JP4878062B2 - 自動車のピッチング制御装置および制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のピッチング制御装置および制御方法に関し、より詳細には、モータのトルク制御によってピッチングを制御する自動車のピッチング制御装置および制御方法に関する。
エネルギー・環境問題において電気自動車は内燃機関自動車に対し非常に優れており、注目されている。しかしモータを駆動力として利用している電気自動車は、モータの特徴である、トルク指令値から発生トルクまでの応答性が良い、モータ電流を測ることでモータの発生トルク値を正確に把握できる、モータがコンパクトであるためタイヤ各輪に分散配置が可能である、という点でも大きな優位性を持つ(非特許文献1、2参照)。このモータの特徴に注目し、電気自動車ならではの車両制御の研究が行われている(非特許文献3参照)。
車両運動には、乗り心地に大きく影響するピッチング運動が含まれる。ピッチングとは、自動車が直線上を走行中に駆動力や制動力をかけると前後加速度が発生し、同時に車体の重心軸(y軸)まわりのモーメントが加わることによって起きる車体の重心まわりの運動である。本発明はそのピッチング運動の制御を行う。
これまでに提案されているピッチング制御方法としては、測定したピッチング量に対してピッチング量が抑制される方向に所定の補正トルクを加え、極性が変わる毎に補正トルクの向きを変えるというフィードフォワード制御を行うものがある(特許文献1、2参照)。また、同様にフィードフォワード制御であるが、詳細なバネ上振動モデルを用い、モデルに対して状態フィードバックを行ったピッチング制御方法もある(特許文献3)。
しかしながら、これまで車両のピッチング運動を精密に解析したモデルがなく、電気自動車の特徴であるモータの高速応答を利用したピッチング制御装置も存在していなかった。また、実際は、モータトルクによる加速度axmはトルク指令値だけでなく路面状態にも依存している。そのため、axmの誤差が大きく、精度の高いピッチング制御を行うことが困難であるという課題があった。さらに、モータのホールセンサが低分解能なために、ブレーキトルクとノミナル加速度を求める際に精度の低い車輪角速度ωを微分して求められる
Figure 0004878062
(ωdot)車輪角加速度に大きくノイズがのり、ピッチング制御の精度を低下させるという課題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、駆動輪のトルクを制御することによってピッチング運動を制御する自動車のピッチング制御装置および制御方法を提供することにある。また、スリップ率を考慮したブレーキトルク推定法に基づく、モータのトルク制御による高精度なピッチング制御装置および制御方法を提供することにある。また、車輪角加速度を用いずに路面状況を考慮した高精度なピッチング制御装置および制御方法を提供することにある。
特開昭62−12305号公報 特開2007−186130号公報 特開2006−60936号公報 S.Sakai、 and Y.Hori:" Advanced Vehicle Motion Control of Electric Vehicle"、 Ph D. Thesis、 The University of Tokyo(1999)(in Japanese) T.Koike、 and Y.Hori:"Advanced Braking System based on High Speed Response of Electric Motor"、 IIC-06-2(2006) H.Fujimoto、 K.Fujii、 N.Takahashi:" Road Condition Estimation and Motion Control of Electric Vehicle with Inwheel Motors"、 JSAE Annual Congress、 pp.25-28(2007) 「自動車の運動力学」基礎セミナー(2006) 社団法人日本機械学会編、" 車両システムのダイナミクスと制御"、 株式会社養賢堂発行 M.Kamachi、 K.Walters:" A Research of Direct Yaw-Moment Control on Slippery Road for In-Wheel Motor Vehicle"、EVS-22 Yokohama、 JAPAN、 Oct.23-28、 pp.2122-2133 (2006) 宇野高明著、"車両運動性能とシャシーメカニズム"、 グランプリ出版発行 K.Fujii、 H.Fujimoto:"Slip ratio control based on wheel control without detection of vehicle speed for electric vehicle"、VT-07-05、 pp.27-32(2007) カヤバ工業株式会社編、" 自動車のサスペンション"、 株式会社山海堂発行 Toru Suzuki, Hiroshi Fujimoto," Proporsal of Slip Ratio Estimation Method without Detection of Vehicle Speed for Electric Vehicle on Deceleration", IEE of Japan Technical Meeting Record, 2007, pp. 77-82
本発明は、ピッチング制御装置であって、モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車において、静止時の前記自動車の各車輪にかかる荷重、前記モータによる加減速時に前記自動車の各車輪にかかる荷重、並びに、ブレーキによる制動時に前記自動車の前輪に働くアンチダイブ力及び前記自動車の後輪に働くアンチリフト力によって前記自動車の各車輪にかかる荷重の変化に基づく前記自動車の重心点まわりのモーメントから前記自動車ノミナルピッチ角を算出するノミナルピッチ角算出手段と、前記ノミナルピッチ角に基づき前記モータのモータトルクを算出するモータトルク算出手段と、前記モータトルクを用いて前記モータを制御するモータ制御手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の一態様は、前記ノミナルピッチ角算出手段によって算出されたノミナルピッチ角から導出したノミナルピッチレートと前記自動車の実ピッチレートとの差分を補償するフィードバック制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、本発明の一態様は、ブレーキトルクを推定するブレーキトルク推定手段をさらに備え、前記ノミナルピッチ角算出手段は、前記ブレーキトルクに基づき前記モータのモータ加速度を算出することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、前記ブレーキトルク推定手段が、スリップ率を考慮した推定を行うことを特徴とする。
また、本発明の一態様は、前記ブレーキトルク推定手段が、さらにスリップ率の時間変化を考慮した推定を行うことを特徴とする。
また、本発明の一態様は、前記自動車の車体加速度を計測する加速度センサをさらに備え、前記ブレーキトルク推定手段は、前記車体加速度を用いて推定を行うことを特徴とする。
また、本発明の一態様は、ピッチング制御装置であって、モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車において、前記自動車の車体の加速度を計測する加速度センサと、前記加速度、静止時の前記自動車の各車輪にかかる荷重、前記モータによる加減速時に前記自動車の各車輪にかかる荷重、並びに、ブレーキによる制動時に前記自動車の前輪に働くアンチダイブ力及び前記自動車の後輪に働くアンチリフト力によって前記自動車の各車輪にかかる荷重の変化に基づく前記自動車の重心点まわりのモーメント、からノミナルピッチ角を算出するモデルを用いて状態オブザーバにより前記ノミナルピッチ角を含む状態変数を推定し、前記状態変数の推定値を用いた状態フィードバック制御手段と、前記状態フィードバック制御手段で算出されたスリップ率に基づいて、前記モータのモータトルクを算出する車輪速制御手段と、前記モータトルクを用いて前記モータを制御するモータ制御手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の一態様は、前記車輪速制御手段が、車輪の慣性モーメントのみを考慮して極配置法により制御ゲインを決定し、加減速時の前記車輪の慣性モーメントに対して極が一定となるように前記制御ゲインが調整されていることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、前記ノミナルピッチ算出手段が、式(A)に基づいて前記ノミナルピッチ角の算出を行うことを特徴とする。
Figure 0004878062
(m:車体重量、h:接地面から重心点までの高さ、l:重心点と前輪シャフト間の距離、l:重心点と後輪シャフト間の距離、I:車体のy軸まわりの慣性モーメント、C:ダンパ係数、K:バネ定数、β:ブレーキ力の前輪配分、φ:アンチダイブ力方向、φ:アンチリフト力方向)
