JP4881527B2 - ジアゾメタンの製造法 - Google Patents

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    • C07C245/12Diazo compounds, i.e. compounds having the free valencies of >N2 groups attached to the same carbon atom
    • C07C245/14Diazo compounds, i.e. compounds having the free valencies of >N2 groups attached to the same carbon atom having diazo groups bound to acyclic carbon atoms of a carbon skeleton
    • C07C245/16Diazomethane

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Description

【0001】
ジアゾメタン(CH2=N=N、アジメチレンまたはジアジリンともいう)は化学合成に広範囲の用途を有する反応性の極めて高いガスである。ジアゾメタンはカルボン酸と急速に反応して窒素ガスを発生しながら、通常高収量で、対応するメチルエステルを生成する。同様に、ジアゾメタンはフェノール類、エノール類およびアルコール類と反応して、窒素の発生を伴なってメチルエーテル類を生成し;その反応速度は基質の酸度によって変わる。その用途の他の例は酸塩化物および酸無水物のような基質における炭素−炭素結合の形成である。このように形成されたα−ジアゾケトン類はそれ自体有用な中間体である。別の例はシクロプロパン類および窒素複素環式化合物を生成するオレフィンとの付加環化反応における用途である。同様に、ケトン類の連鎖延長または環拡大およびケトン類のエポキシドへの転化はジアゾメタンを用いて容易に達成させることができる。その用途のさらに他の例にはウイルスプロテアーゼ阻害剤の生成がある。HIVと戦うのに用いられるものを含む多くのウイルスプロテアーゼ阻害剤は3位炭素アミノ酸アイソスターから誘導される。このようなウイルスプロテアーゼ阻害剤の例がNelfinivir Mesylate(Agouron Laboratories)である。変性Arndt−Eistert反応においてジアゾメタンを用いる2位炭素官能性アミノ酸から重要な3位炭素フラグメントを作ることができる。この方法は、ジアゾメタンとの反応がアミノ酸のキラル完全性を損なわないので、特に好ましい。
【0002】
ジアゾメタンは強力な発がん物質のアレルゲンであって、極めて有毒である。しかし、その使用に対する主な障害は極めて爆発性であることである。賢明なプラント設計および良好な製造方法によってジアゾメタンの毒性を未然に防ぐことはできるけれども、爆発に対する感度がその使用を多大に制限する。
【0003】
ジアゾメタンの実験室規模の合成に関する技術文献は、すり合わせジョイントの使用を戒め、特に設計された口燒きガラス製品をすすめている。Aldrich Chemical Company,Inc.(Milwaukee,Wisconsin,USA)が単一バッチ反応によって最大300ミリモル ジアゾメタンのジエチルエーテル溶液を生成させることができる「大規模な」(“large scale”)DIAZALDTM装置を市販している。Black,T.H.の“The Preparation and Reactions of Diazomethane”,Aldrichimica Acta 16(1)3−10(1983)を参照されたい。
【0004】
「大規模な」(“large−scale”)製造法が、1995年10月17日にAcevedoらに付与された米国特許第5,459,243号の“Apparatus and Processes for the Large Scale Generation and Transfer of Diazomethane”に開示されている。開示されている反応は100ミリモルの規模で行われ、ジアゾメタンのジクロロメタン希薄溶液を生成する。
【0005】
ガス状ジアゾメタンのバッチ製造法の“A New Method for the Preparation of Diazomethane”がDe Boer,T.H.J.およびBacker,H.J.によって開示されている。Recueil 73 229−234(1954)を参照されたい。この方法は、カ−ビトールと水の混合物中の水酸化カリウム溶液を、p−トリスルホニルメチルニトロソアミドのアニソール溶液に導入することを含んでいる。装置に緩やかな窒素流を通すと、遊離したガス状ジアゾメタンが48%の収量で得られる。該論文はさらにジアゾメタンを迅速に過剰の安息香酸のエ−テル溶液に吸収させた場合には収量が63%であったことを開示している。
【0006】
1990年11月5日付け同誌への発表の続報としてごく最近Chemistry in Industry(1994年2月21日、122/123頁)は、爆発物の危険からガス状ジアゾメタンの製造に対して注意を与えている。これは、「ガス状ジアゾメタンは窒素で希釈するときでさえも、特に100℃以上の温度の場合には、同様に爆発性分解を生じることがある」ことを述べているBernd Eistertの「ジアゾメタンに関する合成」と一致する。
【0007】
実際にガス状ジアゾメタンの爆発性によって、当業者は希釈溶液中でジアゾメタを製造しかつ使用する方向に向かっている。
Aerojet−General Corporation(“Aerojet”)は今日、実際に大規模でジアゾメタンを製造するための公表された方法を有する唯一の会社である。
【0008】
ジメチルメタン溶液の製造に関する大規模なバッチ製造法が、1998年10月6日にAerojetに付与された米国特許第5,817,778号の“Large Scale Batch Process for Diazomethane”および1999年5月19日に発行された欧州特許出願第EP 0 916 649 AL号の“Large Scale Batch Process for Diazomethane”によって開示されている。ジアゾメタンのジエチルエーテル溶液の製造は50グラムモルから25,000グラムモルの規模で開示されている。
【0009】
ジアゾメタン溶液の連続製造法が、1998年12月24日にAerojetに付与された米国特許第5,854,405号の“Continuous Process for Diazomethane from an N−methyl−N−Nitrosamine and from Methylurea through N−Methyl−N−Nitroso Urea”および1999年5月19日に発行された欧州特許出願第EP 0 916 648 AL号の“Continuous Process for Diazomethane”によって開示されている。この方法は、N−メチル N−ニトロソアミンを2種類の有機溶剤の混合物に溶解することを含む−その溶剤の1種は少なくとも部分的に水可溶性でありかつN−メチル−N−ニトロソアミンを溶解するものであり、他の種類の溶剤は第1の溶剤よりも実質的に水との溶解性が少なく、水との分離相を形成しかつジアゾメタンを溶解するものである。この溶液流を無機塩基水溶液流と混合して、適当な滞留時間後に水相と有機相を沈静させて両相を分離させ、ジアゾメタンを有機溶液として回収する。このプロセスの全工程は液相で行うことができるので、ジアゾメタン蒸気の生成が避けられ、爆発の危険性は低減されるか又は解消されると述べている。しかし、この方法は火災の危険をもたらす可燃性有機溶剤中でジアゾメタンを単離させる。
【0010】
ジアゾメタンの多用性およびその関連する危険を考えると、ジアゾメタンの低残留量を保ちながら良好な収量を与え、好ましくは揮発性で燃焼性ある溶剤の必要性を無くす安全で効率的な大規模連続法が望ましい。
【0011】
或る好ましい態様に関連させて本発明を述べるけれども、本発明をその特定態様に限定するつもりはない。これに反して、添付クレームによって規定されるように、本発明の精神に含まれると思われるようなすべての代替態様、変更態様および等価方法を包含するつもりである。
【0012】
本出願人は、ジアゾメタンの爆発下限(LEL)が3.9%であることを実験的に確かめた。(このLELは空気中で規定される限界である。) 窒素のような不活性ガス中にジアゾメタンを「希釈すること」によって、窒素の場合には、出願人が高濃度のジアゾメタンを安全に操作できる14.7%という実験的に確かめられる値まで、爆発限界が高められる。
【0013】
本発明によれば、
ジアゾメタン前駆物質、および
塩基を反応容器に供給し、そこで両者が反応してジアゾメタンを生成し、その結果生じたジアゾメタンをガスとして取出す
工程を含むジアゾメタンの連続製造法が提供される。
【0014】
定常状態の操作を維持するために、結果として生じた廃物流を取除く。廃物流は未反応の反応物、反応副生物、溶剤および溶解状態で残る残留ジアゾメタンを含むことができる。
【0015】
好ましくは、ジアゾメタン前駆物質および塩基を反応容器に連続流として同時に供給し、反応容器からジアゾメタンガスと生成廃物流を連続的に取出す。あるいはまた、ジアゾメタン前駆物質と塩基を反応容器に間欠流又は脈動流として供給し、ジアゾメタンガスと廃物流を反応容器から間欠流又は脈動流として取出すことができる。
【0016】
好ましくは、ジアゾメタン前駆物質を第1溶剤に溶解し、塩基を第2溶剤に溶解する。
しかし、塩基を反応容器に固体状態で供給し、かつ/または液状のジアゾメタンを選択し、それによって第1および第2溶剤の1種以上の必要性を無くすことも可能である。
【0017】
