本発明の実施形態に係る燃料蒸気排出抑制装置が適用された燃料蒸気排出抑制装置10について、図1乃至図9に基づいて説明する。
図1には、燃料蒸気排出抑制装置10の概略全体構成が模式的なシステム構成図にて示されている。この図に示される如く、燃料蒸気排出抑制装置10は、内燃機関であるエンジン12に供給される燃料(例えば、炭化水素を主成分とする燃料)を貯留するための燃料タンク14を備えている。燃料タンク14には、図示しない燃料ポンプが設けられており、該燃料ポンプの作動によって燃料タンク14内の燃料がエンジン12に供給されるようになっている。
また、燃料タンク14には、一端が給油口16Aとされた給油ホース16の他端が接続されている。燃料蒸気排出抑制装置10では、給油口16Aは、フューエルキャップ17にて封止されており、フューエルキャップ17は、車両外側から取り外し可能となるように車体外板18に形成された給油窓18Aに臨んで配置されている。フューエルキャップ17を外した状態では、給油口16Aからの給油が可能とされている。
この給油窓18Aは、フューエルリッド20にて開閉可能とされている。この実施形態では、フューエルリッド20は、リッドロック装置22にて給油窓18Aを閉止する状態が維持されるようになっている。リッドロック装置22は、車室内に設けられたリッドスイッチ23が操作されると、後述する燃料蒸気系ECU38の指令に基づきロック解除位置に移動する構成とされている。これにより、リッドスイッチ23が操作された場合には、図示しないスプリングの復元力等によってフューエルリッド20が給油窓18Aを開放する構成とされている。
また、リッドロック装置22は、例えば人手によってフューエルリッド20が給油窓18Aを閉止する閉止位置に戻されると、スプリングの付勢力やフューエルリッド20との相対移動に伴う案内(カム動作)等によってフューエルリッド20に対する姿勢を復元させ、該フューエルリッド20を再度ロックする構成とされている。このリッドロック装置22には、開閉スイッチが内蔵されており、フューエルリッド20をロックしていることに対応する信号(例えばOFF信号)、フューエルリッド20のロックが解除されていることに対応する信号(例えばON信号)を後述する燃料蒸気系ECU38に出力する構成とされている。なお、リッドロック装置22におけるフューエルリッド20のロック機能と、ロック検出の機能を別個の部品にて実現するように構成しても良い。
さらに、燃料タンク14の上部には、給油時の液面上昇により閉弁すると共に、車両転倒時に閉弁するバルブ装置24が設けられている。バルブ装置24は、所謂COV(カットオフバルブ)、ROV(ロールオーババルブ)の機能を有するものとして把握することができる。そして、燃料蒸気排出抑制装置10では、バルブ装置24を介してエバポ配管26の一端が燃料タンク14に接続されている。エバポ配管26の他端は、蒸発燃料を吸着するためのキャニスタ28に接続されている。キャニスタ28は、ハウジング28A内に吸着剤としての活性炭28Bを収容して構成されている。
また、キャニスタ28には、一端が大気と連通した大気開放端30Aとされた大気配管30の他端が接続されている。したがって、この実施形態では、キャニスタ28を介して燃料タンク14を大気に連通させるエバポ配管26及び大気配管30が、本発明における第1配管に相当する。
さらに、キャニスタ28は、その活性炭28Bに吸着されている燃料をパージするためのパージ配管32の一端が接続されている。パージ配管32の他端は、パージ装置としてのパージ制御弁(この実施形態ではバキュームスイッチングバルブ)36を介して、エンジン12の図示しない吸気通路に接続されている。これにより、詳細は後述するが、燃料蒸気排出抑制装置10では、エンジン12の作動中にパージ制御弁36が開弁されると、キャニスタ28(の活性炭28B)に吸着されている燃料蒸気(燃料ベーパ)が該キャニスタ28から離脱してエンジンの吸気系にパージされるようになっている。また、パージ制御弁36は、後に説明するように、燃料蒸気系ECU38によって開弁のタイミングが制御されるようになっている。
そして、燃料蒸気排出抑制装置10は、大気配管30と並列して設けられた第2配管としてのバイパス配管40を備えている。すなわち、バイパス配管40は、分岐部J1において大気配管30から分岐され、該分岐部J1よりも大気開放端30A側の合流部J2において大気配管30と合流している。このバイパス配管40には、正負圧弁42が設けられている。正負圧弁42は、燃料タンク14側と大気開放端30A側との圧力差に応じて自立的に開閉するように構成されている。
この実施形態では、バイパス配管40は、後述する切替バルブ44によるバイパス配管40の開放状態(バイパス配管選択状態)で、燃料タンク14の内圧Ptが大気圧よりも高い上限圧力Pu以上になった(上限圧力Puを上回った)場合、燃料タンク14の内圧Ptが大気圧よりも低い下限圧力Pl以下になった(下限圧力Plを下回った)場合に、それぞれ圧力差によって自立的に開弁する構成とされている。したがって、正負圧弁42は、本発明における正圧弁と負圧弁とが並列して一体化された如き構成であると把握することができる。
正負圧弁42について、さらに補足する。正負圧弁42の正圧弁は、図示しない弁体がスプリングによって閉じ付勢されて弁座に当接されており、燃料タンク14の圧力が上限圧力Pu以上になると、スプリングの付勢力に抗して弁体が開弁位置に移動する構成とされている。同様に、正負圧弁42の負圧弁は、図示しない弁体がスプリングによって閉じ付勢されて弁座に当接されており、燃料タンク14の圧力が下限圧力Pl以下になると、スプリングの付勢力に抗して弁体が開弁位置に移動する構成とされている。すなわち、正負圧弁42は、例えば流れ方向に対し対称に形成されたバルブを上記の如く並列させて構成されたものとして把握することが可能である。なお、上限圧力Puは、燃料タンク14の正圧に対する許容圧力未満に設定されており、下限圧力Plは、燃料タンク14の負圧に対する許容圧力を超える値に設定されている。
このバイパス配管40と大気配管30との合流部J2には、第1配管開閉手段としての切替バルブ44が設けられている。切替バルブ44は、大気配管30における分岐部J1と合流部J2との間の部分を開放すると共にバイパス配管40における正負圧弁42と合流部J2との間を閉止する大気配管選択状態と、大気配管30における分岐部J1と合流部J2との間の部分を閉止すると共にバイパス配管40における正負圧弁42と合流部J2との間を開放するバイパス配管選択状態とを選択的に切り替え得る構成とされている。この実施形態では、切替バルブ44は、通常はバイパス配管選択状態とされ、後述する所定の場合に燃料蒸気系ECU38によって大気配管選択状態に切り替えられる構成とされている。
さらに、燃料蒸気排出抑制装置10は、大気配管30に設けられた負圧ポンプ(真空ポンプ)46を備えている。負圧ポンプ46は、作動することで、上流側のガスを下流側に排出して上流側に負圧を導入する構成とされている。この実施形態では、負圧ポンプ46は、大気配管30におけるバイパス配管40との合流部J2よりも大気開放端30A側に配置されている。これにより、燃料蒸気排出抑制装置10では、負圧ポンプ46が作動することで、大気配管30(バイパス配管40)、キャニスタ28、エバポ配管26を経由して燃料タンク14に負圧が導入される、すなわち燃料タンク14内のガスが排出されるようになっている。
また、大気配管30における分岐部J1よりもキャニスタ28側には、大気配管30すなわち燃料タンク14の内圧に応じた信号を出力する圧力センサ48が設けられている。圧力センサ48は、キャニスタ28、エバポ配管26、燃料タンク14に設けられても良いが、この実施形態では、大気配管30に設けられて後述するキャニスタ大気開放側ユニット56を構成している。
さらに、大気配管30におけるキャニスタ28の近傍には、キャニスタ吸着量検出手段としての燃料蒸気濃度センサ50が設けられている。燃料蒸気濃度センサ50は、エンジン12の燃料(炭化水素)の濃度、すなわちキャニスタ28への燃料蒸気の吸着量に応じた信号を出力するようになっている。
またさらに、この実施形態では、大気配管30における合流部J2と負圧ポンプ46との間には、大気配管30の内圧に応じた信号を出力するOBD用圧力センサ52が設けられている。OBD用圧力センサ52は、後述する大気配管30、バイパス配管40の異常診断に用いられる異常検出用の圧力センサとされている。
そして、燃料蒸気排出抑制装置10は、パージ制御弁36、切替バルブ44、負圧ポンプ46を制御する制御手段としての燃料蒸気系ECU38を備えている。この燃料蒸気系ECU38は、圧力センサ48、燃料蒸気濃度センサ50、リッドロック装置22、リッドスイッチ23の他に、システムスイッチ54は、燃料蒸気排出抑制装置10が適用された車両の乗員が運転(車両の走行)を開始する際にON操作されるスタートスイッチに相当する。燃料蒸気排出抑制装置10が適用された車両では、システムスイッチ54がONされている場合に走行が許容される構成とされている。
また、燃料蒸気排出抑制装置10が適用された車両は、例えば、エンジン12の他に、走行用の駆動源としてバッテリの電力で駆動力を生じる電気モータを備えるハイブリッド車に適用される。このため、燃料蒸気系ECU38には、ハイブリッド車のシステムを制御するハイブリッドECUから、エンジン12が作動しているか否かに応じた信号が入力されるようになっている。この実施形態では、燃料蒸気排出抑制装置10が適用されたハイブリッド車は、外部電源からバッテリに充電可能な所謂プラグインハイブリッド車とされており、エンジン12で発電した電力のみをバッテリに充電するハイブリッド車と比較して、エンジン12の停止状態で走行可能な距離が長い構成とされている。
以上により、燃料蒸気系ECU38は、システムスイッチ54、圧力センサ48、燃料蒸気濃度センサ50、リッドロック装置22、リッドスイッチ23、及びハイブリッドECUの出力信号に基づいて、パージ制御弁36、切替バルブ44、負圧ポンプ46の動作を制御するようになっている。この制御については、本実施形態の作用と共に後述する。
