JP4879398B2 - グリセリルヌクレオチド、それらの製造法および使用 - Google Patents
グリセリルヌクレオチド、それらの製造法および使用 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4879398B2 JP4879398B2 JP2000586741A JP2000586741A JP4879398B2 JP 4879398 B2 JP4879398 B2 JP 4879398B2 JP 2000586741 A JP2000586741 A JP 2000586741A JP 2000586741 A JP2000586741 A JP 2000586741A JP 4879398 B2 JP4879398 B2 JP 4879398B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- hydrogen
- formula
- hydroxyl
- compound
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07H—SUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
- C07H19/00—Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof
- C07H19/02—Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof sharing nitrogen
- C07H19/04—Heterocyclic radicals containing only nitrogen atoms as ring hetero atom
- C07H19/06—Pyrimidine radicals
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P31/00—Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
- A61P31/12—Antivirals
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P31/00—Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
- A61P31/12—Antivirals
- A61P31/14—Antivirals for RNA viruses
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P31/00—Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
- A61P31/12—Antivirals
- A61P31/14—Antivirals for RNA viruses
- A61P31/18—Antivirals for RNA viruses for HIV
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P31/00—Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
- A61P31/12—Antivirals
- A61P31/20—Antivirals for DNA viruses
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P31/00—Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
- A61P31/12—Antivirals
- A61P31/20—Antivirals for DNA viruses
- A61P31/22—Antivirals for DNA viruses for herpes viruses
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
- A61P35/02—Antineoplastic agents specific for leukemia
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07H—SUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
- C07H19/00—Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof
- C07H19/02—Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof sharing nitrogen
- C07H19/04—Heterocyclic radicals containing only nitrogen atoms as ring hetero atom
- C07H19/16—Purine radicals
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07H—SUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
- C07H19/00—Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof
- C07H19/02—Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof sharing nitrogen
- C07H19/04—Heterocyclic radicals containing only nitrogen atoms as ring hetero atom
- C07H19/16—Purine radicals
- C07H19/20—Purine radicals with the saccharide radical esterified by phosphoric or polyphosphoric acids
- C07H19/207—Purine radicals with the saccharide radical esterified by phosphoric or polyphosphoric acids the phosphoric or polyphosphoric acids being esterified by a further hydroxylic compound, e.g. flavine adenine dinucleotide or nicotinamide-adenine dinucleotide
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Virology (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Public Health (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Oncology (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Communicable Diseases (AREA)
- AIDS & HIV (AREA)
- Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
- Hematology (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Saccharide Compounds (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
Description
本発明は新規なそして適切な場合両親媒性のグリセリルヌクレオチドと、それらの製造およびがんおよび感染病を処置するための組成物に関する。
【0002】
規定された構造的特徴を示すヌクレオチドアナログはがんおよびウイルスにより引き起こされる感染病の化学療法において価値ある薬物であることが証明されている(Advanced Drug Delivery Review(1996)19,287)。しかしながらヌクレオチドアナログの治療効果はそれ自体は非活性であるヌクレオチトアナログがプロトラッグとして細胞に取込まれ、そして実際に活性な化合物、例えばヌクレオチドアナログの5’−トリリン酸誘導体に同化される時のみに見られる。これらのヌクレオチドはDNA複製を停止しおよび/または逆転写をブロックする。1−β−D−アラビノフラノシルシトシン(araC)および5−フルオロ−2’−デオキシウリジン(5FdU)のようなDNA複製を防止するヌクレオチドアナログは造血細胞の悪性病に対してそして固形腫瘍に対して有効である。3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジン(AZT),2’,3’−ジデオキシシチジン(ddC),2’,3’−ジデオキシイノシン(ddI),3’−チア−2’,3’−ジデオキシチミジン(3TC)および2,3’−ジデヒドロ,2’,3’−ジデオキシチミジン(d4T)のようなジデオキシヌクレオシドアナログはHIV感染の治療のために特に適している。
【0003】
フォスフォノギ酸のトリナトリウム塩(Foscarnet)のような非ヌクレオシド抗ウイルス活性化合物はウイルスポリメラーゼのポリリン酸結合部位をブロックする。これは単純ヘルペスウイルス、HIVウイルスおよびヒトサイトメガロウイルスのようなウイルスを阻止する。膜をより良く透過することができるFoscarnetの両親媒性グリセリル誘導体はウイルス療法の最適化に貢献する(Antivir.Chem.& Chemother.(1998)9,33)。
【0004】
HIV治療の場合特に速やかに起こる化学療法のコースの間の抵抗性の発展のため、併用療法の使用によって病気の進行を長期間遅らせることができるだけである。そのような療法においては、数種の抗ウイルス活性化合物が合わせて投与される(Schweiz,Med.Wochenschr.(1997)127,436)。併用療法の場合に患者に課すべき治療計画が厳格であるため、患者コンプライアンスは低い。それ故達成される治療成功度は利用し得る薬物が持っている高い可能性をもって得ることができた可能な成功度より十分に低い(AIDS 1998 Diagonostik and Therapie(Diagnosis and Therapy),Steinhauser publishing Company)。
【0005】
最善でも例えばCombivirの場合のように2種類のヌクレオシドプロドラッグ(AZTおよび3TC)が混合物として存在する形の投与のみが患者に対して併用療法を実用的にする。しかしながら細胞によるプロドラッグの摂取は増加しないし、活性化合物を与えるそれらの同化の最適化も存在しないから、そのような混合物では改善する効果を達成することは殆ど不可能である。
【0006】
他方、2種類のヌクレオシドアナログがフォスフォジエステル結合によって連結されている(EP0642527B1)両親媒性結合物を使用して併用療法を決定的に最適化することができる。これら両親媒性ジヌクレオシドアナログのある種の欠点は、フォスフォジエステル結合の所望の酵素切断が起こる時、どの場合でも一方のモノマー単位のみが活性ヌクレオシドアナログとして放出されるが、結合物の第2のモノマー単位はそれ自体は不活性なヌクレオシドアナログとして不可避的に残ることである。もし細胞がこのヌクレオシドアナログを活性ヌクレオシドアナログを与えるように同化しなければ、投与したダイマーの50%までが治療的に使用されず、それ故不活性である。これら両親媒性結合物の追加の欠点は、2種類の結合したヌクレオシドアナログの少なくとも一方は、生成するダイマーが両親媒性になることを確実にするように親油性基を持たなければならないことである。それ故どちらも親油化できない併用療法に適した2種類のヌクレオシドアナログは両親媒性ダイマーへ変換することができず、治療において結合物として使用することができない。
