JP4878019B2 - 駆動力伝達装置のナット部材の製造方法 - Google Patents

駆動力伝達装置のナット部材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4878019B2
JP4878019B2 JP2007250568A JP2007250568A JP4878019B2 JP 4878019 B2 JP4878019 B2 JP 4878019B2 JP 2007250568 A JP2007250568 A JP 2007250568A JP 2007250568 A JP2007250568 A JP 2007250568A JP 4878019 B2 JP4878019 B2 JP 4878019B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
driving force
force transmission
nut member
transmission device
outer peripheral
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007250568A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009078294A (ja
Inventor
正彦 長谷川
幸孝 國本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JTEKT Corp
Original Assignee
JTEKT Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JTEKT Corp filed Critical JTEKT Corp
Priority to JP2007250568A priority Critical patent/JP4878019B2/ja
Publication of JP2009078294A publication Critical patent/JP2009078294A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4878019B2 publication Critical patent/JP4878019B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Forging (AREA)

Description

本発明は、例えばエンジンの駆動力を後輪側へ分配し、その配分を制御する駆動力伝達装置を構成するナット部材の製造方法に関するものである。
駆動力伝達装置として、特開平11−153156号公報(特許文献1)に記載されたものがある。この駆動力伝達装置は、外側回転部材と内側回転部材の間でトルク伝達を行う多板クラッチと、通電電流に応じて摩擦クラッチの係合力を制御する電磁石とを備えている。外側回転部材は、摩擦クラッチを収容する第一部材(ハウジング)と、第一部材の端部を覆蓋する第二部材(リアカバー)とを備えている。そして、第一部材の端部の内周面に形成された内径ねじと、第二部材の外周面に形成された外径ねじとを螺合すると共に、ナット部材により両者を位置決め固定している。
ところで、駆動力伝達装置を構成する外側回転部材は、小型化の要請により、その外形を小さくしなければならない。そのため、ナット部材の外形は、外側回転部材の第一部材の外形と同等またはそれより小さくすることが求められる。一方、当該ナット部材は、相当の軸方向力に耐え得るよう設計する必要がある。従って、当該ナット部材のうち第一部材の端面に当接する面積を十分に確保する必要がある。
そこで、小型化を図りつつ耐軸方向力を確保するために、当該ナット部材113は、図5(a)(b)に示すように、第一部材に当接する端面の外周側形状を円形とし、締め付け工具が係合する係合部113aを当該端面以外の部位に形成している。このナット部材113は、次のように製造していた。まず、旋盤により、鋼管から、所望の厚みからなる円環状部材を切り出すと共に、内外径仕上げ加工を行う。続いて、旋盤により、円環状部材の端面の仕上げ加工、および、内径ねじ加工を行う。続いて、フライス盤により、係合部を形成するために、フライス加工を行う。なお、図5(a)は、ナット部材113を軸方向から見た図である。図5(b)は、図5(a)のE−E断面図である。
この製造方法では、特にフライス加工が非常に多大な時間を要するため、高コスト化および製造時間の長時間化を招来していた。そこで、フライス加工をなくし、プレス加工により行うことが考えられる。
ところで、上述した駆動力伝達装置のナット部材ではないが、他のナット部材をプレス加工により製造することが、例えば、特開2006−297444号公報(特許文献2)、および、特開2006−297455号公報(特許文献3)に記載されている。
特開平11−153156号公報 特開2006−297444号公報 特開2006−297455号公報
