JP4885668B2 - 構造物の製造方法、及び、複合構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、原料粉を基板に向けて噴射することにより基板上に原料粉を堆積させるエアロゾルデポジション法を用い構造物の製造方法び、そのような構造物の製造方法において用いられる複合構造物に関する。
近年、微小電気機械システム(MEMS:micro electrical mechanical system)の分野においては、誘電体、圧電体、磁性体、焦電体、半導体のように、電圧を印加することにより所定の機能を発現する電子セラミックス等の機能性材料を含む素子を、成膜技術を用いて製造する研究が盛んに進められている。
例えば、インクジェットプリンタにおいて高精細且つ高画質な印字を可能とするためには、インクジェットヘッドのインクノズルを微細化すると共に高集積化する必要がある。そのため、各インクノズルを駆動する圧電アクチュエータについても、同様に、微細化及び高集積化することが求められる。そのような場合に、バルク材よりも薄い層を形成でき、且つ、微細なパターン形成が可能な成膜技術は有利である。
最近では、成膜技術の1つとして、セラミックスや金属等の成膜技術として知られるエアロゾルデポジション法(以下において、「AD法」という)が注目されている。AD法とは、原料の粉体(原料粉)をガス中に分散させ(エアロゾル化し)、それをノズルから基板に向けて噴射することにより、原料を基板上に堆積させる成膜方法である。ここで、エアロゾルとは、気体中に浮遊している固体や液体の微粒子のことをいう。なお、AD法は、噴射堆積法又はガスデポジション法とも呼ばれている。
関連する技術として、特許文献1には、脆性材料微粒子に内部歪を印加する工程を行った後に、この内部歪が付与された脆性材料微粒子を基材表面に高速で衝突させ、この衝突の衝撃によって脆性材料微粒子を変形または破砕し、この変形または破砕にて生じた活性な新生面を介して微粒子同士を再結合せしめることで、基材との境界部にその一部が基材表面に食い込む多結晶脆性材料からなるアンカー部を形成し、引き続いてこのアンカー部の上に多結晶脆性材料からなる構造物を形成する複合構造物の作製方法が開示されている。
特許文献1に開示されているように、衝突の際に生じた活性な新生面において微粒子同士が結合するという成膜メカニズムは、メカノケミカル反応と呼ばれている。このようなAD法によれば、緻密で強固な膜を形成することができるため、種々の機能性膜が適用される機器の性能を向上させることが期待されている。
特開2002−235181号公報(第2頁)
しかしながら、AD法によって作製された膜は、アンカー部の存在により、基板に強固に付着している。そのため、基板と一体化された複合構造体としてしか膜を利用することができなかった。
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、AD法によって基板上に形成された膜を容易に剥離することができる構造物の製造方法を提供することを第1の目的とする。また、本発明は、そのような構造物の製造方法において用いられる複合構造物を提供することを第2の目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る構造物の製造方法は、無機材料で形成された原料粉であって、加熱されることによりガスを発生する不純物を含有する原料粉をガスによって分散させることによりエアロゾル状態とする工程(a)と、エアロゾル状態の原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、衝突の際に原料粉が変形及び/又は破砕することによって新たに生じる活性面を有する粒子同士を結合させて原料粉を堆積させ、基板上に不純物を含有する多結晶の構造物を形成する工程(b)と、基板上に形成された多結晶の構造物を加熱することにより、少なくとも多結晶の構造物を基板から剥離する工程(c)とを具備する。
また、本発明の1つの観点に係る複合構造物は、基板と、エアロゾルデポジション法を用いて、無機材料で形成された原料粉を基板に向けて吹き付けて原料粉を下層に衝突させることにより、衝突の際に原料粉が変形及び/又は破砕することによって新たに生じる活性面を有する粒子同士を結合させて原料粉を堆積させることによって、基板上に直接又は間接的に形成された多結晶の構造物であって、加熱されることによりガスを発生する不純物を含有し、基板側の界面における不純物の濃度が基板とは反対側の界面における不純物の濃度よりも高くなるように形成されている多結晶の構造物とを具備する。
本発明によれば、エアロゾルデポジション法により基板上に無機材料の多結晶膜(構造物)を形成する際に、無機材料によって形成された原料粉であって、加熱されることによりガスを発生する不純物が添加された原料粉を用いるので、製造された複合構造物を熱処理することにより、多結晶膜を基板から容易に剥離することができる。また、本発明によれば、例えばSUS基板上に形成された膜をエッチングにより剥離する従来の方法に比較して、歩留まり良く、且つ、綺麗に、多結晶膜を剥離することができる。従って、剥離された多結晶膜を単体で利用することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る複合構造物の構造を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る複合構造物は、基板11と、不純物含有AD層12とを含んでいる。
