JP4878720B2 - 酸素バリヤー性に優れた多層構造物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂から成る内外層を備えた多層構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂は、成形性、透明性、耐湿性に優れており、押出成形、射出成形、中空成形等、種々の熱成形により、シート乃至フィルム、ボトル、カップ等の構造物として種々の用途に使用されている。しかるに、このようなポリオレフィン系樹脂は、酸素バリヤー性が低いという欠点があり、このため、食品等の包装に用いる用途では、通常、ポリオレフィン系樹脂層を内外層とし、その間の中間層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体等の酸素バリヤー性樹脂層を設けた多層構造物の形で使用されている。
しかるに、酸素バリヤー性樹脂層を設けたとしても高い酸素バリヤー性を得ることが困難であるため、最近では、酸化可能な樹脂と遷移金属触媒(酸化触媒)とを配合した酸素吸収性バリヤー層を設けた容器などが提案されている。このような酸素吸収性バリヤー層は、容器壁を通過する酸素により樹脂を酸化させることにより、このような酸素を吸収するものであり、これにより酸素バリヤー性が高められるが、反面、樹脂が酸化分解して、アルデヒド、ケトン、フラン等の低分子量の臭気成分が発生するという問題がある。
このような問題を解決するために、例えば特開平6−100042号公報には、酸素吸収性バリヤー層中に脱臭剤を配合することが提案されている。即ち、かかる先行技術によれば、樹脂の酸化分解により生成した臭気成分が脱臭剤により吸着捕捉され、これにより、臭気の発生が抑制される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プラスチック容器等のプラスチック成形体では、成形中に多量のスクラップが発生するが、上述した樹脂の酸化を利用した酸素吸収性バリヤー層を有する成形体を成形する際に発生するスクラップは、これを再利用して成形するときに著しく着色するという問題があるため、商品価値を損ねるなどの理由により、容器等への再利用が困難となっており、これに対しては、有効な提案はなされていない。例えば、前述した先行技術では、臭気の発生は有効に抑制されるものの、成形中に発生したスクラップを再利用するときの着色の問題を解決することはできない。
【0004】
従って本発明の目的は、優れた酸素バリヤー性を損なうことなく、臭気成分の発生を有効に抑制することができると共に、スクラップ層を備えているにもかかわらず、着色が少なく透明性に優れたポリオレフィン系樹脂の多層構造物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂を内外層に備え、内外層の間の中間層に、酸素吸収性バリヤー層とスクラップ層及び必要により接着剤層を有している多層構造物において、
前記酸素吸収性バリヤー層は、酸素バリヤー性樹脂中に酸化性重合体及び遷移金属触媒が配合された樹脂組成物から形成されているものであり、
前記スクラップ層は、前記多層構造物を成形するときに生じるスクラップからなるものであって該多層構造物を形成している全層に由来する成分を含み、且つ該スクラップ層には、リン系酸化防止剤を配合し、
前記スクラップ層以外の何れかの層に脱臭剤を配合することを特徴とする多層構造物が提供される。
【0006】
本発明においては、
1.前記スクラップ層には、リン酸系酸化防止剤がスクラップ材100重量部当たり0.1重量部以上配合されていること、
2.前記脱臭剤は、前記酸素吸収性バリヤー層よりも内層側に位置する層に配合されていること、
3.前記脱臭剤を含有する脱臭層において、該脱臭剤は、脱臭層樹脂100重量部当たり0.5乃至20重量部配合されていること、
4.酸素バリヤー性樹脂100重量部当り、前記酸化性重合体が1乃至15重量部配合され、且つ前記遷移金属触媒が金属量換算で10乃至1000ppm配合されていること、
5.前記酸素バリヤー性樹脂がエチレン−ビニルアルコール共重合体であること、
6.前記酸化性重合体がエチレン系不飽和基含有重合体であること、
7.前記遷移金属触媒がコバルト、マンガン、銅及び鉄から成る群より選択された少なくとも1種の金属の有機塩であること、
が好ましい。
【0007】
本発明の多層構造物においては、ポリオレフィン系樹脂から成る内外層の間の中間層として、酸素吸収性バリヤー層に加えて、スクラップ層及び必要により接着剤層が設けられているが、このスクラップ層には、リン系酸化防止剤が配合されており、且つスクラップ層以外の層に脱臭剤が配合されていることが重要な特徴である。
即ち、本発明によれば、スクラップ層中にリン系酸化防止剤が配合されているため、成形時の加熱等による樹脂の酸化分解が有効に抑制され、スクラップ成形時の変色や成形性の低下を有効に防止することができる。例えば、酸素吸収性バリヤー層を備えている本発明の多層構造物自体を成形するときに生じるスクラップを、再び本発明の多層構造物の成形に再利用することができる。この場合、後述する実施例や比較例から明らかな通り、酸化防止剤としては、リン系のものを使用することが重要であり、例えばフェノール系等の他のタイプの酸化防止剤を用いたときには、成形時の変色や成形性の低下を回避することができない。
また、本発明においては、スクラップ層以外の層に配合された脱臭剤により、酸素吸収性バリヤー層中での樹脂の酸化分解等により生じる異臭成分が捕捉され、この結果、酸素吸収性バリヤー層からの異臭の発生を有効に回避することができる。しかも、この脱臭剤は、スクラップ層以外の層に配合されているため、脱臭剤によるスクラップの成形性低下を生じることがないという利点もある。即ち、活性炭等に代表される脱臭剤は、樹脂とは不相溶の固体粒子であり、成形時に発生するスクラップは、熱履歴を受けているため、バージンの樹脂などに比して成形性は劣っている。従って、このようなスクラップ中に脱臭剤を配合すると、成形性のさらなる低下を招き、例えば成形温度を高くしなければならない等の制約を受けるおそれがある。本発明では、スクラップ層以外の層に脱臭剤を配合したことにより、このような成形時の不都合を有効に回避することができる。
このように本発明の多層構造物は、ガスバリヤー性に優れ、樹脂の酸化等に伴う不快な臭気の発生が抑制され、更には成形時の変色等の問題も有効に防止することができることから、シート乃至フィルム等の包装材料やボトル、カップ等の包装容器等の用途に極めて有効に適用される。
【0008】
【発明の実施形態】
図1は、本発明の多層構造物における層構成の代表例を示すものであり、この図1から明らかな通り、ポリオレフィン系樹脂からなる内層1a及び外層1bを有しており、これら内外層1a,1bの間の中間層として、酸素吸収性バリヤー層2及びスクラップ層3が設けられており、また、必要により接着層4が設けられる。
【0009】
[内外層1a,1b]
内外層1a,1bの形成に用いるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度、中密度或いは高密度のポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等を例示することができる。これらは、単独でも、或いは2種以上のブレンド物の形でも使用することができる。一般に、この多層構造物を耐熱性が要求される用途(例えばレトルト殺菌用容器)に適用する場合には、結晶性のプロピレン系重合体が適当であり、ホモポリプロピレンや、結晶性であるという条件下に、プロピレンを主体とするランダム共重合体やブロック共重合体が好適に使用される。
また、これらのポリオレフィンは、一般に、0.1乃至10g/10minのメルトフローレートを有していることが好ましい。
【0010】
[酸素吸収性バリヤー層2]
酸素吸収性バリヤー層2は、酸素バリヤー性樹脂に酸化性重合体及び遷移金属触媒(酸化触媒)を配合した樹脂組成物から形成される。即ち、この層では、酸化性重合体を酸化させることにより、酸素を吸収捕捉し、酸素バリヤー性樹脂の酸素バリヤー機能を高めるものであり、遷移金属触媒は、酸化性重合体の酸化を促進させるために配合される。
【0011】
酸素バリヤー性樹脂としては、それ自体公知のものを使用することができ、最も好適には、エチレン−ビニルアルコール共重合体、例えば、エチレン含有量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が使用される。このエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物)は、フィルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般に、フェノール/水の重量比が85/15の混合溶媒中、30℃で測定して0.01dl/g以上、特に0.05dl/g以上の固有粘度を有することが望ましい。
【0012】
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体以外の酸素バリヤー性樹脂の例としては、例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6/6・6共重合体、メタキシリレンジアジパミド、ナイロン6・10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13等のポリアミドを挙げることができる。これらのポリアミドの中でも、炭素数100個当りのアミド基の数が5乃至50個、特に6乃至20個の範囲にあるものが好適である。
これらのポリアミドもフィルムを形成するに足る分子量を有するべきであり、例えば、濃硫酸(濃度1.0g/dl)中、30℃で測定した相対粘度が1.1以上、特に1.5以上であることが望ましい。
【0013】
本発明において、上述した酸素バリヤー樹脂に配合される酸化性重合体としては、エチレン系不飽和基含有重合体が使用される。即ち、この重合体は、炭素−炭素二重結合を有しており、この二重結合部分が酸素により容易に酸化され、これにより酸素の吸収捕捉が行なわれる。
このようなエチレン系不飽和基含有重合体は、例えば、ポリエンを単量体として誘導される。ポリエンの適当な例としては、これに限定されるものではないが、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等のトリエン、クロロプレンなどを挙げることができる。
即ち、上記ポリエンの単独重合体、或いは上記ポリエンを2種以上組み合わせ若しくは他の単量体と組み合わせてのランダム共重合体、ブロック共重合体等を酸化性重合体として用いることができる。また、上記ポリエンと共重合させる他の単量体としては、炭素数が2乃至20のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン等を例示することができ、また、これら以外にも、スチレン、ビニルトリエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、エチルアクリレートなどを用いることもできる。
本発明においては、上述したポリエンから誘導される重合体の中でも、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、天然ゴム、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等が好適であるが、勿論、これらに限定されない。また、そのヨウ素価は、100以上、特に120〜196程度であるのがよい。
【0014】
また、本発明においては、上述した酸化性重合体に、カルボン酸基、カルボン酸無水物基等の官能基を導入して使用することができ、これにより、前述した酸素バリヤー性樹脂と酸化性重合体との相溶性を高め、酸化性重合体を酸素バリヤー性樹脂中に均一に分散させることができる。このような官能基の導入は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等の等のα,β−不飽和カルボン酸や不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物などを、前記で例示した酸化性重合体にグラフト共重合させることにより行なわれる。このようなグラフト共重合体において、不飽和カルボン酸などのグラフトコモノマーの含有量は、酸化性重合体100重量部当たり0.01乃至10重量%部程度であるのがよく、これにより、酸素バリヤー性樹脂中への分散性が良好となり、また酸素吸収も円滑に行なうことができる。
【0015】
本発明においては、成形性等の見地から、上述した酸化性重合体やそのグラフト共重合体の40℃での粘度は1乃至200Pa・sの範囲にあることが好適である。また、これらの酸化性重合体成分は、酸素バリヤー性樹脂100重量部当り1乃至15重量部、特に2乃至10重量部の量で配合される。
【0016】
上述した酸化性重合体と共に使用される遷移金属触媒において、遷移金属としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属が好適であるが、他に銅、銀等の第I族金属、錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウム等の第V族金属、クロム等の第VI族金属、マンガン等の第VII族金属等であってもよい。これらの中でも特にコバルトは、酸素吸収性(酸化性重合体の酸化)を著しく促進させ、本発明の目的に特に適している。
【0017】
遷移金属触媒は、一般に、上記遷移金属の低価数の無機塩、有機塩或いは錯塩の形で使用される。
無機塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンオキシ塩、ケイ酸塩等が挙げられる。
有機塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩などが挙げられるが、本発明の目的にはカルボン酸塩が好適である。その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩がを挙げることができる。
また、遷移金属の錯体としては、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとの錯体が挙げられる。β−ジケトンやβ−ケト酸エステルとしては、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3−シクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサジオン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)メタン及びジピバロイルメタン等を用いることができる。
【0018】
本発明において、上記の遷移金属触媒は、酸素バリヤー性樹脂100重量部当たり当り金属量換算で10乃至1000ppm、特に50乃至500ppmの量で配合されているのがよい。
【0019】
[スクラップ層3]
本発明において、スクラップ層3は、例えば前述した酸素吸収性バリヤー層2を含む容器等の多層構造物の成形等を行なうときに発生するスクラップ樹脂からなるものであるが、このスクラップ層3中には、リン系酸化防止剤が配合される。即ち、リン系酸化防止剤をスクラップ層3中に配合することにより、スクラップ樹脂の成形時における変色を有効に抑制することができ、本発明の多層構造物の優れた透明性を保持することができる。尚、酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤以外にも、フェノール系、イオウ系等の酸化防止剤が知られているが、上記のような変色を防止するには、リン系酸化防止剤が最適であり、他の酸化防止剤では、変色防止にほとんど効果がない。
【0020】
上述したリン系酸化防止剤としては、これに限定されるものではないが、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルファニル)ホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリスデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジtブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジtブチル−3−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及び下記式で表されるホスファイトを挙げることができ、これらは1種単独で或いは2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0021】
【化1】
Figure 0004878720
【0022】
【化2】
Figure 0004878720
【0023】
【化3】
Figure 0004878720
【0024】
【化4】
Figure 0004878720
【0025】
【化5】
Figure 0004878720
【0026】
本発明においては、上述したリン系酸化防止剤の中でも、特にトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどの芳香族系のものが最適である。
また、上記のリン系酸化防止剤は、スクラップ層3中にスクラップ材100重量部当たり0.1重量部以上、特に0.2乃至0.5重量部の量で配合されていることが望ましい。即ち、上記範囲よりも少量であると、十分な変色防止効果が得られない傾向にあり、また、あまり多量に配合しても、それ以上の変色防止効果は認められず、むしろ経済的に不利となる。
【0027】
[接着層4]
本発明においては、各樹脂層間に、必要により接着層4を設けることができ、これにより、層間の接着強度を高めることができる。
このような接着層4は、それ自体公知の接着剤樹脂、例えば、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸エステル等に基づくカルボニル基(>C=O)を主鎖又は側鎖に1乃至100meq/100g樹脂、特に10乃至100meq/100g樹脂の量で含有する熱可塑性樹脂により形成される。
このような接着樹脂の適当な例としては、エチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフィン系共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリオレフィン、アクリル酸グラフトポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド等を例示することができ、これらは、1種単独でも2種以上の組み合わせでも使用することができる。これらの接着樹脂は、同時押出し或いはサンドイッチラミネーション等による積層に有用である。
また、イソシアネート系或いはエポキシ系等の熱硬化型接着剤樹脂を使用することもできる。このような熱硬化型接着剤樹脂は、特に、予め各層を形成するフィルムを形成しておき、これらのフィルムを接着して多層構造物を製造する場合に特に有用である。
【0028】
[脱臭剤]
本発明においては、上述したスクラップ層3以外の層、具体的には内外層1a,1b,酸素吸収性バリヤー層2、或いは接着剤層4の少なくとも何れかの層に脱臭剤が配合される。
即ち、酸素吸収性バリヤー層2においては、該層中の酸化性重合体を酸化させて酸素を吸収するときにアルデヒド、ケトン、フラン等の低分子量化合物が生成し、このような低分子量化合物によって異臭が発生する。本発明では、スクラップ層3以外の層に配合された脱臭剤により、この異臭成分を捕捉し、例えば、この多層構造物を容器として使用した場合において、容器内容物中への異臭成分の移行を有効に抑制するものである。
【0029】
かかる脱臭剤としては、それ自体公知のもの、例えば活性炭、シリカゲル、天然乃至合成のゼオライト、活性白土、活性酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ハイドロタルサイト等を、単独或いは2種以上の組み合わせで使用することができる。これらの脱臭剤は、各層を形成する樹脂中に均一分散させるため、通常、その粒径が10μm以下であることが好ましい。
また、これらの脱臭剤は、これが配合される層の種類によっても多少異なるが、一般には、脱臭層となる樹脂100重量部当たり0.5乃至20重量部、特に1乃至10重量部の量で、スクラップ層3以外の層に配合されているのがよい。即ち、脱臭剤の配合量が上記範囲よりも少ないと、異臭成分の捕捉を有効に行なうことが困難となり、上記範囲よりも多量に配合されていると、成形性が損なわれるおそれがある。
【0030】
本発明においては、先にも述べた通り、上記脱臭剤をスクラップ層3以外の層に配合することにより、脱臭剤の配合によるスクラップの成形性低下を有効に回避することができる。従って、かかる脱臭剤が配合される層は、スクラップ層3以外の層であるという条件を満足する限り、特に制限されるものではないが、一般的には、酸素吸収性バリヤー層2よりも内層1a側に位置する層(例えば、図1の層構成では、接着剤層4或いは内層1a)に脱臭剤を配合することが好適である。即ち、この多層構造物を容器や包装材料として使用した場合、酸素吸収性バリヤー層2で発生した異臭成分が内容物中に移行して内容物の香味等を変質させるという不都合を有効に回避することができるからである。
【0031】
[層構成等]
上述した本発明の多層構造物は、代表的には、図1に示すような層構成を有するものであるが、勿論、このような層構成に限定されるものではなく、内外層としてポリオレフィン系樹脂層を有し、且つ中間層として酸素吸収バリヤー層及びスクラップ層を有している限り、任意の層構成を有していてよい。例えば、中間層として設けられる酸素吸収性バリヤー層やスクラップ層は、それぞれ2層以上であってもよいし、中間層中に、1層或いは2層以上のポリオレフィン系樹脂層をさらに設けることもできる。さらに、場合によっては接着剤層4を省略することも可能であるし、接着剤層を設ける代わりに、例えば酸素吸収バリヤー層2中に、少量のポリオレフィン系樹脂を配合しておくことにより、酸素吸収バリヤー層2とポリオレフィン系樹脂層(内外層1a,1b)との接着性を高めることもできる。
【0032】
本発明の多層構造物において、各層の厚みに制限はないが、一般に、内層1a又は外層1bのポリオレフィン系樹脂層の厚みは、100乃至300μm、特に100乃至200μm、酸素吸収バリヤー層2の厚みは、5乃至150μm、特に5乃至100μmの範囲にあるのがよく、スクラップ層3の厚みは、100乃至500μm、特に200乃至400μmで、且つ多層構造物全体の厚みの60%以下、特に30乃至50%の範囲にあるのがよい。さらに多層構造物の厚みは、その用途によっても異なるが、一般に300乃至2000μm、特に500乃至1000μmの範囲にあるのが好適である。
【0033】
本発明の多層構造物は、例えばフィルム、シート、ボトル、キャップ、チューブ形成用パリソン乃至はパイプ、ボトル乃至チューブ成形用プリフォーム等の形を採ることができ、前述した層構成を有していることを除けば、それ自体公知の方法で製造される。
例えば、各層に応じた数の押出機や射出成形機を用い、共押出成形法、共射出法、逐次射出法等により、フィルム、シート、キャップ、チューブ形成用パリソン乃至はパイプ、ボトル乃至チューブ成形用プリフォーム等を製造することができる。また得られたフィルムを二軸延伸して延伸フィルムとすることもできる。更に、フィルムやシートの場合には、予め各層を形成するフィルムを押出機等で作製しておき、これらを貼り合わせることにより製造することもできる。
パリソン、パイプ或いはプリフォームからのボトルの形成は、例えば押出物を一対の割型でピンチオフし、その内部に流体を吹き込むことにより容易に行なわれる。
また、パイプ乃至はプリフォームを冷却した後、延伸温度に加熱し、軸方向に延伸すると共に、流体圧によって周方向にブロー延伸することにより、延伸ボトル等を得ることができる。
更には、フィルム乃至シートを、真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等の手段に付することにより、カップ状、トレイ状等の形状の包装容器、或いは前記容器に用いられるシール材が得られる。
【0034】
また、フィルム等は、種々の形態の包装袋として用いることができる。その製袋は、それ自体公知の方法で行なうことができ、三方或いは四方シールの通常のパウチ類、がセット付パウチ類、スタンディングパウチ類、ピロー包装袋などが挙げられるが、勿論、この例に限定されるものではない。
【0035】
本発明の多層構造物は、酸素による内容物の劣化を防止し、シェルフライフを向上させる容器やキャップとしても有用である。
容器等に充填される内容物としては、ビール、ワイン、フルーツジュース、炭酸ソフトドリンク等の各種飲料、果物、ナッツ、野菜、肉製品、幼児食品、コーヒー、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、佃煮、乳製品等の食品、その他、医薬品、化粧品、ガソリン等、酸素存在下で劣化を起こし易いものを挙げることができるが、これらの例に限定されない。
【0036】
【実施例】
本研究を以下の実施例により更に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
[酸素吸収性樹脂組成物の作製]
32モル%のエチレンを共重合したエチレンービニルアルコール共重合体樹脂ペレット(EP−F101B:(株)クラレ)とコバルト含有率14wt%のネオデカン酸コバルト(DICANATE5000:大日本インキ化学工業(株))所定量タンブラーで混合し、コバルト量で350ppmのネオデカン酸コバルトをエチレンービニルアルコール共重合体樹脂ペレット表面に均一に付着させた。
次いで、出口部分にストランドダイを装着した二軸押出機(TEM-35B:東芝機械(株))を用いて,スクリュー回転数100rpmで低真空ベントを引きながら、液体フィーダーにより、酸価40mg/gの無水マレイン酸変性ポリブタジエン(M−2000−20、日本石油化学(株))をコバルトを付着させたエチレンービニルアルコール共重合体樹脂950重量部に対して50重量部滴下し、成形温度200℃でストランドを引き、目的とする酸素吸収性樹脂組成物のペレットを作製した。
【0037】
[酸化防止剤含有スクラップ樹脂の作製]
ボトルのバリ部分や成形ボトルを粉砕してスクラップ材とし、前記スクラップ材100重量部に対して、LDPE80重量部及び各種リン系酸化防止剤を適量ドライブレンドして酸化防止剤含有スクラップ樹脂を作製し、これをスクラップ層3とした。
【0038】
[脱臭層]
スクラップ層3以外の脱臭層となる内層1a、外層1b、酸素吸収性バリヤー層2、接着層4或いは中間層5の何れかの層の樹脂100重量部に対し、脱臭剤としてアミン担持多孔質シリカ(ケスモン:東亞合成(株))を適量ドライブレンドし脱臭層とした。
【0039】
[酸素バリヤー性能の評価]
作製した広口ボトルを脱気箱に入れ、脱気箱を窒素置換した。次いで、前記ボトルに蒸留水1cc入れた後、脱気箱中で前記ボトルの開口部にアルミ箔をバリヤー層とする蓋材をヒートシールした。このボトルを30℃―80%RH条件下に1ヶ月保存した後、ボトル内の酸素濃度をガスクロマトグラフィーによって測定し、1ヶ月間の酸素濃度の増加値からバリヤー性を評価した。
【0040】
[臭気評価]
酸素バリヤー性の評価に使用したボトルについて、ボトルの蓋を破り、ボトル内の気体の臭気を5名のパネラーによる官能試験で評価した。
【0041】
[容器の色調評価]
作製したボトル胴部の色調を目視により評価した。
【0042】
[実施例1]
ダイレクトブロー成形機を用いて、シェル径15mm、コア13mmの条件で、外層側より低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂層1b(200μm)/スクラップ層3(300μm)/接着層4(20μm)/酸素吸収性バリヤー層2(30μm)/接着層4(20μm)/低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂層1a(200μm)の4種6層広口ボトル(口径44mm、内容積125cc)を作製した。
スクラップ層3の酸化防止剤として、リン系酸化防止剤トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(アデカスタブ 2112:旭電化工業(株))を0.2重量部配合した。
また、接着層4はポリオレフィン用接着剤(モディックL522:三菱化学(株))から成り、接着層4に脱臭剤として、アミン担持多孔質シリカ(ケスモン:東亞合成(株))を4重量部配合して脱臭層とした。
【0043】
[実施例2]
実施例1において、酸素吸収性バリヤー層2に脱臭剤を1重量部配合して脱臭層とした以外は、実施例1と同様の4種6層の広口ボトルを作製した。
【0044】
[実施例3]
実施例1において、スクラップ層3の酸化防止剤の配合量を0.1重量部とし、内外層1a、1bにそれぞれ脱臭剤を2重量部配合して脱臭層とした以外は、実施例1と同様の4種6層の広口ボトルを作製した。
【0045】
[実施例4]
実施例1において、内層1aに脱臭剤を2重量部配合した脱臭層として5種6層とした以外は、実施例1と同様の広口ボトルを作製した。
【0046】
[実施例5]
同様に、外側より低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂層1b(100μm)/スクラップ層3(300μm)/接着層4(20μm)/酸素吸収性バリヤー層2(30μm)/接着層4(20μm)/低密度ポリエチレン(LDPE)中間層5(200μm)/低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂層1a(100μm)の5種7層広口ボトル(口径44mm、内容積125cc)を作製した。
スクラップ層3に配合するリン系酸化防止剤として、リン系酸化防止剤テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスフォナイト(IRGAFOS P−EPQ:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を0.2重量部配合した。また、接着層4と内層1aの間の低密度ポリエチレン(LDPE)中間層5に脱臭剤を2重量部配合して脱臭層とした。
【0047】
[実施例6]
同様に外側より低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂層1b(150μm)/スクラップ層3(200μm)/接着層4(20μm)/酸素吸収性バリヤー層2(30μm)/接着層4(20μm)/スクラップ層3(200μm)/低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂層1a(150μm)の4種7層広口ボトル(口径44mm、内容積125cc)を作製した。
スクラップ層3のリン系酸化防止剤は、実施例5と同様のものを用い、配合量は0.2重量部とした。また、接着層4に脱臭剤を5重量部配合して脱臭層とした。
【0048】
[実施例7]
実施例6において、低密度ポリエチレン(LDPE)から成る内層1aに脱臭剤を5重量部配合した脱臭層として5種7層とした以外は、実施例6と同様の広口ボトルを作製した。
【0049】
[実施例8]
同様に、外側より低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂層1b(100μm)/スクラップ層3(200μm)/接着層4(20μm)/酸素吸収性バリヤー層2(30μm)/接着層4(20μm)/スクラップ層3(200μm)/低密度ポリエチレン(LDPE)中間層5(200μm)/低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂層1a(100μm)の5種8層広口ボトル(口径44mm、内容積125cc)を作製した。
スクラップ層3に配合するリン系酸化防止剤として、リン系酸化防止剤2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(アデカスタブ HP−10:旭電化工業(株))を0.2重量部配合した。また、接着層4と内層1aの間の低密度ポリエチレン中間層5に脱臭剤を3重量部配合して脱臭層とした。
【0050】
[実施例9]
同様に、外側より低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂層1b(100μm)/低密度ポリエチレン(LDPE)中間層5(100μm)/スクラップ層3(200μm)/接着層4(20μm)/酸素吸収性バリヤー層2(30μm)/接着層4(20μm)/スクラップ層3(200μm)/低密度ポリエチレン(LDPE)中間層5(100μm)/低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂層1a(100μm)の5種9層広口ボトル(口径44mm、内容積125cc)を作成した。
スクラップ層3に配合するリン系酸化防止剤及びその配合量は実施例8と同様とした。また、低密度ポリエチレン中間層5に脱臭剤をそれぞれ10重量部配合して脱臭層とした。
【0051】
[比較例1]
実施例1において、スクラップ層3に酸化防止剤を配合しなかった以外は、実施例1と同様の4種6層の広口ボトルを作製した。
【0052】
[比較例2]
実施例5において、低密度ポリエチレン樹脂から成る中間層5に脱臭剤を配合しなかった以外は、実施例5と同様の5種7層の広口ボトルを作製した。
【0053】
[比較例3]
実施例8において、スクラップ層3に酸化防止剤を配合せず、また、低密度ポリエチレン樹脂から成る中間層5に脱臭剤を配合しなかった以外は、実施例8と同様の5種8層の広口ボトルを作製した。
【0054】
表1に前記実施例及び比較例における酸素バリヤー性能、臭気及び容器の色調の各評価結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
Figure 0004878720
【0056】
表1の結果から明らかなように、実施例及び比較例における酸素バリヤー性能は何れも良好で差がないが、臭気及び/又は容器の色調で相違が見られた。
【0057】
【発明の効果】
本発明の多層構造物においては、ポリオレフィン系樹脂から成る内外層の間の中間層として、酸素吸収性バリヤー層と、リン系酸化防止剤が配合されているスクラップ層を設け、更にスクラップ層以外の層に脱臭剤を配合することにより、酸素吸収性バリヤー層による優れた酸素バリヤー性を損なうことなく、臭気成分の発生を有効に抑制し、且つスクラップを用いることによる成形性の低下等を有効に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層構造物の層構成の代表例を示す図。
【符号の説明】
1:ポリオレフィン系樹脂層
2:酸素吸収性バリヤー層
3:スクラップ層
4:接着層

Claims (8)

  1. ポリオレフィン系樹脂を内外層に備え、内外層の間の中間層に、酸素吸収性バリヤー層とスクラップ層及び必要により接着剤層を有している多層構造物において、
    前記酸素吸収性バリヤー層は、酸素バリヤー性樹脂中に酸化性重合体及び遷移金属触媒が配合された樹脂組成物から形成されているものであり、
    前記スクラップ層は、前記多層構造物を成形するときに生じるスクラップからなるものであって該多層構造物を形成している全層に由来する成分を含み、且つ該スクラップ層には、リン系酸化防止剤を配合し、
    前記スクラップ層以外の何れかの層に脱臭剤を配合することを特徴とする多層構造物。
  2. 前記スクラップ層には、リン酸系酸化防止剤がスクラップ材100重量部当たり0.1重量部以上配合されている請求項1に記載の多層構造物。
  3. 前記脱臭剤は、前記酸素吸収性バリヤー層よりも内層側に位置する層に配合されている請求項1又は2に記載の多層構造物。
  4. 前記脱臭剤を含有する脱臭層において、該脱臭剤は、脱臭層樹脂100重量部当たり0.5乃至20重量部配合されている請求項1乃至3の何れかに記載の多層構造物。
  5. 酸素バリヤー性樹脂100重量部当り、前記酸化性重合体が1乃至15重量部配合され、且つ前記遷移金属触媒が金属量換算で10乃至1000ppm配合されている請求項1乃至4の何れかに記載の多層構造物。
  6. 前記酸素バリヤー性樹脂がエチレン−ビニルアルコール共重合体である請求項1乃至5の何れかに記載の多層構造物。
  7. 前記酸化性重合体がエチレン系不飽和基含有重合体である請求項1乃至6の何れかに記載の多層構造物。
  8. 前記遷移金属触媒がコバルト、マンガン、銅及び鉄から成る群より選択された少なくとも1種の金属の有機塩である請求項1乃至7の何れかに記載の多層構造物。
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