以下、本発明のバルブ構造を図に基づいて説明する。図1は、一実施の形態におけるバルブ構造が具現化された空圧緩衝器のピストン部における縦断面図である。図2は、一実施の形態のバルブ構造が具現化した空圧緩衝器の概略縦断面図である。図3は、附勢手段にリーフスプリングを適用した一実施の形態におけるバルブ構造が具現化された空圧緩衝器のピストン部における縦断面図である。図4は、一実施の形態の変形例におけるバルブ構造が具現化された空圧緩衝器のピストン部における縦断面図である。図5は、一実施の形態の他の変形例におけるバルブ構造が具現化された空圧緩衝器のピストン部における縦断面図である。図6は、他の実施の形態におけるバルブ構造が具現化された空圧緩衝器のピストン部における縦断面図である。図7は、他の実施の形態の変形例におけるバルブ構造が具現化された空圧緩衝器のピストン部における縦断面図である。図8は、他の実施の形態の他の変形例におけるバルブ構造が具現化された空圧緩衝器のピストン部における縦断面図である。図9は、別の実施の形態におけるバルブ構造が具現化された空圧緩衝器のピストン部における縦断面図である。図10は、外の実施の形態におけるバルブ構造が具現化された空圧緩衝器のピストン部における縦断面図である。
一実施の形態における空圧緩衝器のバルブ構造は、図1に示すように、空圧緩衝器のピストン部の伸側および圧側の減衰バルブとして具現化されており、ポート2a,2bが形成されるバルブディスクたるピストン1と、ピストン1に積層されてポート2a,2bのそれぞれを閉塞する環状の弁体4a,4bと、弁体4a,4bの対応するポート2a,2bの開放動作に抵抗を与えて弁体4a,4bによるポート2a,2bの開放を遅延させる遅延手段5a,5bと、弁体4a,4bをピストン1側へ附勢する附勢手段たるバネ6a,6bとを備えて構成されている。
なお、この場合、伸側の減衰バルブは、ピストン1、ポート2a、弁体4a、遅延手段5aおよびバネ6aで構成され、他方の圧側の減衰バルブは、ピストン1、ポート2b、弁体4b、遅延手段5bおよびバネ6bで構成されている。
そして、この実施の形態の場合、遅延手段5a,5bは、ピストン1の軸心部から立ち上がる摩擦部材としての軸部材たるスペーサ7a,7bを備え、このスペーサ7a,7bの外周に弁体4a,4bが摺動自在に装着され、弁体4a,4bは、ピストン1に対して遠近することで、対応するポート2a,2bを開閉するように設定されている。
他方、バルブ構造が具現化される空圧緩衝器は、具体的にたとえば、図2に示すように、シリンダ41と、内部にシリンダ41が収容される外筒42とシリンダ41内をロッド側室R1とピストン側室R2とに区画するピストン1と、ピストン1を介してシリンダ41内に移動自在に挿入されたピストンロッド3と、シリンダ41および外筒42の図2中上端のそれぞれを封止するとともにピストンロッド3を摺動自在に軸支するヘッド部材43と、シリンダ41および外筒42の図2中下端のそれぞれを封止するボトム部材44と、シリンダ41と外筒42との間の隙間で形成されてロッド側室R1とピストン側室R2とを連通するシリンダ外通路45と、シリンダ外通路45の途中に設けられてピストン側室R2からロッド側室R1へ向かう気体の流れのみを許容する逆止弁46とを備えて構成されている。また、シリンダ41内には作動流体としての気体と空圧緩衝器の摺動部位、具体的には、シリンダ41とピストン1との間およびピストンロッド3とヘッド部材43との間の摺動部位を潤滑する油が封入され、特に、ヘッド部材43に設けた貯油室43aに油を貯めておいて、当該貯油室油43a内の油でピストンロッド3とヘッド部材43との間の摺動部位を潤滑することが可能なようになっている。
そして、この空圧緩衝器においても、従来の空圧緩衝器と同様に、伸縮を繰り返すことによってポンプの要領で、ピストン側室R2内の油はシリンダ外通路45および貯油室43aを経由してロッド側室R1へ、ロッド側室R1内の油はピストン1に設けられたポート2aを介してピストン側室R2へというように、ロッド側室R1とピストン側室R2とを循環して、上記摺動部位を潤滑することが可能なようになっている。
つづいて、上記バルブ構造が具現化された伸側の減衰バルブは、シリンダ41に対してピストン1が図1中上方に移動するときに、ロッド側室R1内の圧力が上昇してロッド側室R1からピストン側室R2へポート2aを介して作動気体が移動するときに、その作動気体の移動に弁体4aで抵抗を与えて所定の圧力損失を生じせしめて、空圧緩衝器に所定の伸側減衰力を発生させる減衰力発生要素として機能し、他方のバルブ構造が具現化された圧側の減衰バルブは、シリンダ41に対してピストン1が図1中下方に移動するときに、ピストン側室R2内の圧力が上昇してピストン側室R2からロッド側室R1へポート2bを介して作動気体が移動するときに、その作動気体の移動に弁体4aで抵抗を与えて所定の圧力損失を生じせしめて、空圧緩衝器に所定の伸側減衰力を発生させる減衰力発生要素として機能する。
なお、空圧緩衝器の収縮行程において、ピストン側室R2内に封入された気体がピストン1に設けたポート2bを通過してロッド側室R1に流入することから明らかなように、シリンダ外通路45は、気体および油の流れに上記圧側の減衰バルブより大きな抵抗を与えるが、この抵抗はピストン側室R2からシリンダ外通路45を介してロッド側室R1へ至る間に弁を設けて与えるようにしてもよいし、ピストン側室R2からシリンダ外通路45を介してロッド側室R1へ至る間の管路抵抗で与えてもよく、具体的にはたとえば、逆止弁46をリーフバルブとしたり、シリンダ外通路45の流路面積を極小さくしたりするようにしてもよい。
以下、バルブ構造について詳しく説明する。なお、バルブ構造が具現化した圧側の減衰バルブと伸側の減衰バルブは互いに天地逆とした構成とされている。
まず、バルブディスクたるピストン1は、円盤状に形成され、軸心部に空圧緩衝器のピストンロッド3が挿通される挿通孔1aと、伸側のポート2aと、圧側のポート2bと、ポート2aの出口端となる窓1bの外周側に形成された弁座1cと、ポート2bの出口端となる窓1dの外周側に形成された弁座1eとを備えて構成されている。
このピストン1の挿通孔1a内には上述のようにピストンロッド3が挿通され、ピストンロッド3の先端部3aはピストン1の図1中下方側に突出させてある。また、ピストンロッド3の先端部3aの外径は、上方側の外径より小径に設定され、上方側と先端部3aとの外径が異なる部分に段部3bが形成されている。
そして、上記ピストンロッド3の先端部3aには、図1中上方から順に、遅延手段5bにおける摩擦部材としての筒状のスペーサ7b、バネ6b、筒状のスペーサ7bの外周に摺動自在に装着される弁体4b、ピストン1、弁体4a、バネ6a、遅延手段5aにおける摩擦部材として筒状のスペーサ7aを組み付け、スペーサ7aの図1中下方からピストンナット8をピストンロッド3の先端部3aに設けた螺子部3cに螺着することによって、ピストン1およびバルブ構造を構成する上記各部材は、ピストンロッド3の段部3bとピストンナット8とで挟持されてピストンロッド3に固定される。
スペーサ7a,7bは、ともに、筒状本体9と、筒状本体9の一端外周から外方側に突出する鍔10とを備えて構成されており、これらスペーサ7a,7bはピストンロッド3およびピストン1に対して不動とされ、鍔10はピストン1に対して軸方向となる図1中上下方向に所定の間隔を空けて位置決められている。
さらに、弁体4a(4b)は、弁座1c(1e)に着座してポート2a(2b)を閉塞する環状板部11と、環状板部11の内周に連なりスペーサ7a(7b)の筒状本体9の外周に摺接する筒部12とを備えて構成され、ピストンロッド3に対して不動のスペーサ7a(7b)に対して軸方向となる図1中上下方向に移動することが可能とされ、これによって弁体4a(4b)は、軸部材たるスペーサ7a(7b)の外周側に摺動自在に装着されるとともに、ピストン1に対する軸方向となる図1中上下方向への移動が許容され、ピストン1に対して遠近してポート2a(2b)を開閉することが可能なようになっている。
また、弁体4a(4b)の筒部12の内周にはゴム等で形成されるリング13が装着されており、このリング13の内周も筒部12の内周とともにスペーサ7a(7b)の筒状本体9の外周に摺接しスペーサ7a(7b)に対して軸方向となる図1中上下方向に移動する際にはスペーサ7a(7b)との間で生じる摩擦力が弁体4a(4b)にその移動を妨げる抵抗として作用するようになっている。この場合、特に、リング13の存在により摩擦部材たるスペーサ7a(7b)との間で大きな摩擦力を発生することができるのであるが、環状本体4a(4b)がスペーサ7a(7b)に対して軸方向に移動する際に環状本体4a(4b)の内周とスペーサ7a(7b)の外周との擦れによって生じる摩擦力が本発明の作用効果を発揮するのに充分得られるようであればリング13を設けなくともよい。
なお、弁体4a(4b)の筒部12は、スペーサ7a(7b)に対して軸方向へ移動する際に、環状本体4a(4b)の軸ブレや傾ぎを防止され、弁体4a(4b)はピストン1に積層された状態となると、弁座1c(1e)に確実に着座してポート2a(2b)を閉塞することができるようになっている。また、環状本体4a(4b)の軸ブレや傾ぎを防止されるので、筒状本体9の外周を弁体4a(4b)がかじったり不必要に傷つけたりすることが防止される。ただし、特に、上述のような懸念が無い場合には上記筒部12を廃止できる。
さらに、上記弁体4a(4b)の環状板部11とスペーサ7a(7b)の鍔10との間には、附勢手段たるバネ6a(6b)が介装されており、このバネ6a(6b)によって弁体4a(4b)は、ピストン1側へ向けて押し付けられている。
上記したところでは、附勢手段をバネ6a(6b)、具体的には、コイルバネとしているが、弁体4a(4b)に所定の附勢力を作用させればよいので、これを例えば、図3に示すようにリーフスプリング6c(6d)としたり、他にも皿バネやゴム等の弾性体としたりしてもよい。なお、附勢手段をリーフスプリング6c(6d)とする場合には、内周側をピストンロッド3に固定すればよいので、スペーサ7a,7bは、鍔10を備えなくともよく、単なる筒形状としておけばよく、具体的には、筒形状のスペーサ7a(7b)とワッシャWとでリーフスプリング6c(6d)を挟持してリーフスプリング6c(6d)の内周側を固定し、外周側を直接に或いは図示するように中間部材Tを介して弁体4a(4b)に当接させておけばよい。さらに、上記以外にもバルブディスクたるピストン1と一体あるいは別体な軸部材をピストン1に設けるようにしてもよい。
つづいて、バルブ構造の作用について説明すると、上述したように、ピストン1がシリンダ41に対して図1中上方側に移動する、すなわち、空圧緩衝器が伸長すると、ロッド側室R1内の圧力が高まり、ロッド側室R1内の作動気体はポート2aを通過してピストン側室R2内に移動しようとする。
ここで、作動気体はロッド側室R1内の圧力上昇によって弁体4aをピストン1から後退させようとするが、弁体4aのスペーサ7aに対する移動によって、遅延手段5aにおける摩擦部材たるスペーサ7aと弁体4aとの間に摩擦力が生じ、この摩擦力が弁体4aにその移動を妨げる抵抗として作用し、弁体4aのポート2aの開放が緩慢になりに開放動作に遅れが生じる。
すると、もともと作動流体を気体とする空圧緩衝器にあっては、伸縮速度に対して圧力変化が位相遅れとなるが、上記したように減衰バルブのポート2aの開放動作に遅れが生じるので、その分、伸長速度変化に対するロッド側室R1内の圧力変化のタイミングが速まることになる。具体的には、空圧緩衝器の伸長に対して伸側の減衰バルブのポート2aの開放動作に遅れが生じて、ロッド側室R1内の圧力上昇の立ち上がりが従来の空圧緩衝器に比較して鋭くなる、すなわち、圧力上昇の傾きが大きくなると言うことである。
そして、空圧緩衝器の伸縮が反転して、今度は収縮に転じた場合、ピストン1がシリンダ41に対して図1中下方側に移動して、ピストン側室R2内の圧力が高まり、ピストン側室R2内の作動気体はポート2bを通過してロッド側室R1内に移動しようとする。なお、伸側の減衰バルブの弁体4aは、収縮に転じると、ロッド側室R1内の圧力が減少することに加えてバネ6aに附勢されているのでピストン1側へ前進することになるが、この場合にも遅延手段5bにおける摩擦部材たるスペーサ7aと弁体4aとの間に摩擦力が生じ、この摩擦力による抵抗は、今度は、前進する弁体4aの動作を妨げるように機能するので、弁体4aのポート2aを閉塞する動作を遅らせる。すると、ロッド側室R1内の作動気体は、空圧緩衝器の伸縮が反転するときに、少なからず、ポート2aを介してピストン側室R2へ移動することになり、このバルブ構造は、ロッド側室R1内の圧力の速やかな減少とピストン側室R2内の圧力の速やかな上昇を実現するように機能することになり、このような空圧緩衝器の伸縮の反転時にあっても、伸縮速度変化に対して圧力変化が位相遅れとなってしまうことを抑制する。
また、上記遅延手段5aの作用によって弁体4aのポート2aを閉塞する動作を遅らせることができるが、附勢手段たるバネ6aが弁体4aをピストン1側へ向けて附勢しているので、遅延手段5aの作用によって弁体4aがポート2aを閉塞することができないような事態が防止されて、閉弁動作に遅れは生じるが確実にポート2aを閉塞することができ、緩衝器として機能し得ない事態が回避されているが、そのような恐れが無い場合には附勢手段を省略することも可能である。
つづいて、空圧緩衝器が収縮する場合、作動気体はピストン側室R2内の圧力上昇によって弁体4bをピストン1から後退させようとするが、弁体4bのスペーサ7bに対する移動によって、遅延手段5bにおける摩擦部材たるスペーサ7bと弁体4bとの間に摩擦力が生じ、この摩擦力が弁体4bにその移動を妨げる抵抗として作用し、弁体4bのポート2bの開放が緩慢になりに開放動作に遅れが生じる。
すると、もともと作動流体を気体とする空圧緩衝器にあっては、伸縮速度に対して圧力変化が位相遅れとなるが、上記したように減衰バルブのポート2bの開放動作に遅れが生じるので、その分、収縮速度変化に対するピストン側室R2内の圧力変化のタイミングが速まることになる。具体的には、空圧緩衝器の収縮に対して圧側の減衰バルブのポート2bの開放動作に遅れが生じて、ピストン側室R2内の圧力上昇の立ち上がりが従来の空圧緩衝器に比較して鋭くなる、すなわち、圧力上昇の傾きが大きくなると言うことである。
したがって、このバルブ構造にあっては、空圧緩衝器における伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和することができるので、空圧緩衝器の振動減衰性を向上することができ、車両における乗心地を飛躍的に向上することが可能である。つまり、本発明のバルブ構造を採用した空圧緩衝器では、従来の空圧緩衝器のように伸縮速度に対して圧力変化が大きなヒステリシスを持ってしまい振動減衰性が悪化してしまうといった不具合を解消することができる。
つづいて、一実施の形態の変形例における空圧緩衝器のバルブ構造について説明する。この変形例における空圧緩衝器のバルブ構造にあっては、遅延手段14a(14b)の構成が上記した一実施の形態における空圧緩衝器のバルブ構造と異なるのみであり、この変形例における空圧緩衝器のバルブ構造の説明では、上述した一実施の形態の空圧緩衝器のバルブ構造と同様の部材については、説明が重複するので、同一の符号を付するのみとしてその詳しい説明を省略することとする。
この変形例における空圧緩衝器のバルブ構造では、図4に示すように、弁体15a(15b)をスペーサ7a(7b)の外周に摺接させてはいるが、弁体15a(15b)とスペーサ7a(7b)との間に積極的に摩擦力を生じせしめるのではなく、弁体15a(15b)のピストン1側面と反対側の面となる背面に、スペーサ7a(7b)の外周に摺接してスペーサ7a(7b)に対して軸方向に移動するときに摩擦力を生じる環状部材16a(16b)を積層し、この環状部材16a(16b)とスペーサ7a(7b)とで遅延手段14a(14b)における摩擦部材を構成している。
この環状部材16a(16b)は、弁体15a(15b)の背面に積層される環状のプレート17と、プレート17の内周に連なりスペーサ7a(7b)の筒状本体9の外周に摺接する筒部18と、筒部18の内周に装着されるゴム等で形成されるリング19とを備えて構成され、リング19および筒部18の内周がとともにスペーサ7a(7b)の筒状本体9の外周に摺接している。また、環状部材16a(16b)のプレート17とスペーサ7a(7b)との間には、附勢手段たるバネ6a(6b)が介装され、弁体15a(15b)は当該環状部材16a(16b)を介してピストン1側へ向けて附勢されている。
したがって、この環状部材16a(16b)は、ピストンロッド3に対して不動のスペーサ7a(7b)に対して軸方向となる図4中上下方向に移動することが可能とされ、弁体15a(15b)も軸部材たるスペーサ7a(7b)の外周側に装着されているので、弁体15a(15b)ピストン1に対する軸方向となる図4中上下方向への移動が許容され、ピストン1に対して遠近してポート2a(2b)を開閉することが可能なようになっている。
そして、この変形例の場合、上述の構成から、弁体15a(15b)がスペーサ7a(7b)に対してポート2a(2b)を開放する方向に移動する際に、スペーサ7a(7b)と環状部材16a(16b)の間で生じる摩擦力が弁体15a(15b)にその移動を妨げる抵抗として作用するようになっている。
したがって、この変形例にあっても、遅延手段14a(14b)によって弁体15a(15b)のポート2a(2b)の開放動作に遅れを生じせしめることが可能であるので、空圧緩衝器における伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和することができるので、空圧緩衝器の振動減衰性を向上することができ、車両における乗心地を飛躍的に向上することが可能である。つまり、本発明のバルブ構造を採用した空圧緩衝器では、従来の空圧緩衝器のように伸縮速度に対して圧力変化が大きなヒステリシスを持ってしまい振動減衰性が悪化してしまうといった不具合を解消することができる。
なお、この実施の形態の場合、空圧緩衝器の伸縮が反転する場合、弁体15a(15b)がスペーサ7a(7b)に対して抵抗無く移動することになるので、空圧緩衝器の伸縮反転時の伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和ができないが、空圧緩衝器の伸縮反転時の圧力変化の位相遅れをも緩和する場合には、環状部材16a(16b)と弁体15a(15b)とを一体化するようにしておくことで、空圧緩衝器の伸縮反転時の伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和することも可能である。
さらに、一実施の形態の他の変形例について説明する。この他の変形例は、図5に示すように、弁体15a(15b)の一端となる内周をピストン1とスペーサ7a(7b)とで挟持し不動として固定端とし、弁体15a(15b)の他端となる外周を撓ませることでポート2a(2b)の開閉を実現するように構成したものであり、その他は、上記した一実施の形態の変形例における空圧緩衝器のバルブ構造と同様である。
この他の変形例の場合、弁体15a(15b)はいわゆるリーフバルブとして構成されており、このようなリーフバルブを採用する減衰バルブにも本発明のバルブ構造が具現化することが可能である。
そして、この場合には、上述の構成から、弁体15a(15b)の外周がポート2a(2b)を開放する方向に撓む際に、スペーサ7a(7b)と環状部材16a(16b)の間で生じる摩擦力が弁体15a(15b)の撓みを妨げる抵抗として作用するようになっている。
したがって、この変形例にあっても、遅延手段14a(14b)によって弁体15a(15b)のポート2aの開放動作に遅れを生じせしめることが可能であるので、空圧緩衝器における伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和することができるので、空圧緩衝器の振動減衰性を向上することができ、車両における乗心地を飛躍的に向上することが可能である。つまり、本発明のバルブ構造を採用した空圧緩衝器では、従来の空圧緩衝器のように伸縮速度に対して圧力変化が大きなヒステリシスを持ってしまい振動減衰性が悪化してしまうといった不具合を解消することができる。
なお、この他の変形例も上述の変形例と同様に、空圧緩衝器の伸縮が反転する場合、弁体15a(15b)の外周の撓みの解消がスペーサ7a(7b)に対して抵抗無く行われるので、空圧緩衝器の伸縮反転時の伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和ができないが、空圧緩衝器の伸縮反転時の圧力変化の位相遅れをも緩和する場合には、環状部材16a(16b)と弁体15a(15b)とを一体化するようにしておくことで、空圧緩衝器の伸縮反転時の伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和することも可能である。
なお、弁体15a(15b)は、遅延手段を設けることが可能であれば、外周側が固定されて固定端とされる、いわゆる内開きに設定されてもよい。
つぎに、他の実施の形態における空圧緩衝器のバルブ構造について説明する。この他の実施の形態における空圧緩衝器のバルブ構造にあっては、遅延手段20a(20b)の構成が上記した一実施の形態における空圧緩衝器のバルブ構造と異なるのみであり、この他の実施の形態における空圧緩衝器のバルブ構造の説明においても、上述した一実施の形態の空圧緩衝器のバルブ構造と同様の部材については、説明が重複するので、同一の符号を付するのみとしてその詳しい説明を省略することとする。
そして、他の実施の形態における空圧緩衝器のバルブ構造はピストン部の伸側および圧側の減衰バルブに具現化されており、その遅延手段20a(20b)は、図6に示すように、バルブディスクたるピストン1から立ち上がり内周側に弁体21a(21b)の外周が摺接する摩擦部材たる筒部材22a(22b)を備えて構成されており、一実施の形態における遅延手段5a(5b)にあっては弁体4a(4b)の内周を摩擦部材たる軸部材のスペーサ7a(7b)に摺接させて弁体4a(4b)の動作に摩擦力で抵抗を与えていたが、この他の実施の形態におけるバルブ構造では、弁体21a(21b)の外周がピストン1に設けた筒部材22a(22b)の内周との間に生じる摩擦力で、弁体21a(21b)が軸方向となる上下方向に移動することでピストン1に対して遠近しポート2a(2b)を開閉する動作に対して抵抗を与えるようになっている点で異なっている。
そして、この弁体21a(21b)は、環状本体23と、環状本体23の外周側から立ち上がる筒部24と、環状本体23の外周に装着されるゴム等で形成されるリング25とを備えて構成されている。このリング25の外周は筒部材22a(22b)の内周に摺接し、筒部材22a(22b)に対して軸方向となる図6中上下方向に移動する際には筒部材22a(22b)との間で生じる摩擦力が弁体21a(21b)にその移動を妨げる抵抗として作用するようになっている。この場合、特に、リング25の存在により摩擦部材たる筒部材22a(22b)との間で大きな摩擦力を発生することができるのであるが、弁体21a(21b)が筒部材22a(22b)に対して軸方向に移動する際に弁体21a(21b)の外周が筒部材22a(22b)の内周との擦れによって生じる摩擦力が本発明の作用効果を発揮するのに充分得られるようであればリング25を設けなくともよいことは一実施の形態と同様である。
さらに、この弁体21a(21b)は、環状本体23の外周に設けた筒部24をも筒部材22a(22b)の内周に摺接させるようにしており、筒部材22a(22b)に対して軸ぶれや傾ぎ等を生じずに軸方向へ移動することが可能なようになっている。したがって、弁体21a(21b)はピストン1に積層された状態となると、弁座に確実に着座してポート2a(2b)を閉塞することができ、また、筒部材22a(22b)の内周を弁体21a(21b)がかじったり不必要に傷つけたりすることが防止される。
さらに、上記筒部24の側部には小孔24aが開口されており、空圧緩衝器内に気体と一緒に封入される少量の潤滑用の油がこの小孔24aを介して筒部24と筒部材22a(22b)との間への侵入することが許容されており、これによって、筒部材22a(22b)と弁体21a(21b)の過度の摩擦に焼付等を防止することが可能となる。
また、この実施の形態の場合、ピストン1の外周に筒部材22a(22b)が設けられ、この筒部材22a(22b)とシリンダ41との間には隙間が形成されるようになっており、この隙間内に上述の潤滑用の油を貯めておくことが可能である。したがって、空圧緩衝器が車両に斜めに取り付けられるようなことがあっても、少量の油でシリンダ41とピストン1の摺動部位の全周に亘って油浸させておくことが可能となる点で有利となる。
戻って、環状本体21a(21b)は、ピストンロッド3に内周側が固定されるリーフスプリング6c(6d)によってピストン1側へ向けて附勢されている。なお、弁体21a(21b)の環状本体23におけるピストン1側の面とは反対側の面となる背面側には、放射状の複数の切欠23aが設けられているので、リーフスプリング6c(6d)が環状本体23の背面に当接されているが、空圧緩衝器の作動気体は、環状本体23の内周側と上記した切欠23aを介してポート2a(2b)に流入することが可能なようになっている。
このように構成された他の実施の形態におけるバルブ構造にあっても、上述したところから一実施の形態と同様に、遅延手段20a(20b)よって弁体21a(21b)のポート2a(2b)の開放動作に遅れを生じせしめることが可能であるので、空圧緩衝器における伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和することができるので、空圧緩衝器の振動減衰性を向上することができ、車両における乗心地を飛躍的に向上することが可能である。つまり、本発明のバルブ構造を採用した空圧緩衝器では、従来の空圧緩衝器のように伸縮速度に対して圧力変化が大きなヒステリシスを持ってしまい振動減衰性が悪化してしまうといった不具合を解消することができる。
また、弁体21a(21b)が直接摩擦部材である筒部材22a(22b)に摺接しているので、弁体21a(21b)と筒部材22a(22b)との間に生じる摩擦力が弁体21a(21b)の閉弁動作に遅れを生じせしめることになるので、空圧緩衝器の伸縮反転時の伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和することも可能である。
続いて、他の実施の形態の変形例における空圧緩衝器のバルブ構造について説明する。この変形例における空圧緩衝器のバルブ構造にあっては、遅延手段26a(26b)の構成が上記した他の実施の形態における空圧緩衝器のバルブ構造と異なるのみであり、この変形例における空圧緩衝器のバルブ構造の説明においても、上述した他の実施の形態の空圧緩衝器のバルブ構造と同様の部材については、説明が重複するので、同一の符号を付するのみとしてその詳しい説明を省略することとする。
この変形例における空圧緩衝器のバルブ構造では、図7に示すように、弁体27a(27b)を筒部材22a(22b)の内周に摺接させてはいるが、弁体27a(27b)と筒部材22a(22b)との間に積極的に摩擦力を生じせしめるのではなく、弁体27a(27b)のピストン1側面と反対側の面となる背面に、筒部材22a(22b)の内周に摺接して筒部材22a(22b)に対して軸方向に移動するときに摩擦力を生じる積層部材28a(28b)を積層し、この積層部材28a(28b)と筒部材22a(22b)とで遅延手段26a(26b)における摩擦部材を構成している。
この積層部材28a(28b)は、弁体27a(27b)の背面に積層される環状のプレート29と、プレート29の外周に連なり筒部材22a(22b)の内周に摺接する筒部30と、プレート29の外周に装着されるゴム等で形成されるリング32とを備えて構成され、リング32およびプレート29の外周がともに筒部材22a(22b)の内周に摺接している。
また、ピストンロッド3の先端部3aの外周には鍔付きスペーサ31が装着されており、積層部材28a(28b)のプレート29と鍔付きスペーサ31との間には、附勢手段たるバネ6a(6b)が介装され、弁体27a(27b)は当該積層部材28a(28b)を介してピストン1側へ向けて附勢されている。なお、弁体27a(27b)は、上述の他の実施の形態とは異なり、単に、円環板形状に形成され、上述のバネ6a(6b)によってピストン1側へ向けて附勢されてポート2a(2b)を閉塞している。
したがって、この積層部材28a(28b)は、筒部材22a(22b)に対して軸方向となる図7中上下方向に移動することが可能とされ、弁体27a(27b)も筒部材22a(22b)の内周側に挿入されているので、弁体27a(27b)は、ピストン1に対する軸方向となる図7中上下方向への移動が許容され、ピストン1に対して遠近してポート2a(2b)を開閉することが可能なようになっている。
そして、この変形例の場合、上述の構成から、弁体27a(27b)が筒部材22a(22b)に対してポート2a(2b)を開放する方向に移動する際に、筒部材22a(22b)と積層部材28a(28b)の間で生じる摩擦力が弁体27a(27b)にその移動を妨げる抵抗として作用するようになっている。
したがって、この変形例にあっても、遅延手段26a(26b)によって弁体27a(27b)のポート2a(2b)の開放動作に遅れを生じせしめることが可能であるので、空圧緩衝器における伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和することができるので、空圧緩衝器の振動減衰性を向上することができ、車両における乗心地を飛躍的に向上することが可能である。つまり、本発明のバルブ構造を採用した空圧緩衝器では、従来の空圧緩衝器のように伸縮速度に対して圧力変化が大きなヒステリシスを持ってしまい振動減衰性が悪化してしまうといった不具合を解消することができる。
なお、この実施の形態の場合、空圧緩衝器の伸縮が反転する場合、弁体27a(27b)が筒部材22a(22b)に対して抵抗無く移動することになるので、空圧緩衝器の伸縮反転時の伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和ができないが、空圧緩衝器の伸縮反転時の圧力変化の位相遅れをも緩和する場合には、積層部材28a(28b)と弁体27a(27b)とを一体化するようにしておくことで、空圧緩衝器の伸縮反転時の伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和することも可能である。
さらに、他の実施の形態の別の変形例について説明する。この別の変形例は、図8に示すように、弁体27a(27b)の一端となる内周をピストン1と鍔付きスペーサ31とで挟持し不動として固定端とし、弁体27a(27b)の他端となる外周を撓ませることでポート2a(2b)の開閉を実現するように構成したものであり、その他は、上記した他の実施の形態の変形例における空圧緩衝器のバルブ構造と同様である。
この他の変形例の場合、弁体27a(27b)はいわゆるリーフバルブとして構成されており、このようなリーフバルブを採用する減衰バルブにも本発明のバルブ構造が具現化することが可能である。
そして、この場合には、上述の構成から、弁体27a(27b)の外周がポート2a(2b)を開放する方向に撓む際に、筒部材22a(22b)と積層部材28a(28b)の間で生じる摩擦力が弁体27a(27b)の撓みを妨げる抵抗として作用するようになっている。
したがって、この変形例にあっても、遅延手段26a(26b)によって弁体27a(27b)のポート2aの開放動作に遅れを生じせしめることが可能であるので、空圧緩衝器における伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和することができるので、空圧緩衝器の振動減衰性を向上することができ、車両における乗心地を飛躍的に向上することが可能である。つまり、本発明のバルブ構造を採用した空圧緩衝器では、従来の空圧緩衝器のように伸縮速度に対して圧力変化が大きなヒステリシスを持ってしまい振動減衰性が悪化してしまうといった不具合を解消することができる。
なお、この他の変形例も上述の変形例と同様に、空圧緩衝器の伸縮が反転する場合、弁体27a(27b)の外周の撓みの解消が筒部材22a(22b)に対して抵抗無く行われるので、空圧緩衝器の伸縮反転時の伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和ができないが、空圧緩衝器の伸縮反転時の圧力変化の位相遅れをも緩和する場合には、積層部材28a(28b)と弁体27a(27b)とを一体化するようにしておくことで、空圧緩衝器の伸縮反転時の伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和することも可能である。
引き続き、別の実施の形態における空圧緩衝器のバルブ構造について説明する。この別の実施の形態における空圧緩衝器のバルブ構造は、図9に示すように、ピストン部の伸側および圧側の減衰バルブに具現化されており、具体的には、ポート2a,2bが形成されるバルブディスクたるピストン1と、ピストン1に積層されてポート2a,2bのそれぞれを閉塞する環状の弁体たる積層リーフバルブ33a,33bと、積層リーフバルブ33a,33bの対応するポート2a,2bの開放動作に抵抗を与えて積層リーフバルブ33a,33bによるポート2a,2bの開放を遅延させる遅延手段34a,34bとを備えて構成されている。
そして、この場合、伸側の減衰バルブの積層リーフバルブ33aは、一端たる内周側がピストン1とピストンロッド3の螺子部3cに螺着されるピストンナット8に挟持されピストン1に対して固定された状態とされて固定端とされ、他端たる外周側が自由端とされて、自由端が撓んでポート2aを開放するように設定され、圧側の減衰バルブの積層リーフバルブ33bは、一端たる内周側がピストン1とピストンロッド3の段部3bに挟持されピストン1に対して固定された状態とされて固定端とされ、他端たる外周側が自由端とされて、自由端が撓んでポート2bを開放するように設定されている。
さらに、ポート2a(2b)内には、摩擦部材35が摺動自在に挿入されており、この摩擦部材35は、円柱状に形成されてポート2a(2b)内で軸方向となる図9中上下方向に移動するときにポート2a(2b)の内周との間で摩擦力が生じて、この摩擦力が摩擦部材35の上記移動の抵抗となる。
また、この摩擦部材35は、積層リーフバルブ33a(33b)のピストン1側を向く面となる正面に連結されており、積層リーフバルブ33a(33b)と一体とされ、さらに、この摩擦部材35には、ポート2a(2b)の入口側を向く一端から開口して他端側側部に連通する通路35aが設けられており、作動気体は、上記通路35aを介してロッド側室R1とピストン側室R2とを交流することが可能とされている。
上記したように摩擦部材35の図9中上下方向に移動に対して摩擦力が生じ、この摩擦力が摩擦部材35の移動の抵抗となり、さらに、摩擦部材35と積層リーフバルブ33a(33b)とが一体化されているので、この別の実施の形態におけるバルブ構造では、積層リーフバルブ33a(33b)の外周がピストン1に対して撓んでポート2a(2b)を開放動作する場合、および撓みが解消してポート2a(2b)を閉塞する動作をする場合には、摩擦部材35に作用する摩擦力が積層リーフバルブ33a(33b)にも作用し、当該摩擦力で積層リーフバルブ33a(33b)がポート2a(2b)を開閉する動作に対して抵抗を与えることになり、積層リーフバルブ33a(33b)のポート2a(2b)の開閉動作に遅れを生じせしめることが可能である。そして、この場合、遅延手段34a,34bは摩擦部材35で実現されている。
このように構成された別の実施の形態におけるバルブ構造にあっても、上述したところから一実施の形態と同様に、遅延手段34a(34b)よって積層リーフバルブ33a(33b)のポート2a(2b)の開放動作に遅れを生じせしめることが可能であるので、空圧緩衝器における伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和することができるので、空圧緩衝器の振動減衰性を向上することができ、車両における乗心地を飛躍的に向上することが可能である。つまり、本発明のバルブ構造を採用した空圧緩衝器では、従来の空圧緩衝器のように伸縮速度に対して圧力変化が大きなヒステリシスを持ってしまい振動減衰性が悪化してしまうといった不具合を解消することができる。
また、積層リーフバルブ33a(33b)が摩擦部材35に一体とされているので、摩擦部材35に作用する摩擦力が積層リーフバルブ33a(33b)の閉弁動作に遅れを生じせしめることになるので、空圧緩衝器の伸縮反転時の伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和することも可能である。
なお、積層リーフバルブ33a(33b)は、遅延手段を設けることが可能であれば、外周側が固定されて固定端とされる、いわゆる内開きに設定されてもよい。
最後に、さらに外の実施の形態の空圧緩衝器のバルブ構造について説明する。この外の実施の形態における空圧緩衝器のバルブ構造は、図10に示すように、ピストン部の伸側および圧側の減衰バルブに具現化されており、具体的には、ポート2a,2bが形成されるバルブディスクたるピストン1と、ピストン1に積層されてポート2a,2bのそれぞれを閉塞する環状の弁体たるリーフバルブ36a,36bと、リーフバルブ36a,36bのそれぞれに積層されて接してリーフバルブ36a,36bの撓みに摩擦力で抵抗を与える摩擦部材37a,37bとを備えて構成されている。
この場合、伸側の減衰バルブのリーフバルブ36aは、一端たる内周側がピストン1とピストンロッド3の螺子部3cに螺着されるピストンナット8に挟持されピストン1に対して固定された状態とされて固定端とされ、他端たる外周側が自由端とされて、自由端が撓んでポート2aを開放するように設定され、圧側の減衰バルブのリーフバルブ36bは、一端たる内周側がピストン1とピストンロッド3の段部3bに挟持されピストン1に対して固定された状態とされて固定端とされ、他端たる外周側が自由端とされて、自由端が撓んでポート2bを開放するように設定されている。
さらに、リーフバルブ36a(36b)のピストン1側面とは反対側の面となる背面に積層される摩擦部材37a(37b)は、環状板を複数枚積層して構成され、リーフバルブ36a(36b)と同様に、内周側がピストンロッド3側に固定されて固定端とされ、外周側が自由端とされて、これらリーフバルブ36a(36b)と摩擦部材37a(37b)とで積層リーフバルブを構成している。
そして、摩擦部材37a(37b)およびリーフバルブ36a(36b)の互いに当接する面における粗度は、リーフバルブ36a(36b)の自由端となる撓み動作に対して抵抗となる摩擦力が生じるように設定されており、この摩擦部材37a(37b)およびリーフバルブ36a(36b)の当接面に生じる摩擦力によってリーフバルブ36a(36b)の自由端の撓み動作に遅れが生じるようになっている。
また、摩擦部材37a(37b)の環状板同士の当接面の粗度にあっても、充分にリーフバルブ36a(36b)の撓み動作に抵抗となる摩擦力を発生させることが可能なように設定されている。
すなわち、この外の実施の形態における空圧緩衝器のバルブ構造の遅延手段は、摩擦部材37a,37bを備えて構成されており、リーフバルブ36a(36b)の自由端となる外周がピストン1に対して撓んでポート2a(2b)を開放動作する場合、および撓みが解消してポート2a(2b)を閉塞する動作をする場合には、摩擦部材37a(37b)とリーフバルブ36a(36b)との間に生じる摩擦力でリーフバルブ36a(36b)がポート2a(2b)を開閉する動作に対して抵抗を与えることになり、リーフバルブ36a(36b)のポート2a(2b)の開閉動作に遅れを生じせしめることが可能である。
したがって、このように構成された外の実施の形態におけるバルブ構造にあっても、上述したところから一実施の形態と同様に、遅延手段よってリーフバルブ36a(36b)のポート2a(2b)の開放動作に遅れを生じせしめることが可能であるので、空圧緩衝器における伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和することができるので、空圧緩衝器の振動減衰性を向上することができ、車両における乗心地を飛躍的に向上することが可能である。つまり、本発明のバルブ構造を採用した空圧緩衝器では、従来の空圧緩衝器のように伸縮速度に対して圧力変化が大きなヒステリシスを持ってしまい振動減衰性が悪化してしまうといった不具合を解消することができる。
また、遅延手段がリーフバルブ36a(36b)の閉弁動作に遅れを生じせしめることになるので、空圧緩衝器の伸縮反転時の伸縮速度変化に対する圧力変化の位相遅れを緩和することも可能である。
なお、リーフバルブ36a(36b)は、遅延手段を設けることが可能であれば、外周側が固定されて固定端とされる、いわゆる内開きに設定されてもよい。
以上でバルブ構造の一実施の形態についての説明を終えるが、本発明のバルブ構造がベースバルブ部に具現化することも可能であり、およそ減衰力を発生する減衰力発生要素として機能する緩衝器のバルブに適用することが可能なことは勿論である。
なお、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されない。