JP4441498B2 - 燃料タンクシステム - Google Patents
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Description
このような車両の燃料タンクシステムには、燃料給油時に燃料タンクの上部空間で発生した蒸発燃料が、ブリーザパイプを通って給油口から大気中に放出されることにより、燃料タンクへの給油を行えるようにしている。
蒸発燃料回収装置には、例えば、燃料タンクから発生する蒸発燃料を吸着するキャニスタと、タンクとキャニスタとを繋ぐ蒸発燃料通路と、蒸発燃料の一部をフィラパイプの給油口近傍に還流させて蒸発燃料の発生量を低減させるベーパーリターンチューブとが主に設けられている。
そこで、図7に示すように、ブリーザパイプ100には、燃料が滞留する下方湾曲部110に三方ジョイント200が設けられて、この三方ジョイント200には、滞留した燃料を吸引して燃料タンクに送るためのジェットポンプ(図示せず)に接続された滞留燃料吸引パイプ300が接続されている。ジェットポンプは、エンジンの運転に伴って、このジェットポンプのベンチュリノズルを燃料が通過することによって負圧が発生し、この負圧によりブリーザパイプ100の下方湾曲部110に滞留した燃料を燃料タンクに吸引するものである。
これにより、下方湾曲部110に滞留した燃料は、滞留燃料吸引パイプ300に設けられたジェットポンプによって吸引されるようになっている。
しかしながら、米国仕様としては、同時に故障検知装置も搭載するので、その結果、故障検知装置は、エンジンの吸気管の負圧によってブリーザパイプ100を負圧状態にしたときに、逆止弁210によって滞留燃料吸引パイプ300が閉じられてしまうため、滞留燃料吸引パイプ300に穴が開いている状態を検出できないという問題点がある。
まず、本発明の実施形態に係る燃料タンクシステムAを説明するのに先立って、この燃料タンクシステムAが装備される車両Cと、この車両Cに搭載されるフィラパイプ3と、ベーパーリターンチューブ4と、燃料タンクTについて説明する。
図1に示すように、燃料タンクシステムAが備えられた車両Cは、フロントシート1の下方に燃料タンクTが配置され、車室の後側(ラゲッジフロアCa)を大きくて、重心を低くしたいわゆるセンタタンク車である。このような車両Cでは、給油口3aがリヤシート2の後側に配置されて、その給油口3aと燃料タンクTとを接続するフィラパイプ3およびベーパーリターンチューブ4の長さが長くなっている。この車両Cでは、フロントシート1の後側に、リヤシート2をラゲッジフロアCaに対してフラットな状態に折り畳めるように、フロアパネルCbが低く配置されている。このため、ベーパーリターンチューブ4は、フロアパネルCb等との干渉を回避するために、中間を下向きに湾曲させた下方湾曲部4aが形成されて、蒸発燃料が液化した燃料が、滞留する液溜まりの状態にレイアウトされている。
図2に示す燃料タンクTは、燃料を貯留するためのタンクであり、この燃料タンクTの上面には、内側に向けてポンプユニットPと、満タン時に閉弁するフロートバルブを内蔵したベーパーリターンフロート5と、同じくフロートバルブを内蔵した給油用フロート7とがそれぞれ設けられている。
フィラパイプ3は、給油口3aから給油された燃料を燃料タンクTに送るための配管であり、一端がフィラネックチューブ3bおよびインレットバルブV3を介して燃料タンクTの下部側面に接続され、他端が給油口3aに接続されている。
図2に示すベーパーリターンチューブ4は、給油時に燃料タンクT内の上部空間の空気(蒸発燃料)の一部をフィラパイプ3の給油口3aの近傍に還流させて蒸発燃料の発生量を低減させるための還流パイプであり、例えば、複数のパイプを連設してなる。このベーパーリターンチューブ4には、一端が燃料タンクT内の上部空間に設けられたベーパーリターンフロート5に接続され、他端が逆止弁V2を介してフィラパイプ3の給油口3aの近傍に接続され、中間に形成された下方湾曲部4aに、滞留燃料吸引パイプ6に取付けられた三方ジョイント4bが接続されている。
