JP3551130B2 - アゾアルキルエステル化合物の製造方法及び該化合物の精製方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アゾアルキルエステル化合物の製造方法及び該化合物の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アゾ化合物は、高分子重合体の重合開始剤や樹脂発泡剤、有機炭化水素化合物のハロゲン化反応に用いられるラジカル発生剤等として有用な化合物である。中でも、ある種の脂肪族アゾ化合物は常温で液状の化合物であり、他の多くのアゾ化合物が固体粉末状であるのに比較して下記に示す利点を有している。
【0003】
(1)固体粉末状の化合物にあっては取扱時の粉塵発生という問題があり、作業者が吸入しないよう局所排気設備の設置や防護マスク、保護手袋等の着用が必須であったが、液状物であれば、このような粉塵発生の問題を生じない。
【0004】
(2)固体粉末状のアゾ化合物は、長期間の貯蔵によりしばしば固化を生ずるため、容器からの取出しが困難となったり、使用時に粉砕しなければならないという問題点を有していたが、液状物であれば、斯かる問題点も生じない。
【0005】
(3)固体粉末状のアゾ化合物は、バルブや配管を詰まらせる虞があったが、液状物であれば、このような虞もない。
【0006】
(4)固体粉末状のアゾ化合物は、少量ずつ連続的に添加する場合や自動定量供給する場合等には、必要に応じて溶媒に溶かすために撹拌機を備えた溶解釜が必要であったが、液状物であればこのような設備や労力が不要である。
【0007】
(5)アゾ化合物は反応性が高く、固体粉末状のものは摩擦熱による自己分解促進を生じる危険があるため自動計量機による計量は困難であり、また、静電気の発生による引火爆発の危険を防ぐため除電に留意する必要があった。しかし、液状物であれば、摩擦熱による自己分解や帯電引火等の危険はいずれも大きく低減され安全に取扱うことができる。
【0008】
常温で液状の脂肪族アゾ化合物としては、例えば一般式(4)
(R1)(R2)(COOR3)C−N=N−C(R1)(R2)(COOR3)
[式中、R1はメチル基を、R2は炭素数1〜4のアルキル基又はカルボキシエチル基を示す。R3は炭素数1〜4のアルキル基を示す。但し、R2が炭素数1〜4のアルキル基である場合、R3は炭素数2〜4のアルキル基を示すものとする。]
で表されるアゾアルキルエステル化合物が知られている。しかし、斯かるアゾアルキルエステル化合物は、未だ工業的規模で生産されるには至っていない。その原因の一つには、該アゾアルキルエステル化合物の製造が困難であったことが挙げられる。
【0009】
上記一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物の製造方法としては、今日まで、以下に示す方法A及び方法Bが知られている。
方法A:
この方法は、ヒドラゾビスアルキルニトリル化合物にアルコール及び塩化水素を反応させてヒドラゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩とし、次いでこのものに水を加えて加水分解させてヒドラゾアルキル化合物とし、更にヒドラゾアルキル化合物を酸化してアゾアルキルエステル化合物を得る方法である(Thiele and Hauser;Ann.290 1(1896),I.A.F.Bickel and Water;Rec.trav.chim.69 312−20(1950))。
【0010】
【化1】
[式中、R1、R2及びR3は前記に同じ。]
しかしながら、方法Aでは、目的とするアゾアルキルエステル化合物の収率が低く(45〜50%程度)、工業的に利用できるものではない。また、原料のヒドラゾビスアルキルニトリル化合物は、通常、水を含有している状態で製造されているが、方法Aでは水が存在していると、アルコール及び塩化水素との反応が進行しない。そこで、方法Aを実施する場合には、原料のヒドラゾビスアルキルニトリル化合物を無水の状態にする必要があるが、水を除去するのに多大の労力を要する。
方法B:
方法Bは、アルコール溶媒中でアゾビスアルキルニトリル化合物と塩化水素とを反応させてアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩とし、次いで該塩化水素塩に水を加えて加水分解させてアゾアルキルエステル化合物を得る方法である(ドイツ国公開特許公報第2254572号)。
【0011】
【化2】
[式中、R1、R2及びR3は前記に同じ。]
しかしながら、この方法は、反応溶媒としてアルコールが使用されており、塩化水素がアルコールに吸収されてしまうため理論量よりも遥かに多量の塩化水素を使用しなければならず、過剰分は中和処理後廃棄することになるから、それだけコストが増加すると共に環境への負荷が大きいという欠点を有している。また、方法Bによると、アルコールに高濃度に塩化水素が溶け込むことにより反応液の状態が不安定となり、反応温度の急上昇や沸騰による蒸気の噴出といった危険を生じるので、工業的規模での実施は困難である。
【0012】
また、方法Bでは、原料であるアゾビスアルキルニトリル化合物を完全に反応させることは困難であり、目的物中に0.3〜1%程度の割合で原料のアゾビスアルキルニトリル化合物が残留するのが避けられず、しかもこのアゾビスアルキルニトリル化合物の除去が困難であるため、高純度で目的物を製造し得ない。
【0013】
更に、ドイツ国公開特許公報第2254572号には、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の塩化水素の良溶媒をアルコールに少量添加することにより、目的物の純度を向上させることができる旨の開示があるが、得られる目的物の純度は未だ充分なものとは言えない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アゾアルキルエステル化合物を安全且つ高収率で製造する方法を提供することを課題とする。
【0015】
また、本発明は、アゾアルキルエステル化合物の精製方法を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
1.本発明は、一般式(1)
(R1)(R2)(CN)C−N=N−C(R1)(R2)(CN)
[式中、R1及びR2は前記に同じ。]
で表されるアゾニトリル化合物を、20℃、1気圧における塩化水素の溶解度が有機溶媒100gに対して5g以下である有機溶媒の存在下に、一般式(2)
R3OH
[式中、R3は前記に同じ。]
で表されるアルコール及び塩化水素と反応させ、次いで得られる一般式(3)
(R1)(R2)(C(=NH・HCl)−OR3)C−N=N−C(R1)(R2)(C(=NH・HCl)−OR3)
[式中、R1、R2及びR3は前記に同じ。]
で表されるアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩を加水分解して一般式(4)
(R1)(R2)(COOR3)C−N=N−C(R1)(R2)(COOR3)
[式中、R1、R2及びR3は前記に同じ。]
で表されるアゾアルキルエステル化合物を得ることを特徴とするアゾアルキルエステル化合物の製造方法(以下この方法を「方法C」という)である。
2.本発明は、一般式(5)
(R1)(R2)(CN)C−NH−NH−C(R1)(R2)(CN)
[式中、R1はメチル基を、R2は炭素数1〜4のアルキル基又はカルボキシエチル基を示す。]
で表され、0.5〜50重量%の水を含むヒドラゾニトリル化合物を、20℃、1気圧における水の溶解度が有機溶媒100gに対して0.5g以下であり且つヒドラゾニトリル化合物の溶解度が有機溶媒100gに対して5g以上である有機溶媒に溶解し、有機溶媒層と水層との二層に分離し、次いで水層を除去した有機溶媒層に一般式(2)
R3OH
[式中、R3は炭素数1〜4のアルキル基を示す。但し、上記一般式(5)におけるR2が炭素数1〜4のアルキル基である場合、R3は炭素数2〜4のアルキル基を示すものとする。]
で表されるアルコールを加えた後、塩素で処理してヒドラゾニトリル化合物を酸化し、更に得られる一般式(1)
(R1)(R2)(CN)C−N=N−C(R1)(R2)(CN)
[式中、R1及びR2は前記に同じ。]
で表されるアゾニトリル化合物を塩化水素と反応させ、最後に得られる一般式(3)
(R1)(R2)(C(=NH・HCl)−OR3)C−N=N−C(R1)(R2)(C(=NH・HCl)−OR3)
[式中、R1、R2及びR3は前記に同じ。]
で表されるアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩を加水分解して一般式(4)
(R1)(R2)(COOR3)C−N=N−C(R1)(R2)(COOR3)
[式中、R1、R2及びR3は前記に同じ。]
で表されるアゾアルキルエステル化合物を得ることを特徴とするアゾアルキルエステル化合物の製造方法(以下この方法を「方法D」という)である。
3.本発明は、(a)有機溶媒を含有する一般式(4)
(R1)(R2)(COOR3)C−N=N−C(R1)(R2)(COOR3)
[式中、R1、R2及びR3は前記に同じ。]
で表されるアゾアルキルエステル化合物に水を加え、有機溶媒を共沸により除去して、一般式(4)で表されるアゾアルキルエステル化合物と水との混合物を得る工程、及び
(b)上記(a)工程で得られる一般式(4)で表されるアゾアルキルエステル化合物と水との混合物を、該アゾアルキルエステル化合物の融点よりも高く且つ水の融点よりも低い温度の部材に接触させて、混合物中の水を凍結させて混合物から水を除去する工程
を備えていることを特徴とする一般式(4)で表されるアゾアルキルエステル化合物の精製方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
アゾアルキルエステル化合物の製造
方法C:
方法Cにおいては、上記一般式(1)で表されるアゾニトリル化合物を原料として用いる。
【0018】
原料のアゾニトリル化合物としては、いずれも公知の化合物であり、目的化合物に応じて相当するアゾニトリル化合物が用いられる。
【0019】
方法Cにおいては、一般式(1)のアゾニトリル化合物を、20℃、1気圧における塩化水素の溶解度が有機溶媒100gに対して5g以下の有機溶媒の存在下に、一般式(2)で表されるアルコール及び塩化水素と反応させる。
【0020】
20℃、1気圧における塩化水素の溶解度が有機溶媒100gに対して5g以下の有機溶媒としては、従来公知のものを広く使用でき、例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類、トリクロロエチレン、パークレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。これらの有機溶媒に中では、トルエン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタンが好ましい。
【0021】
有機溶媒の使用量としては、原料のアゾニトリル化合物と一般式(2)のアルコールの合計重量に対して、通常等量〜10倍量程度とするのがよい。
【0022】
有機溶媒の使用量が少なすぎると反応系を安定に保持し得なくなる虞があり、好ましくない。また、有機溶媒の量が多すぎると、反応速度を低下させる虞があると共に、目的とする一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物の単離にコストを要し、経済的に不利となるため、好ましくない。
【0023】
方法Cにおいて、有機溶媒の使用量としては、原料のアゾニトリル化合物と一般式(2)のアルコールの合計重量に対して、2〜5倍量程度とするのが好ましい。
【0024】
一般式(2)のアルコールとしては、従来公知のものを広く使用でき、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等が挙げられる。原料として用いられる一般式(1)のアゾニトリル化合物がR2が炭素数1〜4のアルキル基であるアゾニトリル化合物の場合には、一般式(2)のアルコールがメタノールであると、目的物が固体状となってしまい本発明の課題が解決できなくなるので、一般式(2)のアルコールとしては、R3が炭素数2〜4のアルキル基であるアルコールであることが肝要である。
【0025】
方法Cにおいて、一般式(2)のアルコールは反応溶媒として使用されるのではなく、一般式(1)のアゾニトリル化合物との反応に使用される。一般式(2)のアルコールの使用量は、通常一般式(1)のアゾニトリル化合物1モルに対して、2〜10モル量程度とするのがよい。アルコールの使用量が少なすぎると未反応のアゾニトリル化合物が残留するため、好ましくない。また、アルコールの使用量が多すぎると、目的物の単離を困難にすると共に、アルコールに吸収され反応に寄与しない塩化水素の量が増えるため、塩化水素が多量に必要となるので、好ましくない。本発明では、一般式(2)のアルコールを、一般式(1)のアゾニトリル化合物1モルに対して、2.1〜5モル量程度使用するのが好ましい。
【0026】
方法Cにおいて、塩化水素としては、無水の塩化水素ガスを用い、反応系に吹き込むことにより反応させるのが好ましい。塩化水素の使用量としては、通常一般式(1)のアゾニトリル化合物1モルに対して、2〜20モル量程度とするのがよい。塩化水素の使用量が少なすぎると、未反応のアゾニトリル化合物を残留させるため好ましくない。また、塩化水素の使用量が多すぎても中和廃棄される量が増大するのみであり、経済面や環境面で好ましくない。本発明では、塩化水素を、一般式(1)のアゾニトリル化合物1モルに対して、2〜10モル量程度使用するのが好ましい。
【0027】
塩化水素の吹き込みは、通常10分〜12時間程度をかけて行うことができ、その後、1〜48時間程度攪拌を続けて反応を完結させるのが好ましい。塩化水素の吹き込みは、連続的及び間欠的のいずれでもよいが、連続的が好ましい。
【0028】
以上の反応は、通常40℃以下、好ましくは5〜25℃の温度範囲に反応系を維持しながら行うのがよい。
【0029】
斯くして一般式(3)で表されるアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩が製造される。
【0030】
方法Cでは、反応生成物から一般式(3)のアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩を単離して次の加水分解反応に供してもよいし、単離することなく反応生成物のまま次の加水分解反応に供してもよい。作業性を考慮すれば、反応生成物から一般式(3)のアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩を単離することなく反応生成物のまま次の加水分解反応に供するのが望ましい。
【0031】
方法Cでは、上記で反応で得られる反応生成物を加水分解することにより、目的とする一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を製造することができる。
【0032】
加水分解は、反応生成物に水を添加することにより行われる。この際、予め使用した有機溶媒及び未反応のアルコールを留去等により除去した後、残存物に水を添加することにより行うのが好ましい。使用した有機溶媒及び未反応のアルコールの留去は、減圧下、5〜30℃程度で行うのが好ましい。加水分解のために添加する水の量としては、残存物の0.5〜10倍重量程度、特に1〜5倍重量程度が好ましい。添加する水の温度は、低温であるのが望ましく、通常0〜30℃程度、好ましくは0〜10℃程度がよい。
【0033】
加水分解反応は、水を添加した後、5分〜120分程度攪拌することにより、効率的に行われる。攪拌は、そのままの温度で行ってもよいし、反応液の温度を30℃程度まで加温して行ってもよい。攪拌には、従来公知の手段をいずれも適用することができる。
【0034】
斯くして、目的とする一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物が生成する。一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物は水不溶性であるので、上記加水分解反応終了時点では水層及び有機層の二層に分離された状態になっている。そこで、本発明では、慣用手段に従い、水層を除去した後、有機層に残存している塩化水素を除去することにより、目的の一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を単離することができる。
【0035】
塩化水素の除去は、従来公知の慣用手段に従えばよく、例えば有機層を5%重曹水等で水洗すればよい。斯くして、目的の一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を製造することができるが、該化合物には僅かではあるが、有機溶媒や水が混入しているので、後記に示す精製方法により、高純度の一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物に精製すればよい。
【0036】
方法D:
方法Dにおいては、上記一般式(5)で表されるヒドラゾニトリル化合物を原料として用いる。
【0037】
原料のヒドラゾニトリル化合物としては、いずれも公知の化合物であり、目的化合物に応じて相当するヒドラゾニトリル化合物が用いられる。斯かるヒドラゾニトリル化合物は、通常0.5〜50重量%の水を含有しているが、方法Dでは水を単離する必要はなく、水を含んだ状態のままで原料として使用される。
【0038】
方法Dにおいては、一般式(5)で表される含水ヒドラゾニトリル化合物を、20℃、1気圧における水の溶解度が有機溶媒100gに対して0.5g以下であり且つヒドラゾニトリル化合物の溶解度が有機溶媒100gに対して5g以上である有機溶媒に溶解させる。
【0039】
20℃、1気圧における水の溶解度が有機溶媒100gに対して0.5g以下であり且つヒドラゾニトリル化合物の溶解度が有機溶媒100gに対して5g以上である有機溶媒としては、従来公知のものを広く使用でき、例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類、トリクロロエチレン、パークレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。これらの有機溶媒に中では、トルエン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタンが好ましい。
【0040】
有機溶媒の使用量としては、原料の含水ヒドラゾニトリル化合物に対して、通常0.5〜30倍重量程度とするのがよい。
【0041】
有機溶媒の使用量が少なすぎると、ヒドラゾニトリル化合物を溶解できない場合があったり、反応が急速に進行して発熱暴走する場合があったり、また析出してくるアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩のために攪拌が困難になったりする場合があり、好ましくない。有機溶媒の量が多すぎると、反応が遅くなったり、有機溶媒の留去に時間を要したりして、生産効率が悪くなるので、好ましくない。
【0042】
方法Dにおいて、有機溶媒の使用量としては、原料の含水ヒドラゾニトリル化合物に対して、3〜15倍重量程度とするのが好ましい。
【0043】
方法Dにおいては、一般式(5)で表される含水ヒドラゾニトリル化合物を上記有機溶媒に溶解させると、有機溶媒層と水層との二層に分離されるので、水層を除去する。水を除去する手段としては、従来公知の手段を広く適用することができ、例えばデカンテーション、分液漏斗を用いる方法等を挙げることができる。
【0044】
方法Dにおいては、次いで有機溶媒層に一般式(2)で表されるアルコールを加えた後、塩素で処理してヒドラゾニトリル化合物を酸化し、一般式(1)で表されるアゾニトリル化合物を得る。
【0045】
一般式(2)のアルコールとしては、方法Cに使用される一般式(2)のアルコールと同じものを使用でき、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等が挙げられる。原料として用いられる一般式(5)のヒドラゾニトリル化合物がR2が炭素数1〜4のアルキル基であるアゾニトリル化合物の場合には、一般式(2)のアルコールがメタノールであると、最終目的物が固体状となってしまい本発明の課題が解決できなくなるので、一般式(2)のアルコールとしては、R3が炭素数2〜4のアルキル基であるアルコールであることが肝要である。
【0046】
一般式(2)のアルコールの使用量は、通常一般式(5)のヒドラゾニトリル化合物1モルに対して、2〜10モル量程度とするのがよい。
【0047】
アルコールの使用量が少なすぎると、目的物の収率が低下する傾向となるので、好ましくない。アルコールの使用量が多すぎると、目的物の単離を困難にすると共に、アルコールに吸収され反応に寄与しない塩化水素の量が増えるため、塩化水素が多量に必要となるので、好ましくない。
【0048】
方法Dでは、一般式(2)のアルコールを、一般式(5)のヒドラゾニトリル化合物1モルに対して、2.1〜5モル量程度使用するのが好ましい。
【0049】
方法Dにおいては、塩素は、一般式(5)のヒドラゾニトリル化合物を酸化して一般式(1)で表されるアゾニトリル化合物に導くために使用される。
【0050】
本発明者は、一般式(5)のヒドラゾニトリル化合物に塩素を作用させて一般式(1)で表されるアゾニトリル化合物に導く際に、反応系内に上記一般式(2)のアルコールを存在させると、塩素による酸化反応が促進され、該酸化反応が速やかに進行するという予期し得ない事実を見い出した。
【0051】
塩素の使用量は、通常一般式(5)のヒドラゾニトリル化合物1モルに対して、1〜2モル量程度とするのがよい。
【0052】
塩素の使用量が少なすぎると、目的物の収率が低下すると共に、未反応物が残り目的物の純度が低下する傾向が生ずるので、好ましくない。塩素の使用量が多すぎると、有機塩素化合物等の副生物が多量に発生し、目的物の純度が低下する傾向が生ずるので、好ましくない。
【0053】
方法Dでは、塩素を、一般式(5)のヒドラゾニトリル化合物1モルに対して、1〜1.2モル量程度使用するのが好ましい。
【0054】
方法Dにおいて、上記で得られる一般式(1)で表されるアゾニトリル化合物と塩化水素との反応、及び引続き行われる一般式(3)で表されるアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩の加水分解反応は、方法Cにおけるそれらの反応と同様の反応条件下に行われる。
【0055】
即ち、方法Dにおいて、一般式(1)で表されるアゾニトリル化合物と塩化水素との反応においては、既に一般式(2)のアルコールが反応系に存在しているので、この段階では一般式(2)のアルコールを添加する必要はない。勿論、更に一般式(2)のアルコールを添加しても差し支えない。この段階の反応においては、一般式(2)のアルコールは一般式(1)のアゾニトリル化合物との反応に使用される。
【0056】
方法Dにおいて、塩化水素としては、無水の塩化水素ガスを用い、反応系に吹き込むことにより反応させるのが好ましい。塩素を用いて一般式(5)のヒドラゾニトリル化合物を酸化した際に、塩化水素が副生するので、この副生した塩化水素をこの反応で使用することができる。そのため、反応系に吹き込まれる塩化水素は、反応に必要な理論量より少量でよい。その量は、前反応で用いられる塩素の使用量等により異なり一概には言えないが、通常一般式(1)のアゾニトリル化合物1モルに対して、0〜18モル量程度とするのがよく、0〜8モル量程度とするのが特に好ましい。
【0057】
塩化水素の吹き込みは、通常10分〜12時間程度をかけて行うことができ、その後、1〜48時間程度攪拌を続けて反応を完結させるのが好ましい。塩化水素の吹き込みは、連続的及び間欠的のいずれでもよいが、連続的が好ましい。
【0058】
以上の反応は、通常40℃以下、好ましくは5〜25℃の温度範囲に反応系を維持しながら行うのがよい。
【0059】
斯くして一般式(3)で表されるアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩が製造される。
【0060】
方法Dでは、反応生成物から一般式(3)のアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩を単離して次の加水分解反応に供してもよいし、単離することなく反応生成物のまま次の加水分解反応に供してもよい。作業性を考慮すれば、反応生成物から一般式(3)のアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩を単離することなく反応生成物のまま次の加水分解反応に供するのが望ましい。
【0061】
方法Dでは、上記で反応で得られる反応生成物を加水分解することにより、目的とする一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を製造することができる。
【0062】
加水分解は、反応生成物に水を添加することにより行われる。この際、予め使用した有機溶媒及び未反応のアルコールを留去等により除去した後、残存物に水を添加することにより行うのが好ましい。使用した有機溶媒及び未反応のアルコールの留去は、減圧下、5〜30℃程度で行うのが好ましい。添加する水の量としては、残存物の0.5〜10倍重量程度、特に1〜5倍重量程度が好ましい。添加する水の温度は、低温であるのが望ましく、通常0〜30℃程度、好ましくは0〜10℃程度がよい。
【0063】
加水分解反応は、水を添加した後、5分〜120分程度攪拌することにより、効率的に行われる。攪拌は、そのままの温度で行ってもよいし、反応液の温度を30℃程度まで加温して行ってもよい。攪拌には、従来公知の手段をいずれも適用することができる。
【0064】
斯くして、目的とする一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物が生成する。一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物は水不溶性であるので、上記加水分解反応終了時点では水層及び有機層の二層に分離された状態になっている。そこで、本発明では、慣用手段に従い、水層を除去した後、有機層に残存している塩化水素を除去することにより、目的の一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を単離することができる。
【0065】
塩化水素の除去は、従来公知の慣用手段に従えばよく、例えば有機層を5%重曹水等で水洗すればよい。斯くして、目的の一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を製造することができるが、該化合物には僅かではあるが、有機溶媒や水が混入しているので、後記に示す精製方法により、高純度の一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物に精製すればよい。
【0066】
アゾアルキルエステル化合物の精製
上記の方法で得られる一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物には、僅かではあるが、有機溶媒や水が混入している状態にある。
【0067】
一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物は加熱により分解する性質を有しているので、加熱により有機溶媒や水を除去する手段を採用し難い。
【0068】
本発明の精製方法を実施するに当たっては、予め一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物から有機溶媒をできる限り除去しておくのが望ましい。有機溶媒の除去は、例えば減圧留去等により行うことができる。もっとも、加熱を伴わない減圧留去工程では十分に有機溶媒を除去することはできず、一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物に対して1〜10重量%程度の有機溶媒は留去できずに残留することが避け難い。
【0069】
本発明の精製方法においては、まず、有機溶媒を含有する一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物に水を加え、有機溶媒を水との共沸により除去する((a)工程)。水の添加量としては、有機溶媒を水との共沸により除去するに足りる量でよく、通常有機溶媒に対して0.1〜10重量倍の水を添加するのがよい。
【0070】
有機溶媒を水との共沸は、非加熱状態の減圧下で行うのが望ましい。減圧の程度は、通常13.3Pa〜26.6kPa程度、好ましくは133〜665Pa程度でよい。斯くして、一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物から大半の有機溶媒を除去することができる。この(a)工程では、一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物と水との混合物を得ることができる。
【0071】
本発明の精製方法においては、次に上記(a)工程で得られる一般式(4)で表されるアゾアルキルエステル化合物と水との混合物を、該アゾアルキルエステル化合物の融点よりも高く且つ水の融点よりも低い温度の部材に接触させて、混合物中の水を凍結させて混合物から凍結水を除去する((b)工程)。
【0072】
ここで部材としては、具体的には一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を収納する容器、被処理物を攪拌する攪拌棒等を例示できる。また、部材の温度を一般式(4)の化合物の融点よりも高く水の融点よりも低い温度とするのは、一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物の流動性を維持したまま水のみを部材に氷結固着させて水と一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物とを分離するためである。このような温度は、常圧では約−20℃〜0℃程度である。
【0073】
より具体的に説明すれば、一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物と水との混合物からなる被処理物を収納した容器を−10℃程度に冷却し、容器に被処理物中に含有される水を氷結させた後、容器を傾けて一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物のみを流出させることにより水と一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物との分離が可能となる。
【0074】
また、別の態様を例示すれば、一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物と水との混合物からなる被処理物を−10℃程度に冷却した攪拌棒で攪拌し、被処理物中に含有される水を攪拌棒に氷結させることにより、被処理物中の水を除去することができる。
【0075】
以上により精製された一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物は、従来困難であった純度99%以上更には99.5%以上といった高純度のものとできる。
【0076】
このように純度の高い脂肪族アゾエステル化合物は、高純度の要求される高分子重合体用の重合開始剤やラジカル開始剤、他のアゾ化合物原料等として特に有用性が高い。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を安全且つ高収率で製造する方法が提供される。
【0078】
本発明によれば、一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を高純度に精製する方法が提供される。
【0079】
本発明の製造方法は、反応溶媒として塩化水素に対する溶解度の低い有機溶媒を使用しているので、多量の塩化水素を使用する必要はなく、経済面及び環境面で優れている。
【0080】
また、本発明の製造方法は、アルコールに高濃度に塩化水素が溶け込むことにより反応液の状態が不安定となり、反応温度の急上昇や沸騰による蒸気の噴出といった危険を生じるという従来法の欠点がないので、工業的規模での実施は容易になる。
【0081】
【実施例】
以下に実施例を掲げて、本発明をより一層明らかにする。尚、以下において、単に「%」とあるのは「重量%」を意味する。
【0082】
実施例1
(1) 2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)の製造
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル16.4g(0.10モル)、トルエン110g及びエタノール36.9g(0.80モル)の混合物に、10〜15℃の温度で、4.5時間かけて乾燥塩酸29.2g(0.80モル)を吹き込んだ。その後、同じ温度に保ち、24時間攪拌を続けて反応を完結させ、同温度で減圧濃縮することによりエタノール20g及びトルエン90gの混合液を共沸により留出させた。
【0083】
残液に3℃に冷却した水100gを攪拌しながら素早く入れた。20℃で60分攪拌して、加水分解反応を終了させた。
【0084】
反応液を分液ロートに移し下層(水層)を捨て、次いで5%重曹水50mlで洗浄し、2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)を得た。
【0085】
(2) 2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)の精製
上記(1)で得られた2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)を、脱イオン水50mlを用いて3回水洗した。油層をフラスコに移し、脱イオン水20mlを加え、10〜15℃で減圧濃縮した。この操作で、油層に残存していたトルエンが水との共沸により、除去された。
【0086】
その後、フラスコを−10℃に冷却し、残留する水をフラスコに氷結させデカンテーションすることにより液状物を分離した。
【0087】
生成物は化学分析の結果、2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)であることを確認した。また、液体クロマトグラフィーにより純度を測定した。
【0088】
収量23.7g、収率87%、純度99.6%、残留アゾビスイソブチロニトリル0.1%未満。
【0089】
実施例2
エタノールの使用量を27.6g(0.6モル)、乾燥塩酸の使用量を17.7g(0.48モル)とする以外は、実施例1と同様に反応及び精製を行い、液状物を得た。
【0090】
生成物は化学分析の結果、2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)であることを確認した。また、液体クロマトグラフィーにより純度を測定した。
【0091】
収量24.0g、収率89%、純度99.8%、残留アゾビスイソブチロニトリル0.1%未満。
【0092】
実施例3
(1) 2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)の製造
含水2,2’−ヒドラゾビスイソブチロニトリル17.8g(0.10モル、水分含有率7.2%)を25℃でトルエン110gに加え、攪拌溶解させ、静置し、下層の水を分液除去した。
【0093】
次いで、この混合物にエチルアルコール10.1g(0.22モル)を加え、10℃で塩素7.51g(0.11モル)を3時間要して吹き込むことにより、2,2’−ヒドラゾビスイソブチロニトリルを酸化させた。
【0094】
次に、この混合物に、10〜15℃で2.5時間要して乾燥塩酸6.20g(0.17モル)を吹き込み、その後同温度で24時間攪拌を続けて、反応を完結させた。
【0095】
更に、この反応物に、水100gを10〜15℃で攪拌しながら加え、更に10〜15℃で1時間攪拌して、加水分解反応を完結させた。
【0096】
加水分解反応完結後、攪拌を止め、静置し、下層の水を分液除去し、油層を5%重曹水100mlで1回、水100mlで2回洗浄した。油層を集め、浴温度を25℃以下に制御して、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮して、2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)を得た。
【0097】
(2) 2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)の精製
上記(1)で得られた2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)に、脱イオン水30gを加え、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮した。この操作で、2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)に混入していたトルエンが、水との共沸により除去された。
【0098】
トルエン及び水の留出が止んだ時点で容器(フラスコ)を取り外し、該容器を−20℃に冷却したところ、容器の内壁に水が氷結した。容器を傾けて氷着水のみをフラスコに残し、内容物をそのまま別の容器に移した。
【0099】
生成物は化学分析の結果、2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)であることを確認した。また、液体クロマトグラフィーにより純度を測定した。
【0100】
収量22.2g、収率86%、純度99.7%、残留アゾビスイソブチロニトリル0.1%未満。
【0101】
比較例1
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル16.4g(0.10モル)とエタノール66.6g(1.4モル)との混合物に、10〜15℃の温度で、2時間かけて乾燥塩酸56g(1.5モル)を吹き込んだ。引き続き液温を10〜15℃に維持して反応を熟成させていたところ、約12時間後に液温が70℃近くまで急上昇し、急冷したにもかかわらず、塩酸ガスが冷却器の先から吹き出した。19時間後、反応を終了し、アスピレーターで塩酸、エタノールを除去した後、3℃の水を100g加え、20℃で60分間加水分解した。反応液を分液ロートに移し下層を捨て、次いで5%重曹水50mlで水洗し、続けて脱イオン水50mlを用いて3回水洗した。
【0102】
油層をフラスコに移し、10〜15℃で減圧濃縮し液状物を得た。
【0103】
生成物は化学分析の結果、2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)であることを確認した。また、液体クロマトグラフィーにより純度を測定した。
【0104】
収量14.6g、収率57%、純度97.2%、残留アゾビスイソブチロニトリル1.1%。
【0105】
この結果から、塩酸の溶解度の低い溶媒を用いず、アルコールを反応溶媒として用いている比較例1の方法では、反応に危険を伴い、また目的物の収率及び純度共に低いことがわかる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アゾアルキルエステル化合物の製造方法及び該化合物の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アゾ化合物は、高分子重合体の重合開始剤や樹脂発泡剤、有機炭化水素化合物のハロゲン化反応に用いられるラジカル発生剤等として有用な化合物である。中でも、ある種の脂肪族アゾ化合物は常温で液状の化合物であり、他の多くのアゾ化合物が固体粉末状であるのに比較して下記に示す利点を有している。
【0003】
(1)固体粉末状の化合物にあっては取扱時の粉塵発生という問題があり、作業者が吸入しないよう局所排気設備の設置や防護マスク、保護手袋等の着用が必須であったが、液状物であれば、このような粉塵発生の問題を生じない。
【0004】
(2)固体粉末状のアゾ化合物は、長期間の貯蔵によりしばしば固化を生ずるため、容器からの取出しが困難となったり、使用時に粉砕しなければならないという問題点を有していたが、液状物であれば、斯かる問題点も生じない。
【0005】
(3)固体粉末状のアゾ化合物は、バルブや配管を詰まらせる虞があったが、液状物であれば、このような虞もない。
【0006】
(4)固体粉末状のアゾ化合物は、少量ずつ連続的に添加する場合や自動定量供給する場合等には、必要に応じて溶媒に溶かすために撹拌機を備えた溶解釜が必要であったが、液状物であればこのような設備や労力が不要である。
【0007】
(5)アゾ化合物は反応性が高く、固体粉末状のものは摩擦熱による自己分解促進を生じる危険があるため自動計量機による計量は困難であり、また、静電気の発生による引火爆発の危険を防ぐため除電に留意する必要があった。しかし、液状物であれば、摩擦熱による自己分解や帯電引火等の危険はいずれも大きく低減され安全に取扱うことができる。
【0008】
常温で液状の脂肪族アゾ化合物としては、例えば一般式(4)
(R1)(R2)(COOR3)C−N=N−C(R1)(R2)(COOR3)
[式中、R1はメチル基を、R2は炭素数1〜4のアルキル基又はカルボキシエチル基を示す。R3は炭素数1〜4のアルキル基を示す。但し、R2が炭素数1〜4のアルキル基である場合、R3は炭素数2〜4のアルキル基を示すものとする。]
で表されるアゾアルキルエステル化合物が知られている。しかし、斯かるアゾアルキルエステル化合物は、未だ工業的規模で生産されるには至っていない。その原因の一つには、該アゾアルキルエステル化合物の製造が困難であったことが挙げられる。
【0009】
上記一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物の製造方法としては、今日まで、以下に示す方法A及び方法Bが知られている。
方法A:
この方法は、ヒドラゾビスアルキルニトリル化合物にアルコール及び塩化水素を反応させてヒドラゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩とし、次いでこのものに水を加えて加水分解させてヒドラゾアルキル化合物とし、更にヒドラゾアルキル化合物を酸化してアゾアルキルエステル化合物を得る方法である(Thiele and Hauser;Ann.290 1(1896),I.A.F.Bickel and Water;Rec.trav.chim.69 312−20(1950))。
【0010】
【化1】
[式中、R1、R2及びR3は前記に同じ。]
しかしながら、方法Aでは、目的とするアゾアルキルエステル化合物の収率が低く(45〜50%程度)、工業的に利用できるものではない。また、原料のヒドラゾビスアルキルニトリル化合物は、通常、水を含有している状態で製造されているが、方法Aでは水が存在していると、アルコール及び塩化水素との反応が進行しない。そこで、方法Aを実施する場合には、原料のヒドラゾビスアルキルニトリル化合物を無水の状態にする必要があるが、水を除去するのに多大の労力を要する。
方法B:
方法Bは、アルコール溶媒中でアゾビスアルキルニトリル化合物と塩化水素とを反応させてアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩とし、次いで該塩化水素塩に水を加えて加水分解させてアゾアルキルエステル化合物を得る方法である(ドイツ国公開特許公報第2254572号)。
【0011】
【化2】
[式中、R1、R2及びR3は前記に同じ。]
しかしながら、この方法は、反応溶媒としてアルコールが使用されており、塩化水素がアルコールに吸収されてしまうため理論量よりも遥かに多量の塩化水素を使用しなければならず、過剰分は中和処理後廃棄することになるから、それだけコストが増加すると共に環境への負荷が大きいという欠点を有している。また、方法Bによると、アルコールに高濃度に塩化水素が溶け込むことにより反応液の状態が不安定となり、反応温度の急上昇や沸騰による蒸気の噴出といった危険を生じるので、工業的規模での実施は困難である。
【0012】
また、方法Bでは、原料であるアゾビスアルキルニトリル化合物を完全に反応させることは困難であり、目的物中に0.3〜1%程度の割合で原料のアゾビスアルキルニトリル化合物が残留するのが避けられず、しかもこのアゾビスアルキルニトリル化合物の除去が困難であるため、高純度で目的物を製造し得ない。
【0013】
更に、ドイツ国公開特許公報第2254572号には、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の塩化水素の良溶媒をアルコールに少量添加することにより、目的物の純度を向上させることができる旨の開示があるが、得られる目的物の純度は未だ充分なものとは言えない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アゾアルキルエステル化合物を安全且つ高収率で製造する方法を提供することを課題とする。
【0015】
また、本発明は、アゾアルキルエステル化合物の精製方法を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
1.本発明は、一般式(1)
(R1)(R2)(CN)C−N=N−C(R1)(R2)(CN)
[式中、R1及びR2は前記に同じ。]
で表されるアゾニトリル化合物を、20℃、1気圧における塩化水素の溶解度が有機溶媒100gに対して5g以下である有機溶媒の存在下に、一般式(2)
R3OH
[式中、R3は前記に同じ。]
で表されるアルコール及び塩化水素と反応させ、次いで得られる一般式(3)
(R1)(R2)(C(=NH・HCl)−OR3)C−N=N−C(R1)(R2)(C(=NH・HCl)−OR3)
[式中、R1、R2及びR3は前記に同じ。]
で表されるアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩を加水分解して一般式(4)
(R1)(R2)(COOR3)C−N=N−C(R1)(R2)(COOR3)
[式中、R1、R2及びR3は前記に同じ。]
で表されるアゾアルキルエステル化合物を得ることを特徴とするアゾアルキルエステル化合物の製造方法(以下この方法を「方法C」という)である。
2.本発明は、一般式(5)
(R1)(R2)(CN)C−NH−NH−C(R1)(R2)(CN)
[式中、R1はメチル基を、R2は炭素数1〜4のアルキル基又はカルボキシエチル基を示す。]
で表され、0.5〜50重量%の水を含むヒドラゾニトリル化合物を、20℃、1気圧における水の溶解度が有機溶媒100gに対して0.5g以下であり且つヒドラゾニトリル化合物の溶解度が有機溶媒100gに対して5g以上である有機溶媒に溶解し、有機溶媒層と水層との二層に分離し、次いで水層を除去した有機溶媒層に一般式(2)
R3OH
[式中、R3は炭素数1〜4のアルキル基を示す。但し、上記一般式(5)におけるR2が炭素数1〜4のアルキル基である場合、R3は炭素数2〜4のアルキル基を示すものとする。]
で表されるアルコールを加えた後、塩素で処理してヒドラゾニトリル化合物を酸化し、更に得られる一般式(1)
(R1)(R2)(CN)C−N=N−C(R1)(R2)(CN)
[式中、R1及びR2は前記に同じ。]
で表されるアゾニトリル化合物を塩化水素と反応させ、最後に得られる一般式(3)
(R1)(R2)(C(=NH・HCl)−OR3)C−N=N−C(R1)(R2)(C(=NH・HCl)−OR3)
[式中、R1、R2及びR3は前記に同じ。]
で表されるアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩を加水分解して一般式(4)
(R1)(R2)(COOR3)C−N=N−C(R1)(R2)(COOR3)
[式中、R1、R2及びR3は前記に同じ。]
で表されるアゾアルキルエステル化合物を得ることを特徴とするアゾアルキルエステル化合物の製造方法(以下この方法を「方法D」という)である。
3.本発明は、(a)有機溶媒を含有する一般式(4)
(R1)(R2)(COOR3)C−N=N−C(R1)(R2)(COOR3)
[式中、R1、R2及びR3は前記に同じ。]
で表されるアゾアルキルエステル化合物に水を加え、有機溶媒を共沸により除去して、一般式(4)で表されるアゾアルキルエステル化合物と水との混合物を得る工程、及び
(b)上記(a)工程で得られる一般式(4)で表されるアゾアルキルエステル化合物と水との混合物を、該アゾアルキルエステル化合物の融点よりも高く且つ水の融点よりも低い温度の部材に接触させて、混合物中の水を凍結させて混合物から水を除去する工程
を備えていることを特徴とする一般式(4)で表されるアゾアルキルエステル化合物の精製方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
アゾアルキルエステル化合物の製造
方法C:
方法Cにおいては、上記一般式(1)で表されるアゾニトリル化合物を原料として用いる。
【0018】
原料のアゾニトリル化合物としては、いずれも公知の化合物であり、目的化合物に応じて相当するアゾニトリル化合物が用いられる。
【0019】
方法Cにおいては、一般式(1)のアゾニトリル化合物を、20℃、1気圧における塩化水素の溶解度が有機溶媒100gに対して5g以下の有機溶媒の存在下に、一般式(2)で表されるアルコール及び塩化水素と反応させる。
【0020】
20℃、1気圧における塩化水素の溶解度が有機溶媒100gに対して5g以下の有機溶媒としては、従来公知のものを広く使用でき、例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類、トリクロロエチレン、パークレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。これらの有機溶媒に中では、トルエン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタンが好ましい。
【0021】
有機溶媒の使用量としては、原料のアゾニトリル化合物と一般式(2)のアルコールの合計重量に対して、通常等量〜10倍量程度とするのがよい。
【0022】
有機溶媒の使用量が少なすぎると反応系を安定に保持し得なくなる虞があり、好ましくない。また、有機溶媒の量が多すぎると、反応速度を低下させる虞があると共に、目的とする一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物の単離にコストを要し、経済的に不利となるため、好ましくない。
【0023】
方法Cにおいて、有機溶媒の使用量としては、原料のアゾニトリル化合物と一般式(2)のアルコールの合計重量に対して、2〜5倍量程度とするのが好ましい。
【0024】
一般式(2)のアルコールとしては、従来公知のものを広く使用でき、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等が挙げられる。原料として用いられる一般式(1)のアゾニトリル化合物がR2が炭素数1〜4のアルキル基であるアゾニトリル化合物の場合には、一般式(2)のアルコールがメタノールであると、目的物が固体状となってしまい本発明の課題が解決できなくなるので、一般式(2)のアルコールとしては、R3が炭素数2〜4のアルキル基であるアルコールであることが肝要である。
【0025】
方法Cにおいて、一般式(2)のアルコールは反応溶媒として使用されるのではなく、一般式(1)のアゾニトリル化合物との反応に使用される。一般式(2)のアルコールの使用量は、通常一般式(1)のアゾニトリル化合物1モルに対して、2〜10モル量程度とするのがよい。アルコールの使用量が少なすぎると未反応のアゾニトリル化合物が残留するため、好ましくない。また、アルコールの使用量が多すぎると、目的物の単離を困難にすると共に、アルコールに吸収され反応に寄与しない塩化水素の量が増えるため、塩化水素が多量に必要となるので、好ましくない。本発明では、一般式(2)のアルコールを、一般式(1)のアゾニトリル化合物1モルに対して、2.1〜5モル量程度使用するのが好ましい。
【0026】
方法Cにおいて、塩化水素としては、無水の塩化水素ガスを用い、反応系に吹き込むことにより反応させるのが好ましい。塩化水素の使用量としては、通常一般式(1)のアゾニトリル化合物1モルに対して、2〜20モル量程度とするのがよい。塩化水素の使用量が少なすぎると、未反応のアゾニトリル化合物を残留させるため好ましくない。また、塩化水素の使用量が多すぎても中和廃棄される量が増大するのみであり、経済面や環境面で好ましくない。本発明では、塩化水素を、一般式(1)のアゾニトリル化合物1モルに対して、2〜10モル量程度使用するのが好ましい。
【0027】
塩化水素の吹き込みは、通常10分〜12時間程度をかけて行うことができ、その後、1〜48時間程度攪拌を続けて反応を完結させるのが好ましい。塩化水素の吹き込みは、連続的及び間欠的のいずれでもよいが、連続的が好ましい。
【0028】
以上の反応は、通常40℃以下、好ましくは5〜25℃の温度範囲に反応系を維持しながら行うのがよい。
【0029】
斯くして一般式(3)で表されるアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩が製造される。
【0030】
方法Cでは、反応生成物から一般式(3)のアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩を単離して次の加水分解反応に供してもよいし、単離することなく反応生成物のまま次の加水分解反応に供してもよい。作業性を考慮すれば、反応生成物から一般式(3)のアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩を単離することなく反応生成物のまま次の加水分解反応に供するのが望ましい。
【0031】
方法Cでは、上記で反応で得られる反応生成物を加水分解することにより、目的とする一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を製造することができる。
【0032】
加水分解は、反応生成物に水を添加することにより行われる。この際、予め使用した有機溶媒及び未反応のアルコールを留去等により除去した後、残存物に水を添加することにより行うのが好ましい。使用した有機溶媒及び未反応のアルコールの留去は、減圧下、5〜30℃程度で行うのが好ましい。加水分解のために添加する水の量としては、残存物の0.5〜10倍重量程度、特に1〜5倍重量程度が好ましい。添加する水の温度は、低温であるのが望ましく、通常0〜30℃程度、好ましくは0〜10℃程度がよい。
【0033】
加水分解反応は、水を添加した後、5分〜120分程度攪拌することにより、効率的に行われる。攪拌は、そのままの温度で行ってもよいし、反応液の温度を30℃程度まで加温して行ってもよい。攪拌には、従来公知の手段をいずれも適用することができる。
【0034】
斯くして、目的とする一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物が生成する。一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物は水不溶性であるので、上記加水分解反応終了時点では水層及び有機層の二層に分離された状態になっている。そこで、本発明では、慣用手段に従い、水層を除去した後、有機層に残存している塩化水素を除去することにより、目的の一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を単離することができる。
【0035】
塩化水素の除去は、従来公知の慣用手段に従えばよく、例えば有機層を5%重曹水等で水洗すればよい。斯くして、目的の一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を製造することができるが、該化合物には僅かではあるが、有機溶媒や水が混入しているので、後記に示す精製方法により、高純度の一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物に精製すればよい。
【0036】
方法D:
方法Dにおいては、上記一般式(5)で表されるヒドラゾニトリル化合物を原料として用いる。
【0037】
原料のヒドラゾニトリル化合物としては、いずれも公知の化合物であり、目的化合物に応じて相当するヒドラゾニトリル化合物が用いられる。斯かるヒドラゾニトリル化合物は、通常0.5〜50重量%の水を含有しているが、方法Dでは水を単離する必要はなく、水を含んだ状態のままで原料として使用される。
【0038】
方法Dにおいては、一般式(5)で表される含水ヒドラゾニトリル化合物を、20℃、1気圧における水の溶解度が有機溶媒100gに対して0.5g以下であり且つヒドラゾニトリル化合物の溶解度が有機溶媒100gに対して5g以上である有機溶媒に溶解させる。
【0039】
20℃、1気圧における水の溶解度が有機溶媒100gに対して0.5g以下であり且つヒドラゾニトリル化合物の溶解度が有機溶媒100gに対して5g以上である有機溶媒としては、従来公知のものを広く使用でき、例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類、トリクロロエチレン、パークレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。これらの有機溶媒に中では、トルエン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタンが好ましい。
【0040】
有機溶媒の使用量としては、原料の含水ヒドラゾニトリル化合物に対して、通常0.5〜30倍重量程度とするのがよい。
【0041】
有機溶媒の使用量が少なすぎると、ヒドラゾニトリル化合物を溶解できない場合があったり、反応が急速に進行して発熱暴走する場合があったり、また析出してくるアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩のために攪拌が困難になったりする場合があり、好ましくない。有機溶媒の量が多すぎると、反応が遅くなったり、有機溶媒の留去に時間を要したりして、生産効率が悪くなるので、好ましくない。
【0042】
方法Dにおいて、有機溶媒の使用量としては、原料の含水ヒドラゾニトリル化合物に対して、3〜15倍重量程度とするのが好ましい。
【0043】
方法Dにおいては、一般式(5)で表される含水ヒドラゾニトリル化合物を上記有機溶媒に溶解させると、有機溶媒層と水層との二層に分離されるので、水層を除去する。水を除去する手段としては、従来公知の手段を広く適用することができ、例えばデカンテーション、分液漏斗を用いる方法等を挙げることができる。
【0044】
方法Dにおいては、次いで有機溶媒層に一般式(2)で表されるアルコールを加えた後、塩素で処理してヒドラゾニトリル化合物を酸化し、一般式(1)で表されるアゾニトリル化合物を得る。
【0045】
一般式(2)のアルコールとしては、方法Cに使用される一般式(2)のアルコールと同じものを使用でき、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等が挙げられる。原料として用いられる一般式(5)のヒドラゾニトリル化合物がR2が炭素数1〜4のアルキル基であるアゾニトリル化合物の場合には、一般式(2)のアルコールがメタノールであると、最終目的物が固体状となってしまい本発明の課題が解決できなくなるので、一般式(2)のアルコールとしては、R3が炭素数2〜4のアルキル基であるアルコールであることが肝要である。
【0046】
一般式(2)のアルコールの使用量は、通常一般式(5)のヒドラゾニトリル化合物1モルに対して、2〜10モル量程度とするのがよい。
【0047】
アルコールの使用量が少なすぎると、目的物の収率が低下する傾向となるので、好ましくない。アルコールの使用量が多すぎると、目的物の単離を困難にすると共に、アルコールに吸収され反応に寄与しない塩化水素の量が増えるため、塩化水素が多量に必要となるので、好ましくない。
【0048】
方法Dでは、一般式(2)のアルコールを、一般式(5)のヒドラゾニトリル化合物1モルに対して、2.1〜5モル量程度使用するのが好ましい。
【0049】
方法Dにおいては、塩素は、一般式(5)のヒドラゾニトリル化合物を酸化して一般式(1)で表されるアゾニトリル化合物に導くために使用される。
【0050】
本発明者は、一般式(5)のヒドラゾニトリル化合物に塩素を作用させて一般式(1)で表されるアゾニトリル化合物に導く際に、反応系内に上記一般式(2)のアルコールを存在させると、塩素による酸化反応が促進され、該酸化反応が速やかに進行するという予期し得ない事実を見い出した。
【0051】
塩素の使用量は、通常一般式(5)のヒドラゾニトリル化合物1モルに対して、1〜2モル量程度とするのがよい。
【0052】
塩素の使用量が少なすぎると、目的物の収率が低下すると共に、未反応物が残り目的物の純度が低下する傾向が生ずるので、好ましくない。塩素の使用量が多すぎると、有機塩素化合物等の副生物が多量に発生し、目的物の純度が低下する傾向が生ずるので、好ましくない。
【0053】
方法Dでは、塩素を、一般式(5)のヒドラゾニトリル化合物1モルに対して、1〜1.2モル量程度使用するのが好ましい。
【0054】
方法Dにおいて、上記で得られる一般式(1)で表されるアゾニトリル化合物と塩化水素との反応、及び引続き行われる一般式(3)で表されるアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩の加水分解反応は、方法Cにおけるそれらの反応と同様の反応条件下に行われる。
【0055】
即ち、方法Dにおいて、一般式(1)で表されるアゾニトリル化合物と塩化水素との反応においては、既に一般式(2)のアルコールが反応系に存在しているので、この段階では一般式(2)のアルコールを添加する必要はない。勿論、更に一般式(2)のアルコールを添加しても差し支えない。この段階の反応においては、一般式(2)のアルコールは一般式(1)のアゾニトリル化合物との反応に使用される。
【0056】
方法Dにおいて、塩化水素としては、無水の塩化水素ガスを用い、反応系に吹き込むことにより反応させるのが好ましい。塩素を用いて一般式(5)のヒドラゾニトリル化合物を酸化した際に、塩化水素が副生するので、この副生した塩化水素をこの反応で使用することができる。そのため、反応系に吹き込まれる塩化水素は、反応に必要な理論量より少量でよい。その量は、前反応で用いられる塩素の使用量等により異なり一概には言えないが、通常一般式(1)のアゾニトリル化合物1モルに対して、0〜18モル量程度とするのがよく、0〜8モル量程度とするのが特に好ましい。
【0057】
塩化水素の吹き込みは、通常10分〜12時間程度をかけて行うことができ、その後、1〜48時間程度攪拌を続けて反応を完結させるのが好ましい。塩化水素の吹き込みは、連続的及び間欠的のいずれでもよいが、連続的が好ましい。
【0058】
以上の反応は、通常40℃以下、好ましくは5〜25℃の温度範囲に反応系を維持しながら行うのがよい。
【0059】
斯くして一般式(3)で表されるアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩が製造される。
【0060】
方法Dでは、反応生成物から一般式(3)のアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩を単離して次の加水分解反応に供してもよいし、単離することなく反応生成物のまま次の加水分解反応に供してもよい。作業性を考慮すれば、反応生成物から一般式(3)のアゾビスアルキルイミノアルキルエーテル塩化水素塩を単離することなく反応生成物のまま次の加水分解反応に供するのが望ましい。
【0061】
方法Dでは、上記で反応で得られる反応生成物を加水分解することにより、目的とする一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を製造することができる。
【0062】
加水分解は、反応生成物に水を添加することにより行われる。この際、予め使用した有機溶媒及び未反応のアルコールを留去等により除去した後、残存物に水を添加することにより行うのが好ましい。使用した有機溶媒及び未反応のアルコールの留去は、減圧下、5〜30℃程度で行うのが好ましい。添加する水の量としては、残存物の0.5〜10倍重量程度、特に1〜5倍重量程度が好ましい。添加する水の温度は、低温であるのが望ましく、通常0〜30℃程度、好ましくは0〜10℃程度がよい。
【0063】
加水分解反応は、水を添加した後、5分〜120分程度攪拌することにより、効率的に行われる。攪拌は、そのままの温度で行ってもよいし、反応液の温度を30℃程度まで加温して行ってもよい。攪拌には、従来公知の手段をいずれも適用することができる。
【0064】
斯くして、目的とする一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物が生成する。一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物は水不溶性であるので、上記加水分解反応終了時点では水層及び有機層の二層に分離された状態になっている。そこで、本発明では、慣用手段に従い、水層を除去した後、有機層に残存している塩化水素を除去することにより、目的の一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を単離することができる。
【0065】
塩化水素の除去は、従来公知の慣用手段に従えばよく、例えば有機層を5%重曹水等で水洗すればよい。斯くして、目的の一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を製造することができるが、該化合物には僅かではあるが、有機溶媒や水が混入しているので、後記に示す精製方法により、高純度の一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物に精製すればよい。
【0066】
アゾアルキルエステル化合物の精製
上記の方法で得られる一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物には、僅かではあるが、有機溶媒や水が混入している状態にある。
【0067】
一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物は加熱により分解する性質を有しているので、加熱により有機溶媒や水を除去する手段を採用し難い。
【0068】
本発明の精製方法を実施するに当たっては、予め一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物から有機溶媒をできる限り除去しておくのが望ましい。有機溶媒の除去は、例えば減圧留去等により行うことができる。もっとも、加熱を伴わない減圧留去工程では十分に有機溶媒を除去することはできず、一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物に対して1〜10重量%程度の有機溶媒は留去できずに残留することが避け難い。
【0069】
本発明の精製方法においては、まず、有機溶媒を含有する一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物に水を加え、有機溶媒を水との共沸により除去する((a)工程)。水の添加量としては、有機溶媒を水との共沸により除去するに足りる量でよく、通常有機溶媒に対して0.1〜10重量倍の水を添加するのがよい。
【0070】
有機溶媒を水との共沸は、非加熱状態の減圧下で行うのが望ましい。減圧の程度は、通常13.3Pa〜26.6kPa程度、好ましくは133〜665Pa程度でよい。斯くして、一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物から大半の有機溶媒を除去することができる。この(a)工程では、一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物と水との混合物を得ることができる。
【0071】
本発明の精製方法においては、次に上記(a)工程で得られる一般式(4)で表されるアゾアルキルエステル化合物と水との混合物を、該アゾアルキルエステル化合物の融点よりも高く且つ水の融点よりも低い温度の部材に接触させて、混合物中の水を凍結させて混合物から凍結水を除去する((b)工程)。
【0072】
ここで部材としては、具体的には一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を収納する容器、被処理物を攪拌する攪拌棒等を例示できる。また、部材の温度を一般式(4)の化合物の融点よりも高く水の融点よりも低い温度とするのは、一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物の流動性を維持したまま水のみを部材に氷結固着させて水と一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物とを分離するためである。このような温度は、常圧では約−20℃〜0℃程度である。
【0073】
より具体的に説明すれば、一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物と水との混合物からなる被処理物を収納した容器を−10℃程度に冷却し、容器に被処理物中に含有される水を氷結させた後、容器を傾けて一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物のみを流出させることにより水と一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物との分離が可能となる。
【0074】
また、別の態様を例示すれば、一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物と水との混合物からなる被処理物を−10℃程度に冷却した攪拌棒で攪拌し、被処理物中に含有される水を攪拌棒に氷結させることにより、被処理物中の水を除去することができる。
【0075】
以上により精製された一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物は、従来困難であった純度99%以上更には99.5%以上といった高純度のものとできる。
【0076】
このように純度の高い脂肪族アゾエステル化合物は、高純度の要求される高分子重合体用の重合開始剤やラジカル開始剤、他のアゾ化合物原料等として特に有用性が高い。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を安全且つ高収率で製造する方法が提供される。
【0078】
本発明によれば、一般式(4)のアゾアルキルエステル化合物を高純度に精製する方法が提供される。
【0079】
本発明の製造方法は、反応溶媒として塩化水素に対する溶解度の低い有機溶媒を使用しているので、多量の塩化水素を使用する必要はなく、経済面及び環境面で優れている。
【0080】
また、本発明の製造方法は、アルコールに高濃度に塩化水素が溶け込むことにより反応液の状態が不安定となり、反応温度の急上昇や沸騰による蒸気の噴出といった危険を生じるという従来法の欠点がないので、工業的規模での実施は容易になる。
【0081】
【実施例】
以下に実施例を掲げて、本発明をより一層明らかにする。尚、以下において、単に「%」とあるのは「重量%」を意味する。
【0082】
実施例1
(1) 2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)の製造
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル16.4g(0.10モル)、トルエン110g及びエタノール36.9g(0.80モル)の混合物に、10〜15℃の温度で、4.5時間かけて乾燥塩酸29.2g(0.80モル)を吹き込んだ。その後、同じ温度に保ち、24時間攪拌を続けて反応を完結させ、同温度で減圧濃縮することによりエタノール20g及びトルエン90gの混合液を共沸により留出させた。
【0083】
残液に3℃に冷却した水100gを攪拌しながら素早く入れた。20℃で60分攪拌して、加水分解反応を終了させた。
【0084】
反応液を分液ロートに移し下層(水層)を捨て、次いで5%重曹水50mlで洗浄し、2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)を得た。
【0085】
(2) 2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)の精製
上記(1)で得られた2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)を、脱イオン水50mlを用いて3回水洗した。油層をフラスコに移し、脱イオン水20mlを加え、10〜15℃で減圧濃縮した。この操作で、油層に残存していたトルエンが水との共沸により、除去された。
【0086】
その後、フラスコを−10℃に冷却し、残留する水をフラスコに氷結させデカンテーションすることにより液状物を分離した。
【0087】
生成物は化学分析の結果、2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)であることを確認した。また、液体クロマトグラフィーにより純度を測定した。
【0088】
収量23.7g、収率87%、純度99.6%、残留アゾビスイソブチロニトリル0.1%未満。
【0089】
実施例2
エタノールの使用量を27.6g(0.6モル)、乾燥塩酸の使用量を17.7g(0.48モル)とする以外は、実施例1と同様に反応及び精製を行い、液状物を得た。
【0090】
生成物は化学分析の結果、2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)であることを確認した。また、液体クロマトグラフィーにより純度を測定した。
【0091】
収量24.0g、収率89%、純度99.8%、残留アゾビスイソブチロニトリル0.1%未満。
【0092】
実施例3
(1) 2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)の製造
含水2,2’−ヒドラゾビスイソブチロニトリル17.8g(0.10モル、水分含有率7.2%)を25℃でトルエン110gに加え、攪拌溶解させ、静置し、下層の水を分液除去した。
【0093】
次いで、この混合物にエチルアルコール10.1g(0.22モル)を加え、10℃で塩素7.51g(0.11モル)を3時間要して吹き込むことにより、2,2’−ヒドラゾビスイソブチロニトリルを酸化させた。
【0094】
次に、この混合物に、10〜15℃で2.5時間要して乾燥塩酸6.20g(0.17モル)を吹き込み、その後同温度で24時間攪拌を続けて、反応を完結させた。
【0095】
更に、この反応物に、水100gを10〜15℃で攪拌しながら加え、更に10〜15℃で1時間攪拌して、加水分解反応を完結させた。
【0096】
加水分解反応完結後、攪拌を止め、静置し、下層の水を分液除去し、油層を5%重曹水100mlで1回、水100mlで2回洗浄した。油層を集め、浴温度を25℃以下に制御して、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮して、2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)を得た。
【0097】
(2) 2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)の精製
上記(1)で得られた2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)に、脱イオン水30gを加え、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮した。この操作で、2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)に混入していたトルエンが、水との共沸により除去された。
【0098】
トルエン及び水の留出が止んだ時点で容器(フラスコ)を取り外し、該容器を−20℃に冷却したところ、容器の内壁に水が氷結した。容器を傾けて氷着水のみをフラスコに残し、内容物をそのまま別の容器に移した。
【0099】
生成物は化学分析の結果、2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)であることを確認した。また、液体クロマトグラフィーにより純度を測定した。
【0100】
収量22.2g、収率86%、純度99.7%、残留アゾビスイソブチロニトリル0.1%未満。
【0101】
比較例1
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル16.4g(0.10モル)とエタノール66.6g(1.4モル)との混合物に、10〜15℃の温度で、2時間かけて乾燥塩酸56g(1.5モル)を吹き込んだ。引き続き液温を10〜15℃に維持して反応を熟成させていたところ、約12時間後に液温が70℃近くまで急上昇し、急冷したにもかかわらず、塩酸ガスが冷却器の先から吹き出した。19時間後、反応を終了し、アスピレーターで塩酸、エタノールを除去した後、3℃の水を100g加え、20℃で60分間加水分解した。反応液を分液ロートに移し下層を捨て、次いで5%重曹水50mlで水洗し、続けて脱イオン水50mlを用いて3回水洗した。
【0102】
油層をフラスコに移し、10〜15℃で減圧濃縮し液状物を得た。
【0103】
生成物は化学分析の結果、2,2’−アゾビス(2−メチル−エチルプロピオネート)であることを確認した。また、液体クロマトグラフィーにより純度を測定した。
【0104】
収量14.6g、収率57%、純度97.2%、残留アゾビスイソブチロニトリル1.1%。
【0105】
この結果から、塩酸の溶解度の低い溶媒を用いず、アルコールを反応溶媒として用いている比較例1の方法では、反応に危険を伴い、また目的物の収率及び純度共に低いことがわかる。
Claims (1)
- (a)有機溶媒を含有する一般式(4)
(R1)(R2)(COOR3)C-N=N-C(R1)(R2)(COOR3)
[式中、R1はメチル基を、R2は炭素数1〜4のアルキル基又はカルボキシエチル基を示す。R3は炭素数1〜4のアルキル基を示す。但し、R2が炭素数1〜4のアルキル基である場合、R3は炭素数2〜4のアルキル基を示すものとする。]
で表されるアゾアルキルエステル化合物に水を加え、有機溶媒を共沸により除去して、一般式(4)で表されるアゾアルキルエステル化合物と水との混合物を得る工程、及び
(b)上記(a)工程で得られる一般式(4)で表されるアゾアルキルエステル化合物と水との混合物を、該アゾアルキルエステル化合物の融点よりも高く且つ水の融点よりも低い温度の部材に接触させて、混合物中の水を凍結させて混合物から水を除去する工程
を備えていることを特徴とする一般式(4)で表されるアゾアルキルエステル化合物の精製方法。
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