【0007】
本発明の目的は、がんおよび感染をもっと効果的に撲滅するために使用できる新規な合剤を提供可能とすることである。この目的は、前記した2種類の活性化合物の組合せの利益が完全に実現されるように、2種類の活性化合物を各場合に同時に遊離することができる新規なグリセリルヌクレオチドによって達成される。この新規なグリセリルヌクレオチドを製造するため、二つの治療上活性なヌクレオシド誘導体を相互へ、またはあるヌクレオシド誘導体をグリセロール脂質骨格によってフォスフォノギ酸またはその塩形(Forscarnet)へ共有結合することに優先性が与えられる。
【0008】
本発明は第1に、ラセミ形もしくはエナンチオマー的に純粋な式Iaの化合物、およびこれら化合物の薬学的に許容し得る塩に関する。
【0009】
【化12】
【0010】
式中、
a)基A1 ,A2 およびA3 の一つは、水素原子またはヒドロキシル、メルカプト、アルキル、アルケニル、ポリオキシアルケニル、アリール、アシル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、ポリオキシアルケニルオキシ、アシルオキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アシルチオおよびアリールチオから選ばれた基であって、アルキル、アルケニルおよびアシルは任意に1〜3のアリール基で置換されており、
b1)基A1 ,A2 およびA3 の残る二つは相互に異なる二つのヌクレオシド基であって、ヌクレオシド基の各自は生理学的に切断し得るリン含有橋かけ基によってグリセリル鎖の炭素原子へ連結されており、または
b2)基A1 ,A2 およびA3 の残りの一つはヌクレオシド基であり、そして残りの基の他方はヒドロキシカルボニルであって、それらの各自は生理学的に切断し得るリン含有橋かけ基によってグリセリル鎖の炭素原子へ連結されており、ここでヌクレオシド基の少なくとも一つは天然に存在するヌクレオシドではなく、該ヌクレオシド基は任意にその塩基部分において一以上の環原子上におよび/またはアミノ側基のような一以上の側基上において、ヒドロキシル、アミノ、ハロゲン、アルキル、アルケニル、ポリオキシアルケニル、アリール、アシル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、ポリオキシアルケニルオキシ、アシルオキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アシルチオおよびアリールチオから選ばれた一以上の基で置換されており、この場合アルキル、アルケニルおよびアシル基は任意に1〜3のアリール基もしくはハロゲンで置換されており;そして前記ヌクレオシド基は任意にその炭水化物部分において水素、F,Cl,BrおよびIのようなハロゲン、ヒドロキシル、エチニルおよびアジドから選ばれた置換基により1回以上置換されており、任意に炭素原子の代りにS,NおよびOから選ばれたヘテロ原子を所有し、そして任意に一つまたは隣接しないC=C2重結合を含んでいる。
【0011】
天然に存在せずそして本発明化合物に存在するヌクレオシド基は糖基(炭水化物部分)へN−グリコシド的にまたはO−グリコシド的に連結された複素環基(塩基部分)を含むヌクレオシド(ヌクレオシド誘導体)から誘導される。それらは天然に存在するヌクレオシド、アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジンおよびチミジンと対応するデオキシヌクレオシドから炭水化物部分および/または塩基部分において異なっている。
【0012】
天然に存在しないヌクレオシドまたはヌクレオシド誘導体の基はヘキソースまたはペントース、好ましくはデオキシリボースまたはリボースから誘導される。適切な場合、1個または数個のプロトンもしくはヒドロキシル基を糖残基中に置換または除去することができる。これに関し適切な置換基は前述した置換基水素、F,Cl,BrおよびIのようなハロゲン、ヒドロキシル、エチニルおよびアジドから選ばれる。適切な場合、S,NおよびOから選ばれたヘテロ原子が炭素原子に代わって存在することができ、そして適切な場合、糖残基は1または二つの隣接しないC=C二重結合を含むことができる。
【0013】
天然に存在しないヌクレオシドまたはヌクレオシド誘導体の塩基部分は、一つまたは二つの4ないし7員環からなり、合わせてN,SおよびO,特にNおよびOから選ばれた1ないし6個のヘテロ原子を含む単環または双環複素環塩基の残基である。そのような塩基の例は、プリンおよびピリミジン塩基アデニン、グアニン、シトシン、ウラシルおよびチミジンである。使用し得る塩基の他の例は、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、アミノピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、ペンタゾール、ピリドン、ピペリジン、ピリジン、インドール、イソインドール、ピリタジン、インドキシル、イサチン、.ピラジン、ピペラジン、グラミン、トリプトファン、キヌレン酸、トリプタミン、3−インドール酢酸、カルバゾール、インダゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジンおよびテトラジンである。好ましくは塩基はアデニン、グアニン、シトシン、ウラシルおよびチミジンと、そして1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾールおよびテトラゾールである。適切な場合、前記塩基は1回ないし4回のように1回以上、特に1回または2回、前述した基ヒドロキシル、アミノ、ハロゲン、アルキル、アルケニル、ポリオキシアルケニル、アリール、アシル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、ポリオキシアルケニルオキシ、アシルオキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アシルチオまたはアリールチオによって置換されることができ、その場合アルキル、アルケニルおよびアシル基は任意に1〜3のアリール基またはハロゲン原子で置換される。これに関し、置換は環原子上で、または好ましくは環炭素原子上で、または側基例えば塩基のアミノ側基上で行われることができる。
【0014】
本発明による式(Ia)の化合物中で生理学的に切断可能なリン含有橋かけ基は、好ましくはフォスフォジエステル基およびそれらのイオウ含有アナログから誘導される。好ましくは具体例においては、式(Ia)の化合物はそれ故−OP(OZ)(O)O−,−SP(OZ)(O)O−,OP(OZ)(S)O−およびSP(OZ)(S)O−から選ばれた橋かけ基によって各自独立にグリセリル基へ連結され、そしてヒドロキシカルボニル基は−OP(OZ)(O)−,−SP(OZ)(O)−および−SP(OZ)(S)−から選ばれた橋かけ基によってグリセリル基へ連結され、ここでZはプロトンかまたは薬学的に許容し得るカチオンである。
【0015】
A1 ,A2 およびA3 が分子へ両親媒性が与えられるように選ばれた式(Ia)の化合物に特に優先性が与えられる。これはグリセリル基またはヌクレオシド誘導体残基を親油性基で置換することによって達成される。この点に関しヌクレオシド誘導体残基は好ましくは塩基部分に親油性基を持っている。言及することができるそのような親油性基の例はアルキル、アルケニル、ポリオキシアルケニル、アリール、アシル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、ポリオキシアルケニルオキシ、アシルオキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アシルチオおよびアリールチオであり、この場合アルキル、アルケニルおよびアシル基は任意に1〜3のアリール基またはハロゲン原子で置換される。
【0016】
親油性基は好ましくは6より多い、例えば7ないし30のもしくは10ないし24の炭素原子を含まなければならない。
【0017】
言及することができる好適なアリール基の例は、フェニル、ナフチルおよびベンジルである。
【0018】
言及することができる好適なアルキル基の例は、メチル、エチル、i−もしくはn−プロピル、n−,i−,sec−もしくはt−ブチル、n−もしくはi−ペンチル、そして加えてn−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシルおよびn−ヘキサデシル、オクタデシル、ドコサニルおよびそれらの単一もしくは多分岐アナログのような、1〜24のC原子を有する直鎖または分岐基である。
【0019】
好適なアルケニル基の例は、前述した2〜24炭素原子を有するアルキル基の単一もしくは多数、好ましくは単一もしくは2個不飽和アナログであり、その場合二重結合は炭素鎖中の任意の位置に所在することができる。
【0020】
好適なポリオキシアルケニル基の例は、C2 −C4 アルキレンオキシドから誘導され、そして2ないし12のアルキレンオキシド繰り返し単位を含むことができる。
【0021】
好適なアシル基の例は、任意に1回以上不飽和でそして任意に置換された直鎖もしくは分岐鎖C1 −C24モノカルボキシル酸から誘導される。例えば使用し得るアシル基は以下のカルボキシル酸から誘導される。ギ酸、酢酸、プロピオン酸、n−およびi−酪酸、n−およびi−吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキギン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、セロチン酸およびメリシン酸のような飽和酸;アクリル酸、クロトン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸およびエルカ酸のような単不飽和酸;およびソルビン酸およびリノール酸のような2重不飽和酸である。もし脂肪酸が二重結合を含むならば、二重結合はシスもしくはトラス形で存在することができる。
【0022】
好適なアルキルオキシ、アシルオキシ、アリールオキシ、アルケニルオキシおよびポリオキシアルケニルオキシ基の例は、前述したアルキル、アルケニル、アシル、アリールおよびポリオキシアルケニル基の酸素末端アナログである。
【0023】
好適なアルキルチオ、アルケニルチオ、アシルチオおよびアリールチオの例は、上のアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アシルオキシおよびアリールオキシ基の対応するイオウ末端アナログである。
【0024】
本発明は特に、ラセミ形およびエナンチオマー的に純粋な形の式Iの好ましくは両親媒性グリセリルヌクレオシド
【0025】
【化13】
に関する。
【0026】
式中、基Aおよび二つのリン含有基は任意の配列でグリセロール骨格のC原子C1,C2およびC3へ連結されており;X1,X2およびX3は互いに同一または異なって、独立に酸素またはイオウであり;Aはアルキル、ヒドロキシ、メルカプト、またはアルキルもしくはアシル置換ヒドロキシであり、その場合アルキルもしくはアシル基は直鎖または分枝した、そして任意に二つまでの二重結合および任意に1ないし3の芳香族基によって置換された1ないし24のC原子を有し;Zは水素またはこの化合物の酸形に対応する塩であり;N1またはN2の一方はヒドロキシカルボニルもしくはその塩形であり、他方は、D−またはL−構造のヌクレオシド誘導体であるか、またはこのN1およびN2は互いに異なって、各自D−もしくはL−構造のヌクレオシド誘導体であり;ここでヌクレオシド誘導体基は一般式II,IIIおよびIVの基もしくはそれらの互変異性体形から選択され、
【0027】
【化14】
【0028】
【化15】
【0029】
【化16】
【0030】
この場合、
Yは酸素またはイオウであり;
R1 はヒドロキシル、アミノ、アシル化、アルキル化もしくはポリオキシエチレン置換アミノ基であって、そのアシルまたはアルキル基は直鎖もしくは分枝であり、C原子1〜24とそして二つまでの二重結合を有し、そして一つの芳香族基によって置換されていることができ;
R2 は水素、ハロゲン、アミノもしくはヒドロキシル基か、またはブロモビニルまたは直鎖もしくは分枝C1 −C24アルキル基であり;
R3 ,R4 ,R5 ,R6 ,R7 およびR8 は同一または異なってそして水素、ハロゲン、ヒドロキシル、エチニルまたはアジドであり;
そして基R3 ないしR8 の一つはヌクレオシド誘導体がそれによってグリセリルリン酸へ連結される酸素であり、基R3 ないしR8 の二つはaが二重結合の結合の時は省かれる。
【0031】
式I中の基A,R1 およびR2 は好ましくは両親媒性を持っている化合物が得られるように選ばれる。
【0032】
もしAがアルコキシ基であるならば、その時優先性はヘキサデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基またはドコサニルオキシ基のようなC原子12ないし24を有する基に与えられる。
【0033】
もしAがカルボキシル酸基であるならば、その時優先性はパルミチン酸基、ステアリン酸基またはベヘニン酸基のようなC原子12ないし24を有する基に与えられる。
【0034】
もしAがアルキル基であるならば、その時優先性はヘキサデシル基、9−オクタデセニル基、オクタデシル基またはドコサニル基のようなC原子12ないし24を有する基に与えられる。
【0035】
もしR1 がアルキル化アミノ基であるならば、アルキル基はその時好ましくはヘキサデシル基またはオクタデシル基のようなC原子12ないし24を有する基であり;もしR1 がアシル化アミノ基であるならば、アシル基はその時好ましくはパルミトイル基、オレイル基またはベヘノイル基のようなC原子12ないし24を有する基である。
【0036】
R2 は好ましくは水素、ハロゲン、メチルまたはエチルであり;R3 ,R4 ,R5 ,R6 およびR7 はアジド、水素、フッ素、エチニルまたはヒドロキシル基であり;そしてR8 は好ましくはヒドロキシル基である。しかしながらR8 は特に好ましくはヌクレオシド基が橋かけ基のP原子へそれによって結合する酸素原子である。
【0037】
もし二つの基N1 およびN2 の一つがヒドロキシカルボニル基であるならば、優先性は式IIまたはくIVのヌクレオシド誘導体である他方の基に与えられる。
【0038】
化合物の他の好ましいグループは以下のとおりである。
【0039】
a)式(I)の化合物であって、
X1 ,X2 ,X3 およびX4 は酸素原子であり;
式Iのグリセロール骨格のC1 原子は式Aへ連結され、この場合Aはヒドロキシル、オクタデシル、オクタデシルオキシ、ドコシルオキシまたはベヘノイルオキシ、パルミトイルまたはオレオイルであり;
式Iのグリセロール骨格のC2 原子はフォスフォジエステル架橋によってN2 へ連結され、この場合N2 は式II、III またはIVのヌクレオシド誘導体基であって、式中、
Yは酸素原子であり;
R1 はヒドロキシ、アミノ、オクタデシルアミノ、ドコシルアミノ、パルミトイルアミノ、オレオイルアミノまたはベヘノイルアミノ基であり;
R2 はメチル、エチル、水素またはハロゲンであり;
R3 ないしR8 は上で述べた意味を有し、その場合基R3 ,R4 ,R5 ,R6 およびR8 の一つはヌクレオシド誘導体基N2 がリン原子へそれによって連結される酸素原子であり;そして
式Iのグリセロール骨格のC3 原子はその遊離もしくは塩形にあるヒドロキシカルボニルフォスフォネート基へ連結されている。
【0040】
b)グループa)に従う式Iの化合物であって、式中特にN2 は式IIまたはIVのヌクレオシド誘導体基であって、式IIまたはIV中、
R1 はアミノ、パルミトイルアミノまたはヒドロオキシ基であり;
R2 は水素、メチルまたはエチル基であり;
R3 ,R4 ,R5 およびR7 は水素であり;
R6 は水素、フッ素またはアジドであり;そして
R8 はN2 がそれによってリン原子へ連結される酸素原子である。
c)式Iの化合物であって、式中、
X1 ,X2 ,X3 およびX4 は酸素原子であり;
Aはパルミトイルオキシ、オレオイルオキシまたはオタタデシルオキシであって、式Iのグリセロール骨格のC2 原子へ連結されており;
N1 およびN2 は異なって、式II,III およびIVのヌクレオシド誘導体基である。
d)グループc)に従った式Iの化合物であって、式中特にN1 は好ましくは式IIのL−構造ヌクレオシド誘導体基であって、式II中
R1 はアミノまたはパルミトイルアミノ基であり;
R2 およびR3 は水素であり;
R8 は式Iのグリセリルジリン酸骨格のC1 またはC3 位にあるリン原子へそれによってN1 が連結される酸素原子であり、
N2 は式III またはIVのヌクレオシド誘導体基である。
e)グループc)に従う式Iの化合物であって、式中特にN2 は好ましくは式IVのヌクレオシド誘導体基であって、式IV中
R1 はアミノ、パルミトイルアミノまたはヒドロキシル基であり;
R2 は水素またはメチルであり;
R3 ,R4 ,R5 およびR7 は水素であり;
R6 は水素、フッ素またはアジドであり;
R8 は式Iのグリセリルジリン酸骨格のC1 またはC3 位にあるリン原子へそれによってN2 が連結される酸素原子である。
f)グループc)に従う式Iの化合物であって、式中特にN1 は式IIまたはIVのヌクレオシド誘導体基であり、N2 は式III のヌクレオシド誘導体基であって、どちらの場合も式中
R1 はヒドロキシルであり;
R2 ないしR7 は水素であり;
R8 は式Iのグリセロール−1,3−ジリン酸骨格へN1 またはN2 がそれによって連結される酸素原子である。
g)グループc)に従う式Iの化合物であって、式中特にN1 およびN2 は式IVのヌクレオシド誘導体基であって、式中N1 において、
R1 はアミノ、パルミトイルアミノまたはオクタデシルアミノ基であり;
R2 ,R5 およびR7 は水素であり;
R3 ,R4 およびR6 は同一または異なって、水素、ヒドロキシルまたはフッ素であり;
そして式中N2 において、
R1 はヒドロキシル基であり;
R2 はメチルまたはハロゲンであり;
R3 ,R4 ,R5 およびR7 は水素であるが、その二つの隣接する基はもし二重結合が位置aに存在すれば任意に省かれ;
R6 は水素、フッ素、アジドまたはヒドロキシル基であり;
N1 およびN2 中のR8 はそれぞれの場合グリセロール−1,3−ジリン酸骨格へN1 およびN2 がそれによって連結される酸素原子である。
h)グループg)に従う式Iの化合物であって、特にN1 およびN2 中、
R1 は同一または異なって、ヒドロキシル基またはアミノ基であり;
R2 は同一または異なって、水素またはメチルであり;
R4 ,R5 およびR7 は水素であり;
R8 はグリセロール−1,3−ジリン酸骨格へN1 およびN2 がそれによって連結される酸素原子である。
i)グループg)に従う式Iの化合物であって、式中特にN1 において、
R1 はアミノまたはパルミトイルアミノ基であり;
R2 およびR7 は水素であり;
R3 およびR4 はフッ素、水素またはヒドロキシルであり;
R5 は水素またはエチニル基であり;
R6 はヒドロキシルであり;そしてN2 において
R1 はヒドロキシルであり;
R2 はフッ素であり;
R3 ,R4 ,R5 およびR7 は水素であり;
R6 はヒドロキシルであり;
R8 はいずれの場合もグリセロール−1,3−ジリン酸骨格へN1 およびN2 がそれによって連結される酸素原子である。
【0041】
式Iaの新規な好ましくは両親媒性のグリセリルヌクレオシドは、式Ib:
【0042】
【化17】
【0043】
(式中、基A18,A28およびA38の一つはヒドロキシル、メルカプト、ヒドロゲンフォスフォネートまたはチオヒドロゲンフォスフォネート基であり、そして他の二つの基はA1 ,A2 およびA3 に対して上で与えた意味を有し、その場合二つの基の少なくとも一つは上の定義に従ったヌクレオシド基である。)の化合物を、
a)酸クロライドの存在下、上に述べた定義に従ったヌクレオシドまたはヌクレオシド誘導体であって、その場合もし基A18,A28およびA38の一つがヒドロキシル基またはメルカプト基であるならばヒドロゲンフォスフォネートまたはチオヒドロゲンフォスフォネート基を付加的に有するヌクレオシド誘導体と縮合し、そして生成する生成物を酸化し、または
b)(エトキシカルボニル)ジクロロフォスフォネートおよび酸クロライドと反応させ、そしてエトキシ基をその後アルカリ性条件下で加水分解することによって製造することができる。
【0044】
式IにおいてN1 およびN2 がD−またはL−構造のヌクレオシド誘導体である新規なそして好ましくは両親媒性グリセリルヌクレオシドは、式V
【0045】
【化18】
【0046】
(式中A,X2 Bおよびリン酸基はグリセロール骨格のC1 ,C2 およびC3 原子へ任意の配列で連結されることができ;基A,X2 ,X3 ,X4 ,N2 およびZは与えられた意味を有し;X2 Bはヒドロキシル、チオール、ヒドロゲンフォスフォネートまたはチオヒドロゲンフォスフォネート基である。)の化合物を酸クロライドの存在下上の式II,III またはIVのヌルレオシド誘導体と縮合し、その後酸化することによって製造することができる。その場合式II,III またIV中、基R1 ないしR8 は与えられた意味を有し、加えてR8 は4−モノ−、4,4’−ジメトキシトリフェニルメトキシ、ヒドロゲンフォスフォネートまたはチオヒドロゲンフォスフォネートであることができ;R3 ,R4 ,R5 およびR6 は加えてC原子1〜24を有しそしてフェニル基で置換されていることができる直鎖または分枝カルボキシル基であることができ;基R3 ,R4 ,R5 ,R6 およびR8 の一つはもし式Vの化合物においてX2 Bがヒドロキシルまたはチオールであるならば常にヒドロゲンフォスフォネートかもしくはチオヒドロゲンフォスフォネートであるが、他方もしX2 Bがヒドロゲンフォスフォネートもしくはチオヒドロゲンフォスフォネートであるならばこれら基のどれもヒドロゲンフォスフォネートもしくはチオヒドロゲンフォスフォネートではない。
【0047】
縮合は酸無水物または特にピバロイルクロライドのような酸クロライドの存在下、−80℃ないし+100℃,例えば約0〜20℃において特に満足に進行する。酸化は、a)水性有機溶媒中ヨウ素でP−H結合をP=O結合へ酸化するか、またはb)P−H結合をトリエチルアミン/CS2 中S8 でP=S結合へ酸化することにより、−80℃ないし+100℃,例えば約0〜20℃において特に満足に進行する。
【0048】
酸化およびクロマトグラフィー処理の後、4−モノ−もしくは4,4’−ジメトキシトリフェニルメチル基はヒドロキシル基で置換される。もし必要ならば、アシル基はメルカプト、ヒドロキシルおよび/またはアミノ基へ加水分解的に変換される。
【0049】
式I中N1 が酸もしくは塩の形で結合している新規なそして好ましくは両親媒性化合物は、Bが水素である式Vの化合物を(エトキシカルボニル)フォスフォリルクロライドとそれ自体既知の態様で反応させることによって製造することができる。この反応は特にピリジン/クロロホルム、アセトニトリル/クロロホルムもしくはピリジン/塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素と、そしてリン酸トリメチルとの混合物中で−10℃ないし+80℃,例えば約0〜10℃において特に満足に進行する。反応およびクロマトグラフィー処理後、酸クロライド基およびエトシキ基はアルカリ性条件下でのその後の加水分解によってヒドロキシル基または対応する塩の形へ変換される(J.Med.Chem.(1986)29,1389)。
【0050】
出発物質として使用される式Vの化合物は、式VI
【0051】
【化19】
【0052】
の化合物を式II,III またはIVのヌクレオシド誘導体と酸クロライドの存在下縮合し、その後既知の態様でヨウ素またはイオウで酸化することによって製造することができる(Tetrahedron Let.(1986)27,469;ibid.5575)。
【0053】
この場合式VI中基A,X2 R9 およびX3 Bはグリセロール骨格のC1 ,C2 およびC3 原子へ任意の配列で連結されることができ;AおよびX2 は与えられた意味を有し;R9 は4−モノ−もしくは4,4’−ジメトキシトリフェニルメチル、またはC原子1〜24を有しそして芳香族基で置換されていることができる直鎖もしくは分枝アシル基であり;基X3 Bはヒドロキシル、チオール、ヒドロゲンフォスフォネートまたはチオヒドロゲンフォスフォネート基である。また式II,III またはIVにおいて、R1 〜R8 は前述した意味を有し、その場合基R3 ,R4 ,R5 ,R6 およびR8 の一つはもし式VIの化合物において基X3 Bがヒドロキシルもしくはチオールであるならば常にヒドロゲンフォスフォネートもしくはチオヒドロゲンフォスフォネートであるが、しかし他方もし式VIの化合物においてX3 Bがヒドロゲンフォスフォネートまたはチオヒドロゲンフォスフォネートであるならばこれら基のどれもヒドロゲスフォスフォネートまたはチオヒドロゲンフォスフォネートではない。
【0054】
クロマトグラフィー処理後、4−モノ−もしくは4,4’−ジメトキシトリフェニルメチル基は酸性条件下で水素で置換され、アシル基はアルカリ性条件下で水素で置換される。
【0055】
上の反応に必要な出発物質は既知物質であるか、それとも良く知られた方法(Hel.Chim.Acta(1982)65,1056;Liebigs Ann.Chem.(1991)765;ibid.(1996)365;Antivir.Chem & Chemther.(1998)9,33;J.C.S.Perkin I(1982)1171;Makromol.Chem.(1986)187,809;Tetrahedron Let.(1986)27,2661)に類似して製造することができる。
【0056】
本発明による化合物は両親媒性または非両親媒性特性を持つことができる。しかしながら両親媒性化合物が特に好ましい。
【0057】
本発明に従ってFoscarnetおよび治療的に活性ヌクレオシドアナログの両親媒性グリセリルヌクレオシドへの変換は、薬力学的挙動に顕著な変化をもたらす。その結果、投与すべき投与量をそれぞれのモノマーと比較して驚くほど増量することができ、同時にこれらの高度に強力な薬物のすべての毒性副作用の増幅へ導かない。加えて、両親媒性グリセリルヌクレオチドはそれぞれのモノマーヌルレオシドアナログに対する耐性の存在下においてさえもなお効果を有する。
【0058】
本発明に従った両親媒性グリセリルヌクレオチドの両親媒性特性は種々の投与スキームの実行を可能にする。グリセリルヌクレオチドの親油性領域は活性化合物をマトリックス脂質と共にリポソーム中へ安定に組入れる結果となり、水に溶けている両親媒性グリセリルの細胞摂取を促進し、そして同時にそれらを非常に速い酵素加水分解から保護する。親水性領域は恐らくミセル形成によって活性化合物を水溶性とすることを可能にする。両親媒性グリセリルヌクレオチド投与の代替可能性の利益は、ダイマーの所望の遅放性効果が水溶液およびリポソーム分散液において達成されることである。このことはリポソーム技術に専ら依存する必要がなくて、水のみに可溶性の活性化合物の場合は容易に可能でないこの技術を必要に応じて使用できることを意味する。
【0059】
本発明に従った両親媒性グリセリルヌクレオチドの他の一利益は、1種以上の他の活性化合物の多様な量と共にそれらをリポソーム中へ組み入れることができ、相乗効果をもたらすことである。これらの両親媒性グリセリルヌクレオチドおよび/または生物学的に耐えられる補助剤と合わせてた組成物中のそれを使用し、および/または少なくとも1または2以上の組成物中に本発明に従った化合物を含む治療剤を使用し、がんおよびウイルスに起因する感染病の治療を最適化することができる。
【0060】
一般に、本発明の化合物は固体、好ましくは哺乳類、特にヒトを処置するための医薬品の形で使用される。このためこれら化合物は、本発明に従って少なくとも1種のヌクレオシドリン酸アナログまたは適切な場合本発明に従った数種の化合の混合物と、そして適切な場合望まれる特定の治療効果のために使用される適切な追加の活性化合物と共に薬学的に許容される補助剤を含む医薬組成物の形で通常投与される。これらの組成物は、例えば経口的に、経腸的に、経皮的に、皮下的に、静脈内的に、筋肉内的にまたは鼻内的に投与される。
【0061】
好適な薬剤フォーミュレーションは、粉末、顆粒、錠剤、ロゼンジ、サシェー、カシェー、糖衣錠、硬および軟ゼラチンカプセルのようなカプセル、坐剤または膣用形のような固形剤;軟膏、クリーム、ヒドロゲル、ペーストまたはプラスターのようて半固形剤;および溶液、エマルジョン、特にo/wエマルジョン、懸濁液、例えばローション、注射および注入剤、および点眼および点耳ドロップのような液剤である。本発明の化合物の投与のため埋め込み遅放性デバイスを使用することもできる。さらにリポソーム、マイクロスフェアまたはポリマーマトリックスを使用するも可能である。
【0062】
本発明による化合物は組成物を製造する時通常補助剤と混合もしくは希釈される。補助剤は活性化合物のためのビヒクル、担体または媒体として作用する固体、半固体または液体物質である。
【0063】
好適な補助剤は、例えば乳糖、グルコース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビヤガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガントガム、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップおよびメチルセルロースを含む。加えて、フォーミューレーションは、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱油のような滑沢剤;湿潤剤;乳化および懸濁剤;メチル−およびプロピルヒドロキシベンゾエートのような保存剤;抗酸化剤;抗刺激剤;キレート剤;コーティング補助剤;乳化安定剤;フィルム形成剤;ゲル形成剤;臭気マスキング剤;矯味剤;樹脂;ヒドロコロイド;溶剤;可溶化剤;中和剤;浸透促進剤;顔料;4級アンモニウム化合物;再脂化および高脂化剤;軟膏、クリームもしくはオイルベース;シリコーン誘導体;拡散補助剤;安定剤および滅菌剤;坐剤ベース、結合剤、フィラー、滑沢剤、崩壊剤またはコーティング剤のような錠剤補助剤;噴射剤;乾燥剤;不透明化剤;濃化剤;ワックス;皮膚軟化剤;白色鉱油のような、薬学的に許容し得る担体およびまたは慣用の補助物質を含むことができる。この点に関しフォーミュレーションは、例えばH.P.,Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie,Kosmetik und angrenzende Gebiete(Encyclopedia of auxiliary substances for pharmacy,cosmetics and related areas),4th Edition,Aulendorf:ECV−Edition−kantor publishing company,1996に提供されているような専門知識に基づいている。
【0064】
多種類の組成物が本発明による化合物をできるだけ効果的に投与されることを確実にするために製造される。すべてのこれらの組成に共通した特徴は、本発明による化合物が有機担体と組合されることである。
【0065】
これらの組成物の好ましい具体例は最大0.4μmの直径を有する単層ないしオリゴ層リポソームの形に本発明による化合物の組合せを提供する。超音波、ゲルクロマトグラフィー、界面活性剤透析および高圧力濾過のようなリポソーム調製のためのすべての既知の方法をリポソームの生成のために使用することができる。それぞれの場合導入された親油性基はそれぞれのグリセリルヌクレオチドから追加の脂質成分と共に形成されたリポソームのサイズおよび安定性に重要な影響を有する(Liposomes:Physical Structure to Therapeutic Application in:Research monographs in cell and tissue physiology vol7,G.G.Knight editor,Elsevier(1981)を参照)。
【0066】
本発明による化合物を有機担体と組合せる他の好ましい可能性は、化合物を生物学的に耐え得るナノ粒子に封入することである。ナノ粒子は、これら化合物がナノ粒子に効率的に封入されるように本発明による化合物が重合時に添加される有機化学的ポリマーへ与えられた名称である(Bender et al.,Antimicrobial agents and Chemotherapy(1996)40(6),1467−1471を参照)。
【0067】
好ましい具体例においては、組成物は細胞または処置すべき器官に特異的に濃縮される成分を用いて実現される。これに関し、リポソームの組成物は、例えば組成物が細胞および/または処置すべき器官に優先的に濃縮されるように、抗体、帯電した脂質または親水性ヘッド基で修飾された脂質のような分子が追加的に提供されるように選択されることができる。腫瘍細胞、ウイルス感染細胞および/または器官に対して特異的に指向する分子を含んでいるそのような組成物は、薬物の治療効果を増大し、同時に未感染組織に対する毒性を減らす。
【0068】
組成物は、本発明による化合物と、そして適切な場合有機担体に加え、慣用の賦形剤および/または希釈剤および/または補助物質を含有する治療剤に加工することができる。慣用の賦形剤の例はマンニトール、グルコース、アルブミン等であり、希釈剤としては生理食塩水または5%グルコース溶液が主として使用される。さらに溶液を適当な試薬例えばリン酸塩で緩衝化するのが慣例である。これに加えて、有機担体と本発明による化合物よりなる組成物を攻撃しない限り、医薬品を調製のために慣用のすべての他の剤を加えることが可能である。調製物は注入溶液としてまたは経口的に投与することができる。
【0069】
しかしながら両親媒性グリセリルヌクレオチドへの変換は、酵素加水分解に対する抵抗を増強しそして可能な投与形を拡げる効果を有するのみでなく、それは細胞増殖抑制およびウイルス増殖抑制効果を驚くほど最適化する。
【0070】
両親媒性グリセリルヌクレオチドは造血細胞の悪性病および固形腫瘍に対して使用することができる。優れた細胞増殖抑制効果の結果、非常に少ない重大な副作用しか存在しない。本発明による細胞増殖抑制活性化合物の高投与量を採用することができ、そして治療は慢性期間で実施することができる。
【0071】
驚くべきことに、本発明によるヌクレオシドリン酸アナログはウイルス増殖抑制効果をも発揮し、そのためそれらは例えばヘルペス、肝炎およびAIDSの場合においてウイルス感染の化学療法にそして薬物耐性を克服するために使用することができる。
【0072】
それ故本発明は、白血病、肺がん、腸がん、中枢神経系のがん、黒色腫、卵巣がん、腎臓がん、前立腺がんおよび乳がんのようながんを処置するための、およびAIDS、A型、B型およびC型肝炎およびヘルペルのようなウイルス病を処置するための本発明による化合物の使用にも関する。
【0073】
以下の実施例は本発明をこれら実施例へ制限することなく説明する。
【0074】
実施例1
3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジリル−(5’→2)−1−O−オクタデシル−ラセミ−グリセロール−3−(ヒドロキシカルボニル)フォスフォネートの製造
a)出発物質の製造
3−O−(4−モノメトキシトリチル)−1−O−オクタデシル−ラセミ−グリセロール−2−ヒドロゲンフォスフォネート2.5g(3.8mmol)を3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジン1g(3.8mmol)と共に無水ピリジン15ml中に溶解する。ピバロイルクロライド2.3ml(19mmol)を湿気を排除しながらこの溶液へ加え、約10℃へ冷却し、全体を室温において7分間かきまぜる。次に水1mlとTHF中0.2Mヨウ素溶液20mlを順番に反応混合物へ加え、0℃へ冷却し、その後冷却することなく1時間かきまぜる。過剰のヨウ素は亜硫酸水素ナトリウムによって還元し、反応混合物をロータリエバポレータでシロップへ濃縮し、ジクロロメタン80mlに取り、この混合物を水/メタノール=1/1(v/v)に対して3回振とうする。有機相をロータリエバポレータ中でシロップへ濃縮し、さらにトルエンと3回共蒸発する。4−モノメトキシトリチル基を水素に置換するため、シロップを酢酸/水=4/1(v/v)に溶かし、この溶液を40℃において5分間加熱し、次にロータリエバポレータ中シロップへ濃縮する。シロップは次にトルエンと2回共蒸発し、クロロホルム/メタノール=98/2(v/v)25mlに溶かし、クロロホルム/メタノール勾配を用いてシリカゲルカラム上で分画する。目的物含有分画をロータリエバポレータ中泡2g(3mmol)へ変換する。このものはクロロホルム/メタノール=7/3(v/v)中Rf値0.48を示す。
b)最終生成物の製造
a)で得られた泡を、リン酸トリメチル12mlに溶解しそしてあらかじめ0℃へ冷却したエトキシカルボニルフォスフォニルジクロライド1gの溶液へかきまぜながら少しづつ加える。反応混合物を0℃でさらに4時間攪拌し、エーテル50mlと水50mlを冷却下に加え、全体をよく振とうする。水層を分離し、有機相を再び水と振とうして抽出する。合併した水相を氷で冷却しながら2M水酸化ナトリウム溶液で中和し、シロップへ濃縮し、エーテルへ取り、超音波を印加しながら結晶化する。生成する沈澱を遠心し、乾燥し、水10mlに溶解し、2M水酸化ナトリウム溶液10mlを加える。この反応溶液を室温で1時間攪拌し、2N塩酸で中和し、減圧濃縮し、セファデックスG10カラム上で脱塩する。目的物含有分画を凍結乾燥し、無色結晶として3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジリル−(5’→2)−1−O−オクタデシル−ラセミ−グリセロール−3−(ヒドロキシカルボニル)−ヒドロゲンフォスフォネート2.1gを得る。これはシリカゲル薄層クロマトグラフィープレート上で溶媒系クロロホルム/メタノール=6:4(v/v)中においてRf値0.1を示す。計算した分子質量(769.77)はイオンスプレー質量スプクトル中の分子ピーク(768.5)によって確認される。
【0075】
実施例2
アラビノシチジリル−(5’→1)−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセリル−(3→5’)−5−フルオロ−2’−デオキシウリジンの製造
a)出発物質の製造
実施例1のa)と同様に、1−O−(4−モノメトキシトリチル)−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセロール−3−ヒドロゲンフォスフォネート4.8g(7mmol)を3’−O−アセチル−5−フルオロ−2’−デオキシウリジン2g(7mmol)と共に無水ピリジン50ml中添加したピバロイルクロライド4.3mlの存在下縮合し、THF中0.2Mヨウ素溶液32mlで酸化する。4−モノメトキシトリチル基を水素に置換するため、縮合後得られたシロップを酢酸/水=4/1(v 2v)に溶解し、この溶液を還流下30分間加熱する。冷却した溶液をロータリエバポレータ中シロップへ濃縮し、トルエンと2回共蒸発し、ジクロロメタン/メタノール=9/1(v/v)35mlに取り、この混合物をシリカゲルカラム上でジクロロメタン/メタノール勾配を用いて分画する。目的物含有分画を減圧下泡3.0gへ変換する。このものはシリカゲル薄層クロマトグラフィープレート上溶媒系クロロホルム/メタノール=7/3(v/v)においてRf値0.32を示す。
b)最終生成物の製造
a)に記載したようにして得た泡と2’,3’−ジ−O−アセチル−N4 −ステアロイルアラビノシチジン−5’−ヒドロゲンフォスフォネート2.8g(4.3mmol)を、実施例1のa)と同様に、無水ピリジン35ml中添加したピバロイルクロライド3mlの存在下縮合する。水2mlを加えた後、THF中0.2Mヨウ素溶液20mlを加えることによって酸化を行う。ロータリエバポレータで濃縮した後、反応混合物をジクロロメタンに取り、この溶液を飽和NaCl/水/メタノール=1/1 /2(v/v/v)よりなる液で3回抽出する。有機相をシロップへ濃縮し、トルエンと3回再蒸発する。次にシロップをジクロロメタン/メタノール=9/1(v/v)に取り、ジクロロメタン/メタノール勾配を用いてシリカゲルカラム上で分画する。目的物含有分画をシロップへ減圧濃縮し、熱い酢酸エチルに溶かした後0℃で結晶化する。アシル保護基を水素へ置換するため、沈澱を少量のジクロロメタン/メタノール=1/1 (v/v)へ溶解する。室温でアンモニアを飽和させたメタノールを溶液へ加え、室温でシールして36時間放置し、結晶化するまでロータエバポレータで濃縮する。0℃で12時間放置後沈澱したアラビノシチジリル−(5’→1)−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−5−フルオロ−2’−デオキシウリジンを吸引濾過し、エーテルで洗い、乾燥後白色粉末2.3gを得る。このものはシリカゲル薄層クロマトグラフィープレート上溶媒系クロロホルム/メタノール/NH2 =10/10/3(v/v/v)中Rf値0.10を示す。計算した分子質量(957.93)はイオンスプレー質量スペクトル中の分子ピーク(957.0によって確認される。
【0076】
実施例3
N4 −パルミトイル−3’−チア−2’,3’−ジデオキシチジル−(5’→1)−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジンの製造
a)出発物質の製造
実施例1のa)と同様に、1−O−アセチル2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセロール−3−ヒドロゲンフォスフォネート2.4g(5.3mmol)と、3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジン1.4g(5.3mmol)を無水ピリジン30ml中添加したピロバロイルクロライド3.5ml(28.4mmol)の存在下縮合する。水2mlを加えた後、THF中0.2Mヨウ素溶液25mlを用いて酸化する。反応混合物をロータリエバポレータ中で濃縮し、クロロホルム85mlに取る。次にこの溶液を3回各場合飽和NaCl/水/メタノール=1/1/2(v/v/v)40mlを用いて振とうすることによって抽出する。次に有機相をシロップへ濃縮し、アセチル基を水素に置換する目的のため室温でアンモニアを飽和させたメタノールで12時間処理する。減圧濃縮後、シロップをジクロロメタンに取り、ジクロロメタン/メタノール勾配を用いてシリカゲルカラム上で分画する。目的物含有分画を減圧下シロップへ濃縮し、エタノールに溶かし、−25℃で無色結晶3.0gに結晶化する。これら結晶はクロロホルム/メタノール=7/3(v/v)溶媒系中Rf値0.26を示す。
b)最終生成物の製造
a)に記載したように得られた結晶と、N4 −パルミトイル−3’−チア−2’,3’−ジデオキシシチジン−5’−ヒドロゲンフォスフォネートを実施例1のa)と同様に、乾燥ピリジン40ml中添加したピバロイルクロライド3.0mlの存在下縮合する。次に酸化はTHF中0.2Mヨウ素溶液20mlを用いて行う。生成するシロップをクロロホルム/メタノール=9/1(v/v)に溶かし、クロロホルム/メタノール勾配を用いてシリカゲルカラム上で分画する。目的物含有分画をシロップへ濃縮し、それからメタノールを添加してN4 −パルミトイル−3’−チア−2’,3’−ジデオキシシチジル−(5’→1)−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジン2.5gを白色粉末の形で結晶化させる。このものは溶媒系クロロホルム/メタノール=7/3(v/v)中シリカゲル薄層クロマトグラフィーにおいてRf値0.20を示す。計算した分子質量(1203.5)はイオンスプレー質量スペクトル中の分子ピーク(1202.5)によって確認される。
【0077】
実施例4
3’−アジト−2’,3’−ジデオキシチミジル−(5’→1)−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセリリル(3→5)−N4 −パルミトイル−2’,3’−ジデオキシシチジンの製造
実施例3のa)において得た結晶とN4 −パルミトイル−2’,3’−ジデオキシシチジン−5’−ヒドロゲンフォスフォネート2.3g(4.5mmol)を、実施例1のa)と同様に、無水ピリジン40ml中添加したピバロイルクロライド3.0mlの存在下縮合し、THF中0.2Mヨウ素溶液20mlで酸化する。縮合後得られたシロップを熱エタノール130mlに溶かして濾過し、−25℃で3’−アジト−2’,3’−ジデオキシチミジル−(5’→1)−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−N4 −パルミトイル−2’,3’−ジデオキシシチジン5.1gを無色結晶として結晶化する。このものは溶媒系クロロホルム/メタノール=6/4(v/v)中シリカゲルプレート上でRf値0.26を示す。計算した分子質量(1185.40)はイオンスプレー質量スペクトル中分子ピーク(1184.0)によって確認される。
【0078】
実施例5
N4 −パルミトイル−2’,3’−ジデオキシシチジリル−(5’→1)−2−O−パルミトイル−ラセミ−グリセリリル−(3−5’)−3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジンの製造
a)出発物質の製造
実施例1のa)と同様に、1−O−アセチル−2−O−パルミトイル−ラセミ−グリセロール−3−ヒドロゲンフォスフォネート3.2g(7.2mmol)と、3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジン2.0g(7.2mmol)を無水ピリジン60ml中添加したピバロイルクロライド4.5ml(36.6mmol)の存在下で縮合し、THF中0.2Mヨウ素水溶液32mlで酸化する。縮合後得られたシロップをクロロホルム/メタノール=9/1(v/v)75mlに取り、クロロホルム/メタノール勾配を使用してシリカゲルカラム上で分画する。目的物含有分画を減圧濃縮し、残渣をクロロホルム15mlに取り、室温でアンモニアを飽和させたメタノールを次に加え、混合物を室温で90分間放置する。反応混合物を次に減圧濃縮し、残渣をトルエンで再蒸発乾固する。残渣をクロロホルム/メタノール=9/1(v/v)に取り、クロロホルム/メタノール勾配を使用してシリカゲルカラム上で分画する。目的物含有分画を泡2.7gに減圧濃縮する。このものは溶媒系クロロホルム/メタノール=7/3(v/v)中Rf値0.24を示す。
b)最終生成物の製造
a)に記載した得られた泡と、N4 −パルミトイル−2’,3’−ジデオキシシチジン−5’−ヒドロゲンフォスフォネート2.1g(4.1mmol)を、実施例1のa)と同様に、無水ピリジン35ml中添加したピバロイルクロライド25ml(20.3mmol)の存在下縮合し、THF中0.2Mヨウ素溶液20mlで酸化する。縮合後得られたシロップをクロロホルム/メタノール=95/5(v/v)50mlに取り、クロロホルム/メタノール勾配を使用してシリカゲルカラム上で分画する。目的物含有分画をシロップへ減圧濃縮し、それからメタノールを添加した後、N4 −パルミトイル−2’,3’−ジデオキシシチジル−(5’→1)−2−O−パルミトイル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジン2.3gを白色粉末の形で晶出させた。このものは溶媒系クロロホルム/メタノール=6/4(v/v)中シリカゲル薄層クロマトグラフィープレート上でRf値0.25を示す。計算した分子質量(1171.32)はイオンスプレー質量スペクトル中分子ピーク(1170.0)によって確認される。
【0079】
実施例6
3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジル−(5’→1)−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−2’,3’−ジデオキシイノシンの製造
a)出発物質の製造
実施例3のa)に記載したようにして得た出発物質を乾燥ピリジン10mlと乾燥ジオキサン40mlよりなる混合物に溶かし、サリチルクロロフォスファイト1.1g(5.3mmol)を加え、混合物を室温で1時間振とうする。次に反応混合物を0℃へ冷却し、水2mlを添加し、混合物を室温でさらに15分間振とうし、減圧下シロップへ濃縮する。シロップを水120mlに取り、この溶液を各場所酢酸エチル40mlと3回振とうして抽出する。水相を減圧濃縮し、凍結乾燥し、白色粉末2.5gを得る。この白色粉末は溶媒系クロロホルム/メタノール=7/3(v/v)中シリカゲルプレート上でRf値0.15を示す。
b)最終生成物の製造
a)に記載したようにして得た凍結乾燥物を実施例1のa)と同様にして2’,3’−ジデオキシノイシン0.8g(3.4mmol)と無水ピリジン25ml中添加したピバロイルクロライド2.0ml(16.3mmol)の存在下縮合し、THF中0.2Mヨウ素溶液18mlで酸化する。縮合後得られたシロップをクロロホルム/メタノール=9/1(v/v)50mlに取り、クロロホルム/メタノール勾配を使用してシリカゲルカラム上で分画する。目的物含有分画をシロップに減圧濃縮し、それからエーテルを添加した後、3’−アシド−2’,3’−ジデオキシチミジリル−(5’→1)−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−ジデオキシイノシン1.1gを白色結晶の形で晶出させる。このものは溶媒系クロロホルム/メタノール=1/1(v/v)中シリカプレート上でRf値0.21を示す。計算した分子質量(971.99)はイオンスプレー質量スペクトル中分子ピーク(970.5)によって確認される。
【0080】
実施例7
3’−フルオロ−2’,3’−ジデオキシチミジリル−(5' →1)−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−3’−アシド−2’,3’−ジデオキシチミジンの製造
a)出発物質の製造
実施例1のa)と同様に、1−O−アセチル−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセロール−3−ヒドロゲンフォスフォネート4.3g(9.5mmol)と、3’−フルオロ−2’,3’−ジデオキシチミジン2.3g(9.5mmol)を無水ピリジン25ml中添加したピバロイルクロライド5.7mlの存在下縮合し、THF中0.2Mヨウ素溶液45mlで酸化する。縮合後得られたシロップを少量のクロロホルムに取り、室温でアンモニアを飽和させたメタノール200mlを加えた。混合物を激しく振り、次に室温で一夜放置する。反応混合物を晶出が始まるまで減圧濃縮する。−25℃で12時間放置後得られた沈澱を吸引濾過し、乾燥する。これにより溶媒系クロロホルム/メタノール=6/4(v/v)中シリカゲル薄層クロマトグラフィープレート上でRf値0.71を示す白色粉末3.4gを与える。
b)最終生成物の製造
a)に記載したように得た粉末3.4g(5.2mmol)と、3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジン−5’−ヒドロゲンフォスフォネート1.7g(2.3mmol)を、実施例1のa)と同様に、無水ピリジン45ml中添加したピバロイルクロライド3.5mlの存在下縮合し、THF中0.2Mヨウ素溶液25mlで酸化する。縮合後得られたシロップをクロロホルム/メタノール=9/1(v/v)に溶かし、クロロホルム/メタノール勾配を使用してシリカゲルカラム上で分画する。目的物含有分画をシロップへ減圧濃縮し、それからメタノールを添加後溶媒系クロロホルム/メタノール=6/4(v/v)中シリカゲル薄層クロマトグラフィープレート上Rf値0.45を示す白色結晶の形で3’−フルオロ−2’,3’−ジデオキシチミジリル−(5’→1)−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジン2.7gを得る。計算した分子質量(979.91)はイオンスプレー質量スペクトル中分子ピーク(979.0)によって確認される。
【0081】
実施例8
有機担体と、本発明による両親媒性グリセリルヌクレオチドと、コレステロールを含む組成物の製造
1.リポソームの組成
本発明による化合物をmlあたり10mg含有するリポソーム。リポソーム1mlは、フォスファチジルコリン100mg、コレステロール10mg、および必要であれば例えばリン酸塩バッファーを使用して所望のpHへ調節した0.9%食塩水中に分散した本発明による化合物10mgを含有する。緩衝化した食塩水を使用する代りに、適切な場合67nM生理的リン酸バッファーまたは5%グルコース溶液を使用することも可能である。
2.超音波によるリポソーム調製物の製造
本発明による化合物をmlあたり10mg含有するリポソーム分散液2.5mlの製造。
大豆フォスファチジルコリン250mlを丸底フラスコ中でt−ブタノール5mlに溶解し、コレステロール25mgを加えた。混合物をあたため(50℃)る時コレステロールが溶解する。DMSOの適量(0.25〜1ml)に溶解した本発明の化合物25mgをこの溶液へ加え、得られた溶液をロータリエバポレータ中半量へ濃縮し、凍結乾燥する。凍結乾燥物へ水2.5mlを加え、次に超音波によって懸濁液へ変換し、その後再度凍結乾燥する。凍結乾燥物を0.9%NaCl溶液2.5mlへ懸濁し、厚壁ガラス遠心チューブ中でBranson250超音波処理装置の超音波チップ(3mm)を用いて冷却しながら1時間超音波処理する。これはSPC100mg,コレステロール10mgおよび本発明の化合物10mg/mlの組成を有する乳白色リポソーム分散液を与える。
【0082】
実施例9
本発明による化合物の抗HIV効果のインビトロ研究。
新規化合物N4 −パルミトイル−2’,3’−ジデオキシシチジル−(5’→1)−2−O−パルミトイル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジン(NSC704532−F/1)のインビトロウイルス増殖抑制(抗HIV)効果は、以下の実験法によって証明することができる。2複製サイクル以内にHIVによって殺されるT4リンパ球(細胞ライン:CEM−SS)を試験システムとして使用する。検出するのは細胞死滅の抑制率である。本発明化合物をDMSOに溶かし、この溶液を1:100の比で細胞培養培地で希釈する。次に半対数的(log10)希釈液を調製する。これはDMSO中の本発明化合物のもとの溶液を基にして少なくとも1:200の希釈液をもたらす。本発明化合物とインキュベートしただけの未感染T4リンパ球は毒性対照として役立つ。本発明化合物の不存在下感染および感染しないT4リンパ球は追加の標準対照として役立つ。細胞カルチャーを5%CO2 雰囲気中37℃において6日インキュベートし、その後テトラゾリウム塩(XTT)をすべての細胞カルチャーへ加えると、その時生存細胞にホルマザン呈色反応が現れる。すべての細胞カルチャーをホルマザン生産を定量化するために分光光度測定的に検査する。これに加え、抗HIV活性を確認するため個々のカルチャーを顕微鏡的に検査する。本発明化合物で処理したウイルス感染細胞をサンプルプレート上で標準と比較する。National Cancer Institute Developmental Therapeutics Programの環境内で決定したインビトロ抗HIV活性データを以下の表に要約する。このデータから50%細胞成育(IC50)は本発明化合物の>1.00×10-6モルで発生するが、感染からの50%保護(EC50)は1.79×10-8であり、治療スパン(IC/EC)は>5.59×10+1であることがわかる。
【0083】
【表1】
【0084】
N4 −パルミトイル−2’,3’−ジデオキシシチジリル−(5’→1)−2−O−パルミトイル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジンの抗HIV活性の結果
【0085】
実施例10
本発明化合物のインビトロ細胞増殖抑制効果
a)実験法
腫瘍細胞ラインの生育の本発明化合物による50%阻止(GI50)および100%阻止(TGI)を種々の濃度においてテストシステムとして使用して決定する。これら細胞に対する毒性(LC50)も決定する。マイクロタイタープレートのシリーズを日0において腫瘍細胞でインキュベートし、そして24時間プレインキュベートする。その後本発明化合物を5段階濃度において細胞へ加えた。これら各場合最高可溶濃度から出発して10倍希釈する。次に48時間インキュベートし、その終りに細胞をその場に固定し、洗浄し、乾燥する。固定した細胞へ結合するピンク染料スルフォローダミンB(SRB)を加え、細胞を再び洗浄する。残った細胞は接着性細胞塊を表わし、そして分光光度的に測定する。自動的に集められるデータをコンピューターによって評価し、以下の結果へ導く。
b)結果
b1)本発明による両親媒性化合物アラビノシチジル−(5’→1)−2−O
−オクタデシル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−5−フルオロ
−2’−デスオキシウリジン(NSC698688−A/1)
【0086】
【表2】
【0087】
上のインビトロ試験結果に基づいて、この活性化合物は好ましくは肺、腸、中枢神経系および腎臓の腫瘍の治療に適している。
b2)本発明による非両親媒性化合物2’,3’−ジデスオキシシチジリル−
(5’→1)−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−5−フルオロ−
2’−デスオキシウリジン(NSC704533)
【0088】
【表3】
【0089】
上のインビトロ試験結果に基づいて、この活性化合物は好ましくは肺、中枢神経系、腎臓の腫瘍の治療に、そして黒色腫の治療に適している。
Claims (14)
- ラセミ形およびエナンチオマー的に純粋な形の下記式Iを有する化合物:
X1,X2,X3およびX4は互いに同一または異なって、独立に酸素またはイオウであり;
Aはアルキル、ヒドロキシ、メルカプト、またはアルキルもしくはアシル置換ヒドロキシであり、その場合アルキルもしくはアシル基は直鎖または分枝した、そして任意に二つまでの二重結合および任意に1ないし3の芳香族基によって置換された1ないし24のC原子を有し、
Zは水素またはこの化合物の酸形に対応する塩であり;
N1およびN2の一方はヒドロキシカルボニルもしくはその塩形であり、他方はD−またはL−構造のヌクレオシド誘導体であるか、または二つのN1およびN2は互いに異なって、各自D−もしくはL−構造のヌクレオシド誘導体であり、ここでヌクレオシド誘導体基は一般式II,IIIおよびIVの基もしくはこれらの互変異性体形から選択され、
Yは酸素またはイオウであり;
R1 はヒドロキシル、アミノ、アシル化、アルキル化もしくはポリオキシエチレン置換アミノ基であって、そのアシルまたはアルキル基は直鎖もしくは分枝のC原子1ないし24を有しそして任意に二つまでの二重結合を持ち、そして芳香族基によって置換されていることができ;
R2 は水素、ハロゲン、アミノもしくはヒドロキシル基か、またはブロモビニルまたは直鎖もしくは分枝のC1 −C24アルキル基であり;
R3 ,R4 ,R5 ,R6 ,R7 およびR8は同一または異なって、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、エチニルまたはアジドであるが、R3 ないしR8の一つはヌクレオシド誘導体基がリン原子へそれによって連結される酸素であり、そしてC=C二重結合が位置aに存在する時はR3 ないしR6の隣接する二つの基は省かれることを条件とする。 - X1 ,X2 ,X3 およびX4は酸素原子であり;
式Iのグリセロール骨格のC1 原子は基Aへ連結され、その場合Aはヒドロキシル、オクタデシル、オクタデシルオキシ、ドコシルオキシもしくはベヘノイルオキシ、パルミトイルまたはオレオイルであり;
式Iのグリセロール骨格のC2 原子はフォスフォジエステルブリッジによってN2 へ連結されており、その場合N2 は式II,III またはIVのヌクレオシド誘導体基であって、これらの式中
Yは酸素原子であり;
R1 はヒドロキシル、アミノ、オクタデシルアミノ、ドコシルアミノ、パルミトルアミノ、オレオイルアミノまたはベヘノイルアミノ基であり;
R2 はメチル、エチル、水素またはハロゲンであり;
R3 ないしR8は前記の意味を有し、その場合基R3 ,R4 ,R5 ,R6 およびR8 の一つはヌクレオシド誘導体基N2 がそれによってリン原子へ連結される酸素であり、
式Iのグリセリル骨格のC3 原子は遊離もしくは塩形にあるヒドロキシカルボニルフォスフォネート基へ連結されている、請求項1の化合物。 - N2 は、式IIまたはIVのヌクレオシド誘導体基であり;これら式中、
R1 はアミノ、パルミトイルアミノまたはヒドロキシル基であり;
R2 は水素、メチルまたはエチルであり;
R3 ,R4 ,R5 およびR7は水素であり;
R6 は水素、フッ素またはアジドであり;
R8 はN2 がそれによってリン原子へ連結される酸素である、請求項2の化合物。 - X1 ,X2 ,X3 およびX4は酸素原子であり;
Aはパルミトイルオキシ、オレオイルオキシまたはオクタデシルオキシであって、式Iのグリセロール骨格のC2 原子へ連結されており;
N1 およびN2は異なってそして式II,III およびIVのヌクレオシド誘導体基である、請求項1の化合物。 - N1 は式IIのヌクレオシド誘導体基であり、式II中
R1 はアミノまたはパルミトイルアミノ基であり;
R2 ,R3 およびR4 は水素であり;
R6 は式Iのグリセロール骨格の位置C1 またはC3へN1 がそれによって連結される酸素原子であり;
N2 は式III またはIVのヌクレオシド誘導体基である、請求項4の化合物。 - N2 は式IVのヌクレオシド誘導体基であって;式IV中、
R1 はアミノ、パルミトイルアミノまたはヒドロキシル基であり;
R2 は水素またはメチルであり;
R3 ,R4 ,R5 およびR7は水素であり;
R6 は水素、フッ素またはアジドであり;
R8 は式Iのグリセリルジリン酸骨格の位置C1 またはC2へN2 がそれによって連結される酸素原子である、請求項4の化合物。 - N1 は式IIまたはIVのヌクレオシド誘導体基であり;
N2 は式III のヌクレオシド誘導体であり;
どの場合も式中
R1 はヒドロキシルであり;
R2 ないしR7は水素であり;
R8 は式Iのグリセロール−1,3−ジリン酸骨格へN1 およびN2がそれによって連結される酸素原子である、請求項7の化合物。 - N1およびN2は独立して式IVのヌクレオシド誘導体基であり;N 1 中、
R 1 はアミノ、パルミトイルアミノまたはオクタデシルアミノであり;
R 2 ,R 5 およびR 7 は水素であり;
R 3 ,R 4 およびR 6 は同一または異なって、水素、ヒドロキシまたはフッ素であり;
R1 はヒドロキシル基であり;
R2 はメチルまたはハロゲンであり;
R3 ,R4 ,R5 およびR7は水素であり、その二つの隣接する基はもし二重結合が位置aに存在すれば任意に省かれ;
R6 は水素、フッ素、アシドまたはヒドロキシルであり;
N1 およびN2においてR8 はそれぞれの場合グリセロール−1,3−ジリン酸骨格へN1 およびN2
がそれによって連結される酸素原子である請求項4の化合物。 - N1 およびN2において、
R1 は同一または異なってヒドロキシル基またはアミノ基であり;
R2 は同一または異なって水素またはメチルであり;
R4 ,R5 およびR7 は水素であり;
R6 はN1 においてアジドそしてN2 においてフッ素であり;
R8 はグリセロール−1,3−リン酸骨格へN1 およびN2
がそれによって連結される酸素原子である請求項8の化合物。 - N1 において、
R1 はアミノまたはパルミトイルアミノ基であり;
R2 およびR7は水素であり;
R3 およびR4はフッ素、水素またはヒドロシキルであり;
R5 は水素またはエチニル基であり;
R6 は水素であり;
N2 において、
R1 はヒドロキシルであり;
R2 はフッ素であり;
R3 ,R4 ,R5 およびR7は水素であり;
R6 はヒドロキシルであり、
N1 およびN2においてどの場合もR8 はグリセロール−1,3−ジリン酸骨格へN1 およびN2がそれによって連結される酸素原子である、請求項8の化合物。 - a)3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジリル−(5’→2)−1−O−オクタデシル−ラセミ−グリセロール−3−(ヒドロキシカルボニル)フォスフォネート、
b)アラビノシチジリル−(5’→1)−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−5−フルオロ−2’−デオキシウリジン、
c)N4 −パルミトイル−3’−チア−2’,3’−ジデオキシシチジリル−(5’→1)−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジン、
d)3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジリル−(5’→1)−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−N4 −パルミトイル−2’,3’−ジデオキシシチジン、
e)N4 −パルミトイル−2’,3’−ジデオキシシチジリル−(5’→1)−2−O−パルミトイル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジン、
f)3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジリル−(5’→1)−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−2’,3’−ジデオキシイノシン、
g)3’−フルオロ−2’,3’−ジデオキシチミジリル−(5’→1)−2−O−オクタデシル−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジン、
h)2’,3’−ジデオキシチミジリル−(5’→1)−ラセミ−グリセリリル−(3→5’)−5−フルオロ−2’−デオキシウリジン、
から選ばれる化合物。 - N2がL構造のヌクレオシド誘導体基である請求項5の化合物。
- 任意に薬学的に許容し得る製剤補助剤と組合わされた、またはリポソームもしくはナノ粒子中に添加された、薬学的に許容し得る担体または希釈剤中に、請求項1の化合物を含んでいるHIV感染および/または癌を処置するための医薬組成物。
- 癌は、白血病、肺癌、中枢神経系の癌、腸癌、黒色腫、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌、または乳癌である請求項13の医薬組成物。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
DE19855963A DE19855963A1 (de) | 1998-12-04 | 1998-12-04 | Amphiphile Glycerylnucleotide, Verfahren zu ihrer Herstellung und ihre Verwendung |
DE19855963.1 | 1998-12-04 | ||
PCT/EP1999/009461 WO2000034298A1 (de) | 1998-12-04 | 1999-12-03 | Glycerylnucleotide, verfahren zu ihrer herstellung und ihre verwendung |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002531573A JP2002531573A (ja) | 2002-09-24 |
JP2002531573A5 JP2002531573A5 (ja) | 2010-09-24 |
JP4879398B2 true JP4879398B2 (ja) | 2012-02-22 |
Family
ID=7889957
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000586741A Expired - Fee Related JP4879398B2 (ja) | 1998-12-04 | 1999-12-03 | グリセリルヌクレオチド、それらの製造法および使用 |
Country Status (10)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6787525B1 (ja) |
EP (1) | EP1135401B1 (ja) |
JP (1) | JP4879398B2 (ja) |
AT (1) | ATE243220T1 (ja) |
AU (1) | AU1558800A (ja) |
CA (1) | CA2352229C (ja) |
DE (2) | DE19855963A1 (ja) |
DK (1) | DK1135401T3 (ja) |
ES (1) | ES2201805T3 (ja) |
WO (1) | WO2000034298A1 (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10228059B4 (de) * | 2002-06-19 | 2005-12-29 | Eberhard-Karls-Universität Tübingen | Verwendung von amphiphilen Nucleosid-Phosphonoameisensäure-Derivaten zur Behandlung von viralen Infektionskrankheiten |
US7593913B2 (en) * | 2006-01-11 | 2009-09-22 | Siemens Medical Solutions Usa, Inc. | Systems and method for integrative medical decision support |
WO2012040124A1 (en) | 2010-09-22 | 2012-03-29 | Alios Biopharma, Inc. | Azido nucleosides and nucleotide analogs |
AP2014007796A0 (en) | 2011-12-22 | 2014-07-31 | Alios Biopharma Inc | Substituted nucleosides, nucleotides and analogs thereof |
US9441007B2 (en) | 2012-03-21 | 2016-09-13 | Alios Biopharma, Inc. | Substituted nucleosides, nucleotides and analogs thereof |
USRE48171E1 (en) | 2012-03-21 | 2020-08-25 | Janssen Biopharma, Inc. | Substituted nucleosides, nucleotides and analogs thereof |
AR091156A1 (es) | 2012-05-25 | 2015-01-14 | Jansen R & D Ireland | Nucleosidos de espirooxetano de uracilo |
PT2935303T (pt) | 2012-12-21 | 2021-04-30 | Alios Biopharma Inc | 4'-fluoro-nucleósidos, 4'-fluoro-nucleótidos e seus análogos para o tratamento de hcv |
SG10201804835VA (en) | 2013-10-11 | 2018-07-30 | Alios Biopharma Inc | Substituted nucleosides, nucleotides and analogs thereof |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0421694A (ja) * | 1990-05-16 | 1992-01-24 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 新規なヌクレオシド―リン脂質複合体 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03236396A (ja) * | 1990-02-10 | 1991-10-22 | Tosoh Corp | 修飾オリゴデオキシヌクレオチド及びそれを含むdna |
ATE137242T1 (de) * | 1990-06-15 | 1996-05-15 | Univ Wake Forest | Kovalente-ther lipidnukleosid-konjugate |
CA2129986C (en) | 1992-02-13 | 2003-12-09 | Albert Reto Schwendener | Amphiphile nucleosidphosphatanaloga |
DE4418690A1 (de) * | 1994-05-28 | 1996-01-11 | Boehringer Mannheim Gmbh | Neue Lipidester von Nucleosid-Monophosphaten und deren Verwendung als immunsuppressive Arzneimittel |
ATE395922T1 (de) * | 1994-08-29 | 2008-06-15 | Univ Wake Forest | Lipid-analoge zur behandlung von viralen infektionen |
AU3120797A (en) | 1996-05-08 | 1998-07-31 | Weider Nutrition Group, Inc. | Structured glycerols and structured phosphatides |
US6686462B2 (en) * | 1997-02-28 | 2004-02-03 | The Regents Of The University Of California | Antiviral compounds and methods of administration |
-
1998
- 1998-12-04 DE DE19855963A patent/DE19855963A1/de not_active Withdrawn
-
1999
- 1999-12-03 AU AU15588/00A patent/AU1558800A/en not_active Abandoned
- 1999-12-03 US US09/856,165 patent/US6787525B1/en not_active Expired - Fee Related
- 1999-12-03 EP EP99958161A patent/EP1135401B1/de not_active Expired - Lifetime
- 1999-12-03 WO PCT/EP1999/009461 patent/WO2000034298A1/de active IP Right Grant
- 1999-12-03 JP JP2000586741A patent/JP4879398B2/ja not_active Expired - Fee Related
- 1999-12-03 ES ES99958161T patent/ES2201805T3/es not_active Expired - Lifetime
- 1999-12-03 DE DE59906041T patent/DE59906041D1/de not_active Expired - Lifetime
- 1999-12-03 AT AT99958161T patent/ATE243220T1/de not_active IP Right Cessation
- 1999-12-03 DK DK99958161T patent/DK1135401T3/da active
- 1999-12-03 CA CA002352229A patent/CA2352229C/en not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0421694A (ja) * | 1990-05-16 | 1992-01-24 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 新規なヌクレオシド―リン脂質複合体 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP1135401A1 (de) | 2001-09-26 |
JP2002531573A (ja) | 2002-09-24 |
ATE243220T1 (de) | 2003-07-15 |
ES2201805T3 (es) | 2004-03-16 |
CA2352229C (en) | 2009-06-09 |
AU1558800A (en) | 2000-06-26 |
US6787525B1 (en) | 2004-09-07 |
CA2352229A1 (en) | 2000-06-15 |
DK1135401T3 (da) | 2003-10-06 |
EP1135401B1 (de) | 2003-06-18 |
DE59906041D1 (de) | 2003-07-24 |
WO2000034298A1 (de) | 2000-06-15 |
DE19855963A1 (de) | 2000-06-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4531867B2 (ja) | 一定のジヌクレオチドおよび粘膜繊毛クリアランスおよび繊毛運動頻度のモジュレーターとしてのそれらの使用 | |
JP3723227B2 (ja) | ジ(ウリジン5’)−テトラホスフェート及びその塩の大規模生産のための方法 | |
JP3458900B2 (ja) | 抗ウイルス性脂質−ヌクレオシド結合体、それを用いた医薬およびリポソーム | |
CN100528173C (zh) | 4′-取代的核苷 | |
CA1333390C (en) | Fluorinated nucleosides and process for treating retrovirus infections therewith | |
US6815542B2 (en) | Nucleoside compounds and uses thereof | |
US6153594A (en) | 5'-O-acylated antiviral nucleosides | |
JP2005524662A (ja) | ヌクレオシド5’−一リン酸模倣物およびこれらのプロドラッグ | |
US5484911A (en) | Nucleoside 5'-diphosphate conjugates of ether lipids | |
JPH07500573A (ja) | 抗ウィルス性リポヌクレオシド:b型肝炎の治療 | |
JPH0780898B2 (ja) | 抗ウイルスヌクレオシド | |
KR100272732B1 (ko) | 항바이러스성을 나타내는 누클레오시드 및 누클레오시드 유사체의 아실 유도체 및 이 화합물을 함유하는 약학 조성물 | |
US20100151001A1 (en) | Ethynylated heterodinucleoside phosphate analogs, method for the production thereof, and use thereof | |
JP4879398B2 (ja) | グリセリルヌクレオチド、それらの製造法および使用 | |
JPH04226999A (ja) | 抗ウイルス剤 | |
JP2968002B2 (ja) | 新規な2′―ハロメチリデン、2′―エテニリデン及び2′―エチニルアデノシン誘導体類 | |
WO2003053989A1 (en) | Masked phosphate containing nucleoside derivatives and their use as antivirals | |
US5153180A (en) | Fluorinated nucleosides and process for treating retrovirus infections therewith | |
JPH0129800B2 (ja) | ||
US5679652A (en) | Amphiphilic nucleosidephosphate analogues | |
JPH047726B2 (ja) | ||
RU2243972C1 (ru) | Фосфорамидаты нуклеозидных аналогов - ингибиторы репродукции вируса иммунодефицита человека |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20061115 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100615 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100803 |
|
A524 | Written submission of copy of amendment under article 19 pct |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A524 Effective date: 20100803 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110510 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110719 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110906 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110908 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111129 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111130 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141209 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |