置を制御する制御回路の概略ブロック図を図7に示す。この実施形態では、処方箋からの薬剤情報や患者名、エントリNo.等の印字情報を入力し、それらのデータを記憶して管理するために図示の例ではノート型パーソナルコンピュータ50(以下NPC50と略記する)が設けられ、又上記包装装置の散薬分割ユニット2、錠剤払出ユニット3、包装ユニット4の各駆動部を制御するためのマイクロコンピュータ52(以下MC52と略記する)、及び上記各ユニットを駆動制御する際に薬剤を服用するタイミングのパターンとして特殊服用パターンを設定するためのパターン設定入力表示手段55を備えている。
上記入力表示手段55の設定パネル5を図8に示す。この設定パネルの詳細については後で説明する。NPC50は、印字情報について薬剤包装装置の機側から入力する場合に用いられるが、印字情報がホストコンピュータ100の処方入力手段100aから入力され通信ライン(点線で示すバスライン)を介して送られて来るシステムでは省略してもよい。NPC50は他の形式のパーソナルコンピュータとしてもよいことは言うまでもない。50aはNPC50の表示器である。
図示のように、NPC50からの印字情報はバスライン51を経由してMC52へ送られ、MC52のCPU53(中央演算処理部)を介して包装ユニット4へ送られる。MC52は上記包装装置の各ユニット2、3、4を駆動制御するための制御プログラムを記憶する記憶部54、又上記入力表示手段55による入力信号のデータを記憶する設定パターン記憶部56を備えている。
MC52には上記各ユニット2、3、4を制御する制御ラインが接続されているが、特に包装ユニット4に対してはその制御ラインと共に印字データを送るラインも併せて設けられている。又、この実施形態の薬剤包装装置では散薬分割ユニット2のV枡6に設けられた仕切板7を目盛板9の目盛に合せて設定される位置についての位置検出センサ18からの位置検出データが入力され、その信号により総包装数又は処方日数が設定されるようになっている。
図8に示すパターン設定入力表示手段55の設定パネル5は、薬剤の服用タイミングについての特殊服用パターンを設定するためのものである。図中のモードキー51 はこれを押すと連続モード52a、特殊モード52b、予約モード52cのいずれかのモードを選択でき、選択したモードの表示がされ、さらにもう1度押せば包装モードの選択が消去され通常モードに戻る。特に特殊モードと通常モードを選択するためのキーである。52dはエラー表示部であり、設定パネルによる制御機能の種々なエラー動作があると表示する。
53a〜53dは包装モード選択キーであり、53aは散薬のみ53bは錠剤のみの単体を選択するキー、53cは散薬と錠剤を包装シートの各1包に同包する同包選択キー、53dは散薬と錠剤を各別に各1包に別包する別包キーである。上記いずれかの包装モード選択キーを押し、かつ次のパターン設定キー54a、54cのいずれかを選択すると特殊服用パターンが設定できる。
又、55a〜55dは錠剤の特殊パターン設定キー、56a〜56dは散薬の特殊パターン設定キーである。この特殊パターン設定キーにより薬剤の服用タイミングについて通常以外の特殊パターンが設定される。ここで通常パターン(適宜に、「通常服用パターン」とも言う。)とは錠剤、散薬のいずれの薬剤であれ朝昼夕の3回に必ず1錠又は1袋の薬剤を服用するパターンであり、特殊パターンとはそれ以外の任意の組合せのパターンをいう。特に、図示の設定キーでは朝昼夕寝の4つの服用タイミングが設定でき、そのいずれかを任意に選択することにより特殊パターンが設定される。なお、朝昼夕寝は寝以外はいずれも食後、寝は寝る前に服用することを意味する。
上記特殊パターン設定キーは、1日の薬剤服用タイミングを朝昼夕寝の最大4回まで設定できるから、それぞれのタイミング数は分包数でもあり、これを分数として1〜4を併記している。58 は総包数表示器、59 は錠剤撒き数表示器、57aは包装開始キー、57bは包装停止キーである。
以上の薬剤包装装置による薬剤包装のために操作パネル5で次のように設定をする。まず、散薬を分割するために、V枡6内の仕切板7をV枡6の目盛板9の所定分割数の目盛位置に設定する。設定した仕切板7のV枡6の目盛板9に表示された0から所定包装数までの間に散薬を撒いてその表面を平らに均し、V枡6の枡板10を開放して分割容器8に散薬を落として分割する。
これに先立ち散薬のパターン設定キー54cを押すと、分数設定スイッチである特殊パターン設定キー56a〜56dが点滅する。散薬が例えば寝の1袋であれば、特殊パターン設定キー56dを1度押すと点滅が点灯に変わる。次に、散薬のパターン設定キー54cをもう1度押すと、特殊パターン設定キー56aから56cの点滅が消え、散薬の特殊パターン設定キーの設定が完了する。
次に、V枡6内の仕切板7をV枡6の縁に貼った印刷表示の所定分割数の目盛位置に設定した状態で、手撒き手段31に錠剤をセットするため、錠剤のパターン設定キー54aを押すと、分数設定スイッチである特殊パターン設定キーの55aから55dが点滅する。錠剤が朝昼夕の処方であれば、分数設定スイッチの特殊パターン設定キー55aから55cを各1度押すと点滅が点灯に変わる。
次に、再度パターン設定キー54aを押すと、特殊パターン設定キーの55dの点滅が消え、同時に図3の分割小枡34に取り付けた個々の表示器34aが特殊パターン設定キーの操作で設定した該当する位置の分割小枡34の表示器34aが例えば7日分の処方数の該当する総分包数位置まで点灯する。
このとき、分割小枡34の分割設定は、分割小枡34の1番目が特殊パターン設定キーの1番目の朝服用と関連させ、分割小枡34の2番目が特殊パターン設定キーの2番目の昼服用、分割小枡34の3番目が特殊パターン設定キーの3番目の夕服用と、分割小枡34の4番目が特殊パターン設定キーの4番目の寝前服用とそれぞれ関連させてあり、分割小枡34の5番目は再び1番目の朝服用と関連させるようになっている。
なお、錠剤、散薬が別包の包装形態である場合、先に散薬の包装パターンを設定する必要があるが、その理由は、仕切板7によって最大包装数を設定しているから、散薬包装パターンが設定されないと、何日分の包装を行うのかわからず、従って錠剤包装パターンの繰り返し回数も求められないので、セット位置に対応した場所まで表示することができないからである。
分割設定が行われると、分割小枡34の表示器34aには、1.2.3.5.6.7.9.10.11・・・の番号の分割小枡34の表示器が点灯し、調剤師は点灯した場所の分割小枡に錠剤を撒く。4.8.12・・・は分数4に該当しているため、表示器34aは表示されない。
処方された錠剤全てが分割小枡に撒き終わると分割小枡34の底板を開放し、図4に示す分割器32の各升目に分割小枡に撒いた錠剤が落下する。この分割器32は左右に移動する図示しない移動装置に接続されており、分割器32には上記分割小枡に対応した小枡が設けられ、小枡個々には底蓋36aが開閉自在に設けられているから、排出板37の縁部から底蓋36aが離れると上記小枡内の錠剤がホッパ33を通じて共通ホッパ41を通り供給ユニットへ供給される。
なお、錠剤の特殊パターン設定キーの設定が全て完了すると前記設定した仕切板7のV枡6の目盛板9に表示した位置に合わせた数値とで総包装数が表示される。又、上記説明では錠剤の手撒き作業を特殊パターンの設定に合せて表示器を点灯しこれに合せて行なう例を示したが、表示器の点灯は特殊パターンのパネル設定通りでなく分割小枡に全て連続状に錠剤を手撒きし、払出しのタイミングを特殊パターンのパネル設定通りに行なうようにしてもよい。但し、以下では前者の場合について説明する。
上記薬剤包装装置による薬剤包装作用についてさらに詳しく説明する。なお、以下で説明する薬剤服用タイミングの特殊パターンの設定と散薬分割ユニット2における散薬分割動作までの準備作業はいずれを先に開始してもよいが、特殊パターンの設定の動作フローの最終段では一担処理フローの流れが停止し、スタートキーを押すことにより包装制御が開始されるようになっているため、それまでに2つの準備作業を終了させる必要がある。
上記2つの準備作業の前に予備作業として、NPC50を用いる場合は、予め患者の処方箋データから印字情報を入力する。以下では説明の都合上散薬分割ユニット2での準備作業から先に説明する。この実施形態の散薬分割ユニット2では、仕切板7の設定目盛位置を基準にして包装数を設定するようになっているため、まず仕切板7を所定の目盛位置にスライドさせて設定する。
この時、散薬と錠剤が同時に処分された場合でも必ず両方の処方日数を同じとする規定があるため、まず散薬についての処方箋データから1日の散薬投与回数と処方日数をかけ算して散薬の最大包装数を求めてその最大包装数の目盛位置に仕切板7を設定する。例えば1日の散薬投与回数3回、処方日数7日であれば3×7=21の包装数の目盛に仕切板7を設定する。設定された目盛位置のデータは位置検出センサ18からの信号により最大包装数データが設定パターン記憶部56のプログラムにより演算記憶される。こうして、仕切板7の位置が設定されたV枡6にNPC50の表示器50aに表示された種類の散薬を投入しその表面部を平らに均す。
次に、パターン設定入力表示手段55の設定パネルで薬剤服用タイミングについての特殊パターンの設定をする。なお、通常パターンの設定は特殊パターンの設定のように特殊パターン設定キー55a〜55d、56a〜56dを用いることなく予め朝昼夕のパターンを設定する信号が設定パターン記憶部56に記憶されているから、特殊パターン設定の選択をしない限り通常パターン設定として処理される。
特殊パターンの設定をする場合、まず特殊モード51 のキーを2回押すと特殊モード表示52bが表示される。次に、包装形態として包装モード選択キー53a〜53dのいずれかを押して例えば同包モードを選択する。この状態で、パターン設定キー54a、54bのいずれかを押すことにより錠剤又は散薬のパターン設定の条件ができる。錠剤と散薬の服用タイミングの設定はどちらから先に設定してもよいが、仮に散薬を先に設定するものとし、図8に示すように、朝昼夕について特殊パターン設定キー56a〜56dを押したとする。
この設定では1日の投与回数3であるから、このデータから設定パターン記憶部のプログラムにより演算して上記最大包装数のデータから処方日数が7日と算出され、記憶される。この処方日数7のデータは後で説明する錠剤払出ユニット3の手撒き手段31における錠剤の手撒きの際に利用される。そして、次に錠剤の特殊パターン設定キー55a〜55dのうち図8に示すように例えば朝夕寝のキーを押すものとする。
以上の設定が終わると包装パターンの設定のための信号や包装の反復形態、あるいは包装形態が同包であるか別包であるかの信号を、包装制御を開始した後に一連の制御信号として送り出すための信号列の設定が設定パターン記憶部56のプログラムを介してCPU53により処理が行なわれる。その処理の流れの概略を図9のフローチャートに示す。
