JP2003266619A - 酸素バリヤー性に優れた多層構造物 - Google Patents

酸素バリヤー性に優れた多層構造物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた酸素バリヤー性を損なうことなく、臭
気成分の発生が有効に抑制され、且つスクラップの使用
による成形性の低下が有効に防止されたポリオレフィン
系樹脂の多層構造物を提供すること。 【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂を内外層に備え、
内外層の間の中間層に、酸素吸収性バリヤー層と、リン
系酸化防止剤が配合されているスクラップ層とを設け、
スクラップ層以外の層に脱臭剤を配合することを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン系
樹脂から成る内外層を備えた多層構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹
脂は、成形性、透明性、耐湿性に優れており、押出成
形、射出成形、中空成形等、種々の熱成形により、シー
ト乃至フィルム、ボトル、カップ等の構造物として種々
の用途に使用されている。しかるに、このようなポリオ
レフィン系樹脂は、酸素バリヤー性が低いという欠点が
あり、このため、食品等の包装に用いる用途では、通
常、ポリオレフィン系樹脂層を内外層とし、その間の中
間層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体等の酸
素バリヤー性樹脂層を設けた多層構造物の形で使用され
ている。しかるに、酸素バリヤー性樹脂層を設けたとし
ても高い酸素バリヤー性を得ることが困難であるため、
最近では、酸化可能な樹脂と遷移金属触媒(酸化触媒)
とを配合した酸素吸収性バリヤー層を設けた容器などが
提案されている。このような酸素吸収性バリヤー層は、
容器壁を通過する酸素により樹脂を酸化させることによ
り、このような酸素を吸収するものであり、これにより
酸素バリヤー性が高められるが、反面、樹脂が酸化分解
して、アルデヒド、ケトン、フラン等の低分子量の臭気
成分が発生するという問題がある。このような問題を解
決するために、例えば特開平6−100042号公報に
は、酸素吸収性バリヤー層中に脱臭剤を配合することが
提案されている。即ち、かかる先行技術によれば、樹脂
の酸化分解により生成した臭気成分が脱臭剤により吸着
捕捉され、これにより、臭気の発生が抑制される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、プラスチッ
ク容器等のプラスチック成形体では、成形中に多量のス
クラップが発生するが、上述した樹脂の酸化を利用した
酸素吸収性バリヤー層を有する成形体を成形する際に発
生するスクラップは、これを再利用して成形するときに
著しく着色するという問題があるため、商品価値を損ね
るなどの理由により、容器等への再利用が困難となって
おり、これに対しては、有効な提案はなされていない。
例えば、前述した先行技術では、臭気の発生は有効に抑
制されるものの、成形中に発生したスクラップを再利用
するときの着色の問題を解決することはできない。
【0004】従って本発明の目的は、優れた酸素バリヤ
ー性を損なうことなく、臭気成分の発生を有効に抑制す
ることができると共に、スクラップ層を備えているにも
かかわらず、着色が少なく透明性に優れたポリオレフィ
ン系樹脂の多層構造物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、ポリオ
レフィン系樹脂を内外層に備え、内外層の間の中間層
に、酸素吸収性バリヤー層とスクラップ層及び必要によ
り接着剤層を有している多層構造物において、前記スク
ラップ層には、リン系酸化防止剤が配合されており、前
記スクラップ層以外の何れかの層に脱臭剤が配合されて
いることを特徴とする多層構造物が提供される。
【0006】本発明においては、 1.前記スクラップ層には、リン系酸化防止剤がスクラ
ップ材100重量部当たり0.1重量部以上配合されて
いること、 2.前記脱臭剤は、前記酸素吸収性バリヤー層よりも内
層側に位置する層に配合されていること、 3.前記脱臭剤を含有する脱臭層において、該脱臭剤
は、脱臭層樹脂100重量部当たり0.5乃至20重量
部配合されていること、 4.前記酸素吸収性バリヤー層は、酸素バリヤー性樹脂
中に酸化性重合体及び遷移金属触媒が配合された樹脂組
成物から形成されていること、 5.酸素バリヤー性樹脂100重量部当り、前記酸化性
重合体が1乃至15重量部配合され、且つ前記遷移金属
触媒が金属量換算で10乃至1000ppm配合されて
いること、 6.前記酸素バリヤー性樹脂がエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体であること、 7.前記酸化性重合体がエチレン系不飽和基含有重合体
であること、 8.前記遷移金属触媒がコバルト、マンガン、銅及び鉄
から成る群より選択された少なくとも1種の金属の有機
塩であること、 が好ましい。
【0007】本発明の多層構造物においては、ポリオレ
フィン系樹脂から成る内外層の間の中間層として、酸素
吸収性バリヤー層に加えて、スクラップ層及び必要によ
り接着剤層が設けられているが、このスクラップ層に
は、リン系酸化防止剤が配合されており、且つスクラッ
プ層以外の層に脱臭剤が配合されていることが重要な特
徴である。即ち、本発明によれば、スクラップ層中にリ
ン系酸化防止剤が配合されているため、成形時の加熱等
による樹脂の酸化分解が有効に抑制され、スクラップ成
形時の変色や成形性の低下を有効に防止することができ
る。例えば、酸素吸収性バリヤー層を備えている本発明
の多層構造物自体を成形するときに生じるスクラップ
を、再び本発明の多層構造物の成形に再利用することが
できる。この場合、後述する実施例や比較例から明らか
な通り、酸化防止剤としては、リン系のものを使用する
ことが重要であり、例えばフェノール系等の他のタイプ
の酸化防止剤を用いたときには、成形時の変色や成形性
の低下を回避することができない。また、本発明におい
ては、スクラップ層以外の層に配合された脱臭剤によ
り、酸素吸収性バリヤー層中での樹脂の酸化分解等によ