しかし、特許文献2、3に記載の製造方法により製造されるナット部材は、上述した駆動力伝達装置のナット部材と形状が異なるため、そのまま適用することはできない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、フライス加工を行わず、プレス加工を適用して、駆動力伝達装置のナット部材を製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明の駆動力伝達装置のナット部材の製造方法は、
電磁石への通電電流に応じた摩擦クラッチの係合力により、外側回転部材と内側回転部材との間でトルク伝達を行う駆動力伝達装置において、外側回転部材を構成する第一部材と第二部材とを位置決め固定するナット部材の製造方法であって、
円環状部材の外周面の周方向の一部を軸方向にサイジングプレスを行うことにより、当該外周面に締め付け工具が係合する係合部を形成し、且つ、係合部の端部から径方向外方に突出すると共に円環状部材の肉厚より薄肉の突出部を形成する第一プレス工程と、
トリミングプレスを行うことにより、突出部の一部を残すように、突出部のうち第一プレス工程前の円環状部材の外周面より径方向外方に突出する部位を取り除く第二プレス工程と、を備えることを特徴とする。
このように、サイジングプレスによる第一プレス工程と、トリミングプレスによる第二プレス工程とにより、フライス加工を行わず、当該ナット部材を製造することができる。これにより、低コスト化を図ることができると共に、製造時間の短縮を図ることができる。
好ましくは、第二プレス工程は、突出部のうち第一プレス工程前の円環状部材の外周面より径方向外方に突出する部位を完全に取り除くとよい。つまり、突出部は、第一プレス工程前の円環状部材の外形から飛び出すことがない。これにより、ナット部材全体としての外形が大きくなることを防止できる。
この場合、より好ましくは、第二プレス工程は、金型が係合部の周方向両端部に当接するようにトリミングプレスを行うとよい。つまり、突出部の周方向両端部において、段差がなく、突出部のうち第一プレス工程前の円環状部材の外周面より径方向外方に突出する部位を完全に取り除くことができる。これにより、確実に、ナット部材全体としての外形が大きくなることを防止できる。
さらに好ましくは、第二プレス工程は、第一プレス工程前の円環状部材の外周面の曲率より大きな曲率を有する金型によりトリミングプレスを行うとよい。これにより、突出部が第一プレス工程前の円環状部材の外周面より径方向外方に突出しないようにしつつ、突出部の大きさを出来るだけ大きくできる。これにより、突出部が当接する相手部材である第一部材との当接面積が大きくなり、ナット部材の耐軸方向力を高めることができる。つまり、突出部を含むナット部材の端面が受ける面圧を低減できる。
また、上記のナット部材における係合部は、円環状部材の外周面において周方向に離隔して複数形成されるものとするとよい。つまり、このナット部材は、鍔付き六角ナットとは異なり、締め付け工具に係合する係合部を出来るだけ僅かな範囲とすることで、ナット部材における切欠範囲を狭めることができる。従って、ナット部材の剛性を高めることができることにより、結果として、ナット部材の耐軸方向力を高めることができる。
次に、本発明のナット部材を備える駆動力伝達装置1について図面を参照して説明する。ここでは、駆動力伝達装置1を、四輪駆動車の駆動力分配装置に適用した場合について、図1および図2を参照して、より詳しく説明する。図1は、駆動力伝達装置1の軸方向に切断した断面図である。図2は、ナット部材13を示す図である。具体的には、図2(a)は、ナット部材13を軸方向から見た図である。図2(b)は、図2(a)のA−A断面図である。
(1)四輪駆動車の構成
まず、本発明の駆動力伝達装置1を適用した四輪駆動車について簡単に説明する。当該四輪駆動車は、前輪駆動車(FF車)をベースとする車両であり、エンジンの片側に組み付けられたトランスアクスルには、一対のフロントアクスルが連結されている。さらに、トランスアクスルには、プロペラシャフト80が連結されており、該プロペラシャフト80は、駆動力伝達装置1を介してドライブピニオンシャフト70に連結されている。そして、ドライブピニオンシャフト70は、リヤディファレンシャルを介して一対のリヤアクスルに連結されている。
つまり、エンジンの駆動力は、上記フロントアクスルを介して前輪に伝達される。一方、駆動力伝達装置1によりプロペラシャフト80とドライブピニオンシャフト70とがトルク伝達可能に連結された場合には、エンジンの駆動力がドライブピニオンシャフト70からリヤディファレンシャル及び各リヤアクスルを介して後輪に伝達される。
(2)駆動力伝達装置1の構成
次に、図1および図2を参照して、駆動力伝達装置1について説明する。駆動力伝達装置1は、ディファレンシャルキャリヤ60内に収容され且つディファレンシャルキャリヤ60に回転可能に支持されている。そして、このディファレンシャルキャリヤ60を介して、車体に支持されている。この駆動力伝達装置1は、外側回転部材10と、内側回転部材20と、メインクラッチ30と、パイロットクラッチ機構40と、カム機構50とを備えている。
