JP4101628B2 - 染色された消臭性セルロース系布帛類の製造方法 - Google Patents

染色された消臭性セルロース系布帛類の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、染色された布帛類の変色が最大限に抑制されると共に、良好な消臭性を発揮する消臭性セルロース系布帛類の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、セルロース繊維で構成されてなる布帛類に消臭性を与える方法として、以下のようなものが知られている。(i)セルロース繊維に活性炭粉末を付着させる方法、(ii)セルロース繊維の母体中に、活性炭粉末を分散させておく方法、(iii)セルロース繊維を、銅カルボキシメチル化セルロース繊維又は亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換する方法、などが知られている。
【0003】
しかしながら、(i)及び(ii)の方法は、得られた布帛類が全体に黒くなり、布帛類(布帛類中のセルロース繊維)を染色しても、所望の色を得にくいということがある。また、(iii)の方法の場合も、銅カルボキシメチル化セルロース繊維や亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維は、特に反応染料に対する反応性が悪く、布帛類を所望の色に染色しにくいということがあった。
【0004】
このため、本件出願人は、セルロース繊維で構成されてなる布帛類の裏面に存在するセルロース繊維のみを、銅カルボキシメチル化セルロース繊維や亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換し、表面に存在するセルロース繊維は、そのままの状態で染色して、布帛類の表面を所望の色に着色すると共に、良好な消臭性を発揮する消臭性セルロース系布帛類に関する発明を提案している(特願2001−175305)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明も、特願2001−175305に係る発明と同様に、布帛類を所望の色に着色すると共に、良好な消臭性を発揮する消臭性セルロース系布帛類を提供することを課題としている。本発明者などは、この課題を解決するため、種々研究を重ねていたところ、セルロース繊維で構成されてなる布帛類を、先に染色し、その後セルロース繊維を、特定の置換度でアルカリ金属カルボキシメチル化し、次いで、銅カルボキシメチル化セルロース繊維ではなく、亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換すると、先に染色した色の変色の程度が少なくなることが判明した。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、セルロース繊維を主体として構成されてなる布帛類に染色工程を適用して、該セルロース繊維が染色された染色布帛類を得た後、染色されたセルロース繊維を、その置換度が0.01〜0.10となるように、アルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維に変換し、次いで、該アルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維を、金属イオン交換反応によって、亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換することを特徴とする染色された消臭性並びに抗菌性に優れたセルロース系布帛類の製造方法に関するものである。
【0007】
本発明で用いる布帛類は、セルロース繊維を主体として構成されている。一般的には、セルロース繊維100%からなる布帛類が用いられる。また、セルロース繊維以外の他の繊維が混入している布帛類も用いられる。他の繊維としては、ポリオレフィン系繊維,ポリエステル系繊維,ポリアミド系繊維,アクリル系繊維などが挙げられる。布帛類が編織物の場合には、使用する糸条中に他の繊維が混紡又は混繊されていても良いし、またセルロース繊維よりなる糸条と他の繊維よりなる糸条とが交編織されていても良い。また、布帛類が不織布である場合は、セルロース繊維と上記他の繊維とが混綿されていても良い。更に、布帛類が紙である場合は、セルロース繊維であるパルプ繊維と共に、上記他の繊維が混抄されていても良い。
【0008】
この布帛類には、染色工程が適用され、所望の色に着色される。この染色工程では、布帛類のセルロース繊維が染色される。したがって、染色工程は、セルロース系布帛に適用される従来公知の方法、例えば、浸漬染色法、連続染色法、捺染染色法などが採用される。また、染顔料としても、セルロース繊維を着色しうる従来公知のもの、例えば、反応染料、直接染料、顔料などが用いられる。特に本発明においては、亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に対する染色性が悪く、所望の色に染色しにくい反応染料を用いる場合に実益がある。
【0009】
布帛類中のセルロース繊維を染色した後、このセルロース繊維の一部をアルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維に変換する。セルロース繊維をアルカリ金属カルボキシメチル化する方法は、従来公知のどのような方法を採用しても良い。例えば、アルカリ金属水酸化物の存在下に、セルロース繊維とモノハロゲン化酢酸又はその塩を反応させる方法が挙げられる。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどが用いられる。モノハロゲン化酢酸又はその塩としては、一般的に、モノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウム塩などが用いられる。具体的には、モノハロゲン化酢酸又はその塩を含有又は溶解させた水酸化アルカリ金属水溶液中に、布帛類を浸漬し、所定の絞り率で絞った後、加熱処理することによって、セルロース繊維とモノハロゲン化酢酸又はその塩を反応させることができる。
