JP4882719B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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本発明は,レーザービームプリンタや複写機等の像担持体を有する画像形成装置に関する。さらに詳細には,トナーと,トナーと同一極性の外添材と,トナーと逆極性の外添材とをともに含む一成分現像剤を用いる画像形成装置に関するものである。
従来より,像担持体を帯電・露光して静電潜像を形成し,その静電潜像をトナーで現像することによりトナー像を形成する画像形成装置がある。このような画像形成装置では,像担持体上に形成されたトナー像を用紙等に転写させた後に,像担持体上に残る残留トナーを除去するためのクリーニング装置を有するものも多い。このクリーニング装置としては,例えばクリーニングブレードが用いられる。
また,この画像形成装置に用いられる一成分現像剤としては,トナーに外添材を添加したものが多く用いられている。特に近年では,トナーの小径化の要望により,トナーと同一極性の外添材とトナーと逆極性の外添材との2種類の外添材を使用しているものがある。トナーと同一極性の外添材としては,無機化合物微粒子が用いられ,一般に疎水化したシリカ(コロイダルシリカを乾燥させたもの)が多く用いられている。この外添材を加えることにより,トナーの帯電性を補うことができる。また,トナーと逆極性の外添材としては,例えば酸化金属が用いられている。この外添材を加えることにより,トナーの流動性が高められ,現像や転写時の効率が上昇される。
このような2種の外添材を含む現像剤を,クリーニングブレードを有する装置でクリーニングすると,外添材がトナーから遊離しがちである。一般に外添材はトナーに比較して非常に小さい粒子であるため,クリーニングブレードをすり抜けて像担持体上に残り,画像ノイズの原因となることがあった。これに対し,2層構造のクリーニングブレードを有する画像形成装置が提案されている(例えば,特許文献1参照。)。この文献には,クリーニングブレードの背面に導電体部を設けて,その導電体部にトナーと同極性でかつ放電開始電圧より低い直流バイアスを印加する画像形成装置が開示されている。これにより,その導電体部にトナーと逆極性の外添材が吸着され,クリーニング性が向上するとされている。
特開平11−38848号公報
しかしながら,前記した従来の画像形成装置では,いわゆるブラックスポット(BS)を十分に除去できるとは言えなかった。外添材のかなりのものがクリーニングブレードで除去されるものの,わずかにすり抜けるものが発生することを完全には防止できないからである。そして,トナーと同一極性の外添材がクリーニングブレードをすり抜けた場合,像担持体上に付着したまま帯電装置に対面することにより,トナーと同様に帯電されてしまう。さらに,この帯電された外添材粒子に,トナーと逆極性の外添材が吸い寄せられるため,外添材が凝集してしまうのである。これを繰り返して,この塊がある程度以上の大きさとなると,紙上で視認できる程度のノイズの原因となってしまう。
なお,このノイズは正転現像装置を使用した画像形成装置では,黒い点となって現れるため,ブラックスポットと名付けられた。反転現像装置を使用した画像形成装置では,白い点となって現れるが,この名称を継承して使用している。以下では,ノイズの原因となる外添材の凝集物を「BS」,BSの中心となるトナーと同一極性の外添材粒子を「BSの核」と記載する。
本発明は,前記した従来の画像形成装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,BSの発生と成長を抑制することのできる画像形成装置を提供することにある。
この課題の解決を目的としてなされた本発明の画像形成装置は,像担持体と,像担持体の表面を帯電させる帯電器と,帯電器により帯電させられた像担持体の表面に静電潜像を形成する露光器と,形成された静電潜像上に一成分現像剤でトナー像を形成する現像器と,形成されたトナー像を被転写体に転写させる転写器と,転写後に像担持体上に残ったトナーを除去するクリーニング部材とを有する画像形成装置であって,現像器が用いる一成分現像剤が,トナーと,トナーと同じ帯電極性である第1の外添材と,トナーと逆の帯電極性である第2の外添材とを有するものであり,転写器より下流でクリーニング部材より上流の位置で像担持体に接触する導電部材と,導電部材にバイアス電圧を印加する電圧印加部とを有し,電圧印加部により導電部材に印加されるバイアス電圧の極性は,帯電器において像担持体に印加するバイアス電圧の極性と同じであり,電圧印加部により導電部材に印加されるバイアス電圧の大きさは,像担持体と導電部材との間の放電開始電圧よりも絶対値にて大きいものである。
本発明の画像形成装置によれば,転写後に像担持体上に残った現像剤は,その下流の位置で導電部材に接触される。導電部材には,電圧印加部によってバイアス電圧が印加されているので,これに接触することによって外添材の荷電状態が変化される。さらに,導電部材に印加されるバイアス電圧は,転写器より下流で導電部材より上流の位置での像担持体の表面電位を基準としたときに,帯電器における帯電極性と同じ向きとされている。従って,トナーと逆の帯電極性である第2の外添材は,ここで帯電極性と同じ向きの電圧を受けるので,除電されることになる。従って,第1の外添材がクリーニング部材をすり抜けたとしても,その周囲に第2の外添材が凝集することは抑制されている。また,このバイアス電圧は,像担持体と導電部材との間の放電開始電圧よりも絶対値にて大きいものとされているので,さらに効果的に除電される。
さらに本発明では,電圧印加部により導電部材に印加されるバイアス電圧の大きさは,像担持体と導電部材との間の絶縁破壊電圧よりも絶対値にて小さいことが望ましい。このようにすれば,像担持体の絶縁層が,導電部材に印加されるバイアス電圧によって破壊されるおそれはない。
本発明の画像形成装置によれば,BSの発生と成長を抑制することができる。
以下,本発明を具体化した最良の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,いわゆるタンデム方式のカラー画像形成装置に本発明を適用したものである。
本形態の画像形成装置1の主要部は,図1にその概略構成を示すように,各色の画像形成部10Y,10M,10C,10Bk,中間転写ベルト11,2次転写装置12,ベルトクリーナ13を有している。各色の画像形成部10Y,10M,10C,10Bkは,中間転写ベルト11に沿って配置されている。中間転写ベルト11は図中矢印Aで示すように回転されている。その中間転写ベルト11上に,各色の画像形成部によって各色のトナー像が重ね合わされて形成される。重ね合わされたトナー像は,2次転写装置12によって記録紙14に転写される。また,2次転写後も中間転写ベルト11上に残ったトナーは,ベルトクリーナ13によって掻き取られる。なお以下では,特に区別の必要がない場合には,各色の添字YMCBkを省略して記載する。
各色の画像形成部10はいずれも同じ構成である。各画像形成部10は,図1に示すように,感光体ドラム20を中心として,その周囲に帯電装置30,露光装置40,現像装置50,転写装置60,クリーニングブレード70を有している。以上の各装置は,それぞれいずれも,一般的な画像形成装置において使用されているものと同様のものを使用する。
感光体ドラム20は,導電層の周囲に感光層が設けられている。そして,画像形成時には図中時計回りに回転される。この感光体ドラム20の感光層は,帯電装置30によって均一に帯電され,露光装置40によって静電潜像が形成される。さらに,その静電潜像上に現像装置50でトナー像が形成され,そのトナー像は転写装置60によって中間転写ベルト11上に転写される。転写後も感光体ドラム20上に残留したトナーは,クリーニングブレード70によって掻き取られる。
さらに,本形態の画像形成装置1では,転写装置60とクリーニングブレード70との間の位置に導電部材80が備えられている。導電部材80は,図2に示すように,導電部81,導電性フィルム82,電源83を有している。導電部81は,電源83の電圧を受けて,導電性フィルム82に帯電装置30と同じ極性のバイアス電圧を印加する。ここでは,電源83を直流電源としており,導電性フィルム82には直流バイアス電圧が印加されている。導電性フィルム82の先端部(図中右端部)は,感光体ドラム20の表面に接触されている。また,導電性フィルム82の図中奥行き方向長さは,感光体ドラム20の感光部分より少し短く,画像領域より長く形成されている。
本形態の画像形成装置1の現像装置50では,重合法によって形成された一成分現像剤を用いる。また,負帯電トナーを使用する。本形態の現像装置50は反転現像装置であり,負帯電トナーを使用することから,帯電装置30は感光体ドラム20を負に帯電させるものである。また,導電部材80の導電部81は,導電性フィルム82に負のバイアス電圧を印加する。
トナーに添加される外添材としては,トナーと帯電極性が同極性のシリカ,およびトナーと帯電極性が逆極性のチタン酸塩を適量混合したものとする。このシリカが第1の外添材に相当し,チタン酸塩が第2の外添材に相当する。そして例えば,シリカをトナーに対して0.05〜2.0重量%添加し,チタン酸塩をトナーに対して0.1〜3.0重量%添加したものが望ましい。ここでは,シリカとしてキャボット製のTG−811Fまたはワッカー製のH1303を,また,チタン酸塩としてチタン酸ストロンチウムを添加した。
次に,この導電部材80に印加されるバイアス電圧の適切な大きさについて説明する。感光体ドラム20の感光層の表面電位は一般に,電圧が印加された部材がその表面に接触されることにより影響を受ける。しかし,その部材に印加されている電圧が所定の電圧以下であれば,感光層の表面電位はほとんど影響を受けないことが分かっている。感光体ドラム20の感光層の表面電位が,接触する部材の影響を受ける最も小さいバイアス電圧の絶対値を,放電開始電圧という。本形態では,感光体ドラム20の表面電位が変化する程度のバイアス電圧を印加することが必要であるので,導電部材80には絶対値にてこの放電開始電圧以上の電圧を印加する。
さらに,感光体ドラム20の表面の絶縁層は,その外部に,感光層を基準として絶対値である程度以上の大きさの電圧をかけると破壊され,導通されてしまうことが知られている。この電圧を絶縁破壊電圧という。この電圧は一般的には絶対値で2000V程度であり,これ以上の電圧を導電部材80に印加することは好ましくない。以上のことから,導電部材80に印加するバイアス電圧Vdの範囲は,絶対値で以下の(式1)の範囲内とすることが好ましい。
放電開始電圧 ≦ Vd < 絶縁破壊電圧 …(式1)
なお,この(式1)に示したバイアス電圧Vdは,導電部材80に接触する直前の感光体ドラム20の表面電位を基準としたものである。すなわち,転写装置60より下流で導電部材80より上流の位置での感光体ドラム20の表面電位を基準としている。
本形態では,画像形成時に転写後も感光体ドラム20上に残留した外添材は,導電部材80に接触される。このとき,導電部材80に上記のような範囲の負のバイアス電圧が印加されていることから,トナーや外添材は導電部材80によって負の向きに荷電状態が変化する。特に,外添材のチタン酸塩は,トナーと逆極性であるため,ここで除電されることになる。
感光体ドラム20がさらに回転され,上記のように荷電量が変化したトナーや外添材は,次にクリーニングブレード70によって掻き取られる。ここで,トナーと同極性のシリカがクリーニングブレード70をすり抜けたとしても,チタン酸塩は除電されているので,シリカの周囲に凝集することはない。従って,BSが紙上で視認できるほどに成長することはない。そして,次回のクリーニング時にクリーニングブレード70によって,残っていた外添材のほとんどが削り取られるので,ノイズは抑制されている。
さらに,本発明者らは,上記のバイアス電圧Vdの範囲について次のようにして検証した。まず,コニカミノルタ製magicolor5440DL用のイメージングカートリッジを改造したものを試験機として用いて,導電部81の印加電圧を変化させ,感光体ドラム20の放電開始電圧を調べた。すなわち,図3に示すように,感光体ドラム20の表面には,クリーニングブレード70,導電部81を取り付けた導電性フィルム82,の2部材のみを接触させた。導電部81には,高電圧発生部(HV)84を取り付けて,印加電圧を変化させることができるようにした。また,クリーニングブレード70の下流側に表面電位測定用プローブ85を設けて,感光体ドラム20の表面電位を検出した。
その実験結果を図4に破線L1で示す。破線L1の横軸は導電部81への印加バイアス電圧(V)であり,縦軸は右辺の感光体電位(V)である。図4に示すように,導電部81への印加バイアス電圧の絶対値が小さく,感光体電位が0Vとなる範囲がある。ここではおよそ−570V〜570Vの範囲が非放電範囲であった。そして,印加するバイアス電圧の絶対値がこれを超えると,感光体電位は急激に変化した。この非放電範囲の境界の電圧が放電開始電圧である。すなわち,負の放電開始電圧は,−570Vであることが分かった。この電圧は絶縁破壊電圧よりは絶対値でかなり小さい電圧である。
次に,上記のように放電開始電圧を把握した上で,画像形成装置1において導電部材80に印加する電圧を変化させ,BSの発生状況を調査した。その結果を図4に実線L2で示す。この実線L2の横軸は導電部81への印加バイアス電圧(V)であり,縦軸は左辺のBS被覆率(%)である。この図に示すように,導電部材80のバイアス電圧を次第に上昇させていくと,放電開始電圧の近くでBS被覆率が大幅に増加した。なお,このBS被覆率は,感光体ドラム20の表面状態を写真に撮影し,その画像データを二値化して単位面積当たりのBSの占める面積率を求めたものである。一般に,BS被覆率が6%程度以上となると,画像上にノイズとして視認される。
この実験結果から,Vdの範囲を上記の(式1)の範囲内,本試験例では,
−2000V < Vd ≦ −570V
とすれば,BS被覆率は約3%以下となるので,ノイズは抑制されていると言える。なお,導電部81へバイアス電圧を印加するタイミングは特に限定されない。常時印加していてもよいし,画像形成時のみ印加するようにしてもよい。あるいは,複数種のバイアス電圧値を用意しておき,所定のタイミングで切り替えることとしてもよい。例えば,画像形成時に帯電バイアスと同極性のバイアスを印加して,補助帯電装置として機能させることもできる。
以上詳細に説明したように,本形態の画像形成装置では,転写装置60より下流でクリーニングブレード70より上流の位置に導電部材80を設けている。そして,導電性フィルム82に帯電装置30と同じ向きのバイアス電圧を印加して,感光体ドラム20に接触させている。さらにそのバイアス電圧値は,直前の感光体ドラム20の表面電位を基準として,絶対値で放電開始電圧以上で絶縁破壊電圧より小さいものとしている。従って,転写後も感光体ドラム20の表面に残留した現像剤のうち,トナーと逆極性の外添材は,導電部材80によって適切に除電される。すなわち,トナーと同極性の外添材が残留したとしても,その周囲にトナーと逆極性の外添材が凝集することは防止されている。これにより,BSの発生と成長を抑制することができる。
なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
例えば,上記の形態では導電部材80に印加する電圧を直流電圧としているが,交流電圧であっても同様の効果が得られる。また,感光体ドラム20に接触させる部材を導電性フィルムとしたが,感光体ドラム20の表面にムラ無く接触できる部材であればフィルムに限るものではない。ブレードやローラ等によって実施することも可能である。また,トナーに含まれる外添材は2種類以上であれば,さらに多種類のものが含まれていてもよい。また,二次転写方式に限らず,直接転写方式の画像形成装置にも適用可能である。また,タンデム方式のカラー画像形成装置に限らず,モノクロの画像形成装置や複写機,FAX等にも適用可能である。
本形態に係る画像形成装置の主要部の概略構成を示す断面図である。 導電部材を示す説明図である。 感光体ドラムの帯電特性を調査した装置を示す説明図である。 導電部材の印加バイアス電圧と感光体ドラムの表面電位およびBS被覆率との関係を示すグラフ図である。
符号の説明
1 画像形成装置
20 感光体ドラム
30 帯電装置
40 露光装置
50 現像装置
60 転写装置
70 クリーニングブレード
80 導電部材
83 電源

Claims (2)

  1. 像担持体と,前記像担持体の表面を帯電させる帯電器と,前記帯電器により帯電させられた前記像担持体の表面に静電潜像を形成する露光器と,形成された静電潜像上に一成分現像剤でトナー像を形成する現像器と,形成されたトナー像を被転写体に転写させる転写器と,転写後に前記像担持体上に残ったトナーを除去するクリーニング部材とを有する画像形成装置において,
    前記現像器が用いる一成分現像剤が,トナーと,前記トナーと同じ帯電極性である第1の外添材と,トナーと逆の帯電極性である第2の外添材とを有するものであり,
    前記転写器より下流で前記クリーニング部材より上流の位置で前記像担持体に接触する導電部材と,
    前記導電部材にバイアス電圧を印加する電圧印加部とを有し,
    前記電圧印加部により前記導電部材に印加されるバイアス電圧の極性は,前記帯電器において前記像担持体に印加するバイアス電圧の極性と同じであり,
    前記電圧印加部により前記導電部材に印加されるバイアス電圧の大きさは,前記像担持体と前記導電部材との間の放電開始電圧よりも絶対値にて大きいことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において,
    前記電圧印加部により前記導電部材に印加されるバイアス電圧の大きさは,前記像担持体と前記導電部材との間の絶縁破壊電圧よりも絶対値にて小さいことを特徴とする画像形成装置。
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