上記特殊パターンの設定が終了すると、図9のフローチャートに従って処理が開始される。ステップS1 ではまずパターン設定の有無を判別する。このパターン設定とは特殊パターンであり、モードキー51 で特殊モード52bを選択するとパターン設定有り(YES)、通常モードに戻れば設定無し(NO)となりステップS1'へ進む。この場合、特殊パターンの設定が行われているから、次のステップS2 へ進むと散薬の特殊パターン設定であるかが判断される。
ステップS2 で散薬の特殊パターン設定でないと判断されるとステップS21へ進み、改めて散薬の特殊パターン設定をし、再びステップS2 へ戻る。散薬の特殊パターンを設定したのに、実際は誤って錠剤の特殊パターンを設定する操作をしていた場合を防ぐためである。ステップS2 へ戻ると、その時は散薬の特殊パターンが設定されているから、次のステップS3 へ進む。このステップS3 で散薬の包装パターンが設定される。
この包装パターンは、散薬に対して特殊パターン設定キー56a〜56dで設定された服用タイミングの特殊パターンに対応して包装するための制御信号を設定する処理である。ステップS4 では反復形態の判断をする。反復形態とは特殊パターン設定キー56a〜56dで設定されるように朝昼夕寝の順序でこれを処方日数分反復処理するパターンを意味する。反復形態でない場合はステップS41へ進み連続形態が設定される。
上記連続形態の設定では、例えば朝朝朝朝、昼昼昼昼、夕夕夕夕、寝寝寝寝のように同じ服用タイミングを繰り返して続けるパターンを設定する。包装パターンの多様化を図るためである。特殊パターンを設定している場合はこの処理は行われずにステップS5 へ進み、ここで朝昼夕の特殊パターンでこれを繰り返すための制御信号を設定する。ステップS6 では複合動作であるかを判別する。これは、包装モード選択キー53a〜53dのいずれかで散薬、錠剤の単体での包装、又は散薬と錠剤の同包又は別包の包装モードを選択できるからである。この判別で単体設定と判断されるとステップS61へ進み、ここで散薬のみ又は錠剤のみの包装形態を指示する制御信号を設定する。
ステップS6 での判断で包装モード選択キー53c又は53dによる複合動作、即ち散薬と錠剤のいずれをも包装しかつ同包又は別包のいずれかの包装形態とする場合は次のステップS7 へ進み、ここで別包又は同包かの判断をする。包装モード選択キー53c又は53dからの選択された信号が53cの同包信号であればステップS71で同包するための制御信号を設定する。又、53dの別包信号であればステップS8 へ進み、ここで別包するための制御信号を設定する。
なお、上記複合動作の信号が設定されている場合は、当然錠剤払出ユニット3による包装制御信号を設定しなければ包装できないから、次のステップS9 で錠剤払出ユニットでの特殊パターン設定が終了しているかを判断する。但し、ステップS9 へ進む前に上記散薬の特殊パターン設定が終了したことを示すフラッグを立てておく。ステップS9 での判断で錠剤払出ユニットでの特殊パターン設定が終了していないときはその設定フローへ進むが、これについては後で説明する。
ステップS9 での判断で錠剤払出ユニットでの特殊パターン設定が終了しているときは、ステップS10へ進み特殊パターン設定による服用パターン内容の印字情報を印字する必要があるかについて判断され、必要であればステップS11で印字設定フローに従って印字のための制御信号の設定が行われる。印字設定フローについては後で説明する。印字設定が終わるとステップS12で包装制御を開始するためにスタート信号の入力を待つ。スタート信号は包装開始キー57aにより入力される。
なお、ステップS10、S12へ進むときは予め錠剤払出ユニットでの特殊パターンの設定が終了しているときであるから、印字情報は散薬と錠剤の全てを含む印字情報が印字される。また、上述した散薬分割ユニットに対する特殊パターンの設定フローは特殊パターンを主として対象としているが、通常パターンもこの設定フローで設定するのに用いられる。通常パターンの設定は前述したようにステップS1'で行われ、その後の判断動作は特殊パターンと同じであるから同じフローを経由して設定が行われる。但し、その場合、包装モード選択キー53a〜53dは通常パターン設定にも併用される。
上記散薬分割ユニット2での特殊パターン設定フローにおいて錠剤払出ユニット3の設定フローへの信号が出されると、図10に示す設定フローが動作開始し制御信号の設定が行われるが、この制御信号の設定と並行して錠剤払出ユニット3における錠剤の手撒き作業が行われるから、その手撒き作業について説明する。
この実施形態の錠剤払出ユニット3は、錠剤を手撒きして払出しできる形式のものであり、主として一般に使用頻度の少ない種類の錠剤を供給するのに用いられる。錠剤は手撒き手段31に薬剤師の手で手撒きされるが、その際図8に示す特殊パターンで服用タイミングが設定される場合には朝昼夕寝の4つのタイミングのうち錠剤が必要な時と不要な時とがあり、これに対応して図3に示す手撒き手段31にも錠剤をセットする必要がある。この場合、錠剤を特殊パターンに合せて置くために表示器34aが利用される。
手撒き作業をする場合、服用タイミングの特殊パターンの設定を利用するため、その設定が終わると直ちに又は錠剤の特殊パターン設定より散薬の特殊パターン設定の方が早く行われた時は前述した散薬分割ユニット2からの移行信号によって手撒き作業をするために必要な処理が図10の設定フローの先頭で行われる。
ステップSS01で散薬分割ユニット2での処理が終わっているかを判断し、終わっていないときはステップSS02で仕切板7を総処方数に合せて設定し、SS03で処方日数の計算をする。これにより処方日数が得られるとSS04で表示器により錠剤の手撒き位置が表示され、SS05でこの表示が終了しているかを判断し、表示されていないときは上記作用を繰り返す。
この場合、先に散薬の特殊パターンが行なわれていればその設定をする際にモード51 や包装モード選択キー53a〜53dなどの設定は既に行われているから、特殊パターン設定キー55a〜55dによる特殊パターンが設定されれば、手撒きする錠剤位置が記憶される。又、前述したように、散薬分割ユニット2のV枡6内で仕切板7を所定位置に合せて散薬を投入する際に仕切板7の位置から位置検出センサ18の信号により処方日数が7日と算出されるから、これらの信号から、特殊パターンに対応する錠剤投入位置と繰返し日数分の表示器を点灯することにより錠剤をどの位置に投入すべきかを個々に判断することなく簡単に正確に錠剤を置くことができる。
以上で手撒き作業が行われ、これと並行してステップSS1 以下のフローで制御信号の設定処理が行われるが、この処理は基本的には散薬の場合と同様であり、散薬を錠剤と読み替えた同様な処理が行われるから、図9の各ステップS1 〜S12に対応するステップSS1 〜SS12を表示して説明は省略する。但し、散薬分割ユニット2での設定フローの終了後に錠剤払出ユニット3の設定フローを処理する場合は、SS9 での判断により散薬分割ユニット2の設定フローへ戻ることはないから、次のステップSS10の印字作業の判断によりS11で印字が行われ、その後SS12へ進み待機状態となる。
そして、散薬分割ユニット2と錠剤払出ユニット3の動作を開始してよいかを再確認した後包装開始キー57aにより包装を開始する。次に、包装を開始する前に包装シートに印字情報を印字するための制御信号を設定する必要があり、その印字情報の印字を設定するためのフローを図11に示す。散薬分割ユニット2又は錠剤払出ユニット3のいずれかの制御信号設定フローにおける印字設定フローへの指示信号があると、図示の設定フローが開始する。ステップSP1 ではまず印字情報が機側のNPC50から得られるのか、ホストコンピュータ100から通信により得られるのかについて判断する。
ホストコンピュータ100へ接続されていない限り次のSP2 へ進み、ここで服用タイミングデータの確認をする。上記各ユニットでの設定フローを経由する場合は服用タイミングデータは揃っているから、SP3 で患者名をそのデータに対して付着させて印字情報が揃うことになる。SP4 で今度は再び散薬・錠剤の各ユニットでの設定フローは終了しているかを確認し、終了していればSP5 で検薬情報の印字の要否を判断し、必要であれば薬剤情報を作成する。
こうして印字のための制御信号の設定が終了すると散薬又は錠剤の各ユニットの設定フローへ戻る。但し、上記SP2 において服用タイミングデータが揃っていないときはSP7 で服用タイミングデータを入力し、SP8 で患者名を設定、SP9 で処方日数の入力をそれぞれNPC50の入力手段から入力して設定する。又、SP1 において通信接続されている場合は、ホストコンピュータで入力された処方データで印字情報は揃っているから、それらから必要な印字情報を印字判断により印字するように作成する。以後の動作は前述の場合と同じである。なお、SP4 の判断で装置設定が行われていないか、又は設定に誤りがあるときはSP11でエラー表示し設定フローをやり直すように各設定フローの先頭に戻る。
次に、以上の各設定フローにより散薬分割ユニット2と錠剤払出ユニット3を作動させて散薬と錠剤をその服用タイミングについての特殊パターンで包装シートに包装する特殊処方例について具体的に説明する。図12に図8の説明パネルによる特殊パターンの設定をした特殊処方例1と2を示す。
特殊処方例1:
錠剤A 朝夕寝 1日3回各1錠 7日分
散薬B 朝昼夕 1日3回各1袋 7日分
特殊処方例2:
錠剤A 朝昼寝 1日3回各1錠 7日分
散薬B 朝夕 1日2回各1袋 7日分
図13に第2実施形態の薬剤包装装置の概略図を示す。図14を参照すれば分るように、この実施形態の散薬分割ユニット2’は散薬供給手段を分配皿と掻出手段を有する形式のものであり、錠剤払出ユニット3’は錠剤カセットを円筒形に多数配置した形式のものである。包装ユニット4は基本的には第1実施形態のものと同じであるから、同一機能部材に同一の符号を付して説明は省略する。
散薬分割ユニット2’はホッパ6’の投入口6a’から投入される散薬を振動フィーダ7’により少量ずつ分配皿8’上に撒く散薬供給手段を備えている。この供給手段から撒かれる散薬を受ける分配皿8’は分配板8a’の外周にR溝8R’を有し、この溝に平均的に均らして散薬を積らせる。掻出手段9’は上記R溝8R’を半径方向に必要分割数に分割し、各分割領域分の散薬を分配皿8’の外へ掻き出す所定厚さの円形ディスク板を備えている。9a’は回転自在なアームである。
上記散薬分割ユニット2’では、処方箋に従って取り出した散薬を供給するためのホッパ6’から投入し、分配、包装条件が設定されると、分配皿8’が回転し、同時に振動フィーダ7’が振動を始め、投入された散薬が分配皿8’のR溝8R’に供給される。掻出手段9’は円形のディスク形状で分配皿8’のR溝8R’の内面と密接するため、散薬が積もった分配皿8’の散薬をホッパ6’に対向する位置で掻出手段9’により掻き出す。
このとき、掻出手段9’のディスクが積った散薬に切込み、分配皿8’を分割に適合する角度まで回転させて停止し、分配皿8’のディスクが積った散薬を掻き寄せる。分配皿8’が一定速度で回転し、ホッパ6’で供給が一定であれば、分配皿のR溝8R’に供給されて積る散薬分配皿8’の回転中心から放射状にケーキを切るように均等に切断線を入れ、切断線と次の切断線の間を掻出手段9’により掻き出すと、散薬は等分されて共通ホッパ41を通して包装される。
錠剤払出ユニット3’は、図15に示す錠剤カセットフィーダ31’の複数組を円筒状のカセット収納庫3a’に設置した棚に並べて着脱自在に設けたものから成る。錠剤カセットフィーダ31’は錠剤を収納する容器32’を有し、この容器32’は蓋で閉じられ、容器底面部は1方向に向かって傾斜した円錐状であり、その最下部にロータ33’が設けられている。このロータ33’は断面図に示すようにそろばん玉の形状をしており、下部円錐面に設けたポケット溝34’に落ちた錠剤Tを払出部35’に移動して取り出す。
この払出部35’には錠剤Tの払い出しを検出する検出センサ36’が設けられ、指定した払出しを検出するとモータ37’を停止し、ロータ33’の溝に落ちた錠剤Tの払い出しを止める。ロータ33’とモータ37’はギアによって駆動伝達される。錠剤カセットフィーダ31’は錠剤払出ユニット3’の装着部に備えられたモータベース38’にスライドさせて装着し、このモータベース番号により後で説明する包装仕様の設定を行う。39’は錠剤ホッパである。
図16にこの実施形態のパターン設定入力表示手段55’の設定パネル5’を示す。この設定パネルの各種設定キーも第1実施形態の場合の表示手段55のものと基本的に共通であるから、共通のキー等については同じ符号が付してある。この設定パネル5’ではパターン設定キー54 が錠剤に対して54a、54bの2段、散薬に対して54cの合計3段設けられており、これに対応して特殊パターン設定キー55 も錠剤に対して、55a〜55d、55e〜55hの2段、散薬に対して56a〜56dの1段の合計3段設けられている点が異なる。
上述したこの実施形態の薬剤包装装置を制御するための制御回路は、第1実施形態の薬剤包装装置の場合と基本的には同様であるから、図7のブロック図をそのまま適用するものとする。但し、散薬分割ユニット2’、錠剤払出ユニット3’は第1実施形態のものとそれぞれ個別には形式、構成が異なるため、位置検出センサ18からの検出信号をMC52へ入力するラインは省略されており、又各ユニット2’、3’の個別の制御信号はそれぞれに適合するものが出力される。
上記構成の薬剤包装装置において、図16の設定パネル5’で散薬分割ユニット2’と錠剤払出ユニット3’を操作して散薬と錠剤を包装する際に薬剤の服用タイミングについて特殊パターンで包装するように散薬と錠剤を供給する基本的な供給動作も第1実施形態の薬剤包装装置と同じであるが、個別には以下の点で異なるため、その異なる点について説明する。まず、上記特殊パターンを設定する前の準備動作については、散薬の場合、R溝を有する分配皿8’に散薬を供給する必要があるが、この分配皿8’では第1実施形態のように総分包数の目盛板9’は設けられていないから、処方日数の設定は機側のNPC50から入力される。
従って、仕切板7を目盛り板の目盛りに合わせる必要もなく、位置検出センサ18で総分包数に対応する位置信号を検出することもない。従って、散薬はホッパ6’へ供給するだけでその後の作用は前述した動作順序で散薬の分割が行われる。そして、この散薬分割ユニット2’による特殊パターンでの散薬供給は、基本的に全く第1実施形態の場合と同じであるから、この実施形態に対しても図9のフローチャートによる処理操作が適用される。
次に、錠剤払出ユニット3’については、第1実施形態の場合に比較すると手撒き手段31に代えて錠剤を自動払出しする錠剤カセットフィーダ31’が用いられるから、この点が図10の錠剤払出ユニット3の場合と若干異なっており、これによる特殊パターンの設定手順について図17に示す。図示の処理フローにおいて、図10のSS2 で錠剤の供給設定を判断する代わりにSSS2 では錠剤カセットフィーダ31’が設定されているかをチェックする。カセットフィーダ31’の設定が不完全のときはSSS21でセットを直して元へ戻る。この操作により以後は図10の設定フローと同じである。
なお、後で説明するように、第2実施形態の錠剤払出ユニット3’は、前述したV枡を有する散薬分割ユニット2と組合せて用いられることがあり、その時は図17の点線で示す処方日数の演算フローSSS01〜SSS03が設定フローの動作開始直後に行われる。この場合は仕切板7が散薬分割ユニット2に設けられているから、位置検出信号も当然MC53へ入力される。散薬分割ユニットが第2実施形態のものであれば、上記点線のフローを経由せずにSSS1 の処理を行なう。
図16の設定パネルの説明で言及したように、この実施形態では錠剤はA、B2種のものに対して同時に特殊パターンの設定ができる。その設定操作は図8の錠剤1種の場合と同様であり、2種の錠剤に対する特殊パターンの設定ができるように2行の設定キーが設けられているから、それらによって各別に特殊パターンの設定が行なわれる。
図16に示す設定パネルに表示されている特殊パターンの設定が行われた場合の特殊処方例3を図18に示す。この図示の例では散薬と錠剤は同包、別包のいずれの処理でも同じ結果となる。図19はさらに別の特殊処方例4を示す。この例では同包処理と別包処理では異なる包装パターンとなることが示されている。
上述した第2実施形態での薬剤包装装置における操作パネル5’による入力設定は次のようにして実施する。まずモードキー51 を数回押し特殊モード52bを表示させる。包装モードを包装モードキー53aから53dを選択して包装モードを設定する。図示しないテンキーで処方日数を入力する。
錠剤Aに該当する錠剤カセットフィーダ31’を収納棚より取り出し、錠剤払出ユニット3’のモータベース38’に装着し、図示しないセットキーを押すと、操作パネル5’のパターン設定キー54aに上記セットしたモータベースのNo.が表示され、特殊パターン設定キー55a〜55dが点滅する。錠剤Aは、朝昼夕1日3回各1錠のため、特殊パターン設定キー55a〜55cを各1回ずつ押すと各設定キーに数字1が表示される。同じように、錠剤Bに対応するモータベース38’をセットすると、パターン設定キー54bに使用モータベースのNo.が表示され、錠剤Bは、朝夕1日2回各1錠のため、特殊パターン設定キー55eと55gを各1回ずつ押す。
次に、混和が終了した散薬をこの実施形態の包装装置のホッパ6’に投入し、図示しないセットキーを押すと、パターン設定キー54cが点灯され、特殊パターン設定キー56a〜56dが点滅する。錠剤のセットと同様に、特殊処方例3の散薬Cは、寝1日1回1袋のため、特殊パターン設定キー56dを1回押してセットする。各セットが完了すると、総包装数が表示器58 に表示される。包装開始キー57aが押される前であれば、特殊パターン設定キーを操作することにより変更は自由にできる。
このようにセットされた1日の服用タイミングを基準としてセットされた特殊パターンの包装は次のようにデータ処理され包装される。上記のように入力した特殊パターン包装を元に検薬情報が作成され、図18の検薬空包のような表形式で表示する。次に印字データを図示しないプリンタに送信し、続いて設定された分包数1の欄に錠剤ABがセットされているため、印字データは「朝服用 錠剤2種各1錠」と作成されて印字データがプリンタに送信される。
次に、分数2の欄に錠剤Aがセットされているため、印字データは「昼服用 錠剤1種1錠」となり、続いて分数3の欄に錠剤ABがセットされているため、「夕服用 錠剤2種各1錠」、更に分数4の欄に散薬Cがセットされているため、「寝前服用 散薬1種1袋」と印字データが次々に作成されてプリンタに送信される。本発明の分数設定キーは分4仕様であるが分6、分8の仕様とすると、6時間毎の服用+食前後、食間等の複雑なパターン設定が容易に行えるようになる。
前記入力した特殊包装パターンに基づいて包装袋のシート面に印字された部分が包装ホッパに来る直前で、これに該当するモータベースから各1錠払い出すと、ホッパ39’の底を開放し、包装袋に錠剤、朝服用の設定分を投入して包装する。同時に昼服用に該当する錠剤の落下を開始し、ホッパ39’の底を閉鎖して包装シートをさらに送り、昼服用に該当する印字された部分がホッパ39’の位置に来た時ホッパ39’の底を開放して昼服用に該当する錠剤を昼服用と表示した包装袋に投入する。
これと平行して寝前服用に該当する散薬を掻出手段9’で掻き出して朝服用に該当する錠剤を落下させると同時にホッパ39’の底を閉鎖し、包装シートをさらに送り、寝前服用に該当する印字された部分がホッパ39の位置に来た時、寝前服用に該当する散薬を寝前服用と表示した包装袋に投入する。このようにして包装袋に特殊処方された薬剤が特殊包装パターンを7日分くり返して包装される。
図20は第3実施形態の薬剤包装装置の外観斜視図である。図から分かるように、この実施形態の薬剤包装装置は、第2実施形態のR溝を有する分配皿8’から成る薬剤分割ユニット2’と第1実施形態の手撒き手段31を有する錠剤払出ユニット3の組合せから成るものである。その主要構成部材の断面図を図21に示す。
この実施形態の薬剤包装装置では、第1実施形態の散薬分割ユニット2のようなV桝6内の仕切板の設定位置によって処方日数を演算し、それを基準にしてその後の処理を行なうという制約がなく、処方日数のデータは機側のNPC50から入力される。又、特殊パターンの設定は錠剤払出ユニット3の形式によって決まるから、第1実施形態のパターン設定入力表示手段55の設定パネルが用いられ、この設定パネルによる特殊パターンの設定により手撒き手段31の表示器34aが表示される。
又、この実施形態の特殊パターンの包装をするための制御信号の設定フローは、第2実施形態の分配皿方式の散薬分割ユニット2’に対する図9の設定フローと、第1実施形態の手撒き式の錠剤払出ユニット3に対する図10の設定フローの組合せにより処理される。従って、この実施形態で処理される包装形態は第1実施形態の場合の特殊処方例1と2と同じものとなり、第2実施形態の場合の特殊処方例3と4の包装形態は実施できない。
図22は第4実施形態の薬剤包装装置の外観斜視図、図23は主要構成部材の断面図を示す。この実施形態では、第2実施形態のR溝付き分配皿8’式の散薬分割ユニット2’と、第1実施形態及び第2実施形態の錠剤払出しユニット3、3’の両方とを組合せている。従って、共通ホッパ41は2つの錠剤払出しユニット3、3’のホッパ33、39’から払出される錠剤を散薬分割ユニット2’から散薬と共に受入れて包装ユニット4へ供給するようになっている。