以上説明したように燃料蒸気排出抑制装置10では、燃料蒸気系ECU38による制御対象であるパージ制御弁36、切替バルブ44(バイパス配管40)、負圧ポンプ46、制御パラメータを出力するための圧力センサ48、燃料蒸気濃度センサ50がそれぞれ大気配管30に設けられて、キャニスタ大気開放側ユニット56を構成している。すなわち、キャニスタ大気開放側ユニット56は、燃料蒸気排出抑制装置10の特徴的な構成部分を大気配管30に集約して構成され、全体としての1つのユニット(モジュール)として取り扱うことができる構成である。
また、燃料蒸気排出抑制装置10では、燃料蒸気系ECU38は、OBD用圧力センサ52にも電気的に接続されており、該OBD用圧力センサ52の出力信号に基づいて、大気配管30、バイパス配管40すなわちキャニスタ大気開放側ユニット56異常検出(ン量蒸気の漏れの原因となる穴あき検出)する構成とされている。
次に、本実施形態の作用を、図2に示すフローチャートによる制御例を参照しつつ説明する。
上記構成の燃料蒸気排出抑制装置10が適用された車両では、通常は切替バルブ44がバイパス配管選択状態になっているので、例えば該車両の駐車中には、正負圧弁42によって燃料タンク14の内圧Ptが適正範囲に維持されつつ、キャニスタ28を経由した燃料蒸気の大気放出が抑制される。すなわち、燃料タンク14の内圧Ptが上限圧力Puから下限圧力Plまでの範囲にある場合には、燃料タンク14は封鎖され、キャニスタ28への燃料蒸気の導入が禁止されている。
この状態から、例えば外気温の上昇に伴って、燃料タンク14内の温度が上昇して燃料タンク14の内圧Ptが上限圧力Puに至ると、図3に示される如く、正負圧弁42(の正圧弁)が開弁される。これにより、エバポ配管26、キャニスタ28、大気配管30、バイパス配管40、再び大気配管30を経由した燃料タンク14から大気開放端30Aに向かうガス流が生成される。このガス流によって、燃料蒸気はキャニスタ28の活性炭28Bに吸着され、空気等が大気放出される。正負圧弁42が閉弁されると、燃料タンク14とキャニスタ28との間のガス流はなくなる。
一方、例えば外気温の低下に伴って燃料タンク14内の温度が低下して燃料タンク14の内圧Ptが下限圧力Plに至ると、図4に示される如く、正負圧弁42(の負圧弁)が開弁される。これにより、大気配管30、バイパス配管40、キャニスタ28、エバポ配管26を経由した大気開放端30Aから燃料タンク14に向かうガス流が生成され、燃料蒸気(及び空気等)が燃料タンク14内に戻される(バックパージされる)。このバックパージによりキャニスタ28への燃料蒸気の吸着量が減少される。正負圧弁42が閉弁されると、キャニスタ28と燃料タンク14との間のガス流はなくなる。
燃料蒸気排出抑制装置10では、適用された車両のシステムスイッチ54がON操作されると、燃料蒸気系ECU38は起動される。起動された燃料蒸気系ECU38は、ステップS10で、リッドスイッチ23が操作されていないか否かを判断する。リッドスイッチ23が操作されていないと判断した場合、燃料蒸気系ECU38は、ステップS12に進む。ステップS12で燃料蒸気系ECU38は、システムスイッチ54がOFF操作されていないか否かを判断する。
システムスイッチ54がOFF操作されていないと判断した場合、燃料蒸気系ECU38は、ステップS14に進み、燃料蒸気濃度センサ50からの信号に基づいて、キャニスタ28の吸着燃料の濃度Cが閾値C1を超えているか否かを判断する。キャニスタ28の吸着燃料の濃度Cが閾値C1を超えていないと判断した燃料蒸気系ECU38は、燃料蒸気排出抑制装置10に戻り、キャニスタ28の吸着燃料の濃度Cが閾値C1を超えている
と判断した燃料蒸気系ECU38は、ステップS16に進む。
ステップS16で燃料蒸気系ECU38は、ハイブリッドECUからの信号に基づいて、エンジン12が作動しているか否かを判断する。エンジン12が作動していないと判断した燃料蒸気系ECU38燃料蒸気排出抑制装置10に戻り、エンジン12が作動していると判断した燃料蒸気系ECU38は、ステップS18に進む。ステップS10からステップS16を繰り返している場合、燃料蒸気排出抑制装置10は、上記した駐車中(図3、図4)の場合と同様に、正負圧弁42によって燃料タンク14の内圧Ptが適正範囲に維持されつつ、キャニスタ28を経由した燃料蒸気の大気放出が抑制される。なお、ステップS16でエンジン12が作動していないと判断した場合、燃料蒸気系ECU38は、ハイブリッドECUに対しエンジン12の始動要求を出力するようにしても良い。
ステップS18に進んだ燃料蒸気系ECU38は、切替バルブ44を制御して、バイパス配管選択状態から大気配管選択状態に切り替え、ステップS20に進む。ステップS20で燃料蒸気系ECU38は、パージ制御弁36を制御して開弁させる。これにより、パージ配管32を介してキャニスタ28とエンジン12の吸気通路とが連通される。すなわち、パージ配管32、キャニスタ28、大気配管30を介して、大気開放端30Aとエンジン12の吸気通路とが連通される。
これにより、図5に示される如く、エンジン12の吸気通路の負圧によって、大気開放端30Aからエンジン12の吸気通路に向かうガス流が生成される。このガス流によって、キャニスタ28には大気開放端30Aから新気が導入され、この新気に押し出されたキャニスタ28への吸着燃料蒸気がエンジン12に供給される。したがって、キャニスタ28に吸着されていた燃料蒸気は、エンジン12にパージされて該エンジン12に消費される。
ステップS20の実行後、燃料蒸気系ECU38は、ステップS22に進み、キャニスタ28の吸着燃料の濃度Cが別の閾値C2(<C1)以下であるか否かを判断する。キャニスタ28の吸着燃料の濃度Cが閾値C2以下ではないと判断した場合、燃料蒸気系ECU38はステップS22に戻る。すなわち、キャニスタ28の吸着燃料の濃度Cが閾値C2以下になるまでパージ状態を維持させる(パージ制御弁36の開弁を維持し、又は開閉を繰り返す)。一方、キャニスタ28の吸着燃料の濃度Cが閾値C2以下であると判断した場合、燃料蒸気系ECU38は、ステップS24に進み、パージ制御弁36を閉弁させる。
次いで、燃料蒸気系ECU38は、ステップS26に進み、切替バルブ44を大気配管選択状態からバイパス配管選択状態に切り替えさせ、ステップS10に戻る。
他方、ステップS10で、リッドスイッチ23が操作されたと判断した場合、燃料蒸気系ECU38は、ステップS28に進む。ステップS28で燃料蒸気系ECU38は、切替バルブ44を制御して、バイパス配管選択状態から大気配管選択状態に切り替え、ステップS30に進む。ステップS30で燃料蒸気系ECU38は、圧力センサ48からの信号に基づいて、燃料タンク14の内圧Ptが規定の圧力P1(例えば大気圧近傍の圧力)を下回るか否かを判断する。燃料タンク14の内圧Ptが規定の圧力P1を下回らないと判断した燃料蒸気系ECU38は、ステップS30に戻る。すなわち、燃料タンク14の内圧Ptが規定の圧力P1を下回るまで繰り返す(待機する)。
ステップS30で燃料タンク14の内圧Ptが規定の圧力P1を下回ると判断した燃料蒸気系ECU38は、ステップS32に進み、リッドロック装置22を制御してフューエルリッド20のロック状態を解除させる。これにより、フューエルリッド20は、図示しないスプリングの付勢力等によって給油窓18Aを開放する開放位置に至る。この開放された給油窓18Aを通じてフューエルキャップ17を取り外し、露出された給油口16Aから燃料タンク14内に燃料を供給すると、燃料タンク14の燃料液面が上昇する。
この燃料タンク14内の液面上昇に伴って、図6に示される如く、燃料タンク14の上部に対流していた燃料蒸気を含むガスが押し出される。このガスのうち、主に燃料蒸気(炭化水素)成分は、エバポ配管26を介して導入されたキャニスタ28にて吸着され、他の成分は、キャニスタ28を通過し、大気配管30を経由して大気開放端30Aから大気開放される。
ステップS30の実行後、燃料蒸気系ECU38は、ステップS34に進み、リッドロック装置22からの信号に基づいて、フューエルリッド20が給油窓18Aを閉止する閉止位置でロックされたか否かを判断する。フューエルリッド20が給油窓18Aを閉止する閉止位置でロックされていないと判断した燃料蒸気系ECU38は、ステップS34に戻る。すなわち、フューエルリッド20が給油窓18Aを閉止する閉止位置でロックされるまで繰り返す(待機する)。
ステップS34でフューエルリッド20が給油窓18Aを閉止する閉止位置でロックされたと判断した燃料蒸気系ECU38は、ステップS26に進み、上記の場合と同様に、切替バルブ44を大気配管選択状態からバイパス配管選択状態に切り替えさせ、ステップS10に戻る。
また他方、ステップS12でシステムスイッチ54がOFF操作されたと判断した場合、燃料蒸気系ECU38は、ステップS36に進み、燃料タンク14の内圧Ptが正圧であるか否かを判断する。燃料タンク14の内圧Ptが正圧でない(負圧又はゲージ圧0)である判断した場合、燃料蒸気系ECU38は、制御を終了する。一方、燃料タンク14の内圧Ptが正圧であると判断した場合、燃料蒸気系ECU38は、ステップS38に進み、燃料蒸気濃度センサ50からの信号に基づいて、キャニスタ28の吸着燃料の濃度Cが規定の濃度C3以下であるか否かを判断する。
キャニスタ28の吸着燃料の濃度Cが規定の濃度C3以下でないと判断した場合、燃料蒸気系ECU38は、制御を終了する。一方、キャニスタ28の吸着燃料の濃度Cが規定の濃度C3以下であると判断した場合、燃料蒸気系ECU38は、ステップS40に進み、負圧ポンプ46を作動させる。これにより、図7に示される如く、燃料タンク14からエバポ配管26、キャニスタ28、大気配管30、バイパス配管40(正負圧弁42の正圧弁)、再び大気配管30を経由して大気開放端30Aに至るガス流が生成される。
このガス流により、燃料タンク14内の燃料蒸気を含むガスが該燃料タンク14外に排出されるので、燃料タンク14の内圧Ptが低下される。この際、燃料蒸気はキャニスタ28にて吸着され、大気開放端30Aからは空気等が排出される。
次いで、燃料蒸気系ECU38は、ステップS42に進み、燃料タンク14の内圧Ptが負圧に至ったか否かを判断する。燃料タンク14の内圧Ptが負圧に至っていないと判断した場合、燃料蒸気系ECU38はステップS42に戻る。すなわち、燃料タンク14の内圧Ptが負圧になるまで繰り返す(待機する)。このとき、正負圧弁42の正圧弁は、負圧導入に対し逆止弁として機能し、燃料タンク14へ向かうガス流が生成されることが防止される。
