JP2009214313A - 液体吐出装置 - Google Patents

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隆満 藤井
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Abstract

【課題】液体状の半田を直接基板上に吐出可能な液体吐出装置を提供する。
【解決手段】加圧液室2および該加圧液室2に連通し該加圧液室2内の液体を外部に吐出する液体吐出口3を有する液体吐出部材4の加圧液室2上に、振動板25を介して、下部電極22と圧電体膜23と上部電極24とを順次備えた圧電素子21が形成された液体吐出装置1において、圧電体膜23として、200℃以上のキュリー点を有する薄膜圧電体を備え、加圧液室2に充填される、150℃以上かつ前記圧電体膜のキュリー点より低い融点を有する材料40を、該融点以上に加熱する加熱手段29を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電素子を備えた液体吐出装置に関するものである。
電界印加強度の増減に伴って伸縮する圧電性を有する圧電体層と、圧電体層に対して電界を印加する上部電極層と下部電極層とを備えた圧電素子が、インクジェット式記録ヘッドに搭載されるアクチュエータ等として使用されている。インクジェット式記録ヘッドでは、加圧液室(インク室)及び加圧液室から外部にインクが吐出されるインク吐出口を有するインクノズルが備えられ、このインクノズルに振動板及び上記圧電素子が取り付けられた構造を基本としている。従来のインクジェット式記録ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)に用いられている圧電体のキュリー点は高くても140℃程度であり、室温で使用することが想定されたものである。
一方、特許文献1には、同様のインクジェット式ヘッドのアクチュエータとして、結晶構造の相転移に伴いゆがみを生じる相転移膜と、相転移膜を相転移温度であるキュリー点付近の温度に加熱する発熱体を備えたものが提案されている。しかしながら、特許文献1において好ましい圧電体として挙げられているのは、キュリー点50℃から90℃のものである。
さて、電子部品を配線基板上にマウントする場合、電子部品の電極部と基板の配線パターン部とを接続する場合、従来はリフロー半田による半田付けが行われている。このリフロー半田付けにおいては、まず、配線基板上の配線パターン部におけるパッドあるいはランド上に、半田を供給する。そして電子部品をパッドあるいはランド上に適切に配置し、基板をリフロー炉内において熱処理することによって、電子部品の電極部と配線パターン部とを接続する。従来、このリフロー半田付けにおいて、半田を基板上に供給する方法としては、クリーム状の半田を、メタルマスクを使用してスクリーン印刷法により供給する方法が採用されていた。
しかし、スクリーン印刷法は、精密な印刷には不向きであるという問題があった。
そこで、精密印刷に対応することができる方法として、上述のインクジェット式記録ヘッドによるインクジェット方式を採用して、半田の精密印刷を行うことが試みられており、特許文献2には、このインクジェット方式で吐出させることができる接合用半田材料が記載されている。
また、さらに、特許文献3には、インクジェット方式を用いた半田パターン形成方法として、二種以上の金属ペーストをそれぞれ独立に基板上に噴射し、その噴射量により、形成される半田パターンの半田組成を調整する、半田パターン形成方法が開示されている。
特開2000−326506号公報 特開2005−161341号公報 特開2007−150051号公報
既述の通り、従来のヘッドは、主として室温で駆動することを想定されたものであることから、特許文献2および3においても室温で吐出可能なペースト状の半田材あるいは金属を用いる方法が提案されており、これらのインクジェット方式を利用した半田パターン形成方法においては、半田ペーストあるいは金属ペーストを基板上に吐出させパターン化させた後、各電子部品との接合のために熱処理(リフロー)させる必要がある。
この熱処理工程においては、電子部品を配置した基板ごと、半田の融点以上に加熱するため、電子部品の破損などを引き起こす恐れがある。
そこで、基板上への電子部品の接合における熱処理工程を不要な半田パターン形成を可能とする手段の実現が望まれる。
本発明は、上記事情に鑑み、高温駆動が可能な液体吐出装置を提供することを目的とするものである。
本発明の液体吐出装置は、加圧液室および該加圧液室に連通し該加圧液室内の液体を外部に吐出する液体吐出口を有する液体吐出部材の前記加圧液室上に、振動板を介して、下部電極と圧電体膜と上部電極とを順次備えた圧電素子が形成された液体吐出装置であって、
前記圧電体膜が、200℃以上のキュリー点を有する薄膜圧電体であり、
前記加圧液室に充填される、150℃以上かつ前記圧電体膜のキュリー点より低い融点を有する材料を、該融点以上に加熱する加熱手段を備えたことを特徴とするものである。
なお、前記薄膜圧電体のキュリー点は、前記加圧液室に充填される前記材料の融点より50℃以上高いことが好ましい。圧電体膜のキュリー点は250℃以上が好ましく、さらに好ましくは300℃以上、さらにより好ましくは350℃以上である。
ここで、前記材料としては、例えばIn、Pb、Bi、Snなどの低融点金属、半田材などが挙げられる。
前記圧電体膜の、使用温度における所定の駆動電圧が印加された場合の変位量が、該圧電体膜の室温での変位量の50%以上であることが望ましい。
前記圧電体膜の、室温における圧電定数が200pm/V以上であることが望ましい。
なお、ここで、室温は25℃とする。
前記圧電体膜が、ペロブスカイト型酸化物(不可避不純物を含んでいてもよい)からなることが望ましい。このとき、前記圧電体膜が、多数の柱状結晶からなる柱状結晶膜構造を有するのであることが好ましく、さらに、前記圧電体膜が、(100)配向の結晶配向性を有することがより好ましい。
また、圧電体膜がペロブスカイト型酸化物からなる場合、その組成が、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)にNb,W,Ni,Biからなる群から選ばれた少なくとも1つを加えたものであることが望ましい。
前記加圧液室はSi基板に設けられていることが望ましい。
前記加熱手段は、前記液体吐出部材の外部に備えられており、該液体吐出部材を介して前記材料を加熱するものとすることができる。このとき、前記加熱手段が、薄膜発熱体であってもよい。
前記圧電体膜は、前記下部電極側から上部電極側に向く方向に分極しており、自発分極のプラス側が前記下部電極層側であり、自発分極のマイナス側が前記上部電極層側であり、
前記上部電極層は印加電圧が固定されるグラウンド電極であり、前記下部電極層は印加電圧が変動されるアドレス電極であることが好ましい。
本発明の液体吐出装置は、圧電体素子の圧電体膜が、200℃以上のキュリー点を有する薄膜圧電体であることから、150℃以上かつ該キュリー点より低い融点を有する材料を加圧液室に充填し、融点以上に加熱することにより、150℃以上の融点を有する材料を液体として吐出させることができる。一般的な半田材の融点は180〜250℃程度であることから、本発明の液体吐出装置において、所望の半田材の融点より高いキュリー点を有する圧電体膜を備えれば、半田材を溶かした状態で液体吐出口から吐出させることができるので、電子部品を配線基板上にマウントする場合、従来必要であった熱処理(リフロー)をすることなく半田付けを行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
「インクジェット式ヘッド」
図1を参照して、本発明に係る実施形態のインクジェット式ヘッド(液体吐出装置)の構造について説明する。図1は、インクジェット式ヘッドの要部断面図である。視認しやすくするため、構成要素の縮尺は実際のものとは適宜異ならせてある。
本実施形態のインクジェット式ヘッド(液体吐出装置)1は、加圧液室2と該加圧液室2から外部に液体40aを吐出する液体吐出孔(液体吐出口)3を有するノズル(液体吐出部材)4と、該ノズル4の加圧液室2に対応して設けられた圧電素子21と、加圧液室2の上壁面を構成すると共に圧電素子21の伸縮を加圧液室2へ伝達する振動板(ダイヤフラム)25と、ノズル4の外部に設けられた薄膜発熱体(加熱手段)28とからなる。
ここでは、さらに、加圧液室2に供給するための材料40を貯留するリザーバ30と該リザーバ30から加圧液室2に材料40を供給するための流路31と、ヘッドの非駆動時に加圧液室2に吐出孔3から液体40aが吐出されない程度の圧力を加えるためのポンプ35とを備えている。
ここでは、ノズル4は、基板5にドライエッチングもしくはウエットエッチングにより加圧液室2、該加圧液室2に連通する流路31を形成し、この基板5に液体吐出孔3を有する薄板6が貼り付けられて構成されている。振動板25は基板5の加工により加圧液室2の一壁を構成するように構成されており、この振動板25の上に圧電素子21が形成されている。さらに、基板5の一部にリザーバ30の一部も同時に形成されている。リザーバ30は、リザーバ30の上部となる凹部が形成された別の基板が基板5のリザーバ下部となる凹部と対応するように両基板を張り合わせて構成されている。
薄膜発熱体28は、ヘッド4の上面および下面、さらにリザーバ30の外壁に設けられており、例えば、NiCrからなる薄膜ヒーターで構成することができる。加熱手段は薄膜発熱体28に限るものではなく、加圧液室内の材料40を加熱して溶解させることができるよう構成されていればよく、ヘッド全体を覆うようにヒーターを取り付けた構造であったり、ヘッド全体を加熱雰囲気に設置したり、赤外線加熱ランプによりヘッド全体を加熱してもよい。
基板5としては、熱伝導率、加工性が良いことからシリコン基板が好ましく、特には、シリコン基板上にSiO膜とSi活性層とが順次積層されたSOI基板等の積層基板が好適に用いられる。また、振動板25と下部電極層22との間に、格子整合性を良好にするためのバッファ層や、電極と基板との密着性を良好にするための密着層等を設けても構わない。
加圧液室が形成される基板5と、振動板25とは一体であっても、別体であってもよく、基板と別体で構成する場合には、基板としては、シリコンのみならず,ガラス,ステンレス(SUS),イットリウム安定化ジルコニア(YSZ),アルミナ,サファイヤ,及びシリコンカーバイド等を用いることができる。
圧電素子21は、振動板25上に、下部電極層22と圧電体膜23と上部電極層24とが順次積層された素子であり、圧電体膜23は、下部電極層22と上部電極層24とにより膜厚方向に電界が印加されるようになっている。
インクジェット式ヘッド1では、圧電素子21に印加する電界強度を増減させて圧電素子21を伸縮させ、これによって加圧液室2からの液体40aの吐出や吐出量の制御が行われる。
本実施形態において、圧電体膜23は、自発分極のマイナス側が下部電極層22側であり、自発分極のプラス側が上部電極層24側である(=自発分極が上向き)。また、上部電極層24は印加電圧が固定されるグラウンド(GND)電極であり、下部電極層22は印加電圧が変動されるアドレス電極である。圧電素子21には、下部電極層22の印加電圧を変動させる駆動制御を行う駆動ドライバ(図示せず)も備えられている。
下部電極層22の主成分としては、特に制限なく、Ir、Au,Pt,IrO,RuO,LaNiO,及びSrRuO等の金属又は金属酸化物、及びこれらの組合せが挙げられる。下部電極層22と上部電極層24の厚みは特に制限なく、50〜500nmであることが好ましい。
上部電極層24の主成分としては、特に制限なく、下部電極層22で例示した材料、Al,Ta,Cr,及びCu等の一般的に半導体プロセスで用いられている電極材料、及びこれらの組合せが挙げられる。
圧電体膜23の膜厚は特に制限なく、通常1μm以上であり、例えば1〜10μmである。
また、圧電体膜23としては、キュリー点が200℃以上(好ましくは300℃以上)のものであれば特に制限はない。また、圧電体膜23の、使用温度における所定の駆動電圧が印加された場合の変位量は、該圧電体膜の室温での変位量の50%以上であることが好ましい。さらに、室温における圧電定数が200pm/V以上であることが好ましい。
従来のインクジェット式ヘッドに備えられている圧電素子の圧電体のキュリー点は本発明の装置に備えられる圧電体膜のキュリー点と比較して非常に低く、高くてもせいぜい140℃程度である。例えば特許文献3ではキュリー点50℃から90℃の圧電体が好ましい例として挙げられている。したがって、半田材を液体として吐出させるために、ヘッドを200℃以上の高温にすると、従来のヘッドではその圧電体のキュリー点を越えてしまうために圧電素子が駆動できなかった。また従来のヘッドで用いられている圧電体は、そのキュリー点を越えない場合であっても温度を上げることによって脱分極してしまい駆動できなくなるものであった。したがって、従来は、特許文献1および2のように、ヘッドを150℃以上の高温に加熱することなく(通常は室温で)、インクジェット式ヘッドを用いてプリント基板上への半田ペーストあるいは金属ペーストを用いて吐出させた後、電子部品を配置したプリント基板をリフロー炉で熱処理していた。
一般的な半田材の融点は180〜250℃程度であることから、本発明の液体吐出装置のように、所望の半田材の融点より高いキュリー点を有する圧電体膜を備えれば、半田材を溶かした状態で液体吐出口から吐出させることができるので、電子部品を配線基板上にマウントする場合、従来必要であった熱処理をすることなく半田付けを行うことができる。従って、本発明の液体吐出装置によれば熱処理によるプリント基板への悪影響を排除すると共に、工程数を削減することができる。また、本発明の液体吐出装置によれば、多数の電子部品が接合されたプリント基板において、一部の電子部品が外れた際にその一部の部品のみを半田付けするような場合にも簡便に使用でき有用である。
さらに、圧電体膜23の、使用温度における所定の駆動電圧が印加された場合の変位量が室温での変位量の50%以上あれば、使用温度においても圧電素子として十分に機能する。特に圧電体膜23の室温における圧電定数が200pm/V以上であれば、使用温度において変位量が50%程度に低下しても圧電素子として十分に有効である。
これらは、液体吐出装置1から吐出させたい材料の融点に応じて、該融点で十分な変位量を得ることができる圧電体膜を備える構成とすればよい。本実施形態のインクジェット式ヘッドにより吐出される材料としては、150℃以上かつ圧電体膜23のキュリー点より低い融点を有する材料であればよく、例えば、In、Pb、Bi、Snなどの低融点金属、Sn(232℃)、Sn-0.7Cu(227℃)、Sn-3.5Ag(221℃)、Sn-3.0Ag-0.5Cu(217-220℃)、Sn-9.0Zn(199℃)、Sn-8.0Zn-3.0Bi(187-197℃)、Sn-Pb(183℃)、Sn-57Bi(139℃)のような半田材(括弧内は融点を示す。)が挙げられる。
例えば、融点が139℃のSn-57Biの半田材を吐出させたい場合には、ヘッドを170℃程度に加熱することが好ましく、圧電体膜としては、キュリー点が220℃程度以上のものが好ましい。また、融点が220℃のスズー銀系の半田材を吐出させたい場合には、ヘッドを270℃程度に加熱することが好ましく、圧電体膜としては、キュリー点が320℃以上のものが好ましい。なお、圧電体膜のキュリー点は吐出させたい材料の融点より50℃以上高いことが好ましく、さらには、ヘッド加熱温度は吐出させたい材料の融点より50℃以上高く設定し、圧電体膜のキュリー点がヘッド加熱温度よりも50℃以上高いものであることがより好ましい。しかしながら、これら材料の融点、ヘッド加熱温度および圧電体膜のキュリー点の関係は必ずしも上述ほどの温度差が必要というものではなく、材料の融点≦ヘッド加熱温度<キュリー点の範囲で適宜設定すればよい。
このような圧電体膜23としては、特に、ペロブスカイト型酸化物からなるもの(不可避不純物を含んでいてもよい。)が挙げられる。特に、圧電体膜23としては、下記一般式(P−1)あるいは(P−2)で表されるPZT又はそのBサイト置換系、及びこれらの混晶系に好ましく適用できる。
Pb(Zrb1Tib2b3)O・・・(P−1)
(式(P−1)中、XはNb,W,Ni,Biからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属元素である。a>0、b1>0、b2>0、b3≧0。a=1.0であり、かつb1+b2+b3=1.0である場合が標準であるが、これらの数値はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で1.0からずれてもよい。)
(Pba1)(Zrb1Tib2)O・・・(P−2)
(式(P−2)中、XはLa、Bi、Wからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属元素である。a>0、a1≧0、b1>0、b2>0、a+a1=1.0であり、かつb1+b2=1.0である場合が標準であるが、これらの数値はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で1.0からずれてもよい。)
インクジェット式ヘッド1駆動時には、まず、薄膜発熱体28によりヘッド4およびリザーバ30を加熱し、内部の材料(ここでは半田材)40を該半田材40の融点以上となるように加熱し、半田材40を溶解する。溶解した半田材40が吐出孔3から吐出されない程度(半田材の表面張力と均衡する程度)にポンプ35によりリザーバ30側から圧力を加えた状態としておく。この状態で、圧電素子21を駆動させることにより、例えばプリンタ基板上の所望の位置で半田材40aを吐出させることができる。なお、この半田材が吐出される場所が半田材の融点よりずっと低い場合、瞬時にして半田材が凝固してしまう恐れがあるため、半田材の到達点をある程度(例えば100℃程度まで)加熱した状態としておくことが好ましい。
プリンタ基板等を加熱する方法は、いかなる方法であってもよく、例えば、プリンタ基板の背面にヒーターを設置することにより背面から直接加熱する方法や、プリンタ基板の表面を液体吐出直前まで150℃程度の熱風を吹き付けて加熱する方法、あるいは赤外線ランプにより表面から加熱する方法などを用いることができる。
なお、本発明の液体吐出装置(インクジェット式ヘッド)を用いて吐出する材料としては、低融点金属や半田材に限らず、紫外線硬化型のインクや、導電性ペースト、ゾルゲル液、半導体用のワックスなどの高温で吐出させたい材料であれば他のものであってもよい。さらに、本発明の液体吐出装置は、室温付近では粘度が高くインクとして吐出が困難な材料も、温度を上げる(例えば150℃)にすることで、粘度が大きく低下するような材料(例えば、半田、紫外線硬化型インク、導電性ペースト、ゾルゲル液、半導体用のワックス、その他熱可塑性の高分子)などを吐出させる際にも有効である。
以下に、上記ヘッドを実現する圧電素子21の製造方法の一例について説明する。
まず、基板5にエッチングにより加圧液室2、流路等を形成すると共に、基板の加圧液室2の一壁を構成する面を振動板25に加工し、この基板5を吐出孔を有する薄板6と張り合わせる。その後、基板5の加圧液室2に対応させて下部電極層22を成膜する。必要に応じて、下部電極層22を成膜する前に、バッファ層や密着層を成膜してもよい。次いで、下部電極層22上に圧電体膜23を成膜した後、更に、上部電極層24を成膜し、駆動ドライバ及び必要な配線を形成して、圧電素子21が得られる。
圧電体膜23、下部電極層22及び上部電極層24の成膜方法は制限なく、スパッタ法、イオンビームスパッタ法、イオンプレーティング法、及びプラズマCVD法等のプラズマを用いる気相成長法等が挙げられる。
圧電体膜23では、自発分極軸のベクトル成分と電界印加方向とが一致するときに、電界印加強度の増減に伴う伸縮が効果的に起こり、電界誘起歪による圧電効果が効果的に得られる。したがって、圧電体膜23としては自発分極軸方向のばらつきの少ない結晶配向膜が好ましい。
圧電体膜23の結晶構造は特に制限なく、PZT系のペロブスカイト型酸化物では、正方晶系、菱面体晶系、及びこれらの混晶系が挙げられる。例えば、MPB組成のPb1.3Zr0.52Ti0.48であれば、成膜条件によって、正方晶単晶構造、正方晶と菱面体晶との混晶構造、あるいは菱面体単晶構造が得られる。
本実施形態において、圧電体膜23は、自発分極のマイナス側が下部電極層22側であり、自発分極のプラス側が上部電極層24側である(=自発分極が上向き)。
圧電体膜23としては、基板面に対して非平行に延びる多数の柱状結晶からなる柱状結晶膜構造を有することが好ましい。結晶方位の揃った配向膜となることから、高い圧電性能が得られ好ましい。
圧電歪には、
(1)自発分極軸のベクトル成分と電界印加方向とが一致したときに、電界印加強度の増減によって電界印加方向に伸縮する通常の電界誘起圧電歪、
(2)電界印加強度の増減によって分極軸が可逆的に非180°回転することで生じる圧電歪、
(3)電界印加強度の増減によって結晶を相転移させ、相転移による体積変化を利用する圧電歪、
(4)電界印加により相転移する特性を有する材料を用い、自発分極軸方向とは異なる方向に結晶配向性を有する強誘電体相を含む結晶配向構造とすることで、より大きな歪が得られるエンジニアードドメイン効果を利用する圧電歪(エンジニアードドメイン効果を利用する場合には、相転移が起こる条件で駆動してもよいし、相転移が起こらない範囲で駆動してもよい)などが挙げられる。
上記の圧電歪(1)〜(4)を単独で又は組み合わせて利用することで、所望の圧電歪が得られる。また、上記の圧電歪(1)〜(4)はいずれも、それぞれの歪発生の原理に応じた結晶配向構造とすることで、より大きな圧電歪が得られる。したがって、高い圧電性能を得るには、圧電体膜は結晶配向性を有することが好ましい。
柱状結晶の成長方向は基板面に対して非平行であればよく、略垂直方向でも斜め方向でも構わない。
圧電体膜をなす多数の柱状結晶の平均柱径は特に制限なく、30nm以上1μm以下が好ましい。柱状結晶の平均柱径が過小では、圧電体膜として充分な結晶成長が起こらず、所望の圧電性能が得られないなどの恐れがある。柱状結晶の平均柱径が過大では、パターニング後の形状精度が低下するなどの恐れがある。
また、例えば、菱面体晶相を含む系(正方晶と菱面体晶との混晶系、あるいは菱面体晶系)であれば、圧電体膜23は(100)配向の結晶配向性を有することが好ましい。菱面体晶の自発分極軸方向は<111>であるため、(100)配向のときに自発分極は上向きのベクトル成分を有することとなる。
<圧電体膜の製造方法>
以下、具体的な圧電体膜の製造方法の実施形態について説明する。以下の実施形態の製造方法によれば、圧電素子21の圧電体膜23として非常に好ましい、キュリー点が200℃以上、使用温度における所定の駆動電圧が印加された場合の変位量は、該圧電体膜の室温での変位量の50%以上、かつ、室温における圧電定数が200pm/V以上であるPZT系のペロブスカイト型酸化物からなる、柱状結晶膜構造の(100)配向膜を得ることができる。また、後述の成膜方法を適用すると、ペロブスカイト型酸化物からなる圧電体膜は、電圧無印加時において自発分極性を有するものとなる。
上記式(P−1)、(P−2)で表されるペロブスカイト型酸化物を含む圧電体膜は、非熱平衡プロセスにより成膜することができる。圧電体膜の好適な成膜方法としては、スパッタ法、プラズマCVD法、焼成急冷クエンチ法、アニールクエンチ法、及び溶射急冷法等が挙げられる。成膜方法としては、スパッタ法が特に好ましい。
ゾルゲル法等の熱平衡プロセスでは、本来価数が合わない添加物を高濃度ドープすることが難しく、焼結助剤あるいはアクセプタイオンを用いるなどの工夫が必要であるが、非熱平衡プロセスではかかる工夫なしに、ドナイオンを高濃度ドープすることができる。
また、非熱平衡プロセスでは、SiとPbとが反応する温度以下の比較的低い成膜温度にて成膜することができるため、加工性の良好なSi基板上への成膜が可能であり、好ましい。
スパッタ法において、成膜される膜の特性を左右するファクターとしては、成膜温度、基板の種類、基板に先に成膜された膜があれば下地の組成、基板の表面エネルギー、成膜圧力、雰囲気ガス中の酸素量、投入電力、基板−ターゲット間距離、プラズマ中の電子温度及び電子密度、プラズマ中の活性種密度及び活性種の寿命等が考えられる。
本発明者は多々ある成膜ファクターの中で、成膜される膜の特性への影響の大きなファクターを検討し、良質な膜を成膜可能となる成膜条件を見出した(本出願人が先に出願している特願2006-263978号,特願2006−263979号,特願2006-263980号(本件出願時において未公開)を参照。)
具体的には、成膜温度Tsと、Vs−Vf(Vsは成膜時のプラズマ中のプラズマ電位、Vfはフローティング電位)、Vs、及び基板−ターゲット間距離Dのいずれかとを好適化することにより、良質な膜を成膜できることを見出している。すなわち、成膜温度Tsを横軸にし、Vs−Vf,Vs,及び基板−ターゲット間距離Dのいずれか縦軸にして、膜の特性をプロットすると、ある範囲内において良質な膜を成膜できることを見出した(後記図6〜8)。図6〜8において、パイロクロア相がメインの膜は「×」、同一条件で成膜した複数のサンプル間で膜特性にばらつきのあるものや配向性が崩れ始めたものは「▲」、良好な結晶配向性を有するペロブスカイト結晶が安定的に得られる場合は「●」で示してある。
「圧電体膜の製造方法の第1実施形態」
本実施形態の圧電体膜の製造方法は、成膜温度Tsと、Vs−Vfとを好適化した成膜方法(特願2006-263978号を参照。)を用いるものである。
本実施形態の製造方法では、成膜温度Ts(℃)と、成膜時のプラズマ中のプラズマ電位Vs(V)とフローティング電位Vf(V)との差であるVs−Vf(V)とが、下記式(1)及び(2)を充足する成膜条件で成膜を行う。なお、下記式(1)〜(3)を充足する成膜条件で成膜を行うことが特に好ましい◎
Ts(℃)≧400・・・(1)、
−0.2Ts+100<Vs−Vf(V)<−0.2Ts+130・・・(2)、
10≦Vs−Vf(V)≦35・・・(3)
本明細書において、「プラズマ電位Vs及びフローティング電位Vf」は、ラングミュアプローブを用い、シングルプローブ法により測定するものとする。フローティング電位Vfの測定は、プローブに成膜中の膜等が付着して誤差を含まないように、プローブの先端を基板近傍(基板から約10mm)に配し、できる限り短時間で行うものとする。
プラズマ電位Vsとフローティング電位Vfとの電位差Vs−Vf(V)はそのまま電子温度(eV)に変換することができる。電子温度1eV=11600K(Kは絶対温度)に相当する。
図6は、本発明者がスパッタ法により成膜温度Ts及びVs−Vfを変えて、PZT(Pb1.3Zr0.52Ti0.48)又はNb−PZT(Pb1.3Zr0.43Ti0.44Nb0.13)のターゲットを用いて圧電体膜の成膜を行い、XRD測定により評価を行ったときの結果を示すものである。図6において、成膜温度Ts=525℃のプロットはNb−PZT膜であり、それ以外のプロットはPZT膜である。
例えば、Vs−Vf(V)=約12の条件では、成膜温度Ts=450℃では、パイロクロア相がメインの膜が得られたので、「×」と判定し、成膜温度Ts=475℃は、同一条件で調製した他のサンプルではパイロクロア相が見られたため、「▲」と判定し、成膜温度Ts=575℃から配向性が崩れ始めたので、成膜温度Ts=575℃を「▲」と判定し、成膜温度Ts=600℃を「×」と判定した。成膜温度Ts=500〜550℃の範囲内において、良好な結晶配向性を有するペロブスカイト結晶が安定的に得られたので、「●」と判定した。
図6には、PZT膜又はNb−PZT膜において、成膜温度400〜600℃、Vs−Vf(V)10〜35eVの条件で成膜することにより、パイロクロア相の少ないペロブスカイト結晶を安定的に成長させることができ、しかもPb抜けを安定的に抑制することができ、結晶構造及び膜組成が良好な良質な圧電体膜を安定的に成膜できることが示されている。
プラズマ電位Vs及びフローティング電位Vfは、ラングミュアプローブを用いて測定することができる。プラズマP中にラングミュアプローブの先端を挿入し、プローブに印加する電圧を変化させると、例えば図4に示すような電流電圧特性が得られる(小沼光晴著、「プラズマと成膜の基礎」p.90、日刊工業新聞社発行)。この図では電流が0となるプローブ電位がフローティング電位Vfである。この状態は、プローブ表面へのイオン電流と電子電流の流入量が等しくなる点である。絶縁状態にある金属の表面や基板表面はこの電位になっている。プローブ電圧をフローティング電位Vfより高くしていくと、イオン電流は次第に減少し、プローブに到達するのは電子電流だけとなる。この境界の電圧がプラズマ電位Vsである。
Vs−Vfが基板Bに衝突するターゲットTの構成元素Tpの運動エネルギーに相関することを述べた。下記式に示すように、一般に運動エネルギーEは温度Tの関数で表されるので、基板Bに対して、Vs−Vfは温度と同様の効果を持つと考えられる。
E=1/2mv=3/2kT
(式中、mは質量、vは速度、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。)
Vs−Vfは、温度と同様の効果以外にも、表面マイグレーションの促進効果、弱結合部分のエッチング効果などの効果を持つと考えられる。
本発明者は、PZT系圧電体膜を成膜する場合、上記式(1)を充足しないTs(℃)<400の成膜条件では、成膜温度が低すぎてペロブスカイト結晶が良好に成長せず、パイロクロア相がメインの膜が成膜されることを見出している(図6を参照)。
本発明者はさらに、PZT系圧電体膜を成膜する場合、上記式(1)を充足するTs(℃)≧400の条件では、成膜温度TsとVs−Vfが上記式(2)を充足する範囲で成膜条件を決定することで、パイロクロア相の少ないペロブスカイト結晶を安定的に成長させることができ、しかもPb抜けを安定的に抑制することができ、結晶構造及び膜組成が良好な良質な圧電体膜を安定的に成膜することができることを見出している(図6を参照)。
PZT系圧電体膜のスパッタ成膜において、高温成膜するとPb抜けが起こりやすくなることが知られている。本発明者は、Pb抜けが、成膜温度以外にVs−Vfにも依存することを見出している。PZTの構成元素であるPb,Zr,及びTiの中で、Pbが最もスパッタ率が大きく、スパッタされやすい。例えば、「真空ハンドブック」((株)アルバック編、オーム社発行)の表8.1.7には、Arイオン300evの条件におけるスパッタ率は、Pb=0.75、Zr=0.48,Ti=0.65であることが記載されている。スパッタされやすいということは、スパッタされた原子が基板面に付着した後に、再スパッタされやすいということである。プラズマ電位と基板の電位との差が大きい程、すなわち、Vs−Vfの差が大きい程、再スパッタの率が高くなり、Pb抜けが生じやすくなると考えられる。
成膜温度TsとVs−Vfがいずれも過小の条件では、ペロブスカイト結晶を良好に成長させることができない傾向にある。また、成膜温度TsとVs−Vfのうち少なくとも一方が過大の条件では、Pb抜けが生じやすくなる傾向にある。
すなわち、上記式(1)を充足するTs(℃)≧400の条件では、成膜温度Tsが相対的に低い条件のときには、ペロブスカイト結晶を良好に成長させるためにVs−Vfを相対的に高くする必要があり、成膜温度Tsが相対的に高い条件のときには、Pb抜けを抑制するためにVs−Vfを相対的に低くする必要がある。これを表したのが上記式(2)である。
本発明者はまた、PZT系圧電体膜を成膜する場合、上記式(1)〜(3)を充足する範囲で成膜条件を決定することで、圧電定数の高い圧電体膜が得られることを見出している。
「成膜装置」
図2A及び図2Bを参照して、上記成膜方法を実施するための成膜装置の構成例について説明する。ここでは、RF電源を用いるRFスパッタリング装置を例として説明するが、DC電源を用いるDCスパッタリング装置を用いることもできる。図2Aは装置全体の概略断面図、図2Bは成膜中の様子を模式的に示す図である。図3は、図2中のシールド及びその近傍の拡大図である。
図2Aに示すように、成膜装置200は、内部に、基板(成膜用基板)Bを保持すると共に基板Bを所定温度に加熱することができる静電チャック等の基板ホルダ11と、プラズマを発生させるプラズマ電極(カソード電極)12とが備えられた真空容器210から概略構成されている。なお、このプラズマ電極12は、ターゲットTを保持するターゲットホルダに相当する。
基板ホルダ11とプラズマ電極12とは互いに対向するように離間配置され、プラズマ電極12上に成膜する膜の組成に応じた組成のターゲットTが装着されるようになっている。プラズマ電極12は高周波電源13に接続されている。なお、プラズマ電極12と高周波電源13をプラズマ生成部という。本実施形態には、ターゲットTの成膜基板側の外周を取囲むシールド250が備えられている。なお、この構成は、ターゲットTを保持するプラズマ電極12すなわちターゲットホルダの成膜基板側の外周を取囲むシールド250が備えられているということもできる。
真空容器210には、真空容器210内に成膜に必要なガス(成膜ガス)Gを導入するガス導入管214と、真空容器210内のガスの排気Vを行うガス排出管15とが取り付けられている。また、ガスGを導入するガス導入口214は、ガス排出管15と反対側に、シールド250と同じ位の高さに設けられている。
ガスGとしては、Ar、又はAr/O混合ガス等が使用される。図2Bに模式的に示すように、プラズマ電極12の放電により真空容器10内に導入されたガスGがプラズマ化され、Arイオン等のプラスイオンIpが生成する。生成したプラスイオンIpはターゲットTをスパッタする。プラスイオンIpにスパッタされたターゲットTの構成元素Tpは、ターゲットから放出され中性あるいはイオン化された状態で基板Bに蒸着される。図中、符号Pがプラズマ空間を示している。
プラズマ空間Pの電位は、成膜時のプラズマ中のプラズマ電位Vs(V)となる。通常、基板Bは絶縁体であり、かつ、電気的にアースから絶縁されている。したがって、基板Bはフローティング状態にあり、その電位はフローティング電位Vf(V)となる。ターゲットTと基板Bとの間にあるターゲットの構成元素Tpは、プラズマ空間Pの電位と基板Bの電位との電位差Vs−Vfの加速電圧分の運動エネルギーを持って、成膜中の基板Bに衝突すると考えられる。
図2Aの真空容器210は、ターゲットTの成膜基板側の外周を取囲むシールド250が、真空容器210内に配置されている点を特徴とする。このシールド250は、真空容器210の底面210aに、プラズマ電極12を囲むように立設されたアースシールドすなわち接地部材202上に、ターゲットTの成膜基板側の外周を取り囲むように配置されている。接地部材202は、プラズマ電極12から側方或いは下方に向けて真空容器210に放電しないようにするためのものである。
シールド250は、一例として図2Aおよび図3に示すような複数の円環状金属板すなわちリング(フィン、シールド層)250aから構成されている。これらのリング250aは、図示する例では4枚使用されており、各リング250aの間に導電性のスペーサ250bが配置されている。スペーサ250bは、リング250aの円周方向に間隔をおいて複数個配置され、スペーサ250b同士の間にガスGが流れ易くなるように間隙204を形成している。スペーサ250bは、この観点から接地部材202とその直上に載置されるリング250aとの間にも配置されることが望ましい。
上記構成では、シールド250は接地部材202に導通されてアースされている。リング250aおよびスペーサ250bの材質は特に制限なく、SUS(ステンレス)等が好ましい。
シールド250の外周側に、複数のリング250aを電気的に導通させる導通部材(図示略)を取り付ける構成としてもよい。シールド250のリング250a同士は、導電性のスペーサ250bにより導通されており、それだけでもアースを取ることができるが、外周側に別途導通部材を取り付けることで、複数のリング250aのアースを取りやすくなる。
前述の如く、シールド250は、ターゲットTの成膜基板側の外周を取り囲むように配置されているので、ターゲットTの成膜基板側の外周にシールド250によって接地電位が形成される。
本実施形態では、上記構成のシールド250によって、プラズマ条件を調整および好適化することができ、プラズマ電位Vs(V)とフローティング電位Vf(V)との差であるVs−Vf(V)を調整および好適化することができる。この理由は、以下のように考えられる。
基板Bに成膜するために、プラズマ電極12に高周波電源13の電圧を印加すると、プラズマがターゲットTの上方に生成されるとともに、シールド250とターゲットTの間にも放電が生じる。この放電によって、プラズマが、シールド250内に閉じ込められて、プラズマ電位Vsが低下し、プラズマ電位Vs(V)とフローティング電位Vf(V)との差であるVs−Vf(V)が低下すると考えられる。プラズマ電位Vs(V)とフローティング電位Vf(V)との差であるVs−Vf(V)が低下すると、ターゲットTから放出されたターゲットTの構成元素Tpが基板Bに衝突するエネルギーが減少する。プラズマ電位Vs(V)とフローティング電位Vf(V)との差であるVs−Vf(V)を好適化することによって、ターゲットTの構成元素Tpの粒子エネルギーを好適化することができ、良質な膜を成膜することができる。
リング250aの枚数が多くなり、シールド250全体の高さが高くなる程、プラズマ電位Vs(V)とフローティング電位Vf(V)との差であるVs−Vf(V)が低下する傾向にある。これは、シールド250全体の高さが高くなる程、シールド250とターゲットT間の放電が強くなり、プラズマ電位Vs(V)とフローティング電位Vf(V)との差であるVs−Vf(V)が低下するためと考えられる。
特定の成膜温度において、最も成膜条件のよいVs−Vf(V)が決まってくる。この最も好ましい電位差を得るために、成膜温度を変えずに、リング250aの枚数を増減して所望の電位差になるように調整することができる。リング250aは、単にスペーサ250bを介して、シールド層として積み重ねているので、リング250aを取り外して枚数を変更することができる。
シールド250の最下端のリング250aは、ターゲットTの外周から離隔しているが、このターゲットTとシールド250との間の離隔した直線距離は、ゼロであると、放電が生じなくなり、遠すぎるとシールドの効果が少なくなるため効率よく効果を得るためには1mmから30mm程度離隔していることが望ましい。
ターゲットTから放出されたターゲットTの構成元素Tpは、基板Bに付着するとともに、ターゲットTの周囲にあるシールド250のリング250aにも付着する。最も付着する量が多いのは、リング250aのターゲットTに面した内周のエッジ251とその近傍である。この状態を図3に示してある。図3に示すように、リング250aの内周のエッジ251と、その近傍のリング250aの上面および下面には構成元素Tpの粒子(蒸着粒子)が付着して膜253が形成される。この膜253が、各リング250aの全面に形成されると、シールド250の接地電位としての機能が損なわれるので、できるだけ膜253が付着しにくいようにシールド250を構成することが好ましい。
本実施形態では、シールド250を、間隙204を空けて上下方向に配置された複数のリング250aにより構成しているので、ターゲットから放出された構成元素からなる蒸着粒子が、シールド250全体に付着して、その電位状態が変わることが防止される。従って、シールド250は、繰り返し成膜を行っても安定的に機能し、プラズマ電位Vsとフローティング電位Vfとの差Vs-Vfが安定して維持される。
特に、シールド層である各リング250aの、積層方向と直交するシールドの壁材の厚みLと、積層方向に互いに隣接するリング250a間の距離すなわちシールド層間の距離Sが、LSの関係にあることが望ましい。この関係は、リング250a間の距離Sに対して、厚みLを所定の範囲内に広げることにより、膜253がリング250a全体に付着しにくいようにする効果がある。すなわち、蒸着粒子から見てリング250aの奥行きを広くすることにより、構成元素Tpが間隙204の外周側まで進入しにくくなり、シールド250が短期間で機能しなくなるということを防止できる。
間隙204にはその他の効果も期待できる。すなわち、間隙204が成膜ガスGの通路としての役割を果たすので、成膜ガスGがシールド250の間隙204を通過してターゲットT近傍のプラズマ空間内に到達しやすく、ターゲットT近傍でプラズマ化されたガスイオンがターゲットに容易に到達でき、ターゲットの構成元素Tpを効果的に放出させることができる。その結果、所望の特性を有する良質な膜を安定的に成膜することができると考えられる。
間隙があるシールド250も電位的には間隙のないシールドと同じように内周側に等電位の壁を形成するので、間隙があるシールドのVs−Vfの調整効果は間隙のないシールドと同等レベルである。
本実施形態の成膜装置200は、圧電体膜等の絶縁膜の成膜に好ましく用いることができる。本発明者は、圧電体膜の成膜においては、プラズマ電位Vsとフローティング電位Vfとの差を35eV以下とし、基板Bの温度を400℃以上として、成膜を実施することが好ましいことを見出している。かかる成膜条件で成膜を行うことで、所望の性能を有する圧電体膜を成膜することができる。
以上説明したように、本実施形態の成膜装置200は、ターゲットTを保持するプラズマ電極12すなわちターゲットホルダの成膜基板側の外周を取囲み、成膜ガスGが通過する間隙204を有するシールド250を備えたものであるので、シールド250の存在によって、プラズマ空間の電位状態を調整することができ、これを好適化することができる。本実施形態の成膜装置200では、シールド250によって、プラズマ電位Vsとフローティング電位Vfとの差Vs−Vfを制御し好適化することができる。
本実施形態では、シールド250がアースされているので、シールド250によりプラズマの広がりが抑えられ、結果的にプラズマ電位Vsとフローティング電位Vfの差Vs−Vfを低下させることができると考えられる。
本実施形態の成膜装置200を用いることにより、プラズマ電位Vsとフローティング電位Vfとの差Vs−Vfを制御することができ、良質な膜を成膜することができる。本実施形態では、リング250aの枚数を変えてシールド250の高さを調節することにより、簡易にプラズマ電位Vsとフローティング電位Vfとの差Vs−Vfを制御することができる。
本実施形態の成膜装置200では、シールド250の高さを調整することによって、Vs−Vfを制御することができる。Vs−Vfは、ターゲット投入電力や成膜圧力等を変えることでも調整できる。しかしながら、ターゲット投入電力や成膜圧力等を変えてVs−Vfを制御する場合には、成膜速度等の他のパラメータまで変わってしまい、所望の膜質が得られなく虞がある。本発明者がある条件で実験したところ、ターゲット投入電力を700Wから300Wに変えると、Vs−Vfを38eVから25eVに低減できることができるが、成膜速度が4μm/hから2μm/hに低下してしまった。本実施形態の装置200では、成膜速度等の他のパラメータを変えることなく、Vs−Vfを調整することができるので、成膜条件を好適化しやすく、良質な膜を安定的に成膜することができる。
「圧電体膜の製造方法の第2実施形態」
本実施形態の圧電体膜の製造方法は、図2A及び図2Bに示される第1実施形態と同様の成膜装置を用い、成膜温度Tsと基板BとターゲットTとの離間距離(基板―ターゲット間距離)D(mm)とを好適化した成膜方法(特願2006−263979号を参照。)を用いるものである。なお、本実施形態では、Vs−Vfを制御する必要はないため、シールド250を備えていない成膜装置を用いてもよい。
本実施形態の製造方法では、成膜温度Ts(℃)と基板―ターゲット間距離D(mm)とが下記式(4)及び(5)を充足する条件、又は(6)及び(7)を充足する成膜条件で成膜する。
400≦Ts(℃)≦500・・・(4)、
30≦D(mm)≦80・・・(5)、
500≦Ts(℃)≦600・・・(6)、
30≦D(mm)≦100・・・(7)
本発明者は、PZT系圧電体膜を成膜する場合、上記式(4)を充足しないTs(℃)<400の成膜条件では、成膜温度が低すぎてペロブスカイト結晶が良好に成長せず、パイロクロア相がメインの膜が成膜されることを見出している。
本発明者はさらに、PZT系圧電体膜を成膜する場合、上記式(4)を充足する400≦Ts(℃)≦500の条件では、基板−ターゲット間距離D(mm)が上記式(5)を充足する範囲で、また上記式(6)を充足する500≦Ts(℃)≦600の条件では、基板−ターゲット間距離D(mm)が上記式(7)を充足する範囲で成膜条件を決定することで、パイロクロア相の少ないペロブスカイト結晶を安定的に成長させることができ、しかもPb抜けを安定的に抑制することができ、結晶構造及び膜組成が良好な良質な圧電体膜を安定的に成膜することができることを見出している(図7を参照)。
本実施形態においては、成膜温度Tsが過小であり、かつ基板−ターゲット間距離Dが過大の条件では、ペロブスカイト結晶を良好に成長させることができない傾向にある。また、成膜温度Tsが過大であり、かつ基板−ターゲット間距離Dが過小の条件では、Pb抜けが生じやすくなる傾向にある。
すなわち、上記式(4)を充足する400≦Ts(℃)≦500の条件では、成膜温度Tsが相対的に低い条件のときには、ペロブスカイト結晶を良好に成長させるために基板−ターゲット間距離Dを相対的に短くする必要があり、成膜温度Tsが相対的に高い条件のときには、Pb抜けを抑制するために基板−ターゲット間距離Dを相対的に長くする必要がある。これを表したのが、上記式(5)である。上記(6)式を充足する500≦Ts(℃)≦600においては、成膜温度が比較的高温領域であるため、基板−ターゲット間距離Dの範囲は上限値が大きくなるが、傾向は同様である。
成膜速度は、製造効率上速い方が好ましく、0.5μm/h以上が好ましく、1.0μm/h以上がより好ましい。図5に示されるように、基板−ターゲット間距離Dが短い方が成膜速度が速くなる。図5は、スパッタリング装置1を用いてPZT膜を成膜した場合の、成膜速度と基板−ターゲット間距離Dとの関係を示した図である。図7において、成膜温度Ts=525℃、ターゲット投入電力(rf電力)=2.5W/cmである。実施例1に示されるように、本発明によれば、成膜速度が1.0μm/h以上の高速成膜条件においても良質の膜を成膜することが可能である。
基板−ターゲット間距離Dによっては、成膜速度が0.5μm/h未満となる場合があり得る。かかる場合には、ターゲット投入電力等を、成膜速度が0.5μm/h以上となるように、調整することが好ましい。
基板−ターゲット間距離Dは短い方が成膜速度が速いため好ましく、400≦Ts(℃)≦500の範囲では80mm以下、500≦Ts(℃)≦600の範囲では100mm以下が好ましいが、30mm未満ではプラズマ状態が不安定となるため、膜質の良好な成膜ができない恐れがある。より膜質の高い圧電体膜を安定的成膜するためには、400≦Ts(℃)≦500の範囲、及び500≦Ts(℃)≦600の範囲のいずれにおいても、基板−ターゲット間距離Dは、50≦D(mm)≦70であることが好ましい。
本発明者は、上記のように、上記式(4)及び(5)を充足する範囲、又は(6)及び(7)を充足する範囲で成膜条件を決定することで、良質な圧電体膜を製造効率良く、すなわち、速い成膜速度で、かつ安定的に成膜できることを見出している。
「圧電体膜の製造方法の第3実施形態」
本実施形態の圧電体膜の製造方法は、図2A及び図2Bに示される第1実施形態と同様の成膜装置を用い、成膜温度Tsと成膜時のプラズマ中のプラズマ電位Vs(V)とを好適化した成膜方法(特願2006−263980号を参照。)を用いるものである。なお、本実施形態では、Vs−Vfを制御する必要はないため、シールド250を備えていない成膜装置を用いてもよい。
本実施形態の製造方法では、成膜温度Ts(℃)と、成膜時のプラズマ中のプラズマ電位Vs(V)とが、下記式(8)及び(9)を充足する成膜条件又は、(10)及び(11)を充足する成膜条件で成膜を行う◎
400≦Ts(℃)≦475・・・・(8)、
20≦Vs(V)≦50・・・・・・(9)、
475≦Ts(℃)≦600・・・(10)、
Vs(V)≦40・・・・・・・・(11)
本実施形態において、基板とターゲットとの間にアースを設置するなどして、変えることができる。また、Vs−Vfと同様、Vsも基板Bに対して、温度と同様の効果及び表面マイグレーションの促進効果、弱結合部分のエッチング効果などの効果を持つと考えられる。
本発明者はさらに、上記一般式(P−1),(P−2)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる圧電体膜を成膜する場合、上記式(8)を充足する400≦Ts(℃)≦475の条件では、成膜温度TsとVsが上記式(9)を充足する範囲で、また上記式(10)を充足する475≦Ts(℃)≦600の条件では、成膜温度TsとVsが上記式(11)を充足する範囲で成膜条件を決定することで、パイロクロア相の少ないペロブスカイト結晶を安定的に成長させることができ、しかもPb抜けを安定的に抑制することができることを見いだしている。
また本発明者は、より良好な結晶構造及び膜組成を有する圧電体膜を安定的に成膜するには、下記式(12)及び(13)を充足する範囲で成膜条件を決定することが好ましく、下記式(14)及び(15)、又は(16)及び(17)を充足する範囲で成膜条件を決定することが特に好ましいことを見いだしている(図8を参照)。
420≦Ts(℃)≦575・・・(12)、
−0.15Ts+111<Vs(V)<−0.2Ts+114・・・(13)、
420≦Ts(℃)≦460・・・(14)、
30≦Vs(V)≦48・・・・・・(15)、
475≦Ts(℃)≦575・・・(16)、
10≦Vs(V)≦38・・・・・・(17)
図8からわかるように、成膜温度TsとVsがいずれも過小の条件では、ペロブスカイト結晶を良好に成長させることができない傾向にある。また、成膜温度TsとVsのうち少なくとも一方が過大の条件では、Pb抜けが生じやすくなる傾向にある。
また、本実施形態において、基板/ターゲット間距離は特に制限なく、30〜80mmの範囲であることが好ましい。基板/ターゲット間距離は、近い方が成膜速度が速いので、効率の点で好ましいが、近すぎるとプラズマの放電が不安定となり、良質な成膜を行うことが難しい。
本発明者は、上記一般式(P−1)、(P−2)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる圧電体膜を成膜する場合、下記式(8)及び(18)、又は(10)及び(19)を充足する範囲で成膜条件を決定することで、圧電定数の高い圧電体膜が得られることを見出している。
400≦Ts(℃)≦475・・・(8)、
35≦Vs(V)≦45・・・・・・(18)、
475≦Ts(℃)≦600・・・(10)、
10≦Vs(V)≦35・・・・・・(19)
なお、本発明者は、上述の圧電体膜の製造方法の第1から第3の実施形態のいずれかの方法により、上記一般式(P−1)、(P−2)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる圧電体膜を成膜する場合、図6、7、8に示す●の領域の条件で作製した膜は圧電定数d31≧200pm/Vを示すものの、▲や×の成膜条件では圧電定数d31<200pm/Vとなることを見出している。
ヘッドに備えられる圧電素子に好適な圧電体膜の実施例について説明する。
各実施例において、ヘッドは、Si基板を用いMEMS(Micro Electro Mechanical Systems(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム))加工によって作製した。圧電体膜の膜厚は4μmとして、Siの振動板の厚みは10μmとした。変位量の測定は、圧電体膜に、1kHzで−30Vの矩形波を印加して行った。ヘッドは、裏面からホットプレートにて加熱した。そのときの温度は、Si表面に貼り付けた熱電対にて測定した。また、ヘッドの変位は、レーザードップラー計にて測定した。
(実施例1)
図2Aに示した成膜装置を用い、第1の成膜方法により柱状構造を有するNb−PZT(Pb1.1Zr0.43Ti0.44Nb0.13)膜を形成した。成膜温度は450℃とした
上記条件で成膜したNb−PZT膜の物性を測定した結果を図9及び図10に示す。図9は、圧電体膜のキュリー点を見出すために、該圧電体膜の温度を加熱し、静電容量の温度変化を調べた結果を示すものであり、キュリー点は約350℃であった。図10は、この圧電体膜に所定の電圧を印加した場合の変位量の温度変化を室温での変位量で規格化したものである。圧電体膜の変位量は300℃程度まで、室温(25℃)の60%以上を維持しており、300℃の高温時にも十分な変位が得られ、圧電素子として有効であることがわかった。
なお、このNb−PZT膜の室温での圧電定数d31について、上記のデータを元にANSYS(アンシス)を用いて計算すると、この膜の圧電定数d31=250pm/Vであった。また、分極方向を調べたところ、自発分極のプラス側が下部電極層側であり、マイナス側が上部電極層側である分極方向を有していた。
なお、このような物性を示すNb−PZT膜を備えたヘッドを270℃に加熱して、Sn−Ag系の半田材を加圧液室内にリザーバから充填し、ポンプにて所定の圧力を加えながらヘッドを駆動することにより、ノズルから溶解した半田材を吐出することができた。
(実施例2)
図2Aに示した成膜装置を用い、第1の成膜方法により柱状構造を有するBi−PZT(Pb0.9Bi0.10Zr0.52Ti0.48)膜を形成した。成膜温度は450℃とした。
上記条件で成膜したBi−PZT膜の物性を測定した結果、キュリー点が約220℃であった。また、この膜の変位量は、170℃で室温の60%程度であった。また、ANSYSより算出したこの膜の室温での圧電定数は200pm/Vであった。このことから、この膜は170℃の温度で十分に圧電体として機能することがわかった。
本発明に係る実施形態のインクジェット式ヘッド(液体吐出装置)の構造を示す断面図 成膜装置の概略断面図 成膜中の様子を模式的に示す図 図2A中のシールド及びその近傍の拡大図 プラズマ電位Vs及びフローティング電位Vfの測定方法を示す説明図 第2実施形態の製造方法における基板―ターゲット間距離と成膜速度との関係を示す図 非平衡プロセスにてPZT系圧電体膜を成膜した時の、成膜温度Ts及びVs−Vfと、得られる膜特性との関係を示した図 非平衡プロセスにてPZT系圧電体膜を成膜した時の、成膜温度Ts及び基板−ターゲット間距離Dと、得られる膜特性との関係を示した図 非平衡プロセスにてPZT系圧電体膜を成膜した時の、成膜温度Ts及びVsと、得られる膜特性との関係を示した図 実施例1の圧電体膜の静電容量の温度変化を示す図 実施例1の圧電体膜の変位量の温度変化を示す図
符号の説明
1 インクジェット式ヘッド(液体吐出装置)
2 加圧液室
3 液体吐出孔(液体吐出口)
4 ノズル(液体吐出部材)
5 基板
6 薄板
21 圧電素子
22 下部電極層
23 圧電体膜
24 上部電極層
25 振動板
28 薄膜発熱体(加熱手段)
30 リザーバ
40 半田材(吐出される材料)

Claims (13)

  1. 加圧液室および該加圧液室に連通し該加圧液室内の液体を外部に吐出する液体吐出口を有する液体吐出部材の前記加圧液室上に、振動板を介して、下部電極と圧電体膜と上部電極とを順次備えた圧電素子が形成された液体吐出装置であって、
    前記圧電体膜が、200℃以上のキュリー点を有する薄膜圧電体であり、
    前記加圧液室に充填される、150℃以上かつ前記圧電体膜のキュリー点より低い融点を有する材料を、該融点以上に加熱する加熱手段を備えたことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記材料が低融点金属であることを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
  3. 前記材料が半田材であることを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
  4. 前記圧電体膜の、使用温度における所定の駆動電圧が印加された場合の変位量が、該圧電体膜の室温での変位量の50%以上であることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の液体吐出装置。
  5. 前記圧電体膜の、室温における圧電定数が200pm/V以上であることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の液体吐出装置。
  6. 前記圧電体膜が、ペロブスカイト型酸化物からなることを特徴とする請求項1からいずれか1項記載の液体吐出装置。
  7. 前記圧電体膜が、多数の柱状結晶からなる柱状結晶膜構造を有するのであることを特徴とする請求項6記載の液体吐出装置。
  8. 前記圧電体膜が、(100)配向の結晶配向性を有することを特徴とする請求項6または7いずれか1項記載の液体吐出装置。
  9. 前記圧電体膜の組成が、チタン酸ジルコン酸鉛にNb,W,Ni,Biからなる群から選ばれた少なくとも1つを加えたものであることを特徴とする請求項6から8いずれか1項記載の液体吐出装置。
  10. 前記加圧液室がSi基板に設けられていることを特徴とする請求項1から9いずれか1項記載の液体吐出装置。
  11. 前記加熱手段が、前記液体吐出部材の外部に備えられており、該液体吐出部材を介して前記材料を加熱するものであることを特徴とする請求項1から10いずれか1項記載の液体吐出装置。
  12. 前記加熱手段が、薄膜発熱体であることを特徴とする請求項11記載の液体吐出装置。
  13. 前記圧電体膜は、前記下部電極側から上部電極側に向く方向に分極しており、自発分極のプラス側が前記下部電極層側であり、自発分極のマイナス側が前記上部電極層側であり、
    前記上部電極層は印加電圧が固定されるグラウンド電極であり、前記下部電極層は印加電圧が変動されるアドレス電極であることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載の液体吐出装置。
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