JP4877685B2 - 染色された消臭性セルロース系布帛類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、染色された表面の品位に優れると共に、良好な消臭性を発揮する消臭性セルロース系布帛類の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、セルロース繊維で構成されてなる布帛類に消臭性を与える方法として、以下のようなものが知られている。(i)セルロース繊維に活性炭粉末を付着させる方法、(ii)セルロース繊維の母体中に、活性炭粉末を分散させておく方法、(iii )セルロース繊維を、銅カルボキシメチル化セルロース繊維又は亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換する方法、などが知られている。
【0003】
しかしながら、(i)の方法は、活性炭粉末が脱落しやすく、耐久性のある消臭性能を与えられないという欠点があった。また、このセルロース繊維を用いて得られた布帛類は、全体に黒くなり、表面品位が悪くなるということがあった。(ii)の方法の場合も、得られた布帛類が全体に黒くなり、表面品位が悪いということがあった。なお、(i)及び(ii)の場合において、布帛類を染色しても、元々が黒いので、所望の色を得にくいということがあった。
【0004】
(iii )の方法の場合も、銅カルボキシメチル化セルロース繊維や亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維は、反応染料に対する反応性が悪く、布帛類を所望の色に染色しにくいということがあった。なお、顔料によって染色することは可能であるが、やはり反応染料で染色できないと、風合が柔軟で染色堅牢度に優れた染色物を得にくいということがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者等は、布帛類の裏面のみに消臭性能を与え、表面を染色すれば、表面染色品位に優れた布帛類を得られるのではないかと考えた。しかし、活性炭粉末を用いた場合は、裏面が黒色となり、この黒色が表面にも影響を与え、表面を染色しても表面品位を向上させにくいものであった。しかるに、布帛類の裏面に存在するセルロース繊維を、銅カルボキシメチル化セルロース繊維又は亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換して消臭性能を与える方法を選択すると、布帛類の表面に影響を及ぼしにくく、布帛類の表面と裏面を十分に劃しうることが判明した。本発明は、このような知見に基づくものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、表裏面がセルロース繊維を主体として構成されてなる布帛類を準備する工程と、該布帛類の裏面に存在するセルロース繊維の少なくとも一部を、アルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維に変換する工程と、該アルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維を、金属イオン交換反応によって、銅カルボキシメチル化セルロース繊維又は亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換する工程と、該布帛類の表面に存在する、銅カルボキシメチル化又は亜鉛カルボキシメチル化されていないセルロース繊維の少なくとも一部を染色する工程と、を具備することを特徴とする染色された消臭性セルロース系布帛類の製造方法に関するものである。
【0007】
本発明に係る製造方法で得られた消臭性セルロース系布帛類は、表裏面がセルロース系繊維を主体として構成されている。例えば、表裏面がセルロース系繊維を主体として構成されており、中央部が非セルロース系繊維を主体として構成されていても良い。しかし、一般的には、布帛類全体がセルロース系繊維を主体として構成されている。主体であるセルロース系繊維以外の他の繊維としては、ポリオレフィン系繊維,ポリエステル系繊維,ポリアミド系繊維,アクリル系繊維などが挙げられ、これらが若干量混入していても良い。布帛類が編織物の場合には、使用する糸条中に他の繊維が混繊されていても良いし、またセルロース系繊維よりなる糸条と他の繊維よりなる糸条とが交編織されていても良い。また、布帛類が不織布である場合は、セルロース系繊維と上記他の繊維とが混綿されていても良い。更に、布帛類が紙である場合は、セルロース系繊維であるパルプ繊維と共に、上記他の繊維が混抄されていても良い。
【0008】
布帛類の裏面には、銅カルボキシメチル化セルロース繊維又は亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維が存在している。この存在の態様としては、裏面全面に存在していても良いし、裏面の一部に存在していても良い。裏面に、銅カルボキシメチル化セルロース繊維又は亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維を存在せしめるには、後述するとおり、裏面に存在するセルロース繊維を化学的手段によって、銅カルボキシメチル化セルロース繊維又は亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換させる方法が好ましい。