外側回転部材10は、ハウジング11と、リヤカバー12と、ナット部材13とにより形成されている。ハウジング11は、非磁性材料であるアルミニウム合金からなる。ハウジング11の内周面のうち開口端部を除く部分には、スプラインが形成されている。さらに、ハウジング11の内周面のうち開口端部には、内径ねじが形成されている。そして、ハウジング11の開口側が、車両後方(図1の右側)を向くように配置されている。そして、ハウジング11の外周面とディファレンシャルキャリヤ60の内周面との間に配置された軸受を介して、ハウジング11は、ディファレンシャルキャリヤ60に対して回転可能に支持されている。さらに、ハウジング11の底部外側には、周方向に複数のボルト挿通孔が形成されている。そして、このハウジング11は、当該ボルト挿通孔に挿通されるボルトにより、プロペラシャフト80の後端部に連結される。つまり、外側回転部材10には、プロペラシャフト80の回転が直接伝達される。
リヤカバー12は、軸方向の中央に貫通孔が形成された環状からなる。そして、このリヤカバー12は、内周円筒部12aと、外周円筒部12bと、内周円筒部12aの前端側と外周円筒部12bの前端側とを連結する円盤部12cとから構成される。つまり、リヤカバー12は、内周円筒部12aと外周円筒部12bと円盤部12cとにより囲まれる部分に環状凹部12dを形成している。そして、外周円筒部12bの外周面に外径ねじが形成されている。この外周円筒部12bの外周面の外形ねじが、ハウジング11の後端開口部の内周側に形成された内径ねじに螺着されており、ハウジング11の後端開口部を覆蓋している。さらに、リヤカバー12の円盤部12cの径方向ほぼ中央には、非磁性材料であるステンレス製からなる環状の非磁性部12eを埋設している。なお、リヤカバー12のうち非磁性部12e以外の部位は、磁性材料である鉄にて形成されている。
ナット部材13は、ほぼ円環状に形成されている。このナット部材13については、図2を参照して詳細に説明する。図2に示すように、ナット部材13の内周面には、内径ねじが形成され、外周面に締め付け工具に係合する係合部13aが周方向に離隔して3箇所形成されている。この係合部13aは、ナット部材13の軸方向に対して平行な平面状に形成されている。そして、3箇所の係合部13aは、約120°の等間隔に形成されている。さらに、隣り合う係合部13a間における周方向外周面は、円弧状曲面をなしている。この係合部13aの軸方向の形成範囲は、軸方向の一方端(図2(b)の右端)から、軸方向の他方端(図2(b)の左端)よりも僅かに一方端側の位置までである。つまり、係合部13aは、軸方向の他方端(図2(b)の左端)には形成されていない。
このナット部材13のうちそれぞれの係合部13aの軸方向の他方端には、係合部13aの端部から径方向外方に突出すると共に、ナット部材13全体の軸方向の肉厚よりも薄肉からなるフランジ部13bがそれぞれ形成されている。これらの隣り合うフランジ部13b間における周方向外周面は、上述した隣り合う係合部13a間における周方向外周面と同様の円弧状曲面をなしている。そして、フランジ部13bの外周縁は、当該円弧状曲面の曲率よりも大きな曲率からなる楕円状曲面をなしている。さらに、フランジ部13bの周方向両端部は、隣り合うフランジ部13b間における円弧状曲面外周面の周方向端部に一致するように形成されている。つまり、フランジ部13bと、フランジ部13b間における円弧状曲面外周面との境界部において、段差の生じないように形成されている。
従って、ナット部材13の軸方向の他方端(図2(b)の左端)の端面の外周側は、ほぼ円形状をなしている。なお、詳細には、フランジ部13bの外周縁が僅かに径方向内方に位置している分、当該端面の外周側は、完全な円形状ではないが、円形に近似した形状からなる。このような形状からなるナット部材13の外周面の最大外径は、隣り合う係合部13a間における周方向外周面の外径、および、隣り合うフランジ部13b間における周方向外周面の外径となる。なお、このナット部材13の製造方法については後述する。
そして、このナット部材13は、そのフランジ部13bがハウジング11の開口端面に当接するように、リヤカバー12の外周円筒部12bの外周面に形成されている外径ねじに螺合されている。つまり、ナット部材13は、ハウジング11とリヤカバー12との緩みを防止して、両者の位置決め固定を行っている。
内側回転部材20は、軸方向中央の外周側にスプラインが形成された軸状からなる。この内側回転部材20は、リヤカバー12の中央の貫通孔を液密的に貫通して、ハウジング11およびリヤカバー12の内周円筒部12aの内側に配置されている。そして、内側回転部材20は、外側回転部材10と同軸上に、外側回転部材10に対して相対回転可能となるように、且つ、外側回転部材10に対して軸方向位置を規制された状態で、ハウジング11およびリヤカバー12の内周円筒部12aに支持されている。さらに、内側回転部材20の後端側は、ドライブピニオンシャフト70の前端側に一体的に連結固定されている。そして、このドライブピニオンシャフト70が、ディファレンシャルキャリヤ60の内周面に軸受を介して回転可能に支持されている。なお、外側回転部材10と内側回転部材20とにより液密的に区画される空間内には、潤滑油が充填されている。つまり、この潤滑油は、メインクラッチ30の各クラッチプレート間に介在している。
メインクラッチ30は、湿式多板式の摩擦クラッチである。このメインクラッチ30は、鉄製の多数のクラッチプレート(メイン内側クラッチプレート31、メイン外側クラッチプレート32)を備える。そして、このメインクラッチ30は、ハウジング11の内周側であって、内側回転部材20の外周側に配置されている。
メインクラッチ30を構成する各メイン内側クラッチプレート31は、内周側にスプラインが形成された円盤形状からなる。そして、各メイン内側クラッチプレート31の内周側のスプラインが、内側回転部材20の外周側のスプラインに嵌合している。つまり、各メイン内側クラッチプレート31は、内側回転部材20に対して、軸方向へ移動可能であり、且つ、回転方向に規制されている。
また、メインクラッチ30を構成する各メイン外側クラッチプレート32は、外周側にスプラインが形成された円盤形状からなる。そして、各メイン外側クラッチプレート32の外周側のスプラインが、ハウジング11の内周側のスプラインに嵌合している。つまり、各メイン外側クラッチプレート32は、ハウジング11に対して、軸方向へ移動可能であり、且つ、回転方向に規制されている。
そして、各メイン外側クラッチプレート32は、各メイン内側クラッチプレート31の間に配置されている。つまり、各メイン内側クラッチプレート31と各メイン外側クラッチプレート32とが、相互に当接して摩擦係合したり、相互に離間して自由状態となったりする。従って、メインクラッチ30は、各メイン内側クラッチプレート31と各メイン外側クラッチプレート32との摩擦力に応じて、外側回転部材10と内側回転部材20との間でトルク伝達を行う。
ここで、外側回転部材10と内側回転部材20とにより液密的に区画される空間内に充填される潤滑油は、各メイン内側クラッチプレート31と各メイン外側クラッチプレート32との間に介在している。つまり、外側回転部材10と内側回転部材20との間における伝達トルクは、各メイン内側クラッチプレート31と各メイン外側クラッチプレート32との摩擦力に加えて、潤滑油の粘度に応じても変化し得る。
パイロットクラッチ機構40は、メインクラッチ30よりも、車両後方に配置されている。このパイロットクラッチ機構40は、ヨーク41と、電磁石42と、アーマチュア43と、パイロットクラッチ44とにより構成されている。ヨーク41は、略円盤状からなり、後述するディファレンシャルキャリヤ60に固定されている。このヨーク41の内周側が、リヤカバー12の内周円筒部12aの外周面に軸受を介して回転可能に支持されている。電磁石42は、電磁コイルが巻回された環状からなり、ヨーク41の前側に固定されている。そして、電磁石42は、環状凹部12dに配置されている。この電磁石42は、通電電流に応じて、メインクラッチ30の係合力を制御することができる。
アーマチュア43は、磁性材料である鉄からなり、外周側にスプラインが形成された円盤形状からなる。このアーマチュア43は、メインクラッチ30の車両後側であって、リヤカバー12の円盤部12cの車両前側に配置されている。そして、アーマチュア43の外周側のスプラインが、ハウジング11の内周側のスプラインに嵌合している。つまり、アーマチュア43は、ハウジング11に対して、軸方向へ移動可能であり、且つ、回転方向に規制されている。
パイロットクラッチ44は、湿式多板式の摩擦クラッチである。このパイロットクラッチ44は、鉄製の多数のクラッチプレート(パイロット内側クラッチプレート441、パイロット外側クラッチプレート442)を備える。このパイロットクラッチ44は、ハウジング11の内周側であって、リヤカバー12の円盤部12cとアーマチュア43との間に配置されている。
パイロットクラッチ44を構成する各パイロット内側クラッチプレート441は、内周側にスプラインが形成された円盤形状からなる。そして、各パイロット内側クラッチプレート441の内周側のスプラインが、後述するカム機構50の第一カム部材51の外周側のスプラインに嵌合している。つまり、各パイロット内側クラッチプレート441は、カム機構50の第一カム部材51に対して、軸方向へ移動可能であり、且つ、回転方向に規制されている。
また、パイロットクラッチ44を構成するパイロット外側クラッチプレート442は、外周側にスプラインが形成された円盤形状からなる。そして、各パイロット外側クラッチプレート442の内周側のスプラインが、ハウジング11の内周側のスプラインに嵌合している。つまり、各パイロット外側クラッチプレート442は、ハウジング11に対して、軸方向へ移動可能であり、且つ、回転方向に規制されている。
そして、各パイロット外側クラッチプレート442は、各パイロット内側クラッチプレート441の間に配置されている。つまり、各パイロット内側クラッチプレート441と各パイロット外側クラッチプレート442とが、相互に当接して摩擦係合したり、相互に離間して自由状態となったりする。なお、各パイロット内側クラッチプレート441と各パイロット外側クラッチプレート442との間には、潤滑油が介在している。
カム機構50は、第一カム部材51と、第二カム部材52と、カムフォロアー53とから構成されている。第一カム部材51は、外周側にスプラインが形成された円盤形状からなる。この第一カム部材51の車両前側の面には、カム溝(図示せず)が形成されている。そして、第一カム部材51は、内側回転部材20の外周面に回転可能に嵌合されており、リヤカバー12に回転可能に支承されている。さらに、第一カム部材51の外周側のスプラインは、パイロット内側クラッチプレート441のスプラインに嵌合している。つまり、第一カム部材51は、パイロット内側クラッチプレート441を軸方向へ移動可能に支持し、且つ、回転方向に規制している。
第二カム部材52は、内周側にスプラインが形成された略円盤形状からなる。この第二カム部材52の車両後側の面には、カム溝(図示せず)が形成されている。そして、第二カム部材52のスプラインは、内側回転部材20の外周面のスプラインに嵌合している。つまり、第二カム部材52は、内側回転部材20に対して、軸方向へ移動可能であり、且つ、回転方向に規制されている。そして、第二カム部材52の車両前側の面が、メインクラッチ30を構成するメイン内側クラッチプレート31の車両後側の面に対向している。
そして、第一カム部材51と第二カム部材52の互いに対向するカム溝には、ボール状のカムフォロアー53が介在している。つまり、カムフォロアー53およびそれぞれのカム溝の作用により、第一カム部材51と第二カム部材52に相対回転が生じた際には、第一カム部材51と第二カム部材52とが軸方向に離間する方向へ移動する。
次に、上述した構成からなる駆動力伝達装置1の動作について説明する。以下、パイロットクラッチ機構40を構成する電磁石42の電磁コイルに通電する場合と、通電しない場合について説明する。
まず、電磁石42の電磁コイルに通電する場合について説明する。駆動力伝達装置1を構成する外側回転部材10は、プロペラシャフト80に連結されているので、プロペラシャフト80と共に回転する。そして、パイロットクラッチ機構40には、電磁石42の電磁コイルに通電されると、電磁石42を基点としてヨーク41、リヤカバー12、パイロットクラッチ44の各クラッチプレート441、442、及び、アーマチュア43を循環するループ状の循環磁路が形成される。
このように、循環磁路が形成されることで、アーマチュア43が電磁石42側、すなわちリヤカバー12側へ引き寄せられる。その結果、アーマチュア43は、パイロットクラッチ44を押圧して、パイロット内側クラッチプレート441とパイロット外側クラッチプレート442とが相互に当接して摩擦係合状態となる。そうすると、パイロット外側クラッチプレート442に回転規制されている外側回転部材10の回転トルクが、パイロットクラッチ44を介して、パイロット内側クラッチプレート441に回転規制されている第一カム部材51へ伝達されて、第一カム部材51が回転する。
第一カム部材51が回転すると、第一カム部材51と第二カム部材52とが相対回転するため、カムフォロアー53及びそれぞれのカム溝の作用により、第一カム部材51に対して第二カム部材52が車両前側へ移動する。つまり、第二カム部材52は、メインクラッチ30側へ移動するので、メインクラッチ30を車両前側へ押圧することになる。
その結果、メイン内側クラッチプレート31とメイン外側クラッチプレート32とが相互に当接して摩擦係合状態となる。そうすると、メイン外側クラッチプレート32に回転規制されている外側回転部材10の回転トルクが、メインクラッチ30を介して、メイン内側クラッチプレート31に回転規制されている内側回転部材20に伝達されて、内側回転部材20が回転する。そして、内側回転部材20の回転は、内側回転部材20に連結されているドライブピニオンシャフト70に伝達される。
なお、電磁石42の電磁コイルへの通電電流量を制御することで、メインクラッチ30の各クラッチプレートの摩擦係合力を制御することができる。つまり、電磁石42の電磁コイルへの通電電流量を制御することで、プロペラシャフト80の回転トルクのうちドライブピニオンシャフト70に伝達される回転トルクを制御できる。
次に、電磁石42の電磁コイルに通電しない場合について説明する。この場合には、パイロットクラッチ機構40に循環磁路が形成されない。従って、パイロット内側クラッチプレート441とパイロット外側クラッチプレート442とは非係合状態となるので、両者は相対的に回転する状態となる。つまり、パイロット内側クラッチプレート441に回転規制されている第一カム部材51と、パイロット外側クラッチプレート442に回転規制されている外側回転部材10とは、相対的に回転する状態となる。
従って、第一カム部材51と第二カム部材52とに相対回転は生じないため、第一カム部材51及び第二カム部材52の軸方向位置は変化しない。そのため、メイン内側クラッチプレート31とメイン外側クラッチプレート32とは非係合状態となるので、両者は相対的に回転する状態となる。従って、メイン外側クラッチプレート32に回転規制されている外側回転部材10と、メイン内側クラッチプレート31に回転規制されている内側回転部材20とが、相対的に回転する状態となる。つまり、プロペラシャフト80の回転トルクは、ドライブピニオンシャフト70に伝達されない。
(3)ナット部材13の製造方法
上述したナット部材13の製造方法について図3および図4を参照して説明する。図3(a)〜図3(d)は、ナット部材13の製造工程を示す図である。図4は、図3(c)のE部分の拡大図である。
まず、図3(a)に示すように、円筒状の鋼管を準備して、旋盤を用いて、所望の厚みからなる円環状部材100を切り出す(切り出し工程)。続いて、図3(b)に示すように、切り出した円環状部材100に対して、サイジングプレスを行う(第一プレス工程)。ここで、図3(b)は、左側に、第一プレス工程における円環状部材100を軸方向から見た図を示し、右側にB−B断面図を示す。この第一プレス工程は、具体的には、第一の下型111(図3(b)では左側に示す)の上面に円環状部材100を固定して、第一の上型112によりプレス加工を行う。第一の上型112は、下方に突出した3つの爪112aを周方向に等間隔に備えており、これらの爪112aの下端面によりサイジングプレスが行われる。この爪112aの下端面は、その径方向外方が下方に突出するように、平行段差を有している。この平行段差が、ナット部材13のフランジ部13bの軸方向厚みに相当する。さらに、爪112aの下端面のうち径方向内方縁は、円環状部材100の軸方向に平行な線分をなしている。より具体的には、それぞれの爪112aの下端面のうち径方向内方縁の線分を通る3本の直線により、正三角形を形成するように、爪112aを形成している。さらに、これらの爪112aの下端面のうち径方向内方縁の線分の内接円は、円環状部材100の外径より小さくされている。つまり、この爪112aの下端面のうち径方向内方縁が、係合部13aを形成する。
そして、第一の上型112の最下端部が第一の下型111の上面に当接する位置に達するまで、第一の上型112を移動させて、サイジングプレスを行う。このようにサイジングプレスを行うことで、係合部13aが形成される。さらに、係合部13aがサイジングプレスされることに加えて、爪112aの下端面の平行段差部分における下型111との空間により、フランジ部13bを形成するための突出部101が形成される。この突出部101は、係合部13aの端部から径方向外方に突出すると共に、サイジングプレス前における円環状部材100の外径よりも径方向外方に突出している。そして、当然に、突出部101の肉厚(軸方向厚み)は、円環状部材100の肉厚(軸方向の厚み)より薄肉となる。つまり、突出部101は、図3(b)の左図に示すように、頂部がやや丸みを帯びた二等辺三角形をなしている。
続いて、図3(c)に示すように、第一プレス工程後における円環状部材100に対して、トリミングプレスを行う(第二プレス工程)。ここで、図3(c)は、左側に、第二プレス工程における円環状部材100を軸方向から見た図を示し、右側にC−C断面図を示す。この第二プレス工程は、具体的には、第二の下型121(図3(c)では左側に示す)の上面に円環状部材100を固定して、第二の上型122によりプレス加工を行う。第二の上型122は、下方に突出した3つの爪122aを周方向に等間隔に備えており、これらの爪122aの下端面によりトリミングプレスが行われる。図3(c)に示すように、この爪122aの下端面のうち径方向内方縁は、第一プレス工程前における円環状部材100の外径の大きな曲率からなる楕円状をなしている。つまり、爪122aの下端面のうち径方向内方縁は、径方向外方に向って凹状に形成されている。
より具体的には、それぞれの爪122aの下端面のうち径方向内方縁が、第一プレス工程にて形成されたそれぞれの係合部13aの周方向両端部に当接する位置に位置している。さらに、爪122aの下端面の径方向内方縁の内接円の直径は、第一プレス工程前の円環状部材100の外径より小さく、且つ、第一プレス工程にて形成された3つの係合部13aの内接円の直径より大きくされている。
そして、第二の上型122の最下端部が第二の下型121の上面に当接する位置に達するまで、第二の上型122を移動させて、突出部のトリミングプレスを行う。このようにトリミングプレスを行うことで、突出部101のうち、爪122aの下端面の径方向内方縁よりも径方向内方に位置する部分を残すと共に、突出部101のうち、爪122aの下端面に当接する部分を取り除く(トリミング)ことになり、フランジ部13bを形成する。つまり、図4に示すように、第二プレス工程にて、突出部101のうち、第一プレス工程前の円環状部材100の外周面(図4の二点鎖線にて示す)より径方向外方に突出する部位を完全に取り除き、且つ、突出部101のうち、第一プレス工程前の円環状部材100の外周面(図4の二点鎖線にて示す)より径方向内方の部位はほんの僅かを取り除いている。さらに、第二の上型122の爪122aが、係合部13aの周方向両端部に当接するようにトリミングプレスを行っているため、形成されたフランジ部13bと、フランジ部13b間における円弧状曲面外周面との境界部において、段差の生じないようになる。