この実施形態の薬剤包装装置における包装動作を制御する制御信号を設定する特殊パターン設定のための設定パネルは第2実施形態のパターン設定入力表示手段55’の設定パターンと同じであり、2種類の錠剤について特殊パターン設定ができる。この場合、2種類の錠剤は多量に使用されるのを錠剤払出しユニット3’から、又少量しか使用されないものを錠剤払出しユニット3から供給するようにしてもよいし、他の割合で使用するようにしてもよい。
制御回路のブロック図では、錠剤払出しユニット3’に対する制御信号の系統が図7の回路に追加されている。又、制御信号の設定フローは図9の設定フローを散薬分割ユニット2’に対して適用したものと図10、図17の設定フローの3つの設定フローが全て適用される。その場合、ステップS9 、SS9 、SSS9 の判断の後に各設定フローに対する処理が終了しているかの判断部分が追加されることは詳細に説明するまでもない。
このような構成、設定パネル、設定フローにより処理されて得られる特殊パターン設定の特殊処方例は、前述した4つの特殊処方例1〜4のいずれも実施できる。なお、この例でも処方日数の入力はNPC50から入力される。
図24以下に第5実施形態の薬剤包装装置の例を示す。この実施形態では第1実施形態の薬剤包装装置にカセット式の錠剤払出しユニット3”を組合せたものであり、前記各実施形態の装置よりさらに多機能化されている。前述したように、第1実施形態の薬剤包装装置はV桝形式の散薬分割ユニット2と手撒き式の錠剤払出しユニット3を備えており、これと同じ構成をこの実施形態の装置も共通の構成部分として備えている。従って、この共通の構成部分については同一の符号を付して説明を省略する。
カセット式の錠剤払出ユニット3”は、図15に示した錠剤カセットフィーダ31’と同じものを直線状に多段に複数個設けたものから成り、後述するように各カセットフィーダ31’毎にその服用タイミングについて設定パターンを個別に設定できるようにした点に特徴があり、他の実施形態のものとその点で異なっている。図25の断面図に示すように、多段状に複数個設けられた錠剤カセットフィーダ31’からの錠剤を供給するホッパ39”の下端が共通ホッパ41へ導かれている。
各錠剤カセットフィーダ31’の棚の前面には、図24に示すように、後述する操作パネル31e’が各カセットフィーダ31’毎に設けられており、さらに各カセットフィーダ31’の操作を統括する統括パネル30pが棚の側方に設けられている。上記構成の薬剤包装装置の制御回路のブロック図を図26に示す。この実施形態でも散薬分割ユニット2、手撒き式の錠剤払出しユニット3を制御するMC52が第1実施形態と同様に設けられているが、図示を簡略化するため図26ではその一部に上記錠剤払出しユニット3”の制御回路部分が付加されている点を中心に図示している。
図示のように、MC52は各錠剤カセットフィーダ31’における服用タイミングについての設定パターンを統括制御するためのMC30に接続されており、各個々の錠剤カセットフィーダ31’で設定される特殊パターンの制御信号はMC30を経由してMC52へ、又はMC30により統括された状態の制御信号としてMC52へ伝送される。統括の具体的内容については後で説明する。
統括制御用のMC30はCPU30aに対して設定の決められた特殊パターンを記憶するための記憶部30bと、統括パネル30pとが設けられて成り、CPU30aを介して各個別の錠剤カセットフィーダ31’のCPU31a’に接続されている。統括パネル30pの詳細については後で説明する。図27に示すように、各個別の錠剤カセットフィーダ31’は、個別に服用パターンを設定するための設定パネル31e’を備えている。
又、この錠剤カセットフィーダ31’は、設定されるパターンの制御信号を記憶する記憶部31b’やカウンタ31c’、選択キー31d’などを備えており、操作パネル31e’では設定キー31kにより設定パターンを入力するとその入力キーが表示器31Dにより表示されるようになっている。上記設定パネル31e’で設定パターンが入力されると、包装開始信号により、モータベース38’にセットされている錠剤カセットフィーダ31’が駆動され、錠剤を払い出す。
図28は図24に示す本体ケース1に設けられている操作パネル5”であり、その基本的な機能は第1実施形態の場合の操作パネル5(図8)と同じであるが、外観上のデザイン及び部分的にキーが追加されている点が異なる。追加されているキーについてはこの実施形態の特徴ではないから説明は省略し、各個々のキーについても図8のキーと同じものには同じ符号を付して説明を省略する。
図29に統括パネル30pの詳細を示す。図中の301は分包中、予約、次回予約の表示ランプ、302は選択キー、303は錠数メモリーの選択キー、304はシフトキー、305は呼戻しキー、306はリセットキー、307はエラー表示器である。図示の統括パネル30pは、各個々の錠剤カセットフィーダ31’で各別に任意の服用タイミングについての設定パターンを定めることができるが、複数種類の錠剤を予め決められた組合せで同時に払出しできるようにして作業の合理化、スピードアップ化を図るためのものである。
この統括パネル30pにより複数種類の錠剤を一括して払い出す制御をするために、MC30に設けられている記憶部30bには例えば錠数メモリーの選択キー303のNo.1に対応して4つの設定カセット、例えばカセットNo.1〜4についてそれらのカセットではそれぞれの服用タイミングの設定パターンを予め設定し、記憶部30bにそれらの制御信号のデータを記憶しておき、上記選択キー303のNo.1を選択するとそれらの制御信号データに従って4つの種類の錠剤を同時に払い出すことができるようにしている。前述した統括とはこのような錠剤の同時払出しのため制御信号データを集合させる動作を言う。