また、本発明の別の態様は、ピッチング制御方法であって、モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車において、静止時の前記自動車の各車輪にかかる荷重、前記モータによる加減速時に前記自動車の各車輪にかかる荷重、並びに、ブレーキによる制動時に前記自動車の前輪に働くアンチダイブ力及び前記自動車の後輪に働くアンチリフト力によって前記自動車の各車輪にかかる荷重の変化に基づく前記自動車の重心点まわりのモーメントから前記駆動輪のノミナルピッチ角を算出するノミナルピッチ角算出ステップと、前記ノミナルピッチ角に基づき前記モータのモータトルクを算出するモータトルク算出ステップと、前記モータトルクを用いて前記モータを制御するモータ制御ステップとを有することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、前記ノミナルピッチ角算出ステップで算出されたノミナルピッチ角から導出したノミナルピッチレートと前記自動車の実ピッチレートとの差分を補償するフィードバック制御ステップをさらに有することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、ブレーキトルクを推定するブレーキトルク推定ステップをさらに有し、前記ノミナルピッチ角算出ステップは、前記ブレーキトルクに基づき前記モータのモータ加速度を算出することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、前記ブレーキトルク推定ステップが、スリップ率を考慮した推定を行うことを特徴とする。
また、本発明の一態様は、前記ブレーキトルク推定ステップが、さらにスリップ率の時間変化を考慮した推定を行うことを特徴とする。
また、本発明の一態様は、加速度センサで前記自動車の車体加速度を計測する加速度計測ステップをさらに有し、前記ブレーキトルク推定ステップは、前記車体加速度を用いて推定を行うことを特徴とする。
また、本発明の一態様は、ピッチング制御方法であって、モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車において、加速度センサで前記自動車の車体の加速度を計測する加速度計測ステップと、前記加速度、静止時の前記自動車の各車輪にかかる荷重、前記モータによる加減速時に前記自動車の各車輪にかかる荷重、並びに、ブレーキによる制動時に前記自動車の前輪に働くアンチダイブ力及び前記自動車の後輪に働くアンチリフト力によって前記自動車の各車輪にかかる荷重の変化に基づく前記自動車の重心点まわりのモーメント、からノミナルピッチ角を算出するモデルを用いて状態オブザーバにより前記ノミナルピッチ角を含む状態変数を推定し、前記状態変数の推定値を用いた状態フィードバック制御ステップと、前記状態フィードバック制御ステップで算出されたスリップ率に基づいて、前記モータのモータトルクを算出する車輪速制御ステップと、前記モータトルクを用いて前記モータを制御するモータ制御ステップとを有することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、前記車輪速制御ステップが、車輪の慣性モーメントのみを考慮して極配置法により制御ゲインを決定し、加減速時の前記車輪の慣性モーメントに対して極が一定となるように前記制御ゲインが調整されていることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、前記ノミナルピッチ角算出ステップが、式(A)に基づいて前記ピッチ角の算出を行うことを特徴とする。
Figure 0004878062
(m:車体重量、h:接地面から車体の重心点までの高さ、l:重心点と前輪シャフト間の距離、l:重心点と後輪シャフト間の距離、I:車体のy軸まわりの慣性モーメント、C:ダンパ係数、K:バネ定数、β:ブレーキ力の前輪配分、φ:接地面とアンチダイブ力方向との間の角度、φ:接地面とアンチリフト力方向との間の角度)
本発明によれば、駆動輪のトルクを制御することによってピッチング運動を制御することが可能である。また、モータを動力とする自動車において、スリップ率を考慮したブレーキトルク推定法に基づくモータのトルク制御よる高精度なピッチング制御が可能になる。また、車輪角加速度を用いずに路面状況を考慮した高精度なピッチング制御が可能になる。
図1はサスペンションの1自由度モデルを示す図である。 図2は前後2輪のハーフカーモデルを示す図である。 図3は4輪車における定常運動中の各輪の荷重を示す図である。 図4はインホイール型駆動の場合のジオメトリを示す図である。 図5はドライブシャフト駆動の場合のジオメトリを示す図である。 図6はインホイール型駆動およびドライブシャフト駆動におけるピッチング効果を示す図である。 図7は制動時のアンチダイブ、アンチリフトのジオメトリを示す図である。 図8Aは実験によって得られた加速度を示す図である。 図8Bは実験によって得られたピッチレートを示す図である。 図9はピッチレートの実験データとモデル出力データの同定結果を示す図である。 図10は本発明の実施形態1に係るピッチング制御装置の2自由度制御のブロック線図である。 図11Aはシミュレーション1でのピッチ角を示す図である。 図11Bはシミュレーション1でのピッチレートを示す図である。 図11Cはシミュレーション1での車体速度を示す図である。 図11Dはシミュレーション1での制動距離を示す図である。 図12Aはシミュレーション2でのピッチ角を示す図である。 図12Bはシミュレーション2でのピッチレートを示す図である。 図12Cはシミュレーション2での車体速度を示す図である。 図12Dはシミュレーション2での制動距離を示す図である。 図13Aは実験1でのピッチ角を示す図である。 図13Bは実験1でのピッチレートを示す図である。 図13Cは実験1での車体加速度を示す図である。 図13Dは実験1での制御ありの場合のトルクを示す図である。 図14Aは実験2でのピッチレートを示す図である。 図14Bは実験2でのピッチ角を示す図である。 図14Cは実験2での車体加速度を示す図である。 図14Dは実験2での制御ありの場合のトルクを示す図である。 図15は実験1におけるP(s)、Pn(s)の出力ピッチレートを示す図である。 図16は実験2におけるP(s)、Pn(s)の出力ピッチレートを示す図である。 図17は実験結果のピッチレートと、その時の加速度を同定したモデルに入力した時の出力ピッチレートとを比較した結果を示す図である。 図18はトルクと車輪角加速度から前後加速度を推定する前後加速度推定器を表すブロック図である。 図19はスリップ率を考慮したブレーキトルク推定器を表すブロック図である。 図20は加速度センサを用いたブレーキトルク推定器を表すブロック図である。 図21は本発明の実施形態2に係るピッチング制御装置の2自由度制御系の制御システムを表すブロック図である。 図22Aは本発明の実施形態2に係るピッチング制御ありの場合と制御なしの場合のピッチ角を示す図である。 図22Bは本発明の実施形態2に係るピッチング制御ありの場合と制御なしの場合のピッチレートを示す図である。 図23Aはスリップ率を考慮した場合のブレーキトルク推定値を示す図である。 図23Bは加速度センサを用いた場合の推定値を示す図である。 図24Aは本発明の一実施形態に係るスリップ率を考慮した制御のある場合とない場合のピッチレートを示す図である。 図24Bは本発明の一実施形態に係る加速度センサを用いた制御のある場合とない場合のピッチレートを示す図である。 図24Cは図24Aの制御ありの場合の制御入力であるトルクを示す図である。 図25はスリップ率を考慮した場合のブレーキトルクの推定値を示す図である。 図26は実プラントP(s)とノミナルプラントPn(s)の出力ピッチレートを示す。 図27は加速度センサを用いたブレーキトルクの推定値と、スリップ率を考慮した場合のブレーキトルクの推定値とを示す図である。 図28はスリップ率の変化λdotを考慮したブレーキトルク推定を行うためのブロック図である。 図29はλdot≠0として推定を行った場合の実験結果と、λdot=0として推定を行った場合の実験結果とを示す図である。 図30Aは高μ路においてブレーキトルク750Nmを与えた場合のシミュレーション結果であって、λdotを考慮した場合ブレーキトルク推定値を示す図である。 図30Bは高μ路においてブレーキトルク750Nmを与えた場合のシミュレーション結果であって、図30Aの時の車輪速・車体速を示す図である。 図30Cは高μ路においてブレーキトルク750Nmを与えた場合のシミュレーション結果であって、図30Aの時のλdotを示す図である。 図30Dは高μ路においてブレーキトルク750Nmを与えた場合のシミュレーション結果であって、λdot=0とした場合のブレーキトルク推定値を示す図である。 図31Aは高μ路においてブレーキトルク500Nmを与えた場合のシミュレーション結果であって、λdotを考慮した場合ブレーキトルク推定値を示す図である。 図31Bは高μ路においてブレーキトルク500Nmを与えた場合のシミュレーション結果であって、図31Aの時の車輪速・車体速を示す図である。 図31Cは高μ路においてブレーキトルク500Nmを与えた場合のシミュレーション結果であって、図31Aの時のλdotを示す図である。 図31Dは高μ路においてブレーキトルク500Nmを与えた場合のシミュレーション結果であって、λdot=0とした場合のブレーキトルク推定値を示す図である。 