【0009】
布帛類の表面には、染色されたセルロース繊維が存在している。この存在の態様としても、表面全面に存在していても良いし、表面の一部に存在していても良い。染色されたセルロース繊維を存在せしめるには、後述するとおり、表面に存在するセルロース繊維を反応染料などによって染色すれば良い。なお、染色されたセルロース繊維は、銅カルボキシメチル化又は亜鉛カルボキシメチル化されていないものであり、セルロース繊維固有の染色性を有するものである。
【0010】
本発明に係る製造方法で得られた消臭性セルロース系布帛類は、裏面に消臭機能及び抗菌機能を有する銅カルボキシメチル化セルロース繊維又は亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維が存在するので、消臭性及び抗菌性は発揮する。一方、表面には、裏面に存在する銅カルボキシメチル化セルロース繊維又は亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維とは、確実に劃された状態で、染色されたセルロース繊維が存在するので、表面染色品位の低下を防止しうる。従って、本発明に係る製造方法で得られた消臭性セルロース系布帛類は、良好な表面染色品位と消臭性及び抗菌性を持つものである。
【0011】
次に、本発明に係る消臭性セルロース系布帛類の製造方法について説明する。まず、表裏面がセルロース繊維を主体として構成されてなる布帛類を準備する。セルロース繊維としては、レーヨン繊維,綿繊維,パルプ繊維などの従来公知の各種セルロース繊維を用いることができる。そして、セルロース繊維糸条を得た後、これを用いて製編織すれば、全体がセルロース繊維のみで構成されてなる編織物が得られる。セルロース繊維糸条中には、ポリオレフィン系繊維,ポリエステル系繊維,ポリアミド系繊維,アクリル系繊維などの他の繊維が混繊されていても良い。また、セルロース繊維糸条と共に他の繊維糸条を用いて交編織しても良い。これらの場合には、他の繊維が編織物中に混入するが、あくまで主体はセルロース繊維である。
【0012】
また、セルロース繊維のみ又はセルロース繊維と他の繊維とを集積すれば不織布が得られ、パルプ繊維のみ又はパルプ繊維と他の繊維とを抄紙すれば紙が得られる。この不織布や紙も、本発明においては、布帛類として用いることができる。以上のような編織物、不織布及び紙は、セルロース繊維が全体に均一に存在しており、従って、表裏面がセルロース繊維のみ又はセルロース繊維と他の繊維で構成されてなる布帛類である。
【0013】
この布帛類の裏面に存在するセルロース繊維は、アルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維に変換される。セルロース繊維の全部が変換されても良いし、一部のみが変換されても良い。セルロース繊維をアルカリ金属カルボキシメチル化する方法は、従来公知のどのような方法を採用しても良い。例えば、アルカリ金属水酸化物の存在下に、セルロース繊維とモノハロゲン化酢酸又はその塩を反応させる方法が挙げられる。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどが用いられる。モノハロゲン化酢酸又はその塩としては、一般的に、モノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウム塩などが用いられる。
【0014】
布帛類の表面と劃して裏面に存在するセルロース繊維のみを、アルカリ金属カルボキシメチル化する好ましい方法は、次のとおりである。まず、布帛類を水酸化アルカリ金属水溶液に浸漬し、布帛類全体に水酸化アルカリ金属水溶液を含浸させる。次いで、パディングなどによって、布帛類を圧搾し、過剰の水酸化アルカリ金属水溶液を除去する。その後、布帛類を乾燥する。これによって、布帛類全体にアルカリ金属水酸化物が存在した状態となる。この布帛類の裏面のみに、モノハロゲン化酢酸又はその塩を付与し、加熱処理を施す。そうすると、アルカリ金属水酸化物の存在下で、セルロース繊維とモノハロゲン化酢酸又はその塩が反応し、セルロース繊維はアルカリ金属カルボキシメチル化されるのである。
【0015】
布帛類の表面と劃して裏面のみにモノハロゲン化酢酸又はその塩を付与する、好ましい方法としては、モノハロゲン化酢酸又はその塩の水溶液を、スプレーなどによる噴霧法で、布帛類の裏面に付与する方法が挙げられる。また、モノハロゲン化酢酸又はその塩と糊剤とよりなる組成物を、布帛類の裏面に、コーティング又はプリントなどによって塗布する方法が挙げられる。特に、後者の方法は、糊剤を用いているため、布帛類の表面と確実に劃した状態で、裏面に存在するセルロース繊維のみをアルカリ金属カルボキシメチル化することができる。また、糊剤を用いているため、裏面の一部に存在するセルロース繊維をアルカリ金属カルボキシメチル化する場合も、好適である。何故なら、糊剤によって、裏面の所望の箇所に確実にモノハロゲン化酢酸又はその塩を付与することができ、付与箇所が毛細管現象などによって、拡がりにくいからである。なお、糊剤としては、アルギン糊、澱粉糊、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコールなどを用いることができる。
【0016】
布帛類の裏面に存在するセルロース繊維のアルカリ金属カルボキシメチル化の程度、即ちエーテル化度又は置換度(以下、「DS」という。この場合、表面と裏面を含んだ平均値としてはのDSをいう。)は、任意であるが、一般的に以下に示す程度が好ましい。即ち、布帛類全体を基準として、DSが0.001〜0.30が好ましく、0.015〜0.25がより好ましく、0.015〜0.20が最も好ましい。アルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維のアルカリ金属は、後に銅又は亜鉛とイオン交換され、銅カルボキシメチル化セルロース繊維又は亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維となるものである。従って、DSが高い方が、消臭性及び抗菌性において、より優れたものとなる。
【0017】
本発明において、DSは、以下の手順に係る測定方法で算出及び決定されるものである。
(1)上記の如き方法によってアルカリ金属カルボキシメチル化された布帛類試料1gを、80%メタノール溶液中で塩酸によって、酸型に変換する。ここで、酸型に変換するとは、アルカリ金属カルボキシメチル基〔−CH2COOM〕(但し、MはNaやKなどのアルカリ金属を示す。)をカルボキシメチル基〔−CH2COOH〕に変換することである。
(2)80%メタノール溶液で十分洗浄後、絶乾して、秤量し、Xgとする。
(3)絶乾後の試料を一定量のN/10水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、溶解させる。
(4)フェノールフタレイン指示薬を入れ、過剰の水酸化ナトリウムをN/10塩酸で中和滴定して、その使用量をSmlとする。
(5)同時に空試験を行い、N/10塩酸の使用量をBmlとする。
以上の結果、DSは次式により算出される。
DS=0.162A/(1−0.058A)
A=〔(B−S)f〕/10X
(但し、fはN/10塩酸のファクター)
【0018】
布帛類の裏面に存在するセルロース繊維をアルカリ金属カルボキシメチル化した後、このアルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維を、金属イオン交換反応によって、銅カルボキシメチル化セルロース繊維又は亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換する。金属イオン交換反応は、任意の方法で行うことができるが、一般的に以下の方法を採用するのが好ましい。即ち、裏面のみがアルカリ金属カルボキシメチル化された布帛類を、銅水溶液又は亜鉛水溶液に浸漬する方法が好ましい。銅水溶液としては、硫酸銅、水酸化銅、塩化銅、酢酸銅などの水溶液を用いることができ、硫酸銅の水溶液を用いるのが最も好ましい。また、亜鉛水溶液としては、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛などの水溶液を用いることができ、硫酸亜鉛の水溶液を用いるのが最も好ましい。銅水溶液の濃度は、例えば硫酸銅を用いる場合、硫酸銅質量基準で10〜200g/Lであるのが好ましい。また、亜鉛水溶液の濃度は、例えば硫酸亜鉛を用いる場合、硫酸亜鉛質量基準で10〜200g/Lであるのが好ましい。そして、銅水溶液又は亜鉛水溶液に浸漬すると、アルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維中のアルカリ金属が、銅又は亜鉛と置換され、銅カルボキシメチル化セルロース繊維又は亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維が得られるのである。
【0019】
一方、布帛類の表面は、各種染料で染色される。染料としては、任意のものを用いうるが、本発明においては特に反応染料を用いるのが好ましい。反応染料の場合、銅カルボキシメチル化セルロース繊維又は亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に対する染色性が悪く、表面のみが良好に染色されるからである。例えば、裏面のセルロース繊維を銅カルボキシメチル化又は亜鉛カルボキシメチル化した後、表面を染色する場合、布帛類全体を反応染料液中に浸漬しても、表面のみが良好に染色されるのである。従って、反応染料を用いれば、表面と裏面とを確実に劃して、表面のみが良好に染色されるので、好ましいのである。