選択キー302は、このような複数種類の錠剤を同時払出しする設定を錠剤メモリーの選択キー303で3種類設定できるため、そのうち現在払出処理されているものと、現在予約中又は次回予約されているものを選択キー303に対応させ、そのいずれであるかを選択表示させるためのキーである。又、選択キー303での選択はシフトキー304で錠剤メモリーNoをシフトさせて順次設定される。呼戻しキー305はシフトキー304の進みを戻すためのものである。リセットキー306は全ての設定データを抹消し記憶部30bの記憶をリセットする。
なお、錠剤カセットフィーダの欠品、モータが故障するなどの障害をセンサにより検出できない等の問題があるとその項目に対応したエラー情報を表示するようになっている。又、上記複数種類の錠剤を同時に払い出す処理については後で詳細に説明する。
図30に錠剤カセットフィーダ31’の操作パネル31e’の外観形状を示す。この操作パネル31e’は各錠剤カセットフィーダ31’毎に対応して設けられていることは前述した通りである。操作パネル31e’には図8の操作パネル5の錠剤についての特殊パターン設定キーに対応するパターン設定キー311が設けられており、各キー上には分包数1〜4が併記されている。312はこのパターン設定キー311で設定される錠剤数を各分包毎に表示する表示器である。
また、Sキーはシフトキーで、例えば、パターン設定キー311の分包数1のキーで2回押して2錠をセットする動作を分包数2、3にもシフトして適用する動作をさせるためのものである。Mキーはシフトキーを押した後にこれを押すとパターン設定キー311で設定されたパターン設定信号が確定し記憶部に登録される操作のためのキーである。Sキーを押すとその上の表示器が点灯される。なお、この実施形態では散薬分割ユニット2はV枡形式のものであるから、第1実施形態の場合と同様に、処方日数のデータはV枡6内の仕切板7の設定により演算に基づいて設定される。又、患者名、薬剤等の処方データはNPC50から入力されることも第1実施形態と同じである。
上記構成のこの実施形態の薬剤包装装置による包装処理、特に特殊パターンの設定について以下説明する。例えば、次のような特殊パターンの服用タイミングで特殊処方例5の処方がされたとする。カセット錠剤A1日4回毎食後、寝る前服用、カセット錠剤B1日2回朝夕食後2錠、カセット錠剤C1日3回毎食後1錠、カセット錠剤D1日2回朝夕食後1錠、特殊錠剤E1日2回朝食後寝る前各1錠、散薬F1日4回朝食後、寝る前各1袋の処方が7日分されたとする。これを表形式で表示すると次の通りである。
朝 昼 夕 寝
錠剤A 1 1 1 1
錠剤B 2 0 2 0
錠剤C 1 1 1 0
錠剤D 1 0 1 0
錠剤E 1 0 0 1
散薬F 1 1 1 1
このような処方に対応する場合、カセット錠剤A〜Dはカセット式の錠剤払出ユニット3”の各錠剤が対応する錠剤カセットフィーダ31’のそれぞれに対してそのフィーダの操作パネルの設定キーを押してセットする。錠剤Eは特殊錠剤であるから手撒き方式の錠剤払出ユニット3に手撒きして準備し、散薬はV枡方式の散薬分割ユニット2に仕切板7を処方日数の総処方分に合せて投入する。
この場合、散薬と特殊錠剤については、第1実施形態と同様な手順で操作パネル5により特殊パターンを設定し、図9、図10の設定フローにより制御信号の設定が行われる。又、カセット錠剤については、上述したように、各錠剤カセットフィーダ毎に操作パネルによる設定を行うが、設定信号による制御信号の設定は基本的には図17の設定フローにより処理される。但し、複数種類の錠剤に対してその設定操作の順に制御信号の設定が繰り返される。
全ての制御信号の設定が終了すると設定フローが包装制御開始のステップで待機状態になり、操作パネル5”のスタートボタン57aを押すと包装動作が開始される。上記設定フローにより包装される包装条件を「同包」として開始すると上記特殊処方例5は図31のような形態で包装される。上記設定操作は本体ケース1の操作パネル5”と各錠剤カセットフィーダ31’付きの操作パネル31e’を用いて行われ、統括パネル30pは用いられていない。この統括パネル30pによる操作は次のように上記包装形態をより手早く効率よく迅速に処理するのに用いられる。
例えば、風邪が流行っているとき、風邪の処方で胃薬、ビタミン剤、咳止め、抗生物質の各錠剤がそれぞれの服用錠数は異なっても共通に使われる場合、これらの錠剤を上記カセット錠剤A〜Dとして予め決められたNo.(例えばNo.1〜4)のカセットから供給するものとし、上記錠剤の組合せのグループが統括パネル30pの錠数メモリーの設定キーNo.1に対応するものとする。
この場合、患者毎に使用されるカセット錠剤A〜Dの錠数が異なることがあるが、服用タイミングの設定について殆ど同じであるから、予め各錠剤カセットフィーダに上述した服用タイミングの設定パターンをセットし、かつ錠数もパターン設定キーで予めセットする。このように設定しておけば、各患者に風邪による同じ処方がされた場合、操作パネル30pの錠数メモリーの設定キー303のNo.1のキーを押すだけで、繰返し短時間に必要なカセット錠剤A〜Dが特殊パターンで供給され、包装が効率よく行われる。上記のような処方例について3つの異なるパターンを予約、次回予約として錠数メモリーの設定キー303のNo.2、3を用いて設定して、選択キー302によりこれらのパターンを選んで包装することもできる。