図32Aは高μ路において立ち上がりおよび立ち下がりが緩やかなブレーキトルク750Nmを与えた場合のシミュレーション結果であって、λdotを考慮した場合ブレーキトルク推定値を示す図である。 図32Bは高μ路において立ち上がりおよび立ち下がりが緩やかなブレーキトルク750Nmを与えた場合のシミュレーション結果であって、図32Aの時の車輪速・車体速を示す図である。 図32Cは高μ路において立ち上がりおよび立ち下がりが緩やかなブレーキトルク750Nmを与えた場合のシミュレーション結果であって、図32Aの時のλdotを示す図である。 図32Dは高μ路において立ち上がりおよび立ち下がりが緩やかなブレーキトルク750Nmを与えた場合のシミュレーション結果であって、λdot=0とした場合のブレーキトルク推定値を示す図である。 図33は本発明の実施形態3に係るピッチング制御装置で用いる車両モデルのブロック図である。 図34は本発明の実施形態3に係るピッチング制御装置の制御システムを表すブロック図である。 図35は本発明の実施形態3に係るピッチング制御装置の車輪速制御を表すブロック図である。 図36Aは制御対象P(s)が同定したモデルP(s)と同等であるとしたときのシミュレーション結果であって、ピッチレートを示す図である。 図36Bは制御対象P(s)が同定したモデルP(s)と同等であるとしたときのシミュレーション結果であって、ピッチ角を示す図である。 図36Cは制御対象P(s)が同定したモデルP(s)と同等であるとしたときのシミュレーション結果であって、加速度を示す図である。 図36Dは制御対象P(s)が同定したモデルP(s)と同等であるとしたときのシミュレーション結果であって、スリップ率を示す図である。 図36Eは制御対象P(s)が同定したモデルP(s)と同等であるとしたときのシミュレーション結果であって、実トルクを示す図である。 図36Fは制御対象P(s)が同定したモデルP(s)と同等であるとしたときのシミュレーション結果であって、制動を開始してから停止するまでの距離を示す図である。 図37Aは制御対象P(s)の共振周波数を同定したモデルP(s)と5%のモデル化誤差を与えて制御を行った場合と制御なしの場合のシミュレーション結果であって、ピッチレートを示す図である。 図37Bは制御対象P(s)の共振周波数を同定したモデルP(s)と5%のモデル化誤差を与えて制御を行った場合と制御なしの場合のシミュレーション結果であって、ピッチ角を示す図である。 図38Aは本発明の実施形態3に係るピッチング制御装置の実験結果であって、(a)は制御あり、制御なしの場合の測定したピッチレートを示す図である。 図38Bは本発明の実施形態3に係るピッチング制御装置の実験結果であって、制御あり、制御なしの場合の推定したピッチ角を示す図である。 図38Cは本発明の実施形態3に係るピッチング制御装置の実験結果であって、制御あり、制御なしの場合の加速度を示す図である。 図38Dは本発明の実施形態3に係るピッチング制御装置の実験結果であって、指令値と制御あり、制御なしの場合のスリップ率を示す図である。 図38Eは本発明の実施形態3に係るピッチング制御装置の実験結果であって、車輪速度と車体速度を示す図である。 図38Fは本発明の実施形態3に係るピッチング制御装置の実験結果であって、制御あり、制御なしの場合のブレーキングを開始してから停止するまでの距離を示す図である。
以下に説明する本発明の実施形態は、モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車の電子制御ユニット(以下「ECU」と称す)に実装されるものとして記載している。電源から出力された電流はインバータを介してモータに供給されが、モータは、制御手段としてのECUにインバータを介して電気的に接続されている。すなわち、モータの出力は、ECUからの指令に基づいて出力電流を制御するインバータによって制御される。ECUは、CPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含む装置であり、モータの発生トルクを測定するトルク測定器、モータに装備された位置センサ、車体に生じる加速度を測定する加速度センサ等を電気的にそれぞれ接続することができる。
[実施形態1]
1. 実施形態1の概要
図10に、本発明の実施形態1に係るピッチング制御装置の制御システムのブロック図を示す。後述するように、ノミナルプラントP(s)は、静止時の各車輪にかかる荷重、前記モータのトルクによる加減速時の各車輪にかかる荷重の変化に加えて、アンチダイブ力・アンチリフト力を考慮した各車輪の荷重の変化に基づいて自動車の重心点まわりのモーメントMからノミナルピッチ角θ を算出するノミナルピッチ角算出手段として機能するようにモデル化されている。
ノミナルプラントP(s)にブレーキ力による加速度axbを入力すると、ピッチ角指令値θとノミナルプラントP(s)から出力されたノミナルピッチ角θとに基づいてフィードフォワードコントローラCFFが理想的に制御するモータ加速度axmを出力する。ブレーキ力による加速度axbは、加速度センサによって測定された車体の加速度aからモータへの電流値に基づき算出したモータによる加速度axmを引いたものである。
実プラントP(s)に、フィードフォワードコントローラCFFから出力されたモータによる加速度axmとブレーキ力による加速度axbとを入力すると、実プラントP(s)からピッチ角θが出力される。ピッチ角θを微分した実ピッチレート
Figure 0004878062
(θdot)と、ノミナルピッチ角θを微分したノミナルピッチレートθdotとの差分(e)に基づいてフィードバックコントローラCFBがモータ加速度axmの補償を行う。
このようにフィードバック制御を行っているため、モデル化誤差による影響を受けにくい。
以下、ピッチング運動モデルについて詳細に説明する。ピッチング運動は進行方向に対して垂直で、路面に対しても垂直な軸(路面に平行な平面においてx軸を進行方向とした場合のy軸)まわりの回転運動であるので、加速度を考慮した前後二輪の伝達関数を求めプラントモデルを作成する。その際にインホイール駆動と非インホイール駆動のピッチング効果の違いについて述べ、ブレーキ力によるアンチダイブ、アンチリフト効果についても説明する。本発明では、作成したピッチング運動モデルに対して実験データに基づいた同定を行い、その同定モデルをもとにピッチングの制御を行っているので、同定方法と実験結果についても以下で述べる。
2. ピッチング運動のモデル化と伝達関数の導出
〈2・1〉ハーフカーモデル
ピッチングは車体の姿勢変化であり、車体(ばね上)のみを考慮したモデルで近似することができる。また、前後方向の運動であるため、前後二輪のモデル(ハーフカーモデル)で考えることができる。よって図2のようなハーフカーモデルで表すことができる(非特許文献4参照)。
図1のような1自由度モデルの伝達関数は
Figure 0004878062
と表すことができる。1自由度モデルでは上下運動を考えるが、ハーフカーモデルは回転系を考えるため車体重量mは車体慣性モーメントIで置き換えることができ、また、バネ定数k、ダンパ係数cをそれぞれハーフカーモデルにおいてC、Kとすると、ハーフカーモデルは1自由度モデルと等価に考えることができる。よってハーフカーモデルの
伝達関数は次式のように表すことができる(非特許文献4参照)。
Figure 0004878062
ただし、I[kgm2]は車体のy軸まわりの慣性モーメント、C[Ns/m]はダンパ係数、K[N/m]はバネ定数、θ[rad]はピッチ角、P、P[N]は加速時の前後輪にかかる荷重である。
〈2・2〉前後加速度による荷重変化
ピッチ運動は車両が加速・減速したときに生じる。このため加速度を考慮するために前後加速度による荷重の変化について考える。前後加速度aとしたときの定常運動中の各輪の荷重は次式のようになる(非特許文献5参照)。
Figure 0004878062
ただし、Pfr、Pfl、Prr、Prl[N]はそれぞれ各輪の荷重、N、N[N]はそれぞれ静止時の前後輪の荷重、m[kg]は車体重量、h[m]は重心点高さ、l、l[m]はそれぞれ重心点から前後輪シャフト間距離である。
ハーフカーモデルで考えるため、前後輪における荷重を考える。このとき次式のようになる。
Figure 0004878062
、Pはそれぞれ前輪・後輪二輪にかかる荷重である。ここで、図2の重心点まわりの力のモーメントM[Nm]は、
Figure 0004878062
と表されるので、(7)、(8)式を(9)に代入したものを(2)式に代入すると、次のように表される。
Figure 0004878062
上式の右辺第一項は静止時のモーメントであるので0となる。これより次式のように書き表すことができる。
Figure 0004878062
以上より、加速度a[m/s2]からピッチ角θまでの伝達関数を表すことができた。
3. 発進時のピッチング抑制効果
〈3・1〉インホイール型駆動の場合について図4に示す。インホイール型駆動の場合、モータはサスペンション下にあるため、アッパーアームとロアアームを介してサスペンション上から力を受ける機構となっている。この力に対して、モータの回転力が釣り合いの力として働らき、ちょうど釣り合いがとれるのは車輪の接地面であると考えられる。これより、駆動力の作用点は車輪の接地面にあると考えられる(非特許文献6参照)。この時、接地面にはFという力が働き、Fpx、Fpyに分解することができる。水平方向の力の釣り合いを考えると、Fpx=Fとすることができる。Fは駆動力である。また、鉛直方向の力の釣り合いを考えた時に、Frを後輪の垂直荷重(加速時の荷重+静止時の荷重)であると考えると、