【0010】
本発明において重要なことは、セルロース繊維をアルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維に変換する際の置換度(この置換度は、布帛類に含有されているセルロース繊維全体の平均値としての置換度のことであり、後述する方法によって測定されるものである。なお、この置換度のことを、以下「DS」という。)を、0.01〜0.10とすることである。特に好ましくは、DSは0.01〜0.05であり、最も好ましくは0.01〜0.03である。DSを0.01未満とすると、布帛類に十分な消臭機能を与えにくくなるので、好ましくない一方、DSを0.10以下に限定した理由は、後述の実施例及び比較例の対比から分かるように、DS0.10の場合には、本発明によらなければ、染色した色の変化の度合いを少なくすることができないからである。つまり、本発明において、DS0.10という数値は、特別な技術的意義を有するものである。
【0011】
本発明において、DSは、以下の手順に係る測定方法で算出及び決定されるものである。
(1)上記の如き方法によってアルカリ金属カルボキシメチル化された布帛類試料1gを、80%メタノール溶液中で塩酸によって、酸型に変換する。ここで、酸型に変換するとは、アルカリ金属カルボキシメチル基〔−CH2COOM〕(但し、MはNaやKなどのアルカリ金属を示す。)をカルボキシメチル基〔−CH2COOH〕に変換することである。
(2)80%メタノール溶液で十分洗浄後、絶乾して、秤量し、Xgとする。
(3)絶乾後の試料を一定量のN/10水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、溶解させる。
(4)フェノールフタレイン指示薬を入れ、過剰の水酸化ナトリウムをN/10塩酸で中和滴定して、その使用量をSmlとする。
(5)同時に空試験を行い、N/10塩酸の使用量をBmlとする。
以上の結果、DSは次式により算出される。
DS=0.162A/(1−0.058A)
A=〔(B−S)f〕/10X
(但し、fはN/10塩酸のファクター)
【0012】
所定のDSで、セルロース繊維をアルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維に変換した後、金属イオン交換反応によって、アルカリ金属を亜鉛に変換する。すなわち、アルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維を、亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換するのである。これによって、布帛類に消臭機能を発揮させることができる。亜鉛に代えて銅に変換した場合も、布帛類に消臭機能を発揮させることができるが、亜鉛を用いる理由は、先の染色工程によって付与された色の変色度合いを少なくするためである。すなわち、銅を用いた場合には、銅カルボキシメチル化セルロース繊維自身が色を呈するため、先の染色工程によって付与された色の変色度合いが顕著になるため、本発明では用いることができないのである。
【0013】
上記した金属イオン交換反応は、任意の方法で行うことができるが、一般的に以下の方法を採用するのが好ましい。即ち、セルロース繊維をアルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維に変換した布帛類を、亜鉛水溶液に浸漬する方法が好ましい。亜鉛水溶液としては、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛などの水溶液を用いることができ、硫酸亜鉛の水溶液を用いるのが最も好ましい。亜鉛水溶液の濃度は、例えば硫酸亜鉛を用いる場合、硫酸亜鉛質量基準で10〜200g/Lであるのが好ましい。そして、亜鉛水溶液に浸漬すると、アルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維中のアルカリ金属が、亜鉛と置換され、亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維が得られるのである。
【0014】
以上のようにして得られた布帛類は、セルロース繊維の一部が亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換されているので、良好な消臭機能を発揮する。また、このセルロース繊維は予め先に染色されており、しかも、亜鉛カルボキシメチル化のDS(基本的に、アルカリ金属カルボキシメチル化のDSが、亜鉛カルボキシメチル化のDSとなる。)が0.01〜0.10の範囲内であるため、染色による色の変色度合いが少なく、所望の色を表現しうる。本発明によって得られた布帛類は、その変色度合いが、一般的に、色差(ΔE)5以下の範囲内となっている。すなわち、セルロース繊維を主体として構成されてなる布帛類を染色した染色布帛類の色と、この染色布帛類中のセルロース繊維をアルカリ金属カルボキシメチル化し、更に亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換した後の消臭性セルロース系布帛類の色との色差(ΔE)が、5以下ということである。この色差(ΔE)が5を超えると、変色度合いが顕著で所望の色の布帛類を得にくくなる。本発明においては、色差(ΔE)は、4以下であるのが好ましく、3以下であるのが最も好ましい。
【0015】
ここで、色差(ΔE)は、以下の方法で測定されるものである。すなわち、各布帛類を株式会社島津製作所製のUV−3100自記分光光度計(積分球使用)にて、表色法としてハンターLab系を用い、次のハンター色差式を用いて色差(ΔE)を求めるのである。
ΔE=〔(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)21/2
ここで、ΔLは染色布帛類と消臭性セルロース布帛類のL値の差であり、Δaは染色布帛類と消臭性セルロース布帛類のa値の差であり、Δbは染色布帛類と消臭性セルロース布帛類のb値の差である。
【0016】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、セルロース繊維で構成されてなる布帛類を、先に染色し、その後セルロース繊維を、亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に特定のDSで変換すると、先に染色した色の変色の程度を少なくしながら、亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維による消臭機能を十分発揮できるとの知見に基づくものとして、解釈されるべきである。
【0017】
実施例1〜4
40番手の綿糸を製織してなるブロード織物に、シルケット加工を施した布帛類を準備した。この布帛類を常法により反応染料(C.I.Reactive Yellow 76)2質量%水溶液に浸漬し、絞り率70%で絞った後、103℃で7分間の条件で乾燥するという連続染色法による染色工程を、布帛類に適用し、染色布帛類を得た。この後、染色布帛類を、モノクロル酢酸ソーダを含有する水酸化ナトリウム水溶液に浸漬した後、絞り率70%で絞った後、130℃で5分間の条件で乾熱処理し、染色布帛類中のセルロース繊維をナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維に変換した。その後、この染色布帛類を、硫酸亜鉛7水和物5質量%水溶液に浸漬した後、圧搾し、次いで十分に水洗し、脱水及び乾燥して、ナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維を、亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換した。以上のようにして、染色された消臭性セルロース系布帛類を得た。
【0018】
実施例1〜4の方法において、使用したモノクロル酢酸ソーダの含有量、水酸化ナトリウム水溶液の水酸化ナトリウム濃度、染色布帛中のセルロース繊維をナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維に変換した際におけるDS、及び染色布帛類と消臭性セルロース系布帛類の色差(ΔE)は、表1に示したとおりであった。
【0019】
Figure 0004101628
【0020】
また、実施例1〜4で得られた消臭性セルロース系布帛類について、その消臭性及び抗菌性を評価するため、以下の方法で試験を行い、その結果を表2に示した。
〔消臭性〕
実施例1〜4で得られた消臭性セルロース系布帛類から採取した各試験片1gを、500ml三角フラスコ(容量640cc)に吊るし、初期ガス濃度(ppm)及び1時間放置後の残存ガス濃度(ppm)を測定した。なお、使用したガスは、アンモニアガスと硫化水素ガスである。
〔抗菌性〕
JIS Z 1902に記載の方法に準拠し、黄色ブドウ球菌を用いて試験を行った。即ち、試験片0.4gに菌液0.2mlを滴下し、滴下直後の生菌数(個)、及び37℃で18時間放置後の生菌数(個)を測定した。
【0021】
Figure 0004101628
【0022】
実施例5〜8
反応染料(C.I.Reactive Yellow 76)に代えて、反応染料(C.I.Reactive Orenge 16)を用いる他は、実施例1〜4と同一の方法で、染色された消臭性セルロース系布帛類を得た。なお、使用したモノクロル酢酸ソーダの含有量、及び水酸化ナトリウム水溶液の水酸化ナトリウム濃度は、実施例1が実施例5に、実施例2が実施例6に、実施例3が実施例7に、実施例4が実施例8に対応する。
【0023】
染色布帛中のセルロース繊維をナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維に変換した際におけるDS、及び染色布帛類と消臭性セルロース系布帛類の色差(ΔE)は、表3に示したとおりであった。また、得られた消臭性セルロース系布帛類の消臭性及び抗菌性は、実施例1〜4で得られたものと同一であった。
【0024】
Figure 0004101628
【0025】
実施例9〜12
40番手の綿糸を製織してなるブロード織物に、シルケット加工を施した布帛類を準備した。この布帛類に常法により反応染料(C.I.Reactive Blue 19)を1%o.w.fの割合で使用し、浴比1:20、50℃で90分間の条件で浸漬するという浸漬染色法による染色工程を、布帛類に適用し、染色布帛類を得た。その後は、実施例1〜4と同一の方法で、染色された消臭性セルロース系布帛類を得た。なお、使用したモノクロル酢酸ソーダの含有量、及び水酸化ナトリウム水溶液の水酸化ナトリウム濃度は、実施例1が実施例9に、実施例2が実施例10に、実施例3が実施例11に、実施例4が実施例12に対応する。
【0026】
染色布帛中のセルロース繊維をナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維に変換した際におけるDS、及び染色布帛類と消臭性セルロース系布帛類の色差(ΔE)は、表4に示したとおりであった。また、得られた消臭性セルロース系布帛類の消臭性及び抗菌性は、実施例1〜4で得られたものと同一であった。
【0027】
Figure 0004101628
【0028】
比較例1〜4
40番手の綿糸を製織してなるブロード織物に、シルケット加工を施した布帛類を準備した。この布帛類を、モノクロル酢酸ソーダを含有する水酸化ナトリウム水溶液に浸漬した後、絞り率70%で絞った後、130℃で5分間の条件で乾熱処理し、布帛類中のセルロース繊維をナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維に変換した。その後、この布帛類を、硫酸亜鉛7水和物5質量%水溶液に浸漬した後、圧搾し、次いで十分に水洗し、脱水及び乾燥して、ナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維を、亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換した。この後、亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維よりなる布帛類に、反応染料(C.I.Reactive Blue 79)を2%o.w.fの割合で使用し、浴比1:20、80℃で90分間の条件で浸漬するという浸漬染色法による染色工程を適用し、染色を行って消臭性セルロース系布帛類を得た。なお、使用したモノクロル酢酸ソーダの含有量、及び水酸化ナトリウム水溶液の水酸化ナトリウム濃度は、実施例1が比較例1に、実施例2が比較例2に、実施例3が比較例3に、実施例4が比較例4に対応する。
【0029】
布帛中のセルロース繊維をナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維に変換した際におけるDS、及び染色布帛類と消臭性セルロース系布帛類の色差(ΔE)は、表5に示したとおりであった。なお、比較例で言う染色布帛類とは、準備した布帛類に、ナトリウムカルボキシルメチル化及び亜鉛カルボキシメチル化せずに、直接、比較例1〜4に係る方法で染色した布帛類のことをいう。また、得られた消臭性セルロース系布帛類の消臭性及び抗菌性は、実施例1〜4で得られたものと同一であった。
【0030】
Figure 0004101628
【0031】
比較例5〜8
比較例1〜4に係る方法と同一の方法により、布帛類中のセルロース繊維を亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換した。その後、反応染料Black配合色(C.I.Reactive Black 5 ベース)を6%o.w.fの割合で使用し、浴比1:20、50℃で90分間の条件で浸漬するという浸漬染色法による染色工程を、布帛類に適用し、染色を行って消臭性セルロース系布帛類を得た。なお、使用したモノクロル酢酸ソーダの含有量、及び水酸化ナトリウム水溶液の水酸化ナトリウム濃度は、実施例1が比較例5に、実施例2が比較例6に、実施例3が比較例7に、実施例4が比較例8に対応する。
【0032】
布帛中のセルロース繊維をナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維に変換した際におけるDS、及び染色布帛類と消臭性セルロース系布帛類の色差(ΔE)は、表6に示したとおりであった。また、得られた消臭性セルロース系布帛類の消臭性及び抗菌性は、実施例1〜4で得られたものと同一であった。
【0033】
Figure 0004101628
【0034】
実施例1〜12及び比較例1〜8の結果において、セルロース繊維の置換度が最も高い場合(DSが0.10の場合)、すなわち、染色した色の変化が激しい場合の色差(ΔE)を比べると表7のとおりになる。
Figure 0004101628
表7の結果から明らかなように、実施例に係る方法で得られた消臭性セルロース系布帛類は、比較例に係る方法で得られたものに比べて、染色による色の変化が少ないことが分かる。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、セルロース繊維を主体として構成されてなる布帛類を、先に染色し、その後セルロース繊維の一部を、特定の置換度でアルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維に変換し、次いで、アルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維を、銅カルボキシメチル化セルロース繊維ではなく、亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換するという方法を採用することによって、亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維による良好な消臭機能及び抗菌機能を発揮させうると共に、セルロース繊維のカルボキシメチル化による染色した色の変化を抑制しうるという効果を奏するものである。また、本発明によれば、染色した色の変化の程度が少ないので、それを予め予測し、染色工程を調整することによって、所望の色が得やすくなるという効果も奏する。

Claims (5)

  1. セルロース繊維を主体として構成されてなる布帛類に染色工程を適用して、該セルロース繊維が染色された染色布帛類を得た後、染色されたセルロース繊維を、その置換度が0.01〜0.10となるように、アルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維に変換し、次いで、該アルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維を、金属イオン交換反応によって、亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維に変換することを特徴とする染色された消臭性セルロース系布帛類の製造方法。
  2. セルロース繊維を反応染料で染色する請求項1記載の染色された消臭性セルロース系布帛類の製造方法。
  3. 布帛類を、モノハロゲン化酢酸又はその塩を含む水酸化アルカリ金属水溶液に浸漬した後、加熱処理を施すことにより、染色されたセルロース繊維をアルカリ金属カルボキシメチル化セルロース繊維に変換する請求項1記載の染色された消臭性セルロース系布帛類の製造方法。
  4. 請求項1記載の方法で得られた染色された消臭性セルロース系布帛類。
  5. 染色布帛類との色差(ΔE)が、ハンター色差式で5以下である請求項4記載の染色された消臭性セルロース系布帛類。
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