そして、ステップS42で燃料タンク14の内圧Ptが負圧になったと判断した燃料蒸気系ECU38は、ステップS44で負圧ポンプ46を停止させた後、制御を終了する。この際、燃料蒸気排出抑制装置10では、バイパス配管選択状態とされているので、燃料タンク14内は、正負圧弁42によって負圧に保持される。換言すれば、燃料タンク14の内圧Ptは、正負圧弁42の負圧弁の開放圧力である下限圧力Plよりも高い圧力(負圧)とされている。
また、燃料蒸気排出抑制装置10では、例えばシステムOFF状態の適時に、キャニスタ大気開放側ユニット56の異常診断を行う。具体的には、燃料蒸気系ECU38は、大気配管選択状態で負圧ポンプ46を作動させ、図8に太線にて示される如く部分を負圧に保持したまま(正負圧弁42の負圧弁が開放されないように負圧ポンプ46を作動させたまま)、OBD用圧力センサ52の出力信号の変化を監視する。例えば、OBD用圧力センサ52の出力信号の時間当たりの変化率又は変化量が所定値以内である場合に、燃料蒸気系ECU38は、エバポ配管26、大気配管30における負圧ポンプ46よりも燃料タンク14側、バイパス配管40における正負圧弁42よりも分岐部J1側に異常(漏れの原因となる穴あき)がないと判断する。一方、例えば、OBD用圧力センサ52の出力信号の時間当たりの増加率又は増加量が所定値を超える場合に、燃料蒸気系ECU38は、エバポ配管26、大気配管30における負圧ポンプ46よりも燃料タンク14側、バイパス配管40における正負圧弁42よりも分岐部J1側に異常(漏れの原因となる穴あき)があると判断し、例えば警告装置等を作動させる。
次いで、燃料蒸気系ECU38は、バイパス配管選択状態で負圧ポンプ46を作動させ、図9に太線にて示される如く部分を負圧に保持したまま(正負圧弁42の正圧弁が開放されないように負圧ポンプ46を作動させたまま)、OBD用圧力センサ52の出力信号の変化を監視する。例えば、OBD用圧力センサ52の出力信号の時間当たりの変化率又は変化量が所定値以内である場合に、燃料蒸気系ECU38は、バイパス配管40における正負圧弁42から合流部J2までの部分、大気配管30における合流部J2(切替バルブ44)から負圧ポンプ46までの部分に異常(漏れの原因となる穴あき)がないと判断する。一方、例えば、OBD用圧力センサ52の出力信号の時間当たりの増加率又は増加量が所定値を超える場合に、燃料蒸気系ECU38は、バイパス配管40における正負圧弁42から合流部J2までの部分、大気配管30における合流部J2(切替バルブ44)から負圧ポンプ46までの部分に異常(漏れの原因となる穴あき)があると判断し、例えば警告装置等を作動させる。
なお、図8に示す範囲の異常診断と、図9に示す範囲の異常診断とは、何れを先に実行しても良い。
ここで、燃料蒸気排出抑制装置10では、バイパス配管40、正負圧弁42、切替バルブ44を備え、通常は切替バルブ44によってバイパス配管選択状態が選択されているので、例えば駐車中や走行中には、燃料タンク14の内圧Ptが上限圧力以上になるまで燃料タンク14内の燃料蒸気が燃料タンク14内で封鎖される。これにより、大気配管選択状態とする場合と比較して、キャニスタ28への燃料蒸気の流入を抑制することができる。しかも、例えば燃料蒸気を生じ易い高温環境下において、大気配管選択状態と比較して燃料タンク14の内圧Ptが高く維持され、燃料蒸気の発生が抑制される。
一方、燃料蒸気排出抑制装置10では、燃料タンク14の内圧Ptが下限圧力Plに至るとキャニスタ28に吸着されていた燃料蒸気が燃料タンク14にバックパージされるので、例えば外気温が低い場合等には、キャニスタ28に吸着されている燃料蒸気の量が減少される。
したがって、例えば、1日の気温変化により燃料タンク14が高温になってキャニスタ28への燃料吸着が行われる場合でも、該吸着自体が正負圧弁42の正圧側の開放圧力の設定により抑制され、1日の気温変化により燃料タンク14が低温になるとバックパージによりキャニスタ28への燃料吸着量が低減される。また、燃料タンク14に過大な負圧がかかることが防止され、燃料タンク14が保護され、信頼性が向上する。
以上により、燃料蒸気排出抑制装置10では、キャニスタ28に吸着される燃料蒸気の量を低減させることができ、キャニスタ28の容量不足に起因して該キャニスタ28経由で燃料蒸気(エミッション)が大気放出されることが抑制される。また、キャニスタ28の容量減少が可能となるので、該減少分の軽量化により、燃料蒸気排出抑制装置10が適用された車両の燃費向上に寄与する。さらに、燃料蒸気排出抑制装置10では、キャニスタ28の燃料蒸気の吸着量が低減されることで、キャニスタ28に吸着されている燃料蒸気をエンジン12にパージする時間(回数)を減らすことができる。このため、燃料蒸気排出抑制装置10が適用されたハイブリッド車は、走行中におけるエンジン12の停止可能時間が長くなり、これによっても燃費の向上が可能である。
また、燃料蒸気排出抑制装置10では、キャニスタ28に吸着されている燃料蒸気をエンジン12にパージする際には、大気配管選択状態に切り替えられる(ステップS18)ので、正負圧弁42経由でキャニスタ28に外気を導入する場合と比較して、キャニスタ28への外気(新気)導入流量が増す。すなわち、正負圧弁42経由でキャニスタ28に外気を導入する場合と比較して、キャニスタ28に吸着されている燃料蒸気の該キャニスタ28からの単位時間当たりの離脱量を増加することができる。