Figure 0004878062
という式が成り立ち、Ftanφがピッチングを抑制する力となり、Fsが実際に働く力となる。
〈3・2〉非インホイール型駆動
対して、図5に示すように、非インホイール型駆動(ドライブシャフト駆動)の場合、モータはサスペンション上に設置されているためサスペンション下ではモータの回転力を支える必要はない。つまりサスペンション下では偶力は発生しないので力の作用点は車輪の中心に集中する(非特許文献6参照)。これによりインホイール駆動の場合と同様に次のような式で表せる。
Figure 0004878062
これより、非インホイールモータの場合もピッチングを抑制する力Ftanφ1は働くが、φ>φであるのでtanφ>tanφとなり、インホイールモータ駆動の方が非インホイール駆動よりもピッチング抑制効果が大きいことがわかる。
〈3・3〉シミュレーションによるピッチング効果の比較
参考に、インホイール型駆動とドライブシャフト駆動それぞれの場合のオープンループにおける発進時のシミュレーションを行う。
後の5章において述べるが、同定試験により求めたピッチングモデルに基づいてシミュレーションを行った。その際に加速度をt=1.0sでa=1.0m/s2となるステップ入力とし、インホイール駆動とドライブシャフト駆動それぞれの場合のφの値をそれぞれφ=30、20degとした時のピッチ角を図6に示す。この図より、インホイール型駆動の場合の方がピッチングが小さいことがわかる。
4. 制動時のアンチダイブ・アンチリフトジオメトリ
発進時は3章で議論したインホイールモータにおけるピッチング効果を考慮することができるが、制動時はブレーキによる力が働き、モータによる力は働かないので、以下のようなブレーキ力によるアンチダイブ・アンチリフトジオメトリを考える(非特許文献7参照)。
制動時には前後輪にブレーキ力が働く。ブレーキ力の前輪配分をβとすると、前後輪に働く全ブレーキ力がFである時、前輪ブレーキ力はβF、後輪ブレーキ力は(1−β)Fとなる。ブレーキトルクはブレーキユニットを通ってサスペンションに伝わるので、図7のように力の仮想作用点は接地面にあると考えられ、前輪にはアンチダイブ力βFtanφ、後輪にはアンチリフト力(1−β)Ftanφが働く。
これを考慮して再度モデル化を行う。前後輪の荷重はそれぞれ
Figure 0004878062
となり、力のモーメントは、走行抵抗を無視した時にF=−maであるので、
Figure 0004878062
となり、伝達関数は、
Figure 0004878062
となる。右辺分子の第一項は慣性力、第二項は接地面に働くブレーキ力によって現れる項である。今回はこのモデルに基づいて制動時のピッチングの制御を行うのであるが、未知のパラメータが多いため上式のモデルについて実験データに基づいた同定を行う。
5. パラメータ同定と実験結果
前節までに求めたモデルのパラメータが未知であるため、同定する必要がある。そこで同定実験を行った。
〈5・1〉実機仕様
実験機は市販の小型電気自動車EV−1(CQMOTORS 製Qi(QUNO))を改造し使用している。
Myway技研と協力して製作したインバータシステムを用いて、モータを制御している。また、モータのホールセンサの分解能が低いため、位置角は線形補間する事によりベクトル制御を行っている。サンプリング周期は10kHzとする。
〈5・2〉パラメータ同定
実験条件としては、加速度aをステップ状に与えるものとし、その際にブレーキペダルの裏に固定するものを置くことにより、ブレーキ力を一定となるようにした。
また、ピッチレートθdotについては、本研究室にはピッチ角センサがないため、ヨーセンサをy軸に取り付けて実験を行った。その時の実験結果(加速度、ピッチレート)を図8Aおよび図8Bに示す。この実験結果から、入力を加速度a、出力をピッチレートθdotとして同定を行った。
同定方法として、本稿では時間領域において図8Aおよび図8Bの入力に対する出力がフィッティングするように伝達関数のパラメータを求めた。その伝達関数を次に示す。
Figure 0004878062
この時、固有角周波数ω=16.7rad/s、減衰定数ζ=0.23であった。
また、この同定したモデルにおける検証結果を図9に示す。この図より、実験データと同定したモデル出力データはかなり近い波形となっていることがわかる。
式(18)は加速度入力ピッチレート出力の伝達関数であり、ピッチレートはピッチ角を微分したものであるので、加速度入力ピッチ角出力の伝達関数は次式のように表される。
Figure 0004878062
実施形態1ではこのモデルに用いたピッチングの制御を行う。
6. シミュレーション結果
xbをブレーキ力による駆動力、Fxmをモータによる駆動力とすると、駆動力次元においては次のような式で表すことができると仮定する。
Figure 0004878062
式(20)の両辺をmで割ることにより、F=maの式から、
Figure 0004878062
で表すことができる。axbはブレーキ力による加速度、axmはモータによる加速度である。この式に基づいて、図10のブロック図のような2自由度制御系による制御システムを提案する。この制御システムは、5章で同定した式(19)の伝達関数を持つノミナルプラントP(s)に入力としてブレーキ力による加速度を与えた時に、ピッチ角を十分高いゲインを持つCFFによって理想的に制御するaxmを求める。これを実プラントP(s)にモータトルクとして適用する。実プラントがノミナルプラントと同一の時は、このモータトルクにより、ピッチングを理想的に抑圧することが可能となる。モデル化誤差がある場合は、実プラントからの出力である実ピッチレートと、ノミナルプラントの出力であるノミナルピッチ角をハイパスフィルタにより擬似微分することにより求めたノミナルピッチレートの差分を、フィードバックコントローラCFBにより補償したモータトルクを実プラントに適用する。これにより、モデル化誤差がある場合も高い制御性を持つことができる。この制御システムにより、ピッチング制御のシミュレーションを行う。この時、各定数はr=0.22m、m=420kg、ノミナルプラントのパラメータは5章で同定した値を用いた。
シミュレーションの条件として、一定速度で走行している車両に、t=1.0s以降に急制動を与え、止まるまでのピッチ角、ピッチレート、車体速度、車体位置を見るものとする。またモデル化誤差を持たせるために、P(s)とP(s)のバネ、ダンパ係数はそれぞれC=1250Ns/m、K=45500N/m、C=500Ns/m、K=45000N/mとした。CFFはPD制御器、CFBはPI制御器として極配置法により設計した。
〈6・1〉シミュレーション1
まず、オープンループの制御なしの場合と制御ありの場合の比較をシミュレーションで行った結果を図11A〜図11Dに示す。この時、CFFとCFBの閉ループ極の値をそれぞれ17rad/sec、10rad/secとした。図11A、図11Bより、ピッチ角とピッチレートはそれぞれよく抑えられていることがわかる。しかし、図11Dから、車体が停止するまでの距離がかなり伸びてしまっていることがわかる。
〈6・2〉シミュレーション2
シミュレーション1の問題を解消するために、車体速度Vが1.0m/sより小さくなった時に制御をかけるシミュレーションを行った。その結果が図12A〜図12Dである。この時、CFFとCFBの閉ループ極の値をそれぞれ23rad/sec、10rad/secとした。図12Dを見ると、停止するまでの距離が制御なしの場合と比べてほぼ変わらないことがわかる。ただし、車体速度Vが1m/sより小さくなった時に制御をかけ始めるので、ピッチレートは2.04s以降のみ抑えられる。
7. 実機検証
6章のシミュレーション結果について、実機検証を行った。実験における条件としては、5章における同定実験と同様に、乾燥路において一定速度から急制動をかける。その際にブレーキ力が一定となるようにした。ノミナルプラントへの入力となるブレーキ力による加速度axbは、式(21)より、加速度センサからの出力aから実プラントへの入力となるモータによる加速度axmを差し引いたものとする。CFFとCFBの閉ループ極の値はシミュレーションの場合と同じ値を用いた。その時の制御ありの場合と制御なしの場合を比較検討する。測定データは、加速度a
Figure 0004878062
、車輪速度Vω、トルクTである。
〈7・1〉実験1
まず、6章のシミュレーション1についての実験を行った。この時の実験結果を図13A〜図13Dに示す。図13A、図13B、および図13Cは、それぞれ制御ありの場合となしの場合の角速度センサからの
Figure 0004878062
と、そのピッチレートをハイパスフィルタにより擬似微分することにより求めたピッチ角θ、またその時の加速度aを比較した結果、図13Dは制御ありの場合の実トルクTである。
図13Aの実験結果において、制御なしの場合に比べ、制御ありの場合はピッチレートが抑えられていることがわかる。また、図13Bにおいて、ピッチ角も制御なしに比べて制御ありは抑えられていることがわかる。
そして、図13Cからは制御なしに比べて制御ありは加速度が抑えられていて、停止するまでの距離が伸びてしまっていることがわかる。
図15は、P(s)とP(s)それぞれからの出力ピッチレートを比較したものであるが、P(s)の出力はP(s)の出力に完全には追従していない。
〈7・2〉実験2
次にシミュレーション2における実機検証を行った。乾燥路で実験を行ったため、スリップは微小であると仮定して、車輪速度が約3km/hとなった時に制御を開始した。この時の実験結果を図14A〜図14Dに示す。実験1の場合と同様に、ピッチレート、ピッチ角、加速度、実トルクをそれぞれ示す。
この場合もまた、図14Aおよび図14Bから、シミュレーション結果のようにピッチレート、ピッチ角共に抑えられていることがわかる。
また図14Cから、停止する直前から制御がかかるので、加速度は停止する直前のみ小さくなる。これより、停止するまでの距離は実験1の場合に比べてあまり伸びないことがわかる。
図16は、図15と同様にP(s)、P(s)それぞれの出力ピッチレートを比較したものであるが、近い波形にはなっているものの少しの誤差は生じている。これも図15における原因と同様なことが考えられる。
[実施形態2]
実施形態1では、ブレーキ力による加速度axbを、加速度センサによって測定された車体の加速度a、モータに出力する電流値に基づき算出したモータによる加速度axmから導出している。ところが、モータによる加速度axmは、より厳密には路面状態の影響も受けるので、路面状態を考慮した加速度の導出を行うことが望ましい。そこで、実施形態2では、車体の加速度aを車両の運動方程式から導出する。
図21に、本発明の実施形態2に係るピッチング制御装置のブレーキトルク推定を用いた制御システムのブロック図を示す。ノミナルプラントP(s)は、実施形態1と同様に、アンチダイブ力・アンチリフト力を考慮した各車輪の荷重の変化に基づいて自動車の重心点まわりのモーメントMからピッチ角θ を算出するようにモデル化されている。図21中のAxは図18の前後加速度推定器となる。またAxには、図19に示すスリップ率を考慮した推定器または図20に示す加速度センサによる車体の加速度aを用いた推定器からブレーキトルクTbの推定値が入力される。ωdotは、車輪速度ωを時間で微分した値である。
この制御システムは、ブレーキトルク推定器で算出したブレーキトルクTからノミナル加速度axnを導出し、ノミナルプラントPn(s)にノミナル加速度axnが与えられた時に、フィードフォワードコントローラC1によって理想的に制御したノミナルモータトルクTmnを求める。これを実プラントP(s)にモータトルクとして適用することにより、実プラントがノミナルプラントと同一の時は、このモータトルクTmnによりピッチングを抑圧することが可能となる。
ノミナルプラントPn(s)にモデル化誤差がある場合は、実プラントからの出力である実ピッチレートθdotと、ノミナルプラントPn(s)の出力であるノミナルピッチ角θ の微分値であるノミナルピッチレートθ dotの差分を、フィードバックコントローラC2により補償したモータトルクTmをノミナルモータトルクTmnと合わせて実プラントに適用する。これにより、モデル化誤差がある場合も高い制御性を持つことが可能になる。
実施形態2は、実施形態1に対し、スリップ率を考慮して推定したブレーキトルクを用いてピッチング制御を行うことにより、さらに高精度なピッチング制御を行うことができる。
第1〜4章の内容を踏まえ、以下で実施形態2について詳細に説明する。
9. パラメータ同定
実施形態2も実施形態1と同様に、力のモーメント、加速度入力ピッチレート出力の伝達関数がそれぞれ式(16)、(17)で与えられるモデルに基づいて制御を行う。実施形態2では実施形態1とは違う実験車両を用いているので、未知のパラメータは下記の実験に基づいて実施形態1の場合と同様に同定した。
〈9・1〉実機仕様
実験機は市販の小型電気自動車EV−3(COMS LONG BASIC)を改造し使用している。インバータ・モータの使用は実施形態1で用いた実験車両EV−1と同じである。
〈9・2〉パラメータ同定
実験は、実施形態1の場合と同じ条件で行った。図17に、実験結果のピッチレートと、その時の加速度を同定したモデルに入力した時の出力ピッチレートを比較した結果を示す。同定方法として、実施形態2では時間領域において加速度の入力に対する出力がフィッティングするように伝達関数のパラメータを求めた。その伝達関数を次に示す。
Figure 0004878062
この時、固有角周波数ωn=14.3rad/s、減衰定数ζ=0.22であった。図17より、実験結果はピッチレートの値が小さいためノイズがのってしまっているが、近い波形となっていることがわかる。
式(22)は加速度入力ピッチレート出力の伝達関数であり、ピッチレートはピッチ角を微分したものであるので、加速度入力ピッチ角出力の伝達関数は式(22)を積分したものとなる。
10. ノミナル加速度の算出法
〈10・1〉ノミナル加速度
上述の実施形態1では、プラントの入力となる加速度を(21)式のように、モータによる加速度とブレーキ力による加速度の和として求めていた。
しかし実際には、axmはモータによる加速度と路面状態により決定される。そこで、本発明では路面状態を考慮した加速度の算出法を提案する。
まず、以下に車両の運動方程式を示す。
Figure 0004878062
Figure 0004878062
Figure 0004878062
各変数は、モータの回転速度ω[rad/s]、車体速度V[m/s]、車輪速度Vω[m/s]、モータトルクT[Nm]、ブレーキトルクTb[Nm]、 駆動力Fd[N]である。各定数は、車体重量m[kg]、タイヤ半径r[m]、車輪回転部慣性モーメントJω[Nms2]とする。
式(23)からaxを求めると次のような式になる。
Figure 0004878062
図18に、モータトルクとブレーキトルクと車輪角加速度から前後加速度を推定する前後加速度推定器を表すブロック図を示す。これにより、路面状態を考慮した加速度を求めることができる。しかし、(26)式において、モータトルクTは測定可能であり、車輪角加速度ωdotブレーキトルクTbは測定できないため、別途推定する必要がある。
〈10・2〉ブレーキトルク推定
実施形態2ではブレーキトルク推定法として次の2つの手法を提案する。
〈10・2・1〉スリップ率を考慮した推定
スリップ率を考慮したブレーキトルクの推定法を提案する。
スリップ率は次のように表される。
Figure 0004878062
このスリップ率の式(27)と、(23)〜(25)式からFd、Vを消去してブレーキトルクTbを求めると、下記のように、V>Vωの時は(28)式、Vω>Vの時は(29)式のように表される。
Figure 0004878062
Figure 0004878062
スリップ率変動が微小であると仮定し、λdot=0と近似すれば、式(28)、(29)はまとめると、下記のように式(30)、(31)のように書ける。
Figure 0004878062
Figure 0004878062
図19に、スリップ率を考慮したブレーキトルク推定器を表すブロック図を示す。図19において、V>Vωの時J(λ)=Jbrake(λ)、Vω>Vの時J(λ)=Jacc(λ)となる。式(30)、(31)より、スリップ率が測定できるものとすれば、測定されたモータトルクT、車輪角速度ωの値を入力することで図19のようにブレーキトルクTが推定できる。
〈10・2・2〉加速度センサを用いた推定
加速度センサを用いたブレーキトルクTの推定法について示す。式(23)と式(24)から次のようにブレーキトルクを求めることができる。
Figure 0004878062
図20に、加速度センサを用いたブレーキトルク推定器を表すブロック図を示す。ピッチング時の加速度センサの重力の影響を補正することができれば、測定されたモータトルクT、車輪角加速度ωdot、車体の加速度aの値を入力することで図20のようにブレーキトルクTを推定できる。
11. 2自由度制御
図21に、本発明の一実施形態に係るピッチング制御装置の2自由度制御系の制御システムを表すブロック図を示す。この図中のAxは図18の前後加速度推定器となる。またAxには、図19または図20の推定器からブレーキトルクTb、モータトルクTm、車輪角加速度ωdotが入力されている。この制御システムは、2章で同定した伝達関数を持つノミナルプラントPn(s)にブレーキトルクの推定値を用いたノミナル加速度axnが与えられた時に、ピッチ角を十分高いゲインを持つC1によって理想的に制御しノミナルモータトルクTmnを求める。これを実プラントP(s)にモータトルクとして適用する。実プラントがノミナルプラントと同一の時は、このノミナルモータトルクT mn により、ピッチングを抑圧することが可能となる。
モデル化誤差がある場合は、実プラントからの出力である実ピッチレートと、ノミナルプラントの出力であるノミナルピッチ角の微分値であるノミナルピッチレートの差分を、フィードバックコントローラC2により補償したモータトルクTmを実プラントに適用する。これにより、モデル化誤差がある場合も高い制御性を持つことが可能になる。
12. シミュレーション