続いて、図3(d)に示すように、第二プレス工程後における円環状部材100に対して、ねじ切り加工を行う(ねじ切り工程)。ここで、図3(d)は、左側に、ねじ切り工程における円環状部材100を軸方向から見た図を示し、右側にD−D断面図を示す。ねじ切り工程では、旋盤を用いて、第二プレス工程において形成された円環状部材100の内周面に内径ねじを形成する。
このようにして、ナット部材13が完成する。つまり、ナット部材13の製造に際して、従来のフライス加工に代えて、プレス加工により行っている。従って、本実施形態におけるナット部材13の製造方法によれば、低コスト化を図ることができると共に、製造時間の短縮を図ることができる。
なお、上記実施形態におけるナット部材13のフランジ部13bの外周縁は、楕円状としたが、これに限られるものではない。突出部101の一部が残るように、且つ、第一プレス工程前の円環状部材100の外周面より径方向外方に突出する部分を完全に取り除く限り、一本の直線状としてもよいし、複数本の直線による多角形状としてもよいし、直線と曲線の混合したものであってもよい。ただし、フランジ部13bの外周側形状を出来るだけ大きな形状とするためには、楕円状や楕円状に近似した形状とすることが望ましい。
駆動力伝達装置1の軸方向に切断した断面図である。 ナット部材13を示す図である。 ナット部材13の製造工程を示す図である。 図3(c)のE部分の拡大図である。 従来のナット部材を示す図である。
符号の説明
1:駆動力伝達装置
10:外側回転部材、 11:ハウジング
12:リヤカバー、 12a:内周円筒部、 12b:外周円筒部、 12c:円盤部
12d:環状凹部、 12e:非磁性部
13:ナット部材、 13a:係合部、 13b:フランジ部
20:内側回転部材
30:メインクラッチ、 31:メイン内側クラッチプレート、
32:メイン外側クラッチプレート
40:パイロットクラッチ機構、 41:ヨーク、 42:電磁石
43:アーマチュア、 44:パイロットクラッチ
441:パイロット内側クラッチプレート、 442:パイロット外側クラッチプレート
50:カム機構、 51:第一カム部材、 52:第二カム部材
53:カムフォロアー
60:ディファレンシャルキャリヤ、 70:ドライブピニオンシャフト、
80:プロペラシャフト
100:円環状部材、 101:突出部
111:第一の下型、 112:第一の上型、 112a:爪
121:第二の下型、 122:第二の上型、 122a:爪

Claims (5)

  1. 電磁石への通電電流に応じた摩擦クラッチの係合力により、外側回転部材と内側回転部材との間でトルク伝達を行う駆動力伝達装置において、前記外側回転部材を構成する第一部材と第二部材とを位置決め固定するナット部材の製造方法であって、
    円環状部材の外周面の周方向の一部を軸方向にサイジングプレスを行うことにより、当該外周面に締め付け工具が係合する係合部を形成し、且つ、前記係合部の端部から径方向外方に突出すると共に前記円環状部材の肉厚より薄肉の突出部を形成する第一プレス工程と、
    トリミングプレスを行うことにより、前記突出部の一部を残すように、前記突出部のうち前記第一プレス工程前の前記円環状部材の外周面より径方向外方に突出する部位を取り除く第二プレス工程と、
    を備えることを特徴とする駆動力伝達装置のナット部材の製造方法。
  2. 前記第二プレス工程は、前記突出部のうち前記第一プレス工程前の前記円環状部材の外周面より径方向外方に突出する部位を完全に取り除く請求項1に記載の駆動力伝達装置のナット部材の製造方法。
  3. 前記第二プレス工程は、金型が前記係合部の周方向両端部に当接するようにトリミングプレスを行う請求項2に記載の駆動力伝達装置のナット部材の製造方法。
  4. 前記第二プレス工程は、前記第一プレス工程前の前記円環状部材の外周面の曲率より大きな曲率を有する金型によりトリミングプレスを行う請求項3に記載の駆動力伝達装置のナット部材の製造方法。
  5. 前記係合部は、前記円環状部材の外周面において周方向に離隔して複数形成される請求項1〜4の何れか一項に記載の駆動力伝達装置のナット部材の製造方法。
JP2007250568A 2007-09-27 2007-09-27 駆動力伝達装置のナット部材の製造方法 Expired - Fee Related JP4878019B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007250568A JP4878019B2 (ja) 2007-09-27 2007-09-27 駆動力伝達装置のナット部材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007250568A JP4878019B2 (ja) 2007-09-27 2007-09-27 駆動力伝達装置のナット部材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009078294A JP2009078294A (ja) 2009-04-16
JP4878019B2 true JP4878019B2 (ja) 2012-02-15

Family

ID=40653446

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007250568A Expired - Fee Related JP4878019B2 (ja) 2007-09-27 2007-09-27 駆動力伝達装置のナット部材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4878019B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102348532A (zh) 2009-03-27 2012-02-08 村田机械株式会社 双轴机床
CN108506315B (zh) * 2018-04-24 2024-06-25 太原市科创铁路机械有限公司 一种具有自锁功能的螺母及其紧固结构和紧固方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3256737B2 (ja) * 1997-11-21 2002-02-12 豊田工機株式会社 駆動力伝達装置
JP2007120669A (ja) * 2005-10-28 2007-05-17 Gkn ドライブライン トルクテクノロジー株式会社 動力伝達装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009078294A (ja) 2009-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3633220B1 (en) Clutch device
JP6044754B2 (ja) クラッチプレートおよびその製造方法
JP2014098436A (ja) クラッチプレート、クラッチ装置、及び駆動力伝達装置
JP2007064289A (ja) 駆動力伝達装置
JP3991391B2 (ja) 多板クラッチ及びそのクラッチドラムの成形方法並びに成形装置
JP5909992B2 (ja) 駆動力伝達装置およびその設計方法
JP4878019B2 (ja) 駆動力伝達装置のナット部材の製造方法
JP6903906B2 (ja) 外れ防止構造、駆動力伝達装置、及び駆動力伝達装置の製造方法
EP2693071B1 (en) Driving force transmission apparatus and method of manufacturing the same
JP7243253B2 (ja) 駆動力伝達装置及びその製造方法
JP5504900B2 (ja) カム機構及び電磁クラッチ
JP6428846B2 (ja) クラッチプレート、クラッチ装置、及び駆動力伝達装置
JP4622229B2 (ja) 駆動力伝達装置
JP5267138B2 (ja) 電磁クラッチ
WO2015132897A1 (ja) 吸着を防止したソレノイドアクチュエータ
JP4096679B2 (ja) 磁路形成部材の製造方法
JP2011122680A (ja) 電磁クラッチ
JP2015129574A (ja) 駆動力伝達装置及び電磁クラッチ
JPH11230196A (ja) 摩擦式係合装置
JP2015202552A (ja) 駆動力伝達装置の製造装置および製造方法
JP4894163B2 (ja) 電磁クラッチ及び駆動力伝達装置
JP5531903B2 (ja) カム機構及び駆動力伝達装置
JP2000104810A (ja) 自動変速機の多板ブレーキ構造
JP4513457B2 (ja) 駆動力伝達装置
JP2005036863A (ja) 摩擦クラッチ及び駆動力伝達装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100802

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111124

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111124

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141209

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees