JP3017982B2 - ジアゾメタンの大規模バッチ製造方法 - Google Patents

ジアゾメタンの大規模バッチ製造方法

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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C245/00Compounds containing chains of at least two nitrogen atoms with at least one nitrogen-to-nitrogen multiple bond
    • C07C245/12Diazo compounds, i.e. compounds having the free valencies of >N2 groups attached to the same carbon atom
    • C07C245/14Diazo compounds, i.e. compounds having the free valencies of >N2 groups attached to the same carbon atom having diazo groups bound to acyclic carbon atoms of a carbon skeleton
    • C07C245/16Diazomethane

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ジアゾメタンの
合成法に関する。
【0002】
【従来の技術】ジアゾメタン(CH2=N=N、アジメ
チレンまたはジアジリンとしても知られている)は、化
学合成において広範囲に利用されている。ジアゾメタン
は、カルボン酸類、フェノール類、アルコール類、エノ
ール類、ならびに窒素や硫黄のようなヘテロ原子類のた
めの一般的なメチル化剤である。また、ジアゾメタン
は、ケトン類の環拡大または連鎖伸長、およびケトン類
のエポキシド類への転化を行うのにも用いられている。
さらに他の使用例は、酸塩化物類を、それ自体が有用な
中間体であるαジアゾケトン類に転化させるのに使用す
る例である。さらに別の使用例は、オレフィン類との付
加環化反応に用いて、シクロプロピル複素環リングまた
は窒素含有複素環リングをつくるのに使用する例であ
る。さらにその外の例に、HIVと闘うのに用いるもの
を含むウイルスプロテアーゼインヒビターの製造に用い
る例が含まれている。特に重要なクラスのウイルスプロ
テアーゼインヒビター類は、官能化された炭素を付加す
ることによって、2個の炭素原子を含有するアミノ酸か
ら誘導される、3個の炭素原子を含有する部分からなる
アミノ酸同配体(isosteres)として知られている構造
を有するインヒビターである。一例は、サキナビル(Sa
quinavir)(Roche Laboratories)である。その炭素付
加反応は、アミノ酸のキラリティーを損うことなくまた
はそのアミノ酸分子の他の部分に影響することなく行わ
なければならない。これは、改良アルント−アイステル
ト反応にジアゾメタンを用いることによって成功するこ
とができる。
【0003】ジアゾメタンは、化学合成に広く用いられ
ているにもかかわらず、危険な試薬である。ジアゾメタ
ンは、発癌性物質でかつ強力なアレルゲンであり、そし
て有毒である。しかし、ジアゾメタンの最大の問題点
は、爆発性が高いことである。この理由のため、ジアゾ
メタンの合成に関する技術文献は、すり合わせの継手お
よび火仕上げをしていないガラス器具を使用しないよう
注意しており、実験室の卓上規模の合成以外の合成は、
全く報告されていない。ジアゾメタンを製造するため特
別に設計された装置、例えば、米国、ウィスコンシン州
ミルウォーキー所在の Aldrich Chemical Company, In
c.のDIAZALD(登録商標)装置は、一回のバッチ
反応で、最大300mmoleのジアゾメタンが得られ
るように設計されている。Black,T.H.、「The Preparat
ion and Reactions of Diazomethane」、Aldrichimica
Acta 16(1)巻、3〜10頁(1983年)を参
照。「大規模」と呼称されている製造は、1995年1
0月17日発行の米国特許第5,459,243号、
「Apparatus and Processes for the Large Scale Gene