さらに他の態様では、第1溶剤および第2溶剤は同一溶剤のひとつ、または第1および第2溶剤の混合物である。
好ましくは、ジアゾメタンガスの発生および除去を散布希釈ガスの使用によって助け/行い、該ガスは反応混合物の上方(上面)および/または下方(表面下)に導入することができる。表面下散布の希釈ガスは反応混合物の混合を助け、反応混合物からのジアゾメタンガスの追い出しを促進させる。上面希釈散布はジアゾメタンガスの置換をさらに助ける。上面および下面散布はいずれも希釈剤として働き、所望の操作条件を達成させるように調整される。
【0018】
好ましくは、散布希釈ガスの流量はジアゾメタンガスの濃度を、前記散布希釈ガス中のジアゾメタンを爆発物以下に保つような量である。
散布希釈ガスが窒素の場合には、窒素中のジアゾメタンの濃度を14.7%以下に保つのが好ましい。
【0019】
好ましくは、希釈散布ガスによって発生および置換されるジアゾメタンは、反応系内のジアゾメタンの残留量を最小にする速度で意図する基質と連続的に反応させる。
【0020】
反応温度を調節し、かつ
ジアゾメタン前駆物質;
塩基;
散布希釈ガス;および
廃物流
の1種以上の流量を制御することによって、
1組の反応条件において定常状態の操作を達成することができる。定常状態における反応物の相対濃度を維持することによって、高収量および高純度のジアゾメタンを得ることができる。
【0021】
最適定常状態の条件は主に反応物(およびそれらを反応容器に導入するのに使用するそれぞれの溶剤)の添加速度、反応容器中のそれぞれの濃度、希釈散布ガスを反応容器に供給する速度、反応温度、ならびに廃物流およびジアゾメタンガスを取出す速度の関数である。
【0022】
結果として生じるジアゾメタンガスの濃度をモニターすることにより、該操作を、たとえば、定常状態に影響する1種以上の要因を、製造を最適にし、かつ安全操作性を保つように制御することによって、所望の操作条件を達成するように制御することができる。
【0023】
たいていの場合に、塩基対ジアゾメタン前駆物質の比は、たとえば1.0ないし1.5:1モル当量に保たれる。
塩基対ジアゾメタン前駆物質の比はより好ましくは約1.1ないし1.4:1モル当量を上回る比に、もっとも好ましくは約1.2:1モル当量に保たれる。
【0024】
好ましくは、ジアゾメタン前駆物質はN−メチル−N ニトロソ化合物またはその前駆物質である。
好ましいN−メチル N ニトロソ化合物はN−メチル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミド;N−メチル−N−ニトロソ尿素;N−ニトロソ−β−メチルアミノイソブチル メチル ケトン;N,N′−ジメチル−N,N′ジニトロソテレフタルアミド;N−[N′−メチル−N′ニトロソ(アミノメチル)]ベンズアミドおよび1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソグアナジンからなる群から選ばれる。
【0025】
好ましいジアゾメタン前駆物質はN−メチル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミドである。
第1溶剤は、好ましくは
i)不揮発性であり、すなわち低蒸気圧を有し;
ii)高沸点を有し;
iii)不燃性であり;そして
iv)水溶性である
ように選ばれる。
【0026】
不揮発性に関しては、蒸気圧が25℃で5mm以下であるのが好ましく、20℃で1mm以下であるのが最も好ましい。
高沸点に関しては、沸点が95℃を上回るのが好ましく、150℃を上回るのがもっとも好ましい。
【0027】
不燃性に関しては、UK Chemicals(Hazard Information for Packaging&Supply)Regulations 1994で規定されるように引火点が55℃を上回るのが好ましい。
【0028】
好ましい第1溶剤を下記の表に示し、さらにその引火点、沸点および蒸気圧も表示する。
【0029】
【表1】
Figure 0004881527
これらは単独、または第2溶剤を含むかもしくは含まないこれらの1種以上の混合物として用いることができる。
【0030】
もっとも好ましい第1溶剤はジメチルスルホキシドである。
塩基は無機又は有機塩基であることができる。
好ましい塩基は、たとえば水酸化ナトリウム、カリウムおよびバリウムのような無機塩基である。水酸化カリウムがもっとも好ましい。
【0031】
適当な有機塩基には、たとえばナトリウムおよびカリウムメトキシド、ナトリウムおよびカリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムシクロヘキソキシド、ならびにテトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド、セチルピリジニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムエトキシド、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド、およびn−ブチルトリエチルホスホニウムフェノキシドのような第四級アンモニウムもしくは第四級ホスホニウムヒドロオキシドまたはアルコキシドがある。
【0032】
第2溶剤は好ましくは極性溶剤、最も好ましくは水、または第1溶剤を含むかあるいは含まない極性溶剤混合物である。
場合によっては、第1および第2溶剤は同一溶剤のひとつ、または第1および第2溶剤の混合物である。
【0033】
噴霧希釈ガスは反応混合物から、結果として生じるジアゾメタンを追い出すかまたは除去する適当なガスであることができる。例には窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素および空気がある。不活性ガスが好ましく、窒素がもっとも好ましい。
【0034】
反応温度は好ましくは25℃ないし70℃、もっとも好ましくは約40℃に保つ。
反応混合物中に残り、ガスとして除去されない残留ジアゾメタンは、酸性媒質を含有する急冷タンク内に廃物流を通すことによって破壊される。好ましくは、廃物流は一相の水性廃物流である。
【0035】
酸性媒質のpHは好ましくはpHが4から6、もっとも好ましくはpHが約5.5である。好ましい酸は酢酸であるが、ただし適当な無機または有機酸が使用できるかもしれない。
【0036】
定常状態は、結果として生じるジアゾメタンガスの収量および純度ならびに希釈ガス中のその濃度を参照することによって制御される。
本発明および特に好ましい特徴の選択は、ジアゾメタンの公知の大規模製造法に付随する多くの問題点または欠点を克服する。該プロセスに付随する問題点および/または欠点の一部を以下に述べる。
【0037】
該方法は通常可燃性または強燃焼性溶剤を使用し;
該方法は極めて揮発性の溶剤を使用し;
該方法は比較的多量のジアゾメタン残留量を要し;
該方法は通常ジアゾメタン/溶剤蒸気流の凝縮を必要とし;
該プロセスは2相であり、効率的な混合および、蒸留または相分離による次の分離を必要とし;そして
このプロセスは、下流の化学の適応性を制限するかもしれないジアゾメタン溶液を生成する。
【0038】
バッチ法はホットスポット、撹拌機グランド漏洩の重なり合う危険を伴う機械撹拌を必要とし、さらに優れた収量を達成するためには相間移動触媒の使用が必要である。
【0039】
本発明の方法および特に好ましい本発明の特徴の利点を下記に示す。
ジアゾメタンを迅速に生成させ、そして下流の化学において連続的に取出して反応させる。したがってこの方法は極めて低残留量のジアゾメタンで稼働し、重要な爆発の危険を最小限にし;そして
このように発生したジアゾメタンは溶剤、水分および他の異物を実質的に含まない。ジアゾメタンガス流の補足的乾燥は不要である。生成したジアゾメタンの収量および純度は極めて高く、溶剤および異物は実質的に存在せず、下流の化学反応において適応性のある使用が可能である。
【0040】
この方法に用いられる好ましい溶剤は、不揮発性で、低蒸気圧、高沸点を有して、不燃性で、かつ水溶性である。したがってこの方法から生じる環境的懸念は最小限に押さえられる。
【0041】
使用溶剤は、溶解状態のジアゾメタンの濃度を最小限に押さえながら、ジアゾメタン前駆物質の高溶解度を確実に得るように選定される。
この反応系は均質/単相系である。したがってジアゾメタンの生成は、触媒の必要なしに極めて迅速であって、ジアゾメタンの収量は90%を上回る。
【0042】
ジアゾメタンは基本的設計の反応容器で生成される。反応容器は機械的撹拌を要せず、かつ可動部分を有しない専用装置である。
反応物は反応容器に同時に連続的に供給することができる。添加速度を正確に制御して、所望のジアゾメタン濃度における定常状態の操作を迅速に達成し、かつ維持することができる。
【0043】
生成したジアゾメタンは上面および/または表面下の希釈ガス散布を用いて反応器から連続的に「取出される」。希釈散布ガスの比率を調節することによって、ジアゾメタンの収量を最適にすることができる。
【0044】
リアルタイムベースでジアゾメタンの生成、濃度および使用を連続的にモニターすることによって、良好な定常状態のプロセス制御を達成することができる。
この方法は極めて適応性があり、スケールアップにも極めて適用可能である。廃物流は、酸水溶液の適用によって、ジアゾメタンを連続的に除去する。処理廃物は均質単相であって、全成分が可溶である。
【0045】
ここで、本発明の方法の略図である図面および下記に概説する方法を参照しながら、実施例のみによって詳細に本発明を説明する。
略図について説明すると、1つのフィ−ドタンクには15%(重量/重量)水酸化カリウム溶液を充填した。第2のフィードタンクには22.1%(重量/重量)N−メチル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミドのジメチルスルホキシド溶液を充填した。両タンクをポンプおよび/または圧力供給フィードタンクを経て液体フローメーターに接続した。供給、レベル/圧力、温度およびオンライン分析の完全計測制御を行う。反応器内面は研磨して粗面の問題点を最小限にするのが好ましい。反応系は層流を増大させるように特に設計されている。水酸化カリウム溶液の流量は、水酸化カリウムの2.67モル/時のモル流量に相当する1.00Kg/時に設定した。N−メチル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミド溶液の流量は、N−メチル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミドの2.22モル/時のモル流量に相当する2.15Kg/時に設定した。窒素は質量流量制御器を経て表面下および上面に供給した。表面下の流量は0.98L/分の速度に設定し、上面の流量は6.7L/分の速度に設定した。ジアゾメタン反応が始まると反応混合物の温度を上昇させるので、反応温度を所望の40℃の設定温度に保つために冷却を行った。気相のジアゾメタン濃度を一定かつ爆発限界以下に確実に留めるように、ジアゾメタン/窒素流を絶えずモニターした。上面および/または表面下の窒素、水酸化カリウム/水およびN−メチル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミド/ジメチルスルホキシドの流量を調整して、ジアゾメタンの濃度を約10%に保つようにした。生成したジアゾメタンの典型的に少なくとも96%をガス相に取出した。
【0046】
生成したジアゾメタンを希釈ガス散布で取出し、次の下流の化学で連続的に反応させて、反応系中のジアゾメタンの残留量を最小限にした。一定の反応混合物レベルを達成し、定常状態のプロセスを維持するために、反応器を連続的に廃液抜きした。残留レベルのジアゾメタンを含むことができる廃物流を80%酢酸水溶液を含有するタンクで迅速に急冷した。タンクのpHは5.5に保った。反応器からの廃物は典型的には約4%の残留ジアゾメタンを含有するた。この方法は毎時90から93gのジアゾメタンを生成することができる。実例におけるジアゾメタンの最大残留量は0.11gである。
【0047】
前記の反応系は80%の利用率で年に652Kgのジアゾメタンを製造することができる。それぞれの流量を増し、反応器の容量を調節することによって、この系は反応系中のジアゾメタン残留量を100g以下に保ちながら、毎時5−10キロ(すなわち年当たり40から80メートルトン)の割合でジアゾメタンを生成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の方法の略図

Claims (40)

  1. ジアゾメタン前駆物質、および塩基を反応容器に供給し、そこで両者が反応してジアゾメタンを生成し、その結果生じたジアゾメタンを希釈ガスを利用してガスとして取出す工程を含むジアゾメタンの連続製造法。
  2. さらに廃物流を取出すことを含む請求項1記載の方法。
  3. 該ジアゾメタン前駆物質及び塩基を該反応容器に同時に供給し、そして該ジアゾメタンガスおよび廃物流を該反応容器から連続流として取出す請求項2記載の方法。
  4. 該ジアゾメタン前駆物質および/または塩基を該反応容器に供給し、そして/または該ジアゾメタンガスおよび/もしくは該廃物流を該反応容器から間欠流又は脈動流として取出す請求項2記載の方法。
  5. 該ジアゾメタン前駆物質を第1溶剤に、又は第1溶剤と第2溶剤との混合物に溶解させる請求項1ないし4のいずれか1つの項記載の方法。
  6. 該塩基を第2溶剤に、又は第1溶剤と第2溶剤との混合物に溶解させる請求項5記載の方法。
  7. 該希釈ガスが散布希釈ガスである請求項1ないし6のいずれか1つの項記載の方法。
  8. 該散布希釈ガスを該反応混合物の上方に導入する請求項7記載の方法。
  9. 該散布希釈ガスを該反応混合物の下方に導入する請求項7記載の方法。
  10. 該散布希釈ガスを該反応混合物の上方及び下方に導入する請求項7記載の方法。
  11. ジアゾメタンガスの濃度を、前記散布希釈ガス中の該ジアゾメタンの爆発限界以下に保つ請求項7ないし9のいずれか1つの項記載の方法。
  12. 該散布希釈ガスが窒素であり、そして窒素中の該ジアゾメタンガスの濃度を14.7%以下に保つ請求項11記載の方法。
  13. 該ジアゾメタン前駆物質;および該塩基の1種以上の供給速度;ならびに/または該その結果生じたジアゾメタンガス;および該廃物流の1種以上の取出速度を制御し、かつ/または該温度を調節することによって定常状態を保つ請求項2ないし4のいずれか1つの項記載の方法。
  14. 該塩基およびジアゾメタン前駆物質を、該反応容器内において1.0ないし1.5:1モル当量の塩基:ジアゾメタン前駆物質の比に保つ請求項1ないし13のいずれか1つの項記載の方法。
  15. 該比を、約1.2:1モル当量に保つ請求項14記載の方法。