三方ジョイント4bに接続された滞留燃料吸引パイプ6は、チェックバルブV1を介してジェットポンプP1に接続されている(図4および図5参照)。
図5に示す燃料タンクシステムAには、給油時に発生する蒸発燃料を回収して外部に流出するのを阻止するための蒸発燃料回収装置Bと、後記する内圧センサSによって燃料タンクTおよびそれぞれの燃料用の配管系に穴が開いていないかを圧力を検出することによって診断する故障検知装置Oとが備えられている。燃料タンクシステムAは、前記燃料タンクTと、前記フィラパイプ3と、前記ベーパーリターンチューブ4と、このベーパーリターンチューブ4の下方湾曲部4aに滞留した燃料を、滞留燃料吸引パイプ6を介して吸引して燃料タンクTに戻すためのジェットポンプP1と、燃料タンクT、フィラパイプ3およびベーパーリターンチューブ4を含む系内(燃料タンクTおよび燃料用の配管系内)を負圧にする負圧導入手段と、前記系内の負圧の状態を保持する負圧保持手段と、前記系内の圧力を監視する圧力監視手段と、を備えている。
負圧導入手段は、エンジンEの吸気通路であるインテークマニホールド22と、ドレンシャット弁V7と、パージ調整電磁弁V8と、ドレンシャット弁V7およびパージ調整電磁弁V8を制御するECUと、燃料タンクTおよび燃料用の配管系とから主に構成されている。
負圧保持手段は、ドレンシャット弁V7と、パージ調整電磁弁V8と、ドレンシャット弁V7およびパージ調整電磁弁V8を制御するECUと、燃料タンクTおよび燃料用の配管系と、系内が所定に負圧になったかを検出する内圧センサSと、から主に構成されている。
圧力監視手段は、負圧保持手段で保持した負圧を検出する内圧センサS、前記ECUとから主に構成されている。
図5に示すように、チェックバルブV1は、滞留燃料吸引パイプ6の一端に接続されたジェットポンプP1側から他端側に接続された三方ジョイント4b側へ流体が流れるのを防止するための逆流防止用の弁である。このチェックバルブV1は、エンジンEを停止して燃料タンクTに給油している最中に、燃料タンクT内の燃料が、リターンパイプ10からサブジェットポンプP2、ジェットポンプP1、および滞留燃料吸引パイプ6を通って下方湾曲部4aに流れ込むことを防止するように設置されている。
ジェットポンプP1は、ベーパーリターンチューブ4の下方湾曲部4aに滞留した燃料を、滞留燃料吸引パイプ6を介して吸引して燃料タンクTに戻すためのポンプである(図5参照)。ジェットポンプP1と前記チェックバルブV1とは、燃料タンクTに設置されたポンプユニットPに設けられて、互いに近傍に配置されている。
図5に示すように、ポンプユニットPは、不織布によって異物を除去するサクションフィルタ12と、燃料をインジェクタ8に送るための燃料ポンプP3と、燃料の圧力を調整するプレッシャレギュレータ11と、サクションリリーフバルブV4と、燃料タンクT内の燃料液面を検出する燃料液面計(図示せず)と、前記ジェットポンプP1と、このジェットポンプP1を補助するサブジェットポンプP2と、ベントパイプ14に設けられたベントリリーフバルブV5に連通するカットバルブV6とを備えている。
前記蒸発燃料回収装置Bは、燃料の給油時に、燃料タンクT内の上部空間の空気および蒸発燃料を還流したり、蒸発燃料を捕獲する装置である。この蒸発燃料回収装置Bは、比較的太くて短く形成されて抵抗が小さなベントパイプ14によって燃料タンクTと繋がれたキャニスタ15と、前記ベーパーリターンチューブ4と、前記滞留燃料吸引パイプ6と、前記ジェットポンプP1とから主に構成されている。
図5に示すように、キャニスタ15は、燃料タンクTへの給油時に、注入された燃料に押された燃料タンクT内の上部空間の蒸発燃料が送り込まれて吸着される吸着剤を内蔵し、蒸発燃料が、大気中に排出されるのを防止するためのものであり、その他に、パージ時に取り入れる大気に含まれている塵埃を除去するためのキャニスタフィルタ15aを備えている。このキャニスタ15には、濾紙等からなるキャニスタフィルタ15aと、ドレンシャット弁V7と、内圧センサSと、を主に備えられている。
このキャニスタ15とキャニスタフィルタ15aとの間のドレインパイプ16には、ECUによって弁体が開閉される電磁弁からなるドレンシャット弁V7が配置されている。なお、給油時に燃料タンクT内の蒸発燃料の多くはこのキャニスタ15内に流れ込んで大気中に流れ出ないようになっているため、キャニスタ15は、比較的大型に形成されている。蒸発燃料は、キャニスタ15の活性炭からなる吸着剤に吸着されて浄化された空気となってドレンシャット弁V7を介して排出パイプ17から大気中に排出されるようになっている。
エンジンEの運転中のパージ時に、ECUの指令でドレンシャット弁V7およびパージ調整電磁弁V8が開弁すると、キャニスタ15に貯えられた蒸発燃料は、インテークマニホールド22の負圧によって、大気がドレインパイプ16からキャニスタフィルタ15a、ドレンシャット弁V7を介してキャニスタ15に吸入されることにより、吸着剤から離れて大気と共に、キャニスタ15、パージパイプ19、パージ調整電磁弁V8を介して、インテークマニホールド22に供給されるようになっている。
このとき、ドレンシャット弁V7およびパージ調整電磁弁V8等に接続されたECU(図示せず)が、各センサの信号を基にパージ調整電磁弁V8の開時間の長さを制御して、蒸発燃料の吸入量を調整している。
故障検知装置Oは、燃料タンクシステムAの燃料タンクTおよび燃料用の配管系に穴が開いて漏れる状態になっているか否かを、ECUの指令によってエンジンEの吸気系であるインテークマニホールド22の負圧を利用して燃料タンクTおよび配管系を負圧状態にし、内圧センサSによって負圧状態がキープされるか、大気圧状態になるかによって検出する装置である。この故障検知装置Oは、前記負圧導入手段と、前記負圧保持手段と、前記圧力監視手段とから主に構成されている。
なお、前記ECUは、ドレンシャット弁V7やパージ調整電磁弁V8や温度センサ等の各種センサに電気的に接続されて、各種センサの信号に基づいてドレンシャット弁V7、パージ調整電磁弁V8等を制御する。
次に、図5および図6を主に参照して本発明の実施形態に係る燃料タンクシステムAの作用を説明する。図6は、本発明の実施形態に係る燃料タンクシステムの動作を示すフローチャートである。
イグニッションスイッチ(図示せず)をONすると、燃料タンクシステムAがスタートする。図5に示すように、例えば、給油後に、イグニッションスイッチをONして燃料ポンプP3およびエンジンEを駆動させると、燃料ポンプP3が駆動するのに伴って、燃料がエンジンEと、リターンパイプ10からジェットポンプP1とに供給される。すると、リターンパイプ10からジェットポンプP1に余剰燃料が供給され、ベンチュリノズルP1a(図4参照)を通過する燃料によって負圧が発生し、この負圧によってベーパーリターンチューブ4の下方湾曲部4aに滞留した燃料が吸引され、滞留燃料吸引パイプ6、チェックバルブV1、ジェットポンプP1を介してリターンパイプ10から燃料タンクT内に戻される。
このようにして、下方湾曲部4aに滞留する燃料は、エンジンEが駆動している間、ジェットポンプP1によって吸引されて、燃料タンクTに回収されるため、ベーパーリターンチューブ4の下方湾曲部4aに滞留することが解消される。
例えば、エンジンEを停止して給油するときには、燃料が給油口3aからフィラパイプ3を介して燃料タンクTに注入される。このとき、燃料タンクT内の上部空間の蒸発燃料は、給油された燃料の容積と略同量の蒸発燃料がベントパイプ14からキャニスタ15内に流れ込むことにより、スムーズに給油が行える。
一方、燃料タンクT内の上部空間の一部の蒸発燃料は、ベーパーリターンチューブ4を通って給油口3aの近傍へ戻されて、再びフィラパイプ3に還流されることにより、大気が燃料タンクT内に流入することが抑制されるため、燃料蒸気の発生量を低減させることができる。
また、チェックバルブV1は、燃料タンクT内の燃料が、リターンパイプ10から停止中のサブジェットポンプP2、およびジェットポンプP1を通ってベーパーリターンチューブ4の下方湾曲部4aに流れ込むことを防止している。このため、前記ベーパーリターンチューブ4内を流れる蒸発燃料の流れは、スムーズに流れるように保たれる。
まず、イグニッションスイッチをONさせてエンジンEを始動させると(ステップS1)、インテークマニホールド22に負圧が発生する(ステップS2)。
次に、負圧導入手段によって燃料タンクTおよび燃料用の配管系内全体に、その負圧を導入させる。すなわち、ECUは、エンジンEの回転が安定すると、パージ調整電磁弁V8を開弁させ、ドレンシャット弁V7の閉弁させることによって、インテークマニホールド22の負圧が、パージパイプ19、キャニスタ15、およびベントパイプ14を介して燃料タンクTに達して、燃料用の配管系全体に負圧が導入される。
その結果、燃料タンクシステムAは、燃料用の配管系全体の穴や漏れの診断ができる。
一方、所定時間の間、負圧状態が保持された場合には、燃料タンクTまたは燃料用の配管系に穴が開いていないため、穴の診断を終了する。
以上のように、故障検知装置Oによって燃料タンクTおよび燃料用の配管系全体の穴の診断ができる。
前記した実施形態では、エンジンEの吸気通路の負圧を負圧導入手段によって系内に導入して、系内を負圧保持手段で負圧状態に保持してからその負圧状態を圧力監視手段によって監視することで、系内の穴や漏れを検出しているが、それに限定されるものではない。
例えば、本発明に係る燃料タンクシステムAは、少なくとも、系内を外部と遮断する圧力保持手段(ドレンシャット弁V7およびパージ調整電磁弁V8)と、系内の圧力を監視する圧力監視手段(ECU、故障検知装置O、内圧センサS)と、を備えていれば系内に穴や漏れがあることを検出することができる。
このように、本燃料タンクシステムAにおいては、負圧導入手段を省略することも可能であり、この負圧導入手段は適宜に設置すればよい。
例えば、図4に示すチェックバルブV1とジェットポンプP1とは、別体に形成して配管を介して連結し、それぞれをポンプユニットPに設けているが、チェックバルブV1とジェットポンプP1とを一体に形成したものであっても構わない。
また、チェックバルブV1は、公知の逆止弁であってもよく、ジェットポンプP1は、電動式のポンプであっても構わない。サブジェットポンプP2は、燃料タンクTの形状やポンプの位置によっては、無くても構わない。
3a 給油口
4 ベーパーリターンチューブ
4a 下方湾曲部
4b 三方ジョイント
6 滞留燃料吸引パイプ
22 インテークマニホールド(負圧導入手段)
A 燃料タンクシステム
B 蒸発燃料回収装置
E エンジン
ECU (負圧導入手段、負圧保持手段、圧力監視手段)
O 故障検知装置(圧力監視手段)
P ポンプユニット
P1 ジェットポンプ
S 内圧センサ(負圧保持手段、圧力監視手段)
T 燃料タンク
V1 チェックバルブ
V7 ドレンシャット弁(負圧導入手段)負圧保持手段)
V8 パージ調整電磁弁(負圧導入手段、負圧保持手段)
Claims (3)
- 燃料を貯留する燃料タンクと、
一端が前記燃料タンクに連通して他端が給油口に接続されたフィラパイプと、
一端が前記燃料タンクの上部空間に連通して他端が前記フィラパイプの給油口に連通し、中間に形成された下方湾曲部に、三方ジョイントが設けられたベーパーリターンチューブと、
このベーパーリターンチューブの前記下方湾曲部に滞留した燃料を、滞留燃料吸引パイプを介して吸引して前記燃料タンクに戻すためのジェットポンプと、
前記燃料タンク、前記フィラパイプおよび前記ベーパーリターンチューブを含む系内を外部と遮断する圧力保持手段と、
前記系内の圧力を監視する圧力監視手段と、を備えた燃料タンクシステムであって、
前記滞留燃料吸引パイプには、前記ジェットポンプ側から前記三方ジョイント側へ燃料が流れるのを防止するためのチェックバルブを、前記ジェットポンプの近傍に設けたことを特徴とする燃料タンクシステム。 - 前記系内を負圧にする負圧導入手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の燃料タンクシステム。
- 前記ジェットポンプと前記チェックバルブとは、前記燃料タンクに設置されたポンプユニットに設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料タンクシステム。
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