ration and Transfer of Diazomethane」に、Acevedo
他が開示している。しかし、この特許に開示されている
諸反応は、100mmole(4.2g)の規模で、実
験室のエルレンマイヤーガラス器具で実施されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ジアゾメタンの用途が
多いことからみて、真の大規模法、すなわち、単一のバ
ッチでグラムモルの範囲内に十分入る量を製造する方法
が必要である。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは、ジアゾメタ
ンを、爆発の危険が殆どまたは全くなしに、真に大規模
にバッチ反応で合成できることを、このたび発見したの
である。ジアゾメタンの量が50g−mole(2.1
kg)以上、例えば、約50g−mole〜約25,0
00g−mole(2.1kg〜1050kg)、好ま
しくは約100g−mole〜約15,000g−mo
le(4.2kg〜630kg)、そしてより好ましく
は約300g−mole〜約10,000g−mole
(12.6kg〜420kg)のバッチを、今ここに用
意することができる。従来技術の場合と同様に、上記合
成には、N−メチル−N−ニトロソアミンと強塩基の間
の反応が含まれ、その合成は、2相の水性有機液体反応
混合物中で行われ、ジアゾメタンが生成すると直ちに、
有機溶媒と生成物のジアゾメタンが同時蒸留される(co
-distillation)。しかし、この発明によれば、上記反
応は、相間移動触媒(phase transfer catalyst)の存
在下で行われ、そして、有機溶媒の選択、溶媒による試
薬希釈度および反応温度は、液相と気相の両者における
ジアゾメタンの濃度が、液相中には最大約3重量%でか
つ気相中には最大約25モル%または容量%という規定
の限度内に維持されるように設定される。自然爆発が起
こらないようにするさらなる保証は、反応条件を一定に
維持することによって得られ、例えば、N−メチル−N
−ニトロソアミンの有機溶液を塩基水溶液に徐々に一定
速度で添加することにより、そしてこの添加中、反応混
合物の攪拌を制御し続けて、反応容器内の濃度と温度が
局部的に変化しないようにすることによって、達成され
る。
【0006】
【発明の実施の態様】この発明のさらなる特徴、実施態
様および利点は、以下の説明から明らかになるであろ
う。
【0007】上記相間移動触媒は、二相液系に溶解し
て、水性相(水相)中の反応物質と有機相中の反応物質
との反応速度を増大する触媒である。多種類の公知の相
間移動触媒がこの目的に対して有効であるが、好ましい
相間移動触媒は、その反応が行われる条件下で、化学分
解されず気相中に蒸発もしない触媒である。好ましくは
沸点が約200℃を越えるような、高沸点の相間移動触
媒が好ましい。
【0008】使用可能なクラスの相間移動触媒の例は、
第四級アンモニウム塩類、第四級ホスホニウム塩類、ク
ラウンエーテル類およびグリコールエーテル類である。
第四級アンモニウム塩類の例は、ベンジルトリエチルア
ンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウム
クロリド、メチルトリオクチルアンモニウムブロミド、
テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド、テトラ−n
−ブチルアンモニウムブロミド、および15個以上の炭
素原子を含有する他の類似のアンモニウムハロゲン化物
である。第四級ホスホニウム塩の例は、テトラ−n−ブ
チルホスホニウムクロリド、テトラ−n−ブチルホスホ
ニウムブロミド、および上記第四級アンモニウム塩に対
するホスホニウム同等物である他のホスホニウム塩であ
る。しかし、この発明の好ましい実施態様では、反応が
45℃を超える温度でしかも非常に強い塩基中で行われ
ることに留意すべきである。このような条件下では、第
四級アンモニウム塩類は、分解して、ジアゾメタンと反
応するアミンになることが多い。したがって、このよう
に分解する第四級アンモニウム塩は、他の相間移動触媒
より好ましくない。
【0009】クラウンエーテル類の例は、ヘキサオキサ
シクロオクトデカン、およびそのクラウンエーテル環に
フェニル環およびシクロヘキシル環の置換基を有する類
似体である。グリコール類の例は、ジエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチ
ルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテ
ルおよびトリエチレングリコールモノエチルエーテルで
ある。分子量が少なくとも約120であるグリコール類
が好ましい。この目的を果たすのに特に効果的な一つの
グリコールは、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ルである。
【0010】相間移動触媒は、一般に、ある濃度範囲内
にある触媒濃度で利用される。特定の系における最適量
または好ましい範囲は、使用される特定の触媒または触
媒のクラスによって変わるが、任意の特定の反応系に用
いる適切な量は、これらの触媒を使用する当業技術者に
とって明らかであろう。
【0011】この発明の方法に用いられるN−メチル−
N−ニトロソアミンは、一般に下記式[化2]で表され
る。
【0012】
【化2】 上記式中、Rは電子吸引ラジカル、または上記式の中央
のアミンの窒素の近くに位置する(好ましくは、直接結
合している)電子求引基を含有するラジカルである。電
子吸引基の例は、スルホニル基類(−SO2−)、カル
ボニル基類(−C(=O)−)およびイミノメチル基類
(−C(=NH)−)である。上記式の範囲内に入る具
体的なN−メチル−N−ニトロソアミン類の例は、N−
メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(「M
NNG」として通常知られている)、N−メチル−N−
ニトロ尿素、N−メチル−N−ニトロソカルバメート、
N−メチル−N−ニトロソウレタン、およびN−メチル
−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミド(米国ウ
イスコンシン州ミルウォーキー所在の Aldrich Chemica
l Company, Inc.から「DIAZALD(登録商標)」
として入手可能)である。
【0013】無機塩基の選択は、この発明にとって厳し
いことではないが、好ましい無機塩基は、水酸化カリウ
ムである。
【0014】有機溶媒としては、気相中のジアゾメタン
の濃度が高くなる危険を少なくするかまたは除くような
具合に、ジアゾメタンと同時に蒸留される溶媒が選択さ
れる。この目的を達成するのに有用な溶媒の例は、エー
テル類、ジエーテル類、アルカン類、および石油エーテ
ル類などの炭化水素混合物で沸点が約50℃より低い溶
媒である。エーテル類が好ましく、そして最も効果的な
エーテル類と溶媒は、一般に、沸点が約40℃より低い
ものである。例えば、ジエチルエーテル、メチルエチル
エーテル、およびメチルプロピルエーテルである。もっ
とも好ましいのはジエチルエーテルである。
【0015】この発明の方法は、温度制御した無機塩基
と相間移動触媒の水溶液中に、N−メチル−N−ニトロ
ソアミンを、有機溶媒による溶液として添加して行われ
る。N−メチル−N−ニトロソアミンの有機溶媒中の濃
度、無機塩基の水溶液中の濃度、有機相の水性相への添
加速度、および反応混合物が上記添加の過程で維持され
る温度は、全て、液相と気相中のジアゾメタンの濃度
を、爆発しないレベルに制限するレベルに維持する。こ
れらのレベルは、公知の関係にしたがって選択され、こ
の関係は選択される有機溶媒によって変化するが、ある
いは、これら物質の特性に精通している人とこれら物質
を使用する当業技術者の専門知識の範囲内に入ってい
る。例えば、反応容器内の温度は、溶媒として特にジエ
チルエーテルを用いる場合、好ましくは約45℃〜約5
5℃の範囲内に、そして最も好ましくは約48℃〜約5
2℃の範囲内に維持する。これらの条件を維持するた
め、反応容器には、反応混合物の温度が45℃より低く
下ったとき、N−メチル−N−ニトロソアミンを添加し
ないように設計された電子インタロック(連動安全装
置)を設けることができる。そのようにすることによっ
て、気化した溶媒の含量が低すぎてそのためジアゾメタ
ンの含量が高すぎる気相が生成するのを防止できる。例
えば、N−メチル−N−ニトロソアミンとしてN−メチ
ル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミドを用
い、溶媒としてジエチルエーテルを用いる場合、エーテ
ル中のN−メチル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホ
ンアミドの濃度は、約18重量%〜約25重量%の範囲
内に維持することが好ましい。無機塩基の濃度は、約4
0重量%〜約50重量%の範囲内が好ましい。
【0016】したがって、この発明を実際に実施する場
合の好ましい形態としては、出発溶液の濃度、操作温
度、および有機相を反応容器に添加する速度は、気相中
のジアゾメタンの濃度がモルベースで約25%より低く
維持され、好ましくは約1%〜約24%、そして最も好
ましくは約15%〜約23%に維持されるように、選択
される。有機溶媒としてジエチルエーテルを使用する場
合、液相中のジアゾメタンの濃度は、約3重量%より低
く、好ましくは約1重量%〜約3重量%に維持すべきで
ある。
【0017】反応混合物の温度と組成は、ゆるやかに攪
拌することによって均一に維持することが好ましい。慣
用の攪拌機、好ましくは機械的回転子を用いることがで
きる。一般に、この工程全体を通じて、慣用の化学工程
の装置を使用できる。
【0018】反応混合物から発生する気相は、気相と凝
縮物の中のジアゾメタンの濃度を低く維持するのに十分
低い温度に維持された凝縮器で冷却される。その凝縮器
と、凝縮物を受ける容器は、いずれもジアゾメタンの沸
点(−23℃)より低い温度に維持しなければならな
い。好ましくは、上記凝縮器と受け容器は、−30℃以
下に維持する。
【0019】上記の条件および手順のもとで、安全で爆
発しない反応を実施できるのであるが、さらに予防処置
を実施して爆発が起こらないことを保証することができ
る。例えば、ジアゾメタンが生成し始める前と後に、装
置を有機溶媒でパージして、ジアゾメタンが、常に、熱
容量の高い有機蒸気の存在下で生成することを保証する
ことが重要である。上記説明のように、溶媒は、気相の
ジアゾメタンの濃度を安全な限度内に維持する温度で気
化し凝縮する溶媒でなければならない。上記装置の最も
危険な部分は、ジアゾメタンが反応容器の入口で再凝縮
する場所である。というのは、その場所では、気相のジ
アゾメタンの濃度が高いからである。溶媒とジアゾメタ
ンの蒸気の混合物が、連続的に高速で凝縮器中に流入す
ると、ジアゾメタンは、凝縮器を通して、冷たい(約−
20℃〜−30℃の)反応器中に押し入れられる。蒸留
が中断したりすると、反応器の状態は危険になるが、溶
媒/ジアゾメタンの混合物を−20℃に冷却することに
よって、再び安全にすることができる。
【0020】さらに、残留ジアゾメタンは、酸と反応さ
せて窒素とメチル化合物を放出させることによって、除
去し無害にすることができる。好ましい酸は有機酸であ
り、そのうち最も好ましいのは酢酸である。濃度が約2
0%の酢酸水溶液がこの目的のための代表的なものであ
る。ジアゾメタンと酢酸の反応生成物は、窒素ガスと酢
酸メチルである。したがって、バッチ反応が終了したと
き、残留のまたは過剰のジアゾメタンは、全て、反応器
および全ての供給ラインと出口ラインを濃酢酸水溶液で
洗い流し、次いで装置を窒素ガスで30分間以上パージ
することによって、除くことが好ましい。また、反応器
の周囲の空気は、次のバッチを開始する前に、新鮮な空
気に入れ換えておくことが推奨される。
【0021】さらに用心のため、反応器とオーバーヘッ
ドラインは、それらの中の空(から)のスペースが、ジ
アゾメタンの全存在量を最低限に制限するように設計す
べきである。そのうえ、反応器および接続流体導管類
は、周囲の領域と温度が異なるようなデッドスペースや
壁部分がないように設計すべきである。このことは、高
濃度の局在を引き起こしかねないジアゾメタンの蓄積や
局在分留(localized fractional distillation)を回
避するのに役立つ。
【0022】この発明を実施する際、すり合わせ継手を
避ける必要はない。すり合わせ継手を有する通常の実験
用フラスコを実際に使用することが可能である。大規模
生産の場合、慣用の反応容器、例えば、米国ニューヨー
ク州ロチェスター所在の Pfaudler-U.S.,Inc.,Alloy Pr
oductsが供給しているガラス内張スチール容器などを使
用することができる。しかし、繰り返し使用すると、ジ
アゾメタンが分解して生じたポリエチレンが蓄積して、
すり合わせ継手および類似特性を有する他の部分に堆積
することがある。堆積したポリエチレンは、継手の密閉
性を損ったり、気体や液体が蓄積する空間を作る可能性
がある。そのポリエチレンは、熱処理または機械的磨削
により取り除くことができる。そのうえで、装置は、上
述のようにして、酸で徹底的に洗浄し、次いで窒素でパ
ージすべきである。
【0023】上記製造装置自体には、少しでも残留ジア
ゾメタンがあればいつでも分解でき、かつジアゾメタン
に暴露された全ての器材を除染する手段を設けておくこ
とが賢明である。このことは、ジアゾメタンが生成する
容器およびジアゾメタンが存在する製造装置の部分のど
こにでも、プロセス中いつでも酸を添加できるような手
段を設けることによって達成される。上記したように、
好ましい酸は、酢酸である。上記のことを達成するに
は、反応器と凝縮物の容器には、いずれも、酸または酸
と窒素の導入ラインを、装置が故障したときに、容器中
に、酸または酸と窒素をポンプ輸送または放出するため
の慣用の手段とともに設けておけばよい。酸スクラッバ
ーも、同じ目的のために使用できる。
【0024】この発明のプロセスで製造されたジアゾメ
タンは、生成後すぐに、次に続く合成工程に直接使用す
ることができる。それは、製造されたジアゾメタンと付
随する溶媒を、次に続く反応(ジアゾメタン自身が他の
反応物と反応する反応)が行われる反応容器中に、直接
に凝縮させることによって、達成される。製造されたジ
アゾメタンを直接使用しようとしない場合は、それを乾
燥して、冷却された貯蔵容器に移せばよい。この発明の
プロセスで製造されたジアゾメタンは、一般に1重量%
未満の水を含有している。無水のジアゾメタンが必要な
場合には、ジアゾメタン合成の当業技術者にとって公知
のことであるが、前記凝縮物を、氷浴(−30℃より低
い温度)内の、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまた
は他の適切な乾燥剤の固体ペレット上に集めることがで
きる。これらのペレットは、溶媒(好ましくは、ジエチ
ルエーテル)でカバーして、最初に接触したときの発熱
作用を避けることが好ましい。ジアゾメタンを次の反応
に使用する必要がある場合には、上記乾燥されたジアゾ
メタンを、リモートデカンテーション、減圧移送または
ポンプによって適切な反応容器に送ることができる。
【0025】この発明のプロセスは、比較的安全である
が、ジアゾメタンは爆発性で有毒な物質であるというこ
とを、常に念頭に置いていなければならない。この発明
のプロセスを、その各種の実施態様のいずれかで実施す
る者は、プロセスを実施する前に、包括的な危険評価と
工程安全管理の勉強をしておかなければならない。健康
管理および適当な作業員保護設備が必要であり、そして
全ての器材は使用する前に除染しなければならない。
【0026】
【実施例】以下の実施例は、例示することだけを目的と
して提供するものである。
【0027】一連のバッチ反応を、各種の大きさの反応
器で実施した。以下のプロセスの説明は、5リットルの
容量の反応容器の場合に当てはまる。
【0028】蒸留ヘッド、熱電対、二つの入口ポートお
よび機械攪拌器を備えた清浄な5リットルの三つ口フラ
スコを熱水浴上で加熱する。蒸留ヘッドは、−30℃の
凝縮器に接続する。凝縮器の出口は、−30℃に冷却さ
れた12リットルの受け容器に接続する。その受け容器
には、やはり−30℃に冷却されかつ酢酸スクラッバー
に接続されている第二の凝縮器を連結する。受け容器に
は、熱電対、酸によるクエンチを行うのに用いる緊急入
口ポートおよび機械攪拌器が取り付けてある。器材は、
全て、防爆壁の背後に設置され、そして薬剤はテフロン
製輸送ラインを使用して遠隔的にポンプ輸送する。
【0029】ジアゾメタン発生器(5リットルの三つ口
フラスコ)に、1.7リットルのジエチレングリコール
モノエチルエーテル(DGME)、200mL(ミリリ
ットル)のジエチルエーテルおよび765gの40%水
酸化カリウム水溶液(5.46mole)を充填する。
フラスコの内容物を45℃まで加熱し、全作業員は、反
応器の領域から退去する。990g(4.62mol
e)のN−メチル−N−ニトロソロ−p−トルエンスル
ホンアミド(DIAZALD(登録商標))を5.8リ
ットルのジエチルエーテルに溶解した溶液を、フラスコ
内の温度を45℃以上に保持するような速度で、遠隔操
作により添加する。添加が完了したならば、装置を10
0mLの新しいジエチルエーテルですすぎ洗いする。反
応フラスコの温度を、エーテル留出物が無色になるまで
上昇させる。
【0030】上記エーテル留出物が無色になったとき、
反応容器の加熱を減らし、次いで装置を、色が消えるま
で酢酸でクエンチして、クエンチされた混合物を酸性に
する。ジアゾメタンの収率は、出発DIAZALDに基
いて、70%〜85%の範囲で変化した。
【0031】上記の手順に従って、ただしより大きい規
模で一連の実験を行った。原料使用量と生成物収量を下
記表に示す。
【0032】
【表1】 これらの実験で、爆発は、全く起こらなかった。
【0033】以下に、この発明のプロセスの工場規模で
の実施について説明する。さらに、下記の説明は、生成
物のジアゾメタンがそれに続く次段の反応の反応物とし
て直接用いられる反応容器についても言及する。
【0034】生成物のジアゾメタンと反応する反応原料
(液状溶液)を750ガロン(2840リットル)のガ
ラス内張反応器に入れる。その溶液を−30℃まで冷却
して、ジアゾメタンをいつでも受け入れられるように、
この状態を維持する。
【0035】500ガロン(1890リットル)のガラ
ス内張反応器に、739.2kg(9.97kg−mo
le)のジエチルエーテルに溶解した180kg(0.
84kg−mole)のDIAZALDを充填した。こ
の混合物の温度を20℃より高く維持して、DIAZA
LDが沈殿するのを防止する。別個に、300ガロン
(1140リットル)のステンレス鋼製反応器に、11
4kg(1.015kg−mole)のKOH、31
6.42kg(2.361kg−mole)のDGM
E、34.47kg(0.465kg−mole)のジ
エチルエーテルおよび20.02kg(1.112kg
−mole)の水を充填する。前記DIAZALD−ジ
エチルエーテル混合物を、前記KOH混合物に、そのK
OH混合物の温度を48〜52℃に維持しながら、速度
を制御して添加する。
【0036】生成物のジアゾメタンは、前記ステンレス
鋼製反応器から、ジエチルエーテルとともに同時に蒸留
(co-distill)され、ガラス製凝縮器に入り、そこでジ
アゾメタンとジエチルエーテルがともに凝縮する。その
凝縮物を、ジアゾメタンと反応させる反応原料が入って
いて、−30℃に維持され、連続的に攪拌されている前
記750ガロン(2840リットル)のガラス内張反応
器に送る。これら原料とジアゾメタンの反応が迅速に起
こり、攪拌を30分間続ける。次に、両方の反応器に酢
酸を添加して、残っているジアゾメタンを全て破壊す
る。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によるジ
アゾメタンの合成方法は、相間移動触媒を使用し、かつ
反応条件を適切に制御しながら行うことにより、大規模
にバッチ反応で、爆発の危険性がなく、安全で大量にジ
アゾメタンを合成することができる。
【0038】
【付言】以上は、主として、例示を目的として提供する
ものである。この明細書に記載のプロセスの運転条件、
原料、比率および手順ステップ、並びに他の諸パラメー
タは、この発明の精神および範囲から逸脱せずに、種々
の具合にさらに改変また置換を行い得ることが、当業技
術者であれば容易に分かるであろう。
フロントページの続き (72)発明者 マーク エイチ. プラトン アメリカ合衆国 95632 カリフォルニ ア州 ゴールト マックファーランドス トリート 202 (72)発明者 ジェームズ シー. バーナード アメリカ合衆国 95682 カリフォルニ ア州 シングルスプリングス ホリード ライブ 4440 (56)参考文献 特開 昭63−51366(JP,A) 特開 平11−209330(JP,A) 米国特許5459243(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 245/16

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジアゾメタンの製造方法であって、 (a)下記式[化1]で表されるN−メチル−N−ニト
    ロソアミン 【化1】 (式中、Rは電子求引ラジカルである)の少なくとも5
    0g−moleを(i)水と接触すると別個の相を生成
    しかつ(ii)沸点が40℃より低い有機溶媒に溶解し
    て得た溶液を、前記N−メチル−N−ニトロソアミンに
    対して過剰量の無機塩基の水溶液および相間移動触媒が
    入っている反応容器に添加し、この場合、前記有機溶媒
    とこのようにして生成するジアゾメタンの両者を蒸発さ
    せるのに十分高い温度に前記反応容器の内容物を維持
    し、そして前記N−メチル−N−ニトロソアミンの添加
    速度と前記反応容器の温度とを、前記反応容器内の液相
    中のジアゾメタンの濃度が3重量%以下に維持され、か
    つ生成する気相中のジアゾメタンの濃度が25mole
    %以下に維持されるように維持し、次いで (b)上記(a)において上記のようにして生成する前
    記気相を凝縮させてジアゾメタンの有機液体溶液を生成
    させることを含んでなる方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法であって、 気相の前記ジアゾメタンの濃度を、15mole%〜2
    3mole%に維持することを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の方法であって、 Rが、その前記式で示すアミンの窒素原子に結合してい
    る部分が−SO2−、−C(=O)−および−C(=N
    H)−からなる群から選択されるメンバーであるところ
    のラジカルであることを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の方法であって、 前記N−メチル−N−ニトロソアミンが、N−メチル−
    N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、N−メチル−
    N−ニトロソ尿素、N−メチル−N−ニトロソカルバメ
    ート、N−メチル−N−ニトロソウレタンおよびN−メ
    チル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミドから
    なる群から選択されるメンバーであることを特徴とする
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の方法であって、 前記無機塩基が水酸化カリウムであることを特徴とする
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の方法であって、 前記相間移動触媒が、ジエチレングリコールモノメチル
    エーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、
    トリエチレングリコールモノメチルエーテル、およびト
    リエチレングリコールモノエチルエーテルからなる群か
    ら選択されるメンバーであることを特徴とする方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の方法であって、 前記有機溶媒が、ジエチルエーテル、メチルエチルエー
    テルおよびメチルプロピルエーテルからなる群から選択
    されるメンバーであることを特徴とする方法。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の方法であって、 前記有機溶媒がジエチルエーテルであり、そして前記
    (a)の前記反応容器内で維持される前記温度が48℃
    〜52℃であることを特徴とする方法。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の方法であって、 前記無機塩基が水酸化カリウムであり、そして前記水溶
    液中の前記水酸化カリウムの濃度が40重量%〜50重
    量%であることを特徴とする方法。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の方法であって、 前記有機溶媒がジエチルエーテルであり、前記N−メチ
    ル−N−ニトロソアミンがN−メチル−N−ニトロソ−
    p−トルエンスルホンアミドであり、前記無機塩基が水
    酸化カリウムであり、前記相間移動触媒がジエチレング
    リコールモノエチルエーテルであり、前記ジエチルエー
    テル中の前記N−メチル−N−ニトロソ−p−トルエン
    スルホンアミドの濃度が18重量%〜25重量%であ
    り、前記水溶液中の水酸化カリウムの濃度が40重量%
    〜50重量%であり、および前記(a)の前記反応容器
    内で維持される温度が48℃〜52℃であることを特徴
    とする方法。
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