  16. 該ジアゾメタンガスが、該第1および第2溶剤に実質的に不溶である請求項5または6記載の方法。
  17. 該第1溶剤が、
    ジメチルスルホキシド;
    ジ(エチレングリコール)エチルエーテル;
    N,N′−ジメチルホルムアミド;
    N,N′−ジメチルアセトアミド;
    ヘキサメチルホスホルアミド;および
    テトラメチレンスルホン、またはこれらの1種以上の混合物
    からなる群から選ばれる請求項5記載の方法。
  18. 該第1溶剤が極性非プロトン性溶媒であるか、または極性非プロトン性溶媒を含む請求項5または17記載の方法。
  19. 該第1溶剤がジメチルスルホキシドであるか、またはジメチルスルホキシドを含む請求項5、17または18のいずれか1つの項記載の方法。
  20. 該塩基が無機塩基である請求項1ないし19のいずれか1つの項記載の方法。
  21. 該無機塩基が水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化バリウムからなる群から選ばれる請求項20記載の方法。
  22. 該無機塩基が水酸化カリウムである請求項20又は21記載の方法。
  23. 該塩基が有機塩基である請求項1ないし19のいずれか1つの項記載の方法。
  24. 該有機塩基がナトリウムまたはカリウムメトキシド、ナトリウムまたはカリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムシクロヘキソキシドおよび第四級アンモニウムもしくは第四級ホスホニウムヒドロキシドまたはアルコキシドからなる群から選ばれる請求項23記載の方法。
  25. 該第四級アンモニウムもしくは第四級ホスホニウムヒドロキシドまたはアルコキシドが、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド、セチルピリジニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムエトキシド、テトラエチルホスホニウムヒドロキシドおよびn−ブチルトリ−エチルホスホニウムフェノキシドから選ばれる請求項24記載の方法。
  26. 該ジアゾメタン前駆物質がN−メチルNニトロソ化合物またはこの前駆物質である請求項1ないし25のいずれか1つの項記載の方法。
  27. 該ジアゾメタン前駆物質が、N−メチル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミド;N−メチル−N−ニトロソ尿素;N−ニトロソ−β−メチルアミノイソブチルメチルケトン;N,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド;N−[N′−メチル−N′−ニトロソ(アミノメチル)]ベンズアミドおよび1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソグアナジンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む請求項1ないし26のいずれか1つの項記載の方法。
  28. 該ジアゾメタン前駆物質がN−メチル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミドである請求項27記載の方法。
  29. 該第2溶剤が極性溶剤、または極性溶剤混合物である請求項6記載の方法。
  30. 該散布希釈ガスが、不活性ガス、二酸化炭素および空気からなる群から選ばれる少なくとも1種のガスを含む請求項7ないし10のいずれか1つの項記載の方法。
  31. 該不活性ガスが窒素、ヘリウム又はアルゴンである請求項30記載の方法。
  32. 該散布希釈ガスが窒素である請求項30記載の方法。
  33. 25℃から70℃の温度において定常状態を保つ請求項13記載の方法。
  34. 該温度を約40℃に保つ請求項33記載の方法。
  35. 該廃物流中の残留ジアゾメタンを、それを破壊する酸性媒質を含有する急冷タンクに供給する請求項2記載の方法。
  36. 該急冷タンクを、4〜6のpHに保つ請求項35記載の方法。
  37. 該pHを約5.5のpHに保つ請求項36記載の方法。
  38. 該酸性媒質が無機酸、または有機酸水溶液である請求項35ないし37のいずれか1つの項記載の方法。
  39. 該酸性媒質が酢酸である請求項35ないし38のいずれか1つの項記載の方法。
  40. 該方法が、急冷タンクに接続された全量破裂ディスクを有する底部;加熱および/または冷却手段に接続された伝熱面;サーモプローブ(thermoprobe);廃物排出弁;添加口;上面および下面の希釈ガス散布口ならびにガス出口を含むステンレス鋼反応容器内で行われる請求項1ないし39のいずれか1つの項記載の方法。
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