これにより、制御するバルブが切替バルブ44のみである簡単な構造でありながら、キャニスタ28に吸着されている燃料蒸気のパージに要する時間、パージの回数を減らすことができる。このため、燃料蒸気排出抑制装置10が適用されたハイブリッド車は、エンジン12の停止可能時間が一層長くなり、これによっても燃費の向上が可能である。しかも、キャニスタ28に吸着されたままの残存燃料蒸気量が減るので、走行中、駐車中(燃料タンク14の内圧Ptが上限圧力Pu以上になった場合)に大気放出される燃料蒸気の量を低減することができる。また、燃料蒸気排出抑制装置10では、キャニスタ28に対する大気開放端30A側に正負圧弁42、切替バルブ44が配置されているので、キャニスタ28から離脱した燃料蒸気が対流等によって大気放出されてしまうことが防止される。
さらに、燃料蒸気排出抑制装置10では、燃料タンク14への給油の際には、大気配管選択状態に切り替えられる(ステップS28)ので、燃料タンク14の内圧を短時間で低下させてリッドロック装置22によるフューエルリッド20のロック状態を解除させることができる。また、燃料タンク14の内圧Ptが規定の圧力P1以下に低減されてから給油口16Aの開放が許容されるので、該給油口16Aからの燃料蒸気の大気放出が抑制される。さらに、燃料蒸気排出抑制装置10では、燃料タンク14への給油に伴い該燃料タンク14から押し出されるガスが大気配管30を経由して連続的に(スムースに)流れるので、給油性が良好である。
またさらに、燃料蒸気排出抑制装置10では、システムスイッチ54がOFFされた場合に負圧ポンプ46を作動させて燃料タンク14内を負圧にする(ステップS40〜ステップS44)ので、燃料蒸気排出抑制装置10が適用された車両の駐車開始時に燃料タンク14を負圧にすることができる。このため、例えば外気温の上昇に伴う燃料タンク14の内圧Ptの最大圧力を低く抑えることができるので、燃料タンク14の内圧Ptが正負圧弁42(の正圧弁)を開放させる上限圧力Pu以上になり難い(燃料蒸気が発生し難い)。したがって、正負圧弁42による燃料タンク14の封鎖状態が維持され易く、駐車中におけるキャニスタ28への燃料蒸気の吸着量が少なく抑えられる。
一方、キャニスタ28の吸着量が多い場合(ステップS38)には、燃料タンク14への負圧導入が禁止されるので、キャニスタ28の容量を超える燃料蒸気が該キャニスタ28に導入されることが防止される。これによっても、キャニスタ28からの燃料蒸気の大気放出が効果的に抑制される。
さらにまた、燃料蒸気排出抑制装置10では、負圧ポンプ46とOBD用圧力センサ52とで燃料蒸気の漏れの原因となる大気配管30、バイパス配管40の穴あきを自己診断することができるので、信頼性が高い。しかも、切替バルブ44による大気配管選択状態とバイパス配管選択状態とを切り替えて図8、図9に示す部分を分けて異常診断するため、異常(穴あき)部位の特定が容易になり、信頼性を一層向上させることができる。
なお、上記した実施形態では、OBD用圧力センサ52からの信号に基づく異常診断が図2に示す制御と独立して行われる例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ステップS40で負圧ポンプ46を作動させた場合に、切替バルブ44による大気配管選択状態とバイパス配管選択状態とを切り替えつつ、燃料タンク14を負圧にする動作と共に行うようにしても良い。また例えば、システムスイッチ54のOFF時に燃料タンク14の内圧Ptが上昇した場合に、蒸気の異常診断を行いつつ燃料タンク14の内圧Ptを低下させるようにしても良い。
また、第1参考例として、上記構成の燃料蒸気排出抑制装置10の構成において、切替バルブ44を、合流部J2に代えて分岐部J1に設けるようにしても良い。
(他の制御例)
次に、燃料蒸気系ECU38による制御の別例について、図10に示されるフローチャートを参照しつつ、上記実施形態の制御例(図2)と異なる部分を主に説明する。
ステップS10で、リッドスイッチ23が操作されたと判断し、ステップS28でバイパス配管選択状態から大気配管選択状態に切り替えた燃料蒸気系ECU38は、ステップS50に進む。ステップS50で燃料蒸気系ECU38は、圧力センサ48からの信号に基づいて、燃料タンク14の内圧Ptが所定の閾値P2を超えているか否かを判断する。燃料タンク14の内圧Ptが所定の閾値P2を超えていると判断した燃料蒸気系ECU38は、ステップS52に進む。
ステップS52で燃料蒸気系ECU38は、燃料蒸気濃度センサ50からの信号に基づいて、キャニスタ28の吸着燃料の濃度Cが規定の濃度C4以下であるか否かを判断する。キャニスタ28の吸着燃料の濃度Cが規定の濃度C4以下であると判断した場合、燃料蒸気系ECU38は、ステップS54に進み、負圧ポンプ46を作動させる。これにより、燃料蒸気排出抑制装置10では、図11に示される如く、燃料タンク14内の燃料蒸気を含むガスは、エバポ配管26、キャニスタ28、大気配管30を経由して大気開放され、燃料タンク14の内圧Ptが下がる。この際、蒸気ガスのうち燃料蒸気は、主にキャニスタ28にて吸着される。