【0020】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、布帛類の裏面に存在するセルロース繊維を銅カルボキシメチル化又は亜鉛カルボキシメチル化して、布帛類に消臭性能を与えれば、布帛類の表面と裏面とを十分に劃することができ、表面に良好な染色を施しうるとの知見に基づくものとして、解釈されるべきである。
【0021】
実施例1
40番手の綿糸を製織して、坪量120g/m2の綿織物を得た。この綿織物を水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム濃度:50g/L)に浸漬した後、圧搾し、絞り率を100%とした。その後、120℃の空気中で15分間乾燥した。この後、綿織物の裏面に、モノクロル酢酸ナトリウムとアルギン糊(アルギテックスα−105)を含む組成物水溶液をコーティングした。なお、組成物水溶液中におけるモノクロル酢酸ナトリウムの濃度は100g/Lであり、アルギン糊の濃度は25g/Lとした。また、コーティング量は、固形分質量で100g/m2とした。その後、120℃の空気中で15分間加熱処理を行った。以上のようにして、綿織物の裏面に存在する綿繊維(セルロース繊維)をナトリウムカルボキシメチル化した。
【0022】
この後、綿織物を硫酸銅5水和物水溶液(硫酸銅5水和物濃度:50g/L)に浸漬した後、圧搾した。そして、120℃の空気中で15分間乾燥した後、中和洗浄し、更に乾燥した。以上のようにして、綿織物の裏面に存在するナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維を、銅カルボキシメチル化セルロース繊維に変換した。得られた綿織物全体を基準とした、銅カルボキシメチル化のDSは、0.17であった。また、銅の含有量は6320ppmであった。
【0023】
その後、反応染料(C.I.Reactive Blue 19)10質量%水溶液に浸漬した後、圧搾して絞り率を70%とし、乾燥した。次いで、103℃で7分間の蒸熱処理を行い、乾燥した。この結果、綿織物の表面のみがきれいな青色に染色された。この後、常法により、洗浄及び乾燥を行った。以上のようにして、綿織物の表面に存在する綿繊維の全体が染色され、綿織物の裏面に存在する綿繊維の全体が銅カルボキシメチル化された消臭性セルロース系布帛類を得た。この消臭性セルロース系布帛類は、染色状態も良好で表面品位に優れており、しかも、十分な消臭性及び抗菌性を発揮するものであった。
【0024】
実施例2
実施例1と同一の方法で、綿織物の裏面に存在する綿繊維(セルロース繊維)をナトリウムカルボキシメチル化した。次いで、綿織物を硫酸亜鉛7水和物水溶液(硫酸亜鉛7水和物濃度:50g/L)に浸漬した後、圧搾した。そして、120℃の空気中で15分間乾燥した後、中和洗浄し、更に乾燥した。以上のようにして、綿織物の裏面に存在するナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維を、亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換した。
【0025】
その後、反応染料(C.I.Reactive Blue 19)5質量%及び元糊63質量%よりなる色糊を、綿織物の表面にプリントし、103℃で7分間の加熱処理を行った。この結果、綿織物表面のみにきれいな青色のプリント柄が染色された。その後、常法により、洗浄及び乾燥を行った。以上のようにして、綿織物の表面に存在する綿繊維の一部が染色され、綿織物の裏面に存在する綿繊維の全体が亜鉛カルボキシメチル化された消臭性セルロース系布帛類を得た。この消臭性セルロース系布帛類は、染色状態も良好で表面品位に優れており、しかも、十分な消臭性及び抗菌性を発揮するものであった。
【0026】
比較例1
実施例1で使用したのと同一の綿織物を、水酸化ナトリウムとモノクロル酢酸ナトリウムとの混合水溶液(水酸化ナトリウム濃度:50g/L、モノクロル酢酸ナトリウム濃度:100g/L)に浸漬し、圧搾して絞り率100%とした。その後、120℃の空気中で15分間加熱処理を行った。以上のようにして、綿織物全体の綿繊維をナトリウムカルボキシメチル化した。
【0027】
この後、綿織物を硫酸銅5水和物水溶液(硫酸銅5水和物濃度:50g/L)に浸漬した後、圧搾した。そして、120℃の空気中で15分間乾燥した後、中和洗浄し、更に乾燥した。以上のようにして、綿織物全体に存在するナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維を、銅カルボキシメチル化セルロース繊維に変換した。その後、実施例1と同様の方法で、反応染料による連続染色を試みた。得られた綿織物は、きれいな青色に染色することができなかった。即ち、色も薄く且つ色むらもあり、表面染色品位の悪い綿織物しか得られなかった。
【0028】
比較例2
比較例1と同一の方法で、綿織物全体の綿繊維をナトリウムカルボキシメチル化した。この後、実施例2と同一の方法で反応染料によるプリントを試みた。得られた綿織物は、きれいな青色にプリント染色することができなかった。即ち、色も薄く且つ色むらもあり、表面染色品位の悪い綿織物しか得られなかった。
【0029】
比較例3
実施例1で使用したのと同一の綿織物について、何らの処理も施すことなくそのまま、実施例1と同一の方法により、反応染料による連続染色を試みた。得られた綿織物を構成する綿繊維は、良好に染色されており、表面染色品位は優れているが、いずれも銅カルボキシメチル化又は亜鉛カルボキシメチル化されておらず、消臭性及び抗菌性が不十分であった。
【0030】
比較例4
実施例1で使用したのと同一の綿織物について、何らの処理も施すことなくそのまま、実施例2と同一の方法により、反応染料によるプリントを試みた。得られた綿織物を構成する綿繊維は、良好にプリントされ、表面染色品位は優れているが、いずれも銅カルボキシメチル化又は亜鉛カルボキシメチル化されておらず、消臭性及び抗菌性が不十分であった。
【0031】
実施例1及び2に係る消臭性セルロース系布帛類、及び比較例1〜4に係る綿織物について、その消臭性及び抗菌性を評価するため、以下の方法で試験を行い、その結果を表1に示した。
〔消臭性〕
各試験片1gを、500ml三角フラスコ(容量640cc)に吊るし、初期ガス濃度(ppm)及び1時間放置後の残存ガス濃度(ppm)を測定した。なお、使用したガスは、アンモニアガスと硫化水素ガスである。
〔抗菌性〕
JIS Z 1902に記載の方法に準拠し、黄色ブドウ球菌を用いて試験を行った。即ち、試験片0.4gに菌液0.2mlを滴下し、滴下直後の生菌数(個)、及び37℃で18時間放置後の生菌数(個)を測定した。
【0032】
〔表1〕
【0033】
実施例1及び2に係る消臭性セルロース系布帛類、及び比較例1〜4に係る綿織物の表面染色品位、消臭性及び抗菌性をまとめて示せば、表2のとおりである。なお、表面染色品位は、目視による評価である。
〔表2〕
即ち、実施例に係る消臭性セルロース系布帛類は、表面染色品位、消臭性及び抗菌性のいずれもが優れているが、比較例1及び2に係る綿織物は、表面染色品位が悪く、比較例2及び4に係る綿織物は消臭性及び抗菌性を発揮しないものであった。
【0034】
【発明の効果】
本発明に係る消臭性セルロース系布帛の製造方法では、セルロース繊維を銅カルボキシメチル化又は亜鉛カルボキシメチル化して、消臭性を与えるという手段を採用したので、布帛類の表面と裏面とを確実に劃して、裏面のみに銅カルボキシメチル化セルロース繊維又は亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維を存在させることができる。従って、布帛類の表面には、銅カルボキシメチル化又は亜鉛カルボキシメチル化されていないセルロース繊維を存在させることができ、セルロース繊維固有の染色性を維持することができる。この結果、銅カルボキシメチル化セルロース繊維又は亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維による消臭性と、セルロース繊維による良好な染色性を発揮でき、表面染色品位の良好な消臭性セルロース系布帛を提供しうるという効果を奏する。
Claims (4)
- 表裏面がセルロース繊維を主体として構成されてなる布帛類を準備する工程と、
該布帛類の裏面に存在するセルロース繊維の少なくとも一部を、アルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維に変換する工程と、
該アルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維を、金属イオン交換反応によって、銅カルボキシメチル化セルロース繊維又は亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換する工程と、
該布帛類の表面に存在する、銅カルボキシメチル化又は亜鉛カルボキシメチル化されていないセルロース繊維の少なくとも一部を染色する工程と、
を具備することを特徴とする染色された消臭性セルロース系布帛類の製造方法。 - 水酸化アルカリ金属水溶液に布帛類を浸漬し、次いで圧搾及び乾燥した後、モノハロゲン化酢酸又はその塩を、該布帛類の裏面の少なくとも一部に付与し、加熱処理を施すことにより、該布帛類の裏面に存在するセルロース繊維の少なくとも一部を、アルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維に変換する請求項1記載の染色された消臭性セルロース系布帛類の製造方法。
- モノハロゲン化酢酸又はその塩と糊剤とを含む組成物を、布帛類の裏面にコーティング又はプリントして、モノハロゲン化酢酸又はその塩を、該布帛類の裏面の少なくとも一部に付与する請求項2記載の染色された消臭性セルロース系布帛類の製造方法。
- 反応染料を用いて、布帛類の表面に存在するセルロース繊維の少なくとも一部を染色する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の染色された消臭性セルロース系布帛類の製造方法。
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