り生じる異臭成分が捕捉され、この結果、酸素吸収性バ
リヤー層からの異臭の発生を有効に回避することができ
る。しかも、この脱臭剤は、スクラップ層以外の層に配
合されているため、脱臭剤によるスクラップの成形性低
下を生じることがないという利点もある。即ち、活性炭
等に代表される脱臭剤は、樹脂とは不相溶の固体粒子で
あり、成形時に発生するスクラップは、熱履歴を受けて
いるため、バージンの樹脂などに比して成形性は劣って
いる。従って、このようなスクラップ中に脱臭剤を配合
すると、成形性のさらなる低下を招き、例えば成形温度
を高くしなければならない等の制約を受けるおそれがあ
る。本発明では、スクラップ層以外の層に脱臭剤を配合
したことにより、このような成形時の不都合を有効に回
避することができる。このように本発明の多層構造物
は、ガスバリヤー性に優れ、樹脂の酸化等に伴う不快な
臭気の発生が抑制され、更には成形時の変色等の問題も
有効に防止することができることから、シート乃至フィ
ルム等の包装材料やボトル、カップ等の包装容器等の用
途に極めて有効に適用される。
【0008】
【発明の実施形態】図1は、本発明の多層構造物におけ
る層構成の代表例を示すものであり、この図1から明ら
かな通り、ポリオレフィン系樹脂からなる内層1a及び
外層1bを有しており、これら内外層1a,1bの間の
中間層として、酸素吸収性バリヤー層2及びスクラップ
層3が設けられており、また、必要により接着層4が設
けられる。
【0009】[内外層1a,1b]内外層1a,1bの
形成に用いるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、
低密度、中密度或いは高密度のポリエチレン、線状低密
度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シ
ンジオタクチックポリプロピレン、エチレン−プロピレ
ン共重合体、ポリブテン−1、ポリ4−メチル−1−ペ
ンテン、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−
ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−
1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架
橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、エチレン−ア
クリル酸エステル共重合体等を例示することができる。
これらは、単独でも、或いは2種以上のブレンド物の形
でも使用することができる。一般に、この多層構造物を
耐熱性が要求される用途(例えばレトルト殺菌用容器)
に適用する場合には、結晶性のプロピレン系重合体が適
当であり、ホモポリプロピレンや、結晶性であるという
条件下に、プロピレンを主体とするランダム共重合体や
ブロック共重合体が好適に使用される。また、これらの
ポリオレフィンは、一般に、0.1乃至10g/10m
inのメルトフローレートを有していることが好まし
い。
【0010】[酸素吸収性バリヤー層2]酸素吸収性バ
リヤー層2は、酸素バリヤー性樹脂に酸化性重合体及び
遷移金属触媒(酸化触媒)を配合した樹脂組成物から形
成される。即ち、この層では、酸化性重合体を酸化させ
ることにより、酸素を吸収捕捉し、酸素バリヤー性樹脂
の酸素バリヤー機能を高めるものであり、遷移金属触媒
は、酸化性重合体の酸化を促進させるために配合され
る。
【0011】酸素バリヤー性樹脂としては、それ自体公
知のものを使用することができ、最も好適には、エチレ
ン−ビニルアルコール共重合体、例えば、エチレン含有
量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル%のエ
チレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96%以
上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られ
る共重合体ケン化物が使用される。このエチレン−ビニ
ルアルコール共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体
ケン化物)は、フィルムを形成し得るに足る分子量を有
するべきであり、一般に、フェノール/水の重量比が8
5/15の混合溶媒中、30℃で測定して0.01dl
/g以上、特に0.05dl/g以上の固有粘度を有す
ることが望ましい。
【0012】また、エチレン−ビニルアルコール共重合
体以外の酸素バリヤー性樹脂の例としては、例えば、ナ
イロン6、ナイロン6・6、ナイロン6/6・6共重合
体、メタキシリレンジアジパミド、ナイロン6・10、
ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13等のポリア
ミドを挙げることができる。これらのポリアミドの中で
も、炭素数100個当りのアミド基の数が5乃至50
個、特に6乃至20個の範囲にあるものが好適である。
これらのポリアミドもフィルムを形成するに足る分子量
を有するべきであり、例えば、濃硫酸(濃度1.0g/
dl)中、30℃で測定した相対粘度が1.1以上、特
に1.5以上であることが望ましい。
【0013】本発明において、上述した酸素バリヤー樹
脂に配合される酸化性重合体としては、エチレン系不飽
和基含有重合体が使用される。即ち、この重合体は、炭
素−炭素二重結合を有しており、この二重結合部分が酸
素により容易に酸化され、これにより酸素の吸収捕捉が
行なわれる。このようなエチレン系不飽和基含有重合体
は、例えば、ポリエンを単量体として誘導される。ポリ
エンの適当な例としては、これに限定されるものではな
いが、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;1,4
−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、
4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,
4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサ
ジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非
共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリ
デン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボル
ネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−
ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5
−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタ
ジエン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリ
デン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプ
ロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,
2−ノルボルナジエン等のトリエン、クロロプレンなど
を挙げることができる。即ち、上記ポリエンの単独重合
体、或いは上記ポリエンを2種以上組み合わせ若しくは
他の単量体と組み合わせてのランダム共重合体、ブロッ
ク共重合体等を酸化性重合体として用いることができ
る。また、上記ポリエンと共重合させる他の単量体とし
ては、炭素数が2乃至20のα−オレフィン、例えばエ
チレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペ
ンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、
1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセ
ン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデ
セン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナ
デセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、1
1−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラ
デセン等を例示することができ、また、これら以外に
も、スチレン、ビニルトリエン、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルメタクリレー
ト、エチルアクリレートなどを用いることもできる。本
発明においては、上述したポリエンから誘導される重合
体の中でも、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン
(IR)、天然ゴム、ニトリル−ブタジエンゴム(NB
R)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプ
レンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPD
M)等が好適であるが、勿論、これらに限定されない。
また、そのヨウ素価は、100以上、特に120〜19
6程度であるのがよい。
【0014】また、本発明においては、上述した酸化性
重合体に、カルボン酸基、カルボン酸無水物基等の官能
基を導入して使用することができ、これにより、前述し
た酸素バリヤー性樹脂と酸化性重合体との相溶性を高
め、酸化性重合体を酸素バリヤー性樹脂中に均一に分散
させることができる。このような官能基の導入は、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタ
コン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシク
ロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボ
ン酸等の等のα,β−不飽和カルボン酸や不飽和ジカル
ボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラ
コン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,
2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水
物などを、前記で例示した酸化性重合体にグラフト共重
合させることにより行なわれる。このようなグラフト共
重合体において、不飽和カルボン酸などのグラフトコモ
ノマーの含有量は、酸化性重合体100重量部当たり
0.01乃至10重量%部程度であるのがよく、これに
より、酸素バリヤー性樹脂中への分散性が良好となり、
また酸素吸収も円滑に行なうことができる。
【0015】本発明においては、成形性等の見地から、
上述した酸化性重合体やそのグラフト共重合体の40℃
での粘度は1乃至200Pa・sの範囲にあることが好
適である。また、これらの酸化性重合体成分は、酸素バ
リヤー性樹脂100重量部当り1乃至15重量部、特に
2乃至10重量部の量で配合される。
【0016】上述した酸化性重合体と共に使用される遷
移金属触媒において、遷移金属としては、鉄、コバル
ト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属が好適である
が、他に銅、銀等の第I族金属、錫、チタン、ジルコニ
ウム等の第IV族金属、バナジウム等の第V族金属、ク
ロム等の第VI族金属、マンガン等の第VII族金属等で
あってもよい。これらの中でも特にコバルトは、酸素吸
収性(酸化性重合体の酸化)を著しく促進させ、本発明
の目的に特に適している。
【0017】遷移金属触媒は、一般に、上記遷移金属の
低価数の無機塩、有機塩或いは錯塩の形で使用される。
無機塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイ
オウのオキシ塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン
酸塩などのリンオキシ塩、ケイ酸塩等が挙げられる。有
機塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン
酸塩などが挙げられるが、本発明の目的にはカルボン酸
塩が好適である。その具体例としては、酢酸、プロピオ
ン酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペ
ンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、
オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,
5,5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン
酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミ
チン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リ
ンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノ
ール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、
スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩がを挙げる
ことができる。また、遷移金属の錯体としては、β−ジ
ケトンまたはβ−ケト酸エステルとの錯体が挙げられ
る。β−ジケトンやβ−ケト酸エステルとしては、例え
ば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、1,3−シ
クロヘキサジオン、メチレンビス−1,3−シクロヘキ
サジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオ
ン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ス
テアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−ア
セチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサ
ノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサジオン、ベ
ンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メ
チルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾ
イル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメ
タン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベン
ゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロ
イルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4
−クロルベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェ
ニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)
メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、
ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)メ
タン及びジピバロイルメタン等を用いることができる。
【0018】本発明において、上記の遷移金属触媒は、
酸素バリヤー性樹脂100重量部当たり当り金属量換算
で10乃至1000ppm、特に50乃至500ppm
の量で配合されているのがよい。
【0019】[スクラップ層3]本発明において、スク
ラップ層3は、例えば容器の成形等を行なうときに発生
するスクラップ樹脂からなるものであるが、このスクラ
ップ層3中には、リン系酸化防止剤が配合される。即
ち、リン系酸化防止剤をスクラップ層3中に配合するこ
とにより、スクラップ樹脂の成形時における変色を有効
に抑制することができ、本発明の多層構造物の優れた透
明性を保持することができる。尚、酸化防止剤として
は、リン系酸化防止剤以外にも、フェノール系、イオウ
系等の酸化防止剤が知られているが、上記のような変色
を防止するには、リン系酸化防止剤が最適であり、他の
酸化防止剤では、変色防止にほとんど効果がない。
【0020】上述したリン系酸化防止剤としては、これ
に限定されるものではないが、例えば、トリス(2,4
−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニ
ルホスファイト、トリス(ノニルファニル)ホスファイ
ト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリ
スデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファ
イト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファ
イト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジデシルモ
ノフェニルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシ
ル)ホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイ
ト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト、テトラフェ
ニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフ
ェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテト
ラホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−イ
ソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(ノニ
ルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ
ステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、水添
ビスフェノールA・ペンタエリスリトールホスファイト
ポリマー、ビス(2,4−ジtブチルフェニル)ペンタ
エリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジtブ
チル−3−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホ
スファイト、及び下記式で表されるホスファイトを挙げ
ることができ、これらは1種単独で或いは2種以上の組
み合わせで使用することができる。
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】本発明においては、上述したリン系酸化防
止剤の中でも、特にトリス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)ホスファイトなどの芳香族系のものが最適であ
る。また、上記のリン系酸化防止剤は、スクラップ層3
中にスクラップ材100重量部当たり0.1重量部以
上、特に0.2乃至0.5重量部の量で配合されている
ことが望ましい。即ち、上記範囲よりも少量であると、
十分な変色防止効果が得られない傾向にあり、また、あ
まり多量に配合しても、それ以上の変色防止効果は認め
られず、むしろ経済的に不利となる。
【0027】[接着層4]本発明においては、各樹脂層
間に、必要により接着層4を設けることができ、これに
より、層間の接着強度を高めることができる。このよう
な接着層4は、それ自体公知の接着剤樹脂、例えば、カ
ルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩、カルボン
酸アミド、カルボン酸エステル等に基づくカルボニル基
(>C=O)を主鎖又は側鎖に1乃至100meq/1
00g樹脂、特に10乃至100meq/100g樹脂
の量で含有する熱可塑性樹脂により形成される。このよ
うな接着樹脂の適当な例としては、エチレン−アクリル
酸共重合体、イオン架橋オレフィン系共重合体、無水マ
レイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフ
トポリオレフィン、アクリル酸グラフトポリオレフィ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステ
ル、共重合ポリアミド等を例示することができ、これら
は、1種単独でも2種以上の組み合わせでも使用するこ
とができる。これらの接着樹脂は、同時押出し或いはサ
ンドイッチラミネーション等による積層に有用である。
また、イソシアネート系或いはエポキシ系等の熱硬化型
接着剤樹脂を使用することもできる。このような熱硬化
型接着剤樹脂は、特に、予め各層を形成するフィルムを
形成しておき、これらのフィルムを接着して多層構造物
を製造する場合に特に有用である。
【0028】[脱臭剤]本発明においては、上述したス
クラップ層3以外の層、具体的には内外層1a,1b,
酸素吸収性バリヤー層2、或いは接着剤層4の少なくと
も何れかの層に脱臭剤が配合される。即ち、酸素吸収性
バリヤー層2においては、該層中の酸化性重合体を酸化
させて酸素を吸収するときにアルデヒド、ケトン、フラ
ン等の低分子量化合物が生成し、このような低分子量化
合物によって異臭が発生する。本発明では、スクラップ
層3以外の層に配合された脱臭剤により、この異臭成分
を捕捉し、例えば、この多層構造物を容器として使用し
た場合において、容器内容物中への異臭成分の移行を有
効に抑制するものである。
【0029】かかる脱臭剤としては、それ自体公知のも
の、例えば活性炭、シリカゲル、天然乃至合成のゼオラ
イト、活性白土、活性酸化アルミニウム、ケイ酸マグネ
シウム、ケイ酸アルミニウム、ハイドロタルサイト等
を、単独或いは2種以上の組み合わせで使用することが
できる。これらの脱臭剤は、各層を形成する樹脂中に均
一分散させるため、通常、その粒径が10μm以下であ
ることが好ましい。また、これらの脱臭剤は、これが配
合される層の種類によっても多少異なるが、一般には、
脱臭層となる樹脂100重量部当たり0.5乃至20重
量部、特に1乃至10重量部の量で、スクラップ層3以
外の層に配合されているのがよい。即ち、脱臭剤の配合
量が上記範囲よりも少ないと、異臭成分の捕捉を有効に
行なうことが困難となり、上記範囲よりも多量に配合さ
れていると、成形性が損なわれるおそれがある。
【0030】本発明においては、先にも述べた通り、上
記脱臭剤をスクラップ層3以外の層に配合することによ
り、脱臭剤の配合によるスクラップの成形性低下を有効
に回避することができる。従って、かかる脱臭剤が配合
される層は、スクラップ層3以外の層であるという条件
を満足する限り、特に制限されるものではないが、一般
的には、酸素吸収性バリヤー層2よりも内層1a側に位
置する層(例えば、図1の層構成では、接着剤層4或い
は内層1a)に脱臭剤を配合することが好適である。即
ち、この多層構造物を容器や包装材料として使用した場
合、酸素吸収性バリヤー層2で発生した異臭成分が内容
物中に移行して内容物の香味等を変質させるという不都
合を有効に回避することができるからである。
【0031】[層構成等]上述した本発明の多層構造物
は、代表的には、図1に示すような層構成を有するもの
であるが、勿論、このような層構成に限定されるもので
はなく、内外層としてポリオレフィン系樹脂層を有し、
且つ中間層として酸素吸収バリヤー層及びスクラップ層
を有している限り、任意の層構成を有していてよい。例
えば、中間層として設けられる酸素吸収性バリヤー層や
スクラップ層は、それぞれ2層以上であってもよいし、
中間層中に、1層或いは2層以上のポリオレフィン系樹
脂層をさらに設けることもできる。さらに、場合によっ
ては接着剤層4を省略することも可能であるし、接着剤
層を設ける代わりに、例えば酸素吸収バリヤー層2中
に、少量のポリオレフィン系樹脂を配合しておくことに
より、酸素吸収バリヤー層2とポリオレフィン系樹脂層
(内外層1a,1b)との接着性を高めることもでき
る。
【0032】本発明の多層構造物において、各層の厚み
に制限はないが、一般に、内層1a又は外層1bのポリ
オレフィン系樹脂層の厚みは、100乃至300μm、
特に100乃至200μm、酸素吸収バリヤー層2の厚
みは、5乃至150μm、特に5乃至100μmの範囲
にあるのがよく、スクラップ層3の厚みは、100乃至
500μm、特に200乃至400μmで、且つ多層構
造物全体の厚みの60%以下、特に30乃至50%の範
囲にあるのがよい。さらに多層構造物の厚みは、その用
途によっても異なるが、一般に300乃至2000μ
m、特に500乃至1000μmの範囲にあるのが好適
である。
【0033】本発明の多層構造物は、例えばフィルム、
シート、ボトル、キャップ、チューブ形成用パリソン乃
至はパイプ、ボトル乃至チューブ成形用プリフォーム等
の形を採ることができ、前述した層構成を有しているこ
とを除けば、それ自体公知の方法で製造される。例え
ば、各層に応じた数の押出機や射出成形機を用い、共押
出成形法、共射出法、逐次射出法等により、フィルム、
シート、キャップ、チューブ形成用パリソン乃至はパイ
プ、ボトル乃至チューブ成形用プリフォーム等を製造す
ることができる。また得られたフィルムを二軸延伸して
延伸フィルムとすることもできる。更に、フィルムやシ
ートの場合には、予め各層を形成するフィルムを押出機
等で作製しておき、これらを貼り合わせることにより製
造することもできる。パリソン、パイプ或いはプリフォ
ームからのボトルの形成は、例えば押出物を一対の割型
でピンチオフし、その内部に流体を吹き込むことにより
容易に行なわれる。また、パイプ乃至はプリフォームを
冷却した後、延伸温度に加熱し、軸方向に延伸すると共
に、流体圧によって周方向にブロー延伸することによ
り、延伸ボトル等を得ることができる。更には、フィル
ム乃至シートを、真空成形、圧空成形、張出成形、プラ
グアシスト成形等の手段に付することにより、カップ
状、トレイ状等の形状の包装容器、或いは前記容器に用
いられるシール材が得られる。
【0034】また、フィルム等は、種々の形態の包装袋
として用いることができる。その製袋は、それ自体公知
の方法で行なうことができ、三方或いは四方シールの通
常のパウチ類、がセット付パウチ類、スタンディングパ
ウチ類、ピロー包装袋などが挙げられるが、勿論、この
例に限定されるものではない。
【0035】本発明の多層構造物は、酸素による内容物
の劣化を防止し、シェルフライフを向上させる容器やキ
ャップとしても有用である。容器等に充填される内容物
としては、ビール、ワイン、フルーツジュース、炭酸ソ
フトドリンク等の各種飲料、果物、ナッツ、野菜、肉製
品、幼児食品、コーヒー、ジャム、マヨネーズ、ケチャ
ップ、食用油、ドレッシング、ソース類、佃煮、乳製品
等の食品、その他、医薬品、化粧品、ガソリン等、酸素
存在下で劣化を起こし易いものを挙げることができる
が、これらの例に限定されない。
【0036】
【実施例】本研究を以下の実施例により更に説明する
が、本発明はこれらの実施例に制限されるものではな
い。 [酸素吸収性樹脂組成物の作製]32モル%のエチレン
を共重合したエチレンービニルアルコール共重合体樹脂
ペレット(EP−F101B:(株)クラレ)とコバル
ト含有率14wt%のネオデカン酸コバルト(DICA
NATE5000:大日本インキ化学工業(株))所定
量タンブラーで混合し、コバルト量で350ppmのネ
オデカン酸コバルトをエチレンービニルアルコール共重
合体樹脂ペレット表面に均一に付着させた。次いで、出
口部分にストランドダイを装着した二軸押出機(TEM
-35B:東芝機械(株))を用いて,スクリュー回転数
100rpmで低真空ベントを引きながら、液体フィー
ダーにより、酸価40mg/gの無水マレイン酸変性ポ
リブタジエン(M−2000−20、日本石油化学
(株))をコバルトを付着させたエチレンービニルアル
コール共重合体樹脂950重量部に対して50重量部滴
下し、成形温度200℃でストランドを引き、目的とす
る酸素吸収性樹脂組成物のペレットを作製した。
【0037】[酸化防止剤含有スクラップ樹脂の作製]
ボトルのバリ部分や成形ボトルを粉砕してスクラップ材
とし、前記スクラップ材100重量部に対して、LDP
E80重量部及び各種リン系酸化防止剤を適量ドライブ
レンドして酸化防止剤含有スクラップ樹脂を作製し、こ
れをスクラップ層3とした。
【0038】[脱臭層]スクラップ層3以外の脱臭層と
なる内層1a、外層1b、酸素吸収性バリヤー層2、接
着層4或いは中間層5の何れかの層の樹脂100重量部
に対し、脱臭剤としてアミン担持多孔質シリカ(ケスモ
ン:東亞合成(株))を適量ドライブレンドし脱臭層と
した。
【0039】[酸素バリヤー性能の評価]作製した広口
ボトルを脱気箱に入れ、脱気箱を窒素置換した。次い
で、前記ボトルに蒸留水1cc入れた後、脱気箱中で前
記ボトルの開口部にアルミ箔をバリヤー層とする蓋材を
ヒートシールした。このボトルを30℃―80%RH条
件下に1ヶ月保存した後、ボトル内の酸素濃度をガスク
ロマトグラフィーによって測定し、1ヶ月間の酸素濃度
の増加値からバリヤー性を評価した。
【0040】[臭気評価]酸素バリヤー性の評価に使用
したボトルについて、ボトルの蓋を破り、ボトル内の気
体の臭気を5名のパネラーによる官能試験で評価した。
【0041】[容器の色調評価]作製したボトル胴部の
色調を目視により評価した。
【0042】[実施例1]ダイレクトブロー成形機を用
いて、シェル径15mm、コア13mmの条件で、外層
側より低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂層1b(2
00μm)/スクラップ層3(300μm)/接着層4
(20μm)/酸素吸収性バリヤー層2(30μm)/
接着層4(20μm)/低密度ポリエチレン(LDP
E)樹脂層1a(200μm)の4種6層広口ボトル
(口径44mm、内容積125cc)を作製した。スク
ラップ層3の酸化防止剤として、リン系酸化防止剤トリ
ス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
(アデカスタブ 2112:旭電化工業(株))を0.
2重量部配合した。また、接着層4はポリオレフィン用
接着剤(モディックL522:三菱化学(株))から成
り、接着層4に脱臭剤として、アミン担持多孔質シリカ
(ケスモン:東亞合成(株))を4重量部配合して脱臭
層とした。
【0043】[実施例2]実施例1において、酸素吸収
性バリヤー層2に脱臭剤を1重量部配合して脱臭層とし
た以外は、実施例1と同様の4種6層の広口ボトルを作
製した。
【0044】[実施例3]実施例1において、スクラッ
プ層3の酸化防止剤の配合量を0.1重量部とし、内外
層1a、1bにそれぞれ脱臭剤を2重量部配合して脱臭
層とした以外は、実施例1と同様の4種6層の広口ボト
ルを作製した。
【0045】[実施例4]実施例1において、内層1a
に脱臭剤を2重量部配合した脱臭層として5種6層とし
た以外は、実施例1と同様の広口ボトルを作製した。
【0046】[実施例5]同様に、外側より低密度ポリ
エチレン(LDPE)樹脂層1b(100μm)/スク
ラップ層3(300μm)/接着層4(20μm)/酸
素吸収性バリヤー層2(30μm)/接着層4(20μ
m)/低密度ポリエチレン(LDPE)中間層5(20
0μm)/低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂層1a
(100μm)の5種7層広口ボトル(口径44mm、
内容積125cc)を作製した。スクラップ層3に配合
するリン系酸化防止剤として、リン系酸化防止剤テトラ
キス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,
1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスフォナイ
ト(IRGAFOS P−EPQ:チバ・スペシャルテ
ィ・ケミカルズ(株))を0.2重量部配合した。ま
た、接着層4と内層1aの間の低密度ポリエチレン(L
DPE)中間層5に脱臭剤を2重量部配合して脱臭層と
した。
【0047】[実施例6]同様に外側より低密度ポリエ
チレン(LDPE)樹脂層1b(150μm)/スクラ
ップ層3(200μm)/接着層4(20μm)/酸素
吸収性バリヤー層2(30μm)/接着層4(20μ
m)/スクラップ層3(200μm)/低密度ポリエチ
レン(LDPE)樹脂層1a(150μm)の4種7層
広口ボトル(口径44mm、内容積125cc)を作製
した。スクラップ層3のリン系酸化防止剤は、実施例5
と同様のものを用い、配合量は0.2重量部とした。ま
た、接着層4に脱臭剤を5重量部配合して脱臭層とし
た。
【0048】[実施例7]実施例6において、低密度ポ
リエチレン(LDPE)から成る内層1aに脱臭剤を5
重量部配合した脱臭層として5種7層とした以外は、実
施例6と同様の広口ボトルを作製した。
【0049】[実施例8]同様に、外側より低密度ポリ
エチレン(LDPE)樹脂層1b(100μm)/スク
ラップ層3(200μm)/接着層4(20μm)/酸
素吸収性バリヤー層2(30μm)/接着層4(20μ
m)/スクラップ層3(200μm)/低密度ポリエチ
レン(LDPE)中間層5(200μm)/低密度ポリ
エチレン(LDPE)樹脂層1a(100μm)の5種
8層広口ボトル(口径44mm、内容積125cc)を
作製した。スクラップ層3に配合するリン系酸化防止剤
として、リン系酸化防止剤2,2−メチレンビス(4,
6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト
(アデカスタブ HP−10:旭電化工業(株))を
0.2重量部配合した。また、接着層4と内層1aの間
の低密度ポリエチレン中間層5に脱臭剤を3重量部配合
して脱臭層とした。
【0050】[実施例9]同様に、外側より低密度ポリ
エチレン(LDPE)樹脂層1b(100μm)/低密
度ポリエチレン(LDPE)中間層5(100μm)/
スクラップ層3(200μm)/接着層4(20μm)
/酸素吸収性バリヤー層2(30μm)/接着層4(2
0μm)/スクラップ層3(200μm)/低密度ポリ
エチレン(LDPE)中間層5(100μm)/低密度
ポリエチレン(LDPE)樹脂層1a(100μm)の
5種9層広口ボトル(口径44mm、内容積125c
c)を作成した。スクラップ層3に配合するリン系酸化
防止剤及びその配合量は実施例8と同様とした。また、
低密度ポリエチレン中間層5に脱臭剤をそれぞれ10重
量部配合して脱臭層とした。
【0051】[比較例1]実施例1において、スクラッ
プ層3に酸化防止剤を配合しなかった以外は、実施例1
と同様の4種6層の広口ボトルを作製した。
【0052】[比較例2]実施例5において、低密度ポ
リエチレン樹脂から成る中間層5に脱臭剤を配合しなか
った以外は、実施例5と同様の5種7層の広口ボトルを
作製した。
【0053】[比較例3]実施例8において、スクラッ
プ層3に酸化防止剤を配合せず、また、低密度ポリエチ
レン樹脂から成る中間層5に脱臭剤を配合しなかった以
外は、実施例8と同様の5種8層の広口ボトルを作製し
た。
【0054】表1に前記実施例及び比較例における酸素
バリヤー性能、臭気及び容器の色調の各評価結果を表1
に示す。
【0055】
【表1】
【0056】表1の結果から明らかなように、実施例及
び比較例における酸素バリヤー性能は何れも良好で差が
ないが、臭気及び/又は容器の色調で相違が見られた。
【0057】
【発明の効果】本発明の多層構造物においては、ポリオ
レフィン系樹脂から成る内外層の間の中間層として、酸
素吸収性バリヤー層と、リン系酸化防止剤が配合されて
いるスクラップ層を設け、更にスクラップ層以外の層に
脱臭剤を配合することにより、酸素吸収性バリヤー層に
よる優れた酸素バリヤー性を損なうことなく、臭気成分
の発生を有効に抑制し、且つスクラップを用いることに
よる成形性の低下等を有効に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層構造物の層構成の代表例を示す
図。
【符号の説明】
1:ポリオレフィン系樹脂層 2:酸素吸収性バリヤー層 3:スクラップ層 4:接着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 恵喜 神奈川県横浜市保土ヶ谷区岡沢町22番地4 東洋製罐グループ綜合研究所内 Fターム(参考) 4F100 AH10D AK01C AK03A AK03B AK06 AK68C AK68J AR00C AS00D BA05 BA07 BA10A BA10B CA06D CA30B CA30E CB00E GB16 JD03 JD03C JL16 YY00B YY00D YY00E

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂を内外層に備え、
    内外層の間の中間層に、酸素吸収性バリヤー層とスクラ
    ップ層及び必要により接着剤層を有している多層構造物
    において、 前記スクラップ層には、リン系酸化防止剤が配合されて
    おり、 前記スクラップ層以外の何れかの層に脱臭剤が配合され
    ていることを特徴とする多層構造物。
  2. 【請求項2】 前記スクラップ層には、リン系酸化防止
    剤がスクラップ材100重量部当たり0.1重量部以上
    配合されている請求項2に記載の多層構造物。
  3. 【請求項3】 前記脱臭剤は、前記酸素吸収性バリヤー
    層よりも内層側に位置する層に配合されている請求項1
    又は2に記載の多層構造物。
  4. 【請求項4】 前記脱臭剤を含有する脱臭層において、
    該脱臭剤は、脱臭層樹脂100重量部当たり0.5乃至
    20重量部配合されている請求項1乃至3の何れかに記
    載の多層構造物。
  5. 【請求項5】 前記酸素吸収性バリヤー層は、酸素バリ
    ヤー性樹脂中に酸化性重合体及び遷移金属触媒が配合さ
    れた樹脂組成物から形成されている請求項1乃至4の何
    れかに記載の多層構造物。
  6. 【請求項6】 酸素バリヤー性樹脂100重量部当り、
    前記酸化性重合体が1乃至15重量部配合され、且つ前
    記遷移金属触媒が金属量換算で10乃至1000ppm
    配合されている請求項5に記載の多層構造物。
  7. 【請求項7】 前記酸素バリヤー性樹脂がエチレン−ビ
    ニルアルコール共重合体である請求項5又は6に記載の
    多層構造物。
  8. 【請求項8】 前記酸化性重合体がエチレン系不飽和基
    含有重合体である請求項5乃至7の何れかに記載の多層
    構造物。
  9. 【請求項9】 前記遷移金属触媒がコバルト、マンガ
    ン、銅及び鉄から成る群より選択された少なくとも1種
    の金属の有機塩である請求項5乃至8の何れかに記載の
    多層構造物。
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