図1〜23を参照して、本発明による遮光装置を搭載した電子カメラの一実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態による電子カメラである一眼レフタイプのカメラボディ100とカメラボディ100に装着する撮影レンズ120を示した斜視図である。カメラボディ100にはレリーズボタン104と、撮像素子であるCCD69と、カメラボディ100の各部を制御する制御回路101とが設けられている。301は、撮影レンズ120からの被写体像をCCD69に導くための撮影光路である。本実施の形態の電子カメラでは、制御回路101からの制御信号によってCCD69の電荷の蓄積時間を制御する、いわゆる電子シャッタと呼ばれるもので露光時間を制御する。カメラボディ100に撮影レンズ120を装着すると、レンズ側絞りレバー123とカメラ側の絞り連動レバー323の当接部323aとが当接する。レンズ側絞りレバー123は、カメラ側の絞り連動レバー323により駆動されて所定の絞り値に制御される。なお、本実施の形態では、撮影レンズ120が取り付けられるカメラボディ100の前方を正面と呼び、CCD69が設けられるカメラボディ100の後方を背面と呼ぶ。また、カメラボディ100の上下左右方向を各図に記載したように規定する。
図2は、カメラボディ100に取り付けられるミラーボックスの斜視図である。ミラーボックス300の内部にはメインミラー321とサブミラー322とが設けられている。ミラーボックス300の側面の軸には、レンズ側絞りレバー123を駆動する絞り連動レバー323など、公知の各種レバーが回動可能に取り付けられている。さらにミラーボックス300には、レンズ絞りを所定の絞り値に制御するための公知の絞り制御機構200と、本実施の形態による遮光装置400とが取り付けられる。以下に述べる各部の構成については、撮影開始前(レリーズ動作開始前)の状態を前提として説明する。
−−−遮光装置400−−−
遮光装置400は、CCD69を遮光する閉状態と、CCD69に被写体像を導く開状態との間で開閉動作を行う一組の遮光羽根を有する機構であり、遮光羽根部410と、遮光羽根駆動部420とを有する(図2)。図3〜5は、遮光羽根部410の詳細を示す図である。なお、図3は、CCD69を遮光する閉状態の遮光羽根部410を正面から見た図であり、図5は、CCD69に被写体像を導く開状態の遮光羽根部410を正面から見た図である。図4は、図3のI−I断面を示す図である。図2に示すように、遮光装置400は、CCD69の前方に位置するようにミラーボックス300の背面に取り付けられる。
遮光羽根部410は、基板1と、上側遮光羽根8,9と、下側遮光羽根6,7と、上側主アーム2と、上側従動アーム3と、下側主アーム5と、下側従動アーム4と、仕切板12,13と、カバー板14とを備えている。基板1は、遮光装置400を構成する各部品が配設される基板であり、長穴1f,1gと、CCD69に被写体像を導く撮影開口411とが設けられている。基板1の正面側には、遮光羽根駆動部420が取り付けられている。後述するように、基板1の正面側には、遮光羽根駆動部420の各レバーが取り付けられる軸が植設されている。基板1の背面側には、アーム回転軸1b〜1eが植設されている。基板1の背面には、基板1の撮影開口411と略同形状の開口12a,13a,14aを有する仕切板12,13およびカバー板14が配設される(図4参照)。
撮影開口411は、横長の矩形形状を呈している。すなわち、撮影開口411の上辺411aおよび下辺411cの長さは、右辺411bおよび左辺411dの長さよりも長い。以下の説明では、撮影開口411の上下方向(高さ方向)を短辺方向とも呼び、撮影開口411の左右方向を長辺方向とも呼ぶこととする。
上側遮光羽根8,9は、撮影開口411を短辺方向に走行して、撮影開口411の上下方向略中央のやや下側から上の領域、すなわち、撮影開口411の略上半分の領域を遮光および開放する遮光羽根であり、それぞれ上側主アーム2と上側従動アーム3の双方に取り付けられている。撮影開口411を遮光した際に下側に位置する遮光羽根を上側第1遮光羽根8と呼び、上側に位置する羽根を上側第2遮光羽根9と呼ぶ。下側遮光羽根6,7は、撮影開口411を短辺方向に走行して、撮影開口411の上下方向略中央のやや上側から下の領域、すなわち、撮影開口411の略下半分の領域を遮光および開放する遮光羽根であり、それぞれ下側主アーム5と下側従動アーム4の双方に取り付けられている。撮影開口411を遮光した際に上側に位置する羽根を下側第1遮光羽根6と呼び、下側に位置する羽根を下側第2遮光羽根7と呼ぶ。
上側主アーム2および上側従動アーム3は、アーム回転軸1bおよび1cに回動可能に軸支され、下側主アーム5および下側従動アーム4は、アーム回転軸1eおよび1dに回動可能に軸支されている。上側主アーム2および上側従動アーム3には、かしめピン8a,9aによって上側遮光羽根8,9が回動可能に取り付けられている。上側主アーム2および上側従動アーム3がアーム回転軸1bおよび1cを中心に回転駆動されると、上側遮光羽根8,9が連動して駆動される。すなわち、上側主アーム2と上側従動アーム3とによって構成される周知のリンク機構によって2枚の上側遮光羽根8,9が連動して駆動されて、基板1の撮影開口411を短辺方向に移動するように構成されている。なお、上側主アーム2、上側従動アーム3および上側遮光羽根8,9は、基板1と仕切板12との間に配設されている(図4)。以下の説明では、上側主アーム2、上側従動アーム3および上側遮光羽根8,9によって構成される撮影開口411の遮光機構を上側遮光機構と呼ぶ。
下側主アーム5および下側従動アーム4には、かしめピン6a,7aによって下側遮光羽根6,7が回動可能に取り付けられている。下側主アーム5および下側従動アーム4がアーム回転軸1eおよび1dを中心に回転駆動されると、下側遮光羽根6,7が連動して駆動される。すなわち、下側主アーム5と下側従動アーム4とによって構成される周知のリンク機構によって2枚の下側遮光羽根6,7が連動して駆動されて、基板1の撮影開口411を短辺方向に移動するように構成されている。なお、下側主アーム5、下側従動アーム4および下側遮光羽根6,7は、仕切板13とカバー板14との間に配設されている(図4)。以下の説明では、下側主アーム5、下側従動アーム4および下側遮光羽根6,7によって構成される撮影開口411の遮光機構を下側遮光機構と呼ぶ。下側遮光機構は、撮影開口411の上下方向の略中央を軸として、上側遮光機構と略対称となるように配設されている。撮影開口411を遮光する際、上側第1遮光羽根8および下側第1遮光羽根6は、それぞれ相手側の遮光羽根群に向かって先頭を走行する。
このように、遮光羽根部410は、相手側の遮光羽根群に向かって先頭を走行する遮光羽根(上側第1遮光羽根8および下側第1遮光羽根6)と、その他の遮光羽根(上側第2遮光羽根9および下側第2遮光羽根7)の2枚を1組として上下2組有している。上側遮光機構および下側遮光機構に用いられる遮光羽根の枚数を減らすと、遮光羽根部410の前後方向(光軸方向)の厚さを薄くできるが、各遮光羽根の高さが高くなるため、撮影開口411の開放時に遮光羽根が退避する部分の高さも高くなり、遮光羽根部410の全体の高さが高くなる。逆に、上側遮光機構および下側遮光機構に用いられる遮光羽根の枚数を増やすと、遮光羽根部410の光軸方向の厚さが厚くなるが、各遮光羽根の高さが低くなるため、上述とは逆に遮光羽根部410の高さを低くできる。本実施の形態の遮光羽根部410では、遮光羽根部410および電子カメラが小型化できるように、遮光羽根部410の高さと光軸方向の厚さの両面を考慮して、上側遮光機構および下側遮光機構に用いられる遮光羽根の枚数をそれぞれ2枚ずつとしている。
上側主アーム2および下側主アーム5には、穴2a,5aが設けられ、後述するように長穴1f,1gを貫通した遮光羽根駆動部420の連動ピン24,35が正面側から挿入される。穴2a,5aに嵌合する連動ピン24,35が長穴1f,1gに沿って駆動されると、上側主アーム2および下側主アーム5がアーム回転軸1bおよび1eを中心に旋回されるので、上述のように、上側遮光羽根8,9および下側遮光羽根6,7が連動して駆動される。
上側遮光羽根8,9および下側遮光羽根6,7の駆動範囲は、それぞれ後述する連動ピン24,35の駆動範囲によって決定されるが、撮影開始前の撮影開口411の遮蔽時には、図3,4に示す状態となる。すなわち、上側第1遮光羽根8は、撮影開口411の短辺方向中央よりも下方まで下がった位置で停止され、上側第2遮光羽根9は、上側第1遮光羽根8および上辺411aより上方の基板1と一部重なった状態で停止される。したがって、撮影開始前の撮影開口411の遮蔽時には、上側遮光羽根8,9は、上側第1遮光羽根9の下辺9bの位置する撮影開口411の短辺方向中央より下方の部分から上辺411aまでの範囲を遮光する。
下側第1遮光羽根6は、撮影開口411の短辺方向中央よりも上方まで上がった位置で停止され、下側第2遮光羽根7は、下側第1遮光羽根6および下辺411cより下方の基板1と一部重なった状態で停止される。したがって、撮影開始前の撮影開口411の遮蔽時には、下側遮光羽根6,7は、下側第1遮光羽根6の上辺6bの位置する撮影開口411の短辺方向中央より上方の部分から下辺411cまでの範囲を遮光する。
上述のように、撮影開始前の撮影開口411の遮蔽時には、上側第1遮光羽根8は、撮影開口411の短辺方向中央よりも下方まで下がった位置で停止され、下側第1遮光羽根6は、撮影開口411の短辺方向中央よりも上方まで上がった位置で停止されるので、撮影開口411の上下方向の略中央で上側第1遮光羽根8と下側第1遮光羽根6とが重なり、撮影開口411は、上側遮光羽根8,9および下側遮光羽根6,7によって完全に閉じられて遮蔽された状態となる。なお、図4に示すように、撮影開始前の撮影開口411の遮蔽時には、上側第2遮光羽根9は下側遮光羽根6,7と重ならず、下側第2遮光羽根7は上側遮光羽根8,9とは重ならない。
撮影開始前の撮影開口411の遮蔽時には、上側第1遮光羽根8は、下辺411cよりも上方で停止されるため下辺411cまで到達しない。同様に、下側第1遮光羽根6は、上辺411aよりも下方で停止されるため、上辺411aまで到達しない。撮影時には、図5に示すように、上側遮光羽根8,9は、撮影開口411から上方に退避し、下側遮光羽根6,7は、撮影開口411から下方に退避して、撮影開口411を完全に開放する。仕切板12,13は、撮影開口411の遮蔽時に互いに対向して走行する上側遮光羽根9と下側遮光羽根6との重なりが生じる際に、上側遮光羽根9と下側遮光羽根6とが衝突するのを防止する機能を有する部材である。
図6〜10は、遮光羽根駆動部420の詳細を示す図である。なお、図7〜9では、説明の便宜上、一部の構成要素について輪郭を強調している。遮光羽根駆動部420は、遮光羽根部410を駆動するための駆動機構であり、基板1の正面側に設けられている。図6〜9に示すように、基板1の正面側には、遮光羽根駆動部420の各レバーが取り付けられる軸1b,1e,15,26,29,36と、ピン20,65〜68とが植設されている。また、基板1の正面側には、チャージレバー18と、閉鎖駆動レバー21と、開放従動レバー23と、閉鎖係止レバー25と、上側ブレーキレバー28と、下側ブレーキレバー30と、閉鎖従動レバー32と、開放駆動レバー34と、開放係止レバー37とが設けられ、これら各レバーよりもさらに正面側に制御基板39が配設されている(図10)。
制御基板39は、支柱40〜42によって基板1の正面側に基板1と所定距離だけ離間した状態で取り付けられている。制御基板39には、開口部39a,39bと、当接端部39c,39dが設けられている。なお、当接端部39cは、制御基板39の左側端面に設けられ、当接端部39dは、開口部39bの内側の右側端面に設けられている。制御基板39の正面側の表面には、軸43,47,61と、ピン54と、位置決めピン58とが植設され、マグネット57と、レリーズレバー44と、慣性レバー46と、リセットレバー48と、マグネットレバー50とが設けられている。
図6,7に示すように、軸1bと軸1eとは、撮影開口411の上下方向の略中央を軸として、略対称となるように配設されている。軸29は、撮影開口411の上下方向の略中央に配設されている。チャージレバー18は、遮光羽根駆動部420の各部を撮像前の状態に復帰させるために、不図示の駆動モータからの動力を伝達するレバーであり、軸15に回動可能に軸支され、上端部分の背面側に設けられたチャージローラ16と、下方の正面側に設けられたリセットローラ17とを有する。チャージレバー18の下端部分には、カム面18aが形成されている。チャージレバー18は、バネ19によって基板1に対して、図6,7における図示時計方向に付勢されている。チャージレバー18の図示時計方向の旋回は、ピン20によって規制されている。撮影開始前、チャージレバー18は、バネ19の付勢力で図示時計方向に回動されて、ピン20に当接して停止している。
閉鎖駆動レバー21は、露光後直ちに撮影開口411を遮光するように上側遮光機構を駆動するためのレバーであり、軸1bに回動可能に軸支され、曲げ部21aと、セクターギヤ部21bと、係止部21cと、バネ係止部21dとを有する。閉鎖駆動レバー21は、バネ係止部21dに係止されたバネ22によって、基板1に対して、図6,7における図示時計方向に付勢されている。撮影開始前、閉鎖駆動レバー21の図示時計方向の旋回は、係止部21cが閉鎖係止レバー25に係止されることによって規制される。セクターギヤ部21bは、次に述べる閉鎖従動レバー32のセクターギヤ部32bと噛合している。
閉鎖従動レバー32は、閉鎖駆動レバー21に従動して駆動されて、露光後直ちに撮影開口411を遮光するように下側遮光機構を駆動するためのレバーであり、軸1eに回動可能に軸支され、曲げ部32aと、セクターギヤ部32bと、ローラ部32cと、バネ係止部32dとを有する。上述のように、セクターギヤ部32bが閉鎖駆動レバー21のセクターギヤ部21bと噛合しているので、閉鎖従動レバー32は、閉鎖駆動レバー21と連動して回動される。ローラ部32cは、回動中心(軸1e)とセクターギヤ部23bとの間の正面側の表面に設けられている。バネ係止部32dには、バネ33の一端が係止されている。閉鎖駆動レバー21および閉鎖従動レバー32の配設位置、回動方向、回動位相は、撮影開口411の上下方向の略中央を軸として略対称となる。撮影開始前、閉鎖従動レバー32は、閉鎖駆動レバー21に従動して図示時計方向に回動された状態で停止している。
閉鎖係止レバー25は、閉鎖駆動レバー21の図示時計方向への旋回を規制および許可するためのレバーであり、曲げ部25a,25bを有する。閉鎖係止レバー25は、バネ27によって基板1に対して図示反時計方向に付勢されている。閉鎖係止レバー25の図示反時計方向への旋回は、制御基板39の正面側に延在する曲げ部25bの一部が制御基板39の当接端部39cに当接することで規制される(図10)。閉鎖係止レバー25は、曲げ部25aが閉鎖駆動レバー21の係止部21cと当接することで、閉鎖駆動レバー21の図示時計方向への旋回を規制する。
開放駆動レバー34は、下側遮光機構を駆動するためのレバーであり、図6,8に示すように、軸1eに回動可能に軸支され、セクターギヤ部34aと、腕34bと、係止部34cと、バネ係止部34dとを有する。セクターギヤ部34aは、次に述べる開放従動レバー23のセクターギヤ部23aと噛合している。腕34bは、開放駆動レバー34の回動中心(軸1e)から図示斜め右下方に延在し、その先端に係止部34cが設けられている。腕34bの背面側には、係止部34cの近傍に連動ピン35が植設されている。上述のように、連動ピン35の先端は、基板1の長穴1gを貫通して、下側主アーム5の穴5aに挿入されている。開放駆動レバー34は、バネ係止部34dに他端が取り付けられたバネ33によって、基板1に対して、図6,8における図示時計方向に付勢されている。撮影開始前、開放駆動レバー34の図示時計方向への旋回は、後述する開放係止レバー37の曲げ部37aに係止部34cが当接することで規制される。
開放従動レバー23は、上側遮光機構を駆動するためのレバーであり、軸1bに回動可能に軸支され、セクターギヤ部23aと、腕23bとを有する。セクターギヤ部23aが、上述のように開放駆動レバー34のセクターギヤ部34aと噛合しているので、開放従動レバー23は、開放駆動レバー34と連動して回動される。腕23bは、開放従動レバー23の回動中心(軸1b)から図示斜め右上方に延在している。腕23bの先端近傍の背面側には、連動ピン24が植設されている。上述のように、連動ピン24の先端は、基板1の長穴1fを貫通して、上側主アーム2の穴2aに挿入されている。開放駆動レバー34および開放従動レバー23の配設位置、回動方向、回動位相は、撮影開口411の上下方向の略中央を軸として略対称となる。
開放係止レバー37は、開放駆動レバー34の図示時計方向への旋回を規制および許可するためのレバーであり、軸36に回動可能に軸支され、曲げ部37a,37bを有する。曲げ部37aは、開放駆動レバー34の係止部34cを係止するように形成され、曲げ部37bは、制御基板39の開口39bから制御基板39の正面側へ突出するように形成されている。開放係止レバー37は、バネ38によって基板1に対して図示反時計方向に付勢されている。開放係止レバー37の図示反時計方向への旋回は、制御基板39に設けられた開口部39bの内周面の一部である当接端部39dに曲げ部37bが当接することで規制される(図10)。開放係止レバー37は、上述のように曲げ部37aが開放駆動レバー34の係止部34cを係止することで、開放駆動レバー34の図示時計方向への旋回を規制する。
上側ブレーキレバー28は、撮影開口411の開放時および遮光時に開放従動レバー23を制動するレバーであり、図6,9に示すように、軸29に回動可能に軸支され、上方に延在する腕に設けられた当接部28a,28bを有する。下側ブレーキレバー30は、撮影開口411の開放時および遮光時に開放駆動レバー34を制動するレバーであり、軸29に回動可能に軸支され、下方に延在する腕に設けられた当接部30a,30bを有する。上側ブレーキレバー28および下側ブレーキレバー30には、軸29を中心として回動する際に公知の方法によってビス31の締め付け力を利用した摩擦力が作用する。撮影開始前、上側ブレーキレバー28は、図示時計方向に回動されて、当接部28b近傍でピン65に当接して停止している。下側ブレーキレバー30は、図示反時計方向に回動されて、当接部30b近傍でピン66に当接して停止している。
レリーズレバー44は、レリーズ動作の際にメインミラー321のミラーアップ動作に連動して駆動されるレバーであり、図10に示すように、軸43に回動可能に軸支され、係止部44aとレリーズ端44bとを有する。レリーズレバー44は、バネ64によって制御基板39に対して図示反時計方向に付勢されている。撮影開始前、レリーズレバー44は、係止部44aでリセットレバー48の曲げ部48bを係止している。60は、ミラーボックス300に取り付けられて、メインミラー321のミラーアップ動作およびミラーダウン動作に連動して駆動されるレバーであり、レリーズ端44bの近傍に配設されている。
慣性レバー46は、軸61に回動可能に軸支され、バネ45によって制御基板39に対して図示反時計方向に付勢されている。慣性レバー46の背面側には、上方の端部近傍にピン62が植設され、下方の端部近傍にピン63が植設されている。撮影開始前、慣性レバー46は、後述するリセットレバー48のカム面48aが設けられる腕によってピン62が斜め下方に押圧されて、バネ45の付勢力に抗して図示時計方向に回動されて停止している。リセットレバー48は、軸47に回動可能に軸支され、カム面48aと曲げ部48bとを有する。リセットレバー48は、カム面48aが設けられる腕に一端が取り付けられたバネ49と、曲げ部48bに一端が係合されたバネ55とによって制御基板39に対して図示時計方向に付勢されている。バネ55の他端は、ピン54に係合されている。撮影開始前、リセットレバー48の図示時計方向への旋回は、曲げ部48bがレリーズレバー44の係止部44aに係止されることで規制されている。
マグネットレバー50は、軸47に回動可能に軸支され、曲げ部50a,50b,50cを有する。マグネットレバー50の曲げ部50bにはバネ56の一端が係合されている。図10に示すように、撮影開始前の状態では、バネ56の他端がリセットレバー48の曲げ部48bに係合されているため、マグネットレバー50は、バネ56によって図示反時計方向に付勢される。曲げ部50cが設けられるマグネットレバー50の腕には、背面側にピン53が植設されている。曲げ部50c近傍には軸51によって鉄片52が公知の方法により取り付けられている。鉄片52は、図10に示す撮影開始前の状態では、後述するマグネット57に当接している。
マグネット57は、マグネットレバー50に取り付けられた鉄片52を吸着および釈放する公知のマグネットであり、位置決めピン58によって決められる制御基板39上の所定位置に、ビス59によって固定されている。マグネット57は、励磁状態では鉄片52を吸着し、非励磁状態では鉄片52を離脱可能に釈放する。
−−−撮影時の動作説明−−−
本実施の形態の電子カメラで撮影する際の各部の動作について、遮光装置400を中心に説明する。撮影開始前、撮影レンズ120の絞りは開放状態であり、メインミラー321は、ミラーダウン位置となっている。遮光装置400の各部は、図3,4,6〜10に示す状態となっている。
図6,8に示すように、開放駆動レバー34は、バネ33の付勢力に抗して図示反時計方向に旋回された状態で、係止部34cが開放係止レバー37の曲げ部37aに係止されることによって停止している。これにより、図3に示すように、開放駆動レバー34に植設された連動ピン35が下側主アーム5を図示反時計方向に回動させるので、下側遮光機構は、撮影開口411の短辺方向中央より上方の部分から下辺411cまでの範囲を遮光する。開放従動レバー23は、開放駆動レバー34に従動して図示時計方向に回動された状態で停止している。これにより、図3に示すように、開放従動レバー23に植設された連動ピン24が上側主アーム2を図示時計方向に回動させるので、上側遮光機構は、撮影開口411の短辺方向中央より下方の部分から上辺411aまでの範囲を遮光する。すなわち、撮影開口411は、上側遮光羽根8,9および下側遮光羽根6,7によって遮蔽されている。
レリーズボタン104が押圧されて不図示のレリーズスイッチからレリーズ信号が入力されると、制御回路101はマグネット57を励磁する。これにより、マグネット57は、マグネット57に当接している鉄片52を吸着保持する。また、レリーズ信号が入力されると、公知の方法により、ミラーボックス300に取り付けられた絞り連動レバー323が駆動されてレンズ絞りが開放状態から絞り込まれるとともに、メインミラー321がミラーダウン位置からミラーアップ位置まで回動される。さらに、ミラーボックス300に取り付けられたレバー60が、図10の矢印Aで示すように下方に駆動されて、レリーズレバー44のレリーズ端44bを下方に押圧する。これにより、図11に示すように、レリーズレバー44が図示時計方向に回動されて、係止部44aと曲げ部48bとの係止が解除されるので、リセットレバー48は、バネ49の付勢力で図示時計方向に回動される。
リセットレバー48の図示時計方向への回動によって、バネ55の一端とバネ56の他端とが、マグネットレバー50の曲げ部50aに当接する。これによりマグネットレバー50は、バネ55によって図示時計方向に付勢されるが、上述のように、鉄片52がマグネット57に吸着されているため回動しない。また、リセットレバー48の図示時計方向への回動によって、ピン62を斜め下方に押圧していたリセットレバー48の腕が上方に移動するので、慣性レバー46はバネ45の付勢力で図示反時計方向に回動される。慣性レバー46の図示反時計方向への回動によって、ピン63が開放係止レバー37の曲げ部37bを押圧して、開放係止レバー37を図示時計方向に回動させるので、図12に示すように、曲げ部37aと開放駆動レバー34の係止部34cとの係合が解除される。
曲げ部37aと開放駆動レバー34の係止部34cとの係合が解除されると、開放駆動レバー34が、バネ33の付勢力で時計方向に回動されるとともに、セクターギヤ部23a,34aで噛合する開放従動レバー23が反時計方向に回動される。これにより、連動ピン24が上側主アーム2を図示反時計方向に回動させるので、上側遮光羽根8,9は上方に引き上げられる。同様に、連動ピン35が下側主アーム5を図示時計方向に回動させるので、下側遮光羽根6,7は下方に引き下げられる。上述のように、撮影開口411の上下方向の略中央を軸として、開放駆動レバー34および開放従動レバー23の回動は略対称となる。したがって、上側遮光羽根8,9と下側遮光羽根6,7とが同時に互いに逆方向に同じ距離だけ駆動され、撮影開口411は、高さ方向略中央から開き始める。
開放駆動レバー34の時計方向への回動、および、開放従動レバー23の反時計方向への回動が進行すると、連動ピン35が下側ブレーキレバー30の当接部30aへ当接して下側ブレーキレバー30を時計方向に回動させ、連動ピン24が上側ブレーキレバー28の当接部28aへ当接して上側ブレーキレバー28を反時計方向に回動させる。上述のように、上側ブレーキレバー28および下側ブレーキレバー30には、ビス31の締め付け力による摩擦力が作用するので、開放駆動レバー34および開放従動レバー23は、それぞれ下側ブレーキレバー30および上側ブレーキレバー28から制動力を受ける。開放駆動レバー34および下側ブレーキレバー30の時計方向への回動がさらに進行すると、図13に示すように、下側ブレーキレバー30の当接部30a近傍がピン68に当接することで、時計方向への回動が停止される。同様に、開放従動レバー23および上側ブレーキレバー28の反時計方向への回動は、上側ブレーキレバー28の当接部28a近傍がピン67に当接することで停止される。このとき、撮影開口411は、図5に示すように完全に開口した状態となる。
なお、下側ブレーキレバー30の時計方向への回動、および、上側ブレーキレバー28の反時計方向への回動によって、当接部30b,28bもそれぞれ時計方向および反時計方向に移動する。これにより、後述するリセット動作において、連動ピン35,24が上述の説明とは反対の方向に駆動されても上述の説明と同様に開放駆動レバー34および開放従動レバー23を制動できる。すなわち、撮影開口411の開放時における開放駆動レバー34および開放従動レバー23の制動動作によって、撮影開口411の遮蔽時における開放駆動レバー34および開放従動レバー23の制動準備動作が完了する。
上述のレリーズ動作の後、制御回路101で制御される電子シャッタによってCCD69へ電荷の蓄積が制御されることで撮像が行われる。CCD69への電荷蓄積が終了して撮像が終了すると、これに引き続き、以下のリセット動作が行われる。
制御回路101は、リセット動作が開始されると、直ちにマグネット57への通電を停止する。これにより、図14に示すように、マグネット57に吸着されていた鉄片52が離脱可能に釈放されるので、バネ55の付勢力によってマグネットレバー50は、時計方向に回動して、ピン53で閉鎖係止レバー25の曲げ部25bを図示時計方向に押圧する。これによって、閉鎖係止レバー25は、バネ27の付勢力に抗して図示時計方向に回動される。その結果、図15に示すように、曲げ部25aと閉鎖駆動レバー21の係止部21cとの係合が解除されるので、閉鎖駆動レバー21は、バネ22の付勢力で図示時計方向に回動され、閉鎖従動レバー32は、閉鎖駆動レバー21に従動して図示反時計方向に回動される。
閉鎖駆動レバー21が図示時計方向へ回動されると、曲げ部21aによって開放従動レバー23の腕23bが押圧されて、開放従動レバー23が図示時計方向に回動される。閉鎖従動レバー32が図示反時計方向へ回動されると、曲げ部32aによって開放駆動レバー34の腕34bが押圧されて、開放駆動レバー34が図示反時計方向に回動される。これにより、連動ピン24が上側主アーム2を図示時計方向に回動させるので、上側遮光羽根8,9は、撮影開口411を閉じるように下方に向かって引き下げられる。同様に、連動ピン35が下側主アーム5を図示反時計方向に回動させるので、下側遮光羽根6,7は、撮影開口411を閉じるように上方に向かって引き上げられる。すなわち、上側遮光羽根8,9および下側遮光羽根6,7は、撮影開口411を閉じるように互いに逆方向に駆動される。
閉鎖駆動レバー21と開放従動レバー23の時計方向への回動、および、閉鎖従動レバー32と開放駆動レバー34の反時計方向への回動が進行すると、図16に示すように、連動ピン24が上側ブレーキレバー28の当接部28bへ当接し、連動ピン35が下側ブレーキレバー30の当接部30bへ当接する。このとき、上側遮光機構および下側遮光機構は図17に示す状態となる。すなわち、連動ピン24が上側ブレーキレバー28の当接部28bへ当接し、連動ピン35が下側ブレーキレバー30の当接部30bへ当接した時点では、すでに上側第1遮光羽根8と下側第1遮光羽根6とが重なり合って、撮影開口411を完全に遮蔽している。
従来のいわゆるフォーカルプレーンシャッタや、本実施の形態の遮光装置では、走行している遮光羽根に制動力が作用すると、遮光羽根がその厚さ方向に波打つように振動してしまう。そのため、本実施の形態の遮光装置のように、遮光羽根が遮光時に互いに相手側に向かって走行する場合、対向して走行する上側第1遮光羽根8の下側端面(下辺8b)と下側第1遮光羽根6の上側端面(上辺6b)とが、重なり部を生じる以前に制動動作を開始すると制動時の振動によって衝突する。この衝突によって、上側第1遮光羽根8および下側第1遮光羽根6を破損してしまう。そこで、本実施の形態では、上述のように、遮光時に上側第1遮光羽根8と下側第1遮光羽根6とが重なり合ってから制動するように構成することで、対向して走行する上側第1遮光羽根8の下側端面と下側第1遮光羽根6の上側端面との衝突を防止している。
上述したレリーズ動作の場合と同様に、連動ピン24が上側ブレーキレバー28の当接部28bへ当接し、連動ピン35が下側ブレーキレバー30の当接部30bへ当接すると、閉鎖駆動レバー21と開放従動レバー23、および、閉鎖従動レバー32と開放駆動レバー34は、それぞれ上側ブレーキレバー28および下側ブレーキレバー30から制動力を受ける。閉鎖駆動レバー21および開放従動レバー23の時計方向への回動がさらに進行すると、図18に示すように、上側ブレーキレバー28の当接部28b近傍がピン65に当接することで、時計方向への回動が停止される。
同様に、閉鎖従動レバー32と開放駆動レバー34の反時計方向への回動は、下側ブレーキレバー30の当接部30b近傍がピン66に当接することで停止される。このときの上側遮光機構および下側遮光機構の各部の状態を図19,20に示す。図20は、図19のII−II断面を示す図である。上側第1遮光羽根8は、下辺411cよりも上方で停止し、下辺411cまで到達していない。同様に、下側第1遮光羽根6は、上辺411aよりも下方で停止し、上辺411aまで到達していない。なお、図18〜20に示した状態では、上側遮光羽根8,9が最も下方へ駆動され、下側遮光羽根6,7が最も上方へ駆動されている。
このように、上側遮光羽根8,9が最も下方へ駆動され、下側遮光羽根6,7が最も上方へ駆動された状態であっても、図20に示すように、上側第2遮光羽根9の下辺9bと下側第1遮光羽根6の上辺6bとは高さ方向にh1だけ離間しており、下側第2遮光羽根7の上辺7bと上側第1遮光羽根8の下辺8bとは高さ方向にh2だけ離間している。したがって、上側遮光羽根8,9が最も下方へ駆動され、下側遮光羽根6,7が最も上方へ駆動された状態であっても、上側第2遮光羽根9は下側遮光羽根6,7と重ならず、下側第2遮光羽根7は上側遮光羽根8,9とは重ならない。そのため、上述した制動に起因する遮光羽根の厚さ方向の振動が発生しても、上側第2遮光羽根9の下辺9bが下側遮光羽根6,7と接触することはないので、上側第2遮光羽根9および下側遮光羽根6,7が接触して破損することはない。同様に、下側第2遮光羽根7の上辺7bが上側遮光羽根8,9と接触することはないので、下側第2遮光羽根7および上側遮光羽根8,9が接触して破損することはない。なお、上側遮光装置および下側遮光装置の上下方向の対称性から、上述した距離h1とh2とは略等しい。
上側ブレーキレバー28の時計方向への回動、および、下側ブレーキレバー30の反時計方向への回動によって、当接部28a,30aもそれぞれ時計方向および反時計方向に移動する。したがって、上述の説明と同様に、撮影開口411の遮蔽時における開放従動レバー23および開放駆動レバー34の制動動作によって、撮影開口411の開放時における開放従動レバー23および開放駆動レバー34の制動準備動作が完了する。
このように、撮影開口411が遮蔽されると、CCD69へ蓄積された電荷の読み出しが開始されるとともに、絞り連動レバー323が撮影開始前の位置に戻されてレンズ絞りが開放状態に復帰される。さらに、メインミラー321がミラーアップ位置からミラーダウン位置まで回動される。ミラーボックス300に取り付けられたレバー60が上方へ退避する。これにより、図21に示すように、レリーズレバー44がバネ64の付勢力によって図示反時計方向に回動されて、係止部44aがリセットレバー48の曲げ部48bを押圧する。また不図示の機構によってチャージレバー18のチャージローラ16が押圧されて、チャージレバー18がバネ19の付勢力に抗して図示反時計方向に回動される。なお、チャージレバー18の図示反時計方向への回動は、撮影開口411が遮蔽された後に開始される。
図22に示すように、チャージレバー18が図示反時計方向へ回動されると、リセットローラ17によってリセットレバー48のカム面48aが押圧されるので、リセットレバー48は、バネ49の付勢力に抗して、図示反時計方向に回動される。リセットレバー48の図示反時計方向への回動によって、曲げ部48bに一端が係合されたバネ55がチャージされる。リセットレバー48の図示反時計方向への回動によって、バネ56の他端が反時計方向に押圧されるが、バネ56の一端がマグネットレバー50の曲げ部50bに係合されているので、マグネットレバー50は、バネ56からの付勢力を受けて図示反時計方向へ回動される。
マグネットレバー50の図示反時計方向への回動によって、閉鎖係止レバー25の曲げ部25bを押圧していたピン53が右側に退避するので、閉鎖係止レバー25は、バネ27の付勢力で図示反時計方向に回動される。また、リセットレバー48が図示反時計方向へ回動されると、リセットレバー48の曲げ部48bとレリーズレバー44の係止部44aとが係合して、図10に示すような、撮影開始前の状態に復帰する。慣性レバー46は、リセットレバー48にピン62が押圧されるため、バネ45の付勢力に抗して図示時計方向に回動する。このとき、ピン63による開放係止レバー37の曲げ部37bの押圧が解除されるので、開放係止レバー37は、バネ38の付勢力によって図示反時計方向に回動する。
また、図23に示すように、チャージレバー18が図示反時計方向へ回動されると、下端部分のカム面18aが閉鎖従動レバー32のローラ部32cに当接してこれを押圧する。その結果、閉鎖従動レバー32は、図示時計方向に回動され、閉鎖駆動レバー21は、閉鎖従動レバー32と連動して、バネ22の付勢力に抗して反時計方向に回動される。閉鎖従動レバー32の時計方向への回動によって、バネ33によって連結された開放駆動レバー34は時計方向に回動され、開放従動レバー23は、開放駆動レバー34と連動して反時計方向に回動される。開放駆動レバー34の時計方向への回動、および、開放従動レバー23の反時計方向への回動は、開放駆動レバー34の係止部34cが開放係止レバー37の曲げ部37aに当接することで停止する。開放駆動レバー34の時計方向への回動、および、開放従動レバー23の反時計方向への回動にともなって、連動ピン35が下側主アーム5を時計方向にわずかに回動させ、連動ピン24が上側主アーム2を反時計方向にわずかに回動させる。これにより、上側遮光機構はわずかに上方に引き上げられ、下側遮光機構はわずかに下方に引き下げられて、図3に示す撮影開始前の状態に復帰する。
チャージレバー18の図示反時計方向への回動がさらに進行し、閉鎖従動レバー32が時計方向へさらに回動され、閉鎖駆動レバー21が図示反時計方向へさらに回動される。その結果、閉鎖駆動レバー21の係止部21cが閉鎖係止レバー25の曲げ部25aの位置よりも右側上方に移動する。その後、チャージレバー18がバネ19の付勢力で図示時計方向へ復帰する。閉鎖駆動レバー21は、バネ22の付勢力で図示時計方向へわずかに回動されるが、係止部21cが閉鎖係止レバー25の曲げ部25aに当接して、図示時計方向への回動が停止される。すなわち、図3に示す撮影開始前の状態に復帰する。以上の動作によって、リセット動作が全て終了する。
上述した本実施の形態による遮光装置および電子カメラでは、次の作用効果を奏する。
(1) 撮影開口411の短辺方向を互いに逆方向に走行する上側遮光羽根8,9および下側遮光羽根6,7によって、撮影開口411を開放および遮光するように構成した。上側遮光羽根8,9および下側遮光羽根6,7の走行距離を短くできるので、上側遮光羽根8,9および下側遮光羽根6,7が撮影開口411の開放および遮光に要する時間を短くできる。すなわち、上側遮光羽根8,9および下側遮光羽根6,7が短辺方向に走行する距離を撮影開口411の短辺方向長さよりもさらに短くしても撮影開口411を完全に遮蔽できる。これにより、撮影後はCCD69を迅速に遮光できるので、CCD69で発生するノイズを減らすことができ、被写体像の高画質化に寄与する遮光装置を実現できる。この遮光装置を備えた電子カメラでは、撮影後は撮像素子を迅速に遮光できるので、撮像素子で発生するノイズを減らすことができ、被写体像の画質を向上できる。また、上側遮光羽根8,9および下側遮光羽根6,7が互いに逆方向に走行するため、遮光装置の重心位置の変化が少なく、撮像時のカメラブレを抑制できるので、鮮明な被写体像を撮像できる。
(2) 撮影開口411を遮光する際には、上側第1遮光羽根8と下側第1遮光羽根6とが撮影開口411の短辺方向の略中央で重なるように構成した。これにより、確実に撮影開口411を遮蔽できるので、遮光装置および電子カメラの信頼性を向上できる。
(3) 撮影開口411を開口する際には、上側遮光羽根8,9および下側遮光羽根6,7を短辺方向に互いに逆方向に走行させて、撮影開口411の短辺方向の略中央から開口するように構成した。なお、上側に偏った位置から開口するように構成した場合には、下側遮光羽根6,7の走行距離が長くなり、下側に偏った位置から開口するように構成した場合には、上側遮光羽根8,9の走行距離が長くなるため、撮影開口411を開口するために要する時間が上述した実施の形態より長くなる。したがって、上述の説明のように、撮影開口411の短辺方向の略中央から開放し始めることによって、撮影開口411を全開するまでの時間は短時間で済み、撮像開始前の準備動作に必要な時間が短くできる。レリーズボタン104が押圧されてから撮像開始までの時間が短縮され、レリーズタイムラグの短いカメラ、すなわちシャッタチャンスに強いカメラを実現できるまた、上述の説明のように、上側遮光機構および下側遮光機構は、撮影開口411の上下方向の略中央を軸として略対称となるように配設されている。したがって、上側遮光羽根8,9および下側遮光羽根6,7の双方が撮影開口411を遮蔽するために要する時間も同様に最も短くなって、連続撮影の性能を向上できる。
(4) 撮影開口411を遮光する際には、上側第1遮光羽根8と下側第1遮光羽根6とが重なり始めてから上側遮光機構および下側遮光機構の制動を開始するように構成した。これにより、制動に起因する遮光羽根の厚さ方向の振動が発生しても、対向して走行する上側第1遮光羽根8の下側端面と下側第1遮光羽根6の上側端面との衝突を防止できるので、遮光装置の信頼性を向上できる。
(5) 撮影開口411の遮蔽時には、上側第1遮光羽根8が下辺411cよりも上方で停止し、下側第1遮光羽根6が上辺411aよりも下方で停止するように構成した。すなわち、撮影開口411の一方の長辺から他方の長辺に向かって走行する遮光羽根は、撮影開口411の他方の長辺に達する前に停止する。これにより、上側第1遮光羽根8と下辺411cとの衝突、および、下側第1遮光羽根6と上辺411aとの衝突による遮光羽根の破損を防止できるので、遮光装置の信頼性を向上できる。
(6) 撮影開口411の遮蔽時に、上側遮光羽根8,9が最も下方へ駆動され、下側遮光羽根6,7が最も上方へ駆動された状態であっても、上側第2遮光羽根9は下側遮光羽根6,7と重ならず、下側第2遮光羽根7は上側遮光羽根8,9とは重ならないように構成した。これにより、制動に起因する遮光羽根の厚さ方向の振動が発生しても、上側第2遮光羽根9の下辺9bが下側遮光羽根6,7と接触することはないので、上側第2遮光羽根9および下側遮光羽根6,7が接触して破損することはない。同様に、下側第2遮光羽根7の上辺7bが上側遮光羽根8,9と接触することはないので、下側第2遮光羽根7および上側遮光羽根8,9が接触して破損することはない。これにより、遮光羽根6〜9の破損を防止できるので、遮光装置の信頼性を向上できる。
(7) 上側遮光機構および下側遮光機構に用いられる遮光羽根の枚数を、それぞれ2枚ずつとした。これにより、高さと光軸方向の厚さの両面からバランスよく遮光羽根部410および電子カメラを小型化できる。
(8) 撮影開口411を開放する際にも遮光する際にも、上側遮光羽根8,9および下側遮光羽根6,7を制動するように構成した。これにより、撮影開口411の開放時および遮光時に、上側遮光機構および下側遮光機構に作用する衝撃力を緩和できるので、遮光装置の耐久性を向上できる。
(9) 撮影開口411を開放する際には、上側遮光羽根8,9と下側遮光羽根6,7の双方が駆動されるので、上側遮光羽根8,9と下側遮光羽根6,7の双方を制動するように構成した。これにより、それぞれの羽根を駆動する開放従動レバー23および開放駆動レバー34を直接制動できるので、制動時の開放従動レバー23および開放駆動レバー34への負担が軽減されて、遮光装置の耐久性を向上できるとともに、開放従動レバー23および開放駆動レバー34の回動速度を円滑に減速して静粛性を高めることができる。
(10) 上側ブレーキレバー28によって、撮影開口411の遮蔽時および開放時に上側遮光羽根8,9を制動し、下側ブレーキレバー30によって、撮影開口411の遮蔽時および開放時に下側遮光羽根6,7を制動するように構成した。これにより、少ない部品点数で遮光羽根を制動できる。また、上述の説明のように、遮蔽時の制動操作が開放時の制動準備動作となり、開放時の制動操作が遮蔽時の制動準備動作となるので、制動後のリセットのための特別な機構が不要である。したがって、遮光装置および電子カメラの製造コストを低減できるとともに、故障箇所が少なくなり信頼性が向上する。
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、上側ブレーキレバー28および下側ブレーキレバー30によって、撮影開口411の開放時に上側遮光機構および下側遮光機構を制動するように構成しているが、撮影開口411の開放時における上側遮光機構および下側遮光機構の制動は必須ではない。ただし、遮光装置の耐久性や信頼性の観点からは、上述の説明のとおり、上側ブレーキレバー28および下側ブレーキレバー30によって、撮影開口411の開放時に上側遮光機構および下側遮光機構を制動することが好ましい。
(2) 上述の説明では、上側ブレーキレバー28によって、撮影開口411の遮蔽時および開放時に上側遮光羽根8,9を制動し、下側ブレーキレバー30によって、撮影開口411の遮蔽時および開放時に下側遮光羽根6,7を制動するように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、撮影開口411の遮蔽時と開放時とでは異なる部材によって、上側遮光羽根8,9を制動してもよく、撮影開口411の遮蔽時と開放時とでは異なる部材によって、下側遮光羽根6,7を制動するように構成してもよい。だだし、部品点数が増え、制動後のリセットのために別途リセット機構を必要とするため、上述の説明のように、上側ブレーキレバー28によって、撮影開口411の遮蔽時および開放時に上側遮光羽根8,9を制動し、下側ブレーキレバー30によって、撮影開口411の遮蔽時および開放時に下側遮光羽根6,7を制動するように構成することが好ましい。
(3) 上述の説明では、撮影開口411を遮蔽する際には、上側第1遮光羽根8と下側第1遮光羽根6とが撮影開口411の短辺方向の略中央で重なるように構成し、撮影開口411を開放する際には、撮影開口411の短辺方向の略中央から開口するように構成したが、本発明はこれに限定されない。上側第1遮光羽根8と下側第1遮光羽根6とが重なる位置や撮影開口411の開口開始位置は、撮影開口411の短辺方向の略中央よりも上方や下方であってもよい。ただし、上述のように、撮影開口411の開放や遮蔽に要する時間の点からは、撮影開口411を遮光する際には、上側第1遮光羽根8と下側第1遮光羽根6とが撮影開口411の短辺方向の略中央で重なるように構成し、撮影開口411を開口する際には、撮影開口411の短辺方向の略中央から開口するように構成することが望ましい。
(4) 上述の説明では、上側遮光羽根および下側遮光羽根はそれぞれ2枚ずつであったが、本発明はこれに限定されない。たとえば、上側遮光羽根および下側遮光羽根がそれぞれ1枚であってもよく、3枚以上の複数枚であってもよい。なお、高さと光軸方向の厚さの両面からバランスよく遮光羽根部410および電子カメラを小型化するためには、上述の説明のように、上側遮光羽根および下側遮光羽根に用いられる遮光羽根は、それぞれ2枚ずつであることが好ましい。また、上側遮光羽根と下側遮光羽根の枚数が異なっていてもよい。
(5) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
以上の実施の形態およびその変形例において、たとえば、遮光羽根群は上側遮光羽根8,9および下側遮光羽根6,7に、先頭の遮光羽根は上側第1遮光羽根8および下側第1遮光羽根6に、他の遮光羽根は上側第2遮光羽根9および下側第2遮光羽根7に、撮像素子はCCD69に、露光制御手段は制御回路101にそれぞれ対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係になんら限定も拘束もされない。