前章までに示したブレーキトルク推定法・ピッチング制御法を用いて、コンピュータシミュレーションを行った。シミュレーションで用いたパラメータは、車体重量m=480kg、車輪半径r=0.22m、車輪回転部慣性モーメントJω=1.0[Nms2]、ノミナルプラントPn(s)は同定したモデル、実プラントP(s)はモデル化誤差を持たせるためにバネ、ダンパ係数をそれぞれC=2450Ns/m、K=66000N/mとした。また、制御器に関しては、C1はPD制御器、C2はPI制御器として極配置法により設計し、それぞれの閉ループ極の値を21rad/s、10rad/sとした。
シミュレーション条件としては、高μ路において一定速度8.0m/sで走行中に、ブレーキトルク750Nmを与えることにより減速し、車両が停止するまでを見るものとする。また、常に制御をかける場合であると制動距離が伸びてしまうという問題があったため、速度が小さくなった時から制御を開始するものとし、今回は車体速度が1.0m/s以下となった時から制御をかけ始めるものとする。
図22Aおよび図22Bに、本発明の一実施形態に係るピッチング制御ありの場合と制御なしの場合のピッチ角とピッチレートを示す。また図23Aおよび図23Bに、スリップ率を考慮した場合のブレーキトルク推定値と、加速度センサを用いた場合の推定値を示す。
図22Aおよび図22Bは、制御なしに比べ実施形態2に係る制御ありの方が、ピッチ角、ピッチレート共によく抑えられていることを示している。また、図23Aは、その時のスリップ率を考慮したブレーキトルクの推定値であるが、精度よく推定できていることを示している。停止する直前に若干波形が乱れているが、これは停止する直前に車輪速と車体速が逆転をしてしまう現象が起こり、チャタリングを起こしてしたことによると考えられる。しかし、図22Aおよび図22Bが示すように、実施形態2は十分な精度でピッチングを制御することができる。また、図23Bは、加速度センサを用いた推定法のブレーキトルク推定値であるが、この場合はさらによく推定できていることを示しており、図22Bがピッチング制御の精度も高まっていることを示している。
13. 実機検証
次に、実際に実機を用いて実験を行った。実験で用いたパラメータは、車体重量m=480kg、車輪半径r=0.22m、ノミナルプラントのパラメータは同定した値を用いた。また、制御器に関しては、C1はPD制御器、C2はPI制御器として極配置法により設計した。今回の実験ではそれぞれの閉ループ極の値をシミュレーションと同様に21rad/s、10rad/sとした。
上述したように、常に制御をかけると制動距離が伸びてしまうという問題があるため、速度が小さくなった時から制御を開始するものとする。今回は約28km/hの一定速度で走行中にブレーキにより減速し、車体速が4.5km/h以下となった時から制御をかけ始めるものとする。
また本実施例では、スリップ率は簡単化のために前輪から車体速、後輪から車輪速を検出することにより求めたが、スリップ率の推定(非特許文献8参照)を行うことにより求めたものを用いてもよい。
以下、スリップ率を考慮したブレーキトルクの推定法、加速度センサを用いたブレーキトルクの推定法を用いたピッチング制御の実験結果を示す。図24Aに、本発明の一実施形態に係るスリップ率を考慮した推定を用いた制御のある場合とない場合のピッチレートを示し、図24Bに、本発明の一実施形態に係る加速度センサを用いた推定を用いた制御のある場合とない場合のピッチレートを示す。また、停止する直前(2〜2.5秒付近)のピッチレートのピーク・トゥ・ピークの値を表1に示す。
Figure 0004878062
図24A、図24B、および表1より、制御をかけた場合は制御なしの場合に比べてピッチレートはよく抑えられていることがわかる。
実験では、ブレーキペダルの裏にストッパーとなるものを置いて、全実験においてブレーキ力が一定となるようにしているが、人の足でブレーキペダルを踏み込んでいるため、毎回全く同じブレーキ力となるわけではないので、ピーク・トゥ・ピークの値は常に同じではないが、参考値としては表1のようになる。車両の最大トルクをあげれば、さらにピッチレートは抑制することができる。
次に、図25に、スリップ率を考慮した場合のブレーキトルクの推定値を示す。また、図26に、実プラントP(s)とノミナルプラントPn(s)の出力ピッチレートを示す。実プラントP(s)とノミナルプラントPn(s)の出力ピッチレートの波形が、制御をかけていない時点において一致している。これは、ブレーキトルクの推定値は妥当な値であることを示している。
図27に、加速度センサを用いたブレーキトルクの推定値と、スリップ率を考慮した場合のブレーキトルクの推定値とを示す。加速度センサを用いたブレーキトルクの推定値は、スリップ率を考慮したブレーキトルクの推定値に対しての多少ずれがあるが、加速度センサを用いることによってシンプルなブレーキトルクの推定が可能となる。
14. スリップ率の時間変化λdotを考慮した場合
前章までは、スリップ率を考慮したブレーキトルクの推定法では、スリップ率の時間変化λdotは十分小さいものとし、λdot=0として推定を行っていたが、スリップ率の変化λdotの項を考慮した推定を考える。図28に、スリップ率の変化λdotを考慮したブレーキトルク推定を行うためのブロック図を示す。図28において、V>Vωの時J(λ)=Jbrake(λ)、
Figure 0004878062
ω>Vの時J(λ)=Jacc(λ)、
Figure 0004878062
となる。
図29に、スリップ率が時間的に変化するλdot≠0として推定を行った場合の実験結果と、スリップ率が一定であるλdot=0として推定を行った場合の実験結果とを示す。実験環境は前章と同じである。しかし、図29からはあまり違いがわからないので、シミュレーションによる検証を行った。シミュレーション条件は12章と同じである。図30A〜図30D、図31A〜図31Dに高μ路においてブレーキトルク750Nm、500Nmを与えた場合のシミュレーション結果をそれぞれ示す。図30A、図31Aがλdotを考慮した場合ブレーキトルク推定値を示し、図30B、図31Bが図30A、図31Aの時の車輪速・車体速を示し、図30C、図31Cが図30A、図31Aの時のλdotを示し、図30D、図31Dがλdot=0でスリップ率一定とした場合のブレーキトルク推定値を示している。
図30A〜図30Dから、スリップ率の時間変化λdotを考慮して推定を行った場合、スリップ率一定でλdot=0と近似して推定を行った場合に比べて、ブレーキトルクの推定値が暴れていることがわかる。これは図30Bのスリップ率の時間変化λdotの影響であると考えられる。また、図31A〜図31Dは、入力のブレーキトルクを500Nmに下げた場合はさらにスリップ率の時間変化λdotの影響により、推定値の波形は乱れてしまっていることを示している。
次に、図32A〜図32Dに、高μ路において立ち上がりおよび立ち下がりが緩やかなブレーキトルク750Nmを与えた場合のシミュレーション結果を示す。図30A〜図30D、図31A〜図31Dと同様に、図32Aがλdotを考慮した場合ブレーキトルク推定値、図32Bが図32Aの時の車輪速・車体速、図32Cが図32Aの時のスリップ率の時間変化λdot、図32Dがスリップ率一定でλdot=0とした場合のブレーキトルク推定値を表している。ブレーキトルクは、人のブレーキペダルの踏み込み量に関係し、厳密にステップ状に与えられることはないと考えられるので、ステップ状のブレーキトルクにローパスフィルタを通したものを入力として与えてシミュレーションを行った。ローパスフィルタのカットオフは20rad/sとした。
図32Cのスリップ率の時間変化λdotはローパスフィルタを通さない場合に比べて小さくなっているので、これにより図32Aのブレーキトルクの推定値も若干よくはなっている。t=2.25secあたりで推定値が入力値よりも早く0となっているのは、その時点で車両がすでに停止しているからである。
[実施形態3]
図34に、本発明の実施形態3に係るピッチング制御装置の全体の制御システムを表すブロック図を示す。実施形態3では、スリップ率制御系とピッチング制御系を分けることにより車輪の運動とピッチングの運動を別々に制御する。こうすることで、実施形態2で用いている大きなノイズが乗り易い車輪角速度ω、車輪角加速度ωdotを、ピッチング制御に用いずにすむようになる。
ピッチング制御系は、実施形態1、2と同様に、アンチダイブ力・アンチリフト力を考慮した各車輪の荷重の変化に基づく自動車の重心点まわりのモーメントMからピッチ角θを算出するモデルを用い、状態オブザーバによりピッチ角を含む状態変数を推定し、その状態変数の推定値を用いた状態フィードバック制御を行う。オブザーバベクトルK、フィードバックベクトルfは極配置法を用いて設計されている。
また、スリップ率制御系は、車輪速制御に基づくスリップ率制御が用いられており、ピッチング制御系で生成された車体加速度aから導出したスリップ率λと、車体速度Vから導出した車輪速度ωに基づき理想的なモータトルクTを生成する。図35に、本発明の実施形態3に係るピッチング制御装置の車輪速制御系のブロック図を示す。PI制御器は、車輪の慣性モーメントを極配置法により制御ゲインを決められているが、スリップ率の変化に応じて極を一定に保つように制御ゲインをオンラインチューニングするようにされている。
実施形態3についても実施形態2と同様に、第1〜4章の内容を踏まえ、第9章において同定されたモデルを用いて行ったシミュレーションと実験の結果と共に、以下で実施形態3について詳細に説明する。
15. 車両モデル
前後輪それぞれの車輪の回転軸周りの運動方程式は次のようになる。
Figure 0004878062
Figure 0004878062
機械ブレーキは一般的に四輪に働く。本実施例では簡単化のために四輪各輪のブレーキトルクTは等しいものとする。
また、車体の運動方程式は次のようになる。
Figure 0004878062
ただし、F=2F+2Fとなる。また、走行抵抗は無視するものとする。また、スリップ率は式(27)で表される。
図33に、これらの式をまとめた車両モデル、すなわち、本発明の実施形態3に係るピッチング制御装置で用いる車両モデルのブロック図を示す。各変数は、モータの回転角速度ω、ω[rad/s]、車体速度V[m/s]、車輪速度Vωr、Vωf[m/s]、駆動輪のモータトルクT[Nm]、四輪各輪のブレーキトルクT[Nm]、車両の駆動力F[N]、前輪後輪それぞれの駆動力F、F[N]である。各定数は、車体重量m[kg]、タイヤ半径r[m]、前後輪それぞれの車輪回転部慣性モーメントJωr、Jωf[Nms2]とする。
実施形態3では、タイヤと路面間の摩擦係数とスリップ率の関係を表すμ−λ曲線として、Magic Formulaを採用した。
16. 制御系設計
実施形態2では、ブレーキトルクとノミナル加速度を求める際に車輪角加速度ωdotを用いた。しかし、モータのホールセンサの低分解能の影響により、モータの回転角速度を微分して求められる車輪角加速度は大きくノイズがのってしまう。そこで実施形態3では、ピッチング制御系のインナーループに車輪速制御に基づいたスリップ率制御系(非特許文献8参照)を組み込むことにより、ピッチング運動と車輪の運動をそれぞれ別々に制御する。これにより、ωdotを用いずに路面状態を考慮した精度の高い制御ができる。
また、実施形態1、2ではフィードフォワードベースのピッチング制御系を提案してきたが、実施形態3ではピッチング制御系としてオブザーバを用いた状態フィードバック制御を用いる。これにより、モデル化誤差などの影響に対してもさらに強くなる。
図34に、本発明の実施形態3に係るピッチング制御装置の全体の制御システムを表すブロック図を示す。ピッチング制御系から得られる制御入力は加速度指令であるので、スリッブ率制御系の指令値となるスリップ率の次元に変換する必要がある。以下にスリップ率と駆動力の関係を表す式を示す。
Figure 0004878062
はドライビングスティフネスを示し、λは前輪と後輪のスリップ率λ、λ、Fは駆動力F、Fである。この式(36)と式(35)から次のように後輪スリップ率の指令値を求めることができる。以下に実施形態3で用いたピッチング制御系とスリップ率制御系に関して説明する。
Figure 0004878062
式(37)から、スリップ率制御系の指令値となる後輪スリップ率を求めることができる。
〈16・1〉状態フィードバックによるピッチング制御
制御対象は式(17)から、次のように表される。
Figure 0004878062
Figure 0004878062
Figure 0004878062
上記のシステムは可観測であるので、
Figure 0004878062
の固有値を任意の値に決める行列Kが存在するといえる。そこで、同一次元オブザーバの設計を行った。極配置により求めたオブザーバゲインベクトルは次のようになる。ただし、r、rはオブザーバの極である。
Figure 0004878062
上記で示したオブザーバで推定した状態変数を用いて、状態フィードバック制御を行う。オブザーバと同様に極配置によりフィードバック行列を求める。求めたフィードバック行列は次のようになる。ただし、w、wはレギュレータの極である。
Figure 0004878062
〈16・2〉車輪速制御に基づいたスリップ率制御
ピッチング制御系から得られた目標スリップ率λと、車体速度より目標車輪速度を計算することができる。車体速度は、本論文ではセンサから検出できるものと仮定するが、スリップ率を推定することにより車体速度を求めてもよい(非特許文献8、10参照)。このとき、車輪速度が車体速度よりも大きくなることも考えられるので、車体速度の方が大きい場合(式(42))と車輪速度の方が大きい場合(式(43))で分ける。
Figure 0004878062
Figure 0004878062
これより、一般的に使用されているモータの電流制御ループの外側に速度ループを含めた回転速度制御を用いることで、スリップ率制御を実現する。
図35に、本発明の実施形態3に係るピッチング制御装置の車輪速制御を表すブロック図を示す。一般的に速度制御器はPI制御器を用いて、車輪の慣性モーメントのみを考慮した以下の式に基づいて極配置法により制御ゲインを決定する。
Figure 0004878062
しかし、車体全体の慣性モーメントはスリップ率の変動に応じて変化するため、車輪の慣性モーメントのみで制御器を設計するとスリップ率の変化に応じて相対的に制御器の極が変化する。そこで、極を一定に保つように制御ゲインを可変にする必要がある。
式(27)、(33)−(35)をV>Vω、Vω>Vのそれぞれの場合についてまとめると次のようになる。
Figure 0004878062
Figure 0004878062
式(45)はV>Vω、式(46)はVω>Vの場合を表している。この2式のJbrake(λ)、Jaccel(λ)に対して、極が一定となるように制御ゲインをオンラインでチューニングする。
17. シミュレーション
上述の第15章の車両モデル、第16章の制御系を用いてシミュレーションを行った。シミュレーションは、高μ路(ピークμ=0.9)で走行中に各輪それぞれに150Nmのブレーキトルクを与え、停止するまでを見るものとする。この時、実施形態1において常にピッチング制御を働かせると制動距離が伸びてしまうという問題があったため、スリップ率制御系は指令値をλ=−0.04として常に働かせ、車体速度が1.5m/s以下となった時からピッチング制御系から得られるスリップ率の指令値に切り替えるものとする。また、それぞれのパラメータは、Jωr=1.0Nms2、Jωf=0.5Nms2、r=0.22m、m=480kgとし、ドライビングスティフネスはD=15000で一定値とした。
まず、図36A〜図36Fに、制御対象P(s)が同定したモデルP(s)と同等であるとしたときのシミュレーション結果を示す。この時レギュレータの極は−3rad/s、オブザーバの極は−10rad/s、スリップ率制御の極は−120rad/sとした。図36Aはピッチレート、図36Bはピッチ角、図36Cは加速度、図36Dはスリップ率、図36Eは実トルク、図36Fは制動を開始してから停止するまでの距離を示す。
図36Aおよび図36Bが示すように、ピッチレートとピッチ角はそれぞれ制御なしの場合に比べて抑制されている。また、図36Dが示すように、スリップ率は指令値に若干の誤差はあるものの、追従している。さらに、図36Fが示すように、制御を入れた場合でも制御なしの場合に比べて、ほとんど車両が停止するまでの距離は変わらない。これは実際に自動車に搭載する上で重要なことであると考えられる。
次に図37Aおよび図37Bに、制御対象P(s)の共振周波数を同定したモデルP(s)と5%のモデル化誤差を与えて制御を行った場合と制御なしの場合のピッチレート、ピッチ角を示す。シミュレーション条件は図36A〜図36Fの場合と全く同じとする。この結果が示すように、実施形態3は、大きなモデル化誤差がある場合では若干の振動が残るものの、制御なしに比べてピッチ角、ピッチレート共に抑制することができる。
18. 実験
これまでに示した制御法を用いて実験を行った。実験は、高μ路(乾燥路)で約27km/h走行中に機械ブレーキにより停止するまでを見るものとする。この時、シミュレーションと同様にスリップ率制御系は指令値をλ=−0.06として常に働かせ、車体速度が1.5m/sとなった時からピッチング制御を開始する。また、パラメータはJωr=1.0Nms2、r=0.22m、m=480kgとし、ドライビングスティフネスDは15000で一定値とした。さらに、離散化したオブザーバの極は−0.7rad/s、レギュレータの極は−6rad/sとし、スリップ率制御の極は−70rad/sで、低速域でスリップ率が振動的になってしまうという問題から、ピッチング制御開始時から−50rad/sに切り替えるものとする。
図38A〜図38Fに、本発明の実施形態3に係るピッチング制御装置の実験結果を示す。図38Aおよび図38Bは、測定したピッチレートと推定したピッチ角を制御ありの場合と制御なしの場合で比較している。このように、ピッチレートとピッチ角はシミュレーションと同様に抑制される。図38Cはその時の制御あり、制御なしの場合の加速度を比較し、図38Dはその時のスリップ率を表しており、指令値と制御あり、制御なしの場合を比較している。制御ありの場合はピッチング制御を開始するまではきれいに指令値に追従する。図38Eはその時の車輪速度と車体速度を示している。さらに、図38Fは制御あり、制御なしの場合のブレーキングを開始してから停止するまでの距離を表す。これは車体速度を積分することにより求めた。この図から、制御なしの場合に比べて制御ありの方がむしろ停止するまでの距離が短くなっていることがわかる。これはスリップ率の指令値によって変わってくるとは考えられるが、停止するまでの距離はほとんど伸びないと考えられる。
実施形態3では、ピッチング制御系のインナーループに車輪速制御を用いたスリップ率制御系を組み込むことにより、実施形態1、2よりも厳密に路面状態を考慮したピッチングの制御ができる。さらに実験結果から実装することが可能であることも示した。

Claims (20)

  1. モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車において、
    静止時の前記自動車の各車輪にかかる荷重、前記モータによる加減速時に前記自動車の各車輪にかかる荷重、並びに、ブレーキによる制動時に前記自動車の前輪に働くアンチダイブ力及び前記自動車の後輪に働くアンチリフト力によって前記自動車の各車輪にかかる荷重の変化に基づく前記自動車の重心点まわりのモーメントから前記自動車のノミナルピッチ角を算出するノミナルピッチ角算出手段と、
    前記ノミナルピッチ角に基づき前記モータのモータトルクを算出するモータトルク算出手段と、
    前記モータトルクを用いて前記モータを制御するモータ制御手段と
    を備えたことを特徴とするピッチング制御装置。
  2. 前記ノミナルピッチ角算出手段によって算出されたノミナルピッチ角から導出したノミナルピッチレートと前記自動車のピッチレートとの差分を補償するフィードバック制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のピッチング制御装置。
  3. 前記ノミナルピッチ角算出手段は、式(A)に基づいて前記ノミナルピッチ角の算出を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のピッチング制御装置。
    Figure 0004878062
    (m:車体重量、h:接地面から重心点までの高さ、l:重心点と前輪シャフト間の距離、l:重心点と後輪シャフト間の距離、I:車体のy軸まわりの慣性モーメント、C:ダンパ係数、K:バネ定数、β:ブレーキ力の前輪配分、φ:アンチダイブ力方向、φ:アンチリフト力方向)
  4. ブレーキトルクを推定するブレーキトルク推定手段をさらに備え、
    前記ノミナルピッチ角算出手段は、前記ブレーキトルクに基づき前記モータのモータ加速度を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のピッチング制御装置。
  5. 前記ブレーキトルク推定手段は、スリップ率を考慮した推定を行うことを特徴とする請求項4に記載のピッチング制御装置。
  6. 前記ブレーキトルク推定手段は、さらにスリップ率の時間変化を考慮した推定を行うことを特徴とする請求項5に記載のピッチング制御装置。
  7. 前記自動車の車体加速度を計測する加速度センサをさらに備え、
    前記ブレーキトルク推定手段は、前記車体加速度を用いて推定を行うことを特徴とする請求項4に記載のピッチング制御装置。
  8. モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車において、
    前記自動車の車体の加速度を計測する加速度センサと、
    前記加速度、静止時の前記自動車の各車輪にかかる荷重、前記モータによる加減速時に前記自動車の各車輪にかかる荷重、並びに、ブレーキによる制動時に前記自動車の前輪に働くアンチダイブ力及び前記自動車の後輪に働くアンチリフト力によって前記自動車の各車輪にかかる荷重の変化に基づく前記自動車の重心点まわりのモーメント、からノミナルピッチ角を算出するモデルを用いて状態オブザーバにより前記ノミナルピッチ角を含む状態変数を推定し、前記状態変数の推定値を用いた状態フィードバック制御手段と、
    前記状態フィードバック制御手段で算出されたスリップ率に基づいて、前記モータのモータトルクを算出する車輪速制御手段と、
    前記モータトルクを用いて前記モータを制御するモータ制御手段と
    を備えたことを特徴とするピッチング制御装置。
  9. 前記車輪速制御手段は、車輪の慣性モーメントのみを考慮して極配置法により制御ゲインを決定し、加減速時の前記車輪の慣性モーメントに対して極が一定となるように前記制御ゲインが調整されていることを特徴とする請求項8に記載のピッチング制御装置。
  10. 前記ノミナルピッチ算出手段は、式(A)に基づいて前記ノミナルピッチ角の算出を行うことを特徴とする請求項8又は9に記載のピッチング制御装置。
    Figure 0004878062
    (m:車体重量、h:接地面から重心点までの高さ、l:重心点と前輪シャフト間の距離、l:重心点と後輪シャフト間の距離、I:車体のy軸まわりの慣性モーメント、C:ダンパ係数、K:バネ定数、β:ブレーキ力の前輪配分、φ:アンチダイブ力方向、φ:アンチリフト力方向)
  11. モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車において、
    静止時の前記自動車の各車輪にかかる荷重、前記モータによる加減速時に前記自動車の各車輪にかかる荷重、並びに、ブレーキによる制動時に前記自動車の前輪に働くアンチダイブ力及び前記自動車の後輪に働くアンチリフト力によって前記自動車の各車輪にかかる荷重の変化に基づく前記自動車の重心点まわりのモーメントから前記駆動輪のノミナルピッチ角を算出するノミナルピッチ角算出ステップと、
    前記ノミナルピッチ角に基づき前記モータのモータトルクを算出するモータトルク算出ステップと、
    前記モータトルクを用いて前記モータを制御するモータ制御ステップと
    を有することを特徴とするピッチング制御方法。
  12. 前記ノミナルピッチ角算出ステップで算出されたノミナルピッチ角から導出したノミナルピッチレートと前記自動車ピッチレートとの差分を補償するフィードバック制御ステップをさらに有することを特徴とする請求項11に記載のピッチング制御方法。
  13. 前記ノミナルピッチ角算出ステップは、式(A)に基づいて前記ノミナルピッチ角の算出を行うことを特徴とする請求項11又は12に記載のピッチング制御方法。
    Figure 0004878062
    (m:車体重量、h:接地面から車体の重心点までの高さ、l:重心点と前輪シャフト間の距離、l:重心点と後輪シャフト間の距離、I:車体のy軸まわりの慣性モーメント、C:ダンパ係数、K:バネ定数、β:ブレーキ力の前輪配分、φ:接地面とアンチダイブ力方向との間の角度、φ:接地面とアンチリフト力方向との間の角度)
  14. ブレーキトルクを推定するブレーキトルク推定ステップをさらに有し、
    前記ノミナルピッチ角算ステップ段は、前記ブレーキトルクに基づき前記加速度を算出することを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載のピッチング制御方法。
  15. 前記ブレーキトルク推定ステップは、スリップ率を考慮した推定を行うことを特徴とする請求項14に記載のピッチング制御方法。
  16. 前記ブレーキトルク推定ステップは、さらにスリップ率の時間変化を考慮した推定を行うことを特徴とする請求項15に記載のピッチング制御方法。
  17. 加速度センサで前記自動車の車体の加速度を計測する加速度計測ステップをさらに有し、
    前記ブレーキトルク推定ステップは、前記加速度を用いて推定を行うことを特徴とする請求項14に記載のピッチング制御方法。
  18. モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車において、
    加速度センサで前記自動車の車体の加速度を計測する加速度計測ステップと、
    前記加速度、静止時の前記自動車の各車輪にかかる荷重、前記モータによる加減速時に前記自動車の各車輪にかかる荷重、並びに、ブレーキによる制動時に前記自動車の前輪に働くアンチダイブ力及び前記自動車の後輪に働くアンチリフト力によって前記自動車の各車輪にかかる荷重の変化に基づく前記自動車の重心点まわりのモーメント、からノミナルピッチ角を算出するモデルを用いて状態オブザーバにより前記ノミナルピッチ角を含む状態変数を推定し、前記状態変数の推定値を用いた状態フィードバック制御ステップと、
    前記状態フィードバック制御ステップで算出されたスリップ率に基づいて、前記モータのモータトルクを算出する車輪速制御ステップと、
    前記モータトルクを用いて前記モータを制御するモータ制御ステップと
    を有することを特徴とするピッチング制御方法。
  19. 前記車輪速制御ステップは、車輪の慣性モーメントのみを考慮して極配置法により制御ゲインを決定し、加減速時の前記車輪の慣性モーメントに対して極が一定となるように前記制御ゲインが調整されていることを特徴とする請求項18に記載のピッチング制御方法。
  20. 前記ノミナルピッチ角算出ステップは、式(A)に基づいて前記ピッチ角の算出を行うことを特徴とする請求項18又は19に記載のピッチング制御方法。
    Figure 0004878062
    (m:車体重量、h:接地面から車体の重心点までの高さ、l:重心点と前輪シャフト間の距離、l:重心点と後輪シャフト間の距離、I:車体のy軸まわりの慣性モーメント、C:ダンパ係数、K:バネ定数、β:ブレーキ力の前輪配分、φ:接地面とアンチダイブ力方向との間の角度、φ:接地面とアンチリフト力方向との間の角度)
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