基板11は、ガラスや、セラミックスや、SUSや、YSZ(イットリウム安定化ジルコニア)等の材料によって形成されている一般的な成膜用基板である。
不純物含有AD層12は、セラミックスや半金属等の脆性材料を含む無機材料により、AD法を用いて形成された無機材料層であり、所定量の不純物を含有している。この不純物は、カーボン(C)又はカーボンを含有する化合物である。このような物質は、加熱することにより二酸化炭素(CO)ガスや一酸化炭素(CO)ガスを発生する。また、カーボンを含有する化合物には、例えば、C1836、C1838、C2040、C2042、C2244、C2246、C2450、C2652、C2856等のアルキル化合物が含まれる。アルキル化合物は、飽和及び不飽和のいずれの場合も有り得る。また、1分子中に含まれる炭素数は特に限定されない。
本実施形態において、不純物含有AD層12は、圧電材料であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)によって形成されており、不純物として、重量で150ppmを超えるカーボンを含んでいる。ここで、不純物として含有されるカーボン量とは、不純物含有AD層12の成分全体(無機材料及び不純物)に対するカーボン量(重量ppm)のことであり、不純物がカーボン単体である場合には、カーボン単体の量を指し、不純物がアルキル化合物である場合には、アルキル化合物中のカーボン量を指す。
このような不純物含有AD層12は、図2に示す成膜装置を用いることにより形成される。図2は、本発明の第1の実施形態に係る複合構造物の製造方法が用いられる成膜装置の構成を示す模式図である。この成膜装置は、エアロゾル生成部と成膜部とを有している。
図2に示すように、エアロゾル生成部は、エアロゾル生成室1と、振動台2と、巻き上げガスノズル3と、圧調整ガスノズル4とを含んでいる。また、成膜部は、成膜チャンバ7と、排気管8と、噴射ノズル9と、基板ステージ10とを含んでいる。さらに、この成膜装置は、エアロゾル生成部と成膜部との間に配置されたエアロゾル搬送管5と、エアロゾル生成部の巻き上げガスノズル3に接続された不純物供給装置6とを有している。
エアロゾル生成室1においては、エアロゾルの生成が行われる。また、エアロゾル生成室1は、内部に配置される原料粉13を攪拌するために、所定の周波数で振動する振動台2の上に設置されている。
巻き上げガスノズル3には、キャリアガスを供給するためのガスボンベが接続されている。巻き上げガスノズル3は、ガスボンベから供給されたガスをエアロゾル生成室1内に噴射することにより、サイクロン流を生成する。それにより、エアロゾル生成室1内に配置された原料粉13が巻き上げられて分散し、エアロゾルが生成される。
一方、圧調整ガスノズル4には、エアロゾル生成室1内のガス圧を調整するためのキャリアガスを供給するガスボンベが接続されている。圧調整ガスの流量を調節してエアロゾル生成室1内の圧力を制御することにより、エアロゾル生成室1内に発生する気流(巻き上げガス)の速度が制御される。
巻き上げガスノズル3及び圧調整ガスノズル4を介して供給されるキャリアガスとしては、酸素(O)、窒素(N)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、又は、それらの混合ガス、或いは、乾燥空気等が用いられる。
エアロゾル搬送管5は、エアロゾル生成室1内において生成されたエアロゾルを、成膜チャンバ7に配置されているノズル9に搬送する。
不純物供給装置6は、原料粉に添加される不純物をエアロゾル生成室1内に供給する。不純物供給装置6は、例えば、カーボンの粉体やアルキル化合物等の不純物を巻き上げガスノズル3内に供給する。それにより、不純物がキャリアガスと共にエアロゾル生成室1内に供給され、原料粉に混入する。
成膜チャンバ7の内部は、排気管8に接続されている排気ポンプによって排気されており、それによって所定の真空度に保たれている。
噴射ノズル9は、所定の形状及び大きさの開口を有しており、エアロゾル生成室1からエアロゾル搬送管5を介して供給されたエアロゾルを、開口から基板11に向けて高速で噴射する。
基板11が固定されている基板ステージ10は、基板11とノズル9との相対位置及び相対速度を制御するための3次元的に移動可能なステージである。この相対速度を調節することにより、1往復あたりに形成される膜の厚さが制御される。
このような成膜装置において、原料粉13をエアロゾル生成室1に配置すると共に、基板11を基板ステージ10上にセットして所定の成膜温度に保つ。例えば、YSZ基板にPZT膜を形成する場合には、基板温度は約400℃に設定される。そして、成膜装置を駆動して噴射ノズル9からエアロゾルを噴射しながら、基板11を所定の速度で移動させる。それにより、原料粉が基板11や基板上に先に堆積した構造物に衝突し、その際に原料粉が変形又は破砕することによって生じた活性な新生面において粒子同士が結合することにより、原料粉が基板上に堆積する。また、基板11の材料によっては(例えば、SUS等の金属材料の場合)、基板11に衝突した原料粉が基板に食い込み、アンカー部が形成される。このような成膜メカニズムにより、基板11及びそこに密着した不純物含有AD層12を含む複合構造物(図1)が得られる。
このような複合構造物からAD膜を剥離するためには、複合構造物を所定の温度で熱処理する。このときの熱処理温度は、基板11の耐熱性を考慮して、例えば、約600℃〜約800℃、望ましくは、650℃程度に設定される。不純物含有AD層12は不純物を含有しているため、熱処理によって不純物含有AD層12からガスが発生し、その結果、不純物含有AD層12が基板11から剥離される。また、熱処理の雰囲気は、不純物の成分に応じて選択される。例えば、不純物がカーボンである場合には、酸素(O)を含む気体が用いられる。なお、この剥離工程においては、剥離のみを目的として、不純物からガスが発生し得る低めの温度(例えば、600℃)で熱処理しても良いし、ポストアニールも兼ねて、基板11が耐え得る程度の高めの温度(例えば、800℃)で熱処理しても良い。
その結果得られた単体のAD膜は、メカノケミカル反応に起因する高い緻密度及び硬度を有している。さらに、このAD膜について、高温(例えば、800℃以上)でポストアニールを施しても良い。それにより、AD膜の結晶性をさらに向上させることができる。
次に、本発明の第1の実施形態に係る複合構造物の製造方法において、原料粉に不純物を添加する理由について、詳しく説明する。
本実施形態に係る複合構造物の製造方法は、原料粉に添加されている不純物と、AD法における特殊な成膜メカニズムとを利用して、セラミックス膜を基板から剥離することを特徴としている。そこで、セラミックス構造物の製造方法として一般的な固相焼結法と、本実施形態において用いられるAD法との成膜メカニズムの違いについて説明する。
固相焼結法においては、まず、原料粉を押し固めることにより成形体、即ち、圧粉体を作製する。その際には、通常、圧粉体の成形性を良くするために有機系のバインダが用いられる。図3の(a)は、そのような圧粉体を拡大して示している。図3の(a)に示すように、圧粉体の内部には、押し固められた原料粉の間に空孔が存在する。この空孔は、圧粉体の内部と外部とにおいて通じている開気孔となっている。
次に、そのような圧粉体を500℃〜800℃程度で熱処理する。それにより、圧粉体中に存在する有機物が熱分解して蒸発し、開気孔を通じて圧粉体の外部に逃れていく。これは、脱脂工程と呼ばれている。
さらに、圧粉体をより高い温度で熱処理(焼成)する。それにより、図3の(b)に示すように、原料粉の焼結が進行していく。通常のPZTの場合には、800℃付近から焼結が始まり、1200℃付近で焼結が完了する。
このように、固相焼結法を用いる場合には、原料粉中の有機汚染成分やバインダ等の油脂成分のほとんどは、脱脂工程において二酸化炭素(CO)ガスとなって試料の外部に抜けていく。従って、セラミックス原料粉の製造過程において逃れ得ない有機汚染は、固相焼結法においてあまり大きな影響を及ぼすことはない。
一方、AD法においては、原料粉が下層に衝突することにより生じた新生面において粒子同士が結合するという、常温衝撃固化現象により膜が形成される。従って、膜の性質は非常に緻密であり、膜の内部から外部に通じる通気孔(開気孔)はほとんど存在しないと考えられる。そのため、AD膜を熱処理(ポストアニール)することにより、AD膜中に残存している有機物が燃焼してCO等のガスが発生しても、そのガスはAD膜の外部に抜け出ることはできないので、AD膜の内部に気孔(閉気孔)が形成されてしまう。
図4の(a)に示すように、AD膜100と基板101との界面付近において発生したガス(気泡102)は拡散し、基板101の界面に貯まっていく。さらに、この気泡102は、温度上昇に伴って体積膨張する。やがて、気泡102の内圧がAD膜100と基板101との間の密着力を上回ると、そのときにAD膜100が基板101から剥離すると共に、気泡102内の圧力が高くなる。その結果、図4の(b)に示すように、AD膜100は、CO等のガスに持ち上げられるようにして基板101から剥離する。
このように、AD法を用いることにより、熱処理によって膜を基板から容易に剥離することが可能となることを、本願発明者は見出した。しかしながら、原料粉に対する不純物の添加量や熱処理条件等によっては、膜が基板から剥離されなかったり、反対に、膜にヒロック(膜に一部に生じる異常な体積膨張)が生じて膜質の低下を招く場合がある。そこで、本願発明者は、AD膜を基板から剥離するために適切な条件を抽出するための実験を行った。
まず、本願発明者は、市販のPZT原料粉を加熱することによって発生するガスを、TPD−MS法によって分析した。即ち、PZT原料粉をチャンバ内に設置されたPtボート上に戴置し、高純度ヘリウム(He)ガスを40cc/minで流しながら20℃/minで約1000℃まで昇温し、1000℃で約5分間保持した後で室温まで冷却して、その間に発生したガスを、質量分析装置を用いて連続的に測定した。質量分析装置としては、アネルバ株式会社製のAGS−7000型を用いた。図5は、その結果得られたCOガスの発生パターンを示している。図5において、横軸は、TPD−MS分析中の温度変化を示しており、縦軸は、強度(任意の単位:a.u.)を示している。この実験により、ガスの種類としては圧倒的に二酸化炭素が多いことが確認された。
次に、本願発明者は、COガスを発生する要因となる成分を明らかにするために、市販のPZT原料粉の表面に付着している物質を、GC−MS(ガス・クロマトグラフ質量)分析により調べることにした。ここで、GC−MSとは、ガス・クロマトグラフと質量分析計とを結合した装置であり、ガス・クロマトグラフによる混合物の分離能と、質量分析計の定性能とを併せ持つ分析装置である。即ち、ガス・クロマトグラフによって混合物試料を複数種類の物質に分離し、それらの物質を質量分析装置に直接導いて、物質の種類を同定する。この実験においては、日本電子株式会社製の質量分析計JMS−700Mstationが用いられた。
分析は、次のように行った。即ち、まず、特別な処理を施していない市販の原料粉(PZT粉)をヘキサンで洗い流し、そのヘキサンを濃縮してGC−MS装置にかけた。なお、原料粉に含まれるカーボン量をTPD−MS分析により別途測定したところ、重量で約150ppmであった。TPD−MS分析の方法及び使用された装置については、先に説明したものと同様である。
図6は、その分析結果を示している。図6に示すように、原料粉(サンプルA)の表面には、C2042、C2040、C2246、C2450等のアルキル化合物が付着していたことが明らかになった。ここで、このような不純物(アルキル化合物)が何故原料粉に付着したのかについては明らかではない。しかしながら、原料粉は800℃程度の温度で作製されるので、作製直後の原料粉には不純物はほとんど付着していないはずである。従って、原料粉を作製した後で、空気中に浮遊するオイルミストが原料粉に付着したり、原料粉を保管したり搬送する際に用いられるビニール製の容器から不純物が混入したものと考えられる。なお、図6には、C2040のピークが2つ示されているが、これは、二重結合の位置が異なる異性体や、分枝構造が異なる異性体が存在するためと考えられる。
次に、本願発明者は、原料粉に付着しているカーボン量と、原料粉を熱処理することによって発生するCOガスの量との関係を、TPD−MS分析によって調べた。TPD−MS分析の方法及び使用された装置については、先に説明したものと同様である。その結果を図7に示す。
この実験において、試料としては市販のPZT粉を用い、カーボン量を一旦低減させるために、PZT粉を電気炉において空焼きし、カーボンを増加させる不純物添加処理としてPZT粉を有機蒸気の雰囲気に晒した。ここで、有機蒸気の雰囲気とは、気化した有機物が分散している雰囲気のことである。なお、通常、特別な処理を行っていないPZT粉は、空気中の有機物の吸着等により若干のカーボンを含有している。また、カーボン量は、電気炉における空焼き時間、又は、有機蒸気に晒す時間若しくは有機蒸気の濃度を調節することにより制御した。なお、カーボン量は、高周波誘導加熱炉においてPZT粉を燃焼したときに発生したCOガスの量を非分散赤外吸収法によって測定し、その測定値に基づいて算出した。
ここで、原料粉に付着しているカーボン量又は原料粉に含まれるカーボン量とは、原料粉及び不純物の全体量に対するカーボン量(重量ppm)のことであり、不純物がカーボン単体である場合には、カーボン単体の量を指し、不純物がアルキル化合物である場合には、アルキル化合物中のカーボン量を指す。
図7に示すように、原料粉に付着しているカーボン量と、その原料粉を加熱することによって発生するCOガスの量とは、概ね比例関係にあると言える。
さらに、上記の不純物添加処理済みの原料粉についてGC−MS分析を行うことにより、原料粉に付着している不純物の種類を調べたところ、図8に示す結果が得られた。なお、この測定においては、原料粉に含まれるカーボン量(TPD−MS分析による)が200ppm以上である粉体を対象とした。図8の分析結果に示すように、不純物添加処理済みの原料粉(サンプルB)からは、C1836、C1838、C2040、C2042、C2244、C2246、C2450、C2652、C2856等の多くのアルキル化合物が検出された。
これらの図6〜図8に示す結果より、加熱によりCOガスが発生する原因となる不純物は、主にアルキル化合物であり、そのような不純物の量は、原料粉に不純物添加処理を施すことによって調節できることが明らかになった。
さらに、本願発明者は、カーボンの含有量(付着量)が異なるPZT原料粉を用いてAD法により膜を形成し、その膜を熱処理(ポストアニール)する実験を行った。その実験結果を図9に示す。
図9において、アニール条件(1)〜(5)としては、アニール温度(℃)及びアニール時間(h)を示している。また、AD膜(a)〜(e)の数値は、AD膜中のカーボン含有量(重量ppm)を示している。さらに、表中の×印は、剥離及びヒロックのいずれも生じなかったことを示している。ここで、ヒロックとは、膜の一部が膨張する現象のことであり、膜中に取り込まれた不純物からガスが発生することにより形成される。
なお、図9に示す各AD膜におけるカーボン含有量は、カーボン単体の量、又は、アルキル化合物中のカーボンの量を表している。従って、AD膜に含まれるアルキル化合物の量は、図9に示す量よりも多くなる。また、図9に示すカーボン含有量は、高周波誘導加熱炉においてPZT原料粉を燃焼したときに発生したCOガスの量を非分散赤外吸収法によって測定し、その測定値に基づいて算出された。
図9に示すように、原料粉に含まれるカーボン含有量が多いほど、AD膜は基板から剥離し易い傾向にある。これは、AD膜中に取り込まれたカーボンに起因して二酸化炭素が発生するという剥離の原理を裏付けている。また、AD膜(b)及び(c)の場合のように、原料粉が同じである場合には、アニール温度が高くなるほどヒロックが生じ易くなることも判明した。これは、温度が高いほど、カーボンとPZT組成中の酸素との反応が盛んになり、発生する二酸化炭素や水分の量が増えると共に、体積が膨張するためと考えられる。さらに、アニール条件(3)〜(5)におけるように、カーボン含有量が増えるに従って、まずヒロックが生じ、さらにカーボン含有量が増えると剥離が生じることが判明した。
以上より、次の結論を得ることができた。即ち、AD膜が約150ppmを超えるカーボンを含有していれば、800℃以上の熱処理により、AD膜を基板から剥離し易くすることができる。また、AD膜が約222ppm以上のカーボンを含有していれば、600℃以上の熱処理により、AD膜を基板から剥離することができる。ここで、AD膜に対する通常のポストアニールは、成膜温度(例えば、400℃)より高い温度で行われるので、600℃以上の温度領域における条件が確保できれば十分であると考えられる。
一般に、アルキル化合物は、1分子中に含まれる炭素数が少ないほど(例えば、炭素数が18未満)原料粉から離脱し易く、炭素数が多いほど(例えば、炭素数が18以上)離脱し難い。従って、不純物の組成に応じて、熱処理温度を制御することが望ましい。なお、1分子中に18個以上の炭素が鎖状に連なっているアルキル化合物は、長鎖アルキル化合物と呼ばれることもある。
次に、本発明の第2の実施形態に係る複合構造物について、図10を参照しながら説明する。
図10に示すように、本実施形態に係る複合構造物は、基板21と、不純物含有AD層22とを含んでいる。なお、本実施形態における基板材料、AD層を形成している無機材料、及び、不純物の成分については、第1の実施形態におけるものと同様である。
不純物含有AD層22は、層内において不純物の濃度が基板21からの距離に応じて傾斜的に変化するように形成されている。例えば、不純物含有AD層22において、基板側の不純物濃度を高く、基板から離れるに従って不純物濃度を低くする場合には、図2に示す成膜装置において、単位時間に供給される不純物の量が徐々に低減されるように不純物供給装置6を制御しながら成膜することによって形成できる。
このような複合構造物においては、熱処理により不純物含有AD層22を基板から剥離する際に、優先的に剥離させる領域を制御できるという利点がある。例えば、不純物含有AD層22の層内において、基板側の不純物濃度を高くする(例えば、不純物がカーボンの場合には、重量で150ppm又は222ppmを超える)場合には、不純物含有AD層22と基板21との界面領域において確実に剥離を生じさせることができる。
また、熱処理により不純物含有AD層22を基板21から剥離した後で、不純物含有AD層22内の不純物濃度が高い領域(基板21に近かった領域)を研磨等により除去する。そして、残った領域、即ち、不純物含有AD層22内の不純物濃度が低い領域(基板21から離れていた領域)についてさらに熱処理を行う。それにより、ガスの発生を抑制しつつ(即ち、ヒロックを発生させることなく)、結晶粒成長を促進することができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る複合構造物について、図11を参照しながら説明する。
図11に示すように、本実施形態に係る複合構造物は、基板31と、不純物含有AD層32と、AD層33とを含んでいる。なお、本実施形態における基板材料、AD層を形成している無機材料、及び、不純物の成分については、第1の実施形態におけるものと同様である。
不純物含有AD層32は、無機材料を主な原料とする剥離犠牲層であり、所定量の不純物(例えば、重量で150ppm又は222ppmを超えるカーボン)を含有している。また、AD層33は、不純物が添加されていない無機材料層である。不純物含有AD層32及びAD層33を形成する無機材料の組成は同じであっても良いし、互いに異なる材料であっても良い。なお、不純物が添加されていない無機材料層であっても、空気中の有機物の吸着等により、若干のカーボン(例えば、50ppm程度)を含有している場合がある。
このような複合構造物は、図2に示す成膜装置において、まず、不純物供給装置6を動作させながら基板31上に不純物含有AD層32を形成し、次に、不純物供給装置6の動作を停止させた状態で不純物含有AD層32上にAD層33を形成することにより作製することができる。
図11に示す複合構造物を熱処理することにより、不純物含有AD層32からガスが発生し、不純物含有AD層32が基板31から剥離される。その結果、単体の構造物(AD層)を得ることができる。なお、AD層33に付着している不純物含有AD層32は、そのまま構造物の一部として利用しても良いし、必要に応じて研磨等により除去しても良い。また、AD層33を基板31から剥離した後で、さらに高温(例えば、850℃以上)でアニールしても良い。それにより、AD層33の結晶性を高めて、構造物の機能(例えば、圧電体の場合には圧電性能)を向上させることができる。
また、この不純物含有AD層32においても、第2の実施形態と同様に、不純物の濃度を傾斜的に変化させても良い。例えば、基板31側における不純物濃度を高くすることにより、不純物含有AD層32と基板31との界面において優先的に剥離を生じさせることができる。反対に、AD層33側における不純物濃度を高くすることにより、不純物含有AD層32とAD層33との界面に優先的に剥離を生じさせることができる。
次に、本発明の第4の実施形態に係る複合構造物について、図12を参照しながら説明する。
図12に示すように、本実施形態に係る複合構造物は、基板41と、第1剥離犠牲層42と、第2剥離犠牲層43と、AD層44とを含んでいる。なお、本実施形態における基板材料、AD層を形成している無機材料、及び、不純物の成分については、第1の実施形態におけるものと同様である。
第1剥離犠牲層42は、無機材料を主な組成としていると共に、所定量の不純物(例えば、重量で150ppm又は222ppmを超えるカーボン)を含有しており、AD法によって形成されている。
また、第2剥離犠牲層43は、AD法による成膜温度(例えば、400℃)、及び、熱処理温度(例えば、600℃以上)よりも高い融点を有する金属材料により、蒸着法やスパッタ法やメッキ法等の公知の成膜方法を用いて形成されている。第2剥離犠牲層43としては、例えば、白金(Pt)のように、隣接するAD層の組成(例えば、PZT)との相互作用が少ない、安定した材料を用いることが望ましい。
また、AD層と白金層との密着性を高めるために、白金層より先に酸化チタン(TiO)層を形成しても良い。さらに、第2剥離犠牲層43の厚さは、アンカーリングが生じ得る金属材料を用いる場合には、AD層44の形成時に生じるアンカーリングの深さ(例えば、10nm〜100nm程度)を考慮して、例えば、200nm以上とすることが望ましい。
さらに、AD層44は、不純物が添加されていない無機材料層である。
このような複合構造物を熱処理することにより、第1剥離犠牲層42からガスが発生し、基板41と第1剥離犠牲層42との界面、及び、第1剥離犠牲層42と第2剥離犠牲層43との界面において剥離が生じる。それにより、剥離面にダメージを与えることなく、構造物(AD層44)を得ることができる。
一般には、第2剥離犠牲層43とAD層44との間の密着力の方が、第2剥離犠牲層43と第1剥離犠牲層との間の密着力よりも大きいので、第2剥離犠牲層43はAD層44側に残留する。AD法において生じるアンカーリングは、一般的な真空成膜法に比較して下地密着性に優れるからである。AD層44に残留している第2剥離犠牲層43は、研磨等によって除去しても良いし、AD層44に付着させたまま電極として用いても良い。
本実施形態によれば、剥離犠牲層を研磨等によって除去する手間を要することなく、構造物(AD層)を利用することが可能となる。
次に、本発明の第1〜第4の実施形態に係る複合構造物の変形例について、図13を参照しながら説明する。
図13に示す複合構造物は、基板51と、金属層52と、不純物含有AD層53とを含んでいる。この複合構造物は、図1に示す複合構造物に対して、基板と不純物含有AD層との間に金属層を挿入したものである。図13に示す基板51と不純物含有AD層53の組成や形成方法は、図1に示す基板11及び不純物含有AD層12と同様である。
金属層52は、AD法による成膜温度及び熱処理温度よりも高い融点を有する金属材料により、蒸着法等の公知の成膜方法を用いて形成されている。金属層52としては、例えば、白金(Pt)のように、隣接するAD層の組成(例えば、PZT)との相互作用が少ない、安定した材料を用いることが望ましい。また、その場合には、密着層として、白金層の下に酸化チタン(TiO)層をさらに設けても良い。
先に説明した第1〜第4の実施形態においては、基板上に不純物含有AD層を直接形成している(図1、及び、図10〜図12参照)。そのため、セラミックス基板を用いる場合には、特に、熱処理時に不純物含有AD層の一部が基板上に残留することにより、AD層が破損してしまうことも考えられる。そこで、この変形例においては、不純物含有AD層53が基板51から剥がれ易くなるように、金属層52を設けている。即ち、一般に、金属材料は気体を透過させるので、図13に示す複合構造物を熱処理して不純物含有AD層53から気体を発生させることにより、基板51と不純物含有AD層53とを、金属層52を境界としてスムーズに剥離させることができる。
不純物含有AD層53に残留した金属層52は、そのまま電極として利用しても良いし、残留した金属層の上から金属ペースト等を塗布することにより電極を形成しても良い。或いは、不純物含有AD層53に残留した金属層52を研磨により除去しても良いし、その研磨面上に別途電極を形成しても良い。
第2〜第4の実施形態に係る複合構造物についても、基板と不純物含有AD層との間に金属層を挿入することにより、剥離面やその周辺における破損を最小限に留めて、剥離をよりスムーズに進めることが可能となる。
本発明の第1〜第4の実施形態に係る複合構造物の無機材料として、PZT等の圧電材料を用いる場合には、複合構造物を熱処理することによって得られた単体の圧電膜に電極を形成することにより、圧電素子を作製することができる。そのような膜状の圧電素子は、小型の圧電アクチュエータや、インクジェットヘッドの駆動用圧電素子や、超音波探触子において超音波を送受信する振動子(超音波トランスデューサ)として利用することができる。ここで、圧電体においては、基板に固定された状態よりも、基板から剥離された単体の方が高い圧電性能を示すことが知られている。そこで、AD法によって形成された緻密で強固な圧電膜を基板から剥離して利用することにより、圧電素子やそれを含む機器全体の性能を向上させることが可能となる。
次に、図2に示す成膜装置の変形例について説明する。
この変形例においては、図2に示す不純物供給装置6において、カーボンを含有する粉体を供給する替わりに、有機蒸気を生成して供給する。具体的には、不純物供給装置6において、例えば、炭化水素等の有機物を加熱することにより有機蒸気を発生させ、それを巻き上げガスノズル3内に供給する。それにより、エアロゾル生成室1内に配置された原料粉が有機蒸気の雰囲気に晒され、エアロゾル状態となった原料粉の表面に不純物が付着する。
以上の説明においては、図2に示すように、原料粉をガスによって分散させながら不純物を添加することにより、エアロゾルを生成した。しかしながら、予め原料粉をガスによって分散させることによりエアロゾル状態とし、そのような原料粉に対して不純物を添加しても良いし、不純物が予め添加されている原料粉をガスによって分散させることによりエアロゾル状態としても良い。
前者の場合には、例えば、図2に示すエアロゾル生成室1において、原料粉を十分に分散させた後で、不純物添加処理装置6から不純物(有機化合物やカーボンの粉体や有機蒸気等)を供給するようにすれば良い。また、後者の場合には、例えば、原料粉を有機溶剤に浸した後で乾燥させたり、原料粉を有機蒸気の雰囲気に所定の期間晒すことにより、表面に不純物が付着した原料粉を作製することができる。
或いは、カーボン粉体又はカーボンを含有する化合物の粉体を予め原料粉に混入させても良い。さらには、原料粉よりも粒径が小さいカーボン粉体やカーボンを含有する化合物の粉体を原料粉の表面に付着させることにより、原料粉をコーティングしても良い。
また、以上の説明においては、無機材料としてPZTを用いたが、この他にも、PLZT(ランタンドープチタン酸ジルコン酸鉛)、TiBaO(チタン酸バリウム)、又は、Al(酸化アルミニウム)等の機能性材料を用いることができる。例えば、PLZT膜は光学部材に適用することができ、TiBaO膜はセラミックコンデンサに適用することができる。
本発明は、原料粉を基板に向けて噴射することにより基板上に原料粉を堆積させるエアロゾルデポジション法を用いた複合構造物の製造方法と、そのような複合構造物の製造方法を用いた構造物の製造方法及び成膜装置と、そのような複合構造物の製造方法によって製造される複合構造物とにおいて利用することが可能である。
本発明の第1の実施形態に係る複合構造物の構造を示す断面図である。 本発明の第1〜第4の実施形態に係る複合構造物の製造方法が用いられる成膜装置の構成を示す模式図である。 固相焼結法によりセラミックスを作製する場合における試料の構造を示す模式図である。 熱処理時に膜の剥離が生じる原理を説明するための図である。 市販の原料粉に対するGC−MS分析結果を示す図である。 PZT粉を熱処理することによって発生するCOガスの発生パターンを示す図である。 原料粉に付着しているカーボン量と、原料粉を熱処理することによって発生するCOガスの量との関係を示す図である。 不純物添加処理済みの原料粉に対するGC−MS分析結果を示す図である。 カーボン含有量が異なるPZT原料粉により作製されたAD膜を熱処理する実験の結果を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る複合構造物の構造を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る複合構造物の構造を示す断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る複合構造物の構造を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る複合構造物の変形例の構造を示す断面図である。
符号の説明
1 エアロゾル生成室
2 振動台
3 巻き上げガスノズル
4 圧調整ガスノズル
5 エアロゾル搬送管
6 不純物添加処理装置
7 成膜チャンバ
8 排気管
9 噴射ノズル
10 基板ステージ
11、21、31、41、51、101 基板
12、22、32、53 不純物含有AD層
13 原料粉
33、34 AD層
42 第1剥離犠牲層
43 第2剥離犠牲層
52 金属層
100 AD膜
102 気泡

Claims (30)

  1. 無機材料で形成された原料粉であって、加熱されることによりガスを発生する不純物を含有する前記原料粉をガスによって分散させることによりエアロゾル状態とする工程(a)と、
    エアロゾル状態の原料粉を基板に向けて吹き付けることにより、衝突の際に原料粉が変形及び/又は破砕することによって新たに生じる活性面を有する粒子同士を結合させて原料粉を堆積させ、前記基板上に不純物を含有する多結晶の構造物を形成する工程(b)と、
    前記基板上に形成された前記多結晶の構造物を加熱することにより、少なくとも前記多結晶の構造物を前記基板から剥離する工程(c)と、
    を具備する構造物の製造方法。
  2. 前記不純物が、カーボン又はカーボンを含有する化合物を含む、請求項1記載の構造物の製造方法。
  3. 前記カーボンを含有する化合物が、アルキル化合物を含む、請求項2記載の構造物の製造方法。
  4. 前記アルキル化合物が、C1836と、C1838と、C2040と、C2042と、C2244と、C2246と、C2450と、C2652と、C2856との内の少なくとも1つを含む、請求項3記載の構造物の製造方法。
  5. 前記原料粉中のカーボンの量が、重量で150ppmより多い、請求項2〜4のいずれか1項記載の構造物の製造方法。
  6. 工程(a)に先立って、前記原料粉に前記不純物を添加する工程(a')をさらに具備する請求項1〜5のいずれか1項記載の構造物の製造方法。
  7. 工程(a)が、前記原料粉をエアロゾル状態とする際に、前記原料粉に前記不純物を添加することを含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の構造物の製造方法。
  8. 工程(a)が、エアロゾル状態の前記原料粉に対して前記不純物を添加することを含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の構造物の製造方法。
  9. 工程(a)又は(a')が、時間の経過と共に前記不純物の含有量又は添加量を変化させることを含む、請求項1〜8のいずれか1項記載の構造物の製造方法。
  10. 工程(a)又は(a')が、時間の経過と共に前記不純物の含有量又は添加量を減少させることを含む、請求項9記載の構造物の製造方法。
  11. 前記不純物が、カーボン又はカーボンを含有する化合物を含み、前記多結晶の構造物の形成開始時において、前記原料粉中のカーボン量が、重量で150ppmより多い、請求項10記載の構造物の製造方法。
  12. 工程(a)又は(a')が、カーボンの粉体又はカーボンを含有する化合物の粉体を不純物として前記原料粉に混入させることを含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の構造物の製造方法。
  13. 工程(a)又は(a')が、カーボンの粉体又はカーボンを含有する化合物の粉体を不純物として前記原料粉の表面に付着させることを含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の構造物の製造方法。
  14. 工程(a)又は(a')が、前記原料粉を有機蒸気の雰囲気下に配置することにより不純物を添加することを含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の構造物の製造方法。
  15. 工程(a)又は(a')が、有機物を加熱することにより有機蒸気を発生することを含む、請求項14記載の構造物の製造方法。
  16. 工程(a)又は(a')が、原料粉を有機溶剤に浸すことにより不純物を添加することを含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の構造物の製造方法。
  17. 工程(b)に先立って、前記基板上に金属材料の膜を形成する工程をさらに具備する請求項1〜16のいずれか1項記載の構造物の製造方法。
  18. 工程(c)に先立って、前記多結晶の構造物上に、直接又は間接的に、無機材料によって形成された第2の多結晶の構造物を形成する工程(b')をさらに具備する請求項1〜17のいずれか1項記載の構造物の製造方法。
  19. 工程(b')に先立って、前記多結晶の構造物上に金属材料の膜を形成する工程をさらに具備する請求項18記載の構造物の製造方法。
  20. 前記基板から剥離された少なくとも前記多結晶の構造物を熱処理する工程をさらに具備する請求項1〜19のいずれか1項記載の構造物の製造方法。
  21. 工程(c)が、前記基板上に形成された前記多結晶の構造物を加熱することにより、少なくとも前記多結晶の構造物を熱処理しながら前記基板から剥離することを含む請求項1〜19のいずれか1項記載の構造物の製造方法。
  22. 基板と、
    エアロゾルデポジション法を用いて、無機材料で形成された原料粉を前記基板に向けて吹き付けて原料粉を下層に衝突させることにより、衝突の際に原料粉が変形及び/又は破砕することによって新たに生じる活性面を有する粒子同士を結合させて原料粉を堆積させることによって、前記基板上に直接又は間接的に形成された多結晶の構造物であって、加熱されることによりガスを発生する不純物を含有し、前記基板側の界面における前記不純物の濃度が前記基板とは反対側の界面における前記不純物の濃度よりも高くなるように形成されている前記多結晶の構造物と、
    を具備する複合構造物。
  23. 前記不純物が、カーボン又はカーボンを含有する化合物を含む、請求項22記載の複合構造物。
  24. 前記カーボンを含有する化合物が、アルキル化合物を含む、請求項23記載の複合構造物。
  25. 前記アルキル化合物が、C1836と、C1838と、C2040と、C2042と、C2244と、C2246と、C2450と、C2652と、C2856との内の少なくとも1つを含む、請求項24記載の複合構造物。
  26. 前記多結晶の構造物中のカーボン量が、前記基板側の界面において、重量で150ppmより多い、請求項23〜25のいずれか1項記載の複合構造物。
  27. アロゾルデポジション法を用いて、無機材料で形成された原料粉を前記多結晶の構造物に向けて吹き付けて原料粉を下層に衝突させることにより、前記多結晶の構造物上に直接又は間接的に形成された第2の多結晶の構造物をさらに具備する請求項22〜26のいずれか1項記載の複合構造物。
  28. 前記多結晶の構造物と前記第2の多結晶の構造物との間に形成された金属材料の膜をさらに具備する請求項27記載の複合構造物。
  29. 前記基板と前記多結晶との間に形成された金属材料の膜をさらに具備する請求項2228のいずれか1項記載の複合構造物。
  30. 前記無機材料が、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、PLZT(ランタンドープチタン酸ジルコン酸鉛)、TiBaO(チタン酸バリウム)、又は、Al(酸化アルミニウム)である、請求項2229のいずれか1項記載の複合構造物。
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