次いで、燃料蒸気系ECU38は、ステップS56に進む。また、ステップS50で燃料タンク14の内圧Ptが所定の閾値P2を超えていないと判断した場合、ステップS52でキャニスタ28の吸着燃料の濃度Cが規定の濃度C4以下でないと判断した場合にも、燃料蒸気系ECU38は、ステップS56に進む。
ステップS56で燃料蒸気系ECU38は、燃料タンク14の内圧Ptが規定の圧力P1(例えば大気圧近傍の圧力)を下回るか否かを判断する。燃料タンク14の内圧Ptが規定の圧力P1を下回らないと判断した燃料蒸気系ECU38は、ステップS30に戻る。すなわち、燃料タンク14の内圧Ptが規定の圧力P1を下回るまで繰り返す(待機する)。燃料タンク14の内圧Ptが規定の圧力P1を下回ったと判断した場合、燃料蒸気系ECU38は、ステップS58に進み、負圧ポンプ46を停止させる(負圧ポンプ46が作動されていない場合は、非作動状態に維持する)。
ステップS58の実行後、燃料蒸気系ECU38は、ステップS32に進む。本図10に示す別例の制御における他の部分は、図2に示す蒸気実施形態の制御と同様である。
したがって、本別例の制御を行う構成においても、蒸気実施形態と基本的に同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、本別例に係る制御では、燃料タンク14の内圧Ptが高い場合に負圧ポンプ46によって強制的に燃料タンク14内のガスを排出させるので、短時間でリッドロック装置22によるフューエルリッド20のロック状態を解除させることができる。一方、キャニスタ28の吸着量が多い場合(ステップS52)には、燃料タンク14への負圧導入が禁止されるので、キャニスタ28の容量を超える燃料蒸気が該キャニスタ28に導入されることが防止される。
(他の実施形態)
以下の説明で、第2〜第5の実施形態とあるのは、第2〜第5参考例と読み替えるものとする。
次に、本発明の他の実施形態を説明する。なお、上記した実施形態及び前出の形態と基本的に同一の部品、部分については、上記した実施形態又は前出の形態と同一の符号を付して説明を省略する。
(第2の実施形態)
図12には、本発明の第2の実施形態に係る燃料蒸気排出抑制装置60が模式図にて示されている。この図に示される如く、燃料蒸気排出抑制装置60は、大気配管30及びバイパス配管40を開閉し得る切替バルブ44に代えて、大気配管30のみ開閉し得る第1配管開閉手段としての切替バルブ62を備える点で、第1の実施形態とは異なる。
切替バルブ62は、大気配管30におけるバイパス配管40の分岐部J1、合流部J2の間に配置されている。これにより、燃料蒸気排出抑制装置60では、切替バルブ62の開弁状態が大気配管選択状態とされ、切替バルブ62の閉弁状態がバイパス配管選択状態とされている。図示は省略するが、切替バルブ62は、燃料蒸気系ECU38にて開閉が制御されるようになっている。
上記構成の燃料蒸気排出抑制装置60では、負圧ポンプ46、OBD用圧力センサ52による異常診断は、切替バルブ62を解放した大気配管選択状態で行うことで、キャニスタ大気開放側ユニット56(大気配管30、バイパス配管40)の全体について行うことができる。燃料蒸気排出抑制装置60の他の構成は、燃料蒸気排出抑制装置10の対応する構成と同じである。
したがって、第2の実施形態に係る燃料蒸気排出抑制装置60によっても、異常診断の範囲を切り替えることによる作用効果を除いて、基本的に燃料蒸気排出抑制装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
図13には、本発明の第3の実施形態に係る燃料蒸気排出抑制装置70が模式図にて示されている。この図に示される如く、燃料蒸気排出抑制装置70は、バイパス配管40に代えて、大気配管30からの分岐部J1とは反対側の端部が大気開放端72Aとされた第2配管としてのバイパス配管72を備える点で、第1の実施形態に係る燃料蒸気排出抑制装置10とは異なる。
そして、バイパス配管72の大気配管30に対する合流部J2が存在しない燃料蒸気排出抑制装置70では、分岐部J1に、大気配管選択状態とバイパス配管選択状態とを切り替えるための切替バルブ44が配設されている。また、大気開放端30A、大気開放端72Aが独立して設けられている燃料蒸気排出抑制装置70では、分岐部J1(切替バルブ44)に対する燃料タンク14側に負圧ポンプ46が配設されている。したがって、燃料蒸気排出抑制装置70では、キャニスタ大気開放側ユニット56における負圧ポンプ46に対する大気開放端30A、大気開放端72A側に位置する部分の異常診断(穴あき検出)を行うことはできない構成とされている。燃料蒸気排出抑制装置70の他の構成は、燃料蒸気排出抑制装置10の対応する構成と同じである。
したがって、第3の実施形態に係る燃料蒸気排出抑制装置70によっても、負圧ポンプ46、OBD用圧力センサ52を用いた異常検出に係る作用効果を除いて、基本的に燃料蒸気排出抑制装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。なお、燃料蒸気排出抑制装置70は、切替バルブ44に代えて、大気配管30における分岐部J1よりも大気開放端30A側の部分に切替バルブ62を設けて構成されても良い。
(第4の実施形態)
図14には、本発明の第4の実施形態に係る燃料蒸気排出抑制装置80が模式図にて示されている。この図に示される如く、燃料蒸気排出抑制装置80は、正負圧弁42を有するバイパス配管40及び切替バルブ44が、大気配管30に代えてエバポ配管26に設けられている点で、第1の実施形態に係る燃料蒸気排出抑制装置10とは異なる。
図14では、負圧ポンプ46が大気配管30に設けられた例を示しているが、負圧ポンプ46を正負圧弁42とキャニスタ28との間に設けても良い。この場合、キャニスタ大気開放側ユニット56に代えて、燃料蒸気排出抑制装置80の特徴的な構成部分をエバポ配管26に集約して全体としてユニット化した燃料タンク側ユニットを構成することができる。燃料蒸気排出抑制装置80における他の構成は、燃料蒸気排出抑制装置10の対応する構成と同じである。
したがって、第4の実施形態に係る燃料蒸気排出抑制装置80によっても、バイパス配管40、正負圧弁42、切替バルブ44がキャニスタ28に対する大気開放端30A側に配置されたことによる作用効果を除いて、基本的に燃料蒸気排出抑制装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。なお、燃料蒸気排出抑制装置80、切替バルブ44に代えて切替バルブ62を用いて構成しても良い。この場合、異常検出については、燃料蒸気排出抑制装置60と同様に切替バルブ62を解放した大気配管選択状態で行えば良い。
(第5の実施形態)
図15には、本発明の第5の実施形態に係る燃料蒸気排出抑制装置90が模式図にて示されている。この図に示される如く、燃料蒸気排出抑制装置90は、負圧ポンプ46が分岐部J1に対する燃料タンク14側に配置されている点で、第1の実施形態に係る燃料蒸気排出抑制装置10とは異なる。
上記した負圧ポンプ46の配置により、燃料蒸気排出抑制装置90では、負圧ポンプ46に対する大気開放端30A、大気開放端72A側に位置する部分の異常診断(穴あき検出)を行うことはできない構成とされている。また、燃料蒸気排出抑制装置90では、切替バルブ44が分岐部J1に代えて合流部J2に配置されている。燃料蒸気排出抑制装置90の他の構成は、燃料蒸気排出抑制装置10の対応する構成と同じである。
したがって、第5の実施形態に係る燃料蒸気排出抑制装置90によっても、負圧ポンプ46、OBD用圧力センサ52を用いた異常検出に係る作用効果を除いて、基本的に燃料蒸気排出抑制装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。なお、図15に示す例では、負圧ポンプ46がエバポ配管26に設けられているが、負圧ポンプ46が分岐部J1とキャニスタ28との間に配置された構成とすることも可能である。この場合、燃料蒸気排出抑制装置80の特徴的な構成部分を大気配管30に集約して全体としてユニット化したキャニスタ大気開放側ユニットを構成することができる。また、燃料蒸気排出抑制装置90は、切替バルブ44を分岐部J1に代えて合流部J2に設けても良い。
なお、上記した各実施形態では、負圧ポンプ46、OBD用圧力センサ52を用いて以上診断を行う場合(構成)において、負圧ポンプ46を作動させたまま異常診断を行う例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、エバポ配管26、大気配管30に負圧を保持するための縁切り弁等を設けても良い。
また、上記した各実施形態では、システムスイッチ54のOFF後に1回だけ燃料タンク14に負圧導入を行う(ステップS40〜ステップS44)例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、システムスイッチ54のOFF後に複数回にわたり燃料タンク14に負圧導入を行うように構成しても良い。この場合、例えば圧力センサ48や外気温センサ等の出力信号に応じて負圧導入の実行要否を判断しても良く、システムスイッチ54のOFF(前回の負圧導入)からの経過時間に応じて負圧導入の実行タイミングを判断するようにしても良く、外気温、時間、時期、駐車位置等のデータに基づくマップ等にて負圧導入の実行タイミングを判断するようにしても良い。
さらに、上記した各実施形態では、燃料蒸気系ECU38が図2又は図10に示す制御を行う例を示したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨の範囲で各種の制御が可能であることは言うまでもない。
またさらに、上記した実施形態では、エバポ配管26又は大気配管30に負圧ポンプ46が設けられた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、エバポ配管26又は大気配管30に設けられた負圧ポンプ46に加え、又はエバポ配管26又は大気配管30に設けられた圧ポンプ46代えて、バイパス配管40に設けられた負圧ポンプ46を備える構成としても良い。また、負圧ポンプ46を有しない構成とすることも可能である。