JP4883516B2 - ピッチングマシンおよびその変化球を制御する方法 - Google Patents
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Description
知的ピッチングマシンの制御には、階層型NNを用いている。次にその制御方法について述べる。本制御では、基本的に投球したいボールの的内の位置座標X,Y、速度Vおよび後述する球種パラメータBX 、BY の5つの入力情報から、そのような投球をするための各ローラの回転数N1 、N2 、N3 とマシンの上下角θ、マシンの左右角φの5変数を出力情報とするシステムを構築すればよい。それには理論的にボールの飛翔方向を算出する方法がまず考えられる。そして、その手法については、本件発明者らはすでに前記出願にて述べているようにボールの抗力係数やマグナス力等を測定することで一応可能ではあるが、これらには非常に手間と時問を要し、かつその割に精度の良いものとはならない。
さて、カーブやシュート等の変化球を本発明では球種と呼んでいるが、これを球種パラメータBX 、BY の2つで表現する手法を提案する。今、開発したピッチングマシンの3つのローラの回転数N1 、N2 、N3 を変化させ、N3 >N1 =N2 の関係にあるとする。このとき、各ローラがボールに与える回転モーメントをベクトルで表現すると、各ローラに対応したベクトルN^1 、N^2 、N^3 (^は便宜上ベクトルを示す)はそれぞれ120度間隔なので図3(a)で示される。これら3つのベクトルを合成すると、図中のB^となる。このベクトルの大きさを最大回転数で無次元化し横軸がBX 、縦軸がBY で、BX =BY =0.5を中心とする座標系に写像すると、図3(b)のように示される。
このように定義されるベクトルB^の大きさが実際のボールに与えられる自転回転数(スピン)を示し、ベクトルB^と直交する方向がボールの回転軸の方向を示すことになる。
<基本性能試験>
本ピッチングマシンで3個のローラの回転数N1 、N2 、N3 および角度θ、φを変化させることで、どのようなボールが投げられるかをまず調べた。実験用のボールは現在プロ野球に使用されている硬式ボールと同じボールを用いた。実験は、図5に示すようなピッチングマシンと距離14mをおいて幅0.75m、高さ1.25mの的を設置し、室内で行った。また3個のローラの回転数とマシンの上下角、左右角を任意に選定して投球を行った。図6はその一例で115パターンを投球したとき、的に当たった的内の位置の位置座標の結果を示す。すべてのデータは1パターンの投球に対して3球投球を行い、その平均値を用いている。これより、殆どすべての領域にボールを投球できることが分かる。
前節の実験データを教師データとして、NNをバックプロパゲーション法により学習させた。図10に学習過程の一例を示す。これより、学習回数とともに誤差が減少していることが分かる。学習済みのNNを用いて実際の投球試験を行った。図6に示した115個の投球データを教師データとして学習させたネットワークで希望球種の投球試験を行った結果の一例を図11に示す。つまりあらかじめ希望した的内の位置、5つの速度(70、90、110、130、150km/h)および4つの球種(ストレート、ドロップ、カーブ、シュート)を決めておき、それらに対するNN出力のN1 、N2 、N3 およびθ、φを用いて投球した結果である。図中の*印が希望したボールの位置(的の真中)を示し、図11(a)では投球試験結果を各球種ごとに○口△◇印で示している。なお、○はストレート、口はドロップ、△はカーブ、◇はシュートをそれぞれ示している。
ΔV=|(V’−V)/V|×100 ・・・(1)
ここで、V:速度(目標値)、V’:速度(実験値)
Δr=((X’−X)2 +(Y’−Y)2 )1/2 ・・・(2)
ここで、X:x座標(目標値)、X’:x座標(実験値)、Y:y座標(目標値)、Y’:y座標(実験値)
本発明では3ローラ式の新型ピッチングマシンを開発し、ニューラルネットワークを用いてその回転数やボールの発射角を決定することにより希望した目標範囲に、希望した速度と球種(変化球)のボールを投球させることを試みたその結果、多様な球種で球速が70〜160km/hの広範囲で投球可能であり、またその投球精度は、速度と球種についてはほぼ完全に、また的内の位置についても、ボール2個程度の精度で予測が行えた。これは、現状のピッチッグマシンを遙かに凌ぐ充分な精度であり、非常に実用性の高い新型のピッチングマシンであると言える。
2 第2ローラ
3 第3ローラ
4 ボール
5 ボール挿入空間
6 構造台
7 台車
8 PC
9 NNシステム
10 投球決定プログラム
11 コントローラ
M1〜M3 駆動装置(電動モータ等)
M4、M5 方向制御駆動部(電動モータ等)
P ピッチングマシン
Claims (2)
- 3個のローラが作るボール挿入空間と、該ボール挿入空間内に挿入されたボールに初速および回転を付与する前記3個のローラを各別に回転制御する駆動装置と、これら3個のローラおよび駆動装置が搭載された構造台とを有するピッチングマシンにおいて、
前記構造台を、所定の上下角(θ)および左右角(φ)にて揺動可能に駆動する方向制御駆動部が設けられ、かつ、
投球すべき変化球が投じられるように、駆動装置および方向制御駆動部を操作する制御部が備えられ、
該制御部にはコンピュータが含まれており、該コンピュータには階層型ニューラルネットワークシステムが格納されており、該階層型ニューラルネットワークシステムは、
ボールの到達地点の位置座標X、Y、ボールの速度V、および、下記(I)の球種パラメータBX 、BYを入力として受け入れ、
3個のローラのそれぞれの回転数(N1、N2、N3)、構造台の上下角(θ)および左右角(φ)の変化量を出力し、かつ、
与えられた教師データを用い、入力(X、Y、V、BX、BY)と、出力(N1、N2、N3、θ、φ)との関係を、該出力と該教師データとの2乗誤差の総和を減少させていく学習によって調節し、それによって出力を制御するように構成されており、
前記の駆動装置、方向制御駆動部、および、制御部の構成によって、3個のローラのそれぞれの回転数(N1、N2、N3)、構造台の上下角(θ)および左右角(φ)の変化量が決定され、球速と球種と到達地点の座標とが制御された状態にて、目的とする変化球が投球され得るようになっていることを特徴とする、ピッチングマシン。
(I)球種を表現するための2つのパラメータBX、BYであって、
3つのローラがボールに与える回転モーメントを、それぞれベクトルN^1、N^2、
N^3で表現し、これら3つのベクトルを合成したベクトルB^を、最大回転数で無次元化し、横軸BX、縦軸BY 、BX =BY =0.5を中心とする座標系に写像することによって得られる、球種パラメータBX、BY 。 - 請求項1に記載のピッチングマシンを用い、該マシンを操作して、該マシンから投じられる変化球を制御する方法であって、
前記ピッチングマシンに設けられている制御部のコンピュータに格納された階層型ニューラルネットワークシステムに、ボールの到達地点の位置座標X、Y、ボールの速度V、および、球種パラメータB X 、B Y を入力し、各駆動装置および方向制御駆動部を制御し、3個のローラの回転数(N 1 、N 2 、N 3 )、構造台の上下角(θ)および左右角(φ)を変化させ、それによって、前記ピッチングマシンから投じられたボールを、目標とする速度および球種とし、かつ、的内の目標位置に到達させることを特徴とする、
前記ピッチングマシンの